劍法居合記
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- 不明
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- ケンポウイアイキ
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- 東北大学
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一同側法居合記
割法居合記
一同断法居合記
剣の教へ伝りのことゆへ
狩野博士集書
おいれ侍りにたる叡の教はたみちのくからすみ給ひし甘崎
重信大人よりやこの大人いとてなまかり深く心にしとめて
明されけるはし学ひ給ふ事おやみなとおもひめく縫し
しをもひときは諸人にすくれさるし事字なくなき玉ふ
ける餘りかし近きほとりなる林の御神にこの事なき奉
られてくなるかほと即社に詣て籠り居らくぬかつき給ひ
とも〳〵おもひめくらしつく種々のことゝ意考へ得給ふことあの
は御神のみ恵とかうしこみつゝ花たすらにね給ひしこ
此大人おもはすも広前にまとろみ給ひしにし出し見もしらぬ
解来ましてそこには剣あつかふ薬之深くおもひらし夫のこと
得まほしくこたにこそりぬと請給はり侍るいとかし六歳
こそになむ剣の薬はかにしかくにしおのつからのすなをなる
かたちにしてなすにししく事ならしといへとも己か魂のうこきなき
ことこそみなひとなれ夫にしつきてはくはゝ剣の撰み也身々の守と
すへきものなれはよく捨てしおかてはならさる事也されは
とよこはこなに劔寺経は成からぬ心にしめてゝ伝へ給れとて三
尺にし餘ると壱尺にたらはぬとこをみなかし置給ふと覚え其中
夢はさえぬ葉のはかの夢にみ給ふこと字おほしめくらし
是そ誠や御神の御教ならんとぬかつきかしこと玉ふちかひ
のゐやゝはて家庭にしかへり明暮考へつく学ひなはし
かかふにもの心字得給ふこれによりておのつからの形を考
へ物しけるいてやほと経てかの夢に見給ひたるましたかしたか
ふかたなき釼子遊火りなくも酒さふそれに付つゝ猶もかし
こみ物し給ふかし人の下につくものなけれは是を見聞する者
あはれからぬはなくおもれ先にて争ひ深し学老の道をこふもの
いとさはなりとそ五科田もの大人此こと子聞聞給ひ学ひかるこの大人
にしこひちにとつ玉ひしよりつきつゝきておのれ清音かしこく
も此散子平野天人よりつたはりたる也はた是の教父なとあ
れともそは大むねのみにしてくましのことゆへの委曲は皆に
つから侍りたるや是そ古よりの実也されとその事故さはに
うしあれは末かすまにしいたりてはおの一からつたへれらしも
せんにあかぬもなれは其只からの教子己かつたへられに
たるかきり子書つけらこの一巻とはすることには
居合学ひの論
一居合の薬学ひは其みなもとおのつからの形と真魂をとゝのふ教にて
勝負ましかゝつろふはやゝ後のあるつらひ也そをとゝのへ己らは身に
そなへんもふけにし気をあつかふさまきつはらに習まし進み返く
なんとの事ども高あるものするにそ有けるされはおのつもし勝負のこと
はりもこ取れしあれもそは次々の薬なれは先にし魂と形と承るとのふ
教をわする也されは居合てふ薬は釼あつかふ道の水迄なれは仮物に
おもひ給ふへきかしあらすこゝを物にたとへは先家字造らんに
処を定め石すへ柱立をしてつきるに調して人は住めり其家
を逕るかほとは居合のしさにかたちとゝのへなりこと調ひては
勝負の理はおのつかしわかるゝ也もわかるゝは家造りとよひて
住居するにし雪霜雨風の変はあらす其変なきなは必捕へ
きのことはり也いてや近き世は人の心の国かしなりたるより世には
是の教のしさま顔ちも又おのつよし花やきらま栄町とその上候
夫にし目とゝめぬる目しゐ毛多けれともそは実を失ひまりことの
さはにそ有けるおのれかつたへられたる薬は近き無のひかこと
なく古へのまゝにしあれはいさゝかもかの花やきたるさかし
羅のまのことなくおめつからのかたちのとゝのへなれば夫とりえへ
たらむには五人と成の男とひとつむしろにし並ひらにそてて
かことくおもふ人もあめれて至やかにし実なからんよりすなをに
して実有うたよておさ〳〵増りたらん尤やきたりとも人の目
よろころはせんとてする薬にも出しかし初学ひのいまたものゝ
あやめも和度ほとはかの花やかにして実な丈にも心引るゝものな
れは聊此論はする也我教子達この事おもひたかひそれ夢
一文字又の名十字
居合八之類
又の名十字
こを初めにするは其形三掛しなれとも其そと是より初り次ににて
形をかゆるは百日ほしにて手馴させん為行教也一文字と名付
たるは一よりうして花のことわさ出くるなれは其初とする形なれは
かくよはいふ也又十字といふはしさまのかゝちさし頼にしぬき
つてかへす刀をみへより打故しさまの十字かたちなれは也此類の
しさまは居合野にし座組をして有かし右の足を立て左字
引きのか身々のよきほとにしみくふみを定め形ちに起伏なしよし
なりにしぬまつけて頭に棹して打込のみこふしのとゝまりは
臓をかきる力の物うちかれて肩に有へしこれをおのつかゝの
形といふ釼もつときは必政かたちにし背きゝは一かたかしはかし候は
出来て夫よりくつるものなれは居合にも立合にも此かたち
をはなるへからぬおのつかしの形といへるゆへよはは刻のちまたに妻
しくしるせはこゝに略きぬ
左開九開
こは前のことく坐して有まし右の足をかりに立直にた
ともらかへおのれの左のかたへ開き松の足を引あはひかし一文字
のことく抜づけてうつこと変りなし古開きといふは其ことく
口くを立かへ丸のかたへ開くをいふふきまうちさまはし
めのこそこ
一文字たかへ
こも前の左右の開きのことりしてひらくことなく一文字と同し
く正面に有也ぬきさま打さま前に同し初の一文字
よりわくのかたちまては受かたのもの腰刀を抜らしさらんとする
字其手へ刀を抜つるすき間あらせす打込こと皆同し
正面手つめ
こは己かほふ当のさかりをかれとりて腰刀にてさらんとする
を前のことく左とふみかへさまに移つる鞘手を摘よし移し
右の乳の上にて引つつてとりたる手を刃を上にしてつき払ひ
とりあけてうつかしかれとかふすへき間命なけれはかたちをひ
くしてとめんとするに其ひまあらせん打込にかしかれひるこき
故左のひさの外へ拳をおろして切先さよりに打込なり
廻りかゝり
左に受て有ましかれさか手にし腰刀字抜りて突んとする時遠く
かれかなへ右の足を立て身を廻しつく手にし腹つけて
打こむなり
場間へたて
一是も左へ受て並居たやかし前のことしかれかつかんとある字
みて右の足をかりにしたて左を遠く引さまに立て
右高引て場間をへたてぬきつけうづこた前のことし
脇の手結
こも又たへ受たるに例のさの手まし腹にしつかんとする時少ししを
あひをくれて廻るへき間合も又又場を盛たつへきひまなる
れ皮右の足を立なからぬきつかたるよしは馳をけれはとりあけう
たんとけは其あいたをつかんとするこゝくつかひ有てぬきかけた
る刀の中凡子手にて取てつき出したる手字損さりに掛れ
から脇一分を定む其つくへき前にし払とひとして初に
立たる書の足を開くへきことににてこの志さまは程をき
手綱の場間にて組打にしせんと聞ふさかひのあつかひ也
初の一文字より此脇の手つめにし至るまて八ツのかたちの仕さま
夫々にしいさゝか受れとも初の一文字をはなるゝかゝちなし
脇の手つめには其さまかそれもうつとつくとのたかいのみなり
其餘は足を立かへもし左右へ開なし又は前へ廻り或は場間
をのへなとするの形ち子もふけ働さまを夢はしてみちひく
の教也このしさまの種々は其顔を学び又次にの条くたりを
てうし合さくしじくは喜ふへしこの八つの形ちのしさまは
常に習はしことにしあれはたれ〳〵もしるきとなるゆへくた〳〵し
くは書つけすしてもすむへき事なれとももの学乞の道は
いかにも厚く深くししくしておりまほしければかくはものし
たる折々
是を初めに習はすに皆其ま其しさまかし種々行次に
ありこは
一見切
こは其しわさをなすへきおかたし其場所の前後左右の広
きてせはきとさゝはるへき物の有なし家のうちならましかは
上の高きとたたわきにしより扱ひさまに考へせば歳度に出候
無右と後に心をかゝはりひくき所には打込にし心をめるしらし
又常の雪はしにし己の後の方こし人の立まはらさるやうに
かねてさとりし又とふとき人の前ならましかは其居給ふ方に
一銭八刃のうだ切先字有けるやうに其所高かねてみ積にへきことや
これらのこと受方出らすゝはかれも直心を出ることなれとも猶もしめ
あはなく後薬は病へきこと習ひ也非常の時なとには
こと更其場の心つかひ見切なけれは一とわさかしいと勝れたらん
人も過はおのつかし有へし此見切の大かたには先山坂木の根
大木の並立たる所岩角有或は小石ある処砂地真つち場地むら
有所又は牧屋豊き木の下小松原かや原海へた川へだ堤の上田
のあせ道畑の中又は雨降霧の中雪霜の中ぬかり通
すへり通舟の中又は馬三向ふ故左右のするひ両の脇左左の
もちりあとの敵なとの事更さまかゝりさまのたくひつののさまの夜ひ去まれ
ことものためにはしさ刀の松できあへる様と申
はしさるのおほしさなくはなし種々の所
よろに見極め又かれかしさま行あたち切のまさりおとり給たるに至る
得ぬ処これをそりをもらつき是等のたけひくまても考へ
もとめ急とかふへき事習ひ也夢現にも忘へかしめそれと見切
はおのも〳〵かしわせ行ほく又明暮心にし深くおもふとさもおらぬ
とのわかれより尤の見切せ出来て安具志と共へき殿子心尽
して漸に打なとの事も有へしゆへにわするゝ間なる
なにされに付てもひたすらに見定め聞定めため厚はし定
めおもひなく老人定めて見聞思考せし
此見切は太刀刀の
しさまの三はくのみ
ならはすに出らさのは見切たかひのひ有とは多のじめ諸
しさまの上ことのみ
にあらす凡そことりなへし立あると也常道み辻々ちまたなしたたゝ仕事一家の内にもいゝこれ先つかひを
往来たゝ事をありたらん時ないといてゝ薬のみなりをも家をも失ふへし此も少しろし
とも当事有るとありたらん時女御上候事も薬のみ身をも家をも失ふへし此ことなしは甚しく次々下記を
かりかくしつことのやらにあたひて打過める人もみゆれは聊こゝにも妻なる事によそ藤現等も
かく時の間も等閑して忘るましきはこれのことゆへや
一芝居のことゆへ
暮しより近き世のことと別に夫の処とつくりもふけらる家居有て
つこにして雪はしたることはなくうすく原故とにかたみに
誠之雪はしたる也雨雪降折々霰霜深き時には庭の内にて
古へ人はものさい
古へ人はものされたれたそは軒になれ時にとりてのことなるは有
に習はぬ所を遣していへは此はた様の名あり庭といふも
今はふ庭にはなくて民の家居にて競物俵物なくとり入つみ
こミ置所を今に庭といふ其処の事也武家にも此さまの所
家ことにあり近き無には中の品にもいたらぬ人もかゝるはし
つかたにはかろ〳〵とて出方やらぬことゝ成たゆる故左へさまをしら
さどはいふかしよやうにおもほゆれも世の習はしは時として
交り行ものなれは幾きされておもふへからぬきて其さは原にも
あれ庭にもぬれいつれの処にてもを暮のろにて其世は原にも
あれ庭にも恐れいつれの処にても珍夢の習はし誠に書先交方
そ名ならくかれ己かはかしと報まてとを其所のよきに持出しおり
其間三尺打かは物せ左の方にしなし脇刀太右のからはにし執字
置しかしてかれ一尺五寸ほとさるわて常に成るもなくして扣てあるに
此所へおのれ行て打刀と壱尺五寸もさよりひさよりひさま
つきたしかに見込静に候左の手にて上より打刀の鞘中子取吉
にして鶏口に下より手子かて大指を鍔にかけてすまなりに
引よせ石の脇に立鞘手そゝ帯をわけらさしこみ鞘口字
左にしくおさへ腰に備へ次に書の手は右の股に至去にして
右の足を知みこらて野は絶し此時かれと己ととの間のへたる
り其ほとは太刀の長短によりてかはり有退きにそのへ短きには
つめるなく此ほと子見つもり坐につれへしかくすること形ち
ことに皆同し此ほとたかへは薬はなしかたし居合にも立合
にも此格をはなるゝことなしこのかゝりの場あひとゝのはては
もならぬことなりはかし給ふは風か事や
打刀常に可帯さま
前のことる也左にして鞘を取右にて鞘口を下より取大指を鍔
へかけ前へよせ右のかたへに立て三重なる帯の外の外の方の
一重を分夫に栗形きはまてさしめこと習也しかしてより
刀を左右へあつかひらし帯をくいろに召にて鞘口を取直し
下緒をかけ又たへ移りして先とき書の手は股に貧冷に殺し
鞘口切様
先のことく備へゐて鞘口は切へきこと也此切さままし二種
あり一は鞘手の大指の先高鍔へあてゝつきて切是をかくし
鞘口といふしかすれはかれより見えさる也二には大指のひらる
鍔にかばしをしてける也常の習はしにはかくし切を習ひと
する
座組
鞘口を切て次にし野を組まし右の足をよきほとにすらふみ
出し左をおくりおくるとそふみ出す書の先にしく
踏込たる右を損さまん
こし左を敷て坐するにひさを世右へ開き少し前へかゝり
これを尻合の野といふ
鞘手して刀の刃かたを向へむけて横たへ膝につく
様にして柄を左の脇のかたへ出すへし此時之鞘口臍下のあたり
に出るゝへし次に沓の手子鞘手の上にし針にし斜に掛る也かくする
を衣紋かたといふ
大紋形又衣紋形ともいふ
前にいふ鞘手の上よし柄手を料にかたる手なし手重りて衆の前
を合せたるさまなれは大紋頼とはいふ也かくする故は専々形字
とゝのふべき葉なれはぬき出す刀鞘中をすなをまし出けん
か為也たゝに柄を取出た者取たる時ひときはの力かたかたりあ
つればあらふる故よしこの事のことなくすくよしすへきの習は
しなる事よるに味へ知るへし此衣紋類をして猶も腰候事
開き見込たらんにはおのつから具しとゝのふ也
鞘手のあつかひ
前のことくさしたる刀のことに長きはぬよはなち達きゆへかもし
帯のうちへ栗形を入又も越もすへし返しさるは崩手を
上より取て刃を向ふにしてさしこむ時は栗形は帯のうちに
入也かくする時は長き刀も腹やすし又比しさまの外に水すゝ
ことには栗形を三つ伏ほどにあけて影能しつ
も大にぬき折し左にはかゝる事にも毒しくおりしより
なけて栗形はあつくつける様も近き世には心を用ひて
考へ味ふる人のすくなかれは見さまあしたとやおもひけん一束
あれりに毛さけてつさる也栗類の付髪かしよりてぬきさし
のあつかひにしひの事もおくれはより是貴とも心してあるへき
事にはゝ
柄手の手のうち
衆紋頼より柄へ移す手の内はいかかつも軽くするをにしとりて己か力
字よこさまさしくはふへからめたへ第位の脂五の指はかろしし
めて大指の先にしつりあひしぬき出すへしこのこのとは猶手ふせ
の三種の末にいふへし
鮨のうち
前のことくかろく柄はとりて大指と宮の指とのかけあはせとり〳〵
まさりまりなれして挨にし延す心して静なし刀を抜に
刃をはなしてむねにこゝ鞘うちなするとすらざるほとにして好く
へきこそる也し春経は刀すなをにしてあらふることなし
鞘のうちよりはや癖つきし出れは又そもき哉とく直からぬ刀の
一飛立はおのれか仕さまのとゝのはさる也聊まかことなくおの
つからのよきほとなれは鞘うち直かし刀出て鞘なりけらへ手
のうは敷ましたまへはさやなりして刀はおとり出へしおのかこたつ
も抜さしすへき手もかたなもひとし物もにならん事
子願はへし
ぬき拂ひ
こと調ひぬき出すかし切先鞘口をはなるゝとひしく俄に
気をうつすとなの鞘口まてぬき出したる心をのはしてかれ
か鞘すてもてつき出す右の手の中ほとへ切先三寸ほどせよりたる
所をあてゝ科にし実心におさゆる心字かねらねにつて皆
此時手のうちおのつからしまるもの也春のくくして取合まし
此時手のうちおのつからしまるもの也奉公くして取文をせんとなりと
ぬきつせの時年のゆのしまる所よりの事はおのつかしのことして手のうちてしめんとおもふこゝろもつかわれ
ともたひも此時たしまらぬ〽し其うちにし学ひ侍たゞん人はかきほとにしてすなをなるに驚かゝは
けりまさりあり梅宮城馬心力孔十一心かして手の内はしむへし暫時の頬ち
は右の足子立て左高引なかし少し前へかゝりぬく手を引足と腰の
延とせて已に調屋建建けるゝ龍を是なつるし荒たつもなく腹一く
へき事しなるひ也又鞘手のあつかひになひありこは左右何れ
にもあれ足字引腰子ひとくとひとしくつか手に打むかへて勤手
むしめて書は前に左は後にしかしかひかし延を心案しこれの
事は其ちさまにさりておひきふべししかすれはおのつから
すなをに鞘口を刀ははなるゝなり
鞘手のうつり
前のことくぬにつくるとひとしく薪の手を拵へそゆへしこれも握る心
なくかろく取てかのつくとおさる見てかへてあるに手先
なて柄は握るものとおもふへからめおのれか手もらく握らんとすれは
一かたまし気あつまりてあつかひかたし心にて劔は取てあつ
あはされはおのつからのことはりわたかへはひかゝとは多く
出くるもの也扨先年のうつりはぬよはなしてかれかねへさしつて
とひとしくする子ほとゝはいふ也
打こみ二の二のみこの太刀二のうちともいふ
ぬきつかたる穀の先壱寸のむねに心高くほり遠く思へして頭
にしかさし打込にし初よりたゆみなく在へしかさしたり
之時十なるものゝ七つなして残りたる三つの気字ふくみて
打込又三ツのうち一ツを残して多くはへ置へしみちして
気づきぬれは全くとゝのひかたし明暮習はして其ほじ
よきにしたまふ一から水
左右の手のうち
ぬき付たる刀字左へまはして願にしかさし切先壱寸のむ
年かし気をうつに心にしとく力字もつらく柄字握らす左右の
一大指の先へ心を配り第四第五の指をしめ左右の手子のへて
切先より打おるすへし此時指にもいり掘しむる心あれは
刃気ひらしかたむくか上に打込よはし扨は心に握て
手にて握るへきものとおもふへよ如心にて握れは林なく
気みちらくおのつから手のうちしまりてよきほとにいたりまもと
はいてこぬや手にて強く握り打こまんとおもへは最も力
も掘事亦とゝまりて他へうて美左右しとし置かしならさ
れはかたそけして刃はそむよぬへし打こむ時左に力入
れは又右へわたり右左にし増れて左へ背くものなれ共其よ
きほとて常に心み習はして味へ知へし手のうちよく
とゝのひ切先に心をこけて手先にてあつかはす太刀かたな
己かものとなれはすなもにしてかたきもけるゝもの也いかなる
薬ものなりとも手の中とゝのはてはかみはきれかぬる也
三種の手ふ料たふさは手分也
こはしさまのふし〳〵にしよりて手里ひのゆるふとしまると
つまるとの三ツ也これをぬよ手切手受手といふ此三くさの
しさまの習ひときとしてうつさゝるはならぬこと也先ぬぎ
手といふは太刀刀をぬくへきときの手負ひのかたち少しの
はして手のうちかろくやけしかにしてぬかされに鞘のうちに
さゝ松り出来らにおのつから直くぬくことならぬ次に切手
打込時のかたち手具老のひもつまり遣するかきほくなるを
いふ次にし受手はかれか打込太刀を初へ留るとき行手房の形ち
にてこは手首つまるをいふこの三種のわかちなよし習はし
ぬぐかし切手となり打にぬき手と成受と共にぬき
手なとかしなれは其事なりとゝのはわゝ打込には切手にあら
されは物よるゝこれするぬかへき時切牛受午に成ては鞘の
うちとゝこふり長き太刀は抜かたし又更とむるに切手抜
手となりてお手首のぱく大太刀鑓にらし強くうたれんには
万折りに打立もれおのれか手字打さけられ丸する也短き
鍔刀なと片手つかひにし扱ふ時なとはことに此受手にらし留
されもつよくゝうたれたる時は打落されもし又打さけられ
もする也比三種はおのつからのことなしあれは夫々のしさまに
ことにおのつからうにつるへに上楽なれともこの教子しらすし
てはよきほとたにさま打りたるも多とへは顕よまんに
てにをは語格なとの和かち子去し上もしらぬ初学老の歌人
五おのつからのものぬれは思はすもてにをは語格などとゝの老
たる哥もとみ心得へし是と同しく其事故字しらさる
はおのつからの薬なれはとて夫の学老なけれは人毎に
たれかれもとゝ給ふへきことにあらすされはひか事は出て
る也常に此三くさの教子習はし武得て明して登や
なさましかくやなさましとおもふことなしおのつからことなれて
いつとても此教にたかはぬやうにすへし又前にしいふぬよ
手にひとしくしてぬけれといふありこはいみ嫌ふ事也
これは打込とき手首先まりなてゆるみぬせさまになる子
いふ移学ひには雲日すれは此ぬる手にしなり又は受子と
なるもの也こはなんすへきことなれは心子付く除き去へし
手首ゆるみては打込すはしされは又もおのつかし背くなり此
三種のさまと手のうちを宿え弁へ知らんにはかたちの外に
ねり土字うちこたろみ其味をくはしく知へしぬり土となり
世の釼術者たちかくしさまの上科〳〵なるみなもとは然とき
やうに聞なして業の上の理りにそのはかゝはり何れともそは皆次々の間
はし也もと見をたつね毒しく味へしらねはおのつからの理り二
たかひぬへしおのつかしのことほりましたまふは皆さまさこしなれはなり
なりさま
こは駒の見切せて居より次ににして二のめ字打たるに残るかた
なしとゝのひ難すへき所なきかたち子いふ也成は成熟の
ことはりさまは其しさまのもにて次々に比ところまて
のしさまくれ〳〵とゝのわては其場にいたりてはかく其崩れ
あやまち出来れは明暮に学ひ習はして医々か身こり浦
を調へ置へき事也一かたに学ひたらんにはおのれかもの
とならされは物の用はなしかたしよくならほしとゝのへら
我ものとなすへきことにこそ
取くづし
なりさまの上にて剱字鞘に納むへきまてのしさまねいふ也
則打込たるに右の手字かへして逆かし柄字取前に
立らる足を引とひしく右へ剣高引て又かた字外にして
股の上に置置へし辻とき初めかゝり残もく爪立て右をつ半
右のひさは少しうかけて省へし次にし鞘口に手をかけ
剣字かへしはゝきより三寸ほと至て鞘口かしあらむねを引
て静に切先に至り鞘の中こゝかしこにちららぬぬき出る
時のことくすへし全く袖め終りて初のことく鞘手たしかに
うしてこしもとにし浦へ右の手子股にし付一し剣の祓納如は
時の息合にしらつしてあつかふへし聊もひか事あれは
剱字おのれか物として心のことくあつかふことはなしかたしさて三
尺より長き太刀のことに重れは取崩あつかひかたき人も
あるへしこゝ子扱ふにはさか手に剣の中取子右の脇に
さかさまにたて夫より前のことく鞘口にしあてかひて
納むへし又逆手に柄を取たるにし柄を前へ出し左のかめを
鞘へうつし剣は右の足の上にも置しそは時によりての
しさまなり
名ごり
初よりかれか目さしを見つめてあるに次々に薬をなし
ことはて既にし取崩鞘に納めたるる後丸気たゆすめ又も
多し主に見込をいふ也見込といふはたゝ見たるのみかし土
羅すよく見つつたるをいふ也此月迄をなしてより龍判字
さしたる時のことくそ高うらうへの順にしてもとひたる処
にし居へておのかゐるへき所へもとるへき事習ひ見込目字
もつゝかれがまさしてみる一からす己か心字もてかれか心を
見へし常の習ひはことにのそみて死なん死なしとするさ
か老の習はしなれはたくなし雪はし雪はし置へきことにこそ
古十七ヶ条は居合のしさまやこの教なたへゝ学老
てとゝのふへしこれに対にし鞘巻子用ゆる
このまたならひあり
見切
受かたの次々
此しさま初に同う
せうゝ
其場所々を見たゝめたぬかたなる者打刀と勤春と字携へ
出可ししさまは打刀の柄を左にし鞘巻の柄を右にして
組合せ左に脇はさみ常の手を下よりそへらに持出し
芝居にしつきて兼而見空くめなさるよきほどの所にけし打
刀をおさ間三尺字へてたてゝ鞘れゝを置迄又壱尺程もと
かりて常のことく聖しかれか出る子待へし
腰刀可帯さま
前のことくしへ有にかれすみ来りてひさまつくと
ひとして見込へし見込のことはしかしてかれ打刀字とらは己も
同しく左の手を上よりさやの中ほとにしかける右字下より鞘口へ
かけてひさの上に取ある肌にしさらし下総子上よりこけ
二ツにし分て一筋は其侭置石助は下前へとりかへ江廻して
下なるとなゝめにしむすふへし鞘巻は手緒の時かた手にし
ぬく物なれは鞘手かけすしても鞘ともにぬるさるやらに
巻てとはるなり
坐組
前のことぞ下緒をとめて直に其所に坐する也其かたくの
様は己の肩のいたりてひとしなみまし雛高花左の手を鞘口
にかる書をひさに置見込てかれかささご字見つもり背
へし
鞘口の切さ末
こは習ひなし鞘手明きてあれは鞘口まし手をかはれも
組打なとの時又は物むことめかしここゝ取なとしたるには片手
ぬきにするものなれは別にしるひなこし
手のうち
かた手とりのものなれは初より切手に取へきとなる色也手の内の
こたろ打込ときのこたろの如くあるへし太刀打刀は長きもの
物ぬに手にあらねはぬさまとゝのはねども難春は難き
もの故初より切手に柄は取へし
ぬきはなち
こも歩れか腹へつけて横さまにぬき出し斜にし草摺の間
字つくへき事なるひ也其志さまのかはりは正面と左に
更だる時はかくすれども右なる時はさか手に柄を取抜
天笑へしさて抜出すよし順成とも逆折りとも難渋にて
先のゐるはしには長き太刀なくぬるへき心さまして鞘うち静
・
にかれか長き子腹其ほとにししたかひてぬき出へし其ぬ
き出すべきよきほといふへきはかれか刀鞘子はなるゝ処を
みて突出すほとにして有へしこれ子習ひとする
なりさま
かれ打込取崩すほとをみて直に順なりとも逆なりとも逆
夫のまゝ右の腕のうへよしすへて見込てあるへし迚時の
かたち玉組のことくなるへし
取崩
次にしかれか納るさまねみて己も鞘口に至手をそへて引渡
こし静に納る事前のことししかして下諸字ときて有
へし
名残
次によれ打力か子下におかは忽も変置はれ退き行は其さまを
聊見送り堤かして初の如く組て持返くへきことや
右之十ケ条者鞘巻にて打刀にむかへる
のしさまなり
みまなり
剣あつかふし和さの教たるはしことは次に何に流
これの派といふ事出来ていとさわに成たりそ
をいかにとおもふまし人々の学老たらむきさみ
きさみおのかしゝの癖かたちそ多かるかにしかれに
是の有とは打とつくとのこつの外はあらめめ
の学老学重信大人からふして得給ふ心はしより
の露は聊乍姦くせかたちのひかゝとなくすなは
なるおのつかゝのかたち子そかまゝかしし給ふ也
又太刀かたな行長短のことにもこれ又おのかしら
空くめたるかたおれとこは皆考へのいたえぬかにして
誠是実むへきものにしあらぬおのか身のほと
ほとにしよりて人毎にむへしされとも其
大むね子いはんには太刀は弐尺五寸よりみしかき
は其利しらすく打刀は壱尺五寸より短きは無徳
なり鞘巻は壱尺壱寸子かきりとすへし短き
に徳ありて長きはあしき也うてとめなとは先は
せつ打込こともなも突のみ子薬とすれは短き方
に利は有也この太刀かたれはよく撰ひて身々
の守とはなすへき也いてや此一生には重信大人より
つき〳〵きて伝りにたることゆへにしあれはみたり
にしららすへきにしあらねとこれのことにし心とゝめ
て怠らす学ひ給ふけるみ心さしの厚さにめ
てく猶つきて伝ふるなれはむつかそはおもひ給ひ給ひ給ふ
ひそなゆめ
文政二年
窪田源清音
二月廿一日
105105円
狩
十一日
32291
第10円
32291
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