浪花節:壷坂(ニ)

Lyricist / composer / arranger / performer
浪花亭 綾太郎
Label
コロムビア(戦前)
Genre
浪曲
Publication date
1932-02
Category (AI-assigned)
災害
Keywords (AI-assigned)
洪水, 避難, 救助, 失明, 隠し事
Notes
商品番号 : 26761, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 浪花節
音にかけるわけではないが、 指折り数え四年前八月二十一日の晩方から降り出す雨が、 二十九里地の日の暮れ方まで降り続いたそのために、 日の熊川の大口包みが一本松の下から切れて、 高鳥からこの土佐町へかけて水海となった。 そのとき御里の両親大坂や万兵衛殿御夫婦は、 目ぼしい物を携えて御母大諸国分寺様の裏山へ、 お逃げなされたでよかったが、 逃げ損じたあの里が家もろともにこの土佐町まで流されて、 すでに命のないとこをわしゃまだ神録といって目の見えた百姓であったゆえ、 泥水の中へ飛び込んでお里の命を助けてやったお里は助かってよかったが、 その泥水が目に入り一夜のうちに目はつぶれ、 まれもつかぬ方は隣が、 三田春安賢行様へお願い申し弟子入りさせていただいて、 敷居は取るてに人の方、 有山と辛い傾向。 先生の御眼鏡にかのお手頭の丸い杖を許され、 名穂沢市といただいて味気なき日を贈るのを、 お里が聞いてわしのところへ嫁入りしてくれてかいいところへ出の行くように、 世話してくれるやれ嬉しやと喜ぶもほんの束の間。 男ぐるいは憎いやつ。 男ができたらこういう訳とこと打ち明けてくれたなら、 決して未練は言いません。 わしの手図から書けなくとも、 人を頼んで利縁状を書いてもろうてお里に渡し、 できた男と添わせてやる。 わしをめくらと侮って、 隠し男は何事ぞ。