落語:市営そばや
- Lyricist / composer / arranger / performer
- 柳家 小三治
- Label
- コロムビア(戦前)
- Genre
- 落語
- Publication date
- 1928
- Category (AI-assigned)
- 飲食
- Keywords (AI-assigned)
- 待機, 不満, 手続き, 食事, そば
- Notes
- 商品番号 : 25445, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
ずいぶん待たせんなぁ。驚いちゃったなぁ、本当に。
一時間半ぐらいになるね、兄貴。
そのぐらいになるよ。あんまり長すぎな。
何日も経ってるんでね。
それでなくとも腹が空いてるとこなんだ。
もう、ぺこぺこになっちゃってね。
えー、こうと知ったならなんだな。
弁当かなんか持ってくればよかった。
馬鹿言うなよ。初学に行くのに弁当持ってくる奴あるかよ。
何しろ俺、もう体が持ちこたえられねぇ。
てめえだって江戸っ子じゃねえか、馬鹿。
腹が少しぐらい減ったぐらいでぐずぐず言ってる奴あるかよ。
何しろ俺もちょっと答えたら。
あ、さっきの人が来た。聞いてみよう。
もしもし。あのさっきのお役人。まだですか。
あー、いやー、少し待たせて気の毒だ。
少しばかりじゃねえ、うんと待っちゃったんで。
どうしたんでしょう。
ちょいと、課長さんが食事中だから。
え?課長さん何のとこ行くんですか。
あー、君たちは詳しく事情を知らんだろうけれど。
あの元書が第一に課長さんの手元へ行く。
売ってもよろしいという許可が降りると、すぐに書記が副写によって一枚の伝票をこしらえて。
え?
伝票何のこしらえんですか。
あ、それがすぐに営業部の方へ回る。
その伝票がまたそば玉係の方へ行って、
その伝票によってそばの玉を二つ倉庫から役人が出す。
何だい、荷物だねまるで。
すぐにそれがざる係、ゆくぐし係の方へ行くと、そのそばの玉が湯をくぐる。
どんぶちばり、どんぶり係がそこへ来て、シャッと入れる。
それからおつゆ係、薬味係、かやく係、おぜんだて係、箸係、
すべてのところをまわって、一番最後に金料係へ到着する。
すごろくだねまるで。
なんでその金料係ってな、これがたいへんだ。
内務省直轄のもので、役人が一人、厳密なる調査をして、
何の調査するんですか。
おつゆの量がどのくらいあるか。
カモナンバンならば、カモの大きさが、重さが、さが何グラムくらいあるか。
おそばがどのくらいあるか。
ネギの長さが何センチメートルあるか。
かまぼこの厚さが何ミリメートルあるか。
いちいち厳密にものさしで測って。
きたねえな、だんわ。
食べ物よのさしで測るんですかね。
渡らしちゃったな、だんわ。
そういうわけだから、気の毒だ。
もうできるだろう。
ああ、ベルが鳴っちゃう。できた、できた。
お前たち、でいいか。遠慮なく食え。
当たり前だな、誰が遠慮するやつある。
辛いじゃねえ、兄貴。
酒がすっかり冷めちゃった。
いやあ、時間が延びたから、少し酒が冷めたかもしれんよ。
内緒課長さんが食事中だったから。
辛いじゃねえ、時間が延びたばっかりじゃねえ。
おそばもすっかり延びちゃった。
ご視聴ありがとうございました。