狂言歌仙畫像集

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蝙蝠軒選
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蝙蝠軒選
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キョウゲンカセンガゾウシュウ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狂言歌仙画集 神歌堂撰 凡廼屋 文庫 蝙蝠軒撰 以テ閣入セル▽関博士 資本専吉氏善蔵画 狂言歌仙画像集 會主真金堂吉備丸 おさへ〳〵よろこひ ありや いとよろこ いとよろこ はしき 春を 仙タイ いはひて 千 菊 十三 佐保ひめも つくらん 人にけさ よろこ はれぬる 春の 春の来ぬれば の来ぬれは 一花ひらくれは天下みな そにお 春となれりけにおも 春となぬりけにおも しろのときしもや 哉トヤマ 素琴亭菊見 をり〳〵は仇しふみをも このむらん ゆふへそゝろに ありく 梅かゝ サカヒ ハ十二 和群居長樹 もとつえにかへるは かたしをりもたる 梅のにほひよ 袖にとまれ 江戸 ハ十二 姿こそはるかに 青雲亭 かはれすなほ かはれすなほ はれすなほ さは 柳なりけり 風の梅かゝ 紹介 五〇 紀クマノ 歌林園猿人 恨ある 鹿のなみたや こりにけん 火くしを しめす 夜半の むらる 女婿と織女と とりくまして 両判の高点を とかえてごさる 又来ん月の大関も 外へとては やるまいそ 十三十二 サカヒ 聴風斬 明かゝる そらおき なはん よしもかな ほしに手向の 五色の糸 鶯の歌のちからに子のほとくきすの ちからを合せて先大関をは とつておりやる とかくかへるにしかしとなけは はやうかちにけをいたすて ごさらう 三十 真金堂吉備丸 うく飛すの こゑはいつらと 見るにたに わか目も 梅の えたやつたへる 五十二 なきすてゝいつち行けん 恋しとり跡にそのこる 弓はりの月 必 江戸 いくたひか かよふしくれの 長至舘 つれなしと かこつなみたか 松のしつくは 此ほとるよみをからへたるか なか〳〵ようよみをる 太郎くわしや そのかと是へ もつて まゐれ 十二十二 うへ飛すを もとめし日より いてかぬる わかみもかこの とりとなりけり かしこまつてこさるとりかこ持て まゐつてこさる 此とりはなか〳〵古ていの うたよみてこさる クマノ新宮 寿峯尾 神津代の歌やよむらん 春はやみ 谷ふたわたる うく飛すのこゑ 太郎くわしや あるか妻を おもふが むかやうと おもふかその方は みやこへのほり みやこへのほうやさかたな うつくしうやさかたな 風の柳といふやうなを 風の柳といふやうなを みたてゝまゐれ 七十五 梅かゝを 磯の屋 黒人 はこふ風そと とくしりて そよとかた よる柳 やさしも かしこまつてわさる さりなからかほかたちは うつくらうても アゝろはえかやさしう なうてはおいへの ためになる 十三七 まいとそ よいとそんする そんする むくつけき 女すかたの 瘤柳 王てふ花の きさき とも 平野 かな 一曲亭 唐琴 たのうた人の 妻をもとめて こいとおほせ といとおほせ 先いそいて まゐるて つきらう こさらう ほとなう まゐつて こさる さても このあたりは よい きて こさる 目亭琴丸 五十三 一とはゝやな妻あらそひし いにしへのけしぎは いかに春のみつ山 時過する音かとおもへは 太郎くわしやかいひきて おりやる 太郎くわしやいかゝ いたいたものそ いたいたものそ 人の寝るには 定つたこゝ げんのあるもの ものじや 三五 神竜園 時過するころは しくれてさためなき 雪の名死と たいこ北山をのゝ里 雪の名延と うけたまはる 実によい けしきて こさる 空にも さため あるにや 有らん 五立 天地のはしめもかくとおもふかな われのみたてる 雪のあしはら 作州ユゲ竹の屋深根 なか〳〵 ゐねふりは いたしませぬ うたゝねて 十五七 こさる 浪花堂 梅居 うたゝ寝を もみちにそめし かしくれのおとに やふられて ちにそめし 臂を みるかな これは西国のはてより参りたる ものてこさる 大雪にてなんきいたしますれは こよひはとめてもらひ たう存る 筑センハカタ 青艸菴 鐘の音のかよへる 道もうつみけん 甘風 くるゝ色なき 雪の山里 松風の音さへたてぬ雪の日に 門に案内かある 太郎くわしや見てまゐれ 下サ結城 五十二 琴の音の 清雅園 宇都音 をやみし松は 積雪の おもりにゆるむ つくり元の糸 かやうなる山家へよう おたつね有たことて おりやる こゝは北国のはてゝこさ こされは 雪はつねのことて こさる 先おくへまうすて 先おくへまうすて てさらう 越中トヤマ 十三七 白雀亭茂村 まれにくる友の 道さへ給はてゝ いよゝやま家と なりし大雪 東国のはてよりまゐりたる 医師てこさる 日くれてなんきにおよひますれは お宿を御むしんまうしたう おりやる 仙タイ 十三士。 よるの雪しつかに 松をそめてけり 千柳亭 さわくしくれは ちからおよはし かやうによかど かよひますれは かよひますあは 恋のみちは おほえて こさる ハカタ 汐井 朝沖 十五七 恋の道 をしへてゝろに さきたちて なみたやわれを なみたやわれを いかになすらん またるゝともまつみに なるなと申ことの候 なるなと申ことの候 さて〳〵つらい ことてこさる 七十五 水廼屋清成 木のはふる 音のみ聞て わか寝やに まつはさひしき ものにそありける 兵衛 賤かふせやの床の下に すむむしもあれは すむむしもあれは いやたかき雲井にのほる いやたかき雲井にのほる むしもおりやる 世の中の の中しふ人もみな 神蝙 見とおなしとで ごさる 奈良 傍士のもる 冷風軒 国丸 みかきのほとり よるは ひる ひるきえて きえて もえつゝ とふ 蛍 かな 心をひろく もつてさへ かくさへ あらは 案の上も 大陸 のことく おもはるゝ て ごさる 仙タノー 千柳亭 八十三 窓ちかく もゆるほたるは 文札の すゝりの 海の 沖のいさり大 たれ人にもあれ花のうたをよみしものには 花を一えたつゝつかはさうとぞんする 先それがしよりようできかさう 美濃岐阜 それにてきかせ 十十三 伏亀園 元寿美 をりかさす られい きくらのえたは たせやめの はなきすかたの つき木とや みん うつくしい 一花をたまはると あるによつてわれ〳〵も 一首つゝよみまして ごさる 七十二 京 九澗舎 留主守の 心やこゝに 心やこゝに うこきけん 湖丈 しはらく花に かゝるしら雲 かゝるしら雲 □□□□□□□□ まじや 五十五 摂平野 好文居 山ふかく 花は かすみに うつものて 梅丸 雲よりおくの 匂ふはる風 一ヱいつれのうたもみな かんしんいたいたいたいてごさる それかしも一首 こしを礼をつゝりまして おりやる 若山 一十三 玉川舎 朝な〳〵 六十余度も 咲かへて 日をみぬ国や □□□□□□□□ したふ朝白い これはいかなことそれがしが まうすはさくらの歌の ことでごさる花は万でも それはあさかほの 前のうたでおりやる 第一は春と秋と 第一は春と秋と 気かちかひまうす 道理こそさふらへそれがらかことを きんへんのものがうた気ちかひしやと まうしておりやる 十三五 かくはかり 大江岸浪 人目しのひに しのへるを もるゝ調そ うらみ なりける 十三五 大和古寺 之只 もろそての ぬれしを 人の とひしとき きゆるおもひに 露とこたへつ 先生の御名医なることを聞おようで 先生の御名医なることを聞おようで はる〳〵とたづねまゐつてごさる 何とぞ二人か恋の病を おなほしなされて下さらうずならば かたじけなうぞんする これはいかなことそれがしに恋の病を なほせとあるいかゞいたいたいたいたいたいたいたいたいたいた 人の恋病をなほすほとのちからが てまへきうき名を はつさんさせはいたし ませぬ あれは 十三七 わかうき名 もらすて 金涼舎 あらは あら 袖ひさし なみたの事に ぬかさらましを 十十三 甲身延 鶯宿園梅業 かわく間も なきさみたれ 雲のそて 沖の いしをや 根とはなしけん 鹿のうたをよまんとぞんして師匠どのへまうしたらば 鹿の類をよむならはしかになるやうによめとおほせ られてごさるとても一人にてはよみかぬるによつて みなてつたうてもらひたい 三州寺ア 十三十 山住の 千尋屋弘景 五十三 さつをか軒に なく鹿は 恋に をしまぬ 命なるらん 恋鹿の しのふ泪の なくこゑかくす すゑならん 谷の水音 太郎くはじやも一首 おてつだいまう 次で こさらう 尾アツ内 蓬莱菴 島人 十三九 なつ山に 妻をうたれて秋鹿の いよくさひしき ひとりなく音や いづれも一段とおもしろい おつらねでごさるそれがしも 一首つゞりましてごさる 十五三 德シマ 九峯舎静 夜あらしに をのへの 鹿の こゑきれて なかばつ とほき 山になく奈り アラよろこばしやこれでこそ 鹿のこたが四哥になつてさふらへ 塔 十五七 十五七 孝行の かひもあらすて はかまゐ はかまゐり 雪にほり出す 竹の花つゝ ごばうのたふときを 聞おようではる〴〵と たづねまゐりたる たづねまゐりたる ものでごさる 何とぞ 先祖のゑかうを ねがひたうぞんする 江戸 檜園 ・何といはるゝぞ 愚僧にゑかうを たのむといはるゝか さやうならば只今 ゑかうをいたすで ごさらる 七十二 双井法師 われなから 心にとひて なけくかな しのふにまさる おもひ有やと おもひ有やと これはいかなことゑかうを せらるゝからは経文をよまるゝで有うと ぞんしたれば恋類をようでごさるは 何といたいた ことでこさる ・恋題をようではゑかうにならぬといはるくか なか〳〵 ・こなはさてがてんのわるい人でおりやる 鶯のなく音を聞てよの中の 顕人か経よむとりとも かたよむ鳥ともまうして おりやる家も経も おなしものて おなしものて こさる こさる そきはいかにも道理なれども 恋の題をよまれたのが わかりませぬ ●ハテ先祖がこひしいなどゝ テ先祖がこひしいなとゝ つねにいはるゝでは ごさらぬか 七十二 酉水園 咲つて さくらにましる 花のなき 杉門 まつはかすみに 消たくやおもふ いはれをきけばありがたうぞんする よにたふときはことの葉の花のおん経 みなのしゆもよませられい〳〵 三人 こゝろえましてごさる 菊花園籬芳 一菊花園籬芳 十五は くみ上しつるへをいつかぬけいてゝ又井の水にすめる月かけ 名古屋 竜瓜園玉器 八十二 さきいてしさくらは雪の名とり川くたすいかたや花のうもれ木 東国のものでござる義浜の国不破の関守をおほせつけらぬたれば わざ〳〵まゐつて相つめて候此たび国の守よりあらたにおきてを たてられてごさる手形もたぬ旅人には顕一首つゝよませて とほせとごさる此関をとほり多くはいづれも一しゆづゝらをよまれい 青雲亭 さてもめつらしいおきてゞごさる おのれはみやこのものでごされば 顕はつねによみおぼえておりやる さらば一首いたしませう 先かうでごさる 京 九淵舎 湖丈 かきもるゝ 旅の小笠も つくろはて □□□ 不破のせきやの 月をみるかな なか〳〵それほどの歌にては関を通すことはならぬ死なれど 今日はかくべつゆるいて通してつかはさう それがゝは浪速のものでごさる 顕をよめとおふせらるゝによつて一そこつゝりましてごさる 十二五 春園 かけうかふ月さへ千々にくた計けり石うちなかすたきつは はや川 なか〳〵それほとの顕にては関をとほすことはならぬ延なれど 今日はかくべりゆるいて。通してつかはさう それがしも一首いたいてごさる 梅香園 梅香園 十一十二 守近 根あかりの まつもせのひを するとここん やまのはのぼる 月をまつ間は なか〳〵それほとの 顕にては関を返すことは ならぬところなれども今日は かくへつゆるいて通して つかはさう ・三人 それはありがたうぞんする みな〳〵かやうによみまして ごさればこれよりは こされはこれは おせきもりの御名歌を おせきも うけ給はりたう有ゐ 何とごさるそそれがしにも るをよめとあ いるかさらばようで 聞さうほどにそれにてきかれい 〽聞さうほどにそれにてきかれい 江戸 青雲亭 かけへたつ山となゝりそ月めてゝねぬ夜あまたのまくら辺の芸 ・三人 なか〳〵それほどの歌にては関をとほることは いやでごされども今日はかくへつ ゆるいてとほつてつかはさう 同 船をうかへて 月をまつわれ〳〵が こゝろにくらへては あめつちの たかひて ごさる 三州寺部 千尋屋弘影 静かひをか たきしかゝりの けふりさへ 目てるかたの そらにきえ行 五十五 目を見て なか〳〵かわく サカレ 和群居 長樹 羽袖かな あはれをしらぬ 人の手なふ鵜 七十二 仙タイ 千柳亭 あた人の 心の岩に はなれ えぬ おもひそ いその 蚫なり ける いせのうみの そこはかとなく たつねわびて あはびのたまを あはびのたまを とりえてごさる 江戸 十三八 檜園 なきはれしわか めくすりに かたをし かた思ひの あはひのたまも なにくかはせん 美濃の国養老山中にとゝろ住居いたすものでごさる 此ほど仙じゆつをまなびて候へば大いなるものをちいさなる ものゝ中へいれ見えぬものを目にみせるじゆつを おぼえてごさる 十三七 月かけを 美濃今尾 菊泉山人 やとしなからに おとされて 風の すかたを みする しら露 西国のものでごさる それがらもおなしく 仙じゆつを まなびたれば 一つのものをかくして 又ひとつのものいだす 一術をおぼえておりやる 防柳井 松の屋寉久 十三五 ゆくかりのこゑさへうすくなりはてゝ おぼろにのこる春の夜の月 北国のものでごさる われらも仙じゆつを えて地のものを ひらへあぐる じゆつを おぼえて おりやる 加賀金沢 笛竹改 神駁堂 道種 ふしのねに たちならひしは むさし野の 野すゑや たかき夏草のたけ としころ市中にすみたれば仙じゆつは しらずさふらへともひとり釈尊のせゝへを うけて世の中の 無常をさとりえてごさる 十五十三 大坂春園 やとしたる月にくすりはこひもせて はかなくきゆる朝ちふ残露 五十二 大坂 さひしくものこれる 松をなくさめて 月亭琴丸 けふりつれたつ みねの炭かま 大こらくはしや その方はうたをよむと みゆるさらば そひがしも一首 ようできかさう それにて うけたまはれ 京 白菊亭 主三 数照 すゑの露 もとのみつくや そのたほも おくれさきたつ 野辺のなつ草 これはさておもしろい おつらねでごさる一だんと 名哥でごさり さらばわれらも一首 いたすでごさらう まする サカヒ 聴風斬 むらさきの なみだと 見らん 萩におく つゆやいぬきか すゝめいろま これは又一だんと めいかでごさる さらばそれがしも一首 ようできかさう 十三七 大坂朝日閣城窓 何を今たねとかなしてうたやよむ うき草生ふるいきの かはつら なか〳〵これもめいかでごさる ・今一首いたさうか 同 くま野路にからす羽いろの炭やきて はこくみかへす山しづの子等 又およみなされたかこれは いよ〳〵めいかでごさる 十三五 ・今一首いたさうか 同 なき人の方としきけは何となく うちのにきはふ除夜のせはしさ 又およみなされたかこれはいよ〳〵めいわくでごさる 狂言哥の宗匠でごさる 此度諸国の英雄の うたをあつめて ごされは角力に なそらへて うたのかち まけをえらみ ませうと ませうと ぞんする 十二八 大阪 大阪春春 山の端は時雨もしらぬ もみぢらぬ 空定めなき 夜半の摘妻 十三八 旅人のさきへはしりて いなつまの 熱田 一円舎一方 すゑやいつこに とまるなるらん 空さためなくおろついてあらんよりは さきへはしりたるかたか かちてごさらう 三州加納 五十二 妹にあふ 便鳳楼 桐山人 夜半はこと葉の 花車 心のおくを ひきつひかれつ 越府中 十三五 雲となり雨となるをの 神垣真前 うらなみに 瀬まくらや いく夏 打かへしつゝ ひきつひかれつ してあらんよりは いくたひも 打かへしたるかたが 勝でおりやる 七十二 一古郷の軒端やいつら 甲三ノブ 庫業法師 こゝろおく旅寝の夢そ やふれかちなる いそいてまゐつたれは やうやく浪花の みやこについて ごさる けふりたつ たみのかまとば にきはひにけりと よませられたる かのすへくきの かのすつくきの 御製もごされは みなのしゆも かしこにたつ けふりを見て 一首づゝ 一首づゝ よませられい〳〵 三人 こゝろえ ましてごさる 上二五 大坂 大江堂 なか〳〵に ほそきけふりも たてかねて あはれかやりに あかす 賤か家 越トヤマ 十九 池蓮見 あきなへる 縄のことくにけふかたつ 賎かわら家の 軒のかやり火 クマノ新宮 十二三 ゆあみしてすゝしきものを またさらにあつさにかへす 春暁亭 茶実 賤かかやり火 民のかまとのけふかたつさまを よみはせていつれもかやり火を ようでごさるさて〳〵 いぶりなる人々でおりやる 三八 真金堂 吉備丸 野あそひに つまこふ きしき なかせか は かへきは おもひ いたさ せら まし かへるさを わするゝ春の 野あそひに くめやうたへや たのしみの つきせぬ 御代こそ めてたけれ〳〵 三八 イセ津 陸亭 君か代は 雨と風もの 日佐世 外にまた ときをたかへぬ とりも ありけり 十五土 大そらはつねに 京 長数照 きよくて春は地の 大坂 礒屋黒人 一十一 くもるものとや 月のみまらん 輪のうちに ほしの みゆるは こもうめの 花かさや 萩 他唐 厚丸 なるらん 根もとや蛇のかよふ 夏のはら 風なくて 草のうねれる 十三五 きし 春き夜の月 ナコヤ 滝の屋 七十二 さる訳の池に 琵琶彦 しつみてやなき薬に 月もかすみの きぬをかけけり サカヒ よみきしし類の ふみにも順いれて ふみにも順いれて 聴風斬 秋の部見する 風のすゝしさ 十三 クマノ新宮 さきつれし 閑窓巴山 尾花か袖の すれ人けく 秋はなか〳〵 せはき むされ 七十二 夕かほの 花のゝちにも たそかれは しのひ音 ナルト 菊芳亭 知足 くるまこほろき 五十五 大坂 菊花園 月の夜は 月の夜は籬芳 籬芳 心なしとて ふしかねの寝すかた ゆする 田子のうら浪 狂言歌仙集 神哥堂撰 蝙蝠軒撰 神蝙 立春ざくらなきこまもろこしは跡にして皇国に花の春やたつらん あけほのゝ空にさくらの色見えてこれより花の春は来にけり どふびと日箒もとらて神の代の茎にましはる宿の福わら 一鶯の山も春をはつけかほにはつ音聞するゆきの下はつ 天地のわかれしことく夜の明て神代のまゝの春は来にけり 出ハアキノ かすみたてうくにれす来なけ梅さけといひ合てやはるの立らん梅好 青柿はまねき霞は袖ひきてをさなき春や立てきぬらん望 耳なしの山にかすみの袖引てけさ春のたつそふり見治ら舞 美ノタカス けさ立てひとあし引の山のはを推きはるや越てきぬらん ビンゴトモ 一冬あれし風さへけさはうゝへ飛すの類にやはらく春はきにけり ハカタ かゝみ餅すわりもよくて人こゝろ丸かれとてやはるもたつら舞 鶯 蝙蝠のあふきや賊るとしたまに鳥なき里も恵をしるらん城窓 二見かた張七五三縄にさす汐のたるみも見えす春はきにけり 遣ふ春の生れ出来ししるしにはめはなのつきし梅と青柳茂全 若水をくみ上る間につるへなははや屋はらくるはるは来にけり ビンゴト一 一古としの尻打きりし門松はけふたつ春のしるしなるらん よし野川霞の網代言朝かけてさくら花咲日をや待らん 若やける春たつけさの初東風に木々のかしらの雲はらふらん清 若水に口やそゝかん今朝よりは柳やうしにさくら歯美かき ナゴヤ 琵琶彦 ワカ山 春きぬと解しこほりを又すくに結ひは初けり今朝のわかみつけかみつ あし原の国より立ていさしらぬ唐土まても春はゆくらん セツヒラノ 印篭のまきゑの冨士に春たてる今朝はのしめのよこ震ひく 梅のはなゐすむ心の鬼をしもひしくや枝のうく飛すのうた サカヒ 小網には奪の玉をやかしくらめ金の衣きたるうく飛す 乕の臥竹に育ちてうくひすは千里の末の春つくるやも 尾アツタ 梅はやし聲のみもり鶯はかくれ笠をもぬひやしつらむ 江戸 鶯の枝とひとふはなくこゑの玉のまろふをとゝめんとにや サカヒ 長樹 そのこゝろやみにやあらん篭のうちに火ともす梅をしたふ鴬 京 唇を動す梅はうく飛すのはるを告るにこたふるやこれ アツタ その声の目日の鼠破ることなくて尊きうく飛すの経 和タカダ くもの国をやふる鴬笠をぬふ業ねたみともいふへかりけり サカヒ 長樹 竜宮の玉を取得し心地せり霞のうちの宇く飛すのこゑ 三テラべ 十二五 若菜つみ水を汲のもうくひすの経をきくへき勤なるらん 甲三ノブ 井峯閣 京 同日よと鳴ぬる声を聞まゝにうつりやすきはえたの鴬 貞益 関守もあらぬ月日を音になきてなと鴬の人をとめぬる 江戸 歌久美 からうして雪につゝかはなきものをまたもたわめる竹のうく飛す 仙ダイ 千梅園 ひたすらに経よむ鳥の声聞て今やおつらんさを鹿の角 越フチ 梅里 一勧学の雀のもりの宇く飛すは我国はちぬ歌よみそかし 京 湖伏 鶯の岸になく音を打けちて白玉なくるいそのあら耶美 松門 春をまつ人のこゝろをこほりよりさきへとくらんうく飛すの声 トヤマ うく飛すの舌もいたまてあら玉の墓をふくめる聲ののとけさ 望も山も深く霞の海原に月日の出入うく飛すのこ慮 ウツノミヤ 和多吉 トクシマ佳タタ丸改 経どきく人もありなめうくひすの歌には花のほしもふり鳬 書 うくひすの聲珍らしき山影に木樵かうたの初音さへきく うくひその聲珍らしき山影に木樵かうたの初音さへきく花咲麻 江戸 花咲庵 上毛フヂ図 うく飛すの経にくとくのあるならは今一声はわれにほとこせ 友由 かくはしやとともす梅の花やくにみつのひかりをそふる鴬 花笠をぬへる針をや落しけん羽根うちふるふえたの鴬 仙タイ 一あふらある竹に生れて美しきつやよき声の匂ふうく飛す サカヒ 一とせのはかりことする元日に参ひき初るそのゝうく飛す 青柳になく鴬のはつねさへいとに織こむ玉にたくへん 仙タイ 光永 梅か香のかとひし子をや尋らんさゝ竹持て狂ふうく飛す 京 鰕丸 山路行われを人来と尊の呼子鳥にやつくるなならむし 羽アキタ 芬穂 越フチウ むくの葉にすれて飛かふ鴬は磨きて声の玉やなすらん 梅里 花の世となりてすこしくかはりけり鴬のよむうたのしらへも ワカ山 實則 鶯のうたよみいてゝか〳〵ときも墨のすり酣を筆にはませつ なくこゑの霞にへたつ鶯はをすのひまよりもるゝ琴の音 やゝなかきはるの日あしをそのまゝになほ引のばすうく飛すの声 イヨ銅山 谷の戸を破る手にはのけたかくも顕のちからの強きうくひす 青柳ののうれんくゝるうく飛すは隣れる梅の門たかへかも不男山 鶯のやなきかえたになく声や落滝津せのしつくしら玉石 一甚されは花に米鳴るうくひすにはませんうたの袋くもかな くれ升の奥ゆかしくもかくれ家に琴ひく鳥の声そ通へる云寝 五月雨にいつる我子のためならん花笠ぬへる春のうくらす 青柳のすゑをむすはぬ糸になとつらぬく玉のうくひすの声 去年の春わかれしまゝの鴬も来て梅かえにかたるさまみゆ うく飛洗の径のとくにはやま〴〵のつみふかき雪もきゆる賞さ 薪こる賤か手えもたゆむらんをのに初音のひらくうく飛す金涼舎 船 梅 鴬のはつ音に耳をかたふけて座禅くつるゝ山てらの僧菊泉 暁をおほえぬ夢をくはれけりいくはく啼しうくひすの聲 しのゝめのうちあけかたに一てんの玉をまろはすうく飛すの土戸 京 百英 朝な〳〵老か寝覚の友によき薄茶のいろの鴬もかなし 仙夕 花守 アハ ものくるゝ人も来すしてつれ〳〵の雨の日によき友は宇くら非す 五百丈 ナコヤ 海遠く飛妻かえの老木なるうつほにもひくうく飛すの琴 龍屋 三テラベ うく飛すの雪のふるすを出る時はやなきの蓑に梅のはなかさ 弘影 ギフ 春遊ふ篭のうく死すの哥かるたをくらき箱の中にいれつゝ 雀磨呂 下サユフキ 人問ぬいほもへだてす鶯はこゑもこゝろもうつくしきかな トヤマ 日にかをり目にうる内ふ梅の花やみにはほしの林ともみつ茂林 ふく風に楯をいつかはなたれて袖をたのみに匂ふ妻か香籬方 鎗毒は折れなからも盗人を出へるかをりはおとこなり計享 越フチ 道足 同フチウ もり明す身に朝風のたまものやとのゐ袋にそふる梅か香 三ノ小谷合 千代浪 うくひすのなく音を聞てはからさる深山の梅の盛しるかな さぐらもつ大宮人のそれならて梅をかさして行は誰か子そ 笛竹 うちやすむあなたの梅はうくゝれすの声の色香にしられ社すれ金涼舎 よし花はちらさすとても春風の余所へもて行梅か香はをし 袖にかくしみてふかきはめつる我こゝろにならふ妻のに同ひか サカヒ 長樹 かへらんとすれとかへさすあるしにもならふか庭のむめの匂ひも 仝 越フナツ 何くれと春は人気もうき立てうつりやすきはそての奢か香 巻雀 ギフ 香のみちて風のすかたの青柳もなひけは薫るむめの真盛 元寿美 梅薫るころもきぬれは戸さゝても窓の寒さは厭はさらまし トクシマ 徒 つゝまれし中よりもれて薫りぬる梅は霞のそて香炉かも 越フ千ウ 切張の花のかたちや匂ふかと見れは草紙をもるゝ梅か香 美雀 けふもまた旅うく飛すに鋳れていつち行らん宿の梅か香 江ト トヤマ 梅か香のよき茶をくるゝ菴をしも力につゝらをりは越てき 仙タイ 木蔭ゆく水をむすへはめに見えぬ妻か薫りも手に取れ鳬 石門 はる風を何うらみけん揺る丞は我衣手にありけるものものを双井法師 松 客人に匂ひをやりて我袖はたすきにしほる妻守かつさ 大江堂 下枝にあてゝかむりを落しけりふみ好む木を詠めありきて 二言葉庵 ミノイヤヨ 春きての風のやとりはこゝそとて薫りにしらす軒の妻か香 市丸 ナコヤ みそかなるやみに忍ひてついひちのくつれをかよふ風の梅か香 琵琶彦 ミノブ 愈かゝの間なき往来に山里のとほきとなりも近く覚えつ 庫業 ミノカサマツ 世の人にあはしと雷たてこめてふみ好む木のはなやさくらん 一三ノカサマゾ キヨ をしわけて手折し時にこほれたる露の星にも梅か香そする 蔓守 アハナルト かも川の水にちりては風なくも遠くくはれる八瀬の梅か香 十八十九丁八十九丁 谷深くこもれと誘ふはる風にうき世へちりて匂ふむめか香 雨風にこゝろいたむる奢見客火ともす花をふきやちらすと 鶯の火にし諸の谷ふかみたれに見よとかうめのさく良舞 いかはかり香をとめんとや春霞夜に日に袖をあつる梅か枝 ミノ今 仙タイ うく飛すの外にうたよむうた人のとゝろも梅にやとるならまし 園守に一枝乞得し嬉しさはつゝむにあまるそての森の島 梅か香をはこへる風のくたひれてやすらふをりか匂ひ絶しは 山の端の麦はかすみにかくろひて花さかぬ木も匂ふやうなり アツタ ナゴヤ 一毒のはなさかりのころはこゝろして風のみちにも霞たちけり 荅照 うめの花うとかぬ星と見るまてにめくりては来るもゝの顕人。 一アハ ミノブ 蜑か子の袖に匂ひのうつりしは宿さためなき風の梅か香 曰梅業 七七 女とも化しゝ姿ににはの梅かすみのきぬをかつきてそたつ 兄なから桜にくらゐゆつりぬる妻も左傳の文やこのめる 和クダニ うくひすの経の功徳か妹に化す梅も変生なんしよりさく 朝またき風におはるゝ毒か香は我袖をしもかくれ家とせよ アハ南方 人の目を覚すはかりの梅か香や竜のふしたるすかたなからも 歌雄 妻の花さかりなかゝれ長田に千代もとおもふ見ん人のため ナガト こよりとも鼻を通して匂へるはくさめの出し聖路の梅かえ 梅守のひとえこはれて打匂ふ袖をはらふもこゝろありけり 花寺はいねても垣のやれ間よりぞとと歩行夜のうめか香 柿 下水に影さす奢のえた雲やさなから巻はほしのおもかけ ものをしむ心と花や笑ふらんたをりし梅の香にむせひては 盗まれて枝は見付て戻れともとりもとされぬ袖の奢か香 園守の見付はせねと蚕か香に身をからまれし花の盗人 匂ひゆく跡を霞の戸さしては帰る宿なき野路の変か香 ナゴヤ 一ありたる旅鶯や多からん八重にかさねし梅のはな笠十二十日 南から北へうつりてさく麦は空とふ雁のふみやこのめる城窓 ミノカサマツ 文このむ巻咲にけりあつめにし学ひの窓の雪と見るまて真舎 やみの夜も人をとゝめて一枝ををらるら罪をつくる梅か香籬芳 又南方 千さとをも罪にし名残しのふかなこの梅かゝの遠く薫りて高歌雄 見のかしにならしと群て来し人の袖をくゝりて匂ふ妻か香清躬 イセカト イセカトリ 径にしもわたれるほしと見つまてにかすみの中の遠のむめかえ うく飛すに宿をあつけてひめもすに風とつれたち歩行揺か香不男也 京 北窓は雪にとちてもしら梅の答にそひらく春のかと口 ヒテノ 山住も春たつことを定むらん開く日も見る妻の暦は稲生・ ニロシマ 巻をさへつきぬくはかりかをるかな春の道具の庭のやり楠芝娘 春風のもてはこひ来し梅か香は袖にとめてもおもからぬ哉 吹風は親なれ妻のはなも香も霞にこめて見せす有しを市 全 うめか香のかすみの中にかくるゝは風にとらるゝことを厭ふか 仝 燈火のはな匂ふかとあやしめりあやなき闇の妻のさかりは キ新宮 さく花のあたなる風におとろきて壷のかをりや立さわくらん 風の手をかりてきらまし帰るさの袂ひかへて留る妻か香 仝 百重 とゝむへき香に我袖とめられて梅見戻りはおそくなり鳬 門杢のかさりに添し切炭も労の如に同ふのきのうめか香吉備丸 カハチ 武士のたけきにも似す臥竜妻めてゝそ通ふ三たひ四たひも九八千歳 「成人 から船の薬をつみて来しこゝち霞の海にうめの匂ひて アキタ 巻といふ子さへもたすて春風にくるふ柿は年わかき哉 江ト 寂顔 青柳の花なき枝もにほひけり梅か香そふる風をやとして 双井法師 五十一 あらそはて風にまかする音梯は答よりこゝろ蓋しきよな他少し 打つとふ女と見れと中〳〵にかしましからぬ風の青柳 一耳あらふ滝とや見らん王とよふ巻にしかへて登る柿は 汝か葉いろしたひて来鳴鴬としらてや風の拂ふ青柳滝人 いとの尻むすはて露の王をさへちらす柳は若木ならまし ミノカサマ トヤマ 風の手にゆり起されて春早み青森のめのいども細かり 枝たれていとを見せたる青柳はそらにしられぬ軒の春雨 ギフ 滋見 魂かへす香の煙や立なひきいもかおもかけ見するあをやき サカヒ 少女子に似つる柳は雨よりも風を父母とや従ひに気む 聴風軒 空はまた風さゆる日も青拂のなひきて遊ふ糸をみせけり 仝 長樹 流れよる目のみふねに竿さして行かと見れはもとる青輩 ハカタ 朝沖 春あさみめは持なからたることをしりて上見ぬ青柿のいと ヒロシマ 芝錦 巻といふ子もたぬゆゑか青柳のいく春としもうら若くみゆ トヤマ 夜辺露に目を宿してあさ寝かみけさは乱せる風のあをやき ねはん会の哀を余処に眠れるはみのりもしらぬねこやなき哉 かけひたし水にうちふる青柳のいとははとりに今そめし如 ナゴヤ つま櫛にいもか髪とく姿かなやなきの枝にやとるゆふ月 身をまかす風かかはりて行水にあらそふふりもはゆる青柳 江戸 在江戸 人とはぬわかかくれ家も門の戸をたゝくやなきの友は有けり 千柳亭 川つらの事のけふりなひくなりきし辺の盤の飯やたくらん 仝 越フチウ 春風に船の火縄も隅田川むすひしまゝにけふる青やき 真前 画工にすかたうつせと窓先のすゝりにうつす青柳のつゆ 仙タイ 桃成 一人皆の巻にそ厭ひいとはるゝ風は柳をそゝのかしけり 越フチウ 美雀 春雨の水の油をつけてよりやなきの髪のおくれ毛もなし 尾キタカタ アツタ 枝かはす妻やさくらをよき友と柿は青きめをもみすらん 三蔵楼 みつにうく影さへなひく川事なみの底にも春風やふく 紫のかすみのいとのかゝれるははつもとゆひの髪のあをやき 山〳〵に笑はれましとかほの池つゝみやかくす春のあをやき お 時鳥 引舟のねたらぬ淀のあけほのやめをこすりゆく岸のあをやき はるの日の眠るやなきに秀れて小蝶も夢をむすふのとけさ 京 底はゆる浅沢野辺のほそなかれふかきみとりをうつす青華方恵 和ハシヲ 釣たるゝ猿沢の池のほとりにも人まねすなり青柳のいと禾バシウよし 山々は笑ひかゝれとあをやきはまたはも見えぬはるそ軽き不男也 ミノタカ一 夜もすから衛士かたく火は今朝消て御垣のもとに烟るち猛 とりあくる間も待遠くやなき髪みたして遊ふ春はをさなし めにしらせふりにしらせてはや春の心しりなる青柳のえた 糸遊のあみをかけたる青柳はくれゆく春のかくれみのかも 眉根かきひもとく風に青柿の下行犬のはなひをかしや 恨んのこゝろもやみぬ巻ちらす風の宿りは皆やなきにて 一真直なる針をおろして何事をつるにかあらん青柳のいと ぢる梅の巻の雪みるかたへにはみの着しさまにたるゝ青柳 文学ふ窓になひきてやれふみのとち緒をつゝるあをやきの糸 鶯のこゑのみつ音のあしたには柳のつくるよろくい飛のまゆ 檜園 もつるゝもさわくも風の手業にて何をかぬへる青柳の糸 京 日にまして雷のいとの多かるは舟引さまに見ゆる淀かは はりなくて風に随ふ青柳はまことすくなき女なりけり 琴の音はまつにゆつりて春風の手にしらへぬる青希の糸 新宮 はる風のとかししものを夕まくれ露また結ふあをやきの髪 はる風のとかししものを夕まくれ露また結ふあをやきの髪 其香 其雪 青によし奈良は薪の能の比けふるやなきも風にまふみゆ 仝 手耕 引まはすかすみのおひは朝毎に柳のこしを結ふかと見る たきものゝ薫りは梅にゆつりつゝ煙とのみそなひく青木帯 春風につゆのしら玉ちらしつゝ滝と見なせる青柳のえた 下フサイヒヌマ ひたすらに蒸吹かくる春風ににはの青柳目をそすりぬる 下フサイ 景後 ナゴヤ 片岡やふせるたひ寝に夜さら鳴うなゐ子鳥もあはれ我なし 竜廼屋 うく飛すのかひこを生しほとゝきす桑つむ女さへ振むかせ鳬 新宮 一峯尾 時鳥このあたりにもたしなしと声をふたつにわくるやまひこ 勢 □□ おちかへる声をまつ浦のほとゝきす男こひしと聞ひかめけり 空蝉に先かけしつゝほとゝなす雲の右をもぬけてはなへ三輪 一声は淀のわたりのほとゝきす夜ふかき目のふねよはふかも 十二五 一あかぬ間に余所へそれ行時高いつこの人や楽しみぬらん双井 氏なくて五ちるこゑの時鳥出て平ら井にたかくなくらん 一穀の縫し笠も着すして時鳥妻の雨森にぬれて鳴らん 聞人のありやなしやとほとゝきすたる音そ月のみやこ鳥なる ほとゝきす夢かと思ふ一声をうつの山路に聞もうれしな ナガト 魂とよふ時鳥いさとゝめまし雲の衣の妻むすひして 白露園 山焼はしらて過けり都人たつね問ふ日そはつほとゝきす 蓬莱の不二の裾野のほとゝなすきくもかさしの玉を得し如 ほとゝきすおもへは目のみやこ鳥鳴行すかたありやなしやとナ] 一待もうしきかぬもつらし武蔵鐙かゝる折にやなけ時鳥城窓 足元の見えぬる限り尋はや目の入さのやまなとゝきす 待わひておもひ寐にこゑ聞夢は心の月になく心とゝきす藤波 うれしさもまた重りつ山彦をそへてふたこゑなく時鳥 枝たれてちをはく柳しける頃八千音もなける山ほとゝきす 時鳥千とりとすまのうらうへに幾夜寝もせてまつや関守 有明の月にきえゆく時鳥のこれるものはねやのあんとう 新官 一こゑにおとろかされて正夢の不二に替たるやま時鳥 仙タイ 千梅園 おもなしと雲間に鳴やほとゝきすさか親よりは声のおとるを ほとゝきす漫みせぬそうらみなる月のかゝみの影になく夜は 京 咲あへぬ巻に雨まつ心地かなはつほとゝきす鳴ぬかきりは 尾衣ノウ ギフ ほとゝなす鳴行諸もこたまして石にこゑあるさよのなかやま 時島いつくうまれの声音そも鄙も都もめてたしときく ほとゝきすあつたの宮のはつ声は貴妃かかさしの玉を得し如石四 待うちを巻とおもへはほとゝきすきかぬこゝろそつほみなりける滋見 ほとしきす声ははなたて方張の同に待間そ気のいられぬる琴丸 坊 卯花 六〇 一声を聞そめしよりなか〳〵に猶申ちわひて寝られさりけり神眼元只 親鳥のこゑをしたふか月日ほし近くそ啼る山ほとゝきす 宇く飛すの子て子にあらぬ時鳥ねくらとるらん峯の宿り木 村雲の中に入けりほとゝきすなく一声は目にとはまし ことの葉のはしにこゝろの駒とめて手にとるはかり聞沓手鳥 新宮 よみうたをかける文字さへ短冊の雲に入さのやまほとゝきす 鳴声は月にゆつりてほとゝきす星のはやしに隠れつるかも 仝 親の声の跡したひてや時鳥月日の入しやまに啼らん 天に口なしとないひそ今やこれ月にこゑある山ほとゝきす だちはなと名をもおひてし時鳥いやとことはに聞よしも哉 かつらきの山ほとゝきす声きけとかたちみにくき月の小夜中 時鳥山路たとりてきゝえたりいさ案内者に沓代とらせん なく声の一を聞てはとを程も歌よむ人のあるほとゝきす 汝か親のそたてからとてほとゝきす月の笠をやめけんとよらむ 郭公まちつゝいねて床机よりおちかへりなく生の小わしえ 汝か親とうらうへなれや夜の明てあさいをさせる山ほとゝきす てる月のかつらのえたにさはりけん花の一こゑちる同とゝきす 大空のくもの海路のほとゝきすとひちる波のたゝしの声かな 防ヤナ 一声に見はつしけりな月の弓いまやいるさのやまほとゝきす ほとゝきす玉の一声今おとせ眼にはあくひのなみだとぬさき 経をよむ鳥の子ならは目の入にしにのみなけ山本とゝきす ほとゝきすもらす初音は玉の井の水もつ目のかつらにそなく 猿人 仝 一親鳥のすてにしもむへほとゝきすなかよむうたのたけは短かし 百重 時鳥夜への現のはつ音より今朝のはなしにしかと聞けり 松藻にしも影のうつりて枝川をさく程つもる卯の巻のゆき 下フサユツト 宇都音 うの巻に月もひかりをゆつりてや明かたいそく夏のみしか夜 三テラヘ 卯のはなの月夜ありとは鵜飼男もしらて過なんまきの小鶴を 一うの巻の咲そめてより夕風に其浪よする志賀のふるさと梅 咲みちて雪にまかへる弗の巻はおのか若葉をうつみけらしな 雪に似し西の巻をりて行はたそいさ跡つけてとらへたらまし かたつふり家毎に門の戸を明て同見るさまよ卯の巻のもと 一西の花の垣にしら波うち宰てつきも光りを奪れにけり 山さくら雪と教にし跡とめてこの比谷をうつむ卯のはな 此ころの夜半のあらしの誘ふともはやくな落そうのはなの目 卯の巻のゆきや散んと垣隣とはぬこゝろそ冬ともりなる 庫業 窓に来て火ともす虫の出る迄は消のこれかし西の花の雪 羽山カタ うのはなの月にめさめておきまとひ庭を飛かふ烏羽の蝶アハルト芳住 鉢の木の杢てふ魚も愛る比庭にさかりの卵のは神のゆき ナラ かたつふり車ひき行垣根こそ。井の木の巻の都なるかひ舞 クマノ 一加奈女 三ノカサマツ ざらぬたにみしかき夏の夜をはやみあくるや白き岩のうの巻 咲ころに客人ありてをりよくも水にはならぬ虎のはなのゆき 闇の夜のそらにしられぬあかるさは月のかつらのぞうつき哉 照射 つれ〳〵につくりうゝれは涼しけに夏をむねとや西は墓のたく 白波のたつかと見れはあやなくもやみをぬすみて咲る西の巻 新宮 一茶香丸 全 身にくもりなき市の花は白波とよへとも闇にかくれさりけり 春來 闇を今てらして咲る西のはなの雪を仏まつくらぬやなそ 仝 盗人をふせく為にとしゝ垣にしら波よせて咲る西の巷 トクシマ 月と見て物をおもへは卵の花の露やなみたのゆくへなるらん 卯の巻の月の都の殿つくりみなしろかねのいらかなりけり どもしするさつ雄か弓の月かけに哀や鹿のほしもきゆらん ともし山焼にもあはて小男鹿のあはれちり行柳葉の征矢 仙タイ 千菊園 さつをちの帰りし跡のたきすての照射に遊ふ鹿も有けり 在江戸 緑 ともし狩火かけに命消て行鹿や霜置ゆめを見にけん ナカト 今きゆる命としらてさを鹿のあはれともしにしたひよるかな 村雨に大串けたれて鹿よりもむねいられつゝ帰るさつをち望丸 仙タイ ともしかけよりくる鹿もつかのまの命なりけり小夜の中や戸 石門 秋風 ざづ雄等か火串の松の十帰りものかれし床や千代をへぬらん京湖小 暁はまたて消なん風のまへともしによれる鹿の毛のほしア 一遠山のもゆる火串にえものかと笑ふくむらん猟人のつき梅母 仙タイ よりかぬる鹿にいらちて火串よりさつ男か心もえまさる説千梅田 千梅園 一狩人のあるともしらてよる鹿にともす火くしはまたゝきやせん艸出 なれか脊の星もうすらく夏山やともしに消る鹿のあかへき五十浪 火串にも鹿のより来ぬ仇し夜は胸をもやしてかへる狩人 防ヤナ井 末つひに筆とやならんともしする松のけふりによるの小男鹿 ワカ山 ミノタカス ともしする火影にきゆる命ともしらぬの鹿のあはれ寄来る乗 火串してしゆりし弓の同影に鹿のほし毛も消て行らん 防ヤ十井 しらすしてともしによるのさを床やほしを合してねらはるゝとは。 とく夢をむすふ鹿には引かへてさつをは寝すにまつともすらむ さつ雄等か矢さきにありとしらすしてともしの鹿の星や見すらん 火串ししさつ煙かそやをのかれきて草の浪間をくける小鹿 新宮 明かたに升の春風吹すさみ月のこほりのきゆゑやうし 狩人の笛の音さゆる秋風にみの毛いよたつ甲斐の猿はし 越フチウ いたつらに鳴子ならして小田守の夢おとろかす殊の小夜風 ミノタカス 旅人の坊主合羽も落しけり女郎答さく嵯峨の秋風 いかはかり蝉やうらまんけふよりは声をうはへる妹のまつ風 三干ラへ 荻にはらや里の踊にさそはれて秋の小夜風さわき立らん 防ヤ十井 紅葉はの錦をちらすはかりかは霞のしら玉くたくあき風 ばなにいみ納涼にめてゝ葛の葉に又うらみたるあきの初風 一昼よりの暑さと共にともし火も吹けちてけり夜半の休風 桐の葉をくるまのやうに吹まはしあはれを運ふあきの夕風 去年いにしなしみの牀の来るそと音信するか荻のうは風 袖にもろき涙の露をもろともにさそふ一葉のあきのはつ風 在江戸 一あき風の吹登してはその虫のみの哀れをや知て啼らむ 緑 燈篭や落るきりこの油さへ身にしみわたる秋のはつ風 七夕 一今朝立し煉の風さへ矢のことく当りて棚の一葉ちらしつ 吹からにひとりなるこの音たてゝ人おとろかすあきのはつ風 きのふまてにしきよそひし草巻の都もあるら志賀の和風 新宮 下ウサコフキ 宮城のゝ巻すり衣吹返しもみうら見するあきの初かせ あき風にともしけたれて心なきしつもむねをや驚すらん 江戸 天の川こよひの空にとふ星は妻まちわふるつかひなるららむ かさらきと紅葉の橋をなとたのむ二道かけぬ星のちきりに サカヒ 長樹 一影うつすたらひの水に一葉ちる柳やほしのつま迎へふね ナカト 一哥屑をいさや手向ん五百機のいとによるてふ星を祭りて巷 一天の川みなかみ遠きむかしより行末なかくちきる二ほし トクシマ 棚桟のきぬ〳〵よりや世の秋のあはれてふ名は立初にけん梅好 小笹ふく風さわかしや七夕のあふ夜の夢も見はてさらまし 七夕にさゝくる竹は天の川の浅瀬をしふるみをつくしかも 二星のきらめくかけはわくらはのあふよ嬉しき笑顔なるらん 梅の女菜のわらはもしらぬかなふたつのほしの給ふの逢瀬を 手向つる千中の巻に置露のほしも別るゝきぬくのかせ 新宮 峯尾 一たま〳〵に逢てふほしの別より秋をあはれのものとしりけん梅業 七夕に洗へる墨の着雲はすゝりの石を根とやなすらむ 七夕の影やならひて寺子等かほし草紙も鵲のはし ナルト 鵲と紅華のはしのふたつ何星の逢ふ厩のかけかへもかな 防ヤ十井 植安 天の川はたは休みて織姫の今宵はあかき糸つなくらむ ヒ言フ 唐琴 口そゝく石とはならて天の川流れに枕する女夫ほし ブンゴ日田 舎栗 あさかほも其名によへは七夕のなみたとや見ん今朝の白露 別路の霧のまかきのつまこめに暫しはやとれ二星のかけ かけうつるたらひにちりし柳茶は星をわたせし船にや有らん ル城窓 新宮 天の川わたる船舎の声もなしさなからほしの逢夜しのひて 、茶實 仝 川也 笹かにの糸も今宵やそみぬらん赤き心のほしのうつりて 川也 越フチウ 手作の瓜やなすひも秋今宵ちきりてちきる星に捧けん 草花 雁 七夕の宵にをりたるしら露のほしをのせけりさらの葉のふね 一星もかく今宵はちきりたまへとて羽袖をかはす鵲のはし 七夕に手向し香の烟りまてねかひのいとにましる一すち 星の逢ふ其あけほのを黒めんとはねやならふる鵲のはし 出しのあふ夜半の枕のちりくもも今宵ははらふ天の川かせ がさゝきとならふ手向の琴の柱にいまや通んあまのかは風 長ト 彦星の来へき宵とてさゝかにの姫にも糸を手向たらまし 志遠里 とし毎にうき名を立て久かたのあまつ空ことかたる七夕 ぎぬ〳〵の涙の雨にくもらせてあけ遅くあれ星あひのそら 逢ほしのまくら氏中にも手向なん今宵わたりし雁の玉章 よし巻はうつろふとても我袖にすらてやむへき萩のいろかは 一俄雨はれてたわめつ萩かえは夕日にむかふ虹のおもかけ 一深草の野末の萩はうつらかふ簀にむすひし紫のふさ 余草のはなのあたひのやすひてやひさく翁の錦着つゝも 巻ずゝきいろにめなれてすらぬかも荻咲のへに袖の白きは サカヒ 長樹 山のなき無さし野原の同草も露にかたふく東雲のころ くゝりたる枕の如くしほむらんしはし栄花の夢の朝かほ 入月といつる朝日を待兼てさく朝かほは浅黄くれなゐ 京 牛馬の喰もこらさて旅の聖に見ところ多き百艸のはな アハ 女郎答をらんと乳母か手をかけて思はす落すせなの坊主子 色芳 しかの臥夜の間のつゆやはらみけんみおもになりし萩の巻書 在江戸 井峯閣 防ヤ十井 つゝみにしひもとも解て秋の艸花ものいはていろをあらそふ 上ノモ一ノミヤ 黄金なすはなの多くて七冊とましはかふかき女良花かも 江戸 手を出せは露に袂をぬれさせてなれもしほりに咲し朝貌 立身 うちつれて来れる雁に常世さへ煤は淋しきことのとかはしる 一巷に行月に渡るも旅の空身を雲水にまかすかりかね 上サ苔 照月の雲やつもりてをれにけんくはへし枝を落す初雁種雄 空ふける風に羽袖もおも気にてしはしはしはたわむ雁の棹哉聞道 天津雁すみいとひくか如くにて目のみあらかつくるさまみそ梅居 三笠山かすかになりて行雁の文字も消ぬる長たひのそら弘 一あはれなる夕にぬらす袖をしもほせとやわたる初一の棹脱照 墨うつりよくも見えけり紙や川同にさやかの初雁の文字 故郷へ富士よりふみや贈ならんかたらの浦へおつるかりかね 作ユゲ 一難波津もしらぬ子の手を持添て親かをしふる初雁の文字 術をさへ学ふと見らん山ふかく霧の中ゆく雁の一つら ワカ山 みちのくのしのふ摺衣うつ夜半やそら行雁の文字も乱るゝ 跡つけし足はかくしてわか身を文字になしつゝわたる雁かね こつらに二季のとりも短冊の雲井をわたるあきの空いろ 稲妻の引さく空の毎月やきれくおつる初かりの文字 新宮 行燈を風にけたれて雁の文字さやけき月にするしてや読 雁鳴ておつる羽風に吹ちらすもみちや鳥のあしのうら山 仙タイ かなしきは秋の夕辺の雁の文字おのかなみたににこり見えけり 落葉 もえ出る春やかれにし艸を見てさる野々奥へおつるかりかね 紀新宮 琴柱にも膠ししことつしなりてまことみたさぬ天津かりかね 春來 照月の雪に羽袖をはらひつゝさのゝわたりにおつるかりかね 暁のくもの鬢つら乱せしはこやいねわろきとこ世なるかり 壁の如へたつる霧の中にしもわれたる雁の文の見えけれ さためなくちるもみち葉はそめられし時雨にふりや習ひたりけん あらそひし春はむかしの嵯峨野にて梅と桜の落葉むつまし 浪速江の風にやちると詫ぬるも今はた同し桜もみち葉 在江戸 水に落る木の葉の舟もなかれつゝ秋のあはれを積て行らん 一あらし山嵐にちらすもみち葉は千鳥か渕にとふ千鳥かも 此日比さそふ時雨をみまねして落葉も風に山めくりする 鬼きりしたにはの山のもみち葉に血しほを流す谷川の水里川 ちる紅葉さそふつらさは川水と峯のあらしといつれまされる長樹 一箒目の波にちりうくもみち葉は庭の面にもおきのいさり火井峯園 時雨 五十一 下総工つゝ 山里のさくら落葉を焚にさへ吹ちる風をいとひぬるかな 水絶し谷の川辺に霜はしらたつや木の葉の屋根も葺けり 作ユゲ文に 日毎秋かきては愛しもみち葉の散ころ筆も箒とそなる 手のうらをかへす木の葉は先へちるもみちの火にやあたらめぬらん 餅祝ふゐの子の頃やちる紅葉みつかひとつも枝にのこらす 新宮 ハカタ ちらしたる科を詫して山守の軒端に風の紅葉あつむる 立田川もみちは雨とふりましてなる〳〵水のなかれよとめり ごがらしに吹おろしては又ひとつ麓に山の出来し木々の葉 星の梅雲のさくらも落葉して今そ時めく空になかるゝ あふ坂の関の清水の往かひもおち葉にとまる冬のゆふくれ 染おきし時雨の足よふみなせそ風の手あらくちらす紅葉を 一台塚のちりつもりたる落葉には見くるしからぬ山も登り城窓 こきませし押さくらも落葉して春に近つく錦見せけり武一 つとにせむ気もあらたへの袖の上を落葉の雨にそむる杣人 操ある松をはすてゝ夜な〳〵にしくれのかよふたるやすのさと 仙夕に 千柳亭 めつらしとしは〳〵里にかよふめり山路を常となれし時事は サカヒ むら時過しのける聖路の松かけや濡すてこゝは空はれし色 京 一もみち見るさまたけなせそ村しくれ我跡さきに山めくりして 一冬の日のあしのはやさに過つかて跡もとりするむら時事雲 ワカ山 色そまぬ常盤の山はいくそたひ通ふ時雨のかひやなからん神竜園 紅葉見のつとふ日ころは松もさそ染ぬ時事を恨むなるらん金涼舎 一むら時ね酒屋にしはし笠やとり紅葉に染る旅人の皃・ 上毛藤岡 一むさし證降とふらぬを両かけに馬の背わくる片時るそら 金沢 笛竹 仙タイ ふりわけて染るしくれは青丹よし三笠の松もならのさくらも 千巻堂 越府中 狐色の木の葉さそひて雲のあししくれのわたるすはの湖 梅里 防響 初時過窓におとつれ行跡に入来る月のかけのぬれいろ 花朝 思ひきやしくれに跡を過れてはまた紅葉せぬ山めくりしつ神竜園 あくかるら涙の時過余所にしてそまぬこゝろの莟はうらめし 仙タイ 千梅園 雪 夕しくれめくる山路の風はやみ塒にまよふからす風のくも旅人 行秋を見送る袖のなみた同としくれ初けり冬の入口竹二方深根 かへり呑春かとはかりうたかひの晴つ曇つ時雨するかな櫛雄 村しくれはれ間たとれは露おちてまた袖ぬらす森の下道清智 むら時雨しのく間にうた一首よみてうれしの森の下かけ 口切の茶の湯よきよ紅葉よとのらに染行初しくれ空久太楼 一朱のゞ戸に音つれて降る小夜時廻れる山に道やまとへる上 染かぬる姿をはよきて時雨らんちきれ〳〵に峯の村雲 小夜更てほと〳〵門を叩けるは風に退れて逃るしくれか ゆく秋をやらしとからむ蔦の手をふりちきりたる初曲事哉江戸 身にしめる寒きもしらて村時ゆきのふの秋の空こゝろなれバプ庫業 なる〳〵にめくる時事はむさし望に染る紅葉の山やたつねん 羽山形 新宮 村雲の袖をあらしの破なたひ時雨のいとそほつれそめける 奈良 時なる空はかりかは行人も木履草履草履のさためなき道 妻をこふ鹿の後にもむらしくれをり〳〵袖をしほらするかな 巻楽 村しくれ通へる比は手あふりのもみちを染る深草のさと 鶉の毛を織こむ機とまかふまて雪ふりしきる布引の滝 下サ結城 銀杏葉の舞扇さへうつもれて雪の仏の道にいりけり 一まつ風の琴は音もせて呉竹の号を并へし雪の夕くれ トクシマ、 色がへぬ莟をねたしとむら時過雪とこりてや枝を折らん 奈良 藤浪 松を折るおもみはいつら茶に煮れはかはかりかろき雪水の味 江戸 長至舘 いきたなき夢の浮橋それするも通路たえし雪の朝戸出 サカヒ 聴風軒 いさゝかの風にもとふは松を折る力ありとも見へぬしら雲 仙タイ 千梅園 とふらはてかたみに篭る雪の日は近き隣も遠くなりけり 神竜園 汐風にいろも黒まて白雪の化粧まはゆき岸の姫まつ 京 貞益 越府中 一天乙女雲のよ床やたゝむらん玉のちりふるあるつきのそら 美霍 一あし跡をうつめてうれしとふ菴の庭にてはらふ雪の傘大江堂 ふりつみて巻と見せつゝ一枝はこゝろ有けな雪の下をれ 天地のわかちもなくて白妙のかみよとおもふゆきのゆふ雲れ未廣 あどつけて人やとはんとまねくへき薄をしなくふれる白雪 作山手 一降つみて風はしらへぬ琴の音のてうしはつれし松の雪折 薫 人さらに見えねと山の尾上にも道をつけたる雪の風すち 尾一宮 一買て来し鴨の外にもほね多き傘たゝくゆきの門口 亀丸 岐阜 目にたつもたゝぬも雪の風情かなはえる小烏はえぬ白さき 一摩麻 奈良 藤浪 一降積るゆきをかためてまろはすは雲の中行月と見るらん ゆき達磨つくりていにしわらはへか履の跡のみ庭にのこりて 新宮 加奈女 達磨のみ顔をとして外にたゝ一物もなきゆきのゆふくれ言葉菴 山里をゆきにしのはる都路やつもれはうとき隣あるきに 仙タイ 千梅園 京 おもしろく見る人いかに白雪の道ふみなやむ遠のゆきかひ 今尾 仏をもつくれる雪にうつふきて庭の鬼まつ角はをれけり 交りの道さへたゆる雪の日や友もとひこすわれも出さる 一諸鳥も日頃の餌にやうゑつらん片出やまのゆきのあけほの 作州 野を山をさしめくりても初ものと思へはかろし傘のしら雪 薫 往かひにあたらあしきも裏にけり不破の関屋の雪の夕暮 ミノブ 夜学の丸窓てらすしら雪は月のかつらの露やこりけん 新宮 ものゝ音をたてはせすしてはり弓のすかたにたわむ雪のなよむ アハ市場 三ノカチ村 山陰の雪にあかなき夕くれをかへるねくらのとりにとはまし金浪 降雪に塒の枝やさけぬらん夜半にからすの鳴さわく也 仙タイ ゆきゝをもとゝむる雪を積置て道をさとれる文もよみけり 色に出し巻も紅葉も染下の白きにかへる雪のやま〳〵 新宮 百重 明たての道もいつしか埋もれて雪にうこかぬ窓のくるまゝ戸 江戸 歌久美 ふる雪の氷に溝の道たえて通ひ路とまるまとの車戸 仙タイ 夜学せし人はしらしな窓の雪ふみ見さるこそ賢かるらめ 作りたる雪の達磨もとけて後水となりては一物もなし 箒木のはらはぬ雪のふり埋む賤か伏家もあるかなきかに 打むれてさわて烏にむら黒く梢よこるら雪のゆふくれ 法 城窓 言葉菴 庭あらす子犬しかれは尚もふるおはてふ雪やわひてかくしぬ守近 月の邪魔なしゝむくひか降つもる雪折のして枝のすく松奈良梅里 うき事を遁れし菴は世の義理の道も埋らし雪の朝戸と今 ふる雪に旅鴬は居なからも踏まよひなん敷息のみち全住人 ハカタ もみち葉のもえにし灰と思ふらんちら〳〵落るけさの初雪ハカタ真 イヨ祠山 千金の春にもまけぬ銀世界價しられぬゆきのあけほのイヨ鉱山 平野 目やすめと今朝はなりけり村烏みわたし遠き雪のあけなの 三州岡崎 言の葉は深山の奥にわけいれとやとはとちたる雪のあけほの折高 なよ竹の小道も絶てうきにしを煙に見する雪のかくれ或村路 仙タイ 玉たれの内よりめつる白雪は柿の風にしちきさくらかも光永 ふむ足もきらるゝまてにつめたきは玉の塵つむもろこしかはら竹友 時ならぬ空よりむつの巻ちるは遠き雲路は春にや有らん清 熊の穴たつねてのほる狩人のきしもこそまされ雪の山中菊英 わらはへは手をきられたる心地して玉てふ塵をかゝへけてはなく 江戸 たゝますにかへせとやかていひやらん今朝はつ雲にかしし傘 一保利 老人の夢にも雪をふまぬかな足をしゝめてふしゝ次女は 町かも山もましらとなりてはらわたを断ほと寒しけふの大雪 吹おくる窓よりいれて襖画の山にもゆきのつもる寒風 ナルト ゆき見する酒の肴の鯉もまたをれたる竹の筒切にして。 降はなほかよひ路しれぬ雪をまた積て夜すから道学哉 今尾 みやこ中かきあつめても雪佛つくるにはなほ足らぬはつ雪 山里のあれたる宿のたのしきは冬さへむつのはなのしたふし 友ひとりたえてとひこぬ雪の日に松さへ琴の緒をたちにけり 金沢 やと別に引とめられて旅人のこゝろつもりもたかふ雪の日 桜木につもれる雪のふゝきにはふたゝひ巻のあらし見るかな 上毛舘林 武蔵野の野つらの雪のたしきには雲路に登る心地なり兎 きのふけふつもれる雲に夜もあかしひまゆく駒や道迷ひけん 雪に名のこし路はむつの巻盛しるしの竿のさきものこさす 初恋 しのひぬる涙の露のひと牽川となかならはしめなるらん吉備丸 イヨ今治 入そむる恋の山路にまよひては浮名たつきもしらすや有なん 今さらになれにし筆の禿にもふくますことのはつかしき哉 見てしより思ひの癪のかたまりはわけ入応の道しるへいし 結城 うき雲のかゝるものとも思はすて入はうれしき恋のやま口 書のそむる故の言葉につまりては筆の杖つく恋の山みち 越フ千ウ とし高き姥を手引にさき立て応のうきはし渡り初けり ギフ 巻にたくふその面影は応初し思ひのやまにかしかゝるしらくも 仝 一応初は心あまりてよみうたの言葉たらすに書おくるふみ 奈良 たらちねのしつけのいともそろ〳〵ととひて着初る慮ころもかな はら〳〵とこほす泪は恋艸の思ひの種のまきはしめにて アハ市場 狐遊 一未つひに浮名立田の川とならん紅葉を顔にちらし初ては ミノブ ナコヤ はしめての逢ふ夜にもめし枕帋恋の山路のつゝちをりなる 琵琶彦 ナルト はつかしとくはへし指につく紅はやかて切へききさしならまし。 新応 新桃妹脊の山とならふともへたつなみたの川なくもかな 仇しふみいり袂は吹そむる恋てふ風のふくろなり気利 一赤以物このみてし身もいろかはり真袖に墨の付て嬉しき 京 一目見てわくや思ひの海山は中々冨士もおよはさりけり ミノブ 入そむる恋の山路の案内にはこゝろのさるのさきに立けり 一応やせて身ははし程になれよとは祈らぬものを三輪の神妙 結城 一我おもひ終には山となりぬらしちりに交る神たのみして 江戸 くさの上の露にたとふる玉の緒もむすふの神にかけていのらん 仙タイ 一戸おくしの神やいのらん戸さしして逢見ぬ妹にむねの常闇 千菊園 ハカタ ふる雪もいとはていのる神垣に人のこゝろのとけよともかな ナコヤ ●鑓はしやきれしえにしのいとをしも結ふ手子なの神にいのらん ナルト 一人目には見にくきまてに祈れともひと言ぬしの返したになし 摂ナタ 一手水して鈴ならす猫は恋しのふわれか代りに神いのるらん呉雄 もゝたひも廻りて神をいのりけりせめて一夜のあふせあれとて 内 待戀 幾たひも官いれ遠きうき人にちかまの神のちかひいの良舞アツク南垣 思ひきや百度参りのさしの尻かたむすひとは祈らぬものを うき人にうつし給へやはかゝみの前に応やせいのかるこゝろを 身を滝にうたせしこともかく浮名なかさんとては肝らさりけり 一身を滝にうたせしこともかく浮名なかさんとては祈らさりけり づれなくていのる宮居にかんなきのはらひのぬさもかふりふるうき 出羽山形 よき妻をもたせてたへと祈るにも鰐の口の緒あかき糸ひく いとも〳〵かしこかりけり下帯をとかす事まて神にいの類は 待あかす夜着のもやうの唐艸をぬらすは人のあきのしら露 仝 青雲亭 一待あかす夜のころもの萩もやうそれも泪のつゆにぬれつゝ ミノ小谷合 千代浪 名古ヤ まちわひて君か住家を思ひやる心やさきの閨に逢らん 三符に寝てまつにとひ来ぬとふの菰心もせはく成にける哉 トヤマ 三輪山人 なき顔を直すかゝみに我かけも人なつかしき夜半の松山 待わひて名も枕にあつる頃けさうになりし閨のともし火 新宮 一待人は影たにせぬに何事をとかめてなくそ煩悩のいぬ馬 恨戀 よもすから君をまつらのさよ更て思ひにむねも石となりけり またせぬる人の耳にばいらぬかな待身につらき夜半の鐘の音 あた人をあたにひたふるまつち山夕こえ来さる人はうらめし 待詫るこゝろをしらてともし火をけちぬる虫よをりやたくし 夜もすから心ひかれてかたいとのくるまおそしと君をこそまて 来ぬ人をむなしく待て打かへす夜の衣のうらみかさねつ 金沢 ひとりめる夜半にや風の音つれて待さる煤の来ゐる志をり戸 在江戸 うらみてもとかく心に任せぬはうき加茂川のみつくさき人 大和高田 明暮の恨のかけひとゝきなは泪を君かねやになかさん ハカタ 長門萩 志遠里 このまゝに恋しねとてや丸をさへ煙となしゝ人はうらめし 一俳人にいなと言れしいの字こそわる身の角のはしめなりけれ云白露園 手もかけてくれぬ君こそ恨みなれ我のみ恋の重荷脊おひて 新宮 血をはきて我やなきぬとうき人にうらみをつけよ山郭公 結城 うらみわひ袖のしくれに染らさる人のこゝろのまつそつれなき 宇都音 坊 山 あ 床は海まくらは山となきあかす涙もちりもつもるうらみに 措きりしかひなき袖もしほるかなうらみ涙の玉をいたきて 喰裂て捨る起證のちしほさへうらむらさきの色とかはりき うらみつく煙とならは立のほり空恐しと人に見えはや むらさきの色さめやすき占かたをめときの萩に見るも恨めし 音信のなきはうらみの種か嶋なみたの玉はうちにこもれり ゆきあはて人目をつゝむ惣ころもきにくしといふへんしうたてや かつらきの神ならぬ身の中絶て言葉のはしもかけぬ君うき 遣る冬を水になせはやさからひて尚もほむらのもゆるわる胸 ごしめしや涙のおつるまへかけの竹のもやうも枝かはすもの けふりしは朽ぬためにと根をやきて建けんふしの天の御はしら かしこしな皇国の画師はまひなしにうつすや清き不二の山ひめ 夢のならぬ俄のふしを見あくれはまくらのにしる旅の菅かさ サカヒ 不二かねの雪にはあゆみたゆたひぬ我あしもとにつもらされとも やま〳〵の品定めせるよしの山答のはやひにわれはよらはや 大和高四 うきことをきかしと世をもいとふ身のかくれ家によき耳なしの山 上毛藤四 時しらぬ山はふしの根のほるほとなもとのかねはきこえさりけり ミノゴ 一世の人の空入もなくて淋しさは雲あししけき山のふとよろ井峯円 十二ヤ 見ぬ人はかく淋しくもあらしかし花なき秋のみよし野の山 なか〳〵に浮世の墓にましはらす神てふ山のおくに住ては言葉菴 ナラ 絞浪 箒てふ星さへ見えぬふしの山玉のちりひち積りつもりて ミノブ 一立しける木々は見えねとことのはのはやしとなれる山はふしのね 心なくすれ行雲の袖にまて巻の香そふるみよし野の山友美助 ナコヤ 耳なしは名のみなりけり手を打はこたふる峯のやま彦の声 降つもる雪に折たる枝はあれとかへさに迷ふ姨捨の山 イヨ今治 鐘の音の六ツはかくせよさくら芒今そさかりの亀の尾の雷 蓮葉のかたなす不二は絶せすも雪のほとけそうへにまします もぢつれの友よひかはし旅人かぢとりにのぼる浮しまのやさ 神 田家 おもかけを比較にのこして水海をぬけいてさりし山はふしの根南垣 風にはたかとなりし山のこしなとてや雲の帯はしぬらん鈴成 一床の山錦のしとねしきつるはねにかへるての紅葉にやこれ表像春来 三国にまたがるからは韓信かくゝりし跡かふしのひと穴バカク耳風 幾ハ千世の竹の葉造り給ひしはおなし齢の杢の尾の神吉備丸 利にわしる世の市人もあし給へし蛭子の神のみかけたのめり江戸梅屋 をしまるゝ花の御姿なかりけん風のまに〳〵捨られし神琴丸 ナルト 一あしひきの山いとふかき所にもとゝまりませる神はありけりナルト其目 天の戸をはすせし神そおはすなる信濃は今も月の名所友広 ひきもとの琵琶湖のきしのひたひにもさゝ浪寄し白髭の神志賀丸 ハカタ 一居眠にゆるむ鳴子の縄に来て人をとろかす夕暮の鳥はカタに 耳風 ミノ高ス とこめ山麓の田ゐに年ふりておきものめきし點か一つ家二ノ夷高輔 新宮 一がり土いれん稲の浪路のへたゝりていよし隣のとをきやまさと 今尾 世の人のしつむうれひをと来稲の鄙はうきたつ秋の夕くれ 都花 真金堂撰 当座 一おのつから風なくてちるならはしはかき世のさかの山さくらかな 江戸 長至館 雪とみつ雲とみやこのふしかねにけふり立そふ花のかけ茶や 言葉菴 大ゐ川はなのなみ間にわゝも又かた車してつくるたん遠く 仙タイ 千柳亭 家路には心わたさて下ふくにこゝも大井の花の川とめ孝丸 もろ国の人をさくらによひまねくみやこは花のあるし也けり 名コヤ 竜屋 かへるさに今一たひとみかへらん永観堂のはなのさかりに京鰕丸 花みんとかものやしろにつとひきて日傘にみする車あらそひ 小原女かはしこにそへてもろ花は高き梢のえたやをり来し江戸万万 夜さくらをめつるひらのは中々に人やちるらんあけむつのかね梅好 春雨のいとくりためて西陣に花のにしきはおりいたしけん双井法師 近江路の雪のけしきにおとらしな爰もひらのゝ春のよさへら 城窓 ○ ○ 都辺にまたもしら浪たちにけり塩かまさくらうつし損ては吉備丸 勢 十三 大内の ナコヤ 玉淵子 山のさくらは なへて世の 草木の百の 司なりけり 仙タイ 千柳亭 あら海の 障子 まちかく 咲てけり みはしの もとの 花の しら浪 冬ノ新、 寿峯尾 十五 夜も昼もひらのに人のつとひ来て はなは夢みるひまやなからん 兵衛 狂言歌仙集中 神哥堂撰 花 蝙蝠軒撰 神蝙 岐阜 一花一枝をれる心にくらふれはいとひし風の手まへ恥ろし 岐阜元寿美 元寿美 さくら狩あなかち手をる酔人は幕にふせけぬ嵐なりけり 名古ヤ 龍屋 一雲と見る花の一木に冬しらぬまつもかしはも色なかりけり 京 一人の目をかすめて夜半にをるさくらおのれそまへと花の白浪 秋水園 春久 うかみぬる雲とは見れと家さくら七日なりたや花のあるしに イセ津 五十瀬屋 しら雲の八重かさなりしよし野山いつこよりまつ花となりめん 籬芳 散てとく里にいてんと人しらぬ深山の花は風やまつらむ 同 山守かくるゝををしむ魂ならん花を折手にすかる小蝶は 身延 梅 奈良 一さくらかりかたみにつけて分いれは枝折にまよふはなの深山路 藤 暁のかねのひゝきにちる花は誰か見はてつる夢見草そも 江戸 青雲亭 花一枝おくりおこせしみはこのひもさへ蝶に結ひてしかな十九月馬六 咲時はまたせ散にはをしませていかに仇なるさくらなりけん 鐘の音を余所へはこひて山寺はこゝろして吹はなの夕風其雲 一国守の留主にも花は見てきたり袖ふりはへる蝶の案内に杉門 一さもあらはあれ朝の雲と咲花を見ても夕アは雨と契るな 真盛は山さへ見えすみよし野に浮れての内るさくらかり人 折ぬすむ花のひと枝風あれて追ふ人なくもいそくかへり路 てらすへき月は朧にくもるへき花にあかなき春の木の下 咲花の雪にたゆたふ泊り舟氷らぬ岸もはなれかなけり 仙タイ 「千柳亭 よし野山千もとの花に一えたの盗み心も奪はれにけり 滝友 これも又あたら桜の咎そかし盗みたき気のいてし一枚書備丸 ヤマト高田 一山守か呵りしこゝろ今そしる手折れる花を人によれて 紀ワカ山 月の舟空いそきなせそ夕風に山はさなからはなの高浪 玉川舎 さゝ盤の糸をたのみてちるさくら咲ぬやなきに花をみせけり 越府中 美寉 ギフ はなのちる夢や見つらん春風に精はなれてさわく小蝶は 平ノ 雲と見し峯はさくらとあらはれてきのふの山の花そ加すめる 梅丸 さくら花雪とつみたる山さとは暮六ツさへもわかぬ此ころ 防柳井 三州寺べ 花守にあひてさくらの手折かけ思はぬ山にしをりしにけり 磯山の花のしら浪立そふるひと木の松はみをつくしかも 作州 薫 ヒラノ 半かふとはかつしりなから奥山の雲やかをると見るさくら花 花ひと木山路にさきて声から春のけしきは持はこひけり ぞがれつゝ戻りし宵は我宿に寝てさへはなの夢見草哉 柳井 馬六 ナラ みよし野のよしのにつゝく白雲に猶もさくらの限しられす 藤浪 そふ春頃はかゝるさまそと花盛しらせのふみもいとちらし書 八重にたろ雲をさくらと行すきてしらぬ深山の花を見るかな籬 作州 掛茶家の軒のさくらに立そひてなひく煙りははなの技壇 薫 京 かへる勲き家譜わすれし下臥のうかれこたろを花のわらはん 紀シンク 咲出て橋雲もつしたかせに雨とみたるゝはなのあさつゆ巴山 主よしのゝ奥もさくらに埋れていつてこらんとまとふ物人滝友 一青柳をゆとめつれはみよし野のさくらはいよゝ雲にさりける 谷川もさそなきのふの春雨にうちまさるらん花のしら浪 三州寺べし 日毎〳〵空のくもるは居所を花にとられし雲やあるらん トクシマ よし野山花の吹雪は寒からて茶屋にはふらすあられ香せん 紫 平ノ わけ入て花にはてなきよしの山奥は空にもつゝく白面々 麁毎にかはらぬ巻の色香かなかさすわる身は老となれとも 唐琴 よしの川かすまぬ浪もかすみけりうつるさくらも花くもりして 仙夕丁 下ふしはこゝにはしかし咲みちて雨さへもらぬ家さくら花 紀シング いかさまに嵐は花の仇なれや雲と見る目も浪と見る眼も 寐たらすやとくおきとて見る巻も眉おもけなる妻の朝寄 折ときに雲とちりぬるさくら花足代にたわむ松のひと枝 仙タイ のかれても世のうき事は山さくら風にとはるゝをりも有けり 千柳亭 心なきわさとはしれと花のえたをらてはいかて名残つき世し いとはるゝ比えの山風三井の鐘花の王にも鬼門なるへし アハ 卯時 春の日の長きとはなそ花の山たそかれはやく思ひけらしな ちることを惜みて花の空にたもしはしは暮をのはしてし哉 金涼舎 かけ茶屋の賤やそとはをけかしけん桜なみたつ春の山寺 大江堂 ワカ山 一花見にと友のさそへはまた雪とかゝらぬ袖もはらはれやせし 脱髪 五色の石の根あらはちれる時おきなひてまし巻のしら雲 大和高田 虎溪 ビンゴトモ 丹を練人や栖らん飼犬の雲間にほゆる花のやまさと 一鉄佛 一えたを乞れていなむ花守は言葉の花を折てかへせり 京 名古ヤ 初さくら我より先へ来し蝶はうはさを聞し人の魂かも 平野 待わひし花のさかりを雲雪となとよそことにみよし野の山 アハナルト 家土産に一えたこへは花守もくれをしみたる入あひのころ なか〳〵に枝を手折てくるゝよりをしむ心は答にさりける 家土産にこゝら手折んさくら花またこん春はしれぬ物やま滝人 一けふも〳〵中〳〵あとへかへらしな花からはなにまよひいる身は貞染 戦しむかしにかへてよみるのかせんとかはる花のみよし聖天皇 ひはり舞ふはるの半はみよし野の鳥ゐも花の雲にいるらん 夢見くさ蝶の飛へとはせ狂ふ子ともこゝろももにもぬけて芳仕 京 やう〳〵と尋ね当けり焼さくら山また山を山めくりして 三ノ今尾 よしの川浪さへはなと流るめり岸のさくらのかけうつる見ゆ 起ら雨のはれしあしたは峰に見ぬ聖翁をおほふ花の谷川 春雨のくすりなめてや犬さくら花の雲間に咲そましれる吉 言葉庵 角樽にくゝりて老へつとのえた酒の香そぶる滝さくらはな イ世偉 五十瀬屋 やらにさへしられぬ答の白雪のつもりて仇に咲たわむかな トクシマ 夢山をこゆるとなしに越にけり花にうかれしうつしこゝろに 江戸 よにふれる春の霖に咲そめし小町さくらよ色なうつりそ 出羽米沢 楽盞亭 普賢象はなちるすは青柳の髪をもよりてつなき留まし 広丸 おゝふけて何れの町も夢見くさ愛る平野ははなの昼時 河内丹上 鐘すりの扇も土産に買な人をの上のさくらいま盛りなり 名古ヤ 琵琶彦 京 寸美九 蟻の如つとへる人に巻もけふ王位にのほるゆめや見ならん 山高み人もすさめぬ夢見くさおのか果報は寝てやまつらん 三ノ高ス 春の夜の花より明て花にまたゆふくれおそきはなの下菴葉行 花を見ししるしと玉のかんさしにもらひてさしし楊貴妃桜 京 おもふとちしく毛氈は唐にしきたゝまくをしきはなの夕くれ 山さくらをられぬ水にかけ見えて花も長閑きこゝちなるらん 仙タイ 千梅園 同 ぬる間さへ夢路たとりつ待わふる外山のはなにこゝろびかれて かさらんとをる手かよはく花の枝になか〳〵老はあらはれにけり 同 匂ひあるかたやいつらと枝つたふ露さへはなに置まとふらん 紀新宮 小鮎汲嵐のさくらの浪をぬけ糖の真似すらん烏羽の蝶 猿人 山さくらちりてなかるゝ川下に風をもほめて羹や見るらん 江戸 保利 よしの山花に言葉の花そひて一重も八重を見る心地かな 身延 梅業 鏡にもむかふ女のすかたかな化粧ひさしの月の夜さくら イセカトリ 貞守 蝶の如はなに遊ひて野に山に日そめと行身のかなき哉吉備丸 下総結キ 宇都音 守人のこゝろや枝にはこひけんすき間なくさくはなの真盛 春なから呉天の雪と敷かゝるは故にはむさと笠にきられず 一下卦に春の夜寒もいとはまし貴妃や小まちの花の内屏 ちるもをしちらぬもつらしさくら毛見つかれし目と見たらさるめに 笛竹 作州 またちらぬ植の花の雪にさへかへさは足のふみうかりけりけり 薫 山里のつかひを花とふみ箱のひもとくうちの心せはしや 京 一尊絵せし琴かと見らん大井川筏にはなのかけもうつりて よしの川覆ふさくらの白はたや川の狭ものはなの広もの 酔しれの顔のひてりはあるとても雨なふらしそ小まち桜に 杣人も深山の花のまさかりをめてゝ斧をもつかはざりけり 一さほ姫の雪のはたへと咲花のちれとも見ゆる山のふと一ろ 在江戸 徒 父母の雨のめくみは見えにけり此ころわらふ見さかへ良はな アハトクシマハ 吹風にちりて流れて谷川にしらぬ山家のはなも見る哉 国よりも指かたふけて楊首妃の花の下ふししたる碑しれア日出成 イセカトリ そたてしもまゝ母ならん夜嵐の杖にうたるゝみなしこさくら ひはり鳴よしのゝ山のさくらかけ花を守りの鈴かとそ見る ちる花の雪につくらぬ達磨かなもうせん着たる下ふしの人吉備丸 上野フヂ出 たをや女かひたひの富士もかくれけりかさすさくらの花の枝雲 三ノギフ 一伊勢さくら盛りの頃は家ならて売ものおほき出茶や賑ふ 咲からにまたぬ人にもとはれ兎あるしもしらぬ今朝の初はな トヤマ 金沢 まつ風の琴のしらへもやめてまし乙女も来へき花のしら雲 ヒロラマ 峯も地もはなの深雪にうつめとも人のはこひはとまらざりけり 越府中 吹はちると風にこゝろを煩らは尤花に薬のあめはましれと 美崔 さかつきにかけのうつりてのむ人のこゝろも花とともにひらきつ ナルト アツタ 咲みちしよしのか桜すれあひて花をちらせるはなも有けり 今尾 花はいつら千本はいつら花くもり空まてつゝくみよし野の山 声なくて人を呼らん吹風にたえすうこかす巷のくちひる 花守に乞ひて一えたもらはんと七重のひさも八重にをるらん 風いとふ巻にみとれてさかつきの酒をちらしし酔し水の客 帰雁 あすの日の空やいかにと思はるゝけふの花見の日和すくれは清躬 月はかなし雪は寒けしとにかくにこゝろも花にひらく春かな一草 見ぬ人へ土産にもかなとおもふ迄手をるもはなに心ありけり 一みよし野の花の影うく滝川にさらして見ゆる布目短冊 真心に雪となかむるよしも哉うらみ埋めむはなの入相琴 花の山霞もれくる花の香はあまつ乙女のそてのとめきか 江戸 よし野山古友都の跡とへは右もひたりもさくらなりけり 越府中 朝な夕なふけは千すちにもみぬへし花に心は風のあをやき 美美 入あひにちるををしめは家桜に時斗のかねもうらみてやきく まいうとにすまぬ顔しつ園守は老木の花のわらひかねしを いつ見てもかはらぬ花の玉子社難波の寺のちこさくらなれ 岐阜 鶴丸 アツタ 花暦見てめくるには山さくら日をおなしくは咲ぬたのしさ 風越の山もさくらに会移してはなのこすゑやよきて吹らん 三ノ小谷合 はな見にと誘ひ合たるふみもたゝひらかぬうちそ楽しかりける 京 花もりに一枝を乞ふ少女子か顔もさくらの色あらはれつ玉雄 兵庫 わけ入しよしのゝ山も咲は七日花のうき世はのかれさり斗り 一農屋 咲しより人のめつれは花守の身をほめらるゝ心助せられつ閔 三ノ久オス さく花を足にまかせていつか見んこゝろのゆかぬ里はな斗れと 今尾 まつ人の心つもりはちりほともそむかてうれしけさの初はな 市丸 折とりし盗人のみか花にふく風の手まてもしはりおきた さけは璽ちれは空そとみな人のさくらを金ににみよしのゝ春 仙タイ 花笠 西山は所せきまてはなさかり日も入かたやたつねわふらん 一冷かへる風も通さぬ肉屏は貴妃や小かつちのはなの下ふし イヨ銅山 はなに酒何かうれへんおのつから風のふくろを銭てふさよは 仙タイ 一もとの心わすれかねてや帰る雁野中の清水のやらぬる哉ころ 千柳亭 こせ山の猿も跡に見残してそらにつら〳〵かへるかね 名古ヤ 日日春 棹さしてよるへさためすたち花のこしまをすくるかりのうき舟 阿波 名古や 一雲の峰ぎりの海なき春の空かりの旅路や行よかならん 第一 春雨 空とほくつはさたゆけに行雁は残る寒さをつとにやもつらん 行雁の棹の短くなりゆるはかすみの海にしほやみつらん 一同功治 天津空帰れる雁は僅ほ姫のかすゝか帯の織とめの文字 絞浪 花さかむ南の風に湊田のかりはわかふねのつなやとくらむ 江戸檜園 京 忽想取つとにももたてかへれるは春のこゝろをしらぬ雁かね 江戸 いへはほなき霞の海は雁のふねこゝろやすしとゆたにゆくらん 大そらに一羽おくれしかりかねはひらきかけたる花の封しめ 一行かりのあはれをなかめおくり居て家もしはしは花を見持つ明躬 アハ市 弊れたるわら沓のことおもふかやはなをも見すて帰る一人かね アハ南右 アハ南方 なれを愛す人を見捨て帰るらし雲をつらぬくころも雁かね 仙タイ ふるさとへかへるはれにも咲花のにしき見て行はるのかりかね 一文好む妻のにほひに送られてさくらのわらひうけぬ雁かね琴丸 さくらをは見すてゝかへる雁かねに言葉の花をおくるうた人 折牛 花なから散乕の尾はふむましと足をはそらに帰る丁かな 立花をわたせし国へ妻か香を羽袖にとめて雁かへるらん 仙タイ 咲はなの斗行かりのや戸かたは白雲おほふ富士にたくへん 天津障おのかとくよへ急るはおなしうきよの花心はな 汝か宿の花やいかにと花国のひとまよはせて帰るかりかね よじ野まて見かけし大和名所図鳥枝折して寝る宿の春雨 花といふ子を持はにや春の事。折風はさそはけりけり 京 湖丈 一文車のつれ〳〵草もつれ〳〵の春のなかめによみくらしぬる 広シマ 貞染 アツタ 裏雨はぬるゝまてにはふらなくに足つま立し根上りのまつ 上京の留守にも絵図に都をは見草臥てそ寝たる春事 防衛所 一蝶よ花といつくしむ子に双六の旅をもさせつかそいろのゆ はるゆの奇けき軒の糸水にむすひ合せしうたゝ寝の夢 春雨は花なす比良の雪けちて雪なす志賀の花そ恵める 鬼すみしたにはの旅の五月雨難にあしを登れけるかな梅里 さく花のにしきおるてふ糸やこれ春雨ふれるしつはたの山キファ 内 苗代 人ひとり来すて日長き春事にしみのす其家の友をこそとへ よるさへにたのもしからん花を待こゝろに雨のおとをたてなは翠丸 越府中 やく花のほつるゝこともしらすして気の結ほなる春の長雨 義雀 千鳥にはめさめし数を春の日の事に寝よろし次戸の関守 ア市場 京のごとく日毎続きて夢結ふ昼寝の癖のつきし春ゆ五 仙ドイ古川 こぬか雨ふりつゝきつゝみよしのこそれから花の山となるらん ビンゴトモ 淋しさに寝てよむ文もあふ向の顔に屋根ふくはる過の岩 さひしさに歌よむ友のまとゐして言葉はなさく春日雨のやと 江戸 おもふとちはなしに枝の枝生ひて一と葉のはなにかそいろの事 春雨はさくらはかりか友の来てまんさかせたる言の葉のはな 一雪まろけとけて流なら春雨に烟草のたまもくつすつれ〳〵 小町田に尋よむ蛙とめてまし春さへ雨のなかくつゝけは こきません花のにしきの下染とやなきのみとりあらふ春事 春ゆに草木のみかは人々のことはのはなもひらき出らむ いつしかとたまれる軒の樋竹に降音しりし夜半のはる事 江戸 庭の面の草木につれて神棚のもちまて春老春雨の宿 トクミマ 淋しさの猶まさるらん酒尽てうつはも音のせさるはる事 はる雨の糸こそあほの朝あれ艸のたもとや花のふくろひ 越府中 梅里 しめやかにふる春雨に思ひきやかまとは高きあられいる音 今尾 美泉 海棠もめくむこゝろを今そしるねふり催すはる事のやと 仙タイ アハナルト はるゆに眠引定す賤の女の糸のくるまの音もさひしき釣 釣成 三州加納 やかて見ん花の錦のはしめそとしらるゝ庭の春雨のいと三 桐山人 アツタ 草も木もみとりに染る春雨は炎の藍よりふりそゝくらし 三蔵楼 けさ買し蛤まてか口あきてあくひのまさるはる雨のやと ヤマト箸尾 平野 待花を夜の間の夢に見よとてかくるゝをいそく軒の春雨 一竜姫のうつのをた巻半きあけてふらしものか春雨の糸の糸の 紀新宮 防柳井 たれか此鎌や捨けんゆふ月のかけさへうつる苗代の小田 か茂川の水せき入てくるま同にひくをあらそふしつか苗代七才 螢 養老のなかれをひきし苗代は酒をかもせる米のみなもと 養老の滝せきいれて前代におろせし種や酒につくらん 富士川や雪餅の水をせきいれてゆたかなる世をいのる苗代 秋にならはよき花さけと苗代にさくら散こむみよしのか小同 岐阜 はる雨の糸水引て首代にいのちをつなく種を蒔けり 豊年の雪とのみ見むさくらちる山田の面の賤かなはしろ 苗代の田毎にぬしはかはれともひけるはおなし谷川のみつ 今尾 豊年の貢とならむ谷川の雪解のみつを入るなはしろ 豊年の雪解の水をせきいれてみつきの種をおろす苗代 仙タイ 加茂川の水せき入て賎の男か種はこゝろにまかす苗しろ 一ときおそきあれと五十歩百歩論いつれ引ゆく首代の水 針川の水引いれて前代のうらの袖田にもみつけてけり 弁当をはこひておろす前代はいのちの種のもとゐなるらし せんたんの小田も作らめ二葉よりよねかうはしく見ゆる昔しろ 池水に糞の花とは物かはりほしのうつれる夏むしのかけ トクシマ 司 狐火を石のまくらにくたて如あさちかはらに飛ほたる哉守近 ひかりをは沢辺の霞と見るうちに空にこほれて飛蛍かな 筑はカタ 未廣 一吹風になひく蛍は化さぬ間の艸のむかしや今しのふらん 京 数照 艸くちてなりし蛍は夏の夜の月の霜にも色をうしなふ 双井法師 なかくに夜は夏むしにあかるくてあくるにくらき木この下庵 かり行は高く上りて見えすなる蛍やそらの月にいりけん アツタ 今宵しもかゝるゝ蛍去年の夏鎌をのかれし草にや有らん とへとものいはぬ蛍は身を化さぬもとは名のなき艸にや有そん 仙タイ 千梅園 おこたりてふみ見ぬ窓の蛍かけあかるさになほ恥かしきかな 江戸 いさゝらは草を分てもたつねましいくさに負ておちし歯を 仙タイ 埋木も朽なはかくや名取川波間にひかる夜半の夏むし 一立田雄こゝろよすとも雲となり雨とななりそ月のはつら男 和高同 サカヒ ものいはゝことはかたきになしてまし見ぬ世のふみをてらす夏むし 長樹 アツタ にごりなき玉の光りの夏むしは池の蓮の露やなめけむ ビンゴ山田 いたつらに過法我身をいさめけん集ぬまとをてらす蛍は一 江戸 風渡る身すゝしき草の葉にこほれぬ露はほたる成けり 浮艸の化しし蛍は小町田の早苗のなみのうねく子とふ 水のみかもゆる蛍もおひゆけはいつち逃ゑんむさし野の原 空高くあかりて見えぬ蛍かけ月の国扇におさへられけん 掌にひかる蛍はかくやひめ得たる翁かこゝちもそする 仙タイ 源氏よむ窓に蛍か飛かひてもゆる影そふ算火のまき 千柳亭 京 これもねのなきものなりと浮艸にほたる棄ゆく池のゆふかせ 貞盛 おさへたる蛍はにけて扇のみ芝にのこりし卯治の川きし 花の酔さめぬる頃に飛いてゝ水をこのめる岸の夏むし おさへたる団扇のしたの蛍こそ月にかけなき姿なりけれ 篭やれて迯しほたるはうなゐ子かしたひて出したまとかもこん おさへしと思ふほたるの空しきは握しくさにもしや化しけん サカヒ 落滝津なるかゝ水に影見えてなりぬほたるも声はありけり ともし火も消しこゝちそ願ひかるほたる迯ゆくひとり寝の窓 仙タイ おもひにやもゆる蛍を狩とりて惑せぬ妹かそても露たし 仙タイ 武蔵野の広さは空とひとつにて星のちらめく夏虫のかけ 英 つゆ草をわけ行袖のぬれすしてとまるひかりはなつむしのかけ はし姫へ誰にしのふのねきことそ夜なくに火をはこふ夏魚 少女子か数の蛍を狩ためてうれしさあまるそてなりの篭 身延 浮草の変としみれは池の面のほたるのかけも根はなかりけり 井峯閣 夜さくらのなこりを見せて夏されは平野のみやに蛍飛か神 広シマ 芝錦 アツタ 一夕顔におきあまりたる露すひて蛍有夜の花とちりけり だゝかひに逃し蛍はうなゐ子に手とりにさるゝこともありけり トク雌 紫 ふたつ三つみきはの草をはなれぬはもえぬる尻をひやす蛍なし いにしへのふみにはかへて蛍より銭やよむらんそれのひかりに 身延 戦にうしろ見せてもさらにまたきたながらさる夜半の夏むし 戦にうしろ見せてもさらにまたきたなからさる夜半の夏むし 坊 五月雨 一文学ふまとの蛍はなつ艸の朽てもくちぬ玉そめてたき もちはりの篭にいれたる夏虫は薄雲おほふほしかとそ見る菊芳 文好む妻の雨夜は石摺のやみをもてらす岩のなつむし春好 浮草にすたきて光る夏むしは星のなかなかなら天の川かも 道の辺の草のしけるに飛蛍月のこほせる雫かと見ん 童か源氏窓より叫らしおなし名におふほたる見つけて たゝかひをさけし蛍や学むらにひろはひそみてかけを隠せり ふみの道あかなくさせる夏虫のかけさへきしの木にも入へし ブンゴ日田 一蕎菜化してや月日ほしのことひかるほたるも谷わたりしつ ヤナ井 いざゝらば酒にかへまし濁りては茶にたく水もあらぬ五月雨 ギフ 一中々に蜑か袖のみかはくらんいとなみやすむ三月雨のころ 一五月雨になかれしあとへ流れ出て杣木よこたふ谷のかけはし 双井法師 下総結弌 つかれたる足はやすめて旅日記に筆はこはするさみたれのやと 長住 一滝の如もりて我家の壁の耳棟のうしもあらふた美たれ城穴 河内 人はたゝむなしく遊ふ五月雨に軒端のしつく落てひまなき アハ市場 大井川ゆきゝとまれは足なくてはしる銭をも減す五月ゆ 下総結城 五月ゆに草もめくみて筒井筒井筒のもとに生ひにたらしな「角山丁 身延 賤か家のはしら暦に雨もりて月日のわかぬ五月酉のころ 柳井 ざみたれの糸をしけくも織そへてそのはゝ広き布引の滝一 一馬六 一同の面は臨かとはかり五月丙に案山子も弓を流しぬるかな 今尾 いつ迄もふりやむことをしらぬかな薬玉かけし軒の五月ゆ 金沢 「笛竹 名古ヤ 雨を呼雲をはら見し五月山実の入妻の酢や好むらん 出羽山形 さみたれのつれ〳〵わふるきのふけふあくひに己か目もぬらしけり 玉磐 名古ヤ 雲あしもしはしはしは休め五月ゆて天のかはらも水やたえ 越府中 五月雨のもりて机に見し妻の友をもぬらす宿居の庵 梅里 根をたえて池の水艸も小町田へさそはれいつる五月雨の頃黒人 紀クマノ 五月雨のふるき軒端の菖蒲よりくたる薬の玉水やこれ 其川 はれぬらん是もみえすて五月ゆの雲たち震ふ武蔵のたゑ 身延 庫業 五十一 仙タイ 五月雨の空に月日のかけ見ぬは雲の林よいかにしけれる 千梅園 五月頃雨に水ます淀わたりひるもあやめのわかぬ川きし 杉門 詠やるそなたの空もかきくれて音のみしける五月酉の空 照躬 五月雨は春の雨より手つよくて苦むす岩に花を咲せり 秋水園 アハ よみかけし源氏はやめて酒肴品さためする五月雨のやと 卯時 山羽米沢 さみたれに水かさまさりて名取川けふのあやめはあすの埋木 楽盞亭 紀新山七七 一夕虹の天のはし立うつもれてきれとも見えぬ五月過の雲 山 巴 トクシマ 五月空蛮の雨さへいく日ふりてわる身もいとゝうみにけるかな 静 金沢 月影もしらぬ軒端の五月雨にかさりかふとの星を見るかな 笛竹 アツタ 飛鳥川名のみなりけり水まして渕瀬もわかぬ五月雨のそら 三蔵楼 弓のくとまかるいせきの印竹竹みつも引目はしらぬさみたれ一方 降つゝく雲もあやなき雲のきぬ月日包みてうとき五月事南垣 江戸 五月ゆの雲の濁りにしまさしとはちす鉢へもふたをなしけり 京 乞過て海なす庭にかはつらも木すゑにわひてくゆる五月雨 あやめさく池水まして五月雨に棚なし小舟引そわつらふ 三州四サキ 鶯の音もやみてより五月雨いよく月日のかけしらぬ哉 我菴はなかれ行しとおもふ迄目なれぬ庭にかはる五月も イセ津 五十瀬屋 うき雲のはやしし計りて五月過の空に月日の影も見ぬ哉 仙タイ 千梅園 石をうかつ雫や軒にしたゝりてなかき根にたつ五月雨の雲 紀新宮 加奈女 日のかけのしはらく見えて又くらきはやあかりもほしき五月ゆ 茶実 作津 おもひきや星はのこらす染衣へいりかはりたるさみたれのそら 明丸 五月酉のはれ間もなくて此頃は辻のほし店それたにもなし海老麿 水ましてかはる瀬いつら飛鳥川関のみとなる五月雨のころ吉備九 ビンゴトモ 富士川のわたしもたえてみつ海と夜の間にかはる五月雨の頃鉄佛 アハナルト 空のみか海のうへにも日の丸のしるしさへ見ぬさみたれの船アイ かさりたる座しき幟の紋の外ひなたの見えぬ五月雨のころ花鳥 名取川ふる五月雨に水まして月のかつらやむもれ木となる清成 紺かきも業をしやめていたつらな遊ひに染るさみたれの宿友由 鵜川 魚得んとたける鵜かひか篝火はあすの烟りをたつるいとなみ 一月の夜をかこつうかひは後の世に円路をたとるきさしにやこれ 鵜つかひのつかれてやくみに戻り舟つきまち焼るをりも有けり 名古ヤ 竜屋 アツタ かゝり火の紅葉なかなら川水のからくれなゐに潜る手馴鵜 平野 ざしのほる鵜船は棹の雫より月の水にそきゆるかゝりひ 唐琴 魚をとり鵜をくるしめてむすひ縄罪をも八重につくる搗烟身 かゞり火の光りも月にけたれつゝ心もやして帰る鵜かひ男 紀新宮 ナラ 其雪 手なれ棹めくらす舟に影ゆれて月も鵜川の水くゝろみん神竜園 まつのかけつきて鵜飼のかへる夜は常にかこちし月やまつらん金涼舎 物凄きやみにかゝりをたくましき腕にまとひし転遣の縄 紀クマノ 其川 汝業の手なるゝ侭に得ものさへつみかさぬらん樽飼男の船 作ユゲ 深根 山吹の瀬による花の鮎とりて煮かねの色にかゆる鵜かひ男竹由 越府中 鵜飼男にいまなかとてもさしのほる月こそ魚のたすけ舟なれ 美崔 ヒロシマ 前張の目入てより手なれ転をはなつ矢よりもはやき谷川貞隆 朝蕣 一稲明ふねところせきまてうかふ花は闇とし見えぬ数のかゝり火神音園 紀新市 ふりたつる篝にてらす浪の上静飼かつみも見えわたるかな 川也 出しほの月の水にいろくすを求めかねてそかへる鵜かひ男 江戸 目かけをいとふ糖明は身の業をくゆるまてには老せさるらん 後の世の罪をしれとて烏にも業とめらるゝあけの鵜つかひ アハ市場 五百丈 中々に鵜遣ふ翁の達者さよ月を愛さるゆゑにやあならん黒人 鴉つかひか闇になれよと山くる月になみたの雨をふらしめるらん清成 一人にまて早起させて朝かほの花はとむ間のいりてみしかき ぬる蜂も羽物やかさん七夕の牛を牽てふはなの盛りは ナゴヤ 琵琶彦 アツタ 一ねかはくは蔓の長さとかへてまし盛りまもなき朝皃の花 うつくしく紐とく花はあけほのゝ空にゆかりの色のあさかほ 柳井 馬六 アツタ 子を持しおもひや日々に朝息のはへはわうへと待そ詫ぬる芦萩 入月に名体を惜むものうきをなくさめんとや咲る朝かほ吉備丸 紀ワカ山 日のさらぬ所やあると尋ぬらんとなりを現くかきのあさかほ 同 花もろく咲あさかほの水いろは夜ことにおける霞やそめけん 世をしのふ庵の園の朝かほは日朝のうちに呑やさくらん日日番 ふところに白はさしいなら姿かな権のはなのしほむ風情は其川 アハトクシマ 朝かほの客半つ今朝は花よりもさきにひらきし庭のしをり戸 今ヲ おく露に有明の月を宿らせて日かけはいとふ朝かほのはな 菊泉 紀新宮 一きのふ三つけふは五ツと庭の面にすゑ広かりのあさかほの図 アツタ 一垣こえて郭にさくはいきたなき我をうらむる朝皃の花 夜へ月に寐もせぬものを又もけふめさむる色の朝かほのはな 紀新宮 防柳井 一夜なから月を宿してさきぬめり水色たもつ朝皃のはな 哥也 仙タイ 丸窓の月よりめつる敦皃も早起すなるくすりなりけり 紫のあさかほなからゆかりなきとなりの庭へ広こりてさく広丸 ワカ山 一日のさゝぬうちにといそく朝皃やつるをたすきにかけし袖垣 あさかほの花のさかりも日の鼠とてくひさく三井てらの庭 一弓の如たわみし垣のなよ竹につるうちかけて咲しあさ白 アツタ 今ヲ 有明の月の水をやそらきけんぬれ色ふかき朝かほのはな はかなさよ垣ほの竹のことふきをおのれ得かほに咲るあさかほ清躬 一日の栄としらてあさかほを見れは千とせも経る心地かな 金沢 作りてし花を見に来る人さへもあさな〳〵にかはる朝貌 有明の月のしら露くすりかもきゆれはしほむ朝皃のはな アツタ 島多 千代篭しまかきの竹に省かりて花の齢を願ふあさかほ 名古ヤ 泰山法師 花を見るあしたせはしや朝皃の蔓をたすきにかけし初垣 仙タイ 仙タイ 清澄 染分のしほりに咲ろあさかほは露のこほなし跡にや有らん 京 明方を告るからすの瑠璃いろにみつよつふたつ咲し朝貞城窓 三ノダカス 槿にあさ蒲の窓をのそかきて袖垣覆ふうかれ女か部家乗行 ついひちをくゝりて出る朝かほは業平竹のかきねにそさく 京 うき秋の夕暮しらぬ朝皃もつゆにぬらせる庭の袖かき春園 下総結キ 朝息のみかたの原にたつ霧のまかきよ花の影にしもなれ 丸記 照わたる月のかつらのさかりには見る程もなきともし火の花吉備九 アツク 南垣 雑波江の短きあしもつま立ているきの山の月や見るらん 夕されは草の葉末に這のほる夏も今宵の月や待らん 出羽山形 金雄 爰にしも目の都をうつすとはおもはさりけり塩竃のうら 神帝国 戸さししを心なしとや笑ふらん月の留守とは人のしらすて 紀新宮 峯尾 世にたくふ浮空遠くはれぬとも山へないりそ秋の夜の月 サカヒ 長樹 山の端を山かる月影にてらされて闇の行ゑや見する夜烏 一惜みぬる仇をめくみに帰しけむしは〳〵ぬくふ目のむら雲 まねかれて薄に宿はかりなから主顔なるむさしその月 サカヒ 芥子をまく夜とのみねは思ふらん目をなみたの種としらすて ミノ今尾 水もてる月の影たもわか宿の窓のうつはにしたかひにけり 仙タイ おく露を種になしつゝ松ならぬ月のかつらも岩におひけり 千柄亭 フンゴ目田 月を見て何れか歌をよまさらん生とし生るを放つ雲の夜 イセ佳 光りをは月にゆづりて秋今宵眠るかことき宿のともし火 サカヒ 月の雪いかに見るそとくまなさぬ朶雲おこす友はゆかしな 聴風軒 類おほふ枝なき松の板戸をも月には邪すと取はなちけり 江戸 躬雀 夜歩行を咎る妻もうたかひの雲な起しそ月の今宵は 心なく今宵の月にねる人とかへおほしきは庭の松か枝守近 松風の琴にそ敵の雲逃て月のむしろそ全たかりける琴 アツタ くもらすは須磨はぬる間もしるましと月にかふせし夜着程の雲 下総結末 月待て君ひなゝ足のましなひか山のひたひに見ゆるちり雲 あふかすてこしかたしのふ我目にも見ゆる田毎の月はうれしな アツタ 月今宵硯のうみも汐に連て夜すから墨のかはく間もなし 枝雲を風の手斧にぎり出せと月にさはらぬあきの杣や戸 谷川の水にせかるゝ月かけは人にまたれていそくさまよ南 穂すゝきのまねきかへせと月も又水もつゆゑか迯るむさし野 ワカ山 脱哭 照月にひくゝ見ゆるは半はゆさにひそめもやせし遠山の眉松 明近み光り薄らく月かけの霜も朝日に御ゆくかこと 江戸 青雲亭 むざしのゝ尾花か袖の露けきは水もつ目にさはりたりけん 盛出 貞実 晴わたる影を愛つゝ軒に出て月の雪にもたわむ竹えん こよひ見よあすの夜よりは少しつゝ月のかつらの紅葉ちるへく 数多く見ゆる田毎の同影をせめて一つは家つとにほし よひくに物思ふ袖の時雨ては月のかつらの紅葉半治らん 江戸 三保の浦月のかつらに思ひきや聖文ころものかゝるへしとは 夕つくる空も黄はみて見ゆるまろ待なるものは月の雪かな双井法師 カヾ金沢 一ぬることはをしく社あれ月影のさやかにもなく岩のやに壁 西南宮 同 照月の今宵は寝すに見よとてか枕ほとなる雲たにもなし 笛竹 有馬山猪名野を行は尤う雲もさゝはうて見る秋の夜の目 ナゴヤ 大井川目の氷にとちられてくたしかねたるあきのいかた士 友雄 うなはらにうつれる月はしら浪の竜のみやこの玉かとそ見る 見明さん月見の友をとむるには車時計のくさひをもめけ ギフ 影さゝぬ星のはやしは今宵てる月の中なる杣やきりけん 兵庫 結ひたる尾花の露をうつしけりおのか袖にも目やとれとて 一農屋 海土かくむ藻汐にとめよいたつらに月かけくつす磯のあら浪 かんなくつ散す如なるしら雲はむかしなからのはしの月かけ 紀シンがウ 照まさる月のかつらのさかりには日生のはやしもいろなきかこと さらしなの山の目見に老人を留守居にすてゝ行も有けり 江戸 保利 仙ダイ むつましく飛たつ人の魚と水月のこほりのしたに遊ひつ 安臣 五里の霧もはれて今宵は二千里の外まて照す秋の夜のの目 モリ四 寝なからに月見る夜半はたのしかり木枕の山手枕の小野。 貞実 住の江の浪にたゆたふ松かけは月のかゝ見をみかくやうなり 作州 薫 さらしなのふるきためしは捨置て月見の留守に姨をたのまん 金沢 是そ此みつれはかくるいましめの鏡となれるけふの月かけ 白妙にめつるや月の雪気色をれて地につく呉命の類芝錦 まさかりの月の桂の花見たになくさめかねつ妹すての山芳生 目にさはる軒はの竹を照月の雲に今宵はたわめてしかな住丸 紀州 竜開川夏の神楽のはらひよりにこりのとれし月の水そこ 角同川同守庭のうれしさは見るにさはらぬ造り枝の松 うれしさは今宵にあまる目影をつゝまぬもよきむら雲の袖 照月の桂の花に異口もひらきてめつる菴の志をり戸 アハ竜虎 炭にまかふ闇を呑たる月かけは雪の衣もさくとこそ見れ 月めてゝ老となる身も中々に夜の明よとはおもはさりけり 金沢 むざし野に山はなくともすみのほる月こそ秋の峠なりけれ 笛竹 何国から見てもおもてを背かさる玉かとはかりのそむ月影 見る月に老となりしか目のさめて寝られさりけり秋の今宵は 同今宵花のにしきの三つふとん折発て見ん手早くらの小野 ものおもふ袖のぬるゝは今宵てる月よりおつる霞かあらぬか 浮雲の袖にすかりて引とめむをしむわかれの月のきぬ〳〵 ゆもりに置したらひに晴て後月もあしさへあらふさま見ゆ 竹津山 葛城の目は昼ともいははしや雲たに中のたえてさやけき アハ 竜虎 目をとちて歌よめとてや秋の夜の月にしはらく雲のかゝるは トヤマ 望の夜の月に鳥より赦されてうらみかほなる気代のつる 備后トエ 唐人もよもや寝言はいはれまし日本晴の月のこよひは 金沢 むさし野は月のたるやこと見えにけり置白露の玉敷のにはで 廣物 ひとり寄ふたり月をはみたりして鼎に酒もかけし友とち 岐阜 須磨の浦や今宵の影のひかる君月のかつらのをとこ世帯は 白妙にざやけき月の雪の夜は人にをらるゝ庭のまつか枝 今尾 桂木の枝てかきさきしてほしや月をつゝめるむら雲の袖 浮雲の袖うちはらひ影とめてさのゝ渡りに月のゆき見ん 月にかゝるその枝くものちり行は呉剛う斧や打ちらしけん えた雲のあらんかきりは折まほし月の中なる雪を見る夜は 入かたに山しなけれはちひさなる露にやとりしむさしのか月 志賀の山月のみやこはそのまたになりひる秋そむかしなりける かれいひもくはて愛なん旅枕椎の葉にもる山の端の月 名にしおふ月の今宵は童ならて吟するうたに雲なおこりそ 鹿 集めにし蛍はたえて照月の雪にもよめる雁の文字かな 妻にあふ是毛の病は石川のもみちのはしやふみわたるらん城窓 露越すふ尾花か袖はころを乞席のなみたの置ところかな三蔵楼 わけのほる深山の霞に鹿のこゑ聞ぬ先から袖をしほりつ 一もて来つる弓矢はすてゝ小男鹿のなくねに物を引しほるかな 此夜す書こひやせての月に影ほそ長き峯の小男しか春田 一秋萩のにしきの床もあさましと妻なき鹿や皆したくらん京 もみち葉は染ものこさし山めくるしかの涙の時雨いくしほ 一妻こびの手ならひするは海の子かいろはもみちを踏わけてなく ひとり居の心細きにつきたして寝覚になる処棹しかのこゑ 目にもてる法に夜毎月つき秋をくもるとしかはおもはん廿九日 ヒロシマ 一夜もすからあちとち風に迷ふらんあはれ妻よふ秋鹿の声 紀新宮 ひからひし蛙の笛によろしかの声やなみたの事をよふらん 蛛の森の寐さめの床の淋しさをなほもつきたすさを鹿の声 七十二 仙タイ 一旦なくてこゝまてかよふ鹿の音や外に山らぬ初も愛けかりけり 巻笠 身延 井峯閣 やみの夜に妻乞ふ峯の紅葉鳥あかきこゝろは鳴音にそしる アツタ 夜もすから竜向の山になく鹿も河内にかよふ妻こひのこゑ ギフ 聞からに袖もぬれけりさを鹿も露おく尾花わけて鳴らん 作ユゲ 小夜深く妻こひてなくさを鹿は思ひのたけやとゝきかぬらん 答 小男鹿の声をものせて流るめり紅葉音ある谷川のみつ 神竜園 トヤマ 一其角もかれ枝めきし寒みち鳥おのか胸にもたく火あれはか 三輪山人 一鹿の一ゑ聞んとすれはくさ〳〵のむしさへきりてしかと聞せす 柳井 鶴久 紀新宮 あはて帰るあしたの原に小男鹿の尾巻か袖を覆ひなくらん 猿人 仙タイ いかてかはするとき角のあるへしとおもはさりけり鹿の遠こゑ ミノギフ 紅葉の色にまよひてわけいりつつまこふ鹿のこゑをきゝけり 笛になる下駄とやしりて少女子かあしにまつはるならの小男鹿胤成 夏山のとしにこりぬ小男鹿やもゆるもみちを踏わけてなく 此ゆふへ細くもれくる鹿のこゑすかたも恋にやせやしつらむ 秋夕 螺ふきてゆめけしらせる山里にはひよと鹿も友よはふこゑ 夜もすから妻乞ふ鹿の声きくてふるさとおもふ旅のひとり寐其日 下廿二丁 身をとかす。巣にまして哀なり其ゆる紅葉のもとの鹿の音 備后上 一妻こてなくさを鹿のあはれさに木々もなみたの露やおとしぬ 作州 鹿のなく山路に心かよへはりそでに乱れて露やちるらん 薫 いにしへは馬といはれて妻乞に恋のおも荷をおへるさをしか 江戸 淋しさに素をとへはとなりにもとなりをとひし殊の夕くれ 同 備戸 酒のまぬ身はいかにせん上戸さへなくさみかねしあきのゆふくれ 隣さへきりにかくれて淋しさも我身ひとつのあきのゆふくれ 三刀次守ア 弘昌 つれ〳〵に日暮す秋のゆふへにはよしなしことをいふ人もなし 江戸 一さひしさに宿をいつれは淋しとて友もまた来る煉のゆふ暮 檜園 越府中 一優茂き秋のゆふへのあはれさはぬれし尾巻か袖にしるか菊 美雀 今尾 萩の枝も薄のしのも打ふして秋のゆふ人のあはれしる果な 弘邦 京 さかりには人を集めしさくら木もはえなき庵のあきの夕くれ ナラ 藤浪 むさしのゝ月の生しほに風さわき尾花なみよる秋の夕くれ さらぬたに淋しき秋の山風にあはれ吹山々す夜半の鹿笛 紀クマノ 其川 とひ行は友さへ居すて淋しさをなほ誘ひ出す秋のゆふくれ 作津山 納丸 淋しさはとらへ所もなかりけり鳴たつあとのあきのゆふく経 越府中 江戸 何となく秋のゆふへの淋しさに露やおきけん庭のそてかき なか〳〵に紅葉のいろの夕はえて秋くれかてに見ゆる山老と 紀新宮 酒のめとすくしの色もなかりけりしふい顔なる秋のゆふく礼 イヨ銅山 ヤナ井 弓矢もつ案山子もこけて山里の気にはりのなき秋の夕暮 名古ヤ 一となりから隣へとひて淋しさの岩にのこりしあきのゆふくれ 夕暮の翌つらにふくむ淋しさは尾巻か穂にもあらはれにけり 紀新宮 あつまりし友も木葉もちり〳〵にこすゑさひしき秋のゆふくれ 京 今尾 其さまもかはりはてつゝ小町内に案山子のたつるあきの夕くれ 備后山田 一里なから此さひしさに思ひやる深山のおくのあきのゆふく紅琴樽 飛て行鳴もかくれて見えぬなり霧たつ浮のあきのゆふくれ城窓 宍戸 千鳥 網代 霜おかぬ鹿のなく音も悲しくて夢となれかし秋の夕くれ 越府中 美寉 奇屑もつゝるや妹の夕くれにほそきこゝろは糸によるもの 一牀さひや哀はかりをとゝめけり浦のとま家のゆふくれのそら 仙府 罪多喜人 さひしさに外面に登れは我よりも泪さきたつ夕くれの空 茂佐彦 江戸 高くなき低くなきつゝ小森千鳥声にも浪のたちゐしる哉 千とり聞閨の室さはいやましぬ声にも小夜のしもや置けむ ふる雪に夜寒のさとも道たえて友よひつきの浜ちとりなく 立のほる羽初の露に玉川の月もしくれてちとり鳴なり 神竜園 名古ヤ 岐阜 蔓 同 よる浪にはそてぬらして夜もすから妻なし千鳥鳴わふるらん 江戸 一浪のはなかさして老やかくすらん雪にかしらのしろき千鳥は 寐顔 身延 かしましく鳴る机のしまちとり難波津ならふ子等にたくへん メ庫業 なり〳〵に千鳥の声を聞なれてなかぬ夜さひし須磨の関守 サカヒ さよ千鳥声のくたけて聞ゆるは岩に良うつ時にやあならん 身延 むれさわく声に甘雨の音立て千鳥は浪の山めくりしつ 梅業 かしましくすたく千鳥も聞なれて声せぬ夜半は寝られさりけり 神竜園 一小夜ちとり妻とひわひて打浪のまくらにつもるちり〳〵と啼 平野 唐琴 一縫夜しは鳴たつる浜千鳥こ名を真砂の数にくらへて 一捨小ふね有かたよりや立ぬらんつれなく見えし友なし千鳥 風あらく岩打浪にいそちとりくたけて四方に立さわてかな 岩角もなみにくたけてちれるかと見れは千鳥のさわくなりけり 紀新宮 金沢 アツタ 紀新宮 春来 ロンゴ 一聞もまたたのしからすや漬千とり遠方のともよひつきてなく 露月 ヤナ井 なみよする岩間くゝりて夜もすから蜑か浦辺にちとり鳴なり 磯はたに千鳥は至れて立浪のはなも羽風にちらすなるらん サカヒ 木によりて魚をもと至る銅代守川瀬つくひせ守りあかして 長樹 名古ヤ 一雪吹してくもるかゝりは冬なから蛍に半かふ宇治のあしろ木 作ユゲ 吉野川瀬々の網代による氷魚は花と雪との色を見せけり 瓢水 江戸 さし出るひをも待らん明ちかみ霜さゆる夜に網代する老 青雲亭 一網代人こほりの中の魚を得て親をやしなふ孝やなすらん 騎 忍ゑ 雪風にきえもやらすて網代守かたまにあまるあかつきのひを 宇都宮 和多吉 寒けしなひをとる人も布網代宇治の川瀬にいくへかさまつ 仁戸 梅屋 あしろ守夜もあかつきの天鏡にうつる川瀬のひをやとるらん 泪川袖にせくともせきなまし志のふこゝろはよとむかたなし しのへともいつる泪はまい心のまつにしくれのそふおもひかな 備店 栗丸 アツタ 三蔵楼 仙タイ 光永 岐阜 一然の海の千尋の底にしのふ身は人のみるめをかる海士もかな 柯麿 名古ヤ 思ひをは立しはかりに忍ひては其まゝくちんむねのにしぎ木 日日番 仙タイ 口なしの色にそみけりいはてたゝしのふなみたの袖のくれなゐ 千菊園 同 一恋ゆゑといはてしのふの山なれやさしこむ癪にあてしまくらは は千梅園 つゝめとも色にやいてんうき恋のしのふにあまる袖のなみたは 、宝山田 アツタ うきふしの竹薮にさす月なれやはよりもらさて恋忍ふみは 今尾 一王紅ひとりしのふ心のつく〳〵しまたことの葉は出さぬしたもえ 草の名のしのふにたえぬ露しつく落るなみたのかわく間もなし 同 陸奥のしのふ泪は夜もすはら袖におさへのいけをなしけり ハカタ 末広 おもひわひしのふ泪は滝なして。早くらの山におつるしらたま 三ノ小谷合 千代浪 しのふ身の人目の関のなか〳〵に浮名はかりのかよふくるしさ 梅好 忍ひ逢ふ雨戸の猿のさけひてはわか腹わたもたつ思ひ哉 しのふれはなみた流るゝ我まくら潅落かゝる岩もしかめや アツタ 三蔵楼 しのひつゝしのへる恋のふみにたも我傷もあけて見せたし 柳井 馬六 うちつけにいひも得やらてこふしのみ握てしのふ身さへくるしき 清治 一忍ふれは胸の浮雲はれやらて闇路をたとるこゝちなりけり アツタ 島人 何とせんおもひはちゝにみちのくの人の見るめを恋しのふすり 仙タイ 多喜人 しのひてはいきをも殺す思ひかなあふにかへ置き命なりせは 柳共 梅久 アハ 人の眼をしのふ文字摺君ゆゑに髪もこゝろも乱れそめにし 狐遊 うき雲のかゝる思ひそ久堅の月日かそへて恋しのふ身は 下サ結キ 丸記 備后トモ 一我と我こゝろの関のしのはれてかよふ夢さへおどろかれぬる 鉄佛 ヤナ井 夜となく日となくもゆる思ひとはいは後てしのに恋のやみかな 馬六 三ノ小谷合 恋草の化して蛍となりもせて泣音しのひに身をもとかしつ 五千代浪 皆 別志 □□□ 作及 涙川しはし逢瀬はよときともうき名つゝまむ袖のしからみ 薫 平ノ うき思ひむねにあまるをもらざしとこらへ袋を忌むる苦しさ 稲生丸 ゆきあはて人目をしのふ恋衣きにくしといふへんしうたてや イヨ銅山 山蔭 三ノ高ス 一正月の間のうれしさつゝむひまもなくそての旦うれ小ふるなみた哉 星影 嬉しかりし宵の逢瀬も飛鳥川なみたの渕とかはるきぬ〳〵 和高田 虎溪 袖留る妹かかひなのしら雲をはらふもつらき今朝の別路 一たらちねに背きし中を憎みてや孝ある烏うき別れさす 金沢 一別語は鳥もみたれて鳴ものをしらすかほなる有あけの目 笛竹 ききくのとりおころかすす時守のつかみにこけのむすよしもかな藤浪 三州岡サキ 不破ならてせきとめかねし別路のなみたの雨は袖にもりけり 一わかれ路の生は晴てもみかへれは妹かひたひのふしそ時ゆる トクシヤ もし秋になりはせぬかとわかれ洛の言の紫ことにふる袖の森 静 まくと是はらわたをたつ思ひかな泣てやまさるけさの別れ居城荒 紀新宮 これも猶思ひの種となりぬらんわかれに見つる君かあそかほ 江戸 寝すくして人にあふなと衣々につくるやさしやあけのくた并計 ナルト きぬくのうぎ別れには花ぬりの枕にひてあけほのゝかね澄雄 きぬ〳〵にあゆめる脚の戻れるは恋の海辺の砂路行らむ梅居 別路は胸たゝざくる思ひなりとめにしねはふりはなちても城窓 三州黒岡 わかれ路をとむる秋のきぬ〳〵に重ねてきぬるかねこともしつ 八カ夕 おそろしき恋の潤ともなりなましわかれの袖につもるなみたは 紀新官 恋路にはなさけの露のしけけれはあかぬわかれに踏まとふらん 別語にふりはなちたる袖にさへまたもすかれる君かうつり香清成 をしめとも八声の鶏の祠たゝさにこゝろの花のちれる別れ路 仙夕イ 思びさへますさぬくの床のうち君かこゝろのおきそのもかな 江戸 わかれ路の袖にすかれは耳のもとつきはなちたるあけほのゝ鐘 心さへあふと別れの晴くもりうたてしくるらきぬくの遣て春岡 一引とめし初さへはなちかぬるのにつき坐す明のかなはうらめし帰山 ひかへたる袖のぬひめのわらひしは家別れ語のこゝろしらすや澄雄 名立恋 川 別落の三手のせき守かたつか方とめしたもともふりはなちつゝ 作ユケ 深根 京 わかれ俗のうきによしなくとまれるは袖の泪とねやのうつり春 盛 夢 上毛藤岡 むつ言もしのふ文字すりくたかけの乱れそめにし別れかなしも 友 出羽山形 うきて名はなとなかならん泪川つかへはおもき石ととりても 玉繁 恋ふして身はいたつきにありなから世に立走る浮名くなしも アハ うき泪もろえの袖にあまりてや名はたちはなのかとられそする 狐遊 たゝ一夜君とかはせしまくらより耳いといたき浮名立けり 柳井 植安 仇し名をかつきてし身もひた落る泪の事はしのかれぬ可し南 神竜園 妹と我しきねの夜半の稲莚穂にあらはるゝうき名くるしも 江戸 寝顔 心おく雪のちぎりに名の立ていまはきえたき思ひなりけり吉 紀新官 熱置しなかとは誰かしら雲の根となる石や毛のいひにけん ナルト 一世の中になかすうき名のたて川やいつよとむ瀬の有んとそ思ふ 作州 仇し名を流すなみたの川かみは深きおもひの渕にそ有ける 薫 埋木ととも小埋めんよしもかな世になかすてふうき名とり川 津山 恋中をやふりて針も棒ほとにいひなす人のくちそぬひたき 納丸 未た君のほとりへたにもよらぬ間に立つと安き仇しうき名や 世の人のきせなはきせよめれ衣をかへして夜半の夢にたにみん 下サ干潟 仇し名のかくも広こるためしかな墨のしみたるきみか玉章 貢 江戸 色々の雲のうき名の立そめて君の山路を分まよひけり 無染 備后トモ 一待夜半の行燈に針の跡まてもつい棒ほとに人やいふらん 栗丸 人の目をつゝむ袖よりふわからを落して恋のうき名たち花 人の目をつゝむ袖よりふみからを落して恋のうき名たち花 恋やみてとこをはなれぬ此日ころ名のみ立ぬることそ苦しき岸 竹ユゲ むすほれし中とは人もみさひ江にうきぬ名は世にひろこりにけり へたゝりし遠きとなりに聞えしは立しうき名の恋の山ひこ清 ヤナ井 杣人の斧をも入ぬ山ふかみあちこちえたのおほきたにかは うづくしきやなきさくらは玉しまの此川かみのいもかすかたか ずきいれしやうに見えけり紙や川氷にとつる岸のも春は 一玉琴の糸かと見れはいくすちか筏をくたす大井川か南 漁夫 佛 瀬まくらを越てなりるゝ菊川の水のよはひも限りなからん 花も見すはられる水のよしの川行ものはけにからそありたき 京 玉雄 長柄川乗おくれしと先ともの人はしらしてよふわたしふね 岐阜 山吹のちりにし後もかけ天等やの花れに見する井手の玉川 おもかけをしのふむかしのなから川今そわたせる虹のかけはし 蔓守 三ノ高ス 呑捕 京 いなふねは岸につなきて最上川水にかふりをふらす岩角 なり〳〵と流るゝ水に山鳥もおの賀すかたや見ん鏡川 世に高きその名にしおふ名江川行うもれ木のさたゝしなすらん吉備丸 一夜のふけて音のしつかに聞ゆるは水も寝るらし川の瀬まくら 柳井 哥也 月かけとともに流れて末つひに海にいるなるほし川のみつ 春園 紀新宮 春風にふねもゆられて火縄箱やなきのけふる隅田の川きし 峯尾 アツタ 筏士の棹のしつくやにほふらん山ふきの瀬をくたす宇治川氏 股くらに首さし入て大井川水を背となすをのこすさまし 身延 ましらなく峰より落て浪音のつゝみにまかふ木曽の山川 庫業 出羽山形 声たつる水をこほりのとちし時音なし川の名やおはしけん 金雄 岐阜 一けふりをもたつるたつきと糸たれてつりする匠虫か希葉のふね 元寿美 青柳の一葉のふねに棹さして釣の糸をもたるゝいさりを 紀新宮 加奈女 いましめの網をもはらに業として文くふ魚はしらぬあま人 ワカル 玉川舎 備后トモ 世のちりを査吹かせと聞なして琴柱にならふ蜑の釣ふね 鉄 打よする浪にしられぬいはほにも心をくたく細のすなとり 作二ヶ 啓 岸をはなれ海原遠く行蜑はよのよしあしもしらぬ業哉 柳井 馬六 一むなきともなるてふ山の芋をしもしらて仏にそなへてしかな江植 花吹雪それかとなくる賽銭をあつめてつくる寺の御仏 月も日もいつれに西へ引よせてかしこの国をてらす御仏城窓 鷲の山四十余年はみほとけもうそてあたまをまろめたりけん 是もそと山の奥より出し木につくりなしたる釈迦の尊像清成 アツタ 一濁りにもしまぬはちすに塵をしめて玉をうなかす仏ふつとし 好の世はほとけのまゝにまかせ米木こり永くみつとめかねてき 無常 廻文 山吹の色のはたへもなか〳〵に里のりの多きほとけ尊とし 吉備丸 紀新宮 一情しるうふやの軒の母子艸それに指さすみほとけもなほ 村路 世の人をすゝしき道にいらせんと汗をなかせし嵯峨の御仏 トヤマ 三輪山人 一極薬のあなしふりかな行人をよみちの客ともてなしめして 仙タイ つむ雪の山になれてや御肌へももよほす空の色にそみけり 千梅園 なき人の跡とふ卒・塔婆くちふりてそれさへつちになりし哀さ 身延 庫業 いづの間に月日の鼠はみつらん短くなりしわれか玉の緒 名古ヤ 琵琶彦 さかりなる人のこゝろの花にすら常なき風の難はありけり 一おのか身を花と頼て明日しらぬ風をいとふそはかなかりける秋水図 京 さかり時花に延せし命たに風のさそひてちるやうたてき 夢盛 紀新宮 心をは萩に寝さする雷の身の風にこほれて覚る夢の世 川也 鳥都野の草の上に置処よりももろきは人の命なりけり 名古ヤ 花要 アハナルト 一ゆくとしを花雲のみとゆつりけり露と身のきゆ名はをしとくゆ 浪速月 当座 真金堂撰 紀新宮 いやましにかまとにきはふなにはつやけふうくまなす秋の夜の目村路 ◯◯仙タイ いかてか〳〵煤計さるらん芦火たくなにはのうらき目のかほはせ千柳亭 フヂ丘 うかむせの月にくまなすまつかえは置にかくまきゑとやみん 月見酒くめはあはひのさかつきに玉かとおのふか計もうかむせ枚門 アツ四 て日月の雪にもよらんなに後かた田みのゝ島といふをかことに 三蔵樓 〽□ところのすまやあかしのいけふねも月の出しほによきるなには江黒人 めてあかす月のこよひは川口にねてよきかすのふねのほはしら鱚芳 新宮 さわかしきうとわき風もよしあらやなにはの月の雲をはらへは 峯尾 作弓削 あしの薬の留の音たてゝなには紅にすみわたるらし目のみや人 岐阜 なには津に梅のほしさへかけなくて月の光うをめつる秋の夜 なには寺抜てふ門のほとりにも打まもりみん月のねつみを竜屋 ○ 月こよひみつのうらへにやく塩のからくも人の老やしつらん吉備丸 十五 奈良 南渕堂藤浪 梅かく有過しなにはの 秋の夜もつゆけき 一袖に月をとめまし かりねたに 大和高田 三笑亭 虎渓 する人もなし なには江の あし辺をてらす 月のこよひは 十三 兵庫 一むれの 阿波座からすの 農屋 かしましや からま 瓢箪町の 月にうかれて 盛 城獄 安全 長屋 狂言歌仙集下 神歌堂撰 神蝙 蝙蝠軒撰 盛岡 春月梅さきし軒端は昼も星見えてくるれはかすむはるの夜の月此 盛岡貞実 岐阜 一海棠の露にやとりておもか斗のねふるとみゆる春の夜の月 蔓守 花さかぬ月のかつらは献るさまありて光りもうすき春の夜 新宮 一しら雲と見えぬる事を音の月花よりいてゝはなに入らん ギフ 梅咲てかほる匂ひのかよふ夜はかすみにしつむ月の浮舟 平野 唐琴 あす花を見るへき宵はをと女子か月の鐘もおとろかれけり 三州 弘影 枝におく露にやとりて春の夜の月もさくらの花にぬるかな をちかたの霞にとはんいかはかりこさふくえその実の夜の月 京 満丸 春の夜のあるひは笠着をくら山いつくに見てもくもる月影 柳井 一秋まては尚ほと遠し春の夜の月はかすみのおくにや有らん 熱田 下露にやとりしかけをさく花の雲かもかくす春の夜の月清成 一春されは月のもとけそめて清水にぬるむ瀧夜の月 はゝき木もかすみて見えすそのはらやあるかなきかの亥夜の目鈴成 さほ姫の染しかすみの色きぬはあまりけれせぬ春の夜の月 金沢 はゝきゝのはきとはわかぬ春の月みかくとくされいまた生ねは うくひすはねくらとるす梅はやし枝うつり行春の夜の月双井法 利根川のなかれ尋ねてすむならん底にこりたるけの夜の月 水鳥のかもの川瀬の月か斗も波をまくらに眠る春の夜 東山うすき霞のきぬをさへかつきて見ゆる春の夜の月 仙ダイ アツ田 むさしのゝゆかりの色にかすみたる空にも月のかつら一もと 奈良 藤浪 水色の空もおほろににこれるは月のかはつのわさにや有先 身延 井峯閣 影あるかなきかにものをおもはせてかすみし月そかこち顔なる 入ぬへき山のかたよりわらはれて笠かたふくるけの夜の月 同 一庫業法師 結城 宇津音 久かたの月のみやされ春の夜はかつらの花にくもりはすれ 音風に月の氷やとけぬらん影さへにたる梅夜のそら 冨山 西へ行僧の名をしもしのふかなかたち顔なる春の夜の月 菊見 思んせすふりもせぬかなけの夜の月のかつらの花くもりには 阿波 口出成 熱田 さくら花ちりうく川は影も尚いよしおほろの春の夜の月 南垣 身延 火ともせる梅や柳のそふるよりかへもるなるらん春の夜の月 井峯閣 仰きみれは霞をはるの夜目遠目かさのうちなる月の衝気 金沢 西南宮 越府 行雁の跡をにこさて立跡にすまぬもあやし亥の夜の月 石山のいしの根をたつ薄かゝに名高き月もかすむ秘説 今尾 新宮 春の夜の月のかつらみ枝霞にみとりおひけん影のかすむは 春の野に酒にあそびてかへるころゝ砕しさまある月も出たり 咲岡にかすみてうとき月か計は錦にあきしすかたなりけり 堺 作州 長閑なる影をうつして行水にほたりけ見せぬ春の夜の月 さほ姫のかくすかすみの袖雪炉月もにほひをちらす春のよ 経をよむ鳥をまなひて春の夜の月もかすみの衣かけけり 一月影は花にかをりてむせひつゝかすみの袖をおほふ春の夜 野遊 仙ダイ 千菊園 なからも花をかさして行かふとめつるやはるは月の都も 此夜頃月のかゝみのくもりしはをさなき替やもて遊ひけん 柳井 鴫丸 千金の音のおもみやかゝりけんかすみの底にしつむ月影 津島 菌芳 さす月のみやこもけのにしきかな影もかすみのきぬにつゝみて 咲梅の香にやならひてけの夜の月もかすみの袖をはなれず 京 あそばしや井は堀かねしむさし野にけふしも酒の池を作りて 仙ダイ 帰り路を袖にかくせし露こそ野辺のあそひのあるしなるらめ みや人のあふきかさして遊ふ野はみやこのふしの梺也けり 菫野はいつらと賤にとひぬれはひとむらさきにみゆとをしへつ 一野逝に酒のむ人はかしましくひさこのくちのかわて間もなし 一野清水に足はあらへと帰りぬる道はあそひにわすれ果けり 寺部 さらぬたに帰さわするゝ野遊にかすみは家路とほくへたてつ 袴着し草はふまるゝ野あそひに羽おりをきたる酒のぬり樽 たはれつゝ野辺に遊はんさわらひのうしろ指さすさまは有とも 身延 越府 梅里 金沢 蛙 むらさきのちりをひねりし野遊はたはこのまさる人にや有らん 紫のちりのつもりし山瓜なくあそふに広きむさし野の原 うなゐらかあふきのいかを打あ斗て心空なる春の野遊 命をものふるおもひよ島のゑのよもきつみつゝ遊ふ春の野 野遊のけふのすみれをかことにて妹か出茶やに一夜案てまし 京 一東色 盛四 春の野に遊ふをとめかかさしたる扇の蝶のまふすかたかも 柳井 盛岡貞実 くさ〳〵の花はさかりに有なからまにみのいるけの野遊ひ 延年 菜の薬の咲みつ野辺に孫つれて蝶よ花よと遊ふ楽しさ 徳シマ米司 一姿をもをのこにかへて仏の座妹はつみつゝ遊ふさかの野 茎つみ花をさしたるかみさしのつとにもたせてかへる野遊 一あらそひて汝も孔をや洗ふらん蛙に濁る小野の川水 一山吹の花見てしよりいくさする蛙もうたをよみならひけん 一井のうちの蛙とのみないやしみそるもよみ得ぬ人の身をもて たゝかひにまけぬちからを持なからるよむ蛙やさしかりけり 徳シマ 鳴門 いくさする身を持なからものゝふのやはらく類をよむ慎哉 一声の夜の月の蛙とさらしなの田水に顕のさまは見えけり 水にうつる花をかさして老かくす蛙はうたに心ありけり京鰕丸 鶯とるよむ蛙池水の松やなき藻の枝うつりせり 奈良 水の手をたち切られては戦ひし蛙も今は事をこひけり 平ノ 平ノ唐琴 まけしにもかちしにもるやかみぬらん衣川辺の蛙かせ無に 仲ダイ 糸による雨をもこひてけの野のかはつは乳の屑やつゝれる清成 池水にうつるかゝ井のか斗ふみてるよむ堪かせんするらし 鳴門 一水の面の月に飛こむ蛙らは乳の病のくすりもとむる黒人 さらしなの田毎にこゑの聞ゆるは月の城もましりたらまし 身延 一八川はしの沢の蛙はかきつはたかしらにおきて乳や詠らん後で千門 堀川にうつるから井にのほり居て蛙ももゝの類はよむらし 和高田 うき草にのりて蛙のなく丁ゑはいつれの岸に流れ行らん 熱田 鳴門 不二の山うつれる小田の水の面に雪ふみあけて蛙なくなり さくらちる池をしみれはうくひすの外に蛙も花に鳴けり 身延 庫業法師 苗代の色紙田の面にあつまりて蛙も類のたねやまく見 同梅業 廿八 おほき中にさえたるこゑはさし込し月の蛙もあるもそ思ふ 結城 一結城宇都音 さゝ波の花をひとよのあるしにて岸の蛙も顕はよむめり 廿七 一雨ふれは柳の糸のあやつりに池の蛙共をとり立見ゆ 冨山 旅僧のすかだと井手の玉川につゝみせおひてなける蛙は 作尻 散薬ををしむかとおもふ夕くれの蛙の類のこゑも曇りて 空水の身にもあらす天津の面にうつれる空に蛙なくらん 影うつる花の空をしうこかして雨こふる類やかはつよむらん 身延 山ふきのなかれにすめと口とくていはぬ色なき井出の蛙等 池水にしはし蛙の鳴やむは影のおもむきねるにや有らん 小町田にすみやならひて事をくひちをうこらす蛙らかる金沢今居 うくひすのやすむ夜の間もなく堀まなく時なく類や詠らん京鰕丸 逢坂の関の清水にせみ丸の琵琶に似し子を持しかはつか 遅日 なく堪声のをつ〳〵とたゆるは顕にいかなく種をかさくれる清丸 奈良 みな人の花まつころにかそいろゝの事やこふらん池の手つら 井の内にすめる城も影よみて居なからしるす名所の海吉備丸 一春の日のおそきあゆみに牛のひく前見車瓜ときこゝろせり桧 春の日のあしのおそきは大空にちへのかすみの関やこゆらん 柳井 一くれおそき春の日あしをたのみにてけふれ幾へかこえしいふみ 一花おもふひる案の夢によし野まていてもとれともくれぬ音大江堂 一むさし野の逃る水には追つか伝遅く見えけり晋の日の脚 すみなさく霧の日た事は冬の日のひと夜二夜も案し心地哉 春の日の脚にまかせてたつねいらはよし野の雪のおくもみるへく 夕くれにおもへはけさの春の空一夜へたてしおもひなりけり 秋冬の日にくらへては十かへりも申つほと遅き春の夕くれ 阿波 ひまを行こまのあしさへ道学になつみておそき春の此歌 五八 三日はかり過しとこそはおもひけれよへの夢をしけふかたりつゝ城窓 納涼 糸逝にまつはれしかと見るまてに春の日あしのうこきゑぬる 苗にあそふ日も長しとやおもふらん梢にてふのねふり居るみゆ 鞆津 栗丸 熱田 日のからす扨くら遅きはさく花の雪にや道をわすれたりけん清躬 品田 一人いこふ大路の松のか計涼しとはに千とせの秋やこめしと 一蝉の音の時雨もれとも汗は干て袖はぬらさぬ木かけ涼き吉備丸 庵の戸をたゝく門辺の青柳にこたふる風の軒そ涼しき アツ田 暑にもまけぬすゝみのうしろ立たのむこかけや松の片うて 仙ダイ しになめと思ひし暑わすれけり窓より風の手をとれる夜は 今治 里川 妹か顔もみちするまて裾吹て夕の風にあきやかよへる春春 はや秋の心地はしけりなつ衣のすゞきもやうもなひく夕風 吹風に嵐をはなれて柳はし舟のちり行すゝみひとむれ 結城 一かばほりのひらめく軒の涼風はかすのあふきにおよはさりけり伊東光永 月か計はさやの中山さやけくてよこを給ふせるすゝみ友たち 越府 一蓮池に舟をいたせは順風の何かは夏を秋とあさむく 津ンマ 新宮 加奈女 とく秋の通はん道のしをりにと結ひし草の庵すくし奈 松風の琴の音かよふたかとのはあつさもいつちにけて行見城窓 涼風に散しうちはは川なみに月のうさきの走るさまゆ 青柳のなひけるもとの涼風は漸にうたるゝ心地こそすれ 美ノ 涼しさにやすらひみれは花の時風をいとひし木漬なりけり 手すさらにひらく扇の天地もうこきて涼し和歌のうら風 夕風のたもとに入て涼しきををしやつとにはもたれさりけり 京 京夢盛 ねふの木をゆずれる坪にうたゝなの覚て涼しき夕くれの空 仙多イ千菊園 同 千梅園 波まくらこえくる風の涼しさに眠りもよほす川そひのやと 真清水の流れよりなほ多かせは手をもぬらさて涼とか哉 岐阜 滋見 をとめ子に琴をひかせて涼む時軒端に松の風かよひきつ 奈良 其雪 竹友改 昼のあつさとりかへさゝんと涼む時風に扇をもて行れけり 寐琴 御抜する川のほとりの夕風にわれもしはしは夏はらひせり 涼しさは猶いやましぬ手に持てつかはぬうちはつかはするかせ 涼にと人みないてゝ麦秋のゆふへ共宿はさひしかりけり梅好 幡なる秋そしのひてかよふらし垣のすきもる風の涼しさ 新宮 竹の春こゝにかよひてともし火の花吹散す風は涼しし すゝしさはこゝにしかめや木下かけ行にし風も又もとりきつ 仙ダ丁 音なしの滝をあみぬるおもひかな柳のかけにすゝみとる身は 涼しさに人のつとひし木下かけ岩も今はいつちゆきけん 鳴門 暑をもさくるくすりの夕風は月のかつらの枝よりやふく 身延 すみたかはすゝしさは身にしむはよりてもとふく風にまかせて走る川舟 山形 七七 あふきもていかてあふかん君か代は戸さしもしらぬ夜半の涼しさ ゆあみせし妹はあつさをあらひ髪柳に風の姿すゝしき 葛水をのめは暑もうらかへり秋かとそおもふ夕すゝしき 涼しさは岩根の清水したゝりて苔のたもとに夏はなかりき かゆ杖にならぬ柳も人うちて茂みにはらむ風そすゝしき 日のか斗も西に沈みて多風の涼しや汗もひき汐のとき 諏訪 同業 夕風にあつさは逃ていつちへか行水音そすゝしかりけり 身延 夏の夜の月のかゝみにやかてくる秋のすかたの見えて涼き 梅業 すゝしくも吹来りては手になれしかはほり飛す夏の夕風 風の手の筋もなにはのうらかたやよしあしわけてさす涼舟 立よりてくめは涼しやこけ清水こ斗ていねたき松の下かけ 花州 川添の柳の枝にかゝる月はつして見する風のすゝしさ 子を案せてそれから母はおきのいししはしの汗のかわく間もなし すゝしさに松の木う斗に居ねふりて夏も家路をわすれける哉 涼しさを仏もしらぬうしろ堂見ぬ極らくの風ともかよふか 三日月の船もうかへる夕すゝみ風待をするかは添のやと 涼しさは秋かとはかりまかふかなうちはに夏のしるしみるのみ三津店 艾をしも散せし風か夏の夜に涼しく人の袖にかをれる 夕風にきえ行汗の玉はたゝすゝむかはらになくる心地そ 涼しくれ梢をならし吹風を秋かよひくるおとるとそきて 涼しさに秋かとそおもひそめつるをいらてうちはの月を見捨し 草 夏草 一千さとあまりありてふかひも夏ふかみ草にせまりしむさしの原 一夏むしの火もてたつねんむさし野の草にこもれる姫ゆりの花大江堂 一むさし野の広き野末も夏草のし斗りてせはき心地すらしも 金沢 今尾 武さしのゝはては浪路と見る迄にみとり深かる夏計然たけ倉菊泉 吹風に右へひたりへなひきては道わけ石もかくすなつくさ吉備丸 むさし野になしとはいへと夏草の葉山し斗山のほる朝つゆ 金沢 阿波 あかつきに火か斗消てはまたもとの蛍か化すとみゆる故草 立鳥のあし跡のみか道わけの花の文学たに見えぬなつ草城宮 新宮 ものおもふくせをたゝせと咲ゆりに底のをしへの杖はそへけん □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 蛍には化さてし斗なる夏草も露に葉末のひかるゆふくれ 朝な声なおくしら露は夏草の音なき浪の花にそありける 奈ラ 越府 一むしはまた音をたにたてぬ夏の野のし計れる草に道そなれる妻梅里 打よする浪の玉くれ見ゆる哉風にたはしるなつ草のつゆ 咲いてゝすゝ風まねくひあふきの花のしら露かなめなるらし 袖にしてつみにし春に引かへてゆきしの人をつゝむ夏くさ たまをさへとらるゝ思ひにすこき哉乳の下まてもかくす夏季 子狐丸まよひて里へいてにげりかへる道さへなつの草むら 徳ンマ むさし野をわけつゝかよふ旅人のふしも三里に見えぬなつ草 袋 みかさますさつきの事に人のかたこすほとたけののひし夏くさ 夏草のし計る野末の桑畑もあを海原のことくなみたつし 経をよみし鳥も音をとむ草の原野かひの牛の角をたにみす 蚊遣火 一乗りさへふたつにわれて立のほる松葉たくらん遠の蚊遣火 天井のあんどうのか計は蚊き火のからのいつこに月やとる北 柳井 よみさしし源氏のふゝらも蚊遣火の花散里とあふき散しつ 結城 信州宇津音 もくつたく蜑かかやりににくる蚊もけふりの波をくゝわつ花 くしけつるひまたになくて賤の女かおとろを乱す軒のかやりと 楠をかやりにたけはかたはらに目をする人や法をとこめて しまのある蚊さへかやりにえそしらぬ賤か軒端はこさなかめ日御舎栗 ふすへ火をあふくけふりは空に立て蚊さへ行へ共知す成にき アツツ 賤の女のよるの手わさの片うてとたのむは松の蚊遣なりけり幸都弘歌 一卯花の雲みつ軒の夕風にけふりもをるら松の蚊やり火 雲の如たつる坂ものいふせくてしはめし眉と見ゆるゆふ月 隣からめくるけふりに我家まてかなしや麦の秋の夕くれ守近 からかねの火鉢にゑりし竜も猶よらおこすかとみゆる夕な ヤナ井 蚊を火に杉の青葉をさしくへて酒うる門もけふりたつらん 夕顔のつるはふ軒のかやり火に扇のつまのこかれたるみゆ 八五 をとめ子かふとしくたつる蚊を火に洞こほせる賤のたらちね 蚊遣火のけふりは夏のしるしかな杉をりたける三輪の山北 飯沼 商売呑呑 今はたゝ蚊遣のけふりなひくのみ見るや都のしほかまの跡 蜑人かあふくけふりに逃散て蚊札所たに定めさりけり 声のするかたへむかへと打あふく指揮にしたかふ軒の蚊遣火 露 夕されは賤かくゆらすかんな肩けふりにけつる軒の坂はしらアヱ浜人 一蟹すみし浜の枯芦かやり火にたけるやけふり横にはひぬる 蚊遣火のけふりに軒はくもるとき妹はなみたの事もよひせり かやり火にたきし真葛葉消しより又うらかへりさわく蚊の声 うちはもてもえ立かやりおさへしは月の水もてそゝくさま哉 好遣火の中にむれ居る堀場は墨絵の竜の爪にかも似る 一草々の花の上ことにそめかへておのか色なき八千くさまつゆ 一月に臥し手草をおたすしら露はほしのみやこの薬にやこれ今春泉 一宵の間に筆をぬすまはあるしより露や居ところ尋わふらん鹿臣 おきかへて草葉の色となりぬるは風こそ露を染るなりけれ しらむか何そこと露をとふ児のひとつはほしとおもひやはする もゝ草のもろ葉に光るしら露は霜のつるきにやかてなるらん 一さらぬたに錦まはゆき秋の野の千学に玉をかさるしら前 草わけて露ちらせりとをしまるゝ心よりこそ神のぬれけめ永玉繁 一しら露の玉を散して飛鳥風さひしてかはる秋のゆふくれ今尾市丸 月のふねやとしし露も谷川におちてのすゑは海にいつらん京百英 むしのいのちつなかせなから風吹にそのみはかなく消る不露 淀川の岸の柳の露にさへ月のみふねののほりくたりつ 浪打し薄によるは露おいてしほのみち干を見する夕月 ことふきの薬とならん白菊のいゆに夕の月そやとなる 小男鹿のふしにし跡の萩の葉にほし水のとりし明かたの露 仙タ丁 秋深くむくらや茂る四河の軒端そ露の時雨しりくる しなるとり猪名のも秋は夕つゆに月のかるへき右は有けり 堺 一聴風軒 質おける家にからねと秋風におきかへしなき露の清輔 大空の月をやとして露おもみ千草もこしはかゝみける哉 風やめはくるふもやみしをみなへし露にゑひてはふしにけらしも 鶏のなく頃よりひらく朝かほにおきにし露は暁のほし ばかなさはおなしたくひと朝かほの花にやとりをむすふ白露 虫 夕月のやとれは露もおもくなりて草葉もにしへかたふきにけり 飯をたて蟹すむ沢のあしの祭にひたすら結ふ露の白玉 流れてはつひに海ともなりぬらん月の船さへうかふしら露 あさちふの宿ん玉しく底にして月の都をうつすしらつゆ 賤か家のおほかる野辺の草の葉になとまきちらす露の白かね 月の夜子のほり初しもあかねさす朝日にきゆるむさしのゝ からいの元年作ることなしく東がつこらすなみたか鬼のしらん笠春園 はつ雁の文字作るころおく露はこほすなみたる鬼のしこくさ 吹風にみたるゝ露は穂すゝきの浪の花ともみるへかりけり しら鷺のねくらもとむる桑の露梢にきえぬ雪のしたくり 一翌はことくたゝん旅案の閨の戸に夢おとろかすくつわ虫の音 衣うちはいれは又もさにしさを引いたす糸のくるまこほろき 月か計に音のふ斗わたる鈴むしはさなから雪の夜かくらの如 琴にさへかよはてあはれむさしのゝ野末にすたく松虫のこ 堺 長樹 加納 カイイ 一友ほしき秋のゆふへのさひしきにまして又よとなけるみの虫 琴の緒をたちしたくひか聞人もあらぬあらしになかぬ松虫 一引のほる駒にしらへもあふ坂の関に夜すからなしくつわ火 津山 納九 月やとる露の草葉の虫の音に秋はほたるもなくかとそ思ふ 今ヲ 菊泉 きり〳〵す秋の広野に住なれて汝かてあしや長くのひけん 同断断断同 ねなからにとりて宿にし有ていなん子日せし野にすたく誓 たのしみのありとは見えすきり〳〵す臂をまけたる手枕の小野 とらへんと草にさはれは消にけり露かあらぬかむしのこゑ〳〵 野路のやみかゝり消と風行道のたよりとなれる松虫のこゑ 新宮 新宮泰香丸 水かねに似たる手くさの露なめて声かるゝ迄すたく火哉 心あれやむしなく野へを行味うがさしの鈴の音はなになる 月の書踏くる人のあし音にたしをなしたる野辺の松むし 峰 蔓守 一雨の日はおのかせなりと草むらに声しほりつゝみの火のなく 蓬生の宿はとはねとちのねに思はすわれも袖をぬらせり 聞人のなき間唱やむ松直は声の緒たちしおもひなるらん 髭なかき虫のなく音は聞しれとこと葉わかさるもろこしかゑ 炉ひらきもまたせぬ秋の口切て茶立火なく夜半そさひしき 小夜更て峰は松風麓には出なししらへに通ふむしのね 春のころ橋のこされし仙の座し計みに唱る鉦たゝきむし 伊ヨ 夜学のさまた計ならぬ火のねはもゝに立たるきり〳〵すかも 一もし草の露の泪をすふ六も秋のあはれを鳴いたしけり此 糸萩のいとのみたるゝ秋風にはたをり火の聲もやふれつ きり〳〵すなにしのひ音や秋ふかく枕の山のもとになくらん 露むすふ野辺の千草の手車に虫もさま〳〵恙きしる哉 玉琴をひて馬の野への夜衆に調をあはす松むしのこゑ 美ノ 竹草 誓 あはれにもかよへる風のふきくみや琴にゆかりのおむしの声 草駕にかりいれられて田舎道馬にのり行馬おひのむし 一塞翁か馬おひむしの足をれて篭のうき目をのかれたりけり 萩 白露国 冨山 菊見 秋の夜のうたゝねに臂をはりまかた聞手枕のおむしのこゑ 稲妻 すゝみとる軒端の風の鈴さへも秋まつ火のつくりこゑする 新宮 加奈女 あはれさに心は鬼とくむ角のをるゝ芦間にすたく虫の音 京 梅里 西陣の庭のさくとりはさみ虫はたおり虫のそはにありけり 名コヤ 名亀屋 長明にかものかはらの虫売は篭の家居ももてありくらん 登連かたつねますほのすゝきはら雨にかりきのみの虫もなく あやうさはかけひらめきてむらかみのかけはしわたる夜半の稲妻 鳴ト 芳住 今ヲ 一今ヲ菊泉 一おく露の玉に光をくはりつゝいな妻かよふ小野の浅茅生 大空に月のかつらの枝おろす斧の光るもよしいなつま 香取 同番取貞守 きよむるやみとしろ小田に影さして火を打かくる宵の稲妻 一金久雄 いねの穂の出つくしなはやみなまししらぬ火みする稲妻のかけ ほさつてふ稲のみのりを願ひにてあみたる峯をつたふ稲つま 天の岩戸ひらき給ひしとこやみの時に出来けんいなつまの鑓城 一夕くれにもとる木こりの庵の戸にさきへいり込いなつまのよき 奈ラ 稲妻の従にかゝりて行事もかへるもならぬ闇の夜の道前浦深根 紅葉 沢つたひ山田に夜毎かよふ道ひたまかり行稲川まのか計 五十とせの夢はものかは稲妻のけぬ間にみつる千代の松影 仙タイ 千梅園 今沼 去留 名コヤ 不二ひとつさめたる顔か立にけり山みな酔るもみち葉の色 一名コヤ武蔵 琵琶彦 山ふかくたつねてやみん初水葉しくれのかゝのはこふところを 人しらぬ谷の紅葉をかりにけりめくる時雨のかゝをしたひて もと染し紅葉に今はそめられてかゝる時雨も赤く見えけり だつ田川なかれもあへぬもみち葉は散し梢にをしむなるらん 我袖のいゝれも人の見かへりぬ紅葉をりもつ道のゆくては 同 藤浪 妻したふ荒の泪の時過にも紅葉の色のいやまさるらん もみち葉の梢もれくる夕月にくるゝをさとる岸のひとつ家 みやこ鳥立足あとゝ見ゆるなり隅向のわたりに散しもとち葉 もみち葉の中をおちくる滝津瀬はにしきをかけし母屋の玉琴 我家のくらさをしゝれり竜田山水葉見てのちかへり入ては 図 音近 名コヤ 三輪の山若葉せぬ木はなかりけりけりしるしはかりにはゝき神杉 おのれからおのれやく火と見ゆるぎひのきはやしにましる紅葉杉門 ふる雨を薪となして呱火山もゆるか如きかへてもみちゑ 身延 紅葉かりをるか上にも折たきは錦にあかぬ人こゝろかも みやこにて花をなかめしさくらさへ紅葉しにけりしら川の開 同 庫業法師 イセ津 指かみし血しほに染るもみち姿を見るにかへさをしるゝは心に城窓 うつの山もみちかる日は青松の鬼にもあはぬ鳶の細道 名古ヤ る人もけふの紅葉のてる日には硯の海もかはかせにけり 亀の尾の山の紅葉にくれおそく時のむつをもかくすかと思ふ 鳴ト もみち葉を折もつ袖にいとゝしく雄荒のなるゝ暮日野のこと 和高田 折へもとかむるへ共もとそとそるこゝろは同しあかきもみち葉 もみち葉のこきと薄きはふり分て露と時事のそめし色よも もみちはのたえ間の空の色の外青きは見えぬ童田山かな 時過する頃のもみちは夏まてもかさすあふきにをりたまれつゝ 一もろ人のおとろく風のこゑかはり色付初しあきのやまひめ 堺 むら時過はれにし後ももみち葉の夕日まはゆくかさす袖笠 草 くむ酒に影をうつじてさるつきの疵をつくろふうるしもみちは もみち葉のにしきやはゝの広からん山のゑつゝむ秋のしつはた 身ノブ 庫業法師 すみた川すめる水さへもみち葉のちかにましりてあかくなるみゆ 越府 徳シマ 一秋されは桃もさくらも紅葉してみやこそ二度の錦なりける 佐多丸 散紅葉捨すて空にむら時過猶も染んと迄にや有らん 一おのつから錦にはちてもみち葉を折には袖も先かゝけり 今ヲ 堺長樹 堺 谷川の水にちりくるもみち柴は秋のかきりを里へしらせつ 一今年美泉 今も猶あたちかはらは鬼蔦の紅葉にからむ黒塚の松 淋さしはけふも帰らて家妻のこゝろのもゆる紅葉見の跡梅居 もみち葉をかさしかへれはわきもこに美しとこそなかめられけれ 染色はうつろひ安きならひにて月にも黒くみゆる紅楽 新宮 此ころはこのふの春もしのはすておもひの色にいつるもみち葉 軒の鳶紅葉してよりいつしかに人にしらるゝ岨のかくれ家卯時 菊 たるしをりししかとみれは道の辺の紅葉とまる蝶にさりける ふりすさむ時雨の糸をたのみにて峯は水葉の錦おならん清成 秋されは山路も霧の海なすを手もてふたくかみねの紅葉 宿守に景色とはれて毛氈を先かけわたすもみち見しのち かためきて染し紅葉を折くの袖のかしきにかはる色かな 此ころは峯の紅葉の色こくてしくれの雲をそむる夕はえ 鳥の跡みする水葉に掛茶やのけふり取縄にむすほれて立 田辺 三寸九 点まさる紅葉におのゝれおとらしとことはににしきかさるうたいへ 津山 林間のあたゝめ酒も今少しぬるて紅葉をかきよせてたく 下水のかゝみにうつるきせ綿をしらぬ翁と茶やみるらん 十二七 一行水に宿水るほしの匂ふかな見れはかけうくきしのふきく 津 日佐世 日の影のとほき下葉におく露の命もなかし気の国その くめやいさのひるよはひにかたちさへかはらよもきの花のしたゝり大江堂 茶の酒すゝむるさくのつよきには高きへのほる下戸のさよつき 冨山 菊見 新宮 杖をたにつかさる野辺の白茶は老をわすれて花の咲らん たるくみて千代やへぬらん並水におちて流るゝ草の上の露 一苗におく露にしつ枝のおもけなる菊は齢をいくら持けん 新酒にひたせは酔もいたゝきのたかきにのほる節句の日の菊 むら事に菊の下寄ふりおちて老せぬ松の根になられけり 一しら菊の渕にも竜の宮ありや人の老せぬ薬もてるは 德シマ 佐寿丸 となりへも風に匂ひを吹おくるへたてぬ中のよし垣のきく 露おもみたわめる筆をいたはりて千代も千代の添竹もする 平ノ 一あまたゝひ虫を殺していつくしくいはぬ色にそ菊は咲ぬる 酒をもてとはるゝ幸はよきほしの下に生れし菊の花守 ならの葉のえらひの頃は酒をこのみひたりて菊はもれし成らん いく秋も菊の重着よきさしと花にえり紙つかふへんり 杖をつく菊の翁は秋の夜のいそかぬ月をなとなすらん 京 むすひたる短冊の雲もれいてゝまかきの茶のほしそにほへる アツ田 むそちにもならぬ翁か菊の花こへと周守甘したかはす 高田 ことふきをたもてる気も水にうきて人をころさぬ天になかるゝ 柳井 小男鹿の上毛のほしとみる菊丸おきそふ露はいとはれそする 仙ダイ かさしなは老かくるやと菊の花をれは翁のいてくとかめつ 庭のをしへしらて気侭にそたちてはいけん共用にたらぬ野真菊 炭竃 原壊かうつゐの萩に似し菊丸杖してをしへなほすその守 つら〳〵とのほるけふりは巨勢山の椿を炭にやくにや有らん 冬なから木西に雪の花咲て月もけふりにかすむ炭かま 蔦紅葉枯果る頃松かえにけふりのからむしつかすみかさ 立のほるけふりん風に吹をれて雪によくたふ峯のすみかま アツ田 大原の黒木もいよしくろかれと炭かまつくる小野のさと人 新宮 立のほるふしか浅間か雪の中にけふりのたえぬ遠の炭うま 一堅木やく中にかづらやましりけんけふりもまとふ峯の炭かま 若山 脱照 みよし野のさくら炭やくけふり迄花の雲かと見る小春空 徳シマ 音 除夜 ずられ咲となりの春をなつかしみ年の一夜はねられさりけり平桧園 としの夜にまきれて冬もかへらすはをさなき春にわれゑん煮ん赤づ藤浪 一見をさめとまける暦の中段水のそくは夜半の眠なりけり新吉茶香 どらへしとおもへはまたゝん飛いつる金にもはねのおひしとしの夜 一とごやうの大つたもりも市人のもつちはりの月夜なりけり原平竜 一常にありといひかし年もつきはてゝなき人のくる夜半となりにさ 金サハ 瓜に火をつねにともせはかけ乞の挑灯いれぬ除夜の明るさ 明ぬれは花まつ春となくさめてをしむ心を案させつるかな 今ヲ 新宮 加波也 逢恋 一あめことなりて逢夜は今迄の泪にかはるぬれところかな寐 あはぬ日の泪の事はあふ夜半の妹う言葉の花のかそいろ 灯火にころもをかへしきせてまし君にあふ夜の夢心地には 萩 志遠里 あぶ夜半は泪の海の汐干かたうき甚貝ひろふへらなり 京 小谷 くたかんとおもひし玉子をそたておきて逢夜別を告るくやしさ 千代浪 逢夜半のたれし泪はむつことの花をひらかすかそいろのあめ 仙タイ 花守 恋すてふあふ坂山のさねかつら花にからまる身はうれしかり 宇津宮 和号吉 いのかたる神のしちからにあふゝ跡半はならふまくらの山もぬかなし とくきりてやしめと思ひし指も今くはへて君にあふ夜うれき 津山 まれにあふ夜はふたほしの心地して顔にもみちのはしもいたしつ ともし火をけちてあへともさなからに君か心の底はみえけり 冨山 菊見 逢夜半のことはの花にかねてよりいとふは鳥水羽風なりけり とけてぬる君かはたへの雪にこそつめたからさる心とはしの 同 まくらかのこかれ〳〵て逢夜半はちりはこふ間もをしくや有らん 同三輪山人 逢みてはをしけくそある命かなかへゝんとはうり思ひ初しを しのにあふ閨のあひ図もうまのかみ泪の事夜ものかたりせん ふしなりのまくらならへて雪の肌あふ夜はあけの時しらぬ哉 逢夜半の門の染木もとり入てにしきの花はねやに咲せつ 小谷合 千代浪 あふ夜半は思ひの山にわけ入ておつる泪のたきを見るかな 岐阜 かんさしのこてふもねやにぬ斗いてゝ夢かとはかり逢須嬉しな あふ夜半のうれし泪はよし野川ならふ枕は妹とせのやま 香取 松田重貞守 あひみては恨む其葉も散うせてあらき心の花咲せつゝ 新宮 新国加波成 逢夜半のうれし泪はしほたれしわか恋草をやしな候のあめ 仏ダイ 安臣 あふ夜半のそのたのしさは塵払ふふたつまくらの中にて有ける 君とぬる夜半のにすまの花に蝶はなれぬ中の染もやうかな 德シマ 鈴成 柳井 万代のちきりもふかき亀のきてあけのむつをもかくせ遥夜は 早騎 一逢夜半はよし野はつせの花心はなと〳〵をあはすうれしさ いさり火のもゆる思ひもしつまりぬ君にあふ夜の床のうみには 君とわか情の露のしたゝりてあふ夜の床は海となりけり京五雄 達直半はつける思ひの山風に吹ちるねやのともし火のはな 船底のまくらならへてたのむ哉あふゝ夜の床の海の深さに あなこれし人目の関もあらすしてこよひあふみのねものかたりは 金サハ もろ袖の泪の事ははれなからあふ夜の汗にぬるゝはたきぬ久雄 あふ夜半の心もなくそふ計わたる深き思ひを時もしらすて 片思 一逢夜半のひの浪もしつまりてうき名はほかに立せす哉一枝 一あたくはよりもつらすてつれなきにへたてぬものは泪也けり 一我びとりおもひそめ木も埋火のほりいたされて恋やせにけり 于記思ひ片岡山にうゑ死なめあはれいのちの親となられ君 びどり寐の夢の浮はし中たえて恋わたられぬ片おもび川城穴 おもふ人心の春をしらさるは片山かけにさけるはなかな 癸フ 一九月廿一 泣はらす眼くすりにもと片おもひのあはひの玉のあふせ願ひつ 萩 白露園 なけきつゝわれいみひとりとこふしのあはひの貝の片おもひにて 一かく迄におらへと忍は方見わけすて泪の玉をいたくこひやみ浦浪 人しれす恋てふ海に沈けりいせの鯰のうたおもひわて 名コヤ ひとりものおもふ泪のかた時雨妹かこゝろのまつそ染たき杉門 アツ田 おのれのみしのふ泪のつれなさにかたして袖のかたぬれにかり おもひ草いやおひしける泪にはつれなきくのか計計手見えさり清躬 うき人はしらすおもひのかた時過我袖に水みふりかゝる哉花笑林 のしこんふいはふことならぬわか恋は見る目なきさの片思ひ貝 作州 薫 かたおもひ 馬おもひから衣たから衣たかもとひろきもおもは 山形 玉繁 やすらはてのほるもいらしわれ。秋おも荷をになふ恋の山道 かくはかり神にねかひをかけまくもかしこき人をかた思ひして 津山 山春成 新宮 ゆき犬のことゝかさりけり恋ころも妹らこゝろのかたうつらには 契恋 みぐゆのにちかひをたてゝ契る夜も明の烏はなほころしたし すゑの松浪こゆるとも中々にぬれつゝ君と千代もならめ 契りおくことはの花に嬉しさの泪の事はさはらさりける 作州 啓 土はみてすくとゝす君にはなれしとちかひのふみもみゝすかきとつ 德シマ 佐多丸 旅 もろ白髪雪はつむともかはらしなけふの契を水にせすして 一岩しろのまつにあふ夜はうれしくも契るえにしを結ふことの花 一少しゝへ夢はかよひて草臥をいとく覚ゆるたひのあかつき大江堂 箱根山のほりくたりのけはしさをかことはかりにかこつ星よは 越府 真前 見るにつけ聞につけ行旅の日記献よりはやくちひる筆先 津山 児丸 古さとへかきやるふみのはてもなくとまり定ぬなかき旅かな春園 けはひさへならぬ旅やの手水鉢水の鏡に見るやつれる 大和 一大井川れん台にのる旅人は弥陀の光のこかねいたしつ 一能立て稲葉にそよく夕風もわろふる郷は松に順らん 御影 御領民雄 岐フ 叶フ柯店 道つかれこしのをれたるよみこしたに旅は恥をしかき捨てゆく 柳井 馬六 いて夜かもかはりかはれる旅やとり草葉の露のおけると音も 鶯のせきにたとりて旅人のふるさと立し月日かそへつ 朝の雲夕の事もうき旅の夢にこひしきふるさとのそら アツツ むさし野の露にそほちて草まくらはてなき夢路たとりわふ覧 南垣 一月花にまうする旅は秋風の身にうきこと共しら川の開 岐フ 「安政」」「」 一あれ宿の登蚊にうみて夜の目さへ合ぬとほそへ月のさす哉 越府 越府道足 ぐれ升のふしみの宿に旅人のとまりさたむるすゝめいろとき城窓 いとなかき春の日あしもくれ竹のふしみ宿りやすゝめ色とき したひにへり行ものはふところのこかねとつきし杖の先かな今ヲ野 うき旅の砧の音におもはすも泪打そふ夜半のころも手 天地のあやつりよしやけしきさへ日毎にかはる旅のそら哉 時しらぬ山の祐行旅つかれかのこまたらにきぬもよこれて 旅人の十斗の小笠は夏草のなみ間に月の影みるゝか水 あつま路へ行ん旅そと先足のふしにやいとのけふりたてけり 名所 一尉と焼茶をたくほとはいつ見ても落葉してけり高砂の松 類人の散ししこと葉かきあつめつとにひろはん千代の松しま 名所をかそふる中に難波津や浅香の山はさうの大ゆひ 冨山 菊見 同 わけいりて見れはもみつる樹々も根はさくらなりけりみよしの山 新宮 峯尾 五百丈のかいらをかへすむらからん不二の裾野に見れは小さし 奈ラ ぬうつけはあつさをおほふ松かえはひさしといはん住よしのみや てる月のくまにならしとけふりさへ空にきえ行塩うまのうら 見しよりも聞てはよがれる人の秋の案さめにかゝる名ところ 寺部 今治 去留 時しらぬとはむへむつの花ちりし夜にかへり咲なせる不二の嶺 祝 もみち葉の散てより名もたつ田川なかれての世のにしき也けり 新宮 茶實 けふり立水のはしりもかすみにていつゝれ春けきうくひすのたき 諏訪 同業 波の皺よするも見えて玉手箱ふたみのうらの東から水空 うつかとて耳おもしろく聞えけりつゝみか滝の水のしらへは なかれての世にひゝけるを音なしの滝とはたれかゑつけたりけん 金沢 金江十寸見 名ところのむかしをとへは里人のをしへになかの日さへくるす野 いましへの布にはかへて春あざみかすみの衣をさらす玉川 越府 越店道足 能風の立にし日より逃水もあしとくなりぬむさしけし原 十二八 世をうみて人のかくるゝ山もなしめてたき御代のむさし野此原 同 道頼 仙ダイ 松イ千柳亭 手の長き島さへあるに落たるをひろはぬ国そゆたかなりける 金箔竹 君か代は民のうまとも戸さゝすてすゑやひさしといはひける哉 山蔭 むねに手をおく思ひさへなき御代はむすふ夢にもおとろかぬ哉 一羽衣になてゝんいはほは苦むしてへるへしもなき君か代のはる ざゝれ石はさゝれしまゝのとこしへに何もかはらぬ御世そめてたき 德シマ こどたらぬ深山かくれを誰かせんうきをしらさら御世に住てはソ三蔵樓 君か世は鶴もゆたうにねふるらんまくらそ高き様上りの松 豊としの絹穂はふせとすたれたる道はおきゆく君う代の秋琴丸 八百日行はまの真砂を集めてやひさしき御代の数とりも哉哉 信州 薫 いつまても乱れぬ御代は行義よくすわりしましの芦原の国寐春 いづる日の色の朱軸の筆とりて文学のたからにくらからぬ御代 冨山 茂村 仙 落たるをひろはぬ御代はゆきかひにこかねをふめるみちのうの山 例州千梅園 あふ 酒店 泰平の御代にくみあふものとては松の千とせに雀の千世かな かきりなき君か御代をは雀かめもおのかよはひの数とたのまん 四の海しつけき御世は舟をもてつくれる聲の音の音のみなりけり 身延 井峯閣 天の戸にあらぬ箱根の関の戸にみつきをはこふかゝのゆきかふ 田辺 三寸丸 吹風も枝をならさてならの葉のすゑ葉の末にあそふ御代かな 千代ちきる友とひとつに酔はやなこゝろの松に竹もし葉をそへ 狂言致仙集畢 神歌堂 蝙蝠軒 當座眞命堂撰 当座 真金堂撰 江戸雪 一戸さしきへなくともしはしとゝまじんかすみか関の雲のあけほの 冨山 同山 三輪山人 トクシマ すみた川つゝみの木々につむ雪の空には花としらてふるらん 徒 なよ竹もよこにふすころ遊女かさゞつまぬらす雪のよし原 鹿 雪まろけ酒にたはれてすたつゝみついよし原へわけているらん” トヤマ 菊 臣 見 むさし野の名もふりしきる白雪に入かたわかぬ大えとの町 同 とひ行し跡をうつめて茗荷谷雪にわするゝおのか帰りろ 仙タイ 千柳亭 首かなし後も巣かもの里人かひつの花もてつくるふしの事 同 すみた川前ならぬ木はあらぬかと雪のなかめそ春にまされる 今尾 菊泉山人 雪ふかきさゝえ量にも又ひとつ仏をつくりそへしふゆの日京 京 鰕九 画にも尚うつせうへ野の夜の雪白きを後の花ことなかめて 新宮 茶香丸 京 雲高くつもるなかめの雪の日はふしのふもとゝなるするか町京湖丈 ○ こかね井の水をよひとる大江戸にけさまたふりし雪のゝやかね吉備丸 松 新宮 十三 ゐつゝけの 客にわかれて 寿峯尾 深川の ゆきのみ のせて かへる猪弟ふね △ 十三 親園 かれえたにつもりて むつの花さかり 城窓 きのふに かはる 飛鳥山かな 十三 船ひとも 頬かふりして 萩町 鹿臣 朝かへり 新地のはなの さふきゆき風か