田子養生訣
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- 田中雅樂郎著, 輪池屋代閲
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- 2026-08-17T19:23:20.819Z
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- 2026-08-17T19:23:20.819Z
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- 場所: 江戸
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- 田中雅樂郎著, 輪池屋代閲
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- 日本語
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- 蒼龍堂
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- デンシヨウジョウケツ
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- 東北大学
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- フロウチョウセイデンシヨウジョウケツ
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
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田子養生訣全
一此書は養生の要法神仙の秘術を
示す修し行ふものは皆無病にして
一長生を得君に行はしめて忠を全し
樂山田中先生著
一親に行はしめて孝を全くせしむ
不老
長生
田子養生訣
輪池屋代翁聞
東嶽林子校
蒼龍堂藏梓
田子養生訣
―荒井恭唱氏ノ副会ヲ
醫官日中
尾府医官
田中雅樂郎著
一狩野亭吉氏書橋
夫レ聖明之世河水清天地之気正也戦国之時夭
一札多シ天地之気昏也人命之脩歿全テ依二天下之
是長生を得
俯して今を觀れは四海昇平数
治乱矣
へきの時なり
百年三皇五帝の世にも越へし万民業を楽み
文物日に盛にして医の道も愈精しく諸科備
はらさることなし窃疑古者婦人医老人医小児
医の目あり今や一病一治の微事を以て一家をなす
もの多く婦人科小児科盛に行はるゝといへとも
発音堂
一妻子をいつくしんて親をした
老人科の目聞事なし、
しまざると一般ならんか
扁鵲の
猶ヲ謂テ帶下醫一ヲ曰婦人科上ト今或以テ
一洛陽に過る老人科の称あり
素門
眼科一ヲ充二テ老人醫之目一ニ不二亦盲一ヲ亦盲一ヲ亦盲一ニ不レ乎
云四十にして陰気自から半ばすと又四十以上
より服薬に老壮の違ある事千金方及諸書
に見えたり其病症に於る老壮小児婦人各其
症を異にす古へは一人にして兼備たるなり今諸
一科の目を分つに至ては老人科無は有べからず医中の
一最第一ならずや予やこゝに感有て老人科の目を興
さんと欲す偖老人をして壮健長命ならしめんと欲せは
一修養の術にも亦精からずんは有へからす古医の貴重
後漢ノ華佗晋ノ葛洪皇甫謐梁ノ陶弘景
する所なれども
今廃れて云もの
隋ノ巣元方唐ノ孫思遂皆修養之法あり
稀なり孫真人云四十に満ずんはともに補益の術を
論ずべからずと修養の術も亦然り少壮の人は信
ぜす信じても行ふことかたし修養の極たるや道家に
まむ
切道方
道家は黄老の道にして
一切道
濫觴し
医家に波及せり其書
不老長生の術なり
蔵なり
萬
一巻ありといへとも妄説を附会して以て道家の大道を
亂るもの多く其要を得るにあらずんは其道を得かたし
抱朴子いへるが如く不老長生の術は其有こと誠に
必せり歴史に載る所諸子百家の述るところ歴然
として詳なり孔子も竊ニ比二ノ於我老彭一ニと尊み慕ひ
給ふにあらずや豈此術無らざらんや道を得るに及ては乳
一門に公治長の奇あり何ぞ道家の長生を怪まん
予家国初より累世尾府の医員に備りて幼より疾病
一治療の術を學び今半白に近く血氣衰ふるに及て
深く養生の術を慕ふに何の幸ぞ家に仙家の方
一法を蔵す就中霊粉の法最奇なり加之医家道
一家の説を参考して以為咨嗟少きより此法を修し
行はゞ仙に隣するに至らん予医を業としてすゝ血気
盛なる時は養生の法を思はざりき衰ふるに及て悔るに
老に至て養生するを古人は
餘あり古人の金言感ずるに堪たり
日暮て道を急き貧窮に
成て後に倹約を行ふに譬たるもあれどもなをやむにはまされり殊に延年遷少の術あれは
老人更に患ることなかれ此書を見ん人一日も早く養生の道に志すべし此道を行ひ得は日に百を
還し十年に十歳を還し白髪も一
再び黒く歯更に生ずるに至る
願はくは此法を海内にあまねく
して老たるは再び少きに還り病を都け未病を治し
不老長生の壽域に登らしめ日本蓬莱の名虚から
人皆知るところの和漢古帝王の寿数を以て考ふるに皇国神武天皇の
ざらんことを
初より應神天皇の末に至るまで凡千年十六代なり漢土は周恵王より
晋懐帝に至まで千年にして帝王五十世なりこゝを以て見る時は日本は即寿域にて異城に
よさること此の如し雖然修養の術に熟するものは数百歳より千歳の寿を保つ人多きて諸書に
分明なりさて當世の人を見るに朝より夕に至り夕より朝に至るまで内外生命を我眠する
事のみ成して寿を益する事なきも尚長命成は八九十常の寿なり何ぞ七十古来稀なら
せざるは自棄の
とせん是まのあたり見る所なり幸にして此寿国に生れながら天寿定りありとして養生
ざるは自棄の甚しきなり天の時發駕に示す地の利かくのごとし人の和修養の術なり皆人
皆全
して長生を得ん
廣く此術を施示して萬人に益あらしめは
ことかたきにあらず
一縦令奇を好の譏を得るとも何をかをそれ何をか憚
らん上医は未病を治すと是医道仁術の根本なり
扁鵲ノ名鳴二動シ於天下一ニ兩兄ノ名不レナモ出二於閭里二者ハ何ク也有ル
治二ト已病一ヲ與上ニ治二未病耳志士仁人豈有レ人豈有レ意ス於其顕名一ニ乎
養生の術は一己の私にあらず無病にして身命を保は忠孝
の本なり上は永く君父の恩を報じ下は永く我子孫
を撫育すかゝる泰平の御代に無病長命にして天年を
一楽まんこと亦悦しからずや多病に命短くは天授の大才
ありとも百事成事なく官禄財宝も何にかせん故に
一洪範には寿を五福の第一とし孟子は達尊の一と
一稱す命ほど貴はなし我が命は我に有て天にあらず
とは誠に道家の確言なり命の長短は強弱によらず
一強きを頼て短折なる人多く虚弱多病ゆゑに攝
生に意有て長命なる人あり皆人の知る所なり
孟子云苟得其
養一無二物不二ル
又寿はあれども老耄して人事言語も通
ぜざるあり如斯は縦千歳の寿も何の楽みかあらん是
亀を腐水に畜へは必しも寿からす
修養の術をしらざるゆへなり
一雪を陰谷に蔵すれば夏を越て消へず
一亀に万年の齢あり雪に一時の全き無もなを然り矧や人寿をや
予此術を信ず
予が著す所は龜を蓬莱の池に放雪を冰空に貯ると等しき術なり
るといへども愚にしていまだ悟らず異端なりとして敢て
人に語らず嘗て親友数輩と試るに効験如神気血を
回らし三尸蟲を去元気を補ひ能く食を消し肥たる
楊泉物理論
ものは濁肉瘀水去こと数升或は斗余に及ふ二
云穀気勝二元
氣ニ其人肥テ而不レ寿元氣
勝二二穀気一。其人痩而壽シ
濁肉去尽して精肉数升を増支
體壯健顏色悦澤皺斑自消す人は血氣を以て本
とすとは宜哉能順環して滞らざれは不老長生にして
百疾発することなく万病愈ざる事なし年を重て
怠なくは大風も眉髪再生ず自余の雑症豈云に足
らんや
試斗量之法
人の肥痩は秤を以て知べからず一斗の増減に依て
五六貫目増減あるものあり又三四貫目なるもあり
如斯の違あり仙経医書本草等皆軽身延年の
一ことをいふ修行するもの功験の有無此法にあらずんは
一審に知ること能はず其斗量の多少を試知らんと欲は
一居風呂に湯を多く貯其中に入前は結喉後は大
一推の上まで静に沈み湯を溢れこぼさしめ静に
一出て後升を以て水を量入るゝ事溢れこぼる時の
ことく成に至て其入水の斗量を以て知るべし幾斗
一幾升幾合たること分明なり
福寿自全之辨
夫相者の吉凶禍福を云もの皆血色の善悪に
一依るなり其骨法にをける人々生質たるものなれは
常に変ることなし血色のあしきや暗滞濛氣の類皆
黯りの色なり気血皮裏に滞れは皮表の血色必黯る
一然る時は疾病災害競発り甚しきは祈に所なし又
一此霊粉の法を用て怠らざれは気血内に回り血色外に
一明にして百祥幸福随て生じ疾病災害自消顔色
一悦沢にして不老長生すべし近来世間に殃の多を
一避んとて家居を移し家相を改め幸福を求る人
あり聖賢の教も其家を斉へんと欲るものは先其身
一を脩とのたまへり相法も亦然り何の異ることかこれ
一有らん祈福の豈捷径ならざらんや如斯萬福心の
一儘なるときは心神自養はれ悪念も亦起らす是養
大蔵経ニ云求二福ヲ於未兆ヲ一絶二禍ヲ於未萌二禍ヲ愁
生の最第一也
康ト云フ不レテ祈レク善ヲ而自ラ有レ福不レテ求レ壽ヲ而自ヲ延ヲ延ヲ
摩擦之法
凡人の頭面は毛竅に順て摩ることを禁ず毛竅の順
一逆を察して左右かはる〳〵逆に摩擦するなり順
摩すれば枯燥す久しけれは皮緩み肉低れ皺斑
を生ず逆摩すれば潤沢して皺斑自消老たるは
一再少きに復り久して怠らざれば顔色童子のごとく
はたけそばかすあぶら
成へし
つ皮膚を摩て肉を犯さず眉
一にきび皆治すべし
一毛は逆摩を禁じ胸腹は左右往来を主として上下
一縦横すべし腹は神闕に摩集るを要とし手足は
逆摩を主とす一衣一布を隔れは手足も順摩して
一妨なし導引按摩皆益あり浴に垢を洗ひ暑に
汗を拭ひ癢を掻が如きに至まで肌を親しく摩るには
毛竅を逆にすることを常に忘べからす
夫手足の病ひたるや氣血の外降を失するに依て
一なり手を久く垂は血降て升ことを失し青筋浮び
あらはれ甚しきは皮膚の色紫黒に変じ動揺して
一字を写事能はず久立久歩して脚の疲も亦然り
一逆摩を主とすれは其効速なり然るを順摩し血指
頭に到集り何の所へか行かん諸人諸を察せよ
霊粉乾浴之法
日午は南面し夜子の
霊粉を掌に置左右相
每朝東面正坐
前は西面に宜し
一摩粉消化し掌を熱せしめて両眼を覆ひ温め
摩拭ひ左右更互満面を逆摩すること各九次額
大平御覧所謂一
より頂に至る十八次に至る十八次
存泥丸是也
頭面百骸手の及ぶ
一所如法摩擦すべし残所なきを要す各所必しも
一左を先にし摩する所に氣を充しめて摩すべし
冬は一度春秋は二度夏は三度行ふべし
手拭を絞る法
是一小事なれとも常に用ゆるものなれは此法を
一守るに宜し其大旨は指先へ血をこき寄せぬ
一様に絞るべし先手拭を畳み刀の柄を握るごとく
両手に持臂を開き内のかたへ捻るなり如斯すれは
一気血凝滞せずして指節太からず手振ふ事なく
さゝくれつまぎれ
代指疽鵞掌風
てぬぐひだこ
等の患なし
本二本於孫眞人ノ五宜及ヒ品成公ノ四
修養必用十八段
事一ニ加二テ攝生ノ術九事一ヲ合テ爲二十八段一
梳髪
髪は常に梳に宜右の手にて梳り左の手にで摩て一梳一摩かはる〳〵
一百二十度すべし飢て沐ひ飽て浴す梳も空心の時に宜し梳を順
摩すと思ふべけれど是即逆摩するなり晨ニ梳リト常ヲ以二テ百二十椀一
為レ度ト使。人。長生不老二名テ曰二テ曰二ク木歯丹一大素經ニ曰ク順手ニ摩レ髪ヲ理櫛
之状ニ兩臂更互以レ手ヲ摩レハ之ヲ髪不レ白カ髪不レ白カ脉不レ外ニ
嚥津
一仙家に尊ぶ所の金漿玉醴是なり津を溜て常に服すべし清
一津は嚥て吐べからず濁液は吐べし津の交るを悋む痰は紙にて
一拭取べし五味熨了飲涎口に溢るゝの類皆毒あり嚥こと勿れ玉
液。玉泉、王漿、玄泉、神水。醴泉、霊液等皆舌下の津の稱じて不老
長生の薬なり補ヒ五臓ヲ益テ益二シ氣力一ヲ去二三尸一ヲ支體壮健使二顔色ヲ不レヲ不レ衰一
琢歯
一歯は常に叩べし上下打合声有しむるなり三十六通づゝ
屢琢べし多きを吉とす筋骨調利心神清爽耳目聡明にして
口病を患へず牙歯を堅くし老て歯没せず長生を得べし
歯を叩き津を嚥こと九度するを煉精の術と云黄庭経。云玉
池ノ清水灌二ク霊根二ニ霊没したる人は常に牙齦の表裏を舌
にて摩津をのめは児歯を生ず再生ずる歯を漢名児歯といふ
詩の魯頌にみえたり爾雅に児歯は寿徴也といへり和名瑞歯
といふ後撰集に檜垣の嫗
年ふれはわが黒かみも白河のみづはぐむまて老にけるかな
摩面
手は面に有に宜しと云て常に面を乾浴すべし多きほどよし
霊粉を用ることは本條に詳なり攝生養義。曰五年不レ輟メ色
如二少女一凡攝生書此五宜の類を載ざるものなしといへども摩面に
逆摩を云はず嚥津に清濁を弁ずるもの少し故予研究して
宜を撰摘要せしなり
煉気
気は常に養ふべく平にして噪からず静なるべし丹田に治め
充て一身に満しめ丹煉工夫して玄妙を得べし神仙第一
の術なりもし煉気を以て異端なりとせは百術百芸妙に
至るも皆異端なるべし
飲食
飢て食し渇して飲正坐し気を腹に充しめ心下を屈
せず五味を味へ緩に喰ふべし過食すべからす夜食する
ことなく嗔とき喰ことなかれ外視言語を禁じ他事を念ふ
ことを忌謹ざれは氣痞胸背痛の病を發して不壽食し
己て摩面し漱べし口を食に附ず食を口に附て喰ふべし
能守て背ざれは無病にして長生すべし
衣服
一衣服は華麗を好ます素雅浄潔にして時の寒暖に随ひ
一暑に先て解き寒に先て着し厚けれは汗し薄けれは
一溺す濕衣汗衣皆人を傷ふ火に温め薫して火氣満た
るは振て火氣を去て著すべし肌衣は和らかき木綿を
一薬に煮て着にしかず老人は絹を用るもよし夏暑に堪
冬寒に凍えず高山幽所に入て風湿瘴霧に侵されずして
寿を長くすべし
居所
一高臺大室を忌周密の小室に宜し大に明るけれは簾を
垂て魄を養ひ大に暗けれは簾を巻て魂を養ふ南面して
一坐し東首して寝細隙の風を防ぐべし人を傷事甚し湿
地には床を高くすべし常に日に背て坐すべからず保生要
錄ニ云春夏東首秋冬西首其首常枕二トル薬枕一ヲ
言語
言語は少に宜し気を養ひ徳を養て寿し大語大笑を忌む
一夢寐安からず食するに語らず寝て言はず行に語らず話あらば
脚を住て語べし慎ざれは神気を傷り病を生して不壽声は
一常に気海に有しむべし多言の徳を傷る事甚し孔子曰解
達而已チ孫眞人云語ハ作二含鐘聲ヲ一ヲ一
二便
二便は忍ことゝ強て努ことを忌む口歯を緊閉目瞑き頂を視
一気をして泄ざらしむれは目を明かにして牙歯を堅くし
寿ながし又疲労強き病人二便の跡にて俄に元気脱し変
一症を発するあり口眼を閉しむれは此患なし看病の第
一なり
眠臥
一眠は少に宜し多けれは氣血凝滞す佛家にも睡の欲を欲
一界の一としていましむ臨臥に漱ぎ口を閉て寝声を発して。
一語べからず膝を屈め左右の脚等からず長短あらしめ側臥
するを獅子臥と云心先眠り目後に睡る覚て力を充しめて
一足を舒屢転側すべし気力を益し血脉流暢し筋骨自
調ひ百歳にして動作不衰常に薬枕を用ゆべし菊花枕は
脳を傷る用ゆべからず
養性訣
変性状十一答龍堂
吐納
是仙家第一延寿の術なり故濁の気を口より吐死気と
名く新清の氣を鼻より納生氣と名く丹田に至らしめ
閉気して口歯を開かずして口より出すなり入事多く
出す事少きを要す夜半の後日中の前生気の時なり」
百事行へは大に益あり修し得て又行氣調氣胎息に及
ぶべし諸術一時に合せ行ふことを工夫すべし心を用て修し
一得れは多くのひまを費さずして皆行ふべし
運動
一体は常に運動すべし躁しく動作すべからず坐臥久し
けれは気血のめぐりを妨ぐ坐臥常に足の指を屈伸
して怠べからず運動第一の要法なり中風脚氣脚弱轉
筋を治す痺痛顛倒の患なし呂氏春秋ニ曰ク流水不レ腐戸
樞不レ蠹動也形氣モ亦然
鳴二天鼓一
気を閉眸を合舌を上呼につけ両手の掌に両耳の竅一
を掩ひ塞ぎ第二指を以て中指を圧し脳後の骨を弾
くこと十八通掌を遠く放つなり又抜耳の術あり耳を
引耳輪の表裏を逆に摩擦し左右等しく指を両耳
の竅に入動かし塞て卒に抜なり頭目を清くし鬱を散し
耳鳴聾を治し壽ながし二術効同し氣を閉ざれば
一効少し百術閉気を以て先務とす
擦二腎堂一
帯を解き気を閉両手を以て摩擦すること三十六次熱す
るを度とす小便頻数諸疝腰痛皆治すべし腎堂足心の
一類は人に擦しむるもよし只自ら行ふに加ざるのみ髪を
梳も亦然り
擦二足心一
毎朝目覚は先寝ながら左右の足の裏を合せ熱するまで
一擦べし然して起て諸の術を行ふべし臨臥に擦り夜中も
一覚ば擦べし又片手に足の指を握り手の掌にて擦べし
老て行歩不衰
摩擦掌
摩擦導引は掌を先にすべし繁務の人諸の術行ひがた
くは手を洗ふ法のごとく左右相声して熱せしむべし
百骸の気血悉く回る手を温むれは凍へず掌を扇は
一身自ら涼しきがごとし
導引
一關節を通利し筋骨を煉るの術なり正坐して項を
一縮め肩を聳し忽首を伸て左右に顧叉手托天し
前後に張て肩を動し拳を握り固め力を充しめ前
後に張て旋転し左右に弓を開く状のごとくし立て反張
し又九拝する状のごとく柱に対して登るごとく抜ごとく
引如く押如く千状万體せざる所なく動作屈伸を極め
百節運動通利を主とす坐も臥も立も歩も皆導引なり
従容和緩にしてこれを為ことを要す工夫して妙を得べし
有レ火者ハ開レ目ヲ無レ火者ハ閉レ目ヲ無レキ汗者ハ閉レ氣ヲ有レ汗者ハ不レ汗者ハ不レ
閉レ氣。
老子導引四十二勢、婆羅門導引十二勢、赤松子
導引十八勢、鐘離導引八勢、八段錦法導引、万寿
仙書云五禽、胡見素五臓導引十二勢、遵生八歳
所載四時導引、霊劔子陳希夷二十四節導引、巣
氏李南豊其他百家導引の術多しといへともこの術
に過たるはなし
右十八段の内一事なりとも多く行ふべし其益少からず
一無病なる時に病る時の苦みを念て養生すべし
能修し得れは外風寒暑湿に犯されず内飲食に
一傷られず起臥動静自調ひ七情不熾して不老長
生せん事何のうたがひかあらん唯用ゆる人の少からん
雲笈七載云貧迫ノ者ハ力微。而不レ達。富貴者ハ侮傲ニ而難持ス性愚トヲ。
ことをうらむ
於全一ヲ生識智者ハ或牛二於名利一ヲ自レヲ自レハ非二至眞之士ニ何テ能ク保二養生之理一哉
凡養生の術は徳を積足る事を知るにあり天地間の奇〻
一妙々成無量の楽みを感し諸の煩を省き無益の思
慮を費す事なくよきもあしきも皆おもしろしと
一思ひなして今日を樂み暮すことを工夫すれは憂患
なかるべし是俗間に有て仙道を学び一をまもり無
一為に入るの門戸なり何事も強てすること皆毒なり
慎べし才不逮して困でこれを思ふ事なく目を
極て遠く望まず力に勝ざる重きを擧ず生を害し
一物を傷はず人と争ひ怒る事なく心に悪しと思ことは
なさず過ると思はゞ止め暑くは脱き寒くは着るこれ
一養生の大旨にして百事皆然り造次顛沛一として
酒色薬餌食物のよしあし等宋以降の医書に
養生の法有ざることなし
いふ所と大に異なること多し片紙に書かたけれは略せり
医之用レ薬フ猶二テ将之・用レス兵ツと云り養生は徳を以て天下を治
るかごとく薬は乱を治めんために兵を用ゆるが如し兵は
凶器なれども己ことを得ざれはなり孫子云百戦百
勝モ非二善之善ナル者一也不レ戦而屈スル人之兵ヲ一ク善之善スル者也と百
一家の医術縦令良将の才ありとも修養の術の貴に
一しかざること然り脈を切し薬を投して終日倦ことなしと
いへども限れる数あり天地の大なる九牛が一毛を救ふこと
能はず是予が志にあらず此術周く行はれば人を救ふこと少
からず願は海内に満て海外に溢れしめんことを
無益の序跋を用ひず言文雅を用ひず鄙語を交て解し易
からしめ要を摘て用ゆるに便ならしむ文の長きを厭
一ひ冊の醜きを厭はざるは微力を以て衆人に廣く施し與
へんことを要すればなり論を設け言を逞し俗を劫かし
一虚名を求る徒にあらず唯己が欲する所を以て人に施
意を示す而已
文政九丙戌冬十一月書於江戸市谷田街側
弊舎
21100
四