けちくらべ(一)

Lyricist / composer / arranger / performer
三升家 小勝(五世)
Label
ビクター
Genre
落語
Publication date
1929-03
Category (AI-assigned)
人間行動
Keywords (AI-assigned)
ケチ, 節約, 食事, 贈り物, ユーモラス
Notes
商品番号 : 50634, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
えぇ、ケチクラベス。 世の中にはこの、芝居という方はいくらもありますが、芝居のが人間の当たり前。 一番いけないのがこの、どうもその、臨植てやつ。 人と交際のできねえと。どうなって? いつもおかわりもございません。 はっはっは、ありがとうがない。 アースさんはご無事で。 互いに無事でなくしちゃいかねえな。 かじつお前さんにご注意までに申し上げました。 大まかとにありがとうをせんじませんでね。 午前を食べるのにおかずなんざは無役である。 醤油をなめて午前を食べると。 醤油ことにはちょいと気のつかねえもん。 されなんざどうでもいい。 うん、やってるか。 ええ、あれはようがないな。 醤油をなめて今度は椿を置いてきて、醤油を持ってきて椿を置いてくると。 往復が来ますから、あんまり品物が減りませんからね。 しかし、住まいにしようけりゃなくなっちまう。 でも仕方がねえから、あなたのご意見にそむいで。 ええ、実はそのおかずの改良をしました。 ああ、石鹸になることならどんなもんでもかまわない。 どんなものを今やっていらっしゃるの? 今ね、梅干しをね、食い物を飲むのね。 どんな食べ方をするの? まあ、日に一つの。 ん? 年に三百六十五つほど。 穏やかじゃねえねえと。 どんな食い方をするの? 朝午前に半分食べてな。 うん。 晩の午前にまた半分。 うん。 うってしまいにお前、おかずがねえ、種をしゃぶってねえ。 種足りるから。 それを噛み合ってながら天神様にいただいては。 なるほどな。 うまいところに気がついたがいけねえ。 梅干しを食っちゃいけない。 あれをその、二十銭でも三十銭でも、 どんぶりでもふたものにでも買って、 飯を食うたびにこの梅干しを煮らめてる。 それって言うとその、自然とこう口すっぱい水が溜まってくるから。 その水が溜まったらおまんまくくるの。 ん? 梅干しはただ煮らめてあるよ。 ああ、もうしょうがない。 食っちゃう品物がなくなってしまう。 煮らめてりゃそれでいいの。 痩せましょうね。 痩せると思うさ。 まあ、そのぐらいの思う気でな。 いや、しかしやんなさい。 かまわねえから。 で、まだ私はお前にお聞きしたいことがあるが、 今年は何だかその、年玉を配ったと。 へえ。 いつでもいただくばかりですいませんからな。 米屋行って、わらおぶんきょう二つ買ってきました。 ほうぶのうち一本ずつ、恩きせる投資としてやりました。 うまい。 恩きせる投資はなかなか偉いもんだ。 気がついたな、どうも。 うん。 けれど、ああ、いけねえ、いけねえ。 わらおぶんきょう二つ買うとこはまだいけないよ。 されてますか。 私なら買わない。 米屋行って、わらおぶんきょう二つ貰ってくる。 ただ貰いに行くんじゃねえ、それが。 な。 米屋に差し手ものがあるんだ。 あれをそこを抜いて、こう懐に忍ばしてくる。 そして、親方すまないが、わらおぶんきょう二つをくれってこう言って、 田原の中にこの差しを突っ込む。 指示でもって、こうやってこじると言うと、 たもとの中に米が三本ぐらい入っちゃう。 おお。 ほんとそこのところは、しわいばかりじゃありませんね。 少し泥棒でやる。 もうしょうがないから、こうなれば泥棒を少し混ぜるんだよ。 ああ、なるほどね。 うん。 そして、その二、三本のわらを貰ってきてな。 それを一本ずつやっちゃ、さまらないから、五本ぐらいに切ってな。 うん。どうせ断ってやるんだから、 大にしびりの薬手な方に。