朗読:ベニスの商人(法廷の場)(三)
- AI summary (β)
- この文章は、ある法廷でのやり取りを描写しています。商人が命をかけて友人バッサーニョのために負債を支払う覚悟を示し、バッサーニョもまた友人を救うために全てを犠牲にする意志を表明しています。裁判官は、契約に基づいて商人の肉を切り取ることを許可しますが、血を流すことは許されないと指摘します。もし血が一滴でも流れれば、契約者は全財産を没収されるという法律が適用されるため、契約者は厳しい状況に置かれます。
- pid
- 3571949
- date
- 1933-11
- note
- 商品番号 : 35392, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 朗読
- year
- 1933
- genre
- 文学作品の朗読、解説
- creators
- 坪内 逍遥
- duration
- 180
- persName
- 坪内 逍遥
- publisher
- コロムビア(戦前)
商人、何か申し残すことがあるか?
ただ、いささか、覚悟は当に致しております。
バッサーニョーさん、お手本。
ご機嫌よろしく。
私があんたのためにこういうことになったからといって、
嘆いてくださいます。
ええ。
あんたが一人の親友を失ったと悔やんでさえくださりゃ、
私はあんたのために負債を支払うのを決して悔やみません。
というのは、もし銃がずっと深く切り下げりゃ、
私は本当に心の底を傾けて、あんたのためにお支払いをするのでございますか。
バッサーニョー、私は今現に生命そのものほどに大切な財をめとっている。
けれども、生命そのもの、その財も、全世界も、私にとっては、
あなたの命以上にたったいもんじゃない。
私は何もかも捨ててしまう。
みんな犠牲にしても構わないから、どうかしてあなたを、
この悪魔から救い出したいのです。
ああ、時間が無駄になります。
どうか早く御宣告を願います。
そこにいる証人の肉一本どは、その方のものであるぞ。
法廷がこれを全任し、法律がこれをその方に後ぶるぞ。
公明盛大な裁判官じゃん。
すなわちその方、自ら手を下して、
彼が胸元からその肉を切り取らねばならんぞ。
法律これを許可し、法廷これを全任するぞ。
もっともはぐなくなる裁判官。
宣告だ。覚悟しろ。
いや、ちょっと待て。まだ言うことがある。
この証書には、血はただの一滴たりとも、
その方に後ぶると書いてはないぞ。
明瞭に肉一本どとのみ記してある。
しかる上は、証書面通り肉一本どは取れ。
しかしながら、もしこれを切り取るにあたって、
キリスト信者の選決をただ一滴でも進むにおいては、
その方の辞書も課題も、ベニスの国法によって、
ことことこれをベニスの国庫に募集いたすぞ。
公明盛大な裁判官さんと私は、
はぐなくなる裁判官様だ。
それが法律でございますか。
自身の目でその条文を見るがよろしい。
必要その方が、人へに厳重な証書面通りの裁判を申し込んがいい。
おのが望み以上の厳重な裁判を受けんければならんのである。
そう覚悟はせ。