命の親
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- 白木辨才
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- 日本語
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- めとぎや宗八
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- イノチノオヤ
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- 東北大学
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- タリキアンジンイノチノオヤ
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四日
命の親全
狩
1456
3456
第2{
曲
六道の辻に息もたえ〴〵迷ふ子に
あはれ〳〵と南無阿弥陀仏の乳房を
一味
安心
決定
命の親
ふくめ御法をあじあはせ命の親に
かへすものなり白木辨寸題
千光院司附会ヲ
南むあみだ
以テ購入セル竹開博士
名野亭吉氏藤蔵画
ほとけの
みなと
おもひしに
となふる人の
姿なりけり
命の親
南無阿弥陀仏といふは天竺の詞
なり。唐土には帰命無量寿覚と
ほんわがてう
翻じ。吾朝にはいきをかへす。はかりなき。
いのちのさとりと訓じて。風いきとし
いける。一切衆生の出入る息の帰
納処。命の親といふは。たゞとなへ
たてまつる。南無阿弥陀仏の声の
外にとては更になし。かゝる御慈悲
に安住するを。他力安心。決定往生。
にんちう
人中の阿弥陀仏とは讃嘆給ふ也。
これを疑ひそしるものは。とても
力およばぬ無宿善。流転生死の際
もなき。地獄回りの大罪人と悲む
べし。それ人間の命といふは。出入の
息なり。息といふ字は。自の心とかき
たるなり。また命とは。いきのうちと。
いふの略語にて。命とは。いきのある
うちといふごとにて。息のたえぬるを。
死ぬるとはなづくるなり。息は息風
にて。五大の中の風大なり。其風大を
五方に配する時は。西方にあたり。四時
にとりては果熟の秋なり。いきとし
いけるもの。みな西方阿弥陀仏の。
風大に帰らずといふ事なし。この
ゆゑに行者の吹いだす息風は。自心
かとおもへば。すなはち西方阿弥陀仏
一の風大なり。西方阿弥地沸の風大
かとおもへば。すなはち行者の風
じやうぶつふにきほふいつたい
大なり。されば生仏不二。機法一体
一ぜんだうだいし
の姿にて。善導大師。つね〴〵御口
より。金色の阿弥陀仏を吹いだし。
ぎやうじやへいぜい
給ふも。この謂れにて。行者の平生。
唱へいだす息風は。こと〴〵く百千
万億無量無数の化仏とあらはれて。
ほふかいへんまん
法界に応満したまふ。その一々の光
やくぎやうじやしきしんらんにふ
益。行者の色心に慣入して。つまぬ
ぜんごんかしら
功臣の主となり。なさぬ善根の頭と
げんぜあんおんあした
なりて。現世安穏の朝には。祈ら
つくじゆぞうぢやくじゆぞうぢやうじやう
ずして。福寿増長。子孫繁昌し。
臨終正念の夕には。聖衆現前し。
上品に往生す。実に超世不測の
大願力。二世安楽の御利益なりと。
一念に助かる事のうれしさのまゝ。
一万二万三万。乃至五万十万の数
をかさね。命のあらんかぎりは。ねて
しようみやうねんぶつ
もさめても。絶間なく禰名念仏す
べきものなり
命の親終
在家勤行式
かうげさんぼうらい
香偈三宝禮
願我身浄如香爐願我身浄智慧火
念念焚燒戒定香供養十方三世佛
南無常住佛
南無常住法
南無常住僧
四奉請
奉請十方如来入道塲散華樂
奉請釋迦如来入道場散華樂
奉請彌陀如来入道塲散華楽
奉請観音勢至諸大菩薩入道場
散華楽
開経偈
無上甚深微妙法百千萬刧難遭遇
我今見聞得受持願解如来真実義
四誓偈
我建超世願必至無上道
斯願不満足誓不成正覺
我於無量劫不為大施主
普濟諸貧苦誓不成正覺
我至成佛道名殿超十方
究竟靡所聞誓不成正覺
離欲深正念浄慧修梵行
志求無上道為諸天人師
普照無際土
神力演大光普照無際土
一くわうさいしゆやくなん
消除三垢冥廣濟衆厄難
開彼智恵眼滅此昏盲闇
閉塞諸惡道通達善趣門
威曜朗十方
功祚成満足威曜朗十方
日月貳重暉天光隠不現
為衆開法藏廣施功徳寶
常於大衆中説法師子吼
供養一切佛具足衆徳本
願慧悉成満得為三界雄
如佛無礙智通達靡不照
願我功慧力等至最勝尊
斯願若剋果大千応感動
虚空諸天人当雨珍妙華
三念佛
南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛
南無阿彌陀佛
後唄
諸世界如虚空如蓮華不着水
心清浄超於彼稽首礼無上尊
三尊礼
南無至心歸命禮西方阿彌陀
彌陀身色如金山相好光明照十方
唯有念佛蒙光攝當知本願最為強
六方如来舒舌證專稱名號至西方
到彼華開聞妙法十地顧行自然彰
願共諸衆生徃生安楽国
南無至心歸命禮西方阿彌陀
觀音菩薩大慈悲巳得菩提捨不證
一切五道内身中六時観察三輪応
應現身光紫金色相好威儀轉無極
恒舒百億光王手普攝有縁歸本國
願共諸衆生徃生安樂國
南無至心歸命礼西方阿彌陀
せいしぼさつなんしぎぬくわうふせうむへんざい
勢至菩薩難恩議威光普榻無邉際
有縁衆生蒙光觸増上智恵超三界
法界傾揺如轉蓬化佛雲集満虚空
普勧有縁常憶念永絶胞胎證六通
願共諸衆生往生安楽国
禁願文
ぐわんてしとうりんみやうじゆじしんふてんだうしんふしやく
願弟子等。臨命終時。心不顛倒。心不錯
らんしんふしつねんしんじんむしよくいうしんじんけらく
亂。心不失念。身心無諸苦痛。身心快樂
によにふぜんぢやうしやうじゆげんぜんじやうぶつほんぐわんじやうぼんわう
如入禪定聖衆現前。乘佛本願。上品往
生。阿彌陀佛國。到彼國巳。得六神通。入
十方界。救攝苦衆生。虚空法界盡。我願
亦如是。發願巳。至心歸命阿彌陀佛
啓白
光明遍照
光明遍照十方世界
念佛衆生攝取不捨
回向
願以此功徳平等施一切
平等施一切
往生安楽国
同発菩提心往生安楽国
別回向
来迎願王阿彌陀如来廣大慈恩
發遣教主釋迦牟尼佛廣大慈恩
かうそくわうやうしうなんごしんぜんざうだいしじやうなじおん
高祖光明終南悟真善導大師上酬慈恩
ぐわんそゑんくわうとうぜんゑじやうこうかくだいしじやうしうじ出ん
元祖圓光東漸惠成弘覺大師上酬慈恩
せいざんしやうぐうぜんゑみてんかんちこくしじやうしうじおん
西山證空善恵彌天鑑知國師上酬慈恩
鎮西聖光上人辨阿大和尚上酬慈恩
三國傳燈念佛弘通祖師等上酬慈恩
こんにちこたりざすところのしやうりやう
何
増上菩提
今日所志精霊ト
北城
どうぎやうどうばんならびにけちえんのめんくそういちれんたくしやう
同行同伴並結縁面面等一蓮託生
いちまいきしやうもん
一枚起請文
もろこし我朝に。もろ〳〵の智者
達の。沙汰し申さるゝ。観念の
念にもあらず。また学文をして。
念のこころを悟りて申念仏にも
あらず。唯往生極楽のためには。
南無阿弥陀仏と申して。疑ひ
なく往生するぞと思ひとりて。
申外には別の子細候はず。但し
三心四修と申事の候は。みな決定
して南無阿弥陀仏にて。往生
するぞとおもふ内に篭り候なり。
此外に奥ふかき事をねぜば。
二尊の憐みにはづれ本願にもれ候
べし。念仏を信ぜん人は。たとひ
一代の法をよく〳〵学すとも。一文
不知の愚鈍の身になして。死入道
の無智の輩に同して。智者の振
まひ
舞をせずして。只一向に念仏すべし。
しやうのためりやうてをもつていんす
為レ証以二両手一印
浄土宗の安心起行。この一紙に
至極せり。源空が所抔。この外に
全く別義を好ぜず。滅後の
邪義を防がんがために。所好を
記し畢ぬ
建暦二年正月廿三日
源空画
四弘誓願
衆生無邉誓願度煩悩無邉誓願斷
法門無盡誓願智無上菩提誓願証
自他法界同利益。求生極樂成佛道
退坐
三拜
さんげのもん
懺悔文
我昔所造諸惡業皆由無始貪瞋痴
従身諸意之所生一切我今皆懺悔
三歸戒
南無歸依佛兩足尊
離欲尊
南無歸依法
衆中尊
南無歸依僧衆中尊
三竟
歸依佛竟歸依法竟歸依僧竟
三長月
正月五月九月
六斎日
八日十四日十五日廿三日廿九日晦日
十斎日
朔日八日十四日十五日十八日
廿三日廿四日廿八日廿九日晦日
但し小の月は。二十七八九日に
つとむべし
附録の序
難波口の。よしあしわかず。うき世の橋わたる
中に。うきふししげき。河竹の世の流にしづむ
賤の女が。浅はかなる問に。ひじりのかしこき御答
のなさけ。仏の御手の糸にひかれて。愚なる
みだれごゝろも。たゞ一筋に名号となふやうに
なりぬる。うれしさにこそ浪江
らん
ふみとゞむ
信と
どこを
こゝろには
口にはいへど
能力とて
なむ
南無と
たのみ
阿弥陀と
すはる心
こそ
ほんの皮定
活仏なれ
機は十方の泉生
高無阿部伊勢守
行は助給への一念
附録
一問。この娑婆世界に住ものは。たとひ極楽往
生を願はずとも。念仏申べきや
答。凡天地の間に住めるもの。一として日月の御恵
をうけざるものなし。日月なくば。五穀生ぜず。万
物熟せず。中につきて。人の命は。五穀をもちて
養ふものなれば。五穀なくては。人の命は一日も
つなぎがたし。古より五穀の事を菩薩といふ。
司食するものを。菩薩まはしといふ。菩薩とは
天竺の詞にて。人をすくふといふ事なり。五穀は夏
冬より生ず。夏冬は寒暖なり。寒暖は水火なり。
水火は陰陽なり。陰陽は日月なり。日月とは須弥
四域経に。日輪月輪は。観音勢至二菩薩の。世界
の衆生をあはれみて。点臨したまふとあれば。その
成熟の元へもどして。五穀の事を。菩薩といふ
ならん。観音勢玉は。もとこれ弥陀同体の。慈悲
智恵の分身なれば。此世に生れ。日月の御庇をかふ
むり。五穀をくふ程のものは。皆これ阿弥陀如来の
御肉を食するも同じ理なれば。命をつなぐ大恩
を忘れ。一日片時たりとも。念仏せずして可なら
んや。白楽天は。この娑婆界へ生れくる衆生。悲喜
のたび毎に。口をひらきて南無あみだ仏〳〵と
称ふるは。偏に極楽のあみだ如来と。因縁あつき
しるしなりといへり。実に生々世々の。慈悲の母とは
この仏なれば。毎朝毎夕に。香華燈明をさゝげ
て礼拝し。日々三度の配膳に向ふときは。先合掌
して。一生涯の命の親の。大恩をわすれぬやうに
十遍なりと。百遍なりと称へなば。現世には福寿
増長。子孫繁昌し。未来は一菱泡生。極楽
の再会を得て。ながき悟りの契りを結ぶ
こそたのもしけれ
四
月も
極楽のみち
しらす
かねてぞ
入相の
ありがたや南無あみだ沸と
かみこなし
南無あみだ仏と
苫こみぞする
一問。人の死せるは。灯の火を吹けすごとく。
跡願もなきの。または人間はながく人間界へ
かへり。畜生はいつも畜生道へ生れて。別に
心性変化の義なしといふはいかに
答。魂魄は焼どもやけず。埋めども朽せず。更
かはる十の姿のさま〴〵は。心のおなじからざる
がごとく。千変万化。苦楽升沈。さだまりある
事なし。これを悟るを仏道となづけ。これ
に違ふを外道とはいふなり。黄帝の曰。
形は糜る事ありといへども。神は化せずと。
化せざるがゆゑに。その変きはまりなし。此
ゆゑに壮なるものはおとろへ。生たるものは
死し。莱虫は蝶となり。鳩は鷹となり。雀は
蛤となり。縣熙は熊となり。褒君は龍となり。
牛哀は虎となり。徐伯は魚となり。彭生は
豕となり。如意は犬となり。宣或鼈と成
載文は牛となり。怨神草をむすび。励鬼
病となるの類。左伝。史記。漢書。等にあるの
説にして。釈家の説と符合す。三世輪転
因果歴然の理うたがふべき事にあらず。管見
天を窺ふの小智をもちて。三世了達の佛
智をそしる事。向天の咲の。己が面をけがす
がごとく。講法の大罪。その身の亡びんこと
こそ悲しけれ。小智菩提のさまたげとは。
この謂なるべし
同
傀儡子くびに
かける事
人形箱
仏だそふと
鬼を
だそふ
うけかはり
十の姿の
さま〴〵は
みなこゝろより
なすにぞあり
ける
一問。腐儒姦巫の流。すべて仏法ときくより。
そのまゝ異端の虚無。実なしといふはいかゞ
答。凡日本六十六州。津々浦々にいたるまで。
高も卑も一様に。頭にはまぎれなき仏法
の宗判をいたゞき。足には畏たてまつる。
王法の自印をすへ。年〴〵王庫へ納たて
まつるより。天が下にやす〳〵と住ひ。互〳〵
とくらふのは。みなこれ
君か御代の。ふかき御恩沢なる事を
しらず。みだりに仏法を破斥し。上王法
を蔑にし。下已をあざむくの輩。正直を主
とする神の道。仁義ををしゆる儒の教に一
叶はんや。実に蛍火の日輪に光をあらそ
ひ。蟷螂が斧をいだして。馳車に向はんと
するよりも。なを片腹おかしき事ぞかし。
いにしへ
古より
天子。将軍。公卿。大臣。のふかく仏法を帰依
まし〳〵て。入道出家し。あつく思ひこめて。
苦修練行し給ふ事は。伝記にのせてあまた
あれども。儒者神道者となりて。仏法を破
付し給ふ事は一としてなし。況
大樹君より。ふかく浄土門に帰伏ましまし。
念仏の安心を決帰し給ひ。厭離穢土。欣求
浄土の御旗押立たまひて。甲冑を帯し。白
刃をとり。敵陣に入。亀文をけづり。鍔をわり。
火花をちらして攻戦給ふにも。日別六万称の
御日課は。陣中たりとも。いさゝかも怠りたまふ
ことなく。遂に治国安民。平天下の。御功勲を
あらはし。四海波しつかに治まる世の中に。
七十五の御高年をかさねさせたまひ。目出度
御往生ののちも。御武運長久。御子孫繁昌。
つきせぬ御世のすゑ〴〵まで。賑ふ民老
よろこびは。皆これ南無あみだ仏の餘慶ぞ
と。この日の本に住むものは。念仏わすれて
可ならんや。まして憂世のならひとて。生死
事。大無常迅速。出息入息またぬ。打石の火
よりも墓なき命をもちながら。無益の雑言
に日をつひやし。誹謗の罪過に身を亡さん
事を恐れて。はやく王法に随順し。とく念
仏申こそ。実に二世安楽の働といふべけれ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かず〳〵
南無の
祝ふ
はかりなきことぶき
一無量寿
八千代に
千代に
君が代は
ぶつほふしうはん
仏法の宗判
ならば日の
本の
一どこに
鈍尻
すよとおも
やる
一問。極楽をねがひ。念仏を申ものは。愚夫。
下賤。女子。小人の類にして。かつて
天子。将軍。公卿。大臣。智者。高徳。の所作には
あらずといふはいかゞ
答。三悪道より。はじめて人間界へうまれ
きたり。また三悪道へ立かへる。強剛難化の悪
衆生。きくも涙のたねぞかし。唐土の房背
といへるものは。独りの老人をすゝめて念仏
せしむれば。その功徳によりて。その身も往生
す。宝積経には。三千大千世界にみてらん
宝を施さんよりは。一句の法をときて。衆生を
利益せんこそ勝りたりと。また千体の佛を
つくらんより。一人の生仏をつくれともをしへ。
勧首念仏の偈には二人をすゝめて念仏せし
むれば。自己の精進に比す。すゝめて十余人に
いたれば。福徳無量なり。もし百千をすゝむれば。
真の菩薩なり。もし万数に過れば。即これ
阿弥陀仏なりと。此ゆゑに古より。徳もすぐれ
智もひらけ。四海をなつける天皇には。浄服
大王。烏蓑王。一条院。三条院。高倉院。後白
河院。後鳥羽院。伏見。後伏見。後二条院。皆
念仏門に帰依したまひ。中にも後白河の法
皇は百万遍の苦行。二百余ヶ度までも修行し
たまひ。古今稀なる叡信のほど。感ぜぬもの
ぞなかりける。聖徳太子は。日本念仏の元祖に
して。御祖父欽明天皇の御ために。七日の間。念
仏を修し。善光寺の如来へ。文してその由を
告給ひしかば。すなはちあみだ如来より来れる
御返翰。今現に大和の法隆寺の宝蔵に納ま
れり。これより吾朝に。念仏の法門流行する
事になれり。王日休は。多くの人をすゝめて。
念仏せしむるものは。大菩薩なりと。凡仏
心に順ずるものは仏心なり。観経には。仏心
者大慈悲これなりとありて。仏家の慈悲
は。傷にいへる仁の大なるものにて。諺にも仁者
に刃向ふ敵なしと。それ君子の徳は風なり。
小人の徳は草なり。艸に風を加ふる時は
のべふすごとく。みづからも信じ。人をしても
信せしめば。天下こぞりて仁をおこなひ。
慈悲をもつはらとするの道理。上やはら
ぎ。下うるはふ。その至善の功徳。また広大
ならずや。かゝる理りもわきまへずして。
仏法をそしりあざけるものは。現世には
仏天の冥罰をかふむり。短命貧窮とな
り。はからざる種々の災難をうけて。自然と
出世の道もふさがり。子孫漸々に下落し。未
来はながく附刺。磨舂。焼湯。炉炭の。地獄の
苦患をうくる事も。惣の神学が。王制をや
ぶる基となり。纔の儒習が。愚人を迷はす
論となり。口のみうごきて。行の足のたゝざ
るは。世の諺にいふ。破学者の類なるべし
10
ほとけ
仏とはなにを岩間の
苦むしろ
たゞ慈悲心に
しくものは
なし
誰なりと四方
八面
うつて
見よ
慈悲台姿
に
あたる敵
にし
一問九重の月卿雲客の。その才ひいで。其
品たかく。優にやさしく。念仏して身を
天上にすましめ。心は蓮華の中を栖とし
給ふもありや
答。御堂の関白道長公。九條関白兼宝公。
堀川の右大臣頼実公。野宮の左大臣公継
公。大宮内府実宗。華薗。大臣。小松内大臣
重盛。花山院兼雅。右京権太夫隆信。民部
郷範光。等はみなこれ信心堅固の念仏の
行者なりき。中にも月輪禅定殿下は。忠
仁公十一代の後胤。累代摂禄の臣として。
栄花重職。世にまたならびなきぞみへける。
宿縁の催すところ。後世をおもふこゝろざし
あつくして。ひたすら念仏を修行し。殊
に選択集の発起主たり。そもこの選択
集は。兼実公の請よりおこりて。末法万年
のすゑまでも。生死長夜の暗路をてらす
大明燈なり。実におぼろけの因縁にはあらじ。
御堂の関白の年ごとに。日枝の山にこもりて。
七日の間念仏を修したまひしは。いと
めづらかにこそ侍れ。赤染衛門も。これを有
がたき事のかぎりにしるし置けり。小松の
内府の。四十八の燈籠をかけならべて。よも
すがら念仏せられしは。漢和にも。
倒しすくなきわざならん。今は極楽
にて。いかなる菩薩といふやらん。きかま
ほし。すゑの世までも。燈籠の大臣と呼は
るゝ。榎木の僧正のためしにや。これぞ
これ真如朽せぬ佳名なるべし。吉田
中納言経光の。筑紫に幽居して。空には
紫雲の種をまき。室には念仏の声
しづかにして。聖衆の迎をまちておはし
けるは。いとあはれにぞきこえける。中納
言顕基は。いみじき数奇人にて。朝に有し
ときも。あはれ罪なくて。配所の月を見
ばやとねがはれける。後には大原山に
かくれて。一向念仏して。こゝろよく往生
の素懐をとげられけり。慶の保胤は。造
次頻沛。つねにあみだ仏を念じ。往生記
をつくりて。みづからそのこゝろざしを述
られたり。大江の匡房は。和漢の才かしこく。
朝につかへて。すぐれし達人なりしが。
念仏往生の道にこころをかたぶけ。続往生
伝をつくりて。世につたへたり。宗隆卿は。八十
歳にして。はじめて念仏往生のありが
たき理りを聞入たまひ。はやくもしらざりし
事を悔んで。しきりに修行おこたらず。或
時天王寺にて。七首の和歌をつゞりて。述懐
せられけるその中に。かくばかり。ちぎりまし
ますあみだ仏を。しらずかなしき。年を経
にける。と詠ぜしは。こゝろなき身にきゝだ
にも。鴫起沢の。秋の夕ぐれより。なをあは
れはまさりてぞ覚えぬる。凡敷嶋の道は。
もはら大宮人のもてあそびものにして。
無常を詠じ。浄土をしたふの跡。代々の
選集にも。五種正行の中の。讃嘆正行の
所摂ともいふべきか。いと目出度ことぞかし。
誰か賢を見て。ひとしからん事をおもは
ざらんや
柴田
こゝろ
の
関の
ふかき
をば
燈籠の火
こそ
てらす
なれ
弥陀の
松を
たのむ
身
は
てらさぬ
ところ
ぞ
なかり
けり
一問。武士の乱をしづめ。国を治むる計略も。
死をきはめて。生にやすんずる大要は。たゞ
これ念仏なりと究めし人は誰そ
答。先武蔵の国の住人。甘糟太郎忠綱は。
武勇の家に生れたれども。後世のこゝろざし
深くして。吉水大師に帰依し。日梁倉
仏しけるが。建久三年十一月。山門の騒動
のあるにより。勅命をうけて。山門におもむき。
逆徒のたゝかひ。両陣互に入みだれて。軍既
に半なる時。太刀打をれて。身にあまたの
疵をおひ。もはやこれぎりなりとて。俄に
論坐合掌して。最期の念仏分明に唱へ
て。大往生をとげられたり。紫雲戦場に
みち。またあづまの妻室の夢にいりて。快く
極楽往生したるよしを告られたり。
已に弓矢の家名をもうしなはず。また往
生の素懐をもとげ。現世にては君に忠を
つくして。名を万代にのこし。後生には浄土
小往生し。仏果の位にいたる。実に善尽し。
美つくすといひぬべし。かゝるおどろ〳〵し
き。軍陣の中にても。物の用に立ぬる法門は。
念仏より外にまたとあるべからず。戦場を
もちて。直に菩提の門出となす。不思議と
いふもおろかなり
かゝるとき
いのち
命の
さぞや
をし
からん
かね
候
なき身と
おもひ
しらずば
六孫王経基公の御嫡子。多田満仲。伊予
守源頼義。新羅三郎義光。余五将
軍。橘守輔。西明寺時頼。大瀬三郎。大
胡太郎。宇都宮弥三郎。薗田太郎。熊
谷治郎。津戸三郎。相模四郎は。みなこれ
信心堅固の念仏者なり。中にも満仲公は。
恵心僧都を師として。法義を聴聞し。
日課念仏一万遍おこたる事なく。遂に
往生の素懐をとげられたり。源頼義は。
勅命によりて。十二年の間。奥州の朝敵
阿部定任宗任と合戦し。都にかへりて
後に。箕輪入道の教化によりて。深く念仏
門に入て。念仏の度ごとに感涙をながし
て。その涙が堂の内より。大床まで流れいで。
大床より土へ流れ落たり。つね〴〵人に
あふての物がたりに。吾往生は決定
せり。念仏の時。骨髄に染わたりて。勇
猛強盛のこゝろおこる事。いにしへ奥州
にて。衣川の服をせめ落さんとせし時
のこゝろに異ならずといはれ。実に古今稀
なる大丈夫の念仏者なり。この勢にては。
いかなる煩悩の城廓をも。即時に亡し
なんぞと見えたり。さて目出度往生せら
れし事伝記に見えたり。頼義の子息。
新羅三郎義光は。ふかく弓馬の道に
達し。源氏一流の棟梁たりしが。若き
時より。仏法信仰のこゝろざしあつくし
て。日課の念仏一万遍。おこたらず修行
せられ。かねてより三井寺の内に弥院堂
をたて置。臨終の時は。その堂にて本尊
に対し。念仏ともろともに息たえにけり。
これまた有がたき振舞なるべし。甲斐
の信玄は。新羅三郎二十八代の末孫なり。
熊谷次郎直実は。一の谷の軍に。先陣を
はげまし。敦盛を討とりしかば。その
名天下にかくれなく。源氏の乱しづまりて
のち。ふかく念仏門にいり。道心堅固なる
事。金鉄のごとく。あらかじめ死網をきは
め。諸国へふれまはし。建永二年九月
四日。念仏しながら論坐して往生せり。
これまた希有なる最期なり
一の
同
ふかぬ
ものかは
あらしは
松半の
あだ桜
こゝろは
明日ありとおもふ
かぜ
風のゐる
いにしへの
鎧にかはる
紙子さへ
矢も
とほさ
ざり
けり
楠正成は。毎朝持仏堂にいりて。後世
の勤おこたらず。殊にその勤の度ごとに。
吾郎等の討死せし輩の名をとなへ
あげて。こと〴〵く回向せられしとかや。
実に有がたき芳心ぞかし。かゝるやさし
き事もこそなんめり。武士は急に危き
事もある身なれば。平人よりは。却て
ふかく仏法に帰依すべきなり。しかれば
とて。武道をやめて。念仏せよとには
あらず。たゞ念仏しながら。武道を行ふ
べきなり。念仏はまたく武道の妨とは
ならず。かへりて武門の依怙となる。惣じ
て武士の家に生れ。或は戦場。或は自害の
絹にのぞみて。依怙となる所は。念仏に過
たる事なし。されども習先よりあらざ
れば。時にあたりて急に弁じがたし。
つね〴〵こゝろがけて。念仏せんこそあ
らまほしき業なれ。日ごろ念仏のこゝろ
がけなきものは。死にのぞみて。娑婆に心を
ひかれ。未練のはたらきもありぬべし。
これぞ実に弓矢とる身の名折ならん。
死後にはまた魂魄その地にまよひとゞ
まりて。或はなきさけび。或は火となり
てみとえあがるの類。唐土吾朝に。ためし
少からず。武士の恥おそるべき事なり。
又日ごろ念仏こゝろがけある人は。元
より浄土をおもふこと。故郷をおもふが
ごとく。弥陀をしたふ事。父母をしたふが
ごとくなれば。死にのぞみて古鞋を脱が如
く。少しもこの世に執心をとゞめず。死後
にはたちまちに浄土に往生し。つひに
仏果の位に上る。武名をもはづかしめ
ず。また仏道にもさはりなし。中頃より
我朝の風俗。出陣のとき必死を期し
経帷子の出立をするこそ。武士のいさぎ
よき作法なるべし。世法に即して。仏
法に通達し。武道に即して。仏道に
いたるべきぞ。武士の武士たるべし。しかる
に武士は。仏法には。たづさはるまじき
やうにおぼえて。みだりに是を誹謗する
輩は。暗天の飛跡。そのあたらざる事
こそおかしけれ
一問。智行兼備の高徳の人。会仏に帰し
て極楽をねがひしはいかゞ
答。智恵さとく。学ひろく。生死の出がたき
をしり。極楽のゆきやすきをさとりて。
念仏せし人は。廬山の恵遠法師。天台の
智者大師。曇鷹大師。導綽禅師。善導
大師。懐感禅師。少康法師。法照禅師。
永明禅師。慈雲法師。智礼法師。雑秀
律師。元照律師。戒度律師。択漢法師。
国照法師。天衣禅師。天如禅師。宗頤
禅師。楚石禅師。雲楼禅師。智旭禅師。
為霖禅師。恵心僧都。永観律師。空也
上人。弥海已溝。良忍上人。因光大師。良
遍僧都。明遍僧都。顕真僧正。慈鎮和上。
聖光上人。西山上人。浄音上人。良忠上人
法燈国師。裔同禅師。元果僧都。成賢
僧正。願行律師。明忍律師。等はみなこれ。
法相。三論。天台。真言。禅門の祖師。聡明眉
智古今にひゐで。広学多才。天下にならび
なきゆゑに。よく〳〵諸経論をさぐり。佛意
をきはめ。ふかく時機を鑑みて。もはら念仏を
行じ。末代の標準となり給ふ。まして智も
なく。徳もなく。行もなく。学もなきものは。
さま〴〵の妄想顛倒の僻説の誤りを
懴悔し。はやく念仏門に立いり。楽〳〵と
称名し。やす〳〵と往生するこそ。濡手で
粟のつかみどり。かしこき業といふべけれ
○四十七丁
九年まで坐禅
するこそ
無益なれ
実のとき
は
みだの
ひとうゑ
一声
奥の奥またその
おくをたづねても
南無
あみだ
仏の
外はあら
じな
一問。若き女子。小児などの。日課をうけ念
仏申は。いま〳〵しき事のやうにいふは
いかゞ
答。古詩に老来をまちて。まさに念仏する
事なかれ。古墳おほくはこれ少年の人と
しめし。いでやこの世にうまれきて。誰か
千歳の寿をたもちなん。きのふ見し。
人はと問へば草の葉に。露とこたへて秋
風ぞふく。世のならひこそかなしけれ。
うたかたの定めなき身は春の夜の。夢
とやいはん。まぼろしの。わかちもさらに
しれがたし。手にむすび。水にやどれる月
影の。あるかなきかの世の中に。ほのうへ
てらす稲妻の。光きえなばいかゞせん。実に
雷光石火。夢幻泡影の謂れなるべし。
凡死は前よりもきたらず。かねてうしろ
よりせまれり。沖の干潟はたるなれども。
磯より潮のみつるがごとし。今宵のうち
にもいかなる事に逢て。息たえなん事も
はかりがたければ。幼時よりこゝろがけて。念
仏せんこそ本意ならめ。むかし宋の
魏世子が娘は。十四歳にして往生をとげ。
唐の惟岸の童子は。惟岸の往生を伴
せんとて。即時に論坐して化し。明の袁
中郎が娘は。十四歳にして。浄土を感見し
て往生し。吾朝の喜庵が子は。八才にして
念仏往生し。後には母をも誘引して。
往生をとげさせたり。興福寺の古年童も。
若齢にて往生の素懐をとげられたり
とかや。近ごろも興州の直往といふもの。十
五歳にして。地蔵菩薩にともなひ。地獄
極楽を感見したる事。孝感冥祥縁に
見えたり。道綽禅師は。并州の晋陽大原
改水の三徳の人をすゝめて。七歳以上の
ものには。こと〴〵く念仏させたまひし旨。
迦才の浄土論に見え。宋の浄梵大師は。十才
より念仏せられし趣。仏祖統記に見え
たり。日本にても。少年の人の往生は。発心某
綱白伝。扶桑往生伝。仏神感応録に
みえたり。少年の人は邪智すくなく。其
こゝろ正直淳一なるゆゑに。真の赤子急仁
にして。よく本願の正意に契当する
ものなり。古人も花は半開に見よといへば。幼
なき人の念仏は。殊に見所ありてぞ覚へ
ぬる。月令広義に。一年の計は春にあり。
一日の計は寅にありといへり。おさなき時より。
後生の計をめぐらさんも。またくこの理な
るべし。又押なめて世上の人ごゝろに。若き
女子どもなどの念仏するを。いま〳〵しき
事のやうにおもひならはし。特に年始
などの祝ひ日は。かたく念仏申さぬやうに
おぼえたるは。実に愚痴のいたりなり。それ
阿弥陀といふは。天竺の詞なり。唐の詞に
訳しては。無量寿といふ。唐の無量歩を。
日本の詞にては。かぎりなきいのちといふ
事なり。世間にて年の祝の詞に。千秋万
歳といふは。はなはだ目出度詞なれども。千
といひ万といふは。既に限りある詞なり。今無
量寿といふは。何千年。何万年といふかぎり
もしれぬ命ぞといふ事なるべし。これほど
目出度祝の詞は。またもあるべからず。往昔
天竺の毘舎離国に。悪病はやりて死する
もの数をしらす。月蓋長者これを悲みて。
釈迦如来に救ひの法をたづねければ。
如来をしへて。西方にむかひて弥陀の名
号をとなへしむ。その時長者家にかへり
て。教のごとく念仏を修行せしに。
西方の三尊。たちまち虚空に来現して。
大光明を放ちたまへば。国中の病人。一時
に平愈したる旨。請観音経に見えたり。
月蓋長者。この時おがみたる仏の姿を。
閻浮檀金にて鋳たてまつる。すなはち
今の信濃の善光寺の。三尊のあみだ如
来これなり。また本朝元弘元年に。寝寝
おびたゝしくはやりて。死人岐に満ければ。
天子より善阿上人に勅して。七日の間。百
万遍念仏を修行せしむ。これによりて。疫
痛立どころにしづまり。病人こと〴〵く愈
たり。叡感のあまり。勅してその功を永
代にあらはし。寺を百万遍となづけ給へり。
今の京都百万遍智恩寺の根元なり。
念仏はすでにかくのごとく。死すべき人の
命を延るしるしあり。ゆめ〳〵いま〳〵しく
おもふ事あるべからず。しかるにこの迷ひは
今にはじまらず。むかしよりありし事
なり。小槻の兼任といふ人。元日にわざ〳〵
大念仏して。妻子の輩の愚痴にして。
念仏をいむ事を。いましめられし事。
大江医房の続往生伝にみえたり。又鎌倉
の下女。元日に念仏せしかば。主人大に怒り
て。彼が顔に焼鐵をあてけるに。本尊の
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
有がたや
いづるも
いるも
南無あみだ
こへ
聲
とまりは
極楽が
宿
弥陀如来。身代に立給ふて。あみだめ来の
御顔に。焼鉄の痕。半分に見えたるよし。
沙石集にのせたり。こゝろあらん人は迷ひを
あらため給へかし。また世上の人。正月は
かならず魚鳥を食ふを祝とおもへども。これ
死たるものなれば。却ていま〳〵しかる
べし。仏法の方よりみれば。一切衆生の肉は。
いづれもみな同じ事なれば。魚鳥を売
店は。左ながら鳥部山舟岡山の尻林も
おなじ事ぞかし。またこれをころし
焼あぶりて食ふものは。鬼畜もおなじ
業にて。仏も肉食する人の頭には。つねに
血光もえあがるゆゑ。諸天善神はみな〳〵
恐れおのゝぎ。悪魔邪神つねに其身に
随逐し。一切の災これよりおこるといへり。死
たるものを祝ひぞともてなし。生たる
弥陀の名号を。いま〳〵しくおもふは。
あまりうたてき遺精。片腹おかしき事。
いふも中〳〵おろかなり。世間にはなはだ
しく物事をいむ人は。祝ひの詞に四の字
をよしぶ事をいみ。日取をするにも四日をいみ。
音信のものなんども。四の数をいむと聞
およべり。それほどに死をいむならば。死たる
魚鳥を祝ひには用ゆまじきことなるに。いか
なるならはしにや。いとこゝろえがたし。
若又それは浮世のならひなれば。すこしも
くるしからずといはゞ。念仏もまた婆婆
の習ひなれば。さらに苦しかるまじき
なり。また釈迦は既に入滅したまへども。
弥陀は入滅し給ふ事なく。長へに極楽
浄土の住持として。尽未来際長生
不死にて。説法まします活仏なり。それ
ゆゑ天親菩薩の往生論には。正覚阿弥
陀。法王善住持といひ。紫式部が源氏物語
にも。西方極楽の事を。生る仏の御国と
いへり。しかあれば。阿弥陀といふと。長生不死
といふと。またく同じ事なり。かゝる目出度
祝の詞なれば。若き子供の祝の日には。いよ
〳〵はげみて念仏すべし。また雑阿合経
に。釈尊の俗弟子須達長者は。懐妊の女人
を見ては。かならず三帰を授けてとなへしむ
といへり。大集経にも。妊婦よろしく三帰を
うくべき旨をあかせり。三帰をうけし人には。
三十六億の善神ありて守給ふゆゑに
その産はなはだやすし。今念仁は。三帰の
初の帰依仏なり。このゆゑに懐妊の女人ぴた
すら念仏を修行せば。諸天善神の加護
あつくすぐれたるゆゑ。平産の祈祷にして。
生るゝ子また無病長命なるべし。これにより
て吉水大師も。九條殿下の政所へ進ぜら
るゝ御文に。君だちなんどの。現世御祈の御
料にも。念仏がめでたき事。伝教大師の七
難消滅の法にも。念仏を出し給へば。およそ
現世後世の祈。何事か念仏にすぎんやと
書給へり。善導大師の現生護念増上縁に
も。念仏申す人は。二十五の菩薩。諸天善神
百重千重に囲遶し。昼夜に守り給へば。災
難にあはざる旨を説給へり。この念仏は諸寺諸
社の牛王秘符にもひとしかるべし。南都二
月堂の牛王は。元これ弥陀の種子の武字也。
かの符文に頂上仏面除疫癘。頂上佛面形満
足。疫病をのぞき。諸願を満足する事は。ひとへ
に十一面観音の。頂上弥陀の威神力なり。赴
の災禍疫病を払ふの徳ある事は。理趣経に
見えたり。長谷の観音の霊験も。ひとへに頭上
にある旨。長谷寺霊験紀にみえたり。しかれば
念仏は。実に無面目の大祈祷なるべし。天竺の
正丸梵財了直を。大唐にては南無阿弥陀仏と
対訳するなり。大唐の南無阿弥陀仏を。日
本にてはなむあみだぶつと対訳するなり。されば
天竺の根元の六字は。梵字の真言蛇羅尼なれば。
祈祷となるも宜なるべし。夫ゆゑに念仏にて
祈祷して。現益ある事諸書に載たり。龍師
の浄土文に。念仏にて病をいやし。盲目をひらき。
囚難をのがるゝ等の事。種々の現益をしるせり。
雲棲禅師は。零にさへ念仏を修行して。終に雨
をふらせし事。法華持験記にみえたり。恵僊
和尚は。念仏にて諸人の種々の病を治せられし
事。唐の高僧伝に見えたり。我朝にも近き
ころ。阿碩上人。念仏して諸病を金されたる
事。かの行状記にみえたり。かくのごとく現当二世
ともに。たのみある大利益の名號なれば。若き人は
末ながく。たのしみ深ければ。老人よりは。猶さらに
こゝろを運んで念仏すべし。
みな人の
死ともないが
女の
ならひ
しに
死とも
なさに
ごくらゝ
ねがふ極楽
生れ
ては
一度は
死ぬる
ものぞ
し
阿弥陀
ぶつ〳〵
いふて
まて
一問。八家九宗にも超過する。浄土の法門他
力の有がたきとはいかゞ
答。十方浄土の超過たるをえらびとりて。
極楽の一土とかため。三世諸仏の慈悲を漬
あつめて。弥陀一仏と名のり。八万聖教の秘
髄をつゞめよせて。名号の一法とあらはし。
恒沙の功徳は。口称の一行にそなへ。万吉の
妙体は。果号の三字に即し元より本為凡
夫のならひなれば。十悪五逆の行やすきは極
楽浄土。五障三従の。頼甲斐あるはあみだ如
来。一念十念に。事足るは口称の名号なりと。
厚く信じふかくすがりなば。無窮の生死
を。一念にこへ。僧祇の修行を。一声に成し。
此まゝ正定麗の位に住し。居ながら真薩
の数にそなはり。頭中之頭の妙法。手早き
悟りのうへもなく。生らば念仏の功をつみ。
死なば浄土へまいりなん。二世安楽の御誓願
実に十方仏土中。唯有念仏法。無二亦無
三。除仏方便説。かゝる諸宗超過の有がたき
法にあへる事はとよく〳〵宿善開発の時得
たる仕合ものなりと。仏とは弥陀一仏。浄土
とは極楽一土。法とは名號の一法なりと。わき
ひらみずに。専修一向に唯念仏すべし
一問。他力の信。他力の行とは。いかゞこゝろにべきや。
答。五劫思惟の願心と。非載永劫の修行と。
周満成就し給ふ処を。十方衆生決定往生。
称南無阿弥陀仏の姿とは名乗給ふなり。
この南無阿弥陀仏を信ずるを。他力の信と
いひ。この南無あみだ仁を行ずるを。他力の行
といふなり。南無阿弥陀仏の外に。他力の信も
なく。南無阿弥陀仏の外に。他力の行もなし。
故に古人も他力の信心とは。別にさらに南無
阿弥陀仏の外にはなきなりと。しかるに
南無阿弥陀仏の声の外に。己〳〵が領
解を押立て。往生しすましたりと。高挙
慢説するものは。みなこれ天魔ののかう
つるなるべし
南無阿弥陀
ほとけ
の
名號を
第一
はなれ
ては
なんじや
かじやとて
みんな魔邪
一問。鎮西西山の両流ともに。元祖大師御正
意には。叶はざる安心なりとて。さま〴〵と
そしるはいかゞ
答。鎮西西山の二上人は。大師左右の御手
のごとく。ともに正法伝博の大法匠なる
事。三朝天子の。みづから御震翰をそめ
させ給ひし。勅伝の中にあきらかにして。
禁裏の宝蔵に納みたり。誰かこれをあら
そはんや。まして鎮西上人は。弥陀如来の
再来。西山上人は。観音菩薩の垂迹にし
て。ともに勢玉真薩の応現の。元祖大河
を師範とたのみ給ひ。極楽の三尊。そのまゝ
娑婆の三祖とあらはれて。師弟たがひに
手をわかち。衆生済度まします。一味の安
心。瀉瓶の嫡流。いさゝかも大師に異なる
事なし。しからに鎮西西山の安心を謹る
ものは。元祖大師の所伝をそしるなり。元
祖大師の所伝をそしるものは。善導大
師の相承をそしるなり。善導大師の
相承をそしるものは。釈迦の説教を謗る
なり。釈迦の説教を。そしるものは。弥陀の
本願をそしるなり。弥陀の本願を謗
るもの。いかでか往生をとぐる事を得んや。
誹謗正法の大罪。仏の懸記する所。未来
無間堕獄の先導。まぬかれざるものなり
穴恐るべし〳〵
2
ねぶつ
念仏より
外に
実は
あら玉の
光は巳が
勤にぞ
ある
くはじ
くへ
ころさば
ころせ
金剛の
回向の儘は
えこそはむ
まじ
一念仏は野でも
山でも
となふべ
ぬす人
とらず
ねずみ
鼠かじ
らず
一問。吾祖師一流の信心にてこそ往生もすれ
その餘鎮西は二十の願により。西山は十九の
願にとゞまり。すべて称名立の所立は皆
本願の正意には叶はざる。往生不定の人
なりと。雑説するはいかゞ
答。弥陀の浄土へ往生せんと願ふものは。
弥陀一流。本願の安心によるべし。されば本
願の文には。至心信楽欲生我国。乃至十人。
念とあらを。善導大師は。称我名号とう
け。元祖大師は。唯往生極楽のためには。
南むあみだ仏と申と疑ひなく。往生する
ぞとおもひとりて。申外には別の子細候は
ずとをしへ給へるまゝを。鎮西西山へ相承し
給へるこそ。弥陀一流。本願の安心とはいふ
べけれ。一味安心。四海兄弟。同称念仏。決
定往生。子細なき他力の安心に子細をつけ
る時。釈迦弥陀二尊の憐みにはづれ。善
導元祖。両大師の相承にそむき。往生の
道には。踏迷へる人といふべし
一問。一会に往生するこそ。他力なれ。多念日
課の数をとりて。念仏を励んとするは。
みな自力の違ひなりといふはいかゞ
答。一念とは決定往生の信体なり。この
信動せざる姿が。日々はげむ日梁相続の
行相なり。信行不離。同一体。信の外に
行もなし。行の外に信もなし。さらに
本末前後ある事なし。元祖大師の曰
一念は念仏を信ずるの体。多念は念仏を
行ずるの相なりと。しかるに行をはなれ
たる信をすゝめては。地獄の先導をなし。
信に即する行をきらひては。極楽の道
をふさぐこに。附仏法の外道。獅子身中
の毒蟲とはいふべけれ
一問。信心決定もせずして。無益の念仏
を申さんより。先第一に信心を決定せよ
とて。念仏の口止をするはいかゞ
答。信心決定せずば。信心決定するまで。
念仏申べし。申うちにはおのづから仏
の御引立にて。ほろりと信心も決定すべし。
元祖大師の曰。実のこゝろなくば。実の心の
起るまで念仏申べし。また念仏を
はげみくせづけよとは。有がたき御示ぞ
かし。しかるに念仏の口止をして。無益
の妄談曲説を追回り。兎あれ角あれとて。
けつぢやうふけつぢやう
決定不決定をいふものは。みな妄想顛倒
の。迷ひの夢のたゞ中なるべし
一問信行はな〴〵は。いづれも仏祖の正意に
はづれ。ともに往生は得ずといへども。その中
にてはいづれがよく候や
答。信の弊は邪見となり。邪見の業は地
獄へ堕落すべし。行の弊は自力なり。自
力の善は。三悪道をまぬかるべし。況名聞
利養。虚假不実なりとも。申す念仏は。
遠因の善となり。果遂の願中にをさめら
れ。三生目にはかならず信実の行者と
なし。極楽へ往生させんとの御誓のまし
ませば。念仏は仮にも実にも。声に出
して称へるこそ有がたけれ
□□□□
廿一日
□□□□□□□
世を
わたる
橋と思ふ
て
ふみかみし候
まことのみち
是
いるぞ
うれしき
只まうせ
申すうち
には
おのづから
深きほとけ
乃
まこと
実をぞ
しる
一問。浄土他力の祖師のうちに。数をさだめ
て。念仏を高声に称へたまふかた〴〵は。
いづれぞや
答。龍樹。天親。菩提流支を始として。曇
鷹大師は。四部の弟子と声をそろへて。
言よらかに念仏し。種々の奇瑞をあらはし
て往生し。導綽禅師は。毎日の日課念
仏七万遍を限りとして。観経を講ずる
事。二百余通。つねに道俗を化して。七才
より已上のものををしへるに。小豆をもち
て数をとらせ。上根のものは。一生の内に
八十石九十石をえ。中根のものは。五十石を
となへ。下根のものも。三十石をえ。おの〳〵
目出度往生をとげられたり。善導大
師は。十万遍より。十四万通にいたり。殊に
戒行堅固に守り給ひ。三十餘年の間
すこしも眠り給はず。その日深をうくる
もの。或は妻子をはなれ。家財をすてゝ。一万
五千より。十万遍にいたり。念仏三昧を得。
往生するもの数をしらず。懐感禅師は。
一善導大師にしたがひて。三年の間。昼夜
少しも絶間なく念仏して。生ながら金。
色の如来をおがみ。いよ〳〵つとめいよ〳〵
はげみて。めでたき往生をとげ。少康
法師は。人にをしへて。念仏一遍に一銭を
あたへ。乃至百千万も。また〳〵かくのごとく
して。念仏の数のますにしたがふて。銭を
ましてはげましたまひ。この功徳によりて。
となふる口よりは。つね〴〵金色の阿弥
陀如来を。連珠のごとくに吹いだし。化益
に随ひ念仏するもの。生身の如来を拝し。
往生を遂るもの。その数かぎりある事
なし。恵心僧都は。一生の間の念仏の数
二十八俱底の数をつみ給ひ。元祖大師は。
七万通。鎮西西山二上人。六万通。熊谷入
道八万遍。九條殿下兼実公。権中納言
公継。権中納言親経。おの〳〵六万遍づゝ。
其餘僧となく俗となく。大師の御門下に
つらなるほどの輩は。数をさだめて。日謀の
称名を励まざる方とては。一人もなかりき。
元祖大師も。懈怠をいましむるにも。数を
定むるがよき事なりとのたまへば。凡他力の
往生を願ふものは。他力往生の先達。善
導元祖の御跡をしたひ奉り。己〳〵が
分限をはかり。それ〳〵の日課の数をさだ
め。ふかく如来へちかひたてまつり。命のあら
んかぎりは。ねてもさめても。称名念仏すべき
ものなり
一問。珠数をくりて念仏し。数をかぞふるは。
自力なりといふはいかゞ
答。珠数は。瑜伽念誦経に。観音慈悲の
糸にて。衆生の小粒をつらぬき。あね地
仏の母珠のもとへ。つれかへりたまふの標
楽にて。纔に身に帯び。手にふるゝさへ。多の
罪を滅し。とろ〳〵の功徳を得。悪魔
邪神。こと〴〵く驚怖し。諸天善神。こぞ。
りて守護ましまし。これをくりて念仏
せんに。その功徳広大なり。故に古人も珠
数はくるべきものなりとをしへ。文字にもかぞ
へる珠とかきて。くりて功徳を得。かぞへて
念仏せよとある。仏祖のをしへにそむきて。
くるなといましめて。功徳の先をとゞめ。かぞ
へるなときらひて。念仏の口をふさぎ。未来
堕地獄の手をひくものは。いとあはれと
おもふて。いよ〳〵くり。いよ〳〵かぞへ。せめ
ては見聞結縁の。功徳なりともむすばし
むべし
一問。念仏の勤やうは。つね〴〵いかやうに
すべきや
答。出家はいふもさらなり。たとひ在家のいそ
がしき中なりとも。毎朝毎夕。香寿燈明を
さゝげて。仏前に出て礼拝念仏し。妻子
眷属にいたるまでも。其家のならはせとすべし
また三度の配膳ごとに。先令掌して思ふべし
此日々の命をやしなふ五穀ぼさつは。皆これ
阿弥陀如来の身肉をわけて我等を育ひ
給ふ本意は。六道沈淪のながの迷ひを翻し。
極楽浄土へつれ帰り給はんと。深く運給ふ
御慈悲の有難さよと。十遍なりとも。二十返
なりとも。怠なく南無あみだ仏〳〵と称なば。一口
〳〵に。現世安穏の利益をのみこみ。一声〳〵に。
後生極楽の快楽を吹出し。此上もなき功徳
といふべし。元祖大師も。一食の内に。三度ほど
念仏せんは。よき相続なりとのたまへり
人ごゝろ
まろきが
うへに
くる
まちかれと
まはせ
この
珠数の玉
念珠有四
一最勝千八十二上品百八
三中品五十四四下品三十六
一問。現世利益の祈祷にも。念仏すべき
事なるか
答。極楽をねがふ行人は。唯往生極楽の
ためには。南無阿弥陀仏と申て。疑ひ
なく往生するぞとおもひとりて。申外
には別の子細なしと。おもひさだめし
うへはうき世の事は。みな夢幻しの一紙
場なりとこゝろえて。他念なく相続しなば。
米に藁のつき。火に煙のそへるがごとく
にて。この世の事は。よきもあしきも。現生
護念の御ちからにて。如来の方より。よき
やうにあてがひたまふべし。実に死をきは
めて。生に安ずる。二世安楽の大丈夫の働
きといふべし
一問。念仏の行者の。諸神諸菩薩を礼
拝するは。雑行なりとて嫌ふはいかゞ
答。十方三世の諸仏。広長舒舌の修賊は。
こぞりて本願の不測を讃嘆し。三千余
坐の神祇。和光同塵の利生は。みな念仏
の行者を守護したまふ。かゝる広大の恩
をうけ。徳をかふむるもの。いかでか疎略の思ひ
をなさんや。古人も諸神諸菩薩。おろそか
にすべからずとの誡めこそ理りなれ。此ゆゑに
神にむかひ。仏にむかふたび。ことに。いよ〳〵弥
陀の御慈悲の。広大なる事を思ひつゞけ
〳〵。南無あみだ仏〳〵と。称名すべきもの
なり
二
生れ来ぬ
先にも
うまれて
すめる女も
まかるも
慈悲のふとこ
ろ
のうち
ほうこう
奉公に
はだかでこゝへ
きて
いぬる
きやうかたびら
経非子は
のびた
給金
一問。三帰とは。いかなる功徳なるぞや。又宗々
にて。用不用の異もありやいかゞ
答。凡三幡あるを。仏宗となづけ。三帰
なきを外道となづく。此ゆゑに八宗九宗。
をしへ異なれども。三帰ばかりは同じ事
なるべし。優婆塞戒経に曰。善生長者。仏
に三帰の功徳を問ひたてまつるに。仏答へ
て。曰。諸の苦みをはなれ。煩悩を断じ。
無上の楽をうる事。みな三帰をうくる
ゆゑなりとのたまふ。希有枝量功徳経
に曰。もし三千大千世界の中にみつる。
もろ〳〵の仏を。さま〴〵に二万年が間
供養し。その仏入滅のゝち。宝塔をたて。
香華種々の供養をせば。その功法おほ
けれども。清きこゝろをもちて。三婦を
うけば。さきの功徳よりまさるべしと
ありて。すべて仏道にいるには。三帰を受る
を始とす。釈迦如来成道のはじめ。五百の
商人に三帰をさづけ。耶舎が父にもまた
さづけ給ふ。これ優婆寒のはじまり也
比丘袈裟をうりて。食にかへ。仏に供養せし
時。汝が父母に供養し。三帰をさづけよと
をしへ給ふ。釈尊の御伯母大愛道比丘
尼。はじめて仏道にいり給ふ時も。三帰
を授け給ふて。これによりていま生々世
の御身をたすけ奉るとのたまふ。善生
経に曰。三帰をうけたる人は。その功徳
きはめつくしがたし。譬ば四大宝の蔵は。
国こぞつて人民七年が間。はこび出しても
つきせぬなり。三帰の福は。これにまされる也
事かぎりなしとのたまふ。又大集経に曰。
女人懐妊せば。先三帰をうけよ。その子
安穏にして。五体も具足し。善神まもり
給ふとあり。又天人纔時三帰をうけし
ゆるに。はやく畜生道をのがれし事。佛説
にみえたり。又涅槃経には。三帰をうけぬ
人は外道なり。悪魔鬼神にさへられて。災
難にあふとあり。世にたよりなき人の。ひとり
流浪するがごとく。三帰をうけぬれば。諸天
の加護にあづかるなり。譬ば帝王の印を
にぎりて。威勢あらがごとし。たれかさはり
をなさんや。跨間の恥を得し人も。漢王の
威をかりて。勢ひ天下におふひ。落魄たる
呂子も。子皓が助によりて。羽翼なるにひとし。
又華厳経の疏に。三宝はすぐれたるよき
縁なり。三帰をうくるものは。よく生死の一大
事をわきまへ。もろ〳〵の善根を生じ。一切の
苦みをはなれ。涅般の楽をうるとあり。殊に
元祖大師も。ねんごろに三帰をすゝめ給ふ。
一向宗の教行信証の六の巻にも。経を
引て曰。一切衆生。三帰をうくるゆゑに。仏
性と決定と。涅般をしるなりと。又般舟
三昧経を引て曰。此三昧をまなばんとせば。
三帰をうけよと。又潅頂経を引て曰。三十
六部の神王。万億恒沙の鬼神。眷属と
なりて。形をかくし。かはり〴〵。三帰を受
けるものを守らんとあり。又法界次第を
引て曰。それ人として。三帰をうくれば。邪法
をひるがへして。正法になるゆゑに。仏道に入
根本は則三掃なりと。みなかくのごとく三帰
をすゝめ給ふに。いかなれば今時は三帰といふ
名をだにも。さだかにしらず。さづけんといふ
僧もまれなれば。うけんといふ俗もたえ〴〵
なるは。末世の弊風かなしむべし。あはれ
こころざしあらん人は。諸宗一同に。三帰
をさづかり持にすこしも苦はなきぞかし
一問。正五九月を。三長月ととなへて。仏家に
格別に祝ふて勤むるはいかゞ
答。天帝釈。北方毘沙門天と。大宝鏡を
もちて。人の善悪をてらし。漢弥四洲を
めぐり給ふに。正五九月の三月は。おの〳〵
この南瞻浮州へめぐりて。人の善悪をてら
し給ふゆゑに。この界の人。善根をつとむるに。
その功徳つねにまさる事。千倍なりと
いへり
一問。六斎日。三斎日。十斎日とはいかなる
事にや
答毎月八日と。廿三日とは。天帝釈。四天王
に勅して。おの〳〵一方を治す。此日に
いたりて。四天王補臣をつかはし。世間人
民の善悪を観察し給ふ。人々此日に於て
善根をいとなむを。斎日とはなづく。十四日
廿九日は。四天王四大子をつかはし。天下を
按行して。人民の善悪を伺察し。人々此
日において。善根をつとむるを斎日となづ
く。十五日と晦日は。四天王みつから天下を
按行し。もし父母に孝行し。三宝を恭
敬し。及長上に尊事し。ならびに六度
の行を修するものあれば。諸天相慶で。
その時善をくだし。福をたまひ。縁をたし。
算をまし給ふ。もし悪業をなすもの
あれば。諸天憂感して。もろ〳〵の不祥
をくだし。録を減し。算をのぞく。これにより
て此日。善根をつとむべきがゆゑに。希日と名
づくるなり。三斎日。十升日などの事も。あ
らすしかくのごとくなる事と深信じて。
慎るゝだけの妄念をつゝしみ。止らるゝ程
の悪業をやめ。その身の分限をはかりて。
命のあらんかぎりは。日課称名。相続すべ
きものなり
を
おぼろけのえにしやはある
よしみづ
吉水の
清きながれを
ともにくむ身は
附録尾
フ八十二返
京都書林神先向松堂蔵板目録
寺町通三条下ル町
一番屋宗八
永代飴用無盡蔵大冊
四書集註頭書
改勲天保板
五経
一十一古今和歌集
古今和歌集二
同白文六布留の山文四
同小本
六和歌梯
同小本六和歌梯二
八同意ノ部
五雑俎八同窓ノ部二
中本トモカナ附
近刻二
古文前集
同雑ノ部近刻二
同経典餘師記此書はまかにを以て詩閑田次筆四
文の意をくはしく解示し願書に音訓
同文艸五
をつけて初学のたよりす
古文後集中本カ多カナ付二
茅癒漫録三
同經典餘師四一
宅相
方泣
三才精義三
龍詩類選
地理
山水
風水秘録三
小本
四聲王篇和訓大成六
唐詠物詩選
皆川先生
三
実字解
同三
同二篇同三
欧蘇手簡大典二
同続篇二
訓蒙図彙
小本一
日本詩礎
韻礎あまた世にありといへとも句から
古めきたり此書は日本諸名家の新意
を集めたれは日本の山川寺社の雅名詩
礎に入たれは初学のたよりと成書なり
心学典論大典二
四
漢篆千字文
陶淵明詩集
神代巻清地伝六
文化大雜書三世相一
宋眞山民詩集
小雲手簡初二三篇六
和漢明詠集二
艸蘆詩集
初篇ヨリ
七篇迄
七
文体明辨碎抄
大日本年中行事六
同真艸首書二
此朝詠集は尊露親王の真跡の書を
もつて本文をうつし頭書に楷書にて夫々
本文をあらし真草を暁し訓点を正し
詩歌の作者をつまひらかにしるしたる善本也
日本六十余州大社大寺の神事
法言を元日より大三十日迄日置にくはしく
童訓往来大成
し其外年中の奇事をあらはしたる
書なれば都郡の遊客または風流
をこのむ人は所持なしたまふへき
事なり
寺子調法記
文章徃來一
聖徳太子實録
並図附
京の水
二
二
し
都名所往来
書状自在引
京都往古の花を一面とし大内裡御
図を一面とし史録を考へ皇后殿殿
料理献立帳
を正し平安城の興基左原右楽すへて
いにしへのさまをくはしくしたる事なり
ける
貞老
杉を
早見献立帳
一
横本
全
裁縫独稽古
絹布のたち縫をおしへたる本にして
衣類はをり袴上下其外かつきはつら
此書は四季の献立三汁十五菜分
一汁三菜まて一見にわかちやすく工
夫なし幷に灸菜ともにいろ〳〵めつ
らしきつかひかたをしるしたれは六か
素袍大紋にいたるまて載方を図に
あらはしたれば女子かた絹市兵ゆふ
人はつねにもち給ふへきま也
教訓日用学則
此書は学郷戸公利養名聞五倫の道をとき参し
孝悌忠信に至らしむ書也兼て読給ふへきなり
しき料理も又わつかなる通夜も
重宝なり
紫微字様廣澤書二
宋版傷寒論二
五
釈迦八相物語
観音靈顕記五
同一代記絵抄
同霊場記七
同一生記絵抄
同一生記絵抄三
西北三十三所の観世音の由来其外古
今ふしきの霊験ありしことをくはしくす
此書は世に名高き本にて釈迦如来の御
降誕よりさま〳〵の容行をなし給ひねは
善悪業報因縁集五
んに入給ふまて御一生をつすひらかにのへ絵
をくはへて凡俗男女のわかり安くしたる本に而
近きころ見聞せし善業をなせしもの
よきむくひきたり悪業をつくりしもの
仏者の一たびは見給ふへき本なり
あしきむくひのありし物かたりのたしか
二
辨才天利益抄
尊天の利益をかうふりそれ〳〵の
願き成就して身をおさめたる
書なりまた弁天経を注釈なし
その本原をさとさしめたる
書より
なることをさぐりてしるしたり
蓮如上人一代記絵抄三郎
同一生記六
上人御一代の御動化はもちろんさま〳〵の
寄す物をもしきすあらはしたれば一向
○武室
法華経和字解十
宗の人々はもとよりすべて信者の
見たまふべき事なり
法花経はすくれて尊き御経なれ
ばかなを以て講しやくなしたる書
なれば凡俗たりともよみて其
ありがたきをしり給ふべし
因果物語
古今悪業のむくひにてさま〳〵の因
果をあらしたるあはれにおもしろ
大原問答繪抄二
き物かたりをたひたゝしゝあつめ
たる書也よみて後学とし給ふへし
因果経和訓
道哥百人首
地獄実有説
同心のむち
地ごくはなきもの也といふ邪見をいま
しめさとし実にある事をしらしむ
同心の姿見一
近世往生伝
初編より
五編マテ
十五
同心の寫画一
近世見聞せし諸国の念仏者平生ゟ
同砂のたわむれ一
臨終正着の有さま迄くはしくしるす
キ
12265
一休和尚自画讃
佛鬼軍全
巾本
此書は和尚のたはふれに釈尊講仏
軍をおこし給ひ悪鬼羅刹を
亡し給ふよしを述たる書なり
水戸暢誉大和尚述
孝行和讃全
此書は親孝行兄弟親類むつ
まじめすれば神仏の恵みにて
一福寿海なる理をのべたる書也
一白隠禪師施行歌
此書は禅師の作にして国中を
めくり窮民をすくふ一切とし給ふ
一歌にしていとありかき書也
白木大和上述
首歌砂の戯全道哥にして婦女子にてもわかり
道歌砂の戯全
白木大和上のおよむきを問答の
道哥にして婦女子にてもわかり
やすく解しやすき書也
天保四年巳冬
京寺町三条下ル
めとぎや宗
○室
法華経和字解十
宗の人々はもとよりすべて信者の
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地獄実有説
同心のむち
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同心の姿見
初編より
近世往生伝
五編マテ
十五
同心の寫画
近世見聞せし諸国の念仏者平生ゟ
一風終山着の有さま迄くはしくしるす
同砂のたわむれ
キ
12265
一休和尚自画讃中本
一休和尚自画讃
佛鬼軍全
水戸賜誉大和尚述
孝行和讃全
此書は和尚のたはふれに釈尊法仏
軍をおこし給ひ悪鬼羅刹を
亡し給ふよしを述たる書なり
此ゑは父子をかくけうたいしん馬でむつ
此書は親孝行兄弟親類むつ
まじめすれば神仏の恵みにて
一福寿円満なる理をのべたる書也
白隠禅師施行歌全
此書は禅師の作にして国中を
めくり窮民をすくふ一切とし給ふ
一歌にしていとありかき書也
かんそう
白木大和上述
白木大和上述此書は安心のおよむきを問答の
道哥にして婦女子にてもわかり
道歌砂の戯の
四すく解しやすき書也
京寺町三条下ル
めとぎや宗
天保四年巳冬
めとぎや宗八