朗詠題狂歌集
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- 芍藥亭長根選
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- 芍藥亭長根選
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- 日本語
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- ロウエイダイキョウカシュウ
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- 東北大学
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朗詠題
狂歌集
芍薬亭長根撰
『農業活児調査を
以テ購入セル印聞博士
「錦野亭吉光善
鯛
諏題狂歌集
十郎
も
菅原連
○薬草丹部門
文理
朗詠題狂歌集
立春
芍薬亭長根撰
十点
東から筑紫は遠し難波津に冬こもりして春やきつらん春草庵道文
あけてかき聞もうれしき月日星三つめはしめの鶯のこゑ池塘庵庵是從
ぢらさしと妹かこたろのやすまぬははれの春たつけふの持髪橘堂彳
春とはきのふとけさは薄水紙ひらへなるへたてなりけり芦庵一馬
はつ日頼かとふくる春をむかへ都に去年のほこりも立さかく也柳絮園菅簑
今朝はるの通り手形の初霞太てにはひかぬよこ川の関草楽庵重孝
水さへ春たつけさはうちとけてかへれる水の色のはつ空山越人
久かたの岩戸の関もはつ鶏のうたへる声を聞てあをけり石黒素人
あつまからかさ立春に心してさふさや山のかたによるらん西山楼下住
はつ空の露をわけてくる春色のひあかるやうに告るには鳥琴松舎綾重
鳥もうめの花笠ぬき捨てやすらへけふ新春の立場に便々台湖静
あをやきにひと筋からむ凧の尾は立かへる春の若ゐ髪かも一松亭枝繁
宇陽
いせ海老の髭をかさりてふる年と毛ぬき合せに春や立らん奥海堂真扁
春立はあらひそめけり姫松とにらみくらせし淡路嶋山芍薬亭
早春
めてたしと鶴の郡の人や見て初日いたゝく甲斐の裏不二至清堂捨魚
はつ夢の裏不二なれや喰積の甲州梓も雪のしろたへ合
戴ぬはぬ露の衣箸そめつゝいつも老せぬ春のやう姫仝
口とちし水も春にうちとけて物いひあたるたに川の水重孝
あたらしき藁にもしるし豊なるねといふ字をみする輪餅花園亭麟馬
はる風のふけは氷のひゝあれて亀甲かたのよろつ代の池南山亭坂住
あみ笠にいかつ香をふくむ鳥追をからふくる声の花と秋はれ
拳をはまくらとなして春のよにみてもはなさぬ鷹の初夏長忍亭基頼
これも又こその残りかよし野山春は霞の言配りせり桂亭裏丸
蓬莱にかされる松はかき初に向ふ硯の海こしの山菅笹
門かかとみゆる初日のふたつ岩七左頭かゝる浪のあわ雪竹写巣笹丸
節分におにを払ひて大えひの角を大事にかさる門松八陳亭堅城
重詰の肴に数の子宝もかさねていはふとその酒盛梧桐園蔵積
門かさり風も冬に名におへる竹の都に松も立そふ山雀亭郷住一
たから船こよひ敷寝の夢枕たゝせ玉へや不二の山姫鶯宿園梅古
はつ日彩てりそふ櫛のつつかふにはらふをみせて明焉とふ月合広記
水ゐしかけひの口もあけそめて春をしらせに走る水音宝市亭升成
水上を春やあたれる山川の氷の底の波のうこくは仝
湧ぬけし年の湊の宝ふねこれにや春の葉てきつらん六玉園殿守
沖とほき山も霞の染もやうけかへす裾也亥のうら波浅草園鴎斎
水府
蓬莱の松のはこしの薄くもり新体なるとその土器梅香舎珍馬
宇陽
宇陽
春はまたをさなくみえて山々のむつきの中に笑ふ長閑さ歌心亭為持
参よりも笛の音よりもめて太きは門に立たる松竹の声芍薬亭
春興
とそ酒に妹かさくらの色みせん含む笑粉もはるのはつ花不見亭清石
谷川に春の氷のかゝみ餅くたくは風のちからなりけり白毛舎萬守
つくとてもいとはし顔に茎草あらへる山は遠きむさし由道文
雛まつるやよひの頃は若餅も柳さ有らの色にかひけり捨魚
すくひとる扇の網にきらひきの霞のやうにひかる白魚花鳳亭寐待
をとめ子か門にむれゐてつくはねのこのもかりしに山をなしけり水菫跡成
につゝみのうらめつらしくはこの子に息吹かけてあそふうたす女彳
せはしなくあゆむ礼者の足もとに鳥の立やられ妹かおひ羽子菅蓑
行列の七種ふむもいさまし也俎板橋のはかのあけほの郷住
香汀円
立春
梅香合
十三ヽ
珍馬
冬の色を
かゝさにて
春の
あらふらん
雪解に水の
濁る山川
早春
至清堂捨魚
十五ヽ
はつ夢の二日は淀の
乗そめに船の中から
見る宝寺
落葉庵
清武
むすひおく銚子の松の
下露やなれる琥珀の
いろのとそほ
子日
冬かれし霜の
朽葉もひて松の
みとりにかへす
狩きぬの袖
柳絮園菅蓑
鶯のうたに出やとかしけん谷あたりする水のはつこゑ蝶運斉津吉
つく鞠ををとめの雲の袖もれてほこりに覚む月とこそみれ清石
梳る柳の髪のひきつ梅のかをりのしらしはる雨田毎月丸
さほ姫の衣ぬはんに耳のなき松葉の針はありてかひなし西山楼
ふしの山霞のきぬに糸ゆふのぬひめ笑子は急き仕事か
さほひめのよそほふけさの詞とはひとくおしろいも雪の下水綾重
七種におのれか爪もとりをしくゆふへの鷹の夢をおもへは芬〻館梅風
さあらひの手に露そへておくれるはひち笠雨にぬれて折しか楽聖庵光丸
あひ口の夫をあつめてゐれからに酒のすみ由にあそふ春の日坂
時雨よりそめて一しほめかたきは松に色こくかすむ此原橘辺雀成
水府
鍋ならぬ妻の花をいたしきて美しくたつつくま江の松酒楽斎詠美
音泉のゆかりの意也匂ふらん霞にこめし春の山茶屋清武
春立て河辺の客色こきは雪酔の水のあくやさしかん浮草庵和水
さく桜の匂ひ袋のたしなみを霞の衣につゝむさほ姫秋雨亭笠人
喰積の鶴にならひて鏡餅亀甲かたにあるゝめてたき便霞亭久方
此めたり若紫也さふらふと茎左衛門ぬる春のみ也人芍薬亭
春夜
十ヽ
ゆく雁の文字も霞にとちふみのあかぬ目鏡や春のよの月菅蓑
桜かりあすの日和も行燈にちりて気遣ふともし火の花清武
牛嶋の梅にくらして帰田堤ほしをしるへにもとる春の夜捨魚
梅守か門にかけたるしめまても勝に匂ふ月の乾かさり山桜亭雪繁
寝ころひし枕の山へ薄蒔のかゝふりにしはし霞む春の夜桃溪園虎住
野あそひに学ねてぬし春のよの葉はこてふと成やしつとん波上亭走
〽雨風もしる燈火の赤くもり書の丁子に霞むおほろ紅綾重
春風にゆり起されし青柳のねふたさうなる勝夜の内五常亭道守
梅見にと出ありく春の夢心袖のかをりもさめし寝送り鈍々亭和様
あをやきの枝たる池にうつりては善着しと見し春のよのよの拝清石
角おつる鹿の春におく程もなし春の夢野の月の水しも小路花豊
庭の梅影絵と見ゆる書のよの薄墨色にうつる池みつ郷住
春のよの手拭かけの内の終に近ほしみする往垣の梅筑波鹿柴藩
火袋の内にも紙をはるのよは朧に見ゆる庭の燈籠
春なれや夢もみぬ間に鶏の鳴音もはやきに夜の中山霞引部
かきなつる袖にも散てかばれるは紅梅色のともし火の花霞袖成
行燈の針めの星をみめてにて春のねむさに船や漕らん裏丸
おいぬれはこゝきら春の暮まとひ夢の浮樽渡り初する森東亭可志左
浦和
なにはつの梅さく頃は轉寝の子とんの路につのくみしあし蒼髯舎千古
蛤の露たかはさる迄なれ也佃の海の月のおほろ夜芍薬亭
子日
ナヽ
はつ露ひきよき野辺の姫に松春の立根も深からすして栄錦舎に萩
何本と教やかそへん万歳の妻も子の日はひくまのゝ松道文
小松ひくあたりし衣裳めたつらん昔のまゝの千代のふる道松の屋雫
鶯のふくめる声の玉松ははつねの野辺のえものなりけり菅蓑
子日ともしらて汐汲む蜑少め松にいくたひすれるこし蓑芍薬亭
若菜
はし鷹の鈴菜つみにとさそはるゝ座守か妻も焼みつらん珍馬
七種にとり尽しけんみしかくて雪雨の若菜瓜もかゝらす清武
をかの辺の荒れを指てをとめ子かかたみかはりの袖に包めり月の屋星星
やう〳〵に指むあかなの籠よりか人のめをさへもりて残れり
物とりて洗ふ根芹の雪翁に早くも濁るはるの沢よつ菅蓑
海士か子の亥の銅を提籠につめる磯なも春のいろくろ鶴声楼高丸
かろか野のあかなつみにとをとめ子は鹿の子の衣きかゝや行こん翁草庵延世
はるの野のあるゝかき日に立霞すあしに成りて指也左ひらこ緑草庵春門
雪間よりつまむ爪をも七種にとれるはさ文の鈴なすじろ青楼側住
鶯のこのむ物からすなまてひは茶かへしとみゆる春の野便金亭多丸
かへるされあすれて野辺に若くれ橋人のあしにも根やはえつらん八木亭満寺
水府
孫左衛門朱雀の野辺の書分てわかな持手もきるゝはかりそ珍馬
宇陽
くらきより図の着札を指へとて野守か門をたゝく土種為持
上毛松枝
かすか野の鹿にはあらて若な指少めか角をかくす手拭壷保樓里住
見付てはぬくや野沢の水かゝみ根芹はとしの音しら髪かと花咲庵米守
つはめ沢家路に土をはこはしとつみし根芥も洗ふをとめ子芍薬亭
十三ヽ
三月三日
南山亭坂住
南京の鉢にうかへて
から人のおもかけ
したふ桃の杯
主清堂
捨魚
盃を流せる水に
影うきて空も也
けふは
花に酔らん
雪汀向
四月十一日
三月三日
盃に書て流せほめ桃のみかこと葉の花もうかふ河水捨魚
岩間より流るゝけふの盃にうかひて花もあつる口ひる升成
ゆく水に桃の杯たゝよひてうつりし浪の花や酔ふらん全
紙鶏の手のなきものに生るとも人にすゝめんもゝの盃駒込庵松雄
みとり子か宮まうてする初雛のせち着ん花の桃色のきぬ菅蓑
古今雛かさる序句は商人もよかた衣を着てみな遊ふらん一馬
雲の上となかむる雛の眉根にはこよひの身のおもかけにたつ久
いやよひの年ゆの夕薬姫桃のかしらにかさす三日句の櫛山桜亭
ひなあそひ桃の花さく涼に酒酌かはすこゝちもぞする芍薬亭
文台相撲
五分線香點火未盡
三十一言下筆即成
○繭玉無気力
つよからぬ枝をかさすは手みやけの柳にまゆの玉つくりくち鈍々亭
しなやかな柳の糸のまゆ玉はかひこに庭の蝶もうこかす仝
ふりおとす力なけれは青柳の枝にすかれる露のまゆ玉鶴成
雪よりも真なき餅のまゆ玉に太わめとをれぬ青柳の枝捨魚
鏡餅有波文
雲煉の去ねの氷の焼餅青来て波のあやにあれけり仝
去年つきしもちひの鏡あれなから春の姿はまたくみえけり仝
はる風のくたく水の鏡餅しくうら白や浪のしたくこと清武
ひゝのいるこその水の鏡餅くたきてもとの水にひたさむ万守
遠莱に並へる春の鏡もち亀甲かたのあやもみえけり鈍々亭
三ゐ寺の鐘ほとさひし鏡餅風の力をみするひゝあれ
春風醒屠蘇醉
十五ヽ
とそに酔ふ少めか顔の桜色ちらして雪にかへすはる風捨魚
とそろに含し酔のされら迄顔にあたりてちらす春かせ梅方
あたゝめぬとその酔をも薄氷の水離れする風にさませり米
春水満試筆硯
幸はしめ硯の海の満汐にことはの玉を拾ひかきせり仝
かきそめの巻に油烟の雲とくはむかふ硯の石の雨はた万
書そめの硯の海にさしまめ水をましたる身のまる窓二宴
雪とけに水かさましけんかき初の硯も霞む高島の海鶴成
万歳鳥追一時来
打揃ふ門の色音や万歳の教の梅に花のとりおひ捨魚
寿歳のうてる枝の鳴子引残か門田にたてるとりおひ楽聖庵
東岸西岸之柳枝振不同
をみれこしさし向ふ岸の青柳や結へる髪にすきかへす髪清式
川ひとつ鄙と都のへたてにて髪の風さへ違にあをやき捨魚
身の柿さしゆひあふ川岸に風のかはりしあをやきの髪鈍々亭
まねつくりとちゝもつやを持髪の枝に癖ある骨のあをやき仝
舟つなく岸のもやひも西東おなし縁にはよれぬあも柳鶴成
魚のよる岸の柳も西東網すく糸に釣たるらいと米守
南枝此枝之梅紅白巳異
十五、
南から咲出し桜の色あけて北にうこかぬほしとみる花楽聖庵
さほ姫のよそほふ春のけはひ殿紅おしろいのさきあけの梅捨魚
咲出て匂ふ紐ものくれなゐにかた枝は雪のしら梅の花菅蓑
北窓にけのこる雪の白梅も南へさしてにほふ日のかけ万宇
くれ事ゐにみなみの枝の朝日にも北は遠のくる雪のしら梅鈍々亭
日の影に消せぬ雪の三越路や白くれなゐの咲あけの梅清武
あさ露もむすひましや水ひきの白くれなゐに咲わけの梅菅簑
も
春雨洗新柳髪
砂あひておちかねやせんはるまにまたふり出す青杵阿髪西山楼
風たちてよくれし髪の柳をもあらふや花のかろいろの雨清武
まゆ作る柳近雨のあらひ髪毛筋をとほすはるの細風万宇
はる雨の水にそゝきてあらひ髪そはよりむすふ風の音掃外成
さほ姫の妻のきぬをまくり手に柳の髪をあらふはる雨
影濁る雪解の沢の春雨に髪やあらへる岸の青柳菅華
はる雨のあとひくやうに日をふれはあらふ柳の髪のさかりは鵲巣木
青やきのあらひ髪なる賤のめの草ひくやうにふれる春雨仝
春雨にふり乱に髪や洗ふらんゆけたつやうに烟るは格米守
つれ〳〵と春のなかめのひとねふりすまに洗ふ青柳の髪小萩
はか雨にあらひおとせと梅かゝの匂ひはぬけぬ青柳の髪鶴成
風あてぬ都の雨に上臈の姿まなへるあをやみたのめ山櫻亭
こぬかよりこまかき雨につふらん往けぬそし青柳の髪道文
はる雨のしるのやしろのねこ柳髪を洗ふに耳も撫けり古今亭三鳥
鶯の音におとらしとはる雨に雫の玉をふくむ青梅郢曲樓聞樓聞秋
めをやきの髪をは雨にあらはせて藁てゆひたる花売が妻梅古
はる殿に池の柳のあらす髪かもしとみえて玉藻流るゝ楽聖庵
山姥に見ならすぬらんゆひはせて雨にあらへる青柳の曼捨魚
早蕨撫旧苔鬚
ナヽ
早蕨の手にしめほらんに水の鏡にまつる苔のあを髭捨魚
朧月鐘ほしとや山風に苦のめを髭なつるさわらひ鈍々亭
早蕨の手いれをなさはさわかしな作りはえせん苔の青能道
ごとあらひの手に相応れ薄氷くたきて苔のひけや撫らん小萩
うるさしと毛ぬき合せの道芝に昔の青髭なつる早蕨鶴成
岩角の苔の青髭梅なから谷の戸口をのそくさわらひ升
早わらひの手にやなつらん天少女遊ふ番の苔のあを髪菅蓑
夜桜花下忘帰
茶屋ま侍は八重に使のかゝるともしらてさまよふさとの夜桜し小
寝すに見し露はぬれ衣よし草の花にもかゝる琵琶の雲米守
また雪とちらぬ老からかへるさの道踏まよふさとの夜桜菅蓑
雛遊樽前勧醉
塗樽の赤く酔て酢とりもかされる雛のやうなが女子捨魚
雛棚に酔すゝむれは毛氈ににぬりの樽の色もあらそふ鈍々亭
蓮華草盛開紅錦地
春の野に錦織なす蓮花草ほつれてあるふ糸のみゆらん捨魚
蓮花草仏のいます西陣におりなす機の錦とも見舞菅簑
打残の錦色とる蓮花草めの仏をもすゑて詠めん鈍々亭
四谷鳶遥飛碧羅天
夕月の程をねらふ鳶風にくん霞の塩やひくらむ捨魚
長閑れる空にもきれし四谷鳶鳴子したりに東や引らん清武
背燭共憐格子先私語
ともし火の日をはにそにみそかことゝ鶏は恋の闇となりけり二
燈火の月はまかきに曇らねと袖はなみたの雨のくりこと仝
こもし火をよけてさゝやく格子先のそくもつらしおのか図両米守
燈火の巻にそむきてさゝやくは籬をかへるかりのおとつれ捨魚
踏花同惜大門口衣々
十三ヽ
露ふかき花に別れて大門の往扉さへぬるらきぬ〳〵仝
敷しきし花もつれもをしまれて足のふみとに迷ふきぬく
敷しきし巻よりしらむ仲の町ひき別れたるよこ雲の往万宇
大門になしくよへの夢見学枝のわかれもをしむきぬ〳〵山桜亭
きぬ〳〵の残る心匠大門のさくらの書にみせしあし跡道文
倚松樹摩腰喰積鰕
十三ヽ
喰積のに松にけふは子もして海の菊やよはひそふらん捨色
高砂の松の木蔭の扇姥也腰のかゝみし喰つみの海老菅簑
喰つみの松のけしきはすみよし也かけたる海老のこしの反橋道文
住の江の松に齢ひのかよひ路や反橋かく流喰秋の海老梅古
くいつみの松のみとりの下落にひと塩えひのはみゝまされる米宇
のしあはす横に霞みて松かえに日の出まはゆき喰様の海老鶴成
和菜巻啜口二日醉
二日酔けふはきのふのあさすに播しわかなをすゝる水粥捨魚
二日焼すゝれる粥の青みさへあたまおもたき雪の下草楽聖庵
二日酔水さふすゐにさましてははらの時計を尽す明方舛成
礙石大八車遅来
かみあつる有の小石に歯ならすの乱れておそき米の荷車菅蓑
ますら男の力持せし石ならん牛の草もとめて動かす捨魚
大石をかみあはせては市中にはのゆるみけんおそき荷車清武
石のある格州来のやう車歯にかみあてゝおそく成けり万守
帝流猪牙舟遇過
三日月の影ともみえてひき汐の浪にかたふく猪牙の舟足菅蓑
かけ沈む侍るも早く下汐や浪に浮絵の猪牙の舟あし鈍々亭
夕月の弓の流るゝひきしほに矢を射たり加走る猪身舟捨魚
夜雨愉湿駒下駄
よるの雨学はかりかは真田緒のもえ黄も色のそひし駒下駄仝
庭下駄のかたしはぬれて飛石の臼の目ねむるよはの春け万方
くらきよを忍ひあるきの雨のめしなかにはらふ妹かこま下駄菅蓑
夜さのらの花見に妹か遠葉は小雨にぬるし寒の駒下駄山桜亭
駒下駄のいつしかぬれて露恋の星は夜雨によはすなりけり西山楼
こま下駄の音もしつかに逢ひ来る軒はを伝ふ雨のあしとり二
暁風緩吹打掛裾
答おくるかへさの風にぬひ笛の雲もわかるゝうちかけの袂捨魚
山かつらあかれろ送るかへり風身にそはてふく打かけの裾鈍〻亭
層波之眼新媚孔方光
棟あけの一文銭のひかりにはなま瓜はなすまことみすらん今
あしなとて走れるものに八千度のふみ使より笑顔みすらん捨魚
ゑみふくむ妹にみとれはつまつけるひとの心の駒事の衛楽聖庵
者の海都そふ枕のうら既に妹かめもとのしほもひうかく菅筆
不言之口先咲山吹色
いはほなすけはしき杉も胡日影うつる事金の波に知らく捨魚
兼顕早春霞鈍々亭撰
くひつみの島山松に引わたに霞や春をいはふ長のし
くひつみの島山松に引わたす霞やすをいはふ長のし柳賀園菅倉
しめかさりくゝれは四十くらかりの目さきにうすく霞初けり花園亭麟馬
若水をくめはしつくのはぬつるへよこに一こち霞流るゝ琴松金綾重
はつかすみ網の口からのとけきを出しゝ跡へさむさしまふか花本亭喜蝶
さほ姫か霞に棚を作らせてけき新室やひらき初けん
生花斎八平
さほひめの霞の花を染るにやすみれにたるゝ此子の露
オク
藍臼舎
たから舟またこぬさきにけさ春は霞の波にのりてきぬらん
永代房持丸
千金をいるゝ財布のしまかそも横たてかすむ春の曙
夕顔亭元成
たち初る春いとけなしわらへ子に霞の袖のひろき山の端
竹窓亭和則
文教屋茶雅丸
あけてけさ霞のいとを引ぬれは冬のけしきはからりかはれり
霞たつ春は夕日に引かへて心うれしきあけほのゝそら
三十
化粧さへまたせぬ春を紫にいろとりそむる初霞哉
和曲亭道人
山姫のかすみのまゆを引そめてけはひまたらに雪そ残れる
春立ていはふ扇の箱にまて霞かたとる紫のひも
青松房元住
うたひ初いはふころとて山の端へかゝる霞や天の羽衣
松露亭右人
青柳に霞のいとをおりこみてあやの小路に初日さしけん
たち初る春の霞のをさなくてみるにひつはりたらぬ曙
洒楽斎詠兼
もろこしへすのわたれる時ならん霞のはしのかゝる海原
ほと遠きあまの地引はへたてゝも霞のあみにかゝる初東風河川亭由成
此子にけさは一すちそめ手綱さくらの馬場に露引なり
竹の屋虎住
いとけなき春には風をひかすなとそちも霞の重意をしつ
としもまたをさなき春に立ならふ霞は山のこしにすかりつ
トチキ
糀室亭積方
かき初の気の海辺やはつ妻ひいたる一字千重のはる
かマカへ
青雲亭業丈
はつ日かけたけをのはすや遠山の霞の衣はすそを引らん
雅友亭梅住
一とせもはやたちつゝく初春の霞か関は紫のそう
梅
十三
ちりもなく掃除はすれと庵もせの香によこれたる梅の花守
庵守に酒を持参の梅見客あひるほと香を袖にとめけり
川口一
和錦亭理衣
もていそく風の伏やおとしけん此主しれぬ道のうめかく巴流斎
欠S
至清堂於魚
なけてやる菓子より池のいろくつもうまき水のむきじの梅かく
トチキ
文そのむ心あれはか哥をよむ鳥も宿せるそめかかしこさ
世間亭吉住
春日亭長総
庭守のたしなき袖をましはかき風もちらさすかこふ梅かく
オク
むさしのくひろい所にはなされてたちまとひする風のうめかゝ
藍臼舎
氷端なる柳のすそを引すりて胡蝶をとはす梅の下風
仝
タカサキ
さくうめの香にねられしことおき出て杉の葉いふす宿のかん酒六帖開雅雄
三分
垣こしに枝さし出せと行かひの袖の新磨にはならぬうめかゝ四海浪平
匂ひをは袖にとめきの梅の尤ほつこりとせし春の日かけん山辺房道高
まれ人の馳走にけふは花の香もとなりへ行ぬ梅守か妻文弼開千村
人くとて鳥や告けん風さそふ梅かかほりのはやもとりしは
寿兼俊
あらはすに出す父子わんも心よやうつり香高き梅守か宿寿兼俊
水茎跡成
かゝすとも天しる地知るわか身しるみとりこしなかやみのうめかく
まかりたる枝をも折らす其侭にためておきたる雁の梅かゝ
上・フチ五
夢政住
経をよむ鳥にるすをはまもらせてよそありきする風のうめかゝ
打はやす鼓の梅も花形の徳は香に匂ふ御代の春風琴通金
文川舎夏躬
尤智のみやけときかは一柄物水やいはらん鉢うゑの梅文風舎夏躬
オク
藍草園苅住
さく花は霞にうつむ山の井のあさきにふかて匂ふうめかく
同
春花亭給安
香ををしむ心やくみて亭の梅霞のきぬにつゝまれてなく
鶯の跡ゐたりするをさなこにみせてすかさんうめの花かさ臼友甘冬安
おしろいのそふ蝶もきてへにさした女礼者の花の否
万宝亭喜樽
さくうめの花の唇露もちてつほみより先匂ひこほせり
不言亭
鶯の長しりをこそしたりけれほとほりくさき梅の春風
ヱキリフ
世の中を逃ても友のうきつけておしかけてくる梅かかかくれよ
木のもとに立まふ風のうめかゝに心うかれてゐられまりけり山越人
鶯をむかひ心や答合をこちらよりとふ風のうめかく
こちらから手出しもならすそれなりにかは向ふなるきしの梅かへ
三分
たちよりて新らんとかけし手先より匂ひのつよくなりしうめかゝ
をりとりてかくせと匂ひつき柚のたもとおもたき梅かかさぬ着
かれしそと思ひしうめに尤さくは風の手つまや袖にうつり香
此ころのうめ見の客に酒ひたしひさやたもとは乞のかそする
物くさき唐のあるしかやれ障子なに遠慮なくかよふ梅かゝ
十百人
ほめられてともにうれしくうめかゝをしきりにはこふ風の子心
鶯かひと旧みんねは遠出してさかすさまなる風のうめかく
鶯宿園梅古
生酔かひとつ杉田のもとり道うめかゝこける羽二重の袖
花のかのよそへちるかと手に汗をにきるやうなる梅かへの露
鶯のなす仕事にはみことなり蜘のあやとる梅の花かさ
おほろ夜を遊ひに出しか隣へも門ちかひしてはひる梅かく
すまになれて匂ひもます花のとふりをほむる庵のうめかへ
小槌守福守
香をこめてまたうすさむき谷かけにのこる雪かも白梅の花
夷福亭官守
うめのもと手をらすとても立よらん香はかりとめし袖のみやけに
山水亭喜好
梅かゝを風かおこせは窓の戸のあけかたさむき春の庭もせ
冨貴窓花丸
鶯のなきそこなうて木かくれをすれは笑へる梅の下えた
羽二重の袖をすへるをやう〳〵と家つとなとにとむる梅るゝ
下毛川原田
清水肝出也
さほひめのつゝむ霞の袖よりも匂ひひろこるつとのうめかゝ
トナキ
七面堂信成
ちりかゝる尤は雪かと云るとてもうめかくとむる袖ははらはし
ぬれつゝもしひてたをれは春雨のつゆさへ袖にしみるうめかゝ
一歌枕亭寐覚
東風ふけはつれて匂ひはくゝり戸のあけかたしらむ星の白梅
梅干にならぬさきから花のかをすく人めてゝこしをかけ五台一団閣召基
うめの香ははなにつく〳〵みる老のよはひもしわものひか春の日
行人もあゆみやとめん袖につきたもとにすかる梅の花の香
きへのこる雪の化粧に梅の花へにをふくめる春の口もと
仙篭堂高丸
いつれ兄おとらぬ花の春風に匂ひきたのやなにはつの梅櫛辛行武
枝に来て見とれし庭の覚寺にほめそやさるゝ風のうめかく高砂亭松成
源平とさきわかれたる梅の花世をもつきほの枝の一もと
柏手三成
万歳
十三
上、キリフ
ことほきのはしらはかりか山里は家をうそへてまはか万才壺桂楼一村
宝市亭升成
かくはかり戸すらぬ御代は万才の顔にしまるもなくてをかしき宝市亭升成
万才のかそへたてたる柱にもふしのついたるこゑはをからき
万才のいはふことはのをかしさに柱の出る山もわらへり
日タカサキ
豊後楼梅芳
万才のたはれし跡ももてなしの酒や肴にはらをかくへ
万才はとそにそへたる吸ものゝ貝のはしらやまつ祝ひけん
三度庵祭之法師
あらたまのとしはひろへと家ことに笑ひこほしてかへる万才
津美内子
万才をわらうて来たる子ともらに口をひろけてみする才蔵
万才のすあをの鶴のはをのしてまひくるけさや徳若の声
重堂真弓
鶯のはつねのしたにまはりきてうとくの春をうたふ万才
万才の素襖のうめのむ田いろ大きな袖にとめてうれしき
くまかへの宿まぬかるゝ万才は是も無官の太夫とのなり
万才の包をかしくせおはせて口をとくよりわらふたをやめ
につゝみのしらへによるかとそ酒にゑふ万才の千鳥あくして
腹筋をみなよらせけり万才の糸のやうなる声にあらぬと捨魚
ひつみなきこゑはり上て家々のはしらの数をいはふ万才吉住
才若のをとる拍子に古名ほしひもゝはつれておちをとりけり友頼
わらはせに来た万才のすめをよりゑほしも口をたゝきなりけん銅古館知昌理
寄玉恋
龍よりもえかたき妹か玉つさにあきとうこかす仲立もかな文々舎
うきなみたかわかぬ水をふくませて胸の火をふく玉はうらかし雁呂人
かきおくる文を手玉の玉にしてすくにまろめてくすつれなき
手のうちへもみかくしては人のめに品玉つきの袖ぞくるしき麟馬
あかぬ夜の数こそまされ今ははやちはこの玉の涙こほるゝ藍臼舎
うき夜を岩渡のうらわのあまよりもちゝのあたりにかくす玉つさ
鶏鐘にかへせしあとは独寝の袖のなみたも玉となりけり
あふことに思ひいやまによはの床きぬ〳〵しほる露の白玉
くや
守
タカサキ
あしよりも手きれの詞聞てからへんくわか玉の泪こほるゝ
舞楽楼
首尾のよきへんしを宝物にして宝珠のたまにあふ夜うれしき
はつかしやなけかへさるゝ玉つさのひくゝほもなき水くきのあと
あなにくや珊瑚のたまにあふ中も毒ある人の口にいれけり
きぬ〳〵の袖のうへなるしら玉はころけてきゆる思ひこそすれ
すかりつくこしの緒〆の玉になととめてふとんの上にのせたし
水良の肌つめたくも心根にこもれる綿のやはらかみよき楽聖庵
かこちなくこゑもしのひにあいらしきうくる涙はたなひらの玉
三分
うちつけにそれと岩間の思ひ川ちゝにくたへる水の白玉水三辛長良
千代迄とちきるちはこの玉の緒もたゆるはかりの直病の条道人
うきごとのみつるなみたの床の海汐干の玉はつかの間もなし満守
うき人をこはくの玉と松か根にあはて枕のちりそつもれる昇得園芋人
之方へ
うれしさよ手と手を組てしつかりとしめるをしめのたまにあふ或は涼風亭岩守
ちかひたることはをみかく憫中にくもりかちなる玉つさそうき千里辛
胡冨士
けはひする朝日のへににおしろいの雪をとかせしふしの山姫升成
時しらぬ雪の光りにふしのねはよそより早く明かたのそら春草庵道文
田子のうちはれたるふしの朝けしきほむるやうなる浪の高声捨魚
朝露ひく郡内のしまかいきはけめかすりの甲斐のうらふし綾重
あさな〳〵心かゝりそあたら雪よこすなふしの峯の黒雲
めのさむるほとのけしきや朝掃除ちり雪もなくみゆかふしね秋雨亭笠人
朝めしをたきにしけふりみゆる哉峯にむれゐるふしの白雲
一同所要々法師
ふし見よとおこされてけさぬけからの夜の中にも出来し人穴悟智智宿抜満
白雪のかのこまたらは今おさしぬまき次めやふしの山姫
タカサキ
六帖園
東からしらむにつれて白〳〵とむかひへみゆる雪のふしのね
するかなるふしの高根をそきみれは此上もなきなかめなりけり
けさひらく病の少しの高根にも霞の衣のをりめたゝしき江月辛刈正
春耕亭
けさ春のかさりするかのふしの山霞一すちしめ縄にひく
朝おきて手にとる帯も横かすり妻引そふ不二の山煩一宮亭竹割
めてたしと鶴の郡の人やみん朝日いたゝく甲斐のうちふし捨魚
ふしかねをきのふのほりてつかれけんけざはあゆみの遅き雲空
朝またきみれは六根清浄の手あらふ門に塩しりの山黄金貞持
日の出をも許すうしろにつり合し袴腰かも紋付の不二松人
クマカへ
朝川岸へとほりかゝりし駿河丁としの恵方にみかふしの山升吉
水無月の夜山をかけてくらきより笠もたて日のほかふしのぬ花咲房米守
道文
朝の旅するかのふしのさくや姫宝永山はもちし菅笠道文
朝餉たくふもとの間にすすそ野分けふりののほか不二の此ま山和玉楼喜常
またるもとけやらてさむき朝東風にふしは霞の衣かさぬけり文々舎
朝寝なゆめに見られしむくいにやみたるゝふしの虫の雲のひんつか楽聖庵
三ト
雨用意けさはするかのふしの山うしろにはみのそらに笠雲
万円亭水持
同
しら雪のわたにつゝみしふしの根のまた其うへをおほふ朝きり
思葉楼外也
同
一刀舎武成
白酒をのみすこしてや朝またきふしは霞のはちまきそする
升成
ふみぬきし朝寝の夜着の袖ほとに雲はふもとへたゝむふしかね
オク
いく薬あるてふふしの朝日かけうつすかゝらもつもる白雪
双桐園胡香
朝またきたらひにうつるふしかねも顔あらはねはまた夢のうち
原見
山道縫女
せのたかき山のかたあけおろせかし霞の衣すそみしかなる
うはさのみするかの不二をけさこゝへ手にとるやうにみゆるきりはれ
見てさへもみにもはれ着なる明方にくもの帯をもまとふふしのぬ
文理
5348
一半四反六分
一、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、〇〇