千年集
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- 雪木庵宿成選
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- 日本語
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- チトセシュウ
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- 東北大学
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狂歌千年集
秋類千年某全
十二日
狂類千年集序
■電熱恭瀉氏・副会ヲ一
入セル允沢博士
都いつる類まくらのしら川の関を思はざりはなく白汀に
いるもの雪木庵を訪ざるはなし宿成かつて葭垣の
透粥たりし頃伯楽に頭の先を師とすをしへを受る
事年ありひより消て後わか柴門を窺ふ事又久
しおのれ嚮に松露に杖をむく名のらでも通さるべき
を我からと豆をとめたる白川の関と申いれしもはや
十と号余りにもやあらんしかりし後疎きか近くなり
親しきか遠さよりなきかおほくもなりもて行中に
ひとり雪木庵はかりそ物忠ずのやまとたましひ
色かへぬ松の葉の田さしをめつるの余り今の世の
おとなだつ判者にさへかずまへて名を四方に広く
する事とはなりたり爰において旅と鶴とを兼頓
しておのれと宿成かつましるしにめつ心きをゑりとゝめて
若鶴の千年しふなりぬるはしめに東都の
松類房酒月米人かいふ
狂歌千年集
米人宿成
十五十三
春旅
菊川酒盛
一草まくら夜半の情も匂はせて人をとめたる梅沢の宿に
伏聞透風今津
十五
かち路行身は三位にもあらかねのつち踏すこす花の山坂
芝庵朝早信の
旅僧の拂子やなけん如きかたけしか山さくら盛なかめて
連葉庵春木米沢
野宿とて誰か笑はん忠のりの例もあるしの花の下ふし
、
下野庵宣住ウツノ宮
旅人も春の色鳥友として柳をくゝり花やふむらし
十五八
酒月真春江戸
櫛香炉梅かすかれの空炉にさしゆえて又にほひとり
硯墨筆へ
十三十
一馬ならは密度落ん朦栗毛みち草をくふ春の旅人
白河関根
手と手とを引つむかれて行空も申のさかりにならぬ日永さ
一
風袋庵折鶴
土の筆取てやかゝん旅日記やたてのすみれ露のひぬすに
一、
物毎鍔丸
相宿はゆるさぬ武士も梅かの袖にとまるは竹かくるしき
一一
蜻蛉楼延人棚戸
打過し鼓の長地旅日記しらへてみれは春も完少し
酒寺端丸湯原
春雨の降を見かけて接衣柳はみの毛うめは花かさ
一萱の屋静福島
はる駒のいさみに心引たちてをとりたくなるいせの初旅
九
山今亭住成
梅かゝをしのふの山路はる〳〵と谷わたりする伊達の為
雄々報平記ウツヽ定
鶯は外になかせて旅人の谷わたりする木曽の山道
木類亭斐へ
旅人をもてなし顔に箱根路の釜の下迄もゆる若草
苅穂庵住
終夜はなを通せる梅かゝに桜はうしとも思はさりけり
十十十
五常端守大河原
鶯とゝもにすみかをはなれ来て爰にはつねの宿そ嬉しき
若草二葉水戸
七度はまゐらん花のいせ桜熊野へかよふ上度飛脚も
居草楼兼輔三は
敷寝する我片袖にきてとまる野の梅かも猪の相宿
樵友亭音常福島
宿かりし花はちれとも古郷の風の便りは聞てうれしき
浅倉庵上笑三川
古郷は恋しけれとも喜さかり風の便もなくてよし野路
見幕星樹会津
永き日も道はかとらす鴬に聞とれ梅の花に見とれて
丹須亭千年江戸
草枕栄喜の夢やむすふらん菜種の花のきちん泊りも
十二
玄仲那言亡盛大男
勘定の外か浜をもみてそくる春の日永き旅のみちのく
仇たらす真田美分ツ
とめられし宿にも匂ひみちのくや末しら川の関の梅りゝ
浪花亭芦江棚倉
花もはや経かゝる旅衣橋ころもよき春の春閑さ
東山亭際成
ゆく道を引とめられて思ひきや梅かゝりねの妻せんとは
異見斎月安
旅衣やれても梅かゝをとめてありなくみゆるしら川の算
ナナ
小金久二也スカ川
はくれたる連にあふより嬉しきは香に匂ふ宿の梅のこき笠
山昆山命舎黒人ウツノ宮
一
旅衣これにも千手観音のわたらせたまふ花の長谷こへ
ヽ九
三津玉丸三春
いそけとも怠る春の朝な〳〵我より先へたつ霞かな
網田飛雁
難波はの梅に幾夜か浪船ほにあらはるゝ風は吹とも
八
一倭文筆株
ふる郷の夢をみつ葉のね過してとうに立たる旅の道連
停月楼島根ウツノ
遠道をかゝえなからもうか〳〵と吉野へ廻る花のさきちゑ
東山堂蔵寺
おくれでも春の目当は定宿の軒はにさけるうめの花笠
安楽庵為成エト
七
一旅衣あさまたきとく錦谷のまくり縄手にかゝる春雨
悟条亭都真道へ
道すから飛みて行は古今の風のたよりのなきも嬉しき
尾上亭鐘人へ
毛せんはひなに見なれしかさり馬紫まくにかすむ本陣
神楽音人に
入相のかねつけ頃に夕露引や吉田の宿の出女
八丁目
巌苔人
家つとの桜手折て道のへに歳度すて行言の旅人
玉良大力ハラ
十七
いつこても身つく立ると春の日は長閑なりけりひ時の長旅
松本住黒村
馬士唄のこゑはる風の寒からて心もいさみすゝ山明友
銀椀雪盛刀一倉
旅衣いまをきかりの梅花かは添みちびたとるのとけさ
平良海佐渡
〽来てみれはいつはる雲はまれにしてまことにおほきみちのみよし野
別袖彦
こゝの花かしこの花に宿からん旅のはたこは忠のりにして
呉竹葉守
旅駕も並ふ弥生のひなくもり碓氷の坂にたん〳〵と立
四
団子花頼
やりてすくなるみの宿の梅からず喉のかはきもとまる猿ひと
玉先達吉正
梓弓はるとて旅をしなる鳥ゐなかは気尺はらて長閑き
日本房永山信ノ
恋しさよ鳴蛙子のおやまねは七つさかりの雨のふるさと
十五
湖水浦近トチ木
わいかけし荷を床の笥へ投入の花みてとまる春の夕暮
古家住安水戸
三味せんの引手あまたの君たちに春もとまりの岡崎の霜
五十
越の屋汐風会ツ
駅路のうさをわすれて外もうはの穴にのり行花の山賀昌
七九
臥龍亭其杖
花笠は二かいはかりと立よれは野敷一はいとほる梅かゝ
小野政後トチネ
古郷はとほつあふみの旅衣する沖へくたる上河萬才
上総亭荷面上総
相宿は互ににおく座敷梅はにほひをへたてされとも
関家内子
梅の宿所書をは忘れても匂ひは袖にとまる旅人
年々斎稲葉
雲雀なく空も長閑に旅人の上りもあれはくたれるも有
春この女湯原
藤の花こかとさかれは道連のひとむらさきへ行やしつらん
五
南山亭深樹
とめすとも香にひかさるく旅人のよるや他生の縁先の梅
藤棚酒枝
春雨のふるに地よし鑓梅の花も一つこも赤坂の宿
龍門久号々松本
うまかたか正月物を営たてゝのせて来行にも長丁端
雪丸女小山
退屈もせぬ春の日の長丁場耳に鶯めにさくら花
秋夜菅ク十合
旅衣江戸むらさきのふとんよりねよけにのひる野への若草
若草青記会つ
くたひれてしはし木蔭に休むまもやすますに聞野路の鴬
孟堂敦房住
信ノ
七八
行先のえほうに馬のはなむけは心に叶ふ春の道草
川辺涼具
定宿とゝめ来し人も夕風のさそへは余所へとまる梅かゝ
四季花守
雪とけのぬかりはさのみ見えねとも道はかとらぬ春の旅人
ウツノウマ
産家養女
のとけしやしかまの海を横にはてかちよりそ行春の旅人
山水亭流住
春霜のおくと次とはかはれとも音はへたてなき梅の中庭
柳糸女
桧衣きな少し宿にさみの夜のありつきかげてにほふ梅かく
云
五
成渓舎枝也江
をたたのいと面にき花の旅さし合てめくる大和路
紙折鶴は丁目
春のひこ永きひせんの国境とつくりあきし夕の山道
東雲都ノ来エト
川留のうちには喰て寐耳さて永き日のうしにやならん
会つ
雁一連
三、
とめ女みな目とめてや泊らん左と右のはなの宿には
福島
雛齢亭問也
春は又気もひらくれは四方山のは家分の出る旅の長閑き
雅楽堂龍丸エト
駕かりて行道筋のうなき程日永の旅はぬらくらとせり
月令戊兼水戸
うちゝかな春は駕よりをたはらのはなしにのりてかゝる箱根路
紀経人乗物
見渡は、野の梅山は山桜春の旅路は花笠にし
朋友庵厚丸
旅ころもおはをからしの木賃宿はなを通して匂ふ梅かく
しあへけるついてに
白鶴房
雪木宿成
浜松に見しはゆかりのいろ〳〵としなたれからる草枝の君
四方瀧水米人
人もまた渡らぬ川の朝またきことに目さむる旅の七種
七
十三十五
夏の旅
八ツ橋の跡なし事もかきつはた五日妻くたりの気まめ男
一杏斎兼頼福しま
十五十
とめ申をちかた人は音曳のやましろめなる夕かほの宿
三光亭見空に
菊桜に二のあしをふむ吉野山ときに花盛なきにしあらす
八十五
紅垢榻
衣衣さかるに旅の女夫つれ新し桐油水いらすして
一南向亭蟻道
七、
可愛子に塩そふまする夏旅のけもたら〳〵たゝちねの恩
十三十二
十九廿巻、
日のうちの暑はさつて栗橋のたもと涼しき小田の中道
一同常陸菴帯長島
しぬほとの暑をのべに助るはひとすくひなるおの下水
十三
嘯風亭有所予
道の記はとう出たはかり夏の日の汗かくに社む事なかりけれ
十三九
仙斧庵友也金つ
みちのへの清水に古歌の田まてくめはいよく涼かりけり
木尊舎エト
草枕妻の蚊をやく暮されて万燭といふ夏虫の影
望月亭秋良に
心ありて酒匂やとまる鶯も今や音を入梅沢の宿
平山堂道義
けふははや秋を隣の壁に馬のりかけ高く涼風そふく
、七
五吉窓菊人エト
ひなくもりうすひ峠の上に又あつい峠そこしううりける
五島亭百広みや
日くろみし顔は午王のからすかあ熊野まゐりの夏の旅人
七十三
常総庵有政エレ
汗しみし草もせはき幟のうち足手からみの古さとの音
人心亭丸門カヌマ
十三五
昼顔に寝て朝夕と中めきのぞうりかけなる猿もする哉
三十三
山手楼千賀住エト
涼風は軒にふけとも夏の日はかつみのやせる旅のみちのく
十二
浦辺御網
五月雨の旅に日数をふるからのおのか古郷の悲しくそなる
一夫の屋城丈エト
のり掛にねて笠紐もとけさうな暑にむさけふ左巻の第
一走舎早割
八十
一不自由姫様ともさらにしらが露の笠江雫のたりて浄き
井内賀居へ
十七
すく六とねのゆくてはかはれともふりいゝ叶たるさうたれとの頃
気侭成兼へ
節の夜も旅寝をすれはあやめにて軒の妻迄思ひ出す也
花見聞住太や
草枕夢はなかはにさめ鞘のこしりつまりし短夜のこと
八束煤垂山
足いりの女交のいせ道者ほとひにけらし五月雨の頃
九
水長堂道好安房
時しらぬふしの望みて水無月の暑もさつた峠涼しき
小金花成
夏の日の暑につけて古郷の風の便りをまつもわひしき
八八
春風福女
身かるには出立なから道すから汗を荷にする夏の旅人
一久我根花成一ノ関
旅衣みちんつめりて大和綿けふぬきかへてきたるいせ絵
琴通舎英賀エト
旅人の袖にからまるをみな迄なつこくとめるみたの宿
養老人流成候
のみや蚊にせゝらるれともさし合のなくて嬉しき旅の友とち
信ノ
葛匂照
旅衣うき立はかり空色につかみ絞の夕立の雲
塩竃浦近
ひとり旅宿さへなつの草枕しはしかり寝の鎌倉の里
満月庵真盛五合
旅衣きかへて今朝は軽〳〵とみのふりやすき夏の道中
天秤羽根安み
日本はし夏も涼しき道中記雨の風に出るみちのり
東の恥女フク島
涼風の竹田の里の夕くれにやとり頃なる雀いろ時
氷柱亭太白茂木
馬の峯に汗もやすめは旅日記古歌にたちんを附込にせり
五九
鶴毛衣
旅人はもゆるはかりの夏の日に汲て暑を忘井の水
八五
胸本撰風も木
いとし子の旅をせつくの初のほりかみとはしるき立姿りな
五八
青柳根春みト
気つかひもなつの旅寝の草枕あせより前はになき友つれ
遊々館長居つヶ島
やすらひて聞ははせをの田植うたくに心付旅のみちのく
内外玉垣
こりひとつ肩にかゝらて行なから汗を荷にする夏の旅人
三十
亀明白坂
それのみに寝られぬ旅は子を思ふ夜のつるかや足手からみは
七十
東狂夫允俊川又
草まて宿の妻子も思ひ出ぬ汗しみ衣あし手からうに
三八
月合成兼水戸
旅人の汗をしほりの手拭も氷りしほとのふしの山蔭
高陽亭住兼
さみたれの空より旅の胸とちてなほ古郷を思ひ出すらし
同八三
内内子
夕立の句を二三里やり廻し今やふり出すのほり大名
一八
庭雲舎朶文工ト
やつれたる長の旅路の夏柳心ほそくも夢や結はん
持登斎喰鯛黒羽
汗に身はとけるやうなる旅の日もむすふ清水にしつかりとせり
雄島磯道仙午
なか雨にけふもあきなてひと休みしけ〳〵とみる古郷の方
追加
一米園蛙等江戸
ふすま味噌ふすまも汗の玉みそのくさいきれする木その山里
名月坊乙雪未信州
花の旅物その後のほとゝきす耳に油断もならのはたこやし
かなし心を白鶴房宿成
旅衣帆になるはかり風いれてこゝにかり寐のしゝ川夜舟
ふしの山をみれさつきのつこもりに書いとしろう
降たり
業平に顕とをとこは劣れともふしをみる日とにしは
かはらす
十五
秋旅
羽衣亭浦近エト
たゝ霧のをりのほりする斗にて駅路さひしき秋の夕暮
千束屋貞数
一のの柿の渡る時分にふるさとの小み見るはかり天のはし立
ユハラ
十五九
有隣舎焼成に
大江山いく野へはもう七八里くりもひろはせられん丹波路
蜻蛉楼夕
十三十二
とかくして大和めくりも落栗もひろびつかれじ末のいか越
五郎亭
妻も子もつれねと旅はうつの山足手からみの草の細道
依田亭川常信ノ
都をはかすみに立し旅衣つゝれさせてふしら川の関
九
折鶴
うき旅の宮ともみへす夕きりのたつ頃とまる伊豆の湯の山
麒麟堂学也
燈火も枕ことはもいらぬなりあかしの浦の月の定安
八一、
片田舎片言へ
てる月にうかれてあすの道割をにみこして行秋の山もと
仙道重馬大輔
十三五
草枕獣の夜深きさむしろにむしろおき出て月をみる哉
八十二
山家住好
うき橋の野宿いとはしてる月も草はの露に相やとりして
片田舎
事たゝめ猿にしあれと梓弓矢たてにあまる野路のしら露
ナリ
三津朝春
駅路も名のみに野もせ草の原日数ふりぬる鈴虫の啼
萩月庵蘆草み
旅入の宿よりはや湯に入は。いつこも同し秋の夕暮
浅香庵咲掛へ
夜もさらに昼秋月のさやけさにさやまはりするくはなかりけり
首尾松人ハ
秋の野の錦をかさる古郷へいそく弘路の鈴山のこゑ
笹葉鈴成
人と至る南こその関をきてみれは紅葉一枝きつてほしかる
千かり浦浪
東路を藪鶯とゝもに出てはや初雁をきく川の宿
十三
八ナ
雀酒盛江戸
来かけのうすく見うれし秋の世を道草くふと入なとかきを
紀宇賀里
十八
秋夜の七門頃遠く印器のねつけぬ宿にきく鹿の声
七十
墨水打石見へ
女が花咲時分なり旅人も心してのれ況嫁のやせ馬
九
田面畔道治殿
雁のみかたたよりとは思へともあふみの名こそ頼なりけれ
十五
梅良香工ト
連の形残なりをさへくらふ山空行雁のくの字たの字に
小金受或ハ
あすは又こすへき山のはたはこに霧にきわけて渡る雁金
ハハ
北亭雪桶へ
旅衣けふ思たつ秋風にひや〳〵思ふ木曽のかけ橋
里契かたをの
赤国の月はかりかはいち早く宿につきみる更級のさと
真羽亭専字に
朝な〳〵茶菓子にほしき落雁のかたくもみゆる近江路の宿
八丁目
琴調館
七、
ふしもせていそく旅路に終夜出しのねことをいもうらかし
物事曽輔みト
うき旅をわちの喰しそこまめのさやの泊にいつる初もの
時和友鳥ユト
捻寐して聞はさひしきとこの山枕のもとにすたく虫の音
十四
松風楼涼風みや
哀れ也うき旅の空秋の空むねをつかせる夕くれの鐘
美鳥打松風
おしやれ女か呼たつ幸に駅路のさひしきしらぬ秋の夕くれ
小野としふる高サキ
初雁を聞て沖津の旅権ねにけはさつてかへ給ふるさと
初谷見鷹
雁かねの鳴後る夜のさほよりも心ほそけにたとる旅人
五八
古三波静風水戸
近江路やかつは笠にも秋の雨ものさへもたすぬるゝ旅人
板木彫原
行くれで木の下蔭を草枕しひの葉になる月のもてなし
柏蔭広エト
五八
うき旅の哀れを添て書乞のしかもさひしき秋の道芝
山林亭鬼丸
秋さひし旅ねの床の耳もとにこよひきたのさるきゝの山
浅嶋様見分
また秋も初旅なれや宿を出て行さきくらき野路の朝音
瓢象千戌郡山
秋様の花手高くならの里はやくもおきし霜の朝立
子藤斎柳に丸にと
紅葉する山路も子細なく唇のふみわけて行秋の旅人
高砂屋浦舟、
秋の日は短くあれとつまさきのむかふ旅給そ長ふ覚ゆる
十五
爺武斎松附、
諺の旅は道くれつれ〳〵の吉ゆ通水はまねくほすゝき
壱統館つまける色
碁の手にもひとか旅舞の秋の夜にせめて見たきは古今の夢
浅香山近記三六ル
鳴てつ鳥も同しひとり旅とまりに迷ふ秋の夕月
北條鱗工ト
よし旅の日も西つと契り見鴫たつ沢の秋の夕を
一
貌赤人
秋の夜の月に戸さゝめ。御代なれは開もあかるく通る旅人
木枕高根之ト
里の子に道をとふ身は膝栗毛いそいてひろふ旅の夕暮
直か
松山亭奥成江戸
秋風の笠は重荷に二所の関一所不住の露の衣手
風香堂とき満辰刻
大男たけも身はゝも粟津丹に鶉衣の旅寝わひしき
千金斎春芳江ト
山里はさひしかの声虫の声こらにあはれをとゝめてそ行
大船田鶴寸へ
草枕つまゑわふる寝覚には鹿のなくねもわからさりけり
同こゝろを
雪木庵
から衣うてはかゝりとひゝく也ころりと寝たる草の枕に
四方潰れ
啼鹿に馬を思ふもあはれ也くたひれはてし秋の夕ける
十六
十三十五
冬旅
一守信亭於古足江戸
旅人も堂に時をあらそふてやとりきたむるふきいろ時
今ツ
玉美頃麻呂
花の時雪とふらせて雪の日に花と咲するしかの山越
桟花守カトヲノ
十五八
粟飯の家こりはかりのこほれ雪情身にしむ冬の旅僧
一惣類事筋代江戸
七十五
戻行ひをそまたるゝ猿笠のあしろに霜のおくにつけても
京波繁伎
十三丁
都出し旅の日数のつもりてはむつの花みるしら川の開
貫四楼唐指水戸
出女の袖引とむる所もなし七里か浜の雪の夕暮
十十三
南角亭綾町江
名にふりし守順に旅をしの原や髪髭まてもしろきますらを
八ヽ
里暁房上進野
我朝は長く日あしは短くて安山間もなく入相のうね
筆持芳
時雨きて桑名とまりは蛤の口もあはさる霜の納豆
若草二葉水戸
七八
隠念の道案内もほしの井や旅に日数をふるゝりのした
依杏斎
十三五
おきて又ゐの子のもちひ草枕つかれ直さん上ツか一つも
一梅柳庵春成江戸
十二二二
一声かげにふり分髪の柳とり老にける程つかるしら雲
十七
七十二
雪窓屋深道へ
玉川の水もかれ野のつかれあし千鳥にはこふ野田のたひ人
八ナ
豊年舎御代住
旅人も矢だての気のふり出し雪に一首と竹のこしをれ
一板庵沖面エト
重場の菊をみるまに秋画てさす真草のむうき旅の空
宿え女
寒いめにあふみおもてやみのふとんよきなく一夜あか坂の宿
十七
山谷庵聖殿
月花も及はぬ雪の白川は風雑にとめる肉の宿なり
小庫橋喜礼みト
真白なる金ふみわくる足形は真岡さらしのたひ路也けり
万能亭一真
しら雲と日数ふりつゝ朝五郎次曽の旅人道やまとはん
正子江戸
あやにくに今朝ふる雪にあふみろや手足もいたくひその山本
井手川貫
一堂のふろ敷包抱てねて計あな悲しふる今の妻
ハ九
一瓢庵片住フク屋
旅表ゆきたつふりとつもりたり手も出されぬ山のふところ
桂音高
空とけの草鞋のひもゝ望風にしみて氷のむすふ信濃路
秋風開明
うは玉の夜行道も燈火のあかしはけしていらぬしら雲
ナハ
九
一倭文字筆株江戸
神風のいせ給は神のはなむけにひくや三宮の荒神の馬
小針継女郡山
難波かたあしもつかれて病かれは思ふしきりの夜恋の難き
七ヘハ
俗事ゆた人エト
納豆の汁も着しき生首にたゝかれたねくたられしたひ
山南窓経上毛
あらのふり鹿野海道又一里冬の日あしに豆さへも出て
二九菴厳
旅人も行かゝりては道法をささへつめたき冬の夕くれ
笛祢守
冬の旅門松うりに引先をとへは春へはまた一里塚
七八
萩氏果報五兵
うき旅をするかはふしの山おろし人あないして通る雲の日
万葉亭実人身
箱根山のほるしくれの出し早くのほる冬助くたる雲すけ
梅倉保守信
行衆の山のおくみにふり出てゑりもと寒きむしくれは
吉野葛女
ゆくさきのやとりとふへき人もなくゆほそのゝ夕くれの空
花麹元足信の
草枕高さに腰もかゝまりていつ立出ん堂のしら山
音信内子之や
つごもりのせはしく立てあつまつの音へをいて三つ万才
は
壱語楼内匠江戸
つかたさは指もきいなんとはかりを梅にせつゝしあなる難波路
一一
千年坂行
桧路行はだは氷びことくにて股もこふらもはるものうき
落葉屋下寮へ
金銀を溜水につかふ旅日和つめたきは雪あたゝかはあめ
一秋月周景満へ
雪霜にぬるゝみの路を旅へのをしけなく行冬の内に暮
朝日楼照戸へ
旅人も急きこゆらん鈴鹿山ふるへる程にさむき雪の日
杣の宿斧也
つかれたる足も千鳥に旅人のみちのくになる野田の玉川
阿波鳴門
三八
日数ふる旅の長路も積る程おもしろうなる望の信濃路
物事手足へ
うき旅の心を雪につもられて又ふる里のみちのく限る
甲路亭北住
雪霜もいとはて急く旅人の益えきくひゝにあれ行
清連舎隅成へ
行列も揃はぬ冬の道中にふりこんてくる雪の旅駕籠
文々館蜂捕住ノ
神はかふ出雲へたゝせ給ふとてね宜は御留わびしくれ降らし
紺井仲成桑川
急く旅ふるしら雪と留女はらへと袖に〳〵はうるさし
廿一
一雌雄一銘〻
旅なれぬ友まつ雪の宿つきはしるしの棹に心に身をつるせり
帯くけ女も女も木
ならふより別にし道を手本にてかきわけて行雲の日の旅
追加
内気上人佐渡
朝もよひ木曽の木枕かたしくれあすの峠そ頭痛なりける
生妻古根松倉
杉たてる門みてのめは味酒のみはあたゝまる雪の旅人
同一つゝろを
白鶴房
ぬるゝをはいとはされとも順礼の夫婦は札もうたてしくるゝ
松都房
雪にきるみの路にかゝる片し箱もちら〳〵と落合の宿
鶴
山家宿朝寐
折かゝむ脛もあらはにむれ遊ふやゝ半天の檐の毛衣
十三十五
風袋庵
一引はえし霞の上をあまとふや軽業すなる竹のうら鶴
大田舎真仲作
歳代きてすむ紫のには三羽しわにもならぬ鶴の毛衣
浅草園則江戸
十八
二羽三羽三羽三羽三羽千の年もふけひの浦のみにい桜
十三十三
三番叟早人
池の内に遊ふ亀とも年来の同し砌の千代の友鶴
泉流事松朝は丁メ
白雲のさめに其侭うつさはや日の出に遊ふよりの浦つる
廿一
時雨房萱根之や
もしほ草かく社ふりけれむ立て九十九三の和泉のうら鶴
東飯百也九合
姫つるも千代やへにけんはの国のとしする崎に幸の分ゆる
十三八
霰釜守え
仙人も舟心地かはしら雲の浪に中らめく静にのられて
草本
おもしろや春も日かさのうらゝかな春上に逢ふむれつる
八十三
筆捨兼一ノ関
枯芦と鶴のあしとはちかへともいつれも浦のなかめへけり
十一
被迎士
切たことみへたる鶴の長衣は千代もふるひのつかぬをり
文々舎盤子丸へ
君か代の深きめくみをいたゝきのふかしの浦に遊ふむ水鶴
七
玉章君頼へ
たん尺の布目はみれと千代へてもしきしはあてぬ桜の長衣
愛樹園樽明
藤夘の浜のこ砂や浅からん足あとたらぬわかの浦鶴
長居安倶良金つ
空に舞つるも箒やたてゝのん長居の浦に遊ひ過して
十十
花信事予興工ト
雲井迄まひやのほらんうまし名の鶴にゆかりの君かむな分
片行常長に
空はれて参内傘のみゆる頃雲井へ鶴のまうのほる也
廿二
春日菴角丸片ノ
千年はへすもにけゐの浦鶴のしらみ髪交りもよく似合たり
支蘭亭一斎江戸
玉のをの長きあしへの軽業につる〳〵〳〵と紺をひろひ行
一便文窓風流雪
難波江の片葉の芦に毛衣のもろ羽かさねしみつの浦つる
丹頂鶴成
若の浦に滝みち来れはまん〳〵の齢いかさなる松の友つる
峰園亭蔵人スア川
わかの浦にうたひつ舞つ白拍子名にふる聲の千歳の鶴
一便柳舎雪解川又
はゝき星さかさにうつる夜もさらに長居の浦の鶴たゝめへは
木枕高根水戸
たてこめし霧吹みけてはをの頃は煙草に名ある鶴の舞留
天王寺無坊大坂
芦の笛波の紋につひ立てまひ子の浜にあそふ友つる
菊軒為成三レマ
八十
千年も脱めへものからおほ常にのしてはたゝむ鶴の毛衣
商売道広初木
よる波の役のしらへしゝ川に千秋楽のうたひ舞鶴
紫田小クハナ
一番代ふるたかしは長きなし田鶴と立て齢のたけくらへせん
東岳舎荷墨伊原
いくとせか錠もとすきれもとす地はよくみゆる鶴の其衣
廿三
一金台寿香エト
千与ふる鶴につけたる硯尺のこるねをのへし類や浪らん
此道葉丸茂木
敷督の道は上手も千代いたもたのしかりけり鶴のひ明哥
二本好成結城
いやよひとみたるは花に立ならふ姿よし野の内裏ひな鶴
越鳥其亭常持江戸
千代をふむ鶴の齢の長はかま沢へのあしにからまりて立
初舞事踏兼へ
絃は松の針にやぬはすらんふたんきてゐる鶴の毛衣
山下住安一の関
芦のはの笛のうら風吹からに立や舞らん浪のしら鵲
七九
芦の屋仮森松くる
うつむいて紺ひろふ朝の夕月にちとせをのへて長きあしたつ
浅香山人
郡山
官房の道の相鶴時をえて手にはのさるゝ事そ嬉しき
丹路春芳江戸
積善の家名や高く舞鶴は齢も千代の余処へめらん
酔睡亭夢には
でにをはの揃しわかの浦つるは一段ことにめて度候
黄鳥丸みや
いやよひの床にかさらぬ雛つるも綿にくるんたやうな毛衣
ハハ
山の手猿人エト
巣蔵のためにこくうと紺を運ふ雀は尺は子ほんのう也
廿四
豊年亭雪積へ
蓬莱の山のあたりをひとのしに亀の上行つるやめてたき
曲瓜亭末也
七
みちのくはたりなしといふ国なれはちとせふるてふ。鶴やすむらん
信陽亭静音へ
ゆつたりと羽をのしめの空色に初日をり出す鶴の毛衣
三信事顕丸
一礼あかもつけすに千代をふる小袖ぬき衣紋なる鶴の毛衣
船綿法師八丁目
草餅のひしとしけれる池のへに立ならひつゝ遊ふひな鶴
古今亭由良人三冊
いつみても和歌のうらへや立浪のしわのよらさる鶴の毛衣
七八
二樹亭松成
君か家に巣籠る鶴の一声は千秋楽の栄をそ聞
意速村青則下
桜をゑかく舞台一はい羽をのしてふみ出す在のあし原の玉
田元月袖信の
千年程としもつもりてしら雲をふるめかしたる鶴の毛衣
酒原
龍岳亭落
千代かけし松はの針はさふも縫めたゝしき鶴の毛衣
三時五木はし
青天にけふりの輪ほと舞鶴は仙人のふく煙草とそみる
明亭居戌エト
友鶴は舞のたはこのそれなして空にはをのす齢めかたき
朝寝房宵長は一か
うちはやす波の鼓にあしの笛元に舞まふわかの浦つる
狐松亭朝彦みや
汐干潟つまからけして少女子もあし長になる呉つるの友
翠雨堂重根
君か代のたみのゝ聲に住なれてさも大やうにあさる真つる
白水郎大夫へ
松智の松にゆきゝの宿なりと人やとまらん鶴のちとせも
小針久翁女
粟扇とへたてもなみのわかの浦こゝに治る代々のひな雀
松梅金三郎丸
ちとせからさきの老木の松か枝にいくよきてゐる鶴の毛衣
便鶴高経千間へ
毛衣にちよをつゝみて舞つるはかなたへものしらなたへものし
一使草庵務守へ
歳千代をふるき咄としりなからせんたくもせぬ鶴の毛衣
連綿堂茂道へ
松か枝にすめにものとて悉ちとせけかはらぬ。雀の毛衣
蛤貝女
帋なから鶴はよこえたきものとみゆ千代の齢をへたに折ても
蓮山事裾住候
つはさをも出たにつかはす松に迄こかねを持し雀そめたき
一便有村真地方へ
難波江のあしもかれては芦田鶴のあしもあらはに立て寒けき
廿六
誠約事御代役
春かすみ引然長し久かたの首をはれ着のつるの貴衣
静風亭景吉
いつみてもわかの浦とは夕風のなみにこへたる鶴の長命
一円窓暁雲仙タイ
羽をのして雲打へまひの装束や田へおりゆのゝつるの毛衣
桂撰館船道ト千木
千代に水とたゝいたゝきのあかきのみたてる姿はわかの浦つる
紀喜家内郡山
ひらけたる名社高けれ舞つるの雲井迄のせ歌のてにをは
猿和哥真似也今
めさましきまていたゝきもあけあゝ空に日出る鶴の諸うゑ
沢軒田丸八ノ
千代へても老せぬ君の湯鶴ば君かよはひにあやかり可残し
末の的丸黒羽
一尺八の音にきこえし玉人のちよとことふく鶴の茶籠
暖簾赤面
仙人のかるこになりて雲井路をちとせ追ひつるの毛衣
辺内物好板台
千とせふる鶴のよはひの長〳〵と君か代いはふ舞そめもたき
一巻広庵元芳木沢
冬の日のゆきゝのさまよ松か枝にましろくみゆる鶴の一むれ
東雨堂登江戸
雲高く同し雲井にのほれとも飛違たる真鶴のこゑ
サ七
便昔堂世渡
成ちよを重ね着にせしことふきは苔のきころもつかの其花
菊池安直狐タイ
千年のよはひといへとよわくなし丈夫にきなす鶴の毛衣
太平舎山盛江戸
小夜風のふけいの浦のうら高く子を思ふ鶴の声そ身にしむ
おなじこゝろを
雪木庵宿成
千年も同し風雅の友かきや和歌の浦松つるのひなる
五日吾友村米人
年をべし程そしらるゝ一たんにおりかゝりたる鶴の毛衣
一一一月廿八
一一一丁
迄加混雑次下を論せす楽友亭広丸の万
梅きくらこかれて松のけふりても袂は寒き佐のゝ夕暮
山桃亭三千丈
ころんてもよこれぬ旅の有かたさ笠にいたゝく雪の山道
口切庵奈キ丸
松崎のひよけに夏やゑるらん秋はへまゐる旅の衣手
巻上土師丸へ
世のうさび藤にしれとの教訓も今そ身にしむ秋の初風
霊道奴顕流大坂
梓弓はりま路遠く群つるのすむきやすらん和田の初汐
木葉厚丸高砂
毛衣のやうに残の雪間より青みしゑくをひろふ沢鶴
一一一同廿八
迄加混雑次下を論せす楽友亭広九万
梅さくらこかれて松のけふりても袂は寒き佐のゝ夕暮
山桃亭三千丈
ころんてもよこれぬ旅の有かたさ笠にいたゝく雪の山道
口切庵奈キ丸
松崎のひよけに夏やゑるらん秋はへまゐる旅の衣手
巻上土師丸
世のうさを藤にしれどの教訓も今そ身にしむ秋の初風
霊道奴顕流大坂
梓弓はりま路遠く群つるのすびきやすらん和田の初汐
木葉厚丸高砂
毛衣のやうに残の雪間より青みしゑくをひろふ沢鶴
実道広記郡山
青紙をはりまの沖や夏の海ひかさの浦をさして行かも
朧月戊戌
処時南ふる郷いつる旅衣紅葉の色の弐を見てそ立
以文堂秀樹高崎
のへ是に鴫か岡より見渡せは日の出かしらのあかき海面
菊舎菊作丁
出るものあけをいだゝき羽をのしてあしも長居の浦の白鶴
福部屋百千
東路ははてしもなつのしもつふさ月もうきねの舟橋の霜
甘草亭甘露
吉野頃はなかめに是もまりたゝか行ともしらぬ歌の旅人
紀志津丸へ
陸奥をきりたちのほる年籠冬と春との二見にそつく
小垣内成
一盃の絵島の浦の白鶴は羽一はいに舞遊ふ也
一呉酉堂永良
夕立の空ははな着の旅餘衣いな妻形も白上りにて
白列亭芳名
行燈はひかるゝ木ちん泊りがもまくらを照す秋の夜の月
苫屋秋風
ひつたりと汗になるみの旅法衣袂をしほる有松の歌
天野都々見
され歌の友鶴屋こそたのしけれも幾代かきりもしら河の宿
愛亭琴富貴
旅人にめしませぬかと馬士の孫つけて行雪とけの道
花月楼雪人
三里余り行へかりしを又三里帰りて一夜みそ豆の月
田井比礼損
しなの路を冬奉公の旅からす手々毎々にとまる夕暮
桃枝楼高住へ
鶯のひと口きねの類枕ほうほけ京を跋に見なして
図方五九六
望月の駒ほといそく旅人は草臥ししを引のほる也
舞子浜風へ
行死て鶏の床に深ふしの枕かしまし鴨のかんきん
三十
松亭素行松代
しら河へつかぬうちよりむつにつき又むつに立様そ物うき
武歌亭杉盛左
たげたかき朝の判者とみちのくにいはねとしるき関の白鶴
一森油庵空風
鶯のひと口ものにぼうほうほうやき餅坂をのほる旅人
花月庵黒人
舞遊ふ雲井は琴の天人座かさしの花の鶴のいたゝき
尚左堂俊満
虎屋と祐成屋と友千鳥むれつゝそむし大磯の浜
通日菴
浦風に吹まくられて舞のほるてんつるてんの鶴の毛衣
衣水亭鷲湖
飯盛のすえ膳よりも朝膳にすはる左郷の声そ嬉しき
唯我堂川面
ゆき丈を継直さすも毛衣を産着の侭に鶴は千代へん
朱楽館菊丸
母の乳しのふ茶うけの梅干もしやぶりなからの旅の朝戸出
常緒庵有政
鶴のすむ松の並木の長縄手さつ〳〵と降雪のしら川
笹の屋厚丸
しらぬ道はるかきそ路の旅衣きなのめ山やき馴ぬ里
便々金炭方
豊なるしるしにめてん歳よらせふりしたみの哥の友鶴
三十一
檜弁亭造
駕籠すゞみ東海道の絵構も日先様の御かけなり鳬
百花園問九
春かすみともに立たる旅衣ひかるゝ袖もにほふ梅の木
五才村撫彦
常磐木もみとりの竹もおないとし倶に長春を千年の鶴
十八亭梅戸
十かへりの松の模林の花やかにまふてそん千代の友つる
川上亭菊戌
春ことにかさるを古今いゝな鶴正喜の御代をひき事にして
淡洲楼馬馬
一声も尋て来ませ雪木庵いつも木毎に花の宿なり
上星亭千賀江
二人連歳夜ならへし梅枕ねかつても気の合ふた官とち
秋長堂物築
手枕のうちかひ迄も打とけて肌をゆるせし様のしたしき
雪木庵
高砂の松も見て来し様の宿損にねはふそ命なりける
四方漬水
八畳に打くつろいて腹つゝみ旅はおもしろ鯉也けり
滄洲老人
宿かれは簀子はいつか雪をれて枕も辷る竹の下道
四才駒垣
はしめには護摩の灰かと聴ひしか目に入てたにゑすからぬ友
三十二
宵の桑揚庵
間に光
御国らひしき人は
のは
外樽拾ひさ
上星亭千賀江
二人連歳夜ならへし梅枕ねかつても気の合ふた官とち
秋長堂物築
手枕のうちかひ迄も打とけて肌をゆるせし様のしたしき
雪木庵
高砂の松も見て来し旅の宿損にねはふそ命なりける
四方漬水
八畳に打くつろいて腹つゝみ旅はおもしろ鯉也けり
滄洲老人
宿かれは簀子はいつか雪をれて枕も辷る竹の下道
四才紅垣
はしめには護摩の灰かと聴ひしか目に入てたにゑすからぬ友
桑揚庵
間に光
御用ひしき人は
のは
が樽拾ひさ
狂歌千年集後序
鳥かなく吾妻ふりのひろこりもてゆく
ところ〳〵さはなるはいふ一くもあらす
我しらづの流をさへ秋の風吹つたふる
事とそなれりけるまれやおのれか年こ
ろせちなりし志のいたほしとてこたひ
狂類屋老人しひて判者の列をさへ
ゆるさせたまへりかしこまりをまうすをこ
サ三
のすさみは欲の皮のつゝむに余るよろこひに
堪す四時の旅によせてゆきゝの御宿つかう
まつらんよすかにもと家のしるしの鶴の
はし書永くとゞまれらは宿成か幸甚〳〵
殿〳〵〳〵とねきたいまつるになん
文化三年寅菊月