浮世床(上)

AI summary (β)
内容を要約します。 昔の床屋さんの話です。今の床屋はネオンサインがあり、親方が丁寧に接客しますが、昔の床屋は親方が色男とお世辞を言って評判でした。多くの客が集まり、待ち時間が長くなることもありました。客同士が将棋を指して待つこともあり、洒落を交えながら楽しんでいました。
pid
8273367
note
商品番号 : 4241, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
genre
落語
creators
春風亭 柳枝(芝楽改め 七代目)
duration
198
persName
春風亭 柳枝(芝楽改め 七代目)
publisher
ポリドール
一席お笑いを申し上げます。 当今はまごとに世の中が変わりました。 一番変わりましたのが床屋さんで、 この頃ではちょいとこのアメンボウの看板なんだ取っ払っちゃって、 ネオンサインで、養殖屋のコックみたいな服を着た親方が、 あ、お前とさんどうぞこちらへ、なんて言うんだお綺麗に相成りました。 その昔この浮男てえ床屋さんがございましたが、 親方が大層お世辞の良い所から評判でござい、 いや、これはどう、山田の色男。 おや、これはお隣の色男。 あ、これは向こう横丁の向こうへ曲がって脇揃えた人の色男なんて、 鉄のかった色男がありもんで、 こう言われれば悪い心持ちはしませんから、 みんな大勢やってくれ。 どう、ご苦労だ、ご苦労だ。 いや、これはどう、みなさんお揃いで。 どうしやしたい? いや、どう、驚きましたよ。 え、驚きました。 身体でも家はあるかないんですがね、 どうもこの床屋店はな、市場に繁盛するんでね、 私はちょうど5日ばかり前に来たんだがね、 うち帰ることはできない。 頭は散らし髪だしね。 境は生えてるし。 おや、じゃああんたの番には、 なかなか回りそうもないんだよ。 さっき親方に聞いたらまだ4日ばかりかかるぜんだ。 どうぞな、すいませんがあんたが一足先に出たら、 うち事づけをしてね、 寝巻きと土寺と弁当を忘れずに届けてくれるように。 ほら、どうも驚いたな。 なるほど、そういえば大変に。 みんな待ってるが、 おう、よっちゃん、ぼんやりしてんなよ。 え? いえ、いつになってくかわからないよ。 ご一人の番になんな。 お谷買いにご一人商議でもさそうじゃないか。 持っておいで。 持っておいで。 持っておいでなんてお前。 生意気なこと言って商議はさせんのかい。 何を言うんやんで。 ご一人江戸っ子だ。 なあ。 これができてこれのできねえってことはないんだよ。 何でもいいんだ。 よし、さあ、ここに番はあるし駒があるさ。 さあ、おやりよ。 え? おやりよ。 おやりよって言ったって並べねえ。 だがさ、お前が並べろよ。 やってみなよ。 だけどね、俺は並べられんだよ。 だけどさ、お前がね、 間抜けなことをするかしねえか見聞の役だ。 何を言ってやんねえ。 さあ、俺は並べたよ。 ああ、俺のと同じだ。 当たり前じゃないか。 それをこっちに回しちゃって。 元駒が並べるのかよ。 どうせやい。 さあ、金か不可。 え? 金か不可。 え、金。 何? 金。 金か。 ふう、ようせよ。 どっちか片っぽつけろよ。 ほら、金だよ。 ああ、金だなあ。 俺も金と言えばよかったよ。 ああ、負けちゃった。 元刺さねえじゃねえか。 ジュレってねえ。 いいかい。 おねえ、黙って刺しちゃ面白くないから。 洒落を言いながらいいよ。 うん、どんでもいいよ。 お前に任せるから。 不を刺すよ。 どうだ。 不月八日は吉日よと。 こんなくらいだ。 ああ、なるほどね。 で、俺も不を刺すよ。 不月八日、このか十日。 何を言ってやんねえ。 不を刺して、ふさしの下の雨宿りだ。 俺も不を刺して、ふさしの下の雨宿りはいけないよ。 首ふくりよ。 馬鹿だねえ。