大源山八幡宮奉納夷曲集
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- 石橋春吟編
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- 石橋春吟編
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- 日本語
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- ダイゲンザンハチマングウホウノウイキョクシュウ
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- 東北大学
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大源山八幡宮奉納夷曲集
大源山八幡宮奉納夷曲集
敷しまさら地は心あるはかく種
とき行はすまなかく言持薬師
のしけれしと耕作のいとま
にそのつねを輯めて宝前
に奉るのみ
平野郷
輯者石橋春吟誌
書記
山本好古
吉井南林
奉納夷曲集社頭立春
浪花
ふふよりも春はきた野と宮居とてつほみなからに匂ふ梅か香小雉彦
南都
神垣に今朝は霞もたつか弓はるのけしきをみるやはた山麿仙
平野
杉立日三輪の社もふた本のかと松たてし春は来にけり
一学もけふ春たつとことふれのかしまの神の宮に来てなく呉仙
去年と春わけいかつちの御社にくわが〳〵氷りとける加茂川
いくとせをふるの社も新しう御注連の縄やはる立にけり拾翼
初春茶湯
幾千代の松の内にてたてる茶はつる首もありかあふたもあり
ほんのりと明て心も若水や井戸茶わんにて調日大ふく呉房
敷しまそ地は心あるはかくれ
とき行はすまなかく言持粟艸
のしけれしと耕作のいとま
にそのつねを輯めて宝前
に奉るのみ
平野郷
に奉るのみ平野伊
輯者石橋春吟誌一
書記
一山本好台
吉井南林
奉納夷曲集社頭立春
浪花
ふふよりも春はきた野と宮居とてつほみなからに匂ふ梅か香小雉彦
南都
神垣に今朝は霞もたつか弓はるのけしきをみるやはた山麿仙
平野
杉立百三輪の社もふた本のかと松たてし春は来にけり
一学もけふ春たつとことふれのかしまの神の宮に来てなく呉仙
去年と春わけいかつちの御社にくわが〳〵承りとける加茂川春吟
いくとせをふるの社も新しう御注連の縄やはる立にけり拾翠
初春茶湯
幾千代の松の内にてたてる茶はつる首もありかあふたもあり
ほんのりと明て心も若水や井戸茶わんにて調日大ふく呉房
何となふたきるくわんすは初春といふ案の酒も別紙なれは為述
静なる風の手まへやたてる菊のふくかげんよき春の口きり
はつ東風かふくさ樹や炭みまへゆるり雉子の名迄のとけき桃賀
年時てひと日歟ふたを取初るくわんすの湯さへしやんと云めさ五百枝
釜のふた明つゝ水をはるかすみけさはうす茶の立初やせん眠我
かまのふた明の春とて立のほるゆけはかこひの内にかすみて
霞掛看板
丸薬のかんはんとこそしられけりはるの霞の衣かけしは霞風
鋸のか人はんにかゝる春かすみたつにひいたり横にひいたり桜雫
ようはやる風薬屋のかんはんに今朝は霞もひいたそ〳〵砂角
あきらかに見ゆる目鑑の看板にかけた霞のあら玉の春仝
山を見に出る目の先のかんはんへかすみのたつはもくさやの軒
かうやくのはるのしるし歟肴板にそ朝は霞もひきのはしけり茶実
二階からさし出したる目蘭のほんはんにさへかすみかゝれる
豆腐屋のかんはんなれは一丁もたつや霞のきぬこしかも
こんふやの冨士の高根のかんはんに霞かくれる春の空とて李蝶
春めきて花らうそくの看板にかけたり〳〵霞かけたり一瓢
春霞ひく三味せんのかんはんにかゝるけしきはいとおもしろや古得
人の目にかゝるやけさは表くやの見世に霞のはつた看板眠我
春かすみひくや弓屋の肴板にかゝりこそすれはつを違へす口六仙
ふしの雪其尺長のかんはんにかゝる霞もひくや風の手義毘
関路帰雁
さく花をしたふて来たるつはめとはふはの関路を帰る雁金呉仙
証文の文字の関路や春の空如件帰るかりかね仝
いかなれは花とはふはの関こへて顔ふるさとへかび雁かね五百枝
去年の秋きたる姿をそのまゝてころも愛を帰る雁金百一
関の戸も空明かたに打見れは鍵の手なりに帰る雁かね
来た道の手本わすれす帰るこそらに覚て書文字か賀眠我
鶯の関に来なくもはゝから寿花を見捨て帰るかり金春吟
古郷花
ちいさい時植し古郷のさくら花のみくらへん男さかりの御花芋子
古郷のおさななしみや糸さくらたうりとたれしはなを見る
春やむかしに帰る左郷に来て見れはやなき桜の錦なりけり砂角
今とても昔ながらのやまさくらいく年春を志賀の左郷
みよし野ゝ山も梺も成廻りさは雪のふゝきやふる郷の花呉仙
七重八重九重よりもまたうへとひとへにそ感をふる郷の巻文卿
真白に今を盛りと見よし野ゝゆきにはあらて花の方卿狸調
童の時にわかれし古郷のいとなつかしきうは桜かな和竹
古郷に我か植置し糸さくら見れはなつかしさふに給つるゝ
水辺山吹
音なしの川のほとりに咲ゆへ水山吹もけに物言はぬ色眠虎
すは〳〵と物言はぬ色の山吹やおとなし川の岸にそたちて朱満
宇治川の流は色もはんなりとせんし茶に名を立し山吹花蝶
物いはぬ色ぞ性根の玉川やよし野にまけぬ花の山ふき五百枝
業平のおもかけ草の井筒にもしなされてそ物言はぬ色哥丸
盛りとて皆見にいての玉川は水のほとりも人のやまふき大広治
猫妻乞
妻乞の頃は夜も日もわか猫のまたらに物を思ふならん
わか猫かあちこち妻を乞したひ恋のひるとて目を細ふして呉仙
瓜かくす猫も色にやあらはれてかさつくやうに妻を乞らん
花ならて今をさかりと家根のうへひらいたものは猫の妻乞百一
一明ならし口説や猫は軒のうへつい落そふに見ゆるつまこひ呉房
呉房
鼠とるとは言へ猫も恋ゆへに己か性根をとられこそすれ小雄彦
いつれそと思ひくうふる夫婦やらふき合てゐる猫の悪風○林栗
田家更衣
一賤か家に花のうつり番既にけり門田の早苗とることもて如松
橋上時鳥
時鳥あいか切ても今一声なけよと待や勢田の長はし睡虎
先夏の出しにつかふや郭公かつなさ橋にかけたかの声に花す松
さくやきの橋とはいへと時鳥遠慮もなしにかける一こゑ〽桃苗
弁処にあらて五條の橋へ出てまつやくらまの山ほともさす
灸すゆるうない子鳥の声たてゝ筋かい橋になき渡りけり
ほとゝきす今一声をきく迄は夜かまふともまゝの継はし睦虎
今一度割て聞せよほとゝきす十露盤橋に掛たかの声古下
名にしおふ冥幽の鳥の渡り来て極楽橋に本尊かけたか狸調
施里短夜
ひと短の伽羅ならなくに短夜をくゆる木辻の君かきぬ〳〵小堆彦
そき継に長くもかなと木辻にもうき川竹のふしの短夜辛子弥ぬ縄
契りさへみしかき夏のひと夜つまもはや迎のかこと計りに虫丸
傾城は客に口舌そあり明のあふらも残るみしか夜の空蓼丸
つき出しのよねの契りもみしか夜や鐘木町なるあかつきのかね
せわしなう跡ゆふ里の花あそひ扨せん番もきついみしか夜
蝶ならて戯るまもなつの夜やなたね御殿に藩りたる客
尻に火のつくやふにこそせわしなやまたる巣やにて遊ふ欲求園生
練供養
そくいひにはあらてほさつをねり供養はなれてならぬのりの行ゑ
極楽の体相こゝにねり供養ほとけのやふな人てこそあれ桃苗
有かたき感にたへまの練供養いきてはたらく仏拝見は五百枚
極米へ参る思案を練供養見れはそろ〳〵おむかひか来たねぬ縄
貧家蚊遣火
内證のうすき此身をせかみてそくひたつる坂をふすへ出さん
夕くれは猶さら何やかやり火をあをち貧乏の身こそせわしき
富る家におとりはせしとゆふまくれかやる煙の細からすして
夕顔にあらねと是もたそかれに坂遣の煙小家かちなる
古池蓮
歌あかのにこりに染ぬ蓮葉やあみたか池の水にうかみて呉仙
泥水の濁りにけぬはちす葉は清き頃めの池にめてたき狸調
きのふけふ雨ふる滝の蓮の葉に露かねためていとのはすとん
なしあしのなにはともあれ蓮葉の清き心にすむあみた池鬼園
後家土用于
今ははや手伝ふ夫もなつの来てきものを後家のたゝ独ほし五百枝
移り香の残りしきぬを土用干とて後家のみさまにかけて干らん
小袖をは見るに涙の玉くしけふたつ髷なる後家の虫ほし腐仙
忘れしな夫のかたみを取出して紙美したゝない絵家の出干
ひんと錠をおろしき後家も長持はあけて小袖の虫ほしをする
土用干に袖ぬらし是後家立てつまをかさねるこゝろなれは春吟
振袖のふりにし事を思ひ出し涙をこほす後家の忠ほし工却
虫干をするも心の細ひきにかけて契りしつまの小袖を朱満
質屋しはあらねと後家の土用干ちきり置しを思ひ出すらん寸松
なきつまの形見の如袖のほしもむさとひろけぬ後家の嗜み潮秀
六
海辺秋風
平野
扇おく頃はさひしき舞子の浜野わきの風かそゝのかしても好古
うら盆におとりし事もあら波のおんとの瀬戸に秋風そふく
打寄せた波もひくてふ琴の浦しらへにまかふあきかせかと狸調
花蝶
秋風に塩馴ころも身にてしむすさに蜑もねぬきの海
秋風の吹は淋しき須磨の浦尾はなの外にまねく物なし好古
婚礼の座は賑はしき高砂のうらそさひしく秋風やふく
松浦かた吹秋風の寒けれははたへかいしとなるこゝちする好古
住よしの蛤茶屋も口あきて哀れ淋しくあき風そふく春吟
安宅七夕
一夜ても天下はれての星逢を日かけの妻は願ふなるらん延貫
星逢の空頼なうおもひものうらやみやせん妻迎へふね桃賀
妾老の願ひは身にもあまの川わたしをほんの妻むかへふね五百枝
浪花
一天の川今宵逢ふ瀬の星祭り妾も流のむかしおもひて呉仙
本妻に直してほしや子もほしやふたつの星を祭る妾ま
天の川深き願ひもかくし妻あととりの子をほしや祭りて五百枝
一とせに一夜もかゝぬ妾窓に天地のちかひまつる七はた紫蕃
里擣衣
もめん打かきぬかしらねと横槌の音は通つるもろこしの里好古
鞭ならてくらまの里の糊かいもの多くれかけて打立日なり朱満
から衣から〳〵と打音するは聞およんたるもろこしの里大膽虎
方角は左つみにしかと聞へけりきせんの衣うつ宇治篁梶五
せんたくの糊も日和も拍子よくた川田の里に衣うつ音文里
一名にしおふ夜さむの里は世話しくもたゝみ重て衣うつ也五百枝
一松風にかよひきぬたの音さひしこゝろもしんとすみよしの里
名よしおふ小倉の里はやさしくもしきしあてたるころも打音五百枝
賤の女はふしもやうぬ歟よをこめてあしやの里に衣うつ音呉仙
のり立て衣こわたの里人はちからを入れてうちはなは延貫
小夜更て寝覚の里に夢破る賤かつゝれのころも打音。花蟻
風につれきぬたの音を聞からにいとゝ夜寒の里て助き呉房
夜もすから衣うつなりせんたくの糊もこわたの里の賤女為朮へ
森角刀
年を経て老曽の春のはれ角力かけたかはつのりかもとつた砂角
不足銭乱の森て取るからにすもふもしかけの負やあるらん
つゝけさまに勝し手柄や二度のかけ生田の壺のはれの角力に
葛の葉のやうに見るにはしたりしのたの森の勝角力とて柴柿
油断すな信田の桑の角力とてたますに手なしつすみ差買千枝
からむ手のつよくも見ゆる藤の森ゆたんをすま。いははすと〳〵眠樹
名所月
夜もすから狂哥や和歌の浦波にうかんてすめるけふの月かけ
玉くしけふたみの浦の水や空あはせ鏡にうつる月かけ香風女
御花
落雁のかた田の影を打見れはうち出の浜に真白な月砂角
縁あれは如くり逢なり今宵しもおは捨て山にい月の影延貫
浦波のよるのなかめや打はれて気もしん〳〵とすみの江の月桃苗
平野
花に来て日をくらしたる返しせへ夜か明るとも見よし野く月好古
秋の来て笠置の山にさし出るあを天井の月をこそ見れ南林
御花
住の江の月を居なから秋毎に見るはぬれ手てあはご島人平保
ようさへた今宵の空の藍色を見りや染付のたらしならしなり
月かけはむかて山からさし出ていたくもはれし秋の夜のそら
加松
気にかゝる雲はれてよい中空やおは捨て山に出しめい月如松
十分はみつるといへと盃の名のむさし野にいつはいの月
砂角
一花よりも又雪よりもうへを行やまのあなたの月をみよしの辛卯十四
南林
とき立たやうに今宵の空晴て月かけうつるあのかたみ山
今宵〳〵も秋の眼と照月のかけは目かねの玉川の里
南部
有霊
御花
一呉仙
梶川水にうつれはついちよつとつよくれそふに見ゆる月辛
秋今宵つく〳〵見れは扨味ひ所から下いあかしもち月百一
百一
三五夜の空もはれやれ心ちよい名にし近江の石山の月廿可有
可有
むさし野くそのむさくさの中よりも清くも出る秋の夜の月辛南林
浦島か蓬の浜や玉手はこあけなは悔し此月の夜は哥丸
哥丸
秋の夜はいかな景色もけられなん鞠子川辺にさへ渡る月廿貞知
国中聞虫
御花
芋子
水ならてもらさしと聞すましたる寝耳に入るや虫の声く芋子
平野
心かけよきものふや目を覚し閨のうちにてきく電むし破笠
賤の女か夜なへ仕舞ふて閨に聞く針のみゝすのいと細き声
呉仙
千花
一国のうち添乳のうはか卒すましきくやねん〳〵こうろきめ千花
右衛
契りてし君はおそしとまつ虫をきゝつゝひとりついねやの肉志成
職人愛菊
菊の秋西師か庭にきて見れは翁のわきに猩々もあり
菊植て左官は職にかへんなん陶渕明にうはぬりのすき
平野
南林
同
南子
流蔵
一りんもむたには咲ぬ実はへから心にかけし秤司のきく
三巻
はのあいをせゝるや蜘のすをはらひ楊枝屋か好猿まなこ菊文花
菊はたけ世話を刃の刀鍛冶さきかけてこそ乱れ見るや此品蘂裳田
いく秋もさかへ堺の鉄砲屋か性根たまをは菊にうちむ百一
学校落葉
よう〳〵たる桃の其葉も落葉してしん〳〵たりし学校の庭足つ仙
切か如く打か如くに落寒して磨か如き学校のにわ五百枝
学文のひまに諸生か落葉まてかきあつめたり又さらへたり小雌彦
一昼なみて赤い落葉を木からしか吹あつめたる貧学の窓腐仙
古戦場時雨
戦ひの跡先はれて宇治橋の中の間切てよこしくれよな狸調
よしつねか手柄を須磨の後から思ひかけなくきた時雨かな
盛綱をうらめし焼か涙歟といまは藤戸に時雨はら〳〵拾羽平
竹やうにあらねとこゝは山崎やよごからふつて北時雨かな一瓢
見るうちに二度かけくもる時雨にそ生田の森に思ふ梶原
戦ふてやふれかさきの城の跡しくれに袖のぬるゝあはれさ腐仙
深夜埋火
水も寝る時とやいへは埋火もせたりおころはおこるな時は紫茶田
ふくる夜のしもならなくに置火燵赤いたとんも白うなるらん桃賀
老の身のなられぬまゝに埋火をせたりおこして長き要友
更ゆけははや暁の星ほとになつて残れるねやのうつみ火花蝶
夜はすてに深草焼の手あふりに少〳〵ばかり残るうつ炙呉房
冬の夜の姥の友なる埋火もふけ行まゝにしやうと成ぬる如松
配所雪
一枚にいわうか島へつもる雪さすらへ人は花とや見るらん
いにしへの出きの配所としろたへや今朝雲みよりみもきとは梅岸
質ならておきの嶋なるかたひら雪なかされし身は嘸相しむ眠樹
うき事をたれにいはふか嶋守は古郷の思ひ積か白ゆき歳柿
宴中煉掃
真白にふつたる雪にまけましとみな真黒になつて煤掃鬼雉
白雪の中ても黒いすゝはきはまたら〳〵としてもゐられす狸網
つもる〳〵雪の中ての煤桿や黒い顔して面白う見る紫雀
はく煤と積れる雪とたらいせん碁にはあらねと白目かち
東路の袖に引かへ雪の日にすゝ打払ふこのとしのくれ桃賀
外にふる雪よりうちのすみ〳〵につもるほこりを払ふ煤掃南木
これ程にふろとは更にしら雪の宵から積りけふのすもはき哥竹
けふとあす積りもならぬ煤掃になふ〳〵是はふつたる雪哉春吟
つもりたるほこりを払ふ煤掃に払ひかねたる庭のしらにせ義略
富家餅搗
ひんほうの人に見せたき鏡也長者もよろいつかぬ餅つき湖秀
拍子よき家とてかねももち搗やよい事たらけひん丸めつゝ百竹
かねもちの拍子ついたる餅搗や小判もあれは丸いのもあり芋子
賑しう宵からきねの音すなりあかつきかけて富家の餅搗千鶴子
出入かたに餅をつかせてかね持のおくくにおくにへたついてゐる梅山
山家歳暮
かせきにはしんとい坂をこす山家としの峠は心やすけれ紫蕃
大雪に道を失ふ山里也いつこにとしのくれて行え
山家にも春をそまつのほたくへて無事ていくりに祝ふ大
山里は大節辺ても静なり此木より外にかつた物まし拾翠
大節季かりかしも又御年貢もすめは都にまさる山住好古
雪とのみ積り〳〵て行としの衆もきひしきひへのやさ住雨甫
大節季かけ樋の水の音もなし新端の宿を払ふやま住吉好古
山住は黒木売とてたい〳〵も戴いてこそとしをとるなり
老中織様
地のつよい婆匁なり是識布のよみの込ん高年もいとはす梅山
年波のよるも師走の機の音きりはたり丁七十の姥興列
厳丈にけふの細布おる皮の匁わかい者とは胸あはすして
年よる迄女の業をしも機てかしらの雪の白も見ん織延貫
機を織音に手きゝとしろもめへいく手よみのこもし老女は狸調
機を織る老女も年をへる布やいとなむ業生つその世渡り呉仙
将人発心
扉を追ふ猟師も今は春ばれて西をおかむや山の端の月青我
鉄炮て鳥けたものを打し身もうつてかへてそ玉を入かへ紫蕃
鹿を追ふ猟師か今の発心は後世の剱の山見さるため眠樹
山刀さすかにたけき持人のようそやおもひきつた発心百一
鉄炮もとんとうちやめ狩人は鹿ならなくに釈迦の跡追ふ朱満
黒髪をきつて放せし鉄炮や今は猟師も打て替つて破笠
峠眺望
のほりてはとこもかしこも見ゆる也くらかりといふ峠なれとも睡虎
春の末寒さもさつた峠から見えたす富土のゆきも消かた興列
順礼も富つき山の峠にて執所〳〵を打なかめけり
箱根山登り〳〵てなかむれはふた明て出た心地こそすれ
みそならて摺はり峠の風景ははたにねふつて見るしなん
古銭好朝起
朝ほらけ文字のかはつた楽みは唐から渡るせゝのありたけ仝
古銭好すけは目利のめか明て通用の外に朝起そする小燵産
とく起て朝時参りの古銭好とふても是は南無阿弥陀佛霞風
朝早ふおきの方にはあらねとも大せんも好唐にせんもすき歌竹
朝起をするも心の駒引や左つぬる銭の目もあはすして貴賤
鳥の目も覚ぬ内からとく起てめつるは長命番貴せんと
朝とくも起出て顔もにこ〳〵と恵比須銭をも翫ふ家一瓢
小僧手習
一永観堂お寺からとて小僧達てならひするに横むいて居る里朝
式日燈明
荒神に捧る今朝の燈明はこれやまことに三つのあけの好古
堺
燈明はてつちの役に双六のさいの目なみて月の一六南子
玉道
倍あれは徳ありとこそしりかりやとう明あけについたちの百一
あさ
早朝神楽
瓜破
乙女子か山の燭袖をかへしつゝちらり朝日のさすかいなしと朱満
山もへにさすか日の出の神子の舞あさとふとくも鈴をふり袖
街道送別
旅立に名残のはなし枝に枝はや日もより田街道
一別れ路をおくる住吉街道になとりおしむや竹馬の友
はてしなく送りあふかめ谷なれやまた別れても大津路道
旅泊夢
ゆつたりと寝てなしみに大ふねや碇なろして結ふよい夢内志成
泊り居て難波の夢の訳もなみうつう〳〵と夜をあかしかに可覆
寄道神祇
正直の只一すしに行へきや神のおしへにふた道はなし好古
朝夕に誠の道を掃除せはちりにましはる神も御納受霞困
城
近道と思ふ道こそまよい道すくなる道は神教のみち里朝
正直の道を守らは何事も神のおくへのふみ違なし桜雫
寄器財釈教
水甕の中もほさつやのりの道うき世のちりを跡に残して和竹
祖師達は衆生にらくをさしみ皿十人前も吉労なされて撰賀
後世願ふ身には命もなしまつきもたれかゝりし南無阿弥陀仏
寄酒煎
堺
身をおろしわしやしんほうをしやうかまからい世帯も何かいとはぬ岸水
初恋路君かなさけをしろさけか一夜ねさして馴合た中
我恋はありたけ外へしられけりうしや誰かいひふらすこの朱満
三水にひよみの酉の相生は金生水のちきりといふか
寄川森
橋かける人もあらはとおもひ川ふかき恋路に渋みぬる桃賀
堺
庭源ふいふ川筋も瀬とかはりむねの蛇籠の恋のしからみ黒鳥
ふかゝりし契りの中もむた川やあさき心の君にはまつた鶴子
寄石撚
打つけにいふか煤のあてことやこひし〳〵の袖にあまりて小髭彦
見初てしそれからうはのそら印地こいし〳〵にうつゝぬかして眠六方
つなかれた縁を切その碁石かやおさへられても打込た箸一瓢
寒さをはいとはぬ松浦さよ姫か身はひべきつて石となり
来ぬ君を待てつゝくり立石や行かふ人に見らるそうき梅里
寄魚煎
見る度に着に思ひてますの魚つくつくつもよしすかほども雨甫
いひよれと顔は上気のあかし鯛尾にひれ付て口説てや見ん梅山
蜑丞
蜑の身は千尋の庭もいとはねとあさきはつらや君か心の和竹
約束は水底てあふあまの紫これか誠にふかい中れも千枝
蜑の身も恋の海には迷ひけり人のみるめは舞にかられす
恋すてふ身は恥かしの丸裸かくす袖なき海士の腹帯其山
口説とも返事をなから釣糸のふかき思ひに身を沈む蛍
寄山徳
恋に気をうつの山へのうつゝにも夢にもあはぬ君にのほり
南都
幾夜さかつもる思ひは富士の山夢にも見たき若かつかけ兎園
香炉峯の雪にかたるすたれをはおろしてちよつと打とける君砂角
堺
待て来ぬ人をこかなし伊吹山むねの煙のたゆる間も
平野
幾度も弁をやれとも有事なくふて捨山の恋をする身は南林
寄鳥惣
言ふことは皆くたかけや時〳〵にうとふてみても君聞ぬふり
雲ちかく思ひをかけし時鳥見ぬ姿をはこかれ焼ぬる拾羽平
跡さきを水鳥なれや心から恋の渕瀬に浮ぬ沈みぬ南甫
やくそくの夜は一時も千年と首なかうして君をまちつる砂痛
寄玉盛
くもりなき心のうちは水日にのたまのあふせもすいたじ中
芋の葉にうき名はかりて露の玉あちらへふられこちらへし古得
無筆煎
いろはさへよめぬ無筆の恋なれはかなていはれすめてしらす
物かゝぬゆへしや君にあふ夜さはたゝもし〳〵とするはかり也好古
さなからに明目くらかや無筆とて恋の響路に迷ひぬる身は里公王
忍れと色に出るとは扨置て弁さへ人に書てもらふや拾翠
寄鳴物述懐
おもふやうにならぬか笛の世の中や穴もあいたる入ふさいたり紫香田
尺八の音は御無用ととゝむれととしのふけるはあなうしの
一世につるゝ身は風鈴や何事もなり次第也〳〵
飴の鳥の太鼓に似たる老か身はこんもや子供のやうに成也好古
浪花
入相のかねてそおもふよの中はその日くらしの人の身のうへ呉仙
寄農具懐旧
子を廻すから棹を見て過し世のおやを廻せし昔恋しき好古
今はたく目もうとくなりいさる臼ひと廻り跡思ひ出せは眠我
寄武具祝
ひと筋にいく千世長き鑓のゑのすくに立行道そめてたき朱濃
開帳に鎧かふとをかさりけりさて〳〵是は有難き御代春吟
鎧きる事もならして人目をもおとしとなれる御代やたけさ
隅々まて打おさまりて采配はほとりたきの名こそめてさきねぬ縄
一静謐にたゝ何事も里にしてゆみは袋に出さまりし御代狸調
大平に世か治まれは箱のうちてくさり鉢き鎖かたら好古
院
治りて用ゆる事もなきなたはふるは草履の名につかいけり南子
平野
君か代は打治りておとなしくから鉄炮そ目出たかりけり南林
弓の弦はやしてみれはもとの竹すくなる御代にゐるそ目出たき月舟
追詠
むらかりてめくみをあふく言の葉も生るをねつ其鳥の跡春吟
大源山八幡宮奉納夷曲集
二千六百有六首内三百五十首抜書
△
○
一睡亭海棠花
随古斉雪亭
撰
一
D
右
芳春舘拾翠
随風齋雲信杖
風草庵南代
石衆議判二評三評通り歌左に一首の初句を出し
毎詠側ニ評者ノ印ヲ附ス但シ一評一首ハ不出
○頭口
○油
○油○十坐
賑しう宵から
賑しう宵から太平に世か治なは今ははや手伝ふ
頭
抽
十坐
一夜もすから狂哥や花に来て日をし開帳に鎧かふとを
一二油△一
油△△
頭○
□十坐
玉くしけ二見のひと筋に幾千世今宵も秋の
なかき
頭
油○
十坐
一天の川今宵弓の弦はつしてつなかれた縁を
頭
十坐
外にふる雪より有かたきかんに
咽ならしくとくや
たへまの
ノ口
△口
合
春めきて蔵らそくのすいのうの中も鹿を追ふ猟師も
今は雲晴て
関の戸も空夕か月にあらねとかうやくのはるの
○口
□□
加
宇治川の流は
宇治川の流は爪かくすねこも名にしおふ小倉の
八八
台
ひんほうの人に丸薬のかんはんとそ
狐川みつにひんほうの人に
一〇
△○口
ほんのりと明てうち寄た波も古郷のおさな馴染
合
弁慶にあらて学文のひまに極楽の体相爰に
若猫はあちこち月かけはむかて山賤の女か夜なへ
六八
た
一別話をおくる老の身のねられぬよう〳〵たる桃の
○ム
一杉立る三輪の燈明はてつちか塊のつよい波あらなりけりけり
△
一年を経て老嶌の住の江の月を山里は大節後よも
○
うつり香の残りし大節季かけ樋のもめんうつか給か
台
八〇
一盛礼の座はうら盆に踊る菊植て左官は
○
むちならて鞍馬の今宵しも秋の夜はすてに深草
○
○
先つ夏のたしにふて
先つ夏の左御門ににて鶯もけふ春立と一まいにいわうか嶋
つかふて
人○
一棒にはしんとい坂を隅々迄打治りて一夜ても天下はれての
○
○
一古銭好すけは目利の蜑の身は千尋の妻乞の頃は
OΔL
八日
○頭
ふけ行ははや暁のそきつきに長くもいにしへのおきの
1346
21346
寛政第六寅二月施印
八〇
口
ひんほうの人に丸薬のかんはんとそ
狐川みつに
一〇
△○口
うち寄た波も古郷のおさな馴染
ほんのりと明てうち寄た波も古郷のおさな馴染
○
合
一学文のひまに極楽の体相爰に
七
○
若猫はあちこち月かけはむかて山賤の女か夜なへ
六八
□
よう〳〵たる桃の
別路をおくる老の身のねられぬ
○△
一〇
地のつよい波めより
なりけり
一夜立る三輪の燈明はてつちか地のつよいなりなりけりけりけりけりけりけりけりけり
○Q
△〇
山里は大節季も
一年を経て老嶌の住の江の月を山里は大節発よも
△1
○
もめんうつか絶か
うつり香の残りし大節季かけ樋の
八
台
△
うら盆に踊る
一盛礼の座はうら盆に踊る菊植て左官は
○
むちなみて鞍馬の今宵しも秋の夜はすてに深草
○
○
先ツ夏の左り給ふて鶯もけふ春立と一まいにいわうか嶋
つかふて
○
一構にはしんとい坂も隅々迄打治りて一夜ても天下はれての
○
一〇
一古銭好すけは目利の蜑の身は千尋の妻乞の頃は
O2口
八日
○六
ふけ行ははや暁のそきつきに長くもいにしへのおきの
21346
寛政第六寅二月施印