講話:普通選挙論(一)
- Lyricist / composer / arranger / performer
- 永井 柳太郎
- Label
- ニッポノホン
- Genre
- 講義、講演、演説
- Publication date
- 1923-04
- Category (AI-assigned)
- 政治
- Keywords (AI-assigned)
- トルストイ, 基礎工事, 民衆, 政府, 政策
- Notes
- 商品番号 : 15039, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 講話
文豪トルストイは、かつて政府をフレムリン宮殿に支えて、有益なる教訓を与えたのであります。
フレムリン宮殿は、世界有数の大建築であるが、これを見物する人は、多くただその、目に見える地上の部分が、人間の地を極めたるに驚くけれども、
その目に見えざる地下の基礎工事が、いかに広大なるかに、思い及ばぬのであります。
しかし、地上の建築が、いかに人間の地を極むのも、地下の基礎工事であって、それを悟るにあらざれば、フレムリン宮殿は、卑怯するに、多情の楼閣に過ぎずというべき、
ひとたび風吹き大水いずれば、どほう和解を免れんのであります。
一国の政府もまた、これと同様に、その命令が行われ、その人民が危惧するのは、
実にその政府に対する民衆の、目に見えざる理解と同情との損するがためでありまして、
もしその目に見えざる理解と同情とが消滅すれば、
この政府は、あたかも多情の楼閣のごとく、ひとたび海沿うの風吹き核心の大水いずれば、どほう和解の運命を免れんのであります。
故に、政治家の最も重大なる任務は、その民衆の自覚と要求とありのままに直視して、その自覚と要求とに適応したる国策を樹立することでありまして、
もしこの重大なる任務を起こさり、ただ自己の属する階級ひとつ、自己の属する層波ひとつの地域をのみ、もっぱらにするに急遽さる政治家ありとせば、
昨年ごとき政治家は、事実において社会の騒乱を商発するものないとの非難を免ることはできないと信じます。