千函眞珠 第四冊
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- 六樹園等撰
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- チハコノシンジュ
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- 東北大学
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- コイノウタ
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千葉菩珠
□□□□□□□□
狩
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
いり
や
十一一一
香斎叢書三
十姓
巻
目次
文化乙亥仲夏一百四葉
庭梅花
信楽亭明次或香鶯帰丁藤占正月次
白酒
共文化乙亥
山下水
虫月
文化
小姓某
同甲
世
兄弟百首
模至文化甲戌
鶯鶯
真萩惟
文化申代
両節
甲府隼人
文化対冊
雑
兄弟百首雑
庭梅
『教材恭信郎贈会ヲ
以て購入セル節関博士
謄書
六者・便イ
歌の屋
六十七十五
鶯にねくらをはやくしめさせて夜あかきさすな庭の梅よら
八十十
松月窓長文
わか宿の庭のうめかゝひるのみによるもさはるも袖に匂へる
文明亭玉盛
六八十三七
はゝき目の。波間に梅の花筏匂ひは風になかれ次第か
六経同
九十七七
足跡に花もまかへは庭の庭の面の犬くゝりからかよふ妻かく
一名谷風月楼竹守
六十十七
春風にわきへそれたる梅かゝを袖もてとむか庭の鞠垣
玉光今古正
七十三一九
あよみつる神の庭とて飛〳〵にしらぬ火ともす梅の初花
五七十八
玉盛
鶯はいつ宿れをうち鹿やつつかけに来てとまる梅かゝ
五一十五八
五一十五八山形阿古屋松年
鶯のとまりはこゝとしるしとて庭にさけたる梅の花かさ
之谷
七十七五
震楽亭家住
梅かゝにねふりはさめて庭にさくはなにこよりを通すだんさく
五七七十一
仝
乞ふ人に咲かしのうそを春風るほかへもらせる庭の梅よく
八七八五
楽々亭亀住
仕合と庭に梅ある宿とりて。まつ匂ひをもとむる袖日記
五七六十
ヲコセ
丸念都記定
つくしをもゑかく屏風のこなるへと花こしてくる庭の梅よし
六七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七
深谷
万寿楼喜麻呂
たれかとく手折りしつみを鹿守のおのれかかふる梅の花笠
申上
秋夜亭露時雨
七十五五
春風の忍ひ路なれやつい葉のへれ間をくゝる庭の梅より
同挟夜庵下照
一同五七七七七七七
青柳の枝を雨戸にしめこみてそれからはひる庭の梅かく
一同五七一十二
不尽幸員俊
一不足なく着かさる袖にうめかゝをとめる家雁の庭のうらき
七六六七
一
凧ならは軒の糸ゆふゆひつけてたくりよせたき庭の梅かゝ
千桶楼水垣
六七五七
飛石のうすくらき夜も白妙に花もめにたつ庭のうめかえ
五八六七
耕文堂有家
さく梅に火をともさせて灯篭にかさすつほみは丁子かしらる
七十三一五
亀住
春の夜のやみともわかぬ黒ぬりの枕にかよふ庭のうめかく
中葉改
二し
一同三五六十二
寿保亭堅一
庭の面の親骨なれや地紙定へうめかかなめの匂ひすきこむ
六十五五
多カサキ松花堂
へれ壁に火ともす花はふみこのむむかしの人に庭の梅か枝。
七七六五
大酒館妨
歌よみて庭にさけたるたんさくの雲間にほしとみなす梅かん・
五六七七
松寿庵年益
鶯もあしをとめ木や外面まて匂ひこほるゝ庭のうめかへ
ハ六六五
梅風軒折て
よし文をまなはん雪はきゆるとも窓に火ともす庭の梅かへ
六七七五
ウツクニヤ
東竹林真虎
泉水の底にうつりてわか袖もふかて匂ひはつき山のうめ
七五五八
林秀亭年積
のそきたる庭に夜分のていみせて火をともしたる梅かからくり
大
宝市亭升成
五十一九
一出し鼻の油こほれて庭の梅の匂ひや袖にしみけん
ヲコセ
弥券館吾勇
七六九七
花の香をたつねてゆけは幸ひと梅にしるしの庭のしをり戸
五十八一
双松庵二升
こゝをみてとなりの庭へこゆるきのいそけはついてまはる梅かく
三七七七七七七七七
占正
長居にもよるのとのこの梅見客火をともしたる庭の灯篭
哥のへ
六六五七
さく梅にはひりの鷹の志をり戸を打よくひらう風はたのもし
五八五五五小小クモノモト
五八五五
つはくらはまた来ぬ内に春風の定からはこふ庭のうめかく
白雲林堂虎雄
五十一七
源氏岩あけてのそけは大将の名よりもかほる梅の下風
くかへ
五七六五
千草延草
春をしる梅の暦の中庭に花のひらくも実のなりあり
五五八五
五五八五〃〃
庭の花初ものなりと備へも風にもたせておくるうめかく
七十五一〃吾妻名丸
庭の面のうめの下風味うて舌打したる氷の風鈴
ニハ五ヒ
雀眠今松高
袖垣につゝみあまりて庭の梅軒のつまにもとまる花の香
ハ一七七
両香庵如橘
口に柿枝けさはみかきに又一味くはへて匂ふ庭のうめかゝ
五八七三
和歌枝降
暮さの宿はこれそと梅守かしるしにあくる庭のしをり戸
七五六五
三五屋敷住
宿引をみやう三まねにうめかゝも袂にとまるはたこやの庭一
大
玉ハハ一
豊年舎出来秋
手みやけをもらひし客のふくさにもうつりにつゝむへの梅よく
▽ハ二ハ
カヤ喜ナ目
朝夕に火ともす軒のうめかゝにあふらしみたる庭守か袖
三七八五
花の屋道時
春風のうはきらしくもみゆる哉庭の口よりさそふ梅かし
五六七五
花園亭麟馬
待合のかねもうたぬに庭よりもかこひの内へとほるうめかゝ
一七五十
月花岡
春の夜の月も霞の中庭におほろけ匂ふ梅の花笠
九一八五
便春亨仮成
猫はまた直せぬころも鶯か呼出しにくる庭のうめかし
三十五五
便歌堂夢輔
ふしぬけのあないは風かつれ立ていりくる庭の袂よかつゝ声
一
一七
嶋照庵風消雪
鼻をおほふ人はあらしな梅かほる養ひたちの宮の庭には
六十五一
小ハタ湿人
鶯の歌まてそへてさほ姫にもらうたやうな庭の梅ゝえ
六六一九
源氏楼春影
広守の妻は枝にもふりつけて人形独にとむるうめかゝ
六一五十
立伏見
霞江亭年稚
たゝすみてみれは庭から緑さきへこしかけてくる梅の下風
六一七八
秋雨亭笠人
灯篭に火ともす花も庭つたひ匂ひを風にけさぬ梅かゝ
五六六五
有竹千枚成
春の夜のなかめはたくひしら梅の香にくもりたる庭の月影
六一七八
霞楽亭花鳥
客人へまつ一枝をもてなしにしをり戸よりやひらく梅かゝ
}
・
七日
ハ六一七
狂蝶子文丸
枕ぬすむ梅にも直の名やたらん袖に墨つく庭の黒塀
五五五七
琴通今
庭もせに匂ひみちたる鉢うゑもさしきへあくる風の梅かく
三十一八
皎月庵梅房
はつさんと手を出す軒は袖凧の袖から袖へうつすうめかゝ
松下亭古道
一七七七
鶯のきなかは声もまろからん玉つくりなる庭のうめかへ
五五九七
春臨亭柳馬
鑓の名をえたりかゝこと風の手につき出したる庭の梅かく
六一一十三
霞光亭星丸
小夜中もはかるや春の水時計もりて窓こす庭のうめかゝ
本第一官明来庵亀丸
十五一九
風の手につかみ出すともつきぬ香はいかほとこめし家庭の梅
一一
仙タイ。
三五一十二
但タイ千御九人
梅暦ひらけは空に方角をかきし輪とみる枝のくものす
一十五五
水声舎鴫立
風の手かもて行香をはをしみてや袖にとめたる梅のこと守
五一五十
琴通舎
いたつらな風かさそうて行ますと袖にかつける庭のうつから
〆一一十
狂語関江戸様
応守かみきにかふせし摺鉢の冨士にもつもる守の白梅
六十一二
年積
一縁さきの障子ひらけは思うたるつほにかほりし梅の下風
三十五一
之方へ
一丈隼尺守
風に音をひろめにけりな庭等の跡をつきほの梅の一株
一一七・十一
十二月庵
一難波津のうめの実はへの花咲てゆひきりにけり庭の中垣
五十二五三追加石虫魚楼蛤
一庭の梅の枝にかゝりしきれ凧の袖も匂ふうめかゝ
三十五五
福隣堂
雪打のそのゝちすも庭に出て袖と袖とにとむるうめかく
六樹園
かきつけて梅こそあれと垣のとにたゝすむ人そ星をさしたる
芍薬亭
うつしうゑしそのく南は東より空のしらむも早咲の梅
便々館
千林亭
枝ふりも出すみ入すみ軒先にかやおひかゝる梅の下風
花
六十五七
三省亭笠王
駕を出てあゆめと花の下枝にあたまつかへる志賀の山越
山力夕
五十五七十
千乗庵真弓
折枝をかさしゝ。妹か三日月のまゆをかくしく志の白雲
十七六十二
仙タイ
白雲洞登雄
花の山矢立の筆もたんさくにみところやすむ哥のすみ一のき
七八六十五
三州白水五し道秀
たをやめも折りてかさしにさす花の雲にかくるゝ月形のくし
六十五六八
怪人
咲くもるさくらの中に青そらのひと木の松ば花の雲きれ
ハ七八十
さくら木はをかなとるなとはつ瀬山はけしかりける花守か声
八八七十
クマカへ
竹守
木のもとに一夜ふさんの夢見草雪ゝとなかてふ花のおもかけ
六十八八
鶏明楼赤月
木のもとを立うこくへきそらもなしなかむか花のゐすわりの雲
十一千十
田窪のや皆丸
詩や歌は人によませてわれはたゝ風をくにする花の山もり
五五十三八
五五十三八江戸根
すみた川花のみゆきをはかるかな棹さの舟にしやくをとる酒
五十七ハ
タテ林
不直藻
花便りまちわひし宿のうたゝねに風を気つかふつまもやさしき
三十五五七
知新亭古道
飛鳥山なくるかはらけ舞ひはりおちても花の雲にいるなり
八八八五
年益
杣か子のつむりなてゝももらはなんしら雲とみし花の一枝
十二八一七
家住
もろこしのよしのゝ川に花の音をむかふへわたす更の尾さくら
七
三十五十
水垣
恒し
山のかひひろひてゆけはあしもとへしら浪よする花の真さかり
小ハ多湿人
十ケ五七
直せさる身もかはらしといのりなん花の初瀬のあすの日和を
五十二一十
真虎
花守かるすをみかけて枝をれはたくてしかる山彦の声
三十三五七
吾勇
いさみなはちりもやせんと三昧綿もしのひ釣なる花の木の下
五十八五
乙月庵真丸
白妙の花にうかれてかへるさもやはり雪かとおもふよしの路
七七六八
星丸
命ほとの道さへとちて此山のこしをめくれる東のしら雲
五十五七
クリハシ
衣手筒留
かさらんと一枝手をれはちる花を蛙もかつて春の池の雨
五七八七
キリレ川
東毛金直業
をしむとはしりつゝ枝を無心体いふてみなせの花守か宿
一同五十五七
仙夕丁
千柳亭
さく花の雪の山路にのみほしてよこにねてある竹の吸筒
五七七八
尾上松高
山さくら貴妃や小町のもとにねたぬれきぬきたる花の下寄
ハ七五七
カナ川
酔墨園
山茶屋てふるまふ磯も居所のくほむ善間のさくら見の客
七七五七
東川亭為清
友たちのあつまる花の初雪に鳥の足跡つくるたんさく
六八五七
サン
伝受楼七守
遠目にはなみこゆるともみゆるなり東のさかりの末の松山
ハハ五五
雨風をたちものにして花七日こもりてやみん小打瀬の山
同六七八九
浜辺庵朝風
すみだつ花もさかりとなりひらや遠くもさぬるさくらかり人
七十三一五
湿人
駒ならはしやちるらん大原山さくらにつなく牛の角樽
三八八七
文麿
夢見草もろこし人にほこれとや花たかうさく富士の大嶽
十二六七一
土六七一摺栗堂
葛よりもよしのゝ歯のたんさくは風にうらみのうらをみせたり
六八六五
松亭茂春
まはり道まはつてはやく遠さかれ花にいらさる風車うり
氏ハ一十
一社三郎庄屋
さくら花山一面にふさかりて杣もこられぬやうにさきけり
一六六十二
下照
かねのねもさくらにうへる小初瀬はそらにしられぬ花の大雪は
ウツノミヤ
五六七七
ま更真〆
あらしより外にさしあふものそなき相手きらはぬ東の酒もり
笠人
五一六七
さく花の雲のうへのは右ひたり歌仙さくらの三十六坊
八七五五
干柳亭
さきそむか花の雪にやこゝえけんわらひも手をは岩にして
数類
五七六七
いさみつゝ花見小袖をはしをりけりつまあかりなるみよしのゝ山
十七一七
壷芳亭春道
さくら花はなかみ迄も哥人の墨染にする深草の野辺
南極亭松久
七一十七
ちらせに又見にこよの山条やか手ことにをれる花の家つと
珍生庵四方咲
六八六五
さうちしてちともちりけはえさかにほこり顔なる歯の庭守
し
水
七七五五
二喜
うたかひの辺にも松を走りにけりけふり振ふ志のかけ茶屋
六六五七
亀住
猶見にとさそふ手紙はひらけとも封し出きたくおもふ春風
五十一ハ
年積
もろこしのよしのゝさくら咲出て人のくになる花の夜あらし
同八六五
田原見鶴
香をぬすむ風には名をもつけやうて梢によへる花のしら浪
一同三七五九
仲戸丁
千緑亭松友
白雪のつもりしさまとみる花の枝たわませてむすふたんさく
七五七五
摺楽堂
田楽のうちはの風もいとふそと花故せわもへき過にけり
五七五七五七五七
数類
咲たわむ花の鳥見の賑はふて足跡のつて茶屋のぬり縁
八八一七
驢馬周盛砂
家つとにしてくれよとて花専か社こさにくれし西行さくら
松花堂
六八五五
うはさくらさきしさかりは足からの山めくりしてのほる見物
五八六五
油活消
いにしへの跡をし習ふ筆さくらてもうつくしき花の王義元
七十一五
金英周
花の名の塩かまさくらその影てけふり立らん春の山茶屋
五八五五
文麿
すみたつ砂こしの酒くませけり盆後に似たる花のしら流
七一八七
朝寐種成
酒のみて是そ栄花の夢見草さめるな〳〵袖の花の香
七十五一
加橋
雪ことのみ哥によめはやたんさくもとけてなりて花の山川
ト
七一八七
千英堂
一かはらけをなくる山路も咲みちて内くもりかと云る花の顔し
五八五五
長文
見て過か人はなかりし昼坂の花やまことの春の関もり
五一十七
源吾梅鮒左
人の哥ぬすみてよめはたんさくになはかけましな花の白波
六一八八
高砂五丁松成
さくずをなかめて旅を志賀の山是にこしたるたのしみそなき
六六六六六六六
出方台行也
たんさくの筏に気のさをさして心にうかむ花のさゝなみ
五一十七
仮玉堂照明
もてきぬる酒はつきてもよしの山さかりの花にあきたるはなし
七六五五
月光成
此方は大将軍かとこまても咲ふさかりしみよしのゝ花
}
七ハ一六
クリハシ玉清丸
さくらを王てふ文字に朝露の一てんよりも王とあさむく
三八六五
高根改
一上小ハ夕鳥竹亭町声
よしの山木から木へはるかすみ迄本のちそうの幕かとそみる
ウツノミヤ
六ハ一七
紫真亀
神山の神はならねと吸筒のへそをおさへる花の夕立
五六一十
染の屋勝見
雲守ことみちまよはせて人の目をうはふ桜の花のしら浪
六一五八
飛鳥のあすかの山の花の雪あしめとみゆる花のたんさく
五七五五
家住
枝にくるこてふは親と思ふらんつゆをふくめるうはさくら東
八一五八
蝶生楼百欠
いましめをいひほとくへきよみ哥の一句も出ぬ花の生ん
六一七八
名左
飛鳥山まくら詞も心せよ花に羽風もいとふ此ころ
七一六八
千路堂
吸筒の酒はあきても雨すわれは尻のおもたき花の生酔
八一六七
一梅梅庵外楼
をりとりし花あまへやつけたらん手くせのわるきたんさくの大字
七一七七
壷緑庵松盛
さくらかりこゝにもみくみかしこにもよく見よ花のたら色かを
五一八八
尾呂歌
心あらは花の辺にも足跡のつく事する時三井の入相
六七八一
粟露三歩一
春雨は花のためにはちゝふ山はゝとおもふは風はかりなり
一七五九
常門陰於茂高
一枚もをるなとたてし制札はさかりの花の雪かきと見ん
}
三六六七
同九州同
花の露にぬれはや木曽の麻きぬをまくり手にして手折一枝
五一八八
風流雪
たまさかに松をみつけてよしの山志につかれし目をやすません
ハハ五一
カナリ
異同
かけうつる小町たくらの花の枝さそふ水にもいなんとそ思ふ
六十三一一
喜久耳三路
鎗も太刀もをさまれる世の花さかりまた目のさやをはへしてやみん
五十五一
梅々園花丸
風の手をひろけな花のさかりには心の駒もはなしかひなり
五一十三一
周左堂本炭
生酔の家つとにせしさくら花もとりてみれは一りんもなし
郡内
ハ一一十
金英周
世の中はちりも家路もとすれつゝ花にしひれをきらす下ふし
一一七十
一三郎の屋
よしの川そつれる花の辺にさへ下をれてこしく竹の筏士
七一十一
丸岩都喜守
三郎よみて花盗人のいひわけもそれはみあけた花のたんさく
七一一七、
怪人
すみた川花の雪酔とおとろきてみれは浅瀬へのほる白貞
三十七一
右正
もし駒か出なは花のちるらんときをつけてつくへうたんの酒
三十五一
松花堂
すくもり碓氷坂から見わたせはさくらさしは山谷まゝの山
六一十一
あつき
よしの川水かさまさぬともろ人の足をとめたる東の真さかり
六一十一
寿真霞
ふるまふて一枝をらん花守かいかる心の鬼ころし酒
残雪
芍鈍亀六
十八両八千七十八両
十八十四八
すみたつ霞の網の目をもれてきしにけのこか雪の白魚
田川又武蔵野広人
十二六十六
去年もはやむかしとなりぬ石すりののこりじ雪の水菜の岡
一塵外梅
十二五六八
おきたてゝあかりとせしに此頃ははやきへかゝる春のあるゝ雪は
一鵜川原千代有徳
毛ハ五ハ
ねし竹もおきてのひする春の日に夢ほとのこる去年の白雪
六五八八
クハナ
万顆桜倉積
畳なる近江表共半くれはへりのみへたるひらの根の雪
不尽亭貞俊
十三六三五
あとつけて春やきにけんむらきへの雪に目にたつ庭の森庵
五十二一八
豊年令出来秋
二子山わらへる口にあましたるちゝほと雪ののこかふところ
八五七七
平柳亭
去年の辺達磨つくりし片岡に沓のあとほとのこる白雪
同十五六五
一伊勢キ松花堂
春風の手はことゝけとも日のあしのとゝかてのこる筈陰の雪
七七五七
琴松堂冬住
かきのしとみねのさわらひ生ふる頃わさとはかりにのこか白雪
十五五五
六韜国裏成
ふむ事をいとひし昼も行年の足あとほとににくゝのこれり
八五九三
青峨坊琴彦
月の輪かそれかあらぬか北山のそのくま〳〵にのこる白雪
七六三九
㐧叟花廬双袂
去年ふりし時に料理し鴨立かけのこりてある庭のしらせ
下総〃五升雀翁
ハ五六五
こゝろ見る連歌の窓もひらくらん雪ものこりてうら白の山
スクシヤ六三歩周
一十五八
おほろなる月にも水となりぬらん雪の鬼のやせてのこるは
六五五八
玉明カ夕千載園菊守
足跡をつけなといひし雪も今手のひらほとにのこる春の日
甲斐市川甲江直に
七五六五
ぬは玉の黒髪山のいたゝきにけのこる雪を帽子とや見ん
五五十三
名古川済世堂済世
青柳の糸にとちてはまりほとにけのこる雪も中垣のうち
一同六六六六五
芦原雄風
白魚をとる火の外に隅田川原二ちよほ三ちよほきへのこる雪
一五六十
キウレ川東毛舎直紫
つくりおきし達磨もよこに祐はん会の頃迄のこる去年の白雪
六五五六
双松橋二喜
むねの火にとけやしつらん直桶のひたひはかりにのこる白雪
一五十四
夕カサキ蚫定岡
さほ姫のわらひ花する山のはのゑくほにのこる辺のむらまへ
一五十六
語静室竹満
われも箭ににてたうへなん木曽山にのこれる雪はをはり神物
一七八六
仲葉改
。寿保亭堅人
いにし年ひしりのうゑしかた囲とにきりめしほとのこる白雪
十一五一
十一五一摺楽堂
雪をもてつくれる富士は春南たつた一夜にこれはとけたり
鶯
十五八十五八
杜蝶子文麿
かしましに霰ふかにし軒にけさ玉をころかす鶯のこゑ
十十十八
一つかひきく鶯の歌合初音の耳もたまされり
一尾一ノ官明来堂亀左
十五十五六
鶯は梅につけたるたんさくのまか間に月日ほしとこそなけ
イカホ一樹園
十六十三七
けさ春となりひら竹に鶯の詞たらすの歌のよみそめ
八五十六
宝市亭升成
さく梅のうつりかよりも袖日記にとめてやおかん鶯のうた
七ハ七六
丹波守へ風月桜竹守
天地をうこかす哥や月日星ゆりたてゝなく鶯のこゑ
琴彦
七八八五
鬼神のこもなる山のさむさをもけさ屋はらくる鶯のうた
怪我怪怪
十五七六
哥よみと名にたつれのふかやふにみつねのそろふ鶯の声
十五六六
同冬十一図窓
こしをれはきらふものそとおのか身をそりて歌よむ春の鶯
ムハハ三
八八八三積々国折竹
月日星いたゝく。旅の暮はかこにものらて春の朝たち
七八六五五尾、桃原亭
柚原亭
鶯のねのこのもちひつき日星みつをひとつになしてなくなり
十五三八
十五三八東夷庵
花見酒もちの名によふ暮は宗旨ちかひの法花経となく
多芋
十五十一
泉源楼寿女
春くれはなく鶯のやまと歌に人の心もやはらきにけり
十五五六
広人
梅の花笑うてつらき風はあれとないてうれしき宿の鶯
五七八六
升成
さく梅にまたたんさくをつけぬうち哥よむ鳥の声そ匂へる
一助馬周盛砂
一十五三八
物音にかうへめくらす鶯は一句あまれる歌やよむらん
五五十五
行脚する義よみ鳥を支かきに見おくる影や梅の花笠
一尾、類泉堂真証
八五五七
鶯の啼勝手よくかふせてはひもなかくする梅の花かさ
一多シ六顆周香和義
七六七五
去年の雪にたわみし竹の藪にきてはねをのしたる筈の鶯
怪我怪我
七五八五
花笠をぬふてふ梅に哥口をほころはしたる鶯のこゑ
七五六六
辰太山三五屋影住
あけてけさ一円相の初日かけれとさとりて来なく鶯
六五八五
真証
うり人は都そたちとあたひ迄よきねきかせしかもの学
六五七六
○光明館秀庄
さほ姫のばさみの鈴や落ぬらん庭にころかす鶯のこゑ
六七五六
壁外楼
梅かえに鶯のきてはむ蜘のすをかくさまに笠やぬふらん
六五七五
真証
見のこしゝ子日の夢の小松よりねなからきかん篭の鶯
十五三五
常道
梅かしを羽袖にうつしうはふより匂ひとりてふ名やおひにけん
五六六六
秀丸
はしめをはりたしかならさる哥よまん宇治の山辺にすむ鴬は
ハ六六三
同氏家糟粕園文車
書たてはのとかなひなの哥仲間すりゑをくはるかこの学
五五七六
三星堂一丸
鶯の羽の茶色よきたてかけん舌打をする春の口きり
六五六六六山龍千葉庵真弓
六九六六
去年のまゝ雪にいねたるむら竹もけさはねおきし鶯の声
六五六五六五
重頼舎何頼
鶯の枝うつりするはりあひに梅の花笠ぬひやしつらん
庭瓢舎
六七一八
抱籠になるてふ竹の中よりやねよしとおもふ鶯のなく
大酒報妨
一五十三
一鶯の歌の徳にはものゝふもたけき心をなくさめてきて
一九五十一
南多楼志礼包
首の声にも簾をまきあけてみかとにちかきあけほのさうし
初午
十八八。三十七有科
十八ハ。
稲荷ふ神のまへりに衣食食住みつのともしき事もいのれり
十五八五
一風亭芦丸
初午の大鼓の音もなる神のひかる玉垣はなつまのかき
七ハ一十二
酔飛亭
初午の大鼓の音のかみなりに臍を出さぬ供御の鶏
十八五三
桜枝炭
稲になふ神をいさめの初午は大鼓も肩のはるほとにうつ
ハ七十五
郡内金英国
いなり山いささゝけてん午祭るしるしはかりの飯の杉もり
一七十八
琴台
一七十八琴彦
初午のおみきも玉のさかつきもすこんかさねてうけもちの神
六六六六六六六六八
同十九未一樹園
初午に出茶屋の酒ものみほして大鼓樽迄たゝく参詣
七五五七
犬山影住
初午の神やいさまん笛太鼓あたりに杉のはやしたつれは
玉光舎占正
十六一六
若草の土手のいなりの初午にあくる湯花も釜の下もえ
伴連成
七五五六
いなり山神にそなへし赤飯をいたゝくはとも杉のふたもと
七五五五
白雀房
もとつ枝をりてやなせる杉柳枝いなりの赤のめしにたてしは
引又売人
六七六三
一初午に千社参りて見る梅の花の江戸とそけにしられける
水加
一十五
残雪
雲声楼
一ナーム涼か残雪
春のきてにつごり笑ふその山のゑくほにすこし残る白雪
七十五六
寿真鶴
つくは山女体のかたにのこれるをわた帽子かとみねの白雪
アハ雲青梅
五六十六
春の夜はあくれとあけぬ窓の戸のふしなからきて鶯のこゑ
一同六五
紀〻
花迺屋咲足
天地はさもあらはあれきく人の心うこかす鶯のうた
十五一八
四国猿人
行列てあるて礼者も聞ほれん新端にかこをつらす尊
六五六七
人
行日星あきらかになく鶯のこゑにくもりもなくてのと花
八一六七
笑止千万
一難波津の春へは梅にきた浜の早音をたへるけさの鶯
六五五六
梅洞庵三壷
梅かへをなかめいりては鶯しも見横体の歌やよむらん
七五七八初午
初午
三筋糸彦
打つれて参る女中の帯迄も大鼓むすひの初午まつり
一十一は
冬住
午祭り日の出いなりものこさしと千社参りの老ふ烏森
六
芍薬亭
春の野の色になつむかまた水にかへりもへらてのこる白辺
一同断々亭
初干にまゐるをとめはあけつまの額裏もよき袖すり稲荷
亀玉堂
一豊年をいのかまつりのはたことになんたんとなくうけもちの神
六樹園
棚らかともしはせねとかさりたる大行灯は神午の骨
帰雁
千桶楼水垣
十二六六十三
水餅の水かふるころ中空に雁もそなへをくへしてそゆく
クハナ松〻亭千枝丸
十五一十一
故郷にうつひな鳥もありとてや節句より前にかへるかりかね
十十七八
ウツノミヤ
東竹林真虎
岩の色やするらん萩に来てすみれにかへる雁の羽袖は
十二六七八
殿内
美図
かはかりの花を見すてゝ立かへる心のよめぬ雁の玉つさ
十二十三六
朽楽堂
自代に水はかくれとつれなしや雁はかへるのつらもなさす
八六十五
丸丹図
立かへる置みやけかやかたゝにもふみのこしおう雁のあし跡
クハナ
十七六五
クハナ倉積
足跡に又くる秋のしるしかや紅葉ゑかきてかへる雁かね
六十二七三
タカサキ
洗心亭影法師
辺は三那水にかへしてその跡もまたふる郷へいそく雁かね
七五八八
アヒゾ
糸彦
するにぬれてもみの封しめははなれ〳〵にならてゆく雁
六径図
十七五五
越後砂子出てまふころそか国へ身かろてかへる春の雁かね
桂樹園
十二五六三
風の手にむすひとむれと青柳のわになりてゆて雁の旅立
八七五六
そめつくす霞の衣はるさめのふるてかへしにかへる雁かね
十九六五大山影住
十九六五
あしてかき巻絵のことき青山に文字なしてゆく雁の一行
〆三五
松寿庵年益
朝またき四つ手かこにも声そへて早かへりする雁の一つら
一樹園
八五七六
見あくれはそらも柿の月笠にしるしてかへる雁かねの歳
八五六七
蔦蔓道
たんさくの雲間をみれは二くたりならびてかへる雁かねの文字
六八五六
大鳥鳥島女
梅かゝをしたゝかとめてかべるるし羽袖おもけに云ゆる雁かね
一ハハハ
盛砂
菊苗に秋をちまりて北辰のほしをめあてにかへる雁かね
十七五三
伊豆於成
一省はまたけはたゝしと故郷へしるしの棹をかへす雁かね
十五三七
クハナ
六百六百七十九
そら高み霞のあみの目をぬけてかへれる雁そちさくみへぬる
十六三七
上小小少被下湿人
かつらきの峯をこへ行雁かねのつらもみにくき梶野のかけ
ハ五ハ三
紫竹堂白
かへる雁霞の中にちらつくは天津をとめの裾もやうかも
七七七七
兼酒亭蔵人
秋のころ目あての月の都をも跡にみなしてかへる雁かね
仝
七七三六
野あそひにはくれしつれをみかへれは一むれさきへかへる雁かね
六ハ三六
升成
青目にはかすみの袖を引はれととまらてかへる天門雁かね
樽柏子船丸
七五十六
節分より七十五日はつ花に命のはしてかへるかりかね
芦丸
七五五六
すたの花跡に見那してさんや舟北国さしてかへる雁かね
矢竹守
一七七八
秋のしこよへいそく雁かねは北にうつりてきこくとそなる
一七七八
多ナ南涌堂開住
つれて来し草もそたちぬと此回のちはなれをする春の一かぬ
甲フ井一常水
五五七六
千金の春を見すてゝゆく雁とうしろゆひさす人の多さよ
七五九五
草の屋賤丸
ひきわたす霞のいとに行雁のちをならへたるから琴の浦
一九十三三
白
拂夜に天つみそらを行雁はさてよめかぬる玉つさの文字
之ミカへ
一五十六
竹
すまのうら雁も故郷へ行恐と雲の衣をかたみにやこん
一五六十
百香度如橘
制札を花にそろ〳〵たつる頃をられぬとてやかへる雁かね
一六十一
竹帖
見すてると人なおもひそさて花の音をはこしちへおふてゆくみ
十一一一
連成
明方のほしのたへ間にみわたせはそらにまへつゝかへる雁けぬ
藤
九
十三八六七
タカサキ
集雀亭茂葉
つるをもてつなて筏とみし棚もなかれ出さうな花の藤浪
ハハハハ
妨
一から崎をうつしゝ庭の松かへにさゝ浪みする藤の花ふさ
十七七七七七七七七
松花堂
すもはや杉の木夏をまつの木とふたきにからむ藤の東房
ハハハ五
林秀亭年積
池の面をふさくなりに左よりみきはへかけてさける藤浪
在版之癖
八七五八
顔あらふ井戸のかたへにさう藤はあけのねふけをうはふ紫
仙フ千柳亭
十五六七
雨風を頭痛にやみて立よれはひたひをたゝく藤の花ふさ
大坂船松
七七五八
つゝらにもならぬさきより春夏をいつかにしたる煮の花ふさ
ハハ五六
楓樹園赤貫
床の間のつり白生の舟さへもかたふかせたる藤のしら浪
六六十五
琴彦
春の日もけふへたけくまや夏山の松のふたきにかゝる藤なみ
郡内金英図
一五十五五
袖しほかせわもなきこそめてたけれ藤の浪こす末の松山
深森館高住
十八一七
池の面の鯉をのほせて立てしかなさかりし藤の花の浪間に
琴彦
八五八五
一春はけふ末の松山藤浪の夏へこえたる花のみことさ
七五五八
菊守
一おもかけを夏へうつすら藤の花かゝみか池をのそいてそさく
七六五七
タカサキ
足袋屋裏人
春夏の峠をかけてさく藤はのほるつるあり下る花あり
萩原宝有金槌丸
一八八八
牛の鼻はいまたさなくて耳あらふ滝のやうなる白藤の花
郡内金英園
七五七五七五七五
たけくまの松の梢に春夏のふたきをまたく藤の花ふさ
水垣
六七三八
一池の面にかゝりし藤の棚はしや春から殿のわたりそめせん
笹林堂糸織
七七五五
さほひめの旅路の供か春夏と両かけにさしく藤の花ふさ
八八三五
摺楽堂
づの雨はかりか本のさきたれてやかて夏へもとて藤浪
重業
ハ五土五
春夏のあひ花とやみんむらさきの藤はもやうの衣手の森
摺楽堂
八六五三
もみちにはつれなき松もさく藤のはなにまかせし枝もそらし
白酒
出来秋
十二十二十二十二十二十二十二十二丁
盃のまきゑの不二に白酒をくめはのこりてかゝるむら雲
十三七十五千青々周月吉
一クハ十清々周月吉
十三七十五
時しらぬ山をゑかききし盃へちるほとうけん雪のしろ酒
七五十六
茂葉
ひて臼のうたのてうしもたかねなる雪をあさむくふしの白酒
文麻呂
十五五三五
薬にもなるてふ牛の乳に似し白酒ひさて桃の下かけ
十六七五
西山堂常雪
これも又あたまへのほるをかしさに高笑ひするふしの白酒
七六七六七六七六
タサキ
周左堂本炭
ひきほせしまきゑのふしの盃へまたらにのこる白酒の雪
七五七五石川雄風
雄風
七五七五七五
樽へさすもゝとさくらのその上をこして色よく匂ふ白酒
占正
八五六五
ひいとろをさかさにしたる姿にてあひるほとのむひなの白酒
同八五六五
□川又
品々五十吉利
石臼に煤かひき出す白酒をしたのまはらぬほとものみたき
八五七三
狂語園江都振
一天花にゑふ頃はまた白酒にもゝ色となるたをや女の顔
七五五六
裏人
みつうみの水をとりてやつくりけん一夜に出来るふしの白酒
摺朱堂
一五十四三
一白酒をこほす雫の毛せんにかつちるもゝのいろをあらそふ
五五八五
小松春彦
酔てゐる内こそさしも花ならめ面白酒やよしの山川
六五七五
花園亭麟馬
白酒をのむをとめこのもゝ色になれはしたいに酔ひも三千年
酔経園読武
六七八五連が帰雁中川酔経閣院武
花のそのにしきはすてゝ故郷へ霞のきぬをまとひ行雁
八五五五松津田岩頂国長房
同池田岩頂国長房
八五五五
うす黒のかすみこめたる中そらに雁のつら〳〵よめぬ玉つて
仝
藤
のむ酒に舌をならせは風の手にあたまをたゝく藤の花房
五七八五
横笛頼丈
一かけはしになるへき木曽の藤浪は春から夏へわたりてそさく
十七一七
酔墨周
卯花の雪見のころに咲出てつらゝにまかふ庭の白藤
七七六三
心耳鬼和丸
紐のことさかれる藤の花房をたれもきてみん笠松の下
六五五六
六五五六池国頼丈
いかにして九合はとても及はしな雪ともみゆるふしの白酒
八五一ハ
高サキ
元日岩
硝子をこほせはひなの棚迄も水うみにする富士の自酒
○
芍薬亭
うへりぬる蔭さへ風になひき藻の根すりの色の藤の花房
鈍々亭
家つとにしほやくあまかもとり御も浪をくみこむ田子の浦藤
亀玉堂
いとゆふと柳の袋をよりませてひきとめはやな春の雁かね
六樹園
一下戸さへも菓子をはおきつ白浪の名にやたつたの山川の酒
卯花
同十二七八
一真澄
卯花の雪はさなくて垣くゝる犬に身ふるひさせし下露
ハ八十四乙
二喜
卯国は隣の垣の国さよひ月のさらしな雪のみこしむ
千五八七
同常道
一文をよむためにもならす月雪の両あよりなる窓の卯春
十三八七七
御くら木の色はきへにし下かけに第宣へもる庭の卯花
十七十七
出来秋
あたらしくけさ咲そめて袖垣に風の手あかもつかぬ卯の花
十十五八
松花堂
歳は雪卯木の文字は柳とて風にたはめと枝折はなし
十六八七
江都様
大原女の髪ゆふ岩にたはねても秋くせのつきし垣の卯な
楽聖庵
十十六五
”雨あかり露けき庭は卯花のうこかぬ浪にちらすしら玉
六チ順風亭積業
十七六七
あけのこか月のみふねに白浪のよするとみゆるきしの却亦
文庵
十五五十
一指さして親色もめてさせ給ふらんそらにしられぬ卯花の宣
田唐玉盛
一十三七
一氷室にはいまた日数もふた月か貢になさん卯花の雪
キフ三郎笑
十八六五
枝かはす若葉を下に咲ふせて水底青き卯花の浪
十七五七
独楽堂
竹垣の竹にはねたる一枝はわた細工かとおもふ卯花
七六十五
一百二月飲千潰
一銭士も棹をとゝめてなかめなんくたすはをしき峯の外国
八五五十
雲多楼
つめたくも寒くもなくて旅人の足をとめたる卯花の雪
十八五九
尾ヽ一ノミヤ
鼾高成
一白布とみゆる川辺の卯花は臼にもいれす月の夜さらし
六五八八
十月吉
さきたちし卯木の花の白波に網のさまなすさゝかにのいと
十七五五
高サキ
玉川舎持成
桃さくらすのもやうもたつくりやそめぬ下地をさらす外東
一柳雫堂湿人
五八九五
築山を不二となりめん時しらぬ雪のふせいや庭の卯花
貞俊
十五七五
やみの夜にあかるき道ををしへ草文よひ窓の辺の卯花
フクシモ六三歩岡
十七五五
魚鳥のゑぼしも沓も不自由なき庭の卯木の辺の山国
山力多三番伸へ長文
斗六五五四カ多三番伸へ長文
つきあけし米とみなせの川つらやかしきて白き卯花の枝
精力ヲ有種
七六六六
思はつも藪おし分て見る人か竹をたくめし卯の花の雪
読武
ハ五五七
あけ六つの花とみたるもくれ六つの月とかはなる垣の卯花
瓢箪周
七五六七
一猿はしのうへにのそめは谷川のきしに咲出し月の卯花
正六一五甲フ衣紋痺
同衣紋亭
十三六一五
鮎よりも汲てやめてん影ひたす卯花漬の玉川の水
升成
一八九七
一庭の面のかきねの竹もたるむほと花のうつきの立そつもなる
六一十七
白川
暁庵
暁
辺と見てもしとけんかと卯花を糸もてつなて蜘そやさしき
七十五五
一同高崎高橋
月影もすむ玉川の里なれや賤か垣根にさらす卯刻
五五五五
五五五五八瓦、西桜住方
人の外に月のかけかと烏迄めをさますやうなよるの外ず
六五九三
稀々丸太夫
卯の花の雪の垣根に心将て跡をつけたる大めかよひち
十五三五
十五三五十六二リ両
烏よりうかれて鶴のなき出すは窓からしらむ卯花月夜
一六八八
一六八八広外楼
さつきなるせちの支度の干鮫をもうる頃にみる卯花の雪
一五十七
一五十七蔵人
つくりなは達摩にならん枝ふりどめをつけてみる御花の雪
六五五六
テ衣紋亭
白妙のわたにも庭の袖垣や健さきほとにさける卯花
二六一、大和丸丹園
一七六一八大和丸丹園
夕くれに出しかうもりを卯花の月にうかるゝ烏かとみつ
直業
一五九七
さしかにのいともてぬひし袖垣にほころひみゆる卯花のわた
七一六ハ
蔵人
新麦のうとんのこなや伊勢路なるしろこにさける垣の外花
十五一五
白川白坂
六逸国竹盛
一卯花のさけるまかきを白涙とみてやこてふも千鳥にそ飛ふ
筍
八七十三七七直業
八七十二七
春過てやふ暮の跡にまたねをはりあけてそたつ竹の子
智楽堂
十七十六
学の歌の聞えし薮に又ふしやはらかにのひる竹のこ
六五十十
久米岡住
鶯とおなし藪よりおひしとて市にねを出すかこの竹のて
占正
七七九八
釈尊のうまるゝ頃は竹のこも垣のよこ腹やふりてそ出る
五六六八
養老舎玉人
さなからに鬼の角ほとめくみつゝ夏のかしらに出る竹のこ
十五五五
十五五五五春彦
やかて又哥よみ鳥もすみぬらんその竹のこのせいのたかむら
六五六八
六五六八八龍道二列
一杖となり笠となるとて五月雨のふりもいとはすそたつ竹の子
十六三五
糸織
天地の父母のめくみもふる藪やいくへもうふ着またる竹のこ
五七六六
高サキ
深山花守
五月雨の用意をしてや笠になる皮をかふりて出る竹の子
六六六六
松梅亭魚人
田植うたうたふ頃には生出てふしあひもよくのひる竹の子
本炭
五八一八〃本炭
あへこそのゝからしもきけはわかはなを又つきぬいて出るたけのこ
一五八八
一橋馬
すゑ〳〵はみすともならん此君のかきをするして出し竹のこ
十一五五
龍池亭水汲
鬼瓦ふるきのきはの縁の下角のやうにも出るたけのこ
十一一八
貞俊
おひたては杖ともなれる竹のこについつまつきてこけしをかしさ
十一三五
十一三五桂樹園
生さきは棹にやならん船になる木の間をぬけていつる竹のこ
松魚
オク
十七十五八
フクシマ松三リ庵
かまくらの神よつをとて竹蔵の辺の下にて賞翫そする
同六七十七
玉人
から崎の松てふ魚の相手には一本木なる酒やかひてん
十五八七
桂樹園
見るは目の正月なれやめしませと門に立たる松の魚うり
七七七七七七七七七
加橋
卯花の雪つむ門に直か出来てちときのをれし杉の魚うり
五八八七
玉む
ちりはてし藤に縁ある松の魚みに紫の色をおほうて
ハ六六七
積業
たつた今したる舟の初かつをあかるそはからのり合て買ふ
六七七七
酒喜々丸
ほとゝきすなく頃まちし初かつを下剃の耳をそろへてそ買ふ
同
七五八七
六桃園
打道の水によくあふ鰹とてつくるさしみも江戸の紫
六八五六摺楽堂
初物の直をや聞けん三日月もそりかへりたる夏の夜疑
五十二一七
五十二一七吉松花堂
卯花の鳥見の客に鉢の木の松の魚をもきりてやかはや
五五八七
同五五八七柳馬
牛の角につりしかつをやむくいけんりさひて鼻を通す人々
一十五八
一十五八四十夕真弓
味ひてみぬそのさきに舌打をひとつしてかふ初かつそ哉
ハモ一ハ
ハモ一ハ怪人
金をかむこときはしりの糖には朝もひらめも歯かたゝぬなり
一十三五五
楽々亭亀住
朝市のけしきは三保の松の魚ひさくやふしと云る日本はし
六六五七
の字丸住
魚尺はとらぬものして初かつを下におく間は一寸もなし
六五五七
白川
六非周雄風
猿のすむ山家の人に見せたしなはらわたをたつ浜の夜鶏
一七七八
盛砂
小判かね出してそかゝふ初かつをこやしんたいの毒点なるへき
五五六七
瓢箪園
南風頭痛にやむか朝市にはちまきしたる鰹商人
十六一六
阿古屋松年
初かつを夜もねつにきてうる時は目のさむる直を出す大江戸
八七三五
酔墨周
名にそしかゑほしとあれはゑらわたもたゝきにさする初ものゝ魚
五五〇八
亀玉堂
牛のその角もてつれは初かつをさしみもはなを通すからし酢
西楼住方
子日千代をふる友とちきりて首野に収もころ合の小松をも引
善薬唐土よりわたらぬ常に網袋あけてとり出すわま二三は
梅学のぬふ笠あての枕辺をおほふねくらの枝の梅か香
柳青柳につたへる露は池る落てむすひし枝の輪を移つう
帰雁二三羽も霞にきえし玉章のあとをとめたき雁の一むれ
木公舎千代住
立春春立し印の夜も今朝ははやみわからぬほとかすむ山本
梅神風や伊勢路に遠き山家せてひらきて声をしる梅暦
茶莱へたてなき此世や神も仏の座つむわかなさへすくなひこなに
霞亭またき桜も花にならの里八重といふ名は露也けり
雨中色ちる事を天もおしみて梢〳〵花のしへぬふ糸か春雨
虚岑亭谷間雪人
驚明めれは直角にはち桜かゝもにほひ鳥なき枝つたふなり
尊
残尊初花と見聞かふ庭のの古枝にのこりてありし春のつゝ雪
春雪とく見れは味さらにかはらぬとしたにたまらぬはるの漁童
明雁行雁にひあん桜の雲見遣て霞のあみを引てとめたし
野丸長門等さや野へにてたはこすひふくへ心の駒付ゆるし遊はん
三五屋影住
年向立春立といへは同し今年の内庭にはや春くさく匂ふ梅か香
春月海棠の色子に置雪にやとりてはねむかやうなる瞬夜の月
花真さかりをめてゝ思はすねをうては銚子もて出る花の山茶屋
山家花山里のきまし住居も余哥目にはくもありと見ん花の白妙
藤上もなき色をしまんのさまありて山石のはなにもかける藤泥
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
鳥趾堂筆行業桑名人
梅よしや名の誓辞にはなくし我閨を取らしはせしな梅かからうた
柳目にも見す手にもとられぬ春風のすかたはかうとなひく青柳
桜さくら狩いて見つくさんよしの山栄日もかゝれ花のしく雲
野遊温石に留主居をさせてむさしのゝはらあたゝかな春の橘草
白魚しうとめのなすより媒にをしむのは子持となりしはるの白魚
酒亀丸
朋来庵
立直けさすの門にかさりししめ縄もひたりによるとくむやとそ酒
客春風になひく霞は仙人のすゝれかさまや山の口もと
一柳手さみにとらへし枝をはなちやれは隣へもとる猫柳哉
春雨てならへるゐまふれは文札にまたれそかたれそつたふ春雨のやと
雛祭内裏ひなきこしめせとてむし菓子の重にひとへの桃やそなへし
三方小路仲乗
春雨の軒の玉水玉すたれ風のかけたる青柳の糸
年玉の扇にかける梅か枝もひらきて匂ふ風の手拍子
苗代を蒔ころ文ふる初午はかねてたのみのいなり明神
登ん今の鉦のひゝきに咲毛を我もねて見む桜木の花
山専にさす盃もこゝろあてにおらはやおらん花の下枝
文字筆彦ノ
雲龍亭文字筆彦
山霞春立てひける露は帯に似て三重かくれたる山のこしも
将棊はんにも引ぬ先から横たての数にめをもる軒の青柳
社頭梅童部は北医の花にあつまりて手をあけたかる神前の梅
野谷竹さも鹿の妻にはならぬ花まても一のめにいへる春日野くはら
花さかりそと唐へも告ん花の虫の千里もかよふ常の瓦さくら
竹意庵
年内立卒すゝはきもまたせぬ先にもはれていちりも立舞けされはる風
梅
春暁に
花
へん
車旅
初日さすその山鳥の尾張にもこかね花さへ麦柳の城
志賀のうらや釣する舟を辛崎の松に霞のつなへ朝凪
髪とのみ枝はみされて青柳のたれにそひねの梅のうつり香
夕月に梅かゝちらす一刻のあたひ千円は風前のちり
杉風のしらへもたへし朧夜は我尾とひかむ梅の木のもと
さくら木に雉子の声のひゝきして花にゆりこむ明方の月
立田山あれなき春も桜木のしたもみちする花兄毛せん
とふ人に道をおしえて山寺は思はす花に七日説法
ちる梅を羽袖にとめて行雁に花なき里も花や見るらら
旅硯すみなにませて道草につくしの筆をとら二日はなし
浪又蝶園麻中雄
年目立春年の内へぬひちゝめては春立しけふも露の袖せはへ見ゆ
生姜いきほひにもえ出む白草の雪の白聾の雪の下草
初麦蓬莱の島ゑひまても橙の玉をさらくる岩か代の春
柳糸による物ならなくに貫之かこしのくすやの軒の青紙
梅梅かくを空まて風の吹上ておほろに匂ふ袖なりの月
一善艸もえ立を春のしるしと三輪の里杉裏に糸れかへるさゝかに
花谷川の水さへ顕に埋まれて花の浪間をこゆるいかたし
綿魚直雨うたゝねをちとし過して起倒る巨燵つめたき花半の青雨
ひとふとひらくわかふの巻の上下をはよみ終りてもくなぬ事の日
上巳むすゆけも真直にたゝん敷布の麻の中なる草れ葉の餅
江戸車陸奥の山はかすみてまきちらすこかね花さく棗のよし原
レ
六達亭四半法師桑名人
楼譲りあふ其御位をから人の兄と空しなには津の梅
寺院梅小町より哥よむ鳥やきて鳴んこの志さきし関寺の庭
鶯のれねへ来る鶏のこ路足もおはれぬ庭のうくひすの声の声
若草糸遊はけむりと見えて春日野し飛火の野辺に崩る善助
上己せんたくのむかし咄よ曲水になかれてそ来る桃のさりつき
蛤丁楼大貝馬伎
橋露一枚にかけてはうすき板樽を春のひは〳〵霞渡れり
一野直前たれへまはらみたる答艸のかくきと袖にあまる野遊
野茎ころひたる備前徳利のつほすみれ形の布袋のはら野也に咲
早蕨出のしと見ゆる菊のもへ出るは包し紙の杉原の野辺
藤春の日にきかりの夏の棚おろしことしも然の巻へてうれ共
十一
清二亭天真名井
鶯に御立をとられし梅か香も軒端をつたひ通ふ春雨
むすやうな花の如ほりの宮に満て影もうるめる滝庵の身
花の咲梅さくらより春雨に見はへのするは柳なりけり
は郡のさく日まてはまたす枝雲の空につほみて帰る雁かね
よくつゝる柳の糸に鶯も歌袋をや縫んとすらん
三壺
梅桐庵
楼送りこす雲重箱に花の香のうつり入たる梅守か妻
柳遠乗の馬のあふりて風に枝あけまきとなる青柳の糸
残雪寒なから葛の芽さしに風さへて山のうらみに残るしら雪
餘り青柳も風まからめは氷さへをりふし給ふ春のうけさ
帰雁帰る雁立国の山も羽衣にゆたんをするな花の三分流
橘丸
豊水亭橘丸
若草春くれと寒きにのひぬ越後地はちゝみなからも野辺の吉助
咲揃ふ花の曇りの中にさへ月星いつるうくひすの声
猫恋味をしる目さへ涙やくもならん夜昼わらぬ猫の妻こひ
花下ふしに人も荘子の夢見早胡蝶の遊ふ花の木のまと
藤上もなきゆかりの色を持なから松よりさかる藤の花婦さ
常盤真恒
客空の海鱗形なる冨士の硯に霞のあみをはるかけて引
雉子善竹のもゆる中にも子を思ふ雉子の恩のあつきやけ原
春駒春のたに尾来る駒のいきほひは地にもつかさる足毛なるらし
畦哥袋口もほとけてことのはのあらをはる田に蛙鳴なり
油断にや瀬袋にもしはし草見手ちりかし花を追て行事
四郎留瑠
梅門の戸を明松く下女か麁相ともいふにいはれぬ風の梅かゝ
雲雀鶯のなきつる野辺の夕ひはり月星ちかき空に揚れり
苗代蛙さへ子たねおかしと見ゆる也まきなおくれそしつか苗代
山花こしの山時をしつしの棹ひめもそりかへり見ん花の大雪
海辺花朝なきにやく塩かまの浦つたひ烟と見ゆる花のそいさかり
千葉秀景
千葉庵
葵飛通ふ形や尾先も長刀のひらりとすくふ軒のつはくら
春雨籠にもる善華のえにし学のひとくはしめる春雨の軒
一藤いつの間に春もわか葉の青すたれ夏へかゝりし藤の花房
暮平くれぬるか事は胡螺の夢見学めてにし花を百影にして
香窗弘器
雅流園
□□□□□□□□
初春風年なの名札をよるへどはせてはしらぬ家へもくはる春風
朝善菜常に袖きて春のゝに若なつむ爪にも露の物き星見ゆ
挿板を折てかさせるてかさせる宮人の老かけさへもかくす花かさ
水辺梅手をのへてすくひとし南行水に出ほるら砂の花の兄よめ
墓頭梅刀とく水に軒端の桜ちりてあら身も匂ふ花のうへり香
花似雲桜木の大将なれや白重のみかはりにたつ三よしのゝ花
苗代水いくし立て祭る御神やあらに田の畔をはなちたる賤番代
壱種物摘子のかへさは玉染あたりにておさまとひたるさわらひの鍵
夜帰雁くもりたる月を背負てかゝみとくおのこけゝもにかへる雁翠
海帰雁ちる花の泰山府君羽にのせて北海こゆる東の雁魚
惜甚切雨風に匂やいためる折毛を書いし顔する庭守か妻
二水楼角南読足
立事けふといへは春たちからを天の戸のあけて霜にかへす山〳〵
露みちのくのいつくにあるかしらぬまて驚みて見へぬ塩か岸の浦
たては柳よこは霞の糸かけて春のあやたる鶯の桜か
残雪との山もわらへは雪の山まへもわらふたはかりのこる庭のも
さりさむくもあらて麦風のよりによりによりたる青柳の糸
苦艸やかすとも只かすかのゝ春の月にまかせたら菊茶草のたね
春風さく梅の匂ふはおのかちかくぞと花のあたりをおこめかす風
重曙いきたなきすゝ常におこされて公をもわらへる事のあけほの
帰雁かりかねは又こん夜を契り置て花の波こす末の青山
花不可の文字はしつ枝に木かくれて此花たれと見ゆる制札
善客八重露ひと也成とも花の音の聲をたにのこの春のかたみ
狂歌小紫集
夏の哥瓢草園撰
桑名順風舎積業
十五
聞とれてうかとふみかく桐の下駄まさに初音の山本ときに
江戸此辺赤下手
更てから叩く針男の門の戸はなにも水鶏の物あたりにや
〃玉川舎清志
ばしゐする業平菱の染ゆかた涼しき月の色好なる
クハナ凍雲亭行風
子規波間におとす一声をかつきの海人や耳に拾はむ
大山三五屋影住
よみ題の声くいふ字と短冊の雲をかすりて鳴かとゝき寸
久ナ燕子楼田刈
浮草そ出し流せともけふ幾日雲の根きれぬ五月雨あつ
同一ト六経図万院使
心なき下女かかきたるからしすもきゝさふらふそ松といふ魚
クハナ鳥趾堂行業
立前は目さとき老かおもひ出や昔朝祢の床よ物とて
佩詩堂耳風
月かけの丸きをいとふ鵲遣は三十日そ欲の最中成ける
橘五園香具美
鳴神の音には庭の雀まて蚊やつり竹のかけに有くれん
袖手園元業
夕餉時そよ〳〵風の手料理は隣りの秋やまね成らむ
同改糸彦
早苗田に茶を呑ほせし土瓶ほと尻をもたけ残か植付
木公舎千代住
さつき雨色なき萩に波越て月ものそかぬ野路の玉川
申上
エト艸の屋賤丸
杣川やくたす筏のはしふのはしふめは傾きやすき夜の月
独楽堂高盛
夜はすゝし衣はうすきかたそきに夜の霜出く月のすみよし
六経園万陀伎
夜々光る平治の川辺の夏虫は扇の芝行かなめ成へし
一同紅園右蝶
時鳥啼行そうを出て見れは跡の祭りの月のかさほこ
仝
夏の夜の月にふすまもを草の首さしいれて蚊帳なはん
梅ヶ所梅ヶ壺知勇軒三足
三伏のなつ薬とて知中数暑気をはらへる風のすゝしさ
良兎図鬼丸
妹かりの土産にひねりしはな紙の内もゆかしく光る夏火
本街堂亭
馬盗とみつ際すゝしまし水の河骨の根に出る沢蟹
積業
夏虫はなかぬものそと幼子にすかして見するもしめ顔
広棧改
鼓琴欄高棧
たゝらほと飛火の折辺の荷せは釣鐘艸を鋳直しやまる
する
千代住
ぬしやたれかやつり草にぬきかけ蛇のはかまにひ扇か花
五葉舎乗打
水鶏めか目を覚させし幼子を母かたゝいて寝かす衣の夜
エト豊年舎出来秋
一声の其はなしさへねをおしてきゝかへしたき初本ときす
同十三軒店琴
旅人のかり寝の夢は覚て了朝の原の床夏の花
栗栖菴柑子
さゝ波におりこみやせんしかの浦水に成んしの夏虫の影
六有園成吉
せまきをもうしと思ふかもし籠のやみを破りし夏虫の影
エト歌の屋真萩
兼好かひとりくふ気て鰹をは毒にと筆にさましたりけん
たりけん
西楼住方
達桜ちる山もとを曇りかと雨けしたふて鳴子規
仝
滝つせの水の玉なる一声に耳をするして聞ほと死す
一ノ宮明来庵亀丸
咲花もからくれなゐの錦色こや南京の共ちかけらん
香庵高賢子
五月所に小舟の尻はすゑさせて海人の子さへも宿疑かつ
仝
さみたれに谷水まして猿猴も手短にと日宵晴候事
経験て回
水上はすゝ風いかに吹とゝへは鼻のつまりし筏士の声
雅杉寮中文
夕立も御祓しつらん晴て猶虹のちのわをくゝる村露
二水楼読足
河風にちれる蛍は葉柳の京よりぬけ玉かとそ見る
クナ一円窓文字丸
すゝしさを自慢の亭に来て見れは蛇の髪おとは庭の風
仝
風鈴に舌をふらせて椽元をろちのなりけれる夜遣火
同断明館秀丸
川岸へふせし蛇籠にとまりてはまなこのやうに光る夏せ
〃養老舎玉人
かきくもりうつ巻雲に雷の鳴戸の沖を過る夕立
仝
夏の野に夜立はけしく降敷て篠に乱るゝ夏寄影
松々亭千枝丸
打水やみても涼しき白露に秋の似顔をみする夏菊
夏河鈴躬
庭の面も五月の雨に海なせは春ゝのりめきし飛石の苔
万顆楼倉積
夕立のはらりとさせし涼しさに汗は草葉へみなゆずたりは
水定軒蔵主
葉かくれの光りを露とあさむけとも見てはぬれぬ夏の影
の影
親寸法
波くゝにいせをの延せか黒髪の雫に月をこほす
すゝしさ
影住
風はやみ窓打雨にそらのみか軒はのくもさせて夕方
夕立
相生亭元住
わうくつの紐をときはの松陰にむすひかけたる苔の下水
セト東本住
遠方に夕立みへて八雲立一安下言あたりや西にくらむ
一庄ノ壷亭雪人
早苗時せはしき日には賤の女かとりあけ髪も草たはね
壺坤亭丸人
たそかれに色白〳〵とみゆるのは手弱女ならぬ花の夕顔
六ナ散輪館音丸
さらてたに寝ふたき枕おこす物分面の水鶴山本ととき方
八房梅守
さま〳〵にかけならへたるセ干の釈迦と孔子の軸のすあふ
一工ト月雪庵花丸
杣人かきりすかし青木々の枝をくゝひ道に風のすゝしさ
仝
はゝきめの浪打せし庭の面へすゝみに出る三日月の舟
大景庵初風
夏草の波に幾の浮むかみれは妻木を背おふ山賤
笹輪堂京職
笹かにの糸引はるにひをさして飛重や出る夏セのかけ
文の屋折形
春の比花をちらせしはかたちを暑さにへす風のすゝしさ
楓樹園赤貫
涼しさについすや〳〵と木下かけひるねにひすふ其の情あり
仝
うき艸も流れ出して五月雨にふ寺瀬のわかぬ庭の池水
〃出雲酒落柳
五月雨にぬれつゝ池のあやめかる男は風を引そわくらに
賤丸
中空の月の鬼もかくやらん耳引立て聞本とゝ幾次
梅ヶ所一梅庵三壺
鳴しきり蝉の時雨に夕顔の始れましてや軒をつたへる
仝
魚をふかみ梅によく似て鴬そたてし鳥をまねく橘
賢子
よりつと十人に四條のかり橋もゆるかすほとの風めまゝさ
鬼丸
片われの月を四ッ手に引上サもれいつる影のはやせすとしな
一久十行業
蚊柱もかたふく風に烟のみ大くたてたる賤かなの軒
仝
わらはへかかれる蛍は水よりも逃足早き武蔵野の原
行風
夕立のもりにぬれしと筆さへも笠きてさはく寺子成の内
文言舎多丸
干規きて間のあらぬ若楓ぬけもせぬばをもらす一声
○
雪兎園篤丸
鳴すてゝ細谷川に影うつる月を飛こす山本と亥寸
雅流園弘器
一鋸屑は蚊遣に焚てまり垣のしけてもしけぬ五月雨の晴
○
在尾瓢簟園一寸法師
あつめたる蛍にわひてお貝学の身にも油のたる事知る
六樹園飯盛
新形の中かたてすゝむ女子らかすそ吹まくる風やかまはぬ
一
夏花
言幸加玉三
三河梅ヶ坪壺柳楼三壺
梅に似てにほひをふかみ学のそたてし鳥をやどずたちはな
言幸加玉二
玉流園澤丸
旅日記に三十日わすれて宿につく比は月夜とかきの神花
李松軒中墻
卯花に月をゆつりて大空のかけはひまけにあけのこるらむ
伊勢ウ川原高砂菴鐘久
なつ衣着しはわすれてゐ花を雪かとみれは寒きあそ風
不夜桜玉雄
これも又量にまかふとよくみれは蛍とまりし夏きくのはな
雪花菴月丸
あつさにもまけすむしけもさらになしちりけもすゑぬ様子の花
夏花
一言霊幸繁任楼虎丸
けいせいは
いかに
みそかの
月もまた
まこと
てはなき
卯のはなの色
伊勢桑名正達亭四半法師
なつ草の波たつ中にさく百合は碇とみゆる船をかの野辺
子日松彦
日かけなき野中にあかきひる顔はあつさくるしむ色にや有らむ
真福加玉一
御川原千齢菴琴久
うたよみの種ふくへとや成ぬらん八重垣のそくゆふかほの花
同函の屋玉樹
大臣やあるひは始に鬼とまて艸の名儀よふ花の百合君
牛飼の綱の片手にうち切てとりてそ加へるおにゆりのはな
桑名藤原長房
あつさ弓いり日の跡はな次の野にすゝ風まねく檜あふぎの花
同七里和多志
き粧する窓に見よとか眉はきににはの刺やおしろひの花
四十一日
桑名蛤丁楼馬伎
いにしへの妻もこもるかむさしのにひあふきみゆるなつ艸の中
清水菴繁定
垣にそひてよわ〳〵。とたつなてし子も此ころ庭のちはなれて咲
繁住楼虎丸
ゆふたちにたゝきつけしか撫子のねたるすかたもまた可愛らし
秋日登元祢
月とめしあやまりにかく頭よりおつるふけさへ卯のはなの雷
歌泉堂真澄
うの花の宿や寒けき垣くゝる犬も身ふるひしたるした露
信濃須原雀連亭竹丸
つるのての長くのひたる夏のひもさか葉てすゝしのきの夕かほ
一陽斎鬼影
荒寺の堂はいしすゑのみなから釣かね草のねつきこそそれ
雅流園弘器
すゝしさにひと休みせん夏の野のからす扇の花のゆふ風
岡辺豆業
はし鷹のしらふとかけのうつりしは野守のかゝみのそく牛花
松葉五友
野辺をすき沢をたとりて川骨ををらんとてこそかうほねをられ
後佩詩堂耳風
美人艸生出しめはすくろくのくしといひけん人の塚より
不断菴玉湧
下すゝみ賤かてゝらもみしかくてひさなかしらぬ夕顔の花
秋鳥
言幸加玉二
桑名燕子楼由刈
一火まはしのまはる口さへかしましやひわにひからにひたびよ鳥
音幸
駒引亭銭丸
心なき身にも名所はしられけり鴫たつ羽。おとさはといふとき
千葉菴松景
秋風に波うつ稲葉なをさけてからろの音の雁ぞ落くる
松彦
深草の里にうつらの名たかきはいつの比よりすみそめぬらむ
桑名気散寺入道
さみしさは鴫とふあとの秋風になみたつ沢の夕くれの空
真福加玉一
四半法師
虹の橋有しゆふへをはしめは数の小鳥のわたる秋の日
美濃大井松花亭年久
秋の田の落穂ひろひて行烏これそ反哺のかうとなく声
金林斎豆也
春みしにかはらて風のたよりにも無別条なるかりの玉帝
御川原洞穴住
梓弓矢よりもはやく夏すきてかりまたきたる秋の中そら
胡椒亭丸呑
きてみれは衣のうらのおくひなり鍵にたちたるかりの一つら
大瓢
茅のわをはきのふくゝりてけさ秋のたつ田の川にわたる山から
同豊流亭橋丸
大空に文字なす雁のまねをしてあを数かく秋の田の鴫
耳風
くはへ来し枝にも花はなかりけり浦の苫屋におつるかりかね
恋
二水楼ニ水
言幸加玉三
枕よりあとより恋のせめくれは袖にならたそ落したくする
秋鳥
三日霊幸
秋日登元禰
三日月の眉落てよりをみなへし
咲野のうつら
藤原
ふける也けり
甚
たゝ一夜そひ
鹿の髪の
もつれよりつひに
物おもふくせはつきける
子日松彦
}
言幸加玉二
弓器
恋やみてしなんとすれとつれなきは我いふことやよしとおもはぬ
言幸
有胤
きぬ〳〵の鳥おとしともならなくに通ひ路にうき弓はりの月
澤丸
人の見る目も封したや玉章のうはつゝみする糊のついてに
真福加玉一
えかたの枕ことはに髪にしをそらにうけたる妹はうらめし
由州
いひかねてひねかしちものつもりてやたん〳〵たかくなる恋の山
万世楼年長
恋草のねつきもやらて待宵になみたしの露のおき明すなり
虎丸
に夜ふけてさしこむ月はさかなともを間に癩ののほる胸さき
東雲菴一丸
命まてかけたるなそはあふよはにとけて嬉しき妹かしたひも
招春楼楳丸
ふみをたに見もせてとはうき艸の何をたねとて君をくとかむ
有胤
あたにのみ心つくしそくるしきやかくともしらぬひどをおもひて
豆業
君かくるほらせのいとやさゝかにのくもなくさかる待よひの癖
八尋殿女
山からのぬけつくゝりつうき人は我まつ闇にとゆりきもなし
鎧堂津雀
わかれ路にうきからすより渡川人目をぬけつくゝる鵜のまね
○
耳風
榎の葉井のくみてしれかじ明くれにたえぬなみたのしら玉しつく
欠
模
朝顔のとくゆかしさにおきたれば露よりさきに霞はゐにけり赤染衛門
波那細
莟にてありあるの月の霜柱残るもさみし白き朝がほ歌雄
契利のはうらるえ手のとゞかねばむく毛や見ゆる垣の朝顔雛雛
裏微加花三
蝶の夢見し目のしかとさにぬうち花の盛りの過る朝がほ倉人
夢の内になかめてもどる客追ふて心ゆくまでさきし朝顔山陽
霰よりもちろくはかなき朝顔はけんこと呼ぶは名のみなりけり三馬
桑折
朝顔の盛りは露の玉手箱ひらけばやがて館になる花酒落斎
ぬれ色にさく朝皃と水鉢にうく盃はともにせはしや仁恵高
裏微加花二
寝くたれし髪のましでは見苦しとまきつけてゆる垣の朝顔金家
寝忘れてあくびしながらながむればうつるもはやき朝がほの花御代長
朝顔の花をねだりて垣の側からみついたる童部をかしや正夢
寝ごきものはあるじのみかと垣間より隣をのぞく辺の朝貌雪風
たん〳〵と手のびにのびて時の間の花はせはせはしき朝顔のつる深伎
枝折戸に遥かゝられて赤蛮の外へまはりて見たる朝顔千万多
遠まとふ竹の細工の舟をよそひ朝ひらきする朝顔の花三馬
世の欲にはなれ家も又朝がほの蔓の延るは楽しかりけり福耳
花さそる間のせはしさまかゝはらず朝皃の手は透て見えけり隅成
莟めるを筆かと見れば朝顔の花は手をよくかきつけてさく仲芳
裏徴
あさがほの花数多くはふ蔓の垣もしめてはいくつさくらば真瀧
星のごとおく白露のおもきにやひるまでもたぬ朝顔のはな月良
花を見て目のさむる須花は又諸む事かしぼむ垣のあさがほ冬道
同四十一
}
属十一
}}
化粧する姿もよしの垣間より見えがくれなる朝がほの花百合丸
ともし火の花の散ゆくはかなさを笑ふやうにも一早くあさがほ真園
そのましにしぼみて花のくゝる時実となりぬらん朝顔の露歌雄
風鈴に似たりと見れば短冊もつけてありけり垣の朝皃春信
酒ならぬ夕の霞の持こしてあしたて青き朝顔の花比名文
遠へ呼ぶ筧の竹をきり〳〵と墨しめてさく朝皃の蔓空寐
筧よりいつか半どに這よりてよのまに水を揚し朝顔於兎門
照射ほど鹿の子も見えてさす串にふたよりみよりからば横真紫
そへ竹をたみつすゞめつ朝皃にいきたなき目のくせも直りぬ山陽
冨津
朝皃のしどけなき手を袖垣にとるとて我は露になれけり徳阿弥
朝起の心がければ浅からず深くほむへき露の朝顔唐文
あし垣に立のぼかつゝ霞をうけて仙人掌と見ゆる朝顔嶋女
小たつみつ朝ごと咲て盛りかもよつを限りの垣のあさがほ竹広
厩橋
数ふれば百打よりさく朝顔も花の盛りはよつき限れり妙約
早起のたしなみよくてさく花の身仕廻部屋をみさぬ朝皃仁恵高
目をさます菴の朝茶の口切もこくしぼりたる朝顔のはな真行
夕暮の哀れを垣のさきくうしほれて見する朝皃の花真河
朝顔も笑ひあふかとむつましきとなり合せの中垣の花真名文
日にうとき影の朝顔忘れてゝ目のさめるうち花をたりてて
つる〳〵とすべり落たる句露につい朝顔を笑はせてけり歌種
夕暮のさはしき秋を昼景にゆづりてしらぬ朝顔の花美種
目妙加花一
諏方
いさきよく花の咲出て夕ぐれの哀れはさらにしらぬ朝顔真友
同九中十二
□□
十一月
朝顔のさきいそぎしてそこ三度とよりもどりことる茶をうしや閔雄
隣から花を余義なくねだられて義欲にうらまる槿のつる弘丸
朝皃の莟の輩のことふきは日をもてねふまでもなかりき県丸
逢もせにさく朝顔の花の色は嶺の里案の外にうつくし蔵満
桑折
白露のたまの客にはなぼのゝ出ばなを汲て咲る朝がほ草文
朝寝する隣の地をくゞり来てこちらへ多くさける朝顔柿人
蝋燭を照して見れば花も又しんのごとくによるの朝貞山蔭
桜にてねふかりし目も朝貌にさめやすき竹の春の明仄橘良
日妙
金たさに花やうつむく朝顔の霞をは軽くおける物から有義
諏方
咲かけて照る日の本をおそるゝは朝鮮種の朝鮮種の花呉鷹
常府
朝顔の花の盛りのせはしさに立てはながめ居ては素がむる浦人
細書のほそきつちより咲出る秋毛の筆のけにごしの花真揖
目ざましにとる子の顔も槿もともに突ふてうつる井の内楽人
朝皃は朝鮮垣にうらまりて唐人盆のなりに咲けり太記
垣根からまねき出されてついわきの瓦花が袖に咲し朝皃真神
東まゝにのびもて行て雲の上の空色にさく朝竜の花月安
月の露うけてさけばか一二輪まづなし宮にひらく朝歌道丸
是ほどれ露も上にてやどりけり空色くつ出朝皃の花長雄
朝顔に日をばあてじと咲出てうちかざしたるひあふぎの花真葛
短夜の月は残りてあかつきのきりの籬に咲る朝がほ歌雄
つゝ井筒ゐづゝにうつるおもかげと見発すやうな朝顔の花益人
杖になる竹にすがりし朝顔は人をもおこす物にさりける同
{
}
夜もすがら花のしたくにつかれけん朝るさす頃ねむる朝皃二九住
物くさく起て見ざれは里の窓くじからのぞく朝顔の花見鶴
明告る烏の声のあをによし菜良の朝顔はや起て見ん馬伎
あり明さのこれる月の鏡立髪ゆふ陰をまたぬ朝顔同
恋ならてそれと見しまも中垣にあかまわかれの朝皃の図東里
朝顔の蔓は垣根を遠しかとたつ時に花は盛りなりけり真元
網代垣かゝれる庭の朝皃の花は何とてひ遣いとふら世え虎成
布袋竹にからまりてこく朝顔の花は唐子のかむる笠かも薄墨
白露のゐるこそよけれとひよれとあるしは起ぬ遠の朝顔久住
朝皃の花の蔓手を十かへりに松のふと不をうらへてぞさく安人
朝顔の蔓は垣根のしゆろ縄をうらむ答もねぢれてぞ咲照住
茶臺かとながめてをればちとの間に茶釜と替る樺の花伊丸
竹垣にしぐれる蔓のたけよりも盛りをのばせ朝かほの花橋住
白露を帯てかよわきひめよしの手に降りたる朝顔の花道足
白露の玉のうてなにひらけとのちよくなりと見る垣の権垣廣
手弟子友垣さそひ来る頃はまだ奇麗なに朝顔の花真名文
ぬれて散る萩より上遣小栗垣さかり久しき両の朝貌素顔
朝顔は散ある霞の国すだれたりをとりしぞ見事也ける加乎留
高崎
しら〴〵と日あたる頃ははづかしと口をつぼむる朝顔の花諸羽
花の数三つ四つのみか枝折戸のとをからみたる槿のつるとも恋
三崎
花色のこんのよくなる朝顔はむくけの露を薬にや呑む盛蓋
源氏ぶみのぞく窓へも朝皃のかきつたへたる蓬生の宿路蝶
兄申十四
同十一丁
朝顔は杖のちからせかりながらなど日にまける花には有らん仁恵高
ほの〴〵と垣のもとまで朝かほの花の盛りは朝ぎりにさく影井
露もとく翁に似たる朝顔はこらへ惜なき花の昼寝か万象
権のねくたれ髪もせはしさにゆひ直されぬ垣根かぞさく駒主
一時の葉がめなれども千日にむかふへもさく垣の朝顔寿美香
透通る花の筆さへ南京のとす手にさける垣の朔がほ板子
めてたしといひつゝめ下へ目をうつす人をはなしといはむ横真風
ねくたれし柳の髪のさがるかと見ればつるはふ朝貌の花礒名
朝皃のおのが蔓もておのが花をくゝり染てやしぼりには咲古道
隣同士中よい宮に朝顔のくられる垣ぞうらおもてなき益良
夕べより莟数へていなのめのあけ六つ五つ朝顔の花三春
朝いする人いましめに朝顔の花てふ物を世に咲せけん墻生
甲府
明がたの空に烏の六つ五つ四つ前さける朝顔の花三風
佐倉
権の花の手入の手のひらに化粧水ほどたるゝ白露近門
下総菱田
時なれや賤が小せやの破垣にその日暮しの朝皃の花音芳
蔓の手に花の莟やしぼりけんねぢれて霞のたるし槿耳風
賤が家のしづはた窓を壱環にまきて朝さく権の花有文
咲たるはなき〳〵見えずとのゐ物の袋にしぼむ今朝の朝皃眞顔
八月十五夜
などやかく丑の夏ふく時しまれ月は午にもかげのなるらん親隆朝臣
波那細
老となるしるしはかうと中空に雲まづはげて光る自頼三馬
月見ればやぼり今宵もなかれけり十五日とは思ひ直せど御風
}}
同廿一丁目
月にうかれ舞出るかと見てあれば扇にてまく梅子の種石樹
十五夜の月は常より大きくて重いかおそく山にかられる道知
裏微加花三
放されしくれし泪か飛きえて月よりこほ寸霞の白鷺空寐
かたよらばきたなき雲やさはらんと秋の真中を練ねる月真園
裏徴加花二
生れ出てめてたき月の臍の緒と思ふかきれる糸瓜のつる鳴音
月あかきこの十五夜にうかれ出て何を烏のあをとなくらん川貫
今宵てる月の丸きが有明の舟になるとは思はれぬなり久住
裏徴
一病む眼さへまばゆくなき八十五夜の月の中なる薬させばか古根
糠星も見えぬ言宵の天の川水で洗ふかひかる自影
望の夜の月見の台にいざよひをつがまくほしき桂類かな梅守
望月の影にさはれる枝きりて長き夜に日を継てながめん花守
てる月の今宵は秋の奈かばやとをごり出たる杜の夜鳥浅方
見る人に老を譲りて十五夜の月は昔に今もかはらじ成益
村雲のばらがる中をおしわけて出来る身のかたの広さみ李践
詩客てふかど去る人は賊すやいかに月のまならは寝るさへもをし三馬
放ちやる鳥は場にかくれても月が見つけてさせるもちの夜折形
老とならば月にかゝりて居ん物と家を忘れて見る今宵哉久住
武蔵野の学分ならん菜秋か各も高くすむ十五夜の月端練
今宵赤老となりても自影にかゝるこの雲見えぬなりけり筥住
高欄に昔中おしつゝ雪の夜は老のまがりを月に直しつ磯名
てた月の桂は今宵しげりあひて星の林やくらく見ゆらん実鈴
おもわたる月の少女のうつくしき見つめてはどうもまられざるけり綾繋
よし
同十一丁
目妙加花一
一汲かは哥今宵の月の宿ごとの酒もつもらば秋津洲の海凹
てる月の邪魔になるとておし申る升も寝てゐぬ蛍の夜を有胤
見る友に老ともならばいつまでも杖とたのまん月の桂子直業
尊六を違へ寸汐のみちのくの里の名におふけふの月の出馬伎
これも又ひかれる物とする月の影に見つゝし駒ひきの銭高飾
更科に並ぶ郡の月影もちひさがたとは見えぬ十五夜速
八幡山月を野ふかにいて見ばや矢筈餅もて生る放つを露置
けふことに生るをはなつ有高山鳥の地獄もあきのよの月乗行
目妙
放したる鳥は塒をまらふともさうしあつへき月のさやけき有義
玉くしげ二見が浦の女夫石の中よりうめる金のよの月常道
貴きも賤さもまた今宵見る月に二つはあらぬ案しさ呉鷹
重の夜の月見卓はひくとてもこめてふ牛はかけずも有なん満成
天の川口まやねたまんや哥〳〵と年に一夜の月照わたる雛雄
あはれどて今宵は奈うしてる月の泪にやどる歌やこぼれん楯成
晦日をば二つにわれどわれずして真丸にてる十五夜の月千足
とりわけて今宵の月を愛なればあすより額にへりや見えなん方住
常よりも類のあうしやすよひ草よりわけてよし月の今宵は家丸
舟の頃うかめし雲の波はれて汐一はいに満る十五夜田鶴井
夕風に追はれて雲の居所もあきの半ばの月のさやけさ栗網
各に高く云育みちぬる月齢はよそに桂の里のあかるき若苗
八月の十五夜ごやとおし答て月を見にゆく更科の山馬伎
酒瓶も今宵の月もかたふかば秋の半ばも杉たてる門下蔭
}
秋のふは中つくり止たる濁酒こみし今宵の月を見て呑松友
画くしけ二見の浦の秋の月さしむかひにて明寿十五夜唐文
小庭を子刻や今宵まうけせし月の入来る家もいくらぞ春好
星舎の後の月かも天の川年にひとたびわたる雪の夜隅成
長門
団子くふて今宵の月を見る人ぞ秋の誠の哀れしるらし錦繍園
一村の貢も雲もをさまりてめてたくすめる中桜の月同
昼と照る三五の月に笠とらば哉黒みなん笠とりの山山越
十五ぞとめづれば恥ていよし又顔赤くなる月の桂女一飛
村雲も消て今宵は見る人の心にすめる十五夜の月仁恵高
鶏毒と思ひ煩ふ雨雲のわれて珊瑚の玉の月かけ宇照
うゝる月晦日に出ばいかにせんかくれ所もあらぬ十五夜松人
鳥さしが疾鳥をねらふ月影に烏もしろをかへる雪の夜三成
池の面を月にすまれて中秋のひれふる魚も岸による見ゆ二羽
陸奥田場坂
中秋の月の今宵にやくそくの一人かけしはこゝろなき友万丸
佐野
住吉の橋も今宵のさやくさに丸く見えけり中秋の月七人
案じたる今宵の空ははれ衣裳雲の衣も月のさとり着種成
貧しきもみちたる類に富む人を裏家まで見る月ぞ案しき虎雄
まだ宵と思ふ月見の酒もりにさし出てうたふ難の声々浮村
あかく照る月の御舟をふたつまでむやひて出る秋の中嶋貞顔
暁月
天の原的にしているしらま弓あかつき一音にあたる頃かな為忠朝臣
裏徴加花三
一暁の鐘はいかなるちからにて月を西へはつき落しけん千万多
同十八
愛で目のいかくなるほど暁の月に雇ぬ身のやせにけるかな門芳
五日の間にあつまを出て難かなく頃は都にありあけの月素顔
裏微加花二
常府
一暁の鐘のひゞきを山の端に月の落ぬる音かとぞ思ふ浦人
あかつきのかたふく影のかふぼりにおのれまりたる弓張の月菴守
たまされし宵の鴉も跡に付て出直す山に月ぞ残れる錦繍園
山をぬく力もよわり果にけり臍のあかつき落る月には栗人
裏徴
弓形の月を奈がめて暁にさむる夢盛の鹿やおそれん金家
山に落て出ずはいかゞと思ふ星楽も雪から身によほど老しか真国
心ありてこのあかつきの鐘つきも月を見よとて人を起すか正義
月影はあたら光りさ絶しつゝ雪にとられて明る夜はかな裳顔
山の端に落てる月に驚きてねぐら飛出す明島かな楯成
おく露に影をやどして入うたの月に野末の草をやどせり仲芳
世にをしむ月をも西へ尋て明の鐘つく魂つ邸かな真風
暁の空まで山をつき思ん洞なくは息のいかで入るべき声音
目妙加芝丁
一穂薄のほかてし舟は中空にまだ有明の月を見るかが寿
目妙
秋の夜に光りも餘りみちなれば昼までかけてあり明の月凹
朝皃のひらける頃は空宮のしらみてしぼむあかつきの月真鶴
とく起て米踏ならず臼よりもはや暁の類ぞしらげる草住
村雲を吹たる風の手際にもみがきかねたるあかつきのさび常道
入月をとゞめんとてや山の端に横から引ししけげの雲長雄
しら〴〵と宮の薄きはある星に光りや譲るあかつきの月真樽
暁の月を惜みて入れじとや立ふざがりし峯の横雲千翼江
同十九
もと赤き色も源氏にかたふいて白く奉りたる暁の月近喜
月影の氷もうすく雲の峯にきゆるばかりや暁の空二羽
だまされし宵の鴉の起出てこくうに笑ふ明がたの月軒近
暁のみなともしらずてる月に雲の波間のよると思へば芳文
夕暮に月のあゆみやおそうらん山の端遠さ有明の類金厚
山の端に入うまるやうに催しておもはせぶりのあかつきの月仲住
暁の鴫もはがゆくおもふらしかきはしりたき月の核雲真顔
駒迎
遠坂にけふ来る雲の上人は月に乗てぞ駒さむかふる慈鎮大僧正
波那細
相坂に令ひく駒も月影もむつより出てのぼる来りけり真園
一逢坂へ駒を見に出て戻らざる人をむかひにゆく人もあり和布刈
雲の上にのぼる時こそ龍となれへみの御数の駒もいさみ凹
裏徴加花三
足も地につかず月毛の蓑駒に引れてのほる雲の上人二九古
裏微加花二
芋のごとふとりて見ゆる望月の弱もきぬをかけてひくなり暗人
秋の田と同じ植坂の駒えらみ毛並よしとて都にぞひく打人
裏徴
雲の上にひかるべしとく思ひきや上毛の量もなき鹿毛の駒道知
瓜とりて云宵ひくらん紅栗毛秋の七学ふめ類蹄も
逢坂の美の清水に影見えて同じ月毛や二疋ひくらん松人
相坂の関の岩角ふみかける駒も令旨を賜ふなりけり
舎人等か糸沓かけてひく駒の足や染らんむらさきの庭素顔
目妙加花一
別当季は令やひくらん引駒のしさいらしげに古き式とて三馬
今宵ひく弱のばかひは極灯もいらまばかりの雲月の駒夏信
同九中廿
最上立引て都へいる舟のいなく駒をみほぐひな人道足
目妙
冠着てひかるゝ甲斐の黒駒は威有て沓の音たかくきく鹿道
遠坂の豆の清水に鹿毛見えてひくは昔に河原毛の駒満峯
日をたゝみ数引参る荒駒になりてしつらん冥の岩角家丸
影とつす関の清水に駒の顔長きためしとけふやひくらん下蔭
ひく駒のさき追ふ声に逢坂の山に馬追ふむしはなきやむ真葛
相坂の水うまやとていこふなり引出物なる駒は渡して石樹
此君の春てふ月にひけるしはたけてときなるかけの荒駒真河
白たへの月毛の駒は東より雲井にのぼる物にざりける幸風
逢坂の関の岩角ふみかいて丸くこえたる望月の駒秋守
植坂へと帰りたがらん奈弓の甲斐の黒駒腕限りひけ真顔
露
信濃路や木賊の上におく霞のみがける玉と見えにける哉小大君
波那細
秋の野の錦の露の韓玉子袂にまきし蓋の姫かな空寐
白玉か何ぞと人のうたがひをうけらが花における句霞真広
いつの世に誰かぞへてか数多き霞の玉をばおくといひけん長文
裏微加花三
夕露の揃ふてのぼる種薄のさきで別れる野路の淋しさ白根
夕露は草葉にかゝりそうながら赤宿顔に月をやどせり綾繁
裏徴加花二
秋の野の促識官の足玉も手当もゆらで糸荻の露真楫
賤か田の稲の葉末にあまくだりうかのみたまと光る白露千足
えやみ草えやみもやらでふく風のふるひ落せし秋の夕露三馬
風とに散れば又おき直し又ちれば又おく露ぞ草に隙なき大酒
風すさふ峯のひたひのあやふ学危き霞やのぼるとすらん道時
秋の気はきよきものにて草村の渕へすてたる霞の白玉橘良
裏徴
糸による物ならなくに白露のみだれても又結びこそすれ基丸
常府
ものうかる秋のゆふべの白露はおき所さへ危うかりけり浦人
春日野の飛火野寺が鹿にやる火打焼までしめる朝落真管
百草を風が払へば又もおく霞にはてなき武蔵野の原於兎門
人とはゞ息さもいとへ白玉か何ぞといふと消えたがる露三馬
夏過て蛍や草にもとりけん草の光れる月の夜露は雛雄
秋草にはくしかれて油売ぬるゝもなかし遠里の小野鳴音
夕月の影を抱きて白露はいなばの山を下りのぼるなり山越
くさ〴〵へおきそふ中にとりわけて頭と見ゆる芋の葉の露垣廣
まだ花のさかぬさきにも葉に置て星と見せけり菊の名所秀柳秀樹
此ごろは秋の哀れのしみこみてしぼるばかりの袖の夕露春則
白ぐと西の垣根にけのこりてまだろゝあけの月草の露空寐
妻と呼ぶ小萩が枝も夕されば鹿の子をもちの聲の白露桐住
目妙加花一
諏方
ひとつぼゝ露を翁が年の数にえて手草の腰もかゝめり顔照
風の手におし出すさまの小車の花に重荷の白露の玉真国
豊なる秋は稲葉の霰までもおき餘りてやこぼれ落らん芳風
目妙
とめかねてころんづおきつ白露は学にすがりて月をやどせり長路
信濃東条
芋の葉におくる露の画くしげふたつもみつもころび合けり本住
見る目より見らるゝ月の泪かとうたがひ深き夜はの白露鹿鹿国
秋の来し時のしをりか道草の葉ごとに露を結び置しは真池
女郎花あはやと思はん葉末より露の白玉ころび落羽は千枝
うつくしく千草における花の霞秋の野面きめよかるらん寿
月影を宿せし故かおきまして学さも寝かす秋の野の露真国
風の手に早ねきとめてん月影のやどる扇の芝の上の露常道
植る折賤がこぼせし汗水や稲葉にのほる霞となるらん浪頼
夜もそがらふりしと見えて笹のうちに涼しく結ぶ今朝の日露直成
かぶりふる物と吾呉はし船がらも荻の葉ごとにやどる白露宿成
素直なる水の心の種ならん丸うおきたる草の葉の露田鶴兼
白玉か何ぞと人のとひし時霞とこたへて間違はなし空躰
もとめ来て訪んとすれど草の戸をたかば露の玉や砕けん千船
葉をふるふ秋の柳におく霞もおのづと風に片よりて散る是益
もろけれどしなぬ薬か車前草の葉月の蛙もやどに夕露春信
朝なくみかいて風々の手渡しに萩から薪へおくる白露英巽
久方の雲の上よりおも物とおもへばおもき袖のしら露酒澄
梢なる霞は乳房と見ゆるなりはゝそあたりの杜のふところ茂見
嵯峨野なる女郎花かや見とれけん落かゝりたる露の白玉満足
そこの草こゝの草にもおく霞のとくさかけたるやうに光れる水彦
めぼらしき臥猪の床の蒸物は草よりわたる白露の玉安村
高砂
吹払ふ風のちからも白露のすがり付てはむすぶ萩原阿可留
夜もとがら露の乳房やふくみけんおき〳〵ゑみを見する秋子芳文
京房たわめてのぼる軽業のまねく方へとつたふ白露又香
狼藉に花野をふむべからずとておきてしらする秋の日露影仕
兄中廿三
Q.
鳶わくる袖にめでたき白玉は千箱もあらん箱根路の落真顔
稲妻
葛城や木蔭に光る稲安を山ぶしのうつ火かとこそ見れ兼昌朝臣
裏徴加花三
不破の関あれゆくまゝに稲露もくづれて落るごとく光れり鳴音
富草の種草は露のこぼれ物さてやはやめに見ゆる稲妻七丸
かみなりの谷やふれけん巌より出る火の光る山の稲妻春好
神並の杜の橋の火きり杵雲にもみ土州有の稲安方住
はぐしさも物にあたつて砕くるは男めきたる宵の稲妻登志久
裏徴加花二
一いかばに大きな石や火打鎌手にもとられぬ稲妻の影凹
弓はりの月は見えねど矢のごとく光りを放つ稲妻の影升成
雲の端に乱れそのかし文字摺は軒のしのぶに逢ふ稲妻読人
宵暮は雁の文字だによめかねて行のことも見ゆる稲妻春安春則
月の出はまだ遠山の雲間から近〳〵と来る宵の橋安汐時
孕植の闇を照してころぶなとねたみも見えぬ風の稲雷声声
裏徴
くらきこそよけれと暮を待顔につきあたり〳〵通ふ稲安豆成
いそがしく闇を覚れば山の端に打たるかさきのまがる稲妻楯成
夕暮の空は鞍馬の九折をりまがりつゝくだるいなづま方住
夕雲の風袋より出すらん火うちが鼻の宵のいなづま凹
をこめ子がゆふかみ山の雲間より白髪みだれて光る稲荷行名
立田姫何をか腹のたつ田彦むかひ火つくる稲安の影空寐
声はがらで秋のみのりのよろしさをほのめかしたる宵の稲露隅成
やけるほど秋あつしとも武蔵野にしばしはこもれ宵の稲妻繁樹
同九中廿四
やゝ見ゆる月の桂男待かねて栄茂出這入る宵の稲安磯名
斧のごと寝たつ杣をふりさけて三度光りもさざむ稲妻琴桑
さえがねの蜘のおこなひあり〳〵と軒のしのぶに通ふ稲妻空風
是もとへ火のつくやうな稲妻におはれて下る坂もきうなり斧児
月の舟も出かゐる雲の浮嶋にほかげ時にを見する稲安都由紐
ともし火のそぐちにつゞく嵐山またてやうな稲露の影春友
ふところへ火をうちこめる稲妻にまたあぼしとて門涼せり真砂雄
寝た形を覗きて見よと指要の雲の透間の目ませなるらん乗行
出来秋のしるしなるらん結納ほどたのみいりよき宵の稲妻影住
目妙加花一
一稲のなき沖の嶋へもいなづよのよな〳〵通ふ歌中打やしき直成
稲妻は女なるらん見つきにはつよきやうでも折やすおもの真園
八東穂の初穂かけよと天にます神や出すらん稲妻の鍵御風
稲妻に驚きしかと人とはゞいなつまべきしのみといはよし春好
目妙
天の川にそめる大魚のごそふ時鱗や光る宵のいなづま草住
小山田のうりほの童のいねよくて宵〳〵ごとに逢ふ稲荷折鶴
月定置つくる支度か夜ごと〳〵影さしがねと見ゆる稲妻雪風
雲の中にいかなる火打石やする音はしれねど光る稲妻深志
稲妻と誰が呼なせるあだし名や恋せぬものゝ目にもちらつく空躰
豊年は種皮に見せて稲露の光りもやはりくらの漣の手綱女
出来秋の田を苅とてやとく鎌の砥山のすそに光る橋橋楼唐琴
群の田の作は今年もあたりぞとあたりを見する宵の稲妻升成
おとろふる秋の蛍の霞の床に光りを添る稲づまの影年益
稲安のまがり〳〵て光る跡は猶ぞくらまのつゞらをり道和布刈
岩垣の中たえにしをひか〳〵と金の御嶽へわたる稲安黒塀
白波のたつ田の山を大胆な夜はに幾度通ふいな妻杉盛
ひら〳〵と絹糸ほどに光りよくくもの尻より出る稲づま金也
もくさには打火もちふるをしへとて伊吹の峯に光る稲妻根住
三日月の鎌やさはりて散すらん火打石とる峯の稲妻千賀江
雲井より蓬生の軒に通へるは源氏の君か光る橋前真糸
ともし火のごと稲妻は天の戸のすき間よりもる光なるらし古則
手にとりて見ることならぬ稲露をまがりなりもかく絵空事亀水
蔵あけて年ある聲の米つよん宵〳〵ひかる稲荷の鍵百枝
またをおる虫も葉陰に稲露のさを投る間の光りかぞみゆ折香
たてつけのわるい雨戸の透るから曲りを見せてはひる摺あ葉茲
稲荷の光りあかるくもれ出る雲の安都たは昼にやあるらん真俊
おどろか歩一日より棒の出るかとふり上て見る秋のいな露綾機
白かねをのべしやうなる稲妻や月官昼の院前の鍵壺則
あこより遠山鳥のむねの火か飛ふやうに来る宵の稲妻真顔
霧
秋霧の心せばさは唐錦たち残したる山のもみぢ葉衣笠内大臣
波那細
河霧に堤の柳まづきえてしばし残んの雪の村鷺凹
夕されば宇治の河霧たちばなの小嶋の崎も薫るばかりに空寐
朝空かはれ間を走る舟の帆は烟をあふぐ扇とぞ見る真葛
裏徴加丸三
ひさかたの天には口のなしといへど霧は吹かくる息かとぞ思ふ同
同八十六
裏徴
秋草の花をつゝめば霞より霧のわほひや立まさるらん凹
立こめし朝霧ふかくうたがふや誠の雛にあらぬ異の戸常道
ものゝふの八十うぢ川を朝まだきたちのいそぎかきり払ひ行三馬
蓋は金の煙にちかの名はあれど遠きえぞまで渡る朔霧於兎門
立こめて暮の放れ家おもてともうらともわかず深き朝霧伯墨
秋風の寒しと衣かせ山はきりも二重に立こめに立こめ
朝夕は烟のやうにたつ田山紅葉も霧の中にひいでゝ繁理
霧深みゆくもかへるも蜂丸とみな同じ目にあふ坂の妻玉湧
目妙加花一
野も山もおほひたらぬか立こめて心をふさぐ夕暮の雰真菅
蔀山あくはなれても薄ぐらく又立こめし今朝の秋労光成
槙の葉に名も立のぼる三夕にましてしせきもみえぬ故旁万象
橋明の月を始めるため息や世を宇治川の霧と立らん古道
朝霧のありたけ立て浅間山冨士のけふりに背くらべやせん千代住
目妙
山の楼霧は帯よと結べどもにくや嵐の吹ほどきほし長路
兵五くを組し筏は何ぞともきしもわからでくだす河霧真菅
おのづらゆるきて出羽の大沼に動くも見えぬ霧の津嶋水垣
昼袴よべの嵐にもめしやら霧吹かけてたゝむ朝風
新庄
秋山の霧の深さそ小男鹿の声たつる時はかられかけり撃樹
雁がねの舟も唐櫓の声ばかりみるめなぎさの霧の海哉読人
長門
釣簾の外も母屋かとまがふ夕霧の孫庇まで立そかくせる倭文枝
我庭の松からさきは霧深みよそをみるめもなき海となる豆人
釣瓶とる妹がすがたせ朝霧のまがきに深くつゝみ井のもと注連縄
同ん中廿七
霧こめて明るもしらぬ山里は人のこゝろも長き秋の夜折香
風やごむ山のふもとの夕霧はたつとやいはんすわるとやいはん友由
雲のきぬりめる日和に手伝ふて霧ふき散す秋の山風花成
もみぢ葉の火をつゝみたる朝暮のもゆるか烟るやうに見えけり五百丸
朝霧の立のぼる頃繁山のすそわにいまだ夜の餘りけり掛子
霧深きたつの山辺を夢ごゝろ海にて鹿のなくかとぞ思ふ山蔭
秋霧の八重立こむる吉野山薄紙をへぐやうに晴ゆく墻生
朝ぼらけ晴ゆく其後のきりの上に鳳皇堂堂ぞ顕はれにける眞顔
雁
秋の田のほごとも鴈の見ゆるかな鐘大空に書教すらん俊頼朝臣
波那細
常府
声近帆に揚ぬる舟と見し雁の風なき時か棹になれるは浦人
裏徴加花三
三日月の細き光りをめでたしとくはへさらなる天つ雁がね鳴音
来る旅によほど日数や重ねけん見れば黒みし初雁のつら楯成
裏微加花二
天の戸の目の出舟を待居てか光りに乗てわたる鷹がね升見
蓬の葉の雁といふ字に臥たるをおのれが友と見てやおり来る柿人
裏徴
雲鳥のあやふしとてやつらなりて虹のかけ橋渡るかりがね豆成
跡からも来てはてしなき武蔵野のつゝきが岡につゞく西雁折形
秋風の手紙は去年の文体にかはらぬ文字より雁の玉章妙約
鶯の遠く頃いよし雁がねは秋の日とくに田に渡り来つ網彦
天の原かさなる峯を越行て翠度はじめの厚といはるゝ山越
あつき頃国を出てや来るゝらんすがたも文字の衣うりがね
旅の空つれだろ雇のもゝ傳ふぬでてふ音かから〳〵となく御簾丸
玉壱をもて来るあては太なけれどもしたまたれぬる初雁の声の声綾繋
引つゞざ匂ぎりなかれば下からはちとよめかぬる雁がねのふみ真繁
秋霧の薄服紙にはつさりとふみづらのよきかりがねの筆雛子
同妙加花一
王羲之が筆もかくぞとしられける動く文字なす
玉章にそへて持たる太童なら虫のおりたる衣かりがね其助
夕月の舟につみこむましさの上乗をする初雁のこゑ真澄
常世へと喜行てまた秋来るはどちらが雁の住居なるらん浅方
色々の文字ともなりて飛ぶ雁は雲の衣の反古染と見ん津吉
いづこぞと首をひねるも遠慮あり御留場あたり西雁の声直也
大空の雲のもすそのほころびにつよぼく時か落るかりがね門芳
立田姫髪ゆふ時か櫛形にねをそろへてぞ渡る雪がね葉木
見馴たる去年には似せずあらぬ手に書かへて来つ厚がねめ文字千万多
玉章の書そこなひと見ゆるかなきれ〴〵に飛ぶ空の雀がね松友
火焚鳥におくる土産と袖厚のもてくる枝のめづらしき哉白根
漢字とはさら〳〵よめず大かたはぼんこよりして渡るかりがね一東
毛衣も今年の秋にきり上て仕立おろしに雁ぞおり来る兼涌
目妙
春かへる道も忘れず三吉野に又いくはなも見ゆる雁がね真名井
何国へか宿を定めてかりがねのいそぎ渡れる秋の夕暮長諸
だん〳〵と寒さを売橋の櫛の歯を引つれて来る厚の一つら浦人
松風のしらべさそひて尾上より厚の琴柱の引立る表行見鶴
秋は又南をさして来る雁をこしの物とはいふべかりけり由刈
若の浦芦荻ながらさす汐のかたを並よく渡る厚がね杉盛
花紅葉春の錦を秋きては二度のはれする衣かりがね方住
村雲のうち橋かけてさす月の目通りをゆく天つ厚び米積
来る時は春の蓑のきぬもなしまだらの腹を見たる雁がね打人
秋来れば色づく穂田をけさの朝げ鎌首のべて雇等渡る於兎門
村雲の封じ目とけて月影によみ下したる雁の玉気梅芳
廻状の文字とも見見て供ごろは次第不同に渡る雇がね千万喜
行義よく山形なりに揃ひつゝ秋田をさして渡るうりが孫満汐
青箱の箱根の山は越那がらくぼるにたらぬ初層の声種成
植出しの賢田の稲のこぼれ植につれてはら〳〵落る雁がね兼浦
のぼる霧落る雲田の雁がねも近江のつもり細工とぞ見る又香
東方のたよりと見れば向ふなる村に落たる雁の玉章年益
名古屋
飛琴の琴柱なるらん雁かねは阿修羅の国のあたりより来広機
ひしくひや菱を喰つゝ渡るらんはおともつよくかり〳〵といふ眞顔
嵐
佐保山の嵐ぞやがてぬがせける紅葉の錦みにきたれども康資王母
波那細
一萩の葉の声もつぶれてその春に只すがれゆく野べの夜嵐早人
裏微加花三
いが栗のゑみの中なる刀をば御代の嵐ぞ打落しける里近
裏徴
暮蛙の峯の嵐のともし火を吹消す窓も明るわびし肌和布刈
よべ月の雲を追ふてや行つらん西より吹てかへる嵐は八十坪
月を見るに邪魔になりける太閤の竹を一手いて吹る嵐うれしな家樽
草も木も根からぼりして野角力の弓も吹とる秋の夜嵐道時
花を折鳥き飛せて淋しゝとおのれ吹やむ故の夜嵐真諦
目妙加花一
野分にてよろつく餘り酒好の松は巌に枕してげり真名富
夜嵐の伊吹おろしに打よする藻草を拾ふ子等もあるみゆ鄙人
逃水のあまり追れてもどるらん嵐になびく野べの高茅金積
山深くすめば鶏のとことはに夜たゞ嵐のにけるなりけり多樹
目妙
夜嵐に驚きにてり賤が家はぬると間もなくかべも破れて御代長
村雲を吹とる月の薬にてこれを花にはあらしといふらん宣俊
帯剣をときはの山の夜嵐にすゝき尾花も横に寝よとや耳也
夜嵐の吹やすむ間は草花の長くも横に寝たる秋の野音澄
賤が家は晴らぬ魚の目板葺こけら吹まくる小夜の嵐に下蔭
にくらしや萩が花妻撫子につらくあたれる聲の夜嵐長閑
朝康が歌の末葉をふく風は郁子もしほるゝ嵐なりけり千万多
文屋麻動朝原統万葉
乱念考
尤山風之歌
ひくりして吐月橋よりふりむけばおのが名を呼ぶ山の声かな綾繁
朝康を康秀といひしたぐひにはあらしぞむべも秋の山風眞顔
鈴虫
ふり立て奈らし顔かぞ聞ゆる神楽が岡の鈴虫の声の声範光卿
波那綱
陸奥岩城窪田
夏引の糸より細く聞ゆれどふりきりもせぬ鈴むしのこゑ枡穂
裏徴加花二
老となる月を宿せる露始て古うもふりゆく辺の鈴むし真菅
これも又壁の中より土にけんころん〳〵となける鈴むし真諦
聞ほれて踏まよふ野の方角も大きくふれる鈴虫の声弦道
一秋青ぬとりつかねども耳の奥へしらせて過度鈴虫の声純縄
露源之雫たるまでおのが羽をふるふ夜も有ん鈴虫の起り琴葉
秋寒き風をいとふかよりすがらはをふるはして鈴虫の葉く二羽
兄中三一
音の外に又ねびとつの時まま〳〵ならす弓弾にひゞく絵虫網彦
目妙加花一
小男鹿もきけとや川つの耳原にふり立て遠く鈴虫の声打人
日妙
草の原手綱となして鈴虫の声を引たつる駒つなぎ子其駒
諏方
一鈴虫のふるさと出て人の手に渡りてはなき売られては遠く真涛
鈴虫の絵から〳〵とふり出せば下にぬかづく虫も見えけり満成
暮いそき草かりつけて追ふ馬の籠の中なる鈴虫の声し三布祢
秋の野と思ふつぼにぞ飼立て月日ふりぬる鈴むしの声凹
雄寒み月の霜夜の神楽歌枯萩になく鈴虫の声深伎
名もしれぬ草の中なる国詞も神在ばこそ鈴虫のふれ倉人
ふる雨の音にかぎれてきく事も思ふましかはならぬ鈴虫
鈴土は鳴くたびるゝ籠の中にゆり音もやがて静まりにけり奇屑
御社に何かねがひのありがたくしんちうに馬絵虫の知し雛守
鈴ちをかりにさまでたんくわして足をきられし野路の萱原根住
秋風に野もせの尾花皮よせて銘をあらはせる鈴真の声勇勇躬
さゝがにの糸や引けん人しれずふるから小野の鈴虫の声実鈴
薩州のふり捨し音を一つ二つみつけてつなげ野べの糸萩綱彦
足音に先はなきやみ跡に又声すゞむしとふりかへてきく搔成
押へむところげ出せば音も学にとまりてそことわかぬ鈴虫琴葉
武蔵野になく陰ちの声うさけば空にも月はりんと澄けり行名
ふりにける各をこそしぬべ鈴木の秋の蚊で鳴声のうゆら〳〵に真楫
むさしのゝ一本菊に鈴むしの一りん〳〵とかぞへてやなく真弓
○
宵〳〵にたのしむ菴の古瓶子ふるや味酒すゞむしの声貞顔
兄中三二
鹿
小男鹿は招く薄にはからる類ねらふさつ男の弓末見ゆなり頓阿法師
波那細桜迺愛
小薄のまねくほだしも見くらぬ鹿や山ぶし心なるゝら舞石樹
波那細
うはなりを恨にゆくか高茅にこなみのうてる鹿の通ひ路同
夜もすがら風のりて来る鹿の音はやるかたもなく哀なりけり浦人
追のけて遠く聞たき鹿の音も自由に大平良のまちかにぞなく直氏
裏版加花三
荒き風みあて給深谷になく声のあまへたるゝや鹿のひとり子山蔭
裏微加花二
山風に声を散して紅葉より顕はれ出る鹿の枝角歌名丸
二つなき山と思へる寒士のねにかひよと菰の声するがあやし網彦
笛の音と鳴かはず鹿のあはれさにふき合されぬ京泪かな久住
裏徴
つくばねの嶺よりおろす小男鹿の声は涙の渕となりけりけり鈴麻呂
糸による物ならなくに妻まくとかせきの声の長くひくひく哉真楫
㙒べはみな女すがらの七学をいづれかつまと鹿のふもゝらむ於鬼門
そぼたてる山の紅葉になく鹿は屏風に書し絵をぞみ又ける春好
もみぢ葉のもえたつ色を踏ゆけば消るやうなる棟鹿の声う若苗
長き夜に寝かへる足もさむしろの耳にひゆとぞ鹿のなくなる酒盛
野くきせぬさきに子字を踏蓑しおのれと枯出棟蒔の声真屋
物いひし萩の葉ごとのすれ〳〵も鹿の妻こふわざくれにこそ千代丸
谷川を辺だつる妻に恋こがれ月の舟をも呼ぶか小男鹿平樹
秋暮の花摺ごろも鹿の音に袂しぼれは鹿の子にぞなる由刈
湊河水上遠くなく鹿も風に流れて近くきこゆる安躬
陸奥簗川
八百穎は千かひよとなく棒花やこの出来秋の田上のやま音連
照月にうつりし影を小男喜の露を引つれて帰るかと見つ磯名
田場坂
もみち葉の錦着ならなく鹿はあやに応しと妻や恋ふらん万丸
花樹の思ひみたるゝ糸荻につれらば似合ふほそき蕗の音万象
恋わぶる牝鹿牡鹿の二並や耳につくずの緒は多くして百枝
棟葬はあその御狩を聞しりて兵書は草かず逃にけらしも古道
北男鹿の恋やせぬらん育〳〵にいよ〳〵声の細く聞ゆる年太正
かはころも着ても寒しと断まてる夜はに男鹿の屏風み立しつ真錦
日妙加花一
月に鳴鹿を馬とはさねとも露をこふてふ各はおひ給ひ給ふ
なく蕗の細きねざしを尋ね入れは蔦や真草のしげる山陰干船
妹等許野をもいひけは薄より胸にさはれる棹茗のあう浪類
心なき人にやりたやなく鹿をきく度いたむ胸分をして雪邨
日妙
さつ男等が矢先のがれてもみぢ紫のひともす山に遊ふ小男鹿乗義
なく花の声にくしはあらねどもなとてなみだの雨を催す常道
一筋にたゞ淋しさや小曽鹿の声のみ通ふ蕈のほそ道香貫
摺ほりて背負て下る山里へ葬もはるぐねをはこぶなり折鶴
山里の賤がふせやの夕けふり細くてたえぬ棹菰の声愛
まだ筆にならぬさきから命毛もたえんと思ふ鹿の妻乞直業
淋しさに物もいはれぬ夕暮のあはれをふくむ小牡鹿のなう喜代丸
馬といひしためしあればかやるせなき恋の重荷に鹿のなくなる春友
駿府
夜もすがら慈する鹿のいと細き声により来る妻もやさしや綾彦
妻乞の声につかれも身の顔夜ごとにやせの山の小男鹿歌雑
賤の男の作りに鳥や鹿は猶田刈る頃とて舜はれにけう宣俊
外へ来て鹿はなけども騒ぐしくきまたうちにてしらぬ夕ぐれ同
行かへり矢たけに声をたつゝ弓ひかなしつまによるの小男鹿見鶴
中〳〵に秋よせつかぬ木辻にも我しり顔に葬は奈くなり三成
竹の子と見し袋角いつの間にはやさを喜の妻ごひの頃松友
蛍ほどなかぬ女鹿は男荒よりけつく胸をやこがして待らん音澄
染昔山ひとつに雲の結ばるは露こふ鹿のむねのけふりか橘宮
あこひにみだれて狂ふ小男花の肩に錦をうくるもみぢ葉見詰
小男鹿の前よぶこ鳥きく秋はげに淋しさのまさるなりけり
前こひて痩たる鹿は木のもとにかなしひの実をくひて鳴らん薄墨
戦ゆく旅路は山の腰刀さび〳〵とおもふ秋鹿のこゑ水丸
谷底の妻をこふるかきくにさへ引いれらるゝやうな。薪の哥金文
小男鹿の草のたもとに顔を当てほろ〳〵おとす露は涙か寿久道
毛は筆になれがはゝ言のうつくしき水茎の岡につま恋る鹿難歌兎
桑名
小男鹿の上毛の天津昼額は稲葉の雲に見えがくれしつ昼華
恋せまる暁近さ鹿の音は遠くきくさへあはれなりけりけり仲芳
山〳〵を重ねて鹿の恋やすとやきもち坂になける小男鹿睦実
ける〴〵と空に聞ゆる鹿の音はみねにかゝりし雲になくなり排夜
唐衣ほす棕萩の各にも似ず亭には人の袖ぬらすなり水産
妻よべばいらへやすると山彦にこだまされたる鹿ぞをりき
萩原や紅葉の泣を床として露こふ鹿ぞ色好み奈る龍波
山鳥の尾花かたしき棹鹿の秋の夜長うひいて等なり暗人
棒鹿のいる野の露のぬれ衣もほすゝきわけてひよく鳴らん針蝶
なく鹿にむねにたがりて寝られねば一夜めぐりに方違へせん綾繋
石打の音かときけば小男鹿のよめの五器なも祝ふ落植金積
小山田をうらんといふを露事と聞てや薪の騒ぐなるらん綾機
夕山に鹿のなく音はきり深くもみぬいて耳の底にこたへつ糸守
山と山かけづくりなる下庵にほそくもとゞく小男鹿の声壺華
なく菰の哀れを顕にせんとて汝が毛の筆のさきもぬらふ有六
松の葉の霞まろはして麓まで鹿の音おとす秋の山かぜ玉湧
立る野の鹿は葦毛になればとてかくゝ涙を人にふくます笛水
赤にかく袖ぬらさせてほせよともいはぬはふとき棹花の声真名文
夕されは恋の書かつに堪かねてふもとへおろす小牡鹿のこゑ読人
妻をつれてむつれ七つれゆく中にやつれてひとりなく鐶鹿真顔
秋山
栗もゑみをかしからんと思ふかもいでやゆかしや秋の山里
建礼門院
右京大夫
衰微加花三
小牡鹿の鳴いざちてや青山もうれゆく秋の梢とはするゝ深伎
裏微加花二
夜嵐やしみ渡るらんもみぢ葉のすりむけしやうな赤ほだの山以足
裏徴
もみぢ葉を七枝八えだ枝折に九折する秋の山つと三暁
栗はゑみ紅葉はそむる丹波山手々打てこそ読もめづめれ古杞
秋山の木下紅葉てりつけてわれこそまさめゑめるいが栗石樹
村時ねしらぬ菌の笠までもかりてぞかへる蟹の山ふみ田主
はたち山春夏過てよそめには四十年あまりと見ゆる此頃真河
夜嵐はわたり拍子のさがりはや盆吹山の秋のこずゑに政女
うらやまし枝の紅葉を切くべて酒わかすらん聲の山ざと春則
肌寒く吹て梢もしは〳〵と風にしなひの見ゆる秋やま万象
手向山聲の錦を散しつゝぬさふくろふの鳥も越ゆく雛子
日妙加花一
かなしきと歌にはよめど秋の山どつとゝ笑ふ風のいが栗松人
目妙
さへぎりて霧がかくせばかくすほど哀れに見ゆる秋の山〳〵真友
木々に猶あかき心のそまりてはかへる色なき梅の山ぶみ凹
衣うつを谺にまねてはだか山世間をかざる冬のしたくか古根
葺取の紅葉をわけて秋山のしたび鼠のかはわたる哉眞楫
茸狩や紅葉狩とて芝居する秋の山辺にきり幕もあり水紋舎
山くは色づく秋に色づかぬ富士は三国一能のけもの真風
もみぢ葉の日の照る下はあつからで扶ひやつく秋の山路空寐
春の日の長さも笑ひ暮せしが秋が来たやら時気なる山瀑布
欲深くそめし紅葉を惜みてか秋の日長くくれぬ山〳〵乗益
棚様にかしなくしてやほすといふ衣は見えぬ秋の美具山伊丸
松風の時雨をさそふ秋の山すでに木の子は笠き開けり橋住
秋こもる小倉の山のこし障子そこら紅葉の散しきし張金也
もみぢ葉をきり立わくる小倉山宮紙文庫の錦とぞ見る唐文
立田明いかで染けん高野山女人堂より奥の紅葉を袂
奈良柏あやもわからず紅葉して似し木の多き秋の山〳〵色美
朝霧のおりしを見ても紅葉せし錦の裏にまがふ椽山枝折
秋の山けぢかく見れば心まで遠くなるほどさびしかりけり綾繁
紅葉見に出入る人は有馬山蕈もおよばぬ秋のながめか綾機
雨の日はさはしき秋の山姫にちさうぶり承る紅葉のひ菓子三輪丸
兄十三七
秋山のしなび男と笑はれん広くたびれてもどる茸狩貞顔
蓋
蒼雲井の雁に何といひて壁の中より声食すらん駿富門院太輔
裏徴加花三
笛の音にあはせてつゞりさせ〳〵と梵論が菴に等きり〴〵す諸實
東袖の露にやどりし月影を又くもらせてきり〴〵奇写真風
裏微加花二
味とぬる枕の下のきり〴〵すりんきか水をさせ〳〵となく元礼
鹿の毛の葦や化しけん蒼鷹の花にはすがりてぞなく鴫立
独寝の枕の伽かきり〳〵寿小夜ふけぬればふたつにて等芳文
裏徴
袖の露寝床の下へもりつるか古打をしてきり〳〵丁なく平樹
一針の目を通吹づかりの月の夜につゝれさせてふ莟なく安土住
秋の野を染ぬる萩のむらさきにはひさせとなく莟かな金窓
鹿の海枕の山を飛こえて東くきり〳〵す笠の長さは磯名
海老に似し鹿のにこさよきり〴〵す枕の下の海にはねつゝ石樹
哀さは千草にすだく声ばかりみらくすくすく早くからろぎの多き白根
秋雨にさしたることはなけれどももてなしぶりになく蓑倉光
目妙加花一
狭席に舌打しつゝ独居に寝酒すゝむるきり〴〵すかな花守
竹簀子枕の下のきり〴〵寸寝かへる度にきり〳〵となく真国
きりぐす露の底なる松むしに蟹の中より何か物いふ眞樽
長月もけふきり〴〵す秋冬のとなり合せの壁に来てなく竹広
すだく音にひゞきの入りし破れ契ぬる夜落ずに蓋鳴三馬
佐渡相川
雁がねに散りあはす時煮から〳〵と籠の戸をならし鳴夏海
踏のばすあしのまろやをせましとや腰をかゞめて赤く春芳風
賤か家は縄の枢戸あけくれにきしる声してきり〴〵奇鳴香貫
両風のいたくあたればさへよとや壁にさがりて高くきり〴〵す筆丸
きり〳〵すなくかはねるか桶の痛飛だ所で舌打そする岸麻呂
蟷螂のはらたつ傍に有こ草の笑へばこれもなく養真園
朝貞の花をしぼりし垣づたひあをしぼり〳〵高く養有安
蓋もまたとらぬ囲の燵のあたり茶をすゝるやうになく養望先
賤か家の竹実の床の足音にきちと音をとむ養うな福耳
汝が髭をはさみ虫もや煮いたくなくなり長き夜すがら道足
寝所の破れ畳をさせ〳〵と夜ごと未でなくきり〴〵方哉金也
きり〴〵次椽の下なる力持片手に物をさせとなくらし金文
雨のもる穴より落て賤が家に萱をさせとやなく蓑野
おどかすか秋の哀れのとにかくに戸にかくれ居てなく蓑最高枝
破れ契つくろひ顔に土させとなはきり〴〵す鳴すさ山らん真河
今学の中でなきしと筆つ虫かきわけて見る水茎の岡秀樹
股に針させ〳〵となくきり〴〵寸又よむ人の味気覚せり保養
野に庭に垣をあはせのつゝりさせとはり合もよく遠く養道時
暮花の岩もおもてもきり〴〵すはぎ合せてやつゞり漬らし駒玉
大原女のかしらの上のきり〴〵歌集に紅葉をさせとなくらん堅則
声枯てさきのきれたる藁つ虫落書したる壁にこそなけ露置
きり〴〵す蓬が杣のいかだ仰か足ふみまりて棹させと鳥真顔
菊
植て見る所の名にも似ぬものは黒戸にさける白菊の花高遠郷
裏微加花三
甲斐石和
星に似て多かる国の菊の名は中〳〵空に覚えられじ那葛丸
やまとには何と呼ぶぞと花の名をきくとて種や渡しそのけん石樹
菊におけば山人にさへなめられてはかなき霞も水代は焼給べし柿人
若やくと菊の白露吸ふ蝶の髭よりやまづ黒くはらん真葛
花の色にこゝろを深く染りやう悠然と見る蜑の村菊真垣
裏微加花二
文好む兄にはさらに似ざりけり酒にひたりし花の弟は行名
ほしとのみ思ふ心に目のくれて月の出しもしらぎくの花
腰のへて見めぐる菊の高作りこれも老ざ給ひとつなりけり磯名
田場坂
夕暮は蝶にまじりて白菊のかをとりに来るとんぼうもあり
たわみ小す枝を直せば睡居し胡蝶もおきる庭の村菊行業
種こそは違へど梅のおとゝ草これも星には遠の白ぎく宇万之
名古屋
拾ふ間に千代も経給べし菊の霞つよめば消て埒の明ねば松雄
裏徴
白髪の老もかくれんぬば玉の黒戸にさける菊をかざゝば眞名冨
白露に黄そひて花はさきき竹のそが菊の香ぞ深草の秋真楫
昔より老せぬものを翁草とよばれて菊の恨み顔なる於兎門
夜のほどにそと折とゝらばあるしよりおきて尋ん菊の朝真名冨
早六つの鐘よりさきに遠に出てしもくかしたる菊の花守仁恵高
菊の酒くめば寿命もさかづきも長〳〵となる秋の夜の興亀水
山路よりうつし植たるしるしありて高低のある壇の村きく春則
撥さへすけば延るときくの花人のいのちもつくり物かは常見
目妙加花二
あたゝめて菊の下水くみ題に和歌せよと花を賜ふ宮人大酒
目妙加花一
佐原
世の中に雇こる菊はさく花のおとうけしとぞほめられにける杉盛
口ル中四十
駿府
たつふりと千代をこみけん紫菊ほころびかゝる花のめでたさ綾彦
菊園に遊ひ暮して齢をも往すものべてもどる山里泰麻呂
甲斐の国つるの部をうつし絵のしろき近後に麦菊植らし三馬
桑折
百貫の価にかへし大菊は一かいほどの編立の輪道好
蝶の羽と打答ふて葉もこぼれざる菊一文字花のさく物真似人
目妙
高畑
老せずときくの白霞かさねても風にはなどか葉の動くらん笠丸
大熱さ折によりてはきくの酒何かは苦しかるう呑べき直成
雷の夜も寒さいとは専一重をも脱てきせたき菊の直許長路
百学の中に煎こきくの花誰もほしがる黄霊白かね繁理
花の紐日ごとにとくは老後の手がらなりけり大般若菊味名門
今年きり〳〵とてゆたかなる菊の作るこがね菊かな盛蓋
信濃東條
花の香の袖いろ〳〵の染綿を登るはみごとに重ね菊哉元佳
心あてに折し雲井の百菊をしもざまになどみくだしつらん方住
とつくしさ花も三寸ばかり升竹取そへてうゑし姫菊古則
宵〳〵の月の光りを過らずのはいつ盗ばともしら菊の花彦
さく花の弟といへばそが菊のもやうに汝もとまる胡蝶か菊守
香にめでし梅よりも猶伽羅の名のにほひは菊の葉だにこゐたり真鰭
源平の旗の色香ときく花壇壇の浦へも廻りてや見ん真秀
斧の柄はいぼしか朽て葉ばかになりても菊は花盛りなり弘道
委陣の笠一かいをまづすゝむ菊はまえの司召かも真俊
いつの間に霞の菊となる菊や添竹といふ杖遣たのみて河船
千代誰んと植たる菊の盛りまで又この秋も生延にけり米守
空目には菊の中よりちる露も流るゝ星とまがふ夕風米積
韃の逆毛によくも西東なみ居てあみすけふの乱菊倭文雄
松代
人之那の寝つゝ鳴めづる雪の夜の月には菊の根つけとてさす文字成
兄と呼ふ梅ほとは患も出ありかず園のうち浅にそたつ白角真喜
ふる霜のつるぎに花をいためじと菊に兜の名やおはせけん剛樹
鷹の世をのがれし菴も目の顔のたねを作れる黄重菊うな綾鳥
長生の酒にくるはやさく角を第と花にむべもなぼけし百成
年ごとに星を並べてよく作るかぶとなりたる鉢植の菊一得
雨障子かけて盛りもひさかたの星の林にまがふ菊園網女
三條
高並に酒はくむとも酔過てころびな落そ菊の白露千代住
手入せし花も盛りときく月のこゝのかとなみにほふ庭かせ満せ
霊に寝し竹を寝させぬ杖として又雪と見る夜はの白菊真行
花園をひいやうみようみと幼子が数をかぞふる手より菊かな
よみ歌を愛てつけたる短冊の雲間をもるゝ白菊の並垣広
秋深く菊の患ふて露深く池の底にも謹か植けん白根
仙人は山路の菊の花に寝て花におきたる露やなむらん幸風
荒なめし城近堂はついぼみて汝も千代くほむる菊園花成
一夜ほど杖あつはれる篭の友辺にも菊の腰折はあり樽人
霜にまけぬ花の方のつよき式富士の裾野に見ゆるそが菊此主
杖つきてさく門守の翁草秋の末つむ花といはれん耳風
酒投て訪来る人の袖かとも嗅違へしはかほふ白菊真顔
九月尽
乞ふ人に千々の黄金はとらすとも秋のくるゝはをしくぞ有ける匡房卿
波那細
今日ぎりと限れる秋のあはれ〳〵哀れはかぎりなくあはれなり真葛
裏微加花三
物さびし秋にわかれてあとよりは淋しからんといふもをかしや礒名
裏徴加花二
白露も薄も秋のわかれをば寐つおきつして惜ばなりけり道時
裏徴
なるは又冬といへども群の日の辺りゆくことのをしくもある哉夏海
神と思いになるゆく秋の名残ぞと送るしたくも時事浪類
今日ぎりと秋のとぢめの山里は藤葉に鎌を立る地もなし繁樹
起たらば故が別れを告うかと雖は空ねせしたるなるなるらん
夕風に酔て霧のまがきよりくゞりて秋のゆくにかあるらん鷹短
日妙
きれ〴〵に尾喜の袖の残りあるはふりきりて秋のけふやいにけん楯成
けふといへば唐の大和の錦をもなへくら山にくれてゆく秋鮒主
官とする紅葉の色は深けれどあさてあたりやくれてゆく秋常道
唐錦たちきゝ秋の名残とてはつれてぞゆく木々のり長葉花麻呂
ゆく秋を漕戻すべきてだてだにつきて指しか朝顔の舟鳴音
初茸を通す尾花にまねかせて秋の尻をぞ結ひとめたき空風
立といひし風も尾花の中わけてゆくへのしれぬ秋の果か那音漁
あれはたつ神にいのりてとゞめなん隣の冬に小柴さしても満足
去宵こそ冬のとなりの壁一重枕に追くなくきり〳〵南倭足
錦着て帰るか紅葉散そめてかたみもおかぬ秋のつれなさ比左志
水戸
三九日もけふを限りとなり給う茄子五ろともにつきてゆく秋家住
ふしまろびけふの別れを惜むかな秋の椿ゆく小田の案山子は針繁
追かけて来る人もやとつごもりの一音にまぎれて秋の行らん眞顔
冬部
初冬
わたろみに風波高し月も日も走り舟して冬の来なれば保憲女
裏徴
墨かねの暦違はずかんな月霜柱より冬は立けり直成
残りなく嵐に散て柳さへかみなし月となりにける哉金家
足もとにはつと立るは今朝冬といはれて散し木葉なりけり満成
冬来れは水も氷と名をかへておとなし河のゐせきまぞ居る古根
秋くれし紅葉の色を重ね着や今朝よりそむる埋火の本田雁
きのふたつ秋の錦のうら衣ころも昼ずして冬ぞきかける佗住
目妙加花二
心なしをやとはぬ冬となりて今朝ちとの透間もいとふ寒けさ春友
月妙加花一
冬こそはきぬ地に絵がく山河のけしきも急に寒てみえけれ真弓
目妙
眺れて秋のいなれば新参の冬の火鉢をかゝへこそすれ高根
いつの間に咲かおとゝひたつ神の留守に思はずけふ帰り花岸麻呂
けふははや秋と冬この継手からはなれてかみの出雲へぞたつ直道
霜柱たちて落葉のやねふくは来る西冬の仮屋なるらん益人
神無月偽のなきしるしとせ今朝は社もから風ぞふく鳴音
ふくよかに綿あつ衣北窓を北叟ゑみして冬ぞ入来る倭文雄
はや冬も行列立て真先に鑓のやうなる風ぞ来りける間頭
難波江の峯の村芦霜かれて寒さのめだつ初冬の空蔵満
ゆく声と来ける冬のはひり口草履と下駄の村時事かな下見
ゆく秋にふらせし袖の露もはやひたやごもりの冬となりぬる糸女
きのふまでめでし紅葉を爐にくべてあたりを照す山位の菴一力世成
冬来ぬと門をたゝきてしらせゆく風は時事を誘ふいそぎか久住
赤き色をさそへるけふの木枯しは海の神もや出雲に行らん速水
北風の出這入すなる家門は一段冬のしるし見えけり下道
錦せし木葉も色を失ひてけしき替れる冬は春のとかり美種
○
冬さればへう〳〵とふく筑後風々嘯く寅の方よりぞ来る真顔
時雨
薄く濃く色どりそむる時事式絵嶋がうへの木々の梢を為家卿
波那細桜迺愛
透通る蝉の羽ほどの薄雲の袖からもふる村しぐれかな浅方
波那細
頂は兀かし山のかみな月しぐれの雨ぞ油気もなき読人
裏徴加花二
風騒ぐ声も小春のわたり塩一村くらく時雨きにけり和布刈
住荒し冬の山家の破れ壁ぬれぬ所もある時雨かな磯名
裏徴
万葉の中にも時事ふる音にうけ答する楢の葉ぞこれ声音
村しぐれ雲のはやての風やみて月の御舟を出し給ふらし楯成
朝の間は都をめぐり昼は比叡夜は辛崎に時過ゆくらし凹
天の戸の雲を開きてしぐれゆく跡から〳〵とたてる木枯同
辰の即時雨がちなる空なればまけてぞ帰る古着商人倉光
ともすれば松にはすねるくせありと今朝もさそはぬ村時雨哉大酒
日妙加花一
定めなき時事に笠をからんよし返す世話なき軒をからばや三春
目妙
騒がしく何いたづらを時過雲風に追れて逃まはるらん玉丸
切張に紅葉を散す障子まで時過の染る松下の菴早人
山陰の紅葉やさそひ残しけん立もどりつゝふれる時事は満成
雲の立千里もはしる虎の門藪小路へと時過かゝれり山角
ロル中四五
浮雲もつゞかぬとてや折にしははこびやむる村時雨かな御風
甲斐がねにたつと見る間に村時雨横切ふれるさやの中やま黒堀
けふも又時事に袖のなれにてり三笠の山をさしてめぐれば千代増
淀河や横に時雨の車下むかひの山は日のたから寺長閑
先供の方はしぐれて大名の上りゆく跡ははるゝ伊達傘裏襟
忘れたる笠にきのつく旅人の跡追かけて来る時事雲山
みな人にかさをさゝせてこちらにも夕日をさゝす村時雨かな歌間主
濱松に風吹しくと見る内に横にくるまの時過はぐしや芳文
さだめなき時雨に夢を残られて華度とれて結びてぞ見る駒彦
ほころびし雲間の月をかくせるは時過の糸の給ふかやあるらん三春
大峯の山めぐりする初時事ほらふくやうな風のはくしさ仲住
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しらぬ家にふればかけよりて村時ね二より三より驚かしけり真顔
落葉
風ふけば桶の枯葉のそよ〳〵といひ合せつゝいづち散らん惟宗隆頼
裏微加花三
かた時雨するかと窓を明たみれば照ながらふる庭のもみぢ葉春風
うつくしう染てくれたる霜の花に枝を譲りて七る木葉式仁恵高
風に騒ぎ雨に落つく木葉かな木々こそいへど心そろひて素顔
おくればせに出雲へゆくか風の神五色の幣と木葉散して綾繋
昼間さへ木々の落葉に埋みては石のなくなる小夜の中山古則
小倉山峯の嵐も人あらば一度は枝に返せもみぢ葉政雄
吉野山さすか桜の落葉とて八重に一重につもる風筋直成
冬来ぬとつげの内匠か山里の棟飛ありく風の落葉は和布刈
兄中四六
きのふまで音葉と見しも紅葉して手の裏かへすやうに散けり竹広
落葉たる頃は囲鶴森の渋菊さへくまでせはしき冬の山里綱女
散つもる木葉はやがてふる雪のかい敷になる杜のしたき武光
日妙加花一
村藤葉しぐれの声をぬすみては風に追れて山をめぐれり吉躬
天人も衣にせんともしむらしおも白く看て落る木葉を宇万之
日妙
高畑
山賤がよごれ足にはふませじと落葉を風みや吹上ぬらむ直成
神無月御留守の宮は鈴木らで風に木葉のから〳〵とふる常道
錦着し木々も老ては落葉して紙衣に似たる冬がれの山元住
一山筏がかけば煙のたつ落葉もゆる水葉のちりつもりつゝ安高
遠の面に柿の水葉の散しきて渋紙色ぞ風にがさぼく蓋人
箒持て日ごと掃除を時過にははかれて木々のちりつならし唐琴
風に散はてし学守の神無月かへらば何をもりの柏木雄
不自由の中に自由は焚つけの落葉を風がはこぶ山里真俊
嵐ふく吉野の山を落てゆく錦の籬と見ゆるもみぢ葉蔵満
次数氏紅葉を軒にくゝり猿風の夜なべのさゝがにの糸問
杣人の遣ひからして斧のはも今は落葉とこぼれぬる哉哉成升
木葉屑ちりしく辺をはかせじと風は箒を吹たふしけん打人
雲の波たつかと見れば風に乗て空を走れる木葉舟かな諸実
竿目の青海なみに風そよぎ落葉の舟の走る庭もせ
嵐ふくよその梢は天の川紅葉の橋の落るかと見る護人
この頃は風に音なき落葉山舞くたびれし物なるあるある
枯蓬の綿をもいれて焚火する木の葉衣ぞぬくとかりける
同中四七
氷
谷河の水も氷に結ばれてとけぬ帯する吉場の中山隆房卿
波那細
最上川かぶりをふりて稲舟のこはす氷は気に入らぬかや礒名
谷河や結べばとくる薄氷は繻子の帯する吉苗の中山素顔
裏微加花三
桑玩
薄氷目がねのごとくはりそめて今朝人の目にかゝりこそすれ八問
裏徴加花二
木枯にむすぶ氷はうぐひすのほうといふまではとけぬ前るへし
止水も木葉がくれに声立次冬ごもるかと見れば氷れり綾繁
裏徴
ふみをかく硯の水も今朝見れば薄やうほどに氷そめけり津房
砕く音はみしりといへとつめたきに手の覚なき厚氷かなし
夏は日々に人に結ばせ今は又床と氷にむすふ真清水
目妙加花一
一山の腰まはす筧の水もはや氷をむすぶ雪の下帯門成
きのふより今日の寒さにしたがひて窓の水も氷る冬の夜松人
片口に波おく水は方図のうちはのやうに氷るをかしき真貫
甲斐今井
朝まだきくらい内から手水鉢岡の出るまで氷たゝけり人文字
日妙
寒しとや衣が崎は氷もて冨士の影をも覆ふなるらん長路
佐原
冬といふしたしばかりに結び目もまだかたからぬ池の薄氷杉盛
はりつめる氷は親のいさめほどあつくて水のおこなしうなる仁恵高
帯ならで水の仕立るはつ氷波の皺さへ見えず結べり睦貴
厚氷橋になるやと童部等がいて踏そむる心見が崎水彦
池水の心ありてや寒風を魚にあてじと氷りたるらん比左志
小流れの日々にやつれて老ぬれば水にも骨の見ゆる氷ぞ好竹
浪風もたつことかたき水鳥のあしをかゞめて氷る難波江金積
あぶなしと思ふか池の月影も夜ごとにかける薄氷のうへ百潮
氷めはならじと。波は河尻へ跡しさりするか音遠ざかる真顔
鴛鴦
池水の淀わたりたる心地する酒の余波を伐しの昼暁月法師
一裏微加花三
月影のうつる方へとこそり居て丸い半のみこの心をし鳥倭文雄
裏徴
散らきく紅葉の錦皮の綾二つきて見ゆをしの毛衣鈴麻呂
寒き夜はかはすかたはの一つ寝にあしをよせたる駕もむつまし真広
紫の上毛のなしは薄雲のゆかりも深き池に遊べり馬伎
隆興のおさへの池のはしの羽は錦木の色に見えてうつくし下見
むつましさ女夫のをしに弓と矢をつがひて放つ健男もなし諸実
目妙加花二
大井川屏風のごとき岩渕にたゝむいかだや一双のをし増人
中よくて露たひは奈かりけり埴安の池にすめるけし鳥吉躬
日妙加花一
をし鳥は二人静の舞扇水さへ池にくる〳〵と舞ふ、馬伎
日妙
羽を森にみがく細工の玉くしげ箱の萌鷺か池のをし鳥満峯
屏風なる絵にかく鷲と見ゆる式引廻してもつがひはなれぬ二九住
池水の深きいはれははなしてもはなれぬ鷹のよくしりつらん二羽
田場坂
はし鳥の契は深き弓こ矢のつがひはなれず池にいるなり高喜
池の遣し帰り傍へ前すりよりそこの寒さには氷りつくべし栄
立田川礫うちなばすむ鷲の上毛のにしき中やたえなん直道
はなれじと思ふ心のひとつにてふたつにならぬ池のをし鳥裳頭
女夫づれひとつになれるをし鳥の中をさきゆく水はあらじ那樽人
重からじ人まはれて添ぶしもこの中にある鷹のめをとえ真顔
口八中四九一
十一日
虫
淮亀秋琴一柏
クハア燕子楼由刈
五三九十二ト三十三
おさふれはすゝきに指をきり〳〵すいつれかさきへ紙につゝまん
オク二本松
十四十八十一一
クニ本松東川亭為清
秋もまだ声あらそうてかも川のつゝみにすたく車こほろき
西山楼
一十五十五七九三
みやつこかしめゆひなほす足おとに中たるみせし鈴虫のこゑ
五十八十五一
六径園
とらへんと思ふ心も水となりて逃行むしはしれぬむさしの
七十七月七十七十七十七月七月七十七月七十七十七月七十七
一柳遊軒住安
何ほともねをたかくなけてか月のさはりにならぬ庭の松虫
十三十二八八七
二本松為清
何ほとのうま猶露をやなめぬらん舌打をしてなくきり〳〵す
十七七三十十
千梅庵為安
ぬけ出ていつしか篭はからさきや庭に一つの松むしのこゑ
同二百二十二分五十五分
尾、双條園
十五五七五三十
一栗原にすたく姉羽の松虫もみやこのつとにいさとらへまし
七七十六十五
多鳥趾堂
一きうすき千椀の花の露なめてむしのねいろもわかる秋のく
市中庵壷刻
七九三三十四七九三三
かゝるをり歌かむ心出来つらん道潅山のみのむしの声
甲冑
甲市亭
七一六十三七七
月六よひへちまのつるやきり〳〵つもとはとくりの口にさせてふ
古風亭真音聞
一十三一八、十
立よりてそこかと見れは今も猶むしのね遠く逃るむさしの
歌の屋
九十一五五六
なく声も尾花か波をうちこして聞ゆる秋の末のまつむし
七三六一十三十
一桂庵直延
賤の女か夜なへのともしもれ出て。よこにさずひに来鳴はたおり
七六五七十二三
暁
一鮎も瀬につて頃なれやむしもはた草の波間に声さひてなく
七五九〇十二七
琴通今
こゝらかとぬきあらすせは鳴やみて舌打したるのへのむしきく
五七十七八三
尾、木公金千代住
駒とめし所もさらて秋も又くつりむじなく井出の玉川
十三六三五七五
一今万販楼倉積
馬たらひにいけたるさまよ草花のねにからみてはくつわむしなく
五一十八八七
一同三一両国主丸
子日せし春にはかへて秋のゝに人かひかるゝまつむしのこゑ
五十五匁十二一
尾、曲水閣龍垣
われかちに夜さらなくねもあらそふかかものあたりの申一ほろき
土九六八七三
年始卒併丸
さしかにし糸かけさせてしらふるや琴にもあはすまつ虫のこゑ
桃原亭
五六六十八三
昔いたく粒皮にすたくすゝ虫をすゝろに袖のしほたれてきか
冬月
五五十六八三
風月桜竹守
はたおりのむしとかへもたいまつのひをくゝらするのへの草むら
五十三一十五三
一サノ藍版亭裏染
秋のゝの日も西陣にちかよればはたおりむしのすたく声〳〵
五三三七九十
一、西楼住方
なきたつる声の中にもなみこへてねをあらはせる磯の松むし
芦原雄風
五六八十七一
物さひし秋の重荷をわか陰にはこひ啼する車こほろき
○七九三三八七
浜政子
かち路ゆく人にのれとやすたくらんこはたの里の高追のむし
五七一五八一
五福亭
風ふけは草かる子らの笛添てむしのねはこふさと星の小野
一七一十十
常門陰於茂高
こは竹の初春なれや妙か屋の門にたてたる松むしのこゑ
一七六七八七朝霞亭掛益
さひしさの秋とはいへとあきもなくきくにはてなきむさしのゝ虫
一九八五七十
篁月館千潟
むさしのをわくれは虫も逃水やこれもくゝりて遠きかるこゑ
と
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
五六三十二八丁同ノ清水幸駒彦
五六三十二八一
夜あらしにやふるゝ夢をきり〳〵すつゝりてみよと精にそなく
双松庵二喜
土九五五八三
わひすみはよしあしくほの世をさりてひとりのみきく集たて虫の好に
今
五一三五八三
座、袴井金浦
にきはへる民のかまとのきり〳〵すおのれも声を高き屋になく
五〇九六八七
亀玉堂
はや秋のあはれ催す庵もせに一葉ちりたるきり〳〵すなく
笹の屋年新
五十四三一八一
諚口もあきの夕の長局用ありけなるすゝむしの声
一十三一五七五
竹葉宿哥守
鷹の羽のすゝきのしけるみかり野にふりたてなく鈴虫のこゑ
一一三七一七
後歌楼目出洛
音にひかれくたる野沢にすむ蟹のはさみをみたすすゝ虫の声
五一一一九十三
壺則
さむき夜となれはほろさすむしのねも破れし宿の袖壁になく
五一五一五一五
クヂ乗散守大入道
あはれなる音をたねとして秋のゝに哥やつられときり〳〵すなく
一
一一一一五八三
さひしさにころりとこけて鈴虫の昼も祝さする茎生の宿
五六〇一十二一一
一ヒガタ秋栄堂
初夢の茄子をあたへしん舟底のまくらの下のきり〳〵すには
甲フ衣紋亭
十三一一五五一
なく虫も坂東声やましりてんひけに霜おくよはの簾束
甲藤田峽廼屋一飛
十七一三十四一
見てみへす前かときけは忽寺としりへにあるや野路の虫のね
一一一三一十二
紀寿名男
からさきのひとつ松虫鳴声をきけはなみたはふるよるの雨
一一一一一一一
十百月十一日同文車
秋風に尾花なみよる松かへにつるせはこきし虫籠のふね
○
淮南堂
声たてゝちるる一葉のきり〳〵すなれも秋をそしらせ顔なる
十月
亀玉堂
むさしのゝすゝきいてもとてる月に秋をわけてなく虫の声〳〵
ヒカタ秋栄堂
物語よみさしきけは次广の浦鈴虫なるゝむし籠のふね
琴雨舎
一すきやもる風にほつなし蓑茶碗みたれ手前のむしの声〳〵
鳥趾堂代かは十一円の
なれもまたはまれやすらん刈こみしまくさの中になくつわ虫
柏葉亭
きり〳〵す庭の雁東の浪路よりきなく枕の下や海なる
月
樵松双径初六
ク今四半法師
九十五十五六ハ五
つまこもるそのときやかはむさし野に身のいるへき草はあらせし
養老今玉人
五五十三八十三六
西行のかこち顔なかあけれまを空になきゆく月の夜烏
九十三十三十三十三十三丁
松上楼房麿
邪魔になる雲より上にぬけ出て月みる臺にほしきふしかね
ロ
八十十五十五六
甲布川
甲江亭常道
月こよひうかれ烏にうかされて立なさわきそ山のはめまら
六経園
九十三十〇七十五
八幡山歌かく紙の鳥の子も手をはなれたる月の下風
十工八十七七
文車庵
てりわたる月のしらゝの浜風にそかれ出るかと見る烏貝
仙タイ壺宙楼里紀
ハ十二ハ六ハ
最上つこよひかふりをふるものは月見の宴の酒のまぬ友
九十七五十二ハ
松露堂辺
蓬生の宿は野分のあれからもこれからもももる月そうれしき
十七五十三八七
不尽専員貞
下折の去年にはかへて老松も影に枝葉を聞す身の雪
八七八六十三八
尾、龍垣
筏にしてやかてなかへきゝ山松のかけを流せる筈川の月
甲フ衣紋草
九十八五十三九
邪魔になる山こそなけれむさしのゝいつくか月の入間都そ
十一丁
七十二七十八ヶ
十帖堂浪吉
地紙窓ひらけは風に穂すゝきのかけをすきこむ月のたやけさ
五八十十三七六
一円宗一宗宗宗
待わひてつまかおくせかうたかひのまらさへにくき月の夜遊ひ
十十三三十五八
オクハ丁メ
狂言子星影
老となりてこしのかゝまる股からも月の桂のたけやはからん
十十五十七七
一尾竹籬庵賤麿
たんさくのおもてに月の辺つみてしるしの竹をたつる巻筆
十三七五八十三二
二十九月十九月
喰てねかたはけを月もうしと立てせなにおはせる松梅のかけ
八十三五八九五
同八六三五八九五五八九五
城のうちはさそよき影を水車いくつくみこむ淀川の月
五月薄干万多
十十八ハ六五
波の音にひゝきをそへて影に見る松さへ月の雪の下打
七七六七九十一
桃原亭
さやけさは昼におとらすすむ月に年はかりこそよかとみへしか
松の屋琴彦
一九ハ八十五六
若しらか見つけ出せしさやけさをおもへは月は老となるもの
西山楼
五十七八十七
むら雲はちとかゝるとも月の中の性よこよひ雨なさそひそ
一千梅庵為安
一十七十十八
あくるまて目見る友をかへさしとはゝきはかりはねかしてそおく
七八五八十八
壺州
萩かえにのほれる露もはねおちぬそれにも月の蛙屋とりて
五十二五十七七
古今亭斎房
て月のかけをあまたに水車屋としてあける秋の淀川
六六八十二五八
雪友亭山積
然る月とにらみくらせん朝皃の底につほみの花笑ふまて
八十七五八六
要義園近恒
てる月にうかれ烏の外はみな風に飛出すむら雲もなし
六十八七七六
楽々甘亀作
木の間もる月の氷のかけふみてすへりさうなる住吉のはし
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
八五七十六七
八一
クマカへ竹
クマカへ竹守
てる月のなかめよし野にくらふれは見るかけもなきともしひの花
十七八十一七
二本松為清
むら雲もかうたゝめとや秋こよひ尾花か神も月にそなへつ
七ハ三十八七
懸益
目かけのかたふくまてはあかさ堂秋の詠の一の権現
六十六十五六
栗葉坊耀
そなへたる雲国よまねきかへせよしいるををしめる秋の夜の月
七十六八六四
寿守人
雁の文字引札にしててる月の中の薬をひろめやすらん
五五十十七五
花前亭友頼
よし野ほと風のさかりを花とみん一目千町さらしなの小田
六七五八十六
てる月の匂ふゆふへはともしひの丁子かしらもめてらせぬなり
久米ナ不厭庵白記
五十一五五七八
さやけさにともしひ有してよみ哥をかきたてゝ見る秋の夜の月
廿
五ハハ五七ハ
一蒲庵浪房
秋菊の花はさけとも星ひとつ見へぬこよひの月のさやけさ
七十七五六六
玉川舎清志
心辺に見まかふ竹の春の夜は月のかつらの花さかりなり
七五六十五八
甲市亭
月六よひ烏のみかはねぬなはしうかれありける池水の面
五十五五八八
松柏亭辰丸
風はらふ枝よりおちてはら〳〵と目の雫のあられ松平
五八五十六七
常門陰於茂高
段々の手はよしわたるともむら雲の袖にないりそ目の単はゝ
七五十八五六、
二水楼読足
てるかけしもにしきの名にやたつたつ月のかつらのもみちなかれて
五十五十五六三
老児坊出来成
ひとつある月をふたつの桶にくみみつの浜辺をはこふあま人
ハ五七九八七
鳥趾堂
飛雁もそのまゝ類に友とちのうたの秋よむ秋の夜の月
舞雀亭船則
五五八八八六
目ひとつ雪よ花よとさかつきも三つかさねなる歌人の庵
一七五八十三六
同在永井緑竹庵琢磨
出て見上賤も板屋は目かけのさすともるとに百すをたつみて
六ハハ一ハハ
常養軒糸正
邪磨になる竹をたわめて庭下駄の跡は目たゝぬ月の雪の夜
七十一八七六
同同十三マ大島島女
から歌は盃といふ字を歌にふんてをふるふ月のまやけさ
一十五八七八
深樹周安丸
かさり出て陸はねかして関守の目のさやはつす十五夜の月
五〇八十六
高サキ
松花堂
月こよひうかれて芥子の外に又あすのひるねかたねやまくらん
五十二一十五五
一クハ千歳楼金雀
よみ歌の種となるらん月こよひ田毎へくはるさらしなの里
ハハ三五六ハ
川三星下園梅法師
一こよひ雪とめてぬる月におとろては跡をつけくるおのかかけほし
九ハ三十七一
上森丸丹園
歌へもる窓にこゝえて手をふくとみれはこよひの月を拝せり
八七一八八六
かけあかき紅葉にまさる目こよひ老になるともまゝのつきはし
五十三十七二
桑折千字亭高高楽楽楽楽楽楽楽楽亭
せはしなき中にも賎かに遊ひ桶めつる月かけ一かたならす
七五六五七八
表具糊吉
山田もるかゝしも風に手をついてゝ月には弓をひかぬ秋の夜
五五三七十二六
壺刎
ふりつもる雪とも目を見なせしはわかめのくるふ犬飼の山
五十五七五五
上、青井三村芳輔
つゆもちし萩のにしきに御鏡をつゝみしやうな目の野の宮
五八五五七七
忍行田
目岩内安
七曲の玉の横野をてる月はありの穴まて見へてさやけき
一ハ五十七六
島
駒とめてみそらに雲の袖もなしさの主たりの月の夕くれ
十
一八十三一七七
高川自寉房
うつ波のよるとは、さらに見へすりきもなかのあきの文しまの月
六七八一七七
武ヲセ使花園吾勇
手まくらの野辺とはいへとさやけさの目にねるもの一人もなし
尾、住方
五十八五七一
一石川やなかるゝ水のはやけれは月もよとみをたつねてそすむ
西山堂常雪
六七七一七八
むさしのはらのひろさそ思ひやる月のあかれる団子はかりも
房臂
五十三七一七三
一風はやみかはるけしきも月の夜は雲のちまとみゆる松しま
八五三六七六
一文道はしらすも蒲番より出来て商利をえたる中秋の月
一尾、笹の屋年頼
五三十二六六三
おもふとち月にうかれて行過ぬ千草の花の宿もからすに
五九一十二七五
琴通今
てるかけに見とれて人の老となれは月の鬼もまへこゝみなり
一十五五一一六
清し
汐桶にさしいる月のさやけさに手をくんて見るすまのあゆ人
一十三一一七三
周左堂本炭
広草髪寄にぬれてもてる月のひるかと思ふほとのさやけさ
樵歌堂
一人心むねてすませはすむ月に僧も道理一片の愛
高崎松花堂
しほの山さし出の賎にさし出てもこくまれもせぬ秋の夜の月
尾、双味図
陸奥のあこ屋の松も出羽にありこよひは江戸も月のむさし野
六経園
あれはてし不破の関屋の櫓柱にとて目のかつらの枝やさするん
同同同年代五福亭
宵泊りつけしを月の色客にぬすみうられて鼻毛よまれつ
六樹園
月をはる名所おほきその中に親のおやなるおはすての山
欠る
寒菊のはしもみへるし庭の面に籠作たる秋のめきに便々台
八雲あつしやけりの八重垣をつくるこはねにやふる鶏能樂寺
もしは如く枝は雪の浮なみにしかり勝なる秋の夕葉連住
秋きりの立間もはつか朝かほのしほりにはるゝ東雲の
むかしのための千種を待らみてきりのまかきの寝し咲せん南亭
朝のはひ向鏡の山のはしく息吹かけて曇る秋きり芝山
山寺のいらかもわか頃候こめて煙日よりひゝく入切のかね綱女
一道連の呼る声は聞せとまれく尾花はしれぬ朝きり只仲
牽連し駒も跡なく切はらみきり立のほる夕へ淋しき松陰
子を思ふこゝつたやみの親井もりて晴めらぬきりの海原玉倉
十五、
ふたつみつ
のこる
ほたるの
飛かけも
また小夜ふかき
〆
けされ河雪
木屑亭
雅言
十一
女山内
手をたすもたしくさこと朝なりに坊主合羽のしめる旅人花住
目さましき花のちくきや百艸の中にもきりの立る秋の野玉光舎よ正
定燈のあかしのうらの朝霧にみへかくれやく人もの宮豊秋
鹿の音はなをうたさしと思しを風かまならす秋のかきり・
天津よりからねと啼くわたるころ空にはきりの海を造れて
うかしと朝昇せしまに立のはる霧より晴て高き日の陰
一瀧行せう鰭ふる鯉もみへぬよく水上さしてのほるなり
ゆきかひもわかぬれに雪立てみとりにつゝむ遠の山松
日光
鳳鳴閣
夕間くれ雪のすかきを押あけて誰をまつらん秋の山姫
夕煙き雨となるとの舟長かとり遣す竿のしつくはらつく文齊
尽しさう捨しうちりも秋かせの吹ゑのやうくにしむ年雄
朝さむみ宿の障子をはる紙のつきめもふかくかゝにあき
雪深みけさはつかりのわたたかとみれは空のはねつるへなり赤下手
なましゐにとりのおこかねもはかられ頃雪によふかきの里
あふ坂の関
白浪のよらへさるかせうきみそも雪よふ沖の百船雅卿
けさもはた空のうみより生しは富士と二子の山のあさきり安信亭
あけのこゝかたわす月の船長と杖をさしゆく雪の海原芳影
夜なくのむねのかふりや積こし雪主のほる宇治の橋姫春樹
夕まくをおゝれどもみへす柴ふねのしばしはしかくはうちの霧古
夕まくせおゝれともみへす柴ふねのしはしかくるゝうちの霧
はさきたる多葉粉にまてもよきほとに霧ふき秋の朝風
秋の朝臣
四月亭
おく霞はまた干ぬ槙の板戸にも雪立けはる山の下菴
原川
花鳥
能生
物思ふ尾花か袖のおらはぬれてかはく間もなき秋の夕
紅葉
夫々ちみのつゝくお茶屋か茶袋もおゝめていろにあらんに台
秋の山里
一紅葉よて酒あらゝめて色うく事といてぬ上戸の貌いつきなし南亭
松一太かくと時雨に染るや儀理てからめるつくか紅葉く柳花園
よほと日のみちかくなれは紅葉にも時雨なわしき秋の混殿調女
赤く照る月のあたりへ吹付て風の紅葉の色やくらふる歌廼屋
夕日さ頃梢うつて谷陰の下ゆく水やまつ紅葉いに替り能楽寺
花の後かく生酔のいことては髪にのとかわか又ひとつ也喜廼高
風の手に峯の紅葉のふきちれは林下の松も染く色こき
紅葉かりせはや時雨のこゝちして日をみる中に曇村陰
風流と分入る艶のおまとふみしほりにちける秋の髪ふゝ玉倉
冬近いちをしらせてこおまより筧をつたふ秋の紅葉ゝ際住
紅葉狩人も綿とをもほへてまつ一枝いをる物とせん花人
紅葉につらひし人のをしんかと風雅と垣を思ひ山守喜廼高
仇なりとなきか錦はおふるともみううたしすなうたし
一今から春年の枝折をみちかへて花とをとろく秋の繁く知春
とす木にもあらぬ先から髪にして夕日いたし大原の山只仲
纓を絶人もあらしの山のはゝく染る紅葉の火やてんしけん松陰
芳影
ばら〳〵とかゝに時雨に染井から紅葉をつとにしけて
辻かに
時内にも霜にも春のことくにてふたきとはなきはなくの髭にく雅卿
吸筒の酒さへつけて山ふみの時雨にいろをさます紅葉は
赤下手
青葉にはをそし染るにちとはやしたとはゝ夏のまゝの
きみちは
秋のよの千金といふ月かけを錦しつゝむみねの春みち葉
瀧口かたかぬとかたかたくいつはかし皃も赤みむ秋の葉ゝ
ありあけの月にねさめてあかねさす日の出かとみる森の紅葉く
海老丸
照月になを以は誰ませは火串かとしからもをとろく峰の紅葉く
夕日かけ目立てつゝし戻とは酔さめ青に紅葉見のかは数昼
主田川すめに宇宮のちともしは手折れるむちしぬゝく繁く繁ゝ双紙亭
ほかくへてとけはとくりの冷酒も湯はたしほりぬ枝の葉く
手をやめかとりてかかせるかんしの松葉にからむつての田采凰島閣
梢より錦ちらしていつともの足跡なかすたにの紅葉少く桐正
一枝のと意てきねははか越へおしてもらはん庭の葉ゝ賤丸
折くへて酒あてかぬおられ先へたえ立てゐる枝の繁々走
焚すてし去年の火串ののこりにやまたきひをみる峯の繁く
石川
業
漬にてそゝくさらしのたらひも赤く赤く濡たる籬にこの峯山
目としよに紅葉は二度の晴衣裳着はへりした秋の葉連住
朝霧の清開くみれはいつる日のあかねさすてふみねの紅葉ゝ木安
吸筒もちわれてゐたり味酒のみわみ紅葉の色かまきて軒端雨洩
山守り惜む紅葉をあゝりなしかほくちらしく長らふ一枝南丸
一林間にたくみもをしと疑ふみの酒のむ人はつきぬ山より文齋
女とち口うしましく家いとに立てあましたる繁子一枝花鳥
下枝から松木柏もいまつくはよく手のこゝくかつしきの歌種
遠桜山人
龍田出亥年秋枝折び林間に酒あらゝめてしきぬ紅葉へ遠桜山人
林間に酒あらゝめし下戸とも朱に交れは魚の紅葉く談州楼
林間の泪の首に孝奴の豆腐の紅葉染ていろ〳〵いき五車亭
当坐
柳花園山形撰
川
鮎つりてまつとりあはす芦のはしく貫とめし玉川の岸歌迺屋
両とわの境をたていつのよか一筋らつく引墨田川賤九
時雨
たのむへにこかけもるかとみあくれはぬれし時雨をふるふ小鳥喜廼高
契てをきて夫なつかしき松かやうしくるゝ雨のいらやません双紙亭
一にそけし松野分。風の山住干菜にまはみしくきをて是毛
一傘もあわかはなりにしつめけり夕かけまら頭はると時間に便々
大原女かく誰木にそらへし紅葉にも時雨ひきくす里の春午全
杉かたははつそなきにいきのにくしとやしそうにゆ
苗のは
うき雲の松くゝまとひてちりのうる覧にしくるゝ遠の土端是毛
淋しさについかけたしてとゝりても馬の袖をからす荒女
あはれにもかせしまふて夕くれのしくれりなやむ小のゝ賤の女妻廼高
月花庵月並集
菊
十三点
伊勢桑名
深竹の春にさけはやしらきくの星を瀧に見するきせ少た干枝麿
十一点
けふも又かさしのきくに日の暮く星をいたらく雲の上人
十点
七夕の過にし跡の山え菊はねに二度あふ星と冬はれ。酒丸
本におく露をなめゐる蝶々の羽細や原のきせわたとみん芳麿
下露に筆をぬらして盛をもにほはせてやる菊の文使吾妻
同にあけて匂へる南の露の上に走らぬ月の舟そうかへる七友
九点
一書宅のいのちもとても千世や経ん硯にとれる菊の下寄
八点
客人の案内に羽をりきて出つ前下りなる南の庭寺同文字麿
伊勢守名
八点
山のみかあふくま川に影うつすにも菊のこかね花さく千枝麿
苦水のさまく岸に咲たちておのれとよれる浪の女菊仝
二星とめつる南見のもてなしに小袖をかりる花守かあ
作りたる菊の自悌に心さへけふは高きにのほるはな守仝
咲花は昼めきて朝霜をちるほと受しきくの猩く芳鷹
よしはらにあらぬよし簾の垣の内に紐えめにし白菊の生○倉積
心なしく原折老は下露をなめてあしへに若やきやせし
薬てふ露おく中にたもちつゝ咲女原や月の大輔同
飛とつ受てこれは国より指の数折手にゝほふ原の峯酒田鶴丸
ねをかこひ枝をくめちやはしとりて虫はらしはをむろふ全
菊の前なめたる蝶は彭より羽袖の皺をのはすなりらん興恒
百薬の齢の酒に調合の有音くはへて千世の亡角鍔丸
きせわたをきてそれ〳〵に主包又頭の君におく丸頭中松胤
問もれともいわてをりとる人あらはかゝし谷のよ村長か南月星
莟から国侍かねしためいきの口をひらきしめくろ菊かな望捕
乱さくゆれとちめのにしきとて折尽したる野への秋雨磐盛
庭の面にうつし植ても縁先へ香を以上の漬のこらせ俵女
庭の面は目覚の友の扇竹おきなくさむる所のしら露仝
朝夕の茶に汲とりてたゝくさに寄命を延す雨の下水千代丸
谷川にうつれる南の願にまて諸斎立る代士の竿仝
入点
銀河とも見たらん岸はししきとの星の間を流す下水竹栖
以て千世と書てとしりしたにさとも下露なむるきとの歌図秋盛
よくみれは原はきくにて月影のさほれし露そ星にまかへる
岸にさて菊の下露流れては毒やけすらん王川の水仝
兄に似て弟草色月影の雪や匂ふとみれはしら菊高丸
先に立案内者まてか花の音に付てまはりの原の山路仝
むし南のもしほ子入打ませて咲やあしきの折入の花七友
小はら女か黒木に雨をゆひ添て星をいたしく朝起やする真弓
○
南の露なめて千世ふる嬉しきに飛たつ蝶の所に狂ふか雪丸
山
十点
見ぬ人は空言とこそ思ふしめ雲より上の冨士の咄しを文字麿
たらすなりし煙を今も名にたこゝ富士のさせたる香のめれ故千枝鷹
八原
十同日度々の葉にありて故郷へ帰るすかたや行秋のや行秋のや方早記
湖を出し故にやいつみても不二には雲の浪そ絶せぬ文字鷹
けたりさは三個に遊ひし天人を下目にもとるめしの山姫酒麿
雲霧に包みなかしも三国へ顔のしれたるにしの大嶺倉積
小とら山紅葉よりまつ咲地を今一度の深雪とや見ん仝
塩尻はしらす三国一ふしににたりといへる山たにもなし耳風
松風は草より以てたて琴のさませし瀧も音守の山成吉
八点
三国に一とするかのふしの山もしさへ二にはあらすとそかく真恒
秋も更て是も時雨やいとふらんかさをひろけし茸狩の山仝
みちくさにかはしけなける愛宕山風に木の葉のちるかとそこる鍔丸
春なれや朝またきより愛らしく笑ふ門にはふくそまれ山千垣
むかし筆捨たる山も哥人のひらひ書する旅日記かな仝
春過て名葉頃より目にかゝる身も重けなる大原の山望輔
かすかなる時雨は山のへたてにてけふるけしきを抄す農かま松胤
烏より先へ夜明てしら雲の帯引しむる不二の曙深谷
あさましな浅間かたけに立煙富士を妬てもゆると思へは蚕平
呑水を失立にうけて腕人の日記に筆も笠取の山友丸
うら白は谷より生て日の本のかさり物なる蓬莱の山扇丸
村時雨さをなくるまに紅葉して錦おりかく高梯の山七友
もらさしといつ契りけんいもせ山中はよしのゝ西を流す水全
日のちかき高ねにかけて国空の衣をほすか天のかく山壽
すへらまの御代とやたかくつほみしはこかね尤咲陸奥の山仝
みつうみへうつし直して春秋を合鏡の山の月花仝
乙女子か花にかさせし袂をも時雨にかへす袖振の山真弓
○
一国香に富士をつゝみて西行の坊主合羽の姿とやみん雪丸
月花菴月並集追加
菊
九点
さかりにはよるも訪きて我宿のきこ冬花の泊り表なれ俊吉
八点
軒ちかくかほりきぬらん風鈴のたんさくさけし銭菊の花
兼還に手なれぬ人も寄なめんとしをへたとてわしてさり角
折人迄あらはと菊に朝またきかきて守らん露の花その大江広麿
月を見てよせたるとしの花には老せきとのし雨の下水図磨
五斗来のしらばかけてひとなみに綿をまつつる遠の村雨古文
山
十三点
一我人の歌にてもしれ富士の根のこのかみにたつ山やあるへき未仏
津島
十点
九点
天龍の川恐ろしき鯰形なみにうつれる富士の大嶽
しは桃垣に樹あると見えぬ不二の山高きか故に高かりけり
八魚
いたしきに雪をかふりて見ゆるのは茎の小笠のかゝの出山との女
横雲の帯を朝まの縷にしてすそのをかくす前かけの山
津島
時雨さへ白妙なりし不二山はひえをはたちも積る大雪
雪国の越の山路は人面迄寒き印の小青に成けり
山形は扇と見えて真国なる堀場も住不二の洞穴弘器
月花庵月並集
時雨
十五点
さそふ風になひく時雨の糸たれしさまは小春の柳とや見ん成吉
〽出雲一と神はおくりて山風かむかへてきたる神時南かな真弓
勢抄采谷
十三点
少しくれはるゝか虹の紫に貫の袖摺はきはらのさと春時
十匁
〽アス日そしの山とはいへと明なして相楽はかりは日の高くみゆ
不二嵐つよくなめてそ吹ならす時雨はむつの花の上露
勢州桑名
ひめ下風に琵琶湖を出し村時血こたつの山や間に出来なん秋盛
一紅葉へのにしきをちらす山風にあふをみたしてふる時雨かなし
岐阜
九点
一降止し時雨の空の空の色とゝこに行もとりしてもとす傘
月の前をそつてはつして明曲行雲はまんから無心て寝し耳風
八点
”路次入の頃に時雨は降やらて打水いらぬ炉開のさち哥笑
淡路島通ふ千鳥をさわかしてしからなか寐せぬすまの関守
勢州桑名
むしくのすもをと針にとちつらん時雨糸ひて三輪の山本
一ことらるをと女か程もさし様の月に覆へる村時雨空
谷川へ罷出しさそふむらおくれ水の春とりもほかとそ見る仝
一定めなき時雨にいつれかつきもの命かいし人袖おほるらん同文字麿
いく度ものくる時雨にむしくの衣をぬらす天のかく山江十枚鷹
定のなき冬のかゝりて月としのさとも名のみにふる小夜明ま
一吹下す山風にまつ窓うちて時雨を去日折の小柳香橋
水鶏よりつゞく砧に耳なれて時雨にも猶藤は破れす仝
さむさしのく窓の障子のはり替に一かけけ翌日村時たく
風ふらむ雲にせかれてむせふらん時雨吹出す山の口もと今
時雨くる空いはれて嵐山月咄出す橋の水ゆふ風
宇治の里奈国の本もうるほひに口切さする村明まかな
時雨すも寒さしのきに相潔を焚そぬてもる林間の間の酒は船則
みのりにし寒まの種かはら〳〵て風の子にまく一村時五芳麿
出る日を雲の者にかくせしはしけるゝ風のもつま成らん
心なしをやらはぬ比に明まして心ありけな木らの相察く倉積
勢州来各
八兵
ぬれて来しる木の葉を内へふきこて隣のむらの時雨をりしる酒麿
はら〳〵のあられ小役にさきたちて相察を染る川明ぬかな佳吉
木々の葉を色に誘ふて降濁年寄株の松ははふきて仝
からかさにへはりてとれぬ紅葉ゝは時まの糸や縫付ぬらん亀麿
行秋のおとつれもなき柴の戸に冬のたよりの神明まかな長人
乞食も怠る野中の村時雨ふりこほし行風の手の内
むらしくるふる傘をさせはやむ雲のやふれにもる日類かな稲鷹
寒けさも一きわたちてこし冬のしきりにふれる神時雨哉全
いそきたる友は時画にぬれ笠やほして益のも宿の目印鬼影
との空のふるとしれねは笠もきぬ月のかたへといそく夜時ま今
風はやみ楓吹上てむらくにこれなゐにほふ夕時寄空
かしらより洗ふとせねと村時ぬねまりけのなき念髪の山古文
出あはしと都の方へ急となり様若をおくるしるしるゝれに仝
無心そし蓑の返事は愛想もすけ笠もなき村時男望捕
吹まくる嵐に逃てはら〳〵と時雨の足もそろはさりけり真澄
悲疲し鹿の泪か山住の軒のつまとふ夜時雨の音磐成
秋をしむ心や空に成ぬらんけるはしけるゝ村是の初二水
思はすも時雨に袖の振合ぬれて嬉しき相合の傘月星
木々の葉を紅葉に深て時両行風迄をもつ衣手の節潮暁
風の手にそゝくすとのゝ山時雨まくりかゝりてゆる夜足津鶴
八兵
手をあてるやうに思ひし紅葉はを時雨の足にふみちらし笛梅季
両綿の早き時画に釣舟の巡れて帰る沖の夕春乙麿
ゑみ残る賤か木わたのほろ〳〵と取も定めす時雨降なり丸呑
つられさすむしの音絶て時雨空風にほつれし村寒の初元住
吹ちらす雲を嵐かさそひきて又つれ帰る夕時雨かな殿女
越路より雪のぬけかけなしつらん時雨の雲の足の早きは秋盛
もみちはをちらす時雨に山の名を聞もせはしや笠泥笠取鳥磨
木々のみか時雨の雲も色々にまつ流分し夕はへの空七友
みちよりを時雨に逢て傘といへはさし出す夕日おかしや寿
降みたすけさの時雨の参なしはしもに結ひてぬれすもあらん雪鷹
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
旅
十点
浅香山難波津えうと父母の故郷しのふ哥まくらかな文字麿
日にそれは旅はうきとの冬大か原により〳〵しのふ故郷歌荒
故郷の弁の返事のつかゆるは妻か泪のつしまりかと成吉
もゝまかによりもせわしや勝日記時立沢に歌の数かく望輔
八点
印籠にとらんと不二の花をは山の腰からさくる旅人
青柳の糸によりふ材衣枝やわかねんけふのわかれ路
有馬なる湯女に枕をかさねてはいてそそく轅のりさをしける船則
画をいとふはるけき旅色こよひしはふらてとやしきから崎の宿同
たふらは駕の中にもいねめらんこやかいとり此花の粉の
八点
はまかきの伊勢よりすくに難波へとあしも達者に廻る悦人倉積
ゑかねはなしぬ糀路も馬駕蔵にのして日をふる川しめの宿文字鷹
一龍すて昼見おして朝戸出にみもむすくる草鞋の花も千枚麿
草枕むすくる露にしたしくとあひ宿りせし月そ嬉しき香摘
枕のく昼は余事にわす迄ても水丁に思ひ出す故さす同
岩代の松かね枕腕寐してむすへるものや故亭の度揚羽
湯の盤の名所をめくる龍の空行先々はもらにからたに俊古
おかしさえするかの不二戊とくと見て腹へいれたる東路の堀同
はる〳〵の花見の旅は故郷のねにかへるさへをしきよしのろ同
真清水の底にうつろふ顔を見て肝をひやしぬむしめ枝菜
}
やう〳〵とまりこの宿にたとりきてよき枕篭屋もありやしそ聞同
故郷へ魂ぬけて行勝や身はから尻の駅つたひに国麿
徒に就寝をなかくすかはらやふしと定めぬ草枕かな同
山坂のはけしかれとはいのらしな神瀬越なる大和路の輪玉湧
故郷を出す馬篭の先余に我名ははやく通る殊路弘器
雷水ふかき山路の競は実につらやつらのたるきあし海丸呑
うつの山妹か麦みつよつ手かるいつしてあらん故さとの弁真澄
妹こひて衣かへして寝てみても枕のつかれに夢もむすはす上風
枕にあれはうきめし見よで椎の葉の木陰に雨もあひしける稲鷹
暦見てけふ江戸を立聴衆きそはしめよい板橋の宿吾妻
山鳥の尾の長旅にいつかはや鏡の宿も跡にこそなれ殿女
塩踏すかあゆき子にも父母の国のちはなれしたる初楼巨実
山はかりいてかも越てしなの路の道につかれてやせるうき姥湖暁
ふりつもる雪には越の旅人もこしかねてうき道の山坂秋盛
髪さへもゆふきなさほと草臥ておくれかちなる手酌女の粉同
山吹の花のきちんに足とめて猶米かわん玉川秀吉
しらぬひのかけもしらとて遠くなる心つくしの粉の曙真弓
なづかしき都鳥とて龍衣身にひつかけて尋ねてやみん寿
空まてものほるかと思ふ此山也き給ふは月の末のしら雲七友
龍のうさに故郷さして行くをみても泪の雨催ひしつ書磨
月花菴月並集追加
時雨
八点
一源氏よむ窓を時ものうつせとや柳端の萩のうら枯の声田鶴丸
むら雲は淀と大津に引わかなしかれもめくる牛の小平同
松か様にしのく時事もけられなく横ふりしたるさせの中山乗打
木々の草を染て時馬の松の葉は濡にそぬれし色は鷹らし同
しくれてはうらしぬるての紅葉ゝもねころの山にあらひ牛とみん同
亭にその名をせ残してはれにけむ雲に小倉の山のしくれは亀雄
一大和路の膝を時子の山めくりそふもいく度置笠とり
嶺こえに愛をはこひて山里はとなりしらすに降村しくれ真砂女
十日
旅
十点
大和路の花の旅には儲けとり芳野駒瀬を両かけにして弘磨
八点
燕の尾に似し夭箸走折の逆者もとまるはたこやの将田鶴丸
草鞋をうつの山辺にうち替むきれ緒にからむ蔦の細道同
朝またき目をすりはりのめさましは手水よりよき湖の景真砂女
月花菴月並集
松
十二点
海はらもみえすく岸に這ふ松の枝に徳やいれむいそ蜂乗打
十点
三保の浦波にうつれはともにうつる雲の衣もかゝる松かめ同
塩のみか水にゆかりの月盆を一荷にゝなふ男子のうらす
生立の岩根にきせしこけ衣松葉の針に仕立あけん古文
八
〽から崎や堅田に落る雁かねの声柱に通ふ浜のまつ風同
旅人の字鞋かけしなみ松にしよしとめむゝ村過けめし同
月の玉呑ん龍かとみつかみにかけ這出しから崎の松田鶴丸
八
〽〽いはほとも見ゆるその様は書むして千代八千代八千代の松秀丸
鶴の子は采家枝に巣たゝせて松も葉花のす千代の岩かね同
はふ枝の有もむへなり春ことに葉のめくみたる松のみとり子倉積
年経てもさして橋のまかし給は直なる御代に住与しの松楊羽
ちとせふる岩根の松し十かへりや亀の尾山に生そたらては三声
八京をかそふ家に先折ゆひもひとつといへるから崎の松乗打
枝〳〵は一茎二茎笠松にたつく庵は細かとそ思ふ同
十かへりの弁は自慢や志賀の松二ほんに二ほんなき一つ松真砂女
植し時誰も推量甚かの松凡千年からさきの松同
骨の数六十余州枝なりと名の広かりし難波野の松松丸
鶏のつくるときはの名にめてゝとやをもてたる植木屋の虫十重女
陣つとる雪にたわめる数はあれとこしをれはなき和歌の浦松
大災のあつきめくゝにひかれてや根あかりになるすみよしの松蓑丸
十かへりの喜むこ山の松かねはちよのゑにしを先引手もの年久
折ふしは波にひかれて住の江の岸にはなるゝ影のまつかめ中雄
立ならふこと木もなしとほこりかにおつひろかりし辛崎の松同
みかとよりいたく爵のおもけれはしはりて見ゆら老松のゑた浅器
生立の物すなほにてきようのあるあ舎にもまた鹿草哉長麿
かんさしを葉にみせなら老松はさし物といふ橋にそやなれ弘器
雛雀の絹支をたすけ雨風の強きをくしく男木の虫同
八点
月のかつさしかけてよき枝ふりは太夫の名めな庭の順松賤麿
手いらすに年をふる江の浦宮もかけの枝うつ岸のしらね成吉
むさし野を舞台に不二の扇もて雲の袖する三保の松はら望輔
巻家ほと延たるのちはたることをくりてやさかる老松の枝壽
○
諫皷昔深みとりなる松の色に鳥おとろかすねくらしとめて雲丸
恋
恋
十二点
書後る心のたけのとゝかねて何ほもつて弁のすきかす亀丸
送りたる文の返事は仲立にとくときませてくれよ下釼乗打
十点
あくかるゝ思ひを天に見せみやな泪にぬるゝけふを細布同
倉
うき人をまつ眼は広と尺時計さかるにあかる胸共くるしき同
挨拶の四角四面なかとして丸寐をひにさするうき人
桑名
ほゐなさは宵に包し嬉し居もゐにて別承く広袖の悲者文字丸
恋わひて待夜に霊か来らすとは虫かしらする地のふるまひ
うき人の心の兎に煎餅やかくこかれつゝ粉にくたく身は龜丸
なるといふ只一口の返事をはきかせ給へと初瀬いのらむ倉積
床の海に彼のよき〳〵こぬ人を待もうしほの辛き思ひそ揚羽
しのひつゝ来へき便の風なし雷待夜に消し庭の燈籠
咄しかき事も残れは袖とめてはなしともなく思ふさめ〳〵同
八重塩のへたてをこえて逢東半は胸の八雲もはるゝ嬉しさ三声
八点
下紐をときて寝し夜のさましにむすふは又のちさり也けり実則
我袖のなみたに星はやとなともまれの逢瀬もなくてつれなし
はきとはきよせてあふ夜のたはふれにつかりし跡も花の紫同
心のみ明くも通ふ妹かりに愛あやませて斎をこそやれ同
うき人よかふりはかりをふらすともちとこち向て肌もふきかし栄
いひふらすさかなき人の口に戸のたゝまはつらしたつは仇し名同
身度て吹たつやうになりぬなと心はお母支恋病の床同
うき人の軒につらるゝしもふ草思ふす夕のくちはてもせて真砂女
愛さつらさ泣明しても恋のやみ泪于袖のひるまたになし十重女
恋の海夷かこゝろの浅深をしりて契らむみをつくしても同
}
水をさす人のありてや妹ばたく茶にしてはかりわかぬあいさつ稲丸
恋しなぬ先から胸はとり辺野のそふり与袖はあたしのゝ露中雄
いのち毛も切家計に弁書て妻をしふれは鹿の遺筆窓丸
逢ふまてとつくせし恋の力にほつもる思ひの山もぬかな雲真弓
○
○
ちり積家枕のちりを塵縁へすつれは庭のことなりにき雪丸
歳暮
六東ノ雑松児歌橘義衣刈
狂語関江都様
髪をゆふ間なうせはしき年の尾にわらてたはねてくはる毛午房
ノ七七五十七五八七六
一
身ひとつをふたつにしてもたらぬほと春をはらめるくれのせはしき
十三八六八八三八五十六
不尽亭貞俊
帳面もはつかになりて一とせのとちめをみするくれのせはしさ
七ハ七十五五八八五八
大坂山笑改
三壺亭丸雄
雪達磨つくりし年の尻とてやくさるほとある用のせはしさ
六七八十三五五七八三六
大酒館妨
せはしさによるもろく〳〵称すみ算次第に用のふえる年の尾
八八八八三五六八八七七
一四十四日目芦の屋和足
一蓬莱にならぬさきからうり物を山につみたる年の市人
三八九八十三五八十三
是ヲカサキ六友因増盛
けふははや春のとなりとなりなからひやすくすまぬ年の尾
英信氏
六七八七七二七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七
来年といひわけレ
すれと六はいかに
わらひ顔せぬ
かけ乞の鬼
楓樹園
赤貫
六八七七七五六十五六
甲フ
西山堂常雪
〽かけ乞にうそをつくまの祭ほとなへてかむれるいひわけの夜忌
差根庵鞭竹
同五十六七五五六一七十二
雨あられふるもいとはぬ観音の市や千手の破磨矢破磨弓
同五六六十三二五五十三二五五十三九
川越
本西屋顔丸
李白ほと酒をのみたる酒屋から百口はよりくれのかき出し
六八七八三三八八七五ト要義園
かそへ日のひとひふたひに笑ふのは卅日しらすの宝咲の梅
ハハ七五八一五八七五
ハハ七五八一五八七五六経国
光陰も帯とめくりてひとゝぜのおりとめ光る除直のみあかし
九ハ六ハ一五七六五七
九八六八一五七六五七松山竹常友
掛金の陣をひかせんとしのくれこたつやくらにこゝとならへて
七七七七七一五八七八三
林泉亭綾女
けふたてし春の用意の門松は流もはやきとしのしからみ
七一六十五十五七一六十五十五十五十五十五十五十五百五十五
七一六十五十五七一三五〃竹真庵
春まちてけす膳雨のしるし迄霞を出る初日とそみる
上クテ林師古堂抜面
十一七十一八六九三五
室にいれてさかせし梅の花よりもたますに骨のをれるかけ乞
八一六十一三三七八八五
白雀房
いつしかになかれゆく日の最上川をしむことしも此月はかり
六七七八一一六八七九尾
六七七八一一六八七九
梅ほしのしはすとなれはかけともすくなるほとに口をたゝきつ
六七五六一六八一七十二
巴扁堂
門かさりたてぬさきにもめてたしと歳暮の状につかふかち白
七七七七八三五六三〇甲フ刈穂岡
くる春のちかしき中に礼義ありそこを茶にするものは雪水
同小沼方壺亭
六五六六五六一八三十二
杵音も拍子をとりのとしの尾にしたるゝことくさける餅花
三七六五三八七六七六
隣栗庵波頼
さすか又歳暮子迄もあきなひのふへるやうにとつかふ数の子
六六六六六六六六六八五二六八六五
天竺庵彦丸
かち栗の名はありなから市人かまけてあきなふ年のくれかなり
六六八八三六八一八三六八一八三六八一八三六八一八三
皇月館千証
おしつめて年五ゆるきのいそかしや網引する人かつきすかあま
六ハ六ハ一三八五七五
一
一内證をあすくるすへかくしつゝおもてかさりてたつる松竹
八六六十一七五八五一甲フ岩
一とせもむかし咄となりにけりはや浅草の市もきかへて
六八五五五二五七五九二
六八五五五二五七五九三、六艘周伴雄
かけ立は神なりよりもおそろしや臍くり食もともとらんとそする
六八八八〇三五六五三三六九円
かけ取にことわりをいふ片手には払てまつる年神の棚
五一六六五八五八六七川コエ八畳し高松
一山粉の嘉側にいるゝ門松をたつてとしひるくれの酒もり
八八七五八三七一三六尾、杏林堂桃丸
なますうつ音にも春のいそかれて年の瀬こしそせはしかりける
八〇七五七五三五七三
東夷庵
とし〳〵の歳たるにつかふ鮭のはらあかき心の中はみるべて
七六六八八五三八三一
坂戸
五煉耳雀音
千金の春はとなりのたからにてかそふる日さへなき年のくれ
土八七五七一一五三十三
甲斐守様野浪頼
まきつめる年のをはりのいせ暦おさん虫しさ餅つきの朝
七七六八五二七一七五
くちをしやことしもあたにこゆるきのいそかしいのみわれも人なみ
五八五一一五五〇十五五
六義園
とりやりの二季のならひかかき出して女もすなり年の滝には
三十五三五六五八五五
三十五三五六五八五五〃〃
一春をまつくれのしらへのかけ帳にはや初とりの声もきゝたく
一同七六七一八一六一
摺楽堂高盛
なかるゝかことくにたちて一とせの日はつきたさぬ猟自の末
五六七八三一七六六六六六六六六六六
瓢箪周
鉢植の梅も口には一にさして歳暮使にありてせはしさ
六七六七一三六七六六
加鷺園弥佐平
門松とおなしく内の帳合も春のいそきとしめくゝるなり
五一六十三三三八一八五一
夢想告成
いとはやく思る月日のつもりきてのこりすくなの年のをたる
}
三一十三一一六八七三五キフ仏々丸太夫
花もみちかりにかりせし年のくれは興のさめたる供銭の山
春興
六百六、六両八七六七八五十七十五川口エ龍丸
鼻はかりふたかぬ猿のかしこさよ庚申塚に匂ふうめから
八九五五十五一十五六七八・
年礼のもとりはくれてぬは玉のくろ羽二重の袖のうめかた
十八八十三ハ八七五六五
赤丸〃
山〳〵も梅もわらふに雑煮もちやけはふくるゝなりのをからさ
七七七七十五三九八五八八
七七七十五三九八五八八五七十五
鶯をいつしもおほうてかけになりひなたに匂ふ梅の花笠
八五七十二五八三七十五五
たんさくにこより通せはあちらからこちのはなへもつける梅から
六七七十八八六八八七
江都狼
玉味噌をつるす軒端になれてねを丸くころかすやうな鶯
五八八七五一六八十二十二
一金英周元住
ひなの餅たつを見すてゝ行雁にたかひしくひの名はおはせけん
□□□
英信画
十八ハハハ十三九十二十九
きのふ迄霰ふりにし
笹の上に
神音ころかす
善の鶯
尾州
杏林堂桃丸
尾竹荒庵
同八十一十五一七八七五
筏士のたはこにやすむ川岸は風かわをふく青柳のえた
六八五十一八八五十三七
双城国
手枕の袂にかよふそめかゝに油しみたる袖ははつかし
五六八十七九九五〇九
つみいるゝ竜のめをもる鶯葉またねもほそき春の浅沢
三七六ハ八十両六一六
要義園
むちになる柳に尻をたはれてふとかけ出す駒下駄の音
同八十三八七十七六一七一
梅ひらく春のこしかつの手枕はかよしふ匂ひやにきりこめたる
六七五八六三十二五八八
一六七五八六三十二五八八四十九
残る家の物ほし竿に朝な〳〵のりの道しる鶯のこゑ
六時国多理雄
六七五十六三八八九六
さほひめのそらたきものか梅の花霞の袖のうちに匂へは
平出貫六階園門成
五六七十五七六五七十
佐保姫の殿つくりかや春のゝは三つは四つはにみゆる若草
六児園
一八九六一〇五六五七六
一鎧をは床にかさりて弓とりのやなみつくりてたつる門松
五六六六十七七五三八
一梅とかく文字へも花の露おちて匂ひしてこむ旅の袖日記
ハ七八八五一八八五八
白鷺にまかふあるゝ雪かきわけて松ひく公家も五位とこそみれ
七六六八六五三五十十甲フ峯道
七六六八六五三五十十
大象はとまれかくまれ世の人の心をつなく青柳のかみ
六ハ六ハ五二七七七十
鼻に梅耳にうくひす口にとそ三つかさねてそいはふ年礼
五七八十八五十一三九
花の雪もよほす山のふところにかしけたる手を出すさわらひ
八〇七五五五八五七十
八〇七五五五五八五右衛門
鶯ようめよ若葉よ子日よと春も柳のいとまなの花や
一同七七十三一七一七一七一七一七一七一七一七一七一七一七一七一七八六
うめかゝを袖にとめてはその袖の香を又はなにうつすみなしさ
六六八十五七五七六五
、郡内紀持形
かきくもる雨夜のやみにこゝはかり星のこほるゝ梅の下かけ
五七五十五三九一十九一
玉くしけ二見かうちの女夫石かはらすしめをはるのめてたさ
カナク紅岡右蝶
三十八十四五一七五三八
なかりせは何をひかんと哥人のふくりちひさきのへの若松
氏ハ七十三一八八八五
一銭毛肉羽風
いくとせもふる〳〵音のかはらぬは七草にいるすゝなすゝしろ
五七六八一七六一七九一七九
七草も過ぬさきにとくる人のなをつみこみしかこの年な
八七七一五五八五七一五五八五五一五
川王昇平亭
光陰のなかれははやき水車としには淀のなくてくれゆく
ハタハハ三三七七七五大坂丸雄
棚ほと藻をかつきたる川岸に朝夕眉をぬらす青柳
平長ツカ七津三せ信
七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七七
茄子の日のへに来なける鶯も小松とともに長きねをひく
六七八十五三七五五七七
雪く間なる鶯葉いゝむ手さきにもいきふきふきかけてほうといふめり
三八五七五七十一七八
春さむみなく音の哥もなまよみのかひこをめつる篭の鴬
甲ノ多理雄
五八六五一六七八一十五一六七八一十五
奴たと虚空にのしてさきにあかてうちん凧にならへをかしき
我
郡内田原亭亀成
六七七十三七五九
わたほうしほとにのこれる雪間よりぼそめに笑ふ若声のつま
五七五十三二七一十一十二洞風
五七五十三二七一十十二
薬の葉より紫虫は化して夢の間に花の色にそうつかてふ〳〵
七六十八七五八一六六
竹高庵
髪とのみ枝はみたれて青柳のたれにそひねの梅のうつりが
五九七七五八三五七五〃竹志庵七友
五九七七五八三五七五
久方の天の戸もはや引あけて車きしらす若水の音
六一六八五五八八六八、二五五七
六一六ハ五五八八八六
よこにひしかすみのばしのかゝる頃谷わたりする鶯のこゑ
三日六翁園斎賀丸
六六七八八三五七六五
聞ほれて雑煮のもちもやはらかくかとのとれたる鶯の声
三七七五三九十一八八
つゝゐつゝ井筒にうつるおもかけの春やむかしにかへか若水
六七八八三三六一十三六一
紀へ和足
一梅かゝの匂ふかたへとこかれよる人のこゝろもうき舟の君
玉光舎古正
八七七七五五三八五五
くみかはすとそ酒のみかつるへ申て下よりのほる井戸の若水
六ハ七五三五六八七五三五六八七五
江都
一挟箱もたぬ礼者もかつかれて供の肩にそかゝるなまゑひ
五七七十三六三六八五
仝
ねふりなは蝶のもゝにもさしもくさきりのさきほとめくむ来の野
キフ拂〻丸太夫
一一七五三十五五八七八十九九六尺
一一七五三十五五八七八
青柳の風になひけは歌人のはらにもうこくややまと魔
尾竹亭
七一七ハ一七ハ五七ハ
梅かゝをねやの戸口へしのはせて風の手ひきをしたる青柳
在江戸鳳鞆楼木工女
五六六七三一八五十八
門松の竹に屋とれるすゝめ迄ちよとそうたふ君か代の春
七七九十三五七五三三八〃〃
七七九十三五七五三三
福徳のいりくる門にひくしめのひたり縄まてわらふ初春
六六六六六六六六六六六六六六十一七八
梅の花ひともす頃の春あゝはけふかねしにもゆるわか草
中
八一六六七六十二一七五一
坂戸鶴
切テ雀音
鶯は竹の園生になき上戸さゝのきけんと人やきくらん
六七五十一七五一七十一七五十一七五一七五十一七五
さえかへる春の夜あらしさむくして氷豆腐となりしあわり
一一八七三七十三八六五
瓢箪団
こゝをれといはぬはかりにかほりつゝさし出ものなる野路の梅かへ
六五六一三七七十三五五
千貫
つほみかとうたかふえりへ木つたひてひやりとさする梅の雨たり
尾、双蝶園
五五六八三三八六九五
見るも聞もみなすなれやあけてけさ目にうす霞耳に鶯
六五六八五二八一七十
ウツノニヤ清風亭真虎
もろこしの関雨はしらす大海老のにほんのひけをかさる元日
六八七十一六一七七五
甲フ常雪一
出代りの下女子も廬の糸柳目見へし枝にまたさかる枝
ハ七五八ハ・ハ一七一
オフクシヤ六歩同
見にこよとおくれる梅かかはみ箱ほとりてそれとよめかうつりか
五七六五〇六七一七九
三六児園
から人にみせたやけさの初霞にしのねことの春のけしきを
三七七八五一九一十七
春日野はせりやかすともさわらひのもゆる日よりにまかせたらなん
三七七五一六八十六五
ほのくらき石灯篭のともしひをかきたてにくる風の青柳
六ハ五十五五五一七五甲フ鞭竹
梅暦ひらかぬさきに板行ておしたやうなる草のこゑ
ハ十五五三五一八一六五一八一六五
初夢にしやかりたきは東からふしみて来たるあら玉の事
川工工要義闕
五十五ハ一七三八一九
雪まへし跡もこしちに似たる哉土からもへて出る若草
千五十五行因年座
七六七七一三七六五八
はらたてにはつかしくなき元日もとそには顔をあからめてけり
六五七八五三〇五八五
源氏より春の雨画のつれ〳〵に梅の匂ひの品さためせん
三六七十三五八一八六
紀ヘワカ山
杉の屋三寸美
万才のつゝみにそらも打かへてとくわかやきし春のあけほの
一五七七七五一六五七六
ウツノミヤ
千松林真雀
き給ふまてゝさむさにちゝむ急物さへけふはのしめの春はきにけり
イカホ一樹園
三ハ五十五九一五五五
もろ鳥のこゑの外にも野におふる草もねを出す春ののとけさ
郡内雁来其文彦
五七六十一五七五五五
よる浪のみるめかれぬに難波かたまたよしあしもわかぬ初草
五七五八三三ハ一十六
仝
ならふよりなれか歌こそたけよけれ竹にうまれてよむ鶯は
五一八七五五五一七十二不二年近住
ふかことの名のみはかりにきえはてゝ跡もなからの橋のあわ雪
六六六六三三八八七三
義周
袖垣のかけにのこりて春は猶ゝ日にほころひのみゆる白高一
五六八五五三五五八六三
茄子の夢さめてもうれし鶯の初音をたかく聞て起れは
五八五五一七一七五十二
五八五五一七一七五十二羽同
鶯の歌よむ声に涙とけて世界の士もうこき出しけり
六十五三五六ハ八五五
春の日のなくさみ旅に足のみか矢色の筆も棒となりけり
三八七七五三五九三五
三八七七五三五九三五同長兵衛
天も花に酔へとあすへはもちこさてしらむははやき春の咲
三九六七一一五十五三五
一雨園主丸
筈川の氷はとけて筏迄一時にきたる春の山風は
六八十五一五一五一五一五一五一五一五一五一五一五一五一
蛤をとりかちにして友にさへ魚と水とのなき夕干かりは
一一五十一七八五十三ト三寸美
初烏みつよつふたつ声すれは心ゆくもの春のあけほの
三五五一五一一一五五五五五五五五五一一一五一一一五五五一
甲へ浪頼
峯の梅香をふきおろつゝ春風のすそわけをしてくはる家〳〵
○
六樹園
かそふ。色はことしもけふにつきぬなり春のまうけの餅はかりかは
九
東夷庵
こきのこのむくはつゐなの豆に似てかしらうたるゝ羽子板の公家
○畑亭代キフ雑亭
妻をこふきしはさなくて飛ふ跡にそ其はつかしくひとく鉄炮
梵高代高サキ松花尚十一
子の日するのへの小松は春によしならひてひける春の宮人
六児園
過きえし深山に香をもたつねはやふみこのむ梅ふみひらく道
オクフクシヤ六三州周
花つまの萩女郎花あすは野に品さゝめせん春の雨の夜
尾、橘五周
花鳥も喜怒哀楽のありとてやなく鴬にわらふ梅かえ
川越六義図
くれてゆく〳〵とはをしめとも次第にとしはよりてくるなり一
甲本衣紋亭
○
白かねの梅をそほしきかゝるときべかくこえてん年の坂をは
刈穂同
年の内に春たつ空のいろとみん歳暮にいばふ松魚塩蜻
欠部
泉郎
哀れかもいまだ乳をのむ海人の子のかゝのあたりやけなれざるらん玄旨法印
波那細
家ほどの皮も立けり烟曳して木やりにまがふ海人の呼声夏海
心なき蝶鳴の海士の腰蓑や月やくるべき袖をつけるは素顔
常府
鳥を見し沖の釣舟漕来れば蜑のさへづる声ぞ近づく一之
海の物こそわりなしにとる海士も白波の名は着ざるぬれきぬ糸女
舟に居て海人の跡追ふ乳呑子は飽よりげにはなしがたけむ家樽
浦〳〵の海士は呼ばねと沖にゐる鯨の声ぞ舟をよせける空寝
裏微加花三
三保の浦にあまくだるよと見ゆるかな沖よりもどる蜑の釣舟武光
海士人は月の御舟を望む夜も緇雲をぞいとはざるらし真門
裏微加花二
鯨とる海士の仁業のくるしさはおのが油やまづしぼるらん空寝
蓑皮の立湯此やうに咒ふとてあまの逆手やうちて入るらん石樹
裏徴
大海に海老をたづぬる水母よりめをかりにゆく蜑が呼声三馬
御幣をばかつぎの蜑はかた思ひの塩を熨斗にむきて祝へり満汐
乱れ藻の髪やゆふひの浦の蜑のまてくしけづる隙もこそあれ月盛
雲の皮くゞるすがたは天人のうらうへに見るあまをさめかも有文
ふく風によれつゝ縄とたつけふり海人がたくとそよそにしられつ沖近
澳津邊を世帯にくらす蜑の子の家は波よりちひさかりけり安遊民
千賀の浦や汐くむ海士の袖からもたりぬけふりの朝日にぞたつ白根
潟にゆれ短つる舟の海士人はくふよりも猶あぶなかりけり雛袖
買かねて蜑は手ぐすの跡にぞなくかゝれば童はおのが物から石樹
目妙加花一
風をいとひしばし昼寝のあま人は桜鯛つる夢や見るらん真広
一同
目妙
白波のよする渚にすみながら海人をとめ馬が宮のくろさとみ於鬼門
後方のうみにうつれる富士の烟より焚つけたやう水蜑のいさり火瀧人
汐荷ふからき世過を汲もせであまへたれつゝ乳のむ蜑の子息
流士が子はあまになれとや水の中にあはれそだつる童部の浦御風
貝の名をつくとへばあまが子の月日貝まで空にこたへつ潟人
むこの浦の蜑のとりぬる貝の玉たまはやすなり箱に置ても古根
しほまのからき仕業を玉りかる蜑とはよそのみるめなるらん歌雄
淳沈み皮になれつゝ何のかひあらめに似たる海人が衣手弘道
浅き瀬に心はよれど世をうみの深みをくゝる海士の業かな長雄
鯛釣に浦の翁は緞のごとまがれる腰やのして出ら舞鳴音
網の目にとまれど風を襲が子のひかぬはわたのはらにすめばる山越
わずしけなど虫の管屋に戸もなしと友なし千鳥夜ごとひきつ剛剛樹樹
荒海布かりわかめかりかとそれ〳〵の道にかしみき蜑がいとなみ糸女
志渡の浦の汐に黒みし海人が子も磨き上子は玉と見ゆべし釜也
江の島は蛇をどりてあがる時打南のさか手をまづねたりけり諸実
暮ぬからいそぎて帰る蜑が子の宿はさためて遠きなるへし真風
雨の日は亦家に海人も針とりて人のみるめをいとひけるかな義道
彼間より生れ出る時うみの恩いよゝ深しと海人はおもはん真俊
水鳥に馴てあされば舟板の下やすからぬ海人が世渡り影好
波の花をりもならねば蜑が子の笄をさへさゝず来にけり御代長
大宮の内までさゝくくまし物あごとゝのふと海人の呼ぶらん深伎
蚫とる養さへ皮をかづきてはかたおもひとて浮み出らん色美
同八下三二
名所を息もつぎあへす案内して旅行李かつく須磨の蜑か子真顔
老人
すゝはなは枕にさきて老が夢いびきおろしにおのれさめつゝ宗長法師
波那細
をさなくてめでたがられし顔かたち齢にかはるゝ年ぞわびしき石樹
裏徴加花三
老らくを尋あひつゝ遊ばなんかくれんぼせしをさななたち琴巣
老らくの尋て来べき門しめて腰たゝかする音なきかせそ御風
足まめに出ありく人は留守へ来る老をばしらず年のみぞつむ万象
裏徴加花二
光陰を矢のごとしとは老人の腰に弓はる頃よりぞしる素顔
裏徴
髪は冨士観は後見が一貫これや雪と波とを見する老人
をさなくて山のぼりせしいろは坂四十八坂はや老の坂於鬼門
大象をとめたる髪も白糸となりて入歯をつなぐ老が身水垣
山鳥のさろ〳〵泪老らくの影を鏡に見てぞ崇かるゝ由刈
何事も忘れがちなる老の身のおぼえて物はうとくなりけり有文
君がへる年とおもひし初春にこの老らくや付て来まらん歌雄
のして見つかゞみても見つ立てみつもちにつきたる老が腰か耶見辻
紅染の色は昔とさめて猶きばかりつよくなりし老が方糸女
まがひなく只一筋に老らくのこんてふ道はさだめおきけん文成
若かりし三谷通ひのあやまちも助老に頬を摺つゝぞ思ふ雛丸
若かりし顔さへ金は黒王や年経ぬる身のさまもいやしく河船
老なれば文よむ窓は眼鏡にて蛍あつむる夜はの埋火有明菴
果もなくのぼれる老のさかしらにくだりたる世を歎きぬる哉琴富貴
太郎とてかく翁さびけんくる年も来る年も年はとりかねし我の同
百八丁三三
老人の安木背負て腰かゞむ年もよほどの荷とやなまらん鷹茲
老すれば年のいそぐにいそがれて朝夕腰をおしてもらひぬ真園
弓死に我影法師の見えぬれば月も昔に替るかとおもふ美佐雄
拾ひたる老の年をも歎かじ乱捨られ給世を幸ひにして石樹
霞む目に揃ふ孫子の花の顔老のこゝろも喜になりけり真門
田場坂万丸改
仏とは老もいのらじ今一度かくれんぼする鬼になりたや
老が身のかゞむにつけて子や孫ののびる昔式ぞうれしかりける道時
目妙加花一
光陰の矢数を射たる老が身は腰もやう〳〵たつか弓なり実鈴
日妙
老ぬれば道もくの字に腰すれて杖つきのゝ字苦の世界哉赤子
年越に二よみ三よみよむ豆のよしみては出るおぢが老舌三馬
老にほるゝ身こはなりけり若盛おのれにほれしことも有しが同
年はよね升かけ筋のめでたさも馴染になりのたつぞ本意不き千賀江
ときふしもしらでいつまでいくみ竹世の長人ぞ世のめでた人真楫
老が身のひえは第一しもうちと霜はく度に足袋重ねけり影住
老の身の折〳〵耳のさわつくはひたひに皮のうてばな事らん浅方
気短かく餘りに世話をやき過ておのが心もこがす老人太記
つく杖も友とこそなれいつまでも露もあかざとたのむ老人為持
見苦しく髷はのびてもいとはじ肌令は独さへそらぬ老が身愛雄
案山子ほどの用にもたゝず老ほけて弓はる腰に乗ぞ驚く夏海
老らくのつふりの影はあかつきの月とやみ夜もあかく光れり深志
老なれば瀧の糸鬢あたままで黒き筋なき白髪とぞなる有文
子宝を家にみだしてとる年の玉は寝ぐらにつもる老らく歌雄
兄下三四
童期の時手あそびの鑓も令老ては杖と子るもをりしや弘丸
年の豆手に降るほど身につみて巻をかみ〳〵居るばかり也静丸
落たぎつ瀧に養ふ老らくは何も苦労の黒き筋なし下蔭
年にればかしらの雪にすべるかと杖にすがりてありて老人蔭広
眼鏡よりよの事とては耳にさへうけずかまはぬ老が気楽さ卜齋
若人にまけじと思ふ我慢さへ出がてになる老が宿か宿か末広
ともすれば達者を鼻にうける也眼鏡いらずにくらず翁は糸女
植て見よと三年の春は杖ほどになるてふ桃を老に贈れり春信
一盛り花をやりしも昔にてもて飯しぬる老が身ひとつ河船
よる年に老の気力は薄けれど齢はこきとうらやまれけり水紋舎
額にも皮のどよふ老人は腰も汐くむさまにまがれり鹿寝
鬚髭は墨に染ても世の人にそまるはかたき老のくせかな真貫
若き時応の重荷を背負ずはかくまで腰のまがらじ物を真久
めく〳〵と綿にくるまりてかひし蚕のまゆごもりする母がおとろへ再葉
くやしくも老ては腰のまがるうなまがり〳〵事はきらひなれども友由
若かへる春に幾年だなされて次第に老となる身くやし肌花成
つかくたる身をひくまでも老をつむ車をかへる齢にぞし類種成
つもりたる年を苦ませぬいきほひははちくの杖やたけさ老人歌丈
今日あすと思へど孫の手を引てぼん〳〵うたふ折はたのしなしけ房
むかふ鏡しらぬ翁をよく見れば親にそのまゝ生うなしなり物葉
梓弓ひきしは昔孫に手をとられて老の身さへやとたつ花人
耳や眼の遠くなりしを歎く間に老ゆくさきぞ近よりて来る芳風
老の身の腰にはりたる梓弓孫にひかれてはなしにもゆく匕守
骨こわく立居もとかくかた田舎きの字のやうな老の居すまひ酔人
何ひとつ事をかゝざる老の身はかゆい所へとゞく孫の手金家
子心にもだれるものさ老が身の年はさきへとなどすゝむらん福彦
むつかしく立居にも身の重ければ家のおさへに参れる老らく門芳
老かゞみ二重になりて道ゆくはいくらの年を揃ふ扇ぞ田鶴兼
車ひくさまかぞ腰のまがりたる老はいくらの年をつみそむ咲良
勘かずにすわるばかりの老ぞよき家のおもしと今はなるゆゑ幸風
古くなる身のかくれ家に新らしき作事をするもをかしかりけり眞顔
旅
旅人にめざましくさをすゝめずは野上の里に昼寝をやせん後成恩寺殿
波那細
裏徴
京鹿子が結びし紐の莟になりて旅はとけても寝られざりけり御風
藤衣うすひの坂に冬かけてかたびら雪を着ると告ばや應入道
日和には京影法師とつれたてど両にさみしき一人孫かな福秀
古さとへけふ其よりも出す状のとゞく時分はいづくにか居ん真葛
信濃路や秋の寝先の旅枕そげだてゝきけば臼をひく唄釣人
草臥て足もつたれば道法に塗上したき旅ごろもかな弓彦
一須磨の浦いくかになりし旅衣猶あかしみてかへる青くなり一之
かれ飯の昼餉もがりな孫ごろも九つ過に八橋に来て長文
身ひとつの旅はときものつら磯を里案様とたのむ道づれ真門
入ごみの鴈風皆に入る旅人は跡のがさきになるも有けり素顔
越後岡田
芳志
きのふけふ行くれ竹の宿かりて一にしごとに遠きふるさと芳志
同九下三六
梓弓やどりさずぬ長旅は行あたりたるさきにとまらん四半法師
けふの日も末野の里の夕飯のけふりもとまる旅の空か邦菴守
山をこえ海をながめて旅衣袖に索みだのかゝる夕ぐれ宣俊
日光へ詣づる旅のひよりさへはや結構とほむるうれしさ音人
気に乗てあるけは駕籠も馬も何旅をうしとも思はざりけりけり文成
替りつゝ高き低きもうき物はあまたゝび鹿の枕奉りけり道足
くれ。竹のねにふし寅におこされて旅の枕の夜はぞみじかき皆丸
げに旅は秋こそよけれ野も山も錦のしとね露の手枕茂木
かへるさの日を折〳〵に数ふれば指まで旅につかれこそすれ高喜
伊勢で見し人に似たりといけはれけり難波の宿にあしを洗へば春則
旅立を送られし人に思はずも橋のたもとで達し楽書排穂
大江山いくのゝ道に行くれてたのめば人に鬼のなき世ぞ雛袖
都とは国またがりてみちのくはまは旅となかぬ賤が炉の本蟹子丸
たらちねの世話をやいとの鹿鳴立あつく覚ゆるこの夏の旅入門
美濃近江寝物語に妻や子のふたつくになる夢も結びつ爪音
霰ふる鹿島立より手鶏女は豆をふて出す旅ぞかよわき柿人
善光寺詣とこゝろざす旅はくすひ峠にまづあかりけり易正
草枕ふすまひとつを取あふて背中合せもむつましき友眞顔
出湯
走湯の神とそうべもいひけらしはやきしるしのあればなりけり鎌倉右人臣
裏徴加花二
一ふいてとる土湯のけふりて風に消てゆくへもしれぬ妻病かな真弓
裏徴
白あみせし人のゆかたのうつり香にくさつてふ各はかくれざりけり於鬼門
年若き夫婦つれ立伊豆の湯のわき目はねたく給えかへる也同
難波した名にはたがはずあみぬればいゆるかたけのあし刈の御湯素顔
伊予の湯はすだれよりげによしと聞て安む度ごとに涼しうりけり御風
足与への痛て出湯をたつ湯気の天へものぼるこゝちなるらん声音
伊豫すだれあみては腹のすきもよくうちよりみゆのきゝめをぞし石樹
持来たる金は大かた遣ひ桔腰のひえしもいゆるあしの湯琴冨貴
おのづから浴衣の袖のうつり互に馴染もはやき犬飼の御湯物築
犬飼の御湯の下り湯の多き中に手をくはれたる人も見えけり春則
鹿数湯
一ひゆ〳〵と鹿の教へし頃よりもいまだにさめぬ奈須の湯の徳
後の妻をよべる湯岩の水祝ひうはなり湯はや汲てあ山さん三馬
名物の筆にもさらに愛せじる有馬の御湯の人の出入は高根
うつせみのなくその頃を盛りにて伊予の湯本に人のあつまる一之
伊予の湯に入来る人の脱接しきぬはさながら空蝉の宿千万多
不自由な出湯にまでまて遣ふ人は金を持たが病なるじん三戒
有馬の湯薬師のうごの竹細工あみては目さへよしと社きけ雛雄
飯も焚仕舞て出湯に入つらん手足も赤くなりし沢蟹字照
もてなしは金次第なる湯場に居て地獄の沙汰もきく箱根山米守
むく〳〵とわくにかゝれる瀧の景くたすほどよき七くりの御湯秀樹
滋藤の弓は忌ども有る山こえとあてゝ来る的坂の湯場草住
白雲の錦をかつさし岩根よりわきて出湯はあらてまりけり三暁
日数なく鎌倉までも走湯のはやくまはりてもどる楽しさ琴葉
有馬山出湯に人をまねかせん尾色あし毛の駒はいむとも蟹子丸
伊予の湯に来てもかゝさず左八つ各九つの日三里の炙草住
銭金を遣ひ流せる下り湯には貧の病も忘られにけり松安
かけごなき友とちつれて玉櫛等箱根の湯治ふたまはりしつ侘住
有馬の湯すごやうな身は素くさみに又行たいが病奈りけり瀑布
伊豫の湯の数は三十三身の大悲のわかす泉なるらん瑞王
身のみかは気の薬さへ有高の湯いなのさゝへを携てゆく真門
姥子まではふく来たる猿ぬけも立湯かけて今日戻りけり真顔
湖
おいつしま嶋もる神やいさむらん波もさわがぬ昼部の浦紫式部
裏徴加花三
うちあてる汐のなければ湖の水はくさりて音くなりけり真締
いつの間に何所へ山をつくりたる跡にか有ん富士の湖礒名
裏微加花二
一舟の帆は撥かと見れど湖の琵琶は名のみにひくしほなし量
洩さじと養かや釘を外不足ふ箱根の山は水をたゝえて隅成
裏徴
昔より音にきこえしひはの湖引たることはいまだ聞ねど黒塀
富士の出し跡としきけば大きさのこれに湖水はあらじとぞ思ふ真告
里人に神の御告を疑方の海今朝は氷の口をあきけり升也
世の中にほめらるゝ富士の子故には親てふ海のめはなかりけり雛丸
近江なる人は寝耳に水海の一夜のほどに出しその時鹿住
目妙加花一
一面に氷る鏡のたまくしげふたしたやうな謙万の湖真鈴
目妙
信濃御園
さゞ波のよせくる館やのばすらん月も火伸とうかむ湖友足
廿生嶋詣る人もひはの海に半月ばかり風待はしつ鱗
ふく風のをさなきうでに手伝ふて舟足はやき童部の浦正雁
皿の鰭に平家ばかりか源氏をもかきならしたる琵琶の湖千賀江
月代と人や見るらんおひしざる黒髪山のいたゞきの湖武光
漕て出る舟にて見れば山さへもおくりてゆぐか昼部の浦真名冨
一近道の弓と弦とを恐れずにきつねの渡る諏方の湖衣紋
桑魚の葉やのこりて染ぬらん夕日に売ばむ嶋の海ぼら真顔
寺
山寺は法師くさくて居たからず心清くはくそふくにても明恵上人
波那細
山寺にさとれば罪もあさ衣房のまよひはいとはざりけり三馬
正寺の場尋ねてこう〳〵とうらすをよべる入相の鐘千翼江の
裏徴加花三
うき世とはことに替りて山寺は鐘のひゞきに通ふ松風武光
裏徴加花二
須磨寺の額はたらひの名所めて誠に日々に新なる景加乎留
山寺のあかくむ桶の底ぬけてあるたまらねば墓もあらはず空寐
剣太刀つかもあばれしふるみ堂なかごのみ社猶光りけれ石樹
裏役
破壊しても昔にかへる遺作は三井の古寺かねのあればか素顔
花の方へたふれやせんと夜嵐に寝てもねられぬ志賀の古寺磯各
そやもまだつとめぬ物を古寺の常燈の火のなど賤事らん道好
松代
ついそこに在原寺と聞しかどきのふけふまで詣ざりけり真澄
目妙
山寺は仏の為に折る花の志きみの外へは出ぬ法師かな御風
尊しと拝みうやまへ月日までいらせたまへる西の大寺其駒
打われし口はふさきて今はたゞ鐘に声なき三井の古寺馬伎
弁唐に縁ある三井の寺なれば一度限りて女ゆるさず音澄
いつとなくさみしき秋となるみる入相の鐘に袖ぞしぼれる常道
幢につくる昔の人の袖の香は香鐘に残る橋の寺夏海
龍室にさぞひゞこらん鷺の海に声もしづめる三井寺の鐘波々伎
たをへるもよらぬものかな天王寺新なし堂にきくぬかの琴栄守
御仏の箔かと見れば古寺の壁のやれより光る月影小河
辛堵姿もてゆひたる故か朽果て西へかたふく土寺の中垣千万多
大海のおくかもしらぬ深山寺鯨ぞほゆるあした夕べに綾鳥
昔よりこの古寺に傳はれば筧の水も什物のうち白綾
天人も寺にすみてはおのづから護摩の烟に怠黒みけり外也
再冊塗に箔を散して見る目さへてら〳〵とする京の寺〻真顔
社
盆ふきの神の社は音にきく遊び岡にや行逢ふらん公仕卿
波那細
一両風の空の守りて片照やうたじけなきは伊勢の神垣香奩亭
裏微加花三
あらはれし昔もかくやうつ皮にぬれ〳〵たてる住吉の松雛丸
御社の屋根にとりふくかや〳〵と千木のいはれを人はさやめく御風
裏徴
うへよりは見えぬねがひをかくるとてあゆみをはこぶ鴨の湯垣基丸
要石打て鎮めし蓬原に末広寺の宮ぞまします明之
神風や伊勢の末社の多き中にすくな彦名はいまさゞりけり真葛
ちはやふるにものみおやの神垣はたゞかう〳〵と見えて暮し石樹
みやつこは榊に木綿といむ火よときりかけてこそ奉りつれ御風
一歳千年ゆれど定居のかゞやくは神のあらたにませばなりけり真諦
目妙
広前は筆も及ばぬみやしろのかみのいがきのすみ吉の松鹿住
我多き三輪の社の松の蘿これもみわげに送ぬなりけり盛益
兄下四一
としごひのねきことも皆うけもちの神の力ぞ秋に見えける加平留
岡田
備へおくもちひの宮にとのゐしてねるさへきねがつとめなりけり仲文
何事のおはしますかは白木にてかざりも見えぬ伊勢の神垣千分
奉納に還し剣のふるみさへふるみやさず〳〵ふるの御社耕也
をさまれる波間照そふ玉津嶋神風によるぞいとゞしづけき珍
七種の拍子か七のみやしろにはやす神楽の鈴菜めして夏海
神風の伊勢の宮居に染紙をぬさと唱へてたむくるやなぞ空寐
木の間なる宮居の軒の蚊のすねも細男かとおもふ山崎喜代志
紅葉せぬ青葉の頃はわけて目に立田の杜のあけの玉垣真名文
客人の定にぬかづきて辛崎の松の太夫はよそに見てすぐ円
神前に御酒は備へて有かながらちやぎりではやす御社の舞焚
野の宮の黒木の鳥居そこらにもかての付たる五月事の頃浦人
神木の松も榊も小男鹿のやつの耳ある柊のみや真澄
天の下はぐゝむ神の宮造り暮板さへぞめん鳥羽参る眞顔
笋
里ちの音をことにしらぶる松風は瀧の糸にやすげてひくらん貫之朝臣
波那細
ひとよ切の盆竹よりはふししげき山松風の通ふ蜑の音真門
裏徴加花二
琴柱には膠をせねとしらぶればついてはなれば通ふ松風諸実
裏徴
つま立てのぞく隣のことの音にゆびのつかれはいとはざりけり
さま〴〵の色をもつくる琴の音は柱に膽してひくかとぞ思ふ隅成
松風をむかへにゆくか幾度も峯の上までのぼる蜑の音真風
松にのみしらべ五郎する大和琴の音をうち風のいどむ夕暮
目妙
組の名のあかしのしらべ薄雲の上なきものとおもふ蜑の音於兎門
その昔弓を並へし蜑の絹は押手ひく手の今もかはらず夏海
人まねに風たてゝ見んひかぬにはましらと思ふすりやけの琴同
松風は空しく枝に戻にらし通へる蜑の諸のきれ〳〵時干万多
おのが手をひかれて出ておのが手に引出次琴は瞽なりけり見辻
関宿
立退し琴はさながら瀧の糸音のいづみとてくみもつきせず玉網
つまでのふき組ひける女の童この春見ればとこになりけり小河
化て夢に見えじ女の声に似て調子の高きやまと琴かな真名文
生田より山田の水にひくことももと八橋の流れなりけり田主
和琴とはしらべもぞちと語れるをさらじやといふて聞もをかしや影好
ひく人の心や水に入ぬらむ毛もいよだちて寒き蜑の音真顔
笛
笛
ことわりや宿につくりし竹なれば笛の音までもすめるなりけり忠房朝臣
波那細
一河よりもあなたにふくか折〳〵はしづみて遠き夜はの懸の音千万多
裏微加花二
奇麗なる盆の音色の通ればや耳をすかさぬ人とてはなし貞雄
裏徴
畠竹のよにすぐれたる音をきけば我うさふしも忘られにけり応入道
高麗笛の手を日の平に聞へしは息長たらし姫の御代かも真錦
童部のふく盆竹の音につれて牛もたら〳〵あゆみけるかな仁恵高
目妙加花二
すみのぼる大宮人の笛の音に天津をとめや舞下るらむ真名文
目妙
鳳皇の遠く音とさけど桐ならぬ梅の花散歌面白の笛見鶴
時ならぬさへつりなれや盆竹にしばらく頬をはるの尊声声
将露に吉野ほくてやしぶりけんひやろ〳〵と草かりの笛実鈴
鳥遠か雲の上にてふく笛は高く遠くやきこえたりけん千枝
古賀の隣にふける尺八にほろ〳〵とこそ涙こぼる程真顔
賀
おと定のくぶやしなひき婦爰のやし子ふ見るぞうれしかりける法性寺殿
波那細
うれしさに追かけられて唐衣たもとゆたかにつゝむ間ぞなき雛丸
裏徴加花二
国に枕いまだつかねど年の数六十余州北み通ふ葛琴葉
さま〴〵のよろこびありし物がたり君が御駕の栄花をぞ見る真諦
裏徴
いにしへも三十餘家ときくの露なめて若やく老ぞめでたき素顔
かくてこそ千年の坂も皆こえめたひらかな世の道のあしさ豆成
秘蔵子の祝のきぬのちやうまで境よ花よと鷺をこのめり注連縄
うれしさの袖に餘りてこぼるゝを遠に馴たる橋や橋は舞春則
うれしさを袖につゝみて笑ふ度こぼせるものは顔の愛敬ともゑ
めくみある神と君とそ力総つよく長くと世を祝ふなり涌住
日妙加花一
一杓子子ば嫁に渡して孫彦を又ありたてる老ぞめでたき早人
目妙
一言とはな松竹ながらなとしていはずかたらず千代も経ならん御風
めでたしや大城の松の枝までも大木となりて御代ぞさかゆく満峯
限なき君がよはひにくらべては鶴亀などはものゝ数かは空寝
百金のつゝみも出して帯鮮を祝ふ子の親ぞ肌をぬきける注連縄
かくばかりめでたき御代にあふ”こもて君のめぐみを荷ふ国民真楫
年ほぎのも亡ひ練るとて強いひさむそぢの春の魂賑はふ眞顔
俳諧歌兄弟百首下巻
凡下四四止
戀之歌
浅月桃
十五六十
歌泉堂真澄
なきあかす袖のなみためたまさかに月とかはりて君もとへかし
十四七
仙台浅龍菴細道
うにしさといついれかへんみそめたるけふより袖につゝむなみためて
十二七十
壺皎堂藤丸
ちつかともなるにしき木をとりいれてうき名なきぬしから見にせん
一十三十五
真澄
こぬ人をまつにかれなき色みえて袖はしく終のそめぬ日そなき
十八十
新樹園寸法
をかむ手を一夜は妹か脊中にてあはせてたへと神也いのとむ
江戸浅崎山人花満
十五三八
むつことは閨より外へもらさしときく燈台の火もうちげさん
十八八
同
かきくとく内さへ君はあくひしてわれにうつさぬこゝろうらめし
七六十二
松寿園有文
文をかく筆みきなはきり〳〵次おもふまくらのしたにゐてなけ
一十二十二十二
西楼住方
恋やせを水にうつして影みなはうきにわか身をくたくしら浪
一十五十
後佩詩堂耳風
なと君のみやはとかめぬ富士をたにひくうおもひのむねの音ふりを
十八八
同
目になみた口には袖のおほはれてあへはうらみの出ところもなし
十八ヒ
仙多イ池亀住
めつらには枕のちりもはらはれし今は人目にはいる恋中
七六十二
真澄
山鳥の尾の長き夜も頼みせ伝つれなき袖の月になけとや
四
一一
上七十二伊勢広野秀三人
伊勢庄野壱拳亭雪人
土七十二
はゝひぬる枕のちかを耳にいれおそくきかはやきぬ〳〵のかね
一十一十二
二水楼二水
恋すやととはれてこゝろうき艸の社なしことてといひてやみなん
七十七
玉川楼千鳥
むしねの火のいかてもえけん薪をはみな錦木になしてたつれと
十三六五
藤九
忍ふれはなくいとおもふ烏羽にかいておくらん恋のたまいさ
七八八
仙タイ壺南堂山住
よもすからまたせてはかりこぬ人はよそにいとひく蜘や有けん
十八五
雅流園弘器
逢夜半の花しつめてふ乗せんちつかのふみを大ぬさまして
十二十二
千柳亭唐丸
振袖の袖をもしへていひよれとよしてたもとの妹かことの葉
辺
七八七
仙タイ壺清楼恒道
出来蜂のいそかしまきれ妹か門とりいれみとてたつる錦木
一十二九
千糸亭房成
何人か数の錦木たて置てかよふに邪魔をわざも子か門
五八九
黄鳥菴春風
恋病の薬の水はせんしてもつまらぬ胸のこゝろくるしや
五八八
對松舘亀丸
ふろしきに世の人目をはつゝむにや恋の重荷のいやまさるらん
七六八
竹意菴為丸
ほりものも腕にはせまし君にかす枕に疵のつくとおもへは
七六八
五葉舎乗打
うき人をうらむ弁には筆の先歯にかみしめてかくとしらせん
七七七七七七七七
細道
仲たちは毒にもならず薬にもならて枕をあけぬ恋方
一一
一十二十、
二水
雲となり雨とならんと契りしに月のさはりといふそつれなき
五六十
桑名鈴丁楼馬伎
うきわかれいひゝきことの有時や月もこゝろも空に残して
七四十
李松軒中墻
待わふるぞのかねことのこゝのつをすきてかそふる指もひとりね
十四七
瓢箪園一寸法師
人をまつゆふへのやとはねくらへとかへる烏のかあいくもあり
七十二一
同
いはて只おもひに股のふくれつゝ秋かわきをもしらぬ我袖
五五十
江戸壺鶯楼歌知輔
いかてかは明をしつくる鶏のねのとけ〳〵とまたかたらはぬまに
十五五
仙タイ台宙楼日雀
ほと〳〵とたゝくは妹とたまされて見れはなみたの寝る閨の声
一四十五
琴廼屋松安
うくひすのひとくたりかくみたにもたにわたりては立しあたし名
五七八
桑名□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
口舌してむ鳥の尾のわかれてもあひしとことのまたて恋しさ
七六七
ウ川原雪中竹子
暁の鳥をうらみてわれも又はねをもかれしやうなわかれろ
五八七
有文
鬼おしをやりてたらせしそのけてなるといひしそ恋はしめなる
一六十二
黒瀬古句斎出足
親の目をぬすみし科のあらはれて恋のうきなはかゝりくるしさ
五七七
細道
あふ夜にはたかうめくれし恋の海枕のちりの山をくつして
七七五
同
ならはねは何を手本に恋衣ぬふたひいとにわらはれてうし
一十一七
一十一七住方
おもひ川うかむ浦のみつかしはなけの情に占もたのめす
一九八
同
巻〳〵にしてやる文を見もやらすしたふ心をもとくつれなさ
一五十二
長主園寿
うかりける人とはかねて聞なから猶もうかりとまづ惣くるしや
一四十三
花満
ゆひをきり髪をきりてもこふる身をみまりのないと人やいふらん
一六十
われにのみきをくたかせて胸の火のにきつけにせよとつきことす又
一六十
七里和多志
手篇の有いる通事はわかむねに火をつくれてや秋風のふく
〆六六
真澄
雪の日に似つくりし門にまたつみこしらへてうらむあた恋
十三一一
亀住
うかゝへは今ははやしと閨の戸の釘のかしらの程をひるゆる
江戸浅草庵市人
わかこゝろわれにはなとかさからひて衣かへせはねつかれもせぬ
濃州高田月同九黄地
ひとりのみ社の子のもちの数〳〵をみつか飛とつもおもへうき人
桃源亭園丸
人しれすまつにこんきもつき定て日数のつもる床の上のちり
桑籠不
雑之歌
五十五十五百五月五十五
山住
焼筆のそふりのうちにおもかけのあらはれ出し李夫人のかた
十三七十
伊勢小牧花迺屋夕榮
ものゝふの鎧の袖はさゝかにのいとおとしなる御代そめてとき
仙台
十三十三丁
山となる枕の
小鶴菴池住
ちりも
なかさなん
本ときし帯を谷川
にして
一三十三八
鶏
後佩詩堂耳風
節分の児に
としこと
とられ
ちから病
さへうせし老か身
七十一
同
羽衣も是もてぬふか岩なてゝつきせすおつる滝のしらいと
七七十二
上州高崎楓樹園赤貫
うみ出す我ことの葉によきなねのやとのもとよりはらなりもの
十一十五
十一十五池澄
春秋のさかひもなくてひろ〳〵と浮世の外にすまうやま人
五七十二
真澄
夜をこめて立出るわか袖にまた宿かりなほす有明の月
十五十
耳風
秋翁のはなあからめてむらさきのねすりこといふあこがわやくさ
五七十
在江戸清斎真名井
朝夕にたえすけふりはたちなからにるものゝなき山は富士の根
十五七
三州梅ヶ坪三州梅ヶ所
さくら鯛ちらさしとてや浪あらき風いとふらん海士かつかふね
二
十七五
仙タイ麻中国直輔
こよろきのいそちを越て父母のうみのなさけの深さをそしる
五十十
四半法師
おきものゝ香のくゆるを心せ石のふしのたかねのそふりとやみん
五七十
一寸法師
尾に玉をもてる孔雀をひのもとへいくらのしろにかへてこゝしけん
十五七
乗打
八景を半分見てもよつの緒の名もおもしろきひわの海つら
五十七
同
いとなみに星をいたゝく大原女のはし子には日ののほる朝戸出
十三一七
唐丸
うつくしやまつさしあてゝ笄の家身もとむるたをや女か髪
五七八
勢州ウ川原千代庵有胤
とらへては酒やのません目かくしのおにはの池にすめる亀の子
三七十
馬伎
くつれたるついちの外に植置しなり平竹も根やくゝるらん
五七八
和多志
鯰秋瓶ひとつももたぬつれ〳〵に世をたのしみて腹はふくれつ
五七八
唐丸
おもひきや枕屏風との六歌仙をのゝ小町に添舞せんとは
十一八
真
しきしまの道くたひれてつら杖をつくゑにやすむ腰をれそうき
七五七
行業
題目に髭のみゆるは妙法のをしへの秘事もまつく成らん
七七五
濃州芦渡巴亭浪雄
世をわたる身はかかわさよ山さとはかけひの水も竹つたひ来て
一十八
仙タイ曲兼持
羽衣のかゝりし松は今も猶風のおとめかならす聲の音
七七五同梅元彦
同梅元彦
七七五
四方山のはなしのたねも宜しかたしらぬ人にもむつむ旅宿
五七七
東声舎綾成
名札をは短冊と見ん籠のうちに此一をりの花さくら鯛
七七五
弘器
鬼のそむ島なる海人か弓弦ほとみな引はれり大納の綱に
十五三
黒瀬松鶴亭千代成
筆の先かむ計にて手習のうまみはいまた。しらぬ何らはへ
三七八
仙タイ壺英楼満雪
仙人の乗ものこする孝鶴はかしかの雪もあかくや有らん
五一十二
中墻
殊衣のたとへの外に久しきはなてられてます君か代の民
一五十
仙タイ十府亭菅丸
いにしへのいとひく跡かいろ〳〵にみちもあやある三輪の山もと
三十三
桃里舘国居
柴の戸に明くれとなふ念仏の珠散より外にくる友もなし
十三一一
山住
花の山まけぬ出茶屋かあたし名は貴配み小町よかほよしをんな
一一十二
梅ヶ坪智勇軒三足
やはた山弓張月もいかけて酌をうしなふみねのかよび路
一一一
住方
十かへりの花も枝葉も老ましにこせ来の名さへたをこの松
○
江戸桑楊菴干則
文車に世々のうた人皆のせて花見にひかん花瓶の自由
仙タく浅龍菴細道
わたつみのかさしにはよいさいくものこかね花さくみちのくの山
不断庵玉湧
さゝれゑのいはほとならん君か代はまた羽衣になて春春の春まく
□□□□□□□