迷悟問答集
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- 不明
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- 2026-08-17T19:23:15.102Z
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- 不明
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- 日本語
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- [出版者不明]
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- メイゴモンドウシュウ
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- 東北大学
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宿村
迷悟問答集
狩り同
右
迷悟問答集会
寿
工情嗜見
同断
水変
一迷悟問答集目録
一第一天地の沙汰人間の数仏経の事
第二地嶽の沙汰の事
第三しで三つのさた
第四仏ぼさつの事
第五れんげ座の事
第六仏ほさつ色相の事
第七明王天道の事
第八神祇のさたの事
第九らいてんのさた
第十しゆそおんてきの事
第十一ひんふくのさた
諸宗のさたの事
食類の沙汰の事
一同しなの事付人間かほの事
第十五日月星よるひる魂のさた
第十六月の上けん満月の事
付
第十七年月定付三日月の沙汰
第十八ゐんたうの事
第十九年忌月忌の事
第廿雨露霜雪の事
第廿一雲の五色十色の事
第廿二うしほのさた
第廿二
出湯
巻銀銅鐵の事
第廿五
山ふしの沙汰
第廿六女人けつかい山の事
第廿七月水のさた
第廿八上戸下戸の沙汰
第廿九うろむろのさた
迷悟問答集第一
抑ゑうとく太子のぎにいはくなんゑんぶだひ天の高一万八千九百四十
一里。空の底き。四万九千里男の数は拾九億九万四千八百廿八人女
の数は廿九億九万四千八百廿人也千草万木とうけ給候此
世界きこんをよびがたく。きどくなるふしん多御座候。中にも仏に二
仏なし法に二法なしと申侍候。一代さやしゆの釈尊の外に貴仏心のかたき所に
あしゆく。薬師。弥陀大日。などゝておほくまし〳〵候又経におゐてもけし
こんあごんほうどう。はんにや。ほつけ。ねはんとうの大きやうにきやう
へだて。なくとき給ふこれを。じゆしどくじゆ。げせつしよしやのとも
からはげんせあんおん。こしやうせんしよにして。うたかひなく。しやう仏
ととき給ひ候いづれを上としいつれをげとすべく候答て
一曰此三かいは迷悟にいかく内外ともいひ左右ともいひ有相共いひ
無相ともいふたとへば日月のごとくりやうべんおほし候陰陽の
両へんなくは。一切しゆじやうありがたく候。俳絃おほ〳〵御座事は有相
の籠にて候しゆじやうのきこん不同なるによつて絵もおほく御座候。一仏と
申は無利のことはり也。自心のほとけと申。此ほとけは絵ざう木さうにせす
しんふ二ツ也。ある時は三千せかいにぢうまんじある時はけしのうちにも入しゆふ
しざいのほとけ也。たらし此ほとけは人々くそくし。木竹人天らうぎもんもう
じゆんこうがんれひにいたるまで。此一仏生をなすゆへに。ほとけに二仏なし
と申。此ほとけをしる人とさとりの人と申。しらざるを。めいじんと申候此一
仏を。しやうがくすれば。ちごくもちごくにあらず。くもなくらしもなく也。
此理をしる人を三ぜりうだつともいひじやうぢうふへんの如来共申也
これを禅宗には。本来のめんもくといふ。真言にはあちほんふしやうと
いふ。天台には中道といふ。律僧には律ぎかいといふ念仏宗十念一念
むさう念仏といふ。いつれの。しうにも。此ことはり。さいしやうみみやうし
かくへつなれ共。一つことはり也。此一仏にかなへは事去。げんざい未来三世
のほとけも。自心のむねにあり又諸経のおほきことは。しゆじやうのき
こん不同なるによつて経もをしへも。おほくいかるがゆへに気にしたがつて法
をとき給ひ候問いはく一代ざりぎやうの中にしんぎやうを。かん
しんと。しんする人は。此経のうへなしと心得候あるひは。くわん経をとくを
きひて。いじやうと心得る人もあり。ほけきやうをしんじて。現当二世に
かなふと。心得る人もあり。又あみだきやうにて。成仏うたかひなしと心得る人も
からのごとく。きにしたかつてじんずる也。おの〳〵。さいぢやうと心得。説のごとく
じめぢ。とくしゆ。げせつ。しよしやして成仏うたかひなしと。おもふ事有
べからず候か答ていはく。一仏一法をさとらする。はうへんを
しるすばかりの事にて候。是によつて天台のしやくに。八万はうざうを
しよとくするといへ。自心をしらざるを。くにんといふ。一句一字を知
ざるといへ共。自心を。しる人を大学匠といふ。ほけきやうには一句一
偽りやうたつむりやう。とうあんととき給へり。さとりを比す則
心の一仏をさとり。をの一からむりやうのぎにつうだつし八宗十宗のこん
げんを。あきらめ候こゝを法に二法なしと申候。此法を。侍れば。ほとけ稀に
あらず。ほう法にあらす。仏と法と。不二也有相の身にて。うさうしの仏
経をきらわず。仏に二仏なし。法に二法なしと。心得候。此有相のことはり
より。無相の理にいたる所也しよきやうの。おはりは。をのつから。わが心体の心
にていきやうと云字をたてぬきと。よみ候。かくのとく。しんは。われらが。
自心の一仏のしんたいのたてぬきと。なるをしんぢ。一さいしよに工夫取を。
得るといふきやうといろはちたい也又仏おほくまし〳〵し事は有相のきやう
がひのあるし也。あしやくはうせう。みだ。釈迦。大日五仏は。われらが五体
地木火風空のあるし也。又方にとる時は。あしゆくはひかしの方はうせうは一
みなみの方。みだはにしの方。しやかは北の方のあるし。大日は中わうのあるし
なり。五たいにとる時はあしゆくは地体はうせうは水体のあるじ。みたは。
火体のあるじ。しやかは。風体のあるじ。大日は。空体のあるし也。かるがゆへに
われらが。しんたいをのぶる時はしゆへんほうかひに。ぢうまんしつむ也
時は。われらがきやうかひ也。ほうかひといつはわれなり
八第二回ていがくわがたいは地水火風空を求て生する。死する時は。五ねめい
〳〵に分散する時はいつれのしんたい。かちごゝにおち候。又しよきやう。
一仏一法をこかれたるゐんゑんをもつておもむき給ふがめい人おほし地獄
におちひか答ていはく。一仏一法として。とき給ふ。そのゆへは法花経に
是法住法位世間相常住と。とき給ふ。大日経にはゆいとく。ちゝやうりや
うごた人しよふけんせつともとく。あるひは我見自心。形如月輪と説
けあんぎやうには。三界唯一心心外無別法心仏及衆生是三亜差
別ととき給へば。たゞ一仏の所をあきうかにとき給ひて候也。げきはけごんの
しゆしやうを。ひゆをもつて自心に。有仏にいんにうせん。はうべん也
いつれの心体かぢごくにおちんや。さとる人の。まなこには。ぢこしにおつる心
神あらす候迷人は。ちごくに。おつるしんたいあり。そのゆへは身灰会すれ
五
ども。くちはしよく。しんたいとなりて。くるしみをうくる也。たらしもうしうくち
とんよくか。鬼となり。さい人となつて。此一心に念相こんげんなり
第三問ていかく。三つ川又ごくらくと申は。此せかいより。みなみか北が。四方は
いづれのうちか。有所に候ぞ答ていかくぢごくといふはごと〳〵。大地が。ち
ごく也しての山と申は。うけがたきに。にんじんと生るゝ。うぼんなふめいとに着し
たとへは。こつしやうの曲を死して。出るをしでの山と申候。人々の心中に有ゆへ
にす〳〵く大地がしでの山也三づつといつは。とんじんちの三どく川と也一心
にこきをるすゆへにこと〴〵く大地が三つ川也。こくらくといふも。も。も〳〵く大
地がごくらく也。なす所を。つくすとあれは。仏生を得る。仏性をうれは。このむ
べきもなく。きらふべきもなしぶつしんなるゆへに。しんによこくらくと申し
かるがゆへに迷故三界城。悟故十方空本来無東西。何所有南北
しやうどゝは。まさに。しんのしよさなり
とこと〳〵く大地をごくらくとす。ままへば。こと〳〵大地がぢごく也。ゑど
第四問ていはく。ほさつおほくまします事。又ほとけと。ほさつのしや
へつ何やうに心得申べきや答ていはくほとけといつは無心
無念むさく無相をほとけと申候也。ほさつと。いつは。きやうがひのうへ
にて自心の一仏を覚知するといへ共。しぎしん物なじからざるゆへにまよへ
に。ければ。こゝに。けれ。迷悟不同也迷悟不同也。観音といつて。よのお
しんばか。しんばか。しんばう。しんばう。しゆへんぼうかいにちう
まん大臣とけきとる所を観世音となづ〳〵勢至といつは。よそお
ひにいたるといふよみあり。しんばうのよそおひ。西門によく出入する所
けだわるを勢至となづ〳〵もんじゆとは文のたまと云よみあり取の
なきともめとをのづら。きやうもんをさとるをもんじゆとな
づく。ふげんとは。あまねくかしこしといふよみあり。あまねくとは三界
に住満するを云也。しんぢとりつくす所をよしこしと云也。ちざうとは。地
かくるゝと云よみあり。心法住満するといへ共。むしぎむぎやうにして
十
見えざる所を地にかくるゝがごとくによつてぢさうとなづく。虚空蔵と
いり。むなしく。かくるゝといふよみあり。一切しゆじやうむなしくして。心法
空中にきしじきぎやう。かくれ見ざるを。こくうざうとなつく。この
ほか。ほさつも。かくのことく心法にあらゆる所をなづくるなり
第五問ていはく。仏井れんげにまし〳〵候事うたがび。心得かたく候こゝ
にしやうずる。れんげにて候共。草木の花おほく候。中にれんげに
まし〳〵候事いかん答ていはくめのまへに。生する。れんげにあら
ず。われらが胸中に。れんけあり。れんげのうへに。心法有。心法といつ
は。心仏也。これを迷人のために。絵ざう。木ざうにあらす所也
まことの仏には。あらず。しき歌なり。むねのうちのれんげは悪心を
ふくむ時は。しほむ善心を。ふくむ時はさかんなり
第六問ていはく。ほとけは金色ぼさつは。白色なること。なにさまなり。
ゆへにて候答ていはくほとけ金色なる事。ちゝはゝ赤白二たひ
合して。金色也。此合するうちに。仏性あり。此じせつ。悪をもおもは
ざる所。ほとけににたり。かるがゆへに色にあらはす也。同ぼさつ。白色
なる事。自己心の仏こんげん白色也。ちゝの白たひをつぐ。色をあら
かす也。かるがゆへに。又つれひのえん人となり。はゝの形をからず子は父の
形をづくと云なり
第七問ていはく。明王天道と申も。ほんう。しんにこの名にて
まし〳〵候か答ていはく五大明王は。さきに申所の五仏のへんさ也。五
よくは。まよふ所也。ほんなふのすがし也。むめうぼんなふの色は。青黒也。しゆ
じやうおもては。にうわにして。ほさつに似たれ共。心中は。やしやのことし。
かるがゆへに。しゆじやうの胸中をあらはす所。みやうわうのごとしあひ
ぜん。馬頭のあかき色なるは。あひねんあひよくのしやくにくを。こん
ほんとす。あひぜんのすがた也。あひよくのおもては。いつくしく。かほかたち
にうわ。にんにくにして。心中みやうわうのごとし。たくし胸中をあら
はす所也。天道と。いつは。まうねん。まうよくしんのあるじ也いだてん。
しやうてん。へんざいてんはとんじんちの三どくのすがた也。もろ〳〵の
天道をしんずれば。ふくちゑんまんす。しんずるねん。こうじんのごとし
かるかゆへにてんふさたまつて。これをよく。しんすれば。ふくも。智も。
こと〴〵く。ゑんまんする。道理ある也但有相のざいほうの福にはあらず
第八問ていいく。神と云は何ものぞ。いづれの神の体あつて。じゆじやうの願を成
一祝したまふか答ていはく。神といつは。むめうほんなふをたえす。あくれい
也。神といふ字をたましゐとよむ。しやだんといゆば。ひやうしよ也。赤白二たひを
はなれざる。かたち也。かるがゆへにまとの神はわえふじやうをきらはず。まよひ
ゆへに。けがれにて候。その神のきどくなる事は。しゆじやうのしん〴〵深薄に
よりの。しゆしやうのたましゐ。神と一神也。よくしんすれど。わがねん神となる神と
なれば。そのきどく候。しんめい。こんげん。大明神と申も。うさうのことはりより。
なつけ奉る也。鳥井といつは。あぢほん雲やうのことはり也。ふしやうのとはりを
かんじて。五すい。三ねつのくるしみを。のそみ給ふ也
第九問ていかく。雷のつゝみをうち。大雨をぶらしたまふ事きたいふしきのきのき
どく也いかん答ていはく。ちいは二がい。まわうのてうぢやう也。いなびかりはまなこ
のひかり也。つゞみをうつに。にたるは。さけふこゑ也。まなこを。ひからかして。けかひの。
もろ〳〵のまわうしの有所を見て。三ねつの。くるしみを。めつしむるほうべん
にしゆすひし給ふ也。かるがゆへに。ほけきやうに樹甘露法雨滅除煩悩之焔
ととき給ふ。日本は。神国たるによつて。大山。岩屋。石室にすみ給ふなり
第十問ていかく一切しゆじやう。こと〳〵く。五躰をぐそくせしむる。しゆそおん
てき。やく神とうも。此五躰は。はなれべからず。五たいとして。五たいをなやまし
いたましむる事。ふしんに候一答ていはゝまよひの心には。やまひおほくはこへ
し。そのゆへば。みやくだうのうらなひの。所にしゆその名を。くちくひのつみと
名づく。かくのごとく名付る所を。おもひなやます。まうねん。あくれいとなり。
その身につきなやます。まよひ。しんをやむ也。やまひのこんけんをとるに。
われらが。五体ふぐなる所やまひとなる。水神に水をませば。病かんの病
となる。火体にねつきを。ませは。ねつびやうとなる。ふうたいに。かぜをませは
風気となる。かるかゆへに。かんをねつきをもつて治すべし。ねつきをは。かん
を。もつて治すべし。是は本道の儀也。げきやうのこんぼんは。あく食つもるあつ
けつと成。あくさうと。なつて。はれ出る。是はかんはねつにかへり。ねつはかんに
かへる。四季による也。壱夏はかんねつにくる。火はわうさう也。水は周老也
一秋冬はねつかんにかへる。わうさう也。火は周老のくらゐなるゆへに。くすりを。こ
易軽にしゆする事たとへは。うへたるに。食を得るがことし。医師じかの
五臓六府を。見てやまひにしたがつて。薬をあたふる医道の秘術也
やく神とおほんなふせんじんに一日二日あるひは七日ぼんなふをかろんせ
しむるはうべん也。是はせうふうと。いふせざひを。もつて治すべし。突積て
〓にかへる。しせつ。わづらいあり。春夏。さかん也。是をせうかんといふらの
三じゆの。なやみねつきを。もつて治すべし
第十一問ていはく。ほとけは。平等利益ととき給ふがびんふく多少に候
平等にとゝ。しやうふつも平等たるへし。国をおほ〳〵持人あり。又小家ゆいせ
きも。もたさるものあり。又ざいほう。かさね〳〵持人あるにもたざるは一紙半銭
のたしなみよも。なく候ほとけ平等のせつほう。まうごに候答ていはく
平等り屋〳〵の儀は。一仏性にへたて。なきをとき給ふ。但ほとけほうべん
の説也。びんふ〳〵多分といつは過去にて。三貫便をくやうじ。もろ〳〵のぜん
おんをなさゞる人と。むまれ候。又ひにんたりといへ共。心にしひをもち三ぼう
そうをうやまひ心にさはりなくは。しぜんと正覚すべし。さなくはふく人と
生るべからず。又さいほうをそつへば。まうねんに。ちやくぜんするゆへに。無量
みうを通べきや。ざつうにとんぢやくして。仏果をも。めかけず。たとへは堂塔を
へり。三ほうそうをくやうするといへ共。めうり心にあれば。ぜんごんと。ちや
くせす候。心にわれも。他も成仏へだてなき心を。平等利益といふ。又ひんは
しよたうに。さまたげにあらずと心ゆへし。さいほう。とりあはせずして
過去のゐんぐわを。はぢ。げんざいにかの善根をなしほだいをくわんぜはふく人の
さきに仕果のゑんに至るべし。仏果は。ひんふくを。きらはず。心地に一仏を明らむべし
六第十二回てはかく。八宗十。宗の諸宗の御座候て。我しうのうへなしと心
待給ふ。釈尊は平等一子と。とき給ひ候に。宗をへだて候時一子のへだ
て命らす女か答ていはく。しうにわれも〳〵と。きりやうをなし給ひ候所に。
きめん不同によつて。宗もおほしあり。むゐのほうに。おゐてはたゝ一宗を
法に二法なしと存候。宗といふ字を。かなめとよむ。かなめの一方をさして。
しうと申也。あきらめずして我はなに宗と申がたく候
第十三問ていはく食物に五こく十こく魚鳥ちくるいと云。食類あり。
いつれとも。一仏性なり。仏性として。いましめの。いましめを。食する事。殺生也
五かいのうち第一は殺生かい也。今ほとけに。くやうし奉る。香花とうみやう
も仏性也。ほとけの両説にあらず候や。又出家五こく十こくを食する
も仏性に候。魚鳥を食する事ふしんに候答ていはく。仏はまこと。両
説にあらす。五かい十かは。二百五十かい。五百かいを。ぜひしたまふこと述人の。
ため也。かるかゆへに。ほけきやうに除諸井衆信堅固者ととき給ふ。此文
の心は。悟人はのぞくめい人のために五かい。十かい。ないし。たがひに。ぜひしたまふ。此
はうべんなくは迷人は殺生をさらはず。ほとけ父母をもころすべし出家
は。によほんにくじき。だんずる事。出家の差別たつるはうべん也。めい人は
仏神の経説。音花。とうみやうくやうし奉る。しゆぎやうをとつて。仏心の
正覚すべき説也。さとりの人は。きらふべき。けかれもなし。きらふべき。あかも
なし。まよひなけれは。仏もなし。によぼんにくじきをする共。此一仏性はけがれず
愚人のまへには。善悪をたてず候迷悟は。表裏也。によぼんにくぢきは。た
しなむ計也。さとる人は。まよふ人をはぢて。他の文をたしなむべし。ちかき
随てんめいふうしゆ。和尚は。我てうにかくれなき。名匠也。そのゆへは。院
御門。将軍等にも。尊敬せられ給ひつれ共。によぼん。にくじきを
きらはずして。八歳十宗のさたしたまふと申組いたらすして。此ふる
まひは。ぢごくにおつる。こんげん也。但今時分はちゑ少して疑おほし
第十四問ていはく。食類ありて。しなかたち。別なる事。又一切しゆじやうおし
なじく。五躰をぐそくするがおもてかくへつなる事ふしんに候答ていはゝ
一切の体相は。しよしやうたましゐとなつて。生るゝ一仏性たりといへ共。きこん
かくべつなるゆへに。おもて。不同なり。心と云々
第五問ていかく日月しやうしゆく。よるひるといふ事。何と心得申べきや
答ていかく。日天は。一切しゆしやうの。母也しやくにくたんれい賞也。月天は。
一切しゆしやうの父也。白滴こんげん也諸人れはくわうとく。一本心の如来也。
たいこん。りやうふの。神ぎにいさなぎいさなみのみことし申也。一切の星しゆく
は。一切しゆじやうのまうねん。まうじうのせいこん。星となる。しゆじやうの用一
と同位也。一切しゆじやう。陰陽和合のとき。星赤白の中に入て。たま
しゐとなる。悪人たるべきゆへに。ひだりの手にあくしやうをにぎるみきの
手に見ふれんげをもつて。うちくだき給ふ也。その人の千けきは。あくしやう
たましゐとなる。その人心よきは善星たましゐとなる。星もおなしく天の子也。
かるがゆへに。日むまるゝと書也。本命しやう。まづるによつて。よるひる。空中の
ぜひしゆみ也。たかさ八万ゆじゆんの山也。これ四州也。此国はしゆみのみなみ也東を
めぐり給ふ時。西北よる也。日輪かくのごとくとなり
第十六問ていはく。月の上けん。満月のたち。何と心得申へきや
答ていはく。上けんは。天のしゆじやうの身をわけ。白体に成給ふゆへに。上。
不足満月は。天地同こん。万物けこんげかいに心懸給ふ給へに配り所満月なり
第十七問ていはく年を十二ケ月にさだめ廿日を一ケ月にさだめ春立
秋冬と四季のかはりめ。何と心得申べきや答ていはく。一年と。さだまる
事。しゆじやうの一期をさす。天神七代地神五代の。御神を。あらはし申事
二神也。三十日づゝとちしゆごしたまふゆへに。一ヶ月とさだむ此神は一日づし。ま
ぼりつゝむれは。一時づゝまほり給ふそのゆへに。一切しゆじやう。こと〳〵く。此一
神のうち子也のふる時は。年の神となつて。しゆごし給ふ也。かるがゆへに。子の
十一
年の人はりしの神のうぢ子也かくのごとく。十二じんのうぢこ也。四節は一切衣生
のしやうちうびやうし又生住異感の。相をあらはす。春草木。生出るは
をのつから一切に至て。生相也。夏草木あまねく枝葉さかんなれは。住相也。
秋草木。いろづくは人間。十歳ばかりより。五十までにいたり。ちからよ
はく。びんばつ白なれは。異相也。冬は草木枝葉かれくち。さむく。こほるは五
十ばかりより。六十まで。次第に目見えず。耳きみす。しんにくひへ。
ねつきおとろへるは。裁相也。月輪も。かくのことく。朔日の夜出さるは天地
和合して。やみより。三日月を生ずるぎを。あきらかに三日月より。
九日の夜まて半月なる事人間の次第のむまれそだつぎを。みせしむ
十日より。十六日まで次第に満月なる事にんげんのさかんなるぎを
見せしめ。十七日より廿三日の夜まて。次第におそく出る事。人間のおと
ろふる儀をみせしむ。廿四日より。晦日まではやみのよなる。人間の職する
事をみせしむ月のあかつき。出る事。人間の生滅有といへ共。をの。つから。巴
一心仏のしやうじなきゆへなり。三十日のうちに衰滅のぎをみせし
むるは諸人。霊光なるがゆへなり
六束七問ていはく。仏法僧めい人を。そうし。すつるを。いん道といふ事
心得かたる。五体はをのづから。分散しうごかす。はたらかざる。死人はたゝ
かれはくちたる木石のよこたはる。ごとくなる物をかれを。みちびき此道
を。ゆけと。をしゆるに此木石は。いづれのしんがきくべく候や答て
いかくゐんだうと。いつは。迷人のしうぢやくを。たちまちにはらして。つらんゑ。
のごうなく死人空中を。ふくむがごとくとじゆせしむるをゐん道といふ也。
たりきに。肉眼自力のぶつけん也。しりきのまなこをひらかずして。もの道
此道とをしゆる事。まことにりんゑのごう也。さとる人は。にくしんに。とゞこ
ほらず。くなし楽なしと。覚知して仏祖に。超越する身には。釈迦だり。
まのいんだうももちい。べからざる道理あり
第十九問ていはく。年忌と月忌といひ。ゆふれいに飯をそなへ。
香花とうみやうくうする事。まとにその霊来てしよくし候か
答ていはくかの食の事一りう一てきもちらず候。但月忌をくうぜざれ
ばかのまうしん。家のざいほうにはなれず。ざいほうを。三ぼうそう
にほどこせはゆうれい帰逆する儀なり
十一
六第廿問ていはく。雨露霜雪何様のうんけんにて候や。露は地より
わくと見え候。雪霜は天よりふると見へ候。いかん答ていはく雨はげかい
のずいき。雲となり。天につもり。陽気をへて。本の手となる露は地の
一水草木の生長する枝葉にのぼるを露といふ。霜は露のかんじ。つ
もりて。かたまるを霜といふ雪は天の水気也。しゆみのちやうじやうの水
ちすいと云あり。此ゆへ三国にわたる。天ぢくには。りやうじゆせんの。い
たゞきにぜんげつといふ。唐土にはぼだいせんの。いたゞきに。瀬長雲池と
いふわぞうには。富士山のでうじやうに内印といふ。池これらの水気
雪とふる也。霧は地大のいき也。雲は水大のいき也。煙は火大のいき也。霞は
風大のいき也。風は空大のいきなり
第廿一問ていかし。雲の五色十色に候は何様々根源に候答て
いはく。五躰のいきつもりて。雲となる也。地大のいきは黒雲也。水天のいきは
白雲也。火大のいきは赤雲也。風大のいきは。青雲也皇大のいきは黄雲也
此外大色に。黒色をまじえて。紫雲也。黄色に音色をまじえて。
両ごんしき白色に。黒色をましえて。ゑんぶしき也。かくのごとく。いろ〳〵あり
第廿二問ていかく。うしほのみちひ。わがてうの。ひる時は。塵天ぢ〳〵のうみ
いかく。此界は九千八界は九千八界は九千八界あり。此うしほ。同時にみち
ひ。ひるときは。海中たかくなるみつる時はたいらに。なる。かるがゆへに。
三界も。五たいをくそくする也。大身となる時は。周遍法界也。小
身となる時は。わがきやうがい也。法界と我とは。一躰也まさにしんと
心得べし。わがいきうちへひく時ははらたかくなる外へ出る時はたいらか
なる三がいの。うしほのみちひしゆじやうのいき出るがごとしうしほを
せんずれは。しほとなる井河水は草木のしるへ川ながれ積て。かみを
なるゆへに。うみは次第にひろくなる。河の杉ながれ積て。あつまるゆへ也。
さしほの水をせんすれは。しほとなるは。五体の水なるゆへに。よろづの
あぢはい。あり十こく。ぜひする人のたつも。此いはれなり
第廿三間ていはく。出湯何様の根源に候。きどくにおほえ候答て
いはく。音難レ中立とも。あらはに申。今此国こんとん。見ふんの時。大地
より。大火おこつて。ぼんでんを。やき奉る事。二千ざうめつ也。その
火いまも。大地のそこに有て。大山より出る。水火気を以て。湯とな
がれ出る。つねの水は。木のしるにて。うへをながるゝゆへひゆる也。越中のたて
山。五ものゝ。伊香保山。いづの大嶋所々やくる山おほし。又此世。東世になか
人のいのち。十才を。きわめ又二十ざうけん。めつする間。かくのごとく
やけのほるべし。生滅あるゆへ也。これらは。天台家のさたなり
第廿四金銀銅織何様の。こんけんの物にて候答ていはく金は
金弐朱文
石の積り也。石のいき。落のことく。かたく積て。金となる。銀は水の積
なり。水のいき。岩の内に入積て。しろかねとなる。あかゞねはいさご道。
夜也。いさごのいき積り。かたまつて。あかじねとなる。くちがねは栗の木の枝
葉朽枯。合し積て。くろらねとなる本地木なるゆへに。鍼は土にあふて
くちやすし。こんごんどうは。石水づもるゆへにくちず。ちうぢやく。あかじ
ねのくらゐ也。すゞ水かねは銀となるべきはじめ也。これらも。水の積り也
天地損て日月のごとく金銀銅銭もとろ〳〵の積りなり
第廿五問ていはく。諸宗おほ〳〵まし〳〵候。中に。山ふし。道男女の
〽先達といひ。白体に。出立はらは。じめをさり。けるれを。いみ。さんけい。
いたす事ふしんにて候答ていかく山ぶしのうんげん大日如来の
へんげ也。なんでんの。てつとうにては。りうめうぼさつ也。わがてうに
は。くまのさん。しやう〴〵でん也。かるがゆへに。大みねは。こんかうりいの。大目
九ゑのまんだら。五百余尊をの〳〵仏ぼさつ有。かづらきはたいぞう
十四
かいの大日十三ゑのまんだら。七百余尊各あり。此里やうぶのうねはむし
むちう。賢劫ともにざうけんのときも。はめつせざる。在所也。天神七代
はさなき。いさなみのみこと。一女三男をしやうし国を。つくり給ふ也とき
にせうじやうてんちはつぎやうのしちに。五ぢのほうくんをちやくし
上下のころも。十三のきく。とぢ大まんだらぜんご。四重左右。二ばうをむ
すびこめ。けさは。こんのまんだら。九ゑをむすびこめびとへに。りやうふの
まんだしに。御身をまとめひだりにとつをもち。右にしやくぢやう
をもち。五きない東海。山東。北陸。山陰。山陽南海。西海道を八よう
のれんけとかうし。ほんなふ。しきしんを。あらはし。むみやうのほんなふを
はらはずして。心に伝頼。いむ事は。りんゑの。めつをいとふ心也越中の
たて山。加賀の白山。はこね三島は。六道のあるじ也。さんけいの人は。六
道へおもむく心也山ふしは六道をあまねくすぎ無苦無薬のさい
しよへ心ゆく也。くまの山々こくらくじやうど也。一度さんけいのともがく
十あく五ぎやく。むしのさいしやうを。せうめつす。仁王五十代の国と
さうぢん天わう。ふだん仏神をしんじ。ゑんのぎやうじやしやよし
〴〵でんに。へんげして。くまの山をふみ候時。大かね。かづらき山にふし
ぜんぢやうに入て。自心の如来を。正がくしたでまつる。無初此かたの仏
神きやうそうして。とき。さんけいをいたすなり。これによつて。さう
ぢん。てんわうと申なり
第廿五問ていはし。男女一仏性なるに。女のほらざる山の所々におほし
貴僧高僧も。たい内より。しやうずほとけのいん。いと。まやぶにん
の御子也。や〳〵し如来もあしゆくぶにんの。ひめみや也。たいさうかいの大
日も。いんの如来也。女人な〳〵は仏法僧もありがたく候。世人は。しやうぶつ
得がたしとうけたまはり候事不しんに候答ていはく女ぜひする事
有相のことはり也。五百かいの中にも。だんじがたきは。ゐんぼん也。たゞし
はかいのぎやうを。いましめんがためにぜひする也。若しうぢやくふかき
ゆへに。仏性なきがゆへ也。但むさうのことはりには。男女の差別なし。いづ
れも。自心のしゆきやうによろて。男女のさうをきらはす。仏しんを開べき也
第廿七問ていはく。女三十日のうちに一度の月水となる。男女の不同
ふしんにて候答ていかく。男のためしは。天よりくだる。女のためしは。
地よりも出る。かるがゆへに。ゐんやうの事。女は地にして。男は天におほふ也。
甚深なるがゆへに。三十日のゐんよく。積て。月水となる念あさき時は。
ひかずとをし。子。たい内にもては。月水を見ず。身肉となるゆへなり。
一乳をのむ間は乳になり。いんよく。あさきゆへに見すと云々
入第廿八問ていかく。五ざう。六ふを。くそくし。上下戸の腹中何様
のしさいに候や答ていかく。くわうてひ経に。五ざうのまんだらをしたらを
らはす。是を見るにほねと。にくとの間に。歌のむしあり。此むしの内
すぢより酒をのむゆへ。上戸也。中戸は。五よのむし。下には。五百の
むしあり。むしのしよゐと見え候
十
第廿九問ていはし。うろむろは。何と心得べく候答ていはく。うろ。
むろどもに。一代けうしゆ。釈尊の説也。うろの法より。むろの法にいたる。
事を。深入禅定のさんぜんといふ。しんごんにはくわんねんと云。八宗共に
くわんどうと是を云ぜんじのいはく。なんじやすし。又やすからず。なんぢ
一法を得せしむれは。万法を得る。一仏を見たてまつれは。百千万おくの仏を
見る。一しうを覚知すれは。八しう十しうの道理を。覚知す。一世に三世を
しれば。一切もくぜんのことはりをしる。ひろくは。自己自明也つたへざる理は
書しをきがたく候。たゝし。うろのことはりより。かろのことはりに。念
犯し給ふは。しかじ。うたがはざる所なりと云々
迷悟問答集畢
日本之広事西より東へ二千八百里北より南へ五百三十里也
松会関板之
十一
廿九一月十日