月波集

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一立齋廣重畫
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一立齋廣重畫
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ツキナミシュウ
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東北大学
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俳諧歌月次集 生花斎選 俳諧歌月波集 天保八酉年二月廿八日開巻三首高点抄出甲乙録第一会 四十点○面堂安久楽 三本点二巌楼道雄 三十七点材月園茂樹 三十五五万年舎亀丸 仝仝月同 富貴女 今年 今泉 天雅 一十二年 仝◯万葉舎枝茂 三十三点露月堂菊年 三十二点檜園梅明 三千一点二十二東仲芳 全 文 一、野田 赤山 仝野田○年麗舎春則 二十太小糸 三十点見付萩廼屋花都真 二、駿府 TTT 室田 王松厚一一冊 返入記す 五十五年 比人超幸一年 ○ 三十六点今白桃園真道 三十七点仙台○千菊園千條 仝命延屋明 三十五点駿府株撰亭直躬 仝 二十九年富津 小諸 又 仝小諸 小糸 二人に糸 有歓堂君 一難哥免 馬橋 正勝松道技術 中村彦三 埴生菴物就 武士彦秀 大堀 三十二点大堀御代喜楽 三十二五条紀喜司寿 吉原 三十一十八紀喜司寿生下金四十一日 秋弟舎花持 一仝 川名照西 照雪 三十一束金常磐園繁躬 三十点秋長堂物算 川名 美哉丸君 二十六、 仝泉 喜津 岡山 音繁 仝菅廼屋章雄 迺屋章雄仝深谷三十二小糸井脇 一菅廼屋章雄 仝 二十九点 二十九点筑菊楼君同点到来順次延著之作者略茲 俳諧歌月波集一之巻 『医技器ア雰附会ヲ 以テ講入セル竹園博士 「狩野亭吉氏 生花齋照道撰 初春 高髪加橘三 あけ烏みつよりいつゝむらさきの霞の袖につて手毬ゝ早さ す来とて松や立けんとはかりにはとり色こき天の八ちまた 為鬘加橘二 くれなゐの初日まはゆく光れるは天の岩嶋に研出すらし 駿府 喰損のやまとに立しすもけふ髭ある野老さして行らむ 直躬 遠江見付 松嶋の松嶋の杢とこそみれ松立て一夜にかはる春のけしきを 花都真 為覚 書初にゑかきし梅をはり屏風それからすや立にほふらん 上野館林 義 矢義 義 下総野田 関の戸を霞とさしてなく鶏はすもやはやく都入せし 広善 いつしかとすは越路の国なからまた消やらぬ雪のしら山 菊年 けふすに立ならひてはすね松もふしある竹もむつましき哉道雄 柿髻草 今はとて 霞の幕に 安久楽 入綾の 羽袖かへして 舞ふ雲雀哉 仙台 仝 一馬破木をや千條 はみてゑひけん 水のまんとすれは つに はまる 若駒 横重筆し 烏鬘加橘三 春きても雪は霞の 通雄 下衣冬をかさねし こゝちもそする 茂樹 仝 物ことにあらためんとや 春の来る 道に霞の実は すゑけん 十一 に 仝 子を思ふ 真道 きゝすの胸や 心の闇の あらはれて 黒く成けん いくすも 霞の衣は よこれすて 一異国張には せさる也 けり 駿河今泉 明 挿 床をしも あけて雲雀の 落来ぬは 天の川原に 垢離や わりをる 合 野田 横雲は日のむを かこふ屏風にて 春則 嶋に花鳥の 春の明ほの 今泉 また咲ぬ 難波の梅に 消残る 枝茂 雪こそ花の 手本也けれ 同三 打はやす様子もとりの音と共小はを並へたる春の七種芳道 うなゐらる梅といふ字を書初の巻つく袖も香に匂ふなり わたつ海の浪も光るは今春のたつの都へゆくにかあるらん 駿河今泉 花の音に秋はわひしきしめわらの軒端にさやく春は嬉しも 天地のひさこいらきてけふ春の月日の期や生れいつらん 源氏窓あくれは初日もふみやむらさきかすむ春の明ほの たから舟しき寝の夢の覚る頃みなとを開くはるのあけほの 武蔵赤山 めてたしとくむとそ酒小少女なかひたひの不二もかすむ初め つゝ井筒いつゝやむつきみつの朝春やをさなきとしの若水 貫珠加橘二 同しやうな初夢みしは敷寝せし室舟にも乗合やある 駿府 駒彦 野田 おのつから笑ひしみたる鏡餅すのすかたやうつるなるらん 広善 うらゝなりちりもくもりもあらかねの土にみかけるさらむの春 春立て日を数ふれは二月三日よかんもいつか退にけるかな仲芳 今泉 真路 曙のむらさきたつは九重に春ゆく道のほこりなるらん 野田 春はきのふ湊入してけふははや市に売歩行室ふねかな 春則 貫珠加橘一 これしさよ待て心をくたかけのとりの春来し時を告るは 小糸 小糸菊盛 家ことに若水くめは春の来し〳〵と恐れるくるまゐの音 仝 若かへるこしをしらせの鳥か鳴東よりけふはるはたちにき 百敷も筵しく家もかはらすていく久しくそ春は来にける 厚人 今泉 冬海 玉くしけふたはの松も立春の門にひかれてみとりましけり 若かへる春には老のみそきして先くゝりけり門の輪かさり 仝 上総富津 千代丸 千代丸 仝 としを経て逢みん春の初瀬川杉ならぬ門の二もとの松 一新玉の春の魁の書初の筆も匂へる青野のうめ 水雄 仝大堀 喜楽 おしなへて若やくけふの初日影老くろみしは雪はかりなり 松門 同四 濁りにしやみは地と成てすみのほる日かけほのめく春の物空 下総古同 難哥免 武蔵草加 梅かえに残る雪さへ匂ひけり初日の影のいろもそはりて 千年 白雪のは重しく不二もあけてけさあらたまりけり一重露みて 春氷 為鬘加橘三 一春風の氷を削る谷川の鍋まく水は錦屑か裳 小糸 喜可寿 為髪加橘二 仝 おもつから氷もとくる柳かけそれから水の煙たつ穴ん 紙や川すきと水さへぬるみ出て一枚つゝに出とけゆく 為髪 千代かけて結ふ氷り引ぬきし小まつのあとも池とみえつゝ 山川を氷の義なかれ来て魚の丸太もうかふぬくとさ 紙のめ薄き氷ははるかせにもまるゝほとはしわをよせけり 大堀 岸に居て中をは水を通しけり音なし川の春の氷は 喜楽 吉川の氷もけさは翁そめてみつさへ春の色に出にけり 日光 正名 貫珠加橋二 風にとくとすれは結ふ氷白鏡ぬくさ寒さもうつりやすき子説菊楼君 下総小命 去年とつる松原の針も春の夜の月になくしてとくる薄氷 小糸 壱霞ひける車のぬくとさに出のくさひゆるみ出しけり ひらけさる氷の里にとめられて春も寒さのゆかすあからし 赤山 手心は去年とはかはる紙屋川漉むらみゆる春のうすらひ 仙台 明一 貫珠加橘一 風わたる岸の梅かゝこゝろせよもあやふき春はのみつうみ 千條 そくひすの人くと鳴と冬の戸の氷は水にいまたかへらす 夜のほとに結ひもあくすたえ〳〵に夢のやうなる春の薄氷 板とはる氷をけつる春風ふさかめのことくたてるさゝなみ 小糸 同 仝 さゝ流に光りをみせて来る春のも吹とくし賀のうら風 一春風の手にはなれてはとちらへも池の氷の付所なし す木れは霞の衣とうら表次第にうす〳〵なる氷かな 仲芳 今泉 真山 月五 すなほなる風の様にうためしと地の氷もけさは扇なん 真路 陸奥の安積にはるの薄氷かつむすひつゝかつみたれつゝ 喰欠し惣餅ほとに残りたる春の氷をかしる小供等 また春も若きみそらて有なから小破のやうに氷る水の面美哉 寒さへ行戻りして薄氷むすひもはてぬ志賀のうら波 赤山 山川やすは筏にくつされて結ひちからもみえぬうすらひ 鶯のほう法花経の声すれは料の垂氷の角落けり 仙台 若菜 為髪加橘三 わかな物もとる沢辺にすへるとて六日は人にはやされにけり 石とこる野川のも打たゝき羊の髭のねせりをそつむ 駿府 直躬 つみて来し籠の若菜を染雪の雫もたゝく松の下庵 上総東金 一無鳥 為鬘如橘二 初食菜つみ来る人にたよれて野守の門は七くさのおと亀丸 為髪 いたゝけり君か為とて指し菜を君かめくみのあつものにして 小糸 喜可寿 大江戸のちまたにひさく初若菜葛飾舟につむとこそしれ 冨貴女 かたま持みかたま〳〵にしめし野をたつねて雪のわかなつみけり 七尊の若菜つみにと明ぬから門うちたゝきさそふまろかな こよろきの磯菜つみにと持出る嶺にこかめの客さへふさはし 東金 蔵の鳥出しこゝちの手弱女かつめるわかなももるゝ春日野 仝 一くはねの裾野の若な嫡子等かこのもかのもも土にまみれつ 繁躬 美濃岐阜 かつけものしたる少女とめつるなり雪の白衣の松菜春貞を 志解丸 上総川名 いくとせもかはらぬ君をいはひなんみつ茶の数をかすとりにして 照雪 貫珠加橘二 一曲からつみし根芹は粥の中の餅にもやりてとちうれにけり たつぬれとたしなき野への鶯薬人来〳〵をいとひてそつむ 今泉 真山 三河小川 秋彦 小糸 貫珠加橘一 君若わかためなりと両袖の袂一はいつむわかなかなかなかな 菊盛 月六 降雪の中や将泰の一手透つむはつめたきわか菜也けり 仝 風寒し浪さへ袖をこゆるきの磯菜をつめる春は木風も ふる雪に野への嫁菜も化粧しぬ我つむ手こそむこ引手なれ 駿府 竜門 綿の如雪をかむせてかつき来る蔵の中なるよめなうつくし 雪をかき〳〵あつむれと若菜さへたまらぬ露の水と成けり 雪をかき〳〵あつむれと若菜さへたまらぬ老の水ら成けり寿国君 君か為わかためつもる初若菜人もつにそけふはいてぬる 春の野に若なたつぬる寒けさは身をつみてし事客の衣手 大江戸へわかなをひさく市へは千石船につみて来ぬらむ 道雄 一今泉 明 わかな持賤かをとめの振袖をみことよめ茶とくやみるらん 仝 をさな子を背負をみなもつみにけんまたひとりみにたらぬ義莱 野あそひにつみ草臥し人よりも若菜は籠て帰りこそすれ 七草に楠てはやさん野沢なる手たゝき水におふかわかなを 岐阜 志解丸 川名 橋ためて小川のきしにこゝろせよあらはゝ手から水菜もちにん 残雪 為蔓加橘三郎 あわたちて雪はいはほに残りけり口そゝきたる跡と見るまて 為鬘加橘二 鶯の葉のもえ出る春もしら雪の夢ほとのこる宇津の山道 冨津 章雄 千代丸 むさし野にとゝまる雪ものこけさになかはは水となりて逃らん 吸出しゝ霞の袖の綿と見んけのこる雪のころも手の杜 御保姫の山ふところに乳とはかり残りし雪はあたゝかうみゆ 益成 今泉 真路 鐘ありていはほにおふる松かねの千代にあえてや雪の残れる 梅明 またさかぬ小町さくらに亀そひておもかけはかり残るしら雪 一唐の雪のこりすくなく成にけり梅の三すゑに誰かはこひし 為髪 一鞠ほとになりて残りし置まろめはるの日あしにけぬへくもかな 経をよむ鳥を聞んといつまても雪の遅兜や尻をすゑけん 安久楽 小糸 竹友 駿府 駒彦 月七 雲の袖霞の裾にひきやれてけはたつ綿と見ゆるしらゆき 寿国君 豊としのしるしそこゝにみえにける麦の根舟にのこるしらゝ守 満門 名におへる習室の山にこゝりたる雪はきえしなみなつきんまて 駿河伝法 真里 をふの浦かたえに残るしら雪を咲むぬ梨の花とこそみれ 貫珠加橋二 やそさくさくらの院に咲のこる雪もや花のほたしなるらん 菊成 下総馬橋 梓弓またつ風に湖の如こほりは桶をつらぬきにけり 一有歓堂君 貫珠加橘一 小金 山ひ色の青き眉ねや粧へるのこんの雪のうるはしき哉 琴妻 ふまれたる跡の深さを箱根山手の形ほとにのこすしら雪 大堀 ノ太良丸 仝 時しら給ふしにあえけん山の如庵の芝にのこるしらゆき 可明 武蔵金子 奥山の松の木かけはうへもよき春のきしらぬ雪のかくれか 好文 山かけに残りて雪や笑ふらん春もみすして冬の行しを 残りまし雪も若菜の下にえにあとなく消しかけろふの花清良 夜梅 烏鬘加橘二 烏羽の文好む里の梅かゝもきぬにうつせはしるくそありける物 小糸 為警 一くれぬとてとちたる窓の梅からをかきかけて寝るはをしくそ有ける やみの夜はあやなし咲る梅かえに袖引かけて香をなちこしそ 一周の夜に白くた梅はする墨の中の麝香のたくひなるへし 夜もすからくらきをわひて火もせる梅も薫りを爰と定めす 小金 琴妻 梅からは袖の湊にかゝりゐて月の出船やまちあはすらむ 冨貴女 袖垣に光れる梅のはつ花は黒の小袖かりすか縫のもん 古河 牛ひきにあふともわかぬ夜に薫る梅の星にも小袖かしたし あやなくもふけゆくやみにさく梅の星月夜なる鎌くらの山 難哥免 うくひすはふそまうちるゝこゝちせんぬくらの梅をさそふ小夜風 鶯のほしや祭らんみあかしを夜明してらす昼のうめかえ 小糸 菊盛 月八 夕月の舟こき出す軒のはに香をはしらする風のうめる音 春雨のふ事夜の軒の梅のはなにほひも露の玉とあふれつ 川名 照雪 貫珠加橘二 はるの夜のやみをあやなく思へるは処女の袖の袖の花の口への香 小楽 喜可寿 喜可寿 うこひすのとはぬ留守とて梅からは風にさそはれて夜ありやする すきをもる風に吹けすともし火の花もにほへるやみのうめかゝ 宿引のやうによる出る梅かゝは旅うくひすをさそひてや来ん 館林 知義 寒さをはいとへと夜はに扇窓ひらけはかをる風のうみかゝ 菊年 しくものはま〳〵ともとめてみたき哉おほろ月夜にゝほふ梅か香 梅の花めくるなにはの春の夜にとまらてをしき月のふねかな 小糸 喜可寿 大堀 可明 是にまた昔男かついひちをこえて出歩行夜はの梅かゝ 道雄 をりのこせゑにもおよはぬ梅の花ふきを後のたのしみにして 芳道 今泉 夜中すから匂ひさきぬる梅からは宿直袋にとめておきたし 真山 梅の花空に移りて月や照る月やうつりて花のてるらん 東金 繁躬 備前岡山 一移り香をとろめし人のいひ訳に手折ことかへるよるの梅かえ春 春樹 袴まよふはかりの闇の夜にはなくりむほとにほふうめかゝ美哉丸君 小川 はるのよは月もおよはし白たへにきよくもにほふうめの花の香 秋彦 川名 瀧夜の星かと見れは吹上の浜より風のさそふうめか香 照雪 春の夜は月も霞の蓑ゝぎ着て梅の雪見に出し姿なり 早蕨 為髪加橘三 一むさし野の霞の海に渦巻るわらひは浪の落間なるへし 為鷺州橘二 今泉 一しの浪の立田の山に下え出てみとりのはやしなせるさわらひ 明 駿河吉原 あてゝ見よと握りつめても早蕨の手よりもれ出る露のふ玉 つかね こふしをもひちかておふる早蕨はあけをうはひし故にやあるらん 為替 一竹の秋の風にうなつくるわらひはかすみの衣うつかとそみる 駿府 花持 直躬 月九 早蕨の握手のいろのむらさきは霞の袖にすりやそみけむ わか草のもゆる中よりさわらひのてには並へてみする春の野 信濃小諸 雙丸 山人は欲にわらひの手を折てあしにかへんといふもをかしや 今泉 真山 真山 仝 をうなへしを花はまたき手を出してまねくやうなる蕨をかしも 一仝冬海 貫珠加橋二 早蕨の手をもき取て都人衆の腕ほと手からにそ去る 福島 光義 あるはむしきあるは握りて手を出す蕨は野へにけんやうつらん 今泉 明 秋萩の花のしつくの種まくや春野におふるむらさきの春 草加 「千年 貫珠加橋一 一言へまつ人来る辻占は出しわらひの手相に知る 小糸 喜可寿 蔦の声のほう附をうけんとや手を開き出す野への早蕨 富津 千代丸 馬橋 むらさきのゆかりもとめて早厳のもゆる野守り家もとはなん 一入 くちなはのやうな縄にも成つらん消を巻つゝ出るさわらひ 駿府 駒彦 みよしのゝ青根か峯も紫のいろを折しる春のさわらひ 越後直江申 見空 大堀 手を出して折らんとすれは人に手ををらるゝ花の下わらひ哉 一牟礼のおそく成ぬと山家から手をさけて来るつとの震砂美孝 早厳のあくことしえて長き日を折くらしてそもてる家門と 水くきの岡の雪かき分て出る蕨はいつか手を上にけん 今泉 唐人の糧をこはれし風情なり土をにきりて出る品落 上毛沼田 さほ姫のとし玉なれやむらさきの霞をかけしのしの早嶺 一永きりを待くたひれて山のはにくるゝをまね〳〵やうな早蕨多賀丸 限りなくあくの強かる早藤もせんにすゝむる人そかしこき 長閑なる春の日あしや此ころはこゝえし手をものはす早藤 岡山 春樹 金子 六はくある松は木陰もへたてなくなへてそもゆるむらさきの聲 春曙 為髪加橘二 夢さむる枕草紙や飛烏みつよつみゆるはるのあけほの茂樹 月十 高齢 一病ひをのことはの花の八重驛はるはあけほの明ほのは春 貫珠加橘二 御ほ姫の霞の袖のわからもそしきこほ事くはるの御ほの 花の咲はしめなるらんかすめともめかれぬものは春の明ほの 日光 正名 貫珠加橘一 吹ふらんの艶かすむ楼に万星詠るはるのあけほの みめくりの鳥居いまたき隅田川谷よりしらむ曙の空 うつしなすゑしまめたちて紫の霞いろとるはるのあけほの 馬橋 一入 花に巻霞にこめしあけほのは八重さくら見るこゝちこゝすれ 野田 広善 関の名のかすみをこえてみわたせは桜田よりそしらむ御反 に枕の山もかすみてみえわたるひましらみゆく閨の曙 春風のたな引わけて横雲をたてにもみする曙の山 尊に呼おこされし閨の戸小すの心のうこく明ほの 花鳥にうきたつ春の人こゝろまつ色にむし曙のそら おちさきのかすみの糸に花鳥のにしきおり出す春の曙歌都美 松嶋のまつ原の針小類人の口やぬはれんはるの明ほの 仙臺 春駒 為鬘加橘二 一春の日にもゆる小草の中よりもはねて飛出すかひの黒駒 為髪 一大空のかすみの中へ飛入と見しは牧野の雲雀毛のこま 小諸 小林双双 あつさうはるのをさな子引出してはなてはかけるかはらけの駒 いさみたつ月毛の駒も瀧にて霞の中にみえつかくれつ 春日なる飛火の小野に出てみれは灰毛の駒も風に飛たつ 厚人 今泉 明 大堀 喜楽 梓弓やさき強くてこふしにもたもちかねたるつるふちの駒 一むさし野にはなち飼なる若駒に尾曽あし毛や月毛あるてふ花持 貫珠加橘二 一白泡を流してかける若駒は雪消の水や沢にのみけ舞真房 小兵 目登かとみゆるたちのゝ数の駒かすみの糸に半かくれて春町寿 貫珠加橘一 月十一 一秋に咲七くさの芽もはみつらんはなを揃へる春の野の駒 駿府 駒彦 たらさきの霜の手綱引そめて野へにもあそふ春の節約 仝 龍門 あれゆくをまたつなかんとしおのろやおのり手綱をきりはらの駒 冨津 松丸 春葉なにはあし毛と呼るとも夢にしみなはよしとこたへん かゑ 竹友 梓弓ひくつるふちの春約は切て数しく矢の如く飛ふ 仝 春駒のいはゆる声もひんのよさやかて蒔絵のくらやおん 名におくるこかねか原の春駒はふきかへし毛も見事也けり 今泉 笛をふく芦の若葉をくらひつゝ高き調子に駒そいはゆる 真山 野に遊ふ駒にも春の詠あり終月毛やはた雲雀花や 雉子 為鬘加橘三 恋に身をまかせしきしは春の野に蛇はむことも思ひたえけん安久楽 為髪 仙台 くちなはに三重の帯ともまかれては恋やせけりと難や思はん 貫珠加橘二 高野山ふかくこもるを香と子の跡をたつねて鳴さゝす哉 直江津 見空 貫珠加橘一 に金 賎の男の節休みと春の野に折々ならす難の火打羽 琴妻 うつかりとむせたる畑のからし菜につきぬくやうな鶏の声哉 春の野にあさる雉子も三尺のけんと鳴てや蛇をきるらし 若草のもえたつ野へを分ゆけは妻とふ難の火打羽の去る 子故には心みたして鳴ぬらん身には錦をまとふきゝすも 見付 花都真 雲雀 為髪加橘三 一揚雲雀幾度入ても落せるはかすみの袂綻ひやせし 三日月の眉のあたりの夕雲雀ほくろはかりに見るもをかしや道雄 為髪加橘二 立まかふ雲にさへつるあけ雲雀花をまもりの鈴かとそきく 仙台 千條 あけひはり霞の棚におくまりてつくちりほとにみゆる也けり友清 仰向て笠の小枕はつしけりみたる菅野の揚ひはりには梅城 月十二 為髪 揚雲雀月にならふかむさしのゝ草よりいてゝ草にいるみゆ あけひはり不二の霞につらなりてあまつ少女とともに舞らん 小川 小川 あかねさす日影とともに空たかくあかれはおつる夕ひはりかな 秋彦 見付 雲ゐにと秋は引らんたれこめし霞の小簾の中の若駒 花都真 貫珠加橘二 富津 いかにしてなかゝる日そと思案にもおちぬは西の夕ひはり哉 千代丸 千代丸 大堀 飛鳥山土器なりと見上れは土よりいてし雲雀なりけり 大坂大坂大坂大 見失ふ空の雲雀や佐保姫の霞の棚のすみに上りし 貫珠加橘一 京ゆふのいとに寄かくるこまの如雲ゐにちかく雲雀まふ也 伝法 真茂 童の浦より春の空印地雲ゐ打こしてひはり舞けり 深谷 野田 ねてをも空にしむるが藤雲雀霞にもとる道を忘れて 廣善 見こしなふほとに雲雀のあかりしは雲のあなたに遊ひをるらん 大空に声をとゝむる夕ひはり星のはやしにねくらとからん杣人 沼田 むさしとはいかにせましと思ふかな天の原にもすめる雲雀は国明 寒よりもそこへ〳〵と鳴て入やうに雲雀をみする水海弘明 雲のうへ最のそこにゐつ立つ上を下へとまふ候はりかな有数堂君 いとゆふや霞のいとに声するは揚る雲雀のかゝり居からし枝道 ○ 佐保姫の霞の袖に付て居てさて落かぬる夕雲雀哉照道 巌楼撰 当座雛市 十三 花になく尊袖のをとめるも古今ひらひゝなを撰ひてそ買ふ安久楽 市人の雪と群たつ間より見あくる雛は峯のはつ花照道 大かたは内意雛を我口の車にのせてひさく市人茂樹 ○ ○ 津水の人形なとはえりのけてのせぬ古今の雛亭の棚道雄 追加混雑 月十一 為髪加橘三 薄氷ときつむすひつもてあそふ寒さもさも春はいとまありけり清武 為髪加橘二 七くさにとりはしけん短かたゝ雪間の若菜瓜もかゝらす 仝 粥杖に腰をうたんとふりさりく袖も春たつ風にはらめり 京 広尓波 むらさきの花よの夢はとくさめて不二よりしらむ春の明ほの 為製 魚をとり風のわたるにあやふしとすは氷を狐もふますや 仝 清澄 風もす花はさかりとなりけらしちり雲もなき明ほのゝ山 仝 全 広尓波 夕風に流るゝ星と見てあれは雲の袖よりにほふうめかく 仝 広丸 鞠の如肥ふ〳〵れたるあら駒のあたりへそれて人なけりそね 仝 扇舞すなるは雀とみ元にけり雲の真袖をひるかへす時 貫珠加橘一 一壱手野のかすかに駒そみえにける朧月毛や鹿毛下またらに いとけなき春の霞の袖にこそ初日の丸の紋はぬひけれ 仝 笑顔 太 一戻り橋程をとりしはむかしにて今は梅かく袖をとめけり広尓波 月花や両かけにせんさほ姫のたてるかすみの春の明ほの楽佳 あらそはぬ風の柳の下わらひふきるこふしもすにほをり 俳諧歌月波集巻之一終 俳諧歌月史 二 生花斎還 天保八酉年三月廿八日開巻三首高点抄島甲乙録第二合 ○ 四十一月四十一日同 三十七点白桃園真道 二十五点埴生菴物就 仝面堂安久楽 }主哉龕菊楼君仝余其一巻寿十六本 三十一点乱菊楼君 仝巌楼道雄 三十点下照年麗舎春則 三十五 東海 二十九ヘ岐阜志解丸全 公仲芳一 吉石蔓二 同十同 菊盛 仝冨津千代丸 全台全主 同志解丸全 二十五一東海二十五、万津松丸 思塩生菴物成仝仲芳太郎 仝西堂安久楽千八吉屋吉蔓三四・川名照塩 面堂安久楽手太吉盃吉蔓三曲、川名照理 同躬友授秀雪隼人丸 同金子 仝駿河稲廼屋冬海 仝議梅田好文 三十点駿府 一十二月楼駒彦 東居 有歓堂君 同同同年二月十一月 二十五ヽ 真里 仝侍法真里 二十一、福島光治 枝道 二十ヽ 音成 長手橋方見舞台 三都丸 ○ 四十点○材月国茂樹 二十九歩一深谷 二十五、長岡春樹 三十五日年露月堂菊年 仝菊成 仝松戸鉢成 二十一、亀丸 仝○説月楼清澄 今明 三十二点檜因梅明 雅遊 三十二点雷柏樹園広善 富貴女 仝駿府行守 二十二、芳道 仝兼芙蓉菴真山 真田津見空 仝金美蓉菴貞山 三十一点仝呼坂亭真路 寿国君 全国全全夫ゟ 同同同 同三十七年 仝仙堂千菊園千條 三十点樫肉雅持 仝甲府福寿國松年 二十六、軍水雄 仝萬年子 二十五、花持 二十、沼田国 仝五葉 一仝正族 五葉合 同点到来順次延著之作者略茲 俳諧歌月波集二之巻 生花斎照道撰 山花 為鬘加橘三 一ちらさしとかけん願ひの原桜二日守れにほしの山には あらし山ちりゆく雨は雨もたぬねなし空かと打みられけり 上総富津 千代丸 千代丸 武蔵金子 好文 春雨の親をはなれし山さくらそふより風にまかせすもかな 寿国君 さかりには人にせかれてさく花のうへをこえゆく志賀の山風 為髪加播二 ちる時もちらて愛てしふしのねの裾のか花も暮とおもへは 馬におけ鞍馬の山の花さけはひとむちあてゝ風をしつめん 安久楽 茂樹 駿河今泉 冬海 甲府 夕月の舟出も成んちる花の浪にくれゆくすゑのまつ山 松年 美濃政章 桜よりつとへる客をちらさしとさかり下しらぬ薬の山茶屋 志解丸 もとり来てはいるすきまもあらし山たゝよふごとみるさくら巻 もとり来てはいるすきけるもあらしびそゝかふ雲とみるきく巻仲芳 ○柳曽茸 尊をまれ〳〵 茂樹 聞てゆくにての やうに月るゝ かすかにそなる 金 清澄 小山まに眼 見はりて 松さら鳴 蛙若の関や 池は恋の関や にるらん 為髪加福三 菊年 乙鳥の はこひし 土を 肝の脇あや よこれ たりけん 請取て 仝 真道 女とちむ つみにと出し跡は 留守居もひとり ひと日 昼寝すらしも 為鬘加橘三 春雨の如くみし 嶺の花みれは 親のおやなる 雲の面さし 物就 挿板挿書華其葉副 春の野に 心も広く 遊ふ日は 何せはや とも おもは さりけり 三河小川 秋彦 大 為髪 名所のあるか中にもよしの山たにこえてよき花の大えた 上総小糸 菊盛 一ひ物もすに廻りてみれは茶臼山四方にこほるゝ花のに折 遠山の花をなかめていぬむれる人の心やねにかへるらん 山さくらみ木をはしらに取入て出茶屋は花に富さかえけり かへるさにかさすさくらは夕山をさわきてくたる其かあらぬか 吹出すすきまもあらし嵐山さきふたかりし花のさかりは たつねいる人をこしとやよしの山おくほと花の咲かくしけむ 友清 下総野田 よしの山さかりの頃はおいれも花のみ雪のそこのわか草 けふは雲きのふは雪とちるさくらさてめつらしき花の山道 今泉 今泉冬海 遠山の霞のみすのひまもれて小ほふさくらは伊勢か小町か すみかまのけふりは絶て小野山にやかぬ桜もたてる白雲 留守に進る人には何をつとにせん山の桜はをるかをしさに 三河小川 秋彦 月二ノ三 みよしのゝ花のよみるつもりなは山よりも猶たかくやなるらん 冨津 岐阜 山残る肝をさくらに埋めしは草をゝられぬ為にやあるらん 志解丸 志船力 やう〳〵と山ふところ。を出たるは春の子持のうはさくらなり 富津 跡先もわからさりけり夢見草花咲ふたくみよしのゝ山 世の中のちかをはそけて山さくらこゝろひとへの花のよき哉 貫珠加橘二 きゝ浪やしかみ山さくらさかりには人のみるめもうき立にけり 下総松松 今泉 今泉冬海 あらし山よしの初瀬と皆人も雲に雲なす花さかりかな 貫珠加橘一 山さくらむ七日のひなはもておくの奥まてみよしのゝ 摂津兵庫 遠山の霞かくれに見る花はみすのひまもる錦なりけり そまならぬ都の人もまさかりの花をちから千のほる山道 陸奥福島 光義 牛ならてつき合酒の角樽も春は花見の山にねころふ近道 今泉 花に子かさなりあひてよしの山風の入へき透間左になし真略 今泉 裏山けさはる風のふきつけて花のひさくらもえいてにけり真路 たつねつゝこえ来し山の数ほとはたらぬこすしの花をみる哉松門 山さくら一枚こはれて学守もをらぬ〳〵とことわりにけり 駿府 かたちなき風の水におふ嵐山山さへみえぬ花さかりかな 春雨の夜のめくみにゑみ出て山ふところにさく児さくら 山姥かふところにさく児さくら中々風もさそひ兼らし 一立田山枝はをれともさくら花紅葉の色はぬすまさりけり 甲府 冨津 上総川かや 一山風のかへしいとへ吹ちらんしをりにさけし花の短冊照雪 野遊 今泉 この頃は野を内にしてあそふ哉露の棚を台ところにて むさし野に逃るをみれは酔しれの好みてよれる水にさりける 口とりはいらぬといひてふくへ酒こゝろの駒をはなつゆゝあそひ 真山 駿府 駒彦 東居 月二ノ四 かたつふりなれもわか如春の野に家を明つゝ出てあそひけり 野田 仙台 わか草の浪に蜑かりならすして宿も定め頃遊ふ春の野 千條 貫珠加橘一 越後直江津 朝な夕なこゝろうつして見る花と酒の亀香はあかぬ春の野 けふも又いのちをのへにあやからんのひるといへる草もつみつゝ 寐てあかす茎に一夜はかりりは夢にあとひく野遊の反 そふひと日夢の棚蝶とうち群て心ものへにあそひくはしつ 里も山もつゝしの花の火を焚はわきみやうにいつる里遊ひ 今泉 ま花のやはらかれ手をとり〳〵にが女子つれてあそふ春の野 甲府 遊絲 為鬘 ほころひし草の衣のひまことにみたれてみゆるいとゆふの空 ぬけくゝり糸ゆふめくるのとけさに霞の網はひろくなるらん茂 ひさくらを涼の羽袖にあふく時野風呂のゆけと見しは糸ゆふ真幸 青梅を霞のおほふたくひかなみとりの空になひく糸ゆふ 貫珠加橘一 御心妊の錦のはたやお事ならん霞の棚にみゆる糸ゆふ おりあけし妻のきぬのあまりかもしつはこ山にみゆる糸ゆふ 金子 今泉 富津 上巳 為髪加橘三 三千とせの数をかさねて菱餅の蓬か嶋をみする雛たな 為髪加橘二 流れ来し桃のさかつき手にうけて言葉の葉のたねもとめけり 湯をゑかきし雛の袖屏風むかし内裏のかをる梓脳 野田 貫珠加橘一 よみなかすこと葉の花もうかひけり水にたゝよふもゝめさかつき 桃の酒さはにすこして物いはぬ花の色なす顔そをかしき 九重の内藤をかさるそふとてやとりあはせよき雛の献立 歌都美 駿河吉右衛門 吉蔓 今泉 真山 仝 きしまゝにつくせもきれぬ紙雛は鶴の毛衣よりもめてたし 此内のすくねもかさる雛棚へ汐干にとりし玉をたむけん 月二ノ五 川名 くさ〳〵の色もうせんを散しまのみちとせにさく桃の見事さ 軒焼 為髪加橘三 給ひさし軒端つたひもつたてなくひとつかまとに遊ふつはくら瓢菊楼君 烏鬘加様二 鶴のみか軒の恋も子をおもふたる木の松に栄こもりをして 菊年 いかはかり遠きかたよりわたり来んちりをかゝへし軒の家は 吉原 吉蔓 酒をうるしるしの杉にまたひとつすをもつくれる肝のつくら 為覧 蒸の巣はちかつある山なれや肝はの花の雪間よりして 道雄 今泉 真山 不破の関月もる秋やおもほえん軒端にちをはこふつはくら 衣ほす軒の蒸をあやふみぬもたるはさみにたちやしぬると 仙台 千條 越前岡山 春樹 りくらも頬紅かひにはひりけんはる風なひく柳屋の軒 山さとはそれと事かて酒醤油肝に蒸のすをはつくれと 貫珠加橘二 あらかねのつちをはこひて子福者のひさしかりける恋の宿 ちりひちをよけてみ寺の袖ひさしこゝをきよしとすくふ窓正樹 菫菜 為髪加橘二 一ゆかりなき草も一夜はふしてけりすみれつみにし人にふまれて 駿府 一茎野にまたあそはんと帰りても一夜ねられ伝あすそまたるゝ 酔人はもろはたねて袖もなくつみしすみれを何にするらん 今泉 壺すみれさくらの花のくちひるにつけまほしさのかねのいろかな 真山 おもはすも一夜妙にけり華さくかたへの草も人にふまれて むさし里は茎さきけりつくはねをむらさきにほふかきりにはして 中々に露にやあせんすみれ草わくるをとめる裾のむらさき 貫珠加橘一に 一夜寐し人もあらんと思ひむてねたくそしたふすみれ咲野へ 貫珠加橘一 むらさきの霞のいろにうつろひてのへのゆかりのすみれ咲けり 夕風はちゝろ寒けしすみれ野に一夜ぬんとはおもはれぬまて 梅明 野田 野田広善 花持 雅持 同二ノ六 ねことにもち産のすみれをいたつらな子等は一夜に指てしまへり 今泉 明 一夜をは御しつまなんすみれ草ねこと美しき花にみこれて 駿府 行守 田蛙 為髪加橘三 天地のうこくやうにはおよはねと蛙の類も水はうこかすゝ 今泉 真一 神の代のふりやまなひしみとしろの蛙いるの文字もさためす 兎紙田の塩のうたのかはらぬは雲のはくさやうちかへしけむ 為鬘加橘二 苗代のこねをおろせは声あけて蛙せはしき山のはしこま 水にうつる雲の袖にもすかる如なきて雨こふ小田の城は 一猫の花秋はさけよとかそいろの事をかはつも小田にこふらん 仙台 千條 かゝみ山うつる裾田のくろめしやるよむ蛙いさ見てゆかん 為覚 田の水にうつりし花の雲の上はすめる蛙の類ところよも 戦の果は粟津の夕日かけ深田におちてかはつなくなり 田の水になれ飛入て月のわのかけさす中も蛙なくなり 野田 類はよめと筆ものくさき蛙かな小田のたにしにみゝす書さす 春則 駿河傳法 やつはしの水せきいるゝ小田にゐて沓冠了ふかはつるよむ 真里 道雄 うたをよむ苗代小田の蛙等は人の言葉の種にこそあれ 貫珠加橘二 中々に給ふけはつかす壱の田をおこす蛙のこゑのたかさに 上毛沼田 国明 手をつきて蛙は礼をのふるかな去ね苅し田をすかへす時 上総小兵衛 喜可寿 軍するかはつはほらを吹やうに田にしのからに手をかけて鳴 鍬あらふ賤か門田の細なかれかはつも類をみかきてはよむ 伝法 真里 事ちかし月の暈めすあり明にふるほと小田のかはつなく也 色紙田のたにしの書し文字はそも蛙のよみし哥にや有らん 賤の男に住るあら小まかへされて床あれにきと蛙なくらん 降来ぬる事にきほひてあら小田を打かへしつゝき〳〵かはつ哉 月二ノ七 空はれて影さす春のよもすから月の蛙も田ことにそなく 松戸 材鉢成 よめ菜つむ沢田に〓飛入ておもはぬ水をあひる賤の男 大堀 太良丸 躑躅 為鬘加橋三 一桶柴や小しはに添しつゝし花よくもえぬとてひさく大原女 為髪加橘二 一己日宿の煙めしろにかへんとてもゆるつゝしをひさく賤の女 今泉 真路 磯山のふきくゝしはくれなゐの花の入日を洗ふ浪かも 為鷺 まけいろをみせしと花はあらそひてさきかけぬらん源平つゝし 小糸 菊盛 貫珠加橘一 仝 一くしおふる野への霞の海つらにもゆるつゝしはしらぬひかそも 喜可寿 仙台 さく花の高荒錦ともみえぬるはわか日の本の火つゝしかも 千條 ひの衣ほすかとみれは山寺のひなたにさけるきつゝみなり 山吹 為警加橘二 庭もせに枝は一かいかさはれとみのひとつなき山ふきのはな有歡堂君 敷嶋のかしこき道に美しき歌の種ある井出の山ふき 今泉 かきたえて実をしもたねは玉川の石の女に似たるやまふき 為髪 天雲のめ黄にこる山ふきはさく卯の花の雪もよひかも 安久楽 兵庫 武雄 乳をもらふみなし子なれや桜木をもり来る事に覚める山吹 種なくて今もたえさる山順の花はまことにきなるもの哉 手をれとも子のあるしのきのよさはこゝともいはぬいろの山ふき 玉川の流にうつる玉ふきは金生水のいろにさりける 山ふきのこかねの色に咲みちてあたゝかさうな谷のふところ 今泉 蛙なくひゝきにゆれてこほしけん井出の山吹実をしもためは 咲いてゝ枝もたわゝに山ふきのをれ候はかりにいはぬいろなる 小川 にこねゐのはしの袂は露まても持おもりするきしの山吹 めつらしや顔をうつして箱の池にみもふたりある山ふきのはな杣人 同二ノ八 大堀 何程もすに水なふりしてきも軽くみをもこなせる山吹の花 喜楽 貢珠加橘二 花さけとみをは結はておと露もしはしたまらぬ山吹のえた 小川 秋彦 貫珠加橘一 山以近事にてめつる玉川になとかち〳〵とかはつなくらむ 小糸 千金の春の日数をかさねつゝこかね色ますやまふきの花 仝 ちか草を歎ける人やなくさめんきつよく咲てみする山吹 処やちる風もやふくと山吹の花にはそれもみな苦也けり 野田 広善 山吹を折てたへよと訪れてもさくとはいはぬ庭の花もり 福島 光義 まはゆさは玉をちかはむいらかより庭にこかねを敷し山吹 井出のいも黄金いろなす山吹に人もこゝろの駒とゝめなむ するにたゝきて風に吹かへの黄かねともみるやまふきの花 ましはりの深くもかなとさく花のこかねを水にはなつ山吹 富津 あるもいはてしのふは妹に似てきのちひさなる山ふきの花 暮春 烏尾州加嘉三 これてゆく春をやをしむ鶯のこゑにも過し月日かそへて 限りある春の限りをかきりなくをしむかきりはいつをかきらん 野田 廣善 小川 花鳥にわかるゝけふは笑ひてもなきてもあかぬわか心哉 為髪加橘二 直江津 をしめとも花吹立て行春を手にとめられぬかけろふの小野 よしの川さくらの花の浪よるを起ゆく春のしわとこそみれ 今泉 真山 すの日はかへしてもはや三日の原せめて霞のころもかせ山 香は風におくりてやれる跡へよりちる花駕に春はのり行 かはりゆく霞の酒にむらさきの灰さす色もあせてかひなし くれてゆく春の湊に不落の茄子の舟もこきよするみゆ 甲府 貫珠加橘二 天にのみ春もひそめてをらせまし立ことかたきにのかけには 野田 一冊貝珠加橋一 吉原 のこしおく霞の衣をかたみにて花にわかれて春やゆくらむ吉蔓 月二ノ九 ちる薬の浪いと高し行壱をつなきとめてよなはの海面松門 ○ ○ ひとへきる夏を隣にゆくすのかたみをせはくみるかわひしき照道 堂武士汐干狩 白桃園撰 十五ヽ 一汐干かり二度のかけして武士のやさしくもとる梅の花貝安久楽 一螺の貝手ことにとりて汐干かた先勝時をあくるものゝふ照道 ほかれひつくまのうらに武士は手なれし鑓のわさやみすらん東海 ○ 汐干狩かちを先度と海馬に乗てえものをきそふ武士真道 俳諧歌月波集巻之二終 生花斎選 三 俳諧歌月波集 天保八酉年四月廿八日開巻三首高点抄出甲乙弥第三会 ○ 十三十五京広尓液二十五 三十六日露月堂菊年 三十ヽ松門仝亀成二十二歳 三十七点○材月園茂樹 仝岐阜志解丸仝治律母文 三十五十五巌楼道雄 一台千菊園千條 三十三点翻年麗舎春則 仝韃松緑舘千代丸 仝重来子関人 仝重永之子関人 二十八稚遊仝勇志良 仝真仁車見穴ユ仝福島光義十 五乗仝清澄 一仝五乗仝戸 二十七、山住二四八雪丈 二十七、山住 二十七、山 山人仝京楽住 千六、杣人 一一 三十二点 全医採撰亭直郎 三十二点富津△蒼海亭水雄 三十一点下総森柳亭雑立可免 二十六、仙人 二十六、松本 二十三人富貴女 菊成二匁五分 仝菊成吉州志橘子 仝菊市右田志満子 仝小金五今妻妻仝大堀可明 仝京笑顔仝京廣丸 同四十八雅遊正勇忠良 三十一点 ○ 三十五亀九二十五郎六郎 三十七点野田○柏吟社広善 仝今泉真一小糸菊盛 三十五五五白桃園真道 仝駿阿△芙蓉菴真山 雲床仝有歡堂君 三十四点仝安廼屋明 三十三点北名米廼屋照雪 二十八小川秋彦次郎鉢成 仝深谷仝駿府駒彦 仝稲迺屋冬海 二十七日花持二十四、小糸剛 二十六古同真抱仝冨田津松丸 仝甲府福寿園松年 琴櫻二十二同年子 埴生菴物就 三十二点埴生菴物就 常居真幸 仝 三十点紀喜可寿 仝伝法真茂仝大坂喜楽 仝仲芳大阪真起 仝仲芳仝大阪真記 二十五、光 二十五、光二七一芳道 二十小糸竹友 吉崎雄 正崎 松花 同点到来順次延着之作者略茲 俳諧歌月波集巻之三 生花斎照道撰 新樹 為髪加橘三 火ともしく此桜木も燈台のもとくらきまて青葉しけれり 下総野田 ものいはぬ花のあとへのあなりまと夏の木立の茂き空の葉 上総小糸 喜可寿 花ちりてもとの若葉にかへれるを老曽の杜と名付たりけん 有明の桜はきえて昼の間もやみを残しく夏木立かな 仝富津 水雄 水雄 藤岐阜 志解丸 為髪加橘二 野田 一霞をはいつかうはひて夏木立みとりの林なせる山の端 廣善 越後直江津 ちる花の白髪もみえす若葉して老間の杜も見たかへにけり 見空 為髪 なへて葉のしけれはやみと成にけり庭の林も軒の籬も 夏来れは常磐の松下桜木もおなし緑のいろに出にけり 色々にむしも糸をそ引にける茂りし桑の梢よりして翫菊楼君 挿影音華 恋の山 露月堂 菊年 亀も茂りて 月影の 水ももらさぬ 夏木立哉 花の雪消て 仝 たゝへし みとりかも 水いろふかき 谷の葉桜 材月酒 茂樹 柏吟社 広善 仝 夜もすから門に 水鶏は おきあかし けさはまふたを しわたとく らん 烏鬘加橘三 地震の如 ゆるきの杜を ふり出て しくれとなれる 蝉のもろ声 巌楼道雄 為髪加橘三 星さをは 白桃園 真道 祓ひなかして 鳥はたの たつほと涼し 鴨の川風 今泉 仝 あやめふく 肝を 芙蓉庵 真山 ふかね入 する こひなの たゝけるは 宿と思ふる 鶯のねしつまりたる頃しもそしん〳〵となる森の下陰 富津 千代九 白雲の花ちりて後大空のみとりの色をみする葉桜 花持 ゆくすの名残をしみて皆木々のはたしになるは跡追んとや 小糸 菊盛 茂りけり月日もみえぬ夏木立鶯鳴し梅のはやしも よしの山青葉を分て行風は花をたつぬ事かたち水けり 駿河今泉 茂樹 真一 葉桜となりてもそけすみる人に花をもたしく峯の白雲 中々に夕くれはやく覚えけり梢に夏の影しけりては 若葉もる月より伝ふ白露も星のはやしに底の夏山 貫珠加橘ニ すみた川花過てまた葉さくらのみところ多きなかめけけ たれこめて青き簾に庭の面も若葉にくらくなりし此頃 茂りあふ樹々はみとりの諸兄郷桶の広葉もとちかさねつゝ 貫珠加橘一 梅さくらすは色香をきそひしかわか葉粉は手をうたせけり 富津 一年子 今泉 月三ノ三 葉桜のまた珍らしきひときより歌のてにはも茂るたにさく 小糸 茂りあふみとりを何にくらふ山ひ木わか木のわかぬものから 仝 月日影露ふ若葉に夕くれははやく夜明はおそくなるへし 木曽山やぬる膳椀もおしなへてきゝの青みをもるわ煮ふ うくひ春の古栄なりしか夏木立月日の影もさしてみえさる 今泉 明 この花の雪もあつめて文よまん窓をゝくらく茂る木々の葉 中々にまたもなかめは深みとりこゝろのまゝに茂れ葉さくら 夏山は土用布子のたくひかも茂る青葉の重着をして 三河小川 秋彦 下総松戸 家のなき佐野のわたりの若葉絵袖打払ふ藪蚊うるさし 雲と立花はさなくて青空の立に月日をおほふ葉桜 上総大堀 余花 為鬘加橘三 甲府 行壱はきのふの道やいそきけん鳴くるゝ花の亀々にさく 為鬘加橘二 春雨の親にはなれてなかくれにみるも侘しき花のみなし子 たとへこし雲もたのます空蝉のは山にのこる時雨さくらは 物就 今泉 おそさくらさけは青葉にとちつけて中々風も通さゝりけり 山さくらすの日長にゆたんして花のさかりを夏へのはしぬ 真一 富津 松丸 仙台 春のゆく月日もしらて遅さくら咲のこりけん木々の下やみ 但杢千條 為鬘 野田 一夏も猶のこりてさける桜花春をゝしみしあまりなるらん 廣善 富津 とこしへに春を夏へと山さくら扇はなたぬ時に咲けり 千代丸 天人の衣やほしけんするこゝ夏のさくらのにほふ香久山 けふ夏の越来し道の枝折にもたしなくさける山さくら哉 今泉 風来なは青葉にかくせ遅さくらあまりものにはふくと聞ゆゑ 真山 仝 夏山の青葉につゝむ香桜花は最中の月にやあるらん 岐阜 明 朝公なく頃にしもさく花はたゝ有明の月とみるらむ 同三ノ四 上野山青葉の雲のあひたにも五りんはかりはのこる花かな有歡堂君 貫珠加橘一 一昭君の泣顔とみん夏山の花は絵師さへ葉かくれに書深谷 駿府 行春のおきみやけかも雲の袖につゝむ程さく香桜はな 駒彦 早苗 為髪加橘三 かくれ足かくれ蓑きて富学の玉苗こゝるおほん宝田 為蔓加橘二 と馬苗はうるしねなれや手も足も泥にかふれて黒く成けり 芳丸改 真幸 やつはしの蜘手に水を引のみかいとせいたしてうゝる若苗 つくはねや雫の田ゐの早苗時をとこ女の山をなしけり 落したる猿とり上る隙もなくさみたれ髪にうゝる若苗 もとすゑとおくれ先たつ早少女は雫の田ゐや露の玉なへ 為医 出来秋の生ひさきみえつ早処女のはこくみうゝる田早の若苗 道雄 駿府 直躬 下総古河 真袍 田母〳〵早苗をうゝるさをとめの夢の小笠も月とうつりて亀成 ひたすき千鳥にかけて早処女も一むれこゝる湊田の間菊成 田はかりを心にかけて早昔とる身はたはかりのくたになし物就 人先にとるを手柄と菅原やふしみえぬまにうゝる若苗 妹かきる小笠の月も更科の田舟にうつし早角とるなり 若時にみとりの鼻かくとみし早苗を小田にけふ配るとて 今泉 早少女か唄ふ田唄も若苗もともにやさしきふしは有けり 笠縫の里にぬきたる若首はをとめかつかふ針かとそみる 弥生より雛の如くに養ひてとり上にけり玉の若苗 嫁は餅姑は酒と右左小田のま蒲をあらそひてとる 武蔵小金 琴妻 松戸 甲府 鼠米これやみのらん賤の女かいの棚田にとりいるゝなへ 駿府 枝川の水せきいれて鶯の色のさなへも飛とにうゝ 駒 貫珠加橘二 一五月事にぬれつゝうゝる民草は田の実のかさのあれとおもはん 古河 同三ノ五 貫珠加橘一 うつふきて早苗をとれる賤の男はみのれる秋の稲物ほせ鳥 昼飯も小笠の紐も人の手をかりて結へる前のうゑ時 中のよき嫁と姑のうゝるまは苗のいろさへうつくしきかな 駿河沼津 母文 今泉 真一 ことさらにふしもそろへりま処女の唄も竹田にうゝる若苗 冨津 三株つゝ植出す明にいかほとの種をあふみの早苗成らし 水雄 賎の女はおのか門まとせきなから跡しさりしてうゝるわか苗 小川 暮はやといそく処女も月よしの里の山田に早苗とるみゆ 小金 琴妻 うゝる声鼻にかけつゝ唄ひけり嫁か持参の小田のわか苗 くれかけて苗とりいそく袖田にもたすきをかくる夕虹の影 仙台 水鶏 為鬘加橘三 一是さにてさしもつかれし里の戸の縮申水鶏にたがせてをり菊年 為鬘 野田 一何わひて間まく水鶏いたゝくらんさらても門いあけ思致さすき夜を 廣善 小糸 口まめに水鶏のたゝき納豆の人をはなとて寐かさゝるらん 喜可壽 富津 卯花のかきねたゝける水鶏をはこはしら浪の来しかとそきく 水雄 貫珠加橘一 一夢喰し猶のみえぬはあかつきの水鶏やはしにかけしなるらん 上総川名 小夜更し肝はの匂ははしやすむ水鶏にかはる音にそ有る 津のへに焚てふ鬼の夕飯をくうて水鶏やはしたゝくらん 五月句の雫に肝をたゝかれて驚き逃る水鶏をかしも 小糸 菊盛 野田 広善 小糸 幼子の水鶏にさめて泣出せは寝かすに母のまたもたゝきつ 寐もせすて何を水鶏のみたれ橋杭ちかふまてたゝく水鶏は 直江津 夏草 為鬘加橘三 かりとりて蛍となさん文をよむ窓先くらくおほふなつ草 古河 夏草の浪うつ中の蜑か家はおよきていつる鯨とそ見る 烏鬘加橘二 夏草の浪の中なるひとつ家はさなから潟のいはほ也けり 明 月三ノ六 嶋原は乙姫ありて夏草の浪草の中の者とや見舞深谷 一夏草の波を一たてし屏風岩渚の花の小嶋なるへし亀九 親なしと聞にしいよほ撫子は天つ少女の種にやあるらん 事くしけはこへといへる草もみなふたにふたして生ひやしけれる 冨津 千代丸 夕風に吹もなひかて夏の野にはるの心はしらぬ姫百合松門 むさし理はみとりの海か夏草の浪のそこにもある碇草 風ふけはひたとすかより〳〵て丈くらくするやうな豆魚に うしほには交らさるらん夏草の波間にしろくわかる真清れ 妹と我ぬのひせし野も松ならてたけ〳〵しくそ茂る悪子 今泉 葉末には露の蛍をあつめても文よむ窓のくらき夏草 むさし野に生茂りたる夏草は葉末もつゝく冨士のしは山 貫珠加橘二 小車の花のもとなるなてしこはふみ使する女のわらはかも 大堀 喜楽 貫珠加橘一 朝在夕なおこしつねせつ撫子のまりにつきし露のしらむ まかなくに何を種とてさく花は親なし子かや庭のなてし子 古河 米芳 野田 夕かほの花になひけるゝ有草は月にさはれる村雲の如 夏草のたけ〳〵しさのむさし野にとちこもりしは兎百合の花 今泉 夏草のみたれふせるは野遊に酒をひたしかあたりなるかん ト 乳の出る銀杏のもとに生なからやせ這廻るつるいちこ哉 冬海 小金 一生茂るまやしまの庭草の中へは風も通らさりけり 行通ふ孝の悲去もみえぬまてはひかさなりし野路の夏草 きみたれの海なすしほや侍かねん垣を打こす夏くさの娘 甲府 陸奥福島 光義 鵜川 為医に加橘三 一立田川転海の露に時雨してもゆるかゝりの紅葉みそし関人 仙台 とかめのつみは今身にかゝるともしらぬ静同はよるもねふくし 同三ノ七 あはれさは夢野の鹿にまさる鶏やかゝりの灰も霜とみられて 駿府 直躬 為鬘加橘二 一うかひ舟おくれ先たつ罪もみなおなしところへ落合の川 綱を手にまかせぬ折は幸なくて鵜飼か胸にもつれをるらん 野田 春則 雅持改 雲床 為賢 一川矢はおれか腹にいれなからのみこまぬ鴉のうと思はん 古河 米芳 かゝりてをけしたる胸や闇ならん月にさゝれてもとる鵜飼男 仝 志満子 闇の夜に手縄さはきていとなみの鴉つかふあやをみする筋とゝ 諸先もわかぬはかりに手流さへこくらかりける闇の鵜遣ひ 真幸 最上川うふねこきつゝく先へのほるも下るこゝちこそすれ 吉野川いつる鵜飼の篝火に花をちらすは桜鮎かな 川名 照雪 衆しらぬ静かひかくらき心にはわしのみ山の月もうえまん 此世からやみを好みてとる魚をつみかさねぬる鵜飼男あはん 福島 光義 是さをは忘るゝはかり水にいれと鶴の咽もとは過ぬ魚哉清澄 貫珠加橘二 再火小植のえたや折たかん鶏舟のやみを目と照らせは 富津 おのか身にひとつにならぬ魚をとる鵜は名におへる山吹か崎 古洞 水雄 貫珠加橘一 渡り世のやみは思はす鵜周男のおのれかゝりに身をやこかさん 野田 ならふよりなれてあはれや手馴鶴のくらきよはにも渕を草となす 中々に静肉もつらき世渡りや浮てはしつみ沈みてはらく 小糸 一鶏飼燈の妻は帰りをまつ浦川気も月の花のかたをなるめて 井脇 鵜かひらか袖はよつこふ闇にぬれてかなしむ月の夜はかわさぬ 仝 剛 花さそふ嵐をいたむ心もて月をいとへる鵜ふね何なり 吉原 うつの月のいるさをかきりにてゆん水にめてに鵜やつかふらん有歓堂君 池蓮 今泉 為影蔓加橘三 あかをくむあみたかきの蓮の花つより出るものとおもはし 為覚 古寺の池の蓮の露きえぬみぬよの人のむかあらぬか菊年 同二ノ八 ふしの嶺の雪消流るゝ海とみん蓮の露のおつる池水 黒髪を玉藻ともみし猿沢の池の蓮はいもりまなしり 水色のすきとほりたる池の面に玉を巻てそいつるれば 沼津 貫珠加橘一 一咲匂ふ蓮は池かりする〳〵し是なん弥陀のおまし所か 花よりも浮葉をいなくさゝ垢は蓮の糸にくらへみんとや 伝法 真茂 蓮葉の浮葉巻葉となかめつくたちはわすれし池の向哉芳道 杜蝉 為鬘加橘三 ひり〳〵とさける声しぬ空蝉の薄き肌着の衣手のもり 川名 うつくしき羽衣かけてみん〳〵と松の木末に蝉のなくなり駆 為髪 昔よりやさしき文字の和朝の森かな〳〵と増のはかくれになく せはしなく火ともす頃の油蝉しみ通る声の衣手のもり いくたひか蝉は梢にしくれてもおなし常磐の杜の色なる 浮出しゝ宮なよこしそ衣手の杜にあふれてなく油せみ雲床 貫珠加橘二 眠りゐるねふりのおの合敵の木のねふりをさます蝉の諸声角成 貫珠加橘一 一ひとつきも楠の千枝に聞えけり片田の松の蝉の諸こゑ富貴女 風なきし思りに松の琴やめは唄のみうたふもりのうつ蝉松門 小条 つくはとし〳〵とゆるきの杜に来て鯨に名有増そ鳴なる喜可寿 梅かえるはた松風かこと〳〵小並に生内のもりの隙の音 伝法 こからしの森のなかけに鳴立て時ゆもよほす蝉のもろこゑ 今泉 羽衣も声か時雨にぬらしけん声をしほりて蝉のなけるは 片岡の社の雫やをちこちにこゑふり出すせみしくれ哉五葉 耳に入て昼寝の眠り覚しけりしづくのおの蝉のしくれは仲芳 みすきかすいはての蟲の唾蝉はさるのやうなる子等もす 短夜 月三ノ九 為盛 一月かけにうかれ烏や寝そひれしねくらからすて明る短夜 古河 難奇免 とろ〳〵とまとろむ夢の浮草やねつかて明る短夜の空 すら〳〵と此はのふれと中々にひとふしにたにたらぬみしか夜 むさしのゝ月の水さへ天のはら逃て入かとおもふみしか夜 竹かきの隣一ゆくとみし夢のもとれはすくにあくるみしか夜 わけて猶あけやすき哉ほとゝきす侍夜は恋のたくひならねと 貫珠加橘一 月の出の遠山の端をさりあへすつゝきてすくにあくる横雲 仙台 野田 夏の夜はみしかきあしの涼台やとるもせはし総かけの月 月の舟さし出るよとみるうちに入江のあしのみしか夜のそら松門 今泉 竹の子のよの間は長くのひけれとふしの間なくそ明る夏の夜 月かけをしやしくおもふうたかひも空にのこりて明るみしか夜雲床 夏抜 為髪加橘二 一鯉鮒もなかぜる麻に背をすりてみそきなすらん御手洗の川 真山 橘の小川にはらへ清むれはみすゝやかにそ成にけるかな 鳴神も御祓やすらん落しつゝ麻の葉流す夕立の川 為医 六月の名越の杜になく蝉をうなゐらはきてはらひ落せり 夕立の雨に御祓の川雨もつい秋川とみえて涼しも 仝 伝法 宮姫の一い紅つけし形代か御手洗川にこくみやか鳥 貫珠加橘二 飛鳥川釣をしなからみそきせんうきも嬉しき瀬にかはるやと 貫珠加橘一 一星さをもけふみな月とみそきしておとろくはかり風そ涼しき みすゝ川埋めてしまふ麻の葉は秋になるへき道や遠らん枝道 みすゝ川埋めてしまふ麻の葉は秋になるへき道や造らん 直江津 すゝしさははらひ流して身のあるも是もけふはみな月の空 ○ はらへせし諸すゝしきは水底を今形代やくゝりゆくらし照道 月三ノ十 当座女更衣 珍重屋撰 一血心もなくて身軽に成にけりうみたる麻の衣着かへて 右江戸 喜可寿 大きくて袋をきせし風情かなな奴婢にもらする蝉の羽衣物枕 大平やも夏のかしらに着かへたる衣にきめのやせもみこへけり菊成 ○ 花紅葉あかしちゝみを着る妹は心にそみてうれしけるらん梅丁 追加混悪 為髪介橘三 小野更て閨にかよつる風の香は学ひし梅の文つかひかれ そふゆかんあすやむんともよほして見なきも花とめつる山ふき京広尓波 為鬘 白雲はいつちへ逃て行ぬらん入一き山は花に埋みて 愛たさはけふみ千歳の数とりにもひとつひろへ桃のさかつき 広丸 仝 鶯にかへしせんとや梅の咲門田の蛙類をならへる 笑顔 仝 貫珠加橘一 一顕進よむ鳥にないふかつはくらのちうこかして軒へはこくり仝 春の空の薄茶遊ひもきほうしにひとつまみほと若なをそつむ 山吹の花を誘ひし春風はいふにいはれぬにほひこそすれ 京 楽住 苗代の蛙は鳴子手いたひてひくやくい〳〵こゑそ聞ゆる 仝 つく〳〵しかき分てみん野遊に持し野風呂の炭つきもして 仝 広尓波 大坂 日々雲を山へはこふは花の頃くもれるまてにさかんこゝろか 真起 風をいとふ花ゆゑすたの桜餅ひらきて友もちらさゝりけり 谷道 大えたに数を重ねて風にさへみたされぬほとの花そかしこき 文科や麓をさして早苗とる少女の笠も十町田の月 万年 左江戸 花都真 いとふへき罪の深さもいとはするしさりさま川の鵜飼男忘れ 仝 俳諧歌月波集巻之三終 生花斎選 四 俳諧歌月波集 天保八酉年五月廿八日開巻三首高点抄出甲乙録第四会 ○ 同三五点五葉 二十五丁 二十八点紀大芙菴真山 山三十点五乗二十五 仝物馴 二十八万志良 三十五月○万年舎亀丸 仝重森子関人 二十四、古河米芳 仝食真一二十四古河未芳 仝仲芳小糸竹友 三十四点織四角園早丸 三十二点望月楼光 合十八會 仝松山檜峯舘明一 三十一点京右香亭広示波 三十一点秋籬亭菊成 三十点翫菊楼君 仝埴生菴物就 乙仝京楽住仝川名照西三 仝京楽住仝川 二十七日岐阜志解丸仝泉冬躬 二十二小糸雄左丸 二十六小糸剛二十一小糸雄左九 仝百丸 仝直江事見空 工吉原吉菖 月仝吉原吉嘉又 仝今泉明一 二十ヽ東居 一二二 仝仙台千條 仝亀成 二千五、瓢住梅道 二十五、瓢住十九ヽ梅 十九ヽ梅道 仝 綾熱 花彦 谷道 同好 ○ 三十七点」割○松緑館千代丸 二十九点清澄 三十二丁〇材目園茂樹 三十五章○材月園茂樹 二十八、瓢丸 二十五、琴櫻 二十四、小糸菊盛 三十四志甲府福寿国松年 三十三点芳野雲床 仝福禄亭深谷 三十二色秋弟舎花持一 三十一点上総厚人 仝露月堂菊年 三十点谷町迺山住 仝京大嬉園笑顔 仝葵園君 仝△雪文 二十三ヽ古同難奇免 仝野田広善 仝友清 二十七ヽ小糸喜可寿 二十六草加千年吉負つかね 二十六草加千年 芳道二十一、小糸井脇 芳道 仝小川秋彦仝松戸鉢成 仝小川秋彦 仝仙人二十一、京廣丸 仝札人 二十ヽ伝法真里 二十五ヽ在駿府奇都美 二十五、在駿府奇都美 仝伝法真茂 仝傳法真茂十八加須丁春吉 厚岐 志津彦 枝道 道芝 一仝点到来順次延著之作者畧茲 俳諧歌月波集巻之四 生花斎照道撰 早涼 烏蔓加橘二 葛の葉のきのふにかへてけさははやうらかくりたる風の涼しさ 馬髪 早秋はいつか我身にそみぬらし心すゝしき風のいろみゆ 貫珠加橘二 けされし府の骨の夏やせを見付し秋の風のすゝしさ 世珠加橘一 夏少けさ秋をはらみてほすゝきの露は涼しき玉子なるらし 谷町 下総占河 難奇免 更科やはつ秋かけて妹ならぬ女房もすつるすゝしさ 武蔵草加 早丸 世は霧の海とかはりてみ空なる雲のみねなきけさは涼しな 仝 あつさをもはらへ捨しか御祓川けさふく風の袖のすゝしさ 涼しさよきのふ御祓の川風はけふわか袖を撫る如くふて 晩のすゝしさしれは子供等もおとなしくなる秋の寝姿 挿形吉攀 織姫へさ上る 亀丸 影の空の葉も かはのとまりは こよひいむへし 為髪加橘三 実ある 心のたけに かけつらん 星にぬかひの 糸のあかさを 関人 桐の葉の 落るはかりか 淋しさも 庵にかさなる 秋の夕くれ 甲府 松年 挿髻華 うちひさす朝まて 消すてあり明の 日の常を 美かく 美かく しら露 千代丸 今泉 真山 山の端に ひれる影は つゝら折 つくてをく みゆる 稲荷 挿髻葺 末つひに 海とやならん 枝しけき 桑より 落る 油んの露 茂樹 献立てこのすゝしさは酔さめの水のこゝちや酒飯ぬ身も千條 七夕 為髻へ加橘三 一袋菊の所に契りを結ひつゝよはひをのはすゝ酒やかもさん瓢菊楼君 為髪加橘二 草加 一天の川其水上はしらねとも星のあふ瀬は世になかれけり 哥書る硯の海に汲とりてこよひほさはや天の川水 為髪 上総小糸 一口なしの天に契りし棚はたのうき名はなとて空に立らん 厚人 棚桟へ手向る此はよをこめて長きちきりの糸やかけなん 仝 剛 剛 恋の浅あふせとなりぬ天の川けふは六ものあすか川にて 仝 喜可寿 鵲や紅葉の橋はならへたるつはさに庭のほしあひの空 短冊の竹の茂りてほし合の空も壱ほとみとりなしけり 竹の上に人も願ひの糸かけてさとに姫のあふせまたるゝ 恋のやみ思ひの立そ故はるゝ鵲の羽根橋のりみち葉 月四ノ三 宵にたつ霧の籬もかしてまし朝かほ姫の日かけ露はむ 千湧 むら雲をいとふものから雨畑の硯は星かり手むけすしかな 丹珠加橘二 心して星のあふせとはやくより月もまくらと成給ふらし 小原 同 おり姫もねかひの京のあやはとりあふ日のくれはとり急くらし 世珠加橘一 一二星のあふ夜は花の七日にて御よりいとふあまの川かせ 古河 難奇免 小糸 厚人 かさゝきの橋をかくれは嬉しさも飛立やうに星やおほさん 仝 星あひに雲の衣のかゝれるは天津み空も小袖かすらし 仝 菊盛 小枕のちり払はせよたなはたにさゝと手向る庭のわか竹 今宵しもわきてぬれなんかし小袖星も打よる天の川浪 棚蝋のちきるこよひはふしの間も長き竹をやえりて手いん 三河小川 秋彦 二星のあふみの床の海なれや一よとつきぬ寝ものかたりに 天の川千尋の竹のたにさくは浪の花かと打みられけり 下総松戸 鉢成 上総川名 照雪 わちきぬた打音のみに物淋し賤かいほりの秋のゆふくれ御府 袖ひろき霞の衣もあらまほしうれしさあまる星の秋にも 千湧 駿河今泉 棚はたに手向し畳は天の川かしにし些申はもみち葉の橋 明 明 彦星の今や来ますと天の河霧のとはりをかけて侍なり 仝冬海更 冬躬 棚はたの向ひあひたる天の川瀬ふみに飛て入る是有り あふ星のうれし涙か芋の葉の露も硯の海をなしゝは かさゝきと紅葉のはしを年毎にわたり物するふたつ星かな 流れての星の逢瀬か天のあせきとめられぬけさのわかれ路 みそか事といいへこよひ花合は晴てわたせるかたゝきの橋 天の川秋霧はれて二ツすのこゝろの雲もこよひかゝりし 織姫は舟出せぬまもうれしくて心や先にかちわたりせん 杣人 武蔵赤山 明一・ かし小袖是もろともにあらた成かへさを止てもらひてしかゐ 京 広尓波 月四ノ四 庭荻 為鬘加橋三 一耳塚の近きをしらて大寺の庭のしりへに蔵の高こゑ 為髪加橘二 風なきて声たてぬ庭の蔵のはに毛虫ありとや騒くをとめ子 高髪 富津 をきの葉のそよとはかりのおほせをもうしこまり来て庭高をかし 千代丸 水銀にまかふ処をやすふ萩の風には声もたてぬ庭口 朝な夕な庭井の露の水かねをのめとかはらぬ萩のこゑ哉 貫珠加橘二 一文学に窓の下蔵したゝみて何をさひつるすゝめいろ時 世々珠加橋一 ぬきすてゝおくはあやしき藤袴の君より人のかよふへしやは 吹風に声を立れは立ほとにさひしさまきる庭の萩原 小川 身におはぬ風の宿して庭の面の萩はひまなくさわき立らん 秋の意かなしきものとまきらして庭にさわける萩はをかしや 今泉 真山 萩の葉にのほりし露も大声におとろきてこそすへり落けれ 駿河吉原 きたなきしたまりなけれは庭よせの露をや払ふいせの浜萩吉光 秋のものあはれ吉るはくとはぬむくらの庭のをきにさりける杣人 中もよき塩を越つくおとつるゝ風にすれあふ庭の夜かな五冊 よそ人はゆるさぬ庭と音つれてうれしけにさわく風の夜かも はかなさの露はおかしとよもすから風にさわける庭の萩かも 仙台 千條 下総野田 広善 野萩 為蔓旧桶三 今泉 葱の魚につゝむ鏡かも萩の中なるむさし野の月 真山 為髪加橘二 みやきのゝ秋見にこそは着りさらめ鎖さす櫃の衣もとり出て 冨津 千代丸 宮城のゝ野守か妹の門に咲萩は千束の錦木のこと 月影も岩に出てむらさきにいるはさかりの萩のむさし野笑顔 蒟蒻 一竹の春霞たつかとみやきゆらや萩にすりゆく紫の袖菊年 野へ養ふるに花かもとを問つれはこのむらさきととしくわれか 月四ノ五 櫃にいれて都へ上む最城野の真萩か花にすれる衣も 枝ことに光れる処を野への藤玉はにしきにつゝむならひか 櫃にいるゝ支度なるらん最城野の真萩に露の押を置るは 今泉 真山 ふし筑波真袖よみゆるむさし野にに紫の萩か花すり 丑加橋一 むさしのゝ草はみなから紫のいろにこそすれ萩のさかりは なれ〳〵て野守の宿に飛蝶もなめてあちはふみそ萩の露 草加 千年 小川 秋彦 る人か筆の性なる萩の花かく別にある宮城野の原 咲そろふ庭の小藪のむしさきは桔梗か門のまくとこそみれ 香とせをふるき錦の戸張かなあかれる神の宮城のゝ萩 花にお〳〵露はにしきの色なしてすりあぶ衣も染る野の萩 みちのくのしのふにあらて宮城のゝ萩もあらいにみたしてみたく 有歓堂君 川名 照雪 富津 年子 駿河傳法 真里 吉原 つかね 路薄 烏鬘加橘三 一尾花のれかりしてひさくかもゆきゝの人を風にまねくは 烏鬘加橘二 一またもとの道にまよひていつる時まねく薄はほたし也けり 今泉 草加 みちのへの先もはてなきすゝき哉むさし里にかりて武蔵穴になる 高髪 一むさし野の草の浪より一段とたかくみゆるはうき姫すゝき いろ〳〵の嶋すゝきこそみえにけれ尾前の浪の打よすか野へ 母珠加橘一 行か行の人とすゝきの袖袂すりあふ時や残の出ら舞 小糸 毛たらけな手をは出さす様人を袖にてまね〳〵道の小薄 京 行通ふ路の薄にまねかれてを花の袖にすかるしく露 朝顔 烏鬘加橘三 葉かくれにひとつ咲出しあさかほはむら雲かゝる月るこそみる雪文 烏蔓加橋二 あすさかん心おほくんはゆふへよりつほみの常にしるすあさす 美濃守 朝かほの花の笑ひよなしさの秋のあしたのはしめふるらん 月四ノ六 為髪 やとしつる露になちふり朝るほはゆふへをまたて花のちり行 草加 やかて咲菊のまかきの露の間を花のちとせとひらく朝顔 おき出てむかふまかきの朝かほは寝顔を直す鏡どそみる 左駿府 同同奇都美 千代こもる竹にまかせてあさかほの花のよはひは久しくやある 雲床 咲そめし花におきゐて露の間も乳いはさせぬ門の朝かほ うつり行秋の日早きあし垣のひまめつらしきさかほの花 小川 秋彦 越後直江幸 見空 日の影にはたのあはぬは照月の水性ならんあさかほの花 物馴 名にお一る業平竹にきさきよく二条もつるののひし朝がほ むすひゐるうちそ花なる花の紐とけはみたるゝ朝かほの花 光 一もとにひと花つゝと咲いてゝさかり久しくみする朝かほ 野田 一広善 袖雲を覆ひし月は少女かな葉かくれにさく数かほの花 赤山 明一 母之珠加橘一 ならはしてよくもかきねに咲花の莟は筆に庭のあさかほ 小糸 菊盛 よせかへす浪の間もあらし朝かほのさかりは霧の海にみれとも 平加 一早九 朝顔はたゝなりこんとおもへとも露をしほりの花そめてたき 岐阜 あさかちの莟はあすを待かねてよりをかけたる姿なりけり 志解丸 武蔵加須豊 夫々のつほみは重の朝か月やかきねつゝきにかくもめてたき 春吉 見れはめの薬とたれも夕薬師るりに咲たる朝かほの花 さひしさにゆふへは花のしほめとも朝きけんよく笑ふ朝かほ 今泉 明 となりへも花やみせんとかけおきしはしこへ登る朝ないの蔓 京 広丸 女 あさか目の花御手をよくかきつゝき数のつほみを筆にか一つゝ 笑顔 暁露 為髪加橘三 あかつきの馬陣忠における露なめて朝日の駒や赤う成らん菊平 小兵 空色をうはひし露はあかつきのやみを越来し霞かそも 秋のよの長きかきりははかられしおくとも炎ぬあかつきの前 月四ノ七 烏髪加橋二 暁に海なす霧をかは〳〵とわたるからすは目のさめぬかや 今泉 真山 烏鬘 棚桟のわかれの袖のなみたかもさゝの葉つたふあかつきの度 暁のさきりにくり馬からみ草露の水かねたえすおけとも 庭下駄も霜にかくしてあかつきの露もはかなく打みたれけり 里へにちる千草の露はあかつきに流るゝ星の水むかそも いかはかり葉末に露の影とめし月入後もかくそ照そふ 仙台 明吉る鳥をもまたすあかつきにはや扨きゐるは秋の国露 貫珠加橘一 いと長き秋のよすから結ひたるこふかとみゆるあかつきの露 京 楽住 小名 小糸 井脇 扇よりすゝしさまねく花薄なみをたゝみしあかつきの露 一宿かしか月たゝせんと少露のあかつきはやくおきにけらしも 伝法 真茂 草まくらおつふ夢野にあかつきの露も跡なく消るはかなさ ちから草その葉末まて入かたの月を抱きてのほるしら露 月に宿かすゝ心にも似合すて光りをうはふあかつきの露 枝杓みねにふす萩の草ならんとらにむきゐる晩の露 京 古河 窓蘭 為髪 藤袴わかむらさきに匂ふかなこれもゆかりの源氏意より花持 誰か来てぬきかけぬらん風さそふ窓よりにほふ藤袴そも 野田 一珠加橘一 草加 一犬のひて意の外からのそきてもなめしからさるふちはかま哉早 つれ〳〵にやまと又よむ源氏意のそきかゝるはふちはかまそも 古河 秋夕 為髪加橘三 落鮎もそこに沈みてゆく水のいろもさひしき秋のゆふ川菊成 何にかも染んこゝろの亀もなし袖はしくかゝ秋のゆふくれ 二人まへさひしさまさる秋なれやわか身ひとつのゆふへなれとも 赤山 滋賀加橘二 谷町 影ほしの長くみえぬる夕もかけ秋はあはれもそたつかと思ふ 月四ノ八 打つれて岸より浪はしれともかくりて淋し秋の夕川 烏鬘 寿ほともうきをふ菊七つ梅千代くむ竹の春のゆふへは 杉立る門は中々賑はひて新酒うれるあきのゆふくれ 屏風絵にかく山水の舟みてもきのしつみたる秋のゆふくれ もみち葉を時雨に染て我にまた袖しほらする秋のゆふたる 万志良 伝法 真茂 今泉 明 夕月の船をはなんかさゝきのはしわたしする星舎の空 さすしさの涙は袖にあまれとしたらぬやうなる秋の夕露 世珠加橘一 真葛はふ硯路をゆけはうしろ引黒髪山の秋のゆふ風 京 楽住 東居 燈火の花のちらぬは油ある竹の春てふゆふへなりけり 人はいさ野への千種の色かへてあはれそそはる秋の夕暮 あはれてふことや調へん松風の音羽の山の秋のゆふくれ 瓢住 在駿府 奇都義 直江車 見空 大堀 賤かきはいねかり入て気も易くさひし迄しらぬ秋の夕 一喜楽 さひしさはますほの薄袖かりて友も招かん秋のゆふくれ 客人の月見に来るとしたくしていそくもおなし秋の夕飯 京 稲妻 烏鬘加橘三 一あら乞ひは今も山路に稲妻の火をすり出すうね火耳なし 烏鬘 一指火打ほくちにうつすめくなり雲から雲へりよふ稲妻 甲府 雲の袖きらめく毎に通ひ来て尾はふか露の光るいなつま 水色にうるほふ空のいなつまは真の丸井にそこく釼なるらん 世珠加橘二 秋の夜はすくに延れと稲つまの曲りしくせはいつも直らす 世珠加橘一 今子へんとつくるいなりの初穂田にくはへし鍵とみゆる稲妻 石山に光る源氏のいなつまは手にもとられぬかけろふの如 うすくこくなかておとての色みせて露にほのめく小田の稲妻 今泉 小糸 仝 直エ車 見空 比良の山ひらめく影は稲荷の四すち糸ひくひはののうみ深 月四ノ九 吉原 秋の実をほさつといへは稲葉はみたの後光のさすかとてみる つかね ○ はら〳〵と風に折れちる稲つまは星のはやしの中の枯枝照道 当座 農夫納涼 材月園撰 夏をよそに涼しき風も実入よき秋をとりこむこゝちしてけり照道 風たにも通りぬけしつ夕すゝみつとへる賤も心やすしと雲来 思ふとちろふ水田の夕風に身のうき草もたえてすゝしな物就 蚊遣ての煙も立てにきはひぬすゝむ高津の民の門へは茂樹 臨時會 反植物面堂撰 夏植物 面堂撰 團扇合 ともすれは風にふるふはものおちの君にたとへしゆふかほの花道雄 是もまた思はぬ庭にうつされん唐なてしこにならふ姫百合東海 朝またきぬくらの枝をたつ鳥とともにはをのす庭の合敵の木物就 卯花のさく山里に生ひなから雪のおもみはしらぬわか竹春樹 むらさきの立を出さんとみとりせし模に蜘のそをやかくらん照道 水枝さす意の新桑茂りあひてまゆこもる如いふせかりけり安久楽 四月分追加 一夏草も道分ぬまて茂りては中々風も通さゝりけり広尓 河風に燈はきえて鵜飼男の宿の妻子も闇にまよくり やみの夜をたのむ鵜ゝには月影のかつら川にもさし合やせん 葉かくれの花のありかはたつぬともかならす風に便り聞すな 傘覆ふはかり茂れる夏木立かけもさつ日をよけて涼しな 仝 永をりにゆたんやしけん打かへしさきおくれたる花のしら浪広丸 俳諧歌月仮集巻之四終 生花斎選 俳諧歌月波集 天保八酉年六月廿八日開春三首高点抄出甲乙録第五會 ○ 二十六 四十点○埴生庵物就 三千点小金琴テ妻三十六 同断断断断同 二十五ヽ古あ 二十七点○村月国茂樹 入ユ在ス二ツ 仝急沼歌胤 三夫点嘉兵衛盛 三十五点或花金子梅田母文 二十九章志解丸 全 仝遠江見付二萩迺屋花都真 三面屯下原田柏吟社廣善 仝小糸剛 二十四ヽ小兵 二六、古何難奇名八 全関人 三十三点仝年麗舎春則 仝駿河伝法文字真一 全深谷 仝二千万 仝巖樓道雄 二十七、春宜 杣人士 一米芳 梅持 仝仝仝金金金金金利三郎 三十一点万年舎亀丸 二十六匁万志良 仝冨津千代店 仝真里 十九 道廣 十九 米田新鉄株 ○ 三十八点○面堂安久楽 三千点雲床 二十五、カス丁春吉 十九 一森雄左の 仝甲府五琴 三十七点蒙○芙蓉庵真山 菊成 二十九、菊年 三十五点甲府△福門舎草丸 仝川名照雪 仝呉竹亭真直 仝裁菊楼君三十一 仝絃菊楼君 三十四点全福寿国松年 三十四点全福寿園松年 仝白桃園真道 二千八、谷町山住 仝□つかね 三十二ゑ紫紀喜可寿 仝松戸鉢成三 仝秋弟舎花持 三十七種種 仝金泉稲廼屋冬躬 三十一仙台千菊園千條 仝京葉住谷有嶽堂君 二十六、瓢住松江 二十六、瓢住 三十点越後直衛賞月楼見空 三十一京広丸 三千・京広丸 仝仝笑顔 同十九、セト音近 十七仙クイ 稲芽 国番 豊早 芳道 真芳 川好 吉蔓 百子伎 愛師 同点到来順次延著之作者略茲 俳諧歌月波集巻之五 生花齋照道撰 峯鴈 烏鬘加橘三 一日の雪につけし高根の細道はひとすち黒てわたる雁かね物祝 上総小兵衛 ふしの嶺に横たふ雁は一といふやまとの文字のはしめなるらん 雄佐丸 風たえし峯の松原ゆく雁ははつれ飛ちる琴柱とそみる 為鬘加橘二 時鳥雲かくれにし遠山の峯より雁のまた落しふみ 仝 安久楽 剛 石山の峯にひとつらつきかけてかたゝわれせしふたき鳥かな つくはねの峯より落る雁のふみ色こきかたや女文字なる 社風の言田の峰を越て来る雁はもみちの文使そも 烏鬘 一起となる月見て峯はこえなからことしはよらぬ小田の石ね 峯えて北山殿にみらるゝな食も黒みのたな雲の雁 仝川名 照雪 遠江見付 花都真 谷町 小糸 喜可寿 挿 文字の関 はれ間にみせつ 秋方の たてるや明の 鳥の跡より 埴生庵 物就 みとりさへ 気に出らし 初紅葉 ちれは水をも そむるから 材月園 茂樹 ○ つくはねに 為医叟加橘三 ならへる雁は 二神を わたせる時の 浮橋り 次第 草 小糸 籬菊盛 挿板 うゑへに ひとしかりけり 月のしらけに かた岡の 面堂 月のしらけに安久楽 安久楽 あかぬ 今泉 筑波様の 新東まゆを 新東まゆを たつねてや 芙蓉庵 真山 片原鳥の 声あはす 為髪加橘三 文机の椎の実筆の ころけるは野分に 宿も風さわくなり 甲府 福門舎 艸丸 夕やけの空に黒むは焼残る文字かあみたか峯の雁かね 小糸 喜可寿 目路そどき峯にもみゆるかつらきの月をしをりに雁や来ぬらん かり〳〵とゝむてふ声にかみつけのくろほの根呂をこゆる雁かね 瓢住 上総富津 千代丸 下総松ニ 峯いくつこえくる秋の雁かねは長の旅より出すふみかも 貫珠加橘二 一なれ待てかりぬするまの雁の音は枕の峰や今こえぬらん 鉢也 仝古河 米芳 米芳 貫珠加橘 仝 越す雁はやまとふみなし幾つらも強くまさきのかつらきの峯 難敵免 戦争免 焼たつ浅間の峯になひきつゝくろみておつる雁の一つら 小糸 つくはねやは山茂山風さえてこのもかのもに雁鳴わたる 峯いくつこえて迷はぬ雁ころもきつゝなれにし道にや有らん 黒塗のやみも消もしあかつきの枕のみねをこゆる雁かね 其紙も霧にしめるかほとけつゝ峯よりおつる雁の玉章 駿河今泉 関人 明 やいとせし跡かとはかり蓬生ふる伊吹の峯にならふ雁かね 月五ノ三 草よりも嶺にわたれる雁かねははしとはしとを並へ来ぬらん 在駿府 歌都美 関霧 為鬘加橘三 わか春に立はたかりて秋霧は道を横きる蝉の開 下総野田 小糸 あらたむる衣が鬢のいかなれはきりたつに日をみさるなるらん 喜可寿 今泉 ゆくへのはらふさきりに露をしもむすひとゝめぬ下組のせき 冬躬 為蔓加橘二 白鷺の冥路の霧のこえ間より花の紅葉のさしほこみみ なかめやるしほなき霧の海ふしてみるめの関もしはしはしたえぬ説菊 ゆくその道さへくらく初旅の人の名こその関の夕きり 名づらすも秋は越ぬとしられけり雪にかくるゝ朝倉の閲 甲府 松年 古同 米芳 朝霧の海にも汐や引ぬらんみるめの関もあらはれにけり 夕霧の深くこめては足もとの一寸先はしら川の関 甲府 玉琴 今泉 香時雨みるめの関をよそにせんとほり過ていまた戻りけり 貫珠加橘二 一竹の春かすみの如く書ふかみ月日もわかぬうくひすの関菊 菊年 あなにくやさし出したる手鏡へくもりをかける関の朝霧 貫珠加橘一 あれはてし不破の関屋に朝な〳〵たか手入せし常の癖そ 駿河吉原 つかね たきしむ事香のけふりとたつ香もかをるわかりの衣手の関 明ぬれとまた朝霧に夢さめて通路さへもしら川の開 在駿府 花持 形都美 あけぬとて越れと霧の深けれは猶やく先もうやむやの関 あらはには通りかねつゝ月影のとゝまる霧の手間の関哉 万志良 富津 千代丸 目ろうとき霞か豆も春ならす秋にてあきとみえわかぬ霧 声立て人をやとめん朝霧の真垣にまとふうくひすの関 見附 むかへつる駒より先に朝霧のとくみのほるあふ坂の関 花都直 花都直 風をしも通さぬ買の戸はかりか障子もしめる秋のゆふきり 京 広尓波 四月 月九ノ四 馬鬘加橘に 空の海より天の原むさし御ともひとつつゝきの岡の月かけ 古河 難奇免 為鬢加橋二 さやかなる月のかゝみに走せぬはならひか岡の松のむらみ 下谷小金 琴妻 為警 蘆うちの庭火とももらん月影にしらむ神楽か岡のもみち葉 茂樹 ちらせとも延一くそ思ふ鶴か岡月のみふねの巻にかゝるは 貫珠加橘一 一見間うちに心やさえん浮雲も今そはなれの岡の月かけ 小糸 越後直江申 厚人 見空 へたてなき隣の岡の日影はいつもかはらぬ秋の友なる 野田 春則 山城のとなりの岡にさす月のかけさへこゝろやつぐみえけり 此けしきまたとはあらしき千もと双かなの松の上の月 亀九 在駿府 歌都美 今泉 朝か岡生かを放つ月影に一の鳥居もうきみてみゆ 真山 仝 冬躬 おなしとちまゆはか岡にまとゐしていこともなしに更す月影 月見にも七たひ所かへぬれは冬の隣の岡にきつるか 舟岡の森のこすゑを友綱に月かみふねもつなきとめてん 川月 烏鬢加橘三 すむ月の植うちをる舟浪は立田の川のあらしなりけり 烏鷺加橘二 夜な〳〵に月の宿かす隅田川橋にまくらの名はおほせけん すみ田川くまなき影の水也冬うかふは月のみやこ鳥かく 吉右 水にすむ月の蛙はなかすして音なし川にうきゆふなり 水鳥の鴨の川原に月みれはをり〳〵雲の浪もくゝりつ 陸奥気仙沼 歌胤 こ院義徳岐岐 一岩田川月のひかりをみる人のかしら痛まする夜はの村其 志解丸 松戸 淀川をのほる夜舟も明かたは月のしゝにちかつきにけん 鉢也 錦おる萩の下露玉なしてまとか小光る枝川の月 為賢 献の色深くみえけりかへら川流るゝ月は水ならぬ水 谷町 山住 海にいるみもすそ川の影みれは月の都もそこに有けり 埋木のたくひならめや名取川そこに光れる月の桂は 同五ノ五 瀬をはやみうつれる月の都さへあれてみえけり志賀の心川 飛鳥川水にうつれは月かけの老もわかきにかはり社すれ に糸 竹友 今も猶社は人はしかゝるなりむかしなからの月をみんとて 仝 岡 にほ鳥のかへしか川の稲舟をくゝりてすめる秋の夜の月 道雄 まつれと今こそ愛れ照月のいつるも暮のむつの玉川 岐阜 志解丸 谷川の屏風岩にも影さえてをりまはし照る月の隈なさ 帰田川岸の屋形も照月の御ふねに繁くはし舟の如 上総川原 照雪 春よりも永き詠めのよしの川月のかつらの花はちらさて 三河小川 秋彦 すみてよき是もすみたの川面にうかへる月の朝鳥とて 隅田川うはすむ月の水や空底のもくつやうつむ村雲 引舟につなかぬ月の舟まてもともに流れてくたる淀川 貫珠加橘一 いかにして毒は薬にかはるらん月のすみゆく天野玉川雲床 小糸 雲間よりもれつゝ井出の玉川に月の蛙もこよひすむらし 竹友 海ならてしらみしほの早川にうつれるかけはくらけかとみる 仝 に莚に月人男とめんとて衣かたしく宇治のはし姫 冨津 千代丸 よし野河花ならぬ月の影にしもかゝる浮藻のねなし雲哉 今泉 よと川に舟ひく人もつる〳〵と月の氷をすくりゆくらん 京 久かたの雲の衣をもる月の光りたはしる袖の川浪 川の名の飛寺井殿の鞠の如いきにひてやかはる白影 水の上にうかめる月の横川なかれもあくぬ紅葉してけり 駒迎 為髪加橘二 薬ある月の夜すから引ゆくはしなぬといへるゑの若病 仙台 むさし野の草より出て草に入るは是も月毛の駒にて有ける 為霊加橋二 直江申 雲上手やりて上らんいはえつゝいさみ立たる霧はらの物見空 月五ノ六 生うのかひなたるきは荒駒を曳て雲ゐにのほるしるしか草丸 かりいるゝ穂坂の駒を宮人ももみにもみつゝ引のほるらし 為影異 我かちにいさみすゝめる荒駒にあやまちなせそ色坂の関 真道 小糸 菊盛 久かたの雲ゐはるかにのほるらんきりはらの駒望月のこま 宮人に引わたされて駒もまた重荷おろしくこゝち社せめ 万志良 今泉 真山 あふ坂の関の戸くらき杉村は月毛の駒にかゝるむら雲 仝 明 貫珠加橘一 谷町 鶏にこりもはてしか関守は駒にもうかと手綱ゆるさぬ あらかねのちより出て雲雀毛の駒も雲ゐへ上る也けり 吉原 つかね 東路のちゝふ牧よりのほせつゝ常の人にきぬきせの駒有歡堂君 曳のほる駒を見に出て戻らさる人をむかへに逢坂の関求笑顔 野分 為鬘加橘三 一茎つみし野なれやた秋のゆふへにも野分の風に一夜寝られ共明 為鬢加橘二 小糸 いとあらき野なに虫の鳴やみてたふるゝ木らのねをもきねつ竹友 風あるゝ野分にやれて涙は出れとを花か袖は猶もうつくし 為髪受 一野分せし諸しつけきは風の神袋のそこやはたきたりけん 小糸 海の如薄浪たつ野分にて野守の家は船とたゝよふ 菊盛 甲府 あれ立て野分の風にさからふは鬼のしこ草虎の歴こしき 野分する風のほてにやまけつらん横にふしたる角力取草 今泉 山畑のそはを倒して秋草の花も粉にする野分はけしや 真山 仝 去ならふ鶉に床をあけさせて野分は草をぬかしさりけり 明 宮城野を分ゆく狩のみさふらひみ笠とらるゝ風のはけしさ 四分ふく野へは錦もやれはてゝさらさとそよく千草をかしや さはへなす神やあれけんとはかりに草のものいふ野分はけしも 一貫珠加橘一 治わくる舟とこそみめ遠かたの野分に立る賤かかり庵 月五ノ七 野分風薄のほなみ打よせつぬよつかへるやうな舟岡 同駿河伝法 重陽 為影曼加橘三 小糸 菊の酒諸を引座につらなりて下戸は千代をもふる心ちせん 為髪 小金 よはひをも延るしるしときく肉の銚子にそふる千代の紙のし 琴妻 武蔵加須丁 袋菊けふつみ入て酒のまはそこしれぬまて類のふへし 春吉 そふといへはよはひ長柄の銚子にもまたつきたしてのむ菊の酒 菊の酒菜萸のさかな小酸ぬれは枕の山に夢やのほらむ 小糸 茂樹 気仙沼 歌胤 寿量品かきて流せる菊の葉をなむとしいふも花の下露 貫珠加橘一 よき事を耳にも菊の節用也とかく花の香も袖にとゝめぬ 一在駿府 着せ残はいつれを見一とりて見ん後のひゝなや庭のしら菊 酌かはす酒はちとせを宿鵲の名におひて咲亡きくの花道雄 紅葉 為髪加橘三 一もみち葉のもゆる絹の白雲はなかるゝ燈の灰にや有らん真一 下枝より紅葉なしゝは夕露ののほりなからやましなからん 焚火より炭はと出る風情哉紅葉の中の烏みつ四つ 秋山の紅葉の錦持着してあとへか一すもたゝまくもをし真直 為蔓加橘二 甲府 誘はれつさそひつ紅葉見にそゆく心も木々の気にそこせ 山野の心の亀とみられけり染る紅葉の濃きも薄きも おしくれおなし梢のもみちはをなと薄く堅く枝にわくらん 野田 色深き紅葉も霜に染られて日の出ぬうちは白妙の衣 今泉 かるもかく砂猪の床の薄紅葉きはむや色のはしめなるらん 真山 仙臺 常には花とめてしか白川の関のさくらは紅葉してけり 金子 母文 そむる限り染ても風にちる時は白くなりけりも五ち葉の露 大神の照らす岩門のもみち葉はひることによき伊勢の山の端 真直 烏鬘 月五ノ八 火の消て炭となる如日の水そゝけは黒くみゆるにみちぞへ 梢のみ成るものかは散しきて紅葉のみこのふかき枝川 雲床 海なせる霧の辺りに打もゆる峯のもみちや蜑かいさり火 甲府 草丸 仝 仝 海へなる小高き峯のもみ葉は浪の山へもみをゆくりつ 松年 立並ふ松のみみりにまさりけり五位の装束したるもみちはふ 風の手にぬるてかへるて打あふは若葉や秋の色くらへする 酒をすく松は色なくおく露に見へるかことくなりし若葉 今泉 金子 其の窓月にすかせはもみち葉のかけもくろめる白川の関 梅持 錦着て老引妹とみられけり蔦の紅葉をまゝふ姫春 見附 花都真 貫珠加橘ニ 今泉 もみち葉は鳥の跡にもにし故に秋のいろはの初めとそみる 冬躬 野田 もみち葉の赤きをもの盃といろぬみする人に見せてん 貫珠加橋一 加須町 春は花夏は青葉になかめしを秋は紅葉とかはる葉さくら 上総大堀 松の葉のはりにつらぬ〳〵もみち葉は錦を給ひしくさとまゆ喜楽 味噌の三緒の山のもみち葉は帰てや秋の色に出しむし鹿 小条 もみち葉の火にはすたりのまはゆくて手をかさすかた峯の松かこん 仝 大原やをしほの山も罷葉して千しほ百しほしほはみちけり 竹友 仝 仝 一合喜百寿 藍とみし久米の皿心錦手に紅葉やいろを焼付ぬらん 造り花かわかぬ秋もひとしほに時雨の染る庭のもみち葉 甲府 草丸 不露の玉をならふるもみち葉は月のしとねの錦なるへし 御舟山みわたす霧の海原にいさり火かめちるは紅葉か 今泉 秋のものゝ長さを今そしられける四方の梢もくれなゐにして 明 伝法 ふし川の岸の紅葉の照そふは下り舟にも夕日のすらむ 真里 仝 夕分影さすか紅葉のあやとりて錦おりかくる状はたの山 真茂 金子 気つきて水にうつれるもみち葉は鮒に其名やおほすなるらん 月五ノ九 にくら山峯の紅葉に御筆あらは今くたひのしくれまたなん 色くろき烏瓜さへもみちはの朱に交りて赤くなりけり 松戸 霧の海の庭のさんこと云よれは吉間にひかる紅葉也けり 秋田 鳥髭加橘二 一嶋鳥のかつしか早稲をかる賎も足にひまなく穂浪かつけり 為髪 後の世や此よのためと刈とりし寺田の稲のよきみのりかな 直江津 十分に実の入ふねや秋風にほのかさなりし添田の稲 奉る穂坂の駒と法師稲ののりよきをこそいはゝれにけれ 舎利の如露の玉さへ光りけり稲のほさちのみのみのる秋の田 今泉 真一 金子 母文 夕ことに露はのほりてよしあしの稲のみありをみしむはしこ田 貫珠加橘一 小金 琴妻 一豊年の民の裏のにたはふは秋の棚内に並ふ鍋つる 甲府 ほ浪うつ稲田の中の一い家は俵をつみし舟にかもいる 在駿府 万倍のこかねの玉にかへてみんは米植たるらおほん室田 朝霧の海へは風の風ぬれと秋の田面はほ浪よる見ゆ万 万志良 秋の田の穂坂の駒を引上る貢も山のことくなりけり みのりよき稲刈こめは同し如い寝こゝろよくみゆる氏学 今泉 奥村 冬躬 苫をあらみ露のもるゝもいとはすてたりほの病を守る賎の男 稲の出来あたりたりけん秋の田のかゝしの弓も書き通し矢 暮秋 為量加橘三 行秋の入相につゝく鐘の音もいまひとつきとをしまれにけり けふのみと声へは秋のくるらにもおとろかれぬる風の音かな 見附 足かたけ夕日に長き南山草こそくれ行秋の影法師なれ 花都真 為髪 一〃今泉 一春よりも秋のわかれはもみち葉のひたすらにこそをしまれにけれは 真山 仝 夕霧の籬を遠くつくれるはくれゆく秋のしからみならん 月五ノ十 もうち葉の錦を着てや帰るらんくれ行秋の入日春おひて 京 笑顔 野田 淋しさのかたみにせよともみち葉のころも残して秋やゆくらし 広善 貫珠加橋一 一月色にひたる姿みせしとて暇もの闇に秋やゆくらん 京 広尓波 ○ 馬追や車こほろき引連て別れ賑はしき秋にも有かな 当座匠家酒宴 埴生庵撰 言霊峰 一生舗になりてもこのむ水盛はこゝろにくみて忘れさけり照道 裏部加士三 一春風の手寄はしめにくむ酒の霞なかれて匂ふ袖かな菊成 酒をしもたけふはにくむ様かき小手枕してぬ事下地に ○ ○ 水たまる池田酒にや思ひつらんよほも赤丹のほとけ造りは物就 八 衆議判 山路夕立閑居夏月寄不二山応 母久米助親内真之辺花都貞 一しきりふりてははかゝ夕みの雨も山路は行なやむらし魚村 一面巻檜図山住同 一かみのおと梺に聞て夕立の雲の上ふむあしからの山 亀世十二杵国同六羽同 一山風や案内なすらし岩角をたゝちに過る夕立の雨 光茂樹同亀成同 夕言のふ色ちかくなる神の空にあれゆくし賀の山こえ 六朶園 同同 夕立の晴る山路の涼しさはあつざの峠こえしこゝちそ 衛生十五茂樹田道雄物統同菊年真並 我ことく世をいふせしとのかるゝかとく山にふるみしか夜の月仝 我ことく世をいふせしとのかるゝかとく山にみるみしか夜の月 道広同亀成同 一世の首さはなれ家にして涼しさは月のかつらそ極なりける 道雄十五袖彦円剛主 時しらぬ山ほと高くつもるそとわきしらせたきわかおもひ哉仝 国久十三光日亀成日 武蔵 千尋なすふみも届りて思ひつむ雪の下ひも時しらぬ山 一瓦そらし世の声雲も押のけて出入るものは立の夜の身道順 表 月五ノ十一 いひよれと妹か額をそむけるはこゝろのとけぬ雪のうら不二閨人 俳諧歌月波集巻之五終 S 欠g S 生花斎選 俳諧歌月波集 天保八酉年八月廿八日開巻 天保八酉年八月廿八日開春三首高点抄出甲乙録第六会 三木忠良 三十七万衛△面堂安久楽 面堂寧久楽仝小兵ム隼人仝侍法真里十九巻岡庵 三十五ヱ門白桃園真道 仝川名照雪仝琴櫻ヽ 二十三四ノ野田○年麗舎春則 二七、京広店二十二ヽ小兵衛 仝亀成仝京笑顔 三十一点今泉英英菴真山 三十一点△重泰子関人 三十五竹盛園秋良 三十五竹盛園秋良 二十九瓦崇△善亭剛 二千色呉竹亭真直 仝詠人不知 二十六甲府松平 一仝見付花都真二六在駿府歌都美 仝見付花都真 十一仝大堀可明 二十五二十五 同同五大堀可明 仝駿府駒彦 二十一一二十一 仝道好 仝二巴 仝舎成 二十四茂樹 校全有歡堂君 松生 二千代ノ道雄 三十七点水游園魚村 二千代二十四、冨津水戸 雄二千四、冨津水雄 人工小糸菊盛 万年 三十五文埴生庵物就 二十三、利人 三十三点○秋弟舎花持 三十二点福禄亭深谷 二十七、武加須丁春吉 仝勘菊楼君 豆腐つかね 三十一点冨華人一松露千代麿 二十六、京楽住 仝菊成 広種 一今泉明 三十区小糸青雲樓喜百寿 二十二大堀阿保法師 仝今泉真一 仝京右香亭廣征波 二文疋金金銀一稲迺屋久助 二疋忠誓國雪文 二十一枝道 二十五貫貫 一冨津松丸 仝侍臣真茂 仝松戸鉢成 仝小川秋彦 仝野田柏吟社広善 仝小糸井脇 同二五四郎志解丸 合菊芳 まい土蔵 吉蔓 豊次 京住 広枝 同点到来順次延着之作者略茲 俳諧歌月波集六之巻 生花齋照道撰 落葉 一瓦長又加橋三 一々ならん枝のもみち葉けさ敷てきのふにかはる妹とせの山 桑原 同 同 敷うきて浪も立つく立田川紅葉や水の時雨なるらん 駿河今泉 木伝うて風に騒ける木の木の木の木るあり地に落るあり 冬躬 玉鬘加樹二 糸格秋はよるへもしられぬやひと葉は水にうき舟の巻 小糸 喜可寿 仝 くらかりし木の間ももりて雲の水は落葉にくもる池の面 菊盛 残なす藤葉を焚て獣なく木綿を煮るはにくき山残 東山あらしに木々の落葉して骨あらはなる傘の亭 駿河伝法 うちかへり表かくりの木の葉沓はき歌おかん風なちらしそ 真里 京 もみち葉のちれるか中に立よきは立田姫もや手をつくしけん 挿板葺 合せつる 秋弟舎 花持 夜すみの鷹に 夢になれとや おそはれて 鳥のわふらん 水岸図 為蔓加橘三 神の代の音 神の代の鏡も 魚村ツ 為髪加橋三 湯りなき かくやかく山の 榊に氷る 冬のよの月 雪をもおとし 初てけり 埴生庵 冬のみそちや いかにすむらん 物就 一むこ山のはゝその紅葉 ちり敷てみなしこのめ のこる常磐木 桃源舎 林馬志良 万志良 五方 柿髻華 柿髻華 にらさる めんと敷ぬる もみち葉の ひの下をやく 山川の水 野田 年麗舎 春則 〆 なてしこの 残るもあはれ 言おほふ 尾花の袖の 下にかくれて 面堂安久楽 仝 神立し 白桃国 諸こと仏や 守るちん 真道 なまくさ絶し 冬枯の庭 成 為鬘 落るよとみれは鞍馬の九折木の葉は風にのりて走れり 小糸 喜可寺 けさ冬のはひるみなとか箒目の浪間にうかふ柳葉の舟 真道 上総富津 小春山をさなき冬にさそはれし枝みなれして出る木の葉は 千代丸 美濃岐阜 山栖か庭のおち葉にうつもれてかけ樋の水もよそへちりこむ 志解丸 たつ田山けふおりかへて着しくしくれをそむる風のもみち葉 駿府 駒彦 蜘のいにかゝる紅葉をゆへりゐてひぬもす軒をさらぬこからし ぬくめ鳥ねつとやみんはし鷹のとかへる山の風のおち葉は かきろひの小春なるらし木の葉もあるかなきかに枝小残れり 今泉 真山 貫珠加橘二 一戦へるしくれの雲に打むれて木の葉の落る一陣の風 小糸 岡 世わたりの坂にも由断ならの木の落はも風の吹廻しあり 松をふく風の手ことのふき組にうちと春をみする荒なか有歡堂君 下総野田 廣善 小春なり木のはちらすな小夜嵐葉守の神はいましまさねと 月六ノ三 貫珠加橘一 郭公鳴にしことも落をしていく度地をはく山住の庭 小糸 はら〳〵と音はかりして目にたゝぬ風は落はに姿見すらし わらすむ源山おろしにさそはれてひとつかみほとちる木の葉哉 上総大堀 咲よせし木の葉のまたもちりゆくは風のふくろの底や破けん 喜楽 甲府 雨ましり落る木のはを火にたけは家路に灰のゝ宿そつもれる 風もけさ寒さいとふるもみち葉の落葉りてきて錦おりかく 上総川名 照雪 食 藤葉山木の下かけおかさ〳〵と意にしられぬ事もよひせり 冬躬 仝 木からしに吹ちらしたる木のは沓下部ははくにうるさかるらん 色ふかき梢の若葉ちり来るは時雨の雲の袖やふれけん 富津 山姫の手皮なるらんちる箱をふ雪にそゝけと衣さぬ也水雄 寒草 瓦髪加橘二 一豊をひく松のうつほにたかるゝ萩はねいとの論なるへし物就 烏鬘 降雪におしふせてけり力草つかむやうなる鷹の羽薄 こからしの風をこしとや徳ぬらん声をもたてすひそむを薙 今泉 献の中にもてはやされし七草も霜にうたれてゆてしやう也 真山 貫珠加橘一 仝 十くりの音をむかへし万年青草千代もかはらぬ色にさりける 同仝冬郎 ふりまはす客の釼にあたりけん千草はいたく赤うふりけり翫菊楼君 おく霜の中も嫌はてをみなへしそのきに成て咲はしほらし 冬月 為髪加橘二 桶にはる氷のすとき寒の夜は月も水気のなくて凄し 慶 風に破るゝ雲の真袖の寒しとて氷にむすふ冬のよの月 駿河吉右衛門 つかね 枝雲を折々おろす木枯に落葉はらふか月の桂も 野田 うちこけぬ月の氷も小夜風に軒からもるゝ影は嬉し 甲田廣善 貫珠加橘二 丸まりていや重からん月の雪御くるにおそき天の八街茂樹 月六ノ四 貫珠加橘一 事やみて月のさしいるへ口にさかる本柱は小戸のやうなり 小糸 やとかへき水は氷にとちられて霜よりとくる月の寒けさ 万年 すはの海氷るもまたて冬のよの月の老のわたりそめせり 冨貴女 霜にかれ雪に草木はをるれとも月の桂はしほまさりけり 遠見附 花都真 大雲の星のはやしにうこかぬは寒さに月も冬こもりせし 川名 照雪 冬のよは月のひかりのするとさに星のはやしもかれてみえぬか 今泉 真一 三河小川 さえりて月の水さへ氷るらん影も寒けき冬のよの空 今泉 春はまたくもるものそと夜嵐に月のかゝみや寒魔すらん 千鳥 為鬘加橘三 富津 子やうたぬあはれ淡路の嶋守は夜継〳〵に千鳥鳴なる 為髪加橘一 一雲の如むれ立千鳥水の面の月にもしはし邪摩となつけり真道 さそに水あらいそ浪におりわひて身を浮嶋に千鳥なくなり雪文 冬椿花の流るく川浜に八千代鳴てはちる千鳥かな深谷 さま〳〵の形をなして昔千鳥文字はわからぬ童部の浦 伝法 真茂 今泉 風寒み難波の浦の少る夜は千鳥の足もあかくなるらん 貫珠加橘ニ 角田河路はいくつる石なこのえはまゝの鳥とり〳〵に鳴 真一 冨津 大堀 目路遠く沖に千鳥のとふさみてちるや舟木のきり屑のつ 貫珠加橘一 住なれしうき瀧も浪に打やれてはら〳〵千鳥宿も定めす 喜楽 武蔵加須町 小糸 浜千鳥浪の枕のありなから何寝もせつてたちさわくらん 竹友 在駿府 まこひて明しかぬらん一夜をも千代と侘つゝ鳴る千鳥は 歌都美 谷町 松風やはこひ来にけんす故琴の寝覚に太とくなける千鳥は 谷田山住 甲府 嶋近くいそく舟路に声をのみたゝはこひて千鳥鳴なり 一フ松平 松年 京 石川やねらふ千鳥の香樵こそまた白浪にたち絵くらめ 京 食 食 京 オ楽住 住なれしすまの浦へも淋しいか友をたつねて千鳥鳴也 真一 月六ノ五 駿河吉原 千鳥なく夜はの寒さの身にしみてあかしかぬらん須磨の関寺 竹霰 小条 為髪加橘三 一雲野風に凄くそおとしける虎のすむてふ竹の霰は 為医加福二 一添ふしを雪に契りてあられにはみさををつくる女竹かも 為医 了くひすはまたなかなくに竹の国あられの玉の声をころかす 一鶯の生れし竹にこゑあるは玉をまろはす処なりけり 貫珠加橘一 音楽ぬあられをせくか風はやみ先へ音のみ立さわく竹 降て来ぬ 一鶯にあらねと音にめは覚ぬ竹にあられのむしまろめは弥人 鶯にあらねと音にめは覚ぬ竹にあられの玉しまろめは さかえゆく竹にあられの横きれとゆかまぬ御代のふりはみ廻り 京 すなほなる竹も霰のたまさりは酔ぬ日なから騒かしき哉 いとけなき春待来のくれ竹にはねつく音の玉あられ哉 伝法 真武 うなゐらか豆鉄砲の音のして霰をはしく意の呉竹真茂 初雪 見付 烏蔓加橋三 ふりなから跡なく消るはつゝ雪はうつゝにさめし夢るとそ思ふ 為髪加橘二 花ならぬ花をみよとり春ならぬ小春の雨り雪になれるは なよ竹も奈直にみゆるはつ雪もまけてためたくおもはれにけり 川名 ともし火のともしき窓のはつ香はかくまてあとのくらきもの哉 為頭勘又 野田 口にいれて味はふ如くはつ雪はきゆるところにうまみれあれ 春則 仝 夏のりの卯花ならて垣根をも埋むはうれしけさのはつ雪 広善 はつ雪はたしなくみえて大江戸の人の袖にはふりたらぬなり ちりしける落葉衣のかさね着もまた薄綿とみゆるはつ雪 はつ雪はめかるき物の一にして袖に留ても荷にならぬ哉 たしなくそふるはつ雪を皆人のほむる言葉も山とつむらし 京 旁広尓波 広尓波 小川 秋彦 見わたせは桜さくらの小す空時雨ましりにふれるはつて二巴 月六ノ六 貫珠加橋一 待らてよむはつ雪の影さへもかける程にいつもらさりけり 薄くとも人や尽らんはつ雪を幾重ともなく直ふせる庭 小乗厚人 仝 何よりとほむれと客の駒下駄のはにつく程はふらぬはつ雪 井脇 野田 中々ににる社うけれはつ雪の花はちるにもひまのなけれは 廣善 大堀 童部か達てさきを作らんと手まめにかける初雪の庭 一ナ判 谷町 諸のいとほとはふとねらしと文にはかきておくるはつ雪 明日人にみせんと背戸へ掃よせておくほともなし夜はの初雪 いとふへき風を力にふり出てちるをさかりの雪のはつ花 駿府 駒彦 大堀 酒かひに出ねいつけし跡もなしあしもたぬ家の庭のはつ雪 朝かほの咲し垣ねに是も又もかけをいとふ庭のはつ雷 可明 京 笑顔 今泉 達宗は作りたちねと池水のあしの枝葉につもるはつ雪 今そこしふれかし寒さ凌へき綿帽子にもたらぬ初雪 明 吉原 中みち葉の罷に添しを山姫のふ粉なりとめつるはつ雪 朝かほの垣ねにみゆるはつ雪はたゝ一時の夢見艸かも 鷹狩 烏鬘加橘二 教て飛ふ空をあふける鳶人はこふしを握るはかりふるへし 御狩酒の雪にこゝえし夜る通は風呂焚雁やたつねわふらん 今泉 忍鬘 雪の日は野守の鏡わかねともそれにし鷹に時はこつしぬ 千代経はき鶴を得たりと飛鷹や竹の雀をおもか餌にして 甲府 春かたをの鷹散ちやる御狩場に命を的とかはし鳥かも 貫珠加橘一 小糸 拳より散ちやりてはこゝえたる手にまた汗をにきる鷹へ 同 大堀 頼みえぬ鷹に時のみうつすかな野守の鏡雪にうもれて 持人の手馴の鷹のをしへ草ならへといそく春日野の里 神楽 月六ノ七一 一局受加橋ニ 神楽人とりもつ手さへ霜さゆるよはく金木としみずるえ安久楽 宮人も金石の雪に寒からんとてつけうたふからかみの拝真道 為長野 秋神楽の宿にも梅のちれるぬとみれは庭火の花にけりける万志艮 貫珠 春風の琴の音通ふひはの湖さら浪こたふ志賀の夜神楽花持 貫珠加橘一 一残りたる菊をかさしに折高は星を唱ふる神楽なりけり深谷 早梅 烏髪加橘二 加須町 一寒草も応すて梅はほこりけり雪の中よりさきかけをして 毛けきにあつしなすらし早咲の梅の継木の枝の皮衣安久楽 為髪 一冬なから恵身の春に梅さきぬあかしも白き星にあたれは深谷 事前の恩いたゝく梅の花笠やめくみもはやく咲物にける花持 つくし残ともみそやせは寒さをもしらぬ火ともす梅の早さき琴桜 貫珠伽橘一 一はやく軒端にかをる梅の花かへり咲そと何おもふへき杣人 5306 薬 来る春をまたすて早く咲梅はせはしき手の暮やいとはん 竹友 永島 いそきゆく冬の日柳におくれしと開ける梅は春のさきかけ 五宝 小糸 梓弓はるをもまたてさく梅の兄やおとやにあらぬとぞたる 妻可寿 仝 後なる春にみせんと塩の上をおよひ臍にそ梅はさきける 菊盛 京 京全 広尓波 十ツちかくなれはいかにと心見にさきてみにけん冬の梅かゝ 仝 広丸 とくひ春におくれとらしと冬の日に早咲かけ進したる梅わと 見附 すみかまのけふりにかすむ山のはを壱そと梅の咲やひらん 花都真 はつ雪も跡をとめぬはさく梅の花の材とこゝろするらし 松戸 鉢成 除夜 烏鬘加橋三 万志良 のしたくにかさる喰つみは手浪こゆる春恵の松山 来る春の 為賛 手の夜は小松を市に伐出して門辺さひしくなりし正里 物就 一足の空すみれの気をふつかしみ来のひと夜はいこそ寝られね