金屋金五郎浮名額

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紀海音撰
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場所: 大坂
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紀海音撰
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日本語
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正本屋九左衞門
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カナヤキンゴロウウキナノガク
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
額冊 館所和 書究令図 図研ん属 属学月附 学級和年学 大昭3大 北5台和北 東伊仙令東 書名 刊 所蔵者 管理番号 資料番号 撮影 } 金屋金五郎浮名額 週間 伊佐 特別 荒井恭信郎殿 以テ購入セル竹蘭博士 『狩邦吉氏藩獄記』 元禄十五年壬午八月朔日より興行の 作者紀海音源氏えほし折の切狂言也 文化十三年更春装 式亭 新田の四郎いかる せこはして共 うんのゝ太郎てから けいせひがきてんじふ ほうめねばきせい くまの道んしんじばられ けいせい竹とり一王云 新田とらがな合をすこふ とらいつちなんざ はゝみ女の せんさくする あけや此ていしゆ 御所の五郎丸 ぼうでうのとうへ うんのぞらずやぬ 置もなんぬは うきなのがく 一金屋金五郎 豊竹若太夫 浮石類 十七日 直之正木 惣地謡 みきときく〳〵名もとはりや秋風の。ふけど も〳〵。さらに身にはさむからじ。ことわりやしら ぎくの〳〵きせわだをあたゝめてさけをいざやく まふよまれ人も御らんぜよ月ほしはくまも なし。所はしんやうの江のうちのさかもり。しやう 〴〵まひをまはふよ。あしの葉のふゑをふき。な 一みのつゞみどうとうち。こゑすみわたる。うら風の。秋 のしらべやのこもらんあたら夜ざけのつけざし もふけゆく月をともとして。たがさしめをもし らためずあひといふ字をとりちがへてうしかゆ るも。にくてらしさけのかはむくくせとして一つ うけてはづけざしの思ひざしのときをもたすうそ 一か誠かそりやしんじつか。五ちのによらいのめくみ もあろにふかき思ひをのりかけ馬に。はなれがた なきわが思ひ給ふがゆゑに。其しがを。つゝむにあまる ことのはを人やきくらんはづかしのもりてわが名はいの ちげにくいしめられてよしあしの。恋とおもひを かけて見るかくのにさんはよふたとさ。あしやち鳥 あしかぎのかは風そよ〳〵〳〵〳〵〳〵につけてもか給へ にあはんと思ふ一余はよもつきじ〳〵。よろづよしなきこ よひのねざけ。つげ共つきずのめどもかはらぬ秋の夜 のさるつき。かげもかたむく入江にかれたつあしもとけよろ 〳〵と。よはりふしたる樹のゆめの。さむるもおしやまつしば しゆめをむすばんこなさへとみだれさがづき手にもち てとある一間に。入にけるすでに其夜も。其夜も。すぐる比下 寺町のかねのこゑ。ねみゝにひゞき目もあはす。むかし証 や身のうへのはなしにつれて酒の給ひ。まして小さんが 一きよくに大じんこしをもぬけがら立もたゝれぬこぬ け鳥枕をさげよあしひやせ。しほちやかてこいきんたいしと。 〽なにをいふやらわけもなくねるよりはやく高いびきさらに しやうねは友よりけりけりけりけりけりけりけりけりけりけり からずやすこしのさゝにきつゐゑひわしひとりで太かいほう もそらかそろしやたそおじやナズハテ夜はまだわかひはづな にうちとの衆はねてそうな。モなん時じやしらぬ色ヤアセこに 程てゐる人有たそコレ金五郎殿ごなさんは何のやくめにきて ばいのきやくのさけにおもらされつゝながつていさんすゆへわしけへわしは るめがいとゝぼい。そうじてたいこといふものはこんな時のさはい しやに爰ゑきてせおかでもさすろふといふきはのふておなし 同一一一一一一 やうにこなさん迄ゑふたふりしててのまいたしなましやんせ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ といゝけれは金五郎めをすり〳〵。〽アと思はれたかはれたかはうた づかいおゑいさます。出薬をあげませんとつか〳〵とよる花をにさん 袖をちやくとひかへ。スフやなんぞきよろ〳〵といふいてもだいじない わしがお薬しんぜてから。たはいもなふねたんしたアレあのいび きはきこへぬかたゞしつんほにならんしたがきこへぬ男とふり 〽ながら。二日あはねばあひとふてきやくにかこつけ身あがりし。 ゑばいゑゐそはかた様の役みいる迄此かほゞげきめもふらずて てゐるはしつてかみてかしらねてよう見にきたといふせり ふ一どもきかずさもとてはきづようむまれつかんしたおとゝ ひもあのきやくがあじろやからよひにこし。近日国へくだるなり はちか心のほるなくば。つかんでゐんでかくのにしてやろふとのか ねとに。いやとはいわれすどうなりと。おひまかせといふたれど方 様になれそめて。ほかゑはゆかじわがひたゞしいかうかやもたいかこよ ひのさかもり大酒とはしりながら。ゑはしてねさして其すきに つもる思ひをかたらんと心にぞまぬしやう〴〵まひみだれ〳〵て あのごとくしやうだいもなき有様もね書かた様にあいたきのあ まり〳〵てせはにいふひんのねすみに恋のうたてやきやくにかは してわが思ふ男にあふはま男より。本をつみふかしさり ながら。そこはゆるして給はれときやくのかたに手をあはせ出 かんでみたり涙くみアレおもはくをいふてみて。わしが心をおち つかしてくだんせぬかとすがりつきしのびになけくあはれさ よ金五郎はつとおどろき小さんが口に袖をあて。なんじやみ ぐるしゐあふたびごとにあろ〳〵と。とぢばかりせはやいておれは くろうをせぬじやゑ。ひるの使さへかしらくさあたまのさらが 三万ほど。わるゝ時にも客衆にめしつれられて夜をあるし あそぶをよいきとおもやるかどうぞねびきのかねのをにとり ふゐたらは身請して。金やがかくにそなへつゝにさんをかへておさん よと。思ふ事のたのしみは家身一つにとゝめたり。いかにたいこをす ればとて二世とちぎりし女ぼうを客にあはしてうろ〳〵と はいつゝぼうてゆびのまた。ひろ。ひろ。いとのみ給へこゝはせつ しやかのみこんだはからずのもの。ほとゝぎすなくもなかれず 〽かけたのくひちかふほどしやべつてのち旦ながそちの手を ひゐくとこのうちなるさみぬ事聞てかんにんにんならばこそしなん 〳〵とめへはひとりしぬるはいねしによ。客にもそちにもちにもちにもそちにもそちに みなし御身ながらもまよふたと跡の月からとくどうし床 入まへに酒のんで。ざしきをかへてきかぬが仏。こよひとても其 心思ひもからみもかなじと。今しばしぞやまたいてねや身 請のだんかうおゐてたも。恋しやそにかたにこなれたら此身は いがゝなるべきと涙をゑりにつたわせり。小さんうれしく。今と いふ今うたがひしむねのくもりがはれたりぬねひきのうは さす時はあちらこちらへへらつかひ内のしゆび迄つくろにん もふいふこともしまひ〳〵ござんせねよとよりそへばいか様しゆび はこよひけり爰かそこかと見る所に。大臣うんと称かへれは二人 おどろきあはてつゝ枕もとにかしこまりいんのこ〳〵〳〵とこゑを そろへてたゝき付。又手をはなにおしあてゝたがいにかほらみ あはせてわな〳〵ふるひゐたりける。小さん其まゝてうしを取 一金。金太郎が口につぎアレひきやう千方何事ぞ。たとへまさかを見 付られいか成うき身にあへばとて。思ひもふけし恋ならずや ぜんごをかまわずござんせと。手をとればふるはなし。此年月 ねずみにさへしらさぬ串をあらはして。互のためになるべきかしゆび なき時はいらぬ物又かさねとたんとすニテそんならばどうなりとし かもとよひはあいたきのなをしましくる物思ひ。折さへよくはかならずと 一金五がみゝに物いわせ。まのおびをつぎあはせはしをふたりがこしに つけ。ひくをあいづにあふへしと。わざとねまをばとをざかりおのが 〽ふしどに入にける。客はねみゝに。きゝすまし扨近きやのちはくたりあいふ ぎをはたら〳〵したづくろい思へばにくし此まゝに。しらぬかほする物 ならばなをふみ付て此うへに何事をか仕出さん身がねをだしてこいつ らによいとさすもつらかくし何とぞこぢをあたなんとしばらくし あんしツよき手立是〳〵と。われとうなづきそしらぬかほ。なを高 龍道 いびきかたてやな人はしらしな恋ゆへにめはさへ帰る床の内にさん はねぼそらいびきそつとおきてはあたりをながめ。月のかげさへいや なるにざしきかやくぢうそぐの。やみになれかし。とうぞけす。ちへはこゝぞ とまばこのむけふりくらべんふりをして。わざと打けしアひよんなこと したわいといへ共心そうれしくて。しばしもふけぬ其内とあいつの かびを引ける時。大臣むかふに五まはりそろりと引ばそつとよろかさん は金五と心得おびをたぐり手を取てさぞまちかねておはすらん うくかしゆびなくて今になり。水は水はたにいそござんせぬ心おちつける きんせといへ共いゝゑのあらばこそ。アくしんきからみくぜつも時による こんな時はいわぬがすい。あのかんつゝがおきてからおんにも物がないに なガコレどうぞいの〳〵のと。おむを引かせうらむ時金五郎めをさまし。様子 を聞くきをまはし扨有いさんがあくしやうにて又こそ外につまもとめ。 しまだしくあふにきはまいたとらゑてぞんぶんとくべしとそろり〳〵と さしあしみよるとみへしが大臣にさんを取ておさへさゝないたづゝ者の いきちくしやう。旦なや我がめをかすめまぶの男を引入て。今亭 などしやうぼね男がいきづら見ておゐて。きつと御礼申さんに。〽に。つく をとぼせとよばわるこゑていしゆ書さはぐ下男手しよくあんどう 手ちやうちん松ともしつれかけ出よく〳〵見れば大臣小さへはつと おどろきとひしたり。にげんとすれどおびのはしにさんもろはつな がれて。あなたこなたへよろ〳〵とすみにかんでゐたりける大臣すこ しもさはかぬはいそれまづ小さんがおやかたよべやどのていしゆくわ しやこめろ皆〳〵。出て様子をさけ。心我はいなかもの。色里かつて ぶあんない。さき立て。小さん身請のさうだん致せしか。今日只今やめ 申。尤つとめの身なれ共一日かへば其日は女房同前也。又金五郎義 は。客をいさめよろづのさばきをさするため。色ものごとらせ 其上にまだ相ろとやう迄せふられば身をわな〳〵といふからす是も 下人とおなじことぞうした身をもちながら某が目をかすめにさんと ふ義を取むすび度〳〵あふたる事共をのこらすきいてかんにんにんにんにんにて すあたまかゝつまさき辺のきざんでもはゝいねどももかるし名もは づかしきやつかのぶとい所存から。あやまちなど青時はせん。ひをくゆ にとかいあらし。そち立とても身に成かはつてみたかよしなれども せんこを見る時はそくしやういやしきうり物と又発行しもてたたる 人つゝのかはゝあつく共ならぬ太このおときけと。さん〳〵にちやうちやくし 見るもはら立罷立それ引出せといゝすてゝおくをさして入にける。 おやかたにさんを引立。アリヤ金五郎御じぶんのおかげにて身論を用んがへ せられしかはり。此女もをゑそ松まへ五売とやり。となたにぞんぶん 山〳〵なれどこよひはいざとゆるてかくあしとのあかい内とつとく いにやれおひたせと。下女下男衆まいてかどめへつき出せと。一ごん かへず詞もなく道理くと涙くみしつかに帰る其ふぜいうたてかり ける次第なり。げに恋草も。霜れて人の心もしあり行。ながれ の里の入ここにたがもえくゐをだき付て。ほひらのけふりむせかへる がくのにさんはひから風呂のつとめをひきかへて。おなじうき身も品 かはる茶やの山衆の中分入ぞやといへるおやかたの。きがねもよしや かの人のためと思へばからみなし。いづれせいなき中なれどのほりつめ たる男には本のつとめもそ〳〵に。田もやろあぜもやりばなし。たる はそれからそれ迄と思ひつめたる恋男かの金五郎におれて もて浮石の立にしたがいて水も。しだいにおちばふく風のおもつれ きくこともましてあふ事なゝ坂也。此手あの手をつゝせ共。かた 下女がきを付てあはぬつゝさをかた給へあまたはうばいへ中にとめ ひさふたりは恋しもの身に覚あるすいとすい客をしもふとおもて の間ひばち手もとにみつかなはみへはなをつきあはし。なんとおはんす おとめたんこよひの客の其中にあの八さまはみやつけ。大かたしれた きうぶんで。おしを女ぼうにもつとから中物こしもと下女男心のまゝ につかはしよとくるたびごとにせいばつてせつきのとめがあをふかの わしはいやでならね共。そこがうき世のつとめじやとめへば取近渡 ぐむ。とめもかなし心いき其八さまは上のあ。わしにのぼつたよゝりは しし七十五しやといのまごひこもつてごくらん。みぢへかたあらむけ ながらくるよりはやほうすりに。ほつとあきはていやなれどくまや御 のいにんすはせつきに帳のきゆるのは。かゝも給ばつかりじや。すいめん まはりやといわんすゆへ。むしをおさへてかんにんをするがつとめとおはん せいやなきやうにもあふゑんにひかれて思ふ男にあふこゝ らはつとめのくでんなりとかく心を取なをしいやな男にもあ わんせとさま〳〵にいためられにさんもすこしわらひがほ。げに是 はさもあらん此比わしにあひにくるきやくは役者てござんす げにしらねばぜひにおもねどしつつてはあはれぬしゆび。ひぞかし。わしは 是ほど立れ共こちの男は。とふ思ふてくれることぞとたをれ出し こへをあけずになげきける。かゝる所へとれ衆どもわたやの かどに立ふさかりがくのにさんはこゝにゐるなんときやくに なるまいか是はよしのといふゑも。あとやさきやに入みだれ おくのざしきに入にける されいでの 一金や金五郎道行 恋ゆへに。身はかげろふのありやなし。情一門をわすれか ね。しばしあはぬもつらけれど過つるしゆびをおもひ やり。家とひかへし心のこま。今は。はなれで行あしの 。何長町の一屋どりきやく屋のうちも。ゆめむすふ。地し も霜月二日の夜ほしにまがへるしら雪のふりつむ道 を高あした。つえからかさをたゞたのめ。我世にちし身 なりせばかゝろうきめはよもあらじ誠に小さんと衆中は。 あのほりつめの二門井戸どちゝを見てもふかけれは水 のさはりとおやかたが。せいてふけ〳〵あはせねど。はじめの ほどは町がたのきやくとつれ立かよびつゝおりにふれ ては。あひしかど。のちはおやかた其手もくはず。今はせん かた涙のありや風のふく夜も雪ふるよはもかふと づきんでかほかくし。あふ夜あはぬ夜そらさゞあなきと よひのしめ。ひをいのらんと。雪津のみやをふしおがみ。千 日笛のはゝのうへかどのしばいはわがすみし。ながれも きよきか茂川の。のしをに身をばまかせつゝやがてか ほみせあるはづとかたらばさぞやよろこばんこら ものにさそはれて池田やまではきたまや。たとへい成 みわゝやにならばそれからそれ迄とひとり思ひを するがやと。さま〴〵心くらせくらや。われもしかき世を さる。ならばあとにのこりし。かの人は。すがたあだなやすみ 〽ぞめの。あまか腰やで身はぬれ衣色がくろけりや大 こゝやじやと人がなたつりやすこしはわゝや。わゝや。わかぬか つゝ井筒やのにかいざしきによねをばつみてみなとや もこぎよせ人恋のさうばの。凡やりにまけかちのない色所 よりましよといふこゑはたゞみゝをこすりてかし。かなし。こゝは ゆるせと立聞し。あやふしみやさつまやのかどをすぎこし みやもつゝ小さんがすみしわたやなるむかいののき に立どまりしぢらく。やうすをうかひける され共しゆびのあらざればわたやのどに立けり。内をのぞ きつかうしに立せんかたなきの涙ごし坂田藤嘉介勘左様は 玉川半太夫其外役者の口まねし。我をしらするひいきあはれなり ける恋ぢ也。かさんはそれとさくよりも心にこたへうれしくてきも たましゐもうか〳〵と客のきげんをうるゞいておてのかうしにはし り心見ればかなしやふる雪の其中によにしもんぼりと立給ふ見 案めもくれ心きべ小ごゑになつてこし申かね給てはおいかいなになん としてござんしたさかへすごとくわしが身はかた処にあふさといふかくしみ にかうしたにとめにかもました二三日あとの事八十郎さまりでき けば。御きしよくあしき御つたへ二アヽなんとしたわずらゐば。おしよくは つねのとをり久おくずりせどのおいしや。ばかへにははりがよい。其せきにひ ゑたらば公儀あしからんにシあがらんとあとやさき身のいたまりも うちにすれ。思ふ思ひをかたるのもとはなぢのさゝめこと金五郎も 浅くみ誠にせつけるひだし。つゝゐ中にもわがことぞわすれもやうで さま〴〵と心にかけて有るはしつくせい成なんぞかし あいたきのよるひるとなく夢うつゝおかけなりとこゑなもときいて たのしむれてと。十日まは此かどをとをらぬよはもなかりしがうき右立 たる中なればすがたをかへてきにけらし。まづはぶじなるかほ見て うれし涙もはてしなき。参がきしるのとすこしもきづかい白さる なよ扨来年の有付せかも川のしをしかへられ。近日よりのかほ見 せなりしらせてそちによろこばせんと思ふ事にせはやいて此さむ いのに我は又げんのゐんだにきたことぞ是まはおんにきや。扨又つと めをそりやくせば。おやかたわつふくつよからんしうとやまいにかつとなし 此二つをかたらんため。やう〳〵是迄来りしぞ又其内と出ければ。小さん はゑりに手をかけて七ウいなんすか今しばしかたりいこともはまつ ぐまつてくたんせと儀をながしとめける時出たへかりましよなかいへか あと秋がよぶこゑみゝつきぬけばせひも涙をたもとかつみのちに ま一とちもぬましやうもふいのふ事あでつとろややうやんな。 さるむくのなきわかれあはれと。いふもおろかなり夜は何時ぞ。八つ のちたけはいざや心なみの。六尺はかりの大男大わきざりのおとし ざし。三人一所に立ならび大道にはぢかつて。金五郎をさしとあ うんのごとく立たりける何心なく金五郎しづにあゆみ行所さきなる 男詞をかけ。そちは金やの金五郎ではないか。そと尋たいことの有。しば らくまてとひぢをはりいかのちしくとめければ。金五郎さはかぬていか にもそうじやがさいふはたぞ。アヽふしんそむしかしかしこゑでも聞しらん ヨリヤ小野山窟のしや。あらためいふはくだなれど。すねん家にさん に恋にてとじたの給銀にばいをうつてつかへ共。ほびかぬといふし さいをきけば。其方とくさりあひ役者中間をせかるよしほかは かくべつ此男はかんにんせずかさねて小さんとあいさつきゝるゝるそれ とてもかなはずば。某今込つかふたかね。みゝをそろへわたさりか。二つ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ に一つの返答をうけだまのらんとつつかち金入なとびしたり何ど かと思ひしに是はきやうけることをきく。小さんはなんぞつとめのもの。御 じぶんのおなぐさみ給ふやうにまいらぬを此金五郎がしつたことがぞ れはこなたのぶてうほうわたくしとてもかねであへばたれにおそれ てやちまのかはのかふ共のゝまい共只今は申されず又つなれた銀 ほしくば小さんがおやかたとあいたいしかへすならばうけとられにしばい のゑがさらぬかしてめつたなことをたくまる。のいてとうしやと行所を 跡にひかへし二人の男金五郎が手を取て。コリ大君きしそつすぐ 伴はつじやが見しつたが小野山にたのまれ諸づめを仕るしかしかし 役者中間といひもと是はつとめの恋きのたゝぬうちにさんと のきはくろにあはしてやれざすればまにいゝぐんなしさもなけれ ばこちとられてき役中官の一ぶんたゝず物そるやうけんするがよし すゝおつといふとくれなんと〳〵とよる所をぬ人共につきはなし尤もい さつくわぶんなれどもはゆるしてくれ。殊にいゝぶんきかいらずどなた が御意でものかぬといふ中始といふゝを立こりや〳〵両人ぐもんでらいあ く事なれば今れ手のむにすることなしあつたゝ中に風ひかすか 一是でものゝまいかと三人一所にするりとぬきつばなのごとくさしつ 一くり。金五も今は有是迄と。同じくぬきあくら打あやうかりけるゑ だい也小さんそそれときくよりもナツ男介はいやらぬよあれ〳〵おそ にけん主が通出あへ〳〵といふ意にやうちの男を所の者ぼうを按て かけ出させぬ〳〵といふひまに金五郎は行がたのいづく共なくあげて げり。其中に其中にうわだとそしらぬかほゝして。何も是は何とぞ家 〳〵は立役者。ふつごりのはしづかい参せ給ふのいゝがぢも。身ぶりに うつわきにのつてちやうしがすこしたかいとて誠のけんくこと思はわかはて ねむたかつた御大義と。へんのもつていゝまはしづかに帰りしをにく まぬものもなかりけりけりよめ〳〵かよふ恋の里。月夜からすのなくゑ も。おのつから只きづらくじんじやうのね聞てかゑればある月のねやは さびしき物思ひ給はれなるな。金五郎せつなき恋に身をかこちあ らしくげしきよもすがら。かよひしゆゑに身をいため今は枕もあが り成す次第〳〵に朝皃の日影まつなのうき命扨もぜひなき ふぜい也。かゝるかへ八十郎ともにもたゆる薬ごり。涙もりめをおしかくし諸 や枕によりそひて今日の御きしよくいかゝぞや是お薬を申給只今 帰り候也心をつよくきもつよく今一度ほんぶくあれば候は候はゝ心を れを何事も。仰付られ候へと世にしみ。申けるむざんなるかな 一金五郎がき枕をやう〳〵あげ人〳〵にかいほうせられ左にくる申 〽なるいきをつき今のは誰か八十郎。こへおじやと手を取て。家こを ひらきうちまもり涙をはら〳〵とながし。今にかぎらぬことながらせに も嬉しき詞ぞや。此ていとは中〳〵にたまるべきともおはれず。もし もむなしくなるならばかまへて力をおとさずと。かはらずしばいをつとめつ 一金五郎がかたはれと人様にいわれなば千都万部のきやうも 是にすきたるくやうもなしとりわきそちが身のうへは此心也ほ見せ より立使者。其きやうけんの思ひ付有が中にもひやうきゆへ今まで かたる夜すがもなしたへて庭本によくつゑとうばい衆といぶん せす町の御衆にかくまれなねばいをなめれば人にゝむつきあひあ またを中に召今行衆にそわやくせば歌のみやうがもおそろくし平 九郎と中よくし一兵にほまれを取わが名もたへず右にのこさば 草のかけにてよろこびのわるをあいつゝまるべしたとへきばへんとや くの薬成は。ちぶくせんとふしやうなりさいごをまつより外なければも 〽はや薬をのむまじと思ひきつたる心いき二人の者はきもみだれ うさ久金五郎殿今しゝ給ふ今迄もお薬をまいらねばなをり なしさのまさりつゝかいほうとても力なし老〳〵のんど給ほれといさ めつはいつさま〳〵になをらましくる涙なり其折ふし太夫本のを をはじめはうばい瀧岡彦右衛門山下又罪万右衛門。ひやうかに見まひ きもをはしめん〳〵枕にちかづきもりひたひをかゝゑみやくをとり。ヤア もはやこれではたゆるまひ心にかゝることあらばさゝおれたる八十郎 扨もじぜひなきうきせやとしのび涙はせきあへずのしを枕に近付 よりコレ金五郎殿見まひにきた薬をのんでやうぢやうじやうしかほ見世から 出るやうにたのみますと有れば金五郎うちうちうなづきヤア太へ様か うれしやな今さら御めにかゝること扨も〳〵めんほくなしわれを人と 〽思召どう取まで仰付られしにふたいを一度ふみもせずむなしく ならん御しや。人にいわねど心にはちじその太夫本なんでもおちれ 来ね給ふたつかみつか大あてしながく座本をさせませんと思ひしこと もあたし夜の露ときへ行かうせんのしてのたびちの役者となるに 何事も〳〵さだまることゝ思召。ゆるさせ給へさりとてはなを此うへに弟の 八十郎をひきまはし何とぞ役者となし給はれにいて瀧岡山下殿あは れ世になきものはをひとへにたのみ奉る。なにも顕見はなけれ共 思ひよるへのなみ程が其しな〳〵をかき置せん。しるべしとて万右衛門れうし すゞりをとりよせてすゞりのかみにするすみも涙にくれてこきかす き筆のあゆみぞあはれなり。一筆かいてともすれば小さんがことを たのまんと。給へとまづはきやうざいゑぶたいゐしやう七ながれ二人の ものにかくる也。なき諸迄も身にそひて。わが命日をわするまし守 一袋のくわんぜをんのふをきへまいらす也。かづらかみしも君食ふたいかたる ふたながれ瀧曲山下おふたもへかたみといふにあらねえ。わたくしの心ざ しせめてゑかうをなし給へとびさやりんずもみ二ひきさる客衆よりたま 公もをきやのこす思ひ草前にせれておもびあふおんのあだに てほうじんの念仏申てくれしかしとねんごろにつたへてたへて。たへて。 いふこゑも只かは〳〵と成にけるたれかはかくとしらせけんにさんは内 をしのび出かみしどけなくふりみだきかちやはたりのたせいき つきあへすかけ来り金五郎にいたき付[ケ]うれしやといふもな くより承有なかりけりけり。アヽ有て申様みなの御めんなされわ しはすやのにさんとて金五郎様とは人ならぬ中にもふかいいいかせつそだ らばともとちかひてし中をはなれて只ひとり諸にのこされ うり〳〵と月日ばかりをかぞよふかたとへぬしこそかくされふとふたりがし 中はしれたこと。おとゝご立がきこへませぬなぜ此ごとくないさきに。しら して立だんせぬいかに病なき身なき身なればとてそれはあんまりどう よく哉只今わしがおそにて金五郎はしんだげなげながはいことじやといふ をきわるにあられぬわが心ずとめする身が此ごとくとりみだし たるなかふりもせ有てま一とあいたさの其一念やいうじけん互に かほゝ見あれてうれしくもまたかなしやなふかいといふた名計 にてあいけることも玉ぼこのはかどらぎりしやもふときゝかなしい 時の神たき。いせいわしみづがのやかたがのやしろ扨は又かうつ いくひ天王寺はだしまいりのぐわんこめて。つまの命をせけて扨わたしが ねんのあく比迄いかせてたべと身にかへていのるしるしもないことか是 小さんじやに物いふてくだんせぬかと取付ばはやいきたへてなりける 人々わつとすがりむなしきからにいだき付念をおしまづなきた もふ女さん戌のしたよりも皆様はうらやましいまだぶし見ましましま す時しみ〳〵としたいとま乞はかされましたときくよりもなをし 思ひはますかゞみ。うつるすがたを見るやうに思ひし事も今はたゞあだ しうき世となりしぞや扨いとほしやわれゆゑに人にはうき名をたて られてあふ言の給ふもあらばかそましてさいごにいとまごひなくて フ はなれし身のゐんぐわいかなる人がぬとなりいかなるものが。男 になり給はりたる世の中や跡にとゞまりかた時もながらへはてんやう もなし。此世はしばしかりのやどみらゐは一ツはちすにて。ちぎかんも をまち給へとすでにじがいと見へけるを皆〳〵さはぎおしとゞめげまは ことわりやさりながら只今じがいあればとてふたゞひゆる物でなし 殊におやた只分の金銀出しかへ置ねんきもいまだあかぬ内もし あやまちの書時はたゝつてくるはしれた事然言さきだつ金五郎 よみぢのさはり是一つきん所のさうどう世のそしりがれ是思へば ためならず。ぜひ〳〵思ひつめ給はゞおやかた手前ちちあけて すがたをもかへなき人のぼたいをとはゞんばかりくさのかげにてよろ 〽こばんひらす〳〵ととゞめられおしからざりし身なれ共。のちのなん ぎをきく時はしねもしなれずおがらへてべんしも跡にいゝれふ かゝる方ながらわがまゝに。ならぬかき世と身をかこちせきあげ〳〵 〽なげさしはことはりせめてあはれなりやう〳〵心をとりなをしとゞ まりがたきをとゞまるも是またつまのためながらもはやうき世は 立られすちぎりくはせぬしるしぞとたけなるかみをふつつと切アシ金 五郎殿わが形見せめてみゝいもともしらが身にそひ給へ匂ひ あみだ。なひあみだ仏といふこゑもきやうきのことくみへにける さらば〳〵の涙落霜月七日の朝嵐きへし金やがよき命 あほれなりける物語。今につたへてかたりける 右此本者依為懇望文句音節等 悉校合加秘密令開版者也 5661 豊竹若太夫直伝 大坂上久宝寺町三丁目北側 正戸屋九左衛門は肥後 □□□□□□□□