清書無筆(二)
- Lyricist / composer / arranger / performer
- 三升家 小勝
- Label
- ビクター
- Genre
- 落語
- Publication date
- 1928-12
- Category (AI-assigned)
- 親子関係
- Keywords (AI-assigned)
- 木, 森, 小石, 父親, 子供
- Notes
- 商品番号 : 50509, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
じゃあ、お父さん、もう一つその上、木の字を書いたら何て言うの?
木が三つになるの、それ。お見木じゃね?
お見木って何やろんが、森っていいですよ。
あ、森だ。スイカの森が好くて、それが欠けとなるんだよ。
お父さん何でも知ってんの、何でも知ってんの。
じゃあ、小石を知ってるかい?
山頭院に田んぼの穂の地だ。
山頭院に田んぼの穂の地なんてわけがねえじゃねえ。
誰に聞かせたって山頭院に田んぼの穂の地よ。
田んぼの穂の地に山頭院よ。小石川では田頭院。
あほたか卿だね、まるでどん。
お父さん、それはねえ、知らない。
知らないって言ったって、それは分からない。
分からないって言ったら、それは裏地なんだ。
あ、裏か。なるほど。
俺はまた、白身だと思ったんだ。
裏に白身がつくもんだ。
汚ねえな、やんと思う。
じゃあ、お父さん何でも知ってんの?
何でも知ってるよ。
じゃあ、あのねえ、こうしてくださいね、お父さん。
あの、宝庫のうちでもって二顔金白を宿て、
札渡しとくと薬病神が入らないといけないんだ。
あたしは字の解釈がつかないから、
お父さん、書いておいてくれない。
いいよ、構わねえから。書いてたら、どっか遊びに行け。
え、遊びに行けよ。
遊びに行きたくない。
行きたくねえだろうけども、
遊びに行けってんだよ。
こっちに都合があるから。
なるべく遠くに行けよ。ほら。
学校の先生の教えと違ったら、
先生はそんなマネかないこと言いませんよ。
父母を追わせるときは、遠く遊ばれていって、
お返事のできるとこで追わせなさい。
ちがう、ホントによ。
お母さん、学校やらんねえ。
子供は台無しになっちまう、ホントに。
嫌なこと、ぬかしやんねえ、ホントに。
いいから行けよ。
行かねえと、どうやるんだよ、ホントに。
お母さんはねえ、今度は俺に情をかけてんだよ。
仕方ないねえ、おめえ書いてくれねえ。
私の書いたの、あの子はちゃんと知ってんねえ。
いいんがな、ガチだねえ。
目が見えるから、こんなことなんて、
ケチったら構わねえから。
やけしばしかないから、
目ん中突っ込んじまえんだよ、構わねえからな。
え、仕方ないねえ。仕方がないったって、
どうせ書けやしない、お前さんが悪いの。
うちのことで、あの子と喧嘩したって、
かなやしないよ。
じで喧嘩して、かなえねえったら、
すもとらをぽれ出してしまうか。
当たり前だねえ。
仕方がないから、こうしよう。
方法のうちに貼ってあるから、
それを持ってきてねえ、
うちの肩口に貼っとくんねえ。
いくら子供が利口だからったって、
脇にも持ってきて、
貼っといたと思う気遣いないから。
そうかい。
じゃ、俺は探してくるから、
やっこケチから寝かしてしまえねえよ。
あんなガキだから、またねんのり寝ねえのと、
あ、ここにあった、ここにあった。
こいつだ。
こいつがごやんべしを持ってきて、
このうちはまた大きなやつを、
とりに斜めに貼りあったな。
こいつを肩口に貼っておけば、
やらまきやすく気づけねえんだ。
おっか、おい。
やっこ寝たかい。
おめえも寝ねえよ。
旅なんてすぐねえ。
職人の家官が、
夜なべなんてするようなこっちゃ、
ろくなことはねえぜ、ほんとに。
なんてわかんねえから、寝ちゃえげえ。
あ、このうちに寝ちゃった。
お、起きろ起きろよ、やっこ。
起きろよ。
お父さん、ねむい。
ねむいってなんやるけえ。
子どもは風邪の子だよ。
寒いったら風邪の子ってねえ。
ねむいのに風邪の子って。
寒いもねむいも、けむいも、
み、みつくかむいがねえんだよ。
起きろってことよ。
にがうきんしろうってのを、
ちゃんと俺が貼っといてやったから、
見ろよ。
へえ。
お父さんがじょうを書いたのは、
はじめてだよ。
どこだよ、お父さん。
思っていてなければ、
わかるかよ、まにかのに。
はっはっ。
どこのところに?
ランマンのところに、
ちゃんと貼ってあるじゃねえ。
はっはっ。
お父さん、これは造作付き、