講談:暗闇の瓦松(二)
- Lyricist / composer / arranger / performer
- 神田 伯龍
- Label
- リーガル
- Genre
- 講談
- Publication date
- 1933-05
- Category (AI-assigned)
- フィクション
- Keywords (AI-assigned)
- 野政十郎, 古藩, 牛松, 松太郎, 殺人
- Notes
- 商品番号 : 65914, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 講談
ちょいちょい野政十郎、古藩の家へ遊びに来ておりました。ある日…。
どうだ、おふくろ。古藩をわしの女房にくれないか。
そうすれば、おまえをしきとって、三百国のおはたもとの楽園居にしてやろう。
ごぜん、それがほんとうなら、わたくしも楽園居になりたいから、ほんとうの話をしますけど、
古藩にはね、牛松という弟子があり、松太郎という子供まであるんですよ。
え、じゃあ今まで、せっしゃんをだましていたんだな。
いや、だから怒っちゃいけませんよ。あたしの話をみんな聞いてくださいます。怒らないでね。
それですからね、ごぜんが牛松をころしておしまいなさりゃ、古藩がなんといったって、親の意向できっと古藩に承知をさせますよ。
どこ?子供はどうする?
そりゃあ、ごぜん家の忠義立てに、わたしが手にかけころしてしまいますわね。
悪い相談をしているところへ運悪く、子守におぶわれて帰ってまいりました。このごろ病気の松太郎。
おばさん、まーちゃんが泣いてしようがないの。
え、うるせえガキだね。その板の前ひころがしといてくれ。
子守が出て行った野間佐住郎の見ている前で、松太郎をしめころしてしまいます。
ごぜん、もうこれで邪魔はありませんよ。
お話変わって古藩は、
みなさん、さびしくしてすみませんけど、松坊が病気ですからごめんなさいね。
いけませんね。お大事になさいますよ。
畑の店、さびしくするのを気兼ねをしながら松太郎のことも気になるし、店をしまって急いで帰ってまいりました古藩。
土間をみると、みなれたのは佐住郎の履物。
おや、佐住郎が来ているのに、なぜわたしをむかいにこないんだろう。
またなんかお母さんが、わるい相談でもしているのではあるまいか。
虫が知らせるか。
だいどころのこっしょうじ、そーっとのぞいてみると、
くをつかんで、いろがかわってたおれている松太郎。
はっとおもって、みみをひったってきいて、
ねえ、ごぜん、このとおりわたしがまごまでころしてしまったんですから、
おはたもとのらくいんきはまちがいありますまいね。
これでわしが、牛松をころしてしまえば、古藩は大丈夫だろう。
そりゃもう、きっとほうふにしてしんぜますよ。
これをきいた古藩、おんなのこといえ、わけもかんがえず、
かーっとなったんだろう、がらりとあけ。
お母さん、のまのごぜん、おぼいておいて。
あ、いけねえ、きかれたよ、ごぜん、つかまいなきゃだめだ。
おい、お、おーい、古藩、またがこれ、古藩。
おっとりがたなでおいかげる、すもあらわにかげだす古藩。
ごきげんよう、またがれ!