映画劇:金色夜叉(歌留多会帰りの場) (下)

Lyricist / composer / arranger / performer
尾崎 紅葉[作詞], 林 長二郎, 田中 絹代
Label
コロムビア(戦前)
Genre
近代演劇(日本)
Publication date
1932-01
Category (AI-assigned)
人間関係
Keywords (AI-assigned)
対話, 感情, 怒り, 謝罪, 別れ
Notes
商品番号 : 26737, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 映画劇
何を泣くんだい?悔しいのかい? 私、黙ってきたことは悪いわ。 でも、済んだことはそんなに責めないでよ。 ねえ、かんいちさん。 私、誰にも言えないことでも、 あなたにだけは言えると思っていたのよ。 あなたがそんなに怒っていらっしゃると、 私、心細くなるわ。 だから、これから先、何事も隠さずに、 もう二度とこんな気持ちにさせないでおくれよ。 ええ、すみませんでした。 じゃあ、もう決して動揺しないね。 ええ。 そう、それで僕も安心したよ。 ねえ、みやさん。 僕、今日興奮していて悪かった。 実はね、今度のことが、 友達の間に問題になって、 みんなが僕のことを心配してくれて、 僕がここへ来た。 旅費だって、 友達が月謝の金を貸してくれたんだ。 それから寒いからって、 風邪をひくなって、 このマントも、 それからこの靴だって。 わあ、そんなことをしていただいたの? みやさん、この気持ちに感激しなくちゃいけないぜ。 この気持ちは、お金では買えやしないんだからな。 ええ、よくわかったわ。 わかってくれた? じゃあ、みんなが安心するように、 今から二人で電報を打ちに行こうよ。 ええ、それがいいよ。 ねえ、さあ行こう。おいで。 あ、この指輪なんだ。 このダイヤどうしたの? これ、これは、 あの方が無理に貸してくれたのです。 あの方って富山だろ。 そんなものを海の中捨てておしまい。 いけない。 出して。 いけないわ。 僕が踏みにじってやるから。 みや、お前はまだ心が決まっていないぞ。 本当のことを言え。 かいちゃん、母さんに聞いてくださいな。 そうすればわかりますわ。 いやだ、ここで言え。 俺はお前の本心を聞かないうちにやだ。 いやよ、いやよ、そんなに怒っては。 なぜ私には話ができないの? ここで言え、ここで言いなさい。 ええ、ええ、そんなら聞くわ。 もしもよ、もしも私が富山さんのところへ行ったら、 かいちゃんはどうするの? 言ったな。 貴様は初めから俺を捨てるつもりだったんだろ。 よくもこのかい、かいちを殺したな。 違うわ。 こうして二人は一緒にいるのも今日限りだ。 ねえ。 みや、今夜のことを忘れるな。 みや。 一月の十七日だ。 かいちゃん。 かいちは将来どこでこの月を見るか。 そんなこと言わないでよ、ねえ。 来年の今月今夜、月が、月が曇ったら、 かいちはどっかで恨んで泣いているとそう思ってくれ。 待ってください、かいちゃん。 そんなこと言わないで。 離せ、みや。 ねえ。 真人間でいるか、かいちの顔をよく見ておけ。 はあ。 バイバイ。 かいちゃん、待ってよ。 はあ。