醫道重寶記

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本郷正豐訂
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2026-08-17T19:23:22.163Z
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場所: 大坂
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本郷正豐訂
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日本語
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柏原屋清右衛門
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イドウチョウホウキ
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東北大学
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イドウニチヨウコウモク
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狩り } 改正 千書摘英 悉采二群ニ書ノ要領ヲ為二初学ノ啓蒙一者 二十二西道ノ日 如シテ探レ本ヲ求ヲ求レ源ト源ハ當一別ニ考二諸全書一ニ 長生審藏 増補 醫道日用重寶記序 それ医道の玄妙なること浩々として 測がたしこゝに醫道重宝記は片郷の 庸醫あるひは醫道に志ある俗家の ために古人此書を著す始には脉を 診するの大法をのべ薬性の枢要を顕す 中は病因を論じ寒熱虚実を弁じて 方をもちゆる意を記し并に加減の 例を出して要剤数種を載せ又経験 の九散煉薬数品の名方雑方をあぐ 末には日用調菜の食性能毒及び針 灸の要穴あるひは五臓六腑の図解に いたるまで悉くわれを記せり誠に 手裏小冊の中に許多の至実を秘し 蔵し傍辺の素生あさきよ いたる問津たり但割闕人を彳にし 模写手を百にす肯て謬誤なきこと あたはず予僭踰なることをしるといへ ども止に忍ず即これを校正し粗 増益して書肆にさづく庶幾はこの 書に頼て薬を用ゆる者の誤ならん ことを欲す豈民を救ふ一助にあら さらん乎 昔 昔 宝永己丑季秋吉日 浪華芳菊堂本郷正豊序 勢踊 重盤 龍雲 醫道重寶記目録 按摩導引の法十丁目 ○五蔵独按摩の図解 遺精自身按摩の法 包紙の法式十三丁 一薬銘の作法指南十三丁 ○医家之訓十五丁四知の法 ○診脈の法并三部九條十五丁目 脈を診の大綱を述諸脈の状を 註して至病を失死生を決す 二十四脈の要訣十六丁 ○七表の脉○八裏の脉 ○九道の脉○七死の脉 ○死証の視様十八丁 ○薬性要訣付製法十九丁目 一薬百二十五種諸家の本草を考 へ其要を摘み気味功能修治に 至るまで盡く是を記す ○六陳八新分量 薬方要解百七十五方 病門を分ち論を立て病因を辨じ 脈を挙て病の吉凶を知しめ且 寒熱虚実を明らめ察して方 を用るにおいて誤らざることを示 中風三十七丁 八味順気散烏薬順気散 防風通聖散小続命湯 同大秦丸湯加減除温湯 加減潤燥湯匂気散 傷寒付傷風感冒四十 香蘇散奉蘇飲 一蓮香正氣散人参敗毒散 十神湯八解散 一同行気香蘇散九味羌活湯芎 同同十一月十一月十九日 一升麻葛根湯不換金ノ正氣散 同小柴胡湯大柴胡湯大柴胡湯 同小承気湯大承気湯 黄連解毒湯白虎湯 中寒四十七丁 五積散理中湯 四逆湯回陽救急湯 中暑并霍乱四十九丁 五苓散十味香蕾飲 清暑益気湯生脈散 中濕五十一丁 羌活勝温湯独活寄生湯 火証五十二丁 一涼膈散升陽散火湯 清上防風湯 内傷五十四丁 一補中益気湯升湯補気湯 同七味白朮散参苓白木散 食傷并痞満五十五丁 平四月散香砂平胃散 葛花解醒湯 泄瀉くだりはら五十六丁 胃芩湯理中湯 胃風湯 中寒の理中湯 痢病五十八丁 とは別方なり 行和芍薬湯調和飲 一参武芍薬湯真人養職湯 倉廩散 瘧疾おとり五十九丁 九味清脾湯七味清脾湯 一人参養胃湯 諸気并鬱証六十丁 一分心気飲正気天香湯 同六贇湯沈香降気湯 痰飲六十二丁 二陳湯瓜蕃松実湯 咳嗽せきすはぶき六十二丁 一清肺湯杏蘇散 寶鑑冩白散 漕雑むねのかく六十四丁 消食清欝湯化痰清火湯 嘔吐付反胃呑酸児油 順気和中湯清鬱豁痰湯 丁香柿帯湯 六十六丁 諸虚付虚労六十六丁 四君子湯六君子湯六君子湯 四物湯八物湯 同十全大補湯滋陰降火湯 加味逍遥散独参湯 諸血証吐血衂血唾血便血 同同同同所所所湯物湯 積聚七十丁 七気湯 七気湯加減益気湯 水腫七十一丁 一分消湯補中治温湯 黄疸七十二丁 清熱除湿湯 疝氣七十二丁 呉茱萸湯三和散 七十三丁 汗証 七十三丁 同前頭前頭前頭前頭前頭前頭前頭 黄莨建中湯 眩暈并健忘怪仲七十四丁 一清暈化痰湯脾湯 消渇 かはきのやまひ 七十五丁 黄連地黄湯 小便大便閉結七十五丁 潤燥湯 淋病七十六丁 五淋散八正散 遺精付遺濁七十七丁 清心湯 清心湯参其湯 汗証の参甚湯 頭痛 とは少異あり 同半夏白木天麻湯 川芎茶調散 加味調中益気湯 心痛付腹痛 清熱解欝湯開欝導気湯 筋痛付腰痛肩背痛 疎肝湯 補陰湯通氣防風湯 痛風付痺証しびれ給へ八十一丁 同同湯大防風湯 脚氣八十二丁 一羌活導滞當歸枯痛湯 眼目八十三丁 洗肝散滋腎明目湯 益気聡明湯 口病并牙歯八十四丁 清胃散玄参升麻湯 定痛散清胃保中湯 咽喉八十五丁 清涼散牛蒡子湯 通関散 耳痛八十七丁 滋賢通耳湯蔓荊子湯 痔漏八十八丁 秦芝羌活湯秦左防風湯 脱肛八十八丁 参蔦湯 一汗証遺精并此方 共二少異あり 同十五升湯除温湯 癲癇八十九丁 一藤血清心湯清心抑肥湯 養老一方 外科 癰疽并諸毒九十一丁 荊防敗毒散十六味流気飲 千金内托散托裏散 たうがざ 下疳并便毒楊梅瘡九十二丁 〽九十二丁 龍胆瀉肝湯捜風解毒湯 疥瘡 升麻和気飲 瘰歴九十四丁 △瘰癧 五香連翹湯益氣養栄湯 損傷并金瘡破傷風九十 九十 五丁 海導湯羌活防風湯 白朮湯大芎黄湯 婦人科 経脈 經閉九十六丁 方は諸虚 四物湯 門二あり 崩漏九十八丁 方は諸虚 八物湯 門にあり 膠芥湯 帯下こしけ九十八丁 〃〃井麻浅温湯 産前九十九丁 験胎散 紫蘇和気飲 催生飲 芭島湯 産後百二丁 芎帰調米湯芎帰調血飲 小児科 面部形色并図百四丁 虎口之脉并圖 小児之脉法百六丁 初生通用 甘連湯加味五香湯 急驚風百七丁 加味敗毒散鎮驚散 慢驚風百八丁 薩摩湯補脾益心湯 疳疾百九丁 消疳飲生熟地黄湯 癖疾かたかい 癖疾 百十一丁 消癖湯 痘瘡いももがさ百十一丁 十神解毒湯透肌散 神功散保元湯 起死回生散内托散 囘天甘露飲消毒飲 麻疹百十五丁 麻疹 同四十仙湯 丸散付雑方 常に用ひて効あるところの丸厳 雑方を出して急卒の用に備ふ 丸薬百十六丁 六味丸八味丸 万金丹 木香杉柳丸紫金錠万金丹 トモ云 一十同春木肥児丸養胃丸 返覧丹 返□丹豊心丹 錦袋子 散薬百十九丁 安神散 一安神散香薫散 延命散和中散 気付爛薬の方百二十丁 蘇合香円延齢丹 丁子円 目薬百二十七丁 家傳明目膏洗眼散 膏薬同丁 めあらひぐすり 万病無憂膏 薬湯百二十八丁 五木湯 十金湯 日用食性百七十五種百二十九丁 菜蔬瓜実魚介鳥獣に至まで こと〴〵くこれを出し各く能毒 を詳かにして諸病の禁宜を記す 百四十一丁 鍼灸の要論百四十一丁 ○撚針の手法 ○鍼法の補瀉 手法の補瀉あり虚実の補瀉 あり ○大推を定る法 ○分寸を定る法 同指寸あり同身寸あり ○五臓六腑内経の図 ○五臓六腑の図解 仰人之図 伏人之図 側人之図 鍼灸の要穴百四十九丁 穴を求るの法をくはしく記し 鍼灸病を治するの効能を詳か にす ○加減之例百五十六丁 気血虚実風寒温熱の諸証を 者の規矩とす 分つて盡くこれを記し加味する 目録畢 五臓之色體 肝藏膽木青酸眼筋怒温 心小腸火赤苦舌血喜熱 脾胃土黄甘口肉思湿 肺大腸金白辛鼻皮憂燥 腎膀胱氷黒鹹耳骨恐寒 臓腑五行色味五根五生五志気 膽腑五行色味五根五圭五志氣 さうふぎやうおころびひころざじき 寿保按摩法 夫按摩は人虚損して血気のめぐら ざるゆへに病をなすなり人常に手足 身体を動揺するときは食物消し やすく血脉めぐり病生ずることなし 張介実の云く按摩は気血を順すを 要とす傷を作さんことを欲せず節 を緩して筋を柔げて心を調和する ものは其病を治すしかれども今按 摩の流を見にその利害を知らず してもつはら手に力を極め人を困め 関節をひらき人の元気を損ずこれ 内経の旨按摩の道理を知ざるゆへ也 後にしるす処の自己按摩図解は自 身これを行ふものを以て片土の助とす 肝の臓の積聚風邪毒氣を さる脇痛によし 平かに坐して 兩の手を相 又相引て反覆 して胸に向ふること 三五度すべし 膽の腑の風毒邪氣をさるには 平に居て雨の 手にて雨の足をへ 持かしらを叩き 次に雨の手にて 足腕を持ち挽て 揺動すこと三五度すべし 心の蔵のわづらひをさるには たいらかに坐して 両の手ともに 拳となして 力を出して 左へと右へと相 突こと各六度すべし 心胸の間の風邪を去り諸の疾を除く 兩手を相又て 脚にて手の 中を踏こと各 六度良久して 目を閉て三たび津を のみ歯をならして止むる 肺の蔵の風邪積聚のつかれを去には 平かに坐して雨の手を 畳につけ身を 縮め脊中を 曲めて向上る こと三たび すべし 肺の蔵胸臆の間の風毒をさるには 平かに坐して拳を反し背中を 槌こと左右 各三五度 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ して後に気を 閉目を開ぎて液を 呑三たび歯を叩てよし 腎の蔵のやまひを治するには 平かに坐して 雨の手を あげ耳の 左右より 脇へ引こと 三五度すべし 腎膀胱腰の間のしやくじゆ 風邪を去には 足の前後を もちて左へ 踰し右へ 踰すこと二三十 度もすべし 脾の蔵の積聚風 邪を去食をすゝ む 大坐して片 足をのべ又片 足をば屈め 兩の手を後にて相又て 脊中を反槌こと各三五度 すべし ○遺精不禁を治するには臥時に身を 屈め弓を挽ごとくにして臥雨の膝を 臍の所に縮めあるひは左あるひは右に側 ち臥て一の手を用て陰嚢をひき一 の手にて丹田を 臍の下 二寸五分 覆ひて心を寧 じて静に臥べし是精を固して洩さ ず身を保つ妙術なり ○包紙法式 薬箱の蓋を仰け其上に小包紙を左 より右の方へかさねならべておさへに 圧尺にても合にても置べし □ 常の包やう 道三家是を もちゆ 丸薬散薬は 此のごとく包べし 五雲子流 半井流 ○薬銘作法指南 包紙に薬方の銘を書こと其病の品に よりそれ〳〵の理にかなへる銘を作る なり古来より付来る銘をば書べから ず何湯何飲などゝ三字か五字に書べし 四字は嫌ことなり左に記すところの 二十の字を銘のかしらに付て下には 湯の字飲の字をそへ中に相応の字 を夾みて銘をつくるべし中に夾む字も あらまし是に作りてしらしむるものなり ゑきげんゑきひゑきせい ―二九―― 胃-脾胃脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾脾腸腸胃 湯 蓋入ゑきわらしきわんゑき 黄し心し血し津へ 氣し血し中―肌 養 湯 元-心-肺-筋 虫――中―胸 寛へ くはんつうくはんきうぐはんちやうとはんちやうといふ 寛へくはんくはんまう 五六―痛し急し腸 痛し急-腸―膈 氣し順|中|養 一□□へいちうへいじゆへいかん 平へ ○ 和し虫し聚し疳へ 快 し膈し腸―淋の 同同同筋之湯 し心し欝し悸 湯 消へ ー痞し塊し虫し腫 遠州ノ浦ノ湯 し瘀し聚し穀し毒 湯 し神-虫し楽-聚 安へのん 湯 ―胎―中―― し暑し|心し胃 清入せん 湯 し神し涼し涼し涼し涼し涼し涼し涼し涼し涼し涼し涼し --------------------------- 駆入。 湯 し痰し毒し瘧し寒 脾胃脾胃脾胃脾胃脾胃脾胃脾脾脾脾胃脾胃腎脾胃脾胃脾胃脾胃 補へ 湯 おぎなふ ―血し陰―陽 氣し血し通し生 順へじめ 湯 解し経し解し経し細し編 滞し腸気気経 通へて 湯 秘し仙し膈-痞 |中|養|二九 し兒童―児―精 保一 保入し兒童嬰―精湯 安し命し神し心 中―経―胃―脾 うき□やうそんぢやうようちやうゑい 湯 調べて し氣し血し養し營、 中―腸―和―腎 湯 温今 肺し養し散し二九 中―解し気し血 飲 和入に 虫し痛し毒し堅く 痰し毒し腸中 湯 化合 丁癜し虫し積し虫し鯊し直し植 -志-心-悸-怪- 定 湯 神し氣し源し喘 効し妙し功し明 散 神へ し仙し聖し授し霊 機し櫃-勝し鉄 金 丸 し玉し徳し宝石 右湯を飲とも又丸とも散とも書べし 医道日用重重宝記 本郷介之允正豊編集 医は乃生死の寄ところ敬まずんば あるべからず人身の病苦我と異こと なし召者あらば急に去べし貴賤 親疎を択はず薬料の多少を論ぜず 専人を救を以て心とすべし又若き 女を療治するには假にも戯れの 辞を出すべからず脈を診とても近 所に人ある時にとるべし又いかに心 易き人に頼まるゝとも胎を墮す 薬などをば調合すべからず 四知は望聞問切是也 病を治するには先病人の形色を 望見て次に音声を聞き扨病証 病因をよく〳〵尋問ひ其後脈を 診切にして其病を察すべし 縱ば色赤は熱也白は寒血虚肺弱き なり黄は脾胃の虚也青は痛なり 黒は腎の実也声かろきは気虚欝 重濁は風邪なり尿黄は熱清は寒鼻 塞は熱清浄は寒形痩は虚肥は実の類 を詳に見聞し又飲食の多少二便の 通塞婦人は月経調や否や必問レ之べし 診脉の法井三部九候 醫者の中指を病人の掌後にある 高骨のもとにあてゝ是を関部とす 左は肝と膽とを主どり右は脾と胃と を主どる食指のあたる所を寸部と云左は 心と小腸と右は肺と大腸とを候ふ無 名指のあたる所を尺部といふ左は腎と 膀胱と右は命門と三焦とを診す 寸関尺の三部に各浮中沈の三あり これを三部九候といふなり 浮は軽く浮めて六府を候ふ病表に ありとす沈は強く按し沈めて五蔵を 候ふ病裏にありとす中は浮ならず 況ならず中にして診す病半表半 裏にありとしるなり 掌後高骨 右 寸関尺 大腸胃三徳 肺脾禽 心肝腎 腸膽膀胱 寸関尺 高骨 七表之脉 浮脈へ 重く按ば不 重く按ば不足指を挙れば有餘 やまひへう 病気に 病表にあり力有は風無力は虚 荒脉へ 両邉實し中間なし葱葉のごとし 諸の失血を主どり血熱とす 滑脉 動こと珠の貫て絶ざるがごとし 血多く気少し痰と吐逆を主る 實財 弦脉ヘ 大にて長く堅して力あり 下利を主り熱嘔痛気塞る 按にたはます弓の弦のごとし 緊脉へ 洪豚へ 物急を主どる寒とし瘧とす 実数にして力ありてきびし 諸痛をつかさどり寒邪とす 擧按ともに極めて大きなり 熱を主どる陽盛なりとす 八裏之脉 微脉 沈豚 極て細にして有が如く無が如し 氣血不足とし痞をつかさどる 軽く按ば弱く重く按ば有余 病裏に在冷気水病湿泄を主 緩脉 浮大にして軟かに微し遅し 風結とす麻痺をつかさどる 清脉へ 細にして遅し竹皮を刮がごとし 精涸とし血滞るとす多は痺す 遅脉ヘ 伏脈へ 一息に脉來こと三至る極て慢し 陽虚とす力あるは痛力なきは冷也 軽く按ばなし極て重く按ばあり 濡豚 痞塞をつかさどる物聚るとす 極めて軟かにして浮細なり 元気虚して力衰ふるとす 弱脉へ 極めて弱く爛綿の如く力なし 虚して筋痿風熱自汗とす 九道之脉 長はながくして竿のどし三焦の熱を主る 促は数ありて時に一止む気血痰食滞 短はみぢかく些き也気壅り食消ず 虚は遅大にて軟に力なし氣血虚と中暑と 結は遅して時に一止氣血痰積痛をなす 牢は強して鼓皮を按ごとし氣壅り骨肉疼 動は大さ豆のごとし微動く虚労血利をなす 細は線のごとくほそし精神気血みな虚す 代は中止て還らずして復動少壮は一処すべし 七死の脉 彈石は彈丸石を撃がごとく息數次第なし 解索は藤の循がごとく散乱して次第なし 雀豕は数急に連来て鳥の啄がごとし 屋漏は雨漏の二三滴して絶がごとし 蝦遊は蝦浮で動ず暫して去て復来 魚類は遊魚の頭定て尾を揺がすかごとし 金沸は羹を煮に涌て珠の浮がごとし 死証察視 肝縄は睡陥入盲の如く泣汗出て流ず 舌巻卵縮り爪甲青黒く目精光なく 歯齦黒し心絶は肩にて息し直視手足 の裏腫て紋なく熱なきに忌話し口張 舌青く毛髪乾竪て麻のごとし脾絶は浮 腫泄利して無度唇反人中満唇口乾き 焦れ唇青く体冷遺尿食を見て背はし 肺絶は口を張こと魚の如く気出て不反 胸中氣滿喘息皮毛乾焦れ髪直毛折 一 腎絶は齒枯熟豆の如く耳目口鼻に 黒色起り腰重く痛で折るがごとく 冷汗出て流ず大小便通ぜず失音 面に精彩なく土色にて食を受ず一切に 不言衣の縫を循床を摸り空を撮 戴眼し尸臭く項の筋舒久病虫下 神気不守声嘶大骨枯槁し大肉陥 下し動作ます〳〵衰へ破膕し目人を 見ざるはみな死する也凡病人の色青き こと翠羽の如く赤こと鶏冠の如く黄な ること雌黄の如く白きこと豕の脂の如く 黒きこと黒漆のごとく光澤あるは生べし 若青きこと藍の如く赤きこと赭の如く 黄なること枳実の如く白きこと枯骨の如く 黒きこと炭のことく精彩なきは死す 薬性付製法 〇歳霊仙苦く温腰膝冷て痛に 積聚痃癖風温の病に通じて 用ゆ芦頭をさり剉み用ゆ火を忌 ○茵陳苦寒黄疸の主薬なり湿 を去水を利し熱をすゞしくす根を さり葉ばかりを用ゆ火をいむ ○鹿茸甘温気をまし陰を滋し 泄精尿血崩漏帯下に主とす火の 上にて毛を焼てきざむ は麦門冬甘寒渇をやめ煩悶を去 心を補ひ肺を清し虚熱を解す内 の心をさり剉む鉄をいむ ○貝母微寒嗽を止燥痰を化し 肺癰肺痿に欝をひらき煩を除く 心と帯とを去剉み姜汁にひたし 日に干て少しあぶる二ツに片ざる ものに大毒あり用ゆべからず ○薄苛味辛し頭目を清うし 風をさる痰を化し骨蒸にもちゆへ 葉はかりを日に干て揉碎き砂を ふるひ去て用ゆ火をいむ ○防風甘温頭暈を除き骨節の いたみに諸風口噤むに用ゆ米油 に一夜ひたし土気をあらひ芦頭と 黒き皮を去剉み乾て少し焙る ○半夏辛温脾を健かにし湿を燥 かし痰厥の頭痛に嗽嘔に用ゆ脾 胃の湿痰を主とす熱湯にひたし よく〳〵洗こと七八度にして滑の なきとき少し乾して剉ほして 生姜の汁を四分一入て拌せほして すこしあぶる ○白扁豆甘微涼転筋吐瀉気を くだし中を和らげ酒毒を化す水に 侵し皮をはぢき剉み炒る ○麦芽あまく温宿食を消し心 腹膨脹に血を行し滞を散ずよく 炒て揉芽をふるい去て剉み囲に てあふきて皮をさる ○破故紙辛温腰腰膝酸痛に陽を 興し精を固す枝皮を択さりて 塩酒に一夜ひたし剉み少し炒る に人参甘く温大に元気を補ひ 津液を生じ渇を止気を養ひ血を 調ふ芦頭を去剉み少し焙る鉄を忌 ◯肉桂辛熱血脉を通ず腹痛に 瘀血を行し虚寒を温め補するに 欠べからず粗皮を去剉む火をいむ ○乳香辛苦微温諸の悪瘡を療 ず肌を生じいたみを止よく諸経 の痛を治す木の皮石などを択去 そのまゝ剉む火をいむ ○肉豆蒄辛温中を温め食を消 し嘔を止虫を殺し瀉痢の久く 休ざるを治す麪の粉をこねて包 熱灰に埋み炮して麺を去打碎き 用ゆ銅鉄ともいむ ば牡丹皮苦寒血を涼くし血を行 らし経を通し血分に熱あるに汗 なき骨蒸にこれを用ゆ米油に 一夜浸してよく洗ひ剉み焙る鉄 を忌若心のさらぬがあらば心を去べし ○牡蠣微寒精を澁し痰を化し 渇をやめ汗を飲め二便をかたくす 火にて烟水に入て冷し取出し 乾かし粉にす ○鼈甲酸平労嗽骨蒸瘀を散し 腫を去痞を除く酒に浸し炙ること 六七度すれば脆くなるを打砕き用 と独活甘苦頸項舒がたきに雨 足湿痺に諸風をよく除く土気を あらひ腐をさり剉みあぶる ○杜仲辛温筋を強し骨を壮に す足腰のいたむに小便淋瀝に用 粗皮をさり剉み塩を入たる酒に 侵し干て糸の尽るほど炒る ち知母苦寒熱渇を除き骨蒸汗 あるを治す陰火を瀉し痰咳を療 ず毛と皮とを去剉み焙る鉄を忌 胃火を瀉するには生にて用ひ腎 火を瀉するには酒にて炒る ◯陳皮辛微温氣を順し膈を ゆるくし脾を和げ痰を消す米油 に一夜浸し臍と裏の白みとを去 剉み日にほし炒もちゆ ○猪苓味淡し水を利し淋を通 ず腫を消じ湿を除く黒き皮を去 米油に一夜ひたし剉み乾す鉄も 火もいむ ○地骨皮苦寒肌熱を退け汗有 骨蒸に陰を強し血を涼す土気を 洗ひ心をさり剉みあぶる鉄をいむ ○呪香辛微温気を降し胃を温 め邪を追腐を削去その侭剉む火を忌 ○丁子辛熱寒暇を除き心腹の 痛に胃を煖む花と角とを去其侭 剉み火をいむ り龍膽苦寒肝経の熱を除き眼 の赤して痛を治す下焦湿熱の 腫を除き膀胱の火を瀉す土気を 洗ひ髭を去て剉む鉄火ともに忌 ○良姜辛熱気を下し中を温め 転筋霍乱冷積を破り酒毒宿食 を解す毛と芦頭とを去きざみ炒る を遠志苦辛温神を安じ驚を止 心を鎮め志を強し健忘を治すよく 洗ひ芦頭を去槌にて碎心を去剉み 甘草湯に浸し乾して焙る鉄を忌 は黄甚甘温肺氣を補ひ表を固し 汗を収め瘡を托肌を生ず渇を止め 膚熱を解す蜜に水をまぜてぬり 炙りて剉み乾す又腎を補ひ下焦 へ通ずるには塩水に浸して右の如 にこしらへるなり ○黄連苦寒心火を瀉し痞滿を 除き目を明にし虫を殺し蛔を 安じ痢疾心腹痛に大腸を清す 瘡瘍を治す芦頭と毛とをさり 酒に浸し剉み焙る ◯黄芩苦寒肺火を瀉し痰熱 嗽を止腸胃の熱を清し胎を安す 腐をさり剉み酒に浸し乾して焙 ○黄栢苦寒腎火の有餘を瀉し 小便を利す火を降し陰を滋下焦 の湿熱腫痛に下血に骨蒸を治 す粗皮をさり剉み酒にひたし 乾し色の付ほどに炒る か甘草甘温脾を補ひ中を温め 諸薬を調へ和ぐ生にて用れば火 熱を瀉し炙れば裏寒を去粗皮を 削去て剉み焙る○葛根甘平肌を 解し表を発す嘔吐頭痛に胃を開 き爵を散ず渇を止め酒毒を解す 土気を洗ひ剉み焙る○藁本気 温寒湿を袪風邪を屏け太陽の頭 痛を治す総て痛の巓頂にあるを 療ずよく洗ひ芦頭を去剉み焙る ○香附子甘苦温氣を快し爵を開 き痰を消し表を発す痛を止め宿 食を消し崩漏を止め経を調ふ石 の臼にて砕き鉄をいむ○厚朴苦 温中を温め胃を平げ脹を消し満 を除き痰を化し気を下し食を消し 瀉痢を治す粗皮を削さり洗ひ剉 み生姜の汁をしめり合ほどに入て 日に干て黒くなる程炒る○香蕈 辛温暑に傷られて小便しぶり霍 乱水腫を治す煩を除き気を下し 熱を解す枝をさり穂はかりを用ゆへ 火を忌◯乾姜辛温中を温め脾を 補ひ風寒濕痺腹痛を治す腰の冷 て痛に風寒を発散す血虚発熱産 後大熱にこれを用ゆ水に浸し能 あらい剉み焙る◯詞子苦温腸を渋 らし痢を止肺を飲め嗽を止麺の 粉をこねて詞子を包み熱灰にて 炮して包みたる粉と核とをさり 剉み焙る○莪朮苦温積聚を破り 心腹の痛を治し経を通じ瘀血を 消す皮を削去水に浸し剉み酢を かけ干て焙る よ慧茂仁甘平温痺を除き筋脉 の拘攣を治し肺を保ち嗽を止め肺 癰肺痿を治す水にて洗ひ外の交 りものを択去て剉み焙る鉄を忌 た当歸辛温心を補ひ血を生じ 瘀を去新血を生じ中を温め腸を 潤す土気を洗ひ芦頭を去剉み焙 ○大黄苦寒瘀血を消し積聚を 除き結熱をさり腸胃を通じ宿 食停痰を治すそのまゝ剉み酒に 浸して炒る○大腹皮辛微温一切 の気を下し水腫悶脹を消じ胃を 開き中を調ふ水に浸しよく洗ひ 内の堅き皮外の黒き皮を去毛ば かりを黒豆の煮汁にてよく〳〵 洗ひ又酒にて洗ひて剉み用ゆ 澤瀉甘鹹微寒水道を通じ林 瀝腫脹を治し温を除き熱を泄 す皮を去剉み焙る◯桃仁甘寒大 腸をうるほし瘀血を破り経を通じ 血痕を治す湯に浸し皮と尖を 去て剉み焙る兩仁を用ることなかれ な連翹苦寒癰疽の腫毒を消し 六経の邪火を清くし気聚り血凝 諸瘡いたみ痒き皆よく治す瘡 家の要薬なり枝と実の中の心とを さり剉む火を忌◯蓮肉甘平脾を 健にし胃を理め心を清し神を養 ひ瀉痢を止め遺精を治す竪にして 二ツにわり湯にしばらく漬てしぶ 皮をさり剉み干てあぶる ○烏薬辛温心腹痛脹に小便滑 にして頻なるに脚気疝気々厥の 頭痛婦人の血気七情の爵結を治す 気を順すの要薬也跡さきの細く 堅き所を去剉み焙る○茴香辛平 脚気疝気腹腰の痛み気を下し 胃をあたゝめ命門の不足を補ふ其 まゝ剉み塩水に浸し乾す◯烏梅 酸温肺気を飲め嗽を定め渇を止音 を清し痰を去蛔を安ず熱を退 け酒毒を消す水のすむまでよく 洗ひ蒸て核をさり剉む ○滑石甘淡寒小便を利し煩渇 を解し心火を降し黄疸水腫脚氣 を治す九竅を利するの主薬なり 粉にし水飛して干堅め砕き用ゆ ○蘿香辛微温中をあたゝめ胃を 開き嘔吐を止心腹痛を治し気を行 し風寒を發散す霍乱に是を主と す土砂の尽るまで洗ひ剉み乾かす 火を忌◯瓜蟇仁寒肺燥をうるほし 痰結を除き咳嗽を安じ火を降し 渇をやめ傷寒の結胸を治す竪に してわり皮を去剉み炒る鉄を忌 ○瓜蔓根天花粉と同しもの也 功能天花粉の所にしるす米津に 浸し洗ひ皮を去剉みあぶる鉄を忌 や益智辛温神を安じ腎を補ひ 脾を扶け食を進め遺溺遺精を治 す皮を去布の袋に入て押揉障 子を去すこし炒る ま麻黄辛苦温表を解し汗を出 し風寒頭痛身熱し脊強り咳嗽 喘逆を治す根と節とを去剉み水に て煮て沫を去日に干て焙る○蔓 荊子苦寒自の痛に赤く腫涙出る に歯の痛み頭痛に頭昏く脳なるに 拘攣湿痺を治し諸経の血を涼くし 頭目を清す布の袋に入て揉白き 衣を去剉み酒に浸し乾して炒る け荊芥辛温風を去汗を発し頭 目を清し咽喉を利し瘡を治し 瘀を消す婦人血風の要薬也枝を 去り穂はかりを用ゆ火を忌◯玄 参苦寒腎を補ひ熱を清くし骨 蒸燥渇を治し瘰癧癰疽を治す 水に浸し白く強き所を去剉み銅 鉄ともに忌竹刀にて剉む◯桂 枝辛熱汗を発し皮膚の風を 治し手臂に入筋を舒る也粗皮 を刮去剉火を忌 ◯茯苓甘淡胃を補ひ小便を利し 湿を去痰を消し肺を保ち神を安 ず皮筋を去剉み焙る○茯神心を 補ひ神をやしなひ智を益怒を除き 驚悸健忌を治す製法茯苓と同じ ○附子辛熱蔵府の沈寒四肢厥逆 心腹の冷痛寒湿痰蹙を治し小児 慢驚胃寒蛇動を治す敗陽を回し 虚陽を補ふ紙に包温して熱灰にて 炮し皮臍を去四に切甘草水に一夜 浸し剉みかわかす こ紅花辛温瘀血を除き痛を止多 用れば留血を破り経閉を通ず少く 用れば血をやしなひ産後血暈に是 を主とす交りものを去酒をうち すこし焙る○五味子酸温肺気を収 め腎経を滋し津を生じ久嗽を止 陰を強くし精を澁し熱を除き渇を 解す枝蒂を去剉み鉄をいむ嗽薬に は生にて用補薬には炒て用ゆ◯呉 茱萸辛温疝気を調へ臍腹の寒痛 を治し中を温め気を下し欝を開き 食を消し虫を去呑酸を治す枝を 去熱湯に浸し揉洗こと六七度して 剉み乾かし微炒る口を閉るものに毒 あり○牛膝苦平筋骨を壮にし腰 膝を利し寒湿痿痺を治し精を 蓋し陰を強す諸薬を引て下行す ること甚はだ捷かなり土気を洗ひ剉 み乾し酒に浸し焙る○牛房子 辛平瘡毒を消し風熱癢除 き咽の痛を治し疱瘡の毒を解す 実の軽く虚なるを簸て去洗ひ剉 み微し炒る て天門冬甘寒燥を潤し肺を保 ち喘を定め嗽を止燥火の痰を治し 肺痿肺癰を治す湯に浸し所〻に ある皮を去二つに引さき心を去日に 干て剉む鉄をいむ◯天南星辛温 風痰を除き中風麻痺口噤身強を 治し小児の驚摘及び破傷風を治 す熱湯にて洗ひ浸し皮を去剉み 姜汁を拌乾かし焙る○天麻辛温 風虚の眩暈麻痺を治し小児の 驚痼枸攣を治す酒に一夜浸し 剉み焙る○天花粉性寒渇を止煩は を去熱を退け痰を化し膈を利し 腫毒を消す塵を去そのまゝ用ゆ 鉄をいむ あ阿膠甘温労損虚羸を治し崩 漏尿血経水の調ざるを治し燥を 潤し咳を止肺痿肺癰を治す剉 み土器に入て炒玉となして用ゆ き山梔子苦寒肺熱を清くし三焦 の遊火を瀉し爵を開き淋を通じ 熱を小便より泄し吐血衂血を治 し熱厭の心痛を治す跡さきを去 剉み黒く炒る○柴胡苦微寒肝火 を瀉し傷寒瘧疾寒熱往来を治 し肝労を治し熱の血室に入を治 す土気を洗ひ芦頭と黒き皮とを 去剉む鉄火ともに忌◯細辛辛 温風寒湿痺少陰の頭痛を治し気 を下し痰を破り歯の痛に涙の出る に竅を利し関を通す水に一夜浸し よく洗ひ芦頭を去剉む火をいむ○ 蒼朮苦甘温脾を健にし湿を燥かし 汗を発し邪を散し痰を消し気 を下し瘴気を除き瘟疫を辟く米 油に浸すこと三日よく洗ひ剉み乾 かして焙る毎日水を替てよく洗也 ○酸棗仁酸平煩心して眠ざる を治し虚汗を飲め煩渇を除く 皮を去剉む膽実してよく眠もの には生にて用ひ膽虚して眠らざる 者には炒て用ゆ○草果辛温瘧 疾を治し瘴瘟を辟痰を消し食 疾を治し瘴瘟を辟痰を消 を化し嘔吐を止酒毒を解す麪に 包み炮して殻を去剉み用ゆ○山査 子甘平肉食を消し飲食を化し 疝気を療じ痰飲痞満を治し小 児の痘疹を発し乳積を消す湯 にひたし和げて核を去剉み用ゆ○ 三稜苦甘積聚を消し血結を利 し心腹痛を止撲損の瘀血を消す 製法莪朮と同し◯桑白皮甘寒 肺の火邪を瀉し嗽を止喘を定め 痰を消す日に干て槌にて打和げ 細く引さけば粗皮は皆落る也引さ きたるを縄になひて剉む鉄を忌◯ 犀角酸寒心を清し煩熱をさり 驚を鎮め邪を辟毒を解す吐血衂 血下血を治し痘瘡の餘毒を治す 白き所をさり剉む◯山茱萸酸温ハ 腎を補ひ腰膝の酸痛を止め精を飲 め髄を益腎虚耳鳴を治す水にて 洗ひ枝核を去乾かし酒に浸して 蒸剉み焙る○山薬甘平脾を埋め 中を補ひ腎を益精をかたくし熱を退 け瀉を止む米消に一夜浸しよく 洗ひ剉み焙る鉄をいむ き桔梗苦平咽の腫痛を治し鼻 の塞るを通じ胸を開き痰を消し 風を散じ膿を排薬を載て上升す 芦頭を去そのまゝ剉み焙る○羌活 甘微温風寒湿を除き頭痛身の 痛に筋骨の攣り痛に頭旋つき 掉眩に項伸がたきを治すそのまゝ 剉み焙る○枳実苦寒食を消じ痞 を除き結実を破り脹満を消す痰 を化し積を破るには墻を冲倒すの 功ありといへり水に浸し核と攘とを すきさり剉み麺の粉を霜の降たる ほどに拌まぜて乾かし炒る○枳殻苦 微温咳をやめ喘を定め気を快くし 腸をゆるくし胸中の気結を消し水 気脹満を治し食を消じ裏意後 重を治す水に浸し内みをすき剉 み麪の粉を拌ぜ乾かしよく炒る○ 金銀花甘温温をさり諸の腫毒 悪瘡癰疽を治し熱を散じ毒を 解す茎葉を去剉む◯杏仁苦温 風痰喘嗽を治し大腸を潤し気 逆便閉を治す湯に浸し皮尖を 去剉みよく炒る雨仁には毒あり 用ゆべからず○菊花甘微寒頭面 の風熱を清くし目を明にし涙を とゞめ眼の赤を除き胸中の熱を さる陰干にして剉む火をいむ ○芍薬酸寒肝を制し肺を飲め 血熱を去腹痛をやめ瀉痢を治す 能飲め能補ふ虚寒には用ることなか れ水に浸し芦頭を去剉み乾かし 酒に浸し日に干て焙る鉄をいむ ○生地黄甘微寒血を涼しくし陰を 補ひ瘀血を去新血を生じ骨蒸 煩労を治す水に浸しよく〳〵洗 ひ剉み乾かし酒に浸し日に干て 焙る銅鉄ともに忌◯熟地黄甘微 温腎水を滋精髄を填血脈を通じ 真陰を補益す竹刀にて剉み用ゆ ○紫蘇辛温風寒を散じ表を発し 中を温め気を行し痰を消す茎を 去日に干て揉碎き土砂をふるひ 去火を忌◯青皮苦温氣滞を散し 結積を破り食を下し痰を消し 肝を平げ脾を安ず水に浸し蒂と 内の白みを去剉み焙る○車前子 淡寒水を利し眼赤きを除き瀉を とめ熱を解し催生に用ゆ水に て洗ひ土沙を去日に干て砕き用 ○沙参苦微寒肺熱を除き腫を 消じ膿を排肺痿肺癰を治すの 米油に浸し洗ひ剉みあふる唐は そのまゝ剉み焙る○縮砂仁辛温 胃をやしなひ食を進め気をくだし 痛をやめ食を化し酒毒を醒す 搗碎布の袋に入押揉て障子を去 少し焙る◯神麹甘温水穀宿食 を化し脾胃を健かにし結を破り 痰を逐ひ中を調へ氣を下す其侭 砕き炒用ゆ古を良とす ○紫蘇子辛温氣をくだし痰を去 咳をやめ喘を定め寒を除き腸を 潤し五膈を消す塵を去そのまゝ 用ゆ火を忌◯秦丸微寒風を去 湿を除き血を養ひ筋を舒肢節 の風痛を治し骨蒸を治す米淋 に浸し裂て中の土砂を洗ひ去 剉む火を忌◯紫苑苦辛痰喘 款逆を治し虚労痰多に煩渇膿 血を吐を治す米淋に浸し土砂を 洗ひ去剉み酒を洒き乾かし少し あふる 悪延胡索辛温心腹の痛を治し 血を破り経を通じ血中の気を行し 血暈血崩を治すそのまゝにて剉み 少しあぶる ひ白朮甘温脾を健にし胃を補 ひ穀を消し食を進め温を除き瀉 をとめ痰痞を消じ胎を安ず製 法蒼朮と同じ ○白茸辛温風をさり眼涙の出る に歯の痛に陽明の頭痛を治し 金瘡乳癰痛をとめ膿を排婦人の 血風血暈を治す水にひたしよく洗 ひ剉乾す火を忌◯白豆蒄辛温 霍乱を治し冷積を消し胸をゆる くし食を進め嘔吐反胃を治す皮 を去袋に入押揉で障子をさり微 炒る梹榔子辛温氣を下し滞を 破り穀を消じ瘴癘を禦ぐ後重 を治すること神のごとし皮帯をさり 剉む火を忌◯白附子辛温面の 諸病を治し風痰をさり血痺風瘡 中風の諸證を治す炮して剉み 用ゆ◯白姜蚕辛鹹中風の諸証 を治し諸瘡の瘢痕を去癢疹諸 瘡を治し小児驚癇を治す米油 に浸し洗ひ觜を去剉み少あぶる も木通甘平五淋を通じ腫脹を 除き竅を利し経を通じ熱を泄 す皮を刮り節を去剉みあぶる ○木瓜酸温一切の筋病を治し湿 痺脚気を療じ霍乱転筋足膝力 なきを治す核と穣をさり剉み焙 鉄を忌◯木香辛温脾を健にし 胃を和し肝を行し滞気を散じ 爵を開き食を消し瀉痢をとゞめ 諸気を調へ虫を殺し邪を辟土気 をさり剉み火を忌◯没薬温金瘡 打損諸瘡を治し瘀血をさんじ 痛をとゞむ交りものを去そのまく 剉み火をいむ ㊆川芎辛温血を養ひ経を調へ頭 痛面風を治し爵を開き血中の気 を行す芦頭をさり剉み熱湯に浸 しかきたてゝ洗ふこと二三度して 日に干用ゆ火をいむ唐はそのまゝ剉 もちゆ◯石膏大寒胃火を瀉し 消渇を治し肌を解し三焦の熱 皮膚の熱燥を治し陽明の頭痛を 治す火にてよく蝦甘草水にて水 飛してかわかし用ゆ◯前胡微寒 嗽を寧し痰を消し肺熱を清し 風邪を散ず土気を洗ひ芦頭を去 きさむ火を忌◯升麻微寒胃を清 くし毒を解し歯の痛口中の瘡を療 じ陽明の風邪を散じ下陥の気 を升提げ及び麻疹を治す米油 に浸し粗皮と毛とを去剉む火 を忌◯川鳥頭辛熱風の骨に入 たるを除き積聚を破り腹臍の 寒痛を治し風痺血痺半身遂 はざるを治す甘草に一夜ひたし 炮して剉みもちゆ ○蝉退鹹し寒頭風眩暈を治し 皮膚の風熱を除き痘疹の痒を 治し驚熱を除く米油の湯に 浸し土気をよく洗ひかしら足 翅をさり剉みあふる ○全蝎辛平風痰を退け口眼咼 斜中風の諸證小児の驚癇搖を 治す水にて洗ひ足と尾とを去 剉みあぶる ○六陳狼毒呉茱萸半夏 陳皮枳実麻黄此六色は 陳きを用べし ○八新薄苛款冬花桃花 槐花澤蘭赤小豆菊花 紫蘇此八色は新しきを用ゆべし 合薬秤量之例 一分とは十釐也○一字とは二分五厘也 ○一鉄とは四分なり○一銭とは十分なり ○一分とは二匁五分也○一両とは十匁なり ○一斤は百六十目也○方寸匕とは一寸四 方の匕に一すくひ也○一刀圭といふは方 寸匕の十分一なり○一撮とは四刀圭也 ○十撮を一勺といふ○十勺は一合也○十合は 一升なり○古方の一升は今の二合半なり 丸薬に細麻の如といふは胡麻の大さ なり○大麻子の大さとは胡麻三粒の大 さ也○胡豆の大さといふは今の豌豆也○ 梧桐子は豆二粒にあたる○弾丸の大さ とは梧子四十粒にあたる也○蜜一斤は 七合有煉て沫を去て十二両半になる 四百道日用記 ○薬方付病論脉論 中風 上古は外邪の風を主として云河 潤は火の亢るを以ていひ東垣は気 虚を主とし丹溪は湿を主とす然 れども元より内に虚するところ あるに依て此諸證をなす也 ○脉浮遅は吉也急疾は悪し ○八味順気散中風を治するには先 此薬を服して其気をめぐらし次 に風を治するの薬を用ゆ 陳皮白木茯苓青皮 一烏薬白並人参各二甘草 分 右煎じ服す◯気を順し風を 去の剤也真気虚する者には用がたし ○烏薬順気散中風遍身痺れ言 語蹇しぶり口眼ゆがみ喉の中氣 あらくして痰あるものを治す 麻黄文烏薬陳皮各二白姜蚕二白姜蚕五十 川芎白並枳殻桔梗各一匁 乾姜甘草各五分右十味美棗 を入煎ず◯これ邪気実し初発 の病人気滞り風ある者に用べし 防風通聖散中風一切の風熱ふさ がり盛にして大便結し小便赤 く澁り頭面に瘡を生じ譫安驚 狂三焦みな実するものを治す 防風川芎当歸芍薬大黄 芒硝連翹薄苛麻黄荊芥 白木山梔子各五分石膏桔梗 一黄苓各一匁滑石三匁甘艸五分 右十七味生姜を入煎ず一方には 芒硝をさり牛膝人参半夏を加ふ 積熱瘡腫気血実し盛にして大 満大実のものに用ゆべし胃の気 虚するにはあたふべからず ○小続命湯中風半身かなはず口眼 ゆがみ言語しぶり身痺れ筋攣り 一匁 骨飾煩れ痛むを治す防風一 五分 麻黄防巳桂枝黄芩杏仁 一芍薬川芎人参鼈附子甘草各 各五 分 右十一味姜棗を入煎ず一方には当 飯石膏を加ふ中風の初発汗なく 邪気表実のものを治す類中の ものに用ゆへからず 大秦丸湯中風手足かなはす舌強 りて言語ことかなはざるを治す此 くすりを用て血を養なふときは筋 おのつから栄ふ秦丸羌活独活 一防風白莚白木石膏黄芩 芍薬生地黄熟地黄各二匁茯苓匁 一川芎細辛甘艸各五分右十五味 煎ず天陰り雨ふらば生姜を入て 煎ず一方に当飯を加ふ○外に六 経の證をあらはすことなく只血弱 して筋を養なふこと能はざる者を 治す血をやしなひ気を通ずるの 方なり ○加減除湿湯右半身遂はず手足 なへ筋骨いたむを治す白米二匁 茯苓当皈陳皮半夏赤芍薬 一十一蒼連黄芩烏菜枳殻 一羌活各一匁白並九八分人芎用 桔梗防風甘草各八分右十八味 姜を入煎ず◯湿によつて痰を生 じ半身遂はず手足なゆる証をな すを治す 加減潤燥湯左半身遂はず手足 なへ嚏り欠し眼口ゆがみ目暈痰 火さかんに筋骨時々いたみ心悸 するを治す芍薬二匁当皈一匁二分 川芎白木茯苓半夏天南星 塩にて 天麻名一陳皮 ふる 生地黄熟地黄 酸棗仁黄芩牛膝各八分羌活羌活 桃仁防風肉桂各六分黄柏三分 紅花甘艸各四分右二十一味煎じ 竹瀝姜汁を入服す◯血虚し痰 をかね火を挟みて此病をなす者 これに宜し左右の字に拘はりて 療治を誤ることなかれ ○勺気腰腿疼之手足伸屈み することならず半身遂はず眼口 ゆかむを治す風気中風などに 風薬を用ひて愈さるに此方を用 ひて即ち効ある也白朮四烏薬 一天麻各一匁人参沈香白並 青皮甘草各五分紫蘇木瓜 各三分 右十味萎棗を入煎ず 気の道すじ壅るときは外邪散 しがたしこれ気を調へ順すの剤也 ○補中益気湯中風の證内より傷 らるゝものは外より来る風邪に あらず労役すること甚しくして 真気を耗し此證をなすなり ○方は内傷門にあり左右なゆる には防風羌活天麻半夏南星芎 木香を加ふ○言語なへ澁るには石 菖蒲竹瀝を加ふ◯眼口ゆがむには 姜製の黄連羌活防風荊芥竹芎 瀝姜汁を加ふ 一傷寒附傷風感冒 冬の寒気に傷られて即ち病を 正傷寒とす寒肌肉の間にかくれ 伏して春に至て発するを温病とし 夏に至て変じて熱病となる汗 なきを傷寒とし汗あるを傷風 とす感冒は風寒に感ずることの 浅きをいふなり常にがいきといひ 風を引たるといふは皆感冒なり ○脉熱盛にして脈浮大なるは 吉なり沈小なるは凶し已に汗して 豚沈小なるは吉瀉大なるは凶なり ○香蘓散四時の風邪に感じ冒 され頭痛発熱さむけあるを治す 紫蘇香附子各二陳皮一匁甘草五十五匁 右四味生姜葱白を入煎ず○此方は 六経の証あらはれず風邪に感する ことの浅きを治す気を順するの ときは風邪の軽きは立どころに解 す気乏しく血虚するには宜からず ○麦蘇飲四時の感冒熱を発し頭 痛み咳嗽し声重く痰あるものを 治す労倦の人あるひは妊婦の感冒 みなこれに宜し陳皮茯苓匁半 紫蘇半一夏桔梗前胡葛根各一 一枳殻九分甘艸五分人参木香各五 一枳殻九分甘艸五分人参木香各五分 右十一味姜棗を入煎ず○感冒の 発熱咳嗽を治する妙剤也しかれ ども肺の虚咳労嗽などに此薬 を頼で人の壽を縮ることなかれ 薩香正気散四時正しからざるの 気に感じ或は内傷に外或を咬み 気に感じ或は内傷に外感を挟み 腹いたみ吐利頭痛み悪寒発熱 腹いたみ吐利頭痛み悪寒発熱 ありて汗なきを治す蘿香三匁 陳皮白朮厚朴半夏桔梗 各二匁 大腹皮紫蘇白薑茯芩 各一匁 各一匁甘艸五分右十一味姜棗を 入煎ず◯腹痛吐瀉風寒暑湿正 からざるの気に感じたるを治する 要方なり正傷寒を治する薬には非 人参敗毒散四時の傷寒瘟疫 寒おほく熱つよく項強り身疼 を治す羌活独活前胡柴胡麻芎 一枳殻川芎桔梗茯苓人参 各一匁甘艸五分右十味姜を入 煎ず○薄苛を少ばかり加ふ◯熱 つよく身疼ものを治する妙方 なり又天行時疫を治す表虚氣 弱きものには用ゆべからず ○十神湯瘟疫妄に行れ或は風寒 の感冒熱あり寒を憎み咳嗽頭 痛身痛み汗なきものを治す 麻黄葛根外麻川芎赤芍薬 香附子紫蘇陳皮白芝各等甘草甘草甘草 右十味姜を入煎ず○感冒表 実し汗なきものを治す傷寒太 陽の証あらばこれを与ることなかれ 八解散脾胃虚弱して飲食すゝ まず或は食消ぜず及び風寒の外 各一匁 邪を挾みたるを治す人参白木 陳皮半夏厚朴霍香茯苓 朱甘草二分右八味姜棗を入 煎ず◯外邪に感じ食を挟みたる を治す脾胃の虚弱重く外邪軽き ときは補中益気湯を以て加減すべし 行気香蘇散内生冷の厚味はひに 傷られ外風寒温氣に感じ悪寒 発熱はら脹いたむを治す紫蘇 陳皮烏薬羌活香附子各一匁胡活 川芎麻黄枳殻各七分甘草二分 右九味姜を入煎す○これ外風 寒に感じ内生冷に傷らるを治 する要方なり脾肺の虚弱なる には斟酌すべし ◯九味羌活湯春の中比より秋ま での間において傷寒傷風を治 するには此薬を用ゆ冬も又用べし 一羌活蒼朮二戔防風川芎胡芎 韮生芋黄苓熱細辛甘草 三分 右生姜棗を入煎ず○汗 なくは紫蘇をくわへ汗あらば桂枝 芍薬を加ふ◯太陽の証には藁本を 加へ羌活を倍す◯陽明の証にには升 麻葛根を加へ白並を倍す◯少陽 の証には柴胡半夏を加へ黄苓を 倍す◯太陰の証には厚朴枳実を くわへ蒼朮を倍す◯少陰の証には 桔梗知母黄栢を加ふ○此薬四時 の傷寒瘟癘を治するに穏当也 とす陰虚し気弱きものには必 ず禁ずべし ○外陽発表湯冬の月の正傷寒頭 痛み発熱悪寒身いたみ頂強り 脉浮緊にして汗なきものを治す 此太陽経の証なり麻黄杏仁 一桂枝甘草川芎白花活 防風升麻右九味生姜棗を入 煎ず汗いづれば薬を止む○冬月即 病の傷寒汗なきものを治す春 夏の月及び陽虚の者に用べからず 疎邪実表湯冬の月の正傷風頭 疼之発熱風を悪み項強はり脉 浮緩にして汗出るものを治す是 大陽の経の傷風也桂枝芍薬 甘艸防風川芎羌活白木 右七味萎棗を入煎ず○汗止ざる には黄茲を加ふ◯春夏の月及び 脈浮緊にして発熱し汗なき者 には用ゆることなかれ 牛麻葛根湯傷寒目痛鼻乾て 眠らず汗なくして悪寒発熱す るは陽明経の證なり此方これを 主る又風寒の感冒口渇もの及 び瘡疹巳に発しいまだ発せず 疑似のときこれに宜し葛根 麦外麻芍薬甘草合二匁 右四味毒を入煎ず○これ陽明経発 散の薬なり太陽の證にこれを用 ゆれば邪を引て裏へ入る賊を引て 家を破るの誡めあり ○不換金正気散四時の傷寒瘟疫 及び深山山嵐の気海邊の瘴気 を感じ寒熱往来霍乱吐瀉或は 遠方に出水のかわりに中たるを治す 蒼朮厚朴陳皮半夏霍香 一各二匁甘草五分右六味姜棗を入 煎ず◯此脾胃の温邪をさる要方 なり旅の途にて邪気に感じたる には多は此方を主とす尤加減に よるべし併ながら気血の虚弱なるは 此例にあらす ○小柴胡湯傷寒四五日寒熱往 來し胸脇痞滿心煩れ喜で嘔し 頭疼耳聾ずこれを少陽経の証 といふ邪気半は表にあり半は裏に あり此方これを主とる雑病の 肝胆に属するものも亦これを 治す柴胡二匁半黄苓二人参 一半夏各八分甘草五分右五 味姜棗を入煎ず脾胃の気虚せ ざるものには人参を去○これ少陽 経半表半裏の主方なり表裏陰 陽を分ず皆此方を以て傷寒を治 す大なる誤り罪をのがるゝ所なし 陽気虚寒のものに与ふれば立ごこ ろに死すべし慎まざるべけんや 大柴胡湯傷寒表證いまだ除か ざるに裏証又急にして寒熱往来 脇いたみ口苦く大便かたく通ぜざ るを治す柴胡四匁黄苓芍薬各 二匁半半夏二匁松実一余大黄二匁 右六味生姜棗を入煎ず大便通 ずれば薬を止む○此方は小柴胡 湯の證にして大便燥実し通ぜ さるものを治す大便順に通ずる 一者にはかならず用ゆべからず 一小承気傷寒腹脹満時を定 て熱を生し狂言し喘するを治す 大黄七匁厚朴枳実各三匁半右二 黄七匁厚朴枳実各三匁半右三 味姜を入煎ず○凡下すべきの證 右三 そなはるとも卒爾に大承気湯 を用ゆべからず先小承気湯を用 ひて病人転失気するが或は鞭き 屎来て後来らざるものは内に燥 たる尿ありその時に大承気湯を 用ひて裏を攻べし若又小承気 湯を用ひて転失気せず或ひは 初鞭き屎来て後に唐ものは裏 熱いまだ甚しからざる也大承氣 湯を用ゆべからす 大承気湯傷寒陽邪裡に入痞満 燥き実し堅き全く備るもの又 は少陰経の病舌乾き口渇き日晡 に発熱し脉沈実なるものを治す 大黄七匁厚朴枳実略一芒硝半 右四味先枳実厚朴の二味を煎じ 滓を去大黄を入用び煎じ滓を去 芒硝を入一二沸煎じて服す○痞 満燥実堅の證全く備るものに 用ゆべしかろ〴〵しく用ゆる方にはあらず 黄連解毒湯傷寒汗し吐し下し たるの後熱しりぞかず諸の積熱 実火を治す黄連一匁黄芩黄栢 山梔子各二匁右四味煎ず○汗吐下 の後実火に属する者を治す虚 火には一味といふとも用ゆべからず 白虎湯傷寒伝て胃に入悪寒せ ずして反て熱をにくみ汗あつて 渇をなし脉大にして長なるものを 治す又傷寒汗吐下の後心胸煩 悶渇して水を飲ことを欲し脉 洪大なるものを治す石膏二匁六分 甘草四分知母一匁二分粳米レ撮右四 味煎ず人参白虎湯といふは老人 小児及び虚弱なるものにはかならず 人参を加へてよしよく其証を考へ て用ゆべし脉虚するものには与 ふることなかれ 補中益気湯傷寒内傷を挟み たる者を治す◯方は内傷門に 見たり○大陽の証には羌活藁藁本 桂枝を加ふ○陽明の証には葛根を 加へ升麻を倍◯少陽の証には黄苓 半夏川芎を加へ柴胡を倍◯大陰の 証には枳実厚朴を加ふ◯少陰の 證には生甘草桔梗を加ふ◯厥陰 の證には川芎を加ふ○変証発班に は葛根玄参を加へ升麻を倍○痰を 挟みたるには半夏を加へ竹瀝姜汁 を入る ○凡傷寒邪気已に去ときは正気 かならず虚するもの也八解散六 君子湯異功散補中益気湯八物 湯十全太補湯の類ひ其証に従て 用ひ元気を保ち養ふべし◯早く酒 を飲べからず○愈て後百日鯉鯽 を食すべからず ○中寒 夫寒氣の人に中る陽氣の虚する によつて寒邪虚に乗じて入る夏 冬のわかちなく皮膚より卒かに 臓腑に入る其証中風と相似たり 歯緊く手足動ざるを異なりとす ○脉緊墻○寸尺ともに緊なるは 上下皆寒を受るなり 五積散寒邪に感じ冒され頭 痛み身疼み項じ背拘り急り 悪寒嘔吐腹痛を治す寒湿を治 するの要方なり蒼朮桔梗 厚朴当鮮川芎陳皮白 一並半夏枳殻白芍茯苓 肉桂乾姜洛五麻黄分 右十五味姜葱白を入煎ず○寒 気少陰腎を犯し腹臍いたみ或 は口燥き舌動かしがたき此方これ を主どる○冬月寒気甚しき時 風寒に感冒したるにはかならず此 方を用ゆ○産後の感冒に麻黄 葱白を去てもちゆ ◯理中湯寒邪に中り口噤て語 言ことなりがたく手足強り直み 中脘いたみ自利して渇せず或は 嘔て猛乾を治す人参白木 炙各二 乾姜艸甘草 浅半 右四味美棗 を入煎ず○寒甚しき者には附子 を加ふ附子理中湯と名づく○寒太 陰を犯し腹満れ時にいたみ吐利 して渇せざるを治する妙方なり 虚せざる者には霍香正気散に乾 姜を加へて用ゆ併ながら熱内に ありて咽渇き水を飲ものには用 ゆべからず ○四逆湯即病太陰の傷寒自利 して渇せず及び寒三陰に中り 脉沈細にして遅身痛み手足冷 上る者を治す乾姜五匁附子牲一 甘艸灸右三味煎ず◯利止て 脉出ずんば人参を加ふ○凡此證 にして此方を用ひんとほつせば 先理中湯を用ゆべし寒甚しくば 附子を加ふ如巳ことを得ずんば此方 を用ゆべし手足煖まりぬれは薬を 止む辛甘大熱の剤軽々しく用ゆ べき方にあらず 〇回陽救急湯寒陰経に中身冷 手足冷て腹痛み吐瀉し脈伏し て無ものを治す人参白米 一茯苓陳皮半夏乾姜肉桂 炙各 附子五味子甘艸 右十 ナホ八 味姜を入煎ず○気海関元の一 穴に於て灸すべし尤も卒にして 薬なき時はこれを捷法とす元陽 虚する者を治す胃火穀を消し 実熱のものには用ゆることなかれ ○中暑付ノ霍乱 暑邪の気先心に着肺を傷て中暑 の記をなす中熱中暑のわかちあり 静にして得るを中暑とす陰記也 動て是を得るを中熱とす陽記也 又暑湿の気に中られて腹いたみ 吐つ瀉つし手足繚乱ことを霍乱 といふ吐せず瀉せず悶乱するを乾 霍乱とす治しがたし○脈虚にして 微弱或は浮大にして散或は隠て 見へず身熟する者を傷暑とす 五苓散暑気に傷られ身熱し 煩れ渇き心恍惚とし小便赤く 澁り大便瀉ものを治す澤瀉一匁 猪苓白朮赤茯苓十一匁肉桂五分 右五味散薬にして清米飲にて 服する也多く湯を飲で汗を出す 或は姜棗を入煎ず○小便よく利 するもの或は内津液を巨して小 便利せざるもの井に用ゆべからず 十味香蕾飲暑気内に伏し身 倦れ神くらく頭重く吐つ利つ するを治す黄□人参白求 茯苓陳皮木瓜各五香蒲一原朴 蘇豆州甘草冬五右煎ず○これ陽気 を散じ真陰を導の剤也元気もと より虚し房を犯すことの過るもの には用ゆべからず ○清暑 清暑益気湯長夏の温熱大に 行はれ人これに感じて手足困 倦心気短く動作に懶く身熱し 気高ぶり心煩馬を治す人参 白米陳皮神越澤瀉各五分 黄□蒼朮軽升麻一匁麦門冬 當皈青皮葛根各三分五味子丸 黄栢三分右十五味煎ず ○気虚の人暑に中られ食を挟 み温を兼たるを治す若食と湿と を兼ずんば補中益気湯に升麻 柴胡を去り五味子麦門冬黄栢を くわへて用ゆべし ◯生脈散暑気に中り暴に目眩 息絶んとするを治す麦門冬 人参三五味子十五粒右三味煎寸 ○神乏しく気虚し脚弱き者 に黄栢を少し加へて用ゆ或は諸 方においてこれを加ふべし ○薩香正気散暑気はなはだしき 時納涼過して外を傷り或は寐入 たる間に風を感じ生の冷たる物 を食して内をやぶり頭痛み発 熱悪寒吐瀉し腹痛む者を治す ○方は傷寒にあり○内生冷に傷 られ外風寒に感じて霍乱となる もの霍香正気散これを主どる熱 あるものは毒にて製たる黄連を加 ふ○寒甚しきものは乾姜を加ふ◯ 此方は陰証の者を治す日中暑に 傷られ内外皆熱するものには もちゆべからず ○中濕 夫温に内外の二つあり早く湿ある 地に居或は道中において風雨に 犯され又は汗出て衣ものゝ温たる を其侭にて着て湿を受るこれ皆 外より湿に中られたる也又酒瀉水 などを多く飲或は瓜菓の類を食 して温証をなすこれ皆内より 湿に傷らる也◯脈浮にして緩は 温表にあり沈にして緩は湿裏に あり濡緩を温の脉とす ◯羌活勝湿湯温に傷られ身身 く痛を治す羌活独活絡一胡芎 藁本防風川芎格五蔓荊子三分 甘艸五分右七味姜を入煎ず○風 温を表散ずるの方なり湿内にあ らば淡を以て滲すべし此方の治 する所にあらず 独活寄生湯腎気虚したるもの 湿地に臥腰せなか拘急り筋骨痛 み或は半身遂はず冷痺るゝものを 治す独活配牛膝杜仲秦范 細辛肉桂川芎芍薬桑寄生 茯苓人参当段防風熟地黄 各二両甘草同右十五味姜を入煎じ 空心に服す◯若桑寄生なくば続 断に呑べし◯風温腎を傷て腰痛 を治るの要方なり 不換金正気散内外湿に中り悪 寒発熱吐瀉し腹痛を治す◯方 は傷寒に見へたり ◯五苓散温に傷られ身重く小便 利せず口渇ものを治ず○身痛に は羌活を加ふ○方は中暑に見へたり ○火証 外邪経絡に鬱して熱を臓腑に 積これを実火とし真陰虚して 相火の動くこれを虚火とす又飲 食情欲に因て気盛にして火に 似たる者ありよく其証を明かに して治を誤ることなかれ◯脉浮 にして洪数力なきを虚火とし 況にして実大なるを実火とす 涼膈散大熱にして面赤く舌 に瘡を生じ煩渇小便赤く大 便結するを治す連翹黄芩 山梔子各一匁薄苛桔梗八分大黄浅 甘草八分芒硝一匁右八味煎ず或 は散薬にして用ゆ○一方に黄栢 を加ふ○爵熱実火を治する神 方なり但し芒硝を去枳殻を加へ ての穏当なるにしくはなし ○升陽散火湯冷たる物を多く食 し陽気伸ず一身悉く熱し肌 燎がごとくなるを治す柴胡三匁 升麻葛根独活羌活人参 白芍五戔防風芋生甘艸炙 甘草二戔右十味姜を入煎す◯陽 気の爵火を散ずる要方なり但し 多く服すべからず多く用ゆれば 真陰を耗し燥熱を益なり ○清上防風湯上防風湯上焦の火を清くし 頭面に瘡を生じ風熱にて腫痛 を治す防風也薄苛山梔子 黄連枳殻荊芥五分連翹白並 桔梗谷川芎黄芩麪甘草三分 右十二味煎じ食後に服す◯上 焦の爵熱頭面の諸証実火に属 するものを治す虚火の衝上るが 如きこれを用れは立に命を失ふ ○黄連解毒湯三焦の実火内外 みな熱するものを治す○方は傷 寒に見へたり ○六味地黄丸腎水衰へ相火の動 くを治す○方は丸散の部にあり ○十全太補湯無根の虚火を治す ○方は諸虚門にあり ○補中益気湯飲食労倦の虚熱 を治す○方は内傷に見たり 内傷付補益 飲食労倦に因て内脾胃の気を 傷りて気たかぶり身熱し手足 怠惰の諸証をなす也◯脉浮大に して力なく或は氣口の脉人迎より 大なる皆内傷とす ○補中益気湯形神倦つかれ飲食 に傷られ身熱し手足怠く頭痛 汗出で力なきを治す甘草炙 人参陳皮白朮当皈各一匁 柴胡升麻各二黄甚豊美右八味 姜棗を入煎ず◯諸病陽気下り 陥を升せ提ぐるの神方又一切の病の 後調へ理るの妙剤也外感といふとも 気血虚弱なるものには加減して 用ゆべし ○升陽補気湯飲食時ならず飢飽 労役胃の気たらず手足だるゝ食後 に昏悶し手足のうらに熱あるを治す 厚朴五分升麻羌活独活防風 白芍澤瀉一戔生芋一匁 柴胡五匁右十味姜棗を入煎ず ○脾湿の気下に溜りて伸発する こと能はずして困倦煩熱するの諸 証をなすを治す多く服することな かれ風薬は元気を損じ病を益が ゆへなり ○七味白木散脾胃の気和せず津 液たらず肌熱し或は吐瀉し口渇 を治す人参白朮茯苓各六 葛根幾菅香木香甘草淡路右 煎ず銭氏が白木散といふは是なり ○小児飢熱し吐瀉するものを治す 大人にも亦これを用ゆ気実し 気滞り実火に属する者には与ふ べからず 参苓白木散脾胃虚にして飲食 進まず嘔吐瀉利するを治す人参 白木茯苓山薬白扁豆絡一桔梗 蓮肉縮砂慧花仁各七甘草五分 右十味煎す◯此方脾胃虚弱の人 食進まず常に瀉やすきを治す又 大病の後にこれを用て脾胃を保養べし ○傷食付痞滿 飲食飽までにすれば消しがたく 膓胃これがために傷られ腹いたみ 吐瀉の諸証をなし食積となり又は胸 腹飽悶て舒ざるの痞滿をなす也○ 脉氣口の脉緊盛なるを傷食とす 食消せざれば浮滑にして疾 ○平胃散脾胃化せず飲食進まず 或は食滞りたるものを治す蒼朮 厚朴一義陳皮 二銭厚朴一義陳皮一銭甘草八分右八分右四 味姜棗を入煎ず◯宿食消せざる には神麹麦芽を加ふ加味平胃散 といふ○世の人平の字に誤られて 常に服する者あり大に非なり 此方は宿食脾湿の有餘を平げ 除の薬にして胃を平かにし補ふ といふにはあらず ○香砂平胃散宿食消せず飲食 おのつから倍するを治すこれ脾胃 の傷なり香附子蒼朮陳皮紅 の傷なり香附子蒼朮陳皮 枳殻蘿香箱縮砂木香 甘草各五分右八味姜を入煎ず ○気実したる人の宿食消せざる を治す此気を破るの剤にして胃 虚久病のものゝ服すべき薬に非ず ○葛花解醒湯大に酒を飲嘔吐し 心煩れ乱れ胸塞り不食し小 便利せざるを治す葛花砂仁 各 本 一匁 夏{ 女 白豆蒄各五茯苓陳皮猪苓人 参各二匁半白木神麹澤瀉乾生 姜各二匁青皮木香各三匁右十三 味煎ず◯これ温熱を上下より 分ち消して酒毒を解す此薬を 恃にして日日酒を過して天年を 損することなかれ ○蘿香正気散食傷寒熱頭痛吐 瀉腹痛を治す◯方は傷寒にあり ○六君子湯脾胃弱き人の食傷を 治するに香附子縮砂蘿香を加へ 香砂六君子湯といふ○本方は諸 虚に見へたり ○泄瀉くだりはら 風寒暑湿みなよく人をして泄 瀉せしむ多くは飲食を過し脾 胃を傷りて此病をなす○脈浮を 風とし遅を寒とす暑に傷らるゝ ものは脉微湿は緩なり大抵沈細は 治し易し洪大なるは治しがたし 胃芩湯日者温に中り或は食に傷 られて泄瀉する者を治す蒼朮 原朴陳皮猪苓澤瀉芍薬 白木茯苓各一戔甘艸炙肉桂五 右十味姜棗を入煎ず○水のごとく 瀉するには滑石を加ふ◯脾を燥かし 湿を滲すの剤なり気虚津液乾 きて小便少く又は腎気虚する 者に用ゆべからず ○理中湯寒瀉の証腹痛瀉止こと といふ なく色青く脉沈遅なる者を治す 人参白木乾姜一袋各肉桂紅甘艸 五分陳皮の霍香茯苓良姜 各七 分 烏梅一分右十味萎棗を入煎ず ○此方尤も脈証をよく察して 用ゆべし湿熱の瀉に与ふれば 忽ち危きに至る慎むべし ○胃風湯風冷虚に乗して腸胃 に容り泄瀉り腸鳴腹いたみ温 毒下すこと黒豆の汁の如く或は 瘀血膿血を下すを治す人参 白木茯苓当皈白芍川芎 肉桂物分右七味粟一撮を入煎す ○此方脉弦緩にして浮なるもの 是を主とる腸胃に風証なく食 積実熱のものには用ゆべからず 参苓白朮散脾胃虚するもの又 は産後の泄瀉を治す ○補中益気湯泄瀉気 ○補中益気湯泄瀉久しきときは 元気かならす虚す此方を用ひて 補ふべし○右の二方共に内傷に見へ ○痢病しぶりはらたり 湿熱食積に因て痢病となり裏 急後重き證をなす赤きは血に属 して小腸より来り白きは気に属 して大腸より来る古へに腸僻と いひ滞下といふは皆今の痢病なり ○脈微小に宜し浮洪は宜しからず 滑大は吉にして弦急は凶なり 行和芍薬湯赤痢白痢初て起 頻に円にゆき裏意又残やうめて 少し腹痛を治す芍薬二匁当服 黄連黄苓各に大黄七分梹椰子 木香肉桂甘草各五分右九味煎 じ空心に服す◯一方に大黄肉桂を 去枳殻を加ふ◯湿熱積滞行ず初 発の者に用べし然とも多く用ゆ べからず胃の気先虧陽気下陥 のものには積滞ありとも与ことなかれ ○調和飲痢病久しく愈ざる者を 治す芍薬三匁当飯桃仁戔黄 連黄苓川芎諸升麻五分右七 味煎ず○湿熱のまだ除ざる者を 治す脾胃虚し気弱きものに 〃 用ゆれば立どころに死をいたす ○参飯芍薬湯痢去こと多く久しく 愈さるを治す當飯二茯苓芍 薬白朮各一砂仁せ山薬人参陳 皮甘草五分右烏梅燈草蓮肉を 加へ共に十二味煎ず○痢久しく止 ざるを治する要方也しかれども気 陥り或は虚脱する者には適当也 とせず別に治すべし ○直又養職湯痢病久しく愈ず赤 白の下すべきもの已に尽あるひは未 尽ず虚寒脱肛のものを治す人参 當皈省肉桂は木香四麺詞子一麺 甘草炙芍薬加杏粟戔粟殻塩加三白木六戔 肉豆蒄麩碾姜棗を入煎ず○元気虚 脱し自収ることならず図に行て後 には後重減ずる者を治す初痢 積滞の者にはかならず用ゆべからず ○倉廩散痢病発熱退かず風邪熱 毒ある者を治す又一家或は一郷皆 時行病を疫痢といふ此方これを 主る○人参敗毒散に黄連陳倉 米を加へたるを倉廩散といふ○方は 傷寒に見へたり○表邪を発散する の剤なり表証なき者には用べからず ○補中益気湯痢久しく愈ず陽 気下陥する者を治す○方は内傷有 ◯瘧疾おこ 風寒暑湿外を犯し飲食内を傷 りて此病をなす凡瘧邪の営衛 に舎る正に少陽半表半裡に属す ○脈瘧の脉は弦なり弦数は熱多 く弦遅は寒多し ◯九味清脾湯熱多く寒少く口苦 く咽乾き大便結し小便赤く澁り 脈弦数なる者を治す青皮厚朴 白朮黄苓牛夏柴胡茯苓草 果各一匁甘草二分右姜を入煎ず◯ 壮に実したる人の熱多きものに 用ゆ久しく用ゆれば他の病に変 じて救ひがたきことをなす ○七味清脾湯食脾を傷るに因て 痰飲をとゞめ発して寒熱をなすを 治す厚朴青皮半夏烏梅良 姜各二匁草果一匁甘草五分右毒棗 を入煎ず○飲食飢飽節ならず して胃瘧をなす者を治す虚弱の 人ならば縦ひ食積停痰ありとも 用ゆべからず ○人参養胃湯脾胃虚し弱き人 の瘧を発するを治す半夏厚朴 陳皮蘿香草果茯苓人参 蒼朮各八分烏梅本甘艸介右十 味姜棗を入煎ず○外風寒に感じ 内生冷に傷られて瘧をなすを 治す脾虚爵熱の者には宜からず 補中益気湯瘧久しく愈ず標 少く元気虚する者を治す本方に 乾姜を加ふ◯人壮に邪実したる ものには早く補薬を用ゆべからず ○壮実なる者の瘧を截には七味清 脾湯に梹榔子を加へ煎し一夜露 して発日の朝服すべし ○諸気付爵証 風寒暑温の邪外を侵し喜び怒 り悲み驚の気内に争ひて留滞 爵結の諸証をなす○脈沈なるを 気とす嗇弱は治しがたし 分心気飲男女諸気和せず欝 結留滞て病をなすを治す木通 肉桂半夏茯苓戔 大腹皮陳皮羌活路三甘艸二義半 赤芍 紫蘇二 赤芍薬薫麺右十二味姜棗 燈心を入煎ず○これ気を散じ爵を 宣るの剤也正気虚する者には用へからす 正気天香湯婦人諸の気痛をなし 或は寒熱往来し眩暈嘔吐等の 証を治す烏薬一匁半香附子六匁 陳皮紫蘇乾姜各六分半右五味 姜を入煎ず○真気いまだ虚せざる 人に先此方を用てこれを導く己 に虚するものには宜しからず 六鬱湯気血食痰温熱の六欝 を解し火を清くし痰を化し気を 順じ胸膈を開く陳皮一匁半夏 蒼朮川芎各一匁半山梔子赤茯苓 各七分香附子二匁甘草砂仁各五分右 九味毒を入煎ず◯此爵病いまだ 深からざるの設なり気耗血衰へ 病已に入こと深ものには用べからず 沈香降気湯陰陽雍り滞りて 気升り降りせず胸膈痞塞心腹 脹痛を治す香附子秘香六 砂仁半甘艸五分右四味塩少 ばかりを入煎ず○爵を解し壅を 開き気を下し滞を散ずる方なり 脾気傷れ血虚する者には用へからす 飯脾湯欝結久しふして心脾虚 し耗ものを治す○方は健忌にあり ○痰飲 脾気健かならずして飲食を消 せず津液を化せず胃中に滞 りて湿痰を生ず或は肺燥きて 痰をなし或は腎水上に泛で痰をな す稀を飲といひ稠を痰といふ○ 脈弦にして沈滑を兼るを痰とす ○二陳湯凡諸病痰飲ある者を治す 陳皮一匁半夏二匁茯苓一匁甘艸五分 右四味姜を入煎ず○脾胃の湿 痰を治する要方也脾腎虚し肺 燥くものには用ゆることなかれ ○瓜蔓枳実湯痰結をれ吐ども出 ず胸痛み満悶へ喘促等の証を治 す瓜蔓仁枳実桔梗茯苓貝母 陳皮黄芩山梔子各一匁当飯六分砂 仁木香各五分甘草三分右十二味姜 を入煎じ竹瀝姜汁を加ふ◯此方 痰結はけども出ず胸痛むを治 す然れども脉滑数にして実 なる者にあらすんば斟酌すべし ○咳嗽せき 風寒暑温の邪外皮毛の間に客り 内肺気を傷り脾温を動かして咳 嗽をなす声あるを咳とし痰あるを嗽 とす◯脉浮墻に宜し沈伏を忌 ○参蘇飲風寒に感冒し頭いたみ 発熱ありて咳嗽するを治す◯方は 傷寒に見たり○咳嗽久しく愈す 肺気虚する者には用ゆることなかれ ○清肺湯痰盛にして咳嗽止ざる を治す陳皮茯苓桔梗貝母 桑白皮匁黄苓半杏仁天門冬 麦門冬山梔子当皈洛七五味子 七粒甘草二分右十三味萎棗を入 煎ず○此方痰を消じ熱をさるの 剤なり陰火衝上りて肺を傷る者 には用ゆべからず ○杏蘇散上気痰喘咳嗽し面目 浮腫る者を治す紫蘇七分杏仁 五味子大腹皮烏梅各五分紫苑ニ 三分 半 ン半 各二 分半 桑白皮阿膠麻黄陳皮桔梗分布 分半 はい 甘艸二分右十二味姜を入煎ず○肺 を調へ燥を潤すの剤也痰多脾湿に 属するものには用ゆべからず 宝鑑瀉白散咳嗽して口乾き煩 熱し胸膈利せず喘促するものを 治す桑白皮二匁桔梗知母陳皮 地骨皮各一匁細辛青皮黄芩甘艸 各二分右九味姜を入煎ず○これ肺 火を瀉するの剤也肺寒喘なき者 には用ひがたし ○饉雑むねのかくをいふ 夫錯雑の証は飢たるに似て飢ず 痛に似て痛まず悶悩て寧からざる なり胃中に痰あり火これを動す に因て此病をなす◯脉弦滑を胸 中に留飲ありとす饉雑これより おこる ○消食清欝湯錯雑悶へ乱れ悪心 発熱し頭痛むを治す陳皮生夏 茯苓神麹川芎麦芽山梔子山 香子黄連蒼朮薩香香附子枳 穀各等甘艸少右十四味姜を入煎 ず○此宿食痰熱に因て錯雑を なすを治す尤も実人に用ゆべし 食欝ありとも虚人には用ゆべからず ○化痰清火湯錯雑痰あつて火の 動すに因ものを治す陳皮半夏 天南星黄連黄芩石膏知母 山梔子蒼朮白朮芍薬各等分 甘艸少右十二味姜を入煎ず○痰 火の錯雑胃実する者に用○或 は石膏知母の二味を去◯虚人或は 胃寒のものには用ゆることなかれ ○二陳湯火痰を動して錯雑を なし或は眩暈するものを治す 黄連黄芩山梔子を加へ用ゆ○方 は痰飲門にあり○痰火併せ上り 面赤きものを治す老人は速かに 其火を降すべからず虚人は尽く その痰を去べからず ○嘔吐付反胃呑酸死逆 胃中に寒あり或は熱ありて且生 冷寒硬きものに傷られ皆此證 をなす声あつて物を吐出すを嘔吐 といふ脉虚細は吉實大は悪し食 して後一日或は半日して吐を反 胃といふ脉浮緩は吉沈潜は悪し 胃寒の気逆して上るを嘔逆と云 しやくりの事なり脉浮緩はよし 弦急はあしゝ胃に宿食あつと酸味 をなすを呑酸といふ脉多は弦にし て滑或は沈にして遅 ○順気和中湯嘔吐反胃錯雑呑 酸噫氣噎膈等の証を治す 陳皮香附子山梔子各一匁白木茯 芩半夏各七分黄連神麹各六分枳 実五分縮砂三分甘草三分右十一味 菱を入煎じ竹瀝姜汁をくはふ○ 宿食痰火のものを治す血液い乾 き脾胃虚するには与ふべからず ○清爵豁痰湯気呑酸乃ち胃 ○清爵豁痰湯暖気呑酸乃ち胃 中に熱あり膈の上に痰あつて清 水を嘔吐するを治す陳皮半夏 茯苓黄連蒼朮川芎山梔子 縮砂神麹木香香附子山査 子各等分甘草少右十三味姜を入 煎ず◯宿食を消じ湿熱をさり 痰を化するの剤なり胃寒の者 にこれを禁ず ○丁香柿帯湯胃口冷手足冷て 吃逆するを治す丁子柿蔕 良姜肉桂半夏沈香茴香 蘿香厚朴縮砂陳皮木香釜 甘艸牛補乳香入る右十四味姜を 入煎ず○胃中に寒ある者を治す 大病の後に吃逆するは危し此薬 の及ぶ所にあらず大に胃を暖さめ 元気を補ふべし ○諸虚付虚労 稟賊素より弱く又寒さ暑さ労 役などのために傷られ或は色欲 を過して皆よく真気を賊ひ諸 虚の証をなす虚労は喜び怒り 恐れ驚く等の七傷によつて内五 臓を傷りて虚労の証となる○ 脈気虚は細緩にして力なく血 虚は大数にして力なし虚労の脉 は浮大あるひは弦数 四君子湯脾胃虚して飲食進 まざるものを治す凡諸病気虚 の者此方を主とす人参白朮 茯苓各二分甘艸一分右四味しやうが 棗を入煎ず○諸虚を補ふの功加 減佐使に因て至らずといふ所なし 然れとも大便秘結よく食し 或は外邪盛に實熱に属する者 にはしばらく用ゆべからず ○六君子湯気虚して痰ある者 脾胃衰へて湿ある者を治す 人参白木茯苓陳皮半夏 各等分甘艸山 各等分甘艸少右六味姜と棗を入 煎ず◯脾を益胃を補ひ痰を他し 湿を去の妙剤なり痰なき人にも 亦用ゆ又虚弱外感のもの此方を 主とし加減して用ゆべし 四物湯諸病血虚に属するものを 治す當故熟地黄各三匁川芎多 芍薬各二匁右四味煎ず◯凡婦人 の調経崩漏産後の諸証或は金 瘡血弱き等のもの此方を欠べから ず血を補ひ調へ血を生じ血分へ導 くの要方なり然れども上下よ り血を出すこと多く元気大に虚 する者にはかならず用ゆべからず 八物湯気血ともに虚する者を 治す当飯川芎芍薬人参 白朮茯苓熱地黄各等分甘草 少右八味姜棗を入煎ず◯大病 の後気血虚するもの或は素より 血気虚弱なる者みなよくこれを 治す又気虚に四君子湯を用て 気周からず血虚に四物湯を用ひ て血盈ざる者には共に此方を用て よく治す 十全大補湯気血ともに虚して 寒ずる者下元の気衰ふる者を治す 當飯川芎芍薬人参黄莨 白朮茯苓甘草熟地黄各等分 肉桂少右十味姜棗を入煎ず○ 素より元気弱く或は飲食労倦 に傷られ或は心を用ゆることを太だ 過して気血ともに虚し名け 状どりがたきの諸證をなし内は 真の寒にして外へは仮の熱證を あらはす皆此方よくこれを治す ○滋陰降火湯陰虚して火動き 発熱咳嗽盗汗口乾く等の証 を治す当故二分熟苦 天門麦門白木盆生芋分陳皮七分 黄栢痴知母冬五分右十一味 しやうが棗を入煎ず○色慾を過す 人熱時を定て来り盗汗咳嗽する には先これを用ゆ病久しく脾胃 傷れを受元気衰ふるものには用る ことなかれ ○加味逍遥散肝経血少き者脾胃 虚労して肝火動ものを治す 當歸芍薬白朮柴胡茯苓 一 た 甘艸三分牡丹皮山梔子各六分右 八味姜を入煎ず○牡丹皮山梔子 の二味を去は原の逍遥散なり○ 頬赤く口燥き煩れ熱し盗汗 咳嗽肝脾の血虚に属する者を 治す真元虚する者には用べからず 歸脾湯心脾虚し耗て諸証をな すを治す○方は健忘にあり○虚 熱を挟まば牡丹皮山梔子を加ふ加 味飯脾湯といふ 独参湯陰虚し陽暴に絶し 眩仆るゝを治す人参二匁水一合 入半合に煎じ服す或は姜五分を 加ふ◯手足冷元陽虚する者には 附子五分を加ふこれを参附湯と いふ◯真陽虚し脱け血を出す こと太だ多き者には諸病ともに かならず独参湯を用ゆべし口開 き手撮の時に至つては百金の 人参を費すといふとも益有へかず ○諸血證 諸の血証は多くは血熱妄に行て 此證をなす尤も寒あり虚実あ りよく辨へ知べし吐血は胃より出 る咳につれて血を出し唾に血を 出すと衂血とは肺より来る腎 りて血の出るは腎に属し小便 血は小腸と膀胱大便血は大腸よ り来る○脉諸の血證はみな花 脈をあらはす沈細に宜し浮大 によろしからず 犀角地黄湯血熱妄りに行あ るひは吐血衂血下血を治す犀角 牡丹皮各二匁生地黄二匁半赤芍 薬一本半玄参黄連黄苓各一匁 右七味煎ず◯咯血には山梔子麦 門冬黄栢知母当故を加ふ○唾 血には山梔子麦門冬黄栢知母 当飯熟地黄をくはふ ○加減四物湯吐血を治す当飯 生地黄芍薬山梔子貝母知母 牡丹皮黄栢麦門冬陳皮白木 玄参甘艸各等分右十三味煎ず ○咳血には草根黄苓を加ふ◯小便 血には車前子小薊を加ふ○右の二 方は血熱内に積脉洪大弦長にし て力あるもの血気強く盛なる者 には用ゆべし内傷の吐血或は虚 火上升の者には用ゆることなかれ かならず救ひがたきにいたる ○積聚 気の五臓の内に積るを積といふ その発ること常の処あつと痛も 又其処を外へ移らず聚とは気の 六府に聚るを聚といふ其発ること 上り下りして留る所なく痛も 亦常の処なし○脈実大はよし沈 小は宜しからず 〇大七気湯積聚気にしたがつて上 へ升り心腹痛み小腹脹満る者 を治す三稜莪朮青皮陳皮 香附子蘿香桔梗肉桂益智 各等分甘草少右十味姜を入煎 ず◯指迷七気湯といふも此方 のこと也○此方いまだ虚せざる者 の積聚を治すべし脾胃弱く気 血衰ふる者には用ゆべからず座中 みな君子なるときは小人自から 居ところなきの教へあり此方の 如き堅きを磨り結れを破るは 小人のわざにして君子の徳にあ らざるなり ○加減補中益気湯積聚或は上に あり下にあり或は左或は右にあつて 痛をなし百黄肌痩手足困倦飲食 を思はざるを治す○補中益気湯に 升麻を去茯芩半夏山査子枳実厚 朴を加へ共に十二味しやうが棗を入 煎ず◯元気大に虚するものには 枳実厚朴といふとも用ゆべからず ○水腫 腎を水とし脾土を堤とす故に 脾腎虚するときは水腫をなす 通身面目手足みな浮て腫を水 腫とし腹はかり大にして鼓の如く 面目手足腫さるを脹満といひ尽 脹ともいふ◯脈洪大なる者はよし 微細なるはあしゝ 分消湯水腫脹満を治し或は 脾虚して腫満をなし飽悶を治す 蒼朮白木茯苓陳皮厚朴 枳実各一匁香附子猪苓澤瀉 大腹皮各八分砂仁七分木香三分右 十二味しやうが燈心を入煎ず○此 方を実脾飲とも云◯飲食に傷 らるゝに因て腫をなすを治す氣 血虚弱して腫満するには用べからず 補中治温湯腫脹朝は寛く暮に 急なるは気血の虚とすみな此方 これを治す人参白木各万二分 蒼木茯苓陳皮当販麦門冬 木通各九分黄芩六分厚朴升麻 各三分右十一味煎ず◯気血の虚 に属するを治す脾肺大に虚し 或は下元虚寒の者には用べからず ○黄疸 湿熱脾胃に欝し蒸て面目手足 通身みな黄になるを黄疸といふ 尤も虚実あり一概に治すべから ず◯脈洪数を実熱とし微消 を虚弱とす ○清熱除湿湯湿熱脾に欝蒸 て五疸をなすを治す山梔子 黄連黄芩茵陳猪芩澤瀉 蒼朮青皮龍膽各等分右九味 煎ず○黄疸に五のわかちありと いへども湿熱に属する者はみな 此方これを主どる脾胃傷れ気 血虚する者には用ゆべからす○ 脾胃虚寒して黄なるには理中 湯を用ひ諸病の後に黄を発す るには四君子湯に陳皮黄莪白扁 豆を加へ用ゆ諸の失血して黄を なすには十全大補湯を用ゆべし ○疝気 内湿熱あつて外の寒気を受て 疝気の病をなす此證多くは 厥陰経にあり○脉牢急はよし 弱急は凶し ○呉茱萸湯疝気腹中冷痛み積 気上り逆し陰嚢冷たるを治す 呉茱萸五分川烏頭細辛各七分半 良姜当故肉桂乾姜各二分半 右七味煎ず○是寒湿に属する ものを治す湿熱気滞の者には 用ゆべからす ◯三和散疝気脚氣上り攻肢節 痛み腹満大便通ぜざるを治す 沈香紫蘇腹皮羌活四木香胡芎活 白朮梹榔陳皮甘艸冬二川芎 二分木瓜一分右十一味生姜入れ煎 ず○腹筋攣急大便通ぜず気 の滞りに属するものを治す津 液乾き血虚する者には用ゆる ことなかれ ○五積散寒湿の疝気を治す又 冬月寒気によつて発るには是 を用ゆべし本方に延胡索をくはふ ○方は中寒にあり ○汗證 動揺勢役ことをもせずして時と なく汗の出るを自汗と云陽虚 に属す盗汗は寝たる中に通身 に汗出て覚て後に智を云陰虚 に属す○脈大にして虚あるひは 浮にして軟寸口にあるを自汗とし 尺部にあるを盗汗とす ○当飯六黄湯陰虚して盗汗す るを治す當飯黄莪各反黄栢 生地黄熟地黄黄苓黄連各 七分右七味煎ず○苦寒の薬は胃 虚に宜しからず火実し気強き ものに用ゆべし ○参其湯自汗を治す熟地黄 當皈人参黄莨白朮茯苓 各一匁甘草二分白芍牡蠣酸棗仁 各一匁陳皮七分烏梅に浮小麦分 右十三味棗を入煎ず○気血を調 へ埋め汗を飲るの方なり自汗盗 汗ともにこれを治す ○黄莨建中湯自汗及び盗汗を 治す黄莨膠飴肉桂各二匁芍薬 三匁甘艸一匁右五味しやうが棗を入 煎ず◯陰気損じ陽虚するもの 皆此方を用ひて自汗盗汗を治す ○眩暈付健忌怪仲 風邪上り攻痰壅りて眩暈をなし 或は気虚失血或は陰虚火動皆 よく此証をなす心脾虚し耗意 思寧からずして健怠をなし壮仲 をなす◯脉浮を風とし弦にして 滑を痰とす健忌唖仲の脉は大 にして結 ○清暈化痰湯眩暈を治す陳皮 半夏茯苓粉一匁枳実一匁黄芩 川芎須各八白羌活各七分防風 細辛天南星各六分甘艸三分右十 二味姜を入煎ず○強く実なる者 風痰上り攻て眩暈するを治す 若虚証の眩暈に用ひば立ところ に危からん 歸脾湯思慮して脾を傷ぶり 或は下血衂血心虚して妊伸し 驚きよく鍵忌するを治す人参 黄莨白木茯苓龍眼肉酸棗仁 各二匁 炙各 炙各 桑名右十味華春を入煎ず ○心脾虚するものを治す実熱痰 結のものには用ゆべからず ○消渇かはきのやまい 上消は邪熱肺を燥して多く水を 飲食すくなく大小便常のごとし中 消は胃熱し脾陰虚す飲食共に 多して小便赤し下消は腎虚し 水乾く多く水をのみ小便膏のご とくにして渋る○脉実にして堅大 なるはよし細にして浮短なるはあしく ○ 黄連地黄湯三の消渇を治す 黄連生地黄當皈人参葛根 茯苓麦門冬五味子天花炒各 等分甘艸介右十味生姜棗を 入煎ず○血熱を除き液を生じ 渇を止るの剤なり下消腎水甚だ 虚し津液上らざる者には仲景 の八味丸を用べし此方の如は其治にあらず ○小便閉大便閉 小便閉は寒熱膀胱に客り気閉て 通ぜざる也大便閉は風寒温気皆 よく腸胃の間に壅り滞り気渋 りて大更秘結することをなす二 証ともに或は諸虚失血のしな〳〵 あり誤り治すべからず◯脉小便 閉は浮弦にして潜大便閉は多は 沈伏す 潤燥湯大便閉結して通ぜざる を治す桃仁紅花升麻大黄 麻仁当販路一生地黄 甘艸洛五右九味煎じ梹榔子の 粉五分を入て服す○大腸血少く 燥て通ぜざる者を治す元気虚弱 には用ひがたし ○八正散小便通ぜず少腹痛むを 治す◯方は淋病にあり○湿熱下 に注ぎ小便通ずべき勢あつて 卒に通ぜさるを治す脾胃弱く 腎虚するものには用ゆべからず ○淋病 脾土傷れを受飲食の気を運し 化すること能はず肺金助なくして 水道清からず或は色欲を過し 及び七情の爵結又は湿熱の難寺 及び七情の爵結又は湿熱の壅重 滞るによつて此証をなす◯脈盛 大にして又は吉野町 大にして堅は吉虚細にして潜は凶 ○五淋散気砂血膏労の五淋を治 寸赤芍薬山梔子各十両赤茯苓 六両当販甘艸 六両当飯甘艸各黄苓三両右 六味燈心を入煎ず○一方に生地黄 澤潟木通滑石車前子を加ふ共に 十一味○強く盛なるもの肺気調 らずして熱淋をなすを治す虚 する者には与ふべからず 八正散小便赤く渋り閉て通 せず及び熱淋血淋のものを治す 大黄瞿麦篇蓄滑石木通 山梔子車前子冬等分甘艸少右 八味燈心を入煎ず◯熱淋実証の ものを治す通薬は腎気を瀉す 多く服すべからず況や虚する者をや 補中益気湯老人虚人及び陽 ○補中益気湯老人虚人及び陽 気下陥して淋をなすを治する 肺氣熱を受て不足する者には 五味子麦門冬を加ふ方は内傷にあり ○遺精付遺弱よばり 夢に交合して精を泄を夢遺と云 又思ひ願こと遂ずして心疲れ火 動き或は色欲を過して腎虚する もの皆よく遺精をなす又膀胱 の気約なければ覚ずして小便を たるゝ是を遺溺といふ◯脉左右の 尺脉洪數なるを遺精とす寸脉短 小なるを心の虚とす 清心湯遺精夢遺を治す黄連 生地黄当皈人参遠志茯神 酸棗仁蓮肉各等分甘艸少右 九味煎ず○心動き火したがつて 遺精するを治す腎虚し肺氣 衰ふものには此例にあらす 参武湯気虚して遺溺するを治す 人参黄節陳皮茯苓当皈 熟地黄白木各反益智八分升麻 肉桂各五分甘艸三分右十一味生姜 棗を入煎す◯遺溺は肺氣の虚に 属す此方これを主とる急病元気 虚脱する者には四君子湯を用ひ 茯苓を去黄莨を加ふ此方のごとき よく治する所にあらず ○頭痛 風寒暑湿に浸され或は気血の虚 弱により気逆上して頭痛を作 後には常に発りて頭風となる痛 偏にあるを偏頭痛といふ又脳の内尽 く痛み手足冷て節に至るものを真し 頭痛と云かならず死す薬のおよぶ 者にあらず◯脉浮滑は吉短潜は治 し難し 半夏白朮天麻湯痰厥り頭痛 眩暈するを治す半夏麦芽 陳皮各七八分半白朮神麹各五分人参 各三 蒼朮茯苓天麻黄昏澤瀉咎 分半 乾姜三分黄栢一分半右十三味 姜を入煎ず○脾胃素より弱くして 飲食に傷られ脾湿痰を生ずるの 頭痛に眩暈をなす者を治すべし 外邪の頭痛及び気血虚するもの には用ゆることなかれ ○川芎茶調散諸風上せめ目昏く 頭痛み鼻塞り声重きを治す 薄苛四匁荊芥川芎各二匁羌活 白莚各一匁細辛五分防風一反三分甘草 五分右八味好葉茶を二匁入煎ず或は 右の八味を散薬にして煎茶の 薄にて用るもよし風気に感じて 頭痛するを治す又風邪いまだ悉く 去ず尚上部に留りて只頭痛する にも亦用ゆべし気血虚弱には風気 ありとも此方の宜き所にあらず ○加味調中益気湯気血ともに虚 し頭痛するを治す人参黄莨 蒼木川芎各六匁当政五匁升麻 柴胡陳皮蔓荊子各三分細辛黄栢 甘艸各二分右十二味煎ず○気虚し 血弱き者の頭痛を治す或は補中 益気湯十全大補湯のたぐひ宜しき に随つて用ゆべし ○心痛付腹痛 痰食中に欝し七情の結滞によつ て心の痛をなす又内外の邪氣心 を犯し大に痛み手足冷て節に至 るものは必ず死す此を真心痛といふ 療治の及ぶ所にあらず腹痛には寒 あり熱あり死血あり温痰あり食積 あり皆よく腹の痛ことをなす○脉沈 弦細動みな痛の証なり寸口にあ らば心痛とし関部にあるを腹痛とす 清熱解爵湯心痛多くは気欝し 熱をなして痛むものを治す山梔子 黒二匁 川芎香附妙枳殻黄連 各一銭陳皮干姜各五甘艸三蒼朮 七分 第右九味姜を入煎ず○壮なる者 気爵により痛を治す痰に因て 痛には二陳湯に枳実縮砂を加へ用 ゆ虚人内傷のものには補中益気 湯を用ひ草豆蒄を加ふ熱痛には 又山梔子をくはふ ○開爵導気湯一切の腹痛を治す るに総司どる也蒼木香附子 川芎白韮茯苓滑石山梔子 神麹各一匁陳皮乾姜各五分甘艸 氷右十一味煎ず○此方諸の腹痛 を総治するの薬也しかれども諸 薬雑り乱てその功をなすこと専 一なり難し寒によつて痛には五積 散熱には小柴胡湯食積あらば香 砂平胃散を用ゆ一概に此方を以て 総治すとすべからす ○脇痛付腰痛肩背痛 厥陰肝経は雨の脇を行る故に風 寒痰飲此経に容り或は肝の実 火或は死血あるもの皆よく脇痛こ とをなす腰は腎の府也寒温風虚 腎を侵すもの皆腰痛をなす肩 背は手の大陽経の主ざる処なり 気爵して行ざるときは痛をなす◯ 脉左右ともに弦なるを脇痛とし沈 弦を腰の痛とす ○疎肝湯左の脇の下痛は肝積也 或は怒て此証をなし或は物に撃れて 痛を治す黄連呉茱萸◯煎じ汁に 浸し焙二匁柴胡當皈各一匁半 青皮桃仁枳殻各一川芎芍薬 十二分 五分紅花五分右九味煎ず○右 の脇痛ときは姜黄桂心陳皮甘 草を加へ共に十三味姜を入煎ず○ 肝精痰血或は怒によつて痛をなす 実証の者に用べし肝腎の虚には用 べからず ○補陰湯腎虚して腰痛を治す 当飯芍薬生地黄熟地黄陳皮 茴香牛膝破胡紙杜仲茯苓 人参各一匁黄栢知母洛七甘艸三 右十四味棗を入煎ず○腎虚常に 腰痛ものを治す腎元大に虚する には與ふべからず 独活寄生湯風湿腎を傷りて腰 痛を治す○方は中湿に見へたり 通気防風湯肩背痛で首の動 き難きを治す荒活独活各一匁 藁本防風川芎麩甘草蔓 荊子略六右七味煎す○気爵し大 陽経行す実証のものを治す気血 虚弱内傷のものには補中益気湯 あるひは八物湯に黄蒸を加へ用ゆ ○痛風付痺證 風寒湿の気に侵されと痛をなし 痺をなす古へには是を痛痺と云虎 の咬が如くに此彼痛によつて又是を 白虎歴節風といふ◯脈弦にして緊 を痛風とす痺は浮潜にして緊 羌活湯遍身骨節痛ものを治す 羌活蒼朮黄芩当皈茯苓芍 薬香附子半夏各一匁半木香陳 皮各七分甘艸三分右十一味姜を入煎 す◯風温によつて痛を治す血気 虚して痛む者に用ゆれば反つて 病をます与ふべからず ○大防風湯一切の麻痺痿軟風湿 虚を挟みたるを治す白木一匁半 熟地黄防風当師黄甚芍薬 杜仲各一匁川芎附子各七分半人参 羌活牛膝各五分甘艸二分右十三 味姜棗を入煎ず○これ虚証の者 を治するに宜し外邪の風痺実証 のものには宜しからす ○脚気 脾胃虚弱にして外邪のために侵 され温熱下に注ぎながれて此病を なす脚腫を温脚気といひ腫ざるを 乾脚気といふ古はこれを厥と云 後に又緩風といふ皆令の脚気の こと也◯原微滑を虚とし牢堅を実 ◯羌活導滞湯脚気初めて芎芎 一身悉く痛み手足腫痛大小便 滞り結するを治す先此方を用ひて これを導く羌活独活酪半富飯 防巳各二銭枳実業大黄四戔 右煎服す○風湿を去二便の結滞 を通ずるの剤也久病の者及び 二便順なるものには用ゆへからず ○当飯枯痛湯湿熱の脚気手足 の節骨煩れ痛み肩背重遍身 痛み脛赤く腫或は瘡を生ずるを 治す羌活当皈猪苓知母 白朮澤瀉各六分人参苦参外 麻葛根防風蒼朮各四分菌陳 黄苓各五分甘艸三分右十五味煎 ず○脚気腫痛み温熱内に壅り 黄を発する者を治す寒温には五 積散を用ひて木瓜梹榔子穿山用 を加ふ風湿の脚気には香蘇散に 木瓜梹榔子を加へ用ひて気道を通 ず気滞り順ならざるには三和散 血虚には四物湯を用ひて加減すべし ◯眼目 眼は血の養を得てよく視ことを作 かるがゆへに血不足すれば眼病となる 然ども血餘あるも亦よく病ことを なす或は風熱上を侵し辛熱を食 すること多く或は色欲を過して腎 水を耗し労役ことをなして気を傷 るこれ皆よく眼の諸証をなす○ 脈共弦数なるを眼病とす ○洗肝散風熱上り攻暴に赤く腫 痛み陰溢涙多きを治す山梔子 當服川芎薄苛羌活防風大胡芎活 黄冬等分甘艸少右八味煎ず○肝 熱を去風毒を除く方也又病目を 治す血虚労倦の者には用ゆべからず 滋腎明目湯神を労し腎虚し て血少く眼痛み物を視ことを欲せ ず及び内障黒華を見るものを治す 當歸川芎芍薬生地黄熟地 黄各一匁桔梗人参山梔子白芝 黄連蔓荊子菊花甘艸谷五分 右十三味好葉茶燈心を入煎じ食 後に服す◯血虚し火熱に属する 者を治す脾胃の気虚する者には かならず用ゆべからす ○益気聡明湯飲食労役に因て 脾胃不足し内障耳鳴を治す 黄花人参各五分升麻葛根各三分 芍薬黄栢各一分蔓荊子一分半右 七味煎寸◯眼常に昏して物を視 難きもの元気大に虚せざるに用 ゆべし元氣大に虚する者には補 中益気湯を用ひ人参黄甚を倍す 久しく病で形気ともに虚損する 者及び血虚の者には十全大補湯に 白豆蒄沈香附子を加へ用ゆ ○口歯 舌は心の苗也歯は骨の餘にして 腎気これを主どる熱により虚に因 て舌歯の諸証をなす胃熱によつ て此病をなすもの又多し○脉吐い 数を熱たし微弱を虚とす寸尺に よつて心腎を診む ○清胃散胃熱にて唇裂或は口 中に瘡を生じ歯痛み齦腫或は 膿爛て痛を治す石膏生地黄 當皈黄連外麻防風牡丹皮 荊芥各等分右八味煎ず○歯の痛 胃熱に属するものを治す火の有 餘には涼膈散を用ゆべし脾胃虚 するもの及び爵熱の者には共に かならず用ゆべからず ○玄参升麻湯舌の上に瘡を生じ 或は舌腫て痛を治す玄参升麻 赤芍薬桔梗枳実黄苓犀角 各等分甘艸少右八味生姜を入煎 ず○心脾に熱壅りて此証をなす ものを治す虚熱には用ることなかれ ○定痛散虫蝕歯痛甚しきを治す 当飯生地黄細辛干姜白並 連翹黄連山椒苦参桔梗烏 梅各等分甘艸少右十二味煎じ 先口に喩み漱ぎ後に嚥下す○ 腸胃の中に湿熱あつて虫歯を病 者を治す上齦は胃経の分れ行る所 下歯は太陽経の絡脉なり総て牙 歯の病を療ずるものは上下を分つ て治すべし此方の如き虚弱の 者には虫歯ありとも用ゆべからず ○清胃保中湯虚弱なる者歯痛 で忍られざるを治す補中益気 湯に生地黄黄連牡丹皮をくわへ たる方なり○心脾の虚熱によつて 舌腫痛発熱口乾き食少きもの には加味飯脾湯を用ゆべし方諸虚に ◯咽喉のんど 喉は気を通じ肺に繋る咽は物を 嚥胃に通ず五蔵熱するときは 腫塞つて通せず六府寒ずるとき は縮り硬して物あるがごとし或は虚 火上升し或は風痰上り壅つて 腫痛ことをなす◯脈実滑はよし 微にして伏する者は治しがたし ○清涼散一切の実火にて咽喉腫 痛を治す桔梗二匁山梔子 連翹黄苓防風枳穀黄連 当飯生地黄各一匁薄苛五分甘 草三分右十一味燈心細茶を入煎 ず◯咽喉腫痛或は閉塞り或は瘡 を生ず実熱の者ならば皆よく是 を治すべし虚火には用ゆべからず 死を招く ○牛蒡子湯風熱上り咽喉腫痛 或は瘡を生じ言語なり難きを治 寸牛房子一匁玄参犀角什麻 黄芩木通桔梗各一匁甘艸五分 右八味煎ず◯風熱腫毒のものを 治す◯風痰上り壅りて咽痛もの には二陳湯に桔梗荊芥薄苛を 加へ用ゆ○虚弱労倦のものには補 中益気湯を用ひ桔梗玄参黄栢 を加ふ◯相火亢るものには四物湯を 相火亢るものには四物湯を 四月廿一日天花粉桔梗甘艸 用ひ知母黄栢天花粉桔梗甘艸 玄参をくわふ ○通関散喉痺腫痛言語ならざる を治す人参白木茯苓各一匁 防風荊芥薄苛乾姜各五匁桔梗 梗二匁甘草一匁右九味附子を加へ 煎ず◯これ喉痺腫痛を治する 從治の法也驟て寒涼の薬を用る ことなかれ必らず死す。急なる時は 腫たる処を突破りて血を出すべし 血をとるを妙とす喉痺は急症也 早く治すべし遅緩ば救れざるに至 ○耳病みゝのやまひ 耳は腎の主どる竅也多くは腎虚 によつて耳の病をなす或は氣逆上 り或は労傷する者又は風痰湿熱 皆よく耳病をなす◯脈左の尺 脈をとつて是を候ふ浮を風とし洪 を熱とす腎虚すれば嗇脈を見す 滋腎通耳湯腎虚して耳聞す 鳴を治す当皈芍薬生地黄 川芎知母黄栢黄苓香附子 柴胡白莚各等分右十味煎ず○ 腎虚火亢るものを治す中気虚 弱には用ゆべからす ○蔓荊子散上焦熱し耳内より膿 汁を出し及び耳鳴て聞へざるを治 寸夢荊子什麻木通赤芬某 麦門冬生地黄赤茯苓桑白皮 前胡菊花甘草各等分右十一味 姜を入煎す◯風熱上にあつてこの 証をなすものを治す実証のものゝ風 熱甚しきには防風通聖散を用ゆ ○気欝し逆上るには沈香降気湯あ るひは十六味流気飲◯血虚し火あ るものには回物湯を用ひ山梔子柴胡 を加ふ○中気の虚弱には補中益気 湯○腎水虚し火動者には六味地 黄丸を用ゆべし 痔漏 内辛熱の物を多く食し及び色 欲を過し憂思ひに傷られ外風 熱湿燥に侵されて此病をなす肝 門の辺に瘡を生じて破れざるを 痔とし破れて膿血の出るを漏とす ○脉沈小にして実なる者は吉浮渋に して軟弱なるものは治しがたし ○秦丸羌活湯痔漏塊をなし或は 下り頻に痒きを治す羌活一に二分 秦丸黄莨鰹防風升麻麻黄 柴胡甘草飴五藁本細辛 紅花各少右十一味煎じ服す ○秦丸防風湯痔漏毎日大便の時痛 をなすを治す秦丸防風当版 白木各一匁半沢瀉甘草拾六黄栢 五十一月廿五日大黄陳皮分麻合ニ桃 仁仁紅花少右十三味煎ず○右 の二方は風を去り湿を除き熱を清 くし毒を解す虚証には用ひがたし ○痔漏久しく愈ず気虚するもの 及び老人気弱きもの或は痔を攻 る薬を誤り服して血大に下るもの にはみな四君子湯を用ひ黄甚白扁 豆槐花を加ふ◯内熱の痔漏下血 する者には四物湯に黄苓黄連槐 花をくわへて用ゆべし ○脱肛 脱肛は肛門の脱出るを云肺気虚 寒し大腸の気提る力なき時は此 証をなす或は痔漏下血久痢の後 或は産婦の努力小児の叫號みなし よく脱肛をなす◯脈小にして緩 なる者は治易し是に反するものは 治しがたし ○参甚湯脱肛を治す人参黄甚 當飯芍薬白朮生地黄茯苓 各一匁升麻桔梗陳皮各五分甘 草三分右十一味美棗を入煎ず○ 虚寒には乾姜を加ふ◯脾肺虚寒 ずる者の脱肛を治す湿熱外邪 のものには宜しからず 升陽除湿湯大腸に湿熱有て脱 肛する者を治す柴胡升麻羌活活活 防風猪苓沢瀉五蒼朮陳皮 神麹三芽甘草各三分右十一味 煎ず○大腸に温熱ありとも素 より虚する者には用ゆべからず○ 風邪によつて脱肛し実証の者 には敗毒散を用てよし◯血熱には 四物湯を用ひ黄栢升麻を加ふ○ 脾肺弱く元気虚する者には補 中益気湯に詞子樗根を加へ用ゆへ ○気血ともに虚せば八物湯或は 十全大補湯を用ゆべし ○癲癇 夫癲は或は狂ひ或は静也泣笑こと 常ならず言語こと頭あつて尾なし これ志し大にして願こと遂はす 心血不足して此証をなす癇は時 々に発て又止なり其発ること或は 驚により或は怒によつて痰火を動 かし目眩仆れ痩症抽掣かならず 涎沫を吐これ大に驚き恐るゝに因 と神気守らずして此証をなす 又幼少とき大に驚き感じ触て 後に此病と成ものあり◯脉大滑は 吉沈小緊急は凶し ○養血清心湯癲は心血の不足とす 喜び笑こと常ならざるを治す 一人参店人参店 人参白朮茯苓遠志酸棗仁 當飯川芎生地黄石菖蒲洛木 石菖蒲啓等 甘艸少右十味煎す◯これ心の気 血を補ふ剤也實熱邪氣盛にして癩 に似たる者に用ゆることなかれ ○清心抑膽湯癇は気血の虚に属して 痰火を兼る者を治す当故芍薬 白木茯苓陳皮半夏香附子 枳実竹茹菖蒲黄連各一匁川芎 枳実竹茹菖蒲黄連各一匁川芎 人参遠志甘艸麦門冬路四華煎ず 養老一方丹溪の母年七旬にこへ素 より痰飲多く大便結し小便少き を治す人参白朮大牛膝芍薬中 陳皮茯苓に○春は川芎を加へ夏は五 味子黄苓麦門冬を加へ冬は当飯生姜 加へ一日に一二貼与へて小便長く快き ときは薬を止む ◯又八旬の老人二便通ぜさるに益気 湯の煎湯を以て六味丸を与て安し ○外科 ○癰疽付諸瘡 瘤は六腑に属す毒外にありて発 ること暴也しかれども筋骨を傷ら ず疽は五臓に属して毒内を攻て 発ること緩し毒深くして筋骨を 傷る又云く二寸より五寸までを癰 とし五寸より一尺までを疽とす今通 じて癰疽といふ内飲食の積熱に より外風寒湿の氣に傷られ或は水 耗火動き或は気鬱労倦によつて 皆これを生ず○脈浮数を癰とし 呪数を疽とす 荊防敗毒散癰疽諸の瘡毒の初 發惡寒發熱甚しく頭痛傷寒に 似たる者を治す○方は敗毒散に人 参を去荊芥防風連翹忍冬を加へ 共に十三味也◯風熱の積毒による もの実証のものに用ゆべし内傷の 者には初発といふとも用べからず 十六味流気飲名もしれぬ諸の 悪瘡癰疽或は乳岩を治す又気 爵して腫物を生じ或は皮肉の間 に核を生ずるにこれを用ゆ人参 黄莨当飯川芎芍薬梹榔子 肉桂防風烏薬白並枳殻 厚朴木香各一匁紫蘇一匁半桔梗 五分甘艸三分右煎ず或は青皮を加 ○気爵し或は怒によつて気血凝 滞りて腫物を生ずる者に用ゆ多 服すべからず況や気弱く血虚の者をや 千金内托散疱疸或は瘡癬の ○千金内托散癰疽或は瘡癬の 類いまだ口開ざる者又は已に膿潰 たる者皆よくこれを治す人参 黄藍当皈各二匁川芎防風桔梗 厚朴白並肉桂各一匁甘草五分右 十味煎ずあるひは酒を加て煎じ又は 粉薬にして酒にて用ゆ○人参黄茂 あつて気を補ひ当飯川芎血を 補ふといへども血を燥し氣を瀉する の薬なきにあらず故に癰疽潰へ 広りふかく腐るものには用ることなかれ 托裏散癰疸気血虚して起り 発することあたはず或は腐り潰へて 歛りがたく及び肌肉を生せざるを 治す人参黄或各二匁白朮陳 皮当皈熟地黄芍薬茯苓五 各一匁 五分 甘艸一匁右九味煎す○癰疽気血虚 する者には始め終りともに是を用 ゆべし或は陽気下に陥り元気虚 する者には補中益気湯を用てよし ○癰疽膿大に出て後は八物湯十 全大補湯の類を用て調へ理むべし 虚甚だしき者又冬の寒ずる月など は乾姜附子をくはふ ○下疳付便毒楊梅瘡 色欲動ども遂はず或は交合する こと潔からずして玉茎に瘡を生ずる を下疳といふ便毒は小腹の下腿の 縫めに生ず色欲直に遂ることをせず して陰精中途に留りて便毒とな る楊梅瘡は下疳或は便毒によつて 生じ又は人より感ても又よくこれ をなす何れもみな肝腎の湿熱 にて下疳便毒腫痛み小便しふり 前陰痛み痒き等の証を治す 柴胡二匁沢瀉車前子各一匁五分木通 生地黄当皈各反龍胆五分煎ず ○前陰に生ずる病肝経の湿熟痰 壅るものは皆よくこれを治す虚する 者には用ることなかれ◯血虚熱ある ものには田物湯を用ひ柴胡山梔子 を加ふ○虚熱食少き者は加味道 遥散◯元気虚するものには補中 益気湯或は山梔子龍肥を加ふ □□□□□□□ ◯捜風解毒湯梅瘡を治す或は 軽粉の入たる薬を服して筋骨 ひきつか痛み身節遂はさるを治 土茯苓七匁薫薇仁金銀花防風 木瓜木通白鮮皮各五分梍角子 四分右八味煎ず◯気虚には人参を 加ふ◯楊梅瘡を治する要方也或は 下疳を病ものも亦これを用て兼 て楊梅瘡を防べし気血虚する ものには斟酌すべし 疥瘡 風熱或は湿を挟み皮膚の間に客 りてこれを生ず ○升麻和気飲疥瘡手足に生じ 痛み痒く寒熱あつて前陰の辺り 湿痒を治す升麻葛根白荘 陳皮蒼朮桔梗各一匁当飯出夏 茯苓乾姜枳殻大黄各九分芍 薬七分甘艸五分右十四味生姜を 入煎ず◯疥瘡浮腫前陰湿痒を 治す虚人には宜しからず ○瘰癧 痰壅り熱生じて火散ぜず或は氣 欝し痰滞りて耳の前後或は頤 の下胸腋などにいくつも結核を生 ずるを瘰癧といふ 五香連翹湯諸の悪瘡結核るい れきを治す大黄三匁連蕘丁香 升麻独活木通桑寄生扁竹 各七 義登 木香沈香論甘艸乳香鹿青 四十七艸乳香鹿寿香 に 右十三味煎ず悪物大便より 下るを度として薬を止む◯是気 を導引血を通じて壅り滞りを散 するの方也気血実する者の初発 に用ゆべし膿潰ての後は与ふべか らず虚する者には初発といふ共 用ゆべき薬にあらず ○十六味流気飲気欝し或は怒 気によつて皮肉の間に結核を生 ずるを治す○方は癰疽に見へたり 益気養栄湯爵証にて瘰癧を 生じ手足腫肉の色変らず或は日 晡に熱気さし或は潰て飲らざるを 治す黄葛人参白木各一匁半 当版芍薬熟地黄陳皮貝母 香附子各柴胡桔梗川芎地骨皮各 五分甘艸三分右十四味煎ず○体虚 爵結して瘰癧を生ずるを治す氣 血大に虚せば十全太補湯に香附子 貝母遠志をくはへ用ゆ ○損傷付破傷風金瘡 物に撲れ或は高きより堕て皮破 れず内損ずる者を皆損傷と云 血出ざるによりて瘀血となる也破 傷風は金瘡の口或は腫物の口より 風邪を引込て寒熱発り或は口噤 め身直み或は反張る金瘡は刀にて 切破らるゝを云◯脉損傷内に瘀血 あつて腹脹るゝもの脉堅強はよし 小弱は凶し金瘡血出ること多くして 脈虚細なるは吉急数大なるは凶し 導滞湯打撲れて内に瘀血あ つて痛をなし腫をなすを治す 熟地黄赤芍薬各二匁黄苓杉椀 子牡丹皮各反半当飯尾一匁桃仁 八分紅花三分右八味煎ず酒にて蒸 たる大黄一匁を加へて尤も効あり○ 瘀血を攻下すの方也実人に用ゆべし 虚証には八物湯益気湯の類を用 ひて瘀血を去の薬を加ふべし ○羌活防風湯破傷風邪気来にあ 一荒治助医場破傷風邪気表にあ るを治す○羌活防風当皈芍薬 川芎藁本各一匁地楡細辛各五分 甘艸三分右九味煎ず ○白朮湯破傷風汗大に出て止す 筋攣手足臍搦を治す芍薬四匁 白木葛根各二匁升麻黄苓各一匁 甘艸五分右六味煎ず 大芎黄湯破傷風裏にあるを治す 川芎一匁黄芩大黄羌活各夏牛活 右四味煎ず大便下るを度として 薬を止む◯右の三方は破傷風を治す 皆実証の者に用ゆべし◯気血虚弱 なるには八物湯十全太補湯の類ひを 用て風邪を去の薬をくわふべし ◯加味四物湯金瘡血を出すこと多き を治す○方は旧物湯に人参黄莨を 加へ共に六味煎ず◯金瘡を治するに は脾胃の気を扶け気血を補ひ血熱 を清すべし四君子湯補中益気湯 八物湯十全太補湯の類ひ証に随 つて是を用ゆ又血出ること大にして 元気虚脱するには独参湯を用べし ○婦人科 ○経脉付経閉 婦人は十四にして月水時を以て下る これ女は陰にして月の盈虧有が如し 月経調らざれば後諸病となる慎み 治すべし○脉左の尺脉微嗇或は浮 滑にして勺からざるは月水調ふらず 或は通せざるなり ○四物湯経水の調らさるを治する には此方を主とし加減して用ゆ○方 は諸虚にあり○加減の法○経水 来らんとして腹痛むは血実し気 滞る也桃仁紅花香附子黄連延胡 索牡丹皮莪朮青皮を加○経水来 りて後に痛をなすは四君子湯に合 して乾姜を加◯経水いつもの時分を 過ても来らず痛をなす者は血虚し 寒ある也桃仁紅花香附子肉桂莪 木木通蘓木甘草を加○経水来る こと多きには黄芩白木を加ふ◯経水 澁り少きには葵花紅花を加○瘀 血を行ずには桃仁紅花肉桂涎胡 索香附子青皮の類を加○痰あらば 半夏陳皮天南星を加◯経水閉て通 ぜざるに桃仁紅花を加ふ痛あらば 莪朮肉桂五霊脂を加○右四物湯を 主とし証に随て加減じ用ゆ体痩 火多く血分傷をうけ気虚せさる者 に与ふべし○経水先だつて来るは血 熱也脾経の血燥によらば加味道遥 散脾経の欝火に因てなさば皈脾湯を 用ゆ労役火動には補中益気湯○経 水時に後て来るは血虚也脾経の血虚 するには人参養栄湯肝経の血少き には六味地黄丸気虚し血弱きには八 物湯を用ゆ◯経閉脾胃虚し血を生 ずること能はさるには六君子湯を加へ 當飯を加ふ脾胃の欝火には飯痺湯 肝脾の虚熱によらば加味道遥散血 弱く気虚し痩衰へ夜に至て熱あ る者には八物湯を用ゆ虚甚しく或 は寒月なとは乾姜附子をくはふ ○崩漏 内血気弱く外風冷に侵されて 血大に下り止ずして後には血気虚 脱の証となる○脈小虚にして滑な るはよし大緊実数なるは悪し 加味四物湯崩崩漏初には先此方 を用ゆべし○方は四物湯に荊芥防 風升麻を加へ共に七味煎ず◯血止 ずんば蒲黄白木を加ふ◯此方気の 実ずる者の初発に用べし多服すべ からず況や気虚して血を攝むること 能はざる者におゐてをや ○膠芥湯崩漏止ず小腹痛むを治 阿膠川芎甘草略一當飯艾葉 各三 各三熟地黄芍薬各四右七味 ま 煎ず◯血気を労傷して血止ざる者 を治す◯崩漏發熱するには八物湯 を用ゆ熱甚しくは干毒を加ふ◯気 虚して血を擾め止ること能はざるには 補中益気湯血くづれ出ること大にして 陽気暴に絶し已に死せんとするには 独参湯を大服にして用ゆべし ○帯下こしけ 温熱凝滞り帯脉を過て淋ぎ下る 故に帯下と云白きは気に属し赤 きは血に属す ○升麻滲温湯経水調ふらず帯下 赤き白き共に治す当師川芎 芍薬生地黄白朮茯苓蒼朮 陳皮香附子砂仁半夏各一匁 乾姜七分黄柏知母柴胡升麻 各五分甘草三分右十七味姜棗を入 煎ず◯血虚温痰熱を兼る者を治 寸○帯下久敷愈ずして虚に亘る 者には用ることなかれ ○五積散赤白帯下寒温に属する ものを治す○香附子呉茱萸茴香 を加へ用ゆ○方は中寒にあり ○加減十全太補湯久敷帯下を病て 痩衰へて力なく身痛み食少く日哺 には煩れ熱し小便渋るを治す◯方 は十全大補湯に肉桂を去車前子地 は十全大補湯に肉桂を去車前子地 骨皮鹿角膠を加へ共に十二味煎ず ○気虚湿痰下に注ぐ者には補中益 気湯を用ひ蒼朮牛夏茯苓黄栢を加 ○婦人 ○産前付臨産 男の精これをほどこし女の血この精を 摂れば懐胎となる精女の血に勝て 気を子宮の左に受るものは男子と成 血男の精に勝て氣を子宮の右に 受るものは女子となる○脉心脉の動 甚しく腎脈これを按て絶せざるを 妊娠とす左の脉沈実を男とし右の 脈浮大を女とす ◯験胎散血の塊りか胎たるか疑はし き時はこれを用ゆ川芎一味粉に して一匁艾葉の煎じ汁にて用ゆれ ば腹の内少し動くを胎とす動かざ れば懐胎に非す◯此方実人を験べ し川芎の走竄なる暴死の誠あり 虚人には好酢をもつて艾葉を煎 じ半盞ばかり用ゆべし腹中大に 痛を妊とす痛ざれば懐妊に非ず ○紫蘇梨飲産前の諸病に宜しく 加減して用べし紫蘇川芎陳皮 芍薬大腹皮人参当飯各等分 甘草也右八味生姜を入煎 ず○加減の法○胎気和せずむね へ上り心腹はりいたむには木香 を加ふ○嘔吐止ざるは悪阻なり茯苓 半夏砂仁霍香神麹丁子を加ふ◯胎 気固からず常に小産するには兼て 此薬を服すべし地黄阿膠黄苓砂 仁桑寄生白木糯米を加へ用○事に 因て胎動きて安からず下血して 胎堕とするには地黄人参白朮茯 苓黄苓阿膠砂仁を加ふ◯咳嗽し 痰を吐には桑白皮杏仁貝母を加ふ 泄瀉には白木茯苓を加ふ◯瘧には 一梹榔子菓青皮良姜半夏茯苓 葛根を加ふ○気の付たるやうに一しき りづゝ痛むを胎痛といふ阿膠延胡 索黄苓を加ふ◯妊て七八ヶ月の前後 に面目浮腫には地黄茯苓沢瀉白 木黄苓山梔子麦門冬厚朴を加ふ ○口噤て人事を省みず言語錯り 乱るゝには生地黄半夏茯苓麦門久々 遠志石菖蒲竹茹を加ふ◯胸痛には 延胡索乳香を加ふ◯腰痛で忍へら れざるには破胡紙茴香杜仲を加ふ ○小便渋りて通ぜすんば木通車 前子滑石を加ふ○大便閉結するには 生地黄黄連を加ふ◯懐妊してより 後気安からず覚へ或は腹少し痛 或は腰痛ことをなし或は飲食に味な く或は胎動き下血するもの五月 六月の内は常に此薬を服して妙也 地黄黄苓砂仁人参阿膠白朮を 加へ用ゆ○本方の川芎香附子を去 人参白木を加へ達生散といふ懐妊 八月九月の後は此薬を服すべし難産 の患へ十人に一人もなし○産に臨て 驚き恐ることあつて胎上りて下ら ざるには達生散を加へ用ゆ◯右諸の 加減の法よく虚実を弁へ証に随て 用ゆべし虚甚しき者には各補剤を 主として加減すべし胎を養の経気 虚実調らざる時は胎是がために安 からず甚しき時は下血して随る也 よく慎むべし ○催生飲巳に産に臨で産せざるに 用ゆ催生の薬なり當皈川芎 大腹皮枳殻白並各三分右五味 煎じ温服す◯腰痛こと甚しく胎 下へ陥り漿水破れ出るを待て催 生の薬を服すべし騒て努力悶へ産門 乾き気力竭て難産にいたる瓜熟 して蒂脱るのをしへ采人苗を堰の 誡めあり慎まざるへけんや ○芎飯湯産に臨て生れがたく口 噤め危く急なるを治す当飯五匁 川芎三匁半右二味濃煎じ酒を半 分入温めて用ゆ○催生には此方隠 当なりとす血盛なる時は産し易し 酒を交ざれば験なし必す酒を入べし ○胞衣下ざるには牛膝を加へ用ゆ ○産後 産後は気血かならず虚し或悪露 尽ず或は瘀血行ずして産後の諸証 をなす○脉産後には沈小滑なるを 吉とす実大弦急はあしし 芎帰調栄湯新産に是を用て血 を調へ気を補ふときは諸証自ら 除く○方は芎帰湯に人参紅花を 加へ共に四味煎ず◯気血を補ひ瘀 を行すの剤なり新産にはかならず これを用ゆべし ○芎飯調血飲産後の諸病を治す 宜しく加減してこれを用ゆ当飯 川芎白木茯苓熱地陳皮烏薬 香附製千美黒益母丹皮甘艸必右 十二味萎棗を入煎ず◯新産には薬を 服するに臨て童便一盞好酒半盞 を加へて用ゆへし瘀血を行し熱を 退くるの妙方なり○加減の法○産 後目昏み心憤れ語ざるには荊芥 を加◯口苦く咽乾ば麦門冬を加ふ◯ 気脳には木香烏薬を加◯大熱退 かざるには炒過したる乾姜を加ふ○ 生腸牧らざるには黄莨人参を加ふ ○咳嗽には五味子杏仁を加ふ◯兩 の脇痛には青皮肉桂を加ふ◯痰を吐 は半夏貝母を加◯嘔吐止ずんば砂仁 半夏を加へ地黄を去◯自汗盗汗には 黄莨酸棗仁を加ふ◯泄瀉止ざるには 黄甚乾姜を加へ地黄を去◯瘀血行 らず心腹痛には肉桂五霊脂蒲黄 延胡索牡丹皮を加へ地黄白朮を 去◯血を去こと過多して頭暈めき 目暗み口噤むには荊芥人参乾姜 を加ふ◯胸の間脹悶ゆるには砂仁枳 実山査子厚朴を加ふ◯悪露行ざる には益母草牡丹皮を加ふ◯血大に 下りて止ずんば蒲黄を黒なる程 に炒て本方の煎湯にて調へ服す べし○物に驚き妊仲するに遠志 麦門冬酸棗仁を加ふ◯小産して心 腹痛には延胡索牡丹皮桃仁紅花 青皮澤蘭を加へ白木茯苓を去◯産 後は大に気血を補ふを本とし雑証を 末となして是を治すべし此方此加 減の法の如きよく虚実を察し明 らめて誤り治すべからず虚甚しき 者には別に方を求むべし○産後虚 を補ふには人参白朮黄武陳皮当 飯尾川芎甘艸を用ひ熱気軽き ときは茯苓を加へ重き時は乾姜を 加ふ○産後発熱暈厥などするには 補中益気湯を用ひこれにて験な くば八物湯を用ゆべし虚甚しく或 は寒月ならば乾姜附子を加ふ小産 して発熱暈厥するにも此法に依 と治すべし◯産後或は小産血大に 出気血虚脱し危く急なるには大 服の独参湯を用へし◯産後に何の 病なくとも薬を服して養生すべし 四君子湯に陳皮霍香縮砂黄莨を 加へ用ゆ○産後気血大に虚しての 上忌の内身を慎しまず誠を守ら ずして発熱汗出手足痛むつかし き病となるこれを蓐労と云十全 太補湯を用て加減すべし ○小児科 小児の病を治すること古人皆難 しとす誠に証を問の一法を闕故に これを唖科と云しかのみならず脈気 いまだ定まらずして浮沈極て決 しがたし面部の外候虎口の説ともに 関べからず此等に依されば其証を 極ること成がたし ○面部形色之図 左 右 類 腮 腮 娘 左の腮は肝に属す色青を順とし白 を逆とす赤は肝経の風熱を主どり 青黒は驚風腹痛を主とり淡赤は 潮熱痰嗽を主る◯右の腮は肺に属 す色白きを順とし赤きを逆とす 赤きこと甚しきは咳嗽喘急を主る その色類へ伝れば小便赤く澁り 或は通ぜざることをなす額は心に属 す色赤きを順とし黒きを逆とす 青黒きは驚風腹痛痩痰啼を主 どる少し黄なるは盗汗驚疳骨 熱することを主どる○鼻は脾に属 寸色黄なるを順とし青きを逆とす 赤きは脾経の虚熱を主どる深黄 なるは小便通せず或は鼻燥き衂血 出ることをなす◯額は腎に属す色 黒きを順とし黄なるを逆とす赤 きは腎と膀胱とす熱あつて小便 通ぜざることをつかさどる 小児三歳より内は虎口三関の紋 虎口 圖一圖一圖2 理を見て病を知べし □□□□□□ 男は左女は右の手を取人指ゆびの本 の節を風関とし中の節を気関とし 第三の節を命関とすその紋風関 にあれば病あさく治し易し気関に あれば病重しとす命関にあれば 病已に深く治しがたし◯紋の色 紫は熱とし○赤は傷寒とす青き は驚を生る○白きは疳の病○黒は 悪気に中らるゝとす◯黄なるは脾 の困み痩るゝ也◯淡赤きは寒熱 表にあり○深紅は傷寒痘疹を主る ○紋乱るゝ時は病久し○細なるときは 腹痛多く啼乳食消せず麁くして 直に指甲に入は驚風を主どる悪症 なり黒く墨の如くなるは諸病ともに 治しがたし必ず死す○右虎口三関 の義或は是とし或は非とすしかれと も其説久しくして小児を治する ものゝ捨ざる所なり男女によつて 左右のわかちありといへども亦左 右ともに参へ験むべし左は心肝に 応じ右は肺脾に応ず ○小児の脉法 小児三歳より後は医者の大ゆび ばかりを用て児の寸関尺を按候 ふなり脉の数呼吸の間に六七至 を常脉とす◯これより数多きを 熱とし是より数少なきを寒とす ○浮敷なるは風熱とす◯虚濡は驚 風●緊弦は腹痛●弦急は気和せず 牢実は大便結す●況細は冷●緩小 沈細なるを宿食消せずとす●沈 遅を虚とし●沈実を積とす・単細 は疳労なり●右寸関尺の脉法三歳 よりうちといふとも浮沈遅数を辨 へ寒熱虚実を察すべし十二三歳よ り以後は大人と法を同じうす 甘連湯産出して其侭用ゆべし 黄連反甘草六分右二味絹に包み 熱湯にて振出して用◯児生れ出る と其侭軟なる絹又は綿を指に巻 て児の口中にある悪き汁穢たる 毒を拭ひ去て此薬を用ゆべし或は よく水飛したる辰砂一分に蜜少し 入て煉用ゆ但し火にあつること勿 辰砂火をみれば人を殺すこれ心を 定め驚を鎮め毒を去の良法なり ○加味五香湯小児胎毒によつて頭 或は遍身に名もなき瘡を生ずるを 治す沈香木香乳香丁子 蘿香升麻葛根連蕘各一匁 木通大黄各五分右十味煎ず ○一方に黄連青皮甘草を加へ熱湯 にて振出し常に小児に用て胎 毒を下し疱瘡を遁るゝと云◯此方 小児に多く用べき薬に非す胎毒 内に深く瘡腫外に多きには用べし それも久しく服すべからず今押並 て小児にこれを用ゆその誤り来 ることの久しき誠に歎くべし ○急驚風 古に陽癇と云は今の急驚風なり 心膽に素より積熱あつて陽気盛 なるに又外風寒に感ずる時は陽を閉 て発せず故に神志くらく驚き乱 れて此証をなす◯無驚の脈は浮 数洪緊なり 加味敗毒散急驚風初て起り發 熱し手足播搦上竄し反張るを治 す○方は人参敗毒散に全蝎白姜蚕 白附子地骨皮天麻を加へ共に十五朱 生姜を入煎ず◯風熱甚しく形気 共に実する者の初発に用べし 鎮牧局急驚風稲溺処救喘熱 ○鎮驚散驚風指搦痰嗽喘熱する 者を治す天南星防風蝉脱 薄苛各等分甘艸少右五味姜を入 煎ず急驚風喘嗽風痰のものを治 する要方なり○右の二方たとひ実 証の者といふとも驚鎮りたらば則ち 薬を止べし過し用ゆべからず況や虚 する者は初発といふとも用ゆべき薬 にあらざるをや◯血虚肝火には四物 湯を用ひ釣藤鉤を加ふ○驚を鎮る 薬を多く服して脾胃虚寒するには 六君子湯を用ひ丁子木香を加ふ或は 補中益気湯を用て調へ理むべし ◯慢驚風 古に陰癇と称ずるは今の慢驚風 これ也生付弱く心膽の気盛なら ずして邪気是に客りて慢驚の 証をなす或は脾胃虚し吐瀉しす るの後又は急驚風久しく愈ずして 虚するもの皆よく慢驚となる無驚 は多くは実熱とす治し易し慢驚は 皆虚熱とす治し難し◯慢驚の 脉は況遅散緩なり 醒脾散小児吐瀉し止ず慢驚風 となり脾困れ黙々として食せざる を治す人参白木茯苓木香 全蝎白附子天麻丁子各等分 甘草少右九味美棗を愈ず◯脾を 補ひ驚を治し食を進るの方なり 虚寒甚しきには宜しからず 補脾益真湯小児生れ付。弱く外は 実して内虚し乳を吐し糞の色青 くして慢驚風となり目を見つめ手足 播搦を治す木香当皈人参帯 摘搦を治す木香當皈人参黄 一丁子柯子陳皮厚朴肉豆蘿 草菓茯苓白木肉桂半夏附子 各七分全蝎甘艸各三分右十七味生 姜を入煎ず◯脾を益乳食を消し 虚寒を温め補ふの剤なり元気大に 虚する者には用かたし○脾胃虚し肌 熱し口乾き吐瀉して慢驚とならん とするには七味白木散を用ゆ◯胃の気 和せず吐瀉するもの或は吐利止て後 煩れ渇するには七味白木散を用ひ木 香を去黄甚白扁豆を加ふ煩れ熱す ること甚しくは再び竹葉を加○吐瀉 久しく止す慢驚となり黙々として 語ず常に睡り晴を顕はし手足遍身 冷るには附子理中湯用ゆべし吐瀉 して乳食を思はず虚冷するには四君 子湯に附子木香陳皮を加へ用ゆる小 児の諸病に剛剤を用て後に慢驚と なる者には六君子湯を用ひ附子を加ふべし 疳疾 甘く肥膩づきたる物を多く食し脾 に停り虫を生じ変じて疳となる五 疳のわかち有て五臓に属すといへども 其初脾によらすと云ことなしまづ脾 虚して後四臓に伝へて五疳となる 脾胃虚する時は五臓の氣を摂ること 能はずこれ疳を治する要法也◯脉 小児の脉は単に細なるを疳労とす 消疳飲疳の病身熱し面黄ばみ 腹大になり青筋いで痩弱りたるを 治す人参白木茯苓各一匁陳 皮青皮砂仁各七分神麹胡黄連 黄連各五分甘艸三分右十味煎ず◯ 脾を補ひ食を消し虫を治するの方 なり初発の者に用ゆべし病久しく 虚甚しきには与ふべからず 生熟地黄湯疽にて眼閉て開かず 目のうちに朦霧あるを治す生地黄 熟地黄各二二匁川芎当飯赤茯苓 地骨皮天麻半夏枳殻杏仁 黄連絡一匁甘草七分半右十二味し やうが黒豆十粒を入煎ず◯疳熱上に 実し病久しからざるものを治す 脾胃虚するもの或は肝腎不足の 者には用ゆべからず◯小児の疳疾は大 人の労証と同し元気大に虚せざ る時において早く是を治すべし虚 極り証変ずるに至ては名医といへ ども治し易しとせず誤り療で 將來百年の命を折くことなかれ○疳 を治するには脾を補ふを先として 兼ては積を消し虫を治すべし四君 子湯六君子湯六味丸補中益気湯の 類を択び用ひ或は積を磨し虫を去の 薬を加へ或は参木肥兒丸を兼用てこれ ○癖疾かたかいを治すべし 乳食調らざれば内に積滞り邪気 相搏て此証をなす両の脇に塊あるを 癖疾とす◯漸に飲食減脾胃虚し て救ひ難きに至る病深からさる時 におゐて是を治すべし○脉沈細なるを 癖疾とす 消癬湯小児の癖疾発熱口乾き 小便赤きを治す人参白木半夏 茯苓柴胡黄苓猪苓沢瀉三稜 莪木胡黄連麦門冬山大豆子各等分 甘草介右十四味姜棗を入煎ず◯腹 中に癖塊あつて発熱し小便赤き 者を治す病久しく脾胃虚するもの には用ることなかれ○癖疾久しく愈ず 或は塊を伐気を損する者には六君 子湯補中益気湯の類ひ宜きに随 ひ是を用ひて正氣を養ふ時は塊り 自から除く或は参木肥児丸を兼用て その癖をさるべし ○痘瘡もがさ 小児胎内にある時五臓の血穢しき 物を食ひ其毒子の命門に伏し隱 れて生れ出て後時の熱に遇或は 乳食に傷られ或は驚き恐るゝに由 て命門に伏したる所の毒氣外に 発することをなす是を疱瘡といふ ○脉起脹までは浮大にして数を吉 とす沈細にして遅を悪しとす収 靨より後は脉和緩なるを吉とす洪 数なるを宜からずとす ○痘瘡の日数 ○發熱三日ほとをり○見点三日でそろひ ○貫膿三日みづを○起脹三日やまを あげる ○収靨三日かせる○これ日数の常に して病の正き者なり病軽きものは 早く重き者は遅ししゐて此日数 に拘るべからず 升麻葛根湯瘟疫頭痛発熱痘 疹いまだ出ず傷寒に似て疑はしき 時にこれを用ゆ○方は傷寒にあり 山査子牛房子を加てよし冬の寒ず る月には紫蘇を加ふべし痘瘡少し にても出るには用ゆべからす ○参蘓飲風寒に感し熱甚しく 頭痛咳嗽するに是を用ゆ表和して 痘出易し方は傷寒にあり ◯惺々散発熱の初め疑はしき時生 れ付虚弱なる者には是を用ゆべし ○方は四君子湯に桔梗細辛瓜蕈根 を加へ共に七味姜薄苛を入煎ず ○十神解毒湯身大に熱し痘未だ 出揃ず咽渇き水を欲し小便赤く 澁る者を治す當皈尾生地黄 紅花牡丹皮赤芍薬大腹皮 桔梗木通連蕘川芎各等八分右 十味燈心を入煎ず○実証熱盛なる ものに用ゆべし ○透肌散気弱くして痘出尽さゞる を治す紫草二匁木通一匁半芍薬 人参蝉脱升麻甘艸各五分右七 味煎ず◯熱邪を大小便より利する の方也熱なき者大便利る者に用ること 神功散痘已に出て毒氣甚しく 遍身赤く血はしり界目のわかちなく 或は吐血し衂血いて或は吐瀉するを 治す黄□人参芍薬生地黄 紫草紅花牛蒡子各等分前胡 甘草各半分右九味煎ず◯痘毒はな はだしく熱盛なる者に用べし 〇保元湯痘起脹ざるを治す黄甚 三匁人参二匁甘草一匁右三味姜を入 煎ず◯頭額起脹せざるには川芎を 加ふ○面起脹せすんば升麻をくはふ○ 胸のあたり起脹せずんば桔梗を加ふ ○腰膝起脹せざるには牛膝を加ふ◯兩 乃手起脹せずんば桂枝を加ふ○此方 内外を固くし毒を解す虚証を治する の要方なりよく虚実を弁へ明めて 虚証なること差ずんば前より後に 至るまで此方を用ひ加減すべし ○内托散氣血虚損じ或は風邪穢 毒に触て痘陥り凹て出す或は出て 白しく快よからざるを治す黄茂 人参当版各二匁川芎防風桔梗 厚朴白莚甘艸各一匁木香肉桂 各三分○右十一味煎ず○是風邪穢 毒によつて陥り貫膿ざる者は黄甚 六匁甘艸一匁右二味煎じ服すべし痘 淡白て貫膿ざるには千全太補湯に宜し 起死回生散痘七八日に至て忽ち 変じて黒くなり腹の内へ収り入遍 身を痒破り死せんとするを治す 当飯川芎芍薬生地黄升麻 紅花各等分右六味煎ず或は酒を 水と等分に入煎ずるも吉◯血を活し 熱を清くし毒を抜の方なり○若寒に 因て色黒くなるには肉桂一味粉にし て湯にて用ゆべし◯気虚して痘の 色灰白になるには四君子湯を用ひ 黄莨当飯肉桂をくはふ 囘天甘露飲熱毒解す或は毒を 解することを経ず靨ときに至つても 収ず発熱蒸々とするを治す百沸 湯二碗を用ひ白砂糖半盞を入かき立 てこれを服すれば熱退き痘靨也 ○痘湿り潤ひ有て飲ざるは内虚なり 保元湯を用ひ白朮茯苓を加ふ 消毒飲痘収て後餘毒の諸證を 治す牛蒡子四匁荊芥甘艸各一匁 防風五分右四味煎ず○熱毒瘡毒を 治するには黄苓犀角を加へて用ゆべし これを犀角消毒飲といふ◯痘瘡の 一証気血の虚に因てなすところの変 証誠に多し四君子湯四物湯補中 益気湯十全大補湯の類ひよく証を とゞめ加減してこれを治すべし或は表 裏共に虚するあり或は表裏共に寒 するあり又は裏寒牙を咬の証あり 陳氏か木香散十二味異功散附子理 中湯の類ひ証に随て用ゆべし ○麻疹はしか 六府腸胃の熱毒肺を蒸外風寒に 感じ或は乳食調ふらざるに因て 熱外に発して麻疹となる表は疱瘡 に似たりといへども裏は各別の物也 是を治することよく出すを以てよし とす生死多くは出ざる前にあり 餘毒又解し易し 升麻葛根湯発熱初めて起る者 を治す尤も紫蘇葱白を加へて肌を 解すべし◯痘瘡の初熱を治する方 と参考へてこれを用ゆへし共に大に 異なることなし○方は傷寒にあり ○消毒飲麻疹巳に出見はれ一日に して又没む者は風寒に触られて麻 毒内を攻るなり急に此方を用ゆべし 或は麻疹退ての後風寒に感じ たるにも亦これに宜◯方は痘瘡にあり 海毒湯 犀角解毒湯麻疹已に出て大小 便より血を出し或は吐血衂血し或は 二便閉渋り麻疹多く出て赤く痛み 熱渇するを治す犀角牡丹皮赤 芍薬黄連黄芩黄栢山梔子各一 生地黄五分右八味煎ず◯麻毒盛に して実熱のものには用べし虚する者 或は血大に出たる後には用ゆべからず ○血熱によつて諸血を出す者には四 物湯を用ひ犀角を加ふ脾胃弱き者 に地黄を去べし◯麻疹前より後まゝて 潮熱退かざる者を血虚血熱とす四 物湯に地黄を去紅花黄苓を加へ用 ◯十仙湯疹後の餘毒を治す柴胡 葛根玄参黄連黄苓山梔子 陳皮茯苓枳殻生地黄各等分右 十味姜を入煎ず◯熱毒いまだ去ず 壅り盛なる者に用ゆへし微にても虚 に亘らば与ふべからず◯麻疹を治する に人参白木の類を忌といふは初熱い まだ虚せず毒氣尚ふかき者に用ゆべ からざるの教也然るに冀氏猥に言葉 を添て人の眼目を拘泥せしむこの詞 を頼ものは気血虚弱すといへとも毒を 消じ熱を除の剤を過して死を催促 するに至る翼氏が筆頭まことに刃より も利し又実する者に麦木の類を用 ひて害ありといはゞ豈此一病のみに 限らんや実を実せしめ虚を虚とせし むるは聖人の誡むる所群賢の詳かにす る所也仁心ある者なんぞ是を忍ばん や此証を治する者古人補瀉の意を 求てこれを治すべし襲氏が剣術を慕 ひてなま兵法をするは誠に大疵の基也 ○丸散の薬付雑方 六味丸又地黄丸とも云腎虚して 病をなすには皆用べし水を壮にし 火を制するの薬也熟地黄ハ十目 山茱萸山薬各四十目茯苓沢瀉 牡丹皮各三十目右極細末して煉 蜜にて丸ず白湯にて用ゆ又塩ゆ 或は酒にて用ゆるもよし痰あるもの には姜湯にて用ゆべし 八味丸又八味地黄丸といふ腎の水火 共に虚したる者に用ゆ又命門の火 衰へて脾胃虚寒ずる者を治す◯先 の六味丸に附子肉桂各十匁を加へて 六味丸の如に丸ずるなり ○木香柳丸一切の熱積胸膈快よ からず腸胃伸ず気欝積塊ある者 を治す黒牽牛子二十目大黄三十〇 三十目 木香梹榔子黄連陳皮香附子 枳殻莪朮黄栢青皮各十匁右十一 味水にて丸じ姜湯にて用ゆ○一方 に当皈十五匁を加ふ○実証の人気 爵し大便結し腹脹積塊ある者 に用ゆ虚弱にはもちゆべからず 紫金錠又解毒丹とも云一切の 毒をげし傷食腹痛霍乱吐瀉心の 痛み喉痺虫歯痰気小児の急驚風 その外諸証を治すること尽く述がた し奇妙の方なり山茨姑二十目 五倍子三十目続随子十匁大戟十五匁 麝香三匁右五味細末し正月の餅 或は五月の粽を用ひ糊とし丸ず此 薬を調合するには五月五日七月七日 九月九日此日身を清め香をたき調 合するなり婦人僧尼鶏犬なとを近 づくべからず ○麦木肥児丸疳を消し食を化し 癖を治し熱を去肝を押へ脾を補 ひ食を進め虫を治し肌膚を潤し 元気を養ふ人参黄連山査子 神麹麦芽各三匁半白朮茯苓 甘艸各三両胡黄連五匁史君子四匁 盧薈二匁半右十一味極細末して糊 にて丸ず丸数は児の大小を見て加 減すべし ○養胃丸酒精氣鬱腹の痛宿食 虫積不食を治す木香梹榔子 肉桂陳皮白木茯苓香附子 莪朮三稜厚朴各十匁甘草二匁 右十一味糊にて丸ず◯虫積聚を治 す虚人には斟酌すべし ○返魂丹家方秘伝◯心痛腹痛小 児の五疳五噎五膈癲癇の症を治す 噎膈とは食にむせる膈の病なり あつきゆに その外気付に妙なり態胆てとく 陳皮 陳皮黄連雄黄麝香木香 鶴虱雷丸莪朮三稜各一匁二分 酒にひたし 半ハ生 大黄 五分二り 胡黄連生黒牽牛 半ハ炒 各六分 丁子乳香枳殻黄苓 五リ 三十七粒生 青皮 白丁香 ニテ未ス 赤小豆 ノ重サ 甘艸二分五リ右細末とし麺の粉 蕎麦の粉等分に合せ丸じて辰砂を衣とす ○豊心丹家傳名方又沈麝丹と名 く万病によし人参縮砂木香 丁子菅香沈香白檀梹榔子 一柑桜川芎各一匁 一麝香七分五リ樟脳龍脳各三分五リ 一甘艸一分三年上茶十五匁右細末し 三年になるかき餅を糊にして丸じ丹 を衣とす ○錦袋子本方秘傳爵金升麻 一各十両白扁豆山慈根赤白五倍子 二十目牛黄射香各六両安息香 木香草撥縮砂白檀乳香 各二 両一 一没薬丁子雄黄辰砂甘艸 右もち米の粉糊にて丸ずねりやう は製法こと〴〵く紫金錠におなじ ○一切の気付腫物に貼く功能悉く つくしがたし 安神散一切血の道の気付なり老 人虚人産後の気付にもちゆべし 一茯苓茯神黄甚遠志一人参 桔梗各五分山某木香辰砂各二分 甘艸一分右十味細末し白湯にて 用ゆ◯神を安じ気を正くし精を固く するの方なり ○香蒲散暑熱霍乱吐瀉腹痛むを 治す香蕾十匁白扁豆五匁厚朴 陳皮茯苓各三匁黄連二匁甘艸五分 右七味細末し白湯にて用ゆ又水 にても用ゆ ○延命散虫積腹の痛み食傷霍 乱胸のつかへ不食によし◯此薬諸病に よしと言伝へて用ひ来ること久し 然れども実証のものは一往虫積を 押くだすこと薬味の苦きを以なり 虚人常に用ゆべき薬にあらず 白木芍薬良姜各五匁丁子人参 桔梗防風茯苓熟地黄山茶 厚朴冬に陳皮乾姜青皮莪朮 三稜各三両川芎木香胡椒草撰 梹榔子阿仙茶各二匁胡黄連七分 右二十三味細末して用ゆ ○世間に定斎と云は此薬なり ○和中散頭痛腹の痛泄瀉むねの つかへしよくしやうによし 白朮香附子陳皮各十匁 縮砂欝金茴香各五匁 右粉にしてさゆにて用ゆ ○蘇合香円諸の急病痰涎壅がり 盛なる者を治す沈香安息香 麝香桐子木香草撥蘇合油 白木白檀薫陸丁子龍脳各 十匁辰砂犀角各五匁右十四味安息 香蘇合油の外十二味を極細末し 安息香を好酒にてとろりととき蘇 合油を入よく煉合せて又蜜を入ゆるく とき十二味の粉薬を入丸ずるなり● 卒中風或は小児の急驚風痰壅り たる者を治す諸の急証の気付に 用ゆべし多服し久しく用べからず 延齢丹一渓老翁之秘方 第一痰によし○気の弱きによし気力 を強くし気をめぐらす◯痰にて咽の いたむによし◯血のみちの気付によし ○右肺気の方に常に用ひてよし 肉桂縮砂丁子沈香辰砂 一各十五匁白檀草撰各一匁五分木香 一桔梗乳香詞子各七匁甘草九 鹿射香三匁龍腦二匁四分右十四味 煉蜜にてこれを調へ先まへの十二味 を細末して龍脳麝香のちりをえり 乳鉢に煉蜜を少し入すりて麝香 を入粒のなきほどになる程よくすり 又龍脳を別にすりて後に脳鹿刺 を一ツに合てよくすり合せ蜜少し づゝ入てどろ〳〵となして右の薬末 を入すり合せ又薬の臼にてよくつき 合せ練終りて塗物に入封じ置也 ○丁子円此薬は虫によし腹冷痛むに なをもつてよし酒を過して後むか ひけによし其胸のつかへ積のつかへ痰に 用ゆ丁子莪朮陳皮乾姜各 青皮二匁沈香砂仁各二匁甘草五分 右八味細末して蜜にてねる ○家伝明目膏一切の眼病を治する に愈ずと云ことなし奇妙の點薬也 炒岩石海螺蛸硼砂各十匁辰砂 龍腦二匁右五味極細末して煉 蜜にてよくねりて点なり又粉薬に して水に攪出しあらふもよし ○洗眼散諸の眼病を治す洗薬也 一当飯黄連各一匁赤芍薬防風各五 一杏仁三分右五味剉み絹に包み熱 湯にてよく振出して洗ふ 万病無憂膏打損切疵一切の名 もなき腫毒癰疔瘡節腫瘡の類 を治す毒浅きものはよく散じ毒 深きものは早く膿又已に膿潰へ たるには膿を排ひ肉を生じてよく 愈す其効の奇妙なること尽く述 がたし川鳥頭草鳥頭大黄冬六匁 当飯赤芍薬白並連蕘白飲 白芝木鼈子烏薬肉桂各八匁 槐枝桃枝柳枝桑枝棗枝夕やまへ 苦参梍角各五匁右十九味剉み 胡麻の油二斤を用て右の薬を油に 入浸すこと一宿して炭火にて煎じ 薬の煤色になりたる時火より下し 絹にて油を濾渣を去そのあぶらを又 火にかけて煎じ水飛したる丹百 二十匁を少づゝ入て槐樹柳の櫛を用 ひて続陸〳〵と手を住めずに撹まぜ て煉つむる也油一滴を水に入れて見 れは珠となりてかたまる時に火より おろして乳香没薬各四匁を粉にして 火より下したる油の中へ入よく撹まぜ て収貯へ火毒を退けて用ゆ ○五木湯中風の痺れ或は半身遂は ざるによし椿枝槐樹枝楡枝 柳枝桑枝各等分右煎し浴する 十仙湯中堅半身迷はず身しびれ 疝気脚気腰膝痛むを治す 桃仁七匁白芝藁本稀蒼各五匁 丁子甘松白檀各四匁菖蒲根 石菖根桑白皮各三右洗湯に用ゆ ○日用食性能毒 ○狗脊平にして毒なし腰背痛み 強り筋急り緩り寒湿の痺れに よし◯蕨寒なり毒なし熱を去水道 を利す久しく食すれば気を壅ぎ腹 脹目暗み髪落る也○牛房寒にして 毒なし腫毒を消じ歯の痛をやめ 風毒及び足緩り弱きによし生にて 食すれば人をして吐しむる也○大根 温なり毒なし氣を下し食を消じ痰を 化し酒毒を解す多く食すれば気 を動かす生姜よく大根の毒をけす ○蕪菁温にして毒なし氣を益中 を通じ食を消じ嗽をやめ腫を去 熱毒を解す◯胡蘿蔔温なり毒なし 気を益中を補ひ食を進め胸の間 及ひ腸胃の気を行し五臓を安ず 辛平にして小毒あり熱を去渇を 止め腸胃を緩くし血の滞りを通ず 多く食すれば氣を滞らし脾を固し めて化しがたし○零餘子温なり毒 なし虚損を補ひ腰脚を強くし腎を 益飢ざらしむ○竹筍微寒毒なし 胸を利し気を下し熱をさり痰を 消ず多く食すれば冷血及び気を 発す○款冬温なり毒なし咳嗽を止 喘息を定め熱を去痰を消じ心肺 を潤し五蔵を益◯曩荷温小毒 あり諸虫の毒を消し蛇毒を解す 瘧によし多く食すれば神明を薄 くし薬力を損ず◯土筆温なり毒な し風寒を散ず◯地膚寒にして 毒なし泄瀉をとめ悪瘡の毒を解 し気を和げ小便を通ず○芹平 なり毒なし血を保ち精を養ない 熱を去石薬の毒を解す黄疸及び 女の帯下崩漏によし赤き芹は人 を害す食ふべからず○菠薐菜冷也 毒なし胸を開き氣を下し渇をやめ 腸胃の熱を去酒毒を解す多食ば 脚弱く腰痛しむ婦人の鉄漿と大 に反す歯を染て直に此菜を食へば 忽ちに死すもし歯を染て他物を 食ひ後に此菜を食ふときは食を へだつる故にくるしからずといへり 誤つて同食すべからず○鶏腸草平 にして毒なし腫毒を消し遺溺を治 す常に食して人に益あり○筧冷 なり毒なし熱を去虫毒を消し大 小便を通ず痢病によし◯馬歯葛 寒にして毒なし血を散じ腫を消し 大便を通じ毒を消ず淋病女の 帯下によし多く食へは人に害あり ○萵苣冷也微毒あり胸を開き筋 骨を堅くし五臓を通じ虫を殺し小 便を通ず多く食へば目を昏くす ○蒲公英平にして毒なし水腫を治 し疝気によし女の乳癰を治す ○藜平なり小毒あり虫を発し瘡 腫によし補益の功なし多食すべからず ◯五加葉温にして毒なし皮膚の 風湿を去胸腹の痛み疝気によし ○枸杞温なり毒なし風を去熱を消 し眼病を治し麪類の毒を解す ○葱温にして毒なし風寒湿を去 中を温め毒を解す大に人に益有 虚気上り及び汗出るものは多く 食すべからず◯慈姑微寒毒なし 病を治するの功少し多く食すれ ば諸病を発す◯烏芋微寒毒な し胃を開き食を下し熱を去渇を 止多く食へは腹脹痛む◯蓮根平 にして毒なし熱を去血を去食を消 し渇を止酒毒を解す◯生姜温也 毒なし風寒を除き嘔を止咳を治し 痰を去胃を開き毒を消ず ◯天木蓼温にして毒なし風を去積 を消す女の虚労によし◯山葵温 にして毒なし寒を去内を温め食 を消し痰を去心腹の痛によし ○山椒温なり毒あり風寒を去中 を温め腫を消し湿を去多く食へば 気を損じ目を病◯胡椒大温どく なし氣を下し中を温め痰を去食を 消ず多く食へば肺を損じ目を昏 くす◯蓼温にして毒なし大小腸の 邪気を除き中を利し虫を殺す多 く食へは胃を傷り心痛◯芥子温也 毒なし気を下し痰を消し肺を通ず 多く食すべからず○番椒温にして 毒あり疝気を治し虫を殺す多く 食すべからず○罌粟子平なり毒なし 風を去熱を除き痰を消し燥を潤す ○胡麻平にして毒なし中を補ひ気 をまし筋骨を強くし耳目を明にし 渇を止膚を潤す◯大豆温也毒なし 気を下し内を寛し腫を消し大便 を通ず多く食へは気を壅ぎ痰を生ず ○黒豆平にして毒なし中を調へ気を 通じ水を利し熱をさり食を消し 諸毒をけす◯小豆平にして毒なし 熱を去渇を止小便を通じ酒毒を 解す多く食へは膚燥くことをなす ○虹豆平なり毒なし中を理め気を まし渇を止胃を健かにし精を生ず ○緑豆寒にして毒なし気をくだし 食を消し熱を去毒を解す◯豌豆 平なり毒なし寒熱を治し小便を 通じ渇をやめ腫を消す多く食へば 気病を生す◯蚕豆平なり毒なし 胃を快し蔵府を和す◯刀豆平に して毒なし中を温め氣を下し腸胃 を通ず○茄子寒なり毒なし熱 を去腸を寛くし血を散じ痛を止め 労気によし多食へは気を動し人 を損ず◯越瓜寒にして毒なし熱 を去渇をやめ小便を通じ酒毒を解 す多く食すべからず◯胡瓜寒也 心小毒あり熱を去渇をやめ小便を 通ず諸病に害あり小児には用ゆ べからず○冬瓜微寒毒なし小便 を通じ腫を治し熱を去渇を止多 く食へは人を疲しむ◯甜瓜寒也 小毒あり熱を除き渇を止小便を 通ず多く食へば黄疸を病眼病を 発す◯西瓜寒にして毒なし熱を去 渇を止中を寛し気を下し小便を 通じ酒毒を解す◯干瓢平なり 毒なし熱を去渇をやめ悪瘡を治し 水道を通じ心肺を潤す○松茸平 にして毒なし小便濁り或は頻によし ○麦蕈松茸と同じ○磨菰蕈寒 なり毒なし氣を理め痰を化し腸 胃をまし多く食へば気を動し病を 発す◯蘿菌平にして小毒あり 中を温め積を消じ痛をやめ虫を治す ○椎茸温にして毒あり氣を塞ぎ 虫を生ず多く食ふべからず裏の黒き に毒有○木耳平也小毒あり気を 益志さしを強す多く食すべからず 冬瓜の汁にて木耳の毒を消す○ 石茸平にして毒なし精を益目を 明らかにす多食へは大小便を澁らす ○昆布寒なり毒なし積を破り水を 通じ悪瘡を治す多く食へば人を疲む ○海帯寒也毒なし風を去水を下す多 食すべからず○帯菜寒にして毒なし 遺精を治し女の帯下よし○崎釐 温なり毒なし中を温め食を消し胃 の気を強くす◯紫菜寒にして毒 なし熱を去咽を利し氣の滞りを 去◯苔莱寒なり毒なし気をくだし結 塊を消し痰を去多く食へば脾を破 ○水松寒にして毒なし水腫を治し 渓毒を去◯海藻寒なり毒なし 結核積聚を消す多く食すべからず ○柑子寒にして毒なし腸胃の熱 を去渇を止小便を通ず○橘温也 毒なし肺を潤し渇をやめ胃を開き 胸を利す多く食へば痰を生す◯柚 寒にして毒なし腸胃の悪気をさり 食を消し酒毒を解◯金柑温なり 毒なし氣を下し膈を快よくし渇をやめ 酒毒を解す◯石榴温にして毒な し渇をやめ虫を去痢病腹痛によし 多食へは肺を傷り歯を損ず○梨 寒なり毒なし熱を去渇をやめ痰を消 し咳を治し大小便を通じ瘡毒 酒毒を解す◯林檎温にして毒なし 気を下し痰を消し渇をとむ多く 食へば気を塞ぎ瘡を生ず◯柿平 なり毒なし血を止気を健かにし熱を 去渇を止痰を消し咳を治し心肺 を潤す多く食へば中を冷す○栗温 にして毒なし腸胃を厚し腎気を 補ひ腰脚筋骨を強す○梅平也 毒なし渇を止む多く食へは歯を損じ 筋を傷る○桃熱にして微毒あり 肺に病ある者によし多く食すべからず ○杏熱なり小毒あり心に病ある ものによし多く食すべからず○棗熱 にして毒なし脾に病ある者によし生 は多く食すべからず蒸たるは脾気を 養ひ津液を生ず◯枇杷平也毒なし 気を下し胸を利し熱を去渇を止む 多く食へば痰を生じ脾を傷◯葡萄 平にして毒なし筋骨を養ひ湿痺を 治し気をまし力を強くし小便を通ず ○楊梅温なり毒なし渇を止腸胃を 通じ痰を去食を消す○榧平に して毒なし痔を治し虫を去食を消 し筋骨を助け目を明かにす◯草薛 平也毒なし精を益目を明かにし骨 節を強くし腰脊の痛によし肝腎を 補ふ○葛粉平にして毒なし熱を去 渇をやめ胃を開き食を下し酒毒を 解す◯小麦微寒毒なし熱を除き 解す○小麦微寒毒なし 渇を止小便を通ず心に病ある者に よし○大麦微寒毒なし気を益中を 調へ食を消し渇をやめ気を下し積を 消す○蕎麦寒にして毒なし風熱 を去積滞を化し気を下し腸胃を実 ○稷寒也毒なし氣を益熱を除き脾 胃を養ふ多く食へば冷病を発す◯粟 微寒毒なし腎を養ひ虚を補ふ渇を やめ熱を去小便を通ず多く食すれば 気を滞らし虫を生ず◯餅温にして 毒なし中を温め氣を益大便を堅くし小 便を縮め自汗を収む小児病人には共 にこれを忌べし◯豆腐寒也小毒有 中を寛し脾胃を和し大腸の氣を 下す多く食すべからず大根よく豆 腐の毒を解す◯蒟蒻寒にして 毒あり渇をやめ下血を治し腫毒を 消す多く食すべからず人に益あらず ○麩冷なり毒なし熱を除き中を 寛し気力をます◯味噌冷にして 毒なし脾胃を和し諸毒をけし腸 胃を潤し大小便を利す五臓血気 みな調へ養ふ◯醤油冷也毒なし熱 を除き大便を通じ一切の毒をけす 多く食へば痰を生じ氣を動す○酢 温にして毒なし水気を散じ邪毒 を殺し魚肉及び菜草の毒をげす ○酒大熱にして毒あり風寒湿を去 邪毒を除き氣を行らし血を養ひ腸 胃を厚くし皮膚を潤す飲と過多 ければ諸病を生じ寿を失ふ◯鯛温也 毒なし腫を消し小便を通じ積を破 り痔を治し虚労よし◯鱸平にして 小毒あり腸胃を和し筋骨を養ひ水 気を治す多く食へば病を生ず○鰡 平也毒なし胃を開き五臓を通じ人を 肥し健かにす○鯖平にして毒なし気力 を増脚を強くし脚気を治す◯魴魚温 なり毒なし胃の気を調へ脾を助け食を 進め五蔵を利す○鱈平にして小毒有 風を去水腫を治し小便を通ず多く 食すべからず人に益なし○鰹温也小毒 あり胸を清くし脾胃を調ふ。多食へば 血を動かす◯鷂魚平にして毒なし 小便濁り或は渋り痛によし多食 すべからず◯比目魚平にして毒なし 虚を補ひ気力を益多く食へば気を 動かす◯鯨平にして小毒あり気を 下し陰を補ふ頭風によし多食すべか らす○魚師性味形色いまだ知ず魚 の大なるを魚師といふ毒あり人を 殺す○鱒温にして毒なし胃を暖め 中を和す多食へは風熱を動かし瘡を 生ず○鮭平也毒なし気力をまし虚 労を補ひ人を肥し健にす◯蛇盈に して毒なし胃を温め中を和す多食 へは瘡を発す◯鯖性味能毒いまだ 知ず小児病人にはこれを忌べし○傭 温にして毒なし胃を暖め痢を治す ア アン 多食へは風熱を動し瘡疥を生す◯ 鎮温也毒なし中を温め氣を益多食 すべからず○餓平にして毒なし中を補 ひ氣をます多食へは瘡を生じ脾湿を 動す◯援魚温也毒なし積を治し虫 を殺し気力を益肌を潤す○鯵平に して毒なし水腫を治し痢病を治す 多食べからす◯文鯰毒なし難准によし 狂を治し痔を愈す◯鱠残魚平に して毒なし中を寛くし胃を健にす◯ 織平也毒なしこれを食へは疫病を辟 多く食すべからず◯鰯平にして毒なし 五蔵を通す多食へは風熱を助け瘡 を生ず◯銀魚平也毒なし胃を補ひ 脾を健かにし水を利し肺を潤す○鰯 魚平にして毒なし中を和し気を益 ○鯉平也毒なし氣を下し渇を止水腫 を治し小便を通ず多食へは内熱を 生寸○鮒温にして毒なし胃を補ひ 食を進め痔を愈し痢病を治す◯ 鮒温なり毒なし胃を温め冷瀉を 治す○鯵鮒平にして毒なし人に益 あらず多く食すべからず○海鰻平也 毒なし悪瘡を治し痔を已す多食 すべからず補養の功なし○江鰻平に して毒なし虚羸を補ひ労熱を去 虫を殺し血を益◯鰒温也毒なし 補養の功多し諸病に害あらず ○鰌魚平にして毒なし中を温め気 を益渇をやめ酒毒を解す◯烏賊 平也毒なし氣を益志ざしを強くし経 水を通ず多食へば風氣を動す◯章 魚寒にして毒なし血を養ひ気を 益此もの消化しがたし多く食すべ からず○海蛇温也毒なし女の労損積 血帯下を治し小児の風痰丹毒に よし◯海参平にして毒なし元気を補 ひ臓腑を潤し三焦の熱を去◯海 蝦平也毒なし虫を殺し諸瘡によし ○鰕温にして小毒あり風痰を去 積を消し陽道を壮にし乳汁を通 す○石決明平也毒なし目の病を 治し精を益風熱を去労虚を補 ひ淋病を治す◯魁蛤平にして毒 なし胃を強くし食を進め渇を止五 臓を潤し痢病を治し腰脊冷或は 痿痺たるによし◯車渠大寒毒なし 渇をやめ五臓を潤し痢病を治す ◯牡蠣温にして毒なし中を補ひ虚 損を治し渇をやめ酒毒を解す○ 文蛤平也毒なし渇を止小便を通じ 痔を己し血をとめ気を行し痰を 消す女の崩漏によし○蜆冷にして 毒なし熱を去胃を開き渇をやめ小 便を通じ湿熱脚気を治し酒毒 を解す○馬刀寒也毒なし熱を除き 渇をやめ目を明かにし酒毒を解す女 の労損下血によし◯海螂寒にして 毒なし欝氣を散じ瘰癧を治す脾 胃弱き者は多く食すべからず○蓼螺 平なり毒なし労虫を去蠱毒を治す 多く食すべからず◯海羸冷にして毒な し目の痛をやめ心痛を治す◯田螺 大寒毒なし熱を除き渇をやめ目赤く して痛を治し酒毒を解す多く食 へば腹中冷痛む◯蟹寒にして小毒 あり熱をさり心の痛を治し面の腫 口咼を治す○石亀温にして毒なし 気を益智を助け食を進め筋骨の 痺れ痛を治す◯鼈平也毒なし 気を益不足を補ひ血熱を去陰虚を を益不足を補ひ血熱を去陰虚を 補ふ◯鶴平にして毒なし気力をまし 虚を補ひ風を去肺を補ふ◯鷹平也 毒なし筋骨を壮にし蔵府を利し痺 を治す多食へば気を動す○鴨冷 にして毒なし中を補ひ氣をまし胃を 和し食を消ず◯雉微寒毒なし 中を補ひ気力を益す多食へば人を害 す○鷺平にして毒なし脾気をまし 虚損を補ふ◯秩鶏温にして毒なし 人に益あるの功なし多く食すべからず ○斑鳩平也毒なし気を益虚を補ひ 目を明かにし陰陽を和し喧病を生 ぜず○鶉平にして毒なし五蔵を補 ひ気を益筋骨を壮にし熱を消す小 児の疳及び下痢によし○鶴温也毒 なし虚を補ひ中を煖む○雲雀温 にして毒なし中を補ひ精を益虚労 内損を治す痢病によし◯雀温なり 食性 毒なし氣をまし陽を壮にし腰膝を暖 め小便を縮め精をまし虚を補ふ女の 崩漏帯下によし多食へば気を動かす ○鶏温にして毒なし中を温め虚を補ひ 邪を遁れ去◯鶏卵平也毒なし熱を 除き陰を補ひ風を去痺を治し腎を 温め肺を潤す痢病よし◯兎平にして 毒なし氣を益中を補ひ渇をやめ熱毒を 解し血を涼くし大腸を通じ脾を健か にす○犬温也毒なし五蔵を安じ虚労 を補ひ腰膝を温め精髄を益腎を補 ひ腸胃を厚す◯鹿温にして毒なし 気力を益虚を補ひ血脈を調へ五蔵を 強す○牛温也毒なし気を益中を安じ 脾胃を養ひ腰脚を補ひ渇を止唾涎を上 鍼灸の要論 ○撚鍼の手法 鍼を行ふ時は先我心ざしを正うして 病人に心をつけ念を鍼に移し外を 見ることなく人と言語せず慎み行ふ べし腹に鍼を刺ときは病人の左の 脇へ居り先左の脚をしき右の膝を 立て鍼を口にくはへ左の手にて病人 の腹を窺ひみて針せんと思ふ穴を 先左の大指の角にて五六呼程の 間その穴を按てさて中指大指を合 て穴の上に置右の肘を膝にのせ鍼 を取て穴にあて左の中指にて鍼口を 推へ食指大指を上て針を以て軽く 撚下し病人の呼氣に隨て左右の食 指大指にて和かに押下す必ず急に ひねり急に下すべからず痛て忍へがた きもの也鍼を留ること元気弱き者には 五六呼して鍼を出す針のぬきやう は先少し針を出して扨右の手を持 なをして引離す左の中指にて針の 跡をおしもむべし是を穴を閉るといふ ○鍼法の補瀉 手法の補瀉あり虚実の補瀉あり 手法の補瀉と云は先針芒を口に含 て針を温め右の肘向ふへ出し手さき を内へ屈め大指の先を前の方へ向はし 病人の出る氣に随て針を納食指を 添て大指にて和かに撚り刺へし針を 入こと二三分留ること五六呼して経に 随ひ病に随ひて撚り下し追退け 動揺しめ気を至らしめて手を振ひ 針をはじき徐々と病人吸気に随 ひて針を出し針のあとを按摩りて 孔を閉るこれを手法の補と云瀉は針 を温ずに其侭もちゆ右の肘をさげ て我前へ引付て手さきを向へむけ大 指をさきへ向て病人の吸気に随て 針を内大指を添食指にて撚り刺べし 針を入るゝと三分留ること五六呼して 経に迎ひ病に迎ひて撚り下し気至 つて左の手にて針の口を開き病人の 呼気に随て針を出す針あとの孔を 閉ざる也これを手法の瀉と云婦人は これに反せり男子の補は婦人の瀉と なり婦人の補は男子の潟となる○虚実 の補瀉とは不足を補ひ有余を瀉す経 気に迎て針をさし実を抜これを迎と 云瀉とす又経気に随ひて針をさし虚 を済ふこれを随といひ補とすこの補 瀉迎随を知すんば鍼法を論ずるに足 ずよく慎み詳かにすべし◯迎とは縦へば 足の三陽の経は頭より起りて足に至る 此経に針を刺ば針師の指を以て経脈を 摩り上せて針を刺の経まで至り経気 を盛にせしめ針芒を上へ向て経脉の進 に逆て針を刺て其実を抜左の手にて 針の孔を開き疾く針を出し徐に是を 按迎て奪の義也瀉とす○随とは縦ば 足の三陽の経ならば針師の指を以て その経を摩り下して針を刺の穴まで 至り針芒を下へ向て経脉の後に随て 針をさして其虚を済ふ左の手にて針 の穴を閉て徐に針を出して疾く是 を按これ随て済ふの義也補とす◯虚 し羸れ気弱く痺れ癢ものにはみな 補法を用ひ肥実し堅く硬く痛む ものにはみな瀉法を用ゆべし ◯大推を定る法 大推を定るには先項の髪際より推 尋れば項骨の三推とて大推より上 に小推三ツあり或は二ツ或は一ツ又なき もあり此三推を去て四推目を大推と 寸三椎めの骨の大成もの有大推とすべ からず又云く肩と平き大骨節を以て 大推と定む或は頭を振動かして動ざる 骨を大推とすとも云り共に考合て定べし ○分寸を定る法 分寸を定るに同指寸同身寸の二つ有 ○同指寸と云は男は左女は右の手を用 ひ中指を三ツに折屈て大指にて抑へ 中指の上の折目のはしと下の折目の はしとの間を取これを一寸とすしかれ共 此寸法は人の肥痩によつて違ひあり 用べからず○同身寸と云は頭の穴には頭 の寸を用ひ腹の穴には腹の寸を用ひ 竪には竪の寸を用ひ横には横の寸を用 ゆ此寸法の正とし用ゆべし○頭の竪の 寸には長き稗心を用ひて両の眉の正 中より巓を経て大推までの長さを 取その稗心を十八に折て其一ツ分を一 寸とす頭面の横の寸は内角より外 角までの寸を取てこれを一寸とす面 部の穴を求るには竪横共に此寸を用ゆ ○手の寸は曲池より肩髏までの寸 をとりそれを十に折その一つを一寸と し肩より肘までの寸に用ゆ又肘の 内裏の貫文より腕くびの横文までの 寸を取十に折て其一つを一寸とし肘 よりさきの寸に用ゆ◯胸腹の竪の寸 は缺盆より鳩尾まで九寸これを用ひ 胸の竪の寸とす又鳩尾より臍まで八 寸是を腹の竪の寸とす○胸腹の横の 寸には西の乳頭の間を八寸とす是を胸 腹の横の寸に用ゆ○脇つぼより肋骨の はづれまで一尺二寸これを脇の寸に用 ゆ◯肋骨の終より股と腰との関節の 横の紋まで六寸これを弱腰の寸に用 ゆ○背の寸は大椎より下長強の終まで 二十一飾長さ三尺これを背の寸に用ゆ ○横の寸には両乳の間を八寸として是を 用ゆ○股脛の寸法は腰と股との関節 の横紋より膝膕の外角折目の横の紋 まで一尺九寸これを外股の寸に用ゆ又 陰毛の生際に横に大骨あり横骨と云 それより膝膕の内角の丸き骨の上廉 まで一尺八寸これを陰股の寸に用ゆ入 膝膕の外角の折目の横文より外踝の 下廉まで一尺六寸これを膝より踝ま での外側の寸に用ゆ又膝膕の内かど ○五臓六腑内系之図 □□□ 海 町数十一軒 群田十一冊 助善三 一十一丁 小便出ル所 精之出ル所 丸き骨の下廉より内踝の下廉まで 一尺三寸是を膝より踝まての内側の 寸に用ゆ○足の掌大指のさきより 跟の角まで一尺二寸横の広さ四寸是を 足のさきの寸にもちゆ 肺管 ○五蔵六府之図 ○肺は脊第三の推に附其 形六葉両耳共に八葉四方 九節 垂て中に二十四の空あり相 伝の官にして治節を出し諸蔵の気 をめぐらす ○大腸は臍に當て左に廻る こと十六曲伝道の官にして 変化することを主り広腸 直腸を経て肛門より大便を出す 脾 ○脾は胃と膜を同ふして 胃の上の左に附その形刀 鎌の如く十一の推の下に当る倉廩 の官にして五味を出し水穀を消し て四蔵を養ふ ○胃の上口を貫門といふ上 } 脘に当り下口を幽門といふ ○下腕に當る中は中脘に当る 倉廩の官にして五味を出し水穀気血 の海とす 肺管 ○心は肺管の下膈膜の上に 驢 あつて背の第五の推に附 其形尖圓にして蓮蕋の如して蓮蘂の如 その中に竅あり多少同しからず四ツの 系あつて四蔵に通ず君主の官にして 神明を出し衆の理をそなへ万事に応ず 小腸 ○小腸の上口は臍の上二寸に あり則ち胃の下口なり小 腸の下口は則ち大腸の上 口なりこれを閑門とも云後は背に附 前は臍の上に附左に廻り畳積こと十六 曲受盛の官にして化物を出し大小 便をわいら出すことをつかさどる ○膀胱は十九の推に當る腎 膀胱 の下大腸の前にあり下口 あつて上口はなし小腸の下 口は則ち膀胱の上際也州都の官にし て津液を蔵む小腸より別ち出す所 乃水液膀胱の上際より淡ぎ入こと小便 となり出る也下口は前陰につらなりて 滝の出るところなり 右腎 いかいはいは 左腎 ○腎は両牧にして十四の推 の下西方にあり其形紅豆 の如くにして相並び曲つて 背の両傍に附作強の官にして伎巧を 出し精神の舎ところ性命の根なり 肺管 ◯心包絡は心を包の膜なり 目 糸 □□□□□□□□ 心下横の膜の上竪の腹の下 にありその形細き筋膜有 て絲のごとし心肺と相連る位相火にして その所檀中に当る臣使の官にして喜楽 を出し君に代て事を行ふ 上焦中焦下焦 ○三焦は人の三元の気也総て 四月四日の 四 の上中脘の下 五蔵六府営衛経絡内外左 に出に当に起 右上下の気を主どる決潰 上焦中焦点 の官にして水道の出るこころなり }膽 ○膽は肝の短葉の間にあり 中正の官にして物をさだめ 決断することをつかさどる ○肝は胸の下に有上脊の 九の推の下に附左三葉右 四葉凡て七葉その系上肺 を給ふ許記官にして謀慮を出す蔵也 夫五味は口に入胃に納るといへ共是を とろかし消して脾に渡せば則ち是を五 蔵六府に散ずる也五蔵も亦その味に よつてこれを受る也肝は酸を好む心は苦 きを好む脾は甘きを好む肺は辛をこのみ 腎は鹹きを好む此のごとく病者の嫌ひ 好む味に因て五蔵の病の発処を知へし ○仰人之図 第一号 東京東 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□ 同同十十 浦浦 城中へ 子五亥年 仙台 画干 □□□□ 記士 皆華笥 十一 註草 弐人 海道 一目丁 ○側人之図 第一 十一丁 四十四丁 恒羅 曇早 寺院 嘉平 少商 列卸 十七七 少商 歯歯歯歯歯歯歯 膀胱 身在 ねば 至陽 神道 長強 小腸 百月十一日 合谷 ○仁人之図 一 ○鍼灸刀要穴 ○頭面の部 百會一戊鼻筋の通り前の髪際より五 寸巓の正中也・中風口噤半身遂ず或は 頭痛眩暈を治す頓死の者にはかなら ずこれに灸す・脱肛に妙也○鍼入こと三 分灸五壮◯上星二ハ鼻筋の通り前の 髪際也頭痛或は頸腫鼻血目 の痛を治す・鍼入こと三分灸五壮○脳 空二穴烏晴の通り前の髪際より五寸 半上なり項強り頭痛耳鳴鼻衂目 眩心悸を治す・針五分灸三壮○翳風 虹耳の尖の後の下角の陥なる中にあり 耳痛み鳴あるひは聞へず中風口咼み 頬腫痛を治す・針入こと七分灸口法○ 風池二穴耳の下面の通り脳空の穴の 後陥なる中にあり・脳痛頂強り面腫 目昏眩耳目痛頭痛鼻血を治す・針 七分灸七壮○承静水一沈下唇の赤肉の 少し下の正中すぢ也・中風口眼嚼み 面腫口歯に瘡を生ずるを治す虫歯 によし・針三分灸七壮より七七壮至べし ○彫彫テ奇 檀中一穴両乳の間正中の通り陥なる中 にあり○肺癰咳嗽上氣不食胸中氣 塞るを治す・針は禁穴・灸七壮○巨闕 穴鳩尾の下一寸にあり・上氣咳逆一切 の心痛痰飲腹満痛を治す狂証を 主どる・刺六分灸七壮より七々壮に至る ○幽門二乙巨関の西傍各五分にあり ・吐逆泄瀉痢病膿血を下し腹脹気 逆して食下らざるを治す・針五分 灸五壮○上脘一穴巨闕の下一寸にあり 心中煩れ熱し腹脹食すること能ず 霍乱吐利し腹中鳴泄瀉嘔吐心悸し 積聚あるを治す・刺八分灸二七壮より 百に至る○中脘一穴上脘の下一寸臍か 四寸七なし美食化せず腹脹痛み 吐逆泄瀉痢病心痛霍乱瘧疾疝気 積を治す・針八分灸二七壮より百壮 に至る○水分一穴臍の上一寸にあり・ 水腫淋病腹痛み小腹鳴痛脹を治 す●針五分灸七壮より百壮に至る ○神閲一穴臍の正中なる中風卒に倒 れて甦らず或は臍の廻り大にいたみ 水腫脹満腸鳴を治し小児の驚癇并 脱肛を治す・針は禁穴・灸七壮より 百壮に至る○気海一穴臍の下一寸五 分にあり・蔵気虚し憊れ腹脹痛 疝気積聚婦人の崩漏帯下一切元気 の虚脱を治す・針五分灸百壮○関元 穴臍の下三寸に有・小腹痛み小便 通せず半き或は小便白く濁り或は 小便頻く泄瀉痢病久しく愈ず腹 の痛み積塊り疝気及び婦人の帯下 月経通ぜざるを治す・針八分・灸百 壮より三百壮にいたる○中極一穴臍の 下四寸にあり・淋病小便赤くして痛 臍の下の積塊り腹脹小便通ぜんが暑 人の帯下片経通ぜず或は重後治仁 下らず或は悪露止ざるを治す・針八分 灸百壮○天枢二穴臍の正中を去事左 右各二寸にあり・泄瀉痢病嘔吐霍乱 瘧疝気積聚腹痛腹脹食化せず婦 人の崩漏帯下血塊を治す・針五分 灸百壮○章門二穴臍の上一寸八分両 旁へ去こと各八寸五分肋骨の末にあり 下足一伊一人を屈てこれをとる・ 腸鳴食化れず脇腹痛み腰背痛み 嘔吐喘息水腫泄瀉積聚疝気を治す ・針六分灸百壮○京門二四ル俗に後童門 と云・章門の後季脇の本陥なる中に有 ●腰脊痛み腹脹腸鳴小腹痛み小便茎 肩脊痛むを治す・針三分灸三壮 ○背腰の部 ○身柱一穴俗にこれを散気と云・三の推 の下四の推の上にあり・癲狂胸熱し 口渇喘息頭痛嘔して物出ず井に小児 の驚癇を治す・針五分灸七壮より百 壮に至る○神道一穴五の椎の上にあり・ 頭痛み目昏く腰脊攣り強り寒熱往 来熱喘瘧驚風を治す・針は禁穴或は五 分灸七壮より七々壮に至る○至陽一穴七 の推の下八の推の上にあり・熱病瘧あせ 出ず腰脊痛み胃寒じて食せざるを治 す・針五分灸三壮○命門一穴十四の推 の下十五の推の上にあり。頭痛破が如く 身熱する事火の如く腰股痛み骨蒸 労熱小児の驚癇を治す・針三分灸三 壯○長弦一虎亀の尾の惟端大便道の 上陥なる内にあり・腰脊強り痛み下 血泄瀉痔漏脱肛を治する針三分灸三 十壮より二百壮に至る○大掃二穴一の推 の下背の正中より左右へ去こと各二寸 陥なる中にあり頭痛み項強り脊痛み 目眩喉痺脇満咳嗽傷寒汗出ざるを 治す・針三分・灸は禁穴急に小は五壮○ 風門 ●頭痛頂強り鼻塞り目昏衂血咳嗽 喘息嘔逆胸背痛及び表弱くして 風を受やすきを治す・針五分灸韮より 三七壮に至る○肺前に穴三の推の下 左右へ各二寸にあり俗にこれを狭売育 といふ胸満痛み脊僂り脊強り嘔 吐不食痩黄疸咳嗽喘息骨良労 療を治す。針三分灸百壮○膈前に宛 七の椎の下左右各二寸にあり・心痛み 不食吐逆痰飲脇肩痛を治す・針に 灸三壮○肝兪二穴九の推の下左右各二 寸にあり・脇痛み支満不食眼病吐血 肩腰痛み黄疽目眩疝気筋攣り怒 やすきを治す・針三分灸七壮○膽兪に 十の推の丁各二寸にあり・頭痛目黄み 心脹咽痛痰飲吐逆食下りがたく食 化せず労熱を治す・針五分●灸七壮○ 脾兪二穴十一の推の下。左右各二寸に有 ・黄疸水腫吐瀉し瘧痢病積聚腹痛 よく食すれどもしかも痩或は食化せ ず或は不食するを治す・針三分匁と五壮 ○田目兪二穴十二の椎の下左右各一寸に付 ・脇満脊痛腹脹鳴痛み嘔吐不食佳 乱吐瀉筋攣るを治す・針三分灸五壮 ◯三焦の余二穴十三の推の下左右各二 寸にあり○腰脊痛み強り腹脹痛み吐 瀉食化せず積聚痢病腸鳴を治す・ 針五分●灸五壮○腎前二穴十四の推の 下左右各二寸にあり◦腎虚淋病小便 濁りて毒の如 腰膝急り痛み手足冷 泄痢遺精小腹痛み骨蒸労熱を治す ・針三分・灸百壮○大腸の兪二穴十六の 推の下左右各二寸にあり腹脹痛之腸 鳴に便通せす或は泄痢不食腰痛み 脊強るを治す・針三分灸三壮○小腸 の前に穴十八の推の下左右各二寸に 有・小便渋り赤く大便通せす或は泄 痢膿血痔漏疝気腰痛み脊強り婦 人の帯下を治す・針三分灸三壮○膀 胱前二穴十九の推の下左右各二寸に あり・淋病遺精泄瀉痢病或は大便 通ぜず腰痛み婦人の前陰痒きを 治す・針三分・灸七壮○膏育二穴四の 推の下脊の正中より左右へ去こと各 三寸五分にあり即五の推に近く四の 推に遠くとるなり俗広膏盲といふ 両の臂尾を合させてとるべし・五労七 傷虚損労廃潰精夢遺咳逆痰火 癲狂健忘男女一切の病を治す・灸栢 より二百壮に至る灸して後に足の二 里に灸し火実を引下すべし○謀喜 一穴六の推の下左右各三寸五分にあり ・目眩鼻血肩北日痛喘急腹脇症み 瘧をちず・針六分・灸二七壮より百壮 にいたる ○手の部 肩髑に穴肩の端の肩骨と臑骨との つがひめ臂を伸て上ぐれば陥むところ なり・中風半身迷はす肩臂の筋骨 一変き状して 灸三壮より七壮に至る○曲池二穴肘を 屈て折め横紋の頭と曲れる骨との 間にあり大指の通りに當る・中風半 身迷はず肘痩痛て挙らず筋緩り て伸屈ならず腋肩痛み或は身に小 瘡あるを治寸・針七分灸七壮○手三 里二穴曲池の下二寸これを按ば肉れる 所なり手先を下とす・霍乱中風半 身遂はず口畔み手臂変れ痛み拘 攣伸ず歯痛み頬頷腫瘰癧を治す ・針三分灸三壮○合谷二穴手の大指と 食指との岐骨の間陥なる中按ば臂 にこたゆる処なり頭痛面腫目痛み 鼻血耳鳴舌裂歯痛み喉痺小児の 驚風婦人の紹閉を治す・針三分灸 三壮○列鉄二虎腕くひの上の側大指と 食指との岐を兩の手を入交て食指の 頭の当る処なり則ち筋骨の解めなり ○中風半身遂はず口眼歪み口噤め或は 肘痛み項強り喉痺咳嗽小児の驚癇 を治す・針二分灸三壮○少商二而大旨 の内の側髪の生際の角を去こと一部 ばかりにあり小指の方を外とし大作の 方を内といふ・胸中に気満咳嗽喘息肩 背の痛瘧を治す喉痺には此穴より血を 出すを妙とす・針一分・灸は禁穴 ○足の部 風市二穴身を正直にして立て両手を外 腿へ垂下し。中指の頭の當る処兩筋の間 陥なる同いて 痺れ脚気中風半身かなはざるを治す・ 針五分・灸二十壮より百壮に至る○陽 慶泉二分膝を屈て外側膝膕の折目の 頭に假に墨を付さて足を伸してしるし の墨より下一寸にある膝強く或は伸 て屈らず痺れ痛み脚氣中風半身 遂はず一切の筋の病を治す・針八分・ 灸七壮より七々壮にいたる○足三里二穴 骨骨の外側膝蓋の下三寸骨骨と筋 との間陥なる中にある俗に上三里と云 ・頭重く目眩膈症腹脹水腫便血上気 咳嗽泄瀉痢病霍乱積聚瘧心腹痛 小便通せず食を進め食を消じ胃の 気虚弱五労七傷を治す上に灸し たる時はかげ重に灸すべ二十以後 は此灸を欠べからず・針五分・灸七壮より 百壮或は二百壮にいたる○三陰交二 踝の上三寸肝骨の内の側ら骨と筋 との間陥なる所にあり俗に下三里と云 膝の内角痛み小便利せず身重く足 痿腹脇いたみ泄瀉食化せず疝気陰 茎いたみ婦人の崩漏帯下を治す・山町 三分 三分●灸三壮より二七壮にいたる○一労 泉二穴足の掌の裏足を仰て指を捲 屈むれば足の心に自から陥むところ有 これを穴とす・腰痛み大便結し心痛 み目眩喉痺を治す・針三分・灸三壮 右針灸を行ふとき風にあたるべからず 窓隙をもふさぐべし ○義乃川 諸病を治するによく寒熱虚実を弁 まへ寒じて各主方を択み用ゆべし或 は雑証を兼るものには本方の薬品を 考へ兼証を治するの力少なき時は其 証に随つてこれを加へて其力を添又 その証に於て反ずる薬味あらば是 を去べし然れども猥りに加減して 古人法を立るの意を失ひ或は君臣 佐使の義奇偶の数を乱ることなかれ ●頭痛には川芎白莚を加ふ 両の髭痛には柴胡黄苓川芎 額の正中痛は外麻葛根石膏白並 頭項の邊痛には川芎荒活蔓荊子 頭頂痛には藁本細辛を加ふ 眉の稜骨疣には充活。白茸黄苓 左一方痛には柴胡生地黄川芎 右一方痛には黄莪葛摸白並をくはふ 血虚の頭痛には当皈川芎。地黄 気虚の頭痛には人参黄茲。天麻 気欝の頭痛には川芎白韮。香附子 風痰の頭痛には荊芥天南星 痰厥の頭痛には半夏蒼朮生姜 風熱の頭痛には荊芥薄苛を加ふ 温熱の頭痛には蒼朮黄苓をくはふ 頭風には細辛薄苛荊芥防風を加ふ ●發熱あらば柴胡黄苓を加ふ 実熱には黄苓黄連犬黄をくはふ 虚熱には人参黄莨生甘草。白木 肌肉の熱には升麻葛根をくわふ 血熱には生地方化大皮芍薬 心火を去には黄連生地黄をくはふ 肺火を瀉するには黄芩桑白皮 脾火を去には芍薬黄連をくはふ 肝火を瀉するには柴胡山梔子龍膽 腎火には知母黄栢。地黄をくはふ 火爵には升麻葛根羌活芍薬芎 爵熱には香附子。山梔子をくはふ 労熱汗あるには黄其地骨皮知母 労熱汗なきには牡丹皮地骨皮 骨燕には知母牡丹皮地黄を加ふ 咽渇には◯熱に因ば葛根天花粉麦門 津液乾て。咽渇するには人参。烏梅。 心煩れて渇には茯苓烏梅天花粉 酒熱によつて湯には葛根黄連烏梅 ●悪寒◯届寒表にあらば麻黄防風 湿によつて悪寒あるには蒼朮 熱に因ば柴胡寒にば肉桂 寒けだち慄ふには桂枝を加ふ ●咳嗽○風寒によるには麻黄杏仁 風熱によらば杏仁桑白皮を加ふ 肺熱には黄芩桑白皮を加ふべし 肺寒には五味子。乾姜を加ふべし 久敷止ざるには五味子烏梅を加ふ 痰によらば湿痰には半夏◯燥痰には 瓜蔓貝母◯風痰には天南星・痰滞 るには枳殻○肺虚には人参黄黄其 労熱には紫苑。阿膠。款冬花は 肺気を収むるには五味子。烏梅柯子 ●咽痛には桔梗甘艸○肺熱には黄芩 薄苛を加ふ 風熱には才木引て薄苛を加ふ 腰打ハ一ノ方オ 風痰には羌活桔梗天南星をくふ 風熱腫毒は牛蒡子黄苓桔梗甘艸 相火の上るには玄参黄栢を加ふ ●胸痞塞には實するには枳實厚朴 虚には芍薬陳皮◯湿熱には黄連澤瀉 痰には前胡半夏◯痰熱には半夏黄連 痰気には枳殻梹榔子をくわふ 気滞るには靑皮。木香。香附子。枳殻 食には蒼朮神麹山査子枳実 ●嘔吐◯寒には丁子。半夏を加ふ 熱には黄連葛根○痰には半夏生姜 胃寒には丁子陳皮蕾香をくかふ 胃虚には人参白朮縮砂烏梅 ●飲食消せさるには縮砂青皮を加 肉食は山査子草果と身類には橄欖 穀食には神麹麦芽麺類には杏仁 瓜菓の類には青皮乾姜肉桂 酒毒には黄連葛根烏梅枳実 水漿の類には米麺をくはふべし ●腰痛腎虚には破胡紙。杜仲。牛膝 冷には肉桂亀甲◯湿熱は知母。茯苓 気滞には乳香靑木香を加ふ ○加減 血滞るには延胡索。桂心。桃仁 ●腹痛には熱によつて痛は黄芩芍薬 寒には良姜肉桂呉茱萸を加ふ 食積には神麹山査子麦芽をくはふ 瘀血には肉桂延胡索紅花を加ふ 気痛には香附子。木香くはふ 血痛には當故川芎延胡索 虫痛には莪朮青皮蕪美仁梹榔子 ●泄瀉◯湿熱には蒼朮黄連を加ふ 湿には茯苓蒼朮沢瀉猪苓 食には蒼朮神麹縮砂山査子 水の如に瀉には滑石を加ふ 脾胃の虚には白木山某茯苓。人参 腎病には呉茱萸五味子をくはふ 久く瀉元気脱するには柯子肉主寇 烏梅.益智蓮肉○寒には乾姜 ●胸痛◯寒に因て痛には乾姜肉桂 熱は山梔子黄連◯痰には枳殻半夏 気滞には烏薬。木香。香附。子。枳殻 冷気には茴香姜黄をくはふ 血気には乳香没薬をくはふ 瘀血には桃仁莪木延胡索を加ふ 魚には五重脂材料一 ●脚痛には風湿には梹榔子木瓜。 湿熱には木通防巳。蒼朮黄栢 寒湿には呉茱萸生姜蒼朮肉桂 腎虚には牛膝。杜仲を加ふ ●小便澁るは○滞りを通じ穴を利する には瞿麦。車前子。木通滑石 下焦の湿熱には知母黄栢茯苓澤瀉 気の下陥には升麻柴胡を加ふ 転辟には附子澤瀉或は沈香木香 ●大便結○實熱には大黄牽牛子 血虚して燥には当故麻仁桃仁 気を導くには枳殻梹榔子をくはふ 虚には黄茂陳皮人参枳殻を加ふ ●眩暈◯風虚には天麻白木 風痰には天酒八斗夏血虚には 當飯川芎●気虚には人参黄莨・ ●痰飲湿痰には半夏陳皮茯苓 風痰には天南星白附子をくはふ 燥痰には貝母阿膠瓜蔓仁をくはふ 痰壅るには枳実厚朴桔梗をくいふ 気痰には梹榔子枳殻陳皮を加ふ ●喘急◯風寒表にあらば麻黄杏仁 痰には半夏。紫蘇子をくはふ 肺気を瀉するには桑白皮枳実を加ふ 虚には人参。阿膠。五味子をくはふ ●健怠◯痰熱には茯神黄連牛黄 心氣を補には遠志當皈石菖蒲 ●物に驚くに◯心を鎮には黄連辰砂 心気の虚には遠志酸棗仁茯神 ●怪仲は心血の虚には片皮。王也也 心気を補ふには遠志茯神をくはふ ●汗証○気虚には桂枝芍薬黄莨 血虚には当飯芍薬桂枝をくはふ ○盗汗○気虚には牡蠣酸棗仁○ 血虚は当皈生地黄虚労には牡蠣黄芋 ●小便頻きは○虚熱には黄栢茯苓 虚寒には益智蓮肉五味子をくはふ 腎虚には破胡紙茴香山茶を加ふ ●小便赤きには黄栢知母をくはふ 湿には猪苓沢瀉。茯芩虚には麦門冬 ●筋ひきつるは○寒に因は木香呉茱萸 筋脉を緩するには木瓜葱以仁 ●脇痛は肝火には山梔子。柴胡を加ふ 肝の積には青皮柴胡龍膽をくはふ 血積には当飯汁引○気には木香 ●積塊実には三稜載太梹榔子 虚する者には枳殻陳皮当飯尾 左に有を血の塊とす牡丹皮延胡索 右は食積神麹麦芽枳殻山査子 正中に有を痰気とす枳実半一夏 塊り脇にあらば青皮梹榔子 ●腹脹に脾胃和せざるば白木陳皮 食滞には枳実山査子蒼朮厚朴 気を行すには香附子梹榔子 ●身冷るには乾姜肉桂當飯を加ふ 手足令上るには附子干姜肉桂 上気するには香附子陳皮山梔子 ●身痛には羌活蒼朮防風を加ふ活 ●風邪あらば紫蘇羌活防風の活活防風 ●寒邪には干美丁 ●暑気には香蕾白扁豆厚朴 ●湿は身重羌活蒼朮防已下木 用 ●脾胃の湿には半夏茯苓蒼朮 ●不食には木香白朮霍香縮砂 ●足に力なくは牛膝杜仲防已を加ふ ●足ほめくには知母黄栢をくはふ 足合るには沈香肉桂をくはふ 第六重 ●薬を上へ行すには升麻柴胡防風 ●諸薬を下へ行には黄栢木通防已を 加ふ○頭額へやるには川芎○面へやるには 防風◯胸の間へ行には桔梗◯腰膝の 分へ行は牛膝兩の手へ行には桂枝を 加ふ○薬を瘡腫物の所へ行には 皀角刺を加ふ右加味の大概を記 すのみ宜く気皿○虚実風寒湿熱を わかち明らめてこれを用ゆべし又前に 出す所の薬性をよく覚へ諳する時は 何の証を治するにも通ぜすと云ことなかるべし 此加減の例元小児門の次に記すといへども 煎剤調合のとき難尋につて今巻尾 に著して撰用に便す 醫道重寶記終 蔵板略目録 初学和歌式 うたのよみかた詞の格式七冊 をくはしくしるす有賀長伯 うた連哥俳諧のことばに 萩のしをり 注釈をくはへいろは分になす 二冊 和字正濫抄 かなのおこり和語かなのおこり和語かな五冊 づかひの書なり契仲 和歌麓のちり 小本三冊四季述雑名題の詞をひろく 和歌杜鹿のちり集め名所を数多集め六体を体 薄精すり有誠にて 和名類聚抄 貝原好古作 八幡宮本記 信 七冊 和歌の文字出所をたゞし部分を以 国学歌学の字書也五冊 清学新学の字書也五冊 神威のいちじるきことくはしく集め 諸国名高きは幡社の由緒を記す 俳諧通俗志 四季雑のことば寄注釈し初学 席上の設けとす二冊 此書にははいよいのみに限らず狂歌其 同歳時記 外詩哥遊ふ人々常に見て大きに 二冊ゑきある風雅の一助となる書也 白東竜 相硯屋 醫道重寳記 ひらかな療治本也 薬の能毒脈の見やう針灸 の要穴本道外科婦人小児の 療治方丸散かげんの事 一冊 までくはしくしるす 袖珍醫療袋 医道重法記にもれたる をあつむ 一冊 袖珍醫便ひらかなりやうぢ本なり一冊 日用済民記平かなりやうぢ本なり一冊 療治重宝記 しゆ方に しゆ方きしゆ方を 一冊一冊 夜論かげん等をしるす 日用食鑑 食物のこうのうを論じ やうじやうのかんべんを記ス 三冊 萬病醫通平かなりやうぢ本なり一冊 小児調法記 小児一切の療治ひらかな にてくはしくしるす 一冊 薬種の和名唐名異名を 薬種名寄帳 いろは分になししるす 一冊 同後集 右にもれたるを こと〴〵くあつむ 一冊 に 右の書増補和斤目唐斤目くはし 藥品手引艸 くしるしいろは引にいたし重法の書也 食物和解 一切食物の功能くひ合せ諸病 きんもつ其外重法の書也 一冊 同平かな日用食性ともいふ一冊 錦嚢妙薬秘録 一冊 聖賢仙人源氏絵武者 しやうぞく古実草木 繪本寫寳袋 鳥けだもの屏風ふすま 咲高和漢の故事 十冊 農業は承安有に 望賢仙人諸芸鳥獣 同通寶志 龍魚草木絵の書やう さいしきくはしくしるす 十冊 蚕婦唐子聖賢仙人 武者山水八景歌仙 同直指宝 草木かきわけさいしき づけくはしくしるす 十冊 和澤聖賢人忠孝山水叶 和澤聖賢人忠孝山水艸木 同故事談 鳥けたもの等諸書より出る所 様々故事くはしくしるす九冊 白良平 村眉屋 故事談にもれたるをこと〳〵く集ム 十冊 同画典通考 一名故事談後篇と云へ 一諸木草浅草獣虫魚 同清書帳 の図をこと〳〵てしるす 三冊 同手帳綱目右同断二冊 源氏絵ふくさもやう 同稽古帳佐木艸山水のかき三冊 やうこと〳〵くしるす 鳥獣龍虫魚御木 草の間の物残らず 同忘草 図をあらはし異名を 付こと〴〵くしるす 一冊 国々より風景の 画図百富士よろしき所ばかり四 四冊 画図百富士 をうつす 女諸礼しつけ方婚礼式 女用智恵鑑 用文章女一代八卦大和とば 一冊 其外諸芸女中日々の 重法をこと〳〵くあつむ 貝原先生述 女大学宝箱 女しつけがた源氏物語 百人一首絵抄その外 一冊 重法あまたあつむ 女大学と女今川を大字に 女大学今川入 してよみやすき手本とス 一冊 貝画、浦の錦 哥仙貝源氏貝其外箱入 程二冊 諸国名貝の評程二冊 二冊 文章づくししつけがた 女用文章糸車 年中行事其外重法 一冊 八ツ橋流琴の組の組表組表組表組 うらくみおくゆるし一冊 琴曲唱歌集 うらくみおくゆるし 一冊 秘曲くはしくあつむ 女今川玉文庫 今川になぞらへ女中 いましめ条々其外一冊 一冊 しつけがた品々 万玉百人一首 女しい 習ふべき事あまた入 一冊 女しつけがた源氏 物語七夕哥その外 倭百人一首玉柏 重宝の品々あつむ 一冊 女文選料紙箱 百人一首伊勢物語 源氏哥仙用文章 源氏哥仙用文章 重宝の品かず〳〵入 一冊 女小学しつけ方源氏 哥仙婚礼略式用文章 女萬歳寳文庫 品々入大冊の百人一首也 一冊 白貞三 木屋 一増 益軒貝原先生作 女大皿子實箱しつけ方源氏物語一冊 女大学宝箱 補増 補 百人一首其外二十四孝等 此百人一首は定家卿の小倉 後撰百人一首 百人一首なぞらへあまた哥 一冊 集の中ゟゑらみ給ひ并に住をしるす 和俗童子訓 益軒貝原先生著 男女しつけがた 三冊 同五常訓 女の五常の道をくはしく とき聞しむること也 五冊 男女一生の所作いましめを 一くはしくしるすなり子供に 六諭衍義大意 一冊 ならはし益あら事也 小学示蒙句解 つかなにてくはしく住釈 を加へ初学の一助とす 十冊 平かなにて本文読方を付并に かう釈をはやくときやすく 小学経典餘師 さとらしむる書也五冊 一絵師伝古筆印盛箱入 一古銭茶湯道具刀 和漢万宝全書 脇さし笄鍔目貫 るい目利の書なり 十三冊 元三大師御くじ入 萬歳大雜書日用寳一 三世相一冊 此雑書は見やすき事を第にいたしいろはの部分 をもつて即坐に相しれまことに年中日毎に 入用の事をあつむ俗家専要宝なり 手形証文の認やう四季草 昼夜重法記一冊 花作りやう立花并生花 茶湯指南香きゝやう婦人たしなみくすり名酒みそ もち其外食物めづらしきこしらへやう料理こん立 医道療治方食物能どく牛馬のりやうぢその 外日々入用の重宝をあまたあつむ 吉丁草市 看命一掌金 唐行 人間一生の禍福人々の識 の有無万の吉凶をうら 同和解 一冊 なふにあきしにむること かゝみのごとし 曽 西印六百六十四印 継本朝画家印譜系譜付 亜人百八十八名 上古より画家近世の名家逸人俳人等の画印をあつめ 猶性名家号其人々の伝をくはしくあらはし附録 に後藤氏系伝系図門人名工をしるす折本 楊弓射礼抄 やうきうの法式指南 こと〴〵くいだす 二冊 農家諸事心得之事地方刻 勧農固本録 算法等くはしくしるす一冊 松原屋 を手めづらしき物咄 軽 浮瓢箪 五冊 大に集笑談の便とす 口 古今 あづらしきはなし 又はふしきなる物を 英草紙 五冊 奇談 いろくあつむ 古今 繁野話 奇談 右におなじ おもしろき本也 六冊 古今 むつじぐ 莠句冊 奇談 右におなじ おみしかわ 五冊 武家百人一首 此百人是は名高き名将之 一冊 うたを集めたる本也 いにしへよりおもしろき物語を集め 古今著聞集 こゝろへになるべき書也二十冊 書林 大阪心齋橋筋 順慶町北江入 澁川稱航堂 柏原屋清右衛門 文政元 元戊寅年五 文政元戊寅年五月吉日 京寺町松原通上ル丁 18531 菊屋七郎兵衛 江戸日本橋壱丁目 須原屋茂兵衛 大阪心斎橋順慶町 柏原屋清右衛門 刊行