精神教育資料 提督の最期(七)
- AI summary (β)
- 要約: 山口司令官は外見は快活でありながら、内面は豪気に満ちていました。彼は常に武人の死について語り、退官を勧められても一度だけで二度目はありませんでした。船が危機に瀕し、司令官は全員に退去を命じましたが、自身は悠然としていました。退官後、司令官と幹部たちは最後の時間を共に過ごし、淡々と語り合いました。司令官は専任参謀と副長に特別な伝言を艦隊長官に伝えるよう依頼しました。
- pid
- 3573242
- date
- 0000
- note
- 商品番号 : 100745, デジタル変換後ノイズ除去 : なし, 記録
- year
- 0
- genre
- 文学作品以外の朗読、解説
- creators
- 大本營海軍報道部課長 海軍大佐 平出 英夫
- duration
- 202
- persName
- 大本營海軍報道部課長 海軍大佐 平出 英夫
- publisher
- ニッチク
外は恩は快活でありながら、内は豪気に捨てた。
武人の死は、なお、ここの声を上げて世に丸る日に等し、とは常に語っておられたところであります。
司令官の日常をよく知っておりました各官庁は、司令官の微笑を仰ぎましては、
あえてひとたびは退官を勧めましたが、二度と勧める気にはなれなかったのであります。
ただ、黙念とそのかさわらにじして立つのみであります。
なおまた、千人三房以下幕僚も、みな共にその周囲にありまして、一歩も動かないでいるのを見ますと、
山口司令官は一同に大阪に退去を命令すると命令されました。
この時、船の傾斜は、余裕を加わりまして、もう手を何かに支えなければ立っていることさえ難しくなっておりました。
いぜん誘爆は止まず、危機はすでに両官にあるを思わせたのであります。
早く行け、退去しないか、司令官の御仰は凛として一括しました。
しかし自身は悠々じゃ、ただ全員の上に深い瞳を注いでおられました。
今はやむなく、総員一斉に挙手の敬礼をいたしました。
万官の別時にかえ、執管二席に異常を開始いたしました。
第一に負傷せる船員、第二に同情せる他の船の業員、
以下順次に秩序、整然として、好機ある海の砦に決別を告げていた。
総員が退官し終わるわずかの間を、なお残った幕僚や船の幹部は、
探偵用の小さな水樽を囲み、その栓を抜いていました。
この水樽も先にビスケット箱とともに、
旅館から消火作業中に送られたものでありましたが、
その水栓は今初めて抜かれるのであります。
ありあわせの石油空き缶の蓋を杯にかえ、
まず司令官官長の前に捧げました。
それから次々に飲み交わしては、
相分かるる人の影を心の内に伏しよがんだのであります。
しかし山口司令官と各官長とは、
一菊の水に終日の葛を潤しますと、
もうあたりのおやつも涙声もそ知らぬように、
淡々と語り合っておられました。
いい月だな、官長。月齢は二十一ですかな。
二人で月をめでながら語るか。
そのつもりで先ほど司警長が金庫の処置を聞きに来ましたから、
そのままにしておけと命じました。
そうそう、あの世でも私せんがいるからな、
よそながらこの対話を聞く者は熱血を飲む思いが致したのであります。
司令官を待つと身を向け直しますと、
専任参謀と副長を特に招き寄せて申されました。
こういう作戦の中だから、
君たちの身も明日は計り知れない。
故に特に依頼しておくわけだが、
艦隊長官へ伝言を頼む。