梅枝集
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- 梅迺家筆丸等編
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- 場所: 大阪府
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- 梅迺家筆丸等編
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- 日本語
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- 扇屋利助
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- 東北大学
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狂歌梅枝集上
『荒井恭姫郎副会ヲ
以テ隣人セル印博士
狛野亭吉氏藤蔵蔵
あしか敷る難波の里了名たゝ尚故梅の
家の翁の御歳にあらはしゝを梅の本
某といひのちのを後集といふこえはや
舟の早くより世にひろこりて五百くま
八百隈にかくはし末理けるを柊の木の
つむてさかゆくいまの梅の家の草丸ぬしの
詞の国意いろふかくさるからに東にとひ
よる人々おほかりけりその哥ともを菅の
根のねもころにこひあつめていとまかしく
団たから舞をえらひ出つゝ月に日に積り
御礼婆二巻となして名を狂顕梅枝
集といふに難むちりひちの数にもあらぬ
犬の礼にはしかきしてよとこはれけるに
伊那美野のいるともいむかたくその
梅かえの花の香をとめ来て那く鴬の
初声にはあらてとゝのはぬかたことなからに
おもふよしをいさゝかかいつくる了な舞
時は天保七年といふとしの正月とをかの日
難波のあしのみしかき毫とりて
三浦茂樹
長兵衛
故
梅廼家
岸ね行水や梅廼家
春へを
しるならん
今を成れりの
梅をうつして
降積る雪の
梅廼家
窓よりかを
雲丸
出して
ひらきかけ
たる
梅の初花
狂歌梅枝集
街道梅
梅迺家
諸大人家
合撰
嶌の宿をなせとも咲梅は香をのみとむる旅人の裡無盡亦
いそくともしはしはみつの外にまた梅行火燈す稲荷街道
仙道舎
仙遊舎
橘ナ呂
ゆひさしはさせぬ駅路の論音梅風や匂ひを宿送りしつ鬼
雪解の水かさ厭ふ吾妻路も真袖に梅のかはとすれかし水車
松山
乗かけの合羽に梅の雪ふりて不二をならへし吾妻街道
呼月菴
秋蘿
出女賀引はいとへと梅か香に払ひかねたる旅人の袖
鎌くらの街道行は咲掛に関もあかるき星月夜せり
一穴亭
蟻壊
平野
焦尾菴
唐琴
万歳の行うふ袖に香をつゝみ梅も笑へる大和かい道
数寄迺屋
叶丸
浦辺柳
霞も一々くまとるさまや青柳のすめをうつす住の江罷浦
餞別をいつちへやらむ吹風に結ひの浦の青柳の原
吹風の手にを葉そよき青柳の腰折もなき和哥のうらの辺
朝日さす二見の浦のいと柳風によれるはしめ縄の如
釣をするさまに糸たる青柳はかみの真似をや住吉のうち
敷島の和歌の浦辺に青柳のこし折もなき枝そ長点
梅さくらしはしさかひの浦けしき詠をつなく青柳の糸
花月亭
雪丸
卸言基康
泰義の家
辺田丸
万代竹
継羽亭
宮丸
大宿亭
主丸
神風舎
伊勢丸
大船をつなくさまともみつき浦ゆつたりたるゝ青柳の髪
弁慶の祈りの珠数や玉柳風にもみやす太物のうら伊勢丸
直りともなれる柳を網の浦風にたわめる枝の糸すし
谷間亭
山彦
富士の山うつれる田子の浦辺とてみねの煙りと美より柳は宮丸
腰に名を呼るそおかしたれ柳海老の髭とも見るいせの浦住友丸
春風にし弓とたよみつ柳のやしまの浦に吹流すえた梅迺家
はきものゝあしにかゝりし青柳はひきすろさうにみつの酒の辺山彦
軒毎のちとりによれる音柳のすたれかけたる須磨の浦の辺辺田丸
采女にはあらぬ形見の浦の辺に庭のきぬのかゝる青柳澄丸
春風によれるはまさにたく縄やけむる柳はいさりとの外継古防
商人二日冬
腰のみかちりけあたりかかかなめそと二日冬をさすか扇子也万代竹
継矢亭
二日堂けふすへ広やあとにまた小山もめつる図あふき屋弓守
病にはかんもあろかと両替や五りん艾天すゆる二日灸伊勢丸
結ひたる
しめ縄
とりし
跡に
また
文字を
づくりて
帰る
雁がね
奈良惣
継矢亭弓守
ぬくなれは身か持にくい肴屋かとつくり火をは通す二日灸
百薬の長寿をせんと二日灸酒やは身にしも火を入るなり
日延なしいよ〳〵けふの二日灸富の札屋も肌ぬきをして
旅宿亭
客丸
魚釣亭
池丸
一物庵
猫丸
二日冬みつからおろす菓子昆布やふしをすゑつゝ山をこそ見れ
宝宿亭
拾丸
二日久は色よく付て其跡をはかれし時のうれし紅瓦は
大小のふつか灸をさうし夫こしの廻りにすうる刀也伊勢丸
しるしをはつろし炭やの二日灸すゑたる跡て見るは山なり
一二日灸さてよいあとのつき米やかたからすゑてまはるから銅
梅枝軒
咲丸
心見に売人もすゑた二日灸あつさに身をはもみぬき夫や
継寿亭
宅丸
脊すしからおろして置て肴屋かかたへかたみにすかる二日灸
養生にさすか花屋の二日灸されとちりけはいとふてそすら梅廼家
移投をひねり艾の店手代行承にすつる二日冬のあと山彦
帰雁
たく風呂の供養の湯屋にあつからて都の花を見捨いぬ雁澄丸
雪道のしをりもいらぬ頃にしなそさほとなりつゝいそく雁金友丸
ねにはまたかへらぬ花の雪国へせんを越給といそき行雁伊勢丸
つらなるもこしを目当に帯の如昼夜あかたす帰る雁かね主丸
まぬ雁は印の棹となりて見ゆ爰らか今は花の雪園宮丸
西行とさまはかへねと弓矢をものかれてそいぬ北面紅雁猫丸
咲花を見捨るなとゝそしられてもし〳〵としつ帰る雁金友丸
一湿繁倉のしやかえし空木に頭をは北へむけても帰る鳫金伊勢丸
越の山こえ行峯の雪解して辷り。古郷へ帰るかりかね
湖内庵
日和丸
マツ山
秋はまたまいらせ候のかしてもとまして帰る雁の玉つさ
呼月庵
秋蘿
一勧進帳夫かあらぬ歟文字に似てあたかもせきつ帰る雁かね万代卅
大小のつはて並てつかのまに越路へさしてかへる雁かね山彦
咲かゝる桜の啼も見ぬ雁のうしや古郷の子ノかたいぬ主丸
西行忌勤する頃に帰るらん雲井を辞し候北面被鳫
雲を端の袖も通すや雁かねの竿にも見えて帰る雁金
水向亭
北丸
盛り見す花はまたねにかへらねととこよへいそき帰る雁重
東山
緒をたちし琴柱と見え門はら〳〵とみたれて帰る天津金池丸
実盛の越路をさして去ぬ雁の春の錦をはれ着に坐しつ咲丸
とめはやとひきし霞のきぬ〳〵の袖なり切て帰る雁金雪丸
古郷へいそける雁はみよしの々千本の花の雪を見すてゝ咲門
寺院花
咲く花を折らん心の鬼をさへひしきに出し元興寺の児
楽山人
花鳥
風の手はふりあけねともゆかせかし高雄の寺の西行さくらに
真白なる花の盛りに暮かねて入打さへも遅き山寺土丸
釣鐘のなき山寺に花見して心長閑きはるの夕くれ澄丸
魚深き車かへしのさかりなる花に昔をおもふ志賀る伊勢丸
ヒラフ
実同堂
けふ幾日花の星よりにうかされて僧のとかさるのりの輪の寺
入打の鐘はつけとも花を見てうこかぬ寺に門をさすまて為丸
指を切る掟はあれと花にふく風の手さきなにと須磨寺田雅の座例
くらへこし吉野初瀬の肩越して在原寺に咲く児楼伊勢丸
盛ぬる小町桜を愛ぬれとはてを急におもふ関寺宅丸
筑前
かなへより
きて見る花の
きて見る花の
真盛にはなれ
六成間にはなれ
かたなき
仁和寺の庭
楽山人花鳥
入る事決してゆるさし花の枝手折るは酒のとりの尾の寺唐琴
汐干
親船の見えぬにまかし諸人か汐干は沖に遠くあすひぬ
〇
賑湊館
三津麿
源氏後はのちにやかゝん蛤をとれる汐干はみをつくしまて澄丸
礼の如皆うつむいて汐干潟波風たゝや三日の海つら主九
貝ひよふ汐干のけふはつくねかみ唄てふわけに蜑もともとりあけ
武蔵野もかくやと三日の海原ははてしも知れぬ汐の逃水伊勢丸
うつむいて皆人真似やしほ干潟かき出したるさるほうの貝主丸
欲海の深みに遊ふ汐干狩にこけても砂とつかむはまくり猫丸
うか〳〵と歩行て元の道さへもわすれ貝のみ取汐干かた友丸
三日の海やすらふ海士よいうに見ん霞のあひくしほの干潟を池丸
住の江の岸に寄波ひる三日蛤となる人のかよひ洛花鳥
諸人か海を歩行ける汐干には蛤売もはたしとそなる仝
仙人も嘸まよふらん汐干かたはきの白きを見する少女子網丸
硯とる土佐も汐干はかくやらんこの住の江の景色うつさは辺田丸
面白やつひうか〳〵と一里二里さんりもぬらし行汐干潟土丸
東雲舎
三手はらしにけふは世間も三日の海皆子供等にしほをふましぬ日出丸
秋の夜は月をも愛し住め江にいまはた汐のひるもをよしき基康
山吹
美しうそたてあけたる款冬を折れはきのへるやうな闇寺土丸
黄かね色に咲く山吹の歌詠て陸奥紙にかくもむへなる
かしましく言はぬ色なる款冬は妹に似てりまた妹に似ぬはな唐琴
漁村網丸
日の本にいつれの
神や植初て
みよりを
嫌ふ花の
山吹
英国
山吹の花はたはれし宗貞かきもを薬種の色に咲けり
山吹のみのりをからぬ花なから仏の肌のいろに似てさく辺田丸
何事も言はぬ色なるすなほさのきをあらはし山吹の花秋蘿
黄金にも酒にも菊にも色の似たり人をもてなす山吹の花日出丸
口なしの色に愛てや雪雲のあらそひもなき山吹の花主丸
一枝は土産にとおりし山吹のしんはをとめのかさしとそなる
あらたへの衣とや言はん款冬の色にきわつく庭の袖垣伊勢丸
見る度ににくからましき千金のいろに似たりと笑ふ歎声北丸
黄金色に咲出しより茶にも名をかせはそかほる宇治の山吹池丸
心あるみのことはりに荒武者の我をも折たる山吹の花橘丸
遊里卯花
色里に咲くうの花の雪をめて腰の事をたわむうかれ女辺田丸
南枝亭
紅閨の上ねの肌へと争ひぬきぬ〳〵とむるうの花の雪笑三九
賢は挙色を学ひの窓のもとうの花の雪見るほたる茶屋澄丸
うかれ女の手はたの外に月夜かとお客をたます庭のうの花主丸
また宵と客とめなから見に出口あけまとはして白世ら卯品仝
二千里の外のお客も垣根なるうの花月夜愛る丸山三津麿
通ひつめうちはやみなるうかれ客里はあかるき卯の花月夜縋古防
つき出しのふり袖垣の卯の花は色もしらはのよし原の廓山彦
夜桜の緑より又よし原にしらむうの老なか〳〵の町咲丸
短夜酒宴
引受けり三ツ四ツふたつ呑うちに烏啼出す短夜の酒曲山人
明告る鶏は空音と思はれん酒のせきをもひらく短夜澄丸
五百生手なきゆかわやひき受て月の足まて短夜の酒三津麿
樽よりもはや明かゝる短夜や盃はまたなかはまはして主丸
老となる月の盃かさねつゝ夜もふけるなり夏の酒もり宮丸
いさ樽も明安き夜は昼のかけもあしたへ持こしとなる芦洲
扨も夜の短き事上三味線や笛竹まてもふける酒の座辺田丸
酔とれの空寐もならぬ短夜や早くも鶏となる酒のせき伊勢丸
春秋の其間をさす短夜や徳利もはやくあけし酒盛咲門
夏の夜のひや〳〵もよし柳かけしはし立寄くみかはす酒猶丸
蜑か子も手業休みて都女のかつきかひとり見る汐干潟梅の家
夢かとも暮ゆく春をまくらとしさく山吹も粟飯の色蝙蝠軒
武家蚊遣火
蚊遣香たかす家老は若殿にかふたからして功を立けり芦洲
鳴声の文武二道のものゝふか家の表にたつる蚊遣由曲山人
軍用の母衣といふ蚊帳いらぬ程戸さゝぬ上にはくゆる武士伊勢丸
琴の音にか上へる松をくゆらせて蚊の陣ひよす軍学の家
夕暮は樒の煙りのたち風にふんふといへる蚊も逃て出る
諫言の耳にたつ蚊の良薬といふすや武士のにかりてし顔伊勢左
君か代になひく草木をくゆらせてかの政道も行とゝく武士
合図なすのろしの如く立煙りあれそ火術の家のふすへ火
くゆらする蚊遣の煙り眼に入てなかぬに泪こほすものゝふ
暮毎に来ては驚く蚊遣火にこやさす敵とおもふ武士
涛〻舎
五十浪
早梅亭
冬梅
いふし立る武士の手並にかなはしと蚊もおく手をは出して逃けり不言斉等
鵜川
縄を引鵜飼の船は烏より月の蛙をにくみやはせん花鳥
薬ある月をいとふて三毒のやみ好むてふ鵜遣ひの業
春浪亭
氷花
南都
若草園
後の世は闇に迷はんためしかも見る月影をかくつうかひ男若草国広
此猟にかさみは得ねといさわ川やみほと腕にみいる鵜遣ひ咲丸
鵜の咽をしめし手縄はますら男か身をつなくてふ玉の緒やこれ五十浪
羅科のかゝるもしらてうか鵜川響も益かとてらすかゝり火歳丸
山吹の生し川辺に取急もみにはなせしとはかす鵜飼男梅廼家
羅紙の深き川瀬の働きは底きみわるき鵜遣のわさ伊勢丸
鳥は魚人は煙草を呑すしてしまつの名にし鵜かひ男の薬
英斎
かゝり火の
かけに寄添ふ
鵜遣ひは
煙りの
しろの魚や
得るらん
賑湊舘三津麿
夜をいねす闇にせかるゝ鵜飼男はいとゝ枕のほしき明かた
不老園
数々丸
かゝり火の松に曇らぬ月の夜はたゝ鴉の羽根の闇をまもれる
後の世の果報は知らし因縁の十二の縄をさはく乾遣ひ橘繁躬
禁中涼納
昼の間にあつしと君のりん言の汗もかわきし風のすゝしさ中唐琴
百敷や御はしのもとの橋に風かをり来る袖そすゝしき
一竿亭
湖槌
梅壺の前に深みて北面は雪や封し風とおもはん
平野」
吹風のわきて涼しき雲の上のかの論言の汗もをさまる
芙蓉館
峯彦
夏の日の風にそよけるさゝ竹の大宮人もすゝめ色時伊勢九
萩の戸に吹来る風の涼しくてあきやかよふとおもふ宮姫
南都
御后の部家にそふける爰の夜は雲井にかよふすゝ風の音山彦
お店は心よからん度の夜の通路の外にかよふすく風継古坊
夕風に薬玉の香を衛士迄かいのち延るとおもふ涼しさ橘磨呂
奴土用干
奴らさやりつけにした着ものをは虫干をするかひの青髭楽翁
長半と打てかはつて土用ほしかんはんぬきつかける折助歳丸
鑓よりも衣しやう持なる奴らさふりかけ〳〵土用干する
軽業のやうに細引ひつはりてわたり奉公の奴か虫ほし土丸
はんかいもさつはりからのためしかやはらを土用に干奴らさ梅丸
着物にも風をふくめる土用牛凧に姿を呼奴らさ澄丸
立秋
すさましく立猶風におとろきて舌をまきたる軒の風鈴五十浪
吹風に
木の葉一まい
南都
若草園
芝廣
落ぬるは
月見て老と
両る秋の口
英斎し
目に見えぬものどはいへと眼に入てなみたこほるゝ秋のはつ風
平野
唐琴
さやかにも目には見えねと吹風の手のなる方に秋は立けり伊勢丸
檀尻やみこし太皷のいきりまてさまして通るけふの石つ風主丸
神さまのちやうさいほうもあきか束てこれから仏ちとなふらはや伊勢丸
淋しきにしみ入らせしと書に入る銀杏の一葉おとす初風並
平野
馬追
かしましといひにし夏をとり於て淋しき秋にけふなりひさこ継古坊
きのふ迄燈しと祭り丁ちんもけふ秋風に吹かへしほす宅丸
平野
秋立て風や木の間をもりの名の雫ほとにそ身にしみにけり梅丸
社頭踊
雨乞のためし有よし神泉苑に小町をとりのふりもよろしき澄丸
狗犬はとまれあちらやこちらそとみにそ出雲の宮の踊り子梅廼家
群集する人丸の宮の大踊りほの〳〵と夜はあけ後る迄峯彦
加茂の宮夜たゝ太皷も鳴神やわる身をとりて臍をかゝへつ拾丸
秋もまたよるか胆なる花笠をひら野る宮に着てをとる妹河丸
夜もしんと更てき船の御社にねたくはぞみてはつむ踊子山産
夏の縁切子燈篭や橋姫の宮居にあきか来たと踊まつ伊勢丸
まゝ年の田を見めくりの稲荷とて足に身を入れ踊る秋の夜咲丸
高賤の宮の太鼓も音すなり暁かけていさや踊らん一等
樂山人
夏の夜のすゝ風につひ宮人も夢はかりなる手枕もしつ雑状
花鳥
面白く音頭とりゐに踊り子かお百官ほとも延る廣前万代丸
気ふよりは立秋風にけおされて暑さの腰も折し涼しさ梅廼家
将棊さす祭りはきのふこたりの葉をいちまへおろす秋は来にけり一文舎
薄
吹風に薄の波のさわきては露に宿れる月もくたきつ五十俵
生茂るそんの野守の鏡には次女うつせる鷹の羽すゝき歳麿
火口にはまたならねとも秋の日のうつりて赤き薄紅葉く曲山人
招けとも秋の落日の足はやく袖を払ふてゆく薄はら
玉と呼露をはらふて無よく界ほつすと立し野辺の穂薄梅の家
呼たつる赤にも枯野ゝ夕早くれなつかしけにそまねく穏薄氷花
末通女子か綿柄野辺に秋風の吹出てよれるいと薄かも辺田丸
みのを着し案山子を招くほこときはますほのわけを語かなるへし馬追
継風亭
もの淋し秋の野くらせのいと薄心も細き道をたとりつ緑川内
青柳
名所鹿
脊の日生も石とやならんさほ鹿の夜すから啼る小夜の中山馬追
龍田なる紅葉の錦ふみ分てなかたえのする鹿の諸声冬枝。
武蔵野の鹿の鳴音をしたひつく追ふ狩人も山は見さりき唐琴
三輪の山に杉むらなて鳴鹿の胸はおもひの外にいたまん五十浪
かひろうの声も表や船岡にこかれこかるゝしかの妻乞綾麿
龍田山夜半に起行妻乞の鹿もりん気の角沙汰はなし一等
梓弓いるさの山に啼鹿の赤にはあたりの耳にこそたて唐琴
壁となる茄の入口の鹿の音は秋の哀のう八塗かそも宮丸
哥かたの哀や声もかすか野に妻を下しけの鹿そ鳴なり日出丸
しからみをわけ行鹿の脊の星も草にかくるら武蔵野の原芳守
寝耳には夢かうつゝ乳鹿の音のかやして聞せ衣手の山伊勢丸
かひろふと鳴てこかるゝ蜑人小ふね初瀬の山に妻乞の鹿宮丸
夜や寒し声もあはれに鳴鹿は夢野に今朝の霞のふること猶丸
草の名のしのふもあはれ小男鹿の妻をしたふて恋やせ千里稲生左
妻の沙汰きかぬ高野の山奥にたもつかひ上となるに男鹿梅の家
池辺月
恋る月に老となりしか見るうちに浪のしはす皃の他水
浦島の以あの池照月今宵明ぬうちこそ楽のしかるらめ泉流
山鳥にならひの池や夜もすからめをもあはつにみつる月乳綾麿
宿らすて空に見るのみかつまたの池には月の水さへもなし花鳥
諺の銭より月は月たけのひよりを見せて照る阿弥陀徳梅の家
さゝ波か月にもしわをよせにけり紙子の名ある八ツしろの池継古坊
蓮池のにこりもいまてすむ月はなにかはなしに玉をあさむく助山人
文科の雛形と見ん蓮池の葉毎の露にうつる月かけ土丸
なかむれは実にも鏡のもち月やとり粉の池に姿うつして楽道丸
関路霧
霧深み空寐の鶏とうたかひぬ明る夜くらき逢坂のせき花島
旅人も秋のあしたに行なやむ霧立こめてむやかしのせき梅の家
鳥羽をむす湯気給ふたちのほるきりのひまより見ゆ文字の園綾摩
鶏の間似るすとも明はせきの戸やまた夜深きとおもふ朝霧梅の家
旅人の越るもかたしはゝかりの買にまかさやたつる朝房日出丸
源氏より秋のなこりにたつ霧の糸をとゝめけるす摩のせき守橘麿
擣衣
さひしさはあれる鼠にひきかへて猫をつなきし横槌の音一等
小夜店破らぬ妹も真夜中につまをかさねて打槌の音
無尺舎
綾内子
のりかきてかへしませうと打様子うち盤まてかをとる秋の夜曲山人
大黒にひとしく槌をふりあけて衣にもまたきんをうち出す純古坊
うちつかれ更行月を友として槌もかたふく秋の夜きぬた
弓守改
泉流
秋の夜の着なうへゝふくりんをかけ合に打撲つちの音曲山人
淋しさはあらひに交し念仏よりのりの沙汰して打る夜砧宮丸
夜の衣かへして打は思ひ寝のよその夢をやさます槌の音大天狗
淋しさを隣近所へ配りけり打る者も茶の小紋とて曲山人
くまなくも打手のひらの豆にさへみのいる秋の月の夜砧伊勢丸
音聞はいとゝ夜の目もさゆるなり賤や菊染の名うつらん一等
英冊文章
一ツヽ
平野
岩井
から衣うつゝに英棟
ものをおもへとや
寝くるしさほと
ひとく夜きぬた
夢をさへむすはてつまをおもふ身も
夜るの衣はかへしてそうつ
呉寮軒
綾摩
秋寒みはたか暮しの蜑か家もころもきぬとて打北の音稲生丸
喚る月を詠る外に連もなし心細くもなる槌の音初瀬丸
月落て行燈にひきゝ燈心もひき入やうに聞ゆ夜砧は稲生丸
囉らひ乳の其手に代る小夜きぬたたのむ言葉のつや打をして氷花
田家菊
古株から生出しまゝの菊の花村長迄かたてゝなかむる厚丸
牛を率はた微窓に七夕のほしかとそ見る白菊の花一等
篭工亭
糸つむく仕事のやうに手入して在処の庭に咲たくた菊
初瀬丸
脇差の金目貫菊ちよつこりとさいたはさすか庄屋とのゝ庭栗人
出来秋の済し片手に手作りの菊にまたるや実を入にけり冬枝
布を織いとま〳〵に手いれしてくた菊めつる百姓の妻曲山人
百性の庭に作れは朝夕にいたゝく星と見ゆる白菊一等
布機を織賤か家にいと見事真しろに咲て見ゆるくた菊梅の家
油粕こやし自由な高持の庭の白菊ほしかとそ見る氷花
こえをする其ひま〳〵に百姓か作りし菊もほしかとそ見ゆ土丸
出来秋を祝ふて菊の手作りは命を延る小山田の菴冬枝
豊年の貢の雪にまかふてふうきしら菊の咲る田の庵青柳
里に生ふ菊香りの外とてはよ事をきかぬ小田のひとつ家東山
名に高き月はかりかはなれか背にほしと見えぬる武蔵野鹿
湊賑館
三津麿
継和舎
応路にはあらぬきぬ〳〵打音のこれも君のまさる暁継末
友丸
縄を張わつらひもなし夜もすりか月の蛙のすむ池の面梅の家
小倉山時雨にぬれし紅葉見の衣ほせとやさを鹿の啼大天狗
山家初冬
茶に託し宇治の山家に釜の名のあられたはしる冬の口きり井洲
茸狩の窓はいなせと深山家はかさの沙汰する初時雨雲空
狩人の鼻も冬木やかまへとて巨燵へたらんめ玉しこみぬる主丸
冬の来ししるしを三輪の山家とてすそに氷のはりかゝるなり山彦
唇なき山家にけふは冬来ぬとふれまはるまりあの初時雨綾摩呂
岡炉裏にて焚しわら火に来し冬の空みき初をしのく山住山彦
きいふけふ冬くるまやはこまるらんかけ樋の水を留る木らの葉継古坊
一獣もの住深山の奥も四ツ足の巨燵取出す冬は来にけり一等
東山のみかは西の山住もふとんきて寝る冬はきにけり友丸
狼と気のかはりたる冬の来て杣か門まて霧やおくらん綾ナ呂
一寒けさに木の葉衣をかさねつゝ冬そ来にける山の下庵
佳松館
琴
山蔭の庵はわきてけふよりは寒さに戸さす冬の入口神
神の家
街
彦
坂時雨
長光のふるみふらすみしくれ空こほれかゝりし小豆坂にて氷花
またも降空に眼のつく譬り坂時雨の雲の横走りして綾摩呂
名に寄り油断しくれのまはりきつあて戻りしてふる東坂宮丸
旅人も時雨の雨に逢坂やしるも知らぬも走り行らん琴彦
また降てきそのみ坂や日に幾度しくるゝ雲のそれてかけはし橘ナ呂
観音の誓ひならねと矢より早く鈴鹿の坂へきたむら時雨厚丸
狐よりまたもたまそとしくれ空まつ毛ぬらして行いなり坂主九
名に書てかうもあらふる蟹か坂時雨の雲の横へそれゆく公
笠ならていかきかついてきた時両品玉坂にはやかはる空二ッ道丸
晴るかと思へは降て手の裏をかへす時雨や足からの坂峯彦
恋と見えすくにふり来る時両空雨とひよりの行合の坂継古坊
幾度の空は干和の玉坂にしくれのたの足はきれさる大天狗
落葉
文車のふみもなきまて来らの葉の落てちりつむ冬かつれ〳〵大天狗
歯ぬきやも及はし風の手拍子に落す梢のきは虫喰ひは一等
嘉陵館
久々来れは浮世を捨し隠れ居も木の葉のちりは遁れさりける有之
吹散らす風に落葉の山となり人や麓の道もわかたす山彦
錦よと愛し楓の落葉してあやもわかたぬ山の細道宮丸
染られし時雨まなふ歟風につれ紅葉の落葉山めくりせり中ノ唐琴
雲と見し
春浪亭
氷花
桜の葉さへ
ちりはてゝ
うたかひも
大かき
文々の
淋
いろ〳〵の
落葉の
つもる庭
松か枝
もせに
松か枝はか
ばかり
松とこそ見れ
楽山人花鳥
十二日越
風の笛にあはせてひら〳〵と空に木の葉の舞て見せけり綾摩呂
問ふ人のなき山里は落葉して菴の口もとつるはかりそ五十浪
木々の葉のちりか積りて山々のこしのあたりをつくむなりけり琴彦
鴬のこもる谷間も冬枯てうめとはかりに落葉ふりしく伊勢丸
風呂敷の更残なとも落葉してつゝみにけりな山の下庵主丸
十夜
海仏のちかひをこめの袋より十夜参りにつめかけし堂梅の家
風あらく吹と中々十夜なる御法の花のちらさはりけり花鳥
一八本の足より九州浄土宗の寺も十夜に参るゆて蛸伊勢丸
十夜とて風よりもあれるのは風の子といふ童なる
十夜とてたれも御通夜をしやう名のしらはたえせぬ南無阿弥陀仏歳十呂
川辺千鳥
長明の加茂の川瀬に小夜交て宿りさためす千鳥鳴なり伊勢丸
香炉の名にし千鳥は白浪のよる〳〵ことに音をたつた川泉流
啼つれて川辺に千鳥友呼へは幾夜寝かへりする渡し守主丸
夜や空く霜ふる川の浮草やねもかれ〳〵に千鳥啼なり伊勢丸
行船の跡やさきなる友に鳥しは〳〵啼る宇治の川面臍の家
こもく山有堀川の友千鳥あちらこちらにちり〳〵と啼友丸
稲船の其友千鳥たゝよへる浪にあちこち鳴く最上川大天狗
むれつゝも鳴くや琥珀の玉川をちり〳〵すふと千鳥飛行有之
月の船さし行淀の川千鳥鳴てそ渡る雪の夜深に琴彦
瀬をはやみ妻呼ふ千鳥ことふきて岩に石うつ谷川の水干の唐琴
橋上雪
足跡をいとふゆへから村のつかうとたえの橋に積るしら雪琴彦
しらみしとふれる雁の鳴渡る三ツ四ツ橋の雪の曙伊勢丸
またも降かけるはなそのしらはしに積りし雪のけふも解さる稲生丸
谷間なる梢をつたふかけ橋に積りし雪も夫ららとそ見ん山井
足島をいとふ雪とて人はとも百足わたるな瀬田の長はし氷花
長崎の同かねはしにそ積りにし雪はさなりら本玉の葵友丸
心なく人の路をは見るにさへひや〳〵とする雪の板はし一等
豊年のしるしと爰に愛ぬらん台人はしの雪に見いりて氷花
米市の堂嶋はしは猶さらにふむをはいとふ雪水曙主丸
とく起て見れは深雪の降積りさりせとしれぬ夢の浮はし厚丸
黒き名火取てほり江の雪の朝白銀はしと言ふへかりけり継古坊
渡りをは留たき橋の雪けしき御用の外の車のみかは梅の家
静浪亭
降ならに真白き雪の難波はじ下駄め片見のあし跡もなき南海亭海
春海
足跡のつくをいとへは積雪にとたものはしも渡りかねけり五十混
湖辺寒芦
更ぬらん瀬田の長はし音たきてあしの枯葉に渡る夜嵐秋蘿
風の風にふすゐの床の浦きはのみみみするとねのかれあし伊勢丸
夢をしも見る目たになく寒風にふしたる芦のおきつ嶋山有之
朝妻や浪の皷に合す手もかれて音なすあしの葉の葉の笛芦洲
秋に似ぬ月出か崎にさら波の枕をしつゝねたる枯芦花鳥
雪にふし夜の水にとちられてたつあしもなきわしの水嶋マツ基康
神樂
打浪の皷につれて吹笛の音も住よしの里行夜かくら主丸
夜神楽の更行比はてふり子の鼻のさきまてあかほしと見ゆ氷花
岩戸明しうすめの鼻は高からん幾よろつ世も絶ぬ夜神楽仝
をみ衣着つるをとめか真白けの袖ふりはへる雪の夜久ら
かなてぬるをとめか袖もしめる夜は庭火によりてほし調ふ声水花
八処女も立舞ふ神の庭神楽袖ふりかゝる雪の心ゆふ三津十呂
寒風の身にしむ霜の夜神楽やひやり〳〵と聞ゆ笛の音梅の家
神さひしきの夜神楽音そへて松のしらへやさからしの笛大天狗
笛の音にたちまふをみの袖ふれはあな面白し霞の夜神楽有之
冬旅
マツ山
呼月菴
船よする矢はしの秋蘿
渡り風あらみ
ほをかたむけし
岸の枯芦
手さきまて賑湊館
こゝへて筆を三津麻呂
とらされは
ふる雪
よりや白き
旅日記
三津广呂
住の江
雪あられ
ふる郷おもふ
道丸
冬のたひ
はたもこほりの
飯を背おひつ
素吉
わらんすのひもわつかりゝる又かり旅こうり飯さへおしつめてけり大天狗
南都
出女のとゝむる袖もふる雪もはらひかねたる旅の寒けさ
芝広
身ふるひのする程腹につめたきはこかり飯喰ふ冬の旅人伊勢丸一
七歩にはあらぬしはすの旅もまたいそきて足に豆の沙汰しつ
最明寺の昔もかくと白妙や坊主合羽く雪ふりの旅稲生
長旅に心せかるゝ冬の日のおあし短ふなつたそさし
一諸駕の外にも冬は風迄か木々をはゆする志賀の山越三津摩呂
ちら〳〵とふる郷おもふ長旅や日数もともにつもるしら雪北丸
降雪か積りて蓑は白鷺の一あしぬきに歩行む旅人秋蘿
一野馬台のしら雪の目はかこかりてくものたすけをうく冬の旅主丸
一路割も負ふ水のうさつゝき解てくれたる旅宿の下女橋广呂
穴けさにかゝみしとしの深山路をゆきくらしてそ迷ふ旅人有之
森寒風
つめらるゝよりいたく身にこたへけりまゝしはゝその森の空風主丸
指をかむはゝその森や曽参る胸よりも猶さはく寒風芦棚
吹まゝに身にそしみそりいましめの杖かはゝその森の寒風氷花
虫の音もたへて寒けき冬の夜に風の未らするあはれその森伊勢丸
按摩笛ひうと吹とも風の手にもまれて寒きかた岡の森仝
生田なる森にいてぬる水鳥や梢も弓とたわむ寒風邪〽曙雀
葛の葉もかれて狐の色と成りそつとしの田の森の寒風英樵
さま〳〵のそしきの森の木々の葉をはきとる風や雪の白波金田广呂
餅搗
神風舎
伊勢丸
蒸籠の
湯気は
さなから
紋火台
からを
つてして
笑ふ餅
餅つき
去員甚
つき立し餅もおはらやひつくてひとつむしろにさこ寝さまり伊勢九
近処から心見の来る餅搗は春の隣のつき合にしつ泉流
いそかしくつく片手にはとりあへて気を配りたる心見のもち英揉
神国の嘉儀めてたく家毎にきれとうすめをいかふ餅つき稲生丸
これもまた神へさゝくる鏡をはとらすもきねか世話し餅つき三津摩呂
新参のやかて春にそなるこ舞をとりかゝつてつきたつる餅伊勢丸
頓てくる春を隣の餅つきや青も梅子もよひ年の暮
聖賢の代の代の治りをとり粉かやむしろかまとにこひる餅つき稲生丸
歳暮
いとけなき春をは頓て産出さんひさける松の妹脊よりして三津广呂
廻りつる月日のくるまおしつめて年の峠をこすはかりなり
年波のまはる流れの早瀬とて残る日数もけふあすか川徴
千金の春は隣の宝ても数へるひまのなき大安日継古坊
身の油常に絞りし光りにや心のうちはあかき年の後辺田九
冬越る年の坂路に住ものは雪水兎と鹿にそありける馬追
飛鳥川あすから春にかはる瀬とおもへはけふ其年の渕なる北丸
文机の孔雀の羽根の玉の春手にとるやうにおもふ年の尾猶九
風の手にはらん〳〵と枯あしの音をそ聞なる琵琶の海面
佳松館
琴彦
世話しさに宿を立出てなかむれはいつこり七五三をはるの拵へ
呉寮軒
綾ナ呂
案内をやしくれのいとの手引にて冬もこそくれ山の下菴梅之
ひえおろしおつる堅田の浦風にかりのこされし芦の枯ふす曲山人
赤空とおもふ仙家の雪よりもくれ給ひに散る楓葉の雨無冬亭
5151
一狂歌梅枝集下
名立恋
継古坊
月廼屋合撰
梅之家
仇し名をなかりし恋のみなもとはつひ落したる袖の洞歟箱成
煩悩の犬よりあしや早からんさきへ憂名のはしるくるしき花の
あたし名のなかれそめしは夫の日比なみたの雨の水やましけん有之
諺の人の口にはとやかくと立られてうき恋すてふ名を曲出人
いかなれは恋のはつ瀬に名の立て人の口〳〵多くなるらん
ふみにさへさまとのみなり取遣りに君と我名を唯かちらし書里同
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恋路にそ迷へると名を立石や右も左りも我をうしへつ花鳥
取沙汰は早も高沙のあた波やあた名身に立応の濡きぬ玉川舎
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なかるゝををしめとあたな名取川せきとめて出し世の人の口有之
筆のさやたいてまちにし煙より空に夏名の立そくるしき琴彦
類はらぬをむなしき名のみ立田川なみたの時雨顔をてうしつ高色
日々菴
思ふ事叶はて人の口の歯にかゝるやうしとほそるこひやみ
其月
ワカ山
忍洛をしられし事のふし付て今は憂名をうたはれにけり
三界菴
行也
十九ト
風月堂
逢見しはきのふけふにて月日より早くも立ぬ但し名そうき風
我思ひ常香盤とるゝゆれはか立消のせぬ恋の仇し名
童らかつひ聞付て諺の耳有壁にかくなて宜しき梅の家
恋ぬれと人目もしかき宿り木やねも見ぬ君にうき名立とは其月
逢ふ夜半の閨の枕を払ひにし芸に添ひてや憂名立けん五十浪
取入て夫とさためん錦木をたてられて名ふともに立ぬる三保比古
不逢恋
アハチ
鶏の音もなとかおもはん逢事のなきを恨てあかす夜なかさ
思ひわひせつなき胸の息杖や逢はてそまたる恋の重荷は宮丸
紀州田辺
夢にたに見まほしそれと侘しさに夜すから同さへあはぬこの頃王時天慈
土彦
それからはふらり病となり瓢逢瀬のつるもたえはてにけり峰彦
邯鄲の夢にも逢はてあはめしをかしくとゝろし文は見たれと氷花
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こかるれと其はらからやはゝ木々の隔てに君の手をもとられす
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なかたき事をかたみになけきぬる泪は天の川となりけん大弁堂秀
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ワカ山
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燈し火の初る思ひの胸くるし見る影哉なき恋病の床梅の家
うたかたの逢め思ひのやるせなく泪に水をへらすのみなり伊勢丸
我思ひ結ほれにけり片糸の気ぬつらさをとくよしもかな琴彦
増恋
いたつらに送る月日の鼠より落如恨の増はよりなり我田
秋田
実則
逢そめていや増こひのやまとたけ我もあつまと呼てしたひぬ花鳥
あひ見さるさきかましらと思ひきやひとりこの身に苦労増とは伊勢丸
一日々に随ふるおもひのみち〳〵て置所なき身々そなりぬる恣能
移いゝ香の伽羅も身に思む恋しさに百そう信の思ひにそたくワカネルに
洞川なみたの雨に水かさやまさる思ひを汲てしれかし
逢見ての嬉しなみたや渕なすかなをしも深く夜思ひ川大天狗
雨の如しほる袂はさら〳〵に猶もやまさる我思ひかな三保北古
逢見ての後そ思ひをます鏡君より外に心うつさし無物
老人恋
いたゝける雪より深くおもひ詫らう婆もこひの道に迷ひぬ大天狗
老の坂のほり詰ては枝折なき恋の山路にふみ迷ふら筋音好
あしきなき世に恋すてふ老の身のはなしの声のもれてもの夢菊成
堪やらぬ恋の山路や老はたく君を杖ともつきまとひけり
年に恥出しおくれたる付文も袂てしはに成し老の身曲山人
老の身の仏たのむを打わすれ恋に結ふの神たゝきしし
しらせしと思ひ入歯や老の身のもれて悔しき夜半のむつみ
出候珍よりももみ手て老は口説とも耳にもかけぬ妹のつれなさ
髪に其を入つ婆さまの身たしなみ今宵しつほりぬれに行とて
やるせなき思ひに延る言の葉もしはにせられし老そくるしき
嫁の杖つきまとへとも受かはす年寄こひにたのむかひなき
平ノ
播磨呂
老の身のゑをしる原実成とか黒髪附に白髪かくしつ稲生丸
心こそおなし昔にかはらねと人のつらさに老をしるかなタテへ直彦
恋といふ重荷はしめて老か身は四十にとかくまとふくるしさ伊勢丸
打つけに言ふも遠慮や老の身の腰折なからいふそくるしき突則
わすられぬおもひに老か取すより秋ともたのむ仲たち行人庶巻
思ひをはかけて口説と老の身の目かね違ふて聞ぬうき人梅の家
寄月応
あて人の月の眉見んよしもかな夜半の泪の雨のをやみに玉川舎
落かゝる月の影たに有ものを君か心のなとかたむかぬ基鹿
うかれ出て鳴る雁に時ならぬわかれは月にかとちこそすれ音好
あこかれつうはの空なる月とゝも一夜〳〵に恋やせる身は氷花
しけりたる契りたえにし恋子は月の鼠やはみ尽しけん琴彦
こは〳〵につめりし朝は三日月のきつふてらさぬ首尾そ嬉しき友左
あまと口明て待夜は君なして枕にかまふ月のかつら男岸女
照る月を見てや心をなくさはん曇りかちなる恋のやみ路を
我おもふ君をしたひて月の夜にかよふ心そ闇路なりけりけりおなし
闇となる心を妹はくまなくて夜さら我をはてらす月かけ
其後は顔見る首尾もなか空や身は浮雲に隔門月かは
ワカル
晩はかりつき夜の君に恨をは声からすほと鳴て告はや
立よれはまたてらされて月影のひるも替らぬ挨拶そうき
かはらさる月の心に曇りなく放れぬ人の影もたのもし
雲かたと契り初にく頃よりそ隠るゝ妹か月の黛み有之
雲雨と契り初にて頃よりそ隠るゝ妹か月の黛み
一なかめつく心は空の浮雲におもひそのこるあり明の月
影法師
阿波
大魚堂
言はみ
高包
しのふ胸の
思ひのあふれては
泪となりて
され出るかな
包むとは
すれと思ひの
みたれ髪
耳にかゝれる
堀江
憂名はつかし岸女
吉島市
アハ
こかれぬる君か面さし三日月の輪ほと心のまはるものかは
長広府
沖魚
きめ〳〵の別れをかこつ月のみか心も残る有明のそら梅の
梅の家
おなしく
うたかひの雲みなおうしそ真心のあかきを見せてあふ月の夜半おなしく
夜もすよう口説と返事なり空の月の月のみ落て君かたむかね
君ゆゑに心もくもる朧月只気になるは色のみにして友丸
もへそとは人目につきやかこちつゝあふ夜にうれし露ふむら雲有之
はつよしとそむよし顔は三日月のちらと出しまゝ入る妹そうきおなしく
我思ひ君か心はしら雲の果なきうはの空たののめなる沖魚
寄星恋
ありそとは空にしうるゝよしもかな星のはやしの繁き思ひを
二星の契り羨む我そうきいつを置瀬と定めなけれは道革
我思ひ夜半の蛍のほしならん言はれともえてこかる胸の火
珠の屋
光丸
破軍ての主にあらねとくり返し〳〵見る君か玉つて
十一九
七夕の恋しき君にあを空と目配りをして袖をひと彦道丸
またせ置て今宵も終にこぬか星何ともよめぬ君に空言大天狗
北極の星祈つるかひもなく心うこかぬ妹そうらめし
恨にし事も互に明のほし。ひるとなるまて語りおふせつ
結縄園
紀代史
紀州田辺
七夕の一度もあはて我袖をおもはぬかたにうしやひかるゝ橘麿
ナルト
たまさかにめてりあひしは小車のうしひく星やわをまもるらし恣毘
あふ夜半ゝつゝむ泪もほし月夜中に飛たつ思ひ嬉しき
作州
雲樹園
花盛
思ひ侘星のまさこの数々のうらみは君に尽せさらまし
呉竹
節成
ワカ山
送りたるその文月のとゝきてや今宵は君と手と手と手てひ過ほし梁時菴
妹人
忍ふ夜は星にも心おかれけり人の数とし有ときくから
星と違ひ君落されは我こそはこかれ死して石となりなん
君こふる心のやみに星ならて石と成たる癡のかたまり
恋渡る身は彦星のおもひして年に一夜の逢染ともかな
かはらしと石よりかたき約束は落にし星の契りうれしき伊勢
寄風恋
雪の屋
葛ならて君か心に秋風のたてはや早くうらかへりぬる
曙
逢事はいつか〳〵になひきよる風のたよりをまつそ嬉しき大
誓ひてし言の葉のみは散らすなよ。心のあきの風はふくとも貞
杉の屋
葛の葉のうらみよとてや夏人の心にあきの風吹すらし本柯
直樹
心なき草木におとる。妹か気や我恋風になひきかねるは記代史
まつ夜半にいとゝ身にしむ恋風のせめて枕の塵払へかし
作州
花盛
吹は敷やうになりしも暑ゆゑにやつれし今は骨とかは風北丸
したへとも君は心のあさあらしたちのみ恋にふけるつらさよ曲山人
鐘の音を吹こす風のなかりせは今朝の別れに君はかへさし五十浪
契りおく言葉の花やうつろはんあらき心の風な起しそ
逢見ての後は心もなきぬへしけふ立初し恋のはつ風恣眺
君こぬとしらせもつゝきこち風やふけるに及と泪落ける主丸
仮初に敷居の油せぬ扉脊子まつ夜半の風そうらめし
往道
速記
君をまつ身は浜松のねいらぬをなとゆり起す波風に音
竹裏亭
節高
かくまてもしたへとうはの空吹て風の便りをせぬ君そうき梅の家
音つれは身にしむ斗秋風のせめて枕の藝はらへかし曙
アハチ
ならへたる
枕の山に
結縄園
記代史
咲花を
散らすは
つらき
暁の風
アハチ
秋風を
たか吹しけん光丸
珠廼屋
君ははや
きのふに
かはる
けふの言の葉
壱万物
恋侘て心も空に吹風のふりたにも見ぬ妹そつれなき影法師
寄雪恋
恋したふ君か心のむら雲は泪の両の下地なるらん宮丸
うたかひの雲や覆らん今文に月のさはりと言し空こと
明告る熟諸共に啼別れ目もあかねさす横雲のそら北丸
うたかひの雲をなかけそ君と我かかひなたなく契る恋中氷花
空言のよそにたなひく心とはいさしら雲の契りなるかもマツル基康
返さしと留る思ひを引留て山にもひくか横雲の袖
けふも貌みつまさ雲やつれなさに我は泪の雨もよひしつ大天狗
行東の見えぬ契や浮雲の憂にたえなんぶもひなりけり基康
寐つ起つこかるゝ煙雲となりいつあを空に胸のはるへき
逢と見し夢覚果て浮雲の消て跡なき君かおも願記代史
心なしと恨むる余所に濡雲の消えて跡なき契り悲しも貞固
言寄れと君か心のむら雲や泪の雨をもやうさすうき泉流
むら雲とみたるゝ髪もいとふらんまくらとなりてしたふ恋人真人
ふらのぬきまする君をまつ浦川石よりかたき約束をしつ音好
うき恋に胸の浮雲はれぬ身はいく夜思ひの山めくりしつ瞬女
口説かれて返事を何といわしく紅ひさしく妹かゑはせ一等
別れ洛の雲うらめしやと朝君はしめてそかへす帯しの横雲綾唐
首尾あらまほし見ぬ茎の日和雲たゝ青くとしかる恋草土丸
寄雨恋
別れ洛のやかしきは君と我こほす泪の雨の糸やつなきし
松坂
石よりも
記義住
かたき契りの
君はこそ
人しれに泣
さより
中山
中たえて
鳥の跡たに
通はねは
恋の山路に
入すこしけん
涛〻舎五十浪
吉兵衛村
桑
逢夜半の泪の雨に恋草御いよゝ根深くなりにそらしな南秀
さたまらぬ人の心のむら時多ふられて潜るゝ我袂とかな一等
思ひ寝にこほす泪のきた時雨枕の山に降らぬ夜はなし
仇州
はつよしと顔におほひし袖笠もいつか泪の雨しのくらん
待詫て泪の雨のやまされは目ふち計ははれあかりけり
松坂
他州
人の目をしめふ泪のたふりて猶もえまさるむねの恋草
逢夜半の嬉し泪の雨ふるは思ひの渕と成るはしめうも
袖の雨いうにしのかん壁にかく我仇し名に傘はさせとも
恨たに言はて日をふる長雨にいつか思ひをはらすひまなき
しはしとてひかゆる袖や降るたの止事を得ぬ今朝の別れ臨
ふる雨はしのけとぬるゝ袖をしも忍ふなみたのからかさもかな
玉江舎
宮主
呑込し酒の両やそゝきけん心の中にしけるこひ草
雨の降如送りたる弁ちりてまた袖ぬらすはしと成けり直樹
待くらず君はさなくて更る夜に聞もうなだき両行足音道草
限ある五月の空は晴ぬれと泪の雨はおやむ間もなし一等
マツ山
恋ふ人の心ははれぬ雲立て泪の雨を袖にふらせつ節成
君と我ひさしふりなる雨の夜にかたみに肌をしめる嬉しさ休人
初恋に気もはる雨やぬるゝにもたゝおとなしいふり袖娘友丸
顔もみす日よ〳〵増る恋の渕なみたの雨のふりつゝきては綾麿
我裡のなみたの雨はいかにせん五月の空もかきり有のに継古坊
五月五のいつしかふれる人の耳譬に妹背の傘の仇し名連記
晴やらぬ思ひにくちる袖のみか心もくさる五月五行空梅の家
降雨の音に添寝のかたがひも互に心もれぬ恋中三保北古
けふまてもかたちし袖の時雨にや逢瀬の顔の紅葉しにけん記代史
寄山恋
登るゝ介の末むすひしは入初る応の山洛のしをり成らん五十浪
かはひこと言へはかはひと答へけり互にのほるこひり山彦一等
積りぬる枕の塵の山となりて常に思ひの雲そかゝれるおなしく
我恋はつ岡山のかた思ひ日とにやつれて飢人のさま花鳥
杖もなくのほりし恋の山道はなにも手につく事そなかりき節成
応の山深くも尋ね入にけり妹か言葉の花にまとひて其月
独寐の枕の塵の積りてはいつしか恋の山となりにき綾麿
我胸のひむろの山や氷よりとけぬ思ひにかたまりし癩友丸
不二よりも妹かみは高からん一夜もとけぬはたの白雪光丸
君よりは下らぬ返事はかりにてのほりつめたる恋の山みち直樹
約束の文も今宵は反古となし枕の山にあての違ひつ真人
みふよりは思ひそめぬる仇人に迷ひ入らん恋の山くち南秀
仲立の人を杖ともたのむかな重荷になやむ恋の山みち一等
口説とも君か聞得て耳なしのやまひとなりし我身くるしも道草
取挙の思案にかくとゆき詰りほつゑを突し恋の山道真人
海士にふねこかれても猶はつ瀬山ひと口をたにいはてやみぬる道草
泣はらず眼さへかすみてへるつるは恋しき妹か眉の遠山其月
富士のねのならぬところか口説かれてつひ一夜さにお来た恋中綾麿
心なき山もこたまはあるものをとへと答ぬ妹そつれなき光麿
物言ひてし逢瀬の首尾はよしの山ひらき初ぬる恋のはつ花
何とせんかた岡山に飢し如やつれはてたる恋病行床梅の家
恋しやと見やる高根の雪なるかつもる思ひのとけぬくやしさ無物
隔りて積る思ひはふしの山君にあふへきぬけ穴もうな一等
侭ならぬ中をへたての川よりも憂名なかるゝ妹た背山影法師
こかれつゝ過る氷室の山〳〵を口ひらきしてこねし下紐橋麿
○
仮家
月廼屋
したへとも君のちきりの薄煙り立てふ事のうき名くるしや
高野山三金はとまれ恋す身は別れにつらき暁のかね縄古坊
若山玉川舎
蝙蝠軒合撰
寄橋恋
梅之家
つれなさに我身をくいのやちたひや終にかけまし橋はしらかも有雪
見初たる顔よ花にはいろ〳〵と思ひ蜘手にわたる八ツはし
跡かたも今はなからの橋はしら立し夏名の朽ぬくやしさ
柳下亭
曙雀
長白亭
幸老
応わたる心も細きまろ木橋ふるひなからもふみそめにけし葉
いつしかにわりなきおもひかけ初てよな〳〵つもる十露盤のはし
クマ、
三保比口
約束のしかと出来ねは丸木はしくれ〳〵として通はれもせす飛角
紀州
橋の名なからへもせて今更になかたえんとは思ひかけきや
不老園
若樹
あふと見し夢の浮はし中絶てわたりもはてぬ夜半のものもひ光丸
せきあへぬいのちの水に樽かけてせめて思ひをわたせうき妹玉橋安
あたなりと思ひなからの橋なれやされと跡なき憂名くるしき
大天狗
アハ
緑雲亭
ふみ見るは君子情のはしににてたみ人伝にわたらんとする
ふみも見ぬ恋しき君にあふ〳〵とまつ斗なる天のはし立歳麿
功至国
かけ橋の普請と見よんやるふみにたくみのかんな遣ふに茎光
今宵あふ約束かたき岩国水かけ去違ひそ十寄盤の橋おなしく
其のちはとたえの橋のたえ〳〵てふみも通はぬ中そくるしき唐琴
待わひてせつなき胸は板橋や水落いたくせまき夜中友丸
在京
一夜渡るそのかね言も岩はしのたえぬ契まをかけて祈らん
一応渡る袖もや朽ん橋はしらなみたなかうも〳〵
二莱まてもかけぬる魚の山しろに中をな行そ宇治の橋姫橘亭
袖たにも泪に折つ我思ひたえてなかうの橋の便りも曙雀
浅からやおもひを君に神かけて。恋やわたるとさゝやきのはし無物
はし杭のゆるかや中も中〳〵に風に気をもむ君か通ひ路輝明
夏人にあはゝものをもいは国の時を救ふる十露盤のはし
五葉亭
松人
クマノ
恋渡る身をは思はす八つはしの蜘手に心もつるゝそゝしき三保北口
ワカ山
我恋はかたい契りといは精や中たえてうきふみも通はす山音
来ぬ君をまつ修薬の橋の辺におそはれやせん恋水通ひ路道丸
ふ又見るもこめ〳〵なから吾妹子か恋のかけはし渡り初ぬう
紀州
秋人
○田辺
玉鱗舎
玉鱗舎
ふみ付て口説とかたき石橋は落るまてもと恋そ渡りぬ
店近
かつらきの神にちかひて夜な〳〵はかけて通はん夢の浮まし
栗蔭亭
家父
松坂
しのひつゝ逢夜わたしは丸橋や思ひのたけをふみてくらへん
秀也
相生の
松の横窪の
ワカ山
不老園
若樹
うぢやまし
誰かゆるしてか
枕させける
佳松園
誘ふとも
何かゆくへき
琴彦
浮草のうきたる
君か根さししらねは
七月四日
忍ひ路の足はふるへと通ひ来て君にやくそくかけはしめれ
かけかへるさゝやきはしのふしんさは君に心のたくみあるる
音信をまつ間なからの橋折てふみかよふへき左よりたになき道草
寄川恋
いさ問ん我袖につくすみた川君か心のありやなしやと綾舎
洞川思ひの渕にしつむ身のうきをは君も飯わけよかし記代史
逢ふ夜半に嬉し泪のこほれしか浮名を流す川となりけん音好
恋わたる思ひは深き大井川首たけほれたあの嶋田髷稲生丸
枕には積れる芸やあくた川捨る心を我はしら浪曙雀
思ひ侘まつ茂はいとゝ長栖川人はしらせる事ならてうき泉流
紀州田辺
我恋は流れて早き川水の瀬まくら左にもつれなかりけり
早起
生田川いくたひ袖をしほりけんふたりきほと妹を乞ふ身は曙
こく舟の綱手もかもな天の川ほしあへぬ袖のよる瀬なけれは
笛の屋
ふみもせて淀の川瀬にうき人をくるまおそしと妹か廻り気アハ松人
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飛鳥川せと呼君のつれなきに袖はなみたの渕となりぬる
我心砕る斗瀧川のはやくなかれしうき名くるしも琴彦
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南紀
涼玉園
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恋そめて逢なはうはんすみた川誠情のありやなしや
両袖につゝむ泪はみつせつせつせつせつせか心招
妹と背の中たちとなるふみをかく硯に汲もよしのてふつ
きをくみし胸の筏も流さはや涙の川のみかさますとき道草
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寄里恋
こかれつゝ終にその身もやせの里いたゝき重き悪病の床飛角
一然ことならはよしやうつらとなりならんしたふ心は深草の里
我思ひよとまてけふもくれ竹のひとり伏見の里のさひしさ
浅室津
約束の日もくれ仏に君は来伝ひとり伏見の里にこかれつ
君おもふ物のけふりはたえやうてくらうする也炭電の里おなしく
久うたの月の桂の里はあれと恋路の闇に迷ふ身そうき綾麿
露とのみむすふたうひのむかけ艸朝日の里にとけし下紐曙雀
南紀
涼玉園
逢ふ事のなくてもつれし縄暖簾日間より君をみよし野里
速秋
アハチ
うき思ひしのふゆ里のしのふにもち〳〵にみたるゝ応病の床高樹
花と見し妹はよし野の里なれや雪とおもへとふみも出ざれす
きぬ〳〵に衣の里はかへしぬる君を二度寝の夢に見にけり
妹かよるいとかの里の小車の廻りあく。夜の未たのめなる花守
きぬ〳〵の袂に露そおききさる君か情の源仲の里一輝明
ふりしきる涙の雨も凌くかに宿らまほしき笠縫の里道草
寄草恋
口説ともぬらくら言ふて存ぬるはや君か心のみつ草にして宮丸
うかりける人の心は野辺の草なひくと見れは秋風そふく和長尾
あた人の言の葉草のしけりつゝ思ふ中をも隔てけるかな貞図
去年の春生ひそめなから恋草はしける思ひに冬枯もせす有雪
かくはかり我恋叫はしけれとも露の情をうける夜暮なきおなしく
夏虫にまさりて身をもこかせるは我恋子の根の飼しかも音好
返事せていつまて艸や思ひ屏のかへになりともあふよしもな大天狗
一目に増してふれる涙のはる雨に身のうき子はいや生にける
若草のもゆる思ひはしけりけり春の心つのるこの夕に記代史
一すちに気をよりかけし釣しのふしけき心を君はもとかす三保比口
あはて帰る道野辺艸におく露は我袖もりしうきなみたかも紀軽人
蒲団にも染し模様の唐に岡の如くからみてぬるようれしな沖魚
つゝむとも色にや出ん思ひ草なみたの露の袖にあまれは
恋戻て起もやらぬは秋草の風にしをれし姿なるらん高樹
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妹と我こめし心の恋草を人はな焼そ胸をもやして曙雀
未かけて契る気はこきくれなゐの花の姿に肌をふれつも飛角
うき人にあふ夜はいねのかり枕あきとはさらに思はさりけり
結ほれていつかとけなん我心人はしらさる森の友草琴
たひかさねすねし心も直るなり逢るようきのあさからぬ中泉流
吾妹子は我に愛相もつき草の日に咲替る秋の色かなワウホ秋人
紀州田辺
露ほとの情をうけてこの頃は人目も恥すのひし恋竹伊左近
恋の路に迷ひ初にし媒と姿は思ひの草のしけりあふなりおなしく
島津舎
いろ〳〵と我には空をつき草やうつりやすきは君か心根鳥津香
朝顔の筆をゆふ庭に染おきてつとよりおくる露の玉つさ
花咲ぬあたし小草も秋はなほ露もつ色のこひしかりける
生ひ出し雨まつ夜半の草ならて顔あらはせる閨の燈し火
君にあふ夢みちのくや草の名のしのふにあまるけさの嬉しさ
言ひよれと君か心は鬼あざめいたく手さしはならてかなしも
寄木恋
花びさく妹か門辺のさる柳は甚心ひく糸にそありける有雪
紀州田辺
言着る顔の紅葉は恋しのふ袖の時たに染りたりけん早起
〃太地浦
むら時雨誘ふて見てもいろかへぬ君は岩根の松にや有てん長尾
口説あれてあうらむ顔の懸を突色に落へき初なるらん五十浪
枝ためる石より重き親の目もぬけて連理と契る応中飛角
連理とも覧じて気をはもみの木の枝うら枝へつたふ仇し名伊勢丸
今木
千代かけて妹春の髪深みとりきよひにまつは相生の中
逢はてのみ年月経ぬる楠の石とやならん癰のくるしさ五十浪
埋れ木と身はなりやとも君思ふ心の折る事はあらしな春彦
歳とせか恋ふれと終にあふ事のかたし山核つらくもあるかな撫之家
かはらしと松に髪をこめなからことにかよへる君はうらめし琴彦
うき君のすめと三保の松か枝の計もてとめんきぬ〳〵の袖高積
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すれ逢へとものも言さる妹乞て胸のひのきのもゆるくるしさ伊勢丸
上その花とならんもうしの時参り名は桜木にちりてゆるとも苫主
恋したふ君さまさねはから腰のまつ夜泪の雨やふるらん早起
大自在祈りて逢し其後は梅を好める身とはなりにき音好
とつかさるさきを手折て姫桃の口に紅はす恋の玉章
幾千世もかはらぬ色と岩代やかたき契りを結ひまつの木稲生女
アハチ
アハチ
長禄の
真人
長胎の
空や霞の
袖日記に
文字を
つらねて
帰る丁金
かしましふ
さいつる雀蛤と
なりなは口をふたき
もやせん
大宿亭主丸
はしこれ
三保の浦けふれる松に宿りしは不二よりおろす鷹にや有り
頼政の謝留し後は一ツ窓のたてる山辺に鳴転子たり
立田なる神のみまへの足跡も紅葉にまかふ夕つけの鳥”信成
むらかりて雪と見まかふ白鷺にぬくらの松の枝もたわみつ
名に負る琵琶には似すて三味駿の神や琴程ににほの雁金
鶯の老天の哥は過し春の情を述る心なるるせ
文字をかくむかしは知らす朝夕のゑには心をうつす小鳥伊勢丸
足跡に文字造りつゝ時つけてまた人の目を明る庭鳥継古坊
承飛をさへつる隠かりにてふ竹を友とて蒼羽たゝく泉流
奥深く住めとうき世の山鳥の色をかさりて長さしたり尾稲生丸
取々雀のあはれな声を聞く塵のなし成らん陰数かけの鳩
妹か名をまつとし聞は色かへす十かへりもまた贈る玉つて
捨られてたれかはこれをさとるへき恋に朽なん瀬々の埋木竹村
君と我中はすれあふ檜原としらみに燃るおのか胸の炎琴
たよりをはまつのふた葉と別れぬる君にちかひの千代もかはゞし梅之家
埋木のあらはれてうき我魚は朽ぬおもひを隠す間そなき
しはしくはたえて淋しき桜木のまた来る春に逢そ楽のしき
恋に気をもみのき癪の巻りてはつひには胸も板となりにき
千代まても色はかへしと契るらし松に結ひし君か玉つさけハ烏衣紋
しのふれといつか浮名の立田山紅葉の錦恋はまち〳〵
なけきこるうき身と恥て急の山深くも迷ふ心とはられ
こかれつゝ磯辺の松のまちわひていもねもいらぬ夜半の手枕ツ
鳥
きぬくの中ひきさきし恨をもしら地にかへす今朝の初鶏十倍成
きぬ〳〵の別れ計かく迄もしらけさせぬるくたかけのこゑ友丸
大比叡の山の雁は一休のしの字のまそのとけしりかそしも峯彦
きぬ〳〵の別れをつくるならひこそやもめ雁のはしめたりけめ楠成
石橋をたゝいて渡る鳥のなとあやふむ道の逢瀬をしへし
御神楽の星もうたへやからかみのひと間隔つる鴬のこゑ信成
白雲の波間を渡る房金のつらなるさまや天の線はし光丸
若の浦にしほみちくれはぬらさしと尻やからそし鶴の老毛衣
散るすのうきを見しとて咲ぬ間につれなく雁や老を捨行
霧の海月のみふねに梓さして雲井を渡る夜半の雁鐘或
朝な〳〵海士の小舟にあらなくに雲のなみ間を渡る諸鳥連記
落葉せぬ常盤の牡に小鳥の朝な〳〵はちりて飛が
きぬ〳〵の恨はとまれ孝行をまもる為はにくまれもせす幸老
自ら春の気色と長き尾の霞も左つや遠き山鳥
いにしへの野守の鏡ときて見よ雲井はるかに飛火野の鷹竹林
百まても契る心は目出たしと宿の雀はをとり忘れぬ猶丸
蒔たてし畑はあらせと鶏のおのか身まへのときを作れる
マツ山
山柿
一種
種子の乳房尋る嬉しさにかうとなくなる咽の小からす秋蘿
魚
年ふれと老かくすてふ人魚こそ浪の花をしかさすなるらめ花鳥
ゆつられし坊や売けん足多く持ていも喰ふ蛸の法師は
渕に遊時はかりかは売時もとんた直水する淀川の鯉花守
柳藻にましらふ顔はさなからにをみなに武士のたはむるゝ両柏成
在松山
大海老の内れるこしの海の面に髭題目とはねあかるらん
道行
紀州
泰の代に習ひて医師も産婦にはゆるす太夫の松の魚かな
するとりのとめられし日は鯛の名の桜にふかぬあらしなりけり
毒のある鮫のよりしも急におひて海の月にや薬もとめんおなしく
東風に波の花咲く海の雨はさくらの色ある鯛もちるらん
あみ打の取て褒美をこひの魚一疋を金水百疋にしつおなしく
大橋にちかひやまして淀鯉は水車にものらむ勢ひ花鳥
波に咲花や敷らん大鯨つくてふ絆のかね水ひゝきに泉流
白波の中をしのきて取れけり市に一ふりかける太刀魚初瀬丸
棹さへもたわむ鳴戸の鯛を得つこれこそけふの夷子なるがめ金田妻
価には羽根をはやしら初鰹きものを質に飛してもかふ幸老
酒
紀州田辺
盃に糸ひく酒の印もの呑めはやくたをまきかくるらん七彦
あられ酒冬は四つ人の世話しさに奈良の大路を丁姓たはしる五十浪
昼を左りに受て呑はにや顔はさくら水色となるさけ琴彦
憂時の玉帯其ふ酒なれははゝまて人にすゝめてしかな一種
鏡にもさかきの替る杉橋は三輪といふ名のしるしなるらん
酒の名も宗市によりてかはりけり護摩酢ともいひ市に茶ともいふ平ノ稲生丸
声弱も将来はさすのあひするのひとつなるのといふて呑酒主丸
ひさくにも升の沙汰ある酒なれとむすふに量なかきものたした初癩丸
男山三国山とも明酒はすまひ燈の如是もとるか船緋古坊一
呑込て跡へはようぬ気の絶き実にちからある男山かな秋人
つけはみち呑は干うたと汲酒を受て愛ぬる玉の童秋蘿
小田巻の名は残つゝ三輪の酒汲たひ毎にいてや引らん
こも巻つ縄の帯して諸国の小袖の中に交しはるは酒猶左
花紅木ふこそゑなかかめて呑ほせは口かしましうなるひさこ酒宮丸
酔ふして時しらめてふ人もありその名も高き富士見酒には花鳥
マツ山
一邯鄲のまくらならても酔臥て酒にうき世を忘らたのしさ
鬼ころし酒はちからを見せんとて人の正気を失なかわせけり
はかりなきものとこそ聞百薬の長よむよと翫不酒連記
河内
百薬の長とや愛ん詩百へん迷たといふも酒の所せんが無物
原上獣
昼は消夜はもえつく狐火もうかきか原に浅土をまねひか綾麿
武蔵野の原てる月の雛形を見するはのとのふとゝさあら熊主丸
猟人に追はれて熊も逃水や月の輪見する武蔵蓬野の太ら花鳥
同和見る猿も三笠と申らん雲のをは雨とみやき野のはらおなしく
海の上の月はともあれ草の浪兎の走る武蔵野の原橘麿
御狩野の鳥たちか原に牽犬は鷹の行へをみすゑてそゐる
鼓さへうたて月見る武蔵野に太郎の子の事思ふ女狸伊勢丸
君か代は安達か原の草の名の鬼の志と迄ふみあらす駒信成
武蔵野の原てる月の影さへてまときの浪をはしる小兎が田麿
頂王か愛天しうすいと見る駒はつなく処ももろこしかはら能
山のいもか大天狗
なるとは
聞けとしつよりと
聞けとしつかつゝ
とらまへ処の
なき鱸かな
ふたつ文字
杉田花麿
角文字といふ
牛も名の
縁にやひける
恋の松原
其上舟
謡曲をなれもなす野かはら皷うつや狸のあな面白し
宵に出し鹿の上毛の日まさへもあしたの原の草にかくれつ行也
瀧辺松
しら糸を葉の針にもや通すらん衣の瀧のしたてなる松綾磨
十かへりの花かと斗岩根なる松に落ちる瀧のしら玉琴彦
立至りとみなせる瀧のかたへ去る松吹風の声あはすらん平ノ沓琴
鶴も巣をくみてしるらん善光の滝の辺りに千代をふる松友丸
養老の瀧波か如のはしたる松のこふしも瓢箪のなり田辺永畿
葉代も老せたるらん青老の瀧の辺りに千代をふるまつ五千浪
風の手にひき出す琴の音色よくあはすや琵琶の瀧の辺の松
瀧津瀬の岩こす水に寄海ふて腰をもうたす谷の老松
雨しのくみのをの滝は中々に麓の雲のぬれぬ日そなき鐘成
耳洗ふ瀧の辺りにひきかへす事となるてふまつのたいほく泉流
山松の枝をつくれるおもひかなたえなくよれる瀧の白原菊成
こき散らす瀧の千玉拾ひ置て年ふる松の千代や数へんおなしく
蓬莱と見まよふ松の茂りより岩根に落る亀の尾の瀧宅丸
うちならすつゝみか瀧に万歳の素襖のもやう見する若松主丸
青老の滝の雫のかゝれとも色かへぬ松は下戸にや有らん梅之家
琴とたる瀧の白原しらふらん峯のあうしの通ふまつかね泉流
瀧津瀬に枝さし出て白玉の花を咲せる十かへりの松錦高
一組〳〵をうたふ斗の松を誰か瀧にはめし置ぬる
岩にもたれすねた処かおもしうへつゝみの瀧にちゝ千世の松継古坊
松風のはやしの中にたう〳〵と落るつゝみの瀧水しら原春長
三味線の音羽の山や瀧水のいとにそよれる松上り水松橘麿
なかめ居るをりから蓑をきた時に笠にそたのむ瀧の辺の松厚丸
養老の瀧の辺りの松はなほ幾千代長きためし汲らん永井無物
なきよ竹のよし野の瀧に翁さひいく代落葉をからくや姫きつ竹我
在松山
瀧の糸かけてしらふる松風の落くる浪も琴立しめ能書道行
清水の瀧のしら糸くり返し幾代経ぬらん松そ久しき田麿
岩角にきまゝそたちを砕水うらみか滝と松は言ふらんおなしく
思ひ侘うつゝやかへに見るはかりいつまて草のいつまて紅君蝙蝠軒
堂えままく恋わたれともあふことの長柄のはしのくちはてよとや梅廼家
秋風に心もつか伝桐の葉の落安かれとなとくときけん玉川舎
六暁園
梅廼家
古渡暁
合撰
八木亭
横雲を引出す駒の渡し場にひつめ程なる暁の月加山秋蘿
蛙啼井手の渡し水星の影とひ〳〵きゆる暁の空おなしく
横雲の袖の後りの暁に月のみ舟もときつくるみゆ花鳥
よこ雲に月のみ船もとたえけり佐野の渡りの暁の空
一壁捲し鉢木しやうかしらみぬる侭野の渡りの暁の頃
干ノ
杉山
竹裏亭
別れをはをしむ頃なる暁や袖の渡りにひける横くも橘右
野外竹
田辺改丸
在郷のなり平麦の垣とせん野井亭の其婆のまろかむ
湯の事徳有尊に近き猪名野にそ子もよく出来て生ひそたつ中綾官
仲国と違ひ嵯峨野に生ふる竹思はぬかたに根を出したり橘店
若草の妻はしらねと春日野に業平竹の今も葉くもる
阿波
雲斎
堅丸
宝蔵の王様御聞るみよし野のあたりにそれとみ関生の神美根秀
いく薬あるてふ不二の裾野とてふ老ぬしをやたもつ呉竹宮丸
我侭にそたつ女竹も手枕の野ら吹風にまかすおきふし哉店
キノ
世をいとふ嵯峨野に生ふる藪竹しうきふししらぬ矢とそなりぬる唐琴
松山
一敦盛のむかしをしのふしの通竹須摩の上野に青葉ふく風凧
柔和
友有
玉たれのこす野にすゑは切やせん雲井をかけて立延るゐ
得一園
天足
武蔵野によはひの限りなき竹は我と籠れる千代やよろつ代橘店
在松山
矢田野辺は泊りからすもおとろめん弓とたわめる雪のなしめぬ
道行
阿波
ひてふしに千代をこめてや君か代のゆかみも見えす生しの竹竹篠亭
美喜好
尽せさる
得一園
天足
尽せさる
文字の始の
縄の海
なきさを
かけて遊ふ
真名
鶴
長兵衛
鎌くらの
早梅亭
鎌くらの冬
海辺に遊ふ
海辺に遊ふ
冬枝
友鶴は
正札なみに
千代や
経ぬらん
幾代歟もこしの海辺の親しらす
數寄廼家
子しらす程に年の老其鶴叶丸
横笛となるてふねをやはたふらんかにの大野にしるこま竹天足
海邉雀
古敵の匂のうらに遊ふや浪花潟みしかきあしといはれさる鶴橋有
住よしの浦の宿とて千とせをはいき長たらし神水ゆかりに美松彦
松か枝に千世の年月こゆる義のいそかぬさまに眠る老雀叶丸
たん〳〵と汐ひな雀の遠遊ひたつの都の雲の波義波
数の子をつるもとろとて巣やかけん千世まつ前の滝の辺りに道丸
汐干かたあしなみゆたにそこ爰とみるめの浦に疎や拾ふつるあり琴虎
汐干かたあされる鶴の一声に浪もかしらをさけてゐるらん秋蘿
百まてもをとる権は坊と記しゝ海辺に千とせすむつる信虎
なる浪に羽袖ぬらして芦田鶴のさほの浦辺にほすや毛衣道行
箱崎の浦にあさりて子を思ふ鶴の鳴音に昔しのひぬ
いく千世かよはひふりても千賀の浦にしほたれもせぬ鶴の毛衣主丸
よる波をまくらにまつもねむる世はおなし千とせの鶴も羽をのす
賀
玉の緒はかきりしられすあり通しすとせを七つめくりたる君菊雄
かくの餅のあしあつよさにしられけり千とせの坂を越る君とは松史
一粒か万倍となる米の賀り八十八夜千世の種まき伊勢丸
一未修にのほれなとせの老の坂むそちひとつを麓にそして琴成
もの言ひもなき世を花と祝ひつゝことゝのよはひをたもつ老人伊勢丸
珠数かける耳しひもせす年を経て百万遍も来るすそよき綾有
長生はこれからさきと六十のひとつ松ほと千代や経ぬらん継古坊
世にうたふ四十は老の三番叟よろこひありや君は千歳猶丸
機音のちよきりさきてふ寿をおりおしにして千代も経たまへ主丸
六十ちまりひとつ過して帰やかろと下戸も賀呑をする祝ひ酒
東北菴
鹿丸
その侭て百さい行は罷てもなひすつとこきまてそくさい友君
今百の長生殿のうち祝ひ配るふくさに縫ふ不老門
六十の一しや〳〵は番船歟赤襦袢着て祝ひこそすれ
飩斉
不智丸
八十の手習ひよりも長生に手本となりし齢めてたし
国に杖つきに橋かけいく薬得し開元の古記の古記の寿き
六十のいち物まてもお達者て賀のむしろをも敷なやふりそ
寿はこけもむそちひとつをさゝれ石の千代には千代をまついはほなる
一六十の三ツ子ともとへたちもとりもて遊ひには月雪た花
真水亭
清成
小成
耶たんの夢さくらし五十年米花休もつきぬ賀の客伊勢丸
八十の十の字の上に点うたは八千代の齢君や経ぬらん
ぬすむ気はなけれともしの年とりて長生の身と人にしられつ
鄙の家
言
阿波
君こそは朱のよはひもこゆめれといねこきの賀の祝ひにそしく
和田の原八十しまならぬ八十の賀を人にもつけんあまるよろこひ
十歳宛七ツ入子の境重こも揃ふてそいはふ寿
昇亭
紙鳶丸
迎へ来し年さへ四十遠者にてなほわけのほる老行奥山梅
幾千代をへの字のこしもまかりなくの字の杖もつかぬ達者さ
阿波
美喜好
達者たて諫言すれはさからはす耳に順ふ齢めてたき琵琶丸
長生の手本とならん手習に八十伝かく寿行文字桃丸
目出度さはかゝるときはの色こきの賈は七つ宛十かへり松大天狗
青黄坊
桃丸
帆はしらの
数よみ壱ぬ
御代の春
万歳丸も
見ゆる
川口
ワ
五十五
三十
継失亭
天窓から長き齢ひやたもちなん
泉流
ふくろく寿をふそくなき人
淡路
真島
真島
いたゝきに雪はつもれと実杖のたわむ事なき老のめてたさ
書筆の軸こそ竹の桝かきや寿の字もおよそ八十八枚蝙蝠軒
縁り子となるをいはふてきそはしめむそひとつ身も春の日の色梅の家
本の卦にかへることしの古暦千代のよはひの下張にせん長白亭老
寿は今年八十八算のけたをはつれて君は長生泉流
梅干のやうなた人のいふめれともゝの齢ひとなるそうれしき三津右
また老の三番叟かも千歳の翁とよへる人そめてたし
富貴亭
易丸
上からもしたからい峯の八十八さかさきしらぬ老そめてたき十叟舎
寄船祝
船風のようけの御代なれやいつもうけにて暮す国民幸老
松山
国民もおきての風にしたかひてゆく船の如女安らけき御代
から大和よく治りて堯舜の御代に釣とるやうな画ふね伊勢丸
世にひうる源氏の君の御座船となひかす風に帆を巻柱伊勢九
君子代といさり渡しの舟なれや動きなけれはかたむきもせし客丸
徳風にみなしたかひぬ船の名の天道人を殺さゝる御代鈴丸
大船に乗し心地の御代なれやいかなてんまも尻にひかるゝ飛角
尭舜のためしをこゝにひき舟や端手もなかくつゝく君代泉流
乗船も自由自在友君千代は松に逆櫓の名のみ残して主
君にたくふ船のあたりは音たて傳波の皷もこけむせる色唐琴
臣は水船てふ君の御代なれや其かひあつく渡るめてたさ
軍なき御代と四海もおさまりてせんこくと言ふは船にそ有ける道九
汐干かた船は居るをいとへとも幾世ふるとも動きなき御代武九
さす船のゆたけき御代や国民にかいのまはらやものはあらしなおなしく
我朝へしたかふからの船にたつ幟にしるき清殿の御代
万寿堂
亀九
尭舜のむかしにはるかこへ船や箱さしためかたむかぬ御代
淀川のよとまてのほりくたりさへ君かよ船の寝ならにして
鎗太刀はそのかは君のめされぬる船さへ鞘におさまれる御代
三津店
如量軒
倭哥丸
曙雀
足延し民も枕を高瀬自あふなけのなき大君の代は
君か代は浅妻舟もあさからす浪のつらみもうたぬ静けざ
聖人の流つきせぬ川口に鳳凰丸も遊ふ君か代
蝙蝠車
四文銭
浦浪
分福堂
明丸
船の名の風風丸の出し後いつゝも登りの御代となりにき叶五
○
尭の代にまさる壱紙のかん子舟なみの鼓もうしぬ静々さ六暁園
菊の露なめにし人の枕より幾代か越ん君か齢は梅廼家
大友のみ津の浦鶴鳥の名の波戸におりても群はおはしな八木亭
これを狂類梅の枝集といふは吾か
世子ひの親寺わける故梅の家門翁
の梅の本集によりて名つくるに
なん御是あれとわさととなし事
にもあらすおの掛らもときりは市に
住て朝夕にうわかひしけき出き人
にしあれ婆わか敷島のやまとうた
彼さらにもいはす安まさかるひなたり
たる歌さへもをさなきくちつきにて
いとたと〳〵しけれとものひせく
いとまのひまに粟子折々の題を四才
の友とちにおくりて月落にその
かたともをごひ集て爰に名たる
大人たちに桜みをこひよた出のかみつ
からえらめるとそ出はしてこの
をかつ桜にさきつくさくら木
にゑりてよさりおとりおとをその他者
につくるにこそく御供に婆いつとなく
数つたりてときにしたるをひめ
おきて埋れみてなんとのあたらし
さよなと婦愚あき人千里亭のあるし
の事につかしけるまに〳〵やかて
かう冊子めてものとなして出方
ねく世にもらしきこゆるに
なん出なをこなるしけせにあ
那人わらへさるしわせにかく
よを得恐ら難波人
梅之家筆風
五十五路
何書物にても御注文之節直段格別下直に
おはたらき板氏巾落丁とう吟味仕御為
新本
一宜敷本奉差上候間何卒多少共御用
二ほん一
賣買所
被仰付被下度候御はらひ本御座候節は随
御書物
古本
分価よく可申請候売買とも御用奉希候
御蔵板
一詩集文章の類板下
てうこくすりせいほんまでひきうけ
御集冊類
彫刻摺製本迄引請
板下筆耕相改絵入彩色等
ゐんいれびゞしくせいほん
一念入貧々敷製本仕候
狂歌俳諧御月次集狂歌俳諧御摺物
江戸流大坂風
御好次第
御催談紙後諸大人方御判御補助集処等追引受書曲坂下相改されしきどかに近来諸御得迄様ゟ
黄本英摺仕立御注文被仰付下候御蔭にて光店美名を揚候義全く御風流家の御引立難有奉存候
尚又此上極念入責々しく相仕立奉公上候間何卒相かはらず御用向奉希候
一諸大人家日々月々の御摺本月次
能書引札類
下案文作より
狂歌月次新板類
一集冊数多出来候ニ付外欲こと〴〵く
一彫刻摺とうまで
一当時の風体を見るにたるべし挙々いとまあらず何分御求御覧被下度候
弓木朱女
御世話なし引受可申候
風流之品
一のし民風流之品
御實印反切相改彫刻御銀札米札銅印石印判色紙短冊類書翰嚢江戸のし紙棚
数多御座候
板元製本所
大阪中ばしすぢ瓦町南へ入
狂歌書林千里亭扇屋利助
扇屋利用圃
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