出世之春千兩幟
- creator
- 歌川國直寫
- created_at
- 2026-08-17T19:23:18.081Z
- updated_at
- 2026-08-17T19:23:18.081Z
- field_notes
- 場所: 江戸
- field_rights
- CC0
- field_creator
- 歌川國直寫
- field_language
- 日本語
- field_has_image
- true
- field_publisher
- 伊賀屋勘右衞門
- field_identifier
- 10010000014510
- field_ocr_status
- completed
- field_title_yomi
- シュッセノハルセンリョウノボリ
- field_attribution
- 東北大学
- field_oai_datestamp
- 2025-12-02T15:05:34Z
- field_oai_identifier
- 10010000014510
- field_ocr_updated_at
- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
出来候此別両例
狩
でも
荒井恭仁氏ノ図贈宴ヲ
以テ購入セル□博士
猶野事吉団蔵画
橋本徳瓶作製
歌川国直画
院本飜案
蔓屋禮三郎
浪花屋錦木
出世也春
はなすまふ
花はくれなゐの
娘を
かた
柳は
みどりの
としま
ふう
千両幟
全部五巻合本二冊
文化九年壬申春王
發賈
小舟町二丁目
文亀堂
伊賀屋勘右衞門板
其角の句に
大らに小判ならへてといへり
二十一丁
十三三三三三三
三三
三三
三二三三三三
二三
TELECTETECO
三三三
三三三
同三二二三三三二二二
三三
十三月目目
三三三
菊月発足
下の巻
ま
酸四
○々歳々花相似たり○々歳々画者おなじからずされば
今年の初舞台の功より若手のきゝ者国直子に画して
亀の甲に因ある文亀堂主人に与へ予に序を乞ふ夫絵草紙の
序たるや雷の電声色の出歌のことく初にあるに定れとも吾觜の
青標紙白人の口調を離ず店は原より売油郎者板うつたなまけ
もの善も悪くもいふ間もなく白地に言ときは作者は皆様出馴後の
徳瓶主人昌者は御江戸で御ひなきあつき豊国先生の門弟なれば
出世の春は今のうち千両幟の関取となるは請合石に判岩川に鉄ヶ嶽と
名のりをあぐることしより
未の秋
山月古柳序ス
第三位忠右衛門
○錦本が
玉子四角
○岩川女房
音羽
傾城実
大坂新町
の廓中
浪華屋
の遊君
錦木太夫
USEOOOOOOOOOOOOOOROT
みそかの月
にしきゞが爺
関市
山
さか
の
胸の中
わいて
見せたり
焼鶏卵
松山円
関取
岩川
次郎吉
一上り
三葉
手北〳〵
ひいて
旅座頭
かな
徳瓶寺
蔓屋
礼三郎
浪花
屋
錦木
鉄介嶽
陀々右衛門
闇仕合
無言之図
其角
翁の
句に
もと
づき
て
相模かと
見れば
やさしき
徳瓶
をやまなり
INAMANANINININININA
千文のほ
ほつたん
とりは八ゑをづげわたるいぬはおのれが
もんこをまもるわれはねがひもあり明の
つきぬおもひはちくしやうのしばし
はなれぬすがたはおぢのはくぞうす
みへつかくるゝほそ道〽こゝにのずへの
きつねかり
〽ころな〳〵きつねをつろな
こん〳〵ちき〳〵こんちきち
こん〳〵ちき〳〵こんぢきち
〽くゝよいにほひがな〳〵
あのできぞうめが
わなにかくたこそ
どうりなれ
あのいびつなりの
あふらげ
これがくはずに
おかりやうか
とびかゝつて
ひと口にくひたいなつ〳〵
とはいへがんぜんあのわなに
とはいへがんぜんあのわなに
かゝつてはなるまい道をかへて
かへろう〽こゝよいにほひがな
此にほひをかいでは
なか〳〵かへられぬ
そふじや〳〵
ゑばかり
むしつてくふに
くはれぬといふ
ことがあらふか
どりやとひかゝつて
ひと口に〽そりや
かゝつたぞ〳〵わなにかゝりし
どん助ぎつねしんぞ
どん助ぎつねしんぞ
かむろがてん〴〵に
さけじや〳〵とつぎかくる
てうしさかづきとり〴〵に
おだてかけたるにぎはひは
くるわにあらでおほさかに
その名もたかきゑかいあんきやくは
日のでのやさすがたつるや礼三があげづめの
なに春のにしきご夫うかれたつたるしんぞう
かむろ〽たゆふさんさきにからどこへゐてござんした
此きつねつりをみやしやんせいで〽アヽおきや〳〵
もふきつねどころじやないかいのと礼三がむなぐら
ひきすえておまへさんは〳〵ようもあんなあくしやう
さしやんしたなア〽これ〳〵なにいふのじやぞいのわけも
いはいであられぬりんきちとたしなみやいの〽イと〳〵〳〵
たしなるとはおまへさんのこととほいあふみのくにもやうから
しかもやしきの女郎さんがおまへにあはしてくれつとて
こゝへきなはましたとのことゆへしんぞしゆにとはしたれば
礼三さんにくにでふかういひかはしたとあつかましいひやう
なんとおぼへがござんせうがな〽くゝあるでもなしないでもなし
あふみの佐々木家はおやどものおいでいりきよねんおくゆへ
いたときみ嶋弥太夫といふ人のむすめお才といふものについ
ちよつと〽ヱヽそのちよつとがくせのわるいとくぜつなかばへ
なかねがあないついに来なれぬなにはだいなりそだちの
ぼつとりもかたいは武家のそだちがらおもはゆながらざにつけば
これば〳〵お才どの〽アイ礼三さんおひさしうござんす
〽なにとしておひとりではる〴〵こゝへははいわたくしはとゝさんに
〽しの
きつ
〽ちん〳〵
ちき
かんどう
うけて
さんじ
ました
おまへと
ふかういびかいた
やうすはしらず
こゝさまがおなじ
かちうの津田友介
さまといふ人のかたへ
よめいらすやくそく
したときくより
はつとつかへが
あがり
おまへ
しぬ
いひなづけ
両介さる
へは
千五百文
せんかたなさにくにをかけおちにたゝびやしきへ
かへるからはかたいきしつのとゝさま出てうちは
ぢやういやでもおうでもにようぼにもつて
くださんせとやうすをきいておどろく礼上
にしきゞはむつとがほたがひにりてきのつのめ
からそふ女ど
だち二人からそふ女どしれい三郎はぴんとすね
おさいをなだめだん〳〵のわけきくからは
わるいやうにはせまいほどにまあ〳〵せかずと
おちつかんせこれ〳〵ならゐしゆきばらしに
此事をつれてちつとのまとなりのさいせう
めんのにはみせてきてくだんせとむりに
おしやるそのあとへあくのうはべの手代
ぜん六いきせきとかけきたり〽もしわかたんなみ
太夫すが身うけのこといかふせいきうに
なつてさんじましたかねておまへの
おつしやるとをり太夫かおやかた
佐へもんにめんだんいたしかの二百両を
手付にわたし
みうけの事を
かけやいましたが
明日ぢうに
七百両で
ほかにみうけ
のくちが
あるとのこと
あとがね
五百両
あすぢうに
くめんが
てきねは
NTELIS
太夫をほかへやるのみか
手付の二百両はながれ
ますぞへあとがねの
くめんよごんすかと
きいておどろく礼くら
〽して又外ゟみうけとは
いづくのものといふこへきいて
〽ヲヽそのみうけはおれじやは
やいといひつゝあいのやすまひ
をおしあけて立いづるくら
やしきのぶし市原九平太
〽なんとれい三きもがつぶ
りやうがにしさゞもよくきけ
よるひるかよふ此九平太を
つれなうしをるもない三めが
つれなうしをるもないとめり
あるゆへかれこれいふもめんどい
によつてて百両といふかねくばゝり
とだしてけふにすにはうけいだし
みともがおくさまそろはんとつて
よわたりするす町人のぶんざいでは
ならぬこと〳〵七百両の
かねがなければ太夫が
みうけはならぬはいと一
あくまでぞうごんわかげに
はやる礼三郎むねん
ながらもありあはさぬ
かねてしゞうをひとま
の内金子ごように
たち申そふれい三どの
としづ〳〵いづるそのもつたい
つぎへつゞく
〽れいざさんを
まへであつ
〽はて
そのやうに
いはいでも
わいの
〽イヱツヽ
なんほ
おまへが
そふ
いはしやん
しても
れいこ
ずんどふかう
いひかはした
たいじの
とのこて
ござんすはいな
けらいにもたせし。はさみでこゟとりいだしたる五百両〽ヱヽ
そんならそのかねかしてくださるかとよろこぶれい三
にしきゞは手をあはしてふしむがむだんゑもん
やたてとりだしかりそめにもきんすこど
ねんのためせうもんかゝれよ
〽なすがさていかやうともとすみ
くろ〴〵とかきしたゝめかきはん
すへてさしいだせばつぎの夫ゟ
れいこはびつくり〽アヽあなたはあふみのごかしんむらおかだんゑもんさま
〽アヽごようについてのぼり申したやうすはあれでうけたまはつたがおてまへこりや
たつまいたゞ今太夫をみうけめされいきんすは此だんゑもんがかし申すとし
手代善六したりがほにて立出
〽ヨン九年太さんこちのだんなは
五百両や七百両
くつしやみするたび
ぷつぶとでるどつとや
太夫すのみうけ金
雪
おやかたへわたしてこうと
かねをさいふにひけらかしくるわをさして
やゝあとは九年太はぐつともいはず
れいみはきみよくなんとす町人のいきほいごらうじたかび
おきにさへられなさんやうのしれてあるごちぎやうて
太夫などをうけだそふとはおよばぬことくあてかへす
軒からにはのゑんさきにしもべ一人かつつくばい
〽だんへもんさまへおくによりきうの御ひきやく此御状と
さしだすにうをおしきつてよみくだし〽これれい三どの
きのどゝなことができた今の金子かへしてくりやれ
〽ヱヽたつた今おかしなされたそのかねをかへせとは
〽イヤありやとのゝごようきんたゞ今のなんきを
見かねしばしのあいだまにあはせたはぶしのなさけ
へもしだんゑもんさんと
やらしんにおれしう
ざんすこれ手を
あはしておかみいすコキ〳〵
今あいやくゟ金子
きうに命と
申しこしたれば
ゑんいんすると
せつしやはせつぶく
せにはらはかへ
られぬさアめて
たもらぬか
〽じやと申てくつはの
かたへつかいしたかねいま
もどせとはあんまりごむたい
イセこともむさいはいはぬ
此せうもんになんどきでも
へんさいとかいたじやないか
ぞきこへたせうもんを
ほぐにしてかねをかへさぬ
たゝみじやな
やしきへひいて
せんぎすると
うつてかはつた
かたゝさやく
九郎太も
にこ〳〵わらひ
おゝちやくひろいだ
そのかねで
うびたしじまへの
此しやつつら
みどもく
みては
ゐられ
まいと
頭へつゞく
〽よい
ざ
ま
ものじや
まへのつゞき
たゝいつふんづ
ぼうぢやく
ぶじんの
ふるまひた
だんへもん
なほ
しやなく
礼三郎が
ゑりかみ
つかみ
サア〳〵
せう
せ
粉
ひつたてゆく〽もふし〳〵
しばらくとこへかけて立いづるは
れい三がおや浄久〽ヤァいつのまに
〽おやぢさまといへど見むかず
だんへもんがまへに手をつき
〽〽せがれがぶてうほう此よしらに
めんぜられ何くともごりやう
けんとかへみにもたせし
千両はこ出たとりのけて
五百両ごへんしんとさしいだせばかゝていねいのしかた
うならではかなはぬはづ浄久にも色ごでちやう〴〵金に
へんさいあるうへはいゝてぎの御用まかりかへるとはさみばこに
とりおさめそなおさむらひおさしばと九平太にもくれい
目つかひやうすありがほ九平太もとなりざしきへたつてゆく
浄久は礼三をそばにひきすへて
〽そふゟ
すぐに
かんどう
じや
どこへなと
かつてに
そうせふ
〽此ぜん
六も
ぼんでん
金金金金金金金金金金金金金金金金金銭
代金金金金金金
金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金銀
金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金銀
入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入
入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入
入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入
入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入入
人人人入合
まへの
つゞき
〽ヤイニな
たわけもの
此おやが
とし〳〵に
かせぎためたきん〴〵を
いろぐるひにつかひはたす
わうだうものけふも
けふとてなかまうちの
さんくわいに此となりの
うかむせへいたればひがし
ざしきの人にべつたり
此らくがきこれ此とをり
あいやいがさになれはや
あいやいがさになれはや
にしきゞつるやのれいみ
これを見たときのなかまのてまへ
あまりのことのじゆつなさに
あまりのことのじゆつなさに
引まくつてどつてきたこりや
おなご子どものくちのはに
までかゝるやうな事をして
つるやのかめいがたてられうか
かんどうじやたつてゆけと
おやのはら立身にこたへ
思はずしらず小しきゞが
そのとがはわたしゆへと
ないてわびするばかり也
かゝる所へ手代ぜん六
きよろ〳〵まなこに立かへり
礼三さま〳〵たゝ今の
小判をくつはへいてあけて
見たればこれ此とをりの
ゑびすさまこりやまあ
どふでござります
〽ヤヽなんじや今のがゑびす
がねじやとや〽はて
めんような近江の御家中
村おかだんゑもんとも
あらふ人がまぎらはしい
かねさづけやうはづも
ないとふしんははれぬ
その折からおさいは
うかむせより立かへり
やうすをきいて
おどろきがほ
つぎへつゞく
淡路
嶌
ゆる
佐
まへのつゞき〽ヱヽあの村おうだんゑもんがこゝへきたかへ
そのだんゑもんはいつぞやわたしにふみをつけて
とくさまにもらひかけきゝいれないをいしゆにもち
やみうちにせうとのたくみがあらはれて
おくにをついほうになりましたかいな〽ヤアなんと
すりや今のかねもかたられたかおのれ
此まゝでおかふかとかけだす礼三むかふより
わかだんなおまちなされとなのりはたかき
岩川びら吉〽わたくしはすもふの
とはいへおさいさまとやうも礼きまとめうとのやゝそく
かほみせのじやうなりにさへだんな一本をふたりしてはつがつほでは
あるまいしといふとほりひとつにたばねてせ主もなるまい
はてどうせうとせきあたるつぎのざしきの中からとつてその女中
わたしがあづかりましよといひつゝあくるはんしやうじいは川
見るが〽ヤアこなさんはながぼりに名のしれたはやぶさのおたかどの
〽さいのう岩川さんのあづかりにくいそな女中さん此おたかゞ
あづかつてかくりたいといふわけはあふものごかちうこふね弥太夫さま
おとしわかのじぶんにごほうこうつとめしはわたしがはゝさすれば
よりぞめでうかむせから
たつた今きいた所が
たつた今きいた所が
わたしがためにも御主人のそのむすめごのおさいさまおせはいたすは
ごおんほうじ氏がみさまへまいつたついで立よつた此ゑかいあんさいはいの
つねのかたりとちがふて
所へきあはせたの
根のあるしごとついせんぎは
かみさまの
なりますまいそれよりは
まあおまへのみのうへ浄久
さまもきこへませぬ天にも
ちにもたつたひとりの
お子じやないかたとへ
いろぐるひにかねつかはしやんした
いろぐるひにかねつかはしやんした
とていけんもせずにかんどうとは
あまりおどうよくでござります
お引あはせ
おさいさまの
出身のうへ
どうぞわたしに
せわさしてくだ
さんせといふ
こといな
〽ヤレうれしや
といふたらおきにもさはらう
けれどきつうわしをひいきして
くださるおまへさまごおんはわすれぬ
だいじのわかだんな此岩川がわびことを
一ばんきいてくだはれと大きいなりで
ものいひのあどけないのがせき取なり
浄久手を打〽ヲヽ次郎吉よういふて
たもつたつねはついせういふてもかういふ
ばしよになつてはふみこんでわびする
よい所へ
かいてが
てだぞ
人に
しら
お高どのに
あづけておけばたし
とよろこぶ岩川
浄久もむねの内では
ものば手代にもないくわぶんなが此かんどうは
どうもゆるされぬといふしざいへこれこゝに
ござるむすめごばにしが御用をつとめる
あふみのおやしきのものがしら三しま
弥太夫どのといふ人のそくぢよおなじ
御家中の津田両助どのへよめ入するはづ
その人が礼三ゆへにかうかけおちして
ござつたればくにへいなせばすぐにお手うち
といふておいで入のむすめごをふぎとしりつゝ
おれが子の礼みにそはしてはごかちらへどうも
あんどの思ひ
〽岩川どの
伊藤芳三郎
何事も
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
だのみ
よす
じゆ
ずに
なみ
おれがかほがだされぬかういふことゝはけふまで
しらず礼三めがよどまり日どまりは
しんまちの太夫ゆへいつそみうけしてやつたし
けつくしまりができるであろとけふもけふとて
そのよういにもたせてきたいんきよがねの千両
まだ五百両のこつてあるこれですむなら太夫が
ことは金立て女房になとてかけになとかつてしだい
かんどうしたたにんのことはおりやかまはねどくわんおけへ
かたしかみこみくつきやうなせがれめをきうりきるとは
なさけなやた思へばわるいいんえんとなきたふれたるおやゝ
礼ともふかうのくやみなきにしきお才もともならだ〽ぜん六は
けら〳〵わらひけつかうなおやだんなのござやうけんそんならそのかねにしきぐが
みのしろに今おやかたへわしがもつてさんじましよといへば浄久〽イヤ〳〵
そちやたのまぬ此使は岩川〽てもさてもさいしよ二百両の手付をわたしたつかひも
わたくしサアそれじやによりてなほそのつかひにはやられぬはいこりやぜん六ひまやつた〽エゝそりや
何ゆへ〽なにゆへとはわうだうものめれは三郎をほうらつにしたてたはたれがとがじや
引おひばんじかきたてゝおかみへねが人ばくびのないやつめまやるをありがたいと思ふて
はやたつてうせおれときめつけられてこそ〳〵としつぼの出たるぜん六ぎつねかきげすごどく
にけらせけり〽かの五百両を岩川はとりおさま此かねは黒川があづかりましたれい三たまにしも
さまのおみのうへまづとうぶんはからざしき此岩川がいのちにかけておせわいたす
しほ〳〵かへる
ておやに
二人はよめとも
こゝろばかりの
しゆうととも
いとまごひ
たゞふし
おがむ
ばかり也
つきへ
つゞく
一夫のかゞき〽引ちがてくへるゑ住へもん合たれば長川はそれも見て一ツゝしまへにしきどそれと身たけなと五百なとなげ忽ば一
〽はゑけふというけない一札とさら〳〵とかきしためさしためさししせこそとをし〽ヤウヤウヤ五百両うけ水のこつて二百両とは一
也かすなや〽はい太夫がみのしろは七ゆ所まだ二百両たりもせぬ〽イヤヤヤヤやさんぜんと付に二百両こともめていたはづけるいまへ
しなつその礼三反おはほが手討じやと思ふて二ワか一もんでもとつたおぼへはどりますぬうきやごんどうとやらあふがねの
申すべにしきはいつれてかへりますと手を取ば引そなし給ふ一日はあけの女郎ゆびもさすまいあそのあきむかひにおこしや
こむまづいにしきはつれてかりますと手を取ば引てなしけふ一日はあけの女郎ゆび。去すまいあそのゆきむかねにおとしく
かと。年は此黒川でいみさんだとくつわしをかへせしあと〽岩川れい上ほみゆくやこれもぶん六めが音が音もにてやつたらいの事を
こはつちとなふかであつたとみへも賢くは出らせのゝしる朝しも太平三川がきてゐる事事勢もにもにしらずいぶんありけに
行はお〳〵ちとにはふといふうへきいて家はくら一よい所へ九平太木ゑたろきけはだんへだんへもんといつしよにないてようおれを
ないヱ〳〵ぢをにはんとおほ〳〵おほへとうつてかゝれば丸立そはをやくしをなけ一さめをいさんしごくとぬきかへるをついたをついため
ぶちおつたなそのしへしおぼへたうとうつてかゝれば丸平取はちこしまな此一さなめをつうしとごとおきとへををついしをついたその
手より児川がさいおりアへしに出平吉はまろ筆さまにたがゝとこところを礼こはいしんいしらやめて〳〵うちはなせばし
○町の名もうなぎ
合とて長ほりをすこし
みなみへ合もまぐちも
せばきわびすまゐ
たつるけふりはほそ
けれど名はかくれなく
おたかとておつとも
もたずはゝおやに
かうをつゞしの
ことしやみせん
人におしゆる
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
九平太はかほをしかめ
うぬゑらいめにあつし
おつたなおぼへて
うせおれ
へんぽう
しがたが
にげぼへ
しな
がら
たち
けり
世わたりは
いとしほらし
みへにけり
〽おさいは
さいつころがも
こゝにかりずみかりそめの
えんをむすびしれいみ
にはこひゆへ
たつるにしきゞに
もしやみかべは
しなかたち
しなかたち
うかぬこゝろをみてとる
おたか〽もふしおさいさん
ちと又六だんをことゝしやみ
せんであはせて見ようじや
ないかいななんにもきな〳〵
思はんすことはないぞへわたしが
かくさんのわかいときごおんを
うけたおしうさまの
むすめごのおまへのこと
みにかへておせわいたすからは
れいみさまとそはせいでおきましやうかと
いへばおさいはよろこびがほたとへいぜんはともあれ
見ずしらずの此わたしをしんせつにいふてくださんすが
うれしいといふにそばから扨ちせい今もおたかゞ
申すとほりかたくしがわかいときおまへのおやご
十太夫さまにごほうこういたせしのちぶしのいへに
かたづきしがふしあはせにて
かたつきしがふしあはせにて
つれあいにはやくわかれ二人の
子どもをつれてたちのき
ましたもはや十五ねんあと
のことおたかゞおとゝ千代吉と
申すはことし十七まだまへかみ
だちなれどもせめてはぶしに
せんものとさるおかたのくらやしきへ
ごほうこういたさせておきますと
かたりかゝいとねんごろにかぐまひけり
○れい三郎はをり〳〵
おさいがかたへ
かよひきたる
にと
ろう
さい
さらい
しよう
〽おまくは
いくただり
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
よ
伏
此ゑぞうしはわづか五冊の小さつゆへしゆかふ
あまりてことばたらずことに千両のぼりのすもふ
あまりてわばたらずことに声のほりをもふ
あだんはばやりじやうるりにてお女中さまがた
おかにさまがたまでよくごぞんじなればそのしゆ
かうをそのまゝにざつとつまんで北みじかく
やうたらはぬ所はゑにゆづりとゆへさだめて御目
稟まだるがちまだおぼこなる小ざかなの作者
ゆへとひと人にごようしやその鯨鯉上
細魚にこらん可被下候じちやかしたものさ
さて岩川は
あとがね
二百両の
さいかくできる
までにしきぐをば
まづいつたん
くるわへかへし
れい三郎を
つれかへり
されいなる
かしざしきを
かりてすまし
はせけるが
にしきゞが
おやかた
よりは
たび〳〵
あと
がねの
さいそくもし
おそなり
八れば
けふあす
の内に
ほるより
ほどこいに
〇米五升いま
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
七百両
にて
ねびきの
くちがあれば
ぜひその
ほうへきはめます
と手づめのさいそく
に大きにとうわく
してゐたりけり
九平太は
さきの日
ゑかいあん
にて岩川が
かたもちて
れい三郎に
からき目に
あひあか
はちを
かきたる
ことを
大に
いき
覚ゐ
ほり
つぎへ
つぐ
誰道
君
是為
十両ぼぼ
同所一つ
富兵
□□
いた
□□□□□□
一百十駄
一月
一同
四
四
老内
三羽
甚白き
つんだは
やうな
もうは
またと
まへのつゞきはらいせににしきゞを
うけいだしれい三郎にはなあかせんと
思ひ又岩川へのいしゆばらしには
ひごろ目をかけておく
てつがたけだゞへもんといふ
せきとりをまねのき
かやう〳〵と
くはしくかたり
どうぞ
岩川めに
その
しかへし
をして
くれ
まい
かと
の湯
の□
ゑかい
九平太
さまを
かうくらはし
たか
こう
ぶつた
ければ
ひごろ岩川といせいを
あらそふてつがたけよき
さいはひと心やすくうけあひある日
さいはひと心やすくうけあひある日
岩川が方へゆきて九平太よりしくしを
たのまれたかとてろうぜきのはたらきを
なしけれども岩川はにしきゞをほうゟ
みうけのきやくといふはやつぱり九平太
なりときゝどうぞその身うけをやめてもらひたさに
むねんをこらへててつがたけがぞんぶんになり
さてかうわがみにうたるゝ
からはこれで九平太どのゝしかへしは
すんだであらうそのかはり
にはにしきゞがみうけ
をば九平太どのに
やめさして
こつちへ
さして
くりやれ
と手を
さげて
たのむ
をりからすもふばが
とりくみのかきつけを
もちきたる
てつがたけ
ひらきみて
〽こりやけふの
すもふは岩川に
てつがたけ
わがみと
おれが
どりくみとは
はてきみやいな
たのむこともたのまれることも
うを心あれば水心ありにしきゞが
みうけのことはけふのずもふしか
みうけのことはけふのずもふしもふてから
のそうだんいは川とひやうであはふと
ことばをにごしてかへりけり
岩川はもろてをくみだん〳〵日ぎりのきれたあと金おやかたがさいそくするも
九平太がみなしわざあのてつがたけをだきこんであつちのとうけをのばしてもらふ
ほかへないてつがたけが今のいちどんたのむこともためまれることもけふのすまふを
しまふてからうを心あれず水心ありさゝけふのすまふふつてやらざなるまい
とはいへ名とりのてつがだけどう
〽おまへの心のなそれもつれがみ
こんたんしてもすなにうづめにや
なでつけておかふよりいつそ
ならぬすもふ
さつはりいはしやんせぬかと
だいじのをもふを
いふこといな
かねゆへにふつて
やるとはなさけなや
まりしてんに
見はなされしか
くちをしやと
こぶしをにぎつて
ゑんのなみだ
むねんのなみだ
女ぼうおとはさいぜんより
おくのひとまにやうすをうかゞひ
おつとのむねのせつなさをすいりやうして
ひとまの内ゟまろびいでともにむねんと
なげきけるが〽もうし
どひやう入でごさります
とすまふばよりおひ〳〵の
よびづかひ岩川はしぼ〳〵
〽いやいふまい〳〵なんぼわしにいへと
いやつてもたりゞ女の手わざ
いふたらおゝかたおくれがでよふ
ついなでつけて
としてたちあがりくめんのとをり
いきやかくべつもしもゆかねばぜつたいせつめい
これがいとまごひにならふもしれぬさらばと
ひとこへあとにのこしていでゆきぬ女ぼうおとは
こりやかうしてはゐられぬおつとの命のせとわし
おいて事も
もこれからヲそうじやと
こりやかうしてはゐられぬおつとの命のせとわしもこれからアヽをしたふてゆくくもの
あとをしたふてゆくくもの
十一日下り
江
大坂
堀
角
カ
の
図
すもふばにては
一はやどひやういり
ことをはりすもふの
かづ〳〵とりつゝし
今一ばんと
ゆふ日
につれ
西は
岩川
ひがしは
てつがたけ
見物の法
しづまり
かへぬ
けんぶつす
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ならして
どひやうへ
あがる
てつが
てつが
岩川は
しほ〳〵と
みすぼらし
げに
どひやう
のうへ
やつとひいたる
ぎやうじのうちも
すぐにつけいるてつがたけ
もとゟかくごの岩川がすでにあやうく
見へたる所へ進上金二百両岩川さま
いたるてつれたること
ひいきがときくゟぐつと岩川が
はじめのけしきどこへやら
てつがたけがもろざしを
ほぐしていざひやうへ
まつさかさま
りきしの
ごとく
つつたてば
いや〳〵〳〵と
すまん人
いちどに
どいしと
なりわたり
どよみをつくる
ばかりなり
●此二百両は
岩川が女ぼう
おとはおつとの心の
くるしさをさつし
くるしさをさつし
さいはいけんぶつに
きあはせてゐたる
嶋の内のきたのや
七兵へといふ女郎屋の
ていしやきたのみそのみを
つとめほうこうにしづめ
二百両のかねをとゝのへ
岩川
〽こりや
女ほう
なんにも
かたじ
いはぬ
けない
けふの
はなに
岩川に
つかはし
まくる
すもふ
を
かた
なり
げに
ぎしん
一ツ
おいと
には
へれそふ
によう
ぼう
ていせつありときゝ人
のちにぞかんじける
さて岩川はその
二百両にてにしきゞ
太夫が
あと
がねを
すまし
うけいだして
礼三郎
けれ
一礼三郎は岩川が
女ぼうおとはが
みをうりしことは
つゆしらず
大に
よろ
いさみ
けり
おとは
〽こちの人
ずいぶんまめでゐて
くださんせ
道行ぬれつはめ
〽なんばうらはるさめしげきよるの道錦木もろ共礼三郎
あいやいがさのぬれごともひつたりぬるよこしぶき
}
〽これ太夫道〳〵もいふとをりそなたの身うけのあとかね
ゆゑに岩川の女ぼうおとはがつとめぼうこう
するときくかはりにそなたをきたのやへやらうと思ふて
ゐるがくるわとちがふていかぶつとめにくいといふことじやうぞや
〽ヨヽ礼三さまとしきことがぎりよりつらいつとめは有まい
おまへやわしがみのうへをだん〳〵せわになりながら
おとはさんにつとめさしてはどふまあきりの立出ぞ
ぜひとこかはる此みのうへうけだされぬさきじやと
おもやわしやらつともいとはぬといふもなみだ
くもりごゑ〽ヲゝどうりじや〳〵何をいふも
みなわしゆへいつぞやだん名もんめに
かたられたかねのことせんぎせうにも
かんじんのだんゑもんがゆくへしれず
何もかも身にかゝるなんきのはでは
ひとあしづゝにきへてゆかずは
なるまいとわがみはくらきやくのよい
ひかるまなこみしやの目がき
むかふにすつくりてつがだけ〽ヤアよい所でにしきゞ太夫
岩川めにまけたいしゆばらしうぬをこれからつれていて
九平太さまへ手わたしすりやいつかどのかねになること
サア〳〵うせいと引立る〽ヤイてつがたけにしきゞは此礼三が
はうけして今ではおれがによゝぼぬしあるものをつれていて
かねにせうとはぬす人どうぜん〽ヤアこしやくなけ二さいめ
びくしやくせずと太夫をわたせいやとぬかせばさいはひ
あたりに人もなし手みじかうばらすぞよつたとへ
このみはどふなつてもそまをやつては石川へたらぬ〽だまれやい
その岩川がなほけたいじやはやくびやうがみてかたきのおのれ
わたさにやかうじやとけこばせば〽これのふまつてと
にしきゞが立よびこしぎはひつつかみ〽もふ
りやうけんがとむしやぶりつく
れい三がくびすぢひつとらへ
〽へゝヱひばりみるやうな
ざまをして
ちよこざいな
ずてつちめと
にきりこぶしの
めつた打
かよはき
にしきぐ
あたりなる
小いし
つかんで
つぶての
さそく
はら〳〵
なげらてば
まなこ
くらんで
てつがたけどろにすべりてはつたりたふれからだのおもみにうごめ〳〵せなかへ
礼三郎がいつかゝり〽にしきゞこゝか給はずとはやう〳〵に〽かならずけがしてくださんすなと
心をあとにしまの内きたのやさしてはかれゆく〽てつがたけは礼三郎をはねかへしたぶさがらを
ひんつかみ〽サア太夫をどこへやりおつたさあぬかせてつがたけへ手むかひひろぐ此うでぶしを
ぼき〳〵ひきおつてぐれんとあなたこなたへ引まはされもふこれまでと礼上郎
ぬきかくる
つばもとしつかと
つばもとしつると
〽はとアやるは〳〵
ちいさいなりしてすまふ
ちいさいなりしてすまふ
ころそふとはどじやうの
じだんだかなはぬこつちや
サアきれ〳〵と
ひきぬいて
たがひに
あらそふ
そのなかへ
又もふりくる
あめのあし
すでにあやう迄
れい三が命
折しも
いなむら
より
つだへ
其
三其
千両のほり
ぐつと
つきたを
かたなの
かたさき
ぐへすり
うんと一こゑてつがたけ
れいみがしわざと心へて
〽うぬゑらいことひろいだなと
又も切こむしらはとしらは
いなむらかけにうかゞふくせもの
あやなきやみのくろしやうぞく次へつゞく
次へつゞく
まへのつゞきだんびらひつさげうしろ上りたすくるかせいの
めつたぎりれい三郎もおづ〳〵切こむふか田の内足も
しどろにむねのやみむねんと思ふ一ねんりきし
ゑぐりくる〳〵くせものがすがたを見付て
れい三郎文もこはさに身もわな〳〵
心そゞろにぢとりあしうまれのうちきに
じをうしなひぬきみもさやも
とをうしなひめきみもさやも
そのまゝにうちすておきこけつ
まろびつにげかへるくせものはとつくど
見すまじさぐりよりてつがたけに
とゝめのかたなあからむかふへはこでうちん
しもべにもたせてみのまはり
あまぐにかこふりつはのさふらひ
見かけられじとくせものは又身を
しのぶいなむらのかけ
かのさふらひは立とまり
しがいを見つけて
おどろくめんしよく
〽ヤアこりやみがやしきの
おかたへのすもふ
てつかだけなにゝもせよ
心へずと見まはすあたりに
おちちかしらはとさめざやは
ごにちのせうと
ともあげて豐國門
ぬきみを
さやに
おさめた
豐國門人
国直画
おさめた
てうちんやれとゆきすぐる此ときやう〳〵
あめやみてそらはれわたるゆみはか月
はやぶさのお高はのがれぬようじ
ありて此所へきかゝる
いぜんの
三せもの
ちがたなひつさげたちいづるでやいがしら
おたりはてうちんさしつけて〽見ゝそちや
ちに吉か〽ヤアあねじや人
〽ほい〽さては
●といふをきつかけに
徳瓶作五分
山山世之春千両幟下之巻
こゝに又さきだつてゑかいあんにて
よみはじめ
にしきゞが身うけのかねをかたりとは
市はら九平太村なかだんゑもん手代ぜん六
三人がいひあはせの
しわざにて
まんまと
かたりおゝせ
そのかねを
わけどりにして
だんゑもん
ぜん六両人は
長まちのへんに
しやくやをもとめて
かくれすみけるが
だんゑもんあふみのやかたを
ついほうになるまへてつがたけと
いひあはせて津田両助があづかる
ところの
もまくにの
あまくにの
たんとう
をひそ
ばひ
はひりけるが
とりけるが
此ほど津田両助大さかへいでゝかのたんとうの
ゆくへをせんぎするようをつたへきゝだんへもんもし
両介にいであひしときわがてにありてはいかゞなりと
〽ぜん六
おたかゞ
いへの
ゑんの
しのびて
やうす
がふ
〽うぬうまい
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ことをやり
おるな
今にみしら
せてこます
かのあまくにを九平太にあづけおきけり
さて又だんゑもんぜん六にいひけるはわれ
かくついほうの身となりしはくにゝありし時
津田両助がいひなづけのむすめおさいと
いふものにふぎをいひかけその事に
つきてかゝる身になりはてしがその
おさいめは両介がかたへもゆかずつるや
れい三がかたへかけおちしてきて
おたかとやうがかたにかくまつてあるよし
かね〴〵きさまのものがたりどふぞその
おさいめを手に入るしあんはあるまいか
トいへばぜん六〽イツヽあるのだんではござり
ませぬそれについてゆふべなんばうらで
てつがたけをころしたはだしかにねめか
岩川か二人のうちにきはまつた
てつがたけはあふみのやかたのおかゝへの
すもふとりその人ごろしをそにん
すればいつかどのほうびのかねたしかな
ことをきゝだすしあんは今からかの
おたかめがかたへゆき人しれずゑんの
したにしのんでゐればない三郎が
くるはひつぢやうそのときとつくり
やうすをきゝとりかのやしきへ
やうすをきゝとりかのせしこへ
ひきずつてゆくわしがくめんおま
そのあとへしかけてうろたへてゐる
おさいめをひいてくるはいとより
やすい此てつがふはどでごんすと
大おんうけし主人の身をそこなはん
する人くひ馬あいくちのだんゑもんは
きみやう〳〵と小うなづきぜん六又いひけるは
しかしそのおたかといふやづは女ながらも
たいていなまつじやないかならずゆだんなさるな
たいていなまつじやないかならみ中たんなさるな
〽イヤそこらはきづかひないとうなづきさゝやき
あくじの目くぎしめしあはすぞぜひなけか
千両のぼり
ばしよへとほりかゝりおとゝちよ吉が心へがたきすがたをちらり
と見てそのせんぎをせばやと思ふ内にちよ吉はそのまゝににげさり
ければ心ならずも立かへりてむねひとつにあんじ口づらひけるが
そのよくじつになりてなんばうらの人ごろしのふうぶんもつはら
なればおたかは心のうちにさていと思ひてやすきこゝろも
なかりし折かられは三郎きたりけるが日ごろにかはりしそぶりにて
何となくこゝろへがたきやうすといひことに町人ながらいへに
かたはるひとこしなりとてはだみはなさぬわきざしも
此日はこしにみへざりければおさへおそか両人へいつ内に
此日はこしにみへざりければおさい出たか両人は心の内に
いぶかしみとほまはしにやうすをとはんと思ふ折しも
おもてのかたにしもべがあんない〽ちとたのみましよ
おもてのかたにしもべがあんない〽ちとたのみましよ
きゝおよんだはやぶさのおたかとやらんはこちでござり
かとあないをこひていりきたるりつぱのさふらひ
おたかはたちいでいんぎんにてをついてこれはどなた
さまでごさりまするといへば〽あゝいや〳〵くるしう
ないものさてはそこもとがおたが奴よなてまへことは
あふみのかちう津田両介と申すものときいて
びつくりおきかぐとうわく水い三おさいもおどろきつゝ
あはてまとひてうら口よりにげいぐるまもあるやなし
両介はごめんあれとてうちとほればおたかはなほも
そしらぬかほにていかにもたかと申すはわたくしで
ござります津田両女さまとはついにうけたまはり
ませぬが何のごようとおちつきがほ〽なるほど
せつしやをしりめされぬはもつとも〳〵ちとおか身に
たづねたいしさいあつてまいつたるそのわけは
さくやなんばうらにて身がやしきの
おかくへのすもふとりてつがたけと
いふものきりころされなにものゝ
わざともしれずそのまゝに
すておきがたしそのあいてを
きかふため〽ヱヽそれでおいで
なされよしたかそりやもふ
はゞかりさまながらいかふ
おぼしめしたがひあられもない
おなごのみでどふしてその
ことにおたかははからずなんばうらにててつがたけがころされし
〽これは
こりや
おたか
はものを
ぬぐへ
両
〽き
なかず
うたれ
×
あはてを〽しらぬといやるか
心もつとも
○ぜん六
しからば
まひとつたがね
両介に
ころさ
たいは身が同家中
三しま弥太夫といふものゝむすめ出さいをにようぼうに
もらひうけふとけいやくした此両介しかるところおさいには
ふぎのおとこあつてかんどうせしよし今にもかほを
見あはすればさむらひのゐぢまつにためにせねばならぬ
かのふぎのおとこといふはみがやしきへでいりの町人のせがれ
つるやれい三ときいたばかりついにかほはみしらず
こりやそのほうぞんじておらう〽ヲホミミさま〳〵の事を
おとびあそばすつぢほういんのうちへおいでたやうにこりやわたくしを
おなぶりとみへますとくちにはいへど心はそうかたるあからゑんのしたゟ
るゝ
ぬつといでたる
ひとりのくせもの
両介にむかひ
〽これおさむらひさま
一今おまへのたづね
さしやつたおさいと
やらはこゝのうちにかくまふて
あるにちがひないれい三升折〳〵
大じやうぶのそちこれをれい三にイヤなすかの
れいにそち人つかはす一上くす。わや此わきざしを
〽わさくはしくでどころをいはぬがひでんおからみつき
一つうそへておたかにわたし又今身が手にかけし
うそへておたかにわたし又今身が手にかけし
此とうぞくめがすじやうわれゆへあつてくはしくしか
きやつはつるやにて大おんうけし下人どして
主人のかねをかすめとりあまつさへしゆうを
しのんできますそれに又ゆふべ
てつがたけをころしたるそのとが人も
たいがいそれとしれてあれどとくとじつふを
たゞさんためせんこくよりこのゑんの下にしのんで
ゐるのじやその人ごろしへやつはりそれも
〽といはんとせしに何思ひけん両介はさしそへぬいて
ぜん六がくび水もたまゝ二がうちおとしどりやおたゝ
せん六かくひ身も
はものぬぐへとさしだすしらははながみにてしつかと
おさへおたかはおどろくめんしよくにてはて心えぬ此一こし
つゝ〴〵みればひらうちゝの両めんにいんよう二ツのりやうの
ふうぼりきんをもつてまなこを入たる此一るぎこそ
〽さゝき今此両介がゑんのしたやにしのびしとうぞくめを
手にかけたわきざしさどふてちしほにけがれた一しな
みがしよづなすもむやくなれば女ながらま
そこなはんとする大ざいにんてんばつ
のがれずしぜんと主人の
やいばにかゝるはてんのむくひ
やいばにかゝるはてんのむくひ
人をあやめたつみとがも
人をあやめたつことがも
イヤ身があやめた此しかい
けらいどもとりかた付上し
けらいどもとりかた付にと
しもべにしまついひつけて
ばんじはかさねてはやさらべと
ゆう〳〵として立かへるおたかは一こしにころせしは水い三
そへたる一つうをひらき〽なに〳〵さくや
なんばうらをとほりかゝりしところ
てつがだけがしがいのそばにすてありし
此わきざしそれがし此一こしのぬしを
ゆへあつて
しるによつて
おんびんにかへし
つかはすとしるし
べつに一つうの
かきつけをふうじ
こみたりひらき
れば両介よりおさいへの
みれば両介よりおさいへの
さかじやうなりおたかは
はじめてころつき
さいぜんれい三どのそぶり
こゝろへぬとおもひしが
さてはゆふべてつかたけを
しよじをおさめたむねのうち
しよじをおさめたむねのうち
ゆう〳〵として立かへるおたかは一こしに
ころせしは水い三
どのゝしはざで
にてもこゝろへ
□□□
あつたかさる
かたきは
千両のほと
おとくがみのうへ又おさいさまの
まへのつゞき
ことにつきれい三どのにいこんある
ことにつきれいみどのいいこんある
津田両助どのよのつねの人ならばもとめても
せんぎのたねにするはづをせうこと
せんぎのたねにするはづをせうこと
なるべき此一こし手に入ながら
おさいどのゝ
さりじやう
そえて
そえて
もとされし
しんてい
こひのいしゆに
人ごろしのせんぎ
したといはれては
にやかくおんびんのはうらひ
なのけがれとおもは
〽あねじや人
あつぱれ
のぶしと
ならずないて
〽もふ
ゆきやるか
きづもつあしのおとゝちよ吉
わがやののきにたづめどしきゐの
とうげこへかねてのぞけばうちに
あねひとりこなたを見やりて
やアそちはちに吉かといふを
へしほ〳〵内に入あねじや人
〽ひさしうあいませぬはゝじや人は
かはることもござりませぬか
〽イヤはゝうへは此二三日
あとに京のごほんざん
いみやうまんじへまゐられて
たびのるすこちにかはりは
なけれどもかはつたことは
そなたのふうてい
なにしにこよひ
きやつたのじや
〽イヤこよひ
まいつたい
ほかでもない
はゝじやくに
なりかはつて
おまへに
○おたかは
きなる
うきくらう
うきくらう
ふくじ
かなたをあんじ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
んどうがして
もらひたきに
〽ヲくそうなうてはかなはぬはづ
ゑあんにときうつりたそがれ
しあんにときうつり
すぎてくれかゝる
こなたをきづかひしばし
日よりも
むねの
さてはそなたは人をあやめて
きやつたの〽なるほどそふしつてござるからは
もふぜひがないひととほりあかしましよ
やぜんのがれぬようじあつて
とほりかゝりしなんばうら
とほりかゝりしなんばうら
くらく
折ふししのをつくあめにほうがくわかぬ
しんのやみかたちはみへねどわうらいの人
山だちにいであひしとおぼしくあらそふこへに
いなづまのひまよりうかゞひみれば
たがひにひとこしぬきあはしきりむすびしが
ひとりはだいのあらくれ男あいてはかよはき
〽よいところへ
きてくだ
さん
ゆへ
あやういなん
ぎをのがれ
たかい
町人ていまつにうらみしあさがほの
あはれはかなきありさまをみるに
しのびずどうぞたすけてやりたさに
とろすきもなくくせものがうしろより
きりかけしにおもひのほかのふかでにて
ちよ吉
はつと
心づき
あつとたふるゝそのひまにあいての
おとこはにげさりぬどくくはゞさら
ねぶれとくせものいとゞめをさして
たちさりしがあとにてきけばわがてに
かむしはあふみの佐々木けの出かゝへ
かむしはあふみの佐々木けの出かへ
〽さては今のがだんへもんかそれとしつたらひいとらへて
いつぞやのかたりのせんぎをしやうものをとりにかしたは
ヱヽざんねんな
おくれ
みれん
なり
とても
人ごろしのつみはとてものがれず
けふこれへまいりしはいつしやうの
いとまでびあねじや人どうぞ
ゆきしめてくだされとおろ〳〵
なみだにもめがたる
おとるわらなみだ
もろともに
くはしう
やうすが
てそのはなしで
わかつた
ゆふ
そなたが
たすけた
その
おくは
おくは
つるや
れと二
どのとて
わけを
はなせば
ながいこと
ちとゆへ
あつてわしにかけにや
ならぬ出人そなたが
てつがたけなるよしさすれば
てつがたけにころさるゝはぢやう〽これちよ吉
のがれぬ
かはかにだしてどうまあいきてゐられませうことにおまへがつみにあひし
はゝ人がきかしやつたらなにしにいきてござらうぞたとへわがみがこうさるゝ
はゝ人にそれとあかしてくださるなとどうくみのことばにせんかたな
おたりはわつとなきふして止たいもなくなげきけるがやう〳〵に
かほをあけそれほどまでにかゝごとさはにたうへからぬもふぜひがな
さらさんよりいさぎよくないつて出よ
とはいふものゝこれがまあどうなげかいで
ゐられうぞたりたひとりのおとうとを
とくしんしてころしにやるあねが心の
かなしさをすいり金うせよちよし江と
きなうだい手に手をとりかはしくだき
きやうだい手に手をとりかはしくどき
ごどこそあはれなるちよ吉なみだのひま
よりもしぬる此とはさら〳〵いとはねど
もし此ことをはゝ人がきゝ給はゞその
おなげきがいたましいせめてひとめ
おかほがみだいといひさしてなげき候
とちうにてかのだん九郎にいであひほうぢやくおしん
たさりながら
でかしやつたようてつがたけをしとめてたもつたさりながら
此まゝに聞ておけば人ごろしのごせんきさびしくぜひとも
れい三どのみのうへにかゝはるどうり大ごろしのげしゆ人には
此あねがなのつて出るそなたはあとにながらへてはゝじやひとを
はへおかつてたゆさらばとばかりかゝどのてい〽ちよしとておしとゞめ
〽思召も〳〵あねじや人もつたいたいないことおつしやりますなおまへをわしが
やう〳〵になみよをとゞめ
いかさまにげかくれしてとらはれとなりうきはぢを
ちかきにしぬるおとゝが命
せめてちいせをたすかるやうにと
ぶつだんにみありしてらしみればあやしこく
いついにありうはがきにおさいどのへれい三郎
をおしきればかきおきの事也としるしたり
そのもんどんにさくやゆくあつてそろがたけを手に
かけたればそのつみのがれがたしこれによつて
命をすつるとはんぶんよんでおたかゞおどろき
こりやこうしてはゐられぬとすそひつとげでかけいでけり
○さておさいはみちにてれいみのわかれかへらんとやかる
ときをうつしけり
になんぎの所へおたかかけつけまづだん九郎をおひ
しりぞけていざいをうたればおさいやともにおどろきけり
のがれぬ
此みのいみ
此みのつみ
あねじやうへ
さらばで
ござると
哥づれば
〽そんなら
もふ
ゆきやるると
なきにして天も
おしますなきけるが
おしますなきけるが
そのまゝわろと
たすけてしんぜずは▼
○こゝに又つるや
浄久は
ひとり子の
礼三郎を
ぎりに
せまりて
かんどう
せし
どこに
ゐやる
かと
あん
じちるゝは
じちるゝは
おやのつね
折〳〵よそながら
やうすを
やうすを
たづねけるに
たつねけるに
にしきぐが
あとがねの
くめんにさし
つまり岩川
にようぼう
おとはを
しまの内の
きたのやへ
かりてにしきゞ
があとがねを
すましれい三と
ふたりかまふ
一ときゝ海久は
岩川がぎしん
をかんじその
にようほうを
せがれゆゑに
つとめさしては
ぎりたゝず
二百両のみの
しろをつくのひ
うけいだして
つかはすべしと
しひぢうずあたま
思ひぼうずあたま
あつびんのかぐら
をかけつうじん
したてのいせう
つけにてきたのやへ
ゆきいなかよりの
大じんきやくこと
いつはりてまづ
やうすを
うどひけり
にしきゞは
きたのや黒川が
にようぼう
おとはがかはりに
みをしづめ
いつはりておとはを
岩川がのかへかへし
そのよくじつ
よりすぐにざし
きをつとめけるが
かねておいみと
はりあひたる
いちゑ九平太
いかにしてか
そのことをきゝ
しりよきさいはひ
とつきだしの
その日まだ日の
うちよりにしきゞが
ばつきやくに
あがり
〽才介は今に
でるかの
かげゑの
このごろ
このせかいで
じやうすと
ひやうばんのある
まつ江と
いふのがある
ではないか
〽おかんどん
おてうしを
かへて
きな
〽こう
〽なにさ
さくら丸に
てうぎん
もんだはな
まへの一ゞきしたいこまつしやをあまたありめなかにも
そのころかげゑのめいじんとよばれたる松江といふ
げいしやなどをよびてざしきをにぎはしけれども
にしきゞは女平太ときゝゑりもとからぞつとして
ざしきへはかほみださぞさりとてはじめての
ざしきへはかほみださずさりとてはじめての
ざしきなればおやかたのてまへをかねつかへを
おこすばかりなり○さるほどに礼みらは
両介が手よりわきざしのもどりしことは
いゆしらずつく〴〵思ひけるはいれはからず
てつがたけをあやめことにせうことなるべき
ひとこしをしがいのそばへすておき
たれば人ごろしのつみのがれがたし
てんのあみにかゝりてなはめの
はぢやうくるときはいれのみか〳〵
おやにまでうきはぢをさしさす
どうり此うへはおやの目にかゝらぬ所へ
紙をかくしいのちをすつるがせめてものいひわけと
いひについて
かゝこをきはめおさいへ一つうのかきおきをのこし
せめてにしきゞにもひとめあふてよそながらいとま
こひをとそのまゝ嶋の内のきたのやへいそぎゆき
人がほわかぬ夕ぐれをさいはひに人目をしのびて
二かいへあがりまつ江といふ女げいしやにのみこませ
やう〳〵しゆびしてつもるおもひをかたるさへ
今はこゑをもにざしきにしはしさゝやきゐたりけり
○かゝる折しもいちはら九平はこはだかにふアそこに
ゐるはまつ江ではないかどきくよりまつ江は
はつとばかりそばにありあふふとんをとつて
礼三郎とにしきゞにすつぼりがふせ
ついたてのかげへおしかくす
あいもあらせず九年太は
せうじぐわうりとおしあけて
けふつきたしから此九平太郎
あげてお〳〵にしきめがおらぬゆへ
こゝへきたきぢしりと見付た
あを二さいめしんまちからこの
しまのうちまで。いきまとつて
○女げい
まつ江
おまへをとらへて
はらたてるでは
なけれども
ヱヽヱヽヱヽアト〳〵
ようつぶして
くださんした
わしがためには
たいせつな
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
さま
いれ
そふ
おまへ
つとめ
さす
その
ため
によら
おとめを
こゝのつとめ
おまへがた
おふたりを
こどうぞ
はやう
うちへ入て
そのあと
ぎやう
せうばい
なげころされても
ほんにせいもん
しが身は
わしが身は
みやうり
ほれぬいてゐる此九平太とおなじやうに
つきまとふむしめがそこらにおろうと
たちよるをまつえはちやつとおしとゞめて
〽アヽめつそうな此ついたてのかげはわしが
せうばいのかげゑのがくや見せることは
なりませぬといへば九平太〽ヲヽついたての
かげゑがわたい御へをくわつとともして
みせろはやく〳〵とせきたつれば〽はいお目に
かけますがかげゑのはじまりかならず
かくやをのぞくまいかう火をともしていたし
まするが梅がへのむけんのかね〽二八十六で
ふみつけられて二九の十九でついその心
人の心もしらいではもしろそふに〽ヤそりや
人の心もしらいでおもしろそふに〽ヤそりや
身どもがことう〽なんのいなこりやかたの
もんくじやらいなもれ〳〵むかふ人にしきさんがと
いはれて九平太だれどこへと立あがるまに
火をおきけしさあもふしまいじやこれから
わつさりのみなほそふと九平太郎
てをとつてむかやりにおしたてつゝおくざしき
へぞつれてやくにしきぐれいみはためいき
つきやう〳〵ふとんおしのけて〽これにしき
いひたいことはかづ〳〵あれどどふもおれが
こゝにゐではわるいほどにもふかへるいひのこした
ことは此ふみにあとでとつくりよんでたもと
一つうわたしてうら二かい又もしのんで
たちかへる九郎太は立もどり〽やい〳〵まつ江
ようおれをだましおつたかんどううけた
ならずめをとりこんでうぬらはとりもちを
しをるのじやなどうしても此やさしきがものぐさいと
せうじくわらりとおしあくればそれにはあらで
入かはりいつのまにかは岩川次郎吉ゆう〳〵とたばこ
かゆうしくつ〳〵とふきいだすさしもの九郎太
びつくりしこれば〳〵ぞゝうせんばんせつしやちとたべすごし
しはずとまどひまつひら〳〵ごめんならうとにけてゆく
にしきはそつとはしりいで岩川さんのおかけにてひやいな所へ
のがれたとよろこべば岩川はからめしげに〽これにしきさん
こなさんにあひたいばかりてさつきたからきてゐやんす
〽もつとあかりを
くわつと
あかるう
どんないとこれまでに
思ふのにわしがこゝろは
水のあはつくしたことは
からへなけがね
おまへもきこへぬ
れい三さまも
どうよくなと
からむと
ことばに
にこさゞは
なみたくみ
そのおひが
これしさにないみさんといひあはせおや
かたにわけ
いふてきのふこゝへきてけふからの此つとめしきづかひして
くださんすな〽いヱ〳〵それではどうも此也岩川が
たちませぬとせりあふうちにならゐのこゑ
〽もし岩川さんおもてざしきのおきやくさんが
きづかひして
おまへにちよつとあひたいと
あかるう
それもふこゝへござんしたと
いふににしきはこれ岩川さ也
まだはなしたいことがある
九
のちに〳〵とそのばを
はづしいでゆくあとへ
入くるはさいぜんの
いなら大じんこれば〳
岩川めづらしいと
かへらをとれば
おどろく岩川
〽ヤアおまへは
浄かへさま
にはつだ所へ
かはつたおすがた
あやしみ
けり
まへのつゞき
さて浄久は
岩川にむかひ
よいとして
よいとしして
あつかましう
此あつびん
岩川はたぐふしおがむばかり也
かくてにしきゞはいなか大じんを
浄久とはゆめにもしらず
女郎いは
こなた
しゆ
こゝろざし
ふうかの
人目をしのぶ
こゝろざしが
あんまりかたじけなさに
そなためにようぼう
おとはをおれがみうけする
こゝろでこんやきてやうずを
きけばつとめてゐるは
やくはりにしきゞうけだ
てうつばの
あかりにてさいぜん
れいみがわたしたる舟を
ひらきみて一ヤアこりや
かきおきとびつくりし
こりやかりしては
たい女郎はこゝにゐず
よういせしみのしあの
此二百両かんどうしたせがれに
やちうはづもなければ
こなたはなきもらふてくだされと
岩川にかねわたしき此かづらを
かうかふればおれはなんにもしらぬ
いなり大しんよいやうにたのむぞやと
又もかづるをかぶりつゝもとのざしき人
たちさりしはにしきぐゟみうけをしろし
いはぬばかりのおやのじひ
心
国
はへ
〽そこにこざんすは
九平太さんが
まちかねて
にしきさんしやないかへ
〽ヤァなんじや
こりや
かきおき
どう
よくな
十二月十一日
ふぎけし
くらまぎれ
れいみがあとを
したひゆく
まろびつかけきたりかどのとあけて内に入うらみ
なみだにくれつゝもさいぜんのかきおきにてはじめて
しつたおまへのかくどこれまでながきうきふし
これしいこともかなしさもふたりいつしよと
いひかはしつゆもおしまぬいのちけの
ふでにのこして
わがみを
これまであつくせわになりし岩川とおたかへのみのいひわ
あとにのこりしかたおやをたのむといふことかきおきに
したゝむる折も折にしきぐはきやうきのごとくこけつ
○さるほどにれい三郎はにしきゝに一つうをわたしきたもやをおまへひとりしぬからごとはかしめしいどうらと
かこてばれい三もなみだをうかめられこそは人ごろしの
これまであろくせわきなりし岩川とおたかへのみのいひわけつみいがれがたしせめててなたはのこしおきなうの
ことたのまんとおもひしがそれほどまでにおもひ
つめてはもふとめまいほどにしでさんづをふたりづれ
さりながらこゝでしんでははぢのはぢ大さかのまちをはなれ
はまでらがさいごのばしよよういがよくばさあおぢやと手を
とればおしとゞめ〽まあ〳〵まつてくださんせ〽ハヽまてといやるは
心でもかはつたか〽なんの心がかわりませうさら〳〵そふでは
なけれどもおまへとおうふになりたいと思ふをいとめのたのしみに
くらしたかひもなきいのちせめてこよひのはんときを百年もつれぞふ心
ほんのおつとじやにようぼじやとまゝたくまねや水くねまねせたい
するまねしてしんだらみちいのまよひはあるまいとさすが女のぐと〳〵と
いふもなみだのれい三郎ヲもつとも〳〵そふおもやるならわしも
とも〴〵てかだふほどにまゝかけてたいてたもさいはひけふは
わしがおやぢさまのたん生日これまではおこうのしつぐけ
せめてめうとがにたきしてかげのぜんなとすへたならそれが
此よのおいとまごひとなみだかくしておしいれの米とりいだし
あてがへばあらふすべさへしらげのよねしほ〳〵おりなしりも
とぎながしたる白水はかほにつやどるおしろいのことけてなみだの
かしき水おつとはもやすかまのしたにしきは今さららい〳〵と
もしへといをかだんなへといふてみたがるみやうと事〽これいな
まゝあるものがござんすか〽ヲヽあの人はせわしないまだできも
せぬ内からおし入にちやづけぢやわんがたつた一ツあるはいの
〽あいといふまゝとりいだすにしきでのそめつけもヲゝきたな
こりやまあいつあらふたまゝじやいなほんにやもめといふものは
あたしだらくな〽かふいふ所はもふいつぞしよ。たいじみたじや
ないかいなワレまゝがこげくさいぞへ〽おつとがてんともへぐいを
きやす此身もきゆる身といへばにしき五かほみあはせ又も
なみだにむせびしがあゝわれながらぐちな事
千両りぼり
ままへのつゞき「アレあらゆげのさめぬ内かまからすぐにもつてたもとつゝゑのうへに
しらかみをしいてそなくるかけのぜん〽ごたんじやう日のごしうぎめでたう
あがづてくださりませおやぢさまはゝ人さまこれまで一日出心やすめたこともなく
おやすさきだつふとうものそのうへろくなしにもいたしませぬにくいやつと
おぼしめしかならずないて下さりますなひうへになげきをかけ出みのいたみに
ならふかとそれがかなしうござりますとおつとが
なげ候はつまはなほはたしもざいしよにひとりの
とゝさんとしよりといひ目はみへず此身がやいばにかゝりしと
ざいしよへしれたらさぞやさぞそのおなげきがおもはれて
かなしいはいなとおしまろふ心のうちぞやかせなき〽せめてなぐりに
ひとふでごとすぐみいにむかひするすみの来いとやたれもまねかねど
まだつきはてぬむや子のゑんにしきがおやのやみ市は
つ人をちからにとぼ〳〵と子ゆゑにまよふ目なしどり
よるのつるやがかどにたゝずみ〽もふしだなさま
あんまけんひきのごよう
ござりませぬかと
いふこへきいてにしきは
びつくり〽早ゝあのこへは
たしかにわたしが
こゝさん今しにぎはに
あひだてしては
かくつてなげきも
ふかいどうり
とはいへたつた
ひと自おかほが
見たいと
小ごゑにて
さゝやけば
れいみは
こゝろへ
立いでゝ
〽あれ
あのこへは
たしかに
わたしが
さいしよは
さいしよの
とゝさんの
こゑで
〽ヲヽなるほど
ちとりやうし
たのみ
ましよ
サア〳〵こちへ
あがらしやんせ
おつとあぶない
どれ
手を
ひいてしんぜ
しよしよし
どもなひ入れば
にしきらは
とゝさまか
なつかしいと
いひたい
こともいはれぬ
しぎやみ市は
きもつかず
〽さやうならば
おかたをもんで
あげましよか
といへば〽アヽいへ〳〵
そんなら
ごくろうながら
かたよりはこれな
〽此手をおまへのゝ
手でじつこ
にぎつてくだ
さりませと
にしきゞがてを
もち
次へつゞく
そへて
〽すりやわしが
ためにもしらご
どうぞちよつと
あいたいもの
じやはいの
まへのつゞきいだせばこなたもさしよつて〽あくおうねがいたみますかサア〳〵もんで
〳〵やうひやくしやうひをうどおなじんじやうひをうどおなごのように
あげましやうどれ〳〵お手をてみやはらかなじんじやうなてうどおなどのような
お子じやといひつゝもみながらわだなさまわたくしがみのうへのことおきゝなされて
くださりませわたくしも四五年いぜんまではこれから三りあまりのざいしよゑがら
むしでともかりもした白しやうふつと目をわづらひましてしんしやうありきり
うちこんでりやうじじしたかひと也なくとう〳〵目くらになりましてしよやどのからは
ねんぐのみしんとほうにくれておりました所をたつたひとりの娘めがわしにかくし
人をたのんで此大さりのしんまちへつとめぼうこうそのきうぎんでねんぐをすまし
あまつたかねをしよやうどのへあづけ月〳〵にりそくをとりそれでわたくしはちく〳〵と
くはれるやうになりましたほんにあのやうなこう〳〵娘はせかいぢうにあるまいと
とひだすたびになみだがこぼれてうれしうてそれで一日なりとも
はやうつとめをひかせたいとぞんじましても
目は見へずぜにもふけのすべしらぬゆゑ
思ひついての此あんまも娘にかくして
おりまするこれから三里の
とほい道をまいにちまいばん
かうしてあんまに出まするも
むすめがためにするとおもや
ちつともくにはなりませぬと
おやのことばをきくにしきゞ
思はずしらずむせうへる
思はずしらずむせかへる
をれい三郎はせきに
まぎらしこゝそれは
きどくな姫ごで
ござります〽なんとまあ
おやちさまアゝいやなに
ことしよれば
みなおやぢ
さまそで
ふりあはすも
いつもながらちよつとごひろう
京傳店としよりん
一包壱匁五分
○たばこ入きせるしんがた所〳〵
○京でん画さんのあふき有
京山製
一水晶粉くすりあらひこ
水晶粉
すりあらひこ
ありをよく
底を白く
すること
すい
たしやうのえんとやら
わたくしもわかいもの
おとしよりと
見ますればわたくしは
もふおやと思ふてをりまするさりながら人といふものは
なんどきしれずろうしやうふじやうと申しますれば
かういふわたくしがあすしぬやらしれぬ命もししんだら
これが此よのいとまごひにならうもしれませぬ
ほどに〽なそれ此手を
じつと〽アヽこれ〳〵
だんなさまおまへは
にんげなことを
いはしやりますはいの
そのやうにおつしやり
ますと心ぼそふて
なりませぬじたい
此ごろはゆめみが
わるうてあんじてをります
うへにやれしんぢうのきられた
のときくたひ〳〵にむねがひや〳〵
もしむすめではないかしらぬとほんじられ
それ今おつしやるろうせうおじやうひよつとむすめがくがいの内にわづらうて
わしよりさきにしんだならこのおやはどうせうとおもひますればにはかに
かなしうなつてきて〽ヱヽ〳〵〳〵ごゆるされてくだされませとなみだをぬぐふちりがみの
かすきおやこのちぎりそとものいひたさとかなしさににしきはむねもはりさく思ひ
たもとをくちにおしめてゝこゑをたてしこはをくひしめせんごなみだにふししづむ
ひぞやるせなかりける〽はや九ツのゑんじのかねはつそ礼三がき迄そどろ〽もうし
おやぢさまわたくしはちよつとおもてまでいてさんじます内どうぞちつとのまおまへは
こゝにゐて下さりませといひつゝにしきを引たかればさらにしやうたい立あしも
なく〳〵礼みにいざなはれいづる戸口はしでのかとこれがおやこのわかれかと
おもへば
むねに
たもち
かね
わくと
ばかりに
なくこへの
ちすぢの
きもに
こたへてや
今のは
たしかに
むすめがこへ
こりや始に
じこにゐるぞい
やいとちうでの
うはさといひ
さつきにからの
やうすといひなんで
おやにかくれるのじや
とさぐりまはりてあんどう
ばつたり二人もさぐり
あふさかの町はせうじの
さかいすぢたとり〳〵て
三重
○こゝに又九平太だん九郎は津田両介
つるきのせんぎにいでしときくかの
あまくにのたんとうをひのくちへかくして
たちさらんとするとき
岩川此所をとほりあはせ
とくとやうすを
みとゝけて
二人のものを
としへる
○津田両助も此所へきかゝり
ひのくちよりすいきの立のぼる
ていをみて
あやしむ
此ところ
すべてみなし
なり
五〇岩川が
はたらきにて
二人のわるを
とらへければ
両介立よつて
きびしく
せんぎなし
ついに
あまくにの
たんとう
て口
いりて
よろこぶ
な
まだいきてゐて
くれたかと
みな一どうに
よろこびけり
○さて両介
いひけるは
だへ
よみはじめ
にしきゞれいみは
たどりつき
ほどなくはま寺へ
〽サアにしきゞ
かくごはよいかと
ぬきはなし
すでに
かう
よと
うへ
たる
所へ
岩川
次郎吉
九平太
へもん
なは
かけ
て
津田
み
浄久おさい
おたかもろは
此所へかけ
きたり
それと
より
十匁にあ
ため
〽れい上らと
おさいがなかは
岩川よきとりもち
つかはすべし
あくじ
に
てつが
たけは
だんへ
をうして
あまくにの
つるぎをうばひし
しが人なれば
げしゆくにおよばず
さいでんなのつて
いでしおたかゞ
おとゝちは吉も
しやめんなり
さて文さきに
おさいへ
さり
じやう
つかはせし
うくは
われ
三郎
いこん
此うへは
九郎太
だん九郎
両人をばみが
中きへ引立
ゆきてせいばいに
おこなふべしと
せんあく二ツを
わけたる
さばき
みな両介さまの
おかけり
一大尾
豊国門人
○両助はだんへもん
九平太を国人
引立かくりて
橋本徳瓶作
国直画
橋本徳瓶作
主人へきこへ上て
せいばいします〳〵ふもんかゞやく
○れい三郎はおやのうんどうを
ゆるされおさいにしきゝ両人を
ほんさいてかけとなしりやうしんへ
かう〳〵をつくしにしきゞがおや
やみ市を引とりあんらくにやしなひ
筆耕橋本瓶子
彫工名古屋治平
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
版元
岩川ふうふおたかちよ杏などに
あつくれいをしやしつるやのいへ
千年のよはひをたもつ
○おたかはいよ〳〵母にかうをつくし
○おたかはいよ〳〵母にかうをつくし
第ちよ吉となかむつましくくらす
○岩川はちからといひきしんといひ
又と有まいせきとりとその名は
なにはにかくれなく千両のぼりの
じやうなりにかきとゞめたることの
はをこゝにかつせしくさぞうし
しやつせのはるをまつのはの
あをい画作をおとり立ごひいき
ねがふ三ヶの津六十よしうの
すみからすみごけんぶつの
お女中さまがたお子さまがたを
ひとつにしめて
めでたく
ねは斎さく
梓かな瓶子
春道
三
10424