刀剱問答

creator
伊勢貞丈
created_at
2026-08-17T19:23:14.115Z
updated_at
2026-08-17T19:23:14.115Z
field_rights
CC0
field_creator
伊勢貞丈
field_language
日本語
field_has_image
true
field_identifier
10010000002213
field_ocr_status
completed
field_title_yomi
トウケンモンドウ
field_attribution
東北大学
field_oai_datestamp
2025-11-13T05:30:11Z
field_oai_identifier
10010000002213
field_ocr_updated_at
2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
刀剣問答 刀剣問答完 十四丁目 図2 丁 刀剣問答 一目録 御剱 御剱鞘巻の太刀 糸巻の太刀黒太刀 白太刀銀釼 平鞘の太刀浅庵の太刀 陽の太刀陰の太刀 つかひけはき太 さけ太刀野太刀 兵庫繰いか物作 脇差の太刀小太刀 中栄太刀御はかし 太刀の鞘袋かんたうの帯とり 雪の下のおひとりか布のおひとり たくほくのおひとり尻韶 太刀に塗衣付る太刀はき様 太刀に帯取結付鞘巻の刀 白さや巻ゑほしかたの韻巻 ゑ老鞘まきさらまき 刀ちいさ刀 さや巻拵様鞘巻柄を巻 鞘巻軍陣に而も柄不巻小刀かうかい 下緒むすひ様むきめ山緒 山龍の色刀虻打袋下る 打刀御は刀 打刀御は刀 上総忠光か打刀小打刀 脇差脇差小尻丸する 脇差 下緒 わき指正純結様脇差の刀 大小之名目守刀 守脇差と不容刀脇差飾の名 一刃引鎌倉山徳并下緒 刀脇差飾の名 鎌倉山徳并下緒 葵鍔梁鍔 鉢鍔 追加 かんたらの帯殿濡子銚子の帯殿 おむとりす法下緒の寸法 刀さす帯太刀柄糸の介 太刀柄糸の色 延崎 まち鞘は太刀に弦袋付る 聖栖の刀草包太刀 一太刀に絵袋付る 一長伏輪太刀丸鞘太刀 一錦包太刀下鞘 見歌正法神に不納 葬送供腰刀柄鞘結袋に入二重下緒 刀劔問答 一上古には剱と申は両刃にて候由承候旧記に御剱と申事 有之候是も両刃にて候哉 一鶴宛に公方様御剱と有之は両刃にては無之常之御太 刀の事にて候貴人の御太刀をは御剱と申儀うやまひ たる詞にて候又公家に勅授帯剱と申事候是は文官迚 武役にてなき衆は太刀を佩事ならさる作法なれとも 一勤方によりて天子より御免を蒙りて太刀を佩事は 候帯剱と申せとも両刃にては無之常の太刀にて候 一鞘巻の太刀と申は如何にて候哉 鞘巻の太刀と申名目古は無之さや豊の刀と云物有 之候後世糸巻の太刀を鞘巻の太刀とよひならはし候 元本ヶケ 是あやまりにて候 糸ニテ巻タルヲ糸巻太刀ト云革ニテ巻タルヲ革巻太刀ト云 惣名ハ巻太刀ト云 貞文云巻太刀ハ武士ノ太刀也公家共不用之又今世糸巻 太刀を鞘巻太刀ト云は誤也鞘巻ト云は腰刀なり又今世糸 巻太刀を陰の太刀と云も誤也太刀に陰陽は無之 一糸巻の太刀と申は如何 京巻太刀は今も世に鞘巻の太刀と云物にて候我巻 の太刀と云るは本式太刀の柄をは糸はまかぬ物也 一公家に帯せられ候太刀も品々有之候へ共柄を巻く事 一無之候古武家にて帯し候白太刀黒太刀と申も柄巻 事無之候然とも京巻太刀は軍陣に帯し候太刀にて 有之間柄を巻候也柄を巻事は手たまり有之宜し きゆへ豊候也依之我豊の太刀と申候古足利公方 の糸巻の御太刀は何れも鞘袋に入候赤うるしも黒 きも有て扨は琴の魚にて巻かなぐぬりかなぐ目貫 丸の内欄を焼付にするはゞき金也鍔鶴輪なし又 巻糸紺紙黄もありおひとりを付たり銭は羊つば黒 ぬりにして金覆輪ありせつはなども黒ぬり也瑕は 一重鍛銀にて中に金の八重菊の彫物あり目貫は金の 三鈷也是等皆ふるさ糸巻の太刀の体也 一黒太刀と申は如何 一黒太刀は黒く作る也宗五一冊に云黒太刀迚鞘塗落し 一柄鞭をかけて黒くぬる金具赤銅に而うけ粉もぼり 出のこたるべし目貫我家の紋を焼付にすへしおびとり しやうふ革足あひも柄も豊かず是を黒太刀と云 一伊勢守貞孝谷書言黒太刀ト云ハ鞘ハ黒ヌリ余一具ハ赤銅ナヽコト 地柄ハ鮫也目貫ハ我家ノ教ツカ巻ズ也足アヒヲ黒葦ニアヌヒクヽ ム也帯取ハヒキノ皮ニテ候ト見二帯取ノ足間々アタル所ヲ黒草ニ テ包シヌヒクヽムヲ云也 一白太刀と申は如何 白太刀は銀作り也古は銀作りの物をは皆白と申候旧記に 御太刀白と有事も銀作りの事を云宗五一冊に奥 刀迚柄鞘共に白しと有じ是柄も鞘も銀ののし付 なるを云也此外の事は愚太刀に准し表裏すると心得 へし宗五一冊ノ一本ニ拘銀ノ打サメト有リ金貝皆銀也是も帯取 はしやうふ草也貞衡曰貞文ヨリ六代前おひとり足間の前 白き唐物にて作る也云云白き唐物とは白地の金額にて 帯取の足間に当る所を包みぬひくゝむを云也以にしへは正 式の時は大帷子の上に単ひたゝれを重ねて着するなり 其脛は尤自身は白太刀を帯し供には黒太刀を持せし よし宗五一冊に見えたり 一銀剱秤領之事大的の書に有之銀剱と申は如何 銀剱とは白太刀の事也銀剱と書てしろ太刀と読むなり 一王鞘の太刀と申は如何 一宗五一冊に云御ひらさやと申て御装束の時もたせられ候 御剣一段結構成金作にてしるされす候惣して何れ の公家もふんさい程ひらさやをは御本走候云々是今世に 一諸府の太刀と申ならはしたる物にて候又毛抜形の太刀 共草絹の太刀とも申候本名は蒔絵の夥劔と申なり柄は白 鮫をかけ糸をは巻かす目貫は毛抜形といふ物也柄頭に 紫草又は藍羊抔の緒を付能しめの金物を入緒の先には 細長く先ふとく少シとかりたる金物を奉る是を露といふ 鞘は紫檀又は説なとを用て薄絵をする也又沃秘地にし て蒔絵をして春具にて絵様を置たるをは蒔絵螺細 是は大臣の大将将軍家なとの 持せらるゝ太刀也此外品多シ略之 一厳府之太刀と申は如何 右の平鞘の太刀の事にて候漸々は近衛兵衛衛門の事也 府とは近衛兵衛衛門の官人の役所也東府の官の人の 帯する太刀なる故織府の太刀と云 一陽の太刀と申は如何 陽の太刀と云名目ハ古はなし今迚も公家方にはなし 只近来武家に而申出したる名目也衛府太刀ゑふといは すして悪うと云事暫也氷府の太刀をもゑうの太刀と 〽云事習なりそれを心得違て陽の太刀とあやまり云也 一陰の太刀と申は如何 陰の太刀と云名目も古なし今も公家方にハ一向なき事也 是も近来武家にて申出したる也忝府の太刀を陽の太 刀と心得違て陽の太刀あらは陰の太刀も有へしとて 京巻は今時 鞘巻の太 糸巻の太刀をしゐて陰の太刀と云ふらしたる也 刀と云もの也 委くは前に見へたり 一つかひ太刀と申は如何 是は祝儀礼物なとに進物にする太刀也今上り太刀と云物也 是も古のつかひ太刀はなまくら刀を太刀の如く粗相に拵へ たる物也鍔に金覆輪をヤキツチイ也する故旧記に金覆輪 の太刀共云真の愈覆輪にはあらす 使太刀ト云物は応仁の乱後世上貧になりてより使太刀は初りタル 也使ヒ物ニスル太刀ト云コト也伊勢守総守貞収ノ私力記ニ柄鞘 ヲ只一ハケ塗リテ帯取ニハ紙ヲタヽミフクリンハ押スト見ユ 一はき太刀と申は如何 つかひ太刀に対してまれぬ為にはき太刀と云なり 腰に佩太刀と云詞也よろしからぬ詞なり 一さけ太刀と申は如何 是は門役辻園なとの時敷皮の上ニ座し太刀を佩すし て手にひつさけて持つ事を云也さけ太刀の作法とて 一別には無之常に佩太刀を提る也 一野太刀と申は如何 聖太刀に二品有て一ツは前に申公家に被用候平鞘の太刀也 是は野劔と書てのたちとよむなり二ツは軍陣用ゆるも の也一名は長太刀と云長具足とは長刀野太刀に鑓の事歟と 云事天内同谷に見へたり大内左京太夫義興間伊勢守貞隆正王之 貞衡言野太刀は長サ五六尺にてはの方なかごの方同じ 程にしてなかこの方をつそ引の様に心そく青染にて ひしく巻き柄もなし鞘もなし当世ハなかまきと 云ふれ候太刀に存候も有之候云云是は敵を敲き倒す道 貝也刃もなき物也木刀の如くに鉄にて打り也縄にて牛込 にかけて背に負ふて出るなり 一兵庫くさりの太刀と申は如何 貞衡云兵庫くさりは軍の時佩おひとり無之くさりにて 太刀を佩腰帯にはさむ也云々帯取無之とは常のおひとり は無之と云事也腰帯にはさむとは鎧の上帯に引通し 佩事なり是は兵庫繰に限らぬ事也紀州家の御内衆 渡辺縫殿助源宗歟といひし老人兵庫繰の古き圖 を見せたりし其図の趣柄鞘ともに銀のののし付なり 柄のかぶとかね猿手なと京にての太刀の如し筋かねあり しめかね三品に有り目貫家の紋錫は丸鍔切羽其外皆金 貝とも銀なり大せつはひし花形也鞍の芝引もよせ小 尻の方まてとほすしめかね三所にあり足の所も皆銀也 かはさき草のある所革にはあらす銀にて花むしの座あり て両面の菊の花形の津心を出し其津心ニくはんを付け くはんに銀の繰一筋つゝ付それに銀の繰のおひとりを付る 足のくせりはふとくして輪細長しおひとりの繰りは 丸くして少き輪也おひけりの先にしやらぶ草を継き付 る是は鯨は結はれぬ物故結べき為に草を付包さやのしめ かねの間々家の紋をけほりにする惣地はなくこ也又先年相 州の白旗大明神の宝蔵にある頼朝卿の兵庫錦の太刀 を見し事なりそれも右に言所に大方違はす鞘に評象 の紋笹りんたるを毛彫にしたり帯とりの説の先に串 を付けすもしね久しうして切れ失たる者歟又三嶋社 蔵頼朝卿の兵庫録の図を見るに古に言所とは少違あ り熊の皮の尻鞘かけたる体なり是は兵庫繰にはあらす いか物作りの太刀也 貞文云古禁中ニ兵庫寮云役所有リシ也武具ヲ造りテ納メ置ルヽ也 其蔵を兵庫と云なり其兵庫寮ニテ武具ノ奉行スル役人ヲ兵庫頭 兵庫助兵庫允ナト云也其兵庫寮ニハ甲冑カ剱ヲ始メスヘテ武具 ヲ作ル職人ヲ石置テ武具ヲ作ラシムル也兵庫弁ノ太刀モ兵庫ニテ作リ タル也兵庫ニテ作ルハ上手ニテ細ク宜キヲ賞翫シテ兵庫鑞ト呼ビタ ル也然ル故兵庫ニテ作ラヌヲモ細クヨキヲハ兵庫鑞ト云ナリ 一いか物作りの太刀と申は如何 いか物作りも兵庫繰りに似て少違あり諸間書条々記 記者不詳一名正月二九三記ト云室町殿時代ノ書也 太刀にいか物作りと云事をは今の世に是を知らす鹿の皮の風 さやかけて足は兵庫弾にて七足也柄の甲金も常よりは甲高き 也武者の時はく太刀也云々兵庫繰に七足とは兵庫鐐の如く 銀の鑞を付るを云七足とは是に錠を七筋つゝ付るを言なり 渡辺宗冬いか物作りの古図を見せたりし其図の趣柄鞘共に 銀ののしけんかぶとかねふとく長シ筋かねあり中にはゞ広さ しめかねありめぬきは家の紋也柄頭に穴あり銀鎖を通す 一鐸のうてぬき也予の端細長く先ふとき金を露に付るさやは 兵庫鰈の如し足の所も同しくわんありくわんに蝶を七筋つゝ 付ておひとりを通すおひとりは裸にあらず葛蒲草也 鹿の皮の皮の尻鞘を懸るよし見えたり 一わきさしの太刀と申物有之候哉太平記に南都の衆徒は面々 に脇差の太刀なと用意せしと有之候此脇差の太刀と申は如何 一脇差の太刀と云物太平記の外旧記に見及はす候是は脇差と 太刀と二色に而一少有之候脇差の下にのゝ字有之殿不審に候 のゝ字入たるは若書あやまりにて一有哉と存候 一小太刀と申は如何 小太刀中半太刀と云事旧記に見へ候得共慥成るは無之候 長短によりたる名目にて可有之候作り様によりたる名にては 無之候惣て太刀刀の寸尺は其人々の大小力の強弱による事に 弐間定たる寸法は無之事に候間いかほとを小太刀いかほとを中半 太刀と定りも有ましく候たゝ見たる所の小きは小太刀中位成は 中半太刀といひならはしたるなるへし 一中半太刀と申は如何 右にしるし候 一御はかしと申は如何 貴人の御太刀を御はかしと云也太刀ははかしめらるゝ物成 故御はかしと言也たとへは弓を御たらしと言に同し御 たらしは御とうし也たとこと五音通する也弓は手にとら せらるゝ物なる故御たらしと云に同し 一太刀のさや袋と申は今のひきはたの事ニ而候哉又瓦鞘の事 に而候哉如何 鞘袋はひきはたの事にても瓦鞘の事に而もなし奢の柄 に錦をかけて包み難く縫くゝみてその上[ニ]目貫を置柄糸 を巻也かふとかねこしもとかねも錦の内にこもりてあり 一鞭もかなぐの上より錦をかけ包みかたくぬひくゝみて其上 にわたり巻をして是をも付る也我家に伝へし小烏 丸の太刀の鞘袋右のことし是は応仁年中作りたる由 申伝る也其代にさや袋といひし物此躰を以て知るへし 宗五一冊に公方家の御太刀はさや袋に入るとあるは此事なり 一但鞘袋は原巻の太刀に計り有也白太刀黒太刀平鞘ひと にはなき事おと 一かんたうのおひとりと申は如何 かんたうと申はいにしへ唐土より渡りたる織物の名にて候夫 を畳みてくけて帯とりに用ひ申候おひとりは太刀の緒に て候是にて太刀を佩候猶追加委之 一雪のしたの帯取と申は如何 ゆきのしたも唐土より渡る織物也前に云ことく惣て用 一布の帯取りと申は如何浅黄の布を畳用申候 一たゝほくの帯取と申は如何 たくほくは啄木と書く也木をついよむと読なりけら つゝきと云鳥觜にて木をつゝきたるあとの如く白青紫 萌黄紺なとの糸をませてまたらに組たる平き緒也 打刀の下緒の如し是を帯取にするなり 一一厩鞘と仰付て毛皮の袋を太刀の鞘に着せ候は何の為 に候哉何み皮本式にて候哉 一太刀湿に逢候得は藉る故雨露を防く為に尾鞘を掛る なり瓦鞘の皮は鹿皮通例にて候行膝鞍覆泥障の 類すへて毛皮を用るに足利殿の御代には虎豹の皮は唯 将軍家吉良殿三職の外は不用之態の皮は弾正の官の人 ならては不用之也瓦鞘も其通なるへし 一太刀に弦袋を付る事有之弦袋と申は如何付様如何 一弦袋ハ弓の弦を巻き置もの也今水口ト云所ニテ車ノクキヲ組上ラ作也 一革にて輪の如く成物をうして両方に縁を付て豊たる法のは すれぬ様に作りたる物也草の緒あり緒の端組合に而はなに して置なり重はなへ帯取を通して置也然れは法袋は 足間の所にある也信袋は軍陣の時付るなり猶又未追考に記ス 弦袋ト云は弦巻の事也近世別に錦なとを以て袋を縫て弦袋と名 付テ用ユルハ誤ナリ大イニ故ニ違ヘリ 一太刀の佩様は如何に候哉 太刀を左の脇腰に出しあて扨二の足のおひとりをは帯へ 上より下へ引通して其端を足間へ引出して後足廻すへし 一の足のおひとりは帯へ上より下へ引通して其まゝ前へ廻す へし扨前後のおひ取合て右の脇にて結ひ諸はなにして 軍陣の時は結あまりを三ツ打の如く総て終りをかたく 解ぬやうに留置へし常には組に不及也啄かば空解す故組置 一太刀におひとりを結ひ付置様如何 べき也 たくほくの帯とりはふさ先を上へ通して結びたるか能 なり布の帯取りは引通さすして結かけてはなに成やうにす へしたくほくをわなにすれはそらほとけして解るなり と旧記酌弁記に見へたりいにしへの結様は此品の外はなし 近来さまゝの結様藺にはやり候也 一鞘巻のかたなと申は如何 さや巻の刀一物多名の物にて候さゝ巻とも腰刀とも腰の物 ともかたなともちいさ刀共申候近年ある人の書に是等を別々 の物の根に書たるはあやまりにて候鞘巻は長サ七八寸より九 寸斗迄也柄には糸をも革をも不巻鮫を着せてはなし目 貫也又唐木にて柄をして只めをきせぬもあり赤木の柄な どゝ云は此事也鍔をうつ事なし鞘はきぞみめを付るなり 小刀かうかいをさす長き下緒を付る鐺をはけたに切るなり いにしへの武士は直乗素袍の時も肩衣袴の時も朝暮是 をさす也今も猿楽の狂言に古の大名なとの形をまねて蒙 袍着てはなしめぬきの短き刀さすは鞘巻の刀也猿楽は昔の 風俗を改めすして如此する也鞘巻の刀と名付る事は此刀 をぬきて働かんとする時短き刀なる故はろくすれは鞘乍ら 帯よりぬけて来る事ある也依之此才をさしては下緒 を帯の上へ引越して鞘に一巻まとひ一むすひして其 余りを垂れ下るなり如此すれはぬく時に鞘は常に留る也 鞘をきさみて葛を巻たる体にして塗かなり 日本紀ノ崇神帝ノ紀ニ菟頭羅佐波摩枳ト有リ上古ハ葛ヲ以テ 太刀刀ノ柄鞘ヲ纏テ漆ヲ以テ上ヲ塗ル今ノ鞘纏ノ體也ト釈日本紀ニ 見ヘタリ職人足ニノ絵ニモ鞘巻ノ鞘ニ葛ニテ巻タル如クキサシメヲ付ハ タル体ニヱカキタリ葛ニテ巻タル体ニ作ル故鞘巻ト云也一説ニハ是ヲサ シテ下緒ニテ鞘ヲ一ト巻キ巻ユヘサヤマキト云コトモ云ヘリ鞘ヲ刻ミテマ キメヲ付ルユヘ鞘巻ト名付ルト云フ説マサルベシ 一白鞘巻と申物平家物語なとに見へ候是は如何様の者に候哉 前にも申ことく白と申は銀作りの事ニ而候白太刀と同意 にて柄鞘ともに銀ののし付惣体銀作りなる鞘巻也 一烏帽子かたの鞘巻と申物旧記天妙記有之候是は如何 一柄頬をゑほうしのいたゞきの如く三角にする事に而候也 一海老鞘巻と申は如何 柄も鞘も海老のかようの如く刻みめを付て朱塗りにす るなり繍の所術老の腰をかゝめたる如くにして尾の形 をも制むなりカミタル所は稀りせかゝみたる内の方に穴をあけて をも刻むなり 短き草緒を通して脇差の下緒のことくむすび下る 是を犬まねきと言是鍋の飾なりかゝみめの方は少し ふことし海老ノ腰二重ニ折タル形ニスル故少フトクナル也柄にハ太刀の如 くかふとかねあり小刀かうかいさす事業の鞘巻のことし 下緒はひきめ革也犬まねきの結ひあまりの端は靭さき に切るなり酌并記に海老鞘巻には必ひきめ下緒を付る ゑひ鞘巻ならねともこゝはの時は心ひきめ下緒を付ると あり義家朝臣の鞘巻の図を見しに右体にゑび 一鞘巻也是は犬まねきも下緒も盗草を用ひられたり 一さうまきと申は如何 さうまきと云も鞘巻の事なりさやまきと云詞轉し てとうまきと云なり左右巻と書はあやまり也鞘巻と 書てさうまきとよむへし 一腰刀と申は如何 是も鞘巻の事也鞘巻の刀は常に腰をはなさぬ刀なる 故こし刀と云也近年ある人の書に腰刀と鞘巻を別物 の様に書たるは誤なり 一腰の物とは如何 腰の物と云も腰刀と云も同し事也鞘巻の事也常に腰を 離さぬ故の名なり又太刀打刀なとは常々は帯せす供に持 する物なり鞘巻は朝暮腰を離さぬ故腰の物腰刀な とゝいへはまきれもなく鞘巻の事なり 一刀と申は都而刃物の惣名にて候今は脇差にさしそへ候長き 刀を刀と申候旧記に刀と有ては今の刀の刀の事に而は無之様に如何 一旧記に刀進上刀拝領刀引なとゝ有之は皆鞘巻の刀の事 ニ而候是は腰刀と云事を略したる詞にて候今刀と云ものは いにしへはうち刀とも錫刀ともいひしぬ 一ちいさ刀と申は如何 古ちいさ刀といひしは鞘巻の事なり是をちいさ刀と云は 打刀に対したる名也打刀は尺長し鞘ゆりは短しされはち 近衛殿 いさ刀と云也昔万松院殿義晴公の御代に恵雲院殿え御座候 植家卿 紅の直垂にちいざ刀を添て参らせられし例によりて 今に近衛殿にはちいさ刀をさし給ふなり此ちいさ刀も鞘 巻の事なり今世にちいさ刀と云物は打刀の形也古のちい さ刀とは別なり 一鞘巻の拵様委細承度候 一宗五一冊に云金刀は御禁制に而候乍去いか程を金刀と可申 そと候し折かねくりかた柄口はかり金に而候ハ不苦候如斯 作たるは只絵たるにて候鐺柄頭目貫からかい小刀柄金にて 候はんするか金刀たまへく候つかうちさめ金薄金字数ノ如クツブヲ 少安ナリ鞘のしつけ金ニテ鞘ヲ包ムナリ又金具目貫笄迄金 なるは中々沙汰に及はず候いにしへは老様なる刀をはさも ある人はさられ候はす候或は小者房なとさし候しから木の鞘 かいしき鞘なとは若き衆はさゝれ候しそれも殿中に而は 見及び申候はず候おし鮫又あい鮫なとかけたるを年寄 たる人はさゝれ候し又公方家の御腰物ハ鞘塗り落し つかかはこしもとかね鐺物かしら同前それを黒く資れ 候のみ入つか口金鍛同前御目貫丸の内につふ相焼付 御開赤銅平焼付又是の左右に御目賞の如なる物を 焼付候桐八ッ有御笄さきを二三寸おきて金にてそきつき につくなり御小刀柄望くわんあり又つかごやなし地金具 赤銅御餅目貫前の如し又かうやくさやのも候し 一又普広殿義教公富士御覧に御下向の時さゝれし 御腰ものおりかね獅子栗形に同二疋あり小尻栖頭にも 獅子すはり候物鞘右たゝみ金と具にて入られ候寸も少し 長く御坐候得大概御腰物九寸八寸八寸八寸八寸いくつも 御座候へ前にしるし候作りに而候御さげ緒は茶の糸又は 紅と茶にて一寸またらに亀のかうなと打ませも御坐候 つる唐紅の御下ヶ緒は見申候はす候又若き人なとはなし地 いつかけ地の刀もさゝれ候のし付うらのし付抔は近年 人の御さし候もとは前え申候ことく小者房などなしては さし候はす候云云貞親教訓書ニ云 刀の事御前にて立振舞にわかきも九寸斗の刀上代より 伊勢守長禄年中ノ書也ト云 本とす近代ニはそのやううせぬれは長きは至極一尺八寸斗歟云 一鞘巻の柄巻く事も有之候哉 本式ハ柄まりぬ事にて候軍陣には巻く也東山殿御代より常に 柄はたるをさしたる人もありしと見ゆる也宗五一冊刀の 柄を糸にても革にても加え事陣中にての事なり烏帽子 一禄の時たたる刀さすへからす云云又御供有実記に曰 伊勢備中守貞藤之記七刀の栖豊候事御はれの時も又常にも 有まじき事ニ候尽候事ハ近代の事ニ候又言大かたひらの 時指候はんする刀は鞘まきにて候中間も同前に候然とも歎走 なくは中間は例式の刀苦からす候歟因はさや如く可然候主人は 勤はならては叶ふまじく候云々例式の刀とは物はたるを云 其比柄豊たるも多かりしと見へたり 一一鞘巻の柄軍には豊候由承候然共忠度朝臣の最後にさゝ れし刀は赤木の柄に白かねの筒金巻し刀也九郎義経公 の鷲尾に給はりし刀は花煙木の柄に筒金入たる刀なりし 由源平盛衰記に見へたり是等は戦場なれ共柄はさる事 は如何に御坐候哉 一軍陣にも柄はかずしてさす事は今の好によるへし軍陣に は必柄豊くを本弐と云にはあらす柄巻けば手たまり有て よつしき故利用の為に巻也豊すしては叶はぬと云に而はなし 一鞘巻に小刀かうかいさし候事何の為にて候哉 刀にさす小刀をは添子と申候宗五一冊其外旧記に見へたり 刀にそへる小刀と云心也小刀は常には紙などをもたち薬なと食 絹ヲ通 ス事ハ ふ時は彼なとをもむき其外色々の用につかふへき為なり 入道首 戦場にては敵の首取りたる時に刀に縄を付て針にして ノ事也 俗ノ首 首の口より切口の方へ縄を通す時に囲申候前に記す如く ハ髪ヲ 八カケ結 小刀の柄にくわんの有之は其くわんに縄を通すへき為なり ヒラト 又くわんなきもありそれは常の時はかり用ゆる為に作りたる ツケノ 緒通シ なり又古き小刀の柄に柄の尻の方に穴をあけたるも有之是 午二 塩ニテ 付ル也 も縄を通すべき為の穴也又からかいは髪かきと云事なり 髪の中のうゆき時髪をもかき髪のそゝけをもなてつくへき 為なり本の方に平かきあり平をもかくべき為也からかい は鉄にて作らす何れも赤銅にて作る也烏帽子なかぶ り甲をかぶりたる時は箒をおしまげてかゆき所まで とゞけて書道敷為に赤銅にて作りおしまけらるゝ様 にしたる物也此外別に殊なる用かたもなき物なり 一腰の物の下緒結様如何 一配舁記に云下緒結ぶ事人の着物を着することく重ねて にかゝりて下へさかりたるか能なり 一むすひ結ふ刀は上の方へむすひめのある様に結ふ刀の鞘 一ひきめ下緒と申は如何 いにしへははれなる時は必むきめ下緒也海老鞘巻にも 付る事前にも題は貞衡云ひきめ下緒はひきめ革の下 絹也黒く塗りたる草に赤くわらひ手の様なる形を書 たる也と云 一下緒の色は何を本式と致し候哉 一酌弁記言下緒の色は定る法なして云云諸大名御成記ニ曰記は 不詳大館家ノ書也常々下緒の色紅浅黄紺なと不苦此内紫 をは用捨の方も在之皆茶の事は公方家御用多分可令 斟酌也但六分またらの時は茶も不苦と云蜷川記に云下 一緒の事いつれも用候伊勢守被は官人蜷川新右衛門親長ノ記也 正月御事始之記ノ文蜷川記ニ同シ但主人の不断被用候色を 八静酌候而も可然候か又くれなゐの事其扱ニも不及候不苦候 御事始之記ニ誰々もサゲ申候也次に寸法の事刀に合候而飽程に 仕候かさのみ長き下緒も不可然候也 一刀に火打袋付る事如何火打袋如何様の物に候哉火打袋は 火打かま火打石ほくちを入る袋也薬なとをも入る也火打 を持事夜行なとの為也太刀にも火歩袋付る事あり太 刀に火打袋付る事は日本武尊より始れり火打袋は織物を さしはたし六七寸計に丸く切て裏を付縫てめくりに糸 にてかゝりをさして緒を通して引しむれは袋の如くなる なり色も不定也刀に付るニは粟形のもとに結ひ付るや結様 法式もなし太刀には一の足の所に絡付へし家五一冊に云 火打袋は四十以後さくる但しそれも晴の時は斟酌ある へし殊に大なるはわろし去りなから宿老入道はくるし からす候也武雑記ニ云伊勢守貞孝ノ記也御前又は晴の明火打 袋さけ候事若き人はあるましく候四十以後は御案内申上るに 不及さけ可申候但病者なとは薬を入候間若支人も御案内 申上而提ゆ半かと云云正月御事始之記に曰伊勢六郎左衛門尉貞之介 刀を人に遣候時自然火打袋を提申候時は取候而懐中仕候而 記記 扨可出候袋共に遣事不可有之云云 一打刀と申は如何 一打刀は今も刀となつけてさす長き刀の事也鞘巻は人を さし透す刀なり打刀は人を打切る刀なる故打刀と云なり 古の武士は今の世の様に脇指と打刀をさし添る事なし 自身は鞘巻の刀をさし太刀打刀をは供に持せし也近年 ある人の書に今の刀は古の打刀にはあらすと書たるは甚誤 りなり今の刀は古の打刀なり 一鍔刀と申は如何 宗五一冊に云打刀をば鍔刀とも申也と云々鞘巻の刀にはつば なし打刀には鍔ある故鎗刀とも申なり 一上総五良兵衛尉忠光か懐に持たる打刀は一尺に参りしと東鎌 に有之候此打刀は甚短く候此時代の打刀と命の刀とは別物と 相見へ候此儀如何 忠光か懐中したるも今の刀も打刀にて候別物にては無之候 忠光は懐の中にかくさん為にはざと短き打刀を用たるに而候 寸尺は短かくとも長くとも柄を畳鍔を打たるは打刀に而候 たとへ小刀笄をさしたり共打刀の作りにしたるは 長短を以て論するはあやまり也 打刀也前にも記す如く太刀刀に定尺は無之事にて候間 一小打刀と申は如何 前々記したる小太刀と同意に而候 打刀の短に而候右に言たる忠光か打刀なとは小打刀にて候 一脇差と申物古より有之候哉 古脇指と云たるは今折口と云物也長サ六七寸斗り柄鞘共 に唐木なとにして柄不巻離し目貫也又鞘巻のこ とく柄に鮫きせて鞘はぬりたるもあり猫は丸くする 下緒は短くする也是は用心の為に懐の中に隠して脇の方 にさす故脇差と云也貞親教訓書ニ云伊勢守也長禄年中ノ事 当世ある人を見るに脇指と云てさす是は隠劔迚人に隠 書也 して差事あり御前なとにては縦人の見ぬやうにさし たるも主し人に見なられたらは上意へ対しめ何成野 心の有なとゝいはれて曲事たるへし脇差を用 へき事は単陣物詰旅行なとの時分似合へき也中間に 者などには似合たる事也仁たる者の重き人々事脇指と見せて さす事いかなる手からともおほえす当代はや人の振舞 か様に下劣になる後代の若き者の縁々さぞと思はる也云云 大内閣谷に云火内左京大夫義弘之間伊勢守貞陸谷脇差の事 隠劔とて人に見せさる様に自然さゝれ候様殿中なとへはゆめ〳〵 御さしなき事にて候有之伊勢守彼官人河村誓願信入道ノ説書札 雑々聞書に云かよふの時宮仕参せ脇差さすへからす隠劔とて 惣別昔はさもしたる所へはさし候はさし候はす候也猶々金作なと 狼藉也云々今時脇差といふ物は尺も長くして打刀の如く 柄を巻鍔を打てふところの外に出してさす古の脇言 とは大なる違也こしりの丸き所計は古の脇差の如し 一脇差のこしりを丸くして短き下緒を付候ハ何の故にて候哉 右に記ことく古の脇差は懐中にさす物也鐺にかと有ては 衣服にかゝりぬきさし煩はしき故こしりを丸くしたる 物也又短き下緒の端に結ひ玉をする事下緒を帯し めたる所の間にはさみ置へき為也脇差の懐中より外へ すへり出へきを留めん為に下緒をおしはさみて画也今の世の 脇差も昔の脇差より出たる故也しり丸く下緒短き也 一脇差の下緒結様如何 酌并記に云脇差の下諸は結ひ目の下へさかりたるかよし ちかへ様は刀と同然也 一脇差の刀と申は如何 只わきさしの事也懐中にて脇にさす刀なるゆへわきさしの刀と 書也刀といふ字を略して脇差と云也たとへは鞘巻の刀と云 事を略して御はかしと斗いひ御たらしの弓といふ事を 略して御たらしと斗いふかことし 一脇差と打刀をさして大小と云名目古も有之候哉 今はわきさして打刀をさしそへて大小と云古はケ様の事明し 前にも記す如く古の武士は常々鞘巻をさして打刀さす事なし 足利殿の末の代に至りては鞘巻の柄巻たるをさす人もあり 脇差を鞘巻の代りにさす様の風俗になりたれとも打刀を さし泊る事はなかりし也然間大小と云名目古はなかりしや 太刀打刀なとは供の者に持せし也家五一冊に馬の先へ走候 に者打刀持たるは左たるへし又云弓袋もたれ候はゝ打刀とつ かひて右に定へし又云私のありき出仕以下に太刀二ふり持候 事なや然候故伊勢守貞親伊勢守貞参勢州金仙寺なとい つも太刀打刀長刀より外はもたせられ候はさりしと云々是等 を以て打刀おは供に持せし事を知へし今の風俗の如く大 小をさすと云事天正文禄以来戦国の時信長秀吉時代より 始りて其余風の今に伝りて物なるべし 一守り刀と申は如何 守刀とて別の作り様もなし即古昔の脇指なり今の詞に而 中さはあいくち也相口と云は本は鞘走なり太刀刀帯せぬ人公家衆 女房衆小児ならは専刀を用るなり小児はそばに置て魔障を 退くる守りとしおとなは懐中之て不急の用心の為身を守 る刀なり懐中する物なる殿鐺を丸くする也昔大納言行成卿 いまた殿上人にておはしける時実方中将に冠打落されて いとさはかすして冠をとりてかうふりて守り刀よりかうかい ぬき出て鬢つくろひしと云事寝若記に一条兼良公作 見えたり今の脇差には小刀をさせとも古はかうかいをせし けるなり小刀は本戦場に用ゆる物なり守刀懐中する程の人 の為には小刀は用なしかうかいは所困多き故からかいを指なり 一守り刀はこしり丸き故守り脇差とこそ申へきに守り刀と 申は如何 脇指も本名は脇差の刀也されは守り刀と云事本儀にて候 前にも申如く刀と云は刃物の惣名にて候 一刀脇指の柄鞘等の飾の具古今その名替り候事も有之哉 一古今かはり候事有之古は腰もとかねといひしを今はふちと 云こしもとかねと云は柄の腰もとにある故也古柄口とも口 かねともふちかね共いひしを今は鯉口と云柄口と云は柄の合ふ 所の口なれば也古ノ力バナキエへ物トサヤト直ニ合フナリくちかねと云ハ 鞘口のかねなれは也ふちかねと云は鞘のふちなれば也又古はのみ 入れといひしを今は上はゞきと云のみいれと云は鞘にのみ入る 故也古祖かね共はゞき共云ひしを今は下はゞきと云鍛 とは人の足にはくきやはんの事也刀の鍛も是に脚伴はき たるがことくなる故名付る也古くりかたと云ひしを今は下緒 通しと云粟形と云ハ栗の形に似たる故也古おりかね共 おびかねともいひしを今は逆角と云おりかねといふは おれたる金物なれば也古帯かねと云は帯へかゝりて刀を前へ 落さぬ為なれは也古は柄かはとも鮫とも云今は鮫と計 云古前のこといひしを今はなゝこと云上古には魚の事を なと言し也魚のはらごの如くなる故なのこと云也魚の子 と書てなのことよむ也古目貫といひしは目釘の事也 目とはあなの事也穴をつらぬく故目貫と云也古は目 一釘の額に鳥獣其外品々の形を作り付て目釘穴にさし て今一方よりも同形に作りたる物をあてゝあなをふさ ぎ置を目貫と云也今は目貫をははるかに上の方に付て別 に目釘と云物を作りて穴にさす也古とは大に遺たる也 一足利殿の御代走衆はひきを遣し太刀をはき御供申たる 由はひきと申は如何 はひきは鉄にて木刀の如く打黒く塗り柄を巻鞘はなし 是を以て人を打擲する物也是寐故実に云拙者不祥はひき をはうるしにてぬるべし物は刀の柄の如く拵へ巻て其上を 杉原を折て包みて元略に而三所五所に而繕わきつはにさし て面に結ひ目の有やうにゆふべし錦の有もあり心に任 すへし又云宗幡物語にはひきは隠劔に而候程にはかまの下 より上へさす事も候由慥に申候つる乍去各不審のよし候 □□□□□□□ 又云飯川亀川御物語候し年寄たる人ははひきさゝす共 不苦云云又云恵林院殿様周防国より御上洛の御引出候時 一田村清親俗躰ニ而赴に参勤御未の進上各ニ交而参御末之 衆詰候ニ混乱不及覚悟候由軽被申不能年引然には引を 持て打擲せられ候当座被訳入云云はひきは隠寂にて候 と云を以て考れははひきは長サ八九寸一尺計には不過もの也 又きつはにさすとはそりを打てさす事也然れははひき はそりある物なりはひきは刃なき刀なる故はひきと云也 走衆は御成の時又御能故狼藉者を成敗する役なり依 之はひきをさし太刀を佩鉄鞭を持つ也走衆故実に見へたり 一鎌倉下緒と申は如何様の下緒に而候也 一鎌倉下総と申は常の下緒のことくにて一方の端にはおを付 たる物なり布衣記と云書に見えたり宗五一冊に半に詣 と申は此事なり 〇一あふひ鎧と申は如何様の鍔に而候哉 葵といふは草の葉を四ツ寄せ合たる形に而候葵は二葉の葵 とも賀茂葵とも云草也葵の端は太刀の鍔に多く用也 あふひつは 如図 □□□ 葵の葉如此 一しとぎ鍔と申は如何様の鍔に而候哉 一梁の字をしとぎと読申候梁は鞍餅粉をこねて作りたる屏也 二而候勝餅の形のことく丸き少細長シ端の事ニ而候今時丸き紋 を石餅と云も同意に而候 本草綱目ニ収ノ珍カ曰単糯粉の者曰楽トアリ単糯粉ノ者トハウル米 ヲ交ス糯米ノ粉バカリニテコネラ作リタルモ千ナリソレヲ粱ト云也 一ねり鍔と申は如何 ねり草の鍔に而候煉草は鎧にも用申候いため革の上にねり物 を付てかためたるもの也 追加 一かんたうの帯とりのかんたら今もふるき切れの世に残り たりたま〳〵有冬のさんとめ雪の様なる物なり筋を織り たる物なり立筋もからしも有り色は不定さま〳〵有 筋なときも細きも有世に淡島しまと云物なり近代に 一部蘭證より渡るせいらすと云物かんたらの類なり 一太刀のおひとりかんたう雪の下布たくほくの外は無之哉 一蜷川記に云蜷川新右衛門尉親長記ナリ帯とりの色の事かんだうと 申物に簡又たくほく純子繻子なとの様成物くけても致し申也 一帯取の寸尺定法如何 蜷川記に云帯取の尺の事太刀二たけにして柄の方より龍迄 おり返すなり 一下緒の寸法如何 一蜷川記に云下緒の寸法同尺の事是も寸法なとは無之候何 私に云今の手に而 の色も不苦由候紫なとは如何に候由なと申方も候 一ひろにしてよし 一刀さし候には帯にさし候哉袴の紐にさし候哉 袴の紐にさし候蜷川記ニ云刀替なる也さし候帯の事袴の前 のこしのとめ候帯にさし申也云云前こしの紐にさすを云也 一太刀の柄巻候糸の色何を本式と致し候哉 何色を本とも定法無之候蟷川記に云太刀の柄足間なと 豊候原の事何かたも豊なり 一まち鞘巻とは如何 鞘巻切が鞘太切トハ鞘巻詰る職人の事也鞘にての鞘をいくらも 作り置て買ふ人の刀にあひたるさやを売りて遣る也かねて 作り置て買ふ人を待つ故まち鞘はと云也よき人はまち 蛸豊は求めぬ也まちさや巻は早く損する也依之戯人 尽歌合の歌に 我恋はまちさや豊のやれすのこぬる人のこぬ身をいかにせん とよめりやれとはやふるゝを言なり まちは詩の字也町の方を書は非也まちかふと又まちひたゝれ又 まちあしだなどゝ云は皆かねて作り置て買ふ人の来るを待なり あつらへに非けるをいふなり 右此一帖或人之問によりて覚悟のほと 書記しておくる者也 宝暦十二年壬午八月四日伊勢平蔵貞夫 追考 一太刀に弦袋付る事軍陣には弓持つ程の人は皆付る也 平日太刀に法袋付る事公家に而は懲府の官人は皆付 るなり公家の記録年中行森の絵等に見へたり武家に而 は叡山村従山位下になるを殺爵と云したる者は常に法袋を付 者叙罰 類なり太平記に青砥左衛門出仕の時ハ木鞘ハ木鞘巻の刀を さし木太刀をもたせけるが叔爵の後は此太刀に後装を ぞつけたりけりと見えたり 木鞘炎木太刀と云ハ倹約ニ而太刀かたなの鞘をうるしに而小塗 にして木地に而帯したるを云なり 一圧柄の刀と云は腰刀に鞭をかけず唐木なとにしたるを云 成へし諸師を聖と云柄に厳なくて坊主の如なるをいふか 一鞭は魚の皮なり魚を用さるは精進なり依之鮫をかけぬ をは聖栖と名付けたられ源平盛衰記に清盛入道聖 柄の刀をさられし由見えたり 一草包太刀文明日々記伊勢守被官人蜷川新右衛門尉親元ノ記ナリ 七月廿九日文明十三年也条草最太刀進上の事有草包内内 又草暴同シ事也 とは鞘をなめし草にて包みかたく縫ひくゝみ たる太刀也柄は鮫をかけて黒く塗り柄原を巻くなり鞘は 皮をかけて黒くぬりせめ金物皮の上に有りわたり巻も 若狭国霊応山神宮寺所蔵 ある也 草包之太刀右の如くなり 又那須与一家高か太刀今 も那須の家に伝へて在之革包なり惣体前の如くにこし らへ皮の上に又純子の様成切にてさや袋をかけたり文安 元年八月朔日皮暴の太刀進上の事も大外記中原康常記 康富記に見えたり 一長伏輪の太刀とは常の伏輪の太刀は鍔は勿論伏輪あり 鞘はみねの方にもしよせ鞘半分程あり 方にしば引鞘の半分程あり すじかね也 しば引は刃の方の 長伏輪はしば 引もよせを長く通したるを言也 円鞘 一丸鮨の太刀 とは太刀のさやを丸くしたるにはあらす 片書 丸とは一円の事を言古書に金作の丸鰭の太刀と有輩 金作の太刀のさやまて金にて包みたるを云也一円にさや 柄ヲモ鞘ヲモ金ニテ包ミタル也金作良キ をも金にすると云事也 ラス何ニテモ一躰ヲ包ミタルハ丸鞘ト云ナリ 一錦包の太刀とは錦の鞘袋をかけたる也前にも云如く柄 鞘共に端をかけ堅く縫くゝみ柄糸を巻きわたり巻をも ○弓法集に見 するや錦包の太刀と云名目小笠原長木の記弓法集に見 えたり 又提鞘 一下鞘 片書 とは剃髪の者帯する物也形有刀の如くに て柄鞘木にて作り格抔ナリ柄の上下にさか輪入れ鞘にも 三所建物有鞘口の下に金物に穴二所あり此穴に洗を成 し諸〆を入て火打袋に付てさぐる也右の緒しめを腰に はさみさゞる也されはさけさやとは言なるへし職人尽 寄合の絵に剃髪の者下けたる見へたり太平記にも 師茶入道の捨慾をさゝれし事見へたり 袋をかけて船 一見鞘とは腰刀の鞘に長き皮のなめしま也袋をかけて散 尻のきわ一寸斗おきて両方に口あり先を剱先に切るなり 縫目みねの方にある也みせ鞘くりかたの際迄入るゝ長き こし刀と見する意なるへしされとも短ぎ刀ゆへに鞘の 先は折るゝ也正三位知宗郷の歌に つしまづりけふをはれとも見せさやの さきおりかけてね猶やたか事そ 夫あ抄に見えたり 一一下緒神に不納みは刀を神へ宿願有て納むる時は下緒を とき納むる也子細は下緒にては人をしづる事有もの殿 穢と申て神へは納めさる由古来申伝候 一一葬礼供人腰刀柄鞘を結包にする事腰刀をは白緒の袋に 入るゝ袋と云は鞘袋柄袋也白き絹をきせてぬひくゝむ也 今世武家にては此事なし将軍義景公に 一御応永卅二年甲辰廿日廿九日於等持寺火葬の事記 結目紙捻 一せし書室町殿記也役人事著スノ白直垂也エヒメカウヨリ ワランヂヲハク刀絹ノ袋ニ入ル と見へたり 一二重下緒とは常の下緒の事也鎌倉下緒に対して常の 一下緒を二重下緒と云なり宗仁聞書に二重下緒と見へたり 刀剣図 前に刀剱問答をあらはすされともいまた つまひらかならさる所ありこれによりて 今更そのあらましを絵図にあらは すものなり前の問答とひきあはせ見る へし 一麻羅螺蘇螺□螺油螺油螺油螺銅螺鈿 一名衛府太刀 一名草緒太刀一 一名毛抜形太刀 一名平鞘太刀 此図ハ沃懸地ニ蒔絵シテ 螺銅ニテ紋ヲ置タル也是ハ 大臣ノ大将将軍家ノ持セ ラルヽ太刀也其外ノ人ハ唐 木ノ木地ニシテ蒔絵スルナリ 此太刀ニハ帯取ナシ 螺鈿トハ 青貝ノ マナリ 沃懸地ニ 蒔絵 平 平均 緒干 平緒ヲ足ニカラミテ帯スル 也平緒ハ前ニテ結 ヒ垂ヲサシテ結ビメヲカクス ナリ公家ニ用ヒラルヽ 太刀ノ佩様公家方ニ 故実有り皆平緒ヲ 以テ佩玉フナリ 今時是ヲ陽ノ太刀ト 云フ人有リ誤リ也 、カキヌ タウキヌ 多カキマ メ又キ緒ト云 可被下候以上 垂 図 一 此間工平縮 ヲサスナリ 紫草又は藍草 今時是ヲ鞘巻ノ太刀ト云ハ誤也 又是ヲ陰ノ太刀ト云フモ誤也 大セツハ にせつは サヽラ セツハ 鞘袋カケタル 糸巻太刀 二十二日朝袋峯ノ方ニ 縫目有り柄モ同之 白太刀 □□□□□□□□ 銀ノ打戦 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ の ● 惣体銀コシラヘ也 黒太刀 金具は赤銅 又リサメ □□□□□□□ ヨシ 兵庫鎌 太刀 □□□□ 翻 惣タイ 銀コシラヘ 怒物作 太刀 鹿皮ノ 尻鞘 惣体銀コシラヘ 七足ト云ハ 此録リ七 筋ツヽ付 ルヲ云 ○○○ 万 あります △ □□ 打刀 一名鍔刀一 ナリカ子 カヱリ無之 鍔ノスカシハウテ又キノ 緒ヲ通スヘキタメ也 烏帽子形鞘巻 サシウラ小刀 サヤマキサウマキ ▲女9 コシノモノコシカタナ 如此鞘ヲ葛ニテ巻タルヤウニ 高クヒキクキサミメヲツケ 八ナリ カタナクヒカキカタナ ヱホシノ如シサシヲモテニカウカイ有ノ チイサカタナサスカ アヒクチ 右九名一物也是を 別々之物ト思フハ甚 鞘巻一名さうつき一名腰刀一名刀一名腰の物 之誤也 常ノサヤマキ也サシ カウカイ 鞘巻 □□□□□□□□ ユリカ子 一名千イ卅 一名 サスカ クリカタ サシウラニ小刀有 一名 チサ] 一名頭力キ刀 唐木鞘巻 サシヲモラカウガヒ サシウラ二小刀 海老鞘巻 サシヲモテカウガイ 引目草ノ下緒 犬マネキ法 草緒也 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 一同廿一日末々に } 同一本 廿七日五日月十一日 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 七月十一日 太刀之名所 七月も有て上し 十九日 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 三十一丁 同七 十七年 四日 七日十七日ゟ 七月〆一 七日十一日 脇指 一名守 一名隠劔 裏 サシ表カウカイ小刀ハサズ 一サ八 懐中にさす物なる故鞘巻よりモ小シク短シ サシ裏ワキサシニハ折カネナシ 廿 柄鞘トモニ唐木ニテモスル也唐木ノ 鞘巻ノ如シ 今ハ相口トモ馬ラサシトモサスカトモ云又鎧トヲシトモ云 ヨロヒトヲシトハサヤマキノ事ナリ 左ニ図解ス古刀五品之模者刀剣問答 之内無之ヲ幸ニ初川春近主ヨリ写得テ 如此跋且編写ナレハ寸法等本書ニ譲リテ 爰ニ一二ナラス嵩識之君子請勿不審爾云 享和二戌年四月寿久留知後誌 古剱図会 打刀差表筒金 一鞘アカ木筒金十ミ貝ツクシ 是者豆刕箱根権現存在 曽我五郎時致拵之模様也 世俗赤木柄之短刀ト云是也 目貫 差裏 笄サシ説同前 打刀是者飯塚正宗拵之模也 妻 ⑧ 柄鞘トモ赤木 赤木ハ赤樫也 目貫如此 栗形 リカ子又オヒカネトモ云 銅緑 筒金 表表 鞘尻 下鞘火打袋之図 六一 惣銀金物柄鞘格縮〆碼碼緒并袋之緒紫糸袋錦織 朽葉色 剣上押紙画其痕 角 千葉介常胤守刀之図 鳩目銀 折金角今代ニ逆角法則是也 柄鞘赤樫 五十九 栗形角 余ノ金具金メツキ也 鎮守府将軍兼伊予守源朝臣義家公 御佩刀之図八幡太郎殿是也太田蔵人写置所也 目釘之頭 御目貫之模様 ㊄ 摂州 天王 寺蔵 七星 剣模 上同 皇太子 御所持 丙毛 桃林 之剣 同上蔵 聖徳皇太子 之像太刀 七日 五九 } 美飾といふ ⑤ 太神宮 御宝物 之図 玉纏横刀 。 } 太神宮 御宝物 之図 須我流横刀 □ □□ の 一〇〇一 ④ の 事 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ こ □□□ 犬マネキ 太神宮 御宝物 之図 新作 横刀 水戸 御家蔵 兵庫鎖 太刀 源義家朝臣 鞘巻 金具不残銀 目貫巻龍 柄鞘トモニ朱塗 下緒犬マネキ藍草 笄小刀アリ 十一日 ) 八〇〇、一〇 丸 □□□□ □□□□□□□□ □□□□ 一九 ヤニ 一 十八 ニフィー □□□□□□□□ 十一丁 同 これ