藤川百首
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- 黄金升成編
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- 日本語
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- フジカワヒャクシュ
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- 東北大学
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狂歌藤川百首
狂歌藤川百首
『歌弁恭院ノ寄贈(垂ヲ一
以テ購入セル◇関博士
一狛野吉吉田博書
堀河百首の影は匡房卿の撰れたる故にや大江の
名におちて世々流れを汲み浪を揚る人のさはなる
也まとことは更にもいくすたはれこゝの道にさへはやく
よみ出たれはこそ雄長老貞徳正式なとせすちのえた
川せき入れたる堀河狂歌集てふふ也はありけれさりを
此藤川百首のまたくそなはれるふみ渠に名高さ
大江戸になからんは上手の手より水とこそいくめとて捨魚
のぬし外成の王神田川の氷水を出て水よりいさきよく
籃染川の水藍を出て藍よりくるはしきみやひ
人らと見かりて水道の水にそたちぬるあたりより
ほりぬきの水にほこるみくるわの外江戸川の流れを
したふ国へまてつのりぬれ也人はそかきくの色なそ
河のひとたひすめる年のかす歌は山麓に染なす江の
とはにたてる浪のかそにもたくへぬへしこれをすさやかし
に涙を揚るは別朱硯水をしたゝりて巴をゑかき
お玉か池の流を汲る主采筆水をふくみて霞を
ひきつゝ熊あへかにしのふ川のすゑにすめるおのれ
さへくはゝりて水の清く浪の花也きたるをやかて
}
ひとつのとてふ也として藤川百首狂歌集といふこの
みつの水落あちて水垂瀬の流れふたゝひ清く冠其この
纓を洗ふすかたのあたらしきには耳もあるもの聞て
よろこはさらめ也ありなれ川の浪したゝおたやかに
はらわたのあ也にしきをさらす詞のたくみなるに
まなこあるもの見てしの也さらめ也
一芙蓉根芍薬亭にしるす
定家卿
上渓鴦
たのめ
こし
関の
藤河
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
八日
春きても
結ふこほりに
下むせひ
都ら
十一
狂歌藤川百首
春之部
四方歌垣
鈍々亭
高卒年
芍薬亭
鈍々亭合撰
合撰
守川祐魚
黄金升成
輯
四鈍芍
関路早春
一十五十五
和唐亭砂守
さほ姫のとほり手かたの文字ならんしめ縄むすふ春の関の戸
至清堂捨魚
関守もたちゆく冬の膝かはりけさあらたまる春の居すまひ
与鳳亭枝成
あふ坂のせきに東のものなりとあらためられて春やきつらん
捨魚
板ひさしふはのせき国に月日星まつもりそむる鶯のこゑ
むらさきの霞をつとにあつまより春たちのほるあふさかの関
仝
和国亭歌道
ことおほき人の心のせき宿もゆつたりとけさはるのしめなは
奥信夫
うくひすのせき路をこえてすくさまに笠をめすてふ春のよの月
藍臼舎苅安
砂守
けさ春の瀬ふみなるらしはつ霞かちわたりする関の藤川
玉松庵杜近
あけそむる春のけしきはこのうへをこしたるものもあらぬ関の戸
せきもりへ、つかふあふきの箱根路や名をあらはして春の年玉
花橘亭香鳥
関の戸もひかしよりまつあけそめて花の都へとほすはる風
春さむみ水もとほさて人かけの水にすまぬせきのふち川
湖上朝霞
十八七
水うみのしほけなけれはあらひても色のかはらぬ詞妻かな
あけてけさひきそめなるか糸かけてよすちにかすむひはの海雨
独楽堂高盛
通夜したる舟ももとらて朝またき霞にこもる竹生しま山
一十八
すはのうみわたる氷はとけてけさかすみのはしをかけ初めけり
宝市亭外成
すうの海氷くつれてちり雲にかすみなかるゝけさのはつく宝市亭外成
朝またき妻のいとのはりつめてひくともみえぬひはの水かみ
十一
一十三一
水うみの水にうまるゝしぬ○いく妻やよこのかすりなからん花田亭麟馬二
志賀のうら鳶をわたる胡日類せたのゆふへにまくる物かは歌道
あま人も朝いせよとか立かくす屏風のうらの春霞かな鴨の屋浮洲
朝かすみひきすましてはきくとれて眠るやうなるひはの海雨芍薬亭
霞隔遠樹
一一一
その原やとほめにさへもこのころはありとは見えす若む箒木古海庵清影
冬かれの山の梢を八重霞たん〳〵はるにへたてゝそたつ芍薬亭
羇中聞鶯
一六十五
梅の木につほみちらしてうくひすの声のたて場におろす猿駕
一一十
信夫
ゆくさきもさためぬ格にうめさきて宿をしらする尊のこゑ藍臼舎
もろともに古巣をいてしなか棺によや籠なるゝうくひその声芍薬亭
隣家竹鶯
十六七
うまれしかとなりの藪にはつこゑの玉のやうなる鶯をきく
陶々亭催馬
あこ露の玉とやめてんとなりから竹の葉つたふ鶯のこゑ八木亭満守
三たひま伝かへたとなりにふみこのむ梅よりゆかし竹のうくひす捨魚
露君けきとなりの竹をゆすふりてはしきおとせしうくひすの声
香鳥
坂とわりやとりし竹のはにつゆもすへりおちしかうくひすのこゑ香鳥
春のさし東となりにをとの子のこゑうつくしき竹の鶯芍薬亭
田辺若菜
さし柳めをなくあせり。つむせりも糸のやうなる根はおひにけり
君かためわかなつみぬかよろこひはつゝむにあまる袖なりの小な振吉
かへりなははこやつくらんつくはなのすそわの田ゐに著な橋子ら藍臼舎
十一月十一日
言わかみまた苗しろもせぬ小日のわはしろたへの雪間にそつむみ文字数載
うしるとき双へる夢の小笠よりしろれ田の雨の根芹をそつむ芍薬
野外残雪
一五十三
日をよけて野中にたてるかさまつの木かけに丸くのこるしら雪
むら〳〵とめこれる雪は春の野に下もえいつるきくのきせわた
むら〳〵とあこ折る雪は声の野に下もえいつるきくのきせわた花源楼菊成
のこりたる雪にそろ〳〵うらきに逃水となるむさしのゝはら
わかくさもおひけりをのゝ春のかせけのこる雪のあなめ〳〵に
むさしのや野すゑにのこるしらずは月のおちたるあとかとそみる
みそしよりおひかけふれはむさしのゝ逃水となるはるのあわゆき和順亭国住
八百里ひにおはれけんむさしのにちひさくなりてのくるしら雪
はるのその色になつむかまた水にかくりもやらすのこるしら雪芍薬亭
山路梅花
さわれし山竹にうめのひともせはやつこの花に宿やからまし清夫藍白舎
山ひめの雲の言にたゝみこむにほひふくろやうめの下かせ春日亭長人
十三五一
山もりよをりとる罪を身にかふりかさすもゆるせうめの花笠
たんくとつほりてみれはふもとよりにほひもたかきみねの梅かえ
川越
一くたひれて・杖をそほしき山みちにつくはうれしき袖のうめかく
みねこしてはなはみえねとさくうめのかをりはみちのしをりとそなる
ゆきすくるわれをや山のわらはなんさけるうめにもこゝろつかねは
をりそへしつま木のみちをますらをのさきかけをしてくたる梅から
梅薫夜風
風さそふうめかゝつゝむうらしさはかさぬし夜着の神の大きさ捨
十一一一一一一
うめからをかせかはこへはあつ手かゝにかゝるもおもきはるの夜花木亭妻蝶
やとりぬる庭のうくひすこぬよにはたつねてありくかせのうめかゝ香鳥
いたくともねかへりはせし手枕の身にかへられぬ風のうめから珍々亭原成
上毛前橋
つれあるく風かあないのかをりをはとらめてもなきうめの夜遊東邉舎一代口
すかまひの梅のありかは黒うらのやみにもしかき野路の安風芍薬亭
水辺古柳
五十程川いつきの宮やとしへてもおなしすかたにわかきあをやき捨魚
水上へかけをなかしてよる耳をわかかつらする
おいぬれは日こと川辺にあをやきの糸をたらして心やしなに和琴亭松風
花木とはみえぬめもとやから花給ふはり川のあをやきの糸歌道
青柳の三たひ給ふれとまたくれぬ春の日あしもさるさはの池芍薬亭
雨中待花
堪忍舎二字守
はる雨のぬかのなかにはましるやとこゝめさくらのはなもまたるゝ
ふるあめにさしむか花のむすひたる紐とくうちのまち久しきは福邉庵鶴成
武寄居
さく花をまちくたひれて雨の日のひるねにもまたみるゆめ見草
五常亭真守
かそいろの雨にはこゑのあらすともくちひるひらけ庭の初花
一庭にさくはなをまつ間のなかめにはさうしそひらくはる雨の宿
はるさめのほそくなれるはまつはなの糸さくらよりほくれそめけん
まちわひて花にこゝろをくたくなりこな〳〵にふる庭のはるさめ
ふりそしく雨にめくみて京水のきれなは花のほころによかし捨魚
薄よりまち遠しさに雨の日もまねきて同人はなの山守芍薬亭
野花留人
十一十
春の野のさくらのはなにたちとなる人のあしにも根のははしかも香鳥
花の鳥見あくる小野にたひ人のあし跡にくきえたのわらくつ春日亭長人
しつの女もこえかねて時をうつしけり野沢の水のはなの鏡に芍薬亭
遠望山花
七八八
とちけれともしくめにそつくはなる男女のみねのはつはな不尽貞俊
〽遠山をなかむる文のゐねむりはこゝろやはなにかよふなるらし
はる妻はしにかゝりてこゝろのみたくすゆきかふ花の遠山捨魚
こまひきて見わたす山もとほのりの手つなに霞む花の白あわ
とほめにはこゝやかしこの山の名もわかぬはかりの花のしら雲
花と見てはつせは山の遠めかねふたゝひかゝるうたかひの雲
古郷夕花
ふるさとはよしめゝ山しをつきのおほくとひくる花の夕くれ不尽亭
夕まくれわかふるさとへおちつけはときこゝろよき花の下紐呑吉
さくらはな丈はそたことむかしみし春のゆふへに庭の面さし芍薬亭
暁庭落花
あけからすわたる羽かせにさくらはる梢はなるゝしのゝめの道捨魚
あかつきの庭にちる花は月笠のかたふくときにおつる雪かも
あかつきの花もみたれてかひ静のはたゝくかせにふゝきたつ見ゆ柳葉園菅蓑
あかつきのかせにのこるは鈴はかりからりとはなのこすゑはれゆく
よこ雲の帯のもやうのうつるめちりてうかめる泉すゐの花廓重繁
ちりしきて庭よりそ夜のあけけるさくらの枝もかけのしたり尾芍薬亭
河上春月
かけうつるかすみのいかたひとなかれ月もかさきてくたるやまつ
かけうつるかすみのいかたひとなかれ月もかさきてくたるやまつ錦絲亭綾織
良川かすみていろのおもたさは水みなれせぬはるの月かけ二字宇
からのみかみれはひとへの紙や川水のうへにもはるのよの月芍薬亭
深夜帰雁
七八十
さすかまたひるははなをやみすてかねてよふかきやみにかへる雁うね捨魚
天てらす日の出白またて戸かくしの山をこしろにかへる雁かね芍薬亭
藤花随風
暮かつらさかれる花をあやにとりてうちかへす風や上さとなしけん捨魚
かせの手に花をもたせてあらそはぬふりもやきしき庭の藤沼国住
寄居
百花堂兎雪
末にまとふつるとはあちらこちかせにまかせてそゐる藤のはなふさ
松かせの琴のしらへにまかせつゝたちまふ子ちの花のふりよさ
武熊谷
涼風亭岩守
柳よりゆるしのいろやとりぬらんかせにすなほな藤の花ふさ
川越
ふきおろす風におはれて垣こしにとなりの夏へにける藤なみ
岡栗庵阿夫参
水にうつるかけさへ風になひき藻の根すりのいろの藤のはなふさ
橋邉款冬
十二七八
山ふきの花にくるへる蝶いくつまた見さためぬうたゝねのはし
未守
やま少きの花のきときをくみあひてむかひへ露をわたす猿橋
寄居
兎雪
丸木もてわたせるはしのゆきゝにはみもならぬなり山ふきのはな
あとゝへはむかしなからのはしに今くちなしとみる山ふきの花
さきみちてを川のはしのぬの板をうわんにそむるさしの山吹捨魚
さきみちてを川のはしのぬの板をうこんにそむるきしの山吹
さゝやきのはしのあたりの山ふきはものいはぬ色のそふりみすらん
至考庵在貫
天分をのせ月をわたしていさゝ川いくつもはしのかゝるやまなき
菊成
十一
一十二
すくるかとこはくわたる丸木指露をなかけそかせのやるふき西山樓
板はしのひそりしもとにやらふきのくちなしいろやうつむきて咲長人
妹に似し花のすかたのよりそへは男はしうも色にそみけり芍薬亭
舩中暮春
七十七
をしめともをしむかひなし舟人のはるをとゝむるいかりあらねは国住
最上川ひきとゝめてもいなふねのかふりふりつゝ声そくれゆく呑吉
ゆくはるをなくとめぬそととこへまたかゝらうしまもなき沖は舟数頼
こく舟もしはしこらにさをさしてとめておきたきけふの春の日香鳥
朝かせにちりこむはなとのり今に春の出てゆくきしのとま舟
春ははやかへらぬもとなかれゆくをふねも夏へかたふきにけり捨魚
ゆくはるをむかひの夏へわたし舟あとへ四五日こきもと声かし
砂守
ゆくはるのこちをまともにうけし肌も西へかたふく夕ひかきふね砂宇
り舟にひけり妻もやふれ個をしやにけゆくはるのいろうす内印堂七葉
夏くろも白たへの帆のしたくして春の湊を出ふねせはしき芍薬亭
夏之部
卯花隠路
さきかくすはたわくる手にうの花の雪もつめたきわちし給へ石挑人
左右よりはたのたちみてしつる家のかよひちうつむうの花の方数頼
燈籠にかよふ。有しる駒下駄もふりうつみたる印のはなの雪芍薬亭
初聞時鳥
壁堂耳在
ほとゝきすふとめつらしくきくあとは噂はなしのひゝく高こゑ壁堂耳在
唐縫舎糸光一
月かけのさしむかふとき一声はほしをとひこすはつほとゝきす唐縫舎糸光
一十一
うしろからはつねきかせてほとくさすふりむくうちにてかくれせり香鳥
飼鳥にならぬものから滝耳もきけはわすれしよはのはる声芍薬亭
山家時鳥
一七十二
川越
言をさけしこの身の友そむら雲にあとをかくしてなけ時鳥岡粟庵阿夫
一十八
ほとゝさすいくらもなけはいまた名もきかぬ人くる山家めつらし貞人
ほとゝきすとまりてそなく日かへりにかへられぬほと遠き山里芍薬亭
池朝菖蒲
七十十
酒にまたひたさぬ池のあやめらさ。しへるはかりに匂ふあさ風珍々亭糸成
花あでめ朝な〳〵とくさきぬるは池にねぬなはのあれはなからし不尽亭
池水にぬるゝあやめの胡露はおのかさつきの玉にさりける升成
ほんのりとあからひきたる山の根をけさはあやめにうつす池水
閑居蚊火
ふす人火にはら〳〵雨のふるほとの蚊をもしのける松の下為在貫
ひとりゐは人さへよせすむれて問ふ蚊もうるさしとくゆるかやり火捨魚
より人をいとふいほりに蚊のこゑの耳うるさしとたけるにすへ火外成
立さわくこと。こそなけれ風たるもとひこぬ軒のかやり火のかけ芍薬亭
盧橘驚夢
梅のかをれる風のわたるときむねとゝろかす夢のうきはし香鳥
たちはなの香にさそはれしたましひのはなより入て夢はさめけ
杜五月雨
まとりすむうなての杜の下くるも水くゝるなりさみたれのころ舎笑庵道列
寄居
けにいく日なりつゝきてはゆきらひのかる木も見えぬ杜のさみたれ丁々亭金道
しもとよりうさるのもりのしつくにて人のうたるゝさみたれのころ柴亭
野夕夏草
七五七
むさしのゝつりかね草のねをわけてはやつきいつる夕くれのそら萬松亭年長
野をりゝかわらへすゝしき草笋に清水とほしてふける夕風楽聖庵光丸
夕つゆに月はやとせと鶉にはかさぬ坐かりかとと夏のはれ薬亭
濶底蛍之
十五十五十三
伊豆山の石きりおとすたに底にひかりくたけてほたる飛かふ升成
七十二八
ほたるとふきひの中山金入の帯おるやうなたに川のみつ枝成
やみにゆくさつをかほくし飛ちりてほたるかすますたに川の雨
下いほをてうすほたるをともし火とふみ見てとほる谷のかけ橋歌道
丸木はしいつしかくちて光り木やなかれわたりのたにの反むし芍薬亭
行路夕立
玉松庵杜近
かくはかりぬれしといそく夕たちにみちのほこりはおちつきにけり
夕たちにふりこめられてゐるうちにあつさはいつちはゝれ行けん
かけてゆくわれよりさきへ辻堂にはねあかりたるゆふたちの雨
かけこみてたゝ壱本の笠まつに人のあまれる野路のゆふたち
いなひかりするか半紙や不二のねをよこにきれゆくゆふたらの雲
夕たちにつしの水うりくみて出す茶碗も盆をくつかへしけり
ゆふたちにちまたののれんうちなひきまね〳〵かんのこそる軒下
つれもみな山のはいつる蜘の子のちり〳〵となる野路のゆふたち
この野路をこしてかしこのさとまてといそけはさき也まはる夕立
川越
ゆふたちのさしかゝるをもしのかんとしはしやすらにかさ松のかけ
山まちに雲かゝりては人さとへはやくこさめらいそくゆふたち千里亭角文字
傘のうち神田よりなかむれはたちかひにふるゆふ立の雨芍薬亭
夕たちに蔭夏の野はうき雲の袖しほりゆく露めしたみち鈍々亭
秋之部
初秋朝風
十五八
泉水におちしひとはを舟となしてむかひめきしへわたる秋風和琴亭松風
あさいする類にさはれる蚊屋のすそひやりとしたるけさの秋風
いきたなきあさねつ床にあきゝぬと蚊屋うこかして風そ告たる東東東夷庵古渡
はたぬきしき給ふのくせをうしろからなほしにきたるかさり秋風貞人
葉のすそをかゝくるやうにふるあけて秋のあさせを渡る詞かせ捨魚
しまりよく身はかたすれとからさ桐のひと葉はもろき秋のはつ風国住
あきるつといふはかりにてくちくせのあつさわすからけさのはつ風
身をなてとられはみそきの麻しゆはんがきはひやつく秋のはつ風芍薬亭
閏月七夕
とりいた後にそてもまためかるねつまふたつの星にふた夜かさいや升成
ふみ月もとしにみたつのほし今の空はれわたれかさらきつはし鴨の屋浮洲
一度より二度とはいとゝめつらしやいく年ふりのほし合のそら芍薬亭
野亭夕萩
夕かせにそよ〳〵萩のみたれ髪野もりか鏡あるにかひなし二字守
あつまやもゆかりのいろにそめなせる江戸むらさきの萩のゆふ香芍薬亭
江邉暁萩
よふ舟はまたきにくらくこうり江の風にこたある岸のをき糸蘆庵一馬
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ねそひれて入江のなみとあくるまてさわきうらする風のむらず芍薬亭
山家初雁
はつかりのこゑふきよする山かせにかれえたもちる軒の杉むら栄錦舎小萩
山賤かおもふところへかけはしをわたしそめたる雁のひとつら芍薬亭
海上待月
十八十
まちうけてのほ折る月のうれしさりとひつくやうな沖の立浪不尽亭
てる月のかけをしまてはわたつみの波もいひ上るやうにみえけり升成
月まちて絵しまの浦をなかむれはいろとりかゝる沖の薄雲千里亭
月は出ぬおきよと舟のまくらへりたゝきてまはる湊江の浦浪不尽亭
さしのほるかけは今やと舟よせてまつ梅杭は月のやとり木菊成
かゝり船さしむかひなる海雨にまたるゝものは月のすかたみ芍薬亭
松間夜月
十五七
よりあけしくふしに月のかつら男をうたせしと嶌は松にとりつく砂守
おとろきて鶴やしらんえたをうつをのよりひかる松の月影捨魚
落りすははらひおきしかてる月にめさきうるさき庭の松かえ龍田舎山角
殿はさもあらはあれ月をもらしてはひと位ます松のはたふり芍薬亭
深山見月
くみいれしをけ一はいにうる月の水いたゝきてのほるみや雲路花楽亭亭春人
なきもせてさひしき秋の山鳥やをさきに月の鏡かけても芍薬亭
草露映月
月かけのやとるをめてゝ鈴むしのふりもおとさぬくさの葉の露楽聖庵
はれわたる月のひかりをかりそめに星をふらせし萩のうは露耳在
月星にひかりをみへておもしろや千を生にかけるあきくさの前芍菓亭
関路惜月
内かけもなほとしまれつ板ひさしかたふきかちのふはの関屋は不尽亭
せきもりもあきれて見やるはかりなり手かたいらすに入かたつ月粟窓藤浪
もる人も月のかつらの蕎き木にこゝろのうつるうくひすの実芍薬亭
鹿聲夜友
遠山のこそにもをらてかせんとまくらに近くよるの鹿の音呑吉
まつ風のことはかりきく山住を音をしる友とおもふさを鹿芍薬亭
八七八
田家擣衣
川田にも今はいなはの雲はれて月にみのいる残かよきぬた
霧戸にうつ残かきぬたのひらきにもこほるしはかりみのる橋の橋捨魚
うつおともいくよへぬらん村をたかたえぬ薬亭
古渡秋霧
あふなきよむかふもみえす霧ふかくおりてはのほるかこのぼり瀬呑吉吉
たひ衣砂のわたりの紋所ひなたもみえすにし山川きり芍薬亭
秋風満野
おしなへて野にはしなせるあきうせに頭のあかる草とてはなし西山楼
さわくな萩かはな妻をみなへし女はかりのあか辺のあき風捨魚
あきかせの野へに一はいひろかりてのうかあつさのゐところもなし川舟
千くさのみよこにねかしてむさしのゝ人たちさわくかきの秋風香鳥
八百里藪にすしきにむさしのをふきしほるすゑやふしの風穴捨魚
なにことをいひわたからん野末まてくさのうるつく秋風のこゑ芍薬亭
}
一月十一日午前
籬下聞虫
いはら垣ねにきゝほれてたちよれはつい手をさせときり〳〵すなく捨魚
袖垣をふかひてみれは音をとめてとこにありともしれぬ鈴むし芍薬亭
紅葉浮水
池へまく菓子に桃鯉のあつまりてうつるもみちの数はそひけり捨魚
ゐのさらすなかれに影をひたしては私をそめぬくきしのもみちは不老園
おちあゆとみれはもみちのちりうきて水のさひたるあきの山川数類
青うなはら枝まんこしゆとみるまてにいそ山もみち影うかひけり捨魚
もみちはのにしきなかるゝたつた川中たえぬほとにわたれ山風千里亭
川水にあらひ朱とみんそめいろもうつれる類もあさきもみちは芍薬亭
山中紅葉
西方亭道成
わけいりてみるや山から山からのもとりわそかしあきのもみち葉西方亭道成
そうかへり人のみからしもみちはの日てりのつて板しきの山不尽亭
みねおほふりみちのにしきうらしきはありてかひなし秋の山寺歌道
たをやめはとゝめつれとも高雄山ふかく白色にそみしもみちは芍薬亭
露底槿花
夏もよふそらもあふなくひるまてはもちさうもなき客のあさる独楽堂
つかの間もなかめもゆかし霧太刀のなりの玉おくあさうほのつゆ
河邉菊花
七十十二
おつる小川のそこのさられこうつりしきくのほしやなりそん捨魚
にとせふる川ても倒とものかはりほしうるなり白きくのはな清影
谷川にうつれるきくの星かけをかくすいかたはかせのむら雲数類
堪に寄やらんと花のかはかみの水とゝひあくるさしのしら菊香鳥
秋きくのはなをうつしてなかいきのかゝみとなりし谷川の水芍薬亭
十十十
独惜暮秋
ひとりのみをしめるそうにをつきの月も出てこぬ秋のわうれろ捨魚
おさふるもならぬ手酌のひとり酒露ものこさすあきはくれゆく仝
とゝむれとこのみひとつの力にはふりむきもせぬあきの色鳥芍薬甚
くれてゆく日もはおくらん山のぬし我ひとりこちに秋ををし給は鈍々亭
冬之部
初冬時雨
十五十二七
しるへするしくれのあしのさたすらてけふなし冬で立まよふらし捨魚
神しおくりとこまてせしそはつしくれ今ゆきし雲のはや戻りか独楽堂
十二七十三
冬の日にけさはうつろふしらきくのほしふたつみつ見えてしくるゝ
山長園真仲
かふよりはしくれそめたるかり衣の朽葉やさそにむら雲のそて菅蓑
十六一
神〳〵のなすをはたりとけさ風もしくれの雲も立さわくなり香鳥
はつ時藤柿の葉はさそ傘の沼池のめさへ色はそひけり芍薬亭
霜埋落葉
十三七七
こゑたてゝかせとおちはのあらそふをとりおさへたる夕こりの君花楽亭春人
ふりうつむもみちは秋の色もなし八重さく霜の花にとられて東夷庵
八七八
冬わかき風の木のはのさわけるを霜のおきなのとりしつめけり捨魚
もみちはのつもれとうすくあと見えてとうふの耳に庭の納霜川舟
こほりゐて木々のおちはもうもれ木のはなさくものは庭の八重霜月花永女
ちり敷る庭のもみちはうつみ火に灰かけしくと霜のおきけり満升
ちりつもるもみちは常の高まき絵なし地のやうにおけるあさ君麻木亭桐正
山ひめの木の葉衣を飛るしとおしにおくらん夕こりの芍薬亭
屋上聞霰
木まくらのかたねの舎草さめて耳もいた屋にあられふるおと催馬
死ふ音はあつまる秋のいなこまろ窓うつあられ歌もたかはす芍薬亭
古寺初雪
よのちりをすてたる袖もはらはしな遠めつらしき花の山寺菅蓑
川せんのとうふににてか南禅寺ひとくちほとはつもるはつ重雀躍園琴成
さゝなみや志賀の山こらあれにしもしらぬ花よく枝の初雪外成
そめよりも先たつ雪をなには寺六ひらの花の兄とめからん芍薬亭
庭雪厭人
とひこんと雪見の状のへんしにも常をいとへるあして文字かく鈍々亭
暮なれは死石つたひしめきりて有しるへにはさせぬしをり戸芍薬亭
海辺松雪
一一一
あらうみのいそ家のまつにふりつみし雪をや波の花しほとみん呑吉
きつみてちわめる枝は赤極しほになひてたつとみゆるから松芍薬亭
水郷寒芦
十二一一
あちのすむすさの入江のかれあしははおともさむ〳〵風にさわけり呑吉
菱の実の角くみもせぬなには此もわたれはいたきあしのうら枯芍薬亭
かほゐ川よするもみちの手よりまたくたれあしや風の立かれ銚々亭
湖上千鳥
湖上千鳥
八五七
さよちとり友よひつれて矢橋から大津かよひにこゑさわくなり川舟
一一十
からさきのまつにたすれとひとつとはみえぬ君夜のむら〳〵に専興楼ともゑ
たらさわきかほもみせぬはめりとにもしほなるこしみの群文なかも芍薬亭
寒夜水鳥
八五七
寒けしな酒のとくりのころりねて夜かせ身にしむ白鳥の声のあり北斗庵一樹
よくきむみちゝめやしけん池水にうきゐの鴨の足のみしうさ神田居
あたらまからすりにせぬはよもすうら耳につめたき水鳥のなら芍薬亭
歳暮澗水
七十十
らるとしとくれゆく年のは交召にこほりはあつくはるやまつらん敵道
十五一七
岩にせく谷の下水こほらぬもあとへかへらぬとしの波かな捨魚
七八五
なかれゆく年のせまくらたに川の水もこほりてむすひとめてよ升成
くひすとともにはるをやまちめらんこほりて今を出さぬさぬ筈川芍薬亭
恋之部
初尋縁恋
うき人にみにしありまの草のかさよしとうけあふなかたちかれ舞楽樓
もそれたる糸をとくをりおもひそめてえにしのはしそ先たつねける捨魚
かたまりしむねのおもひのうちとくる縁の糸口たつねそめはや
間声忍感
なまなりにこゑはきかしと耳にさへしのふのこかつも神のおほふなり
そのこゑは耳にいれともめにいるをしのへははひりかねし門くち
うき人のわらへるこゑをきくよりも耳をおかしとたのむ仲立
せきはらひきくにつけてもしのふ身はいきをこもらす胸のくかしさ
かひ鳥はたゝそら耳にうき人のこゑきくとりてゑつほにている
いつ石のものいひそめんへたてたる壁のみゝにはこゑをきけとも芍薬亭
忍親服恵
かなし根のはらからにさへしのはかれつらなる枝とちきる中をは捨魚
よしやまた袖はぬれて。人のめになみたふかうこみせぬせつなさ綾機
なれさりのつまにもふかくかくし重喚つけさせぬにそのうつり香芍薬亭
祈不逢惑
えのしまの神やたのまんいはほさへいられはあひしためしある世に東夷庵
いのれともあはねははらをたつめ耳むすふの神よきこえさる神歌道
いのりつゝかよへといもにあひもせてまるつらきめに我をあはせり杜近
いのりても神はうけすやひとりねの夢まくらにもたらぬおもかけ芍薬亭
旅宿逢恋
山長園真仲
川とめにろふにうれしきたひまくらいもかはたへの雪とけもして山長園真仲
あふよはゝみしかきうへにみしかきよはやおきをするならの猿宿一馬
くさまくらかりのちきりも居風呂をまつるくらせてみたる湯起後芍薬亭
兼圧暁
まつ雪のかねていとへはあかりきのとりこしくろうせぬ時もなし呑吉
したりぬるかく。れ共とせんおそくにのあくる東の山もとのさと芍薬亭
一帰無書恋
わかれこしおやのとこよのこひしきになくさむ雁の玉つさもかな捨魚
奥信夫
藍臼舎
わかれての後のちからにまつふみのなきはあるよといふしらせかも
鳥のあとなき。をとかめは鳥またてかへり公事をや妹のつそん芍薬亭
遇不逢恵
一十八
りたるよのふところ焼ふたと身をとりかはすのちあらす成ぬる捨魚
貝おほひあひにしことはひとよにて須磨とあかしにへたつなしさ
またいつとやくとくかたきことのはのよりのもとりてよわる玉のを芍薬亭
奥経年恵
一十八
あひみんとちきりしふみもとしをへて墨色さへにうすく成けり西山楼
とりかはすのみこそとしをふるふみのしわになりたる類も恥かし鈍々亭
三とせまてまつたにあるを実うゑ粟咲てもはなのなかきかね言葉亭
疑真偽恵
湯起情をとくいなむはあし鼎わかぬこゝろのそこのつめたさ独楽堂
入ほくろあらはみせよと女をもまくり手にする木曽の麻吉芍薬亭
返事増意
こひの海いよくふかくなりにけりちひろにあまる多のかへしに捨魚
かへりことうつくしき手をふところにいれてすくさまいもか玉つた道列
うき人の返事をこせしうれしさにかみもきらなん給のふうしめ香鳥
すみつきのよきへんしにてうれしさはかみかけし筆にます思ひ哉升成
返事みるそりときおもひよし水にうきをゆなかす恋の渕かな二字守
かきそへし下のひらくのを又年よりおもひそまさる月の丸かほ芳葉亭
●被厭賤意
おもひさへとゝかてたかきあた人におとしめらから賤の身そうき捨魚
思ひくさはうふかひなや折腹よりいとはれそめし肩のわるさは芳葉亭
途中契恋
十五一十
白糸の外の色にはそまるなと有のちまさになきわかれけり不尽亭
十二十二
めくりあふゐての下ひも山ふきの名もゆかりある出茶やうれしき
ゆきあひて有とふふりにかたらへはかたへの人のゆひさにもうし
まはりとほきなかたちよりも行あひていひかたらふそ恋の近道
十七一
うれしさにいふことさへもあとになりさきになりつゝほのめかしさぬ
人しれす有にあひてはかならすといひてわかれのときも嬉しき
ものいみのありまさりと淘瀬山いひてわかなゝはなのえた有
從門帰恋
十三八八
あく苦め戸はあきもせてやくそくのはつれてもとるよはそ物うき香鳥
七十五
門口へ忍へとかへるくやしさはたゝかれもせてむねそいたむる
一七十
あひもせてかへるや門の角大師しのふと人ににらまれてより
門の戸をかたくとさしてかへせしは人のこゝろのさるやうるへる
おもひきや門の戸うちへよこに入る月をうらみてかへるへしとは呑吉
たくけとるかたくとさしておとなきをむねにうたへてかへからるしき川舟
やくそくをくひちかはせしそき竹にしのひかへしのなそ〳〵そうき芍薬亭
忘住所恋
錦木をとりいれられてめしるしのなくてあふよの門違へせり西山楼
恩の山たとる六をりの所書おとせはあはんわちはたえけり芍薬亭
依恵祈身
七十六
ゆみとつるあはぬ花をもやはた山命をまとにかけていのらん不尽亭
売綿といはるゝううにあふちゑを百度まなりをしても行らん芍薬亭
隔遠路恋
みちこほき君のことのみおもはれて日にくたひれはまさるゑやみ耳在
十八一
いせと日合へるつ恋侍にさましひをいれかへまとのいさめうたてし不尽亭
へたちたるなみたの海にちりつりか山をもこえてまくらはさん香鳥
おもはすにちかひにたてし海山をはなれ〳〵にすまんものとは芳華亭高亭亭
借人名恋
人の名になすりつ○そんやるふみを見出されしときの類つよくれは千円
かよへとも名をから衣のしのに摺すそさらしにてあふよしの花芦葛蘂亭
絶不知恵
一一十一
みそめてしすかたの花はたえて誰か家さくらともしれぬ冬かれ捨魚
たん〳〵に遠さかりたるいかのほりきれての後はあふよしそなき
うる。恵のやみにねやあふ事のたえてあてともしぬくるしさ鈍々亭
互恨絶恋
にてのかさふたつにわれてもろともにされものとなるゑみそくや
いれはくろかたみにうらむ胸の火のうつる艾にうき名えけり楽聖庵
七七五
たまつさのはしもたはしはもろともにうらみのみちやふかく成けん捨魚
かたみ先いのちかけ碁もいつはりをうらみてたゆる石の音つれ芍薬亭
雑之部
暁更寐覚
ねさめしてかいなつ髪もみたれ鶏つけのをくしのあかうきり宿捨魚
さくらかり見はてぬゆめにともし火の花まてちらすあかつきの鐘甚
薄暮松風
すそかれは雲のふくろにいるゝとてひきしまふらんまつ風の琴捨魚
かしましき夕とゝろきにつまかこのしらへもわかぬねかせの琴今
我なれ松うたふもまふ也人にて声せはしなくなり
両中緑竹
いまはまたいさめのつゑになれよとや夏もつよくはうたぬなよたけ独楽堂
いなり山前をかりし雨にまがの玉くたれはのほる竹のおきふし楽聖庵
くれ竹のみとりはことに色ましぬあゐなす雲の雨にひたりて捨魚
雨の日もそめやか門にそら色の見本をのこす竹のひとむら
浪洗石苔
十二十七八
苦衣あらひてしほるときならんねちれて岩にあたるあらなみ
十三八十
崎の岩のみとりの石あらふたひ海苔をもつけてかへるしら波道列
七七七七七
いはほにもき古してけり苔衣あらひはりするきしのしら波
あら磯にこけむす岩をあらふたひ星かとなりけり波のみつ玉呑吉
藤川百五斗
とろ亀の甲ほす岩のこけ衣よこさしとてかあらふしらなみ歌道
いろあけもあらふもなみにまかせたるいはほの苔の花そめのさぬ芳薬亭
高山待月
十六十
月まちてたかねにたてはうかさくもまたにもとよりのほるうきり捨魚
あさ間山月まちわふとおほそらへとゝくけふりにことつてゝまし
まちわひて子立杣の月の出におほふな雲のすみそめの袖芍薬亭
山中瀧水
七十二八
松かえのこふしもそへて岩角のかたにおとあるにつみの眺歌道
このうへはなちの山路にさひしさの一はんなれやたきつせの音砂守
獅子の毛のことくに水のうつまきて谷へけおとす山の浅つせ松桂園曽立
世のちりや耳のよこれとあらふともみぬもの清し山かけの風数頼
一一一
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かけひにもひとすちわけて山かつか命つなひくたりのしら糸
歎しらぬ人すむ山かをしけなく玉をなけこむたきる先波捨魚
玉川にまさるしろさはそのむかし誰がたつくりのぬのひきの晩歌道
谷川は水からくりのみなもとやくたけて玉のをとる蹴つせ芍薬亭
河水流清
十五七十二
調布もさらさぬよその月きよみ雲をひたしてあらふ玉川捨魚
にほふまてなかれも清き梅津川すくもうつくし水底の石川舟
なか〳〵に魚さへすます投あみの岩間をもるゝ水のすゝしさ芍薬亭
春秋野遊
はるあきにこゝろひかるゝ坐あそひや子日の車くるまこほろき捨魚
春のなにとらへし雉の羽色をも花にうつしてめつる秋草楽聖庵
すみれつみにひとよねにけり秋の野はふすなの床となれる萩原升成
わかくさのふとんも黄の花わさもゑひてはおなし野路の寝心芳
関路行客
桜つかれおもてうつせはあふ坂の関のしみつもやせてなかるく捨魚
鶏の村にあくる里路のこみあひてはかるほとなる三千の客数頼
たひ人も下をれすとや名にたらんこしをからむるかるかやの関芍薬亭
山家夕嵐
入あひのかねの音まてを山かせかひろひておとす谷の下いほ砂守
夕あらし雨戸のさるも飛出してきち〳〵といふやまのした房富貴窓花丸
夕まくれうきよにすねてあらしにはつねたらかるゝ山の松の戸呑吉
ゆふまくれもらしかきそはわすれたる戸もしめさら山住の房杜近
一
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
}
濤のおとなすあらしもうこかぬは新端の松のゆう月のふね芍薬亭
山家人稀
十二八一
きゝなれぬ人のあないをきゝなれし風かとりつく山のおく住捨魚
七七七
山ひこにこたふるこゑはをくして人あしとほき谷かけの為国住
とふ人のあとはたゆれと山住へ名もしらぬ鳥のおほくむれくる呑吉
けふて三日夜めつらして山住か門をあられはさるのひとまね長人
住あれて孫ひさしさへなき唐にかよへるものは山ひこのこゑ
海路眺望
十八一
あまのめもおよはぬ沖の木のはふねいつ手のもとにこき帰るらん
あまのめもおよはぬ沖の木のはふねいつ手のもとにこき帰るらん三度庵粟々法師
一七十
なにはかたかゝれるふねのほはしらはいつにつのうむあしとみゆらん浅崎庵花満
久かたの空かまかのふしん紙はるかに沖のしら帆ひらめく
花実亭常磐
葱のいろするかの海をゆくふねや天二の白根を不飽みからん芍薬亭
月羇中友
一一一
三千里はさららえをときあないして道もあかるくあゆむなか様鶴成
友となすかけも雲ろつたひつかれよことにめたつ月の面やせ捨魚
有連の月にわかれてたん〳〵とわかるはかりなかたひそうき芍薬亭
旅宿夜雨
九七八
松風ときゝしたひゐのよるの雨鶴はき高きあすの川こし楽聖庵
松見んともらぬ家にもわた人の立さわきけり雨のから崎芍薬亭
海辺暁雲
雲の袖中をはなれてあくる時ひきとむるやうに波の童ゆ捨魚
誰かひけりめかま硯の方ならんむらさき石とみたよこうゆ芍薬亭
}
「夫河夢無常
よきゆめもつゝみはおかしなかくに三日のうちとしらぬ。我身を捨魚
いつの夜やわたりをさめとなりつらんかけ流しなる夢の浮鳩芍薬亭
寄草述懐
十六
たれかひく六日のあやら世の人のうまにはあはぬ我身なりけり捨魚
日のもとにそたつ男の性根草から衣にはつかしとそおもふ芍薬亭
寄木述懐
十六七
川越
えたはらふ木〳〵よりおのかふしくのたかくなりたる老そくやしき
ほそくよをわたれる身にも花さりんひかけの桃のなかさうちには琴成
つゑなくはこしつよろめく老か身をいへのはしらとたれたのむへき川舟
川越
老くはし身はかれえたよ床の間にいけるかひなきよの中そうき
和船亭玉留
桃の木と身を。なしてまし三千とせもつきほのうのり花を詠めん芍薬亭
逐日懐旧
一五一
昔おもふ老のならひは子等にせてとはすかたりに日をやおくらん呑吉
くりかへす日次の帳のわかさかり股ひとつなき昔こひしき芍薬亭
社頭祝言
一十五八
ゆたかなるよはよきほとに雨風のゆきちかひたるちきのかたさき楽聖庵
世とともになかくつたはる神垣のまさきのかつらこものはの有呑呑吉
君か代はなにも髪もし神垣に玉くしのはをさしていのれは
らす前にをさまる御代のしるしとて太刀は箱根の宮ゐたらふとき鈍々亭
一夜さにまていく正月をこすやきた野の神の門松芍薬亭
狂歌藤川百首終
5227
五
八日
□□□□
白井
瀬右衛門