文化しるこ (一)
- Lyricist / composer / arranger / performer
- (二代目) 立花家 花橘
- Label
- ビクター
- Genre
- 漫談、漫才
- Publication date
- 1929-12
- Category (AI-assigned)
- 飲食
- Keywords (AI-assigned)
- 男性, おしるこ, 文化しるこ, 手続き, 爪陰
- Notes
- 商品番号 : 51011, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 漫談
♪
立派な西洋館やな。ホテルかいな。
なんや、あ、看板が上がったんな。何が書いたんや。
なに、文化しるこ。あ、おしるこやか。
おお、立派なもんやな。世の中が変わりゃ変わるもんや。
なあ、こんな立派なおしるこやができるのやが。
どんなおしるこを食べさせたのか、いっぺん入ってみたろ。
ごめん。はい、おいでなさい。
ちょっとおたんねいたしますが、おしるこを食べとうござりますのやがな。
ああ、そうですか。じゃあ、そこの受付申し込みなさい。
え、どこじゃね。
そこの受付、上へ上がったとこの窓、あ、そこじゃ。
あ、もしもしもし。あなた、土足で上へ上がったらいけません。
そのスリッパとはっかえなさい。
ほいほい、いきなり叱られていくか。ここか。
え、おたの申します。はい、なんですか。
あの、あたくし、おしるこが食べとうござりますのやがな。
ああ、はじめてですか。
ええ、そうでやね。
はじめてなれば、戸籍の当本をお持ちですか。
ええ、わたし、おしるこが食べとうございますのやがな。
それはわかっておるが、当官の規則になっておる。
戸籍の当本はお持ちありませんか。
ええ、そんなもん持ってまえんねやが。
そうですか。じゃあよろしい。
手続きをしてあげましょう。
住所はどこですか。
なんでやす。あなたのお住まいは。
ええ、わたりのうちはな、大阪西成区、小浜中野町2丁目、60番地。
ああ、ああ、よろしい。
で、あなたの姓は。
五百二寸。
いいや、ちがう。あなたのお名前をたんねとおる。
ああ、さようか。わたりの名前は、草部平介って言います。
ああ、さようか。いや、草部平介さん。
で、都市は、四十九歳。
ん、草部平介さん、四十九歳。
ええ、おかしい。ああ、よろしい。
で、実員お持ちですか。
ええ、そんなもん持ってまえんがな。
ああ、認めでもよろしいがね。
ええ、わたり通りがかりではあるので、そんなもん何も持ってまえんねやが。
どうも困りましたな。
今日、男子が往来するのには、認めの一つぐらいは、携帯せんといけませんよ。
ええ、さようか。
叱られどうしやがな。えらいすまへんでや。
じゃ、棒陰なさい。
ええ、そんなもん持ってまえんねやが。
いや、棒陰と言うたら、爪陰じゃ。
ああ、爪陰やったら持ってます。
爪陰持ってん人がありますか。
じゃ、これ、爪陰なさい。
ええ、これでよろしますか。
ああ、それでよろしい。
じゃ、これを持って、銀行へ行きなさい。
銀行、銀行ってどこじゃね。
その廊下の突き当たりを、ちょっとお曲がりになると、網の張った窓がある。
そこが銀行ですから、そこへお出しなさい。
ようらい手数がかかるねやな。
ああ、ここか。
へ、お頼もうしますてや。
はい。
ああ、草部平介さんですか。
ええ、そうでやね。
あなたお一人ですか。
ええ、一人でやね。
じゃ、十円納めてもらいたい。
十円。
わたりまだおしるこ食べてえしまへんねやがな。
当館は大金全網ということになっておるのじゃが。
ああ、さようか。
ああ。