陣羽織問答

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窪田清音
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2026-08-17T19:23:21.346Z
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窪田清音
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ジンバオリモンドウ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
府址船1 一 陣羽織問答 一〇 以テ購入セル竹閉博士 一狛野亭吉田藤蔵 東文記談 陳羽織問答 安藤文庫 ○養養 窪田清音著 合云陳羽織といふ物后世始りてこれを着事とる なりたるに此ものは指物をさしたる時には 此羽織は脱へき事か又さら物をたしても必 す羽織は着へきことにや 一答云一定なし難し然れとも弁伊家の掟には 定する法則あり其他とは定法なしといへともさ し物をさして陣羽織を着せし證少し井中 の定めは甲州没落の后石原主膳学石備前広瀬た 馬助を井伊万千代に附させられ軍治を被延 置たる一本あり其書に云 一鉄砲大将は西の羽織之事 一弓大将同羽織但後に金の丸之事 一其外物頭之分赤き指物也思らの事 右のことく定めおかるゝの證ありかくのことくさ ため有ときはまきるゝことなし諸家にても此の如く 有たきものなり陣羽織は目したしにはあらされ とも此定めによれはおのつから目かるしとなりて いさゝかまきるゝことなし 一同陣羽織を着て指物をさらさりし證も亦外に 有けるにや 一答諸書に見へたり今其大かたをいはんに 一武重咄聞書云慶治其日の出立は黒具足に 一摧候緋の羽織金のいらたかの珠数に房は 金の瓢箪を付たるそかけ鉄さびの山伏頭巾 のかふとに十文字の鑓を持黒の馬の野かみ なるに金の獅子の馬面をかふらせ唐梅 懸て乗たるか馬上ゟ前田葵治利太名乗 てしつゝとかゝりける云々 一同書に佃又右衛門物語に小田原夜討の時民房 賂解十郎兵衛と奥村相之丞鑓を合する由 此槍ハ初は柵の一番に付たる五十騎之内にて 引取付十郎兵衛追付来て相之丞か羽織り 黒原りて桐のとう付たるを着て静に退き けるを結解すらんて奥村か股を突奥村 ふりかへり鑓取直し結解か冑を突て物に かれになるされとも其場は継とはいはれ云云 一同書に岡野左内は角栄螺の冑に毛ほろの立 物少て猪首に着なし猩々緋の羽織り鹿毛 の馬に乗川岸にて引下り防き戦ふ云々 所左衛門 一同書云其時一所にかせき候斎道に 初小田切 只今俵 人にて伏見藤の森に罷在候其時の永井善左衛門か 指物御辱候はゝ相知可申と申扨道仁方へ宮に被遣 返書に岡野左内角栄螺の冑に摧ら緋の 羽織永井善左衛門並の抱半目の者況青木 一新兵衛鳥毛の棒黒湯と書付来り候夫を露 康公へ差上候云〻 こゝに記す岡野た内は陣羽織を着てさし物は さゝさる証也永井善左衛門青木勘兵衛はさし物を さして羽織は着たる證也猶羽織のみを着たると 水一匁 一掃裏雑談に云仙石権兵衛着服の陳羽織は地は 金襴にて其上へ金の規を大縄にて亀中を組其 縄の組め毎に鈴を付金襴の地の上へとち付る 働きの障りと乗府は頭を取捨たり依て没 後は鈴十斗残る干今仙石栗の汁物たり云々 一老持座談に候七本格為時平野野権子の 具足羽織の猩々緋より見事なりしとなり云々 一柏崎物語に云小牧の時黒田吉手代を四才真元 に進む黄羅紗に波の模様の羽織着て太 打して冑附の高名する云々 一管範武鑑に云上杉家佐渡攻の時場中の 働きにて敵味方いよ〳〵進み寄時夏目舎人助 走り出高声に名乗て壱番鑓を合する 其継相手は数の内赤根羽織を着たる本間 弥太郎といふ中老覚への者也云々 一同書に天正十五年六月柴田の方より働きり 出るを討んと働き出る時敵五十人斗丸く成て本道 を引取内渋柿溝の羽織の骨に金の丸付たるを 着せる武者一人五六間引下り采羽を取て人数 を引すとひ静に退く様に見事なる武者始なり 云々 一前橋旧蔵聞書に云木村常陸助内之村田藤十郎 朝鮮征伐の年に八才には勝れたる風きたかしき さるに付て木村ハ軍法を破りて先へ出たる事 度々なりし故常陸介大に怒りて重ねてた 様の事あらんには具足をはいて陣をはらはんと云 付たり此事を発十郎本意なくおもひて翌日 白き羽織を拵へ墨にて紋を出して唐人の 方へ一番にすらむ折節長谷川藤五郎なと 大物見に出けるか松の木の有る所にて羽織の もの見ゆる敵か味方かと見れとも不知此方へ むかふ事なて敵方へ一文字にすゝむ右 の松の有る所まては中々行ぬへき所にあらす 松の木のあるところにて建に討死し たり云々 一服部安津書に云按部半蔵正成子半蔵 長吉開ケ原御合戦に一番槍にはつれ 申間敷と存詰り左御合戦あり可申少々 前敵方近て馳せ参り朱の具足に摧々緋 の胴肩衣着したる武士により合突伏せ 首を取申候云々 一胴肩衣具足羽織といふも共に陣羽織の別名也 一辻氏書留に候上田次の時城中より赤根の羽織を 着たる者辻左次右衛門を追来り候間太刀打仕候哉と 一存鑓をさし向けれは羽織の下より小鉄砲を取出 し十間斗にて左次右衛門を討たをし其侭逃退申候腰当 より脇差のしのきに玉とすり手を負ふ申候云々 右の書ともに出るところはいつれも陣羽織を着てさら 物そさゝさるの證なり 一一問さし物をさしたるものと陣羽織を着たる者とうち 交ることも有にや 一一答前に記す井伊家の掟は則両様相交るの證也 又しつがたけ物との戦ひに其事は見ゆれともそは他国 打交ることなれは証とはなし難し 一前橋旧蔵聞書に云志津ヶ嶽七本槍は加藤肥後 紫ほろ 守してはれん加藤左馬助野 一守してはれん加藤左馬助案ほろ平野遠江守海 浅子 羽織 太夫紙のまりさきしなひ一本に干 紙のさりさきしなひ一本に片桐市正 甚左衛門太夫紙のさりさきしなひ一本に片桐市正 福島左衛門太夫 一七人の外一番首とあり 銀のゑ つる 若糟屋助右衛門黒竹に治のすみより脇坂中と 脇坂中書 糟屋助右衛門 紙のゑつる 白き絹の ゑつる 美濃守内桜井和泉守 赤母衣丸の 云々 切うちは 右のともからいつれも其印し区々なり夫かうち平 一世一人羽織にて母衣も指物も相交れり 一同陣羽織を着てさし物をもさしたる証あるにや 一答其証あり 一北越軍記し云最上陣巡口に前田慶治摧々 織羽織金の切閣府の腰さし烏黒の馬にて取 て返す宇佐美民部は黒の縄に限の天街の 一一出蒼黒の馬に乗云々 一武辺咄聞書に云天正十二年岸和田合戦り 真鍋五郎右衛門野一宮頼母早川助左衛門も先手ゟ 一馳付て敗軍の敵に出合皆よき首取え黒田 如水は子息松千代黄羅紗の羽織に金 の丸房の腰さし鹿毛の事に乗て馳通る を見て扨は無事にて有けるといきほひいさ みて横合にかゝりける云々 そこゝに引證する二例は前には腰さし後には脇さ しと有も其名はたかへとも共に指物なれは証とす へし又 一柏寄物語に云天正十二年五月朔日小牧にて 後に大 細川方沢村方八 学 白羽織朱にて天道と 云大指物也鑓を合せ大自助右衛門を宿倒す続 て来る何某に首をあけよと云助右衛門跡より大 原又蔵来る 二人共信雄々 の家来也 是と鑓を合て余りは けしく久蔵しさりなかち是をあしらひ引 て行左方八も夫切にする云々 一青山家博書に云青山新八郎長利清康郷御 使番相勤参州宇野御合戦之刻御先手物見に 被遣候節新八郎差物浅黄四半虎の字書 付具足羽織衆を絞に付高名仕候に付自分 一以後虎之助と名改可申旨仰出さるゝに依て 代々虎之助に罷成候云云 これらは皆羽織をも着しさし物をもさしたる語也 されは両様を用ひし者も有と其例少し又羽織をは 脱てさし物そさして出たる例ありそは 一此川覚書に若江合戦の時千塚に備へ候渡辺 勘兵衛道明寺口の物見ゆるへしとて乗出し 参ける処に中略勘兵衛押返し此辺足入 にて候へは大軍のあつかひ不自由にて候間中 の横堤迄四筋のたゝそ最寄次第に参り候て 堤にて一手になり其上にて御へ戦なさるへく候 北二筋のあせ不行義に候間西の横堤にてつ留 なさるへく候南二筋勢を我等留可申候たとゝ 南北一手に成る様に可被遊候とて早勘兵衛 摧ら緋の陣羽織を睨むしろの指物にて手 前の旗そは四五町押下て参り候へと侍二人 に申付略道を南へ向て馳を向ふ云々 右の如く陣羽織を脱てさし物をさしたる證 あり此外諸書に猶多くすへてに證多らん されとも先右筆の書に出る所を以て證とすへし 一同しからは陣羽織を着てさし物をさらさるとも 又はさし物をさして羽織を着さとも人々のこゝろ にまかすへきことにや 一善羽織とさし物とをこゝろすかせに用ゆる事は成まし き事也羽織しそいかとも指物は後世諸手ともニ一組に候 一隊々々の印とするとなれは其しるしを捨て問 織のみを着る事は或ましき事也 一同一手の士大将又は一隊毎の隊長たる者はさし物 をさゝすして陣羽織を着てはいかにや 一答右やふの事は其国〳〵の定めによる事なれは これ又人々の随意には成難きわさなるへし 一同しからは陣羽氏はいかなる時に着て可然事にや 一養軍旅におもむくといへとも主人の使ひ又は私し の出行営中なとには陣羽織と着四後なるへし既に 押出すに及んては一まへ毎に其手〳〵の印一隊女 に定る事なれは必すさし物をはさゝすして成ま しき事なれは也 一同羽織とさし物と両やうを用ひてはいかにや 一答既に引書する所の例あれも是又家々の定め も有へき事なれは私には用ひかたかるへしかねて より二品とも用ひんとならは去しらへ有へき事也 終 この一本は或人の問にすかせて 嘉永七年三月しるす窪田清音 一、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、〇〇 入コウ