七新薬 巻之上

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2026-08-17T18:54:31.456Z
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1862
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パブリックドメイン
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司馬, 凌海, シバ, リョウカイ
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医学
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jpn
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[出版者不明]
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シチ シン ヤク
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九州大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
七新薬上 和3717册 入文 春孟戌壬ニ入、 電流電流電流電流電流 雕新春孟戌壬ニ入文 羅新春孟戌王 凌海司馬断心損著 七新薬 一尚新堂蔵 いにしへの人の。秋の野のる草ちく料。お 空かる中にわけて。なゝくちの花。かそ へ出たりけむはたゝひと時のなくさめく 非にして。けりに有の。目まよろこたしめたる はかりなるに。それすら。楢の葉の名におふ 宮の有るに代より都たはり来て。そのなく 草のととても。ことてにかへられぬは。よし とよく見しまなこの。動かぬ処あれはな りけり。はかなに木草の花のうへすらしかり。ま してやいはす。なくさ千子の中のみならぬ。 わたのそこてあさり。山のおくえたつねつゝ。潮るも しほ。くたけし石をも。なめあかはと。かみほゝ ろみて。おほくのいたつにけかせね。えらひ 科ためしくすりなるをや。おのれくすしの わさはしかねと。此書字よみて。日の没るたて に名たゝる朋百氏の。よしとよく見て。つため けむいせうひ。日の出るところにあらはれた る司馬ぬしの。よしとよく見て。学はれけむ。 一料かしさも。とり〳〵にいちしるく。色さへ香さ へみちたり入る。品せための。千束につたはりて 動くさしく。と種たにかふるみたなくおふな 序二 ゆることに。ひみたのそ本つ窓のうちより。そとも の秋のるゝくさの。ぬれてませのる若葉のみ とりて。つく〳〵見つゝ筆なとりぬ。 文久の有たとせといふとしの玉を 長つの殿人花原芳持 例言九則 一或人子に語て曰く。輓今西國の醫學。日に新に 月に積み。新方新薬陸続として世に出つ。世人 其説の新奇なるに泥み。謾に之を募求して。其 減否を判つことなく。乱投胡措人を誤ること尠な からす。子何そ一書を著して。以て之を辨せさ るやと。嗚呼予か淺學薄聞なる。焉そ此任に當 ることを得んや。然りと雖とも。客の謂ふ所の如く きも。亦實に吾儕今日の急務なれは、苟も濟生 に志あるもの。孰か能く之を等閑に看過すへ き。因て自ら護劣を揣らす。潜かに西國諸賢の 一論する所を取て。之を朋百氏の説に質し。又加 ふるに予か井蛙の見を以てし。参互聚撥して 以て此書を著す。諒に此瑣々たる一小冊。文辞 拙陋にして観に供するに足らすと雖とも。人 々之を読て自ら警め。功害を商量して新奇に 溺るゝことなく。僅些も予か書の世間に裨補あ らは。則ち英明の電覧を涜して。大方の一暖に 充つることあるも。亦予か辞せさる所なり 一此書の原標となす者は。悉く朋百氏の所説な り。而して又引証ある者は。皆西國名家の書に 係る。爰に其一二を挙けなは。独乙のウーストル。 レンの薬物学。リクトルの薬説。レーマンの化学 書。ワクネルの化学簡明。和蘭のコストルの重訳 薬性論。アッセンの新薬説。ウヰットステーンの製 一煉書。キラルディンの化学高歩。トイリクトの化学 韻府。英吉利のペレーラの薬論初学。法蘭西の シャンパシヱの三有薬論。和蘭局方。瓜哇局方。英吉 利局方。和蘭英吉利およひ亞美利駕の新報紙 等なり。而して此中にウーストルレン及ひワグ 子ルの所説多きに居る。是れ此二氏は共に朋 百氏の宗とする所にして。其論説も又朋百氏 と同しけれはなり。 一此書は既に上件諸名家の論説を聚綴するに 由て成る者なれは。其説ことに必す其人の名を 標識すへきの理なれとも。一々之を爲さゝる は。其繁雑を厭へはなり。然れとも其緊要の処 に至ては必す之を挙く。顧ふに予か短識努才 にして。數般の論説を聚綴せしことなれは。真個 に彼是錯雑紛離して、前後の文理通暢せさる 處もあるへし。且つ予か腹中一滴の黒汁もな けれは。行文拙陋にして往々読むに堪へさる の條もあるへし。願くは諸方の君子。予か淺粗 を咎めす。唯有益の事件を領會せは。濟生に小 補なきにあらすして。予か欣抃之に過たるは なし。 一書中往々予か膚見を附する所ありと雖も。別に に款識して以て之を分たす。然れとも身師友 に隨て周旋するの間。自ら聞見する所なれは。 皆是れ西國賢哲の規摸に由る者にして。一も 孟浪杜選に非す。覧者之を諒とせよ。 一方薬の名称の如き。古昔は其性効に取り。或は 其形状等に由て名つけたれとも。輓今化学大 に高尚して。百薬の成分悉く之を精細に分析 し。以て新名を下者も亦尠なからす。盖し此名 儀に由れは。一見して其成分の何者たることを 知るへし。今若し倉卒に之を用ひは。從來傳習 の久しき。或は疑惑を惹かんことを恐ると雖も、 耳目漸く之に熟せは。必す若干の利益あらん とす。此書。吐酒石を以て酒石酸鹸鉛と署する か如きは。亦此理に安んするのみ。覧者これを 以て予か衒奇となすことなくんは可なり。 一規尼の如き、前脩の訳書。多くは之を幾那塩と 一譯せり。今正に之に從ふへし。然れとも幾那皮 の滷塩一にして足らす、若し規尾を署するに 幾那塩を以てせは。他の聖革瓦餒実略垤等 の如き。又何を以て之を譯せんや。此書、幾那塩 の字を用ひすして規尼と稱し。又葛非・珊多尼 等も。別に訳字を撰はさるは。特り之か為のみ。 一此書。薬効を論するや。必す先つ健康作用を擧 雜樂ノ上喜例 けて。後に醫治功用を論す。盖し此両箇の名目 は。覧者の創見に係り。或は猜疑を致すことあら ん乎。然れとも此名目は。輓今高尚の學術に由 て起る所にして。之を用ひされは薬性を説く こと甚た難しとす。盖し健康作用は、薬剤を健康 の人身に用ひて発する所の確然正切の作用 を云ひ。醫治功用は疾疾の各異なるに従て運 為の差等あるを云ふ。学者先つ其意を得は則 ち可ならん。 一方薬の秤量の如きは、正に皇國の分両を用 ふへし。然れとも西國の醫法。皇國に入ること 既に久しく。人々皆能く習て之に熟す。故に今 簡畧に從て氏刃勺写比等の標字を用ふ。別意 あるにあらす。 一時は皆皇國の法に從て晝夜平分の十二時 を用ひ。刻は西國の醫。昵法に從て之を小時と 署す。即ち皇國の一時を百二十分したるの 一なり、 例言九則終一 七新薬総目次 例言 第一篇解血変質之薬上 沃顛 第二篇解血変質之薬中 硝酸銀 第三篇解血変質之薬下 酒石酸蝋飾 第四篇補血強神解熱之薬 規尼 第五篇驅蟲滌膓之薬 珊多尼 第六篇峻烈麻神鎮痙之薬 莫非 第七篇緩和滋養解疎之薬 肝油 図書 七新薬総目次終 七新薬上巻目次 第一篇 解血變質之薬上 沃顛 沃顛及ひ其の製劑一凡の功用利害 沃顛を用ふるに臨て一凡の規條 一沃顛中毒一凡の救治法 一沃顛各般の製劑 ○第一章章○第一紙第紙紙類○第二沃類○第二紙類○第二次頭 ○餅○第四単純沃類酒○第五複沃類漬○○ 第六沃顛鐡◯第七沃顛金〇第八沃顛銀 ○第一>第一>第十>第十一 沃顛砒○第十二沃顛銘○第十三沃顛重 土○第十四沃顛石灰土○第十五沃顛硫黄 黄◯第十六沃顛曹達○第十七沃顛揮發 塩○第十八沃顛炭素○第十九沃顛加塩ハ 酸源○第二十沃顛塩酸○第二十一沃顛 規尼○第二十二沃顛澱粉一 七新薬上巻 佐渡凌海司馬断公損著 下総寛齋開務致道校 第一篇 解血変質之薬上 沃顛 イヲーディユム○イヲディニュム ○挨阿顛○紫色素 西国紀元一千 沃顛は新出の元素なり。文化八年 八百十一年 西国のクルチュイス私之を塩滷の中に得たり。沃 顛は希臘言にして紫色を謂ふ。此物の霧気。董花 色なるを以て。英国の大儒デフィ氏之に資て以て 名くと云ふ 沃顛は天下物として之を胎まさるはなし。縦令 斯の如く廣濫ならさるも。之を求むれは必す其 蹤蹟を見るへし。故に輓今の化學家は之を以て 萬物普通の一成分となせり。盖し其現るゝや單 一遊離の者なし。多くは海塩酸素。同 コロリュ ーム ブロ 臭素○ ミュー ム 苦土元〇 一ク子 シューム ワーディナン ソーディ 塩金○ ユム 等の諸元素と相合す。 之を胎むこと最も多きものは海産の動物○植物○泉 源◦温泉等なり。カティンジの説に曰く。沃顛は大気 源○温泉等なり。カティンジの説に曰く、沃 の中に散怖して在り。呼吸に由て肺に入る所の 量は一日夜にして十五瓜の四十五分なりと」 量は一日夜にして十五瓜の四十五分なりと」一 沃顛は芒晶をなして色青黒。形恰も鉛墨の如く。 片々鱗状にして金属の光輝あり。攝氏百七度の 熱に逢へは溶流して紫色の霧氣を發し。之を放 熱に逢へは溶流して紫色の 冷すれは又小晶を結ひ。皮膚を染めて赭黄色と 冷すれは又小晶を結ひ皮膚を流 なし。植物の色を消褪し。電氣を導かす。水に溶し 難し。但酒精には能く溶解す。味澁葵にして氣塩 酸の如し 沃顛の売販に出つる者は大約水を以て之を湿 し其秤量を重からしむ。紙間二挿んて輕々に之 し其秤量を重からしむ。紙間に挿んて軽々に之 を圧重すれは紙の濡湿するを以て其水あるを を圧重すれは紙の濡湿するを以て其水あるを 知るへし。又鉛墨赭石○炭土酸化銕等を加へて之 を贋造する者あり。其外貌の比較にて半は之を 察るへしと雖も。若し辨し難きに逢わは正に之 を酒精に溶し試むへし。其品純なれは全く溶解 し。他物を含む者は否らす。或は之を焚くも亦可 なり。沃顛の紫霧蒸化するの後必す其雑物を遺 す、又食塩を雑ふる者は其よく水に溶解するを 以て之を知るへし 沃顛及ひ其製劑一凡の功用利害 第一健康作用 沃類の作用健康体上に現わるゝ者は唯局発の 作用のみ克く確切不變と謂ふへし、汎發の作用 に至つては製劑の各異なるに従ふて功用も亦 大に径庭あり。然れとも其最も普通にして且つ 適切なる者は大抵左の如し (以)局部を刺戟し。甚しきは之を腐蝕し。皮膚に貼 して焮衝を起し漿液位滲出し表皮脱離し。純沃 顛は兼て其部を赭黄に染む。之を用ふるの部本 より醸膿せるか。若くは粘液膜なれは之を燃化 し黒痂を結成して分泌を減し其部を乾燥せし む。沃顛の霧氣を用ふれは眼◦鼻及ひ呼吸器を刺 戟し。咳嗽若くは氣管枝焮衝を起すに至る○沃 顛は其觸るゝ所の部位に抵つて水素と和合し て水素沃顛酸となり。土質金質及ひ蛋白質と相 結合して以て其功を発す 即ち医 呂沃顛及ひ其製劑之を小量 にて内服す 〔図〕 薬の量 れは。通例重切の證状を発することなし。故に消食 の運為障碍を生せす。胃膓の軽刺戟にて食気却 て進み。脈少しく數となり。汗尿の分泌稍增進し。 月経の來至を早め。少しく頭痛し夜中動もすれ は眠り易からす。上圃の機或は増減すること有と 雖とも。是れ又必然と云ふに非す。唯常発の症と なす可き者は之を用ふるの時。若し腺腫の存す るあれは。其腫次第に減少し遂に消散するに至 る 渡」小量を用ふること長久なるか。若くは其人各別 に嫌忌あれは。則ち中毒の症状を発す。盖し其症一 たるや。消食の運営碍害を受け。食機喪亡し。患者 食道及ひ胃部に当て一種脆脂たる疼痛を覚へ。 下利疝痛を兼ね。流涎し身躯削痩す。是れ皆第一 道の劇刺戟に由る者なり。其他脳背髓及ひ其神 経より発する所の症は、悶煩○心悸・頭痛・眩暈・視聴 變常等なり。是等の諸症其初は皆感冒の症の如 し。故に此時速に後服を止むれは更に危篤に至 し、故に此時速に後服を止むれは更に危篤に至 ることなし。若し又梅毒の劇症の如き止むことを得 一七月七、人を寺長をとり上牛の者正を発するの すして。之を持長すれは上件の諸症を発するの 外。手足の戦粟を發し遂に播掣を致し。時として は表皮赭色に變し或は發疹を得る者あり。然れ とも此中毒の諸症は唯内用に由るのみならす、 沃顚を外用するも亦然り。以て他の鉱類諸薬に 異なるを見るへし 三一頓に大量必巧を服すれは。急性中毒の症を 發し膓胃焮衝し。吐下度なく疼痛甚しく。心悸戦 栗・苦悶。呼吸困難・神力虚脱して遂に斃る。然れと も製劑の品真贋あり。各人の質好惡あり。一定し 名人 て之を論すること能わす。リコール名 一人に沃顛酎一人に沃顛耐 名 三了を與へて少害なく。マーシャレディー私一ケの沃顛 酎を静脈に注射して此症を發せすと云へり。中 毒の死後屍を解て之を験すれは。胃膓に焮衝充 血の痕跡・圧然として見るへく。粘液膜◦張厚し或 は又軟柔となり処々剥脱し或は小潰瘍を生し、 純沃顛或は其酎の毒に中る者は。胃の粘液膜・処 シヤ 々深黄色の班痕を見わす 第二医治功用 沃顛はコインデ氏初めて。之を医薬に用ひしよ り。以來其稱大に貴く其用大に廣り。世界之を用 ひさるの國なく。醫家之を用ひさるの病なきに 至り。実に病津の寶簽醫家の金丹となれり。二十 年前は一年用ふ所の量僅に五比許なりしに。方 今に至つては一年にして。大約其量百切を費す に至れり。以て其用の広きことを見るへし 醫藥として沃顛を用ふるの標的左の如し 以」蛋白質の滲出及ひ之より発する諸病、諭へは 頸下腺・胸腺乳房・子宮・睾丸・卵巣。肝・膵・擁護腺・鼠蹊 腺等。其他水脈腺の硬結◦腫脹厚大に効あり。殊に 頸下腺の腫大に在ては。其効実に百発百中と云 ふへし。然れとも其腫大。他の原因に由て來る者は は否らす。盖し沃顛は蛋白質の滲出或は硬結を 解くものにして。他の病毒結節腫毒の如きは更 に其功なし。故に之を精察せすして亂投せは。却 て中毒の害を招くことあらん須く小心すへし 区腸間膜腺・水脈管腺・表皮・骨・関節等の瘰癧性諸 病佝僂病・肺勞・脂肪腫等に効あり○瘰癧性の諸 病に在ては。沃顛は実に峻有力の一薬たり。故に 頸腺の瘰癧及ひ同性の内外結膜焮衝、脾腫 爛強風 の類 腺 の硬結腫に大効あり。然れとも骨及ひ骨膜の諸 病。腐骨瘻白腫等には其功稍少し。且つ之を用ふ るも病者閣室に居り。大氣の通暢宜しからす。食 養不善なれは。沃顛更に効なしとす。昔人沃顛を 瘰癧腫に用ふるに。許多の禁忌を挙けて。患者胸 病あり。知覺機亢進し。下肢充血の模様あり。胃痛 の癖あり。甚しく衰弱する者等には、決して之を 用ふへからすと謂へり。然れとも謹慎して之を 用ふれは可なりとす。肺勞の如きは只其初起に れは可なりとす。肺勞の如きは只其 効あり。病既に全成するに至りては却て害あり。 共に アンダラル及ひデュバスクル アンダラル及ひデュバスクル共名は之に沃顛銕を用 人名 ひ。又輓今に至りてラッポル乱は沃顚離を用ひて 共に其効あるを称す 司馬子曰く内外結膜焮衝は。世間に多く在る 所の病にして。漢醫者流これを爛弦風と謂ふ。 是れ眼球結膜及ひ眼瞼結膜の慢性特質焮衝 なり。先天の惡液・瘰癧・梅毒等に因て起る。小児 に發する者は。多くは父母の遺毒に因り。大人 に起る者は殊に瘰癧梅毒。二毒の合併に由る。 古來人々殫思焦慮して。其治術を議すと雖と も。一も之を全治するの良法を得し者なし。他 なし只局処の治術を用ひて。汎發の病患を治 せされはなり。是故に局処に収歛の治方を用 ひて。一旦治せしか如くなれとも。數日にして 復發し。終身斯の如くにして。世に良醫なく天 に良薬なきを嗟き。恍々として一生を枉了す る者又幾何そや。啻に寒郷。僻里のみならす。大 邑名都を通して皆然り。豈嘆すへきの至りなる らすや。盖し此病には沃顛大効あり。是れ其克 く瘰癧梅毒等の其因となる者を剋治するの 力偉なれはなり。人々此説に体して之を内服 に試用して可なり。其外用諸薬の如きは予正 に著わす所あらんとす 波纎維様若くは漿液様の焮衝・胸腺間に漿液滲 出する者急性頭水腫義膜咽喉焮衝の遺病とし て發する諸部の腫脹。硬結等。骨骨膜。齦膜焮衝の 梅毒或は水銀毒に由る者。皮水腫◦腹水腫◦結膜粘 液漏・麻痺・直腸粘液漏・直腸及ひ陰具の潰瘍及ひ 厚大○諸般の皮膚病等に沃顛功あり。盖し此等の 諸病に沃顛の効ある所以は。漿液の滲出を妨け。 既に其滲出せる者は之を解散せしむるに在り。 又月経不順の症には銕剤或は強壮剤を加へ用 ひて効あり。然れとも其症只惡液浸潤に因する 者のみにして他症は否らす○沃顛の痛風及ひ 風湿毒に効あるは。マーシャンディー及ひ。グレッフヱ二氏 の共に褒稱する所にして。朋百氏も亦此説に左 祖す。予屡之を経験するに其効良善にして。実に 神祐あるか如し 司馬子曰く沃顛は総て皮膚病に効ありと雖 とも。其硬結腫大等を兼ぬる者に在ては。勲を 策すること最も偉なりとす 仁血液調化不良及ひ之より発する諸病。新旧二 性の梅毒殊に其瘰癧質の人に發する者。及ひ之 に起因せる粘液膜・腺・皮膚骨膜・虹彩・鼠蹊腺等の 疾患。須剤を連用するに絶て其功を見さる者。梅 毒の風湿毒を兼ぬる者。須剤の連用に由て患者 の血質不良となり。所謂水銀病を発する者。流涎 の酒劑瞑眩に由る者。尋常の梅毒高年衰弱の人 に発する者。及ひ其他梅毒の所患部分の滲出・腫 脹◦厚大。硬結等を兼るものに大に効あり。又血液 関節に灌漑し漿液其間に瀦溜する者。風湿毒性 関節焮衝及ひ其慢性の者に人多く称用す 保慢性の神経病諸症、即ち神経痛・痙麻痺・不遂◦ 癲癇・舞蹈病・喘息・耳聾・鉛毒に由る麻症及ひ間歇 熱の脾部腫大を兼る者に効あり。然れとも其確 切ならす。而して其功あるの理。未た講明すへか らすと云へり 司馬子曰く夫れ神経の諸病は。焮衝損傷等を 除くの外は。之を只其機能の障碍に歸して。以 て器質に些の変化なくして発する所の病と なすことは今古皆然り。然れとも凡そ百物其有 機と無機とに論なく。器質に損害あることなく して其機能を變するの理あらんや。是れ神經 に必す損害ありと雖とも、眼之を視ることあた にあり。尚且つ從來瞻視を輔るの器を 鏡 顕微 未た十 分の精微を得ること能わさるならん。故に沃顛の 神經諸症に効ある所以も。亦只滲出血流等を 剋治するに在るのみ。決して他の機力あるに 非すとす 共に 邉解毒劑としてトンネ」及びブカルデヰヰ 人名 は「ス テリキニネ」ブリュリュシネ」「フェラトリネ」等植物毒塩の 中毒に用ひて大に其効を稱せり、然れとも沃顛 の解毒の功に到ては。其経験未た適切ならす疑 ふ所多しとす 外用に沃顛を用ふるの標的は。大率上件の如く。 而して又能く内外並用すと雖とも。時としては 外用を以て主となすことあり。故に別に爰に論せ さることを得す 登局処の充血◦慢性焮衝、及ひ之より発する諸病。 諭へは硬結・厚大。腫脹。諸般の皮膚病即ち、 結嚢腫・梅毒性痒瘡。蜜瘡・班点・疥癬・鱗屑状腫・癬癩。 禿瘡。臍脈◦火傷・癰疽等。眼瞼・咽喉及ひ靭帯焮衝。潰 瘍・癌腫殊に舌疳◦白膜翳◦腐骨疽◦白腫。諸般の粘液 漏・眼淋・痳疾・膣痳・血尿・赤痢腸間膜腺◦甲状腺◦胸腺 の腫脹◦厚太子宮及ひ胸腺の腺様腫等に。沃顛を一 外用して良功あり 知漿液の滲出殊に其関節間に於ける者。陰嚢映 膜の水腫◦腹水腫◦亀頭包皮の粘液腫◦膝蓋腫。腹腺 の水腫◦流注腫◦瘻瘡◦便毒腫等に沃顚を外用して 効あり。盖し此際に沃顛を用ふるは。其部に新炊 衝を起し以て互に癒着せしめ。或は之に兼構せ る病状を剋治するに在り 外用に沃顛を用ふるは純沃顛を浴湯とし。或は 其耐を射注し。或は沃顛鹸を水に溶して。躬注◦含 嗽○洗滌の諸剤となすを良とす。又好んて之を膏 油に和して擦剤となす者あり。盖し其宜しきに 従て可なり 沃顚は之を溶剤として用ひさるも。胃に入るの 後。其中に含有せる所の水液の扶助に由て。其蛋 白質に溶解して。速に沃顛水素に化し他の分泌 排泄の諸器械腎◦肺表皮等より。再ひ躰中を出去 る者たり。マル氏ル及ひカルピ氏は唯四分氏 の沃顛礫を用ふるの後。三十小時を経て尿中速 に沃顛の気あるを見しと云へり。血液及ひ蛋白 質の成分○沃顛に由て什麼の変革を受るや。方今 未た詳明を得すと雖とも。無漿液◦乳及ひ蛋白質 の諸液を溶解し。其をして凝固の性を失わしむ るの作用あることは。従前諸賢の著述に由て之を 知ることを得たり 第三沃顛を用ふへからさるの症 既に上に論するか如く。沃顚は其功廣しと雖と も、已に功あれは又害なきこと能わす。若し其当否 を商量せすして。之を亂投胡措すれは其害も亦 太甚し。故に醫家之を用ふるに臨んて。病症を商 確せんことを要す。今其沃顛を禁すへきの症を擧 けて、以て医家の注目に充つ即ち 以胃◦膓・肺・心等総て貴重の器具に、刺戟◦焮衝及ひ 知覺機亢進等の症ある者。下利及ひ熱ある者に は、沃顛を用ふへからす 区知覚機甚たしく亢進する者及ひ其癖ある者、 殊に胸腹諸臓の知覚機亢進を兼ぬる者は、之を 用ふるを禁す。若し注意せすして慢に之を投す れは。患者其刺戟に堪ること能わす。而して動もす れは危劇の症状◦下痢・疝痛心動○苦悶◦煩燥◦戦慄に熱。 呼吸困苦等を起す 渡患者甚しく衰弱する者には、之を用ふへから す。若し止むことを得すして。之を用ふることあるも 必す小心注意を要す 沃顛を用ふるに臨て一凡の規條 沃顛及ひ其製劑は。之を内用し或は之を外用す るに論なく。総て少しく局処を刺戟し。其功の達 するに及んては。全身の諸器殊に神経系統を引 戟すること甚た強し。故に之を用ふるに臨ては。必 す少量を以て始め。漸々増加して大量に至るへ し。之を用ふること長久ならんと欲する時は殊に 然りとす、之を用ふるの間は時々間歇し。他の諸 剤を用ふるを良とす。若し之を用ふること甚た久 しくして。患者之か為に衰弱を致すことあれは。其 原病速に治し難し。然る時は強壮剤を用ひて患 者の精力を復故し。其血質を良善にし而して後 復前劑を用ふへし。經久の梅毒瘰癧毒等に於け る殊に然りとす○患者。下利疝痛等の癖あり或 は其知覺機敏捷なる者は。空心の時沃顛を用ふ へからす。其飲膳度に適するの後之を用ふるを 要す○機生の物品は沃顛を解析して。其をして 功なからしむ澱粉の如きは殊に然り。皇國人 の如き米麦蔗葛を以て其常食となせは。之を回 避すること難しと雖とも。上に記するか如き諸症 なくは。食後二三時を経て之を用ひ。且其病症内 用を必須とせさるか如きは。之を外用するを適 切なりとす。又沃顛を内用するに兼て食塩灰塩 の浴湯洗滌法等は必す之を行ふを要す、是れ其 効をして益強からしむれはなり○其病能し淡 顛に由て治すへきを断し。而して之に沃穀を用 ひんと欲せは。其何様の製剤に論なく総て單品 を用ふへし。切に他薬に配するを要せす。盖し沃 顚は機生及ひ無機生の諸物に遇ふて。之か為に 自家の本質を解析さるれはなり。殊に阿片・莫非◦ 莨菪馬前等に配用すれは。人沃顛の功を見ること なく、又此等の配伍物の績を収むることなし。故に 沃顛の功を取らんと欲せば。沃顛醸単品を清水 に溶解し用ふるを最も良とす。是れ沃顛鹸は其 量の百分に沃顛七十分を含み。之を他の製剤に 比すれは。其含有する所の沃顛の量最も多く。其効 も亦最も強く。殆んと諸製劑の最上等に位すれ はなり 沃顛中毒一凡の救治法 大量の沃顛を一次に用ふるに由て、中毒の諸症 を発する者は、速に其近囲にある所の諸水液。殊一 に其性緩和なる者を。大量に與へ其毒を稀釋し て吐出し易からしめ。直ちに吐根の吐剤を用ひ 御肴は て之を吐せしむへし。就中消毒に適當の者は。米 麦蔗葛等澱粉を含む者の煮汁なり。沃顛慊の毒 大輔の事 に中る者は、上件の水液に少許の塩酸或は硝酸 を加へ與るを良とす。然れとも沃顛蝋の毒に中 るは甚た稀なり 司馬子曰く凡そ中毒の吐薬は。恒に必然有功 参用 礬硫酸亞鉛礬硫酸亞鉛礬硫酸亞鉛硫酸亞硫酸亞鉛礬硫酸亞硫亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞硫酸亞鉛礬硫酸亞硫酸亞鉛硫硫酸亞亞礬硫酸亞亞礬硫酸亞鉛礬硫酸亞鉛硫硫酸硫酸礬酸 の品を撰ふへし。硫酸銅糊 銅礬硫酸硫酸硫酸硫酸礬酸硫酸硫酸礬酸硫酸硫酸硫酸硫酸礬酸硫酸硫酸硫酸硫酸硫硫酸 礬胆 皆其撰たり。而して鑛物の中毒には植性の吐 藥を用ひ。植物の中毒には鑛性の吐藥を用ふ。 是れ其性の相剋に資る爰に吐根を用ふるは 又此理のみ 沃顛の慢性中毒なる者は。其証状発するや。直ち一 に方薬の内用を止め。其劇易の度に応して阿片 製剤緩和滋潤の品及ひ良善の食餌を与へ。浴湯 を行ひ精力を保全し血質を復故する等。諸般の 治術を行ふへし 沃顛各般の製劑 第一 純天頁イヲーディユム、ピュリュム 純沃顛 其化学上の性質は。既に之を前に説上せけ。故に } 爰に唯其用法を説かんとす 純沃顛は古來能く之を内服に用ふと雖わも。輓 今に至ては其褒賞全く止み。唯外用に供するの みにして。醫家一人も之を内用に用ふる者なし。 他なし此品は味不佳にして氣も亦峻烈。患者太 約之に堪ふること能わす。而して沃顛鎌の如き良 善の製剤ありて。以て其用に代れはなり 外用として動もすれは之を霧氣となし。肺労慢 性気管支焮衝及ひ気管支の粘液漏に喩入せし むる者あり然れとも此法危殆にして或は険畏 の症状を發することあり。寧用ひさるを以て勝れ りとす 外用は膏薬として大に稱あり。以て前に説出せ る所の諸患に用ふ 一 沃顛 一分適宜の酒精に溶解する者 ○分は分厘の分に非す下皆同 十分 沃顛鹸 二百分 一家猪脂或は阿列布油 右研合し以て軟膏となす 一は沃顛一分を扁 肝油の代用として。マルチャル 名人 名 名 一の成者 桃油十五分至二十分に溶化し、之を瘰癧の患者 に與へて良功を得しと云ひ。而して之を書に筆 せり。然れとも其理殊に疑ふへく價も亦從て喜 薩す。別に此の如き劣方を処することを要せす。若 し唯肝油の缺くるに逢ば。則ち之を試むへきの み み 瘰歴腫或は経久頑固の梅毒等に。沃顛軟膏を内一 皮法とし用ふる者あり。蓋し此法は患者の体質 沃顚の内用に堪へさる者に試用して可なり 慢性眼焮衝には沃顚を點眼水とし用ひて功あ り。然れとも沃顛離を加ふるの善なるに如かす とす 方 純沃顛一介 一次頭謙六氏 薔薇水四分 右精細に調勺し以て眼中に滴入す 沃顛を浴湯として用ふるには。一了の純沃顛を 食塩汁に溶解し全浴中に混し。患者をして湯中 に在ること半時若くは一時ならしむるを要す。是 れ食塩は能く沃類を溶解するの効あれはなり、 又或ひは之に代ふるに海水を以てす。湯の温度 は甚しく熱ならしむるへからす。唯冷煖人に適 するを以て良とす ヱーメル 名人 は純沃類を灌膓劑として。赤痢に用 ひ大に其効を称す即ち純沃顛及ひ沃顛鎌五氏 至十氏を二勺至三勺の清水に和し日に一次宛 之を腸に注き。又厚膓の疾患及ひ窘迫痢等に。之 を阿片液及ひ粘滑液に和し。硝酸銀に代用して 効あるを称す。然れとも是れ又屢用ふへきの方 にあらす 第二 沃顛酎 ソリュチヲ。イヲバティー。アルコホリカ○チン ク左ラ、イッデイー沃顛酒○沃顛消 此方は沃顛を酒精に溶漬せる者にして。沃顛四 十八瓜酒精一勺を以て之を製し、此液八滴中に 沃顚一瓜を含む。盖し酒精は揮發輕稀なるか故 に尋常の諸液の如く。一滴を以て一瓜とせさる なり。和蘭局方の方に従へは。一分の沃顛を十二一 分の酒精に溶漬して以て之を製し、此液一勺中 に沃顛四十瓜を含む者とす 此方は内用に供して。良方となすへからすと雖 とも古人既に之を内服に用ひ。輓今又之を用ふ る者あり。其法五滴より十滴まて糖水或は良好 酒に和して。一日二三次に之を用ひ漸く其量を 加ふ。然れとも之を糖水に和するの方は予之を 良とせす。英國局方に從へは八分の沃顛酎に二 分の沃顛鎌を加へ用ふ。盖し此法を勝れりとす 但沃顛酎は胃に入て解析さるゝこと極めて早く 加之光線に當て速に其功を失ふか故に。用に臨 んて必す新に之を製せんことを要す 沃顛酎は外用して大効あり。其用太約硝酸銀の一 如し、而して峻刺戟腐蝕及ひ分解消散の効の沃 顛に存する者は皆此方に発す。故に之を潰瘍の 贅肉○其荒蕪甚しき者・瘤毒様の腫瘍・疣殯毛髪脱 落禿瘡瘰癧腫眼焮衝の粘液漏を兼ぬる者・丹毒 様腫◦皮下組織の蔓延焮衝焮衝将に脱疽に陥ら んとする者病院脱疽◦母班◦標疽◦破咽瘻瘡◦白帯下 等の諸症に用ひ。須効の強弱を議して沃顛を加へ 減を○人此酎一二勺を沃顛醸及ひ食塩に和し て、之を浴湯中に注き以て全身浴となす者あり 其蒸氣◦肺鼻を刺戟して。甚た病に佳ならす用ひ さるを良とす○総て患部を刺戟すること極めて 太甚しく、遂に之を荒蕪消散せんと欲するの地 に臨ては此酎の功少して弱し唯患部を多少刺 戟し、以て之を變調せんと欲する時のみ。此酣を 用ふるを要す。通常毛筆を以て之を塗擦し。其上 に此耐を浸す所の厚紙若くは片布を置くを良 とす。是れ其功を強めんか爲なり 共に 等の諸人は。肺勞家の胸上に ヒヲリ」キロット」 人名 此酎を塗上し。或は冒寒風湿毒痛風等に之を皮 表に塗擦して誘導寛解の効を称しコロス及ひ ヘルト 共に 人名 は慢性の關節疼痛及ひ風湿毒に之 を布帛に應して患部を包纏して効ありと云ひ 人 3人 べニト私は此耐を薫す所の布片を以て。痘児の 名人 名 顔面を掩ひ其起脹を障け、且つ之を速に乾靨せ しめ以て醜痕を防くと謂へり此等の諸法の如し きは頗る新奇に渉ると雖とも又之を試みて害 あるの理なし 第三 沃顛嫌 イァーティユム。カリキュム○イフードカリュームフ ○カリューム。イヲダテエム○カリ。ヒドロイッディキュ ム○イッデュレテュム。ホッターシイ○ヒドロイッタス。 ポッターセ○ヒドロイッデテュム。カリキュム 沃度剥篤亜斯◯沃顛水素酸饑 沃顛醸は雪白◦方形の晶塩なり。味鹹にして蒼な り。気を見て変ぜす、然れとも気太しく湿冷なれ は少しく濡流す。水及ひ酒精に容易に溶化し。其 溶水は復能く多量の純沃顚を溶解すへし。此品 は其用甚た広きか為に。動もすれは姦商の贋製 に出つる者あり。克く之を辨識せんことを要す。純一 真の沃顛醸を亮査するの法は即ち左の如し 沃顛麟の晶色は必す雪白なるへし。其他色を 雑ふるを好しとせす。而して又灰塩の性ある可 らす目之を焚けは純沃顛の如き霧気を発すへ し調之を清水に溶して後。又硝酸銀を溶し沈澱 物を取り。初に清水終に硝砂精を以て之を洗ひ 其乾固するを待て。之を秤れは十分の沃顛蝋は一 十四分の沃顚銀を造るへし三醋酸或は塩酸を 加へて之を和勺するも。沸騰せす又泡起せす其 贋なる者は否らす 沃顛鎌の性功は既に上に之を一凡に論せり。醫 薬として之を用ふれは。其功實に百薬に卓越し。 他の諸製剤一も之に代ふへき者なし、此品の薬 局に列なるは是れ希世の鴻益なり 此薬一二ケを一次に内服すれは。通常焮衝◦漿液 滲出等の諸症を発して危険に至る。小獣に於て は殊に然り一二瓜を水に溶解して。之を犬の静 脈中に注けは。摘掣を発して忽ち斃る○人に用 ひて害をなす所の分量は爰に掲示し難し。是れ 其製法異同あり。各人各種の性稟あり。三四瓜を一 用ひて疝痛、嘔吐等あり。又二三勺を服して更に 此患害なき者あるを以てなり。然れとも通常其 性浄新にして。他物を含むことなけれは。半了至一 了の量能く諸症を起すに足る 内用は一日十瓜より用ひ漸く増加して三十八 に至る。小児は一日三氏より用ひ遂に十五氏に 到る。蓋し十氏以下は之を用ふるも必須の効を 見ること能わす。又三十瓜以上は却て多量に過き 名人 稍薬害あり。独逸 国 名国 は克 の医ウーストルレントルレン私は克 名 名: く大量を用ふと雖とも。盖し其製の不良ならん ことを疑へり。若し今之を大量に用ひて効を奏す ること十分ならす。而して些の薬害なき時は則ち 其製の良らさるを證し。或は他物に相遇て之か 爲に解柝せらるゝに由る朋百氏の用法は十八 を清水に溶解し一日数次に用ひ。各日に三瓜を 増加して三十氏に至りて止め。十四日間毫も薬 液を與ふることなく。大氣に逍遥し。身躯を運動し。 良善の食餌を用ひ、優遊和適して後。又十瓜を以 て始め三十瓜に至りて止め。十四日間休息して 後始むること又初の如し。盖し此薬は其初に甚た 功あり。長服すれは其功稍減す。是れ患者の体力 薬力に勝てはなり。故に諸沃顛製剤皆之を間歇 し用ふるを以て最良法とす。又沃顛鎌二了を清 水八勺に溶化し。一日に二食匕を與へ遂に増し て四食匕に至り。既に其量一勺を尽せは暫く後 服を止め。其景況を見て又之を與ふへし是れ亦 朋百氏の用法たり。抑此両用法は十全無害実に 適切の法にして。從來の諸用法に冠たりと云ふ べし。故に或は之を酒精に調し。或は之を芳香水 に和する等の用法ありと雖とも皆用ふるに適 せす○沃顛驪の功用は甚た烈ならすと雖とも 其効良善にして。源劑の如く減食を要せす冒寒 を恐れす。又流涎の憂ひなし。但大量を用ふれは。 時として頭重を覚へ。鼻嚏・流浄等の症を発す。然 れとも服を止むれは。速に快復し患者復よく後 服に堪ふ○沃顛鎌を梅毒に用ふるや。其症一旦 快治するも、決して之を以て其全癒となすべか らす、尚數週間前方を持長して。患者の體質全く 復するに至るへし、否れは再発の憂ひあり。且つ 服用の前少頃時は決して穀粉類の食物を用ふ へからす。又兼て塩水浴を行ふへし大に其功を 扶く 司馬氏曰く沃顛驪の作用は。人々の性稟に從 て大に径庭あり。医家預め之に注意して。以て 其用量を議せんことを要す。我友入沢松鳩嘗て 梅毒の極劇症。隣死の者に沃顛鎌を用ひ。其量 一日に七十二瓜を尽すに至て大効を収む。然 れとも患者更に瞑眩の候なく、唯夜間少しく 盜汗せしのみと云へり 外用として之を軟膏に製し。或は洗滌○浴湯の諸 劑に製す。然れとも浴湯には純沃顚を以て優れ りとす。軟膏には一刃を半分至一等の脂膏に研 和す。和蘭局方に從へは尚之に炭酸苦土六瓜を 加ふ。是れ其解析を防くか爲なり。然れとも用に 臨て新に之を製するか。若くは溶剤を用ふるの 解析さるゝことなきに如かす。其溶劑は則ち一分 を六分至二十分の清水に溶する者なり 第四 ヒダラルギリュム。イッダ呑ム、フラスム○ 単沃顛酒 プロトイヲデュレテュム、ヒダラル、キロシュム 是れ酒精を以て濡したる生水銀を沃顛と共に。 一盃に研和するに由て成る所の青黄色の粉末 にして。香味共になく水◦酒精等に溶解せす。唯沃 顚の溶水に能く溶解し。大気に逢て黒色に變し。 之を焚けは霧氣を發し。膏脂及ひ蛋白質等機生 の物に遇へは。忽ち化して復沃顛須となる。故に 黒紙を包纏したる瓶中に貯へ、用に臨て此等の 品に配するを禁す 小量を用ふれは更に較著の患害を見さす、大量 を用ふれは局処を刺戟し胃膓の焮衝を起す。峻 解凝変質の功あり。恰も緩製酒剤の如く長服し て、甚しく身躯を害することなく流涎を致すこと稀 なり 医薬として之を新旧二性の梅毒。殊に其経久に して瘰癧を兼ぬる者。慢性腺腫。肝臓閉塞瘰癧性 白腫・関節水腫・慢性結節皮病・癬癩・病毒・・様腫・疣療・ 顔面痛梅毒性瘡痂漿液腫瘰癧腫に用ひ。殊に軟 膏として之を小児の従前諸病を患ふる者に外 用して妙功あり 司馬子曰く單沃顛湧は。之を水銀の製劑に比 するに。外酒に遠くして甘酒に近し。故に原発 の新梅毒症には別に殊功あるに非す。却て甘 一瀬を用ふるを良とす。但其人格別に嫌忌あり て甘酒を服することを得さる者。或は其業務外 出を禁すへからさる者に。此薬を撰用すへし 内用は四分瓜一至二瓜を一日数次に用ひ。或は 増して三瓜に至る、丸若くは散剤を良とす。配す るに乳糖◦阿片癒瘡木恙等を以てす。朋百氏の常 用方あり即ち左の如し 一 單沃顛酒十八 清浄阿片四 一ヶ 大黄末一勺 甘草末適宜 右研和し六十丸を作り。朝夕一丸を服し各日 に一丸を加へ。便秘する者は下劑を與へ灌膓 法を行ふ。尋常の梅毒症は此丸百二十箇を尽 して太抵全治すへし 外用は一了を一分至二等の脂に研和し、一日に 太抵十瓜至十五瓜の量を用ふ。而して其膏橙黄 色を見すを見は。速に其用を停むへし。是れ其中 に在る所の單沃顛須。既に複沃顛須に變するの 徴なり。若し尚之を用ふれは。其刺戟の度極めて 峻劇にして、局処を荒蕪するに至る 第五 複沃顛傾 ーヒダラルギリュム。イヲダニュム。リュブリュム ○デウ○トイヲデュレデュレデュレンヂウキュム 真紅朱色の粉末にして香味共になく。之を熱す れは其色橙黄に變す。水に溶解せす酒精及ひ沃 顛鹸食塩・苛性塩類・酒諸塩の溶水には能く溶 解す 此薬は局処を刺戟すること。極めて峻烈にして動 もすれは之を腐蝕し。胃に入て容易に嘔吐を起 し劇症を起す。其性功の猛烈なること。大に前薬に 落発し、水銀製剤中外須正に之に当るへし、此薬 半ケを一ヶの脂に研和する者は。其性稍緩なり と雖とも。之を皮表に塗擦すれは能く錢癖状の 瘡疹を発す 此薬は升頃の如き水銀の功の外に。尚劇しき沃 顚の効あり。故に前物の如く。之を梅毒瘰癧殊に 其二病合併の者に用ふと雖とも。其性功の劇烈 なるか為に内用に供すること稀なり。唯外用とし て梅毒性・瘰癧性・及ひ諸般の皮膚病・頭瘡・病毒様 腫痴癬・腺腫・梅毒性・瘰癧性・及ひ病性の潰瘍・白腫。 関節焮衝腐骨疽の初期療療家の骨腫角膜暈間 眼瞼及ひ其腺の慢性焮衝・内外結膜焮衝・眼瞼腺 の硬結牛眼・及ひ風湿毒後遺す所の關節靱帶の 硬結に良功あり 内用は溶剤を最も良とす。十六分氏一至八分氏の 一を酒精に溶し。一日数次に反復して之を用ひ。 漸々に増加して多量に至る。此時決して空心な らしむること勿れ 一 複沃顛須六瓜 酒精六勺 酒精 香竄阿芙蓉液半ケ 右調和し一日に八滴より十滴を以て始め漸 次に進て二十滴に至る 外用は之を軟膏となす。即ち十氏至二十瓜を一 へを軟膏となす即ち十瓜至二十瓜を一 今の脂膏に研和し用ふ。又ホフマン私は二瓜を 日に研和し用ふ。又ホフマン私は二瓜を 二ヶの脂膏に和するを。以て最良方と稱す。他な 服膏に和するを。以て最良方と称す。他な し患部の差異◦須効の強弱に従て。医家の商量を の差異須効の強弱に従て、医家の商量を 異にするのみ。必す一方を確守せすして可なり。 眼膏には一瓜を蝋膏及ひ甘扁桃油各一刃に和 するを以て良なりとす 第六 沃顛鉄 フヱルリュム、イヲダテュムリュム、ヒドロイツ デイキュム、ヲキシデュラテュム○イヲデュレテユム、フヱ ルリ○イヲデテュム。ヱルリ。フヱルロキュム○イツダ テュム、ヱルロシユム 闇緑帯青色晶体の塩なり。水及ひ酒精に溶する こと最も易し。氣を見て濡流し且つ解析す。味澁菱 にして微鹹なり。沃顛の味を口中に遺す 沃顛鉄は強壮◦解凝変質の剤とす。鉄及ひ沃顛の 効あり。之を用ひて毛管の運爲を獎進し、大便を 増し利尿を進む○大量を用ふれは胃の粘液膜 を刺戟し。悪心。嘔吐。下利。胃脘痛を発し。尚其量を 大にすれは遂に胃膓の焮衝を起す 醫藥として之を用ふるは。太抵患者衰弱して強 壮薬を用ふへきの症あり。而して兼て解凝變質 の効を要するの地にあり。故に之を左の諸患に 用ふ。即ち瘰癧性の膓間膜病・癌毒様腫瘰癧性頭 瘡及ひ諸腺の瘰癧性病・結節肺労・及ひ其他の肺 労血液衰乏症衰弱の患者の咯血◦気管支粘液漏 等を患ふる者◦月経閉止に帰因せる胃脘痛◦白帯一 下○月経閉止○殊に其腸間膜及ひ肺の結節腫を兼 る者・夢中遺精・経久蔓延の梅毒◦慢性風湿毒の熱 を帯ひさる者等なり 外用として腟及ひ子宮の粘液漏◦及ひ痳疾等に 之を射注し。慢性梅毒性の潰瘍及ひ皮膚病に効 あり 此薬は諸般の物品に遇ふて其解析さること。尤 も早きか故に之を他薬に伍すへからす。唯之を 内用せんと欲せは二介至六瓜を取り。糖水に和 して與ふへし。又之を丸劑とし用ふるも可なり。 外用には軟膏を佳とす。即ち半ケ至一了を半了 至一勺の脂膏に和し用ふ。射注洗滌の諸劑とな すには。半ヶ至一了を取り八勺至十二分の水に 和すへし、從來諸家此藥の解析を防くの法を講 すと雖とも。一も其効ある者なし。故に内外共に 用に臨て。新に之を製せんことを要す 第七 夭須金ヲウリュム。イツダテユム○イヲデュレ元ム、 沃顛金 ヲウリ 黄緑色の粉末なり香臭共になく。大気に遇て解 析せられ水に溶し難し 第八 沃顛銀 ヘアルゲンテュム、イヲダテュム○イヲデュレテュム、 アルゲンティイ 同断薬仕験大阪卅二一箇所謹蔵 白色帯黄の粉末なり諸液に溶解せす 第九 沃顛鉛 ロプリュムビュム。ヒドロイヲデイキュム○イヲデュレ テュム。プリユムビ 金黄色六面の方晶にして光澤あり。温湯及ひ酒 精に克く溶解し冷水に溶解せす 第十 シンキュム、イヲダテュム○イヲデュレテュム、 沃顛亜鉛 シンシ 白色の粉末なり。気を見て速に流化し諸液に容 易に溶化す 第十一 沃顛砒 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 ダス。アルセニキイ 鱗状赭色の小片屑なり。香臭共になく水に溶解 せす 第十二 大阪鉄鉱 ステビユム、イッダテュム○イヲデュレテュム。 アンティモニイ 闇赤色の沈降物なり。冷水及ひ温湯に由て解析 せらる 第十三 沃顛重土 土バリティユム。イヲダテュム○バリタ、ヒド ロイヲデイカ 白色精微の細針なり。氣を見て流化し冷水に容 易に溶化し不快にして。嘔を發すへきの味あり 第十四 沃顛石灰土 ヒドロイヲダス。カルカリヱ○カル カリア。ヒドロヒドロイッディカ 白色苦味の粉末なり。気を見て流化し冷水に容 易に溶化す 第十五 沃顛硫黄 シュルフル、イヲダテュム○イヲデュレデュシムレズム、 シユルフユリス 灰白闇黒色・晶体の粉末なり。冷水◦酒精及ひ温熱 に由て解析せらる 第十六 ンナトリュム。ヒドロイフデイキュム○ナトリュム、 沃顛曹達 イッダテュム○ヒドロイッダス、ソーデヱー 六面方形の晶塩なり、気を見て流化し冷水及ひ 酒精に容易に溶化す。其製其効全く沃顛蝋に相 類す、然れとも人乏を用ふる者なし 第十七 沃顛揮発塩ハ ドロイヲダス。アムモニヱ○イヲデュ テュム、アムモニイ 白色晶形の粉塩なり。氣を見て流化し容易に冷 水に溶解す香臭共になく。味鹹蒼にして沃顛の 気あり 第十八 一竹真一上巻沃類廿四尚所堂蔵 沃顛炭素 テュム。カルボニイ ○カルボニユム、イヲダテュム。イヲデュレ 黄色晶形の小片塩なり。水及ひ諸酸に溶せす酒精 には克く溶解す。雑夫蘭の如き香竄の臭気あり 第十九 イワーデュム。コロラテュム。ヒタルギラ 沃顛加塩酸求一 テム 橙黄帯赤色の粉末なり。沃顛酒及ひ塩酸酒の結 合に由て成る 第二十 沃類塩酸イツーデュム、コロラテヱム 沃顛塩酸 此品二種あり。一は闇赭色の流液にして沃顚を 含むこと多く。一は黄色の粉末にして塩酸を含む こと多し。沃顛及ひ塩酸の如き不快の臭あり 第二十一 沃顛規尼 キニニュム、ヒドロイヲデイキュム○ヒドロ イッダス。キニニ 闇赤苦味の粉末なり。冷水に溶け難く温湯及ひ 酒精に克く溶解す 第二十二 沃顛澱粉 〃アミリュム、イフダテュム○イフデュレテュム、 アミリ 闇黒青色の粉末なり。冷水に溶解せす沃顛及ひ 澱粉を精密に結合するに由て成る。盖し澱粉は 沃顛を解析するの最品なり。其結合豈功を奏す るの理あらんや。今人之を諸病に用ふる者あり 笑ふへきの甚しきなり 以上列擧する所の沃顛其の製劑十六品は、或は 其奇効を称する者ありと雖とも。要するに小異 大同の品にして。功害未分の品も亦之なきに非 す。別に撰擧するに足らすとす。夫れ世間新を翫 ひ奇を好むの癖。人々皆これあり當時尚然り。況 や後世に至るに及てをや。若し若干の新薬之に 加わることあらは。正に之を如何せんや。本より是 れ學を好み道を廣むるの好志に由て生する所 なりと雖とも。其弊又これに添はさることを得す。 縱令今予口吻を酸了して。厳しく之を論するも、 後世新奇増乗するの時に當て。克く誰か之を遏 めん。噫朋百氏の言に曰く。輓今化學の進歩蓋其 高尚を極め。徒らに苦心患思して。斯の如き無裨 の剰薬を創製し。以て人の耳目を新にし。後進を して取捨するに地なからしむ。盖し此般の剰薬 は之を一擔にして。以て河浜に捨て可なり。而し て後肇めて医道の真面目を見るへきなりと。盛 なるかな此言や一雙の活眼を具するの人。能く 其真味を知ることあらん ○人新聞百九〇廿七日ノ神今此學○數千萬 七新薬上巻畢 なるかな此言や一雙の活眼を具するの人。能く 其真味を知ることあらん タル新聞百九〇書七日ノ號今出學ハ數千五十一 七新薬上巻畢 せ。