東郷さんと地震の話

AI summary (β)
この話は、加藤清正公と東郷さんの忠義と勇気を称えるエピソードです。伏見の大地震の際、清正公は真っ先に主人の大公のもとに駆けつけ、その忠義心が称賛されました。同様に、東郷さんも大地震の際にすぐに軍服に着替え、東宮御所に駆けつけて御安泰を確認しました。その後、自宅が火に囲まれましたが、東郷さんは冷静に対処し、用意していたポンプで火を防ぎました。さらに、東郷さんに恩を感じていた若者たちが駆けつけ、濡れた半天で火の粉を叩き消しました。その結果、東郷さんの家だけが焼け残りました。この出来事は、東郷さんの高い徳と誠の心がもたらしたものであり、正直な心を持つことの重要性を説いています。
pid
1320396
date
1931-08
note
商品番号 : 51865, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 学芸
year
1931
genre
教育・児童
creators
小笠原 長生(海軍中将)
duration
197
persName
小笠原 長生(海軍中将)
publisher
ビクター
昔、伏見に大地震があった時に、加藤清政公が第一番にご主人の大公さんのところへ駆けつけて あっぱれ中心と褒められたことは名高い話でありますが、忠義の心の熱い方はいつでも同じで、 東郷さんもあの大地震の時、それというが早いかすぐに軍服に着替え、その折両陛下は日光においで遊ばされてお留守であったものですから、 一番にまだぐらぐらっとやってる中を東宮御所にうかがわれ、御安泰であらせられることを受けたまわってほっと安心せられました。 ところが戻ってこられた時には、御自分のお屋敷も三望から燃えてくる火に取り囲まれ、門も垣根も焼かれました。 しかし、東郷さんは落ち着き払って踏みとどまり、普段からこういう時のために用意しておられた三つの堀井戸に仕掛けてあるポンプからどんどん水を出して火を防いでおられました。 そこへ、かねて東郷さんに御恩を受けている九人の若者が駆けつけてきて、いきなりすっぱらかになると、 いずれも着ていた半天を水につけて、それをひっかついで屋根の上に飛び上がり、 やい、火事のめくらめ、気をつけろ、ここはどこだと思う、はばかりながら東郷さんのお屋敷だぞ、焼けるものなら焼いてみろ、さあ来い、 こうした勢いで飛んでくる火の粉を濡れた半天で片っ端からたたきつけましたからたまりません。 とにかくめくらと叱られては、さすがの火事も驚いたことでありましょう。 ついに海の中の島のようにそこだけ残して、他の方へやけひろがっていきました。 後になってこの時の世間の噂を聞きますと、どうも大変なことだ。 火事に取り囲まれた東郷さんは、大きな内輪を持ち出してきて、きのこの飛んでくる方へ向かって、 あおぎ、そうして火を追い払ったと不思議そうに話している人がありましたが、 なんぼ東郷さんがえらいからといってこんな不思議なことはできるはずがありませんが、 まったく東郷さんの高い徳と誠の心と重意深かったこととがもとで焼けなかったので、 結果においては内輪であおぎつけたのと同じことになったのであります。 それもこれも皆東郷さんの真心がもととなっているのでありますから、 どうぞ皆さんも心を正直にもって親御さんや先生たちのおっしゃることをお守りになり、 立派になってくださるようにお願いします。