嬾葉夷曲集

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尾田初丸撰
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尾田初丸撰
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ランヨウイキョクシュウ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
総業夷曲集 練葉夷曲集序 銀 狂歌之行_二 ̄ルニ於世_一也久 ̄シ矣独傑_二然 ̄ルニ 其間_一 ̄ニ者浪-華由-縁-斎貞-柳是也 嘗学_二其歌 ̄ニ於雄山 ̄ノ僧信‾海_二氷-質_二 出_二其群_一 ̄ニ名‾声亦藉甚也貞‾柳以 _レ是傳_二之 ̄ヲ広-島芥-川貞佐_一 ̄ニ貞-佐以 _レ是 ̄ヲ伝_二之 ̄ヲ吾雄-崎貞 ̄リ右_一鳴-乎貞‾柳 秩 ̄ノ五-年此道益盛也而貞右 継_二三-子之統_一而巨 ̄シ_二 ̄リ_二辟 ̄ル于浪‾華_一者 有_レ年_二于此_一今茲癸卯春‾卯春違_二公- 聴_一 ̄ニ賜_二貞-右_一 ̄ニ以_二 ̄ス玉-雲-斎之號 ̄ヲ_一以罷_二 賞 ̄スル之_一 ̄ヲ也実 ̄ニ吾党之一‾大光輝豈 可_レ ̄ント不_二欣 ̄シテ躍 ̄シ以賀_一乎故。社‾友六‾群 之内_東-方門 ̄リ人相-率作_二賀‾歌_一 ̄ヲ以 賀_レ之 ̄ヲ頗成_二巻‾帙_一又附_一又附 ̄スニ以_二其他篇 ̄ニ 什若‾干-首_一 ̄ヲ名_二嬾葉夷 ̄リ曲-集_一 ̄ト_一 ̄ト余也 不‾倭玉-雲-斎門-下之一生耳若_二 夫貞 ̄リ右-氏之歌 ̄ノ美 ̄ル_一世既知_レ之詳 ̄ト_一 _レ是 ̄ヲ伝_二之 ̄ヲ吾雄-崎貞 ̄リ右_一鳴_乎貞‾乎貞‾柳 後 ̄ノ五-年此道益盛也而貞右 継_二三-子之統_一而巨 ̄ニ_二 ̄ル于浪‾華 ̄ル_ 有_レ年_二于此_一今茲癸卯春‾印春違_二公‾ 聴_一 ̄ヲ賜_二貞-右_一 ̄ニ以_二 ̄ス玉-雲-斎之號 ̄ヲ_一以罷_二 ̄リ。 賞 ̄ル之 ̄ヲ_一也実 ̄ニ吾党之一‾大光輝豈 可_レ不_レ ̄ト不_二欣 ̄ニ以賀_一乎故。乎故。社‾友六‾群 之内東-方門 ̄リ人相-率作_二賀 ̄ヲ歌 賀_レ之 ̄ヲ頗成_二巻‾帙_一又附_一又附 ̄スニ以_二其他篇- 什若-干-首 ̄ヲ_一名_二嬾葉夷 ̄ノ葉西-集 ̄ト_一 ̄ト余也 不 ̄レ倭玉-斎門 ̄ノ下之一生耳若_二 夫貞‾右-氏之歌 ̄ノ美 ̄ニ_一世既知_レ之詳 ̄ト_レ之詳 ̄ト 矣故不_二復言_一独言_二其賜_二其由_一 以為_レ序 ̄ト天明癸卯歳孟夏吉辰 高松杉丸清督謹序 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 草木おひ出て花をひらき実をむすへるを人の ものまなふわさに喩へぬる唐土人の筆すさひはむへ なりけらしいてや飛なひたる言葉の花も身をおさ め人を教ゆる堂つきかしてしかもをうなわらは一に いたるまて聞とり安き故とにやいそのかみふるきむ かしよりやむことなきひと〳〵いみしき聖たもひな ふりの歌をなむ祝ひ玉へる事多かり石清水の 信海法印と聞ゆる中津ころ世に名たゝる人なり けれは由縁斎の翁も此人に了学はれけるそれより 安芸の国なる桃縁神の翁に伝へて恵比須歌の 六月 道いよく栄へけるか是に随ひたまふける我師混 一泡軒の翁はわきて此道になむあやしうたへ なれはとて貞佐の翁よりせうそこして貞右と いへる名をなん送られ猶浜千鳥の跡をしたへる 人々に玉雲流をなら柏の広く伝へはなと聞へて ひめ置れぬるくさ〳〵のふみに信海信乗ふたり の翁より伝はれる拂子文台をそへて損られける も独あゆむに畏さるの器なれはなるへしかくて 立初る春のあしたより霞める峯の雪まそひゆけ はや咲出る花に心を深くまつゝ夏衣きなかぬ 宵の本とゝきすのきぬ〳〵の名残もわすれぬへき 一こゑをきゝてはあかぬわかれのとよみつる人の心は ものかは月のあかゝりし夜は樺山のふることに そへてこし未たをかなしみ寝覚かちなる小夜す から妻とふに鳥に恋の心をつらねゆふ霜さ やく玉笹をみては歌調ふなるはふり子の袖をあ やしみ注連ひきはつる門の松に千代万代と御代 を寿き年のいそきのことしけき中にも見るにつ け聞につけてよみ出たまふ玉の言の葉の数々は 八百日ゆく浜のまさこの算ふへくもあらされはみや ひたる名は高き山となむおひ登れりけりかゝりけれ はいつしか雲井の庭にも聞えあかりてこその春侍 月すゑつやととなきおほむ方よりひなきひなふり の歌奉れと仰ことあわけれはあなかちにいなまんも 恐れありとてとみに十首のよみ歌をなむさゝけ奉 られけるにいたう興しさせたまふみけしきは御垣 の外にもおよふはかりとかや其後かの御家の便によりて 此道はたりの先つみおやより伝はれゝこすちをかい つけ棒奉られけるにされはこそかくもいみしう 世にひてたる事は信海の翁のふたゝひうまれ来れる ものならめと深くめてさせ給ふとなむ聞えける かことし衣更着中の七日といふにあめのゆるし のよきときなれはとてあふけはたかき月の桂の はやしにあそ飛たまふけるおほむかたの みつから御筆をまさせたまひて玉雲斎の号 を下したまはり猶御家の記録にもとゝめさせ 給ふとかや此事を菅の根の長き末の世まても しらしめむとて御したつ枝にわたらせ給ふ おほむかたよりも御そへ文をくたし玉はれる事 いともあしこきおほんめくみはそめいろの山 序 同月 よりも高く千尋の海の底よりもふかくして誠に 一玉雲流のほまれ先つおや一のめいほくこのうへ やあらんと一たひはよろこひひとたひは恐みて 凌雲のそれならて是は玉雲の額をいたゝく白髪嬉しき 雲井から玉いたゝいた兀天窓猶も光をお添書まて となんつらねられて御筆の跡をたいせちにひめん おかれ侍りぬそも此道に心をゆたねてぼのおしまつき のもとに膝をなしらふるともからやつかれをはしめ てかゝる幸の折にあへる事草葉の露の月の光を まちとれるとやいはん堂とふるにものなしされは ひと〳〵多かる中にも飛んかしのわたる ともかき恋なからひへたてなきむしろに つとひていはひのこゝろをよみけるはいてに日比 はみをけることの葉ともをも朽木のねのくち葉 もいとはすなきさの藻屑かきあつめぬれはちうた のなかはにはなりぬやかてふたまきとなし名つけて 一嬾葉夷曲細集といふ呉竹のよめて此道のさかへ を祈り吾師の誉れをあふくよろこひのこゝろ の千々のひとつをつかみしかき筆して かのふみのはしにしるし侍るはあめあきら なゝことしのみつにあたれるやよひのなかは 東南無 浪華尾田初丸誌 狩野博士集書 青々舎安楽酒丸 釣の糸たれも及はしゑひす歌の徳高き名をれうし給ふは 宮眠舘二原斧丸 あめつちと倶につきせし大内の山から出たる玉里の文字 青巾舎中村群丸 月と日に並ひて尊きみつの文字誰しもほしのお位の筆 竹葉軒高松松丸 得る事はいよ〳〵かたしあふきみれはいよ〳〵高起玉雲の額 鳥巣軒岡橋枝丸 言の葉もいや茂るらんひなふりの道へめくみの露の玉文字 序 鼠虫軒栗本睦丸 恵みあるお筆の跡をうは玉のよもや寝た間もしれ玉はし 玉川堂伊藤洞丸 され歌をかんし玉ひて雲ゐより霰の玉の名はくたり 一雪軒渋谷鉄丸 玉ふ名は世になるかみよされ歌の雲のうへまてひゝき度いりて 一洞亭戸同其丸 今そ時にあひて御名は光る也千代やへんくわか玉の言の葉 芹川亭伊藤鶴丸 幾千代をかけて祝はん玉の名はよに明らけき君のお目鑑 長谷川氏磯女 かとつ葉の影もなひかん玉雲のお家の風をおこしたまへは 真円軒ノ郷田東丸 君か名はわきてそ高くたち登る空ゆく雲の限りなきと 松根堂石村呉丸 龍なして天へもあかる心地せん玉雲の名のくたるについては 船秤軒山石崎象丸 世にてう聞えていとゝ高きは翠簾のひまよりもれたおん 額 紫雲舎箕輪入丸 生地のよいを見込て猶も磨けとやくたし玉はる京の水茎 序 甘川閣甘川主丸 いとも〳〵玉てふ名をは恵比須歌其切つむの徳によりてや 好文堂猪飼津幾丸 たうとくて袖そぬれける君に名をくたし玉はるあめの恵みに 雌雄軒土井蟹丸 一御筆に心をこめのひやう徳をいたゝき玉ふはおもい事なり 稲葉軒山同艸山同所丸 こや花火のひなふり歌か望井まてあかたとすくにくたる玉し 奇妙軒一宮村丸 紫の庭にて筆を染玉ひたまはりし名におゆるしの色 秀紅軒藤井釜丸 一燈心のたうとき筆にかきたては猶ひなふりの光ませとや 一九淵堂八木雪丸 心ある人に見せとや給ふ名は並ひなにはのみつの御筆 不朽軒池村薫丸 いや高くあけ給ふらん雲ゐから恵みのおそれをしたには雪れ 鷲燕堂村主盧丸 都よりくたれるみつの文字の関道の誉れは君にとゝめて 交水館佐藤魚丸 雲井まてことのはをのし玉ひつゝ千代も栄へん鶴のひな 序 ふり 原素館尾田初丸 高きよりくたし玉はるみなの川みなは絶せし流れての世も 嬾葉夷曲集巻巻之上 春之部 浪華玉雲斎貞右門人 原素館尾田初丸選 年内立春 松丸 たつ春をうはの空にやなかむへき軒よりしたは師走なれも 元日 初丸 もみち葉もとつる氷も流るめり春立田川に東風かわたりて 酒丸 時にあへは麁相も心能い春やすはりし今朝の若恵比須膳 蓬莱 群丸 かち栗を先かみ風やいせ海老天手をつきぬ代に今そあひて 鶯 斧丸 うくひすもから歌作るか竹になれてなとの賢き人くひと句と 名所尊 草丸 高野やま今も空より飛んて来て松にとまつたあれさん花事 子日 脛丸 子の日してひく手に移る松やにの香の尽せぬも千代の例か 万歳 草丸 雪氷とくれと調ふ万さいの鼓のかはにも波のおとして 霞 村丸 春寒み空も襦袢や木にまたかる霞はわつか半たんあまり 山中霞 鰐丸 ほうしたる雪さへとけてほの匂ふ霞のまとの枝からの山 霞中茶店 其九 船の名の桧垣の茶屋か焚くほ影雲ゐもわかぬ霞の浪間に 山残雪 枝丸 消かけて奥口のある春の雪を誰しも花と見よしの山 雪解 初丸 是は又つらゆきとけようらゝかな空にしれぬ軒のいと水 上 群丸 宿居 古郷の野路に残れる雪なして所またりになまるやふいり 若草 初丸 むつきの内名も定らすきのふけふけぬ出来たこ草は次郎とも 坂若草 主丸 狐火のそれかあらぬか稲荷坂の口に青みてもゆる若草 山中餘寒 耳なしの山とはいへと冬よりも春の寒さはきげとものなり 街道余寒 二月の寒さに酒屋の米ふみもふるふて通る播磨街道 禁中余寒 高丸 風寒み篝にあたるゆゑんかも平士か顔のみ霞む春の夜 寡婦二日灸 酒丸 しつとこたえ後家をたてぬくきささらきの二日灸もはよといふ身也 薪能忘_レ寒 斧丸 鉢の木やたき木の能の面白さにけふの寒さを忘れて候 梅 群丸 我はたゝ一枝ほしき梅花鴬はよし慾にふけろと 街道梅 塵丸 馬と倶ににほひを送れたて場から次木の梅のさきの霜て 工家梅 草丸 仕立屋にした風かちと表へもふいてえならぬ裏の紅梅 柳 群丸 まひと色何やらたらぬと思ふ也風ふかぬ日の青柳のいと 山柳 枝丸 一佐保姫かまゝ焚するか米柳竃の山の山のはにもかゝつて 隣家柳 隣家柳松丸 へたてなき隣とは気も青柳か風に折〳〵軒端とひ来る 飯蛸 八葉の蓮花とも是をいひ蛸の中にほさつか有かたやかふ 紙鳶 斧丸 夏の外しらぬもはなそ春風の空に音あるせみ〳〵の風巾 解虫丸 那須か名のそれより高うあかる也扇子のいかもいとめひとつて 君丸 ひとゝならは思ひあたらん紙鳶に風いかによしのゝ春しらぬとて 春雨 枝丸 一解残る雪も流すや春雨にはなしか尽て跡はなろ〳〵 呉丸 はる雨の打つゝきふれは餅搗に付た花まておとす水の日 牧春雨 東丸 ふり髪のふりくらしつゝ月かけもみつの御牧の春のこまま 野外壱両 草丸 神楽野の鈴菜にかゝる春雨のなとふる春の聞えさらん 浦春雨 信女 春雨にわひて退屈須磨の浦わくらはにたにとふ人もかな 海邊春曙 淡路から今は見かへし〳〵ぬ住ましうらのはるの明法の 帰雁 杉丸 咲花の錦はまたすかへる鳥はれせぬ露のきぬをもふて 草丸 山早蕨 進物をつゝむ半紙の岩国山書のしかともみねのさわらひ 堤早蕨 群丸 春の日の長柄堤に退屈のさまかわらひの握りこふしは 幽居春風 杉丸 梅か楽の通ふはかり了柴の戸はあくるもさすも春の風の風 雉子 枝丸 恋するとさとられしとや鳴きゝす妻こふ声のけんもほろに 海辺春月 雪丸 しめ太鼓のとうの浦かははるの夜の月はせんとり打かすらぬる 春月入_レ窓 ̄ニ 鳥の海の腰ならなくに格子窓へいるや弥生の月のかけまさ 汐干 蟹丸 口明た蛤に物をとふ干潟心なの御殿も汝はきしや 象丸 武家雛祭 上下の折目もきつとたて籬に角菱の餅備一ものゝふ 上巳にいさかふ人をみて睡丸 桃の日の喧嘩にはらをたて雑やされととちらも手は出さゝす 社頭賑_レ春 ̄ニ 柏手に茶やうろたえん生玉の社へきのめの田楽のころ 野遊 睦丸 辨當のむすひをほれはなつく犬の手をくれるまて遊ふ春の 鉄丸 春の野にあるふはきゝすか妻もこひと己か住かを人に預けて 蘭 入九 さはる度にくしや〳〵とする鬼あさみ手折となたの指も三本 隆女 春の野のおもてに露の薄化粧ひく眉はきか白きあさえは 原上菊 磯女 今も人にあたちか原の鬼あさみ手をはくつしやりつく〳〵思へは 待花 酒丸 青きてふ春を待えて又そろや苦は色かへる白妙の花 其丸 山寺の花を心にかくれんほ最うよいと坊 ̄シかしらせを 花末綻 群丸 とてもなし早うさけし桜花いやなら莟てへかこなとせよ 数丸 散ほとにひゝく物なら此花のつほみひらかせ入桐のかね 花 初丸 手折とてものひするさまは不遠慮よ長々しにもあかぬ桜 杉丸 咲そろふ花のさかりは枝よりも皆我を折ていへつとにせん 睦丸 さそふ水のなれならて風にいなんとそ思ふけしきや小町桜は 群丸 盃の能かへさくら丁とよいもう此うへはちります〳〵 社頭花 満丸 神前に手はうつとても広けぬる扇子もゆるせ花の盛と 川辺花 初丸 春風のなやみなけれは咲花にちりけひとつも見へぬ脊なつ 落花 隆子 惜めともそのかひもなく昭君のさ九らはこちにさそはれて 無風花散 睦丸 まつすくに脇へもちらす木の本へ落ぬる花は根にかへるりも 名所春 釜丸 見れはころとよむたも間にはあはろ島朝れ夕なに霞かゝれは 諺 鰐丸 せめてもや植いたえせし蓮翹の枝にとまつた黄なる様々 性 魚丸 己かすむ池のこゝろを種としていひや出らん歌よむ蛙は 老女摘_レ茶 斧丸 すきな茶のゑんしやとむしるはぬけ姥かゝむた腰を幸にして 茶店春夕 洞丸 春は猶夕日よつりて秋の柄の長きためしを見せる土手条 款冬 枝丸 見てはかり惜さにえやは手折らすもむなしうかへる宝の山吹 斧丸 飲れぬる蛙のたとへ思ふかもいはぬ色なる井手の山吹 初丸 左大花のゆかりかりか井手の山吹は采女かとつた土器の色 十一 瀧下躑躅 瀧下躑躅洞丸 一皺まつりの後ても夏のもちつゝしは色美しとみかさねの 吉野へまかりける人の卯花月始の頃に から来んと契り有けれは群孔 一旅衣かへなかはるなそのまゝにそれか土産了花の香の袖 白藤 洞丸 咲藤の花の手はたゝ長かれよ色しら波と名にはたつとも 暮春 桂丸 一ゆくはるの色やかたみに残すらん鏡のもちに路の青〳〵 夏之部 首夏 群丸 蝉やつた布子かそしるか朝夕はまたくつさめこ衣かへして 其丸 夏衣きをかへて早風をまつまたちり残る花はあれとも 卯花 酒大 うのはなの白きを誉ることのはに事をかき根のみ雪とみる 卯月旅人 蔦丸 古郷か恋しうなつてきた国の道者は卯の花見るにつけても 六 新樹 東丸 春の花散たる後は日覆ひとしける青葉のちつともすかさぬ 葵 初丸 打かけつかさしつ太刀のもろは草大宮人の腰に帯つゝ 郭公 杉丸 時鳥一こゑ空に有明の月よりもまたもの思はする 酒丸 本ともきすたつた一声短夜にあゝ侭ならぬ犬の長鳴き 睦丸 杣か伐おのか時とや鳴声のこたまにひゝく山ほとゝきす 塵丸 増郭公 時鳥のこゑにはつむたに便もおもは寸半分しのめの頃 古戦場郭公 初丸 大将の采配丸今もほどもきす時こそきたれとふりおとなく おとゝきすを聞て 草丸 深山出て里に一こゑあんまりしや屋よ聞ならへ躑躅よりをは 筍貫_レ壁 釜丸 おや竹を下地にきられた恨みもかたき壁をはつらぬゝ竹の子 初茄子 群丸 包たるはに合まいか直を聞んなんほ駿河の初茄子そや 左 新樹 東丸 春の花散たる後は日覆ひとしける青葉のちつともすかさぬ 葵 初丸 打かけつかさしつ太刀のもろは草大宮人の腰に帯つゝ 郭公 杉丸 時鳥一こゑ空に有明の月よりもまたもの思はする 酒丸 本ともきすたつた一声短夜にあゝ侭ならぬ犬の長鳴き 睦丸 杣か伐おのか時とや鳴声のこたまにひゝく山ほとゝきす 増郭公 塵丸 時鳥のこゑにはつむた小便もおもはす半分しのゝめの頃 古戦場郭公 初丸 大将の采配丸今もほときす時こそきられとふり出てなく おとゝきすを聞て 草丸 深山出て里に一こゑあんまりしや屋よ聞ならへ躑躅よりをは 筍貫_レ壁 釜丸 おや竹を下地にきられた恨みもかたき壁をはつらぬゝ竹の子 初茄子 群丸 包たるはに合まいか直を聞んなんほ駿河の初茄子そや 罌粟 ちりて後おとけし尼といはぬそやかくうつくしき花の姿を 遊女愛_二嬰 丸やまのおやまかめつるけし坊主唐のお客のみはへと号して 鶴丸 依_レ ̄ヲ蚤厭_レ夏 夏は猶富士のねにくや雪の肌もかのこまたらにのみの喰らや 皐月商人 潟丸 売露のにさひはあれともしろ物はきらして戻る鑓や長刀 小児の弄物をつかはすとて睦丸 一菖蒲刀送るは千代と目利して極めにつけたのしの折紙 端午 元弓 早乙女の端午のけふは殿達の祝ふ節句と内ても諸しより 潟丸 我やとの貧の病の薬にもしやうふに受る露の豆いた 酒丸 ならふなら目出瀧呑をしやうふ酒露ほと受ても薬となる日に 端午雨 鉄丸 軒はふくあやめもわかぬ五月雨にたてた幟をひきわつらふ 五月雨 湯丸 世を渡る川か濁れはさみたれにひあかる物は水汲のうち 夕五月雨 杉丸輝雄 ゆふくれはいとゝ淋しさます水のこしかた思ふさみたれのころ 川辺五月雨 草丸 橋詰は此ころ菰屋に直きつたるあしのふしたけつかきれ 入江五月雨 枝丸 ま日のないさみたれにほつとあきの方暦の名におふ三嶋の入江 百合 酒丸 五月雨にひらくもむへよゆりの花津ほとのなりは傘に似て 蛍似_ 斧丸 燈す火を露と人のとふとふとふとふとても尻にきかしても尻に 田植 枝丸 諫鼓苦深田を植る百性の蓑には鳥も驚きはせし 老女田植 鰐丸 嫁も共にとる若菌にひきかへてうつる姿のつらやふけたは 開中を火 初丸 好けたく烟も所さらぬたにふすほりかへつた関守か顔 工家蚊遣火 濁丸 番匠か夜なへかた手に手谷屑たくや烟てはつる数程 照射及_レ暁 睦丸 手に持た松のほくしも短夜は継かへる間にしらむ明方 上 夏艸 初丸 苫舟と見えにけらしも夏草のなするうへにわらふきの屋根 野夏草 群丸 むさし野の草のしけみの心あふきはこもれりの時落した物にも 夏月 斧丸 涼むさへかゝはゆくてる月の影さし合御免まる裸にて 川夏月 酒丸 熊野河へうつるとあけた夏のよの月は烏の行水かそ 名所夏月 初丸 味酒の三輪の山路はよひなからあけてもちこす夏の月かけ 苦熱 群丸 昼の辻しはしゆきゝの音絶て暑さそ物にまきれさりける 斧丸 とつ水を往来か乞ふて何はいも飲間に門もかはく日盛り 夏の夕青楼に遊て 群丸 暑起夜夜はそこよこゝよと寝くるしく里のならひの枕定めぬ 夏夜盗盗 酒丸 夏の夜や犬をなつける握り食も腐つたまんにこまた盗人 夏行 入丸 かつたかやへはいつたる蚊をひつしやりと思はす亡た百日の行 川将 群丸 月影にさふり夜うちの網ひけは違ふた〳〵こいつはすつぽん 夏旅 鰐丸 われる程てる日を何とすけ笠の音もほち〳〵行ひとり旅 夏羇旅 呉丸 ふらりつと長うかゝりぬふし詣戻りにも又日かこむらさき 夏衣 杉丸 一雪の肌見えてあつきもなつ衣きた国て織る越後縮は 群丸 夕立にぬらし損なり絞るから月もやとらぬ帷子の了て 蝉 初丸 何をみて着しよしと鳴や蝉月と花もの春秋しらすに 空館蝉 斧丸 ぬけからのそれかあらぬか夏なからあきや涼しき蝉のもろ声 花街蝉 睦丸 蝉も声を遣ひからして色さとにはてはまぬけのからそめきせし 蓮 初丸 神道にも用ひたまへや蓮の花こひちてなけりやたゝぬ物う 白雨 杉丸 ついに見ぬ何某殿の尻髭を始てみたとゆふ立のして 上 十四 睦丸 降しやしき白波たつとゆふ立にしはしは物の音もうはひぬ 村丸 医者殿もはたしになつたしたらん人参かふると夕立のして 夕立過 斧丸 たゝきなかし小石ははらり出にけり星や落たとゆふ立の跡 納涼 雪丸 手すさみと小山国はなりにけり立てりや涼しい風かこかして 睦丸 吹嵐に髪の匂ひもつき夜影いもは島田にゆふすみして 山中納涼 初丸 朝熊山万金丹もそこのけに薫りて涼しき風は気付しや 海士納涼 酒丸 一松風かふきこし蓑の涼しさにしほの目したる須磨人 水濫風涼 ̄テ不_レ待_レ秋 ̄ヲ 枝丸 川水に夏はさなから流るらし風鈴の音のちんのすゝしさ 団 義楽 少将の深草うちは手にもれは夏もももゝ夜やかよふ秋風 扇不_レ離レ手 草丸 子細らしといはは言へかし右の手のたゆくてけふ老扇を 上 泉 磯女 口紅粉も暑さもわすれてむすふ也秋のけはひといは間の清水 旅泉 群丸 息継にむすふ清水の雫さへ猶おしまれて矢たてゝなよつほり 俄非_レ一 ̄ニ 草丸マ 俄しに罷出たる難波葉こなたはよみやの八まん大名 寡婦土用干 空蝉の身はなきつまのから衣持かためたる後家か虫ほし 象丸 蛍秋近 秋もはや近きとてかは露に似て草葉の蛍きえつ光りつ 秋之部 初秋 酒丸 裏を摺たはやしの鉦もうつてかへて表をならす秋はきにけり 群丸 秋か今朝たちまち替る後生気や蚤とり眼も風にほの〳〵 其丸 秋くれは新はの桐も風鈴の音もろともに一葉ちりゝん 開初秋 鉄丸 千鳥よりけふたつ秋の風の音に寝覚やすらんすまの関守 上 初秋商人 あはぬかちの商ひもやゝまれにあふ七夕比のほしうり商人 残暑 祇跡 灸ならてこたえおほせた土用たけたつてもあつき秋のひほとり 遊里残暑 酒丸 秋の日に夏の暑さをかねつけの客もひと肩ぬいた色里 儒家井戸替 睦丸 落した物世に出る儒者の井戸せは壁中の書の例を引たり 七夕 斧丸 今宵のみあけを嘸ないとふらん朝貌と名にはいふとも 酒丸 いき通しの星も今宵のむつ言に嘸二世まてと契り給はむ 踊子 其丸 秋はたゝ悲しきにそのうら盆や手をひくれからいさむ踊子 里踊 初丸 なりふりも気もかはつたり勢田の里やまの妹しか鯛おとりは 飛脚踊 杉丸 金ならは請取とらん飛脚屋かそれわたしたと踊しかむ月 花火 睦丸 露深き秋のしるしや色かへて花火の松も紅葉してけり 上 市中花火 釜丸 西陣にあけた花火の龍虫をのろしとやみむ武者の小路は 相撲 斧丸 はかされしと立合大事に就ぬるは二王の草鞋の土津かす目を 同同 田家相撲 雪丸 吹風のあらうはすなと夕露やむすひの角力は稲の花かた 花街相撲 湯丸 誰も見にくるわの内の花角力おほこしもあり突出しもあり 霧中鳥 斧丸 玉章をむす湯気ならて立登る霧のひまより見ゆる高 鳥羽 萩咲 ̄ヲ待_レ鹿 ̄ヲ幾丸 萩咲 ̄テ待_レ鹿 ̄ヲ 萩は咲たさいたえさいれこれもんにかまへて待そ棹鹿の声 斧丸 萩原神職 白露を払ひつ萩を折烏帽子きねかかさした宮城のゝ原 三浦氏の別業を訪らひ侍るに鰐男の 心いとさひしきなと物かたり有ける折ふし 庭の萩さかりなりけれは蟹丸 一独寝も不自由はなかき夜のみか昼も例する萩の花妻 提舞 日なたから眠れるやうにしほむ也猫間堤の朝かほの花 蘭 群丸 物ほしきゆふ夜を風にわすれけり隣の菊の匂ひ送れは 酒丸 鉢植蘭 名香の匂ひににつた義貞の兜をそおもふ鉢うへの菊 草花 磯女 秋の野にまねいて何をはなすへき菊も桔梗もうなつきあふて 水辺草花 魚丸 人柱のむかし見するかふちはかまなからの川に影のしほへて 花野 群丸 名やたゝむ野辺になまめく女郎花案山子お条てしても男天 斧丸 秋の過を渡出す神へ初尾花先風の手て吹上の小野 露洩啓 群丸 苫かちとあきの夜舟の肌さむみ首筋から露かつたふ胴の間 案山子露 草丸 夕れは小田のかゝしもやれ笠の目にもる露か袖にほかりり 秋蚊 祇跡 忍はれぬ秋のたとへの空腹さをとひこそやれ喰たつ枝に 秋蝶 斧丸 諸ともにさひしくも有か秋の燥ほろり露をく膝にとまりて 秋夕 杉丸 数無した宵は物かばかなしさに涙こほるゝあきのゆふくれ 群丸 独きてもふたりまへするあふむ石もたゝの石なる秋の夕くれ 湖辺秋夕 蟹丸 一吹風の音かはり行から崎のひときはさひし秋のゆふ暮 社頭秋夕 睦丸 住よしの宮は夏越に賑はふたうらふく風の秋の夕くれ 楊弓場秋夕 斧丸 立覆ふきりあなさひし楊弓場かつちりといはぬ秋の夕影 虫 虫 杉丸 時鳥待たる耳にまつ虫をまたて聞なり蚊にも喰れし 恋恋 解虫丸 住馴た野へを軒端へ飛したくふみ月もけふきり〳〵すとて 鉄丸 風よりも手つゝおとしに菴下女にもつゝりさせてふのこゑ 野分 東丸 さこ寝せしさまとちかさのおれふすは野分の風におほゑのまへ 杉丸 中のよひ隣同士はあれるにも野分の風か梨子をつふてよ 月 初丸 秋の夜の月の輪切は類梨子しやさへ〳〵出る山のはあたり 八月十五夜 酒丸 一挑灯屋はみな身体やたゝむらん今宵の月か毎夜あろなら 初丸 愛まいと誰かいふもてもこちや年のよる〳〵見たき望月のけ 睦丸 いささらは芋喰て誰もふん〳〵ところさす放せ月のこよには 停午月 草丸 さかやきの字におほ空の月代や天窓の上をちとそつてみん 月夜欲_レ明 杉丸 月影をおしめも西にいるまやう寝もやせかむあかつきあかつき 山中月 草丸 更科や娘は捨てもめい月を誰かは山になかめすつへき 山家月 酒丸 杣か家の月見に障る木はなしおのか勝手に枝をおろせは 貧る月 一葉 こよひのみ月に厭ふと見えぬらんいつも烟をたてかねる家 茶人見_レ月 象丸 すき人は両手に茶碗もち月の傾くまても見て誉る也 月前動物 群丸 けふといへは月ゆへめつる桶小桶思ひかけなき川童の皿 初丸 月前獣 己か背におくかと鹿は驚かむ霜にまかへる月の白きを 月前閏霜 斧丸 目と鼻のあな面白や月の夜にきゝぬる香の名も最中にて 有前男作 湯丸 男作もいひふんないとゆふ春比尻もち月の丸い出やうて 月前商人 しろ物に光りをそへつ月の夜に空直をいふた生鯛うり 月夜醜婦 枝丸 一国毎よりましてなかめむあのおはか菊石に月の影かうつき 鉄丸 秋旅 秋最中道のわも又十五里を一夜あかしへ月を見に行 雁 群丸 欺されな荻の風こそたならねそれ〳〵こんとか雁の羽音 入丸 雁か通ふりや竿に成てとをりや悲しさの夕へに濡た袖をほさし 草木黄 ̄ハミ落 ̄テ鴈帰_レ ̄ル南 ̄ニ 杉丸 白雪は眼の毒なれは来る為に黄はまて見せぬ弓木の青 葉を 擣衣 擣衣群扇 お安い事といふ時はさもなかりしか貸て哀や横槌のおと 満丸 市中楼衣 米市場秋の夜こしに横槌の高ねは棚のかひてか多いか 座丸 花街擣衣 襟に顔さしいれて聞棚の音太夫もよつほどうてゝ見えぬる 浦擣衣 加田の浦や恋しきつまの衣うつ手もともお留主になつて淋しい 漁家擣衣 さよころもうちてあしの浦の蜑は槌をもつ手や蛸になるらん 海辺擣衣 夢をなとむすはてね覚すまの浦あまは衣をかへしてまつ夜に 案山子 群丸 行末は鳥やうらみをはらすらん桑山子の巣の巣にもなるから 鹿 酒丸 頓てちる木の葉ならねと妻乞にかれて黄色なさをしかの声 山中鹿 初丸 越の山ちか〳〵雪かふゝといふしるしるしにたつるか棹鹿の声 重陽 東丸 淋しきも悲しき秋に目出たきは十露盤のけたはつれた九々の 菊 鶴丸 又の名を百夜草ともいひつるを思ひ合しぬこの小町菊 新宅菊 魚丸 壁下地のあまりも時の間わたし竹つかした気にきせたわたし 放下河作_レ菊 鰐丸 蒔た種の花もくはしりと変りけり品玉とりか手入した菊 主丸 後月 今宵まて御遠々敷存候手紙のふんの其後のつき 海辺後月 村丸 秋風にひそるはほいろか昆布の屋ねもれて見えたる豆の名 九月十三夜住の江に遊ひて 群丸 いねすあれは今宵歯きりのましなひもいらし神馬の豆の名月 長夜 其丸 ふしわふる笛の竹の長き夜はちよつなと露のおきてみる也 秋興 杉丸 執心の色ともみえすしほらしき秋のていかやまたかつしは 紅葉 初丸 濡るともいとふれ〳〵紅葉独浦浦るしくれの冥加おもはゝ 枝丸 最早実はねからないとて登つたる猿も天窓やかきのもみちは 行 杉丸 酒に焚く煙一すち白うしてみなくれなゐや紅葉の林は 菓熟隣-罪 ̄ノ罪 酒丸 取もうしとらぬもつらしよい中に柿の出来たる隣同士は 秋の末手跡ならひにまかりて入丸 ひよろ〳〵といかみ安き了野され菊杖して直せなれにすらん 暮秋獣 蟹丸 散る紅葉ふふみわけるより取わけて秋の名残や男鹿鳴ん 工家九月尽 蔦丸 秋はたやか手はもみちしてもけふ切て秋といふ名はなひたされ 上下 十月八日 の 嬾葉夷曲集巻之下 冬之部 狩野博士集書 初冬 斧丸 木々の葉のけふ吹送る神の旅諸に還御や松は淋しき 初冬盗人 象丸 盗人のこちにや冬の入口は音もめつきり寒むなつてきた 時雨 群丸 ひとしきり又もしくれぬ傘のれいふ舌もまたかはかぬにし 時雨 ̄ニ借_レ傘 ̄ヲ 杉丸 かさ借つて戻すに偽りなき世なり時雨は時を知る人の軒 つ時雨 草丸 跡はみな紅葉にそなる温飩屋のうすひ峠をまはる時雨に 落葉 蔦丸 かみな月といへはなるらんおち葉して箒のさき迄すほろ方 神無月 酒丸 お留主ともいはさす参る神たゝきとうそ出雲へ届けかしは 帰花 潟丸 心よや冬めに咲た山吹色千金の春の一歩たけても 配所帰リ 暦なく春秋しらぬ島守をなふつて笑ふも冬の桜か 初丸 枯野鹿 さを鹿の胸ても妻とわかるまし今は色なき冬の萩原 保人 岡初霜 はつ霜はけぬこそよけれ鞠か岡も其侭おけよ冬のかゝりに 船霜 東丸 夕霜のおきかゝりする筥のうへのしらむを夜明と思ひやせんと 霜夜 ̄ニ喰_二河豚汁_一 群丸 霜の夜やわひぬる鶴のことふきをしらぬ人も食ふふふふくと汁 氷 象九 濁り江のもろ〳〵の夢や結ふてふ氷は水の寝たる姿歟 筧氷 元方 山住の朝戸出何と清むらんことかかかけ樋の水も氷れは 工家氷 睦丸 目鏡屋か磨ける玉のうす氷厚からぬは年の若いかけんて 小児玩_レ氷 初丸 厚氷提あるかんと小便てあけたる穴へとをすわらんへ 坂霰 渦丸 はら〳〵とふるや霰のふとう坂南無大小の有るもことはり 市中霰 瀬戸物町請合しやあれあの通りに疵もあらぬか壺ならず 舟中霰 雪丸 なら茶舟もりよき食やこほれたんと霰に誰も一杯は喰ふ 山冬月 斧丸 寒き夜や竈の山にきら〳〵と妻いは猫の眼の玉の月 社頭冬月 睦丸 寒さうな鶏の姿はすむ月に気色やそふる栗島の宮 水鳥 酒丸 流川て尻を洗ふや雁かねは半季きりなる渡り奉公 草丸 川水に流るゝ菜の葉足さきにまつはれぬれは気にかゝる鴨 主丸 冬動物 矢の根丸と我さき鴨は逃ぬらん生田の河の岸の氷柱を 冬日職人 酒丸 玉人も嘸やこまらん冬の日のうすき光のくもり安きに 冬夜職人 蟹丸 真つ白に埃やしもの深親なへ寒さに粉屋はふるひあからん 冬の歌よみける中に枝枝丸 枯果し木々の梢の唐めいて今はちんふんかんかこらゆる 冬至平産 枝丸 男の子産て目出たう雑煮くふおなかもけふはからの正月 雪 群丸 またまあと思ふまにはやしらみけり夜番うろつく明むつの 杉丸 くらへては月には物の影はあれと四方に物なき雪の白妙 酒丸 及ひなき雪のけしきや三千の宮女を残らす裸にするとも 睦丸 本尊は菩薩の作のみのりよき其まへたちの雪仏かも 上 鉄丸 冬の夜もまた宵なから明たれと見ゆ白妙や雪の深養父 群丸 訪ふよりはとはぬ人こそ誠なれ足跡もなき庭のしら雪 都雪 磯女 ひく馬のおふた黒木も白氷にあし跡むつの花の都路 名所雪 酒丸 萩よりもいと面白と見やき野の雪こそ国のむつの花なれ 椎柴 群丸 紅葉せぬ徳には鹿か踏もせす山人はまたいたく椎柴 炭焼 初丸 爰はかり雪も積らすふすほつてひときは黒き炭焼か顔 神楽 輝丸 笛の音に扨は禰宜とそしられける烏帽子も白き霜の夜 妓館 ̄ノ寒菊 杉丸 霜にはを染てしほらし色ありの芸子の名かも小菊咲茶 冬柳 酒丸 堪忍の薬とやならんあらけなき風にもまるゝ寒の柳は 冬籠 父竹丸 足や手はさらや火燵て天窓まてかつく蒲団も亀の甲 睦丸 此ころは杖に埃かつむ年の老は火桶や火箸たよりに 職人冬籠 主丸 手も足も釘になつたと冬の夜に箱屋はとこもさ用はす也 埋火 杉丸 一埋火の強からぬは小町のゆかりある小野の山辺の炭なれはなり 寒声 座丸 夜をろくよねん仏ふ寒声あるも後には口から出ほう題目 角力人薬喰 睦丸 相撲とりかやつと取こむ薬喰地鳥てもまたまけはいや〳〵 巳月中の三日河霧の立けるを見て呉丸 河の面にもや〳〵霧かたつの宮もけふ煤掃てはたゝくよれ 蝶掃及_レ曙 斧丸 葛城のかみ袋着てすゝはらひあくるおかしきまつ黒な顔 よ丐小家ノ煤掃 象丸 古つきて顔を堤の小家乞食掃たる煤も一 ̄ト握りほと 早梅 枝丸 来る春を知れとや暦配るなる御師も鼻あく冬の梅かは 里早梅 義楽 宇治の里に茶よりも花香めてぬらん雪にほうして咲る梅花 申楽待_レ春 初丸 一頓て春のはし掛りとておたてゝまつ也除夜もゆるり観世 歳暮 群丸 憎からぬ物なれはこそめてもすれあたせはしない梅の早咲 村丸 笑はれなふりよくたてよ門の松花の気のある春か隣しや 歳暮農農 睦丸 来る春をまつ百性は梅よりも先さきかける鋤や鍬の刃 節分 群丸 厄はらひまて事とはん初明も其こつかこの鶏か告る歟 戀之部 初戀 枝丸 きぬ〳〵に悪み所か逢そめし今朝は鶏にも気をねのゑ 行ろ見初恋 初丸 見そめても又あふことはかたりきや住よし参りの行あひの間に 隔_レ墻見初恋 杉丸 かゝりからみそめてしより我なから恥かしは木のゑもんつくいふ 不_レ見人慕 ̄ヲ悉 東丸 君か名を聞くのみいつか青柳の姿もみつにうつし心そ 文書習怨 鶴丸 道風の流ならねとも書ならふ手さへふるひぬ初恋のみ 欲_二言出_一煎_一 蟹丸 見そめつもとうやら恥かしいなりに筆のしん実さきへいはゝや 副 ̄ヲ_レ絹 ̄ニ送_レ介兵衛 睦丸 玉章をつけてまいらせ候へくは君そなつかしかりの羽二重 見 ̄ル_レ文恋 枝丸 乙女子かまつとの文をみほの浦羽衣ほしや飛んてゆるふは 忍恋 渦丸 もらふてさへこはい親の目盗みあふゑをすりにはあらぬ身 睦丸 かさりなはは目立やせんと思ひわひの外にみみたれかまみ 契恋 杉丸 下紐もこゝろもとけて庭よ半に又結ふなりすゑの契を 押口説恋 群丸 詰鞠のくれに数〳〵口説なりかゝりにほんと蹴られなからも 変述 呉丸 ゆふへまてそひねこの目の時の間に君かこゝろのかはるつはるつ 連夜待恋 群丸 待わひつ早うこよひてき夜さとかろへる指の寝たり起たり 厭 ̄ヲ_二悟気_一 ̄ヲ蒸 酒丸 いかにせん妾の別もおしけれとなれし女房の腹や立らむ 隔_レ山/ 座丸 河内女か木綿のおり〳〵あふことも思ふまゝにはなどの問屋 隔_レ川暴恋 初丸 顔さへもみつのあはれしいかにせん佐野の舟橋底かぬけたら 其丸 思へともこなたの岸に立田河わたらては君と中や絶んと 依_レ ̄ヲ_レ ̄ニ顕恋 初丸 またみつに落した油の玉章て浮名ははつと広かりにけり 恨恋 杉丸 釘のおれのやうに書ても我胸へうらみの文はひしとこたえた 群丸 恨むなりつれなく燃る行燈にけしたもふつと思ひ出されて 平恨恋 初丸 むなくらをとり都の山〳〵うらみこといひや了なたのいやこなの 被_レ振帰点 斧丸 灸すへたといふのは嘘のかはきりと水ふくれに背れはふくれて 近恋 やつた 草丸 いつか思ひとけるや鏡の家にあれと朝夕皃を見るはかりにて 遠恋 草丸 月みれは是も物こそかなしけれいつかおほ江のち里へたてゝ 睦丸 送年怠 人しれす幾年へたの螺の貝ふつともいはす契りあふ中 恋長短 一たんの君か情と思ひ切れときれとおもひのはてなしの 契りて後楽を送るとてといふことを 斧丸 ゑの山ふみにしをりをそゆる也もし脇道へ君やゆかんと 今宵しのひ逢んことをいひやるもてといふ ことを 入丸 灯ともすかしのふあひつそ蝋燭のしんき〳〵も今宵とけなん 忍ひあはんふしをしらすとてといふことを 渦丸 人にはしきかすれこよひしのひこま君にひかるゝさみのねの あひなれしおのこの病ふになやみけれは といふことを 誓ひしも空になれかし命やろといふた男のおもき病ひに としころあひなれし男の県へまかる ときゝてといふことを群丸 春秋をいかてくらさんあふことはかたし〳〵のひなのわかれに まつ夜こさりけるあしたか竹を 桂丸 おくるとてといふことを 其紙へ今朝はうりみの数かきぬゆふへは枕にあてか違ふて 官女恋 草丸 気にかゝるしんくは恋のうへわらは檜扇につくあはひ結ひも 睦丸 老人懸 末かけてくとかはいなといふましと老かみつけた目鑑ははつ 元弓 愚者恋 悪者恋元弓 なふられてほんかと思ひまいらせの返事を待もおも長な人 陰陽師妙 魚丸 うら歟とはおもひなからも表むきあはぬ返事に首をなけ 万歳恋 幾九 算 万さいの素袍の紋は匂はねと妹と寝し夜の袖の袖のうつ 剣術者怠 睦丸 一剣術を得たる身にしもとめる手は払ひ兼ぬるきぬ〳〵の由 商人恋 其丸 寄りつきの高い君ても相場仕かはたして今宵忍ひおほし 茶摘恋 草丸 また色に出さねはこひとしられしな茶橋は互に末をちきれし 貧者恋 枝丸 貧すれはとんな事ても苦にせねと恋にもかりの契りことかき 浦人恋 初丸 こり須磨のうらみ涙に濡る袖も人目にたゝし塩なれ衣は 浴室館然 村丸 ぬれかけりや恋にはあちから背なむけて風呂屋女かかゝすああ 職人思恋 雪丸 一小刀のさきにはしらぬ物思ひ仏師は目もとに性根いれても 寄算_レ笋恋 渦丸 竹の子のか愛い君かまはり気歟こちらをむけはあちらむく 寄_レ竹恋 其丸 逢ふふふしは行末長うと契る也しの竹とまておもひこんた 寄_二大根点 杉丸 夜か更てきのえねもせてまてとぬ君かこゝろはふた殷大根か 寄露恋 綱丸 しら露の結ふえにしは草の葉の末のよまてと登りつめける 寄_二馬刀_一患 鰐丸 門口をさしのそきつゝまてと出ぬ君をよひ出すあゝしほ気かな 寄筆恋 杉丸 さら〳〵にいやてもないてさら筆のすこしかすつた君か返事は 寄墨々照 渦丸 安墨のすみつき悪うしらけしは外にも恋をすると思ふかれ 寄硯恋 睦丸 又いつとしめしあはすは来硯歟君にあふ夜のふしをちろの 寄_二貝桶_一然 祇跡 今宵こそ君か紐とく貝桶のかとむつことをかたりあかため 寄衣之 初丸 ひとよたにあふことさへも帷子やかたみのき肌はすいて居なから 寄鎧恋 鰐丸 手をとりによろふとすれとよせつけす故にておとしのいとにくや 寄_二水瓶ニ急 枝丸 我心汲わけぬかも能返事はまた水壺やあゝしやくのたね 寄_二障子_一怨 主丸 ぬれかけて見てもはちいてよせつけぬ油障子のはりつよき君 寄油に恋 蔦丸 ほつしりと夜を明す也あふことはともし油のおりのないゆへ 寄_二漬物_一点 斧丸 深かれと契りし中も浅漬の茄子の色めかかはりくさつた 寄銭恋 保人 四文銭の表にそれと見せねともかはるうらみは波のよる〳〵 鰐丸 寄耳恋 福耳のたふらかしても落そふになけれはよねを又のせてみる 寄_二大黒_一点 睦丸 大黒の頭巾のきては口説なりかたてに槌のえにしあれとて 寄_二神祇_一然 酒丸 八乙女か目もとの鈴にふるひつきそゝかみのたつゑ風の宮 寄山恋 斧丸 富士のねのならぬ思ひの外なりき一夜に出来た二世の約束 寄_二名所_一恋 初丸 あはぬなり猪名野のいなにあらねともこつそり出合の宿になく 画賛之部 酒丸 鼠も嘸かみに にく からふ 大黒の 留主を 預けた まかせ 米には 下 蟹丸 かた よき きみの いつれをみても 福の神 いやみなねふる みなめさめ 渦丸 すつほりときしの 枯よし さやにしてやとるは やとるは 筆の なめて さき鴨 十五日 今もや なき 今もや 飛んて いき うつしの 烏におもはす あゝと一こゑ 不便けもなけもなけに投たる谷底 ふかき思案やしゝかふるまひ 魚丸 やはや 猫 にやんち しらすや 司馬 温公 の いにしへ 壺の ためしを群丸 礼を知る心や竹にもち雪の そのほど〳〵に腰をかゝめて蔦丸 此時に かちん の 沙汰 〆 きか さりわへ た 餅も あからす 雨もあからす 群丸 楼台の 木こしらへ おもふなり 蛤貝の なかの はしらは 草丸 己か身 を いつも とくさ の すりよせて みかくなるらむ 玉のうさきは 蟹丸 くはへたる犬おふ杖の 座頭の坊 琵琶よりも 先 ひきつる 禅 其丸 槌て鼠 つゝたちあかる 大黒は 常よりもお背か たからの 守護神杉丸 釜丸 さらり〳〵一さし柳の かつら事 笛のあなしや 咲はやすらむ 鉄鉋の音なふ ものは こたまにて はなす友なき 谷のひとつ 家 斧丸 毛は三筋 たらても 人に はけの おやちを まさる哉 やしなふて行 村丸 かへ名にも よらぬ ものかは とられる 川橋 に 方か ちと 海海 斧丸 東丸 実児の 寄合なれや 中の能い あけくは われる ものとすい した 廿二 杉丸 蓮の花清くそ みゆる 種は たね 泥の はらは かりもの 化ものは世にある まいと くみ とめりや けも ない 〳〵 たゝのひと 塵丸 国 くちせしな 千とせは おろか 墨の画の 松こそかみの あらむ かき李は 初丸 雑之部 天象 枝丸 天はつら月日は眼風は息ときけは菊石歟星のちよほ 鉄丸 往来する人の天窓はあふなやれ星も落ては石となるなら 地儀 東丸 一から錦二むら山をたちゆけは衣の里をしたてにそ見る 幽栖 群丸 苦もなうて安い世すきや松焚て千代も居そうなさゝの家 の婆 絵馬舎 其丸 絵馬に見いりしたみつ茶屋か出し店にしはす腰を掛奉る 太刀 呉丸 高名は昔にかはる君かよや今てはぬかぬ重代の太刀 李太白 杉丸 酔潰れ李白かはくは名句なり酒は盧山の瀧飲をして 白拍子 道成寺もう〳〵めつたにない上手此あたりての白拍子にて候 朝遊女 鶴丸 山寺の鐘のうらなりうかれ女はかさつた花をちらす明方 深夜閑談一葉 灰ふきの音もしつかな物語きせるのらうの夜のふくるまて 隣里鶏 群丸 庭鳥かなけと夜はまた深草やよそにきかして伏見の星の家 遠村畑 杉丸 面白うたつや烟のむら〳〵は遠いか花のかせになひきて 浦千里鏡 渦丸 浦の名は二見といへと遠目かね一目に見るなり片目をさへて 暮林 ̄ニ鳥-宿 ̄ス 鶴丸 茂る葉に暮もはやしやよりももそこゝは日高に宿を鳥居 薄暮茶店 水茶屋か汲出す茶さへ薄あかり日は西山にせんし詰ても 商家鳥 斧丸 十露盤の割にかけてや飼鳩鳩のふんりん毛まてせゝる商人 旅 東丸 しか〳〵とこさへ見えす火縄ふる夜道はさひし狩人に似て 旅立 睦丸 送り来る犬の尾よりもふり返り見れは我家のなつかしま立 羇旅 初丸 一長旅に身はこゆへきと思ひきや命なりけり味いこり食 其丸 旅宿 旅衣いく重かさねてして寝れと殿つのつまにしく物うなき 船人旅行 酒丸 山道に迷ふて難義すみよしの神を祈りやせん頭の旅 熊野詣せしふし女夫坂にて雨のしきりに 湯丸 降りけれ半 ふる雨にしつほり濡る女天坂笠の枝もふたつからへは 都壬生寺の狂言を見侍りけるに面毎に 口えのいとおかしくありけれは斧丸 口もとの横へひきつる壬生の面おもしろ瓜の尻くゝりかも 三十 高瀬舟の門樋をこゆることに水のみなきり 斧丸 けれは 高瀬ふねは流れの身かや又してももん樋〳〵の世とをこしぬる 旅にて雨のふりけれはこもを求着てかへる通 初丸 にてよめる初丸 にてよめる初丸 一壱文か直うちも無いそよね俵かついてひよこ〳〵かへる姿は 村丸 高野山女人堂にて村丸 一内心は夜叉ととかれし其角かせめて一本股にあるなら 群丸 住吉に詣て 住よしの馬に壱文銭ほつて思はすしらすうつた柚手 傘をかりてみの雨の日返し送るふし戯に かくなんよめる 満丸 へらす口あくしやなけれとふる雨に洗ふてかへす蛇の目の傘 碁を好む人の底作りけるを枝丸 一すきの碁と打みれは扨こらは能う造り給ひしお手入の庭 ひな歌の物語なとしける折傍にもめんの有けれは 是を題にして歌よめと望申れけるに釜丸 一当世は強いはかりてゆくまいと河内木綿ものふれんになる 握りいゐこしらへけるをみて にきり食それとも見えす久方のあまりに胡麻をたんとふれゝは をうれ子に白髪てふ尺永を送りて呉丸 幾千とせおひて白髪になるまてといふてそお目にかける尺氷 手製のあん餅を送るとて初丸 重箱のうちはむさしの玉川や恥をはさらす手つくりの餅 庚申夜半遅暁光_一 ̄ニ_一 ̄ニ 庚申待のまち遠と口に云はさるかしらむも見さる鶏も聞のさる 泉声遥落白雲中 吹とちてもそれそと白き雲の中に水のおとめや羽衣の瀧 人間禍福愚難_レ料 身のうへは雪折竹のふしあはせも世のよいこともすゑは見えさる 豆腐売不_レ違_レ時磯女 半丁もこなたへ時を告る也声はよつほとととうふ〳〵と 森捨子 酒丸 庄屋殿も親をはうらみ葛の葉や難義しのたの寝の捨子に 花街喧嘩 杉丸 挨拶を聞かてそつかみ大門口柳にも恥よしやうこはな人 遊女力業 鉄丸 将碁盤のすみをつ手に揚さきて消す也太夫しよく台の 深更呼_二迷子_一 湯丸 何方に泣て居るらん迷ひ子を稲荷のわたりてあれよふかきに 群丸 職人朝寝 看板の富士の香も時しらぬ朝寝に夢をむすひ昆布 草丸 壁匠腕押 腕おしに左官かこ手の功者さはよつ程下地か有と知りぬる 睦丸 医者音曲 一医者殿の耳にはよほもさはりふしむまい所をころすと誉れは 唐人見_二戯場 ̄ヲ_一 膝ふしと違ふて我をやおらんた人日本て見るからくり芝居 暁天丁稚 群丸 誰かねをしらぬ丁稚のきぬ〳〵は起よと呵る親方の声 早朝平産 初丸 婆の来る間もなつ引のあさまたき美しきいとをうみをとしけり 乞食平産 杉丸 取あけ婆もなやしたて産む乞食か子に合せ乳のもらひそめさす そのさす 酔人射的 濁丸 ひく手よりあかる左かきゝ過てうはの空行酒のみたれ矢 神職酔酒 蔦丸 八百万のかみつかふて居る祢宜殿に酒をひかへてきこしめせも 戯子酔_レ酒 群丸 酒ゆへに役者はひよろつく足揃へ言ふた事はいひ〳〵 行 戯子病後 うゐ立に立役は先門口へ今日より罷出申候 大空腹 弁当は昼まてに喰てしまい肩ひたるさこらへていぬの刻過 雪丸 百性剣術 ゑいやつとうつ木刀を上段や下段にひらく山田百姓 同剣術者巻化蟹丸 剣術者生せ 〇一流の手なみ見よとや扨術者鎖てちよいと留た鑓むめ 其丸 放下沙生_レ花 箱よりまつ花籠へ玉椿きれいにいれて見せる放下師 放下阿変宅 睦丸 軽業師か宿かへの荷もあなたからこなたへ首尾よう運んて 参つた 相撲人爰宅 其丸 内普請も出来てあすからすまふもりたつより早うかつた秋宅 相撲人憂喜 初丸 嬉しうてとこやら腹か立合に負ても勝しやと言はるゝ舜取 無筆神詣 無筆神詣初丸 菅神に参りて信を取違へ無筆の難を遁れるやうも 神祇 初丸 みしめひき結ふの神へきてみれは信かますけの笠のひもろ 杉丸 寄_二注連_一思_二治世_一 一注連縄のすくなる御代は争ひのその裏白よ畔をゆつぽ 松契_二多春_一 初丸 婆にもならす鼻にもならす此春も姉はの松は花さかす也 寄_二名所_一祝 魚丸 かいかねや太鼓もきかぬ御代なれは太刀も治まるさやの中山 寄魚祝 産れ出た味さは鯛のあたまから丸う治る御代のふくら 煮 群丸 寄_レ船祝 四の海も恵みの風におほ船のゆたのたゆたかに世を渡りぬる 予か好める酒は百薬の長たり師の得給ふ 玉雲の佳号は千歳の財金利此幸を寿き 侍らんと門人のうち東方の好士つとひて 歓の夷曲よみてしりへに四季恋雑の 一一詠を加へ小冊となし一樽のし一樽のしのころ のもとへ送りけるを文粋たのぬし梓に 鏤むとよふさあれと未練の作者ともか 舌もつれのことの葉なれは大杯のうけ ひくこともせさりしをいつしか原素館 の机上に有し草稿を彫刻して世に広う せんときこゆるきの磯のさかなも求めす して清からぬ国に酔る地すといふ 天明五のとし寝覚月 青と舎酒丸跋 玉雲斎貞右十首之詠 井下柳 つゝ井筒のそく柳のみたれ髪春風ならて誰もあくへき 田舎春日 都ひたることはつかひを習ひてやうら〳〵ゆふるも春は長閑 医家筆 乗物の棒ほとになれ竹の子よやふにはなるな医者殿 野外強暑 みな人のまつに夕立の降かねて真葛か原にも風ふかぬなり 池辺露 月も宿かるもかくてふ猪名の露はこやのお池のあいのしゆくも 堤萩 淀塩鹿ならならなくに萩の花を舟ひくかこの胸わけにして 漁村冬構 戸のすきへ藻くすなとちとつめたやなさむやと蒲団かつきのあまか 石舞台霜 楽太鼓うてなの石の石のおもて白霜の紐のまい朝をくにそ 寄士恋 またおほこ君に心を置土のふみつけられてゑくほ恥かし 寄_レ酒祝 是なる世の中くみやもろ〳〵の民はいよ〳〵こゝろよくすむ 様 迎春社蔵版 天明六丙午春正月 通本町三丁目 西村源六 江戸 堀川通綾小路下ル町 京 書林 銭屋庄兵衛 書林京 堺筋長堀橋半町北 増田源兵衛 大坂 彫工同藤木金兵衛 の □□ 弐拾壱人