細馬軍馬飼養樣

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藤原近藤壽俊
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2026-08-17T19:23:21.345Z
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藤原近藤壽俊
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サイバグンバカイヤシナイヨウ
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東北大学
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2025-11-13T06:52:33Z
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
府内 特別 細馬軍馬飼養様 垂ヲ 同十一 細馬軍馬飼養様 春 春余寒のころはむまやの内をいかも あたゝかにして、雪降ときは焼火 などすべし、焼火の煙つよきは眼の 毒也けむらぬやうに心得べし 敷藁たくさんにしきたるこそよけれ ぬれたる藁をしく事なかれ、ふるき わらを教ときはよくほしかたまり なきやうに熊手にてほごし。敷べし。 かたまりあれは、足にからみめしき也、 扉にてぬれたるをはすいぶんひろい 出して、しかせぬやうにとこゝろがけべし 馬被着せて置へし彼岸すぎて あたゝかなる日はきぬぬがせもする也。秣草 飼ふ事は、朝夕多く夜中すくなく 飼ふへし、日長く夜短かきゆへ也、 水にて飼ふ事なしゆあらいひは 乗て後かならず面より平首肩肩より まへあし 前足まて。あとの方は琵琶股うち股に 足尾まてよき加減の湯にて能く 洗ふべし。其のちかはきたるぞう きんにて。水の気をぬぐひかはかす べし、惣身を洗ふ事なかれ。二月 の中の節、天気快晴の日灸すべし、灸すべし 馬の性により針をして血を取くだ すべし、雪中に乗廻すときは、 酒を二三合あたゝめ飼ふて乗べし 正月よりそろ〳〵毛をぬきかゆる也。 ずいふんなでおすべし盛に毛 をぬくならは、毛焦べからす、夫も見 ぐるしきところは四季ともに少 ながす也 夏 夏は厩のうちをすゞしくする事 也五月雨湿の節はずこしづゝ焼火を してげむりをこめ、湿気をはらふべし、 馬はしつに中りやすきもの也。五月末より 一暑気つよくは毎日夕方ゆあらひする也、 霧をよきかげむの湯にて、洗ふべし、 昼のうちは二三度ほどそうきんを冷水 にひたしがろくしぼりて両眼額 をふき。暑気をてんじさする事第一 の保養也、秣草は、昼夜当分に飼ふ べし。日長く夜みじかしといへども、 昼は暑気にてすゝまぬ事も有ゆへ夜 も当分に飼ふと心得べし。秣草いきれ 香のあしきは飼ふべからず。水にて飼ふ也。 馬槽すいぶんよく洗ふべし、夕方は日陰す ずしき所に、つなぎおくべし、日暮に 敷藁あまり多くしくまじにやゑん てんにほしたるわらは夕方口陰へ入よく さまして敷べしきのふ干たる藁 を今日敷やうに心がけべし、蚊遣火 をたき。蚊をよくあふぎやりて、馬をひき 入べし。宵のほどは一二度も。蚊遣火たく 事也。久しく焼ば煙にて、眼をあしく する也土用のうちは二三度も川へ打入 水をふませ、又はおよがせなとする事、 甚たくすりなり。土用過て川へ入べからす 焼 秋残暑も去て冷風のときは北のまどを ふさぎ、敷藁もたくさんに入べし。秣草 は夕方より、夜中を多く飼へし、日短く 夜長きゆへ也秋は夏と違ひものくひ すむもの也。すいぶん飼ふべし、八月 の中の節、天気快晴の日灸すべし。 針すべからず。それともに病あるは格別 の事也。ゆあらいは乗て後面より平 首、肩より前足まで後はびわもゝより うちまた尾足までよき加減の湯にて。 よく洗ふべしあたゝかなる日は惣身をもあらふべし。 冬 一冬は十月の節より、きぬ着せべし、寒中 はきぬの下へやわらかわうちたるわらを あみて着せたるか吉、敷藁も多く入べし、 ぬれたる藁敷べからすむまやのうら左右 後ともに菰張あたたたかにする事専一也 雪中雨の時は焼火をしてあたゝかに すべし、秣草飼ふ事夜中随分飼ふ べし、寒気をふせぐ也。水を飼ふべからず、 湯にてまぐさをあはせべし。初冬より 頭毛を焦へし、毛ふりたる後。かな櫛にて やけかすを刮あつきゆにて洗ふべし、 ぬるきゆにてあらへば毛さきのやけかす とれぬもの也、続松のもへくず、しき藁 へまじらぬやうに、用心有べし、まじれば 寝る時、身にたちてけがする也ゆあらひは、 乗ての後と、毛焦の後と、あらふ也、胴 より百会三頭を洗ふへからずゆめらひのゝち、 すいぶん水気をよくぬぐひかわかすべし 雪降時乗廻すならば酒を二三合あたゝめて 飼ふて出べし。惣じて馬は寒中のやし なひよけれは春はやく毛をぬきかへ 煩ふ事もなく。万に功多き也。 馬をなてやう およそ四季ともに馬をなではたくといふは 朝毎にする事也夜明てむまを轡にしつて 面耳を手にて逆毛につよくこすり。小松原 一平首、咽、むね、下はら、三頭、もゝまて、金櫛 にて横さまに能くこすり。身のあかをう かせて馬梳にて惣身を毛なりにとかし ぬのゝ打拂にてはたきぞうきんをゆに入 しほりて、惣身をぬくひ、其うへを藁にて 毛なりに数返なでべし、毛つやよく出て。 あかもなし、冬春のうちは身を洗ふ事を 嫌ふゆへとりわけよくなではたく。べし 前髪取かみは。幾たひもとかすべし尾は たび〳〵とかすべからず尾かれてあしき也 廃そうし およそ四季ともに。卯の時馬を外へつなぎ、 敷藁を出して。其あとをきれいにそうじ して、馬を入へし。扉の香馬の毒也。たび くませべし馬糞後の締の内になき やうにすいぶん取すてべし四季ともに 馬槽の内外よく洗ふべし、そうじの事、 きれいわするといふはかりにてなしそうじ あしきは馬の大毒也。唐土にては別し て、大事にする事也、 細馬飼料の品 一春は苅豆にあみ糠三升。大豆七合摺籾四斗 此分一昼夜の飼料也 一夏は苅豆好み糠二升大豆壱升摺籾三升 右同 一秋は文豆好み糠軍大豆七合にもみぬか四斗 右同 一冬は苅豆おのみ糠五升大豆八合あらぬか五か 右同 一寒中五升飼といふ事よろしき也は 一大豆煮て胡麻出してむぎにて赤豆煮 此分よくまぜて五升を十日に飼ふ也寒 一三十日に一斗五升の積り、 一細馬には平生むぎを飼ふ事最上の やしない也、うちをすかし、肉をあけ て気をかろくする也、大豆の分量ほど 飼ふ也。麦を半舂より。少しよく舂て。 大豆と一同に煮べし。大豆のにへ たる、麦の煮かげんも吉、 軍馬飼料の品 一四季ともに、二丁草にのみ糠五升摺籾五升 このぶんろちうや 一大豆五合。但し大豆は不飼とも吉也 此分一昼夜 の分量也、但し五度飼ふべし、右の外 に飼ふてよきもの大根のほし葉、 茶のせんじからほうきゞのほし葉 味噌しる、きらずこれらをとき により、馬により好みにまかせて朝夕 飼ふべし、 一化行のとき糠一升大豆五升米三合右 を袋に入持べし飼ふとき米を水にて あらひ、大豆にまぜて飼ふなり青草 あらは切入べし。ぬかはませて飼ひ。少し 残して水にほだてゝ飼ふ也 一飼料なき時は青草、大こんのなま葉、 餅、だんご、あめ、おこしごめ、右の類を 少しづゝ飼ふべし、惣じて馬はうゆ るにやふらず、あくにやふると心得べし 毒 鶏糞の鼠糞ゐちかや竹の子のかわ とうもろこし此分必ず飼ふべからず ゆあらひの仕やう 一先蹄の裏をほりふねへ入て四季 ともにぬるからずあつからぬ湯にて ゆふ髪より、面のうちをよくあらひ、平首、 小松原をあらひゑりあいより、肩むねへ つよく押下あたゝめ前足のうらすじ をよくもみやわらげ蹄のうらおもて ともにみがき洗ふべし後は琵琴股 より蹄まてかろくおしさげて。よく 洗ふべし。樋合をよくもみあらふ也。つめは 前のごとし、うちまたへ湯をうちこみ〳〵 洗ふ也。尾はちいさきたらひに湯を 入ひたし、尾本より、尾筒をもみ あらふべし洗ひてのちはたけ 竹にて水をこきすて藁にて逆毛と 押ぬぐひ。水けをよく取。又藁にて毛に なりに なでべし。 一つめは小刀か。又は瓦の角にて。とくと こそげ、其後砂をわらにつけてみがく べし 一尾は水気をそのまゝおくべし。水け をぬぐひては尾にちゞみ出来てあしき 也。毛をよくひきわけてよし、とかす べからす 一白き尾大豆の煮し湯にて洗へは いよ〳〵白くなる也きらずを湯の うちへ入て洗ふもよろしき也 一湯あらひして毛のかはかぬうちに寝 せべからず、殊に小松原ぬれては、たちまり くひじゝかゝる也、 一陰茎をひき出し、さや口をぬかにて よく洗ふへし、殊の外のくすり也、 一乗たる後はかならず四足を洗ふへし ゆあらひしてのち気ても四足ばかり あらふ也他行して夜に入帰りたるときは 尤四足ばかり洗ふべし、 一つよく乗たるときは酒のかすを煎 じて、塩一つかみ入、肩より前足。うら 筋を能くすみやわらげ、後の方は百会 の上に、わらを置あたゝかなる湯をかけ てあたゝめ、樋合をよくもみあらひ、四足へ すいどの泥に人の小便を入前足は 中のふしの下より、蹄きはまでぬり、 後はりうの毛の少し上よりぬりて 置べし むまや道具 伴縄 伴縄 鼻皮 ともに 洗轡と口鼻皮 胴縄薬筒 馬杭 馬杭以金杭高刷竹裏ほりかばさみ 鼻捻鳥柄指へ馬槽蹄打刀うらすき ○槌板高被打拂ぞうきん 続松すそぶね手桶熊手 一細びき秣草籠問ひやし桶剉薙 馬の葉 息あい 一梅金丹熟したる梅をよくすりつぶし て金箔を入。又すりて折敷に入てゝ 日にほしかため。是ほどに切ておき 用ゆる時は一度に二切かみやわらげ馬の 歯くきへぬり、舌へも能ぬりて吉へ 一郎鳥円へあをしとゞといふ鳥のはらを ひらき。はらわたを能取捨て。ういらう 三粒入羽ともに黒焼にして。蜜にて ねり用ゆべし、寒中に製し置なり、 一梅干はぐきと舌とへ能ぬり飼ふ也 一赤龍丹息命丹何も最上の息合なり、 舌上歯くき鼻の穴へぬる事くすりなり むし薬 一和中丸、楊梅皮胡黄連処胡椒二 一三味細末のり丸にして、二十粒ほど 塩湯にて飼ふ也。暑寒ともに用ゆ 口切たる薬 きれくちいけ 一せうゆをわかして。筆にて切口へ付 べし、一日に二度ほと付て吉、 三郎ずれ すりこわしの薬 尾下すれゝ前ひざすり 一一念金・石炭を寒中水にひたして、 五六日おき水をしたみ一日干て又水 にひたし、前のごとく三度水に入そのゝ ちよくほして、のびるといふ草をもみて、 あをしるをしぼり入よく干かためずい ぶんこまかに細末して。用ゆる時はすり むきたる所へひねりかけて付て吉 一しろ水をぬるくあたゝめおどみを付て 一人の小便にてあらい。筆にてたびく 付たるか吉妙也、 打身くじき 一そくづといふ草をせんし、其湯にて いくたびもあらふべし 一ねぶたの木をやきずみにして酒にひたし こまかにすりて。酒にて飼ふべし 四足へ血のおちたる薬 一はこへ草を塩にてもみ青しるをもみ ぬるべし、一日に五六度も付べし、 一すいどの泥に大こんのおろし。当分に まぜて中のふしの下へぬり付て吉 一桶に冷水を入馬の足をひやすべし 尾をすりて少く成たる薬 一にわとこの葉を手一束に切せんじて。其 其 湯にて。度〳〵洗ふべし やけどの薬けふりて火の入たる薬 一めうばんをよくやきて冷水にてとき 付べし 一火の入たるにはすいどのとろに塩少入雨に 垣の縄のゆ てくさりたる、わらをよくもみ、 ひ節よろし 粉にして付て吉 暑気中の薬 一清暑散蒼朮六反葛根三反霍香 黄連弐匁甘草三分 一右五味細末してくず湯に入筒にて 飼ふ也 ないら薬 一にんにく焼味噌、二色をよくすり、 酒にてゆるくねり”たび〳〵用ゆへし” 功疵 一人の小便をぬるゝあたゝめ洗ふべし 一せうちうをあたためて洗ふべし つき疵 よく〳〵きす口へ入べし。 一バルサモ 血とめ 一まむしの黒焼血をちたまりたる所へ 少しふりかけべし。妙也かならず〳〵。 疵口又はむまの身に付べからず。たちまち くさり入る大毒也 一土かうじを。ふりかけべし めくすり 目薬 一入のこし黄栢をせんじ洗ひて 其のち入のこし薬をさすへし 百会あたためやう 一大豆を煮てあつきうち袋に入あたゝめべし 一こんにやくを湯煮してぬのにつゝみ。おし付べし、 つめ 蹄かけるには 一つめ打たる後、猪の油をぬるべし 蹄をのはすには 一菰を馬の屎にひたし。ぬれたるを敷 てふませべし。蹄のひる也 つめ裏虫喰には 一蹄裏へ塩を入そのうへにかねを当べし その後蹄うらへ塩をたくさん入沓を打 べし、 つめねづみ 蹄に鼠つきたるには 一しゆあふ鳥の具水にてとき。蹄によくぬ りて置べし 此一冊は従五位下兵庫頭源 朝臣氏倫、僕の馬芸の事 御尋ありし席に馬を飼養ふ やうを、とわせたまふ時当座に此 等の分御答申畢後宿所に 帰りて右御物語申せし 品々記置者也 藤原 ●二本 1999