尾州傳來太鼓祕事
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- 野田正芳傳
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- 2026-08-17T19:23:21.346Z
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
府内
尾州傳來太鼓秘事
尾州伝来
合再
太鼓秘事合冊
于時寛政元酉の年三月吉日
一野田正芳先生丈番流罷六伝授放有之ニ付乱雑に
一乗候最早此度能一類別に相集申候様も申に付
一左之連ニ而精々記し
堀小三郎
志孫子喜右衛門
坂本純五郎
尾州伝来太鼓秘事
押太鼓之事九字を表す他国はいかんもあれ信玄流は知此
一押こまるによする又作法二一ニ序一ニ破三急運首建敷へ失ひたる時の為しる頃
軍法巻改解
押とまるにする解曰しと云行軍押所戦場すべて味方の備おしゆく内に
一そこにとゝむへき用事の時是を打治也故に其備前後一と申に当る也然るに此客数
の打る様今明の太鼓或はとうしやう太鼓のことく初め打たしみ音ひさくこきさ
みなり。次第おつて音たか〳〵はちあたりつよく大まかに中比打てそれかり又次第
おつて三日ひき〳〵故にはちあたりもやわらかに打末次第にこきさみに打とむる如き
二屋見もさへんも右のことしあ也是も押落る太鼓といふ扨又寄太鼓といふ関を
出る時よりも陣小屋出先各公備を高に皆庄屋にしてすてに又押前の節に
至時も陣中戦場すへて備出し立るます此法の太鼓を打攻に各馬に乗り歩立
はわらんしのおゝしめ何れも用き又調へ事とゝいへて序の大数を打立合出き立
押前の歩行也扨此とつの大鼓の打様右おしと曲る太鼓の打様におゐる事なしと也
又仆絶に二ツ解出しと云はあげ太鼓也是を打節は既に味方歒を切崩し追
討をもいたす時其輪を七八分迄は門せていまた分音も妻の勢有之即右
一太鼓を打是打様数は二ツ宛つゝけてうつに其はち音たかくつよく右を了
かへし〳〵五度も七度も打ひつきやう味方に此太鼓のいろ拍子はやく可知
様に打事せんたりと也これを作法に二ツと云太鼓のうちやうなり
一ニ序解ニ三し慶太鼓ハ行軍押前戦場ニ至迄歩行静ニ押行時
是を打也其打数は台より二ツ打也但シ打やう先師自分のたくみを以打ける
拍子也其音拍子は初に打一つははち当り軽く其音小音に後うつ一つはは弓音
たか〳〵大に打也但シ又戦場にて八二ツ飛つゝけてうつ事其間相つ
け勢をとる様子肝固め也扨又部軍押前末歌に対せさる間は押前人情を斎
一太鼓に乗せて歩行をさせ諸軍の気を引立其義をたるませしと計て
打拍子也夫と云は太鼓の打様右に云ことし初につにつ一ツを軽く書にうち得
うつ一ツを大音之前後へ能聞ゆるやうに打也扨是をうつ拍子あいは歩行向間
十間十五間にてもあれ士卒の情の大薮にはな事しつべきたるみを察にして是を
打時人情を引かんためはしめ打一ツを軽く人情へうつし人情各是を心むる
節後の一ツを大音に打是によつて各其気を自然とひきたて勢げんせ
さる大事の程拍子の太鼓也是を序の太鼓と云々
二ツに破解去し云行軍押前戦場に至迄歩行早ち道たらべきとき
これを打也其打数は古より三ツうつなり但シ打やう右に云ことく先師打出せる
也音拍子は初打二ツをはち音軽く其音に音に音に後打一ツを抱当りたかく
大にうつ也士卒の歩行に乗て打穿は又太鼓の拍子に乗て歩行すおなし
く是を打拍子は息相則息丈二の内二の息つく頭のはつみをたかへす打拍子也
是を破の太鼓と云し
一三つに急解云し太鼓といふは行事押前戦場に至迄歩行急に歩行好時
是を打也是も右より四ツ打絶也但シ打根是以先師打出せる也音拍子は初め
打一ツをはち音大に強く泣うつ三ツを抱音と軽〳〵打也士卒の歩行は火数の
拍子に乗て歩行す同しく是を打様子色か息あい其恩二ツきの内二の恩
次く頭のはつみをたかへす打拍子也是を急の太鼓と云なり
一切崩大鼓解三しと云は既に勝負の節に至て大将是を打也但シあ様
其数にはかきりな〳〵其音大にたか〳〵せわしく勢乗て其拍子と打
事大将大音をいさあ切崩せとのたもとなす右兵太鼓を打せ也是を切崩大
鼓といふ然る是迄を七段に打是を治の太鼓と云扨又只今の大鼓の法かへり太鼓
とまりかねあけ貝と如此法を立かへるし尤端的に此義人情にかにてよしと也
然るに又右七段の太鼓の夢へ失ふたる時の為しるすとの事此義都斗但し
とまりかね物貝の口入落に及て右南様若し其場に無之将右七段の内
を以端的の図をはつすましきとの了簡ゆへかと也と云なり
一軍治童解之内ニ有之押太鼓の事九季を表す
一押と溜るに寄る赤作法に二一に序●破●破●●
右押火数也留るには鐘なる祭元古法夭発にて打形有之故に押留ることは夕条に
三リ太鼓にては紛るゝゆへに近代諸家共に鐘なり寄る
起立大鼓とて小屋出るに打なりに楊の螺折数柏子木吹様打様なし
一軍位之巻秘押太鼓ノ云也一押卜マルニヨスル首ハトマルモヨスルモ皆太鼓ヲ以テ以テニシテ
後ニマキラハシキ二里ニ止ルニハ鐘ヲ以テシヨスルニハ太鼓ヲ以テスル也ヨセ太コトハ軍ヲクリ
出ス処ニシヲ打今寺ニテ搗リ太ノ如ク数サタマラス次第バリニ搗ツコノ大コシテ諸
卒陣屋ヲ出テ将ノ下知ヲ待夫ヨリ序破急ヲ以テス序ハ治強ク後対レ致二ツ
也破ハ数三ツニメ前後二ツ強中一ツ弱シ急ハ前後二ツ強ク中二ツ弱シ数ヨリ三段ノ
大刀合数九ツ依テ九学ヲ表スト也又作法ハ首貫槍ノ時打太ヨリ大将ノヱイタウ
声ニ従テ太コヲ二ツ打也其時諸卒太コニ付テヲフ〳〵ト声ヲ乞ヒ作落
ノ太コ也一野田先生書入左衛門太鼓広破急破急残万序〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
金鼓貝拍子木之評記
一太鼓打事三軍の勝負此太鼓ニ有然所以先ツ行軍に人機の自然とくう気に
わたる其情をすくい或は偏を治所也亦故に押向節に至ては三軍の気強も謁
気も一機のはづみ自然ニ有といへとも内ニはつみて外にはつせず故に大数ヲ以
其一機をてんし其内のはつみを外へ発せシむる事太鼓の法意に有其然
所以右一機を博むし法意に乗らしむる事平常の契泥に有故に其あらわた
所の勢に入りゑておのつから自然の勢と発し近事との後勢生しての
りに当事自然の利也是故に太鼓は三軍の勝負にかゝると号する事也
察すべかん也右件三軍之勝負かゝると云事其事其自然の現事を略て可被為曰
夫先ツ行軍ニ人機自然と絶たり押前くら虚と成ル然ル所以ハ三軍の
各々治道を可守具機将として労す故に海道を不守事前明として
三軍の情也将此を計て其くら虚に及所を察してばつとうに勢を
殉し人機を転し其情をすくい備治る所也攻三軍是に其機又あらたまつて
細おのつから実と成盛に押向将右に云ことく言軍強も弱も弱も皆眼所の
敵に届て騒気も弱も今頓に機ふさかつておのつから何とくこほる事
唯是見るのみより生する処也将其機を察して早く寄る太鼓を
打て人情に勢を悔し予の太鼓を打て三軍の懸るに既に三軍の
一情此太鼓にふさかつたる弱気をてんせられ太鼓の勢に塩が握り自然に其機
色入し実のはつみと成是人情の常也其気より発する実勢は大将の手
然の寵章に移つて勢一同して勝負みつる事自然の理也故に案出発生
外式集
一太鼓をうち早軍を進む是懸の是也
玉ひ先父の先と云は歌を見ると高しく町間はいか程もあれ呉を発し
一押前戦場大発之事
序の太鼓之事夫押前序の太鼓と云は士卒の情にたるみのつかさまさかい
を打事大事也虚身に然へより生する質上又虚の水体に至らしむる大こ也
破の太鼓之事夫押前破の大こは平均か日のおちあひか物ん間着契の次第
を告る節か是等にまかせて是もうつもの也
一戦場市の大数の事夫戦物序の大数ハ至り口浦負機の勢をもたせて
序の太鼓を以書平の情を引しめはつみを取大事の太鼓是也
一同破の太鼓の事
一戦場る如く火数之事夫戦切辺の大数と云は敵さしかけて勢を取てかくる淳味
方の二其間きれ不続ぬ先陣急の太鼓を打て敵の有陣を一かけ蒐破てさつと
引し時に二陣三陣来かつまり軍をかへし可為龍利加様成を形に付た馬釼と云
又は敵によとみ付たる節勝に乗て急の軍を可好戦場迄の太鼓拳の事もの也
戦場掛太鼓の事又戦場懸り太鼓と云は彼我の地近近隠留藩狭
一他の虚実形の強弱人数の多少是らに依て大数序破急み段に飛生の勝負
有之と知べし勤計て不可有不知也
尾州先野直伝手鑑解
一抱頭の軽魚を以し抱頭トははち頭也軽重なるく打重く打也序二
急三破四押留に寄ル作法に二九字を表ス凡人情を養ひ勢を設か医卒餘
一念なく一教に成る皆大将の抱頭ニ有之国家の大事をはち頭に引付て
打也重々薄
一軍治巻中島丈聞書押太鼓の事九字を表す
一天下の大事去右杜抱頭と云り押太鼓九字を表すと云一二三段の打様九メ有是
秘して九字といへり
一一押留るにかする又作絶に二ツ一に序二に破三に急万筒多是菅へ失今明善兵衛持
甲州筑立押留る時も切崩す時も拘る時も何も太鼓計にて仕廻たる也誰事
のぬ何と用事有明とまれといふによする太鼓を打也よすると云は槍を
よせて打事也初に幾さま中ふくらに中を大きに打又末を小義ざみに打とむる也
夫を写と諸単留るなり用事を仕廻と作法に二ツを打也是は太鼓を二ツ
大きに一度か二度打と夫を諸事聞て用意して出る時序ニ而も破ニても
打押出す也作法に二ツは猶かねのことくなり大鼓へ人の呼吸を入る所大事也
たとへハ序ならハ序を打て丁程も息をする内撥ヲヌキテ打又間ニハ慈徳
もぬきて打て行にて諸軍の念のおこらぬ様にする也念起りても太鼓の
かわる度に忌るゝ也又は半道然行ヲは太鼓をも守ぬ様に成春也其明太鼓
を止めたる時は如何昼そこにて又打也天気あしく成らんと欲する明か
何そ首を以そ幾度鳴太鼓を破に直し急に直す時檻をぬいて打処何も
同事也田かひにて後ニハまさたるらしとて揚る時は貝を用せまるに理を用
ひ折敷には拍子木を用にたと云へり畢竟会濤しては自由に打事之義絶の時
分宇治川荒道アト太鼓無と見へたり道場太鼓を打れたと見えたり大数める列に秘伝より
一作法に二ツを打ツと太鼓かわると思ひ惣軍待所江序を打○又少い様にかん
とする時破を打日○○○又先々かんとする時辺を打○○○是にて楚也是を伝有
手の側に足軽大将太鼓ヲ申受て当番の方にて是迄打へし打様旅事より
の序数過たるへし但し留る太鼓はよするなり跡え是を打お馬也加略抄有り
かさあたま押太鼓の事九字を表す
一押留るによする又外法に二一に序二に破二而正是
よする太鼓は数おほく末をひきくこたかに打也
節は二破は三色は四九字を森すといふ也
太鼓は出陣押前押留る細きと尤倒立る折敷立あかる伏を記す
切崩す引揚る此外衣封の太鼓あり又三足軽の道は物子米を持たる事を多し
伝授の次第
一には数二には位三には音の色に動静ある事四ニは調子五にはうつと不打と
問を取事六には貝に添事七には無拍子のをぬ拍子の事八に載るは
敬すくなき事九には早きは数多き事十には跡かろき事十一に跡
重き事十二には軽重なきゐを知事纔十三には足なみの事
一打つくる事ノセタ様子故ニ興ハツシテ乗り気ヲ勝リ大秘ニ
太鼓の制とう指渡し門下七サ同ふちの厚サ同等の制同ぬり同くわん
一革に九学巴籠の絵廿八宿卅六禽抱長サ同頃弓雨蓋波に波
太鼓九段
一序中破一席中急一席中序
一破中序一破中急一破中破
一忽中破一尊中序一急中急
或重軽或軽重
序二
同位同位
・・
壷
重軽
・・
大小
輕
軽重
十三人
小大
破三
軽軽軽
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
重軽軽
●・・・
弐四
軽軽中重
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
重中軽軽
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一動静発起
一行止執位
一同位
正位
天下之大事在抱頭
右雖為秘事不残令伝授畢莫敢軽忽
序二
太鼓極秘伝之事
とおん〳〵
序二□おん〳〵
同位
・
重
軽
軽重
大
大
大小
大
とん〳〵とおん
破三
軽軽重
トン〳〵トヲン
重軽軽
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
トヲントン〳〵
とゝとんとおん
〇急四とゝとんとおん
○急四
乾乾中重
トントヲン
重中中中中中中
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
トヲントントントン
○数少ハ遅
○数多ハ早
右太鼓序破急三段之雖為極秘令伝授畢
尾州伝太鼓秘解
敵追
敵追緩急
一敵敗軍シテコレヲ追フニハ歒ノ情ヲ察地敵ヲ見ルヿ第一也場向平易ニシテ広キ成テ
破急ノ太鼓ヲ以テ急ニ追立ルコトソコレ早竟彼カ足場ヨク北道アル故ニ文ス心キモノ也
是ヲ急ト云強ク可レ進或ハ其地形彼カ北ル先ナシシヨカ都テ北場ノ難儀ナル所ニテハ
序ニウリシユルヤカニ追フコレ敵ノ情ノセマル時ハ地形ニツイテ反ス写出来ルソ孫子ニ努
寇ヲハ進コトナカレト云モカヤウノ所ニ通ス則緩ノ処也ソコニ亦心得アリ敵其
一場ヲ半モ北延タル時ニ急ヲ用ヒノ追落タル時ハ敵手モ彼裁所ヲ北ケ延ヒ北ケ口ノ
ツキタル情ナレハ跡ヨリ北ハ急ク急ク気カ出来テ混雑スルコト皆地形ニ依テ
一敵ノ情ヲ察シテ緩急ヲ用ルコト抱頭ミアル也太鼓ヲ以テ敵ノ耳ヲコトアシメ則情
ヲウハイ味方ノ勢了緩急ヲナサシムルコト也楠正行阿部野ニテ四五里間政ヲ進テ
渡辺ノ川ヘ京勢ヲ追入玉フハ皆此緩急ヲ以転化シ玉ヲ改ヒ長途ヲ追玉王尼
味方ニ草臥ルコトナリ我兵ヲ養テ思フマヽニ追ツメ玉イン也評判ニ於テ口伝重々
有之事也
詰合緩急
一彼我相タイシテ詰合ニナル時後急ノ心得皆太鼓ニアリ縦ハ彼我等々ニシテ破ノ侭ニ
進ミ来ルヲ抱ヲ序ニウツシタル将敵ハ其ナリニ進来レハ彼カ対々ノ気ノハツミ放テ
ヲノツカラユルミ出来ルソ敵アルイハ右ノ通足并ニ進来ルカ亦ハ彼モ足并ヲ静ニスス
一二ツノ内也其ナリニ進ミ来レハ彼カ足延テ数ヲ彼ヨリ父タル時ハ是ニヨハ方出来
ルソソコテコナメヨリ先ヲ以ニノ破急ノ太鼓ヲ打カケタル時ハ我勢ハ盛々ト成リ若彼
モ静ニウツサハ猶以我方へ先シ取テ進アリ是皆我緩急ヲ以敵ヲ使フト云モ
ノナレハ先ハ皆我ニアルハ黴天合戦ニ略岩寺井上カ軍ヲ信去ノ旗本ヲ以二ヲツメ
玉フニ太鼓ノ緩急ヲ以彼ヲチヤマシ玉フカ如シ正戌公ノ六町カリノ術ノ大事モ所テルナリ
一此一巻は服部春兵衛殿真筆を以被伝尤極秘之由写之進候以上
享保十己年
保十巳年付内田頼矣
内田頼族
十月日
境野正稔丈
太鼓秘解
一郎ハ行軍ノ太鼓ナリ行車ハ太鼓ノ音ニ合テ足ナミヲ揣トントン〳〵〳〵ト打テ行ナリ
爰ニ太鼓ノ大事アルハ拍子ニシテ押行酒ヘノ六七町モ行ト兵税同様ニナリ拍子ニ
一合タル時ハ自ラ体モ年臥ルコトアリ
伝授ニ○執位ト云コト是拍子ヲ授テナリソレト云ハ壁ハ半町モ行等ト太鼓ヲ止ス時ニ
一朗号ノ心ニドシヤト思フ念起ルリ其将トント軽ク打時太鼓タルソヨト耳ヲツハタツル
時トント頭ヲ入テ打タレハソリヤナツタハト桅ヲ転シサスルソソコテトン〳〵〳〵ト序
ニウリスリ又ハ右ノコトク太鼓ヲ止タ時前兵ノ心トウシヤト思フ念起ル時トント類ヲ大ニ
打トソリヤナツタハト思フニトント軽ク打チソレヨリ序ニウツスコトモアリ是音ニヨツテ
動静ヲナサシムルコト其時ノ兵気ニヨルヘシ敵合ニツテハ序破急ノ三叚皆此心持ヨリ
其内抱頭ニ於テ兵気ノ位ヲツケテ動静緩意ヲナサシムルコト勇者一人進コトヲ得
ス塩者一人退コトナキハ袍頭ノ軽重軍ニ凡一致ナル所ナリ
○軍法巻○作治ニ二ツト云コト甲州家ニテ曾テ分ツヘカラサルコト尤秘伝ニ候得共此
タトヘハ人数ヲ押出ニモ押止ルニモ同拍子ニ
万万千千百万トントンタトヘハ人数ヲ押出ニモ押止ムニモ同拍子ニ
椀一ツハイニ二ツウツテ軍気ヲ引出シ太鼓ヘウソスコトナリ是時ノ鐘ヲウツニ捨畢ト云ニ同シ
ソレ故作法ト書タルナリタトヘハ行軍ニ序ノ太鼓ヨリ破ニウツシドン〳〵トラ〳〵トト
トウチ行ニ押留ラントスル時ニ
一揆ガサク次第ニ大キクス小サク小キサミニウリ是ヲ押トマルニ寄ルト云ルリ〳〵〳〵〳〵
ト押止ルナリ扨押留テ亦立揚ラントスル時ニ右作法ニ二ツヲウツテ単気ヲ抱頭ベウツ
シソレカラ破ニテモ急ニテモ軍情ニヨツテウツコトナリ
一太鼓ノ事手鑑陣法ノ内一番ニ
伝ノ通ニモイタスコトニ候是法ハ有之畢竟將ノ量次第ノコトニ御座候
是出陣太鼓ノコトニ御座候志村
一カサアタマヘ出候太鼓ウ十分タクコト是太鼓ヲツ干候場所ヲアケテ書候其場所ニテ
ノウチヤツハ出戦以前大将ノ心次第ニ其品ヲワケテ定申事其時ノ節判ニ御座候
一今日迷惑之コトニ候○夜封ノ大数ニハ別ニ伝授有之候是年
州家ニハ無之候太平記評判七巻正成公名我へ屋カ陳ヘ夜封ノ将ノ太鼓貼法ニテ
一紀事ニイタスコトニ御座候
一功嗣大裁志村伝ノ通ニ勧信後儀浅雨勢勢ヨクマシ敵ノ気速ミ奪フ二章ヲ以彼我ノ軍権ヲ奪
益スル一術ニテ候
一太鼓砲頭ノ事尉繚子武議篇存亡安危在ニ於抱端公
如此書候時ハ
○梶は千○機パイイ○抱頭○撥頭
硫酸ナリ
バコ抱頭ヲハツトウトヨミタル時ハ犯ハ訓頭音也カヤウニハ
一此一巻服部八郎左衛門殿ヨリ被通門畢任御懇望写追之候以上
内田頼族
境野正稔丈
ヨマヌコト也
左之書野田正芳尾州伝交リ有之候事
六之拍子拍子ハ網ル張積之位也勢也或茲子一部皆当口ハ勢ヲ取美稿ヲ
述ルトイヱトモナカンツク軍勢兵勢ノ二篇ニトマル是故ニ戦之勢ハ不レ過奇兵ニ激水之
一疾至之者勢也稽易也鵞島之疾至二於毀折一者公節也其勢険其節短勢知レ駿
奴与節発機ト云リ勢以形ヲ顕シ形ヲ以勢ヲ発シ形勢同和一致シテ其敗ルヘキニ
一勝地利ヲ詳ニシ衆人ヲ決シテ勝ヲ未発ニ握リ彼我ヲ変ヒテ我物トナル運立難一
ヲ治心治気治レ力治レ変モ此四ツモ勢ヲ取ノ一術也金鼓ハ竺作進退疾徐院数ノ節ヲ
計ル中ニモ太鼓ハ俑ノ亮ナレハ流義ノ大要トス待中惣惑行中中総待アリ
是ニテ拍子ハ人事而已ニアラス地ニ因ル太鼓之抱頭ヲ地ヘツケテ人情ヘツスト云フ
是押立拍子ニして残ル拍子ヨモレリ天下之大事ハ任袍頭存亡寄厄ニクルカ政也
第一太鼓ハ拍子ノ本也乍併言葉ヲ以拍子ニノスルアリ是深川ニ而正戌天竺シテ且ハ
シラス正成カ兵程ユヽ敷ハアラス北国ヘ下リシ義貞ニ見セ度抔言詞の再拝シテ
乗ル拍子也又業ニテ遣フ謙信川中嶋フマヱコヽリ也乙トモ三軍ノ兵我皆犯頭
ヱ寄セテ打ト言カ伝に故ニ軽重序破急有序ハ数二ツ碇ハ三ツ急ハ四也勿論
予モ序破急アリ破ニ序破急アリ急ニ序硬ク息アリ是ヲ九段の打方ト云
○出陣押前押留ル俑タム涌立ル折敷立あかる伏起曰崩引揚ル
夜封の大鼓一数二位三音め色動静四調子五うつ不打間を取事六日に
添事七条拍子のせぬ拍子八数少静なるは遅九数多キは早十跡軽き十一
跡おもき十二軽重なき時を知切崩ストキ十三尺并十四打つゝ馬ノ関
拍子故ニ象ハツンテ乗リ棄テ勝ツ大秘也或ハ重軽或ハ軽重動静発起
行止執徒同位止位是等皆拍子ノ本也一番鑓ヨリ鑓脇三段迄至タ
拍子ニシテ残ル拍子籠レリ又元暦ノ戦ニ九郎義澄勝コトヲ千里ノ外ニ決スルト
イヱ片宇治川ニノゾシテ山々雪解け水かさマサレリ湊竿流へ向哉又河内地へ
廻るべき水の落思へヲや可得とは言詞の再拝にして新の拍子之使に重忍又
太郎ガ事ヲ引テ諸人ヲハゲマス一同ニ立并時ニ佐々木梶魚桑之込シ所拍子ノ拍子也
昔盛ト魯ト戦長句ト云所ニテ対陳ス斎ノ方カヽリ大紋ヲ打魯君荘公戦ヲ
始ントス将軍曹劇ト云齊又太鼓ヲ進シモ曹劇尚荘公押ヱテ合戦ヲ始メス
三度メテ太鼓ニテ直ニ自ラ抱頭ヲ以テ戦腸ツ荘公向テ曰イカナルコソ戯舞曰戦バ
張積也当也又勇気也初ノ穀ニ起ヘル二ニヲトロウ三ニ竭ル如キヲサササテダキヲ
一打卜是間ノ拍子也又千日十籠城之節名古屋楠の水の手揚シ烏数日
固ムルトイヱトモ楠城ヲ拵シ砌ヨリ城内ニカケヒヲ設雨水ヲトリソレミテ米ヲカシキ
ソノ水ニて二葉ヲユテ又其水ヲ以馬をスソシ其水ニて火矢ヲケシ随分常に用水
の心掛候故名古屋カ固メレニカマワサルニ付船ハ用心セシカ其後ハ此水ハくまサリト
ソコタリタルヲ見スマシ正戌下知シテ曰サラバ名古屋の陳へ夜詞すへし迄太鼓ニ掲い
貝折変ヒヤウシヤ当り金とハイヱトモ此度ハ金を打タラハ遠むべし随方
切り廻ルへし正民自ラ城ヲ出船軍ヲ勤テ各ヲ得ヘシテ水我下知ヲ用サラン事ハ
見殺しにすへし平日各は我服心手足と思へとも天下の大事ニはかへ難し
其頃我をうらむへからすへと也扨名古屋か陣へ打込夜討よ大夫かへり忍よ
と切て召レは敵と二まよひたる落本陣にて金をならせは敵はとまり金上公介
シアントシタル所ヲ味方ハ弥進テ切リ廻ル扨本陣ニテ太鼓ヲ打テバ敵ハ弥進ムソト
心得テ取物モ取あわす義先ニ云にけし程に味方は思ひのまゝに引揚る此時三才余
の紋付スル旗抔うばいて引し也敵はにけ労は引是も間拍子そして不拍子の拍子に
して残る拍子籠レリ誠ニ日本無双の名将也又三ツの拍子ト云コアリ天人地ノ
三ツ也寒暑風雨ヲ拍子ニ用ルコト又音楽ヲ拍子ニ用る事又地の利ヲ拍子ニ用る
事影の拍子間の拍子うつりの拍子有皆六の拍子ニヨモレリ繰察スヘシ中ニモ心
の拍子ト言力大事御謂四縁六位是也秘中ノ秘
一当拍子是レ拍子ニナリンテ拍子ニ隋上リ拍子ニ労ロレテ強シテ敵ニアタル俗ニ向不良
ツカヽリ行当ルナトノタクイ也併シ合拍子ト違夕強ミ有リ
一合拍子是モ拍子ニソカワレテソノ外ヲ不知散ト相気ヲ治フの拍子ニして敵ト行逢ヲ作也
○此当合ノ二拍子ハ愚将の戦皆如斯共ニ見処ナクシテ拍子ニモレズ拍子ハ運ノ
実の飛出る様ニハツムヲ以テ第一とこと当ル拍子ニモ其位有一手切跡へ換心
之術皆当ル拍子也是ハ又上手ニシテ残拍子ニコモレリ又歒ヲ携ニ乗セんカ為ニ
合拍子ヲ用る事有川中嶋ニテ高坂突致太夫数抔も是也合拍子ナレトモ上手ニシテ
越拍子コモレリ可有察
一残拍子は上手体也六丁掛りの拍子或は小返一返の類四日残ル拍子ヨリ出タル勝也
一六丁掛りハ貝嵩拍子有因干地設勢ヲ以秘アリ全体ハ張積ヲ取れカ為也平
場の戦ニ楽シめき〳〵ト掛合農務なき故ニ敷ヲ六丁との数ヲくたし敵ヲ
四丁寄させ我は二町行て勝ト是激水の石ヲたゝよわすルノ数也勢ニ節ヲツテ
一磁積スルノ一術間の拍子にして曹力太鼓卜等し味方の三事進と有異我
序ノ杓子ニテ引詰〳〵情ヲ十分ニフクマセ猶涙積ヲ持たせ款の答馬所へ切て放ツヽ
積水ヲ干ジンの谷ヱサハルカコトキより是おのつから見る拍子也地に因とは遠近隠易に
ヨリテ為コトニして堅否ニヨリ敵其地形ニ乗シ来ル其所ニ又拍子有時ニ応戒
五丁進ミ歒一丁ニしてモ進退ノ利ヲ弁ヘナサハ六丁掛りノ意ナラシ是自己ノ事
越自得口場也是ヲ心の拍子トモ残ル拍子共後ノ光トモ退ノモイヱリ夫ヲイツニテモ
歒ハ四丁味方ハ二丁ト心得前方ヨリ此度ハ残ル拍子イヤ後ノ毛ヲトランナト決為
是謂ル赤拍子ニトイウモノニテ失実也自然ニ拍子ノ有ル所ヲ能々可ニ工夫一日急ヲ
知リ得ハ又設ケテモ矩ニ叶フコト明ケレ重重夷自得の湯也語合ニ秘アリ敵
序の拍子去は我は序中の序款破わらは我又破中の序歌応は我急中の序
敵急には義は破散破ならは我は序是又貝はる拍子にして敵四丁味方二丁の
教之郡中ノ三ツ有アリ○小返トハ依敬憩シ本ニ依テ功ヲ顕ス壱人勝負ト有シ
或ハ言葉ヲ以諸人ヲ引跡の続クコトヲ第一トス此時将ゟモ拍子ヲ以二ゟ押たる也
一跡ゟ続強積ヲ能察スル故に壱人トトモ残ル拍子ヲカ子タリ家ニ勝ヲ握ルの
一場也換ると同能勤テ家物にするを云也〇一返天王寺に而正成須田高橋取合し
一節大手の事やぶれは多将は是を乱して追へし其明全蔵へしとてからずニ
伏を置住吉に八百斗伏はなき長追せは足の乱れん所を一返に打へしとと也
め角欲情の砕倒の砕たるを打又韮崎に而諸角重サカリヲ押たるも此辺也
是ヲ一艘のことも後の先とも越ル拍子トモ言也又武蔵院に心仁等が返したるも
此意也是を一廻の業と云一手の大将の業也是は敵我を追つ節能間切を考へ
開キ敬乞ヲモカマワス長追シテつかれたる所へ返ス勿論敵の先陣二陣ヲヤリ
過シ難曲の辺間へトツテ返シ強当ル是迄張積トシテ味方施本ヨリ押ツムル
是残る拍子也残ストは何故御張積可シテ後ニ強ク当こんカ為也可布不
一越拍子ト云は上手体最上の位也拍子は皆炭積也屈伸之屈何故ソノヒンカ為也其
勢ノ一体皆薄アリ越サシカ為也故ニ様々ノ桁を以致し勿論也金体行向ヨリ
早ヤ越取アツテノ何ヲ為シテモ皆越位也此処ニ術ノ一二触ル○一手切
一其拍子に他に譲らす毛付を以張積を充勿論細の迷速習有手切とは二つ付無事
備にして一拍子に当る故に一手切と立今日かるきりの大事冨也一拍子トは契減は
一味方の罷成下毛付シ其餘ハ一手ツヽニ人数ヲ分一手の将筋取ニして我ハ敵の
誰か程ト組じ毛付を以皆張鎖を取二ノ味三ノ味ヲ不待我ハ請取タル桶へ手ニテ
一拍子に討込也たとへ我より歌多人数也とも家取故に毛付せしなれは酉の
敵ヲ人に替て給れとは士のいちなれは無事也さるによつて毛付を以張張救へ
御取也備に遅速と云は酒一拍子にうごけとも敵の偏段々に跡工長き故に家備の先
陣と敵の後胸に毛付する時は一同にあたられぬ也去に依て何をくり替〳〵我民の
敵を待はつむ也其逆速か有故に直に勢トナツテ二三首弓紐張鎗也譬は鋒ノ
長短ニテ勢ヲ増カ如シ形ニ遅速有ト尾鎗ヲ能トリ為ノ心簡他ニ不レ譲再拝下
知ヲ加ヘテ将真先ニ遥ニテ張積ヲ取故ニ良備遅速アリトモ皆一同シテ其我一柏
子也強鼓トイヱル所搗ノ術也拍子也一手切トモ九関一決トモ風物モ車掛り
とも云也日毛付卜云ニ其品多シ試也用也○ならしの毛付是は敵の巻も所か疑
ツ所か病の所か甲君相州各向に兼テ三増ニテ戦ント云韮崎ニ而戦物ヲ察
ニ極孔明両壁ニテ当日公ノ引口ヘ毛付シタルカ如シ全体シツカリト勝ヲ経テ其上ニシ
変応ルソ勝兵先勝ツト云場也目印ト云ハ幸ヲ結フト云画行の歌ニ○
よしの山去ねのしをりの道かへてまた見ぬ方の花をか得ん○またアメご尋ん
トノ意末ハマダ見ヌ方ヲ尋んノ意志近に云ハ初てカヨフ道逆ハ又為ニ草ヲ
一統ヨヲクコト也○諸役ノ毛自軍事ハ死生仔亡ノ場ナレ其役ヲ司サトラシムルニモ
其要トスル所ヲ専ラ従ヘシ勤ムル者モ其役々ノ要トスル所ヲ第一ト心付或者旗
鑓足軽頭是勤筋其レ〳〵にを討中ノ心得有是毛自也〇場所の毛付是は
一心地形地有地形ヲ察メ勝利ノ場王毛付スソ其軍ニ成ト不成ル境ヲ毛付スル也
一孫順カ尾清御馬陸ニテ討是世の物見の毛付是ニは物見三折リ一ト言教リ
スヘテ山川村里軍ニ利ナルヘキ所へ目ヲ付ナストソ○鎧の毛自匹夫の一掛ツ敵の
一鎧或はサシ物甲ノ前立陣羽織馬ノ毛色馬也前より詞ヲ出し毛付して討は
一格別款ヲ取ササザル毛付○心の毛付第一ノ心得ソ一ツタシモ附ヲシテ亦疑ヲ生
スル事力有ルソ急度決定シテ他に迷は又所力我心の毛付也敵に付る我に合も
ト云コト有是彼我懸競への毛付に孫子七計ト同シ敵の位ヲ計テ我と可残
の事ヲ急と毛付スル也○意ニ付意ヲ越ニスルトトモ言ヘリ又意念トモ云也意
甚兵衛ト悪ト甚フノチマタ也政ニ念ノ季ハ二人ノ心ト書リ意ハ善悪行ク
焼也右ヘ行カシ左ヘ行カンカト思ヒテ心ノ付ル処ハ急也二念ノ生スルコアリ見切也決定シテ
不逆処カ良将ノ意也赤松町祐桂川ニ而弓ヲイサセ矢ニ三三敬ノ内ニ直ニ切込シ也○
機ニ付数の単機ニ付ル也機ハ場ニヨツテ自然と顕ルヽ者也是毛毛付一ツノ習也
戦場ニテハタ欧ナシ方斗ニ目カ付テ自然ノ軍機ノ盛衰ヲ心カ付ヌソ往美ニ
ヲ察シ地形ノ遠近降易自テ軍機の乱ルヽ又味方ノ軍機ニモ心付へし一叚ノ
一秘伝也○心ニ付ル前段ノ心の毛付ハ我ニ付ル毛自也此段ハ敵将の位に毛付ス
ル也彼カ軍ノ為方ニ依テ敵將ノ常々の位又時の位ヲ察シ其のヲモムク所ニ毛月
スルソタトヘハ今川義元脆キトリの有為ナレトモ大軍ヲ頼ム我コヲ落シ神君ノ
後恩ヲ猶驕心出ルコヽカ勝のスクル所ヲ信長ソコモ自レテ乾桶狭間ニて討シ也
故将軍公ヲ奪ヘシト也モ付ハ都而十等也毛付ハ勢ヲ取ノ本也境目合戦
別而大事也此境ト云ハ敵の心の境也心境地境トモニ能々自得スヘシ追フ不追
所ニ大鼓ノ拍子アリ皆張積也○頭掛り動静屈伸の機皆以当ル又甲ル所ニ
伝アリ是則前ニ述ルマチ切也此所ニ而ハ一人働ノ形ヲノフ是ヲシツカリト唱ヘて
云云縁ニテ甲ヲかたむけ鑓の穂先ヲ地へ付向ヲ不見ゑい屋〳〵と桟溜候所
筆ニ不及重る中ル所ニ伝アリ又ハ其侭ニ而ハ中ラレヌ也故ニ或ハ開クカ折五丈数
いへ目の移る境江打込是此ノ所か則当り口也我も足ヲ立替元立其力勢
なつて張積也我拍子也○槐鬼の術敵を砕に当り有当手の将の心得
有重々ハ猶勢ヲ設クト云ニ秘事有此槐鬼の二子ハ鬼ヲとリひしくと
云意也欲死ヲ一決して今日を限りと思ひ施すへと心さしじよの薬日
を掛ずら千医か一騎ニ及迄強ク当ルの大紋也故ニ敷ヲ多イ違ヘテ如此儀ヲ去ル也
敵ナン段ニて
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
も如此事也
中
●
〇此口数品有夫ニ当手の為の心得ト云ヘリ・地形ヲ以当ルモ機ヲ以形ニ当リ形ヲ
一以機ニ当リ金鼓弓鑓又ハ馬ヲ入ルヽ・偏の敷ニ心付ヘシ一手ヲ以テクタカントシテ
一は松気流シテ破るゝノ本也一手はおかゝりに進ゝマハソワキヨリ敵の酒ヲなり
割へし強キニ強キヲ用工屋からす乍併敵の望ニハ旗本ニ有り旗本ニ而いかリ
ヲツテ敵いよ〳〵いかつて是ニ目か付所ヲ惣勢より一音ニ一拍子ニ当ル熱道天
敵又是へ移りいつれ上尚もと思ふ鹿へまへタル方より乗り剰へし度々に及ビノ
労レヲ打ヘシカレ歌ヲ揺の当リ也秘伝ニ曰歌の由ハ罷成也たとへは十二個モ十三段
モアランニアノ手タニ将ノ腕ヲ伏教本へ追々ハ旗ヲ伏其時後ゟ顕本是也と犬
族ヲ把ヘシ当ル余ハ皆悲得ニシテ比ル施本の教如所識シ我拍子ノ極也可秘
〳〵将門七人信玄将三人の課者百カカケ武者是ニ而可被此外ニ〇付入馬ヲ
入ルヽ歒ヲつな〳〵替りかゝり抔皆拍子ニモルヽコトナシ其外揚てかたし
事長き故略ス明いテ可知カ越拍子と云ハ丈夫ニ勝ヲ握テ為ヲ云腰ヲ権トハ
得テ不失事たなこゝろにしつかりと握テ我物トシタル事也信兵常三夾及
三ツの滝口ヲ被仰聞思葉莫不堪油断なき様ニとの事也三ツの勝とハ位ヲ
論する事也単法の巻上巻初三ヶ条はこゝ地人の三ツニして専ら正を述丁
巻には此三ケ条金膀残ノ三ツニして専奇を出ス尤正と云モ其用は奇也奇と
言も思案工夫ヲ為所は皆正也正を語レハ奇自ラ存ス奇を語レは正自ラ存ス
惣而書ヲ見るニハ先ツ其体を勘弁して味フへし拍子ト云モ是ヨリ生長上巻
の試三ケ条ハ体也此三ケ条ハ用也奇正ヲ云カ如ク体ヲ語レハ用存ス用ヲ説ハ龍
存ス奇正體用形勢皆以一致一以テ貫之一ハ萬物の初也千変万化の本也
上巻ならし三ヶ条緩ニして正備定へ三ヶ条は用にして奇也私兵揚押は
体ニして正面類ハ用ニして奇ナランカ軍法ノ巻一ケ条ニ体用〳〵ト別レ片全体
一上巻は體下巻は用也上下の巻片其内に毛体用有此三ツの勝と云は勝負の位也
十分ハ球人の位ヲ云八九分ハ上手の位ヲ云六七分ハ中ヲ云下ハ彼我対ニシテ不可論也
是刎拍子也数ヲ以勝負の臣ヲ明る事ハ手見千カカク勝負の位ヲしらしめん
為也〇十の物を六分七分八九分と云事数に而論ばは白迄か数也故に勺上以天地
の間の中数と易ク数多も五か一を得てこと也二ヲ得て七三ヲ得テ八四ヲ得テ
九分成一ヨリ心退は数の成所也数もむさとは出ぬ御随分可勝事ヲ尽して出
ルソ爰ニおいては彼我対ニ也是五分五分也此所は強弱同事也其上になの勝口
そゝことへは妙人と白人と立向はんに負ひと思ふては向ハスソ勝ニ思ふは妙人モ下手も
同事也故に六七分と云は女と五とは対様也其上に而勝之位を見た時は六七分は
三分ノ勝也是戦場にて破我の勢地利勘郎兵儀を見て切合て勝事也
是中ノ位也又八九分とは取合の場ヲはなれ彼我相対の内課を以敵の情ヲ持シ
一変応して勝事ヲ為す是上手体也八九分五分五分には三四位其上の位し
上手体也互にめきめきと行内には労に虚り有れは直に入間に髪を受又は
謀ヲ以敵の情ヲさけ歌の位ヲ知体也又七方の勝と云は本へ戻りて数の内には
不居妙人の位也数は九にて尽る十分は無数にシニテ民数也此位上手躰を立知
天知地勝の可レ金と云ハ他人躰を言其下ニ或ハ一ニハ勝一負ル事にして全勝のある
事なし妙人躰は教レ人人に不レ被レ致不及不残毀而皆十分体也是を侵の拍子
と云六ツノ拍子ニ而可即子又六七八九ハ平毛勝ヲ残スヲ言たとへハ敵を追三里取進ヲ
一世丁或は十丁迄テ十分には不追六分七万八九万に追て二三分は残すとは皆慮知る
あんばいの沙汰也其更可追を廿丁たとい豆半追ても軍の利に叶所かあれ
は是則十分の勝其利に当れは勝か皆残ル也爰か勝負の大古申い事の条目に而
解する所を可味○勝を十分に取度六景事あらは我身より大敵強敵の
数を作り出し悪事を招くとか得心と也孫子ニモ光ニ寄勝テ春ト云り
此ヶ条はすり上て大切の段也畢竟滝を十分に取事悪案夫とは思案は
体也正也事は用也奇也又思案の内ニ奇有工夫の内に正アリ先家よりは大
敵強歌の品を作り出し此大歌にはとふ勝つたものてあかふそ此危敵ニはいかく
して可勝そと云々変をつけて大数強歌をもうけ出して見れは彼に勝
れぬ所は皆我悪事也是孫子かせ計を立て彼家をかけ競へ或は王の道天の
将地利破か得たの我か得たかもの道設か得た時は我方の道のなきは我か
方の悪事ニてナキカト彼家へ懸て競へスル之七軒皆同シめ此我か悪キ所ヲ
悉ク招キ出して夫を正道になし天の時を彼かすたらは明変を察シ勘へ
地利を変する道を以し悉ク己を調たる時にて是十分の勝に非や大敵強敵二
案実と云たるは書を見事を聞くに勝負の句に付て解せさる所は則
一大炊強款に非や我につかゆる所何故にて解ぬぞと我とゝかぬ所か皆悪敷事
そそこを能々二景子入して解おらせきたる時は我土矢のあやふんなく
発明したる時にしそ己か十分勝か隔る也是常也誠にしてならに初り
ならしに終る所也道簡る時は今日の試に而己か心に天地形か乗り是則製造
一致の所にして吉有て用之已に有て順之正成公も諸将臣下王の教立終る
終夜認を賞すれは自然と能計か生工る物そ又具計を失するに云が則
計ぞとしめされし大実躰にして此ヶ条ニ符令す○思案と云ハ敵へ働クニ出従と
一二手に分て可働に陸より働には川を越して陳取へし山手より働に何レの
陰山をは後になすへし又は此山をは我とりて地利となすへし抔と思案をする
也正案は我ニアリ扨其上に而実をめくらしわか山キ口より働を敵は大体め此時
と敵の機を察し山手からても陸からても不意宿して勝事を得る所は
工夫也英敬へかけて計事也韓信か明に桟道を催て慥に陳倉渡て
漢中を取しもめ此の工夫ある故に桟眉へを作りセシ也○国持大将と其下の士大将と
幡を授るに様子ける也士大将は戴勝様に二条侯之国持大将は越員へぬ様玄関也
懸侍中も大要との事也戦暗様とは慾心の心ニ而手先強一時に勝を取を謂フ夫
将の職方は六七八九分迄比日思案工夫肝要也猶又士大将の心得手鑑に而能令得す
へし国持大将はへぬやうにとの定是侍の字ニアリ候角ぬ裏は勝也始終の勝
ヲ授るを言負へぬ様にとは孫子に道を語て緒ヲ保と云令レ之比事云金素行レテ
以テ教二其民と云信二己之私と云今般之日士云十坐スル者者治レ襟と云カコト云旨
負ぬ様ニとの事也定ハ決定心定は決定丈夫ニシテカリニモ負事なき事
ゾ然れば何れも勝て居る也越位にして越給子也〇縣心待中とは勝負は
彼家ニ往来兵機を知地の遠近を計知て奇正の変化心漸の致す所也或は夫
玉を発味方の機を誘出し敵の情を奪或ハ地ヲ取テ敵ヲ引付懸の内ニ討
を以し彼の内に懸を以テす懸中許の心漸彼我封為の大要也中臣は悪も
せす待もせぬと言義を以中と云たとへは懸侍の内に言句ニモ人カタキ然有り
口ニ物ヲクウヘテイワレヌ形也世是ヲたてニすれハ中ト云学ニナルソマ察又秘伝に
寄ておな〳〵らるゝそ懸得也寄るは慾心也寄らるゝは引結て還て先レを取て爛て先勝ん
為也軍には先きをかけて涌て先を受より又又先をかけらるへからす鬼一か
侍も此所そ先きをかけらるへからすと言は間に髪ヲ不入そこの先レをとれとの
事也金体先をぬかさぬ事也此所勝負の眼目也可味〳〵〇鬼一か伝に
先をかけては懸して六丁かゝりにて云はゝ味方ゟ敵の色を見てしを見寝
もまけしと水かゝりに来る時是相懸り也尤かゝる色を見せて敵を引出
し敵に敷を落させても六丁かゝりの意也既に間二丁にも及はん時矢玉を
以彼か進気をやつはり引出さんに彼弥進来らんに我は兵職を奉官かけ
序の位あるの為発の輪設益すゝまんにはや一町の内に及見明かる心に及見明かる心に教
序の位
り尤かない
して破急にすみ先レをとる所神源へのかす也是総の尋にして又郡日には悪也
先ヲかけて鯨留て是を立よとは惣中の待受ては朝也先を又彼レ六丁に及んて先を取て
かけらるへからすは慾也是侍中の総中の態中の態ナリ
○此内侍は立足にあらす兵職を養ひ失玉致弥進まへ役問
来らんには彼に四丁を進ませ
備の動静太鼓ニ心得去るへし
丁走り来るを我公町にしてかゝり舎彼女丁を近まんに彼六具を帯し
五町をはやくすゝみ来てつかれ我は兵気を養ひかけて一町にして鉄炮
の寸口にて中ルが如く子とらんに不勝と云事あるへからす是待中の態也又此
方より態にしては先才をかけて也又献すゝむをやはかし進まするは我形は
詩なれとも彼がすゝむを取不合やはりをまするは我すゝますると云ものなれは
心術には我方の態也是何れにしても先きをかけてなり我より進む形は悪なれ
と我進んて還て彼にすゝませて後の先ンヲ以勝の詩也故に形術と心術と
ハヅサす説所秘事也やはり奇正相変少もとゝこおし言きは奇中正正正正中奇也
故先を遂ては形術心術ともにこもる也たとへは備ては形術也受ては心術也
形術は矢玉の業太鼓強簡の形
屏風を見るをらるへからすと云か是泉すり上て
如も立足なく勢をとるなり
の賎にして発也如考詰合の内に総待に落入と歌か妙人なれは還て見
ンが彼へ罵ぞ攻満て受てと云也爰に於て先をかけらるべからすと云か神
速の文の字眼也是心断の先をぬかさぬ妙也たとへは敵は延てもちゞみても
只機の論る所によつて綿口は我以上其場に存する心術也畢竟此所幾
にはならぬ所ぞ能く奇しを出す事一軒なきと云神速と云も此場也又云
六丁懸りと言ハ六丁ヲ以教を立らし計り玉町数遠近にはよらぬそ故に勝負
の心術也去程に懸中期待待中総又中様の秘事は爰の位の事也○正成公神楽
岡にて敵の位を見てあかゝりにめき〳〵とをまれしは先きをかけてせと
痛の孫あれは夫をなさんためなれは向ては鑰を立られたる也受ては弓の兵道馬
心術の先第一なり心の拍子也
の兵第二をから〳〵設けられたる也其将敵の先陣は猶降したるに敵の東ゟ
正成か課知れたりと只押かけて破れと急に進むに正成公は此方の先陣の
浦を立ルといなやそれにはかまわすはや旗本を以此方の先陣より先へ
本文に立其余躰にてすゝまれたりと有爰には旗本を以先陣より
進んで横を入られたる也
先キニ入立る事評判の伝授也又此所軍返還之上ニ三ゟ是ニ勝
と云所此段に同しき也正成公の積入を裁見ねはならす其時正成公の先陣簡を
放て寄より直にかけ破りたる故に不戴して敗せしなり奇正慾的集化
勝負の端的の妙用可識得者也
備を立さるは指向所ハ正成公積より入られたる哥也夫を飲か見る所は正民或はと対々
なれは極入が正と成たかよりそこゝて先陣より偸を捨て切入は奇と変したる也甚し正常
の奇何人か是を窮めんや
拍子二人
宇治川
豊馬皆越位にて越拍子の最上也深尋て自得すへき者也勝負め大変にして
極大切成場也是皆業を以越拍子也可秘〳〵専四縁土位を以為呆れ十段之位也
一拍子之拍子と云は残也越めト云立思より自然と行成に中る所あり金華の位にて勝巻
四邦名人躰ニ至ルノ外段也越ト云ノ恩ヒナキ也ナアリ考是三四段之妙用也能イツ云云フ
一言拍子之拍子云拍子是最上名名人躰ノ極致為ス事アクシテ自ラ敬ニ中ル術を
○太鼓拍子
以テシ形ヲ以スルノアシハーナク向王ハ早ヤ故ニ敗相顕ル先勝テ後ニ戦ノ意思也是当ル勝
易ニ勝也此位ニ至ラスヘハ勝負ノ極切ニアラス手釣巻頭ニ勝自トキ処ノ勝負抔ニ言モ此地
位ノ事也己々ニ自得の場也格学ニ不可勝ナス是己ヲ尽スコトニシテ今日也我ニ勝場也
又敵の可勝ヲ待トソ是待ニアラス疑物不動の詩ニシテ他ニ急キ勝ニワアラズ未前
一尽る時ハ通変矩ニ当ル迄ともテ極無上之勝負して三十六段之賊也勝負当口
ノ意味能々可糺明之者也無旨無レ宵深理ノ卦ヲ随へ分々御賞可被成候
軍の拍子は太鼓に有道
無拍子切崩太鼓是無拍子也
に教あまた也
拍子は太こに有席ゟ破へうつし破ゟ急へうつす所に無拍子有此わけに依て
兵機を養要具なり貝かね此二品太この利をいしれとなりあけのかいすま
りかね一通といへとも畢竟此業にて用る所拍子無拍子也各変通勝貝は並へ
化して悠延中の三ツ大事のうつりもの也勝負を勘弁して用候畢竟此三ツ勝負
の第一たいよういつちならては金体勝負ならぬ也
名古侯聞書之内夜討の太鼓秘事也と兼る被仰下候御他可被下候相
此道とんじややこふしやと云事なし此所大事機に乗て禁大事也急に打込ならは破の
位遠クは序と足法なし心のまゝに打か秘事なりかならず〳〵大事也不可伝
義漢明方押太こなし打様たれにならわれしと云事なしう治川にて通切大口
を打給ふから
一千人数には足軽大将大鼓をうし更一編ことにか打尤打様は御旗本の序破れ
可依事
一野田正芳安士曰〇解法〇用漸る燭字は前中後に逢ケ参考スヘシ
一太鼓ハ午持様右之手ベニサシユビ小ビニテシメヲヤ否ニテ吉筋ヲカケ玉子ヲ二キルノ
四持ニテタイヲスヱウツナリ故ニ情シマル時ハ青カタシカタケレハ是豈ルナンナンセンニ左リノ手ニ
テ台ヲ多ケヨト握リ打テト云カ教也
一旗太鼓ヲ着ト云籏ニ三日ナキカスニソユル是族ノ巻ニ入
太鼓ニノコシ
バチヲスリアケアトヘ引
一蔭ノ拍子
同二ノコス
翌日ヨリ常之通ニ御直シ被遊候よし
神君に牧御陣之節ヱイトウ〳〵ト御掛被遊候由敵ノ鋒姿政右之通御目之通り
○ヱイ〳〵ノコヱヲロヱイトウ〳〵ト云
續源豊七
弘化三丙午歳夏五月廿三日写曇下絹源豊花
○
1847
点水語或