玉林擇材

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花迺屋光枝撰
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花迺屋光枝撰
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ギョクリンタクザイ
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東北大学
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玉林操材上 洲田村庵三人 玉林択材上 開発共振唱団ノ寄附会ヲ 花廼屋光枝撰 十月廿一日 初秋秋もさそさひしと思はん来し日よりなかめのみする人の顔見て広谷 上野藤木 秋たつ日中々にもみちぬ松をふく風そはやくも秋にそまかなりける居村 風ふく 秋のはしめ蚊帳をとりをさむとて 常陸江戸寄 大かたは此ゆふへより世の中も秋をかなしといひはしむらん元有 三河寺部 紅葉せぬ桐や格はえり出してすつるなるらん秋の初風 弘影 名児屋 さひ鮎の落らん秋や立ぬらしけふちりそむる岸の繁 一群雄 野田 御意しかの恋する秋となりにけりものゝあはれを世にしらせつゝ 秋たつ日庭に桐の葉の二葉ちりたるを見て 〽けふといへはたゝさひしとてちるにすらさそひあひしか庭の桐の葉瀧見 三河岡崎 花もまたにほはぬ里への草の上は立やすけなる秋のはつ風行あ 野田 おとろきぬ桜ちらしく俤に雲をさわかす秋のはつ風 名古屋 旅人の笠にさしたる桃の葉もとりて落せと秋風やふく 友雄 越後新発田 そよきつゝやかて吹出ぬ秋風は庭の蔵よりたつるとそ思ふ元明 陸奥川俣 〽おく露の玉をけさたつ秋風にぬきとられたる様をかしや ちり落る桐の一葉にもゝちゝのあはれをこめて秋や立らん 一畳にせん桐の橋に音するはてうしかはりし煤の初風 常陸上浦 鳥をさへおとろかしけり秋の風小田の鳴子に音をたてつら 月升 下野栃木 来ていまたなしみあらねは草木によりて物をはいふか秋風 寝覚 陸奥会津 雲月の風は入事らんみそきして恋せしとおもふ人の袂に 筈高 下野小山 もみちせは目にそれと見ん秋を先耳にしらす子萩の上風 棚桟〽ひとらせにふたゝいにいとにぬこそ星のあふせなりけれ なぬかの夜よふけて野辺を見る 小山 ぽうけて薄もふしぬ萩もねぬたないたつめは今やあふらん元亀 田野藤太 草も木も給ふるといへるさよ中のうしこそ星をひきあはすらめ ふみ月のこよひはことにたなはたはひかりみかきてつまにあふらし 新設田 花の如あたなる中のちきりかは来にまれふる星のあふせは嘉寿雄 七月七日の夜女庭にたてり たなはたの枕の声をはらふ夜やかくろき髪にあくたしつかん町住 一七日の夕霧のたちたる 津久田 さらぬたに遠きわたりとおほえんをまとなこちは天の川霧守 たなはたまつりする夜さむかりけれ婆 世の人にかりたる衣あまたあらんたないたつめよゝ紅にきせてよ 出羽山形 静雄 下総宗道 山のはにはやくかくれて棚桟のあふらん頃は月もさはらす 為能 おり姫のあふせは桟のをさをあらみ手に一夜のまとほふりけり 柿末 橋住 かはらさるこよひの星の契りかな空には秋の風やたゝさる 江戸崎 え有 天の川星はこよひを侍わひて夜母かけらん夢の浮はし 甲勢市川 美都成 美都成 野田 天の川へたてゝまたん星に葉こちくといへる行やたむけん 広谷 手向する庭の千くさにやとれるは蝶も羽袖をかすとなるらし 新発田 安否 上野藤岡 天川きりはとはりと立こめつ今やあふらん星合のそら 津久田 萩〽秋萩の熱野ゆき袖するをみぬ顔してよしはし野守は 萩の花のこほれたる 秋の野や萩も霜おく夢や見しちりたか花の白くあせやく喜代亥 川俣 江戸すりの絵にもまされり宮城野の萩の錦のむらさきの色 一芳季 名古屋 一くれぬともよるの錦にならしとや真萩は露に月やとすらん 江戸寄 しなふ枝にほへる花の秋萩は極さくらをこさませしこと 津久田 もみち葉はよしおそしとも錦なす萩に霜をはいかてまつへき 武蔵寄居 紫の庭にありてふ萩の戸の萩のさかりはいかにかあるらん 栃木 真萩さく中にましりてきたなきは心守かわろの鼻すりの袖花成 咲萩のゆかりなりとてこはゝやな野守かをちはおちにあらねこ 津久田 美濃岐阜 玉川や岸うつ浪のちる毎に萩の下枝の露やまさらむ 武蔵然谷 みやきのゝたゝ一色の糸萩にあや中にしきもおうなしてけり 陸奥橋 進みなへしさく野に鹿のぬるを見はねたく思はん萩か花妻 蔵主 新発田 雨露にぬれてもあせぬ哉はおり色なるか糸萩の花菊寿酌 露 さをしかは一夜といはすぬるならしとてみれの色をしのふ萩には一喜 真萩いら外猪をみなはみそりをとさそや雄荒のぬたく思はん道守 寄居 おく露に月かけやとす萩か花よるの錦とたれかすつへき 常陸波賀 櫃に入れて都にもたはゆさかひの袖にすられんみやきの萩 熊谷 けふ見ねとあすも猶あらん秋のゝ州春の花よりあたならぬもの 白萩の花の上にお〳〵白露よ色なきいろを何かあらそふ 尾尾様へ田 貞吉 よし野山もみちにおける白露は桜色にて花小まかひつ 夕くれの野はさひしとておく露もわけゆく人の袖にうつるか 寄居 岡崎 糸薄糸萩の如糸といはぬ萩にはぬかぬ露の玉かも 栃木 一寝覚 野田 昼は根によるは葉末におきかはる露もゆきるひとゝま宮水 おく露も落ちるまては萩かえに其まゝにほふ花ところだんれ 江戸崎 哥おひし女郎蔵こそたをやめる湯あみ皆にとくへても見め清女 〽荻か蔵手をりかさしてみやきのゝ木の下露の雨はしのらむ清梅 上野高崎 一秋の野の千葉にあまる白露はあはれとなけく人のなみたか肇雄 野田 朝夕に萩の錦につゝまれておこれる露そさかりみしかき 栃木 いつれより玉にぬかんとさゝかにのたやたふはかり出ける露哉橋住 山寺にまうてゝ露を見て 会津 おかるゝもおくもはかなき契り哉しほめはきゆる朝顔の歌の君高 手にのせてすらるゝ前にあらねとも物をさよむるむと社みれ並枝 よわりぬる秋の蛍と見ゆるかなかなふうちにすかる草の夕露直成 鯰橋 一真萩さく秋野における名露は錦につゝむ玉にさりける道人 寄居 いとたひか落てはのほり草の葉の葉の葉のをふのこびを立すな お井 虫 宝なす山路の露の白玉はこれとむなしく手にえさる哉 仙台 北岱 きけはわる袖太ぬれけるのへの虫なく音の玉はゝ露にあらねと 新発田 一嘉寿雄 名古屋 人あしのたゆれはやかて鳴虫よいかにさひしき所このめる 群雄 南 〽声かれん秋の茄子はくはすなよはたゐる虫は嫁にあらねと えらひても見はや野沢のよしあしにましりてなげるむしの声々 つゝれとそ虫はなくなるほころひてみたるゝ野への萩のにしきに 賤の女も衣したてよはたおらんつゝれさえんと虫の鳴なる にきはしやあきなふ虫の馬車都はよるも立つとひつゝ 糸すゝき糸萩にほふ野にそなく桟おる虫は所得かほに 野田 寄居 阿波 土浦 糸の如細く聞えてあはれ也はたおる虫の野への声々 上野大竹 やちくきのその名をとふかいろ〳〵にわかれて虫の声の聞ゆる春秀 鹿 夜をこめて駒路ゆけは鈴の音声の音もむしの妙にきく毛冬介 新発田 一野への虫なく音の色そうるはしき千草の花の露や千むらん安弁 阿波 むしの音のうつくしくしてはかなきは花野の露やなめて鳴らし 〽恋すなるならのをしかはみかさてふ山によりてやくめよくらん 材木 越前敦賀 夏山のともしにこりて松をうとみもみちにのみやよるのさを鹿 山ひこのそへぬるかたの一声は影やなきけん月のよの鹿 小山 紅葉せぬ常磐の山にすむ落そさをとは人のかけていふらん 岡崎 山ひこは妻よふ声をとりつきて鹿の。恋ちの中立やする かゝし夕おとろく嘉はいかはかり人めしのひて妻はこふらん 藤木 江戸出寄 はゝそはの紅葉のかけにさを落の子をひきつれて鳴かあはれた 山小屋なく秋の山うつろひやすく紅葉せん妻とふ野のそのしくれには 小山 妻をとふ鹿の音きけいわれも又恋する如くかなしかりけり 紀伊蔵正 さつ人にありかしれつゝ鳴しかは恋に命をかふるなるらん 伊勢桑名 さを落のかれす声する山かけはさこそ紅葉の多くあるらめ 土浦 おのれのみものゝあはれをしり顔に夜を鳴あかす野への近鹿か 中々に袖そぬれけるさを落のひよとなくなる声をきく夜は 野田 野への露をしかは水にはこひ持てわか袖のう一にうつしもそする 在福島 寺部 さつ人か家ゐちかくも鳴鹿は恋に命もをしまさるらし 下総十日市 木かくれになくやさをしか妻をとふわさは月夜をはつかしみして もみちはのもとになくらんさをしかは雲にも声の色そくれぬ あはれ也しはひもせすて夜もすから妻よひありく御ふしかの声 あはれさよなりめする如多くれの空をあふきて尻今鳴なる広善 聞からに袖ぬれにけりさをしかは露おく尾天わけてふくらし流見 露ふかき草野をわけて鹿やなく声きく我も袖のぬるゝは春景 一苧笛の音にかよふ哉盛風のさそふ尾上のきをしかの声 をしかなく箱根くたりてさひしきのたふけを越しこゝちこそすれ 寄居 わか涙もろくこほれつをしかなく能望や露のちりみたるらん 栃木 こたへせぬ妻をよはひて耳なしの山にをしかの鳴かあはれさ 八月十五夜雨ふりけれ婆 江戸崎 ふけゆかははれもやすると雨にすらとけてゐられぬこよひなかな 寄居 同 水鳥のすたくみぬまをそのかけの都となすは月の神わさ 高瀬 雁の池にうつれるひともとの桂は空にたれかうゑけむ こよひ此月にめてゝは春の夜の花の下ふし何かしのはむ清樹 在京 おもひ草はそはふふりけり瓦子のみ手むけて月をめてあかす秋 清しとは鐘か見さらん月かけは空のひさこをすきとほる水 八月十五夜くもりけれは くもりては月のみるへき山のみをぬく力たにぬけてかなしも元有 稲荷山杉間の月そきやかなる秋のためとて春はをらぬを よもすからくまなしゝ雲月を今おいゆくやふそをしみなにて 〽空の海のけしきやいかにおもしろきよ舟かはらす月の舟むつ 熊谷 上野一宮 夜もすからおきゐてあすの朝顔も月のかつらの花につき見ん 照底 藤岡 月かけはまことの雪にあらねはかふりもうつめすくまとなる松 蒲 月清み山となりなん声も見ゆとりてすてよとかくはてらすか 同長 上野倉賀野 をちかたにかたふく月やをしまかた影をしは〳〵かへす浪かな 一月の影かこち顔にやなかむらし遠里小野の油あき人輦雄 津久田 大空にふたつとはあらぬ月のなと夜毎にかけのかはり出らん かけをたにしはしとゝめよ山のゐのあかてかたふく秋の夜の月 寄居 すめるものなりぬる空にすめる影のほりて照らす月のさやけき 米沢 中々に月をめてゝは白かみもくろ髪なしぬ老人のかけ 在京 薬さす心ちせられてこほるゝは月を見るめの涙なりけり 下総八日市 月かけははふ木あまたのむかつら露ににほはぬ枝もあらしに音哉 月のゝほるをみてその山もとの里なる人のもとへ巻てつかはしける 山形 中々に出るたかねによるりやかたふくほとを待てみるらし静 かけいとふかき所にて家は西おもてなりけれはそこよりは月はおそみゆ らんとおもひやりていひやりける なけきするす有磯の月を見て よる浪にやとれる月もわかめや物おもふらんちゝにくたけて元有 八月十日の夜よりいさよひまて月見しけれは 久かたの月のかつらの花を我めかれす秋も七日見しかな よしの川に月のうつるを見て 上野一宮 やなうちてとゝめてまし玲子照月の桂はつみの枝ならねとも 阿波徳島 出なほしてひかりたちはしみせんとや夕月頃ははやくかたふく 月の夜磯の浪を見る 川俣 あら磯の流はうつれる月かけをくたきて玉とみたれちるらん春金 新発田 くまとなる松をうつめよ月のかけそのまゝ雪とこゝにふりきて うちむかふ月に溲ともなりぬるは涙にうるふまつ毛ふりけり 市川 一是もまたひかことならし久かたの月のかけすむいせの星川 やふれたる壁のひまよりさすかけにぬるもわすれて月を見る哉 飯沼 一影俊 下野永野 うたるへき寝鳥もみえすいけるものこすけて月はたのしとやすな 柳枝 名児屋 一院鋳るたゝらの音にかよふ哉月まつほとの山のまつか是 琵琶彦 寄居 此ころは月見にぬるまなかりけりうへいつらなる長してふ夜は ハ長房 かく山の峯の榊のほつえにもてるや鏡にまかふ月かけ 江戸崎 元有 てりわたる月にうかれて石清水流れにはなついをぬさるらん をすのうちに見る心ちかなさすかけに時雨よこきる望の夜の月 たなそこのむとやめてんたつた山もみちの梢わけいつる月 袖おほひなるきをなせる人をみて雲をなあてそ月よおもてに 野田 廣善 一笠野 まつならし山のあなたにさともあらはをしむこなたの輩の月かけ 意の如ふるものふらは月のかけくまなす松のえ迄を折うふん 十五夜夜いとよくもりけれは 中々にきやけきよりもくもる夜の空はめかれすまもらるとな ひとつなる月のひかりに真嶋や藪のとうろもむらくとそなる村僧 月の中の穂の花も秋といへは露ゐけりにや光ことなる照庭 わたのはら御なき月はたつ浪をふかけにして影やたゆこふ友雄 一花とやゝふりて空のうする如星そきえゆく月の出れ 酒のまて月ふかめくたいさのうへにこほす浅そきひしかわる 更科や今は月見にをはひとり家にすてゆく人もありけり 大竹 初雁まつ人待わたる心なりはいくさひかゆきかへるくしとこよへの空 延谷 雁その数はかそふけりにそくさの花さく野へにおつる声 宗道 入月を示しとや思ふ山畑にうなしをのへて雁の鳴なる 焼とる 野に雁なく 此野へも花なき野やと朝霧の思ひまとひて雁は過らん 一は盛 名古屋 けふとゝく初雁かねのふみかれは寒さを告るたより也けり 雁のたゝ一羽 わたるを ふたろもしすくなもしとはみえねとも越路よりこそ渡りくる わかれより来る時ものを幣はする雁のならひそあやかりける音 萩紅葉にほへる秋に心よせて梅も桜も雁や見すてし 霧 我かたへよるとなかねと初雁の声はそゝろになかしきかな 翅あらはわれけりてもとこよへにいたらんとおもふ雁をよつ日は喜代雲 さをとなりかきとなりつゝひのつまて流す川へにおつる雁ね 飯沼 在京 〽秋さふくふりまきりけりかさなりて衣かりかね声のきこゆる一喜 夜のほとにせはしく虫の蹴にけん桟かむらある方の薄衣 八重霧に色よき紅葉つゝめるは紅粉しほる業みせぬたくひか 木の間もる風に中々濃ふせり松立かくす秋のゆふきり並 秋霧の籬をなせるいまもりて思るゆふづゝは菊かあらぬか半風 吹はらふ風しあらすは朝顔をうゑても見まし霧の籬に けち見馳はまとなりけり桑畑も秋霧ふかくおほひわたりて 尾へる五 会津 暁の霧のまかきはぬは玉のよるとひるとのへたてなるらん 一関高 秋の夜の月のかつらのかけをかくへたつる霧の灘何なり 慈 高瀬 擣衣秋寒み雁わたる夜は此きとも声をつらねて衣うつなり めにはみこん伝手にとらるへく聞えけり御やけき月に衣うつぬら わかつはよその音をそかりにける衣をうたぬ宿もあらしな よそにさく袖すらぬるゝきよりこはものおもふ妹やうつらん 川俣 芽季 藤木 居村 菊 隆貞大久保 楓の音はやく高くこそなりにけれ山わけ衣うつにやあからん梅正 蒲 夜かすからてる月かけをうちつけてかくやひかりの布にいつらむ 兵衛 一月みつゝがけにうつなるさよ酢布の目にさへ露おきにけり一喜 中々ふ老となるてふ月見つゝ弟のしわをはうちのはしけり直成 〽桃の音は布の耳をもうつならししふはかりに而音の聞ゆる梅樹 承り上に花をうつして菊の露かきねん千世のかけは見せけり一 阿波 ありとある花におくれし国の菊よにましわらぬ翁めきたり もみちしたる木のもとにきくの花のくれなゐに咲たるを見て くらふれは梢のみもあさきかな音さへそゝはれる国の一本 薬をも持てそのふにもふ菊なくしてよき花にそ有ける 新長田 万寿秀秀吉秀秀秀 江戸寄 霜よけの大ねのやふれのひまもりて星もにほくり菊の花用 めなれさる庭と思ふり四郎への菊うつせはしはし花かたふく道人 〽大雲の星もにほはんむさしからや野末にさける菊のさかりは光永 これやこの酒の也ともいひつへく菊咲にほふ秋の大沢真 川俣 酒こしてほせるか如く露たるゝ難かもとのふくろ菊かな 一霞たつ春根わけせし菊は今歳にこそうつろひにけれ ふくささく四人にましれる白南は銭におりし後とこそみれ鶴名 水上の菊のきかりをしらせつら星とみたれて小ほふ川浪松見 熊谷 揚て湯に焚ん花かはそのまゝに菊の下露身にそかなん 菊花を折てこれに類よめとて人のつかはしけれはよみてつかはしける 色もれもなきことの葉そこれもよく君手入して花を薄世大 いのち長き人のいへにきくの花の咲たる 敦賀 霜除のやねのうちなるつくり菊家に杖つくさんもをからや 野田 いひしらぬかをりをとめしふたへの袖とも見ゆる周の菊かな 夕霧のひまもる星のかけとみん籬にさけるしら菊の花 里をわく時雨に霜もならはなんこの菊の上はよきてふるへく 里をわく時雨に霜もならはなんこの菊の上はよきてふるへく 紅葉 駒とめぬ人はあらしなねをひろけたてる楓のもみち葉のもと 此う一にゝほはゝいかにもみち葉のこそめは梅に立そまされる 豆を煮るたくひにあらす紅葉見の紅葉に酒をわかすみやひは 鹿をおふさつをありともももみち葉の枝をなをりそ山の杣人 時雨には程へてそむを日かけにはすなはちにほふ峯の峯の祭か町住 よるは野に菰の出れは日のくるゝ色をゝしむか山のもみちゑふ 藤岡 その歌を奏つめて常もそめてはんすはうの名にしほふもみちは 水鳥の青はの山も色つきてをしの翅の錦なしけり友雄 一蜑のすむ磯山かけのもみちはよしほもゝしほやくるとちら おとらめや楓に松をこきませは柳桜の春のにしきに やくひとへ咲し梅におとらめややしちへし本楽源ふもみちはふ 厚木 花くもりしてたに春はのとけきを紅葉にてれる空のきひしさ千晴 もみちしたる山をゆくにしくれにあくり ぬるれはそ梢の色のうつりける袖もしくれのそむるふりけり喜代実 熊谷 一くれふゐはぬるれはあするものなるを哥に立そふ死宗あやしも形義 新髪田 一葉の立も残そふせる花をのみめてはやすへき山さくらかは安庵 熊谷 くれなゐのこそめの立に咲し梅ふたゝひ花と紅葉してけり 花雲そあらねそのふの勘箱はは前の音葉は養とそ見る直成 市川 秋は葉そ色に出けるくれなゐの薄蔵桜葉と見るまて美都成 紅葉さかりなる頃山ふみして 朽木 秋の山道のしをりに進られては松の小橋も赤くかれなん村住 長月はかり山の紅葉のちるを見て 花は猶春の後にもにほひしを秋のうちにもちる死ちつかな弘藤 八重に花もては咲けん桜かも秋はやしほにもみちしてけり浪ん 桜よりそかき紅葉柳より海近き水にそ錦うつせる をしむらん山の箱ぎ堂をなりもたはをしかも里へひかれいつらむ 材木 かねをつけべふをもさして粧ふは下葉いろつくあきの山栗 新発田 めぶちかく見てめてよとか初紅葉下枝より先いろつきにけり 菊寿躬 波賀 紅葉して棒ふかゝる一日くさは手そめの糸をほすかとそ見る葛成 初紅葉をりて得させし一枝に人の心のいろも見えけり 水戸 紺かきにわさやすませてうるはしく時雨そゝむる門のもみちはふ 忠吉 くれなゐの客の世はやくのかれゐて庭に紅葉をみるかたのしさ 寄居 宮鳥の時わかるゝさまみせてちるやあしたの風のもみち葉 もみち葉に塒しめたる鳥こそ錦につゝむ瓦なりけれ 岐阜 同断同 山寺の地蔵そ紅葉がる時に閻魔の顔とをりまれにける かきくらししくるゝ山の夕くれのあかるき方や紅葉ふかゝる 一金賀野 諸文 } 花はなほにほひを跡にのこしゝをなこりもとめすちる紅ぶら 栗木 千晴 をはすてや山の紅葉を世に秋の老木の立とたれか見すてん 藤木 秋くるゝほと風ふき紅葉ぢる 野田 一色もれき桐の一葉の落ちりて来し時たにもおとろかれしを 秋の暮に月を見る 寄居 見るかけもともしくなりぬ桂さへやゝかれてゆく秋のくれかも 下総八日市 一まねきとめつなきとむへき秋ふらしと共にかるゝか尾花葛花葛花 元平 日数のみかきかそへけり七草もかれてさひしく秋くるらす 寄居 〽けふといへはわひしさひしとうとみぬる秋にはあれとをしまれにけり 水の上に落をそ舟とうひけるいつこそ秋のはつる湊は 若心 寄居 さひしさよちりし紅葉は梢にもかへるてなくて秋そくれ行 藤巻 ちりうかふ木の葉をかへす浪もありきくれゆく秋を水もをしむか 千種 鹿はなき尾花はまねきをしむともくれていく野の秋はすへなし 町住 手ふるれはみたるゝ木のはおつる露とむるすへなく秋はくれゆく 栃木 伏見増ゑもらさしとゝむ涙や物のうちにみちておもひの滝はなすらん 栄雄 せけはこそさゝら浪はつ川の瀬もそこひのしれぬ濤となるなれ 寄居 兵今寝ゑわくらはに露のなさりのかゝれいやさすかふかれもはてぬ恋草長屋 はしめはおもいて後におもふ恋の心を はやくより今の心を持てあらはうきにもふれてかくはなけかし直成 〽今さらに爰にたにもこと恋衆うちかへしつゝ物をこそおりへ真袖 れる掛 今ははや事に涙のおつる也たゝあよ雲のよそに思ひしを梅村 今はまたしとおもふにといれたるといふ事を 〽たかりふよかれをしてか我宿にほとゝきすきて人のとふらん広好 川俣 わすれさるもとの心つみえぬれと野中の清水ぬるまなきは くる事かたき男のたのめわたるといへるを 中々に袖やぬれふんことの葉のかけをたのみて立りよりなは広好 栃木 披書思首〽なかれこの世にもくみ見てし給ふ哉遠きむかしの水寒の河と花成 夢語故人〽わひしさゝむかしのなとかたりしは夢にて跡は木上風の声 越後田 死にぬるもかくやと思ふうまい寝の夢にそ過しくとかたらふ } 万寿躬 5254 玉林択材下 玉林擇材下 ▽▽井荒井恭治氏 花迺屋光枝撰 《題言吉山讃蔵書 初冬 そふよりは風さふしとて難波人あし火たくやや雲ともりせん もみち葉はうつろひ行て焼炭の黒き枝めつる冬はき雪り 落葉せてめたつはわさと立しめ小春むかふる門のときは木 章雄 新発田 富寿躬 東京 時雨 けさ神のゆくらん道と野に山に霜のしらゆふかけわたしけん 〽花紅葉なき冬くれは山風はさはらふものもあらしとや吹 さためなき時雨をさそふ冬にからくるには時もたかへさりけり おしくれ事のめに雲まより日も千筋にそ影のさしくる 日の色を露にうつして松をすらしはしそめけり過し時雨は 一外の浜鳥の涙やましるらん梢をそむるけさのしくれは 甲二中川 美都成 新発田 嘉寿雄 兵庫 武雄 熱田 貞吉 松坂 真津丸 栃木 冬もなほしくるゝゆよ紅葉をいかなる色にふさんとかする 令 衣ほしに焚火によれはけふくして目さへしくるゝ頃も有哉村住 甲市川 一定めなき世とはしられてあからしの紅葉にそまる村時雨哉 伊賀上野 よの人の袖をぬらすは哀なる秋にかよひし時雨也けり羽衣 新森田 よに入らは時雨も山路さひしとや夕日見かけていそき行らん 栃木 秋は葉を錦となしぬ今は枝を珊瑚の色にそめよ時雨よ 福原 木々のはをそむる時雨となりにけり朝日にあかくたなひきして梅舎 高崎 成かねて時雨の雲やまよふらんふしの芝山みほの松原基輔 桑名 山風にふきなくられてお雲のみえぬかたへもふる時雨哉春景 栃木 かさかりに門をたゝけはたゝく程つよき時雨となほひそなつ寝覚 はれくもる処間の月の影さへも時雨ましりにふるるとなはる広好 落葉 〽時の間にけしきかはりて松山を雲の浪こす村しくれ哉 阿波 春條 夜嵐に紅葉ちりぬと門の戸をあわたゝし気たゝく時なか 栃木 寝覚 令 筆にゆき林下にいてゝ迷ふ雲また山なれぬ時雨なるゝらん 村住 よこ時雨裾をあらはに吹ありて妹か顔さへもみちさせけり 会津 舎高 市川 立よれは時雨ははれて宮城野の木の下度にいたぬれにけり 美都成 野田 おきわたす霜の花にそましりける金桜木も今落葉して 岐阜 あれはてん梢は見しとちる紅葉かけうく水をやかて覆ふか のこりなく木のはちりけり花のめめてくしと世にほめられんとや並 熱田 吹すさふ風のさふさに手をかゝめちるやからひし木々の紅葉 寄居 ふくほとは空にみたれて中こによわる嵐にちる木の葉哉種雄 若心 今いはや目路のかよひもたえよとて峯の紅葉の紅葉のちりに散らん おく霜の柱のうへに落葉してやねそふきける冬こもる頃北岱 岐阜 春も野や庭の落葉をかきあつめ花の能は冬もなすらし鶴丸 すくむほとまた寒からぬ冬ふから手のひらちゝめおつる紅葉 〽なかるゝをゝしめはやかて下水におのれ落葉のかくるしからみ 高瀬 霜声る庭の落葉はかけしろき月の徳のちりのとそみる 津 津喜丸 藤岡 今は又風に梢をまかせけり秋は時雨にそみしもみち葉 俊久 雨ませにふりし木のはや溜ゆけはかさ〳〵といふ冬の山みち 常須賀津 藤丸 真葛原打みたしふく朝風にちるや木のはもうらかへりつゝ 厚木 千晴 在京 夕風にちる紅葉はかけにほふ月の都のくれなゐのちり 一喜 一おしくれはれぬと思へは板庇又も落葉そ事とふり来る 岐阜 三保雀 此頃は飛鳥の川の湊もせもかはらさりけり落葉うかひて 霜 吹風に梢のふしきまよひつゝさふけになりぬ衣手の杜 はし鷹の翅の風のはけしさに山わかれしてちる木葉哉 吹まゝに梢の木の葉みたれつゝか五なき風に色をみせけり 若心 河原 梅雪 寄居 長世 津 稲荷山狐いろなる木々の葉は数のよりゐを飛越てち 津留丸 錦ともみゆる木のはのちりにしをひめおく答のつゝらをり哉 もみち葉のちりみたるゝはあや綿こなかくきりて焼る心ちそ 八幡 道人 宗道 ふく風にみたれて落る木々のはも千鳥にまかふ野田の玉川 〽雪の如木をさく迄はあらすして草をかりしく野への霜哉 風にさき日かけにうつる霜の花くさ木とかはりあるかあはれさ 蛸路 堺 水鳥の羽かひの山に霜ふりぬ氷の床やいかにひやらむ 在京 たへのほに霜はおきけりさよ姫うちあかしけん残か垣様に一弁 津 めくみぬる露も千くさに今いはやあたの大野の舞となりけり 津葉丸 岐阜 水銀をやくにも似たりかまと山梢の露の霜となれるは 流見 に山 ちりしける紅葉のうへにおく花は錦の綾とみるへかりけり 起ひてけはひせし顔あらひつゝみれは朝日ふきふきやる初霜町住 おはへもけさ雪や侍らん草の葉のをりしくうへを霜ふきをめ辰村 福原 ともし火の花下色なくうつろひぬ霜置わたしあくるあしたは梅を 朽木 ちりし上は又はちらしと落葉には霜や心をやすくおくらん 冬かれて姿ふりたる女郎花霞のけはひてすさましき哉村住 まろはさん雪の如くはふらねとも露の玉ともふれる霜哉佐吉丸 宗道 野への露きのふ裳とみしもはやそさ初霜の花と喧けり為能 木にもあらす草にもあらぬ竹のはに匂くる霜花草なき花真津丸 寒草 小六月名のみは度にかよへれと冬をむねなる霜程哉 岐阜 滋見 〽紅顔のうつろふ跡の温ねにも日影をいとふ霜の花さく 寄居 御代跡 風さふみまりきをゆひてへたてよと霜や柱を冬いたてぬる 朝皃の咲し籬におく霜も日かけにもろき花にそける 津久田 高瓶 会津 一善高 〽もの来てのひんためとや御ゝへの草ちゝむかめくかれふしにける 兵庫 唐瀬 津 中々に冬枯青し野べの草日かけ見さりし下葉のみにて 津喜丸 〽かくて今旁の籬もあちまほしちくさ枯ふす野へ寒け也 藤木 居村 一花咲しおもかけもなく女花霜をいたゝく霜の冬枯 内宮 皆丸 〽とろわけてゆく人の袖寒け也薄の穂わた風にちる日は 兵衛 武雄 枯しきふも青き葉もあれとおしろき春野にはにぬ霜の下な 新発田 富寿躬 富寿躬 吹風を真葛か原の葛の葉はうちみなからに枯わたるらし 之足 旅人諏訪湖の水の上をわたる 〽藤橋といくれあやふきよる娘の花のうへゆくすはのみわたり 雁かねのかへらん迄はつらなりて少もうかふ皆田うらかな 吹わたる風さふしとや水すらも氷の下にけさはかくれし 寄居 長房 下野永野 柳枝 野田 広善 吉川やうすき氷はあふなしと水も上をは流れさるらし ふしうつるすはの氷の鏡をそ天下へとはいふへかりける 三浦月氏数 富鼠 白子 川の名もしらるらみいにけさみれはきぬの如くに薄氷せり 重藤豊 一氷りけり千鳥の瀧は一日鳥の来鳴んよくはしらをとめて千種 厚木 雪ならは馬そをしへんこゝはの海の少は狐道しるへせり千晴 ちきりけんふか津沼のをしの床水もらさしとけるは氷れり菊村 八日常 大河のひろきも小舟こき入れんいなもなき迄冬は少なれり 福井 なには江のあしわけ小舟あしよりもわけあしからん。氷寺汀は河鳥 行水の道にも関そすゑにける少とちたる不破の藤川 飯沼 野田 京のめみたれてふりし雨をそふさねて軒にむすぶつらゝが 三度 〽冬されは野津の水とち浪の花さへか水にけるかな 福原 飛鳥川あすともいはすさゆりには氷て湯もせにかはるかな梅舎 すはのま一夜のほとに氷らせてはしをわさるせる神そかしき町住 湯も瀬ゝかはらさりけり飛鳥川にける程は水もゆかねは菊村 寒月 すはの湖狐のかはの衣着て氷をわたる山賎もあり 波賀 万朱 さふけさは戸をさしかたむ計かは池も氷にとつる冬の夜 岐阜 浪日ん 大竹 久かたの月のひかりのさふき哉桂の枝も霜やおくらん 春秀 高瀬 かけさふき月の中には雪の花さきちる木さへあるかとそ思ふ 高部 水鳥 すさましきかけ身にしみて秋よりも老さそふらん月は冬の夜 書はみしくち葉の上をわたる哉粂路のはしの冬のよの月 寄居 長庵 一佐善助 霜おける尾花に月のさゆるかな秋よりなれし袖ものみく 人なしときなたいふれそをしの雌雄池にも心ありとこそいへ 栃木 海山の旅鹿かさねて来るをしや身に釼羽をそへてはなたぬ をし鳥の妹脊いいつも床のうらの浪の枕に夢むすふらん あは 南 我かけを水の底にも妻はありとおもひて浪をかつくをしにも さふしとて霜うちはらふあし鴨よ苦めほ綿を何ちらすらん 津久田 水底に入るをし鳥はあそ浪のおもひにしつむ頃にや有らん 野田 広谷 寄居 一池の面をあしにいまなく行めくりくたいれて今暁をしかも 〽いもとせの山をへたつる川に又すめかめをこのをしの中の松枝 霰 枕にもよへるくゝりの池水に妹背ならひて眠るをし哉 舎津 い 善高 〽むしける幾何也みやこゝへ行かひたえし冬の枯野に 津久田 種まける如く霰そふりにけるかくて寒さの根きし砂灰 炮ちくにのらめあられも家山いるかとわかりみたれたはしる 蛸路 清風 はえなくてきえんをゝしみ歳の戸をあけよとよいにたく森が 城 長樹 葉の上の霰は竹にありといふあふらに水の入りしめしや 仙台 光永 天の川御風寒みたつ浪の玉や少てあられといふる 蜘のいにいさつなきてゝみてしかなあらふる駒とはしる霞を 壊 菊村 長樹 夏の夜に水鶴きゝぬる門を又たゝきては飛ふ霰をかしや 相 一一 ふる時のはけしきに似すむ敷きゆる姿のもろくもある哉 寄居 一瀬 もてあそひあきたるむを天をとめ投捨る如露ふる也 章雄 雪 事のめあしはたちてもふらぬ哉すくりまろへる肝の霰は 榎の葉井やみもひもさふき冬のよに乱れて玉のしつこ敷か 永野 柳枝 阿波 一春条 津 〽あしあとを雪もいとひて人の出ぬ寒きりえらひふるにやうらん つる丸 栃木 雲の上に猶みゆれとも峯の雪けさはみ空のものならぬ哉 ふしのねやよのまにわけてかしにけん外山もしろき雪の曙 橋住 大竹 藤岡 七学は皆かれふして一いろのむつの花見る野へのあはれさ 雪ふれはうつもれつして中こにあらはれわたる沖の島山 新発田 岐阜 雪のりは浦のあま人わさやめて宿の塩により塩にたくらし 若心 雁のゐるかたゝわたりにひえおろし枯枝もちて雪そ落くる 川俣 雪のよは風もさふさに園の戸のすきまもとめてうちにいるらし 一方季 蛸路 すい出す綿には似すて袖の中にしみいる雪のさふて有哉 からかさに雪のつもれは大枝の花を折もつ心ち置すれ 福原 梅雪 波賀 ふる雪に野山の木々のふとる時やするこたつの中の枝彦 一菊成 熊谷 風も今氷つきけんと思ふ迄柊の枝そ雪にうこかぬ 登九 一宮 いかはかり大木の桜の空にありて冬も日毎に花のちるらん 同思庵 寄居 春の来てのこる所としら雪や松の堤にはふりもつもらぬ 長世 香のふりけるめした千歳かもとへよみてつるとしける とへめしな枝ふく風にけふも猶木の下庵はみ雪ふる也 会津 舎高 裏の橋の名さへもうつもれぬ宵になも跡をいとへは 城路 景梅花咲そめし心ちして柳にふれる雪はめつらし つくりおく富士とこそみれ雪の中に煙を立る賤か伏屋は 桑名 春景 初雪にまてとも友のとひこぬは人も我如我をまつらん 山形 静雄 津久田 〽にほひなき花そかひなき我袖にかゝりて香はしみとなれとも 守 瓶 坂路 桜にもまかふはかり。やよしの山朝日に匂ふ峯の初辺 清風 まかひなき花とみえけり匂ひある桂の枝につもる白鳥 野田 広善 よきことの書にはらみて毒にめをよろこいせぬる雪の白妙 手に息を吹かくるさまもをかしさよ雪の野寺の庚申の猿 すきまもる風をは身にそいとひける花とめつへき雪のふるよは 十日市 真寿雄 寄ち 種雄 藤豊 千種 勝間田の池の堤の初雪は水もたまらすきゆるなりけり 川俣 弟季 あしもとのあかるきうちときつけし烏や迯る雪の夕くれ 岐阜 鶴丸 炭竃 をかしさよ文字の松さへ短冊の折目にかゝる雪のよみ類 一宮 〽左義長にすのかさりをたくすやけふりはたえん松の炭かま 思底 岐阜 炭焼はかふりの外にかよひちを一すち黒く雪にこせけり 三保鶴 埋火 歳暮 山にのみそみやく小野の里人や宿のけふりは妻に任せて 土浦 もえにける乳をふも今はちりはてゝけふりのみうつ小野の炭気 内宮 堅丸 蓑もとは算木の形に木をつみて煙の色にすみのやきみる 伊勢山田 村人 花のさく桜か枝やたくならしけふりは雲にまかふ炭かま 赤尾 実刻 炭竈に時雨桜やたきぬらし風にけふりのさためなくたつ 新発田 嘉寿雄 〽埋火のあたりに雪とある灰は袖にかゝれとさふからぬ花 〽我如くさふまやわふる理とはぬくとき灰の底にのみ入る 津久田 高瓶 大竹 春秀 さふけさに畳をいとらて埋火の灰かきならす墨のうち哉 兵庫 唐歌 炉の中に音をたてつゝ枝炭のはぬるや灰の雪の下をれ 福原 梅舎 粂の関こえん為にやあき人はおひめのしろの手形もちゆく 二 蔵主 岐阜 すへこす末の関ちも桃の弓芦の天かさりいさましき哉 一滝見 主京 一日も耳もいとまなくして花鳥の色音はしらぬ年のくれ哉 〽をしみぬる日もけふきりにたちつてとらりるれろふるかけもはくん白子音丸 かへし かねてよりけふおこそゝとのやくそくに参のくるゝも我は侍けり五分枝 上野 物をくふるさへせはしやふす業のむねにつかへし手のくれには 柊の文字のつくりのなくなるとはいこるものはかけ乞の鬼鴫雄 若 琉球願恋 〽せきあへぬ涙によりてもれにけり目にあまれりと人のいふまし せきあくぬ涙によりてもれにけり目にあまれりと人のいふ世 もる泪もらすたもとそたのまれぬ我ものなから我つかせて おもはずよ我目にたるにもかへり来ぬ涙の人の目に入らんとは 岐阜 三保鶴 もらさしとしのふ我めをまろひ出てつい人のめにいりし涙は 鳥津 舎高 いかにせんつゝむとすれとなく涙身より出つゝ心にしこせぬ町住 悲静図あかぬ中をへたりにけりと心さへ心々になれる頃かな ふしなからまことなき 夢の中におもふ人々やちきるらんわれにはつらくうまい何返る 兵庫 会津 しきたへの枕かはしてぬる夜はに又いつはりをならふるや何 善高 蛸路 とりは音になけともいまたゆるさすてまもるや妹り下紐の関 兵庫 ものをこにいはてぬるよはあかぬ哉花の下ふしする心ちして 人のむすめに名たちたる 川俣 〽立し名をいつき娘もふけかすてまゝよといはゝうれしからまし あひおもふ中はかりかはかなしさは親にも顔のあはせられさる 今津 善高 いかて世にはやくもれけん軍ふかくやしなはれぬる君に我名は 兵庫 島つ鳥うともいはさるをとめ子にとしや手なはのないたちにけ 親のこと人にあはせたる 東京 ま心を下樋にこめしつま琴としらてやよそに糸はかけらん 述之宝文ふしの間もあしかるわきはせしと思ふ心ふにいにつけてつとめよ 福原 書葉七代はら数うちてそ氏もあそふなる今やたぬきのたぬしかる手代 いさゝかのみたれもなくて麻糸のなひきよりくる御代そめてとき さきの世は家もかしこき人ならんと思ふにかゝる御代にあへるは光枝 上巻追加 初秋 〽〽秋来れは格はちりぬおもかけの女いはやくかはるたくひに 〽さひしこをまきらはさんと萩真菊吹てやさわく秋の物風 武斎畑 〽木に鳥にならんと星や契るらん死葉鵲はしわたす夜は 乳成 天の川今わたるらん手向つる衣のすそを風まくるなり 津 つぶ丸 引又 月に似ぬこよひの星る老人の心もわかくなまめかさせて 米店 松坂 萩 萩の露うつしてすらは袖硯熱石も色やそふらん 真津丸 〽白斎の玉をもしはしぬきとめてみたさぬ時への糸萩の花 露 岩国のおもかけみせてやり水に錦の橋をわたす萩かえ 〽野分たつほとはかくれてしつまれは又学の上にのほ事露哉 城 真津丸 長樹 かたはらの紅葉の色を立田山松の梢にうつす露かな うるはしやひかりみかきて秋のゝのとくさにおける露の白む 白子 山田 白子 八千くさの花をさかする種ならし蒔しやうなる庭の白露 若心 露ふかき尾子か袖はよもすから顔にあてゝや虫の鳴けん 虫 鹿 月 窓に匂ひしも今萩かえをはふれてちれはもとの白露 久居 伊保丸 若小樽丸改 樽丸改 〽萩花にしきをなせる秋の野にあやある声の中 津都丸 月の舟うつろふ露の草しけきす戸の上野に鈴虫のなく おもひ妻心に乗てこひありくをしかや馬とむかしいはれし 津 つる丸 南畑 千代雀 〽さをしかも鳴やみにけりよあくれは人めありとてしのふ心か 双六のさえともふらん角をふりてめをこひありくのへのさを前 引又 地 米店 清風 高あにかくし妻をやおくならし立田の山をこゆる凡の音 秋ふがく妻とふ鹿の鳴しかに時ゆせぬ夜も袖はぬれけり 名にしおふさかさま川の秋の月底より影のさすかとそみる おもしろしかなしと月をおのかしゝ口にも戸をいたてすめてけり 白子 同音丸 蛸路 晴風 津 津喜丸 黒きをや月にはちらふとにかくに人のこしろにまはかけほし つな丸 雁 霧 立蔵の小島の月の浮舟は雲にたかれて浪にたゆたふ 若心 三世 月のかけめてあかす夜はいたつらにともし火のみそ打眠りける 峠 津百丸 坂路 清風 〽雲よりも心なき哉秋のよの月とも見すてとく寝ぬる人 月影のゝほるにつけてにくる如遠くなり行遠の山々 春秋の彼岸さして行来する雁は舟ともみゆる也けり 津 津津津津津津津波波波波波波波波波波波津波 榎本 鶴住 堺 なか〳〵とつらふかくるもあかぬ哉一はしらへのよきふみにゝて たなはたのおくるふもともみゆる哉是の川原をわたる雁かね 朝霧の子尋の海の底にこそ露のしらむおほくあるらめ 津 長樹 津喜丸 榎本 豊吉 久居 秋のゝや萩に薄やとりませてうゑゆくやうにはるゝ朝霧 伊保丸 召止 名取川秋霧ふかくたてる日は埋木なせり嵐の紅葉も 津都丸 さひしさの涙は何につゝまなん尾花か袖もみえぬ夕方 三世 擣衣 菊 手枕にきぬた暮てあさむれはかひなたゆしやうたぬ此身も い風につちの音こそみたれけれしのふすりなる衣やけら うるさしやめかねをははきてぬるいまもさぬたの音の耳にかゝれる 八千くさの花もいろなくかるいかり霜にまかひてさりか菊哉 硯にもうけてめてなん千世をもてかそふる菊の花の下露 紅葉 菊わくる袖に香のしむうれしさよ千世の身にそふ心ちせられて 此上に霜の花をはねかはしな色香たりぬる庭の八重雨 朽木 松坂 瀬良丸 刀尻 〽駒葉へて春は花見し山桜もみちしぬれは君そより来る 天楽 津 くれなゐのかのこしほりやや露うけて紅葉の枝にかゝる蜘のい 津葉丸 音の海ふかきみ山にいさり火のもゆるか如く紅葉してけり 地地 山田 暮秋秋とゝもにちりてもいくる鴬かつらはいまつはりてうむとゝむともす 若心 〽かきりそとおもへはかなしとゝむともみるものゝある秋に酒根こ津都丸 披恵者 〽あやよくもむかしのよとのありき草を手にとりて今ふみに見る哉 依忠増君 人えれすしのふ涙のゆしけみ日々に咲そふものもひの花 白子 松坂 尋追集 追加混題 うらうへに松に雪こそをれぬへくみゆれ嵐にふひて卯花池程 うとましや月の哀はしらすして。闇に袂をぬらすうつかひ 夏をむねと建たる家の涼しさは秋を背におふ心ち社すれ よしの川出雨よろ廿五月雨そ浪の花とはよくさかせける 引又 すみた川あつかはしけに人のゆく大路を舟に見るか涼しさ 器 時鳥鳴つるかたをみきくれは沓のかたちの月そのこれる 時鳥かすかなる音に五月雨の雲のへたての厚きをそしる三世 ゆくはとしゆかすはくやとりめなんこれや今なく鶏の助 待わひて心つかれしに夜中に心つかれてとへる君かな 月かけをいとふ鵜飼そ川のせにひかる桂の鮎はめつらん 又 金子 桜の歯をひくか如くに郭公きくや木曽路の旅路やくるは 玉林下豊 追加混題 引又 山吹の宮の雪気にひゆる夜を月の蛙は所得顔や 薄氷陰巣の外にかかひけり鳰鳥すめる嶋のまつら 〽およはめやけふれるふしの雪けしき柳桜をこきませつとも 染のこる色もありやといまもなく時雨は山をめくりみるらん