新内;膝栗毛 赤坂並木の段(六)
- Lyricist / composer / arranger / performer
- 富士松 魯中[作詞], 富士松 魯中[作曲], 冨士松 加賀太夫, 吾妻路 宮古太夫
- Label
- コロムビア(戦前)
- Genre
- 三味線楽(浄瑠璃)
- Publication date
- 1927-10
- Category (AI-assigned)
- 会話・コミュニケーション
- Keywords (AI-assigned)
- 松の木, 幽霊, 冗談, 雷友のちょうちん, 雨
- Notes
- 商品番号 : 25400, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 新内
向こう、向こう、八重山、向こう見てくんね、向こうよ。
向こうどうしたんで?
向こうに大きな松の木があるだろ。
ええね、いい形だな。
その松の木のそばにささやぶがあるな。
そのささやぶの中から、白い丸いものが二つ並んで、時々にチラリチラリ出てきやった。
あれは幽霊の夫婦連れだぜ。
馬鹿なこと言うなよ。
待て待て待て、俺は見てやろうよ、こうすると。
向こうにいい形の松の木があって、根形にささやぶがあって、
時々に白い丸いものが二つこっちへフワフワ来るようだと、こういうのか。
そうよ。
キタコ、あれはあんじるもんじゃねえよ。
そうか、いっぺえすいてえな。
もちのねえしるこ。
そうじゃねえよ、心配するなってことだよ。
何だよ、あれは。
あれはお前、雷友のちんちょうだ。
分からねえな、何言ってんだよ。
じれって男だな。
あれは何、キタコ。
トムレの蝶だぜ。
おやおやおや、よだれ垂らした。
顎をはずしやがったな。
待て待て待て、今はめてやるから。
火の封の蜜。
はまったよ。
はまったか。
はまったら出かけよう。
いけねえ。
どうして。
いまおめえがトムレの蝶ちんだろ。
そうよ。
おりゃびっくりする蝶ちんに、こっこじが抜けちゃって。
おやおや、お手数なこったな。
すげた、すげたの、若松様よ。
こりゃ、どうしたち。
はあ、こりゃこりゃ。
いやいや。
何で。
そんなこと言ってればいいじゃねえぜ。
どうしてどうして。
そりゃ意味ねえよ。
そりゃ。
うん。
天網の邪、ちいとおらしがある。
たたいてくれ、たたいてくれ、たたいてくれ。
火が。
ほら、火の封の蜜。
あ、たてたたてた。
ありがとありがと、たてましておめでとうございます。
そうね、また相変わります。
ここは何か。
ラット場か。
そうだな。
うんとしようのどっこいしで、かついんこじま。
行こう行こう行こう行こう。
待て待て。
泊まりは決まってる。
おっとりしてるよ。
そうはいかねえぜ。
どうしてどうして。
いやいや。
何で。
そらえが真っ黒な。
何でそらえが。
待て待て待て。
どんどん見てろ。
いやあ、おら気のせいかなおい。
えりくびぽつるってきたいだぜ。
ぽつりか。
うんうん。
雨か。
ゆめましいな。
うん。
つぶやき、つぶやき。