落語:長屋の花見(下)
- Lyricist / composer / arranger / performer
- 三遊亭 金馬(3代)
- Label
- コロムビア(戦前)
- Genre
- 落語
- Publication date
- 1936-03
- Category (AI-assigned)
- 花見
- Keywords (AI-assigned)
- 春, 会話, 猫, 食べ物, 酔っ払い
- Notes
- 商品番号 : 28791, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 落語
あ、陽気になったな。あ、浮かれな浮かれな。ほら花見だ花見だとな。あ、夜逃げだ夜逃げだ。
誰だ、その夜逃げなんて。花見だ。
花見に行くような気持ちじゃないよ。子猫担いでんだ。猫の死んだの捨てに行くようだ。
なぜそんなことを言うんだよ。表へ出ると春風がそよそよ吹いて、いい気持ちだな。
そうですかね。あたしは昨日シャツ洗っちゃったんで三口じゃねえや。
みじめな話はよしな。大きなことを言って歩きな。
おやさん。
なんだ。
しばらく百円札で花は買いませんね。
おい、バカバカしすぎるよ。あんまり大きいじゃないかさ。あんまり不改良しねえうちにほこりゃがいいぜ。
へい。
さ、毛線を敷いてくんな。
へい。
おい、わらの毛線敷いてくれ。
わらだけ余計だ。遠慮しずにガブガブ飲みな。
ちょうだいんちゃいけねえや。腹下しや。
なんだ。
さ、そっちは飲みな。
たくさんです。
おまえは。
もう結構。
そっちはどうだ。
まだのずは渇きません。
おいおい。のずは渇いて酒飲むやつがあるか。向こうごらんよ。甘茶でカップレやってら。こっちはファンチャでさっぱりだ。
なぜそんなことを言うんだ。
さ、おい。飲まねえか。
え、あたしはゲコなんです。
ゲコならなんか食べな。ごちそう。大きな声でそう言ってごらん。
じゃ、ごちそうください。
あ、いいよ。
なんだ。
あの、ほら、あれさ、あの、白いやつ。
いろけで言わねえで。
あのね、え、かまぼこ。
それを先言え。
おまえかまぼこ好きか。
えへへ。胃が悪いもんつからね。
おい、胃が悪くてかまぼこを食うか。
もう毎朝かまぼこおろしなんで。
え、けさもかまぼこの千六本のおつけのみさ。
で、このかまぼこはね、葉っぱのほうが。
おいおいおい。かまぼこに葉っぱがあるかよ。
へんなことを言いやがってさ。
そっちはなんか食べないか。
たまご焼きをください。
おい、うまいな。ひとこいだな。
ん?たまご焼きがいいか。
え、しっぽでねえとこ。
おいおいおい。しっぽってのがあるかよ。
おい、さっきからどれも酔わねえの。
酔やしないよ。
じゃ、今月の月晩酔いな。
ち、すぐ月晩でやん。
酔いますよ。
月ましては、おうやさん、あたしは酔いました。
へんな酔っぱらいなことはってやん。
来月の月晩酔っとくれ。
さあ、酔った。
おそらし早えな。
飲まねえうちに酔っちまったな。
いや、飲みますからついてくださいさ。
いくらでもつげえ。
ベラベラ驚けえ。
ガブガブ飲むからな。
いいお酒ですねえ。
いい酒だろ。
奈田の木一本だ。
奈田ですかねえ。
あたしは宇治かと思った。
宇治から酒が来るかよ。
この酒はもうすこいおほうじたほうがいいな。
なんだ?
え、十五文弁ぐらいの酒だね。
おやさん、値段聞いちゃう失礼ですが、
この酒は一斤いくらです。
一斤ってのはないよ。
酔いな。
さあ酔った。
おら酒飲んで酔ってるんだぞ。
そんなこと断ることはねえ。
断らなきゃ気が違ってんのと間違えられちゃう。
うーい、ずいぶんいい気持ちだ。
どんな気持ちだ。
去年の夏井戸よっこったような気持ちだ。
そんな気持ちがあるか。
おやさん、近道長屋にいいことありわねえ。
そうか、どこでわかった。
ごらんない、酒場ひら当たった。
ご視聴ありがとうございました。