䎹源抄
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- 不明
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- 2026-08-17T19:23:20.822Z
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- 2026-08-17T19:23:20.822Z
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- 不明
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- 日本語
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- ブンゲンショウ
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- 東北大学
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- ゲンジモノガタリチュウ
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特別
置与1
背源抄
糞源抄
東川市
□□
NOLILRI
○一すいしん聖徳太子甲斐ノ黒駒に人之乗行テ空ヲ
一カケリ玉ヒシニ秦川勝一人御馬ノ口ニツキテメクリケル
是随身ノ濫觴也
一幽王褒妙ノコト本后ノ申后太子ハ宜問ト云是平王也後ノ詩ニ
一駅山挙レ燧一目二蜃蒙塵ノ蜀道ノ為道
一照陽舎は梨壷凝花舎は梅壷。故景舎の桐壷飛杏
舎ノ藤壷龍衣芳舎ハ神鳴壷
一無為也漢書高祖記第一ニ
一さえのきは御説ニ才のかきり也ト
一昭宣公ノ母ハ寛平法皇ノ皇女延寿ノ帝ノ御妹也致仕大臣母も相直御門ノ
一御暇トアリ此外其証おほし
一源氏ヲ見ルニ心切をたゝシテ威者必裏ノ心ヲ守テ一見悪意得テハ好色〳〵
、カタニイタツラニカタフクヤ故ニ源氏ヲヨク習テ可見ニて
一九条殿抄ニ題号に引疲牛入テ文馳駿馬伊周公
○河海序云光源氏物語ハ寛弘のはしめに出さて康和
の末にひろまりけり定家奥入候光行水源と
此物語のおこり説にありといへとも西宮左大臣安和
二年太宰権師に左遷せられ行しかは藤式部おさなく
よりなれたてまつりて思歎ける比大斎院
選子内親王
より
村上女十
上東門院へめつらかなる草子や侍ると尋申させけるに
うつほ竹よりやうの古物語はめなまたれはあたらしく
つくり出してたてまつるへきよしおほせられけれは石山寺
に通夜して此事をいのり申におりしも八月十五夜の
月湖水にうつりて心のすみわたる共に此物語の風情
そらによかひけるを仏前の大般若にかけり侍或部大
一般若一部を書て奉納せしと也源を左大臣此丞を式部
一か身によそへたり周公白居易在納言菅丞相のため
しを引て書也物語時代は醍醐朱雀村上三代ニ
一准すると相臺御門は延喜朱雀院は天麿光源氏
は西公左大臣如此相当する也宇多由
寛平
高子院
朱雀
一村上天居式部は鷹司殿左大臣官女也相継て陪侍
上東門院父越前守為時母常陸介為信女也後には
天慶
一左衛門権佐宣孝嫁して大貮三位弁局
旧跡は正親町以南京極西類今東北院向也此院は
上東門院御所々跡也花崎余情之越前守為時源氏
狭衣
作者
と生す
は作たる也無名抄云大斎院より上東門院へつれ〳〵
なくさみぬへき物語や候と尋まいらせ給けるに此義式部
をめして・何をかまいらすへきと仰られけれはめつしき物
は何か侍へきあたらしく作てまいらせ給へかしと申けれは
さらいつくれと仰けるをうけけて源氏をつくりたるは
いみしとめてく侍れと云人侍れは又いまた宮つかへ
もせて空に侍りておりさる物作出たるによりてめし
出られて其故此国式部と云名は付たると申いつれは
まことならむ
天斎院
送子村上
女十宮
所望上東門院
一条院后宮
御堂殿女
之時式部
即作追々にて連々用意平
一諸本不同草書中書御書有差乎不一レ限青表
紙河内守流両本也俊成卿父子之本猶有異にて
一・有料簡は源字は濫觴小水為九河之源之義一
一祝而用之也此物語升含二其理一ヲ仍果世権翫不レ進
又水源有口決
一続世継物語序言もとは都にもゝとせあまり侍て
そのゝち山しろのこまのわたりにいそちはり侍ききて
従おもひかけぬ草のゆにかすかのゝわたりにすみ侍也
然は式部二百歳にもをよふ相
後漢書口生レ男如レ虎猶恐二其ノ祗一生レ女如レ身如レ恐レ其武一
名詞
裾壷源誕生ヨリ十二歳マテノ事此巻ニアリ
外題ニ四ノ意アリ詞ヲ取奇を取哥ト詞ヲ取哥ニモ詞ニモ
ナキヲ取天台卿諦法門アリ一ニハ有門二ニハ空門三ニハ亦有
外空門四ニハ非有非空門ナリ一切言教ハ此四諦ニ出ス
一是ニヨリテ故四諦ノ外別立法性共尺セリ真実ノ道理ハ
言教ノ外ニアルへキ物シ此桐壷巻ハ詞ヲ取テ付タルナリ
媛玉ニ為眷切美女也稚ワカ
一本御は雄略天皇七年に雑緩をもとめて女臣とすとトイ一リ同文衣の下論戦にアリ
▢一奥入ニハ此巻ヲ藍前栽共云ヘシトアリ一いつれの御時にか
此發端ノ辞甚深ニメアマタノ理ヲ含メリ先作者ヲアラ
ハサスメテ聞ツタヘタル事之書ヲキ名物ニ見せ侍りサレハ
炎々ノ終ノ詞ニモ其趣ミヱタリ作者アラハレサレハ傍人ノ
難を才はサル故なり殊に紫式部も比女房にモ才ある人
多ナリキ其憚モ有ニヤイフモノハツミナキサ一ヽニカマヽヘタリ
伊勢集の初の詞同之意通スル也又此辞三ノ深意
アリ一女清三位更衣卿位命婦五位女蔵人六位
一やんことなきトハキハメテ上臈ノ上ナキヲ云位高キ人ノ
事ハサシソカレ又物ナレハヤムコトナキヽハト云ヘリヤムウハ
ヤントヨムへキナリ一きはにいまツマリタルニハアウ又ト也
一時めき絵妙日本記二文衣節会十とに御衣又き
カヘラルヽ殿ヲ更衣ト云へり一宮つかへ礼記ニ官学ノ
二字ヲミヤツカヘシモノマネヒストヨメリ一あつしくスルム
事なと云義也霊運当遷と云又聢の字をあつしくとを記
一さきの世にも君と我いかなる事を
一あいなう無愛ト云一世のためしにも御門ノ御事は
一何事モ末代マテ記スル故也一上達部公卿上人殿上人也
一めをそハめ側目イコンスヽテミル躰ナリ
一まはゆき善悪ニ返スル言也白体ニムヤハレ又心アリ
一もろこしにもかることの出こりにて殷紂妲己ヲ愛シシ
周ノ幽王褒妙ヲ寵セシヨリ世ノ乱タル事等ヲ引テ
云ヘリ次ノ辞ニ楊貴妃ノタメシモヒヲ出ツヘウトハ貴妃ハ
ノタメシマテト云事也花鳥ニハ以上貴妃ノ事トテ
一おこり起ト驕ト両説アリ起ハキヽコロシキニヤ
一おほしかしつきオモホシトコム御祝
一あちきなう無為ト書リヱタアレ共用之二いとしたなき事
一わりなき
新古
一日本記
一わりなき三別無礼日本地無破経
さもこそは夜はのあらしのあらからめあなはしたなの真木の板
一さきの世にも
一母北のかた北スミテヨムシ一よせをもく縁者余情二説也
一まうけの君儲君春宮也一をしなへてのうへはつかへし
給へききはにはあらさりき内侍十分朝夕御前ニアルソウへ
一言つカへト云一ト是ハサやウニアルへき人ナラ又ヲ仕寵愛ノアマヽ
りに御前サラスト也一上寸めかし上臈シキ様也一屋かて
さにらはせ其マゝ居める事也一坊にもよらせすは春宮坊也
ヨクセスハ春宮ニ十テ世給へキト也一人よりさきに二ノミコノ
御母弘徽殿の御事也一おとしめきすをもとめ吹毛
求レ疵漢書文也
なをき木にまかれる枝もある物を毛を吹疵をいふかわりなき
一さつほねいきりつほし淑景舎ヲ相益ト云五合ノ一也御殿
ヨリウシトラノ果ニアタリテ弘徽殿麗景殿宣輝殿ナトヲ
過て行馬たつゝき十レハアマタの御かタ〳〵ヲ過させ給と云へり
一うちはし打渡シタル橋也ヰリメンタウト云ヘリ渡殿ノヨリ
メンタウニ板ヲワタシテカヨフヲ云ナリ
一わたとのワタリ廊下也一あやしきわさ油ラヌリムハラナト
置タルカト也一まさなきサモシ長ハ濁空ハ澄
一わか身いかよいく身ノヒハツニヨハキ心也一中〳〵なる物思る
コウラウ
一御寵愛故中〳〵物思也一後涼殿一後涼殿は御殿の
テントヨム
雨ニアメリタレハ常ノ御所ニチカキン一うへつほね封屋ナラ
一テ殿上ニ局ヲ給ヲ云也又中宮マウノホウセ給オリハ清涼殿
一五六日イツカムイカトコムヘシ又字ノマヽ君人モアリ
ノ二間ヲ上ノ御局ニシツラフ也ヒノ御座ノ御座ノカタハラノ二間ヲ
空北スム
イツカムイカ
長マコル
上ノ局トハ申ナリ一五六日
トヨム
一母北方へ
一ことにいてゝ
ことに出ていはぬはかりなみなせ川下にかよひてこひしき物を
一われかのくしき
夢にても何かもみえんみゆれともわれかもまとふ恋のしけきに
一をよすを反助ト云リ一いふせきくトヨム一輩手ニテウク
ナリ石階タカキ門ヨリノホル中重ヲ出入ノ為シ中重ノ
一輦車共云牛車は牛の見所一て乗也
平
いとかくおもふ給へましかは
一いとかく思ふ給へましかいと我哥の如ク御門モオモシメシシル心
ナウハト詞ニ出シカタシトヒ花馬ニハ更衣ノ三ツニイカマホシ
キハ命ナリケリト思ヤウナラマシカハノいナリ
かホテコロツタノミシ心ノホカニ成スルコトヲ思詞也世上モ皆如此ナルヘシ
一けにはしむへきいのりとも更衣の祈ニ似タリサハナシ禁中ノ御
一祈祷シ文衣ノ里ニテ修法ハシムヘヲ故ニ退出ヲユルシ行シ
一ゆきかふ交加ト云り一みこはかくても十五ヶ秒決に
一何ことか
カノ字ニコル方モ
アリスミテヨムヘシ
一よろしきことサマテモナキサヘ也
一をたき宮当愛石共土珍皇寺建仁寺ノ前ヒ
一むなしき御から
うつ蝉はからをみつゝもなくさめつふかくさの山参りたにたて
一はいになり給なん
も畳はてゝ灰になりなん後をこう人を思るのやまんこにせめ
一三位のくらゐ
空ミツノクラ井
長サンミノクラ井
才ホキミツノクラヰトスゝ正三位ノ事也一宣命センミヤウ
みつの位トヨヘ申ニや弐本ニハ
一なくてそとはある時はありのすさみににくかりき
一はたさむき将ノ字ノ心ナルヘシ一祥同ニ問肌ノ遠キモ将ノ子ヒ紅風ノや多遣クナト
ヲスルモ時ノ心ニヤトヽ又ト云義ハ一サニト云心ニモヤ又腐ノ充レキ心ニモ用シヤニイトヘルニ叶ヒ
一御かた〳〵の御殿井女御更衣の御殿井也二露けき秋也
人はいさことそともなきなかめにそ我は露けき秋もしらるゝ
一涙にひちて独五ノ床ハ草葉ニアウコトモ秋かルコヰハ劣ケアリアル
春になきてひちにしかとも五月雨にぬれにし神ととてこたへん
一さう〳〵しく拝実と云閑の字をももの一すけなう無人生と云
一ゆけいの命婦勅負ト云ユケイトヨム空今は兵衛歌ふト
云へきと也女は勒は才は子共官相当也
一やみのうつゝむは玉のやみのうつゝはさたかなる夢にいくらも
一門ひきいるゝより車引入ルと一やみに暮て
人のおやの心はやみにあたれ共子を思ろにまとひゐるも
一やはむくらにも
とふ人もなき宿なれとくる春いやへむくらにもさいらさりけり
一おほせ事をけりにて勅定を光ニテノ義也
一寒木のゝ露吹むすふ宮城野とは禁中也小萩か亡下は
北方ノ所也子ノ字ヲフクム一松のおこん
一命なかう尼詞
いかにしてありとしられし住吉の
ナイシノ
典侍
スケ
一尚侍
一形とへはすこし文ノブンナリ
一ゆうき身に
ナイシノ
一ためらふ扶行ト書
ゆゝしとていむとも今はかひもあとしうきをい風につけてやみなん
一おもたゝしき面目申マシキ也二くつお而退屈ノ心ナリ
一えものりやらす車に
頽かいはん一かこともウコチ事也一みくしあけクモミスムヘシ
一さうくし
ワヒシキナリ所ニ
ヨリサウサシ共
一人きゝ十字公二うしろめたう
カ文字空スム
一新護ト云和名一すか〳〵
千馬ニ云清ノ字ヲハ
長ママル
サハヤカナリトヨム間サハ〳〵トヤカテモマイラセ行ハ又ナリ
▢一枕こと枕言にやけくれの事草と云心也一奄前壺の内
一記念
一恐合遊仙厨毎ニ文楽ニ紅葉へノ色ニワカレスフルモノハ物思秋ノ儀ナリ亭子院
ノ前栽ノ花シ一亭子院テイシノ院トヨムヘシ寛平延喜ノ
父御門也一あらき風ふせきしき文字公一ならやうに
一ナトカやウニハト也牧説二大液の芙蓉未央の柳
一花鳥の色にも音にも
雅正
花鳥の色ヲモ青ンモイタツラニ物ウカル身ハスクス也ケリ
一はねをならへ枝をかはさんと在天形作此翼鳥
一ともし火をかゝけつくして
夕殿ニ蛍飛テ思ヒ悄然ル思未テ未タレクレ能レ能レ眠長恨
一うこむのつかさの殿ゐ申亥一刻より子四刻に終左近衛
一夜行丑一刻より卯に至て右近衛宿直なり
一あくるもしえて
玉すたれあくるもしらてねし物を夢にもみしと
一あさまつりことは
春ノ宵若短日高起終レ是君王不二早朝一ト長恨ニ云
此伊勢哥モ此心也二よるのおとゝに夜御殿清涼殿ニアリ
女房ノハイセン
取上人ノハイセン
四方に妻戸アリ一あさかれいのくしきなりタイン所ニテ
シタム朝餉ノ間也於此所朝夕供也一大床子のお
もの天子ノツカセ給床子也ユカニテキコシメスヒノシモノト云
ナリ昼御膳昔ハ朝夕供シ近代一度也大床子クタ
テヽ其上ニテ御膳ヲ奉ルナリ一たい〴〵しき所々也又退迄
タヱ〳〵シキ也和抄一そこら幾等ト云二人のみかとの
一貴妃ウせて玄宗位を去行し事也是もサやウニやトナリ
一坊さたまり朱雀院春寒坊ニ定り行也延善皇太子
文彦早世シマシ〳〵キ此物語先坊ニ比スヘキニヤ
一かきりよく有有けれ光君ハ寵愛ニテ一シマセトモ順義ニ一五セラハマスコト殊勝ノ義也
一御文はしめなと御書始ニは御注孝経哉貞観政要をコミ
御諱
ハシメ給ヒ皇太子親王等ノ書ハシメニイサヽカ替ル事共
後宇多世仁
アリ二世人もヨノ人モトヨムヘシて和抄二あたかたき
一雲井をひかし徹天ノ楽ノ心也一二まうと高麗人也
一宮のうちにめさむ事は寛平遺誡口外番之人必可
一召見者ハ在二テ簾中ニ見ミク此義ヲモテ河海ニハ爰ノ詞本文
に遺卜云り花鳥には世の字はめさすめ叶一しき時の事也然は
一打マカせテハスマシキ由申コユトニて一鴻廬館七条朱雀
アリ職員令ノ玄番寮ヲハ訓ニホウシマラウトノツカカサ
とよめり玄は僧蕃は客也俗尼と云ものも昔百衛国より
来朝せしユへに番客と同く此寮につかさとる也又鴻師
一ノ二字鴻は大也肺は博也鴻は喉広其声高大也是を
一こウロクワンレヽハ四ツ申ト云所ノ辺中トアソハス
智恵ノ胸ノ広博ナルニ比ス時ハ広博ト云義也職原云
一甞二諸番ノ事并僧尼度縁事一ケ所詮鴻庁館ヲツヽ
かさとるは通士也智恵広大ナラテハ不叶歟一国のおやと
帝王ヲ国母ト申也一あめのしたたすくる大やケノカタメトハ
一掃政開白也源はつまに尊号を五行しかは大やけのさめ
には其相夕カフト云也一さえかしこきサヱ伎荘子サヱスム
方モアリ一ヶ品親王の外尺の親王は一品ヨリ四品一テ
ハ有品也五品ニアタルヲハ五品トハイス無品ト云ナリ
一すくもうの宿曜廿八宿九曜ノ行度ヲモツテ人ノ
長センテイ尭空センタイ
運命を勘つるなし一先帝
トヨム
ト言行フ
清少納言枕草子ニ村上ノセンタイトアリ
長ハ三代ト云
一三代の太つかへ
一光孝宇多醍醐ナリ
一空三升鉄様
一あらんと無疑也
一すか〳〵しう速々清々日本記二うけはりては
スム方モアリ
承諾ナリ
一こよなう無此世也無越世共一手してしげく源汰カトノ
御アタリ去行は子は細々は参ノカタ〳〵ハヱハチ給ハ又ナリ
一うちをとなひ給へり藤栄の御用也女御タチナトノントナヒ
給へル中に藤壺は若クウハシマスナリ一せちにかくれ給
へと人ニハ恥チ給ハ又ニ藤ツホハカクシ給ト也モリミタテ
一ツルは源ノミ竹迄二なつさひ昵近と云り一御おもひとち
ヲモイドウシナリ
イツレヲモ同クウホス也
巻一よそへきこえつべき藤宗ト源ヨク
似給也一なめし無礼ナル事也直ノ字也千馬ニ憚ラ
モナメシトヨメリ一名たかうおいする朱雀院シ弘徽殿ノ
宮タチナリ二光きみ亭千院弟卿皇子敦慶親王
号玉の光は美人也一かゝやくひの言三条院御時
御帳所
一くらつかさ
上東門院ノ御入内スニテ藤壺ニマシ〳〵シウハカヽやク故
一台と世の人申侍り当代の事をもりまたりたる事は
此物語に書たる事は多ナリ栄花物語ニアリ二十二に
ては元服人生十二ヲ一周ト云此年冠礼スル和漢
例ナリ二南殿紫宸殿ナリ二饗ツヽミイ也
一こくさう院穀倉一致仕大臣官を辞て後尚其職に
一仕る致仕と云し千鳥一松はしますてん清涼殿東庭
清涼殿は五ケ間也結ヒサシタルヘシ
一みつゝゆひヒンツラナリ一大蔵郷蔵人蔵人頭ノ大蔵卿
ト云心也一御そたてまつりかへて元眼ノ後装束ワラハ
ノニ替ルナリ童体ハ赤色ノ闕腋ノ祀シ元眼後ハ
黄袍ナリ二涙おとし給二説あり庭上へフリ給フ又
一感涙ナリ二きひは稚日本え親王以下元眼ノ拝舞ハ
蔵人頭大蔵ヲ兼ルトヲ一おはしますせんい清涼殿也南殿ノ西御取も申
一清涼殿の東庭にて御前へかきテアリ東宮御元服は
一南殿ノ義也其ハ堂上ニテ御拝舞アリ
一そひふし遊仙屈には横陳と書元服ノ夜はソヒフシニ女参
一さにこひにまり
も也千馬此義信ス末ニモ元眼ノソヒフシトアリ二ひきいれの
一さとひにまそ給て給て殿上の事
一大臣加官十二おとゝまいり給へき西宮抄に云如御遊
盃酒は殿上にて有て引入大臣をは別而御前にあにめして御
盃を給フナルへシ一上の命婦内命婦外命婦トテスゝ内
一裏に祝作スルを内命ふト云ソレヲ上ノ命婦ト云ヘシ外命
ふは臣下の妻也一大うちき中又の上にきる物也男は米帯
一直衣なとにも大補はやさなり夕へ申又の事也一注
大掛は男小袖は女着之一いときなきはつもゆひに
縁ヲムスフヤノ心也一こきむらさきの奏上母源氏ノラハ
ナリ千カキユアリナリ一なかはし長階御殿より南故へ
カヨフ廊也一市たり舞踏手ノ舞足踏ナリ
一御馬ヲンマトヨム二おりひつ物こもの献物は総名也元服ノ
一蔵人所のたか耳ヲ可見
人タテ一ウル物也其中ニ籠ニ入タルヲハ籠物又折櫃ニ盛花モ
アリ一とんしきのからひつ花鳥ニハトシキノ男ト云リ屯食八ツミ
イヒト云物下臈ノタフ飯也千鳥衣服ノ人ノ本家ヨリ諸
陣役者に是をワカチ給フ物也一ろくのからひつ禄羊櫃其
例ニアウサレ共事シいへさせ給フ由ヲ云へり一おほふ〳〵懇也
一伊物はあふな〳〵アイウヱヲ相通也一女君ハすこしすくし
一奏上十六歳なり一になう無二じげいざを沸景舎
一相堂なり舎ハ殿ノ次ナり或説アツシクトハ霊運当医ト云スケナクトハ三人
望と云次の巻源十六也此巻に十五の事十とはみヱス
但才トナニ成斯テ彼ハト云詞ニコモレリトソ
〽チリ又トモカラヤトメン藤ノ花池ノ心ノアルカイモナキ躬恒
一大うちきの事
小袖と対して大掛と称す衣と各別の物也衣よりはたけて長い
其色は不定候織物もしは綾なり色は只衣と同体也裁縫柳
替候男の装束にも女のにて共以用にて衣と学との間に着候物也
一小うちきの事
是は女の宿装束とて唐衣を着せさる時つはきの上に唐衣の
代々着候タケミシカク候ヨシ承と入内抄ニ分明也
此注は東山左府良惣公義吉元三以書被相尋一条前摂政殿
仍令勘付給也文章写之也
一みこたち上達部かきつゝねて禄ともしな〳〵にたま了給
一源氏君元服に禄を給事は春宮御元服の時の義を表するなり
一棒額題鶴池心俗鳳凰白氏文集総五之移切
苔生石面軽衣短荷出池心小益疎物部安興
未タレ容スルヿ二君王ヲ得一見レルヿ而已ニ被二楊妃遥ニ則レ自女令済ニ而一階ニ而二テ
陽宮一一生遂ニ向二空床角ニ一好ハ生二シ毛羽一ヲ羽一ヲ明一ヲ
母の眼にて里に侍ける比醍醐御門より無常の御
文給ける御返事に
近江文衣
さみたれにぬれに袖をいとしく露をきそふる秋のわひしさ
芙蓉如レ面柳如レ眉対此如何不二涙垂一タレ長恨
在天顕作此翼鳥在レ地ニ預作二連理枝一同
〽玉すたれあくるもしみてねし物を夢にもみしと思ひかけきや
春宵苦短日高起従一是君王不レ早レ朝一同
一ケ千貫験結源語集に又結とも
一ノ巻ニ才トナニ成タマイテ後トアルニ十三四ノコトコトモレリト呼
●箒木源十六才以哥為巻名
一光源氏一巻に光ト云ウウケテ云也二人の物いひさかなさ
斂収し
よこにしもなにゝほふらん
一まめたち敏色ト云遊仙屈二なよひクヒノ字モトハ濁トシ
空御説麗
ナヨヒカトヨメリ
心ヤハラカナルナリ
一かたのゝ少な
こゝく物語かた〳〵少将と有説に申レとも申タ〳〵少将はもつてヒライ
名好色ナリ源ハ上バシツホウンタテヽ好色也少将ニハワラハ
釘ハント仆者書也一説葉平一ニ英明千馬
一一とひよし給ひたサアウイコクシ給フト也或説ヨウンハヤウンハヤウ〳〵
マカンテト
十下云詞也一まりて給
ヨムヘシ空
一忍ふのみたれやと
春日のゝ
空清
一なか雨五月也花鳥ニハ六月ト有空モ
一すき〴〵しき
長湯
五月末より六月の比卜也一御物忌夢み何にてもけか一三
き事の有時柳枝をけりて御冠纓に物忌と云て
付らるゝ左袖にも白紙に書て付るなり御簾にも付けらる一説
悪草に書て付らるゝ事なし草と云理也とめ一此君も
友伝に
治
左伝ニ
源奏上ニトラ〳〵ナルヤウニ頭中将モ四君ニウトヲナリ一しつらひ
料理ト云二まはゆくして空爰ニ干ハ居ニテハ居ニテハ居ニテハ居ニクキ心ナリ
一おさ〳〵爰ニテハ頗ナト云ツキ字也日本記ニ転うト云テ
ヲサ〳〵ト云粗トモ凡共云心也千島一いたのうちにおふことをも
品定の物語あるへき故に申く云り一むつれ
一おやなとたちそひて末ツム
おもふとていとしも人にむつれけんしかならひてそみねは恋しき
一文ともなと文書也色々ノ紙ナルハ艶書也一をのかしく
各競ト云
一数奇コト透トモ
秋風のよもの山よりをのかしゝふけは敷ぬる紅葉かなしも
春は梅秋はまかきの菊の花をのかしたそみまくほしけれ
一をのかしゝミツカラノ心サシノ一ヽナルヲ云へり二えんすれは
一下に源氏詞共へシ中将ノ詞也心コモレリ二おほそう
シ文字ハヤ大大字也
大概也大方也一二のまち次也一女のこれはしもと是より
品定ナリ一はしりがき真は衣冠タゝシキナリ草は走
一体と行はアリク神也一ゆへつけ事なり
一かたちむかしく是品穴の第一也末橋ニ申タル一思わたた
一清濁両説なり空二うめきたる気に申は又気色なり
とりかたなくしいふなりと最下ト最上トハ其数ヒトシクコソアウメト也
一すかされより夕ラサレヨリナリ一と日かたなく中将云へり
一なをべの直人両説ナリ諸大夫也牧は人御二古馬頭藤弐部
ト書面白トソ中将の若輩こゝ〳〵ト語ランモ不似ナリ
一足下ニコソ一後達コタチトヨム
コヽヨリ右馬頭前ヲ請取テ終ル
一なりのほれとも軽光女に当一又もといやんことなき是モ末
一橋に当種姓也前は三つさに付て当し空蝉にモ当納言の子
ナレト受領北方になるを云へり一す領といひて新端の萩に当
一三げしうはあらぬ
空清
長湯
一なま〳〵物ノ十マナル斗シハシメテ公卿ニ成タル
家ヲ云へリ一非泰銭の四位参議ハ天下ノ政ヲマシハリハカルツカ
サナリ八者ヨリ以上大納言マテヲ参議ト云非参議トハイマタ
宰相になら又三四位十トノ事也泰儀になフ又二三位ノ人をモ又公卿ニ
の前官をも共に通め云り前官も也散位なり一ねさし御
一かばらか也サハヤカナル心ナリ
空清
長冨
一はふかす者の字ナリ
不放埒千馬身より過タる事をもかへりみす尋常なる義也
明石上ニ当一にきいふ膽字也一言つかへに出たびて
一桐壷文衣に当一なゝり
八貫黒空
一もとのしな時代のおほし
ナンナリト長
女三宮に当二うちあひてすくれ薄雲に当二さて世に
ありとはメ顔上に当一ちゝの年おい藤式アカイモトに当
一かたかとにてもカケタル中ニモ取所ノアルヘキ義也一いてや
かみのしな源葵の事を心ニオホスナリ一なをし
ナフシトヨム空
ナラシ長
なをしいにトハ指貫ヲ略メ打トケ所也一そひふし
ヨクモフサヌ躰也モトハヒ濁空ス一御ほか重側影ト云火気
廿日本記ニ書一まことのうつは物器量也二かみはしもに
上含二淳徳一以逢二其下ニ一ニ一憶二忠信以事二其上一
一とあれはかゝりあふさきるさにて
そへにとてとすれはかゝりかくすれはあないひとすあふさきささに
サアルト思テトスレハ又カリトシアフサキルサトハアフサマクル
サマノ心ナリ縦横に事のたかふさい
空清
長湯
一まけてやみにしかなと公
一一わかおもふにかなはねた君臣朋友ノ道にモ此心へシ
一されとなにか一説ナニガナニカシ也二所せくヒ口キ心ナリ
一おもふ給へぬはせは申心也一説所せ申御身とは高位の人を云
一かたちきたなけなく伊勢の宮ス所に似タリトソ
一ちりもつかし菴ニモフレシノ心也一寸ミつき所ニヨリテ墨
一すへなく
次に一なよひかに木枯女也御医両説空御
こゑよりなせいあためくトリナイテイヘハナリトリヨリナトメ心セシ
八十リ二ことか中に殊なる事の中也空一説取分也
一一なのめなるましき人ナクサリナルマシキ人トハ男ノ事ナリ
▢一物の哀しりすくしウシロミノ方ニハ哀ヲシリスクシウシキ
方ナクテモト思へト又アマリニマメ〳〵シキハナリナルモクチヲ
シト也一すゝめて十サケツクル体也一又へはさみかち申下〳〵シ
キ体也ヒンノ髪ヲ耳ニハサムナリ一ひさうなき無美相
馬頭も指彳〳〵女ニ当無貧相共一家とうし定め名妻也
一おほやけいゝたゝしく主人に恨ナト有事一打とね見やは
一家トウシナトニカタリモスヘヲナリ一涙もさしぐミハ
空清
長馬
一おもひ出わらひクチヲシキアサテフチンテウナト思出ワラウ
ナリ一あはつかに君子ノ交淡如水小人交 ̄ノ交ハ甘ノ細ノ刻ノ間ノ雨
御命
クチモライアサリハミ一さしあふべき空扇サンカクシタル所ナリ常ハ十
シアフヌキナトノ躰也一マめき花馬ニハアマタノ説アレトモ
ンサナカマシ中心爰ニハ叶トソ宗祇注ニ云巨字也崇キヤ
醴
常ハサ
禮イ
カナル性ヲも此出上ニ似タリトソ一けにさしむかひ一段也此いは
前ニイヘリ二つねはすこしそい〳〵しくヨキヤタチヲ一楽ト云
ソハ〳〵シキハ悪形也一こゝろつきなき申タチアシケレハ心ニ
ツカヌ十リ一いていへする以上花千ルニ当二ねぢ気かましき
空濁
佞人口中カマシキラ云一あまりのゆへよし其外ノ
長清
ナト云心ナリ一ゆへは本上一説五つ〳〵シキ事一よし能才
才覚ナリ一説ヨシ〳〵シキ事ナリ一ひそむ頻威
一ひたする太字千馬一うなつく傾状漢書又顔許
又領許遊仙庵一こしろやすく葵上に当一えんに物
はちし伊勢物語出ていなはトヨミシ女ニ似タリ此物語ニ
テハ夕顔上ニ当一うへはつれなくみさほづくり片
又顔許
清濁両説
ヱナンジ
淮南子
長清
引哥
アシネハフウキハ上コソツレナナレ下ハエナラス思フ心ヲ
蓬葉ひうへはつれなきうらにこそ物あらかひはつくといふなれ
一わらはに侍し時馬頭童にテノ事也一こゝろふかしやなと
一心サタマラス女ノサマナリ古今ニ男ヲ恨テ三津ノ寺ニ尼ニナリテ
一えんに物はちして夕貌の上ノ類歟和州エンにハウツクシクやサシキ也四サ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
我を君なにいの浦に有しかいうきめをみつの塗となりに
此女ニ似タリ一ひたいわを昔ノ石ハタレ尼トテヒタイ髪ヲ
一喝食ノヤウニハサムナリ一忍ふれと堪忍也カクスニハアラス
一にこりにしめるほとよりは不染世間法如蓮華在水
蓮葉のにこりに右さぬ心もて何かは露を玉とあさむく
蓮ハニコリニソミテシカモシマヌ物シ戸ニナル物ハニコリニいて
又様なれと心はにこりにつみたる物也申る人は蓮の濁にシメ
ルコリハ十マニウヤヒナルへ申心也一あさにもなさて是モ同女ノ心也
一尼になると序になけて取かへすトイツレモ悪也一我も人も
心をかれじやハ一度フシ有シ人ハ又ソフ共心ヲウレント也
葉忘ルラント思心ノトヨミシ女ニ似タリ二なのめにうつろふ
かた前段ハ男心サシ有ソミシラヌヲイヘリ是ハ男アタ
ニテウツロハンヲ同ヤウニ恨ソムカハ男ソコウマシク思ヘシサレハ
ハ男ノ心ハタノモシケナク共ミソメシ契ヲチカラナシト思テ
堪忍せヨ也一えんすへきことうゝむへからんふし同事ヲ云
カヘテ二所ニ申ケリ
此上ニアタル
うらみぬもうたかはしくそおもほゆかたのむ心のなきかと思へは
賢桃、
一えんすへき物子タミノ事也一みる人からカモシ濁
一つなかぬ舟のこきたる泣乎若二不レ繋之舟一ノ文送空用
又舟ハ波ノ千里ヲモユカンコソノ本意ナラヌ共ウナク事
なけれは舟のためあやうきに喩云也一うなつく顔許も領許と
一さしあたりて以中将詞也眠月夜ニ当さしあたりてノ段祇公
空用之
州
注ノ心猶心得申タシ如此ニテ聞ムルと女ノ心申ケタ男モタラント
本ノ男ノスコシノ事ヲウタカイ恨テソレヲカコトニ他人ニ心
女ウタウイウラミテ也私
カハサントスルソ大事ト云リ男アや一・リナクテ・クルシカラスト
思へトヽ時ニアタリテハサシモアラシト也永禄六於堺校令時記也
二ひゞらき計たり物ヲ云シカルナト云心也空又鳥ノ鳴時羽ヲ
一ハフク也同軽粧居カロ〳〵シクヰタルナリ千馬ハ
一よろつの事によそへておほせ雨夜の物語初は女の品心
ムケノヨシアシキソ物ニモタトヘスアリノ一ヽニ云タリ此段ヨ
リハ又木ノ道ニ絵所手申キ此三芸ニタトヘテ人ノ真アリ
偽ノアル事ヲノフ此下ノ段ニハ其ハシメノ事大キ〳〵シクモ
キコヱントテ各昔スヽシ事共ヲタカイニ語リ出ス如此三
段に書分たる言のつゝき口とへに法華経の三周説法の
スカタヲカタトレリ三因トハ法説一周喩説一周目縁説
一一因也法説一周は方便品也此品は直に妙法の道理を
トキテ上根ノ顔閲ニ舎利弗ニ対シテサトタシ是ヲ法説ト
云次に喩説一因は譬喩品也此品の初には法説の述成
授記アリ是マテモ舎利弗ニ対シテノ説法也其次段ニテ
車一門ノタトヘンカリテ三乗ツヰニ一乗ニ帰スルラモムヲン
ノヘテ中根ノ声関須菩提迦辞延迦葉目蓮ニサトラ
シキ信解品薬草喩品マテモ喩説ノ述成授記也次
一目縁説一周は化城喩品也此所は過去久遠却二大通智
一勝仏と云如来の法華を説玉フヲ申シ人ノ中以退屈
ノ思ヲナシテ小乗ヲ修行セシカニ今又尺尊ノ説法ヲ聞テ回心向
一大の声となれる間縁をときて下根の千二百人に次第に授記し
玉フカノ法理ヲ直ニトクトシメトヘヲカリテ云ト遥ニシ方ノ目縁ヲ
トクト彼三周ノスカタ今ノ物語ノ作サ一ニアリ似タル也世俗文
○世中ニ牛ノ車ノナカリセハ思ヒノ家ヲイカテ出一・シ
一字ノ業狂言綺語ヲアラタメテ讃仏楽ノ目轉代輪縁
トセル心ナリ下ノ詞ニ中将イミシウ信シテ法ノ師ノ世ノコトハ
リトキヽカせン所ノ心チスト云一リ。此コトハリヲ思テ書ルナルヘ
シ二木の道の木ノ道ノシワサノ実ナラヌ物ラハ二ケツヱ
人ナ下ニタトフ一了ハつき側付ト云ツ文字宣陽長同
一牧清ヲヨム宗碩説ナルベシ一大事として人ノ家アルシト
スへキ女ニタトへ云へり一ゑ所にすミかきに河下絵而先
墨にて書は上手の熊也朽木書共重色よりは次の事
ナリ一説墨絵ノ事也色取絵ハトヤク可キラハメモ黒キ
絵ハ上手ナラテハ書ヱヌナリ一ふとしもフトシモトヨム
一よのつねの山のたゝすまひ前也ソノ物共ナキ女ニタト一巻は
サルヘキ人ノ心ヲキテノ有へ申様ニ云ヘリ一世はなれてたゝ
ミなし金世ハ墨一色ニテ十五重ヲタムト也同ヒヨハ五
重夕三なり一すくよかならぬ山のくしき健菅家法集
スクヨカナラヌハツヨカラヌ様也絵ノスクミタルハ悪ト云江
一心しらい心ツセイナリ二重ちかき千清一法の師の世のことり
三周説法ノ首尾ナリ一つらつゝ吟舌支頤暁燭前
一きこえさせつるやうにヒサウナキ家トウシノナト云シサマ此女ノ
類ナルヘシ一はやうまた馬頭鈴ハやウハ昔也一まほ一ツト云
真帆一心くるしきおり恨にタムモ思敬ナレハフヒンノ心モ
アリサテシタンニ心サメラルヽモキコユ
・一おいらかウナシキ也又マコトシキナリ一すゝめるかた一本
すくめるかた空ハスクメルヲ信シ給スタル方ハサシ過タル心也
一トカクニナヒキテ
コノ女馬頭ニナヒク也
一思給て夕一へ。テトヨム一をしへたつるかない
空濁
長吉
一我たけく
わカ道理はアリ云やウノ義也一いひそつし言歌ト書ツヨク
云い也詩ニ看敬愁殺ナト多作之望極シタルコトロナリ
一をよびをかゝめて空証養二手をおりた馬頭哥うきふしを
一女哥也一りんしのまへり臨時祭北祭の事十一月中酉
一調楽ハ試楽ハ同午日也大裏ニテ有之銅等ハ北陣構握屋
有儀式有饗膳勧盃等河海一あかるゝ散シワトアト同音
ナリ一家路ト思ハンカタハマタナカリケリ又マ夕両説也一ケシキ
ハメルあたり忍所ナルヘシ誰共ナシ一ソロサムク心ニアハ又ナリ
一つメクハル恥ルナリ一恨はトヂナン御酒両説シ一火等ノセニ
一秋に残燈背壁影一アツゴヱタル空清長酒綿綿アツキ物
一才ホイナルコフセコノ大ナルナリ一ヒキアクヘキモノヽカタヒ
ウ木丁也一ヒタヤコモリ何故共ナリ籠ルナリ哥十トコミ
一ミサヲツクルハ・心ニクゲナル姿ヲツクル也
一ヲゆヌ心也無意趣ナル心也又直隠ト云タヽコモリニコモリ
たル事ヲ云千馬一カヽやカシカラスハチカヽやクナト云い只恥
ルナリ一ツ十ヒキテ
奥入伊行尺
引暑はたゝ六ヨラテ春約のつなヒ申スルソナハタツト聞
一夕ハフレニクヽ
スヽヌヤト心ミカテラアヒミネハタハフレニクキマテソ恋シキ
一タツタ姥ト物染る事也一七夕ノ手ニモラリ又フ事ナリ
二ウルサクウルハシキト云心也真ノ字也二ナカキ契にソアヱマシ
逢コトハ七タツメニヒトシクテタチヌフワサハアヱスソ有ケル
夕千縫かたは不似共長実にあやからせ度迄一は申十事花
紅葉自然ノ花紅葉サへ時により善悪アル事ナリ
▢一露のはへなり露の色ヱ也栄光をもはへとよひ又無見共書
日本記二イヒハヤシ馬頭ヲ褒タツルナリ一サテ又オナシ頃木社ノ
少シ指タイタル女ニハマサリタレ共アタ〳〵シヤナリ一ウへ人候共
一大納言ハ馬頭父ヤト平
ナシ二大納言誰共ナシ一池ノ水カケミヱテ池ニ月ノミヱ
タルヲヨメル伊勢
一雲井にテアヒヤタラハヌ月夕ニモ我宿過テ行時はナシ
一トハカリ月ヲミルシハ〳〵ニ牧説ソトハヤリ孝二影モヨシ
住馬楽
アスカ井ニ宿リハスヘシ影モヨシミモヒモウセシミマクサヒヨシ
一つゝびり空長同清牧満宗碩説也一リチノシラヘハナリ女調子也
一ヨクナルワコン和琴ニ能鳴調アリヨソへ云一スノウチミス也
一イ一文申夕る和琴近代ノ物也一子タ一言我コソフミ分多レト云
テ別人ヲ子タマスルナリ
一秋は中又紅葉は宿に散シキ又道なみ分テトフ人はナシ
松の葉に雪を子タマス時雨哉
キコユル也菊イ
尭空此御発句ニテヨク子夕一文ノ心
ヲコユル也
一アサレカクレハ爰ハサレタルナリ二組々ノ音モ月モ別ニカヨフ
男ヲ上人知テツレナキ人ヲ引やハトムルトヨメリ遊歌ハ其カヨフ
人ヲハ何共イハテツレナキ人ト云ヲ上人ニシナシテヨメリ上人ヲ
引トヘヲコトノ葉ナシト琴ヲ立入テ云ルナリ一ニクヽナルトハ
女上人ニ十一ヽメキカハスヲ馬頭閉テシ一ハンシキハン三キハ冬ノ
調子也二カトナキニハ一カトアリト也一萩ノ寄玉サヽノ処
河海ノ引哥申タラストシウツクシクヨハ〳〵トスル女ヲソ御心ニハ
一ヲホシメサンノ心也二ナヽトせアマリノホト馬頭我らセ年ホトニナ
愚
シレモノ
トヨ」
ト云心也又七ト云ハ数ンホキ事ニイヘハ七八年モンハシマサハ
シロシメスヘキノ心也一才ハサラスシハスマテ也一シレ物ノ物語
ウ白物同常ニタカイタルヲ云ル二十カラフヘキ人ノ
一中ノ末ノトクル事ヲナカラフルト云ユシ以下タ顔ノ上ナリ
一此ミ汁フル二条右大将二雲ノ音ニ申ホヘル画ノ嶋ニ我カ泣アラ
ソフナリ一昔物語メキテトシカケカ女ノアリサマニ似タリ
末橋ニ注スヘシ二咲マシル花ハトコ夏ハ女ニタトヘ撫子ハ子ニいへ
タリ咲マ三ル花トハ秋ノ庭ノ様也シクモノソナキハホムル
心ナヤラ床ノヱンニテイヘリ一チリヲタニナトタ顔ヲナク
サムルナリ
華ヲタニスヘシトソ思咲シヨリ妹トワカヌルトコ夏ノ花
一打はラフ袖モ女哥に面はきコヱタリ頭中将ノ北方ヨリシト
三ハ事也一カノサカナ物馬頭か語也琴ノ音マテ木枯女也
一此心モトナキモタ顔也一クラヘクルシヤルヘキ
世中ハクラヘクルシク成ニケリナカクミシヤクナモフスチナシ
イセノウニノアサナタナニカツクテフアワヒノ貝ノ申タ思ニシテ
一此歌宗牧引に一吉祥天女世中の女思やらなら子は吉祥天介
コソト思へハ又仏法メキクスミタルト也二文章の生に儒者
の若き時の官也一わかつたつの道貨福の二道也富
家女ノ女ヲ易嫁シト男軽二其夫一ヲ一貧家女ハ雖レ嫁と脱孝二於姑一
文舟一ツノコシモナンツノコノタメシサイナキ物ニテアルト
式部ト思ヘルナリ花鳥説ナリ祇公注ニハオノマホトヨキ物
は侍ラストナリ用シ一フヒヤウ腹病ナト云事ニや風病也
一こクネツノサウヤイ草薬ヒルト云物也暑気ヲ去ル
一雑事ホサウシラトコム一サヽカニノ此香ウせナン時ト云フ
トカメテクヘヲヨイ共マタスシテ後ト云ヘル若カ事ニヤト也
一才イラカニ一文やカナト云詞ナリマコトニト云心ナリ
一すへて男も女毛馬頭語也一つつかる勘当と云人之に書也
一アハヌ
俗ニアハサムルナト云事也
一わ口物は智者は言未必尽
論語
シヤタシヨ
一三史五経史記漢書後漢書毛詩礼記左伝尚書周易
此式都日記ニ此程里ニ侍ルツレ〳〵ニ史記トイフ文ツミ侍ルト云
三史ナトヲモアナラメタリト也一返事ヘンントヨム一五月の節ニ
五月節には天皇菖蒲のあつてをかかけ武徳殿に行幸あり
一内弁外并節金ノ如シ宮内有献草之浦内侍女蔵人続命
一縷ヲ群臣ニ行フニ二献終テ六府騎射ノ事アリ
一ヱナラ又子ヱレハアレトシツヤナラヌ時ハヱナラ又也
クニチノヱントヨム空
一九日ノヱン
長ハコヽノヤノヱン
重陽宴には天皇南殿に出御有
テ内弁外弁等アリ文人博士ヲメシテ題ヲ奉ラシメテ
各韻の字をさくりテ詩ヲ作テ講スル事アリ如此ノ誓
此日詩ヲツクレハ先ハ
ニ菊ノ露ナトヲセケテ人ニ哥ヨミ申クル事也此
申タキト云ヘリ
一かゝうしてけふは霖雨の晴かたかりシ空ノハレタル心ナリ
一ヨロツノ事ト云ヨリ折カラマテソ一段トミル一条殿御説ナリ
ツヽケテミル祇公説ナリ空御説ハナトカサテモ其折〳〵斟酌
せヨナリ一義ナトカハトヨミアリサテモトヨミ出ス此義ハ又ア
一リ斟酌モスクレハ無曲也折ニシタカイテハヨミモカケコナ
花鳥の説万の事に付て今こソハトヲホユル時の有にモ白別
一ナキ人ノ心ニテハ只斟酌シタランカ目やスカルヘキト也
一人にとり藤壷也二中神を手よりは大内より左大臣の御所へ
フタナリタレハ御トマリアルマシヲト也二条院モ大内ヨリタツミノ
一方也天一神を云へり空御説中神は中央の神也長神
日ウヘテアル故也一サカシ賢ケニト云心ナリ
先後入道真観
此比ハ十カルヽ水をせき入テ木陰涼三ヲ中川ノ宿
一引タカへ外サ一ヽヘトオホサンニハ紀守奏上御家礼ナリせメテ外
サマニテ十キ方へト也空ハタマ〳〵葵へヲハシテ也一人ヂカ二ケニヨ
ロシキオマシ所サレ事シウケテ答ルナリ二アルシモサカナアルレハ
紀守也風俗玉垂哥
わカ家ハ戸ハリ帳ヲモカケタレハオホ君ヲマセムコニせンミサ
カナニハ何ヨケンアハヒサタヲカコケン一女ドシキ
一御卜モ
フトモト
一ヨム空
一ヲ又ノ音ナヒ夏モ一重カサネハ打衣又ハリハカ
一つきる故ニ音あルヘシ一ムスメナレハ新端ノ萩也空御説
一ヨスカサタマリ葵上ニサタマリ行ト也一才ホス事ノミ藤童ノ
事也一式部卿宮の姫君ニアサカ等此等作物語の作法也
ス一ヽ明石を先書クタリト云此巻アけカホノ巻ナトヨリ後ニ書
たるん一等ゝ工力めて方曲也スクにもかたラ又ナリ
一戸ハリ帳モイカニソハ吾家ニ大君キマセンノ心ヲ心ヲ心ヲ以
テシ一何ヨケン枝詞ヲウケテサルヘキ女ナトモ有ヘキ共ンホヱ
又心也二伊与ノスケノ子モアリ伊与ノ守シ介ト云ルハ長官モ
次官も職掌は同事故也諸国守の時は介長官の事を
執行也故ニカヨハシテ守ヲスケト云一リスマノ巻ニ大弐ヲ帥ト
云ヘル此例也一イツレガイツレニスガ〳〵
空富
長清
一マウトノキ守
ヲ云ヘリ御ヘンナト云カ如シ真人ト云一フイニ不意也
一イヤヽハワタクシノシライヤヽトハ源ヘハナリノ詞也
一スキ〴〵シキ
空清
長冨
一ウケ七キ
空湯
一長津
一才ロシタテンや紀守
スキ物ナレハ伊与介モ心ヲハユルサシト也二君ハトケテモネラレ
一汁ハスイタツラフシト
イカナリシ時其竹ノ一夜夕ニイタツラフシヲクルシトイフ覧
一カクイフ人空蝉也一タチチギ・スムヨシ両義也所ニヨルヘシ
・一物ケ給はルウケ給はるなり一イモウトヽまゝ給つ系図にはア子
にてもあれ女をは末に云つ也古今序にすさのをのみことを天照
太神のこのかみと云へる天照太神はア子にて一シマセ共女神たる
一故也一中将ノ君メシツカイ女房ヒ二火ハホノクラキニ
二サヾやカ少シ少々狭河海ニ云一侍メレトハンヘメレトコム
一トウモナクテ無動シ一トウテ給取出給ナリ
一オホシクダシ河内方ニハ濁空御祝事一ヤヽトノ様中将ヲメス
サマナリ一カヤウナルキハヽキハヌシアル物ニハヤルタハフレセヌナラ
ヒノ由ヲ申也一十ヨ竹ノ心チニシナヘ共オレ又義也二有シナウノ
一取かへす物にもかなや世中をありしなからの我身と思はし
一ノチせモヤトモトノ身ナカラ源氏ニトハシタテマツクハ御心サシ
ソロカナリ共ミナラシ紅ヤトモタノムヘキトナリ
わかささなる後世の山の後に又あはしかならすけふならすとも
一イトやりなるらき子の程少きたる心也一みきとなせけい
ソレヲタミオモフ事トテ世中ヲミキトナカケソ人ノキカクニ
一イキタナカリケル人ノ子コイ事也一サシハヘテ進シ二イトカウ
かりなるウ弟子の程うつせみ公卿の子にて伊与介せめになる事
ハ分なき契ナレハソレヲカクウヲネトハ心ノ内ニ思シウキネハ
又るなり前注に哢花説也一ついなき今夜の御契を実な事
ヨシニ中那ニキカセントテカクヨメルナリ一コトヽアナケアやニク
ノ心
ウツセミハ河海ニハ
アハ又由ナリ
一へたつる関の実なき由をもこつけに引
哥ナリ
相坂の名をは尋てこしかともへたつる開のつらくも有哉
一つゝきあけテソヽメキアケタルンチ馬ニ渦一コサウシノカミヨリ
上也前ハ紙也一光才サマレル朝日ノ出テ月ノ光ノ消ル也
一みる人やう一中納言右衛門申ケタリ二アソンノオトウトや
一キノカミントウトヽハ空蝉ノ腹にはナキヤト也二アテ人妙人
アテヤカニウツクシキ人也一イトオホクテ文ノ詞ナリ
一又ル夜十ケレハ
一応シサヲ何ニツケテカナクサマシ夢ニモミヱス又ル夜ナケレハ
一心ヱヌスクセ打ソへル受領ノ品ニサタマレル事又源ノ申やウ
ニノ給事ナトヲ思也一アコハシラシナ以下ノ詞ハ小君ニカナ
シク思ハセントテノ作事也一ミクシケ故御速殿装束
スル所也さろろく所也私にもある也二フヨウ不例也千鳥不用
一箒木ノやラシラテ爰ニキテアハ又ト也花鳥ニ源ノヒトリコ
トヒト有一数ナラス此哥モ女ノ糖コト也キコヱタリト云ハ必
人ニイハネ共ヲノツカラ人キクシフセ屋ニソフルイヤシヲナリ
一卑下ノ心也両首ヨミ申ハシ給トミユ各狭コトタルト云義
アレ共同箒木ヲヨメル御返トミユ一サバレサモアラハアレ也
ソノ原やフセやニオフル箒木ノアリトハミヱテアハ又君哉
是則哥也種々鋭々アレト只箒木ノやウナル木ノ見義理也
秋トイへハヨソニシソ聞アタ人ノ我ヲフルセル名ニコソアヽケレ
マアテニオラハヤオラン
楊家有女初長成養在深窓人未識長恨
一耿々残灯背壁新文集
折テミハ落ソシヌヘキ秋冠ノ枝モトヲヽニウケルシラ露
イツクニカ宿リハトラン朝彦カハ重サス世ノ玉篠ノ上ニ
世中ノウキハナヘテモナアリケル頼ム限ノウラミラレケル
一千思于勝〓一念一心樵遊仙
我せコアノヘヲヨヒ返サヽカニノクモノフルマヒカネテシルシモ
遊仙
六帖
カシカマシ山ノ下行サレ水アナカマ我モオモフコヽロアリ
伊勢集
コヨロキノ磯タチナラシ磯菜ツムメサシ又ラスナオキニフレナミ
年フレト云いラレハテヌ人ノ上ハ心トヽメテ猶ヲヤレケリ
●空蝉再一竪源十六以哥為名
ウツホノ第三ノ並春日祭第五吹上ノ直ニ直シ
祭ノ使
菊宴
ナトアリ又
濱松の物語にて并一帖アリ此等ノ例也凡并の様一偏に同時
事トモミヱス横竪不被上同ツヽキヲ分ルモアリ是ヲ竪并ト
云空蝉ノ巻是也うつホ浜松ハ横シ末橋ハ竪横相交ナリ
一子ラレ汁は又中川にての事也一涙をさへ小君涙をこ等すなり
一われはかく人ににへまれても源ぬ色ノヨシ見ヱタリ
一夕ヤミノ道タト〳〵シキニ
夕やミハ道タト〳〵シ月待テカヘレワセコソノマニモミン
一ツイソウセス童ナレハ礼義ナトセヌナリ一ツマ戸ニタテ
車ナカラシ一毛屋本屋シ一コまアヤノヒトへカサネ何ニカアン
ウヘニキテ女房ノ装束五月五日ヨリハヒトヘカサネヲヰナ
ヒトヘフタツヲヒネリカサネタル物也此時ハ更ニ一重ヲまスコキ
一スミノカタ所〳〵西カタノ詞
一トハコウチキノ事也紫ニ満たるヘシ一モノゲナキ
文馬長
牧清硯
一フタアヲ下ラ赤花上ヲアサキニ染ルナリ一ハウゾクナル
傍側あらハナル心也一ソハ口カ尖ナル事也チ与せイノ高キン
一サざりハ葉トヨム一サウトケハ早速イソヤハシキナリ
一イヨノユゲタモ与州アラシマノ渡ノ湖中ニ有湯ノ一ハリ
イヨノユノサケタノカスハ左八ツ右ハ九ツ中ハ十六
ケタノカタチ七十三七十七タンナリケタノ数五百三十九ニ
一タドシヘナクノヲ別ナキ事也タトルハ分別スル事也
一目スコシハレタル一説ヒタイ高キ心也此説謬乞目ノ上瞳也
一子ビレテ子ヒタレヨシハミテシチ烏子ホレタル躰也
一ソボルレハタハフレタル也俊成女ノホコリタル也一なを〳〵シクハ
ヨノツネナンサリナト云心也一アハツケシアハ〳〵シキハ心浅キナリ
一コダヒハ今度也此タヒト云本モ有一風吹トンセ
一アイチヤウ愛形付愛敬共
一風フケト人ニハイヒテ戸ハサヽシアケント君ニイヒテシ物ヲ
一たゝミヒ口ケテ座敷也一説タミ戸ノ事也屏風ニや次ノ
詞にみユ一春ナラ又木ノメモイトナクナケカシ
ヨルハサメヒルハナヤメニクラサレテ春ハコノメソイトナヤリケル
一アヘカヨハキ也一伊勢ラノカマノ一人のまひ侍る事の肝ハ初
鈴鹿川いせおの海土ノ捨衣塩ナレタリト人やミルラン
一アリシナアラノ
一取かへす物にもなや世中を有しなからの我身ときもはい
一空蝉ノ羽につク露ノ此歌伊勢集ニアリ如此事古今伊勢
物語にもハシメテ読タルやうに書テ万葉ノ哥アマタアリア
サカ山かケサヘミユルノ哥等也又我上ニ寄ソラクナルノ下向モ
赤人哥に此夕ふりかる雨は彦星のトワタル舟のカイノ雫カ
隠美物語にたきものゝ目ナラフ人のわゝたわは忘らし又ラン数
ナラヌ身ハ又物語ノ過ニシモ今日別ルヽモノ哥モ斉言女法某
二アリ
一けいめいしてイトナム也
一カツハイカニオホスラントハヤネノ小君せツヤンシカヤウノ使ヲ源モ
心ノ底ニハイヤヽソホサント也一或説サカリハ髪ノ末ヲ云下
場ト書也
枕より又しる人もなき恋を涙せきまへすもらしつるかな
一又おはするいたそととふ民部のをもと白問自答
一又キスヘシタルウスキコロモト也自筆ニアリ
夕かほ
一源十六歳夏より十月マテの事とみゑり是も竪の
並ナリ以上リ並詞為巻名ナリ
一ハシトミ下ハカウシハタ板ナトヲ打テ上ニ蔀ヲツクリテ外ヘ
隠
声アクル也上ハカリアクレハ半蔀ト云へり一サキモオハせ給ハス
一スタレナトシロフイヨスタレ又カヤ簾ノ類也
昔ハ内々ノアりキニモサキヲ追ケリ用心ノ為也変化ノ物
モサキノ声ニシソルヽナト云リ一ミイレノ程ナク小家ハヲタ
マテミユル躰也一イツコカサシテ源氏ノ姓ニ五タリ殊勝トニハ
一ヤラヤハリテハカナキ家ニ相応せヌ女トモノアルフイヘリ
世中ハイツコカサシテワセナラン行トマルソンソ宿トサタムル
一まりかけたつ物板をめトり羽ニシタル物也タテシトミ也チめ
シトミヤト云也一コノモヤノモ此面枝面シコナタカナタ同心也
一遊仙石に両道をこなかかなたとめりこのものモ筑波山にかなる
へ申ラス一ツチヤタ人ニ物申
打渡ス遠方人に物申われソノソコニシロクサケルハ何ノ花ソモ
梅つよめリ一ザ一名左道なる戸也後成口伝云サレシハト云モ
一誹諧体ンザレタル両義アリフリタルいか然也
一し口き扇の薫にこかれたるなり一かきつゝき中門のやきなる
論語産也第六に白澹台減明者・行不由経非公事等至優之室
一アリツル扇先トフライラシ玉テレヽホランスル心殊勝レ
ヘシ一フヒンヒンナキ同事也一ラウカハ三キララウセキナル心也
一ツキごロイ
長富
空清
一イハケナアリシ稚イケナシ一クタ〳〵シ
細研ト書也一サラヌ別ハ一あて妙
一世中ニサラ又別ノ一むね〳〵しからね宗広勅ニ衆シ尊也
一修法シヲトヨム一病者ハウサト云タル本モアリ
一ヤウメイノスケ三ケノ一也一夕うかみ懐紙とて上臈の哥な
トノ為ニモタルヽ也一ヨリテこそ見度ハヨリテミコト也
一わさとめかし申卜さ返哥ナルシ一あまへてアマリテ也世俗ニ云ニ付
一ほたるよりけに一心アテハ思アテン
江夕されは蛍よりけにもゆれともひてみねはや人の一れにき
一あさけのすかた一御さきのまつあ御前松明
我せこか朝けのすかたよくみすて給ふのあひたを恋くゝしつる
一はらから腹族兄弟日本記
一うらモナクマカリキユエ
一夕かほの宿西ムキナルヘシト也
一思ひら褶シテ女ノモカラキ又ノ代ニナル物也一かこといふ
少少もと一その人とは夕魚ノ上也メノトハ楊名介妻ノ母ナリ
長清
此義猶可動一うけびかぬ
一おいらか老人ハコトウルハシ
牧留
ケレハ云ナリ爰ニテハ大やウナル心也一住ウラ〳〵トメナヒキやスナル
ト也一好しつよく堅固ナルソトコト定ルサ也人ノ姓見エルト也
一とくきゝ給蔵人少将斯ハノ躾カラツトニナル一秋にも成ぬ
古
木のまよりもりくる月の影みれは
一よそなりし故壺也一石をん色のおりにあひたるうす物のも
あさやかに常ニハシランクモト心得タルコトヲリニアヒタルト談
ナルヘシシラン色ノナ又ニウス物ノ裳也紫花色トハ面ハスロヲ
裏は萌美也一花に心をトハ我カ上ニハせテ宮ス所ノ心
哥ニシタル也一さふらひわらい花鳥ニは女ト也ワラハ夏はヒトへ
一昨日夕日のなこりなく夕かほの宿は酉向の家なるべし
二ヨハイノホトケ十六歳宮ス廿四歳二メサマシクモトハ宮前ニモツトウヱト也
カサネノアコメカサミハリハカマンヰルヘシ其上ニ男ノサシ又キ
ヲ着タリ五ツラ三キ出タチ也一山かつも花のかけ古今ノ序ノ
心と一これみつかあつかりのかいまみ惟光か隣ノカイ一言ノ目
シロニ付タル人ヲアツカリト云ヘル也只惟光カ事也牧同宗教説
別ニ信用スヘキニアラサレ共宗碩ハ祇公老後ノ門宿ナレハ新
勘ノ条モやト所々注也一中屋に俗に中居と云也一あなか
さとてツ手をフリナトスル義也長はガク清一かつらきの神
岩はしのよろ
十百二十五匁一なべしすかた空ナラシトコム一ことねりわらは
中少なノメシグスル童ヲ小舎人童ト云也一匁しかにその
車をそみまし一シナシニカコフミンスル事ソト也牧枝ニモヨクミヨ
一ケセラハ見証也
ト也一たゝわれとちとしらせて女房ノシウナトハ十斗ト三ラスル也
一かりにてもやゝれる但三セルへき人ナリ共夕ゝ今ノやトリハ彼
今一義ハ恐アル人ノ車ナルホトニダ魚カタノモノハタシカミンソトノ玉フ心シコレアリ然ト也
ムクラノ宿ニサシコメラレシト云也一此ほとの事爰ノ間ノ
事ト云い也例ノト云ハ前ニ云シ事ヲ書ナリ爰私ノ詞
ハシメ也次第ニ申ヽサル故也一重さう人惟光カワカ事ヲ
云へり一さすかに哀に下云は源人也中屋とりをまにし
給はすト云ニツヽケテミヘシ隔句也おもほしかへし侘つゝい
一ウ口〳〵シキ事ト思申へサレ又也しは〳〵おはします細ニウハス也
一物のへんけ三輪明神也一いつれがきつねならん前〳〵
ヘンケニ対スル也一こゝろなからもすこしうつろふかたあらんは
アマリアイ思ハラモシロキ所ナシ我心ナカラ少ウツロイテ
一人モ恨かなランカシモシロカラント也アマリノ事也
一なりいひ農順製豊暴記一こほ〳〵となる神より
天原ふみとゝろかしなる神も思ふ中をはさくる物かは
一まくらかみ枕上
一されたる呉竹コヒタルシヤシケタル也屈竹也エカミタル竹也
千馬一しろきあはせうす色の白キアハせノキ又ニウス色ノ
ウハキヲキタルヘシウス色紫ノウス色也一こゝろはみたる
心フセキ也一みたげさうし御嶌金峯山ン弥勒笹時
地に教へき金ヲアツゆり給也枕草子にもあり河内本しろく
一二尊トソ又カツクハヒタイフツキテ礼拝スルヲ云ヘリ
明玉煤
百五十五日あさもよひきの河上をす朝見れは金のみたけに雪降に
一あしたの露に朝露貧名利夕陽二夏子孫一文集
一なむ当来の導師金剛蔵王は過去尺巡現在観音
一当来弥勒也一うはそく俗事を仏第に入らを一長生殿
の楊貴親ノタメシハイマ〳〵シキト也一こちへへし多ナリヤウレハ
一さきの世の契りしらるゝ三世ヲセケタル三リ也
一なよゝか柔一けいめいハオトロク也経営ヒメトヱト五音様通字也
ウヤマイシタ
愛媛敬命申フ也
一こゝろもとなかめり不苦の例也一いさよふ月に宵ラモ暁
一ヲモ云也一同少りなく不意ト云車余共書
一雲かくれて仏子ハンヲ雲カクレト云源不吉ニヲホスト也
一なにかしの院ソンシヤウ其権ナト云卿也河原院申ト也
一たとしへなくこくらし木クラシ也私モタトシヘナクハ無外別也
一殿にもつかりまつて左大臣殿也一口かため一おき中川
鳩鳥のおき中河はたえぬとも君とかたらふ事つきめやは
一けぢかき一秋の野ら
一里はあれて人はふりにし宿なれや庭も雛も秋のみなる
一重うとく気疎じケフトヨム一へちなう諸院ニアツヤリナト
スム所ヲ云也別ノ屋也一夕露にひもとく申クシタル顔ヲ
アラハシタル也一露のひにや光ソヘタルト読シヲ云一リ
一すたれをさへあけ車ノスタレ也
一光ありと見し夕いヤレニ光アリトミ三ハ物ニモアラスト也
一光アリト扇ヲ出シタリシ時ノ事今ハヽツヤシカルヘキ事ナレ
八色哥大事なるに依て其折はいて目を等つかしといふことす事
タル三ク也一あまの子なれは一つと御かたいら集日本記
一日波のよする渚に世をつくすあさの子なれは宿もつためす
一あいたれたりシウウウヱマヘタルサマナリ一われからなめり
塹のかるもにすむもの我からと
一山彦のこだふる
古
源思シ召タルタヨリニヨリニヨリニヨリ
一山彦のこだふる一六条わたりにも
所打侘てよはゝむ聲に山産のこたへぬ山はあらしとそ思ふ
一人はえきゝつけて一あせもしとゝに事タル物の身ニツかボト
又レタルヲ云一人ばなれたる一滝口武者所ノ宿所
人廿人也一名たいめむはすきぬめ瀧口の殿井申
一かよいくて猶使蚊荘子
いまこそは亥一刻ニ内竪時ノフタヲ奏ス其後侍臣ノ
名タイメンアリナメイメントハ名謁ヲ云殿上ニ御取井シタル
侍臣タヤイニ名ヲトハレテナノル事也此頃ニ瀧口ノ竃
申アリトノ井申ト云モ名謁ト同也瀧口ハ廿人有物也
イツレモ亥ノ刻ノ事ナレハイタクモフケヌトコソハトキ
貴人之侍傍口謁一けとられぬる一むかし物かたり
なとにこそ寛平法星河原院歴覧之時元形有都
為問答云候哉海ニ具也一きけとむくつ遣ゝれイツレモトま
皮渇
一たゝびえに口文字に
牧清
魂也夫人の形也五隠離散すれは遠は十レ行隔生ノ魂也
一望いひ物ことく三魂は肉ヲ護る
五六歳ハアリニテ小神通アリコレ無恐レ
法身ト習也十三年ニ本有ニ帰スル也
一七魂ハ屍ヲ護ル其形鬼神ノ如シ
十二年ニテハ花ニツイテイタルナリサレハコンサリ魄トニホトニナツカシテトワサウヤウソロレクナルナリ
一南殿の鬼の世継云貞信公ノ事武徳殿ノ松原ヲ貞
一火あやうし
一火あやうし誰何火行史記・本朝文粹云夜行翁
信公トなり給時もノヲイタル手ニテ太刀ヲ取テ引トム
勅使なりトノ給へは則は十ツト也一なにかしのあさりそこに
惟光カアニノアサリ也一むく〳〵しさランキ也一命をかけて
馬の音にコヨイハ死ス一シキト命をかケタル也源ノ命也
一いきをのへ給てそかなしき事もおほえける杜子哀詩に
一驚ヲ定テ初掛レ涙ヲト云モ此心也一よゝとなきぬ
千鳥
一みつわくみて一いとかいかに只カ也団ノ字シカマータ也千七
一神事センワサトコム一むらい無礼也一蔵人の弁を頭ては
大方を申たりテ弁メクワシク奏の也頭中将の弟ナリ
一こゑたてぬ念仏万歳身後抄被喪家仙事次第華医
已前無言念仏一つゝものほと賀茂川ノ堤也防鴨川
一使ト云ツカサヲ置クモカモ川ノ堤ツヤン為也一からみちの空
一スべナク無便無為臣
立てゆく行ゑしらすかくのみそ道の空にてまとふへらなる
此哥河海に引道の空の為は申十らは藤一はふれ
ハブレ汝
ハラレ空
一ふくいとくろうして眼衣黒也人サマフクラカニ黒共呼び
服衣ヲ信シ給フ
私云源夕魚上ノ事深ク忍ヒ汁ニ二條院へ右近メシテ
コマヤカナル服衣ニテメシツヤハレンもな
一おほ殿もいみしく重いめいしントロクト云心ニ云ル説アリ爰ノ詞
ニモ誰トヱカフセント也一住侘給ひて
ハントロクニ叶ヘリト上ニモミユ一多かためとか七日〳〵ノトフラヒ
すみ侘ぬ今はかきりと山里に身をかくすへき宿もとそん
一はかくしくあつかふ人なしとてかしこになむときこゆ
一私云モシ又此頃ヨリ西京ノメノト小弐方ヘムカヘタル如此書事
口決あり頭中将の方には懇にする人もなしとて西京にめの下を
クトナリ一この鳥の聞鳩ニハアラス只鳥ノナキ名ト心得ルナリ
一少将の命ふ惟光妹
又打任テ鳩共ミルへきは一いとしも人に
おもふとていとしえ人にむつれけんしかならひてそみねは悪き
一まさになかき夜八月九月正長夜千十一日静元止時刻
一ますたはまことにや
ねぬなはのくるしかるゝむ君よりも我そますたのいけかひぬき
一又ことの義に此程ノ思ニモ死せスメ也一なかはゝ霜に
中絶ノ心又返ヲ半思わつら也源ト少なとの事を思ムス等ゝるゝ
心こにて藤霜トハムスホルヽ縁也一ちりすまに
こりすまに又もなき名は
一四十九日ナヽ七日ト云一頭文クツンフミトヨム一このほと
まてはたゝよふなるを一なく〳〵もけふはわかゆふ
施シ汁袴ニ手ヲフレ汁サ一也一くしあふきなと旅行ニヲタリ
一八月十五夜に煩て十六日の夜死て十七日のことなれはかはる所なしと也
一いとなし憐
物ニスルナリ浦隆家くたりける時中郷よりはなむけに
扇をつかはしくるすゝさはいきの松原まさるとも
冬ノ更衣ナリ
一蝉のはもたちかへて今日有シウス衣ニ冬ノ装束ヲいへテ
ツヤハシケルト仍タチアヘテケルト云ニや河海説
一夕カホノメノトノムヌナリ
巻ニミヱタリ
一この家あるしそ楊者介妻は嫡女也又一人ハツタシニ住付タリ
一人ハノホリキ一過にしもけふわるゝも大キニシハ夕顔今日別
ルヽハ空蝉也神な月朔日ニ秋ノ暮トヨム人不審ス昨日ノ秋
ノ行方シラヌヲ打任テ云ル然ハツモテハ昨日過ニシ秋ト今日
別ル人トナルル要ニハ打任テユウニ心得ヘシ三月尽ニ云ハイクカ
モトヨメル類ト也一かやうのくた〳〵しき是ヨリ皆私詞也
過にも今行末も二道になへて別のなき世なりせは
此三の同心也物語哥古歌に相似たる例多也又古哥を取て今日に
一夕チ横刀日本記
一タルヤウニ書ル事モアリ伊勢物語ニミヱタリ
一蓑辺ニ怨遠ク風聞暗シ壁底ニ吟幽スス月色寒シ順
いはゝしのよるの契も絶ぬへしなく宅しきかつゝきの神
七月七日長生殿夜半元人私語時在天領作比翼鳥
くるゝまは千年を過す心ちして待はまことも久しかりけり
あふまたのかたみとてこそとゝめけめ涙によふもくつなりけり
一しのひ密日本記一麓ノマユタ魚ノマユニ似タリ
春の日にはれる柳をこりも地てみれは都のおほちおもほゆ
一早晩升平宅開眉見君強開笑口展愁眉白髪集
よそにみてかへら一人に藤の花はひとつくれは枝はおるとも
ありつる扇御らんす論語云行不申道トテ其事うかサテハトノ心也
心殊然也一心あはたゝしくて周章優
一惟ヲトナリノセイマミノメシロニ付タマヘルハソレヲアツカリト云也
一むつかりて発憤一つと集ツト日本記
九条
かやうのくた〳〵しき事はあなかちにかくろへしのひ給ひしも
いとおしくてみなくしとゝめたるをなとみかとの御こならむからに
みむ人さへナトニテ向ウヰリテミカトノ御子ナリトモ善悪共
にかゝいて八と也此義部か心也勧善懲悪人ニテ書也御子
ならむからにみむ人さへとある人の子とあれともわろき事
はかゝいてはと思て書と式部申心也茲一段は物語作者の詞
御門の御子なりともよき事はよきあしき事はあしき事に
テアルへきを一向に書もうせは私のやうなレハアリノ一ゝにシルシツキ
タルトシ本ニはオホカルトハ別ニ委ク云タル一本アレトモコレハ
其ウチヲナラ折中シテ首略シテウツシタルトイヘル也ミナツク
リ事也
つくりことめきてとりなす人ものし給ひけれは畢事は申
ヲ書テハ作事ノヤウニイハン程ニカヤウニヤクトナリシ
ものいひさかなきつみさりところなく
こゝにしも何にほふらんをみなへし人の物いひさかにくき世に
源十七歳ノ三月ヨリ冬マテノ事ミヱタリ
若紫
石此以テニツミテイツシカモミンノ三ツヲ名トセリ手提触鞍立
一わらハやミ痞ワラハヤミ三足ノ童来テやマスル故ナリ
一しゝこゝかしつか為発世俗ニシソヒラウスナト云やウノ心ナリ
一山の桜はまたさかりにて
里はみな敷はてにしを足引の山のさくらはまたさり也
一さるへき物符也河内本にはふんと有一すかせ呑也
一つらおり盤折と云一しりへの山
門前秋水後秋山終日蕭々晩望街紀納言
一ゆぼひか長臣寛エウヒカ或ハユライカトヨムト云て一祥ハヒノ字
ニコリ竹迄
六帖三日也
みよしのゝおほ河水のゆをひにあらぬ物から浪のたつとん
一し外ち初入尺門人名也一條院比マテ入道を新発ト云
一代々ダイ〳〵
なき人の形ミト思ムサキノ一本ユヘニ草モナツヤシ佐伯伊思コト古今ヲ引
一いといたし心ニクキ事ト云へり長カタハライタキナリ千鳥
カタハライタキ心也私しコトスヲ名ナト云心ナルヘシ
一人はなれ一心をやれか心ヲナクサム也一さいつ右衛門去比也
一ントヽイヨリサキノ事也一蔵人よりことしかうふりえたるなり
けリカフムリ給トハ爵ヲ賜也五位ヨリ爵位ノ初ナリ花鳥ニハ
蔵人ニテト有一禅御本其分タルヘシ正月五日ノ叙位ニ
一六位ノ蔵人ハ必巡爵トテ従五位下ニ叙セラル事ナウ
又生涯無心十九人ノ守護ニ十ツハ下シ
フリトハ爵ノ事也私云蔵人ヨリニテ同司トセヤチヨリト云モ
一二銃アリ末世ニナリテ人ノ心ナクハトイヘリ
ニテ同詞ト也一情なき人に成人せは也一出たちもすへに
ける出身也一母こそゆへあるへけれ爰前後の詞無首尾也
人々取々云事也一そこのみるめもむつ申て呼に此哥能用下也
あまのかるうこのみるめもはつ申て磯におひたるをそ一む
一四十あまり
一おほえたる似たル也一いぬき犬公ワラハノ名ナリ
一打のふり句やかなる体也一かんさしかさなき時ハイマタカンサシ
ソハせネ共才トナニ成テ髪アケシタラハウツクシカルヘキ心也
カミノサ一シ一屋まふきなとの裏款冬ノキ又ハ面黄
ウラ紅也花款冬ハヲモテウス朽葉ウス黄ナリ
一けうそく脇息也一故姫君紫上の母なり
一おとな少納言也一いさり出る人お納言也一よきりおはし
ます過ヨキルトヲムシノク里一草のむしろ天台大師御
忌日慈恵大師読給歌に
そのかみのいも井の庭にあまれりし草の筵もけふやしくらん
一みやうかう仏に奉る香を名香と云牛頭梅檀名ある青を云へし
一故あせちの大納言紫上ノフヽチ一そも〳〵女は
一イサリイツル少納言也一二しん護身ナリ狩スル也
一僧都ノ詞ナレハカク書リ一をはに
ウハフラハト
所々ニ書リ
一くらきに入ても
一従レ冥入於冥永ク不レ問二仏ノ名一法華一仏ハをのつから
上ニ仏ノ事アリ爰ハ我心サンヲハ仏ハシリ給ハントナリ
一さしくみに袖ぬへしける源の涙もこと云僧都の遊三のト
又案ニ二首ナカラ源ノ御哥ナルへシ一ミ山の故トハ袖ヲヨリ
メリ一あてはか鞭妍日本記タエニウツケシキ心と
いにしへの野中のし水みかたひにさしくむ物は成なりて
サシクミハサシヨリ也ヤウテ也一ひしりうこきもせねとむ申一リ
タル躰也一ぐうつきてコウノ入タルナリ
一ほゝゑみて僧都ノウトンケト読フオカシクンホス
一時ありてひとたひ久遠一現ノ心也如二ナリレレ二億却時ニ
一遍法華一聖徳大字のくだらより元行へつ長清
一花トモイロ〳〵花ノカケ錦ヲ三ケルコとイ哉タヽマクナシキ庭ト云ヱツヽ
一いはけなきナツムハ温ナリ五十ラストハ殊勝ト云御説行や又心トハ十ツタコト
一太子ハ用明天皇ノ子也クタラハ百済也金剛子ノワタリタ
ヱナラ又白虫ナラストシ
ル事は元興寺資財帳ニアリ
一紺瑠のつほ貴布祢は鞍馬寺鎮守也薬師仏不動尊
霊験ノ地也僧都ノ医物ニ似合タリ一まことかや尼君
一とよらの寺のはしなるや催馬楽葛城
かつゝきや寺の前なかやとよしの寺のにしなるやゑの葉
升に白玉しくやましら玉しつゝや
一四五年
一山の鳥もおとろかし侍らん
一瓠巴鼓二琴瑟一鳥舞而鳴魚躍而遊矣列に
一とはねはつらき一御す経なと祓すきやうナトらま也
忘ねといひしにかなふ君なればとはぬはつらき物にそ有てる
君をいかて思はん人にわすゝせてといぬはつらき物としくせん事
古夕節ハイトヽヒカタキいヤ袖に秋ノ歌サヘソキソハリツヽ
此上り可然
一命たにとて
哀たり心にかなふ物ならはなにかは人をうら見しもせん
一ひとそうト君一緒藤岡ノ御夕メニヌイナリ一よのもの風も
あさまたきおきてそみつる桜花よのまの風のうしろめたさに
一はかなうをしつゝみ艶書のつゝみやうは仮令此前或は紅の薄様
二重ニ哥ヲ書テウシタヽミテ引ムスヒテ墨ヲ引テソレヲ
又ウスヤウ一カサ子ニテ薬モシハ砂金ナトノ如ク包テ同商
様ヲ細ク切テヒ子リテ頭ヲユウナリ是ニ墨引不引ハ
両説ナり一ゆくてのツヰテ也一ふりはへワサト也一さたす
きたる央過ト云也半過タル齢也百ノ半ノ義也五十ヱリ
ノ心ヲ一説サタハ比也中サタモ中皆サタ過ハ此過タル也
一めもあやァ一五同事也今案驚目也一なにはつをたに
一なと山の井のかけケ文字スム
一古今序ニ手ナラフ人ノハシメニモシケルト有イロハナルヘシ
一つき〳〵しう方便と書遊仙一はなちかき文字十トツケ
ヱヌ事也一あかさくもあさくもあさか山か斗さへみゆるの心也
十二ハツヲタニト云シ詞ニ便スヽテコミ竹へり
一くみそめてくやしときゝし一つき〳〵しう方便ト云
くやしくそ汲そめてける浅けれは影のみ見ゆる山の井の水
一惟光もおなしことを哥ノ如クウケヒヤ又御返事申也又ヲサ
ナキ事ヲ云也一くらふの山に暗字に尋て夜ノヲソク明へ
ヲ心ニや阿海一王命婦王氏ノ命婦也上古は王姓をも給
ケルナリ一なき程に一条院猶御後上東門院
あふ事も今いなきねの夢ならていつかは君を又も見るへき
花鳥ニハ子ヲナクヲ打返シタル詞ト云ヘリ哥ノ心ナキ〳〵寝入タル
一みたり心はいつともなくのみ
ト問ユイカン一中将の君源也一女御の御こと藤壷也
一すうたかひめ有て是ハ源ノ御コヲコト人ノ御子ニ云一□ハ
シタル様の事也河海左遷の事イイかゝ左遷は滝川夜
故也一舟そえならぬ一おなし人にや
一堀江こくたなゝし小舟御へりおなし人にや只わたりなんける
一十月に朱雀悦行奉有へし朱雀院は彼院也天子祝
一鍵の後の御在所也三條朱雀ニ四町ニ造ラレケリ蜑の御
一宇ニハ宇多御門ヲ朱雀院ト申侍り十月ノ行奉ハ紅
葉賀ノ事共ヘシ一あしわかの浦に花等芦葉の若に
ヨせテ若浦ヲアシ若ノ浦ト云ルニヤ
一うへこそこソは下ニヲウ字也
あしわかの浦にきよする白波のしとしな君をわかおもふとは
禁中にテ女婦コソナト云
一めさましからむ人ツテナラテキヱヱ汁ハスハ五サ一ヽシヤラントハメンホ
一このひたる所にかゝうして御息所へ
クモアルマシカラント也花鳥一よる浪の少納言一なはこえ
さらむ
さらむ一鶏皮トリハタヽツ
一人します身はいそけ共馬をへてなそこえさらむ相坂の開
イツレモ人ツ
一ちちとの給へ
シヤウシタル也
一かくてのみはいかゝ物をちし給はさり給
イヤヽト云テケリトヽマル此詞大事也連哥ニモ
イカヽニテ切テミルヘシ
アルヘシ
一御四十九日
十ヽ十文
アトヨム
十一月九日頃アマ君ノ中院果ル也此時ハヽヤ
朱雀院行幸ナトモ過タルヘシ一まことの望さうも
コレハマタ不レ増事ノ帰サシ一立とまり女ノモトニマウリケルニ
門ヲアケサリケレハ
一秋の夜の草の戸サシの侘しきはアクレトアケ又物にソ有ける
乙シイフカラニツウサソマサル秋ノ夜ノ草ノ戸サシニサハルヘシヤハ
此恐テカヨヒ行所誰共ナシ花前里ノ火ニニモ此類アリ物語ノ用
ニ書タルヘシ
〽イモカ門行スヲカタミ草ムスフ風フヰトクナアハン日マテニ
一あつまをすかゝきて和琴ニ菅提片枕トテ神楽催馬楽ニ
一用事あり五拍子にスカヽキ三度拍子にはカタカキト云一り
又筆ニモ如楽曲終ニカクスヲスヤヽキト云ト云々一ひたちには
あつては和羽れの総名なれとも又東調とて秘曲不也常陸三つ
風俗ノ秘事四首ノ其一也東調ニテス申キテ此哥ヲウタ
フナリ
常陸ニハ田ヲコソツクレタレヲカネ山ヲコヱ野ヲコヱ君カアマ
たきてせる風俗常陸哥一ひきさけて提とさけて
一さてはつしてんハト云本モ有リトリハツシテンハトモ有
一屏風ともあたり〳〵当ノ字上アタルニマカせタル心見へキ
所ニアタリテ也一おましなとたゝひきつくろふはかりにてあれ
ハ筵シトネナトアルヲヒキノフル計ノ事也
一またおとろいたまはしな御餅イマタ御目サメタマワシト云心
一むさし野といへは一今はさは御殿もゝろさい
しらねともむさし野といへはかこたれぬよしやさそそそはなのゆへ
一にひ色のこまやかなるか打なへたるともをきて鈍色紫上祖母
一ノ眼ヲ着スル義也コマヤカナルハ濃字也コキ色ツ云色ノ
浅深思による故也鈍色ウス花田の色也
郷家
ヤトリせヌクラフノ山ヲ恨ツヽハカナノ春ノ夢ノマクラヤ
花ノ陰タニクオシキ今夜哉錦ヲシケル庭トミヱツヽ
末橋問書一わかんとをりの兵部卿のたいふとハ王孫ノ人ノムスト
一一ちゝ君のもとを里にてとい命妓兵部大輔か所へ行かれし也
一兵部大輔は末橋の方へ工アリアル人も去二よりて命ぬモ彼コトヲ知シ
一こゝには時々そトハ末ツムノ所ニハ兵部大輔ハ時〳〵タルト也
微子第十八
末橋花
若紫の横竪の並也三の再詞を以て巻名とせり源十七の
末橋ノ春ヨリ十八ノ春ノハシメマテノ事アリ
往者不可諫来者猶可追ツ
一おもへとも猶あかさりし夕魚の夕顔ノ巻ニツチテ発端ノ詞
一かしこに
ヲかケり横ノ義ナリ思へ共トハ思ハシトヲモヘ共ト云心也一こゝも巻
一かしこも六宮ス気地ては夕魚也一こりすまに
コリス一ヽニ又モナキハ右ハ一思ヘトモ不レ保二其ノ往一述而篇ニ
一すこしゆへつき上ウウシキ也コシアリテヽ
一いとまし哉に司馬相如カ琴心ヲモテ卓文君ヲ挑トイヘリ
イトムハ女ノケシキウトル心ナルヘシ爰ノイトマシサハイサヽカ替レリ
心クラヘナトヤウノ心也戦ヲイトムナトニ叶一リ
一大貮のさしつき大貮ノメノトハ三四人モアリサシツキハ新参シ
王総ノ事ニシ
一わかむとをり王家世等倫
一故常陸のみこ光孝天皇承和五年正月任常陸大守其役
貞純親王代明親王等任シ侍也一かひゝそめ此ヒソムルハ
一たとしへなふ夕トへ十フナり
一ウタテアラシトテ読切ヘシト御祝
一眉ヲヒソムル心也潜竜ト云カ如シ蟄居ノ体也チ
一いまひとくさや酒ナルヘシ伊行ス女ナレハ酒カト河海
一知しる琴待酒友皆抛我雪月花時最慎君
一琴ノ音ヲ聞知ル人のアル十一ニレヽソタチニシヲモスタヘキ
一もしきに行かふ人のヨキニ耳ナレ名人ハハツヤシト也
一いかにおもほしのこすことなからむトリアツメヤナシヤルウント也
一むかし物語にもウツホノトシカケヤ女仲忠大将母十五六にて
父母ニツクレテアバレタル所ニスミシヲ大臣ミテ
一虫タニモアマタ声せス浅キ生ニ独スムラン人ヲシソオモフ
一すいかいスイカキ也一かりきぬすかた内ヨリトアルニヤリキ
又スカタンフ不審スる装束アラタ允迄蹴踊ニ内ニテ布
一衣を着ル例モ有ニヤト也一もろともにおほうち山本哥
一一かうしたひありかい頭中祠
一おほつかなく心やましき世事ヲ一ツホトノヿ也
帝王示聞注云宇多院山陵在大内山二仁和寺西ニて
今案大内山は仁和寺の名所なれは爰には大裏の心に用□
日本記に内裏と云てうホウチトヨメリ一里わかぬ源二ツ
頭中将心ヲホキシモ我ハ尋スト也一をもきこう碁ノコウノ
心也手ヲヒカせ又也劫シヤクス心ナリ一中務の君誉上安政
わさとひはゝひ重と中務琵琶ノ上手也頭中将十一メタウ
ナヒカスメ源ノ御出ニ引タラハ大宮無曲也ヲサント也
一てをえさし出給はぬ世事ナキ也一おかしきかたの御かさ
やとり妹か門せなか門ゆき過かねてやわれゆかはひちき
一辞
の雨もふらなんしてたおさあまとりかさやとりてまからん
してたおさ妹か門
一いらへきこえてて文字図
一匁はやすきタやスキ也一ふたま本尊ナト安置スル所也一同
一見はいれたまいぬ文也一こま笛は常のフヱニ穴の一つすかなから云
一まさにさていへしサテノテ文字公
一えひの香衣被香商衣被香字抄云
一採栴檀葉皮春節為香故云葉皮一云薫衣香ノ一名
一云都テ薫の名也昔のたき物也汝云一君かじゝま
是ハ童ノ諺ニ無言ヲ行せント約束シテ無言〳〵ドウ島ニ
鐘ツクト云テ何ニテモ打ナラシテ後物イ父事ヲスル也
シマト云ハシヽマシ構ノ逞ト云テシマトハヨメリヤスライタル
心也進退トモ一玉たすきくるし
ごとならは思はすやはいひはてぬなと世中の国さすきなる
一ほとよりはあまへて宮ノホトヨリハト源ノ思様ナリ
一本あさえ浅々三キ也一めつゝしきか中〳〵くちふたかるわさかな
小侍従色言を末ツムノト聞テ思ひよりクツロキタリト云ホ
せトメツヲシサニソシラヌト也シヽマヲウケテ云一リ
開
一朱雀院行幸若紫巻ニモサタ有有シ同時ノ事ナリ
一さかゆこはいひ粥蘭文集三有此字鬻売也若此字ヲ
一誤タん一引つゝけたれとひとつに車は二十レト同車シ
汁ヒ一雨ふり出て文に有けむマテ呼命ふカサヤトリ
ト云シニタヨリアリ一夕霧の源哥いふせきは
心モトナキ也打トケヌ事ヲハレヌトシ雨ニヨセタリ雲間約
イテンモイツカトケンノ心也一はいをくれふるめいたる
紫は灰をさして色ノマス物也古は灰又ケテ色かハルトナリ
河内本ニはへをくれと有光はへトヨム一中さたのすちにて
かみしもひとしくかい給へり中比ノ手跡ナリ上下ヒトシキハ
チラシ書ニモせ又ヲ云也呼中古ヤウニテヨカラ又ナリ
一まかて給にひかれた末橋ノ方ヘノ御心モ有シヲヒカレテ出
けふあすと
給古へシ一行幸のことを
両本古
けふありと
千馬
一おほびちりきさくはちのふえ一尺八寸ノ御留也千冊
同同
大筆兼詠レ尺八遊仙両種フルキ楽器也今はナキ物
ナリ長キ一大鼓をさへ大鼓は必堂下にて打事也但寛治
五年五月廿五日殿上競馬六番之時
堀川院
主上
自打大鼓釘
此時堂上ニラク也サヘト云堂上ノ義也本ハ庭ナレハナリ
一夜はさうすみシ一文ナリ一ぬ寸さいれ給御イト一十十比モ切に
ンホス所へコソさいモヒカレ給へ末摘ナトへハカレ〳〵シ
一くたいてける心もなく命ふヨキホトニテ打シカせ奉ラント
思をせめ竹一・ヽ・ウムクタイテアハせ申かく思ハント源
一ソホスナリ一御たいひすく花鳥今楽秘色は青キ茶椀ノ
一類ヲ云也一男し色のわりなくうはしらみたる花寺今葉
一紅紫は深を色を禁色と名付あききき色るし色と
云制禁にをよはス誰も着用スル故也常ニ人ノ心得并
は禁色にテたやすく着用せスユルサレニテ用ル故ニ深色ヲ
聴色ト云誤ナリウハシラミタルトハ紅ノウスキト云也
一くさいひ種書暉クサワイモナクトハウロソカナルサマ也
一くしをしたれて候清膳ニ女房櫛ヲナス事本義也
内教坊
是モ毎事フルメカシクフカシキ体ナリ一ない望う坊
○内裏女楽舞妓居所ナリ別当アリ千馬内教坊今ハ
大とのさにあり一内侍所内裏に天照太神一三一三一文
一いのちなかけれ共寿長則多辱荘子
一とひたちぬへく
世中をうとやさしとおもふとも飛立かねつはねしなけれは
一しひらとはモノコト
一観普賢経二普賢菩薩葉大白象鼻如紅蓮花色一
一斉院源ノイモラト女三宮と呼イツレト不知トナリ
一さをに青々小青ト云白色の事也千鳥一さゝほひて
一うちかさねて
たルナリ
宮一ノ人或ハアルシナトノナル物シキヌノ上ニ表着其上ニ小
ウチキヲキル寸法ハ次第ニ上ニヰルヲハシメラセス也クロキ
ウチキハ紫ノ色ノ黒ミタルヲ云ヘシ一ふるきかはきぬ
一貂裘フルキテン共云獣名也如鼠ト云へり西宮記云臨時
祭舞人帰路着黒貂皮衣也なるきのかはきぬを
高光少将入道横川ニスミ侍ケルニツカハシケル拾遺中宮幸
夏なれと山はふさしといふなれは此かはきぬは風をふせん
一きしきくわん政官ナトヲ云也儀式官弁者シ外記史十ト
ノ事也一ことつけてカコツケナリ
一かみのかゝりハしもシモノ字は干ニハ也
一すゞろいたりトハワロキサマシ物ノトノホウスソロハ又心也
一朝日さすナラムスホヽルヽト也又ツヽラノサマモサルやウアルヘシ
深雪積林色暖古句源鈴集ニ
一松の雪のみあたゝか筆にて貞松新歳寒ト云へり霜雪にモ
潤ハサル松ノ性ノアタヽカナル故也一あるましき物思る漆壺ノ
事也一なにたつ春の
わか袖は名にたつ末の松山か雲より浪のこえぬ日そなき
一わかき物はかたちかくれす幼者形不レ蔽老者体不レ隠レトレ
一悲端与寒ム気併入鼻中辛トアルヲ取テ幼者ハト云ヲム
ハシタナル女ニヨソヘ老者ヲハオトナニタトヘタリ然ハ哥モカシラノ
雪をみる人とは若者なるへし白氏奈中吟に夜隠煙大屋敷雪白の紛にて
一みつからのこれへはかしむく共末橋源ヨリノヲクリ物ヲカタ
シケナキ心ナライニ衣ヲ参ラスルヤト也
一みちの国かみ奥州より檀紙ヲスキハシメケル也古哥にミチの
クノマユミノカミトヨメリ檀ハマユミ也一つゝミに衣はこゝ裹み
衣箱蒔絵見延喜式古代清絵平貞
一袖まきほさむ
六帖
あはあは雪はけふはなふりそ口州の袖まきほさむ人もなき身に
一筆のしりとる童子ナトニイロハカスル時ウシロヨリ筆ヲ取
テカヽスル事也申サケリテ云一リ一いまやう色のえゆるす
ましう花鳥今葉今やう色とは紅梅ノコキヲ云也タトへは
コキ紅ニモアラス又コウハイニモアラ又ハシタノ色ニテ此頃出
キタル色ナレハ今やウ色ト云一リ大略ユルシ色ト同也ヱ六ル
スマシトアルハ紅ノコキ方ニヨリタルハ禁色ニ似タルニヨリテ
ヱユルスマシキトハ云ヘリ一うらうへひとしくこまやかなる
一表裏同色ノ濃也是モ旧義也花鳥上ニ云今やウ色ハキ
一心はみすくさるゝ心はせンさしすきタルト也
文也爰は直衣也一色こき花と一御つゝじりうた
紅を色こきひと見しかとも人をあくにはたつるてふ也
一たいはル所女房ノ居ルサフライン一くハや昨日の人々物ナト
サシ出ストテサナト云詞也撒物ノ声ナリ
一たゝむめの花の色のことみかさの山求な也春日ニテハミセセサノ
山トウタフ余社ニテハ各其名ウウタフ也岬云風俗ノ哥ト
花鳥にハアリ夜子駿河舞トテ東遊ニアリ風俗ハ別ノ事
ナリト云ヒ梅ノ花ノ色ノコトミカサノ山ノト云ウタイ物ヲヒタ
千ノ宮トウタイ度ト云心也三笠ノ神ハカシ一ヨリ出給へハ申シマ
ヒタチナレハヨソヘテヒタチノ宮トイハマホシト云心也一あきむ
き霜あさにかいねりこのめる花の色あひや
政事要略衛門府ノ風俗哥云
一あらすはシラスナリ
多々良女の花の如加以祢利好牟夜減紫色好牟夜
アラスヤト云ハシラスヤナト云ウ如シヤイネリコノム花ハ鼻ノ赤キ
人ニタトフルナリ又たゝらめの花はたゝ梅の花といへることを書
あやまれるなるへし上ノコトハニミヱタリ掻練両面フクサハリ
ニテ中重ナシ紅ノ色ナリ火色ハ面裏紅ノ打物中重アルナリ
開あらずシクスナトンホヌク也かいねりこのめつアヤキニスキタルニ
ハナヤアリツランナトサレ事也一左近命ふひこのうねめ鼻赤
一人ナルヘシ一あなかちなる御事哉啼三井テカノ給フ云へり
一御そひとく一具也一ゑひそめ蒲萄
男踏正月正月十四日
一一日のほと過て源十八歳一男たチか
女々々正月十六日
哢白馬ヒル
天平元聖武皇御宇一七日のせちゑ
ヨリノ事也
天武天皇十年
正月七日御向少殿一宴一からくしけのはこ唐画
一君もすこしたをやき末ツムイ
掻上函掻髪ノ具足入タル物也一重うあるもむつきてしか
きうはさはちろ此一段詞説ニアリ一には源氏のうクリ給へる
計又共の中に申る上申も有けるを見給なりに云表着
ハヤリ末ツムノ方ニシタテラレタルヲメツラシク思給ナリ
一またるゝ物は一いかにそあらためてひきたかへ末ツノ四ツヱクヱタアト
あら玉の年たきかへるあしたより
源氏其御衣片
一さもおほしよらす
一さへつる春は
何トモヲホシヨラスト也
もゝ千鳥さへつる春は物ことも
一夢かとそおほゆるわすれて藤とそおよふ御祝用之
夢とこそおもふへらなれおほつかなねぬにみしかは口さそねつる
一くれなゐはかうなつかしきも紫上キヌノも也一むもんの桜の
ほそなか桜色ハ雨ハウスク裏ハコキ蘇芳シホソナカハ幼少
ノ貴女の着スル物也ムモンハ平絹也一はくろめ
山海経云東海有黒歯国其俗婦人歯悉黒染
今桑日本ハ東海の中国也昔はイとけなき女は左右なくや子ジ
つけされハ古代ノヲハ君のなラハシニテ紫ノ姫君モ十歳ニアマルマテ
歯クロメモナアリケラシ
一へいちうかやうに色とり宇治大納言物語に平仲文は女のもとに
行てなくまねをして硯の水を懐にもちためをなんぬへし合
を女心えてすみをすりて入たりけるをしらて又ぬしけれは
女かゝみを見せてよめる
我にこそつらさは君るみすれとも人にすみつくかほのくしきよ
一あへなんヨカラント也似アハンナト云也一ほゝゑみわたる
にほはねとほゝゑむ梅の花をこそ我もおかしとおりさなかむれ
一はしかくし仁和芹河の行幸の頃に幸八条院為二作画の御輿
○乙便ヲ一初造階隠ヲ云見吏部王記
天慶
一今案南階ノ間ニ
六年迄
柱ヲ二タテヽ上ヲフキテイタスヲ橋カクシト云鳳輦ヲ東
ムキニカキスヘテ左ノワキヨリ乗御下御アラン為ナリ
一紅の花そ梅は十ツセシケレト紅の花咲によりウトマルヽト也
紅葉賀
詞を巻名トセリ但此巻にはなし花ノヱン藤ノウラ葉ナト云
一み五たり此巻源十七歳十月より来七月マてあり
一朱雀院行幸は神な月の十七日なりけり
此行幸八宇多ノ御賀ニナスラフルナリ其故ハ延喜十六三月七日
行幸朱雀院有法皇五十賀ニて醍醐御時朱雀院卜申は
寛平法皇のさ事也五十の御賀ハ三月ノ事なるを此物語に
十月紅葉ノ比ト云ナシタメルヘシ此巻ニ一院ト申事有則
一寛本になふる也相臺の御在位の内に一院崩御の事三ヱ
さるハ寛平法皇ハ延喜崩シ給テ後カクレさせ給フ故ナリ
一試楽を御前にてせさせ給御賀ニは試果調楽ナト云テ舞
楽ノ心ニ共アリ此時ノ言楽ハ内裏ニテせさせ給テ藤壷ニ
見せ奉り給也一花のかたはゝのみ山木也ウツホノ第九云
花のかたいらのときは木のやうに見え給とて仲忠大将を花に
タとへ仁寿殿の如御弾正宗をときは木に夕下へて云る事也
呼ミ山木モウモシロキ心ナリ
○一ゑいなとし給詠曰桂殿迎二初歳ヲ一桐楼媚二早年。京花
屋ヒ梅樹下蝶二燕屋二梁ノ辺ヲ篁作舞装束三海後青色祀
女供
表袴文小葵葡萄染下襲
面大海浦
裏蒲菊
大海浦半臂
一まちとるはマチマウケタルや
舞手向一方様寄波引波躰也一作の御かれうひんかのこゑ
聖主天中天伽陵頻伽声法華臣伽陵頻伽在声勝衆
鳥にて或迦楼賓或云伽陵頻者梵悟ナリ一こゝしう
巨々
巨大
や
タトへハ大人体也カサアル様也一から人の神ふる
青海波は盤海調唐楽也呼も口よしの事は遙なれとも今源の
舞給サマ哀とみ給いと一家のこはことなる上臈の家の子ト也
種性タヤキ人ナルヘシ良家ノ子也播家以下上臈ノ家也
一おほかたにいとあるを詞ニヲホケナキ心ノナカリセハマシテメテ
御祝ヲセ申ニハアルヘヤラスト云心
タクミヱマシトアリサレハ大方ニハ哀トミキト云心ナリ
一かやうのかたさへたと〳〵しからす左右ノ楽ノワキメサヘシラせ給テ
唐人ノ袖フルトヨミ給ヘルト源ノホメ給へる心ナリ
一御后こと葉未立后とも后か子にてをはしてせは后詞と云上に
一いかに御らんしけん文の言
一もろこしこま唐は左高麗は右也一いうそく右族也
一花族ノ心シ又有職也一宰相ふたり参議御賀楽行事
延喜十六年亭子院法皇五十御賀楽行事保忠卿其時
一参議右大弁一四十人のかいしろ長秋郷笛譜云四十人之内
有序二人破二人垣代三十六人にて一かさしの紅葉いたゝちり過
て舞ノカサシニハ誠ノ夕チ木ノ枝ヲモシリ又ツクリ花ヲモヤサス
ナリチリスキタルトアレハ是ハ誠ノ紅葉トナコヱタリ
一いりあやのほと俊成可俊頼か
郭云ふたむゝ山を尋みん入あやのこゑやけにはまさると
顕旧注云舞ニハ入部やトテ左右ニ袖ヲ包メオモシロク舞事ニ
ヨせテヨメリ舞ニアやトル事ト云アリ
一承香殿の御はらの閏のみこ源の御舎弟也一正下のかゝい
四位正下か階と一いうつくしうれいの人のやうト云ヨリたの
まるゝかたはことなりけり一手源ノ御心也哢うらみの給はゝ
匿怨友其人之コロシカラストシ一松だしくマテハ奏ノ口
たのまるゝかたはことなりけりは源人心ヲ推メ書タリ
一まむ所重いし政所家司一御法事此近ウハノ追善也
一御ふく母かたは三月こそいとてつこよりにぬかせ給
除服物忌今曰祖母父方は暇廿日服五月母方は暇廿日
一昨三月一又おやなくておひ出給しかはいくるしきさまを
まえゆき色にはあらてとて紫ノ姫君ハウハやシナイニテオイ
出給へは三月ノ眼ナレトモ二カト心サシヲアラハシ侍リ除眼ハ
シ給へトマハユキ色ヲハ着シ給ハ又シ紅ウス色紫ヲメソ
キテハマハユキ色トハイツレヲ云ヘキナレハ紅梅モヱキ朽葉
一そゝきゐ給へり御説とりさはき十ト花コト
一其外梅桜ナト名アルヲ又ヲ云ニや一朝拝にまいり汁とて
年カハリテ源ハ十八ニ成行フ朝拝ハ正月一日ノ小朔拝ヲ云
一胡賀の事にはあかす清涼殿の前の庭に諸臣拝にて
一なやらふとて追儺十二月晦日除夜ニ儺を追事也鬼
ヤライト云追ノ字ヲヤラウトヨム也俳ノ一字ヲ鬼やライ
トヨムナリ始白禁中追諸家一しゐてみしくぬさま深め
えしもいつよてす葵上一名たゝき御帯花今葉昔ノ
名アル玉ノ帯ニハ落花形驚通天ナト名アル物有シナリ
長き石帯なとの事一内宴内裏にて春の季定て詩の
宴あり但近年継たり呼正二三月中に清涼殿にて
文人をめして恃を作り講せらる事有主上并執柄赤
色袍を着ス保元信西カ行テ後は絶タル事也一注
一おなしひかりにてさし出藤栄は先代ノ御子御母は后服
一花にさかなん我宿にまもきしなてしこいつしにも花にさかなんとそへつゝこん
一さんさ参理也元三参賀と一内春宮一院此一院は寛平二
一ナスラフヘシ或又陽成院共申へキニや呼一院先帝ト申ハ
一・シマサヌトミヱタリめゐ一ならひなきとちいけにかよひ給へる
源氏ト名宮次泉院容貌無双故にかよひ給へる也
一物かたりなとしてカ夕言十分也一ちりはりこのはなひらに
ナテシコニヨソヘ云詞也チリハナリ少分リシ一打ふくたミ
一入ぬる磯の一ありつる花の露にノ文字ニテ匂フナル
しほみては入ぬる磯の草なれやみらくすくなくすふての事
一みかめにあくはまさなき一まさなき無正也
おほき
伊勢のあまの朝な夕なにかつくさふしるめに人をあくよしもかな
一あされたるうちきすかた哢大樹ハアリ申テ直衣ラ拾八又也
ウチキハナシシノ下ニヰル物也一さうのこと筝は秦声也
一うつろふ心ちして面ノ色申ハル事也
世謂蒙恬為之絃有十三承十二月其一歳閏也
一中のほそをの哢中ノコノヤミト云ヘルテや一ひやうてうに
をしくたして平調は筝柱ヲサケテタツヒハナリ
岬カネテノシラヘモシ一越調ニテ有ケルカ筝ニハ一越調ヲ
シテフルニカリ一越調サカリ一越銅トテ二やウアリセリ一越
銅トハコトチヲ手モトノ方ヘヨせテタツルヒソレヲ壱ノ越性
調ト云又保曽呂俱世利ハ粕シヲ越銅ノ末也平調ノ
一曲ニアラス先平調ニシラヘテ調而共ヲオシヘ給テ後呂ノコヱニ
ナフシテホソロクセリトヒセレタルナリコマシラ越詞ト云ハ其
コヱ平桐にて呂也已上歓喜院洞院尺写み又平調の
コヱナレハイヘルニや一ゆし給絃ヲユル事也一ほそろくせり
一長保等破保曽呂俱世利急利夜須急を申りやスト云也
一えんしもはてすえエンシナリ
一かきあはせはかりサトヒキタル也
一おもの食物也一うねめくら人采女蔵人トは爰に書〆レ
ト蔵人ハウネヌヨリハアカリタル女官也サルニヨリテ元三ノ代
薬をも内膳司の御はかためては采女役送め女蔵人ツタへ女
蔵人ハイセンノスケニワタスナリ又御厨子所には采女ノ中ヲヱ
ラヒテ得選と名付テ得医役送シテ命婦につたへ命婦は
イセンノ虫侍にハワタスナリサリナラ節金時ハ内膳司ノ
晴の膳をは采女これを供す陪膳ノ采女トテ執せらるゝ事
也時々ニシタカイテ上臈トモナリ下臈トモナル事ナリカやラ
ノ事ハイマメカシキやラナレ共末世シル人モ有カタク又井
中人ナトノ為ニ此砂ハシルシ侍ニヨリテ事ノ次ニ申也茂守
一そなたには好色には也一又かほきの人花鳥今案御亡下候
リ取ホヒンニマイル人ハ紫ノ中又ノ直衣ヲ着テ祖作スル
一ツホウチキノ人ト云ヒ河一説御装束奉供スル人ト云
一かはほり蝙蝠ヲミテ扇ヲ作初ケル也常ノ扇ナリヒ扇
にあらすまかはら一・ヤフラ也匡文選に高匡からまやうと
マヽカフラタカシトヨメリ休マミノ上也
一森のした草大あらき杜の
一もりこそ夏の
杜ノ下草シイヌレハト云ヲむハセスサアリマシケリ
タルト云ヒ私
隙もなく茂りにけりな大あらきの杜より夏のかけはしかけれ
一ぬりかくしたり泥ニ又リタルヲ云ニや一ひ申もなきい
一好色に隙もなきかと末の哥にイツトなく駒なつくくめると有
一はし〳〵らと恨かくる哢には世中にふりぬる物はち引
おもふ事もなからの橋のはし〳〵ら古ぬる身こそかなしにけれは
一またかゝる物をこそ思る侍らね
一みたての一のみや一統此身やト也夕ヽ好色ナリ
万葉
白髪のくろかみましりおふるまくいとまたかゝる物は思はす
一一温明殿ウンメイテンハ中重ノ東ノ方ニアル殿ニテ内侍所ノ一シ
一天所なり一にくからぬ人ゆへは
にくからぬ人のきせけるぬれきぬは思にあへす今かはきなは
一うりつくりになりやしなまし花鳥には此哥如引
六帖
山城のこまのわたりのうりつくりならひて後そくやしかりける
一催馬楽昌山城三段
山城ノ三ノワタリノウリツクリナコライシナヤサイシナヤ
一かくしうに有けんむかしの人も同此事定家卿本野州ト
アリ親行本文君ナトイヒン昔ノ人モト有両説イツレモ証本
ナリ各可随所好野州ノ事楽天野州にテ女ノ哥ヲ聞シ事
文集㐧十花文君を定家本にハ郢州トアリ源ノ立手へ給ハ野
州ノ女ノウタフヲ楽天関シニ似タルヤウナレトカノ女ハ十七八ト
○卓文君新寡□以琴心挑レ之文君奔二相知有伝
司馬相如将聘茂後幸為妾卒文君作白頭吟曰凄々重凄々嫁娶不須帰願得一四人
ミヱタリ内侍は五十アマリ也愚意文君タヨリ有テ思侍り
白以不相商相加風之乃止西京雑記
卓文君年老テ司馬相如ニスサメラレテ白頭吟ト云哥
ヲツクレリ桐如是ヲ聞テ哀ト思ケルニや源内年ヨリテ
人ノモテナサヌ恨有之ニヨツテ文君ヲ引よせ書タルへシ
ニ付紙コヽニ書入ル也
玉徒寧切
野州支白氏文集第十嬉
★母
和色
ハンシヤウ
但シヤウ
瓢橋
夜ハ問二歌者ヲ一宿ス二野州一
夜泊二鶴鵡州江秋ノ月澄徹隣船有二崎有二祭レ相堪レ知堪二愁絶
歎罪継以レ泣泣声通後二咽尋レ声見一其人有レ婦顔知レ習ス
独倚二帆橋立婢十七八夜渡似二真珠一双々堕明月一
借問惟家婦歓泣何接切一問一治中低レ眉竟不説
御州ヨリハラシ氏部ニアルウ
別抄ヲ見合コヘニ書入也
一あつまやを催馬楽一すりのかみ修理ノ大夫此職郎次二
アツマヤノ一・ヤノアマリノ雨ソヽキ我タチヌレ又ソノ戸ヒウカセニ
カスヤイトサシモアラハコソヽソノ戸我サヽメラシヒラサテヰマセ
我や人ツヽ
一みたても花ウタヽ也博字也アツマヤハ門柱四アルヲ問屋ト
云是也マや門柱二アルヲアマヤト云是也右羽ケイツレモアツマヤニ
テシタテタリ一人つまは呼我や人ツマト云詞に便アリ
一くものふかまひわかせこかくへきよひなりさゝかにの
一小かう〳〵つとひかへたり頭中ノ袖ヲ内侍ヒカへ歟トシ又源ノ袖トモ
ホトンドトヨム御祝
一ほと〳〵強て一おこになりぬシコ〳〵シクナル也アツラハシクナル
心を一うつし心也一言うちやうつし心に同
一うへにとりきは
紅のこそめの衣下にきんうへにとりきいしるからんかも
ホコロヒタル直衣ヲ上ニキハウキ名ノサクレアルマシキ門也
一かくれなき物としる〳〵河次中将ツ其人トハカクレナキニ申ク
キタリテシトスヲアサキ心也ト云ルニや一うらやミなきタカイニ
シトケナキ姿ナレハナリ一そこもあらいに
なかれての後そかなしき涙川そこもあらはに成ぬと思へは
一帯は中将のなちけり我御なをしよりは色ふかしと
一聴直衣人昔は直衣のきして帯に用たる也今の世も主上の
御帯ハはヒキナラシノヲレヲ用給夏ノ直衣ハ二部ヰ或ハ花
一田年ニヨリテ着ス源は宰相中将ウス二アサノ色也頭中将は
ねは一なりたしと官ときゝによりてつき二藍の直衣をは着用
スヘシ官ノタ申キハ宿徳ノ色ヲ用官ノヒキヽハワカキ色シ
用ならヒ也藤ノウラ葉の巻に夕霧宰相中将のならし事源の
一君の給とて非参議の末となとわかき人こソ二藍ハヨケレ
トノ給へり非参議トハ二位三位ノ中将ヲ云ステニ夕霧ハ
八座に昇進シ給フ事ナレハ花田ナラシ着行フヘキト云心
榊巻に源の帯をらすつたままなる帯の御ソニ一ツハレテト有
今次中将ハコキフタアヰナレハワカホナラシヨリハ色フヤシト云ル也
面白蛍
一近代直衣の帯に下襲の進を用禁色人文に蘇芳布衣
裏濃打後
一面白蛍裏
夏蘇芳生単文四位已下非参議人冬躑躅
濃打平絹
夏二藍穀大カタ今モナラシキルホトノ人ハ直衣ノ色ヲ用
一直衣ヲ又人ハ下カサネノ色ヲ用へヲコトナルヲ直衣キル人ノ
平
下申さ子を用るは略義トコソ二元侍シ一日中たえは
一石川ノコマウトニ帯シトラレテカラキクイスルナニ色ノ帯ソヤニ
花田ノ帯ノナカワタイレタルや催馬等
一おほやけことしけくそうしくたす日にて頭中将貫首名に
ヨリテ宣下事共ツケ所トも一まことハうしや世中
古歌ノ詞タルヘシ一リ尋一とこの山なる
いぬかみのとこの山なるいさや川宦途ノ役此心長絶業自今只今口不言
一御女かたみなみこたちにて源氏のおほやけるとしり給へきすの
一ならねは若宮冷泉院の御外舅親王夕千にて人臣にて御ウ
右大臣能藤
シロミスヘキナシト云也源氏執政ノ
一御輿のうちも
其例可
おもひやられて中今の行啓には鳳輦にしめさるゝ事もあり
又衣の糸毛の車・乗御時も有也供奉の人の行粧も
乗物ニヨリテ申ハル事アリ
白圭之瑞尚可レ磨斯言之殆直リレ為
わかやとにうへしなてしこいつしかも花にさかなんよそへてもこん
伊勢のあさの朝な夕なにかつくてふみるめに人をあくよしもかな
恋しさのかきりたにある世なりせいつゝきもしらゐて歎かさたし
河海ニマコトニウシヤ世中ト云所ニ引
宦途従此長ク絶ス世事自レ今口今口モ不レ今口モ不レ言ハ
若シコハノ引哥タルヘシ私
わか門の一むらすゝきかりかはん君かたなれの駒もある哉
一外尤宴ノ事先例多也
花宴
此巻ハ詞ヲ以テ名トせリ但巻ノ詞ニ南殿ノ桜ノヱンせさせ
給トアリ今年源十九歳ノ宰相中将正三位ナリ
一きさらき女よ日南殿のさくらのえん南殿桜御ラン其
一南殿ハ紫宸殿也中殿は
清涼殿也
花宴例嵯峨
一弘仁三於神泉苑有花宴事是初也南殿花宴例村上
康保二三拾二南殿一不ヽ花宴一々々時探静例延喜十七年延長
一四年二月等例と又花宴有之舞楽之例天暦三三十二在之地下
舞人ハ申リニテ堂上ノ舞八十カリキニ候
一后春宮の御一ほね左右にして南藤東西に春六郎は左
東ノ后ノハ右ナルヘシ一だむゐん給て不今案探約ハ各
分一字詩也悉韻字カハル也故懐紙端作云
一春日同賤春夜焼桜花各分一字応製寺
可書也哢其作法ハ先題ヲ儒者ノ定テ後古侍ヲ字ツヽ
採得其
字如此
也
ニシテサクル也詩ノ名句或ハ時ニアータル句ヲ用ヒ儒者文台
ノ上ニフせツクヲ中将ナトラリテ主上ノ御為ニ韻ラ二取テ
奉る叡慮にかなハンを一字御用あるへきの故異也二十カラト
メヲハシマシテ詩ヲ案シ給也諸臣ハ各一字ヲ採用シ作者
十人あれは五言詩二句を一字ツゝ韵に至つて十四人の時は七
言ノ二句ヲ用ヒ花鳥委也一宰相中将春といふ文字始
ハれり花安待ニ春ト云詞字ハ源氏ノ栄花ノ春ヲ思ヨ
せて云る也平詢字ヲヱテハ各其由を申官姓名何ノ字ハ
を給ハルトナノルトニゝ一はなしろめるうクスレハ鼻白ナルト也
一春鶯博一名天長宝寿楽ト云
一袖かへすところを一かへり飜舞袖也一柳花宴
旧記云此楽舞勤波羅門僧正将来女形也其姿吉祥
一けちめ結目其キハライチシルクミせヌ也
一天女舞躰柔に静に而已にて呼上古は舞あり今は
冬冬にて一今すむしすくして手多舞也一めつゝしき事
に思へり御ソハ少々は給ハラヌン花宴ノ日殿上ノ舞人勅縁
を給フ事ナトハ珍敷例也一劣之なと講するにも恃を披露
する時は庭中に夕て夕る文台をかきて御前に夕干・文人共
ニ階下ニスヽミテ講頌スルナリ一おほかたに花のすたを
哢源ノスヤタノスクレタルニ依テ藤ノ心ニセリテサマ〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵
コトヲサヘ思行也大カタナラマシカハ源ノ上ヲサマ〳〵思事モ
元々一三ト也
露ならぬ心をむにをき初て風吹ことも物思るそつく
一心のうちなりけん事哢此哥故壷ノ人ニ終行へキコト
ナラ子は也一なをあらしいにやマシノ心ナリ
一ほそとの廊ノ字也漢語抄ニ云ヱタリ万葉云南殿細道
一一さんのくち哢弘政殿南北ニトラリタル廊アリ奥ノ第三ノ
一戸ノ事也一おほろ月夜に
只もせすくちもはてぬ
一いかてかきこゆへきトハナノリ給父ハ誰トカ尋申サント也
一うき身世に心サシ深クハ唯今ナラテモ尋シリ給へキニカやウ
此説
可用
に打つけにモトヒ給はやかテモハヤナクナラは草原ナトハ問様
ハシト也一ことはりやきこしたみたるもしなとて手コヱタ申へタルト云
詞は源の思給い山丁二女の中と中へテ口ト一に十の六スは問一三十
ニ取ナシテ草ノ原ヲハ問マシトヤト読給ヘル也源ノ心ハ初メヨリ
サニテハナシ。問イ事ハ問ヘケレ共ニ露ノヤトリヲメタトウンホトモテ
サハカレン事ノウシロメタカルヘキニヨリテ慥ニナリ給へト云ル也
可用
三カナトテハシカ〳〵ノイハレニテアリト云心フ下ノ哥ニテ給ヘリ
コサヽ夜ニ風モコソフケハ露ノヤトリヲモトメウシナフヘキイハ
レシワツラハシクラホス事ナクハト下ニ書ツヽケタルハ二条ノヲ
トノワタリ煩シカルヘキ事ヲコサヽカ原ノ風ニタトヘタルヘシ
呼中ノリ三汁ヘトイヒタルコトハリヲ聞メタカヘ行発ヒト也
しかなりとてト御本一もしすかひ給かスカシテ十ノラントや
ト云心也一あふきいかりをしるしに東坡詩云
東隣女
族レ扇ヲ惟逢春夢学トアリ春夢婆ハ女ノ異名ナリ唐ニハ
夫婦ノ約ヲナスシルシニ扇ヲ取セフル事有
一中〳〵それなるましかは六は東宮へ参へキ人ナレハ男サタ
マリタル人ハ中〳〵トシ呼今夜ノ如モ憚ノ心ニアイタレトモ
一後宴
長ゴヱン
中〳〵トハ世ナレ又ヨリノ心也一後宴
花鳥ニコウヱントアリ
投梭毎国
後宴と云名目は男踏哥の役二三月に弓の結ある事を
云ヘリ其ヲ花宴ニ取ナシ侍り一きたのちん中重ノ北ノ
陣八玄輝門ノ方也一四位少将左中弁アシ后ノ兄弟也
一あかま内ヨリ退出シ給フ事ヲ云リ一かのしるしの扇は
桜のみへかさねは今葉桜ノウスヤウ面白ウラ蘇芳なり
こき方ニ霞メル月ヲ書タルハコムラサキノ雲ヲ書テ月ヲ
出シタルニや桜ノ三重カサネハ檜扇ノ両方上三枚ヲ桜
薄様ニテ包テ色ノ糸ニテトチテ末ニアワヒムスヒソシタル
ナリ蝉三マイカサネテツヽムニや三牧ヲ別ニツヽム也一勘甲
コキ方此前ニテコク色取タル方也一めなれたれとゆへ
なへかしう囁常ノ物ヲヒ故ナツカシウ持ナシタルト也
一屋はらかにぬる夜はなくて貫川ノ哥ノ瀬々ノ手枕は浪枕
一つれ〳〵とよろつおほし源心
ヲ云ヘリ浪ハアラキ物ナレハヤハラカニスル夜ハナクテト云一リ
葵上ノ事ヲタトヘテウタヒ様ナリ下ノ詞ニ被下候ワタリ給へ
リト云ツゝケ名ハ親サタル妻ト貫川ノ由ニアルヲ思ヨセテ書花
へシ呼貫川佐馬楽花の義荷葵上の打とケ又ハまり一然と
一めいわうの御代四代弘女源氏論義ニモ貞信公ノヲモカケ
アリトニて親行説同之相重帝延喜准せは陽成光孝一
宇多酉酉云々貞信公元慶四年誕生なれハ延収一ニテ既ニ
四代ナリ于時左大臣也尤比擬スルニタレリ一ふミともきやたさく
に花令ノ文ノ遂述ノ二字ヲハ形迹ト及セリ人ノ行迹ノ
スクレタルヲ云一リ爰ノ詞ノキヤラサクモ文モノスクレタル心ニ云ル
にや又還述は思やると云心に用たりスイサツト云言に遵逃共云也
ソレモ人ノ行迹ヲミテ又シノ賢否ヲシル心ニナレハ心ニ通スル也
大方心ヱニクキ詞也心ヲやリテミルヘシ啼ホメタル詞也ヲシハ
カル事ヲモ云詞也一おきなもほと〳〵頭中将ナト舞三ニ付
テ父ヲトモ舞度心ノ有シト也別ニ注十五ケ也
一おほやけこともそしうなるソシウハ如在ノ心也長ヲロソヤト也叫
一奸カタム心也朝ニモ出ツ申ヘヌモノヽ中ニ上手ナトヲ尋出給へル
ト也一よろつのことよりも柳花花岬左大臣中夕の案
給アイシラへ也一さかゆく春に十五ケ也暉マシテ左大臣ノ
一男も源
舞給一シ申ハサカへタル世ノ面白サナルヘシトヲホやケノ
御方になりての給也一弁中将博左大臣息也弐本に
中将弁ト有両人みや一屋よひの女は日右のおとく
の弓の望ちに二條ノントヽニテ小弓アソヒ有テ其結ニ
藤の花の宴せられし也結は結寿也呼踏歌後宴也弓を
射る事あり一勘さた一しる事にはアラス藤の花の時分ノ宴
ナレハ成此取ナシ侍也一外のちりなむとやをしへられたりけん
みる人もなき山里の
一呼本哥心モ後ソサカマシトヲシヘタルヲモテ書タル詞ナリ
一アタラシウツクリタヘル取テントヨリ
一はな〳〵とものし給とのゝやうにてやウニテハ様躰ニテハ様躰ニテハ様躰ニテヤウニテ
一わか宿の起しなへて呼此哥は前に桜二木計ト云テ此
殿ノ花タクヒナキ心ヲモテ源ニ賞翫メヨミタル也如此ミルハ我
宿一カトスヘヨシ右大臣ノ心ヲコヱカタキ也是ヲモシロクや我法也
一桜のからのきの御なをし河唐綺也ウスキカラアやナリ
花御幸ノ巻ニ云六条院は桜のからのきの御なをしいまやう
色の御そ引かされて土とけなき大君すかたいよ〳〵ことへん
かたなし今葉此物語ニ二所ニ同ヨソヒノ事ヲ書リカウ
ノキハ地ノ色ハ何ニテモ文ハ色々ノ糸モシハ一色ニテモヲ
リタル物也カラ織物二重タリ物ノ如シ唐装束トテ着
スル事アリソレハ下カサネ上ノ袴ナトラノキヲ用ル也桜ノ
ゆうノキは面白キからの中に蘇芳の裏ヲ付ル物也
一ゑひそめ蒲萄ノ実ノ色也一言たちの御もきの日
一暉弘微殿御眼の女宗夕千の右大臣家にて有三なり
一したりかほなりやとわらはせ給平右府ノ哥我宿ノ花ヲ
ホメタルヤウナルヲワラハせマシマス也云ウ人ノ方ヘソ申公事故
実有ヘキ事也哥ノ心は源氏ノ君ヲ賞翫ノ心ナルヘシ
一女見こたちもおひ出る所なれは弘微殿御腹の宮夕チより
呼右尉ハ源ト御中ヨカラヌワタリナレハカクナクサス仰州
心也一しりいとなかく引て花今葉シリハ裾ナリ裾は衣
ノスソヲ云也呼直衣ニ下セサネシテ裾ヲ引給ナリ
一あされたる大君すかた花御幸ノ巻ニシトケナキ大君スカ
タトアリ然ハアサレタルモシトケナヲ心テや常袍ニ指貫ヲ
着シ裾ヲ引ハヨノツ子ノ事也直衣ニ裾をかくルハシトケナヲ
出立共ナルヘシアサレタルハサレタルト云モ其心タカハサルヘシ大君
ハ王ノ字也大人ノスカタナト云里又直衣スカタヲ則大君分
タト云説アリ一説アサヤカナル様ヲアサレト云ヘリ
哢親王のス申夕の様じト云ニや又云直衣姿を云大人の
一トホメタル詞ナリ一重をされてウサレタルナリ
一袖くちなとたかうのおり甲踏哥ノ時ノ出シ申又十トノ如
クコトサラヌキタルトヨロシカラスト思行也袖クチトハ簾ノ
下ヨリ女房ノ中又ノ袖ヲ出スト也今ノ世ニモ大饗ナト
一さしもあるましき事なれと源へ
一ノ晴ノ義或ノ時ハイタシキヌアリ又車ヨリモ袖ヲ出ス
ナリ一ふさはしからす不詳ト書也一空たき物いと候ふたう
味ソラタキ物ノサマヽモケシカラヌントコ夏ノ巻ニモミヱヽ
一かしうれとこのおまへにこそかけにもさせ伊勢物語に咲花の
カケニヤクルヽ葉□平ノモトニテカメニサシタル藤花ヲヨメル
ト云へり心は忠仁公良房ノ教氏ノサカヘヲ思テ読ル由ミユ故
今二条ノヲ下・ソ忠仁公ニナスウヘテカケニコソカクサせ給ハメト
源ノ給ヘルモ留ノ花ニカケタル詞也一あふきをとられて
一瞬石川催馬楽をモテ口スサミ行シ一勘石川カモノ名所也
一あやしくさまかへたる帯ウトラレテトアルヲ扇ト云ヘルヲサマカへ
タルト也一アツサ弓イルサノ山ニ弓ノ結ノ日ナレハカクヨリ
一心イルヤ夕ナラマセハ三月廿日アマリナレハ下弦ニナル心也
哢フセク心ニ入タル事ナクハ尋マトハサラマシトヨメリ
一ウレシキ物カラヘイマタ六君トタシカニシラヌ心ヲフクムナリ
一呼〽尋アヒタルハウレシケレ共女ノ色コトスヘキコトノサマハシカル
へ申ラスト思給いアレハ物中ラト云残シタリ是又源ノ姓也
花鳥の説モ其故にや五六ノハラ未分明ニて此外又いまりイツ
レモ面白也此時ノサマヽウレシケレトモ猶アチキナク物思ナルへキ
心ヲコメテ物カラト云ヘルニや感ニや一三ノ口ノ事啼一答
弘徽殿ノ東ニワタリ廊アリソレヲ細殿ト云ホソ殿へ出ル所ニ
戸三アリ南第三ニアタル戸ニクルヽシサシタルト也三ハ声ニヨムシ
連哥ナトニミツノ戸口ト云ル理ハタカハ又也
一催馬楽貫川
ヌキ川ノセヽノヤハラタマクラヤハラヤニスル夜ハナクテシヤ
サクルツマヲヤサクルツマヽハマシテシハシモサヽラサヤハキノ市ニ
クツカイニカモ
〃〃〃〃〃〃〃〃
イシヤワノコマウトニ帯クトラレテカラキクサスル〳〵ニ臣
イヤナルイカナルヲヒソハナタノシヒノナカワタイレタル三段
職原鈔注言
ヤルカヤルカナカバタイレタルカ
一斉宮ノ始垂仁天皇ノ弟二女倭姫
○
一哥を以テ名トセリ源サ一ノ事此巻ニミヱタリ花宴ハ源十九ノ
時の事を書る故に廿歳の事は物語にかけたるへし
一世中かはりて後桐壺御門位をらせ給も也
一御身のやむことなさもそふにや暉源大将に任シ給事也此詞より
大将トミヱタリ一いまはましてたゝ人のやうにて
御在位の時ハ常にハソロ所ハヌ也アシ后朱雀院ト大裏ニウハ
し一文なり朱雀院御位に付給故にこきてンを皇太后宮と
申也サテ今后トカケリ冷泉ヲ東宮ト云事爰ニハシマル
立坊ハ受禅ノ後ノ事ナルヘシトシ源ヲ大将ト云モ此巻ニ
ハシマルナリ一かたいらいたき春宮ハ源ノ御子ナレトモ面ハ御
兄弟也一むくひにや
我をおもふ人を思はぬ
一まことやかの作物語の詞也聞及たる事のやうに書り
一前坊の姫君斎宮に前坊トハ東宮ヲ辞シ給ヲ云也
延喜神事或云凡天皇御位者定伊勢太神宮斎王仍
一簡え親王未嫁者卜定若無内親王に依世次簡諸女王との
一稗序ハ卜定アリテ三年メニクタリ給此巻ヨリ一年サ
キニサタマリ給トミルヘシ一女もにけなき
御息所廿九源廿一ナリ一それにつゝみたるさまにもてなし
てト云ヲふがうしもあらぬ御心のほとゝ云詞へツゝケテ
ミルへシ糺句也一哢それにしたかひたるさまに
私両本也源ノ心ヲ云御息所ノケシキニシタヤウやウニコトツケ
テ深カラヌヲ宮ス所ホウラメシク恩給ナリ一あさかほの
姫君源十一宮ヲ給フ御息所の上にてありみ給也
一あまりつゝまぬ御くしきの源ノコナタカナタノ御ケララモ
ツヽ一文御ケシキナレハヱンシモヱシ給ハ又ト云心ナリ
一そのころ斎院はおり井給て后はらの三の宮井給ぬ
アシ后ノ御腹也延喜式云凡定二斎王一畢テ即卜二宮城内ノ
便ノ所一為二為二初斎院一郎先臨一河頭一ニ祓ヒ潔乃入レ又云斉王於二
初斎院一三年ノ斎畢テ其年四月ニ始テ将テ将レ帝二神社一先択二吉
日一ヲ臨レ流秡禊ニて即廻リ皈テ便留二野宮ニ一
今葉賀茂斎院は卜定有て後東河に望給てみつきの
事有ゝテスクニ初カ斎院へ入給フゝ初斎院トハ大内ノウチニ
一大膳職左近府ナとの点メソレニテ三年繁斎ノ事九リ其
一年の四月に御社へ参り給ハントテ祭ノ前ニ吉日を撰テ又御禊
ノ事有則紫野ノ宮ニ入汁フ是ヲ二度ノハラヘトキサテ中ノ
酉ノ日賀茂ノ社へ参給へテ祭ゴトニシタカイ給也毎年ノ御
一稗は必午の日是を修スル也今女三宮は相運の御門の御懐
国ノ後下定有テ初テ斎院へ入給へシ初度ノハライノ
事いハ此物語ニ見ヱス今此巻ニ云ルハ野ノ言へ入給ハントテ
ノ二度ノトホハラヘヲ云ヘリ其故ハ初度ノハラヘニハ勅使参議
一人供奉す二度襖には大納言参参議已下可タ供奉公
一毎年のはうへには公卿一向に供奉せす此巻に云御禊の目上達部
一数サタマリタル事ナレハカタチアルヲ立ラせ給フ延喜式ニ二
一度ノ禊ノ勅使に大納言中納言各一人参議二人四位五位
各四人総テ十二人ノ勅使也是ヲ数サタマルトハ云ヘリ源氏
大将は参議二人の中なるへシ是を以て是を云て此巻に云へるは
二度ノ禊ウタカイナキ物也一したかさねの色うへのはかまの
もむ馬くらなとまた御禊の日の勅使公卿は染装束ヲ
一着す馬には唐鞍或倭鞍を用杏葉をつくんなり
一大将の君つかうまつり給国史云貞観三年四月十二日酉辰
賀茂斎内親王臨二鴨水一終レ襖是日便入紫野ノ斎院一
勅大納言正三位兼行右近大将源朝臣定定監二神事一ニ
一斉院御禊に大将供奉例也一御せん地下の前駆なり
一あしろのすむしなれたる下簾のさま凡車は唐衣梹榔麾
賀茂祭ハ四月中酉ノ日也欽明天皇ノ御時より始ル年中行事ニアリト二哥ニ
神山の葵ヲヽキテタカヨニカノコル桜ノヤサシキルラン
車等ハ皆撫柳を以テフリ廬眉半蔀細代等ニハ皆アシ口
をハレリ今御息所ノアシロハイツレト定カタシ但尼尼眉にはアラ
末濃ノ下スタレヲカク細代ノ車にハ下スタレヲヤケスト云へトモ
一女房の乗用スルには八葉ノ車ニモ下スタレヲヤクル事ニ侍レハ
イツレニテモ相違ナカルヘシスコシナレタルトハチトフルヒタルヲ云也
一ほのみゆる袖くちものすそかさみなと汗衫ト云衣ノ上ニナル
ウスキ物也唐中又ニ裳ヲキルハ下仕マテモホルナリカサミハ
童女の中る物也一かうけ豪家なり
一人たまひ出車をは公方より点せらして其人に竹フ故に
一人給と十つくるなり坪桐の事一勘女車には搦を用のホりく
タリノヤスカランタメナリ一さゝのくまたに
篠のくまひのくまつに駒とめてしはし水かへかけをたりみむ
一一すゝろなる車のとうとハサシテモナキ車也
一呼御息所ノ方ヲハミヤリ竹ケシキモナキンヽ影ヲタニミンナリ
ヲホサヌニヤト思ナシテ心惣シ給シ涼ノ何トナクミやリ給方
モ有シニや一めもあやなる御さまらツクシキ物ノ文ヲミル
ヤウナルい也一かけをのゝみたらし川仲川は神山ヨリ流出
一呼源ヲハホノミ行ヘト
テ賀茂社貴布祢片岡神ノ中ヨリトラレル小川也余社
の前に流る川をみたうシ川トヨメル哥えゝ松尾にもこめり能因
御説シハシ水申へ影ヲ
一哥枕ニモ神ノ御前ナル水ヲミタラシ川ト云ト云
タニノ哥ヲ心ニモチテ
一大将のかりの風身に十五ケンカリノ随身ヲ一員共云へり
一つほさうそく市女笠ニキヌラキテ中ユイタルフ云ナリ
一口うちすけみて口ユカムナリ一かミきこめたる様スヤタシ
一手をつくりてヲカム也一姫君は年此きすわたり給御心はへの
世の人にゝねを友のめならんにてたに有ましていかたと御心
〽モミチハヽ錦トミユトキヽシカトヌモアヤニコソケサハナリ又レ後於連信頼フヤナキ也
一まへりの日下は酉の日也御祝
とまりけり権ノ君也源ニ御心ハトマリケレトモチヤクテミン
一テハ又フホサ又ナリ一おほしかむしけむしなり
一斎定はまたもとの書におはしませは榊のはゝかりにことつけ
延喜神事式云天皇即位者
て〇定二伊勢太神宮ノ新王一仍簡二内親王ノ未レ嫁者一弁防式若之内
一親王一者依世次一間定女王と定同也訖即遣二テ勅使於彼家一告示一告示事由一
神祇祐以上一人率二僚下一ノ随二勅使一、共ニ向テ卜部解除神部
以二木綿一ヲ一着二賢木ニ一立二殿ノ四面及内外ノ門ニ一今業秋好中宮ハ去年
ト定有テイマタ諸司へ入給ハス本ノ書ニマシ〳〵テ神斉シ給フ
云也一かたみにそい〳〵しくて葵ト御息所ノ事也源ニ対面シ
ウキモノ
ウヘノハヤマシ
齢ハ又モ車アラソヒ故也一うきもんのうへのはかまフセンフ
ナリ浮線綾西宮抄え女親王対面ノ時添角者着行祈
一半臂下襲表袴玉帯等ヲ一又斉宮斎院ノ童女ハ総角シ
一青麹屋ノ汗衫半臂下襲表袴白柳帯今葉童女は
一晴ノ時ハ打袴ノ上ニ表袴ヲキルウキモンハ密ニ霰也ヨノ子ニハ
は上の袴ヲはます一君の御くしをはわれそかむ御井男に髪
シシソカスル法也一はかりなき髪ソキノ具足ニ海松ヲ用ナリ
一千ひろともいかてかしらむ源ノ千尋トイハヒ給ニ付定十クニ
ミチヒル塩ニタトヘテ千尋ノ海トモ定カタシト読給リ
一むまへのおとゝのほとに被下候ハ乙殿屋トテ左右ノ馬場ニアリ
五月の騎射の時中少将の着座する所也・賀茂の一つつて
大内ノ時ハ北ノ陣ニ出テ二條を東へトラルニヨリテ左右ノフト
一の程をわたる也左近馬場は一条西洞院右近馬場は一條大宮
一いかにみ給へる所そとねたさにヨキ所ヱタルヲネタサ三千ケト
コラ又也一しめのうちには啼引哥未郎也
一みるふさのフ文字清
此哥在名所周防内侍申上候也
木杜も心してふけしめの内は地らぬ紅葉そ大原の山
周防内侍源氏同時江十レとも先み出可ゝ書之也続拾遺此上り
シメノ内トハアレトモ心アハス時代モ荷引三ツナクテモ心ハアフルシメ
ノ内トハ今ノ祭ニ付テソヘタリ心ハ神ノユルシヲ待ヱタリトモ人
ノシメヲキタル源ノ君ナレハシモヘ共カイナキト云義ニや但此哥モ
我物ニシタルヨソニチラサ又心深シ又シアレハムナシキト云心ニハ叶ヘ
共源氏物鈴の時々の哥也一八十氏人になへてあふひを
アンヰト尋逢日トハ君元呼源内侍ニアヒ給之事ヲヨメリ
十氏人トハアマタノ人ニアヒヌル人ヲトヨミ給へり後撰第卿ニ諸人妻
ゆきかへる八十氏人の玉かつらかけてうたのむあふひてふ名を
一くやしくもかさしける哉又源内侍哥也一あらしくや只りてや十に
ばや
君かすむ宿の橋をゆく〳〵と
空此哥ヲ引給時スミテヨミ竹一リ地ニテハ濁
長イツモニコル牧同
一いとましからぬかさしあらそひ哉源人ニ内侍ト紫上ノまつと似
合スト也開此段柳心得申タシ一ニ付心源内侍はどモキ人也
サナラヌ人モハタアヒノリ給ニハヽヤリテコトヲモ申ハシカヌルト也
一釣するあまの
いせの海に釣すかあさのうけなれや心ひとつをさためかねつゝ
一みなき川のあらかりし瀬に〽周礼に女巫我除疾病は潔なり
一枚於水上潔除スミソキ稜ノ事也大嘗会御禊をハトヨノ
ミソキト云也豊ハユタカナル心也一れいのことつけとカコツケ也
一ほかにわたり給て御修法なと哢神事ニヨテ所をへ給也
一袖ぬるゝ恋ちと恋千は泥をとなと云に付たる詞也さて袖工るゝ
一みうき川の周礼ニ女巫祓除夜病禊は潔也故於水潔除除
一やんことなきかたにいとゝ心さしそひ懐妊ノコト
一共云一リ物語ノ中ノ秀逸ト也千鳥
一山の井の水も一人のまひけちなき物になすさま白ラ刀テ
一斗九升
くやしくそ汲そめてける浅けれは
注本スム
一いかにぞやも物ノ十分せヌ義也トスレハアヽリノ心也
一おほろけにてやはこの御世をみつからきこえさせぬ
葵ノ煩大カタナラハ参テ申サンスル物ヲ下シやハト云ヤ也
一二たひの御はらへ斎太は諸司ニ入給ハントテモ又野宮ニ入
一行シトテモ東川ニテ御禊ノ事アリ是ヲ二度ノ御
ハウヘト云也但群行ノ時ノ御ハラヘハ西川ニテ節也一この御い
きすたまちゝおとゝのらう生霊、源語窮鬼千鳥遊仙屋云
魂の鬼に通するを云と夕下へは生霊体の物也其被下候は御
息所ノ父君ノ死霊ト云也左寺一いかき辛忿怒シユノ和知レ
イヤモノ源語
一すこしゆるへ物ノケ云
猛烈ノ心也ヒタフル心ハ純一ノ心太字也一身をすてゝ
身を捨ていかにやしけん思ふより外なる物はいたり
一名だゞしう名タン也一ものおもふ人の玉しゐは
物思へは沢の蛍もわか身よりあくかれ出る玉かとそみか
一おもふもものをなり
一思しとおもふも物を思ふ也松もはしとたに思はしやなゐ
一ふかき地きりある中はめくりてもたえさなれい
一哢親子の契い一世ナレ共レハナクサメテ云也
一欲わひ穴に一いてあらすや物に詞
玉はみつぬしはそれともしらねともむすひそとむる下かへのつま
一のちのことまた胞衣也哢産後ノ事共十四人三
一けしのかに護摩ニケシヲ焼也一ゆするもみ洗事也
一宮人御みしきたいじきにて母みやす所に
一御ゆソモユナルヘシ
一秋のつかさめし春除目を贈召秋を京官と云言はム子ト
一外官を任せらる外官トは外国の守介極ノ目マテンヽカタメシ
ト云也京官トハ京ニアル諸司トモヲム子ト任せラルヽ故也ソア
一サメシトハ外国ノ人并諸司をメシテ任官をつけらるゝ坂
ナリ時八月也春いアカタメシ秋ハツカサメ三ト云カフルナリ
一君たちもいたりのそみ給加階ヲ望じイタハルトハ苦動スル
事也一とりへ野に臥てたてまつる甲葵上死去は十四日夜也
河内本ニハ無ト也
一喪ハ芦日ヱリシ一もこよふ事と呼玉本まとふ事じた同心は
一文造第十二郭撲江賊之神渡輪以テ沈遊注云神城は
無子細く
永正七
三年こへ
三注にて
一蛇也唖論ハ行貌愚案モコヨフハタヽヨイアリク貌也此心ニテ
又日本記第二豊玉姫化メ為二八尋ノ大熊
カ文字公
字公異会会会述地
一人ヒトリガアマタシモ人ヒトリヤトハタ顔ノ上ノコト也
モコヨフ
同文造心
永正八九注之
タ顔ノ上ノコト也
一にはめる御そ二ヒ色ノ黒ミノスクナキ也一何に忍ふの
むすひをくかたみの子たみの子たみの子たゝ
和泉弐部小式部ニハナレテ総ラミテヨメル三ツ也
一こしとおもひしみにし世も
一法界三昧普賢大士法界三昧ハ普賢菩薩也
一袖の上の玉棒テ掌上之珠一ヲ摧ク心中母ヲ一古髪
一時しもあれとねさめかちなるに一左衛門つきイのみと云所也
アルウミルタニ
時しもあれ秋やは人のわかへき
サルハ夜サムニナレル頃シモ
一風の音身にみにける哉と
吹よれは身にもしみけり秋風を色なき物と思ひける哉
花田に青ケノ
一菊のくしきはめる枝にこきあをにひ
マシレル色ナリ
菊ノ枝ニハ
白色ニテモ紫ノ紙ニテモ有ヘケレトイマタヒラケネハ青ニヒ
ノ紙ニ付葉ノ色也ケシキハメルハヒラケサシタル也暉さしをきて
いにけりトハ宮ス所ヨリノ御文ハ折フシテモハエク思テ是非ヲ
イハテサシソキタルニや又云きこえぬ程ハトハケツサイノ折節
ナレハシ源ノ御詞サラハ思シルラントアレハ此義猶可然見
一おほししるらんやの詞花寺呼本イツレモ宮ス所ヲタスケテ
書ルと源ノ宮スヘウト〳〵シキ故ニ思ハスニ恨通メ葵少せ給
由宮スモ聞給トアレハ少ハアタリタル詞ナルヘシ源ヨリノ詞
モツヽ一シキ程ハサラハオホシヽルラントアリ涼ノトヒ竹ハ又モ
サタ〳〵トシタル若ノリナト問断テカヘツテツヽマシクテ問様父
一由十ルへシ一きこえぬほとは呼文詞也源宮へ此程は毎軍
ウト〳〵敷程ニトヒ給モイヤヽナレ共ノ折フシノ過シ難ト也
一花の一義は別也花きこぬ程は人の欲は問につうサノマサルやウナ
一レハキヱヱト也一人の世を命ときへも呼勤ニコソヘタイ
一只今の空に啼問様事モイヤヽト思ワツライ給へ共也此節ス
所万スかレ給へり一むらさきのにはめる花田に赤色ノ入夕
ル色也ニハメルイツレモ眼者ノ用ル色也一さらハおほしる
見やつ二三斗は憚は三キ事也一とまる身も
瞬心ヲクラントハ御息所ノ物ノケナトニ成給シ此ヲホノメカシ
給也一御らむせすもやとてたれにもときこゝ給へり
斎くマノさキコマハリノ折節ナレハ穢所ノ文ハヨモホラン誰
ニテモノ方へト云心也誰ニモヨマセテ事コシヌセト也哢御ランせスモヤト
テ思事ヲ書ツクサ又心也申コツケタル詞ナルヘシ
一そのかはりにもやかて啼六御息ヲ前坊後桐帝ノ内ニラハシ
一サセントノ給シ事也一野の宮の御うつろひのほと
一延喜式云凡斎内親王定畢即卜宮城内使所為二初斎院
一かついおほしけちてよ物エンシ万ヲオホシケテト也
一祓而入レ至二明年ノ七月一斎於二此院ニ一更ト二城外ノ浄野一ク遷一
野玄一畢八月上旬ニ卜定吉日一臨レ河秡撰参入於伊勢ノ宮一
今案斉ムマハスヘテ三年ノ御神計ニテ其中ヨ三度ノ御
ハラヘ有初斎院ニ入給ハントテノホハラヘアクル年野宮へ入汁ハント
テ又アケル年伊勢ヘクタリ給ハントテ御ハラヘ有事也賀マノ
御ウツロイハ二年メノ八月事也一正日まてハ正日トハ四十九日
ノ名也御法事有又ルトハ追善ヲ引アケテ行ハレタルヒ
一三位中将頭中将也三位ノ事此詞よりみ工
一かのいさよひのきやかならさりし哢末橋巻ニイサヨイノ月
ニ頭中将ノ源ヲミアラハシタリシ常陸宮ニテノ事ナリ
秋のことなと哢末橋巻ニ常陸宮ヨリノ後朝頭中将
ノ源ヲウタヤイ奉テ猶イトネフタケントタハフレシ時ノ事
此段申様ニ分別せサレハスヘテ心得申タシ
一はて〳〵は哀なる
世中をかくいひ〳〵てはて〳〵は
一時雨うちして哢又一段也上銅の同日とはみへヤラス一中将の
君にひ世のなをしさしぬきうすゝかに衣かへして
中那の君姉妹の眼三月彳上る廿日也鈍色直衣平絹冬
練有裏夏生無裏指貫は夏冬同銚色は移花にて
染ルナリウスラカトハ十月ノ更衣ノ次ニ色ラウスクナス也
男ニシクナリ
一おゝしうあさやかに
大やウニケタカキ也
〇一雨となり雲とや
一相逢ニ相別ニ而テ如レ夢為レ雨ト為レ而ト為セルモ其今不知
一列禹錫写
多得婦ニ後テ
一なをしひもいちし引かさねて一チ本妻ノ眼モ三月也
一源ハ更衣シ給ハス二ヒ色モイサヽ申コマやヤナリ心サシク浅沫ニ
一いとおゝしう雄略日本記雄校同
一時雨ざと
ヨルヘヲ事也ヒモハアリ指ナラスハ夏ノヒモノ損シタルニヨリテ
取申ヘタルヘシ文衣ハ重服ノ人モ両説アリイハンや軽服ハ更衣
勿論ナリシカレトモ心サシニヨリテ更衣せヌモノ人ノ所為タルヘシ
又軽服に紅の絹を用る事長保三年二月一日定子室居
宮御喪ニ御堂開白張火色下襲ヲハ着シ汁フ由ミヱタリ
政事要略ニ其子細クシルス囁花鳥説難用只三トケナキ
姿ヲ少引ツク口ヒテ直衣ノ入ヒモハナリウサシ給へルナルヘシ
一これはらすむしこまやかなる啼軽服三月也更衣モシ給
一又由也濃ナルニ志ノ浅深ニヨレリ紅のつやかなる軽眼ニ
紅ノ絹ヲ用事例アリ見驚下襲ノ事トミヱタリ
花鳥き又の事とな一ひとりことのやうなるを呼頭中将う
モウトノ事ナレハナリ一にほひをみりてやなと大宮へ
一哀なつまかみ目ノ事ナミタウミタル也一くつしいたかり苦痛也
一この葉ヨリケニ是ニテ俊成嵐ふく峯のモミチケ
一源夕旁ラ葵ヨリ一かきほ忘にし奏上ななるを
一さの物とタヱマ造ヲ事メツラシカラ子ハトカナクテシサノ物
トハ其物也呼説不審一空の色したる眼此ノ用色也
一いつも時雨は一かうこの日ころありしより御祝日ノ字アツハロスト云本
神な月いつも時雨はふりしかとかく袖ひつるおりはなほせ
おほうち山を思るやりきこえなからえやはとては鳥大内山は是
モ大裏ノ事ナリ其故ハ左大将の直房ハ宣陽門ノ内ノ
廊に有右大将の直房は陰明門の内の廊にあり共に中垂の
門ノ内ナリ西宮様ニアリ哢左大将ノ直府花為ニ成
大内ニアル其ヲ思やル也云ゝ一土亭子院仁和寺ノ大内山ト云
一所にをはし一六時堤中納言兼輔勅使にテマイリテ
日雲の九重にたつ山なれは大内山とむへもいひけり
嶺に
トコミシ事ヲ思テレヽ源ノ物サヒシクコモリヲハスルニヨソヘテ
ノ給ヘルナリ此説ニイツレニテモニヽ一えやハとて呼思程ヲ
御説ヱヤハトテトハソナタノコトヲハカクオモヘトモソナタマハ
モヱミせ又ト云心也
カヤウニ存スルトハソホシメサシト也
色ならはうつるはかりも涙たまし思ふ心をえやはみせつる
一何事につけても哢大方の事を思給也六御息ナトノスクレ
給へるモ又イヤニソ思所アルコトヲ下に思へる詞也一つゝき人
しもそ槿ハ源ニツレナキ人ナレハナリ呼招月本引云より
ウレシサハ忘ルヽ事モアリナマシツラキソ長キ形見ナリケル此哥
何の哥共不見藤一猶ゆへよしすやき開六息なとの夕クに
サマ〳〵ソホシアツムル也一みなれ〳〵てえしもつねに
みなれ木のみなれそなれてはなとなは寝しかえや恋しからや
一命こそいはかなけれ呼家たも心にかなふ引可然候哉
一ほとなき少也
一あてきは此式郡日記上東門院ノ上童ニ此名有トミエ一タリ
昔は何キト云ナり一くろきかさみくわさう色のはかま
萱草色は柑子色ト大略同色わレハスワウニタウサラ入テ
御祝ニ
染ル由ミヱタリ古キ絵十トニハチト黄色ノマシレルナリ
〽一世のさか世のさか世ノナラヒナリ一おほしき人左大臣の詞也
一うつせみのむなしき心ちそし給哢葉モらせ給源氏立出給
又ル跡ハ只蝉ノカラノ心チストナリ一なるき枕ふるき衾
一蝉長恨三リ唐本には多力罪翠衾寒誰与共トアリ
旧枕台衾トアルハ本本ノ義ニやウホツヤナシ鷲鴦瓦冷メ霜花重
旧枕故衾誰と共長恨歌私し古文真宝士載背罪
一衾寒し白氏文集第十二唐本引勘処旧枕蚊食誰とも
共にて尤叶源氏心也永正七七六記し
一廿六日七り一おこりてコソリ也凝ノ字也
一霜の花しろしヲモシトアルシノ白ト書申へタルナリ
一一日の花なるへし呼上ノ詞ニ秋タル下草ノ中ニリウタンナテシ
こなと有三時の花也トイへリ三のは床夏を床に用る心也
一宮に御覧せさせ給て嚊大臣に左府のよせ給也
一殿のおほしの給はするやとゝ呼ヲホシスツマ三キ人モト左府
ノ給三事ヲ人々云ニや又源ヲサナキ人ヲミ捨い下ノ様シ
もウ思ニや何にテモトニて一おもひつきせぬことも
哢引三日一ニテモナシ一殿のおほしの給はするトハ源ノ御斗
雁のくる峯のあさ霧晴すのみ思ひつきせぬ世中のうさ
一つねなき世は源返答也一むはんのうへの御そにゝひ色の
一下かさねえいまき給へる花無文ノ袍は夏穀冬平絹は
常ノ袍の如シ寇モ無文巻纓眼者の体也呼問云無文ノ
一中村の君といふにスマノウツロイノ時西対へノタマイツケシ人也
冠其様な一答寇は有文の罹也眼者は無文の罪用也
一いなみ居並也ナミ居ト云フカヘシタル詞也哢スヽ一サル躰ニや
▢一さあしなとまいり東封ニテ中将ト云女房に御足させ給也
一へんつき文字ノヘンシツキテイクツヽウホヱタルナト云事ナリ
一君はわたり給とて源わせ御方へナリ
此原十四歳八カリ
源廿一歳
一今にはいま〳〵しき日也甲当座一キラハシテ給ナルヘシ日ヱリシ
テ是モ惟光トリ合テ申詞也イマン〳〵シキ日トノ給フウケテ申也
一升のこのもちい十月亥日餅食之令人無病なり亥子餅
一七種粉大豆小豆大角豆胡麻粟柿糖アス
一ねのこはいくつ嫁獅ノ三日ニアタル夜に餅を枕カミニツク
事は先ツハヨカラヌ事也人ノ死スル時ニハ世俗ニ先餅ヲ供
スル事アリ枕ツクヱト云ヘリソレニカタミセシタトヘハ女ノ男ノモト
へヨヌ入シテハ二度父母ノ家へ皈マシキナレハ借老同穴ノ契
一ト名付てトツクト云文字モ飯の字を用たるハ女は夫の家を我
一家ト思フへヲ由也サテハ餅ヲ用モツヰニ男ノモトニテ身ヲ
才へたる心也嫁娶の日に白衣裳なとを用るも此故也十五ケの
中三ヶナリ評亥ノ日ノ翌日ノ事ナレハアク云也数定
て源語サタヤナラヌ程ニヲホメヲ問也一みつかひとつにても
あらん哢三尺一にてもゝよむ説ありとて此段三ケ大事也
一〽むすめの弁といふ少納と申女也。一けふはいま〳〵しきは也
一重日卜云心也此国ニ嫁メアスハ三日ニアクル一いまいさるに
いませ給へ今ハニ匂ラ切テサルモシトヨム一説有又一統
一叫サルト云事ヲイムト一説よもましり申タナル事ハマシラ
一あたなることはまたならはね
シト也一望そく花足台ヲ草ノ中ニ入タルナリ
一一かうごのはこ香箱シ一に井手枕の万葉には新殿を
ニイナイノコヤトヨメリ一ささらなと思也
わか草のに井手枕をまき初て夜をやかさねんにくかゝなくに
一いま后はさくし遣殿にミクシケ取ハ朧月夜ノ内侍ノヤミノ
一事也御クシケ殿ハ内蔵寮ノ未申御眼ナト裁縫スル所也シカ
ルヘキ大臣ノ女ナル職ナリ一いとにくしと思きこえ給て
弘后の心に一君もをしなへての源心一なれはまさらぬ
みちするかりはのをのゝなら柴のなれいまさらて懇そまされる
一あたゝしき年ともいはす
六帖
〽あたしきあくることしも百年の春やきぬると鶯そなく
一みそかけ桃架蜑式一言やきぬるとも
あたゝしき年とはいへとしかすかに我身ふりぬる今にそ君は
一としもかへらぬ源廿二歳にナリ玉フ
一春やきぬとも引哥不当蝉只春ノハシメニミヱマイウロンノ
心ハアリニテ有へき人
一ふりぬる人の涙なりけり我三人トヨメリ
おほかたの我身ひとつのうきからにな一ての世をも恨つるも
世のうきめ見えぬ山路へいえには思ふ人有ほたしなりけれ
すゑの露もとのしつくや世中のをくれさきたつためしなると
一斉言ハこそうちに惣メ此神事三年也先今年ノ秋内ニ左衛門明ト云ニ入玉イテ
一年ヲコシテ又ノ年九月又東河ノ稜ヲメ野宮へ入玉フテ又ノ年東河ニテ
織ヲ〆左衛門司ニ帰玉イテ別ノク三十トサシテ西河ノ秡ラメタタタリ玉ツ也
以詞及哥為巻名也源廿二歳ノ九月ヨリ廿四歳ノ
●賢木
夏マテノ事アリ
一一斉寒の御下地かうなり斎は群行九月十六日御祭前事也
一宮の内にもいときめき哢野野はマテノ事也
一親そひて下給れゐ候ことになけれと村上ノ御女親子内親王
一注本嶽子トアリ
天延三年ニ斉之ゝニ立テ下向シ給御母徴子女王
重明親王女
ソヒテ下行一り今ノ物語ニ六条御息所を徴子女王ニ去ラへ
テ申侍レハ是ヨリサキニ母子アヒソヒテ下向ノ例ナキニヨリテ
カクハ云ヘルナルヘシ一人ハいつきなしと人ハ源我ハ今すこし
御息御心也一もとの殿六條京極ノ宮也御息はカヨヒ給也
一まうて給へき御すみか野宮ノ事一野宮にまうて給九月七日
はかりなれは斎行は九月十六日御祭前にも
一いてやとはおほしなから一いてやとは今更に
我をのみ思といはゝあるへきをいてや心はおほぬさにして
呼又不及引歌上一瞬ものゝ音とも斎寒女御野意にて琴の
音に峯の松風トヨミ計シ心通ス一物はかなけなる小柴を大
かきにて延喜式云大嘗会ノ垣ハ拵柴為垣由ミヱタリ
一おやそひて世にフレハ又モコヱケリスヽヤ山ムカシノレヽニナルニやアルラン拾連ニ
れ上る
面影サヘモ才ト口ヘフニス一目ミシ秋ノ花ミナ野ぐシテ宗長祇公褒美ト
一斎二は野宮モ是ニ准スヘシ一かう〳〵しう神に敷也
一ひたきやは火炬小子二人あり山城国葛野ノ部ノ秦氏
一ノ童女ヲ取中ノ延喜式ニミタリ哢神供ナトシタムル所トニハ
一又東宮ニモアリ所用不被明ニて一黒木作仁徳天皇
ヨリ始クロモン樹ナリチ鳥但何ニテモカハ付来也
一かのおほさむことも哢斎雪ノ御心か云一たけからねは
出居
役モナキ事也一賀らぬ色を土類へにて呼榊ノ宮ニヨソヘキ
いてゐんか
をく霜に色もかはらぬ榊葉のかをやは人のとめてきつらつ
テノ給也
我ヤハラヌ事ニヨいへ云一り一法も心うく御息源ヲイトヒヤボナ
君スマハ神ノ
ルヲ云一リ一いかきもす啼大言人ノミマクホシナニノ心モ有
ヘシ一神かきハ御息ノ哥也呼シルシノ杉トハ尋給へヲシル
シモナキ物ヲト也我庵ハ又有の山もとの哥いかに待みん十トノ
三輪ノ山
三輪ト伊勢ト同躰ト也一御前十六人ハアリ十人アリハアリ三輪ノ山
哥ノ心ニテヨメルナリイヤニ一カヘテトハ思タヤヘテヤナトノ心ナリ
一女子かあたりと思へい
精進所ナレハシー
天かたのけはひ
榊葉の香をかくはしみとめくれは八十氏人のまとゐたりける
一月も入ぬるや啼上詞に夕月夜と有しにあへり
君やコシ我や
一暁の別は源哥彼斎二ウタリテ立夕カウツヽアトタトリシ暁ノ
別ニ思ヒヨソへテルヽニやトニて一中〳〵こともゆかぬにや
一あは〳〵しき
頓日本記
水源抄には中〳〵事工申又卜云詞い御息所ノ遊哥十斗ヲ云ト云ト云
迅永
此条イヤヽトウホヱ侍り一おほかたの秋の別も
古語
拾遺に
此哥源ノトミヱタリ水源抄に源二首ツゝケテ鉄様に返哥ナキ
ヲ藤ト云へりわりナキは心一トヒ共トアレハ夜哥ナキモ其なん
一又うちかへしさためね少けすやを又引
一何事も人にもとき呼世ノ人ノヲ三ヘトナルヘキ詞ナリ
一こゝら思ひあつめ三躰詩無限心中不平事事
一十六日かつゝ川にて御はらへし様斎定群行の日は西川
一ニテ御禊ノ事アリ幄ノ面ニテ中臣御麻ヲ奉ル事アル也
一ちやうふぞうしソ文字
空清
長酒
一延喜式云凡斎内親王臨行君
定は□
一預定監送使一参議一人
元宛之
弐以中納言
一弁一人史一人六位以下
官人一人西二て云大臣着陣定御前の大中納言各一人
参議二人四位四人已上勅使中納言参議各一人四位六人
一長奉送使中納言若参議弁史中務丞各一人已上奏門〆
下ニ外記ニテ被仰式部ニく共今葉群行ノ日御前ト勅
使とハ河原マテ供奉シテ帰参ス長奉送使は伊勢マテシ
タカイ奉リ上洛ノ時弓場殿ニスヽミテコトユへナク御下
着ノ由ヲ奏門スレハキコシメサレタル由御職事メ仰ラルヽ
事也天暦御時斉宮下行シ時ノ長奉送使ニテ
一マカリ帰ラントテ朝忠
一サウキハニユフシテカケテタカヨニカ神ノミマヘニイワヒソメチン
万代のはしめとけふをいのりをきて今行末は神そかそへん
一かけまくもかしこき啼斎くなりかけて申さしもうつれ
ナレ共ノ心也宣命詞
ナレトモノ心也宣命詞掛長万短哥人丸カケマクモ
カシコケレ共イハマウモユヽシケレトモ一なる神たにこそ
一みの原ふみとゝろかしき神も思ふ中をはさくる物かは
一やしさもるくにつみかみ地祇シ山祇ト云テハ山ツミ神ト読ん
なる神夕に思フ中はサケ又なり神事故に御息モ下給
間天照太神はサケ給也一女別当拝宮別当ナリ
一噪一勧今ノ世ニモ院宮開白家ナトニ別当ノ局トテス也
一言の御かへしのおとな〳〵しきを宮ノ御申へりは女別当に行
サレト三つは斎意ノ也ソトナヒタルハ三のの事也其故いア申又
別ノ中ヲコトハレトスヽニナラサリ事ヲ先ヤタサント有ラオ
トナシキト云へルニや一世中さためなけれハ音ト崩御見は
一麻六ウハリ給なり一定ス所御むしにのり給へる斎王ノイ
トケナクヲハシ一之時ハ御乳母イタキ奉テ御輿ニ乗ルナリ
今の斎言は十四に成給へ共母寒ス所ツヒテ下給によりて同
輿にて内へ参給なりに幼主の行幸の時母后ノ同與アル例
ニナスラフヘキコヤ御輿ハ葱花トテ鳳輦ニテはナクテヒト
モシノタウラノ金ニテ打ノルヲヽキ与ノム子ニスフル也コレハ神事
の時めさるゝ御輿なり主上は御禊の行幸或は諸社の行
一幸十トミ乗御返荷寒群行ノ日ハ八首一ノ御コシモ則
葱花ツモチイラルヽナリ一ちゝおとゝの御息所ノ父大臣也
一十六にてこ宮にまいり玄宗未歳始医入之時十六今六十
楽府
人一そのかみをくふはかけしと御息ノ心中に詠シ給す
上陽人
一時前坊へ御息ノマイリ給シ年ハ十六歳トアリ其年源ハ
八歳ナルヘシ御息女ノ年源十二歳ナリ前坊ハ朱痘院ノ立
坊ヨリサキノ東宮ニテシハセシナルヘシ保明太子小一条院ナト
ノ例也花寺一みかと御心うこきて別の御くしたてまへり
給其義斉王西河へ出給由を聞召て天皇八省に幸め
一先大極殿ノ後房小安殿ニラハシマシテ常ノ御衣ヲ五申テ
一帛の御装束に改給テ大格殿に出給テ高御座候東の御
一座に東山中につき行フ中臣御麻を奉る事有て候は得五位
蔵人ヲモテ麻王マイリ給フヘキ由ヲ仰ス斎王ノ御輿ハ嘉喜
門より入て大柳殿の北の壇上にて輿よりわりて則東北の戸
を入て南西の座に着し給斉王はらす物の地すりのカラキ
又目ソヌノ裳ヲヽキ給テ玉ノカツラシヤケ給イトケナナニヨリ
てゝかみまうはし給はス女房几帳をサスイトケなき時は御
乳母イタキテ座ニ着ス次天皇ト子リヲ二声メせハ少納言
一版位にすゝみ付てゝ中臣忌部をめす両氏次第に又ゝみま
りテ御幣ヲ取テ文仰ノ旨をうケ給ハル次ニ額ノ櫛ノ櫛ノ
一苫めす蔵人頭内侍につけて是を奉る内侍仰を奉て
一内親王スヽミヨリ給へ申由ヲ申ス其時斎王御前へ参り給は
女房几帳ヲサシテニ伺候ス天王苫ニ入タル櫛ヲトラセ給テ
一斉王ノ額ニサシ給テ京ノ方ニテモムキ給ナト仰事アリ
クシノ草ヲハ内侍是ヲ御乳母ニ渡ス此タヒハ大極殿ノ東ノ
戸ヲヒラキテ壇上ニテ乗輿ハアリテ脇利門ヨリ出給フ勅
一使長奉送使なともうなたに待てらけ侍り件櫛は蔵人
作物所に仰テ黄楊の木にテツクラシム長サ二寸ハ申リ
一金銀にて松鶴を蒔絵ニシタル方四寸ノ筥ニ入ル也勢多
一頓宮ニテ御ヒタイノ櫛ヲ撤メ此筥ニ入ラルヽト云ヘリ
一八首にたてつゝけたるいたし車とも大極殿ウハ八首院卜云
只八省共云候へリ八首ノ本院ナル故也朱雀院ノ内二町ニアリ
南限冷泉北限中御門東は坊城西ハ坊城を申けル也二
八首ノ東に太政官庁庁ノ西に豊楽院北に中和院はアルナリ
一出車ハ八省ノ東路ニタテツヽケタルヘシ一くらう出給申刻ニ
内へ参給ト云ニ叶へり呼一とう院の大路を西洞院共東
洞院共云へシ花鳥路次之様花鳥委し啼斎宮下向の事
一勘サハリアレハ二代ノ内ニモ又立申ハリ給へキナリ斎境同
此頃ノ斎宮
赤に
女王
ニテハ式部卿三宮為平ノ女御ノ御才トウトヲハシ
逢坂ノ開ノコトタモマタミネハアツマノコトモシラレサリナリ
一えみ申とは申はうせ行へ下斎院にはらなし村上の十の宮にあはし
一之医学内親王斎宮不相替事私勘之栄花弟み
一哀なる気をすひしそへ給へらましかは啼け息の悲歌哀スク
ナシトナリ哥ヲ思へキラシヘナリ一大后も弘微皇太后宮に
一御位をさらせ給へりといふ計にこそあれ世のまつりことを
一位ヲサリテ猶世ノ政ヲ行給事嵯峨天皇ノ御例也緩々ノ世
ニハ連綿也一おほきおとゝいときうにさかなく二条右大臣
任二太政大臣一越二引入左大臣一ヲ一慶四年三月右大臣基経公
任二大政大臣一越二左大臣源融一例也又本おほちもとゝ呼
一三わうじ
一こそことし去年は葵上今年は又院うせ玉つ
空清
河海ニコル一おほかたの世中とちむる年ノ暮
長酒
人々ハ御メクミナトモ院ノラハシマス世ニ替タルナリ河一又さま〳〵
一の御ほたし紫上夕霧等も也一かけひろみたのみし松や
一しはすの廿日の程なくなぬかの事也
一御門のわたり所なく二条院に
院ニ松ヲタトヘテコメリ一さえわたる池のかゝみ
池は猶むかしなからの鏡にた影みし君かなきそ悲しき
右哥兼感古宮ニテヨメリ一あまりわか〳〵しくそあるや
サヱツタルノ三の餘思ノ一ヽニテントナシカラ又ナリ呼水の面に
しつく花の色の三の面影モ有テや一様いちし給にも
サヤヤニモヘシカミヤケノオモホユルヤナ
一秋山のもみちをぬるとゝむくれはすむ我さへそ旅心ちする
一年かへりぬれと天下諒図事也一馬車うすゝき
源氏廿三才
琵琶引云門前零落鞍馬稀一さふらひにとの井ものゝ
ふくろ三ケノ一也一けいし家用一みくしけ殿は
一御迎笥殿ヲホロ月夜一院の御思りやかた君になり
給へる哢院ノヲモイ人ニや誰共ナシ一后ハ里かちに弘大后也
一とう花てんのむもれたりつるにはれ〳〵しうなりて
一登花殿ハ弘徽殿ノ北ニアリ梅壷ハ又登花殿ノ西ニアリ
イツレモ皆チャキ殿舎ナリムモレタルトハ此年月人モス
一・スチリニムモレタル心ト呼朧月夜ノ登花殿ニツハせシカ弘徽
殿に移り給テン一たちまふへくも別に注ス一むかひはゝ当腹也
一物そたりに呼大力夕に云へり又住吉物語ニ当腹ヲ思シ事有
一斉院はさふくにて哢葵巻二井給女三宮ナリ
飢衰ト
ソハ〳〵シキ
一模の姫君ハ呼一劫権斎院ハ桐壷帝ノ御メイナリ
御祝ニ
ソムキ〳〵也
○ソレハ軽眼ナカラ七日ノ眼三日ノイトマナレハ程モナク日数ハ
スキ又ヘキナリ一賀茂のいつきにはそんわうの井給れいはお
上斎院
ほくもあらさりけれと延春式
注聞候
一今案此物語ノナラヒ
一延喜已往の事をは例に引て延寿已後の事をは今の事に
書なし侍り孫王の斉院に立給事は穆子女王真子女王
真子は文徳の王中務可惟彦親王女
ノ外已往ノ例十三故ニ多モアラストき一中将に青つれ
桂宮女房也一むかしにかはるさ有さま源の御心スチコトに成給
ワ何共ソホサ又ナリ一かやうのはかなきことゝもを
一昔言力ハシ給事ヲオホス斎ノ心一中納言の君晦月夜ノ女第
一たゝこゝにしもとの計申さふらふ問云トノ井申
一にや同事也一勘今桑宿直申の近衛は其夜大将次
将ノ間御トノ井シタル上首ノ人ヲ尋テ申也今ノ物語ニ云ヘルハ
近衛ツヤサのせク口へたるは誰に申あるランソレントノヰメ申ノ近
浅カ人ニウシヘラレテ此ワタリニテコハツケルヲ大将ハソハニテ聞
給ナり此殿ニナマウツラハシキトハイヘル也トラ一ト申ハ右近ノ
取井申也此時源モ右大将ナリ
又云
一。次将に告へき事なるに近衛留井のみヱ又折節傍人源氏
一服きたなき黒心日本記御説無骨ト云心風心共ヨモキト云字ヲモ
ノカクレ廿給ヘル事ニアタラントテ其辺ヘラシヘツコスルニヤト
源氏閉ラヒ給也勘源氏ノ御身ニ申三又御事ナレト聞ケルシク
思給也一かくろへたる近衛つかさそあるへきはらきたなき大将〳〵
外に又申く口へたる近衛司此辺にある由見八ラキタナキは遺恨
アル也承寿殿ゟセウト藤少将と一ほしへをこする夜行スル
一近衛ニ人ノヲシヘテヽアノツホネノ前ニテコハツクレト云ヘルナルヘシ
一こしかしこ尋ありきてとらへと申今葉宿直申ノ近衛
は其夜は大将次将の間御殿井三タル上首の人所を尋て
申候殿上にても又直房にても申候大将御前に伺候の時は
先中少将にて申世は大将出合を尋仰しためト問へは近
ヨシトハ矩ノ字
一衛官人官姓名ヲ申大将スナハチヨシト仰スコト
ユル大心ナリ
中少将モ是に同今の物語にイへるは近衛ツカサゟ申ク口へ夕るは
誰ニカアランソレヲ殿井申ノ近御人ニラシヘラレテ此後ニテ
コハソクルヲ大将ノソハニテ悶給也此故ニナマワツラシキトハ
カケルナリトラ一ト申ハ右近ノ宿直申候此源氏モ右大将
ナレハ聞クルシク思給へり藤井申モノハ天子へ奏スル近衛
司ノ人ニヒヽハ寅トモ刃一トモ申ハリ〳〵ニ申ナリ此ワタリニモ
近衛司アルラン殿井申ノ尋キタルハト云也又別意モ
有へシ可尋長言一心からかた〳〵袖を
夜ノアクルト人ヲアクト也一むねのあくへき時なともなく
空は部ケ行ト也一承雪殿当今朱雀院女御今上ノ
御母也一頭中将呼少将とあり二ケ黒の弟也一もてはな
れつれなき藤ツ等也一御いのりをさへけさせ給て
一内にまいかし給見事は藤心
伊物わ申申候心やメ給へト一ぬりこめにをしいれられて
一とらして王命婦弁
一宮の太夫中三ケ大夫也一あふ事のかたきを集に
源哥也穂而ラせ侍りナントラ給シ詞ヲモテヨメリ一そは〳〵し
觚狼コラウトソハ〳〵シ一さほたしにも此世ミテツレナクハ来
世ノホタシトナウントナリ一なわき世の恨を人にトハ藤壷ノ身
ニ源ノ恨ソ残シテモ也心ヲコタト涼ミツカラシルヘシトヨミ給
ナリ一いつくをおもてにてイツクヲ面目ト云心ナリ
一世にふれはみよしのゝ岩のかけろふみならしてんと云心にて
ウキ又
巻一せきふしんのみけむめのやうにウキウキ
高祖妾趙王如意ノ母也恵帝ノ大手ニテ有シク立カヘン
トセシカ共ツヰニ其事ナラスメ高祖ハ崩シ汁又恵帝
一位を継行て後呂大后かくムクイセントメ成夫人の眼を
ヌキテ人声ト名テ厠ノ中ニヲシコメテテラアレシ事スシナリ
一宮の御ためにも春宮の御事
史記曰呂太后怨二戚夫人一其子趙王因レ威文一ヲ一断二千足一ヲ
去レ眼ノ輝レ目ヲ飲二痛薬ヲ一使レ居二厠中一命曰二人発曰二人発ト。一ト云ト
一しきふかやうにや式部老女古へシ一よゐの僧番僧也
一夜居僧は御持僧也二間に候スル僧より〽女にて見たるまつら
まほし哢女ニ十メミハやト也一うわんゐんに雲林院は淳和
一ノ雛宮也一うき人しもそと
天の戸をゝし明かたの月みれはうき人しもそ恋しかりて
一みちのくにかみ啼檀昏也白テアツキ紙也一あさゆふのなの
やとりれいならぬことをもくなりた御くしおろし給ける
一同上東門院中宮と申ける時一つつはしける三ツ四十は源ノ辺
嵐によせテヨメリ
浅弟生の露のやとりに君をきて塵を出ゐる事そかなしき
一風ふけはまつそみたるゝ啼アワチヤ露ニカヽレルサヽヤニナトラ
女君わ申身ニタトヘテヨミ給へり色カハル心末ノ詞ニミユ
一吹かふ風もちかきほとにて雲林院は此花野也仍斎院ニ千ツキ
所トニて一中将の君に権斎院女房一かけまくいかし
こけれとも呼秋とほゆるとは必イツトナケレ共昔ソホウ
ノ心也種タテマツリナトせシ事アレハ秋ニ縁アル由也今は斎
既にテカイナキ故と一むかしを今に
いに一の賊のをたは一とりかへされん
とりかへす物にもかなや世中を有しなからの我りとおもはん
一おまへのは斎院ヨリノハユウニ付給一そのかみやいては
一稗源の哥ヲ何トナクウケテヨミ給へり昔うホユルウメトカメ行
ナリ一ちかき世にともある引哥未見一ましてあさかほも
一一思ふらんゆへは母心の事をカケテシノヒ給フエヘト也
一ちかき世にはおもひとすと也御祝
手跡モウツシクナリ給フミテアサカホトハ顔モト云い也
一おそろしや神事の憚也一あやしうやうの物と斎悦
一麻六ツ同やうニ心ツクシナル事神ヲウラヌシト也花鳥程別
一院もかく斉院ナリ一六十巻といふみよみれ
天台六十巻
本五音卅巻
智者大師作
止観十巻
止観十巻
末書卅巻
天儀十五日
弘政十疋
疏記十巻妙楽大師作
一しはふる人柴ナト取イヤシキ人ナルヘシ又皺古人廿
一木ノ葉ナト申キアツムルイヤシヲ三ツノヲン
木ノ葉のチリやゝりたを打ハかフ心也皺古人走テシハヨ
りたるなり阿仏房説一くろき御車服者車也西宮抄に
重服公卿乗黒筵車一世中いかゝあらん哢当代に成
テ源氏の時ニアヒ給父事ヲ思へルナリ一あやなき心の
一宮にまいらせ給藤
〇一宮のあびたのこと春宮
哢源氏ノシルクミ給也一いゝせ給にけるを呼文の詞也
中宮ノ東言ニヲハシマ云事也一日数を心ならすやとて
一呼日数ヲヤフリテイランハ心ナク又事も一にしきくこふ
ヨルノ錦ノ心也
みる人もなくてちりぬるおく山の
一あたら思ひやりふかう物し給人のゆくりなふ呼原ノ事ヲ
ノ給ナリユクリナクハ不意ニノモイヤリモナキ心迄ユクリ申共
一用ナリ一まかて給へき日中宮ノ三条宮へ御帰ノ日源
参給十リ一中宮のこよひまかて給呼御遊ナトノ席ニ
一カテ給はゝ不可然ニヨツテ先申出シ沙ナリ一春言をは
今のみこになして呼朱雀院御詞朱雀院の御子ニ笹給へ
ト御遺言有ヘシトナリ一大宮の御せうと弘波ノ兄弟也
一れいけい藤朱雀の女御ニ参給へ一はこう日をつらぬけり
日うつラ五ケリ・目ニツケリ両義也白虹目をつラ又ケ廿ツヰニ
トヲラス、其心サシトケカタカルヘキ事ヲ荊車ヲソレタル也ニ
源を荊にたトフ燕太子丹か始皇をかた牟ントせシン・
漢書昔荊荊荊若子燕シ丹之義一ヲ白紅貫レ日而太子畏レ之ヲ
一九重に霧やへたつる中言御哥一月影はみし啼此
一哥の面は中今の御哥をうけて月の事下にせたり下には源の
思ヲヨメルナリヘタテ給事ヲコメリ一かすミも人の
山桜見にゆく人をへたつれは最も人の心なりけりけり
一木からしの吹につけても朧月夜哥也久か文の春信モ十
クテコトノ葉ノ枯タルヲ木杜トハヨミ給ヘル也一筆なとも
一うらめしけに春宮〳〵
心ことに哢朧月夜は手跡スかし各人十レはナルへシ
一きこえさせても源文詞一身のみ物よきほとに
数ならぬ身のみ物うくおもほへてまたるゝまてに成にける哉
一心のおよふならはいかになかめのつても
人ちふる心は空にかまへはや雨も涙裳友にしくるゝ
花鳥ニ引哢但此詞哥不及見一院の御はて一周忌也
一御こきミコツキ総国に御門の御忌をするなり一宮にきこえ
一給中二ツヘ也一別にしユキアトハ雪にソへタリ一すちこり
いまめにうはあらねと哢ホメタル詞也万ノ事ツネノやウニテ
ヨキヲ本トス一中二言の御八講なり呼定タル法事カト
一立可尋問云中宮御入講は毎年定夕るもん一切
不定計し一玉のちくらのへみし玉油羅表紙
一けふはこの御計も源ヌレ心ヲ
帙
一ぢ寸のかさりサ帙簀竹ヲ簀ニアシテ経フツムナリ
一先帝の御れう薄雲ノ父御門一五巻の日五ケントコム長
一啼五クワンノ日トコヘシ一切一薪こるほとより
一ほうもち
つ花経をわかえし事は薪こりなつみ水くみつかへてそえし
一みこなかはの程にたちて中寒ノ御願ノ趣ヲ閉テ驚給廻
一いまはしめて思ひ給ふるし心みされぬつく此詞花の勝也
ミヽ啼シタリカホラテ哀也〳〵一名雪の今ふりも
呼中宮名香ヲ焼るニ心アラス此事ノ方ナルヘシ「御いつら
さも中二そ御心也世ヲイトヒ様ニ御心ツヨサモナリ一月のすむ呼源
哥也雲井ヲカケテ禁中ノ事ニハ非ス中太ノ出家シ給テ
切利天上ナトノ望也此世ノヤミトハ東宮も也一おほかたの
うきにつけては囁此哥又幽玄也下句ナト哀也高光申
雲ノハ重タツ山ハ住ウシナトヨスルヤ如シ一かつにこりつゝ引取
不見呼哥ノ心ナラス共ゟ一殿にてもわか御かたに二条院也
一もとの御位にても申上は御事也辞退シ給ハント也一年もかは
ぬれハ諒闇モ過テ事アタラシキ年ノ后也源第四歳
ナルヘシ一ないゑんたうか内宴大裏ニテ春ノ季定テ詩
の宴に内宴者唐太宗之旧風也嵯峨天皇弘仁三年
一幸神泉苑覧花樹命文人賊詩是始也一むつかしろし
こと源ノケサウ人シ一青馬いり中二郎へ引事有
一むかひのおほい殿に哢大臣殿は二條ノフトヽの事ナリ
一三條宮ヨリムセイト書也一注大殿共有可然見
一翁の柳のかしきいりう時を忘ぬ漢武帝苑中に蒔に
一人柳ヲ一日ニ三臥三起帝ヲ拝シ奉ル躰也非情ニテ心アリ
一みすはしといへり也御説
一仍人柳トナツク一むへも心あると
音にきく松かうら嶋けふそみかむへ心あかあまは十みけり
一ありし世のうら嶋下よみ給へるは源ノ松カウラ嶋ラウケテヨメリ
松カウラ嶋ノ心ニやメツラ三事也一つきめし春除目廿へシ
一おほかたのたうりにても寒の御たうばりにても
一大方ノ理い其身に取テ加階スへキ年ヲ云宮の御夕ツハリハ
三宮ノ年爵シ云ヘリ院ノ御給モ同事也一み常なとのと
まへき御封ナト不可改シ入道シ給へト猶入道ノ宮ト申へ
中心と御封太上皇二千戸三宮各千五百戸一宮人ともゝ
中宮の一このこのゝ人源ノ一ちのへうたそまへり
致仕ト云ハ七十ニナリテ出仕スマシキニ取テ此間用タル車ヲ
モ先祖の廟ニ是をかくる事アリ故ニ懸車ノ齢共云なり
官を辞をイへ共・猶政事ニアツカリ又へ申由河海に注専に
なと也一いまいとくひとそうのみ二条大臣一緒也
一春秋の御と軽呼問云源ノフマナイ給也定名共の事
一みや是い源のフなヒ給候一勘禁中なとには穴たる事なり
一ゐんふたき掩韵古集ノ詞字をフタキテ何文字ト推
〆勝負ヲスルナリ一ふとの文形ナリ一左右ニこまとりに
左右同等トワケタ也一つ井に右まけにけり三位中将方也
一はしのもとのさよひ鷹頭竹葉経春熟階底薔薇入
夏開岸容迎レ臘テ将ニ舒レ舒レ柳ヲ山意衝レコレ害ヲ欲レ敬レ欲レスレ梅
一中将の御子の紅梅右大臣十一高砂をいたしてうたふ
タカサコノサイサコノ高砂ノ「小ニタテルシテ玉太方ツハキタマ
一柳〽ソレモ申トサンマシモウトマシモ可度祢利手左□手
一古集のゆへなかゝぬとはゆへアリト云門也
のミソカケニせンニタマ柳〽ナニシカモサンナニウモ名爾シカモ
古々呂モ万多伊介牟由利波名ノサヱリハ十ノ三ケサヽ
イタル波ツ花ミ安波末之モノ乎サヱリハナメニ
一それもかとけさひとけたる高砂ノ哥ニ〽ケサイタル初花ニ
アハマシ物ヲサユリ葉ト有ニヨリテ源ヲ花ニタトヘタル
ナリ呼けさひらけたるとよめるは古今物名ノ部ニサウヒ
ヲ我は重さうひにそみつるとヨメリ心ヲ以テヨメルニやたく
源ノ哥モ同也花寺高砂ノ哥ヲウケタリト
一さうときらうかはしくきこしめしなすを三位中将源氏に
酒を懇ニシサマイラスル躰也一つゝゆき候いさめたみなく
時トメ取アヘスヨミタル哥ナトハヨキハスクナクナカルヘシ後マテ
一書トムル心ナキト貫之云シ事ナリタフルヽハタハフレナリ
一らうかハしうきこしトメイワタルやラニキコシメシナスト也
又源語集下巻乱也狼藉也
孝言アリシ事ノ用ニタヽヱウ云也タラルヽノ心也
一つゝゆきかいさめ哢何書にアる事ニや夕シヤナラストニ候
一勘同一たうるゝ時カタフク心シタハフルハ花ト
一文王の子武王のおとうとゝ史記ノ普ノ世家ニ周公ノ白
称ノ詞ニイ一リ成王ノ何トカノ給ハントスラント云ルハタトヘハ周
室ノ王位ノツヰテノ如ナラハ武王ノ後ハ成王ノ位ニ付給ヘリ
其ニ此物語ヲナスラヘテイハヽ朱雀院ノ脱履アラハ今上
の位に付給へき事也其に朱雀院の次に御第の冷泉院
ノ位ニ付給へハ相違スルやウナルニヨリテノ成王ノ何トカノ給ハシ
スラントハ今上ノ御意シハアリカタキト云一ル心ナリ我文王
之子武王之弟成王之叔父也於天下升不賎矣
一成王のいかに啼記者詞シ爰ニテハ冷泉院ヲ成王ニ比メ
一うち見えりて朧月夜
一云一り花し成王は武王の御な也此物語には冷泉は朱権の
兵部卿ヲ前ニ帥ト云シナリ
第其次第夕へりとい一師宮雲空一とのゝきんたち
一二條大臣公達ナリ一まつ宮の御かた弘政御方に十リ
一中将卿のすけ中将二条大臣息也一たゝうかみを召て
しん殿に弘后方へ也一むかしも心ゆるされて一斉院を
御文かよはしなと
猶きすおかし桂斎也一説右大臣の御緒ノ斎院は世の
たメニモアラス我タメトノ給右大臣ノ詞サモアリツヘシ私
一みなかの御かたにこり心よせ侍めりし源に人々御心尋給トハク
夕千給十リ一そのほいたにさまにてより内侍督を女御に
もと思ひしをも一さふらひ給ふめれと一さいかりねたけなり
しし侍りつれと世間の人の思シ事ナリ
一しゐて我心のいかかたになひきセン〳〵君の心ヲ后ノ情也
一ゆく〳〵とアリノ可チナ
一車ともにのりざま一かろめろうせらるゝ軽哢
一おほやけの御かたにうしろやすからすみゆるは春宮の御世
心よせことなる人なれは菅家は御外緒西宮左大臣は知り
為平親王ツゝ位にツケントテ御門を傾申ト云語ニヨリテ
左遷せラレ給シ事ニヨソヘテ云へル也
一みなかの御かたにこそさいよせ侍めりしをそのほいたふやう
にて是は内侍申みの御事を大言ノウ三口事三給也
一御封哢問云封戸ノ戸トイへルはイカ程の事はや
一勘戸は民戸と千戸百戸と云は民戸をこせらるゝ心也
ソレヲ封戸共云ナリ
夕刻に引
一物のあしソトヒシ〳ト花に近喜八年清涼殿霹靂之後貞崇法師
一候清涼時聞大人足是邪神所為也云々見木子部王記
図字{
特別
同断同同
米耳源抄
昔顔叔子独処ス夜暴風雨而至ル隣婦趨而至ル
叔子納レ之一夜穿テレ屋ヲ燃レ之ヲシテ待二天之明尊ニ有二男子一
一如叙子而処隣婦如レ前至ル男子閉レテ閉レテ不レ納・婦人口
何不レ者ニ二柳下恵ヲ一乎ヨニ曰柳下恵固ニ可ナリ吾国不可リトモ一
将二吾不可ヲ一テ学キ二柳下恵之可一ヲツ孔子宍曰欲レ学柳下恵者ハ
未レニ有レ似二於是ニ也柳下馬遠行メ皈ル過レ夜宿二郭外之門一ヲ
一須臾之間有二女子一同宿時天大寒下恵恐シテ一女凍死一の
一坐二女子ヲ於懐一以レ衣覆フレ之至ヲレテ暁不レ為レ乱之言学レ道不レ学
一レ形也又末、里学二柳下恵一不レ師二其跡一ト云
巻名哥源廿四歳夏五月の事也
・花散里
一わつゝはしく甲白虹日ヲツラ又ケリト云シ事ナトナルヘシ
一麗景殿桐童帝女御也花散の事はハン為也
一たゝ一目見し呼此家誰共ナシ源ノ兼テ通給人ナルヘシ
此段又此時ノニホノ去ル也若紫ノ行スキカタキトウタヒシ時
ソタクイ也
一かどぢかなり
一郭公かたらふこゑ源ウトカリシ故ニアナンホツヤナトヨメル也
一よし〳〵うへしかきねもとて
へノ字アヤマリヒト有御自筆也
夢庵ノ御本付紙キヤ引哥うつしかきね也
奥入
〽かこはねと蓮のは難夏くれはうへしかきねも茂りあひにたち
紫明
花敷し庭の庭の梢もしけりあびて栽しかきねも見こそわにけ
タトルトミレハト云ヨリコシ〳〵載シカキ子ト云タル見もわかまねと云
所アイ名也一ねたうも哀にも囁惟光カつてンホレシタル
ヲ女ノ子タウモ思也一さもつゝむへき事そかし
源トうり給ハン共不知琴十ト引タリユタンスマシキ事ナリ
一ト地ヨリ云へり一いかにしりてか
いにし一のことかたらへは郭公いかにしりてかふる声になく
一棚の香をなつかしみ郭公上句は古歌也かたらひしつゝなかぬもき
一おほかたの世にしたかふ物なりければ時代ノラ盃次第ニ人モ
一よりまする物なれは只今は源十トさへ友モウト〳〵三ケレは女御
ナトツレ〳〵ニヤト也
一おほしくらへえつ有シカキ子ニウホシクラフルト
一五節此頃ツクシニアリ
須磨名哥詞源廿五歳三月より次の年マテ
須磨
一世中いとわつらはしく源ヲ遠流アルへキ十ト定有ケルニや
一かのすまは啼源技浦隠居の事はヲモテハ行平ノ事又
周公旦ノ管茶ノ讒ニヨリテ東征せシ事トヲ詮用トメウラ
には又菅丞桐西宮左大臣の太宰府に左迂せられし事野相
公ノ隠岐へなかサレシ例ヲモテ書リ此等ノ譬喩一途ナラ
ス花西宮左大臣大宰府ニ左遷ノ事ヲ以テ書リ式部
高明公に十一奉て別をなけきつる比書タリトミヱタリ
私の詞に其折の心チのマキレにト此巻に書たり一里はなれ
一ひたゝ気切人シケクセマヒスシキヤシ切遊助乱也
一あふをかきりに
我恵はゆくゑもしらすはてもなしあふをかきりと思ふはりそ
一行めくりても下苦火はかた〳〵わそも行めちてもあ見とそ思ふ
一わるへきかとてにもやと
かりそめのゆきかひちとそとるひし文をかきりのかとてなりける
源ノ心ニツヰノ別ニモヤト思給へル也一入道の言よりも爰ヨリ
安和ハ
冷泉ノ
年号也
藤壷を入道の宮とかけり男女通め入道と号す一三月廿一
今日のほとになん都はなれ行ける西宮左大臣安和二年
三月廿六日左遷にて一そのおりの心ちのまきれに
例の式部詞也一云武部は西部左大臣の上人にて有三十は左
遷の折の可きれしを書るにて平但此物語書出比と左尉左
私にて自安和二ノ年至寛弘卅六年と
〇年遥にへたゝりたり不必当事とは
此物語取究弘初に書る由河にみ五
一よにかくれて世に忍ひ給也夜イ本末の詞夜とミユイカン咲
一あしろ車栄花物語えあやしの細代車にたとのに
加へり給ぬ師内大臣左遷の時事也
一位をもかへしたてまつり致仕辞官不辞位にて階位ヲ止は
罪科ノ義也今位ヲ返ストスヽ不審ト也但ツヤサラモ位ト
云事有へシ大臣ヲハ台里階ト云和語にはホシノククラサト云也
不可有不審一こしのへてなと蟄居せる人ノ外へ出ル
ソ腰ヲノスト云也一あめのしたをさかさまになしても
此詞ウツ等ノ物語ニアリアルマシキ事ヲ云一リ
一官しやくをとらますいヤサナト取ラルゝ事は除名ト云也
一出身より此かタ成キタル官位ヲ悉ク除キテ無位ノ人ニ
ナルヲ云源モ除名せラレンニヨリ無文ノ直衣ヲ着行トミヱタリ
一配流の人をは必先除名する也除名はかりにて流罪せられ又
事モアリ罪ノ軽重ニヨル事也源ノ除名ハ左遷ノ例ヲ見
一にこりなき心にまかせ私小疵はアレトも左大臣一ノクウイノ語古へ」
一いにしへの人も呼左大詞也源ヲ灸ケタル心ニて
一いへいえにかなしき
いへはえふゝくかなしき白竹の夜かうや誰とうふ人もかな
いへはえにいはねはむねにさはかれてやひとつになけく比かな
此両首ヲ引イントスレハイハレヌト云心也一いきたなき
子コイ事也一いつとなく別といふにこそ
宰相君詞私是モスコシタハフレ給ニヤ中納言イ外
一きこえまほしき事も源詞一みたてまつる入かたの月トツヽ
ケテヨムヘシト也一たとしへなく一なき人の別や
一哢此返歌ヲモシロクヨミ竹一リ源ノ哥ニ引申へタリ
一さふらひには二條院ノ殿上也※いはん所台盤所女房ノ
サフライ也殿上ニアリト哢
一しかほとはかゝりあれるつる秋の庭こそかなしけれましてきてなん花の夕暮
一あかつきのわかれい江文道か別賦云避然銷レ魂者ハ唯別而已
一ひたやこもり説云リ千馬ニハ直隠ト云只無意趣ナル心也
一ちみこはいとをろかにたもとよりおほしつきにける
フロソカヲオロカ共云ヘリモトヨリヲホシヨツクトハ紫上源ヘシホ
シツク事也隔勺ニ書所多シ一いはほの中にも
いかならむいはほの中にすまはかはうき事のき事のきこええ
一むもんのさなをし平絹直衣也或シラ
一ことなしにて無為コトナシ日本記
君みすてほともふるやのひさしにはあふことなしの草のおひける
むら鳥のたちにしわか名いまさらにことなしふともしるしあらめや
一れいの月の入はつめほとよそへられて花ニは三條くマヨリト
アリ左大臣ヨリ帰給時中納候ニ別シ月ヨソヘラレテ哀ナル
故に例ノ卜云也又云源月ノ入方を我身に思わつへ行也呼
例ノハ毎夜ノ心見
一重にぬるゝかほなれい
あひにあひて物思ふ比のわか袖にやとか月さへぬるゝかほなる
一月影のやとれる袖は啼此歌にテ花敷ノ心ノ打参テコロ
一シキ事ミ三タリ只今別ノヲシキ心ヲツヽミモせスヨメリ
大方の女ノヨミサマニハカ心リニて一しらぬ涙のみより
行さきをしらぬ涙のかなしきはたゝめのまへにおつめとりけり
一文集白楽天の詩賦をあつめたる也七十二巻あり長慶集
モイヘリ長慶年中ニアツメタル故也
一御さうみまき御座御牧一あふせなき涙の川に
一啼朧月の方への歌に無実ナル事のやうによみ給へるは用心也
みお水の浅み深みのサカイ也一のたまひあづく
五十瀬わたる川は袖よりなかりれはとふにとはれぬ身はうきぬめり伊勢
一コヽニテ若菜ノ巻ニ柏木ノ文心ナクカヽシタルト云コトヲヱタリ
一涙川よふみなはみ十は水泥也又水ノマキメヲモ云云也
一こしとおほしなすゆにおほうて下は親類ヲ云ニハアラス只其
ルイノ事ト孝没云
但爰はアシ后
ナトノ斗也
一あすとての暮には
カクセキタレト又色々ノ事ヲ云り一院の御はか
一栄花物語云師殿夜半ハアリニイミシウ忍テ仕オチノアキ
くはかり御供に人二三人計〆ヌスマハレ出させ給テ只タ
の御は申へ忝給一北山へまにて給時イツク共みヱス
栄花物語ニ岩カケト云所に御廟の事なりカヤツノ事を思て
書ル上ニゝ岩陰ハ松崎ノ奥ノ名所也天暦陵にて又栄花
物語トノ時代同と一リ決一暁かけて月出る頃なれい
此詞定家卿ヲモシロクや思ハレケン
春はたゝかすむはかりの山のはに暁かけて月いつる比トコメリ
先入道ノ穴へト云は夕やモノホトナルヘシ一み山にまいり侍る
山陵也一さえなることなれと有し世の御ありきにこと也
昨日けふに引かへタルコトシ一右近のそうの蔵人うへきかゝふり
叙爵なり蔵人父はヒタチノ守レウツセみ男にはアラス
カウフリホトスキ又トハアリノ随身せシニヨリ叙爵遅々ル
一中川紀伊守力弟也伊与守カ子と系図ニアリ
辞見可申り申日本記
一まかり申「ホイト可申也一かきりなきにたも王位ノ事
一御はかいみちの間にしけく甲古墳何世人し詩!
心う申へり一そゝろ寒きほと也密通〳〵
哥の心ニモニユ一なきかけやいかゝみからん噂折フシ月ノ
雲カクレタルヲミテ源氏ノ心ニ故院ノイアヽ我ヲ御ラン
スルニカ月ノヘタヽリユルハト心ノ鬼ニ思給也入道言密通
一かきりなきにても一息武斯ノ役は帝王モイラスト也
一春宮中宮へは
古墳何世人不レ誠姓兼レ名化作二俗二路傍ノ土一年ノ土一年々春草生ス楽天
ノ事ト思給ナルヘシ一王命婦をさかはりにとて入道亭ノ
御申ハリニ春宮ニいへ給也一いつか又春のみやこ春宮ヲいへ
天子へは
奏ト云
タリ一桜のちりすきたる散透なり一さきてとく
ちるはうけれと聞落源ノ栄房也又来春ヲ
侍也
ひかりなき谷には春もよそなれは咲てとく皆物思ひるもなし
春カアレハ花ノサキチルヘツクシモアレトモ行春タチカヘシ申シ迄
一会者定肆同意也一時しあらは引哥未見心は明也
一おさめみかいやうと
一おさめみかいやうど八幸ニハイツレモ下女也或説カツラナトノ類也
河み申はヽヒスマシ也一弁官なと才人ノナル官也
一天に七星あり官に七弁アリト云にの昔より七人其内に
中少弁の中に時に三夕かイ権官をゝかるゝ也陣の右筆諸
事奉行する器也執栖三家の人なとは近頃イタクナラス
但其例は多シ一おほしいりたるかいとゝしかるへけれい
暉源ノアナシミノ色ヲ紫上ニフヤクミせシトテナクサスクル
哥ラヨミ打へ引一御舟にのり行ぬ淀川ヨリこ
一おほ江殿麻王帰意の時大和路をへて横津に赴テ
一難波ニテハラヘ有テ七日ニ大江ノ備所ニ付給十日ニ入京シ
給ひ故に大江殿は斉寒飯烹の旅館也嘩御代一度斎
言ノ旅所ナレハ慈タルトイヘルミや一から国に名をのこし
属原仕二於懐王一ニ為二三間大夫ト一甚任レ之与レ楚同姓裏王甚
一任之同州大夫新尚妬二其能一終レ之王逐レ之王逐ニ放レ之原至二江浜一
被レ髪行吟二沢畔一ニ花鳥提屈カ清醒ヲ源ノ身ニ比シタル
也但屈屈ニもキルへカラスニて一之やましくいとゝくすき
ゆくかたのさる世のふることなれと呼伊勢ノやう思やル
へし葉平旅行ノ時此歌を詠事哀モタタイナキ事
一ナレはありたり共今源の吟し給へるは又殊勝ナリト云へり
一三千里の外の三千里外随二行李一十九年ノ間任二テ転
蓬莱
在墨賦
蘇武也
文集
六十一月中長至レノ夜三千里外遠行人若為独宿楊梅
館冷枕草床一病身一かひのしつくもたへかたし
一この夕ふりくる雨はひこほしのとわたる舟のかひのしつくか
哢涙の心モ有へシ此詞面白トニて
然は露そをくなるの哥迄引哥〳〵
沙汰哢に十三
一行平中納言田村ノ御門ノ御時左遷被わくらいにとふ
人あらは一かや屋とも呼此所ニモトヨリ申ル躰ノ屋共
有シト見へシ一かゝる折ならすはおかしうも呼罪ナク
一一かる折ならすハ罪ナクテ配所ノ月ヲ見タ申ト也
メ配所ノ月ヲ見ハやト云ヘル心ニ似タリ
一みきはまさりてなん
君こふる涙おちそひ此川の汀またりておもふへらなり
一こりすまのうらのみるめ
一日浪はたきさいくともこりすもの国のみるめはからんとそ思
一おほ殿問云大臣ナル人ヲモツホトノト云ヘル歟
一大殿にも宰相のめのとにもお
荷一勘イツレニモ通用シタル詞ナリ
一僧都に御いのり北山僧都也一ふたかたに源ト此所上ノ為也
一かとりのさなをし只絹也伊平絹ノナラシや直衣指貫ノ
一地の事也夏秋は豆衣年齢によりてかす色さき
文々ハ白ヒサシ又キモ年ニヨリテアサキノ浅深アル也一勘
一よりゐ給しまき柱
わきも子かきてはよりそふこ木柱さもむつましなゆかりと思へは
一くゝされて涙ニクラサレテ也
一らう〳〵しき上臈シキ也一くはめやすくカツウ也
一かはかりもうき世の人ことなれと源藤壷ニ密通ノ事
ソハ世ニ云出ル事ナキ也人言也一しほたるゝことをやく
一藤益御歌也一浦にたくあさたにつゝに恋なれは
一シテ睡ノ思ノ行方モナヲトシ医源ニ比スル也
恋火にいへタリ一中納言の君の中にあり中納言文
ノ中ニ巻コメタタルへシ一うちながれ行ぬカ文字ニコルヘキ上
シホ〳〵ト先ソナ申ルゝノ類共一よるの衣とヨメル下ノ心ニハ
故井物ナトヲクタシ給ヨせモ有ヘシ一うき世につみをたに
たしなはんとヱ合ニ中比十キニ成テシワミタリシウレヘニウハ
リテ今マテモナヤラフル也トアルヤウノ事也
一御しやうしんにて聖廟宰府御下向の後不断御精
進にて朝夕法花経を読給し一中〳〵子のみちは
一すく〳〵しう健〻
啼心いやみにの哥にはおはレルミやト也一あけぬ夜の心ま
とひ天照太神ノ岩戸に籠給書計也伊勢より十六也
六年籠給也一つみふかき身のみそ仏経に
ウトキ事也啼此説不用ニて一伊勢嶋やしほ
風俗哥
ひのかたにし我身なりけりトヨメルニ源は定テ帰京
有へキトノ心アリ一伊勢人の浪のうへこく
○伊勢人はあやしき物うなそといへは小舟にのりて彼の上なく
あれまさる行のしのふ哢此哥体又花敷里のいえたり
ス一ノ事ナトサマン〳〵ナルヘキヲ只サシムキテ古里ノ体也
心中モ又哀也一かんの君は人わえへに呼苦月モ出
仕ツト五させ給トミユ一いける世にとは呼役は何せント
ヨメルハヨカラヌ
朱雀明月に
ニトノ給一リ後ノ世ニモトコソ契へ
ケレトシヲハ常ノ説ハ中ヨカラヌ人ノコメルカト也
朱雀イマタ御子十三
一いまゝてみこたちのなきこそ
一開吹こゆるといひけむうら波
天暦御時屏風歌忠見
秋風の関吹こゆるたひことに声うちそふるすまのこらす
讀古今集つのくにすまと云所に侍ける時よみ侍けり
中納言行平
旅人のたわすしく成にけり関吹こゆるすさのうら風
奥入及伊行尺説をホツカナシ浦浪ハ忠見申三つナルをせき
吹コユルト云所同ケレハ思わたりテ書ト花鳥ニアリ
一枕うくはかりに
ひとりねの床にたまれる涙には石の枕もうきぬへら也
一涙川水まされとやしきたへの枕のうきてとまゝさると
花鳥に引一窓わひてなくねにまに
彼たゝはおきの玉もよりぬへしなふきより風もふかなん盤
一あいなうおきゐつゝ呼アチキナキナルヘシ
一重にいかにおまれ哢源ノ心ニ伺候ノ人ヲ憐ミ給也
一人には源の事を申十三み奉る也
一つくりゑ采色絵也哢墨書の上をサイシカせはやと云説
一不用一心もとなかりあへりトハ絵ヲモテアソヒ給
千枝常則ナトメシテ御アイテニモカナト思也
一しろきあやのなよくかなるさそしをむ色なとたてまつりて
こまやかなる御なをしおひしとけなく
一河海に白き綾の御衣に紫花色のサシ又キト載ラレハ
タリサモスヽヌヘシ又シラン色モ同御衣ノ色トイハンニ相違
アルヘカラスキ又ノ色〳〵フカサネテキル故也コマヤヤナル
御直衣は夏の直衣地は平絹の壱文にてもあれ色は
ムラサキ花田年齢ニヨリテ用給ヒ花田ナラハ色ノ
ユキヲコマや申ナルト云ヘシ呼なよゝかなよらか同心見
一勘和ノ字ノ事也一釈迦牟尼仏弟子
一坪金剛仏子某ナト云如ク人也
一おきより舟とものうたひのゝしりて
おきつ鳥かもつく嶋にいかいねし妹はわたれしよのこと〳〵しさか
ラキツ鳥トハ鶴ノ名也舟ヲハ鴎に似せテンキツ鳥トシホク
こめり詩にも鳬舟と作れりかもつたは舟のつく嶋と云わし
おきつ鳥かもといふ母かへりこいやかのさきもりはやく告こせ
一ちいさき馬の
一雁陣易迷秋嶺上畠舟誰レ并夕陽中此詩ノ心ニ
一初かりは急しき人の猿立教らノセナシキハ窓シキ人ノ類申ト也
一かちの音にまかへり雁櫓ト云テ雁ノ声ニタトへタリ
六まつ人にあらぬ物からはつかりのけさなく声のめつゝしき哉
ヨク叶へり囁出てとふ飛也思ヲ催ス古里人ニ類迄
一民部大輔惟光也一心からとこ世をすてゝ
一哢様雁ノ哀ヲ今は身ニシル心カラト云ハアリノサマシ
身ニヤケテ見ルマテモ十斗也
花
雁は北の国ノ世はなしたル所ニスム鳥ナレハヤクミタル也
詠思兼神云
とこ世なる鳥のこゑにそ岩戸とちひかりなき世いなはしめける
天照太神天の岩戸を閉給し時思か五の神思はかうヰて
トコ世ノナカナキ鳥ヲアツメテナカせタリシ事ヲヨスル也
見日本記ト華ハ仙境也一友まとはしてはいかに侍るまし
マトハスハウシナク心也花我モ友ニテコソナクサメト也
一月のかほのみまもられ給月顔似饒無明罪風気如力不伐愁絶
一二千里外故人今三五夜中新月乍楽天ハ八月十五夜作也
一入道寒の霧やへこつる榊は二九重に五力やへたつるの哥の事也
一月の都故里ノもと月今ニヨス一恩賜御衣ハいまこゝに
一去年今宵侍清涼秋憶詩篇独断賜息賜御衣
棒将
今在此十毎日捧将拝余香聖廟御作也
一さそいまことに身はなたすイツ給り給共十三
一うしとのみひとへに哢ウシト一篇ニ思ハ申リニハアウテ御衣ラヽ
一身ニいへテナツヤシク思奉ルト也左遷ノ方ニ御門ヲ恋
給フハヒトカタナラヌ也一その比大弐は五節申父也
一怖させうそこゝ啼大弐ヲ帥ト云へルハ師ノ闕ノ時ハ
一大弐カ師ノ事ヲトリソコナフ故也ニ
箒木に伊与介下有所に花鳥に立たり
一子のちくせんのかみ大弐部子也一まか〳〵しうイマ〳〵三れ
一狂々也一勘一琴の音に引とめ三かにてハコト地にては
キントヨム一いさりせんとは思はさりしはやと有
おもひきやひなの別におとろへてあかのなはたきいさりせんとは
一むまやのおさにくしとえする菅桐ツク云へ下様ニ明石ノ
マヤノヲサカナシムニ作給駅長元驚時裏改一栄一落
是春秋クシトハ口詩也書付又詩也口宣ト云も同
一ましておちとまりぬへくトハ花鳥ニモアレ共只口詩サへ
云伝へたれは書付たる哥なとは一・シて役マテトマント也
一おほやけのかうし勘事也センタウノ事也
一かの鹿をむまといひけむ
史記曰趙高欲為糺恐レ為欲臣不聴乃先設験持鹿乃先設験持レ席
献二於二世二曰馬也二世咲曰承相誤耶謂麻為レ馬問左右一
ヒヽ呼趙高カ乱ヲオコサントせシヲ源ノ当今ニウシロメタキ
心アルニタトヘテ源ニ心ヲカヨハス人々ヲ彼群臣ノ高ニ順シテ
馬ト云シニヨソへテ今弘后ノ給也一これやあまのしほやく
ならん
すまの海土の堀やく煙風をいたみ思はぬかたにたなひきに有
一山かつのしこふる里人里人ト京ノ事ヲコメルト云
一まが〳〵しうイマ〳〵シキ也狂言万葉柱魔香〳〵敷
一説草前の詞に見れし文下人の上をもなと有山申つも
所カラハナツセンクシホスル一昔胡のくにゝ王昭君也
一霜の後の夏胡角一声霜後夢漢宮万里月前
陽多王昭君ヲ作レリ朝綱卿
モンモイ
一たゝこれにしにゆく也天迦玄釜雲野霧唯是西
行不二左遷一常月ノ行サマシ一初月ハ西へ行テ東へハ
不行也左は東に取也一友千馬もろこゑにたのもしとは
源モ又都ノ人ニ友ナフ事モやト也
一家にあからさまにも義清惟光十ヘシ私ノ旅所ナル
ヘシ一くつしいたうて苦痛也
一国のうちはかみのゆかりのみこそ義清は当播磨守子也
雖然入太聟に不取也一あこのみすくせ
入道ムススメノ事ヲ云也一えしか給ハし声ノツケ不三故
ニカク云へり一もろこしにもわかいへにも和漢共ニ無罪ノ
左遷例多しわかみかとは吾朝也日本記に朝の字
ミカトヽヨメリ伊勢物語ニモワカミヤト六十ヨコクト云ヘリ
一ものし給君そトは君公を入道公を
一をのかをちに入太我申事フオノトき
一いつとなく大言人
もゝしきの大言人はいとまあれや桜かさしてかにもくえしつ
一うれしきにもひとつ涙そ
うれしきもうきも心はひとつにてわかれぬ物は涙なりけり
一竹あめる垣し石のはし松のはしら
楽天香炉峯下
一五架三間新草堂石階松柱竹編墻
新下山居草堂
一弾碁後渓書梁魚弾碁河に委
一ゆるし色のきかちなるに青にひのかりきぬさしぬき
ユルシ色ノウチキ青ニヒノサシヌキトイハントヲカヤウニ
申ケテ先二ノ進ヲ出メ後ニ衣裳ノ名ヲアカセリユ
ルシ乍ハ薄紅ヲ云也青鈍ハ花田ニアラケノマシレルソ迄
一本ニユルシ色のきハやかなる共アリキカチナルハ薄紅ノ黄ナ
ル方ニコレルヲ云也一たきのくなと弾碁一かいつもの
カツキシタル物也哢貝ナトナルヘシ能因カ三ツ枕ニ申イツ
モノ取ヲハアサリスト云ニて一いねともとりいてゝ
タレハミマクサモヨシト云ヘラトル也
呼称ナトナルヘシ一あするゐにたふ馬に稲カフト上云
もろともにめくりあひく猿枕成そそゝく春のさゝつき写
一ゑひのかなしみ涙そゝく白楽天力江州へ左遷め
一微ナラハ此字也
一三月晦日ニ夷陵ト云所ニ泊テ元微之ニ別シ時作ル詩ノ
一悲麗涙春盃裡吟苦支頤暁燭前
一あかなくに哢三位中将の歌は秋の雁ノやウニミユ只此時
一ノ帰サノ事ヲコミ汁へル事や雁ヲカリナルニアリテヨメル也哥ノ
面は尋と心得へき候一風にあたちては胡馬噺北風
呼故郷ラ思心ナリ文集
松
一かたみにしのひ形見也
よそに有て雲井にみゆるいもか家にはやくいたらむあゆめめる
一雲地かくとひかふたつ雲井近キ心迄一かつたのまれなから
一かたみにした給はす夕中也
身ニクモ引ナキニヨテ也一むかしのかしこき人たは
一哢菅家の事に相当れり又大方にてモ上
一たつかなき雲井にひとりタツキナキ心シ田鶴ヲいへタリ
万たつかなきあしへをうして恋わたる
●上巳祓禊ノコト詩学大成ニアリ
三月ニ桃花水ノ下時ニ執蘭葉招魂浜魄抜二除
一いとしもとくやしう
不詳
おもふとていとし意人にむつれけんしかならひてみれは恋
一やよひのついたちに世風記云三月上巳桃花水下之時飲食也
一為晡続漢書礼儀志云三月上巳日宮人置禊飲於
東流水上一せんしやう軟障幕ノやウナル物ニ
高キ松ナト絵ニ云テ壁ニいへテ引也
一この国にかよひけるをんやうし道満汁師居住播磨にて
一しらさりしとしひとかたにやは人形ニいへタリ
一はれに出て晴也一屋をよろつ神書にみ五たん同也
一との給ふににはかに風吹出て〳〵ト云テス十八千風雨ノ
変ヲアラハシタル心ハ源只今罪ナキ由ヲ詠シ所ニ感シテ天
変十トノサトシ有テ終ニ帰京ノ瑞トアリ
瑞トナレル此心ナルヘシ
一雲酒をかり道成集年コトニ参フル物トシリナカラトコメツウシキフスマ香ド
一ひちかさ雨日本記ニ大雨ヲヒサメヒチ雨トヨメル同い也
一ふすまをはりたる哢波ノ白中ヲ云定家卿明月記云
一両脚融レ地電光張食一たか燧といふ物になん
一ヽスカヽミ
大津皇子サテ其比波風吹テタカ塩トイフ物入テ
イトヲソロシクやトモ皆ナカレテ寝殿モヱルヽイキタナカリケル
人々は皆ナカレニケリ花寺一海の中の龍王
彦火ニ出見尊ヲ源氏ニタトへテ龍神ノ豊玉姫フアハ
せ奉シヲ明石ノ入谷女ニ去ラへ書物也尊鈞を失給テワタ
人に至て尋けるを龍神めて奉て豊玉姫にあはせてわた
ツミニ三年トヽ又奉シシ日本記呼彦火ニ出見尊兄等ノ
ツヽリノ尊ノ鈎ヲ取テ魚ニトラレテタヽスミ沙シ時塩土
一老トイヘルモノサマ〳〵ノ術ヲメ彦火ニ出見尊ヲ海中ニ入
一奉て豊玉姫にあはせ奉りて将干珠満珠をヱテ帰給
事アり此事十トヲ思給フヘシ花し
あるはなくなきは数そふ
いとことすき行かたの
この夕ふりくる雨はひこほしの
恋しなん後はなにせんいける日の
木のさよりもりくる月の
いて我を人なとかめそ
莫発桂芳ノ半且図三千世界一同天
往事助茫都似夢旧友零落半帰泉
わか帰る道の君弱心あゝは君はこすともをのれいなゝけ
みはきして思ふ事をそいのりにし八百万代の神のまに〳〵
次戸に引
一主別既側今死別香声
明石
一巻名三日幷詞源廿六歳三月廿三日明石ニウツコト廿七歳
七月帰京也
たる
一なを雨風やます○○○○用成王ノ時因公旦東都ニ入給事ヲ引
一また世にゆるされもなくて呼伊周公ノ遠流ノ道ヨリ忍テ帰
京せシ事ヲヒケリ時代等見たる源は又ミツヤウ彼国ニ向
給三故亡一波風にさはかれて遠慮也
カヤウノ所ヲ
上機ノ心ツヤイン一おなしさまなるスマノ巻ニ取ゝシ
尤一之上柿
同様也一かくなから身をはふらかし放埒
フチフレタル也
ハブラヤシ長
ハウラ申シ空
一みちかひ道の行申候一えきいまさりぬへく
君こふか涙おちそひこの河の汀まさちたおもゆる哉
一物のさとしサトラシヌシ一仁王舎七難即滅ノ文アル故ニ
カル時ソコナフ也一いふりく心モトナキ也
一日月共度星宿去度火雨風旱鬼賊謂之七難
一八ふりいかへちの水気也私江水降河海ニ梅ノ大サナト云ヘルハアラレノコトヒ関東
一ひふりいかつちの氷降也
ナトニモウト云テ時ナラス少シクタキタルヤウナル物フルコトア
噺此サトシ同公ノ東征ノ時天変有シタタイ也花一み□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
一住吉神枝往還ノ舟ヲマモウンノチヤイフヽヲシ一帝王のサフラウ人々
一源ノ無罪ノ由ヲおルニコタフル也一さうつくしみ慈
古今序にあまねき御うつくしみやしまの外まて
一天地ことはり給へテンチトヨムへ申上ト也一家をはなれ
さかひをさりて左伝云公卿非王命不越境
一大炊殿食事シタヽムル所也一経新猿楽記巨炊屋也
旧記多大炊屋と書也一柴の戸をしあけて
一吟源ノ姓シツヤナルミユ一此風しはし海中ノ云也
一海にます住吉明神ハツクシタチ花ノ小戸ノ塩路ヨリ
れウカヒ出給へル神ナルニヨリテ海ニマス神トハ申侍り又海
○一雨順風調ト云ハ五日ノ風十日ノ雨時ヲ夕申へ又コト也
一中の龍王に願したて給由上にあれは龍王の神とイハンに相
違アル一三キ也シホノヤラアイハ万葉ノ詞又日本記ニハ塩ノ代
百重トアリ塩ノフヤキ心也八百金ト同義也
一こうし困字也クタヒレタル心也一住吉の神のみち
びき給明石へウツリ給へま瑞也一をのつからおかし
自然ノ罪也一なるほと終る也
一奏すへき事源帰意ノ斗也一月のかほのみ
呼以下詞妙こ〳〵杜詩残月満屋梁し心通す
一又や見え給と哢ねぬる夜の夢をは申なみの心也
一さきのかみしほちの播磨前司入道也或る御堂開口出家
一以後笹構入道殿其時ハヽ申リヲナシテ入道ト云事ナシ
仍満仲モ号新発一源少納言良清也
一とくい得意也三日人ト云心也呼良清父モ播磨守ナリ
三便也一いぬる一日の日の三月一日上巳の事也
ハウヘシ給シ日ヨリノ雨風也一夢をしんして
伝説等故事不可然計一停の遣しり
呼上の詞に有之遠慮アリ十三ん一うつゝの人の
いたに猶くるし花守ウツヽハヨノ子ノ人也ナフサリヨ
ノツネノ人ナリ共神ノタスケヲソムカンハクルシカルヘシイハン
や我身の有様はかなき事共を見申つめたる事になり
テハ世ニシタカフヘキハヨウント也一はかなき事をも
かつみつゝ辛苦の事共有三也一我よりよはひまさ
り呼官モ高ク又年齢マサリタル人ニ可申スル事
コント也一しりそきてとかなし孝経四不退有各
一あとの名ほはふくとも首河ニハフクハトツクロツロワン
申へりみル心と一うれしき釣舟をなん
波にのみぬれにし物を吹風のたよりうれしき海土の釣舟
一れいの風前ニアやシナ風ホソラ吹トアリ
一重うをさかすへき花むラサウスルナト云カ如シ奥ヲ威ニ
スル也甲一催興ノ心也一秋のたのミ稲トタノム
ト云詞ヲ兼タリ一此はものたちには心やすくおはし
ます後ノ事ヲ先書一のこりのよいひつむへき
秋ことにかり一か稲はつみけれとおいにける身そをき所なき
一月日のひかりを手にえ入道の夢に見シ事夕ヨリ有
一へえいみしき文の詞也
一あさするあまともほこえし気也鈴ホナル日本記
あさりするよさの海七人ほこからし氷風ぬるみ霞たなひく
一おかしときゝをき北山ニテノ物語ニ
一いひしにたかふと一こゝにはかしこまちて入ろにて
ほとふるもおほつかなくもおもほえすいひしにたかふといはしめ
一をこなひさらほひて龍サラホフやせ〳〵ナル躰也
一さうしみ入道ムスの事也一あはとはるかになとの給て
あは地にてあはとはるかにみし月のちかきこよひは北からかも
一あ大とみる躬恒三ツノアハトハ阿波渡也此部ハトミルハ
海の上に淡のやうに淡路嶋のうかヒタル心也哢昔の人の
哀せへト也一かうれうといふてを広陵散は琴ノ秘曲也
一愁康も花陽ノ亭ニシテ神人ニアヒテツタへタル申也此神人
は昔の伶倫の変化也一しはふかひ人只イヤシキ人マテ也甲
一かきなし給へるこゑ心中ノ思ニヨテ心スコカルヘシ
悪者ハ其吟悲ノ心ナリ一入道ひはの法師になりて
一兼感集云琵琶ノ法師ノ有所ニ
一心の緒に思ふ心をしらへつくひきありけ共しる人もなし
昔盲者ノ琵琶ヲ引テアリキシ也一花もみちのさかり
よりも哢定家郷みわたせい尤も紅葉もの哥は是より
よみたるへし一たか門さして
またよひに打きてたゝく水鶏哉たか心さしていれぬなると
一これは女の筝の事也一延喜の御手より
筝比巴ノ伝フ次第ヲ去り一先大王の啼延喜ノ
事也ニくせンワウトアリ一山ふしのひかみゝに松風を
松風を耳なれにたり山ふしはひとをこともわかぬなりけり
一君ことをことゝもきゝ給ましき下ノ句ニテ云へり
心ハ明石女ナトノ上手ニテ源ノシラヘ給フモヨクモ聞マヽ
一あやしうも源利
シキニト也一さがの御つたへにて女五の今或説嵯峨宴
繁子内親王呼女五宮源の物語シ給也嵯峨御門ノ蓋
宮ノ上手ニテンハせシ昔ノ事ヲ語給也
一かきなての心やり焚き撥撫也一あき人の中にてたに
一こゝにひきこめ給へり明石女の引計也
文集ノ琵琶引ハ白楽天左遷メ江州ノ司馬
ニナレル時ノ事也けることきゝはやすトハ楽天ヲイ一リ
一明石入道我女ライヤシキ商人ニタトへテ申給へり上ニハ筝
ノコトヲ云テ是ヨリ明石上ノヒハニモ達シタル由フ申侍シ
タメ商人ノ事ヲ出せり上ヲ結シ下ヲオコス詞也
一哢おま一にめしてもコミキリテ心得ヘシ商人ノ妻ナトノ
一くやうほう三蜜六度行法
引タルヲモキヽハやス人有シト也一いかてたとるにか無事也
ヨク尋シリタリト也一かきつむるヤキアツムル也
一さうのこととりかへて入道にヒ申せント也一代の音ふかう
由音ニシアンスト云ユル声ノ句ヒシ一伊勢の海
一催馬楽伊勢海
イゼノ海キヨキナキサニ塩申イニナノリソヤツマシ貝やヒハン
玉やヒ口ハン浦ナレタルや浦ノ波中ナ風はフウ子トモサミラ波タツ
一酒しゐそつし穀の字愁殺悩殺なとモ詩に作りつよく
人ヲウレヘシメタル心也一うらかなしさに花モウラヤナシトハ
心カナシキト也ウラトハ心ヲ云ウラサヒシナト云モ同心也
一こまのくるミ色のかみヱゝハ高麗ヒクルミ色ハウラハ白ク
一面は薄雪の色なる紙也一かすめし宿入道の等のメカシ
申事也一おもふには
おもふにはしのふる事そまけにける色には出しと思るし物を
一つゝみあまりぬるに哢うれしさを何につゝまむを引
此哥近哥荷
うれしさをむかしは袖につゝみけりこよひは身にもあまりぬとも
一さるは入道ノ返シナリムスメハト云心也
一玉もなとかつけたり
何せんにへたサのみるめを思ひけんおきつ玉もをかつく身にして
トイへル心也啼海辺ニタヨリアリ玉裳ハ後撰ニ黒主ク
哥女の装束を申つけたり裳は女のきすにいふ物也
一せんしかき仰書也一いけせくも心に物を
おもふとや二いのほとや二首同哥人
恋しともまたみぬ人のいひかたみに物のなやましき哉
いひかたみト云詞毛同哥也一このたひはいといたうなよひたる
一先の文はかるみ色也直の返事ヨもアラントスク〳〵シキ
紙也十ヨヒタルトハウツクシキ紙ヲ云ヒ花鳥説
一とうなきをトウテンナキ也一すみつき
一おまえん心のほと呼女ノ身ヲヒケシタ也源ノマタ見モシ
給ハテ弟ナヤミモシ給ハシノ心也又マタミ又傍人ノアツヤイ
ヲ思ランニヽ長またミぬ人明石上我身ヲ一タミ又人迄
一心つけて一せきへたゝりてハスマヨリ此浦ニ移テ
聞へたゝりタルト也一たはふれにくゝも有哉
たふれにくきまくそ恋しき心也
一三月十三日神なりひゝめきスマニテノ雨風時ゟ
一御目わつらひ給て花高に三條院事有
一おほきおとゝうせ給ぬ悪大臣也一みとせをすくさす
流移の人六載にて帰洛又六載にて工るさるゝ事獄令を
花鳥ニアリサレハミトセシタニトノ給へり悪后ノ心也
一よこもりて世に一シラス籠居夕る也
一十三日の月八月十三夜と一あたゝ夜のと
あたゝ夜の月とむとをおなしくは恋れらん人にみせはや
一おもふときみまほしき入口の
おもふとちいさえにゆかん玉津島入江の底にしつむ月影
一秋の夜の月もの駒よ
久かたの月毛の駒を打はやみきぬめとのみ君をし下
一いたき所心ニか事也一海のつらは入道の浜の家也
一一月いれたる真木の戸くちけしきはりをしあけたり
真木の戸をやすらひにこそさゝさらめいかに明ぬる秋の夜ならん
此哥本は引評爰の詞殊勝也定家へも感し給けんトには
一此ニテ此時源ヲ待ムカへ奉ランニ指過タランモ又心ツヤイナカ
ランモイヤミソ有ヘキラケシキハカリ押アケタリト書テ尤
難ナルニや能々可思也一今に物思ひしらん人にこそ
前に哀しれらんの歌を引一ちかき丁のひもにさうのこと
の女ノ少ヒキ入タルニヨリ筝ナトノアルクナル所ノサマ
ソ書タルヘシ一このきゝならしたる瞬事ノ字ヲ琴ニヨソ
ヘタルト聞ナラシタルトハ入道ノアケクレ語シ故也
一むつてをかたり呼愚人と語合十は夢のやうナル身の上の
思ナトモナラサムヘシト也一かう物おほえぬに三ツノ心也
一そひへてせイ大ナリ岬ソヒヘキハやハラカニノミハナクスミタル
一神にや一ちかひしことも
筋ちくふりくり雪は日波の末の松山みすことそみか
わすれしとちかひしことをあやまたはみかさの山の神もことはれ
一なる事につけてもしほくと詞より三の二ツヽケ云リ花鳥開同
一しほ〳〵とまつそながるゝ三品〳〵流るゝ十分水辺に夕まり五尺
一こらなくもおもひける哉是是モウホルヲウラナクモツケテ見へ
一明石上身ヲモシツメント
三時はこえつ物そと一身もなけつへき
思ト有之ヨリ
おなしくは君とならひの池にこそをなけつとも人にいはれめ
一ゑをさま〳〵かき啼紫上ナトノ方へみせ給へりトみユ此絵ヲ
み給はゝ紫ノ返事モ心ことにわゝ又へシサレハ御返事聞へまト
有絵全の時両巻に干は有へ申ス一勘え返事は此国の君の返
事に思召せて云へり又義大やうニ心うへシ絵十トヲ書顔ナル
にもフミン人ノ又哀ナル事ナト有へキ様也ト也紫上ナトノ
事なるへし一年加はりぬ源出京三年メ也
一御薬の事御悩の事也一当代の御子は右大臣の御む
すめ
ヒケ黒ノ
イモウト
承香殿ノ女御一はふゝかす浮将ト云ヲチアル也
一少納言しるへしてきこえ山にテノ物語さゝめきあへ
るは人の云ラ良清か聞也哢
一しほやく焼かすかに折さて此浦ヲ別様へき秋の哀共ウ
書ル也サレハミシツクシノ巻ニ夕煙ナトヽ書ルハ此時ノ事ヲ心ニ
シメ計シナルヘシ一かきつめたあさのたくものおもひにも
カキアツメテレ思火ニヨス一ひとことをたに一言に琴ヲかせたり
一ねたき音了哢子タキ子トハ心モトマリイカニノ少なアル心
にや一あふまたのかたみに地きる中のをの
筝は中のホソ緒の十と云へる呼の説留
一この音たかいぬさきにやヤキト云いも
一手へつかとまやもしかへるかたにや住むシ蓬屋ヲ
モアラシテウキ波ノカヘル方ニ身ヲ多クヘントハ恨タル心ニ
ヨメリトヲ化鳥ニ有私身ラシツメント云ワル海ニ入子ナト前ニ云ヘル
モ同心ナルムレ呼身ヲモステント云ルニや一うちおもひけるまた
唾身ヲタクヘマシトヨメルハ折フシ切ナル思ヲ忍ヒアヘメ心也
一みそひつ御衣櫃也一しほと重し五けゝ也
一かたみにそかふへかりける又キカへテ形見ニトメ給ハント也
一心のやみにいとゝまとひぬへく人のおやのいはやみに
一身のうきをもとにて生得也一いとゝほけゝれて
一ホレタル也ホウケナト世俗ニ云カ如シ一行道するものハ
哢入ろにし一御くしのすこしへかれ
時ハナト云廻
髪ノ落ホソリタル也一身をい思ハす
わすゝるゝ身をは思はすちかひてし人の家もおとも名た
一かつみるまゝ啼カクミル也昔ハ此詞ヲ申クト用也
一ほともなくもとのくらゐに配流人人召還ノ後六載出身
ノ本位ニ叙ストハ最初ノ位ヨリ更ニ叙スル法也但三位
巳上ヲハ奏門メ別勅ヲウクレハ時々シタカイテ定ラス是ニヨ
りて源氏の君は最初出身の位にはなり給はて此程の官位
ニカヘリ給ト云也此間ノ位ハ参議ノ大将ナレハ則其位ニアラ
タマリテヤカテ権大納言ニア申給也
一かすより外の権大納言職員令云大納言二人迄人々文
コトクナウハ二人ノ外ハ数ヨリ外ナレハ権ノ字ヲクハフヘキシ
一寛平遺誡云大納言勿過権正三人よく遺戒ノ心ナラハ
四人に及はゝ数の外なへしさたマしる官の外をハイツレモ権ノ
一字を加へキにより源氏モ権大納言トイハレ給也中此ヨリハ
大納言は正一人権十人になれり弾正の外の権に成給へる也
此外花鳥の義同一しつみうらふれ或説には右なひたらふれ
ウラフレトハナツミウレヘタル心也哢シナヘノ注物思ナツ事
也ヒルノコハ三年トイハンタメ也一宮はしらめくりあひける
太神宮の造替の事を古抄共にはこきたレトソレハサ一年を
ヘテ作カヘラシテ侍レハアマリニ久シキタトヘニや是ハ只メクリアフ
ト云詞詮要シカラハ日本記ニ伊弉諾伊弉冉天ノ御柱ヲメ
かり一ツ面ニアヒ給フ事アレハ其ヲ宮柱メクリアフト申侍ル
ヘキシ蛭ノ子ノ足タヽ又ナトモ其わせアルやウニンホへ侍り八
尋殿ヲタテヽ同レ宮共ニ住給フトイヘハ宮柱トイハン事相
違州可シ申ニや一院の御ために御八講源ノ御預也
一かれたる木の春に寒灰更煖枯樹復栄続日本記
昔周公勤二旁ヤ王家一惟予幼人ヲラレ及レ及ルニ今天動ノ威以彰ス固云々徳ヲ義二雷風之感八惟明二
一東宮をみたてまつり此時十一歳に成給十歳私同公之至徳也
一なけきつゝあかしの浦に朝霧のたつやと人を思かやると
花タツヤトハ明石ヨリ京へ立やト此説宗祇不用私十ケキアナシ
同
タルヤノ朝霧立テ所ノサマモイカント人ヲ思ヤルトニヤ
一啼アカストヨ世タリ朝霧ノタツヤナト思モスム人ノウムラン
程ヲ思やル心ナルヘシ一かの師のむすめ大貮ノ事也
問云大宰帥ヲ大弐ノ兼テ任スル事不足一巻一人大二師兼スル事ナキ
親王ノ帥ニ任スル時大弐浦ノ蔵ヲ行フ故ニ師モイ一ル也
一あいなうアチキナフ也
一物おもひさめぬる啼源帰意ニヨテ物思サムルト也
一まくなきつくらせ十五ケ一也呼目ヲクハセシタル体也又花等決と
一かへりてはかことやをまし啼カコチやせマシノ心也カコツヤユト横ノ
相通也又所ニコルヘシ
名哥源廿七歳帰京
澪漂
一次年廿八歳至十一月
ルセヲモムイテミツニフンハツハウワツタイ
流湯投幟砂氾朝乾
一瀧水行出也俎立切文医第四十一日
南勅財
一神な月に御八講し給ふ寛平元年九月二古院光孝ヲ
夢ニ見給テ御八講ヲコナハレシ事アリゾレ等此物語何事モ如此
例有之事ヲ思テ書ルナリ一物のむくひ有ねへく
悪事はムクイ見事十レハ也一おほかたの世の人もあいなく
うれしき啼一カタニ思フアイナクト云へルニヤ一大言皇太后
宮古へし前巻に大后卜にて一あひなく無変
一かいなきさまなからも心のとかに朱雀院御イン居有テ悪后ニ
ノトカニミヱ計ハン也一坊には承青殿のみに承音は左大臣ノ
御女長須黒ノイモウト也一源氏大納言内大臣になり給ぬかす
さたまはてくつろく所なにけれはくはゝり給なりけり
若大納言数サタマリテ正ニナリ給ハン所ナクテ権ヨリ内大臣ニ
一成給くはゝるとは権大納言にて内大臣うけたる也さて又やかて
一摘政シ給へき定こる事三ケキ職ハイヤヽトテ致仕大
臣ヲナレ給也呼数さた申下て一切救トハ左右ノ大臣ノ事也
一依無闕左右外に内大臣の官をくさるゝ心也
一ちしのおとゝ摂政し給ふ也。天皇御元服ノ後モイマタ幼主〳〵
摂政ト
一時ハ是ヲ復辟ノ表ヲタテマツリテ君ニ改ヲ申ヘシ奉テ後ハ
摂政をあらためて開白と称す冷泉院十一にて御元眼を
て則御位につき給ふ大子元服の後受禅の時横政の例は
一清和貞観六年御元服アリ同八年九月忠仁公良房摂政ノ詔ヲ
蒙ル此例ニ准スル也六十三ノ年齢ナト忠仁公ノ例ニタカハサル事也
牌一勘忠仁公良房摂政の例も六十三の年齢なと不相違也
一人のくにも時ふり世中しつまらぬ折は漢高祖戚夫人
一ヲ寵セシニよりテ趙王如意ヲ大手ニタテカヘントせシ時呂太后
ンソレウレヘテ張良ニカハリ事ヲトハレシニ張良カ云シニマヽ
かせて四皓をめしテ是らツレテ高祖ノ前ニ朝シ給三火
高祖大ニヲトロキテ羽翼已ニナルトノ給テ恵帝ヲモトノ
一ヽニ太子ニテウヘラレサリシ事ヲ云也一匁かきこうたひし
人紅梅ノヲト也柏木モ昇進ヲルヘシ弟ノ事ヲ云ニテ
シルヘシ一大とのはらのわか君夕務也中頃ヨリ大閤ヲ大殿ト云
ならはし侍レは昔は必シモ定サル事也摂政太政大臣の人を
一世人ヲモクメ大殿トイハン事難アルへ中ニアラス大臣ヲホ殿
と云義にはアラサル也呼大閤をオホ殿ト云太政大臣をモ云へシさ
花大臣ヲモ云云々一禅ニ一切ニ云イツレニモ通用シタル詞也
○四皓東園出夏黄公南里先生綺里李已上隠二商山一
一院入御せうふんミソウトヨム
一東なる宮東院卜号ス一すくえうに御子三人
若紫ニ宿曜師勘事也一なかのおとりは太政大臣にて
一時御門后ニアハせテ中ノントト云一リ夕霧左大臣十レ共末ニ
太政大臣ニモ成給へキ也花鳥ニミユ草子ノ心ヲモシロシトて
御説言
天位に
一みつからいもてはなれ給へるすちはさらにあるまし
ツキ玉ツ
ヘキトハ
ノ原モ曜ノ如クアルヘキ也此説ミツカフモト云ニ叶ヘリミツカフハヨキヒトニハ
源氏
ウホサメ
一いま行ま行春のあらましことアカシノ姫君后ニト也
ト也
一宣旨のむすめ重旨ノ名ハ今は掃政家ニアリ昔ハ院十二
モ此名アルヘシ御形ノ宣旨ナト云名集ノ中ニモアリ
一悪まきれておはしまいたり明石へクタス乳母ノ所へヲハシ色
姫君ヲ切ニシ給心也一さすかにおほきなる所の
父ノ家古へシ一いたしとおほす夫給也哢
一いよ〳〵いたはしうおそろしきまた呼明石文御ヲアタシケナク是
一さこそあなれあやしうねちけたるわさなりや
世ノナライサコソアレト云詞也子チテタル爰ニテハアチマチ物ノ
タカイタル心トミヱタリ一そよたかならはしにか
源ノ詞也此国ノ思ハスニ物ヱンヘ給ハタアナラハシニカト也呼
一年頃あかす恋しと思紫上ノ心也
一ひか北え僻心得也一あはれなりし夕の煙明石巻ノ
此たひは立わかる共ノ哥ナトノ事也一おもふとちなひくかたには
煙はらなし方にナヒカンの哥を源カタリ給ニより此女を恨テ
こみ給シ一誰により世をうみ山に紫上を思ユへニヨリ世ヲ
ノヤレナトモシ給ハテサマ〳〵ウキシツミ又レト也
一命こそかなひかたかへい
いのちたに心にかなふ物ならはノ哥ヲ引心は今日関モ三ク
又ニヨリ人ヲ恨シ命夕ニナクハ恨大共心中ニミヱント也
はかなき事にて人にいをかれしと思ふきゝひとつゆへそやトは命
ヲシテス故ニ思ナリ命長クハ当理ハ心ヲク共ツヰニ見ヱント也
一かのすくれたりけんもねたきにや明石上筝の上語給古
ヘシ一五月五日そいかには五十日ノ祝也三月十六日より当ル也
一なにこともいかにかひある都ニテアフは迄
一わか御すくせも此ことにつけてそかたほなりけりと
一源を昔相人なと申しゝ御宿世此女君田舎にて誕生なる事
一疵ナリト云心也一うみ松やたともなき海辺松左へシ不変〳〵
枕詞也云ルト云説誤也海松私名ニミルノ名也
〽おほつかなけへは子日かあまなくは海松をこそひくへかりけれ
一いはほの中たつぬるか山スミナト心申ケタル人フタツ子トル也
いかなえんいはほの中に
一哀かうこそ乳母心一かすならぬ見しさかへれ
いかに数ならぬ身トツゝケ五十日ヲソへタリ早下ノ心也
父君モラハシマサス〆五十日ナト祝事也一思むすほゝれ
明石の上文哀也望にしろやすくトハ源ヨリノ文ニ
思ヒタチ給ひねさり共うしろめたき事はよもと見三ツウ
ケテ命ハカナクナル共ウシロヤスク見給ヘツクワサモ卑ト也
一浦よりを地にこく母の
みくさのゝるよりをちに漕舟の我をはこそそへたてつめ申
一く升なたにおとろかさすは源ラ月ニタトへタリ早下ノ心也
一空なかめそ次摩巻ツヰニスムヘキ月影ノ哥也
一なとてたくひありしと花敷里心ニ源ノシソミ給シヲ一身の
一ヤウナト歎ケンウキ身ハカクテモ対面ハカタシト也
一一さる人のうしろみ味五節ナトやウク人ヲツトヘテ一然人ウム申へ
タラハ其人ノウシ口ミニトウ愛也
一かの院のつくりさま東院也呼二條院ニハントルへキソ
作廿一ニコツテ中〳〵み所即ち一よしある受領なとを
えりてあて〳〵に受領ニ人ヲ申ナシテ其功ニ殿ニ門ニ
ナトヲアテヽツクラスル事也造内裏ナトノ時モ如此有
事也花哢モトヨアルノ受領ナトニ仰テ造ラせラル也
一こりすまにたちかへり又もなき名を引
一このおとゝのとの井所はむかしのしけいさ也
なしつほに春言候はおはしませい源氏ノ直房は桐壺也
哢一勘束宮は別殿にわハシマスによりて眼陽舎にてはし一色
イツクニテモ便宜ニシタカヘシ淑景舎相益昭陽舎梨隆
以上東也一入道后宮御位を又あらため給へきならねは
太上天皇に啼尽になり給シかは皇太后十下に成給へまなら
子ハ也河海本朝太上天皇ハ持統ヨリハシマル女帝也
薄雲の女院の尊号は持統天皇の例名た等女院若は
御位につけ給はて院に成給フ小一条院なとをは太上天皇の尊
号トハ申侍ラス但封戸年官年爵ナトハ差異モナケレハ
ナスラフルトハ申侍ル也御封トハ封戸也三宮ハ各千五百戸
なるを太上天皇に十スラへテ二千戸給り玉フ也院司ハ女院力
タノ事ツカサトル判官代主典代ナトシ三宮ハ大皇大后宮
皇大后宮皇后宮一おとゝいことにふれて
一啼悪后は源氏をわからス思行へ共源氏はかへりての后に心よ
せつま一つり給て一世人もやすからす悪后の心う世人の
コアラス思へル也源ノ心兼給ヲミルニヨテ也源氏ノ姓ミユタリ
一兵部卿の言しなへたの女にはあまねく啼源大申夕の
人には左遷の時の恨をみせ給はス兵部卿へ恨らみせ給は
紫上ノ故ニモ理ラサゲ又性ヲミせ給古へシ
一権中納々の御むすめ弘政殿十二歳八月内へ可かり行也
一兵部卿三その中の君しおとゝは人よりも源人に人二十
り給へ共ヲホサ又也一去年ことしさいゝ事有て明石上懐
妊によりて参詣懈怠也一その秋すみよしにまうて給
一時源氏廿八ノ秋シ御堂開日例ニや同時ノ事ヲモ六リ
一楽人十つゝなと十列トは東遊の舞人十人馬ニ乗テ
アラスリト云物ヲヰテ神社ノ行幸開日ノ賀茂春日詣
ナト召具シテ社頭ニテ拍子ナト舞テ其得馬場ニテ馬
ヲハスル事有コノツネハ左右近ノ官人是ラツトム八幡
臨時祭十トには殿上の雲客舞人タリ源氏の恩住
吉マツテニモ楽人十列ヲ具シ給へるナルヘシ
一六位の中にも蔵人はあを色六位蔵人は麹庵の袍
ヲ着スルヲ青色ト云囁一動麹塵フ青色ト云今モ
極臈の蔵人は着也一右近のそうもゆけいになり
一稗一弐六位蔵人にテ五ケイノ尉をカネタル也
一すいしんくしたる蔵人随人ヲアツフ事ナルヘシ随人ハ蔵
人ニシタカフナルヘシ一よしきよもおなしすけにて
右衛門佐古へシ同トハ前ノ工ケイノ蔵人ノ事一切延厨
一佐は赤衣を着ス五位共人也三事カケタル五位蔵人は
今モ規模ニ申事也ラナシトハ氷門助ノ事也
一かはらのおとゝの御れ計をまねひてわらはすいしん申
みつらゆひむらさきすそこのもとゆひ花長徳二年八月九
日御堂殿
大臣
于時左
辞左大将同日以童六人為随人
三年十月九日勅賜左右近衛府生各一人近衛各三人
為随身但停童子ニて今案量随身ミツラエヒテ此資
ソコノモトユイスル由ハ見ヱタレト其装束ノ色所見ナ
シ水干タルヘシ哉カリキ又タル哉随身トイへは弓やナイヤ
負へ中ニ哉イツレモタシカナル礼拠ヲ見侍ラス御堂殿ハ六人ト
みヱタリ是には十人と有哢或説忠仁公白河に住給を河原
大臣ト号スにて一禅御説建仁公様童随身の事無所
見て又融公童随身給事国史十分ニモシけスサレト
モ成此事注世又事モ有ヘシ此物語ニ書ルハ即支証共ナルヘシ
一禅御程一大殿いらのわか君夕霧八歳也源廿一歳にて生
一行へり一雲井はるかに人の行給と申事を云一り
一すみよしの松こそ呼先也松にわソへタリ神代ノ事トハ古キ
事と也須磨明石渡シ時の事也惟光共へし一あかしの舟し
きこゆれは惟光申也一なにはの御はらへ七瀬に
代始に八十嶋祭は難波にテアリ只侍の人御衣を持て前向
シテ解除スル事有是皆誰段ノハラヘノ例也呼一勘七瀬ノ
一御祓今の世にも毎月ある事也近所の七瀬遠所の七瀬と
云事アリ一ほり江のわたり仁徳御時ハシメテ按ル川也
一いまはたおなし
侘ぬれは今はたおなし
此つ文字御祝にモ細にモ清也
一つかみしかき筆旅店筆也一みおつくしむふる
色三のモツモシ濁一田みのゝ嶋にみわき明石上御祓也
一さはらへの物に付て哢木綿に付夕候へシ
一なと見をつくしツモジ清
一夕塩みちて
難波かたしほみちくえしあま衣田みのゝ島にたつ侍わたる
名には難波をこせたり昔に似たるは須摩の事也
一露けるのむかしにたるしたみのゝ嶋の
雨によりたみのゝ島をきて
一あそひともの遊女十ト也一いてやおしき事も源人を
一をのか心をやりて遊女共の体也一又の日そよろし吉日也
一しまこきはなれ
今はとて嶋こきはなれ行舟のひれふる袖をみかそかなしき
一まことや彼斎く郷も冷泉院御位につき給て又斎院申ハリタチ
給へは六條斎宮は御息所共ニノホリ所也一むかしたにつれ
なかりし六条御息所の事也一かけ〳〵しき
長馬
空す
契ヲカクル事ハアラテ一いとかたき事まことに打たのむべき
六御息所詞也併源ハタノモシケニノ給へ共世間ノナライ
ハサモ有カタキ事ナリト也一あいなくもの給哉
アチキナク也一ひちいかに土近と云ケスチヤキも也
古院ノコト
さへの
おなし
呼人チ申キ心也一古院のみこたち源兄弟ノ事也
みきち
のうちに
一おなしみこたちの内に秋好ヲ桐壺ノ御子ノ様ニ也
一あつかふ人もなけれハ源ノ御子モ申マタナキ心也
一いとたのもしけに年ころの御心はへまりかへしつへう
源ノ心う恨思し人モト也一御右やうしんにて源事也
一寒色のかみのクモラハシキハニヒ色ノ心アリ一我身それと意
ミソレヲいへタリ一ひといりなれど女中の人も清濁両義濁
テモ我聞ヱタル也一さう〳〵しきにトハ御公スメナト源ニスク
ナキ事也一御いきまをうれへきこえあへり人々追々申せ
シルシナキヲ源ヘウンへ申也一一の人しれす思ふかたのましらひ
内へマイラセンノ心也一いもうとの言たち朱雀ノ御妹宮多千也
一うへはいとあつしう朱雀の御事也一かの御ゆいえをかく
ちてもコツケテ也一とさまかうさまに思ひる給へのこすことな
きに源詞也哢秋好泰内ノ事一ト様ヤフ様思様ニ
コチヤク色々ノ心申マヘラシ給ヒ
一さはりの心かまへもまねひ只八アリは親サマ二千ツも
一こゝにわたし二條院へヒ一女君にも紫上也一ひまあるさ
中中アシき
一宮の中の君兵部卿
中中わき一大殿の御子にて開中納言の女三才ホチ
大臣ノ御子ニナシ給ヒ常ノ説ハ権中納候ハ当代又ナキ大臣ノ
沽子ナレハ弘徽殿ヲヨソラシクシ給也只レヽラホキラトヽナレ共
申ク云へり大殿ハ大臣ヲ通シ云ヨシ呼花ニミユ
一いとあつしく呼入道空の事は
一
薄雲太上天皇事
中宮ヲ辞シ給見此以後ハ中宮ニテハウハシマスヘカラサル也
後マテ中宮ト申タりめぬ
陽明門院誕生長和二七月皇女に献御太刀を栄花物語第十一
さはかしいつしかともてまいれり
蓬生
一名詞哥横並也源廿七八歳の事アリ
一もしほたれつゝわひ給ひし比をひ源左医ノ事
わくらはにとふ人あらはすきるにもしほたれつゝわふとすかへよ
一竹のこの世のみきふしを瞬この世トイントテ竹ノト置タル
ヲモシロシ花薄雲ノ女院ハ東宮ヲモチ給テナラサミ竹ヲ云ニや
今さらに何おひ出え竹のこのうきふしゝけき世とはしらすや
一ひたちの寒の君末橋也上ノ詞共は末橋事イントテ先人々
ノ事ヲ云へり一おほりの星の光をたらひの水にうつしたる
一七夕祭に手洗の水を庭上にうきて星の光をウツシテミル
事也一さるかたにありつきたりしあなた物サヒシクテ
有し時は中〳〵也源折〳〵立より行テ左遷以役絶様也
一みなつき〴〵に付々
一きつねのすみかにこふくろうのこゑを
梟鳴二松桂枝一狐歳二蘭菊叢一ト云一ル詩ノ心ニヤマヘリ
此時モ荒タル所ノ心也松桂蘭菊菊梟狐ナトノスヘキニハアマヌシキ
一こたまなと木玉も樹神也されはかたチをまらはしと云り
一あないみしや人のきゝ思はん呼末橋ノ性也一さるものえうじて
孝御花には用也
牧湯物ヱラヒ也
一わさとその人の人にせさせ給へる呼
調度共を物の上手共の名に見にシかせ給へ候事を聞つからけ
一人の所望スル也一そこそはソレコソハン
一おなしき法師と木法野下云説下幽玄同三キ法師ノ
中ニモトシ一あけまき総角童名也
一ぬす人なといふ賊員家ヲウタスト云心ニ叶へリ
一つやかにかいはき貧家浄掃地ト東坡詩ニアリ
一かゝもりはこやのとし唐守蘇姑射刀自荘子
一蘇姑射山イツレモ古物語也一ふくなる
一斉院うせ給ひ誰共ナシ一よろしきわか人ともむ下にしらぬ
所よりは啼末橋の方の女なとの一向にシラす所よりハトテ受
領ノ北方ノモトヘ行カヨフ也花説同也
一ホツムノ侮ノコト
一月よりありつきたくさやうのなみ〳〵の人は本性品タ申三ス
人ナトハ中〳〵思アアル也此ヲハ君ハソチフレヌヘキ宿世ニやいナウ〳〵敷也
一この侍経も末ツムノトノチ也一こともいつ詞をヨクイヒナスン
一やふはら
ヤフハラ長
ヤフワラ空
一うけひらケイアシク云也
一さるほとにけに世中にゆるされ給てケニトハウハノ云シ如クノ心也
一と出る春に
岩そゝくたるみの上のさはらひのも出る春になりにける哉
一たびしかはら類聚ニ山カツタヒシカハラマテモト云ゝ民氏河窟
タミ也ミトヒト同音せミ世ヒト云カ如シ河原ハヱタン紫明ニ
渡守網引ト注せり啼イやシキ人々マテノ心也長説多ミノ
かはらたいしと云本モアリたミしかいら二也舟渡スモノ也
一我叫ひとつのためになれるか世中はむかしよちやきかり見
一仏ひしりもつみかろきをそ如是人難度ノ心アり哢
一世のうき時はみえぬ山路を
世のうきめみえぬ山ちへいらんにはおもふ人こそほたしなりけれ
一我身はうくてかくわすられたるにこそ只末橋の身の身ノウキ果報に
テ忘ラレユルト親シ給ヒ一かきつかたなくトリツトリツトン方ナキ也
此時分明石の巻の冬也彼巻には御八鍍の沙汰あり又
源任大臣は明年二月也此巻禅師君の詞にも権大納言
一殿ノ御八講ト云へり是横ノ並ノ義也一故院の御れの御八
講ミヲツクシノ巻ニスヽシ八講也同時ナルヘシ十月ハアリノ王
一かならすらたる跡あなるみつの道三径は門井厠へノ三也
煩売
一ついえたれとヲ下口へタル躰シ一とりかへつへう侍経ヲ末橋ニ
一大将殿なとおはしかよふ源此時は大将ラサリ給へケレト女房ノ
云付夕る事ヲ云也花一やふはら公と云ムいらにはアラスス
一なかにみ給ふる下は両方に道理アりト也
一忍ひたきこゆトハソハ君ニハヽカル也一文なれ衣もしほ
なれたれは
すゝか河伊勢松のあまの捨衣しほなれたりと人やみると
一くのゑかう焼物也一こまゝの侍徒カ母也をなき物のメメノト
ヲハマト名付ヒ一玉かつら田舎へ行人ニ申ツラトラスル
トテ
君かためなてしもしるく此さひの手向の神となるそかなしき
手向神は道祖神也旅行人に又サ十分送此神手廻昔
皇帝四十余人ノ子の中に最末の子旅行の遊を好て最不
留宮中とて遂ニ羇遊ノ道にて死ス其時撰云吾為神
行客ヲ守ルヘシト云ヒ昔ノ名ヲ遊子ト号ス其霊ツヰニ神ト
ナレリ道祖神也世俗にはサへの神共又手向神共号スト也
一玉かつゝたえても一をのか見ゝにつけたる身々し
重つりこし心もあかて玉かつゝ手向の神となるそうれしき
一こしの日山おもひやらるゝ雪の内に
雲の井くちしの日山おいにけりおほとのなみの雪につゝ
呼住吉物語に云かひのしらね思ひやらるゝ十ト書ル此類也
一年かはりぬ源廿八歳一藤のし風につきてさと匂へる
人もなき宿にゝほへる故の花風ものみこそなひくへらなれ
晤引哥マテモナシ一たち花にはかはりて花梅にテ又フカシトし
花チル里へ出給太ノ事十一は梅にはカハリテト云一り
一なき人をこふる
ひめもすにふる春雨やいにしへをなふることのしつくなると
引哥ナクテモら嘲哢此哥は感乱折ニテ哀也
一ねひすきたれと一うろやすくをといへは狐ヤトアや三ム
ニ付テ也又源ノ心カハリナキ由ノ詞也
一一ゆへあるさせうそこもかる時は一ツ五の十分ヨミ入テ返事ナト
有テ後ニ入給ハヽヱンナルヘキウト也哢
一たつねても我こそとはめ哢哥のヨミカハシ給事モナキハスへ事
様ナレハヒトリコチ給心ヲモシロシ一みかささふら重に
木の下露は
みさふらひみかさと申せ
哢只今の露のシケサはケに宮城野のやわかなりト也
一むて無徳一杉ならぬ木たちの我いほは三輪の山
もと杉は尋ルシルシ也哢一いひしにたかふ
いとゝこそまさりにまされつすれしといひしにたかふことのつゝさは
一引うへしならねと松の木たかく
引うへし人はむへこうおいにけれ松の木たかくなりにける哉
開此辺ノ松ハ載シニハアラ千ト木高クナリタルヲ驚キ給フ
一藤波のうちすきかたく松ナラ又木立ト云ヨリコメリ
一ひなの別におとろへしおもひきや
一塔こほちたる人も昔女貞女ナリシカクラテアレハ人ノウタ
カイモ有トテ塔ノ壁ヲコホチテ焼アセシタリトシ
丁こほちたる共アリ河顔叔子カ事トた花顔叔子は男也
カツラノ中納言ノ物語ニ有丁コホツ也マコトシキ女ノ事也ニ候
未一決てて卑畢竟シホウナル人ノ事ナルへシ河内本丁トアリ
一めうつしこよなからぬにとかおほうかくれにて
啼花敷里の家のサマも花やからふ所なれは末橋の宮の窓
タルモ目ラツシコトノ外ナラヌトシ一まつり御禊賀茂祭
一弁院御禊也一二年はかり此ふる宮に是よりは物語の家に
以後事をつさてに載たる詞也呼此詞にて一両年ウツル
ヘシ一大弐の北のかたのほりて甲年ノウツルに三工
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
日本記
追恐
名詞竪シ源廿八歳澪操ハ八月マテ此巻ハ九月
問屋
石山詣也
一暉此巻横ノ並ル源氏廿八歳ノ九月マテシシツクシノ末廿八歳十一
月マテノ事有之蓬生は卯月比マテ見ユ仍此巻横ん
一伊与介といひしは古権かくれさせ給て又の年平源次まへ
赴給シ前ノ年常陸に成テ下シシ一つくはねの山を吹こす
風もうきたる心地して甲斐ナクハ根コシ山コス風ニコトツテン
タアリ又ゝ常陸ナレハウキタルト云ヘリ
長説祇公伝不可有異説
暉説少相遣ナリ
甲斐か根をねこし山こし吹風の
一裏にかへり給て又の年そ噺一任四ケ年にテ五年大ニ
ノホル也源氏ハ須磨へ下給テ都合三年ニテノホリ給へり其前ノ
年々タリタレハ今五年五ニノホルヘシ一石山に御願はたしに
聖武天皇御宇金鷲仙人建立にて一あはた山する
とて哥マテモ十キは
あはた山こゆともこほと思へとも猶あふさかははれかりけり
一開山にみなおりゐて
一関山の峯の杉むらすきゆけとあふみは猶そはるけかりて
今はヒ申サルと一車ともかきおろし牛ラハツシテ轅ヲ
才口ス也瞬一斉言の御くたり何そやうの
一呼伊勢斎宮賀をナトノ事ヲ思へり
一色〳〵のあをのつき〳〵しきぬひ物くゝちそめ
狩襖ハヌイ物ヲモかゝり染シモスル也又織物ヲモ用ル也
一本ひものくゝり染のさまもと有旅装束也
一けふの御関むかへは源石山詣ヲ開く申へト仰ナス也
一行とくとし元しり給はしかしとは空蝉心中に思つ
哥十レハ也一右近のそうとけて解官也官を申へスナリ
一一日は地きりしられしを文詞也一わくらはに行あふ
一呼シホナラ又海トハミル五ナキト云心ヲヨメリ
一開守のさも常陸ヲ相坂ノ関守ニナスラへ云也
一あふさかの関やいかなり屋ノ字ノ心不用テニハノや也
一のこしをく玉しゐもかな
子のためにのこす家をえてしかなおいてさきたつくゐなかりへく
名詞源介歳三月ノ比シ廿九歳千計不見ミラツクシト此
絵合
巻ノ間一年見へシ
一後拾遺集の詞に正子内親王絵合の事三工タリ扇合双紙合
哥を以て詮要とせり斎寒女御卜弘徽殿女御有絵合
一前麻二そのさまいりの事斎言は第二歳御門十三歳也
一中二合薄雲時一切毛と中宮にテマシ〳〵ケル故に申候は去ル
ナリ一とりたてたる源や一御ぐしのはこ打えたりの
はこかういのはゝ櫛箱中箱香壷箱うチミタリ
の箱のこたの上にては髪をケつる時打ミタシ侍レハ芦ノ名
トせルじは一くさ〴〵種々一百市の遠ク薫衣
香の勺フ也一とゝのへさせ給へり朱雀より
一かくなんと女別当秋好へみせ申也一さしくしのはこ
サシクシ也瞬一神斎云々ノ額ニサシ給ヘキ故ニサシクシトハ云一リ
一心吹掻櫛ノ苔金銀ノ蒔絵ノ草方四寸松ノ折枝鶴等
を蒔也天暦三ノ子藤花宴御膳折数心葉藤宅ニて近代
此前物折敷の四角にイト金にて松の枝を〆糸にて葉の葉をム
スヒテツルナト作テタツル事アリ是心葉ノ由也今サシ様ノ
箱ニモ金ニテ花ヲ作テソヘタルヲ云ヘシ此事梅ク枝ノ巻ニモ
アリ拾遺ニ銀折敷各一枚ムスヒフクロヲやルトテ
あさからぬ契りむすへるにはゝ手向の神そしかへかりける
一別路にそへしをぐしを朱雀ささか京におモム申給フナト
の給て別の櫛を指給ひ其にかこつけて神やはるけき中に
ナシ釘フトシ斎言ヲ朱雀院御心ニ籠給也
一おとゝこれをさらんしつけて此種々ノ御音信の義を大力夕
見給也哥ナト見給ナルへカラス呼一かゝるたかひめ
秋好冷泉へ参給事朱雀の御心一とはかり時日本記
一又御せうそこ朱雀ヨリノ一いにしへおほし出る
一大極取にての事也其時朱雀廿五歳一わかるとてはるかに一
一一さゝやかにあへかなりアヱカトヨム
ことも一言トハフタ度京へヲモムキ給十トノ給事也
かへりて物はいまそかなしき祝言にシ事十レ共也
一一内ハまたいはけなく囁此巻ハミヲツクシノ巻ノ次年ニハ非ス
三年五十ルへシ一にくきことをさへ衣言のやかはア
リテ也冷へ参候事思ハシカラスヤト也呼
一すりの宰相参銭修理太夫入内奉行与一さうえあらぬ
世ノ人はサやウニやサシキ事アリカタヲントシ一こき殿
一致仕大臣女也一権中納言おもふ心后ニモト也
速清ノツモ
一すが〳〵とも
空酒
長清
一みたてまつり給まゝに
連々ノ様ニヲシハアリタル也見タルニハアラス哢
一ゑを望うある物に主上ノ御事一いましめて
カタク四申タメナトスル也一月なみのゑ十二月ノ絵也一切
年中行事絵十トノ云ヘシ一ひめて秘メナリ
一この御かたにもてわたらせ秋好方へ也一殿にふるきも
二條院也一長恨歌王昭君しことのいみ楊貴妃は
馬鬼ニウシ十ハレ王眼君ハ夷狄ニトツケリ一旅の御日記
の箱す可申かしく日記迄菅家宰府間事を令記置給
て又後集モ彼時御作也此例共一しゝていまみんたに
一向シラサル人ナリ共数十ルへシ一ひとりゐてなかめしよりは
源ノ絵ヲオソクミせ給ヲ恨テ我ナリ共書テミルヘキ物云ト也
一浦須广巻には女君も書たりとみユサレトモ今も忍給テ書
給へり返歌スキニ三方ニ帰ル涙カ方ヲ潟ニソへタリ
啼波ニいへタリなミた哉ノ心也一物かたり者物語ヲ絵ニ云名也
一いまめはしき実十ラ又方也暉
一おみちらし領也
一いうそく其時ノ下ニタツサハリテ名マル人也
一ひたりみきに絵合は二度アリハシメハ先梅壷ノ御方ニテ
内の御絵に合たり後のは御殿にて梅壷女御卜弘微殿の女御
ノ御絵ニ合給也
左梅壷
右弘徽殿
一梅つほの御かたニは平内侍の
すけ侍徒の内侍天徳ノ歌合には文衣貌侍掌侍命ふ
一十方人タる故に此絵人にモ其例をわつせり一竹とり
梅壷方一うつほコキチン一なよ竹のし
古物語ナリ
神代事ナレハ昔ノ事ヲ云也左竹取翁ハ
右作者不知
ウツホノ物語
源順作にて
十二帖
万葉十六に竹取翁の事あり其は
物語ニ云へルト相遣せり一めをよいねなるらんかし左方の
詞也左の竹衣の事を集めたたきたる也右方よリントシタリシニ
コタヘタルミや一この世の地きりは竹の中に鶯ノ事
竹ノ中ニシヒ。出タレハイヤシカラントシ家のうちはてゝしけ
めと彼卯ヲ持キタレハ家中ヒ申ルト也
一もゝしきのかしこき内裏ヨリメシケルニハ参ラサリシ也
一あへのおほしか安倍多右方ヨリヲトシタル也竹取
物語ニアリカクヤ姫ハ天人ナレハ凡人ニアハシトテ難義
ナル事共ヲ云テ或ハ蓬莱ノ玉ノ枝又ハ火鼠の皮又ハ燕
ノ巣ノ中ナルコヤス貝ナトヲ取テキタラン人ニ逢ヘシト云シ
によて此安倍ノソホシ渡唐ノ舟をもて金銀ヲツクシテ来タル
ウツクシキ皮ヲヱテ姫君ニミせケルニ火ニ入テ心ミルニ即焼
ケリ仍由ナリキ此事ヲ云テシトシタル也神異経口南
方ニ有二大山一長三十里晝夜火風雨ニ不減火中ニ有風
重百斤毛長三尺可為布若不浄火焼レ之即浄号
火洗布也東坡詩江水蚕不知寒火鼠不識暑
一あへなし安倍ナシト云ヨリ詞ハシマルナリ
一くゝも地のみこ是モ申かや姫ノ麸相人也蓬莱ノ難
到事ヲ知ナカラ偽テ行テ尋各由ニテ玉ノ枝ヲ造出
て姫にみせける時玉造たる多くみの来テ禄の末下らせす
ケルニテ仍アラハレテ無曲ヤリキ是モカクや姫ノ絵ヲ
ソシリタル也其時姫ノ哥ニし
まことかときゝてみつれいことのみをかされは玉の枝にそ有ける
一ほうらいのふかき心もしりなから深キハイタリ難キ也多シハ
人ニイツハラレクラモチハ我トタハナル也
一こせのあふみ巨勢相覧者金世子にて金世寛平時人
河海元
為其子則可為貫之同時人
茂
とつ
一明私勘除目成文抄
讃岐少目従八位下巨勢朝臣相覧蓋御公泰二二月除目
空湯
執筆時平公一かんやかみからのきをばいして穴
長清
哢はいして張タル也紙屋ノ人初テ色紙大キ出スト也
カラノキハ唐綺シカラノウス物也
一としかけいはけしき浪風におほれしらぬ国に開十二三
一歳の時造唐使にて波斯国に到り聞二琴声声一琴孝行の者也
一阿修羅琴を造テアタへシ事アリアフツホノ物語トシカナシ
つき物にても口こしへわたさるゝに悪風にアイて波斯国へ行又
一栴檀木の下に琴を引てあいふ処に至て琴らならヒ極てなり
一霜雲とうらせ天地をうこなす日本にかへりて名をわけたる事也
一ならひなしといふ右方ノ人右ウホメテ云也
一きなる玉のちり五色の玉アリ
▢一ゑはつねのりてはみちかせ左衛門少志亀鳥部常則大
天暦江
昼ユン
一正四位下前越岑守様
哢つ子のりろせ
木工頭小野道風
太宰大弐葛信男噂御子ノリ道中村
太宰大貮葛信男
一栄花物語第八屏風ともに
延喜朱雀時代也
御道風こそはしきしかきたれ
一栄花物語第八屏風ともにはためたちつねのりなとか云テ
一左にはそのことはりなし右勝也一伊勢物語に正三位
伊勢物左し正三位右也一平内侍左已一よのつねのあた事
一波やけつへきナミやハシ正三位ノ物語事也此物語と
世に不伝一雲のうへに正三位ノ絵ニアル事ナルへシ哢
兵衛のおほ君又正三位ノ中ノ人ナルヘシ
一在五中将の名をは薄雲の勝とと給也一名をやしつめん
名ヲやハシ一ひと巻に哢結句ノ番肝要トアウソソ也伊勢し
正三位ヨリ彼最末ノ番ノ事也爰マテハ内ト合シ一うへのも
一宮のもかたいしをたに平内ノ卜斎二太トノ事也
麻言下内下て荷一御前にてかちまけさためむと
主上の御前にテト也後ノ番也天徳哥今を撰せり古来物語
一合勝負常例也朱雀院寛平菊合永承六年内裏根合
郁芳門院前載合寛子皇后宮扇合上東門院菊合正子
内親王絵合等也後拾正子内親王絵合し侍けるにかねの
草子にかきて侍ける哥
見わたせは浪のしからみ松けて被ち卯花かける玉川の里
一すまあかしの左遷ノ愁ヲモアラハシ汗ハンノ心有ヘシ哢
一かみゑ昔はき又に書たるを今の世には紙に書を云也
一わりなき窓をあけて明月記に七ケ條の秘決トせり
一浣にも朱雀也又秋好ニシホシハナサ又心ニや
一としのうちの節去年中節絵也
一延喜の御手つからひとの心かゝせ給へるに又わか御世の我は来蔵也
一きんもちか公望
以相壺帝擬延喜事已分明也不及異論也
絵師在河
高名録
采女正巨勢金世総恙子
一えんにすきたるめのはこにおなしき心は艶ニ透タル沈ノ苔
トハ沈ノ草ヲスキタル袋ニ入タルヲ云ニや心葉ニ打タル花枝
を沈の箱に取つへたるにや沈くすかしたる草申共
一かう〳〵しき神々シキ也一身こそかくしめの外朱雀ノ
御哥也神に敷なとあるわりシメノ外なとまみ給へり禁中の
外ト云心と一むかしの御かんさしのはしを折て
衣楊貴妃の皮かンサシヲ半キリテ方士にサツケテ為我謝太上
皇ト云テ旧好ヲタツネシ事ヲ思侍リ朱雀院モ今大正皇
ニテマシマス故也呼髪ノ貝ヲスコシ折テ斎空立給シ時
朱雀院ノサシ給フ昔ト云一リ一神代のことそ
釦ラツヽ色
過にシ方也一はなたのかまくのかみ漂唐紙
一すきにしかたのし哢草子ノ詞也須磨ノウキ目アリシ
事也一院のさゑ后六よりつた是
恵居より伝テコキ殿へそ忝ル也四君腹ナレハ也
一左へきの御ゑ左梅壷右弘徽西向にて北右南左也
一女房のさふらひに台盤所也一こうらうてん御殿の面也
一左はしたむの箱にすわうのみそくしき物にはむらさきの
地のからのにしきう地しきはえひそめのからのき也
一天徳哥合左方洲浜紫檀机蘇方下机歩行地敷
ニ候今案左方絵ハ紫檀ノ箱ニ入テ蘇芳ノ木ニテ
ツクレルケソクニスヱ又下ツクヘ有ヘシ其敷物ハ紫ノヤフ侍シ
打敷は机をすへたる地敷也ソレハ葡萄染のカラの綺し花足は
一机ノ足蕨手ノ神也一わらは六人此時絵十トシタムヘヲ
用也又有故と一ある色にさくらかさねのかさみあこめはくれ
なゐ藤かさねのをり物也哢カサミハ童女ノ上ニキル物也
一水干ノカミノやウナル物也赤色ノウハキニ桜カサネノカ
サミ紅藤カサネハ皆袍也アコメハ二モ三モカサヌル物也藤カ
サ子ハ面ラス紫裏花黄ヲを一右はちんのはこにせん
かうの下つくえうちしきは青地のこまのにしきあし
ゆひのくみ花そくの心はへなと天徳哥合右方洲
浜沈札浅香下札浅繰浮文織物地蔵にて
今葉右方絵は沈の苔に入たり花足ハイマメカシクせラレタル
由ミヱタリ何木ニテツクレルトハミヱスサンカウハ沈ノアサキソ云
下机ヲツクレリ打敷ハ下机ニシケル地敷ノ有地ノコマノ綿也
是ニイノクミハ花是ヲカラミタルクミ也河海ニハ色々ノ糸ニテ
ムスヒタル由シルサレタリヲホツヤナシ是ユイノタミハアハヒムスヒヤア
青母
一わらはあをに柳のかさみこうはいわさねのあこめ
花やマラキ
「款文ニかさね面ウスクチハ裏黄ナルヲ花ヤマウキト云面黄ニ
ウラヤマフキ
裏紅ナルヲウラヤマラキト云哢一動山ふきかさねとアリ当本
花アウニノウハキヒ柳ノカサミ紅梅カサネノアメヲキタル也
河海に云左ノワラハ赤色右あら色は舞の装束にあたトルナリ
今案地敷左はからめき右はこの錦とみみみ是又左は
唐楽右は高麗楽にわ夕トルニや一わらは青色に呼あらせ
はナリやス紫ニアクサシタル色也一本あをにと有アフニナウハ
こき萌黄に黄の一シリタルニ柳は面白く裏もゝら云夏は卯花
ト云也一うへの女房まへしりへとさうそきわた
一このはんつかうまへり給判也
一上ノ女房トハ典侍掌侍等也前は左三リへは右ヲ云是モ
赤色青色をきるにや一かみゑいかきり有て紙をつけて
書タレハキ又ノヤウニモナクタケミシヤクテ也昔ハ絹ニ多分書
シシ上ノ詞ニ中納言モ其心ヲトラス此頃世ニハタヽラモシロキ紙
ヱヲツトヘトアレハカミヱハコキ殿ノトキヱヲ云ニヤ拾遺第九詞云
一廉義公申ミヱニアラ馬ヒケル所トアリ
一あさかれいの御さうしをあけて中宮も朝餉ノ西ノ障子
ソアケテ御簾ヲカケタルへシ
一左なをかすひとつあるはてに哥合に員指トテアル也
天徳ノ三日合には金銀藤枝を刎浜にスへテカスサシノ前ニラク
花ノ枝にテカスラトレルニや呼左方一番の勝ト也いま一番
ナルへキ時天マノ絵出タり一左かつになりぬ
一たくひゆかし未アラント也
一みこに申給へは
天徳哥合左勝也一さいかくといふ物いのちとさいはいと
桐童ノ帝ノ給也論語曰顔回不幸短命死
一ほんさいのかた〳〵の開世ヲ政御事ヲハ能々フシへ給也
花琴碁書登本才文才ハヤリニカキラス・礼楽イツレモ才ノ
本タルル一文才をい源才学等比二嵯峨源氏信公一ニて
一筆と見ちと五うつことゝ碁は東坡モ三不能ノ一ニ云ル
事也遊農囲碁出レ於二智慧一一をれ物もウロカ者也
一家のこの中に高キ家ノ人々ハヨク学シ好一人ハオアリトン
一廿日あまり八シメノ絵合は十日比卜也
一こなたいまた西公事ナレハ也一ふんのさきの
哢書司女の官也和琴をあつつかりとにゝ先和琴をつかさ
ルヨノ楽器ノ事ハタシカニミヱス一勅ヲ以勅召書司一ト称レ唯
一称レ唯トハカシコマリタルトノ心シ万水ニ
一さはいへと絵合こはまけ行へと也
一仰云御手奈良之万為礼書司則取二朽女一名足之
御前にて今案物合の後に心御遊より書司は女官也
一和琴しつやサトルにより和琴もやかて文のツカサト云也クチ又は
一宇多の法師に御やイ各和琴也一はらし給はす御遊に催
馬楽ヲウタ一人拍子ヲ取也助音スルヲハ付歌ト云へり
一みこはみそ別メ禄を給り給也一中宮にさふくはせ給へ
薄雲ノ方ニ也女院ヲ又中二之ト云也留可被下
一上の御いさしはもとよりコキテンノ事
一この御時よりとすゑの人いひつたふへき世ノコトクサニ
延喜天暦ノ聖代ト云ナラハシタリ冷泉院ヲハ天暦ノ御宇ニ
一ナスラへ侍る也絵合の例ニヒケル天徳の御歌合モ此御世ノ
事也一さるへきせちゑ実の事の本しめ又遊事
モン一おと源シ一くらゐたかくのほり世にぬけ
ぬる人の金光明経口独抜而出成仏正覚
孝子経功成名遂冊身退者天之道也
一しつみたりし啼命ト幸トノ事ヲ前ニ云シニ叶へり万事
可思也
一一御たうつくらせ給嵯峨御堂事也松風巻に此春ヨリト
ニて大井ノ里ノ事ヲやウ〳〵イヒイヒイタスヘキタコリニイヘル也
一一すゑのきみたち夕霧も少年也又明石ニモイトナシ
一昔のためしをきくにも史記四大名之下久不居候後従書四位尊
身老ゝ財多命殆文医曰々木秀於林風必摧之行高於衆人
心非之
運命
論
一一乗下豈無シニ三宿ノ悪ナ一彼詩
名詞歌
松風
源卅歳ノ事アリ絵合に同
一東蛇つくりはてゝ二条院の東也蓬生の巻より造行由み工
一しん殿いふたけ給はす源ノ御やスミ所ニト也
〇一むかし母君の御おち中務六日酉御子中務へ懇明親王
山庄在大井川畔号雄蔵殿也此親王ヲ明石ノ上ノ
母君ノ祖父ト云へり長小倉を一一の言より内のおほ
取のつくらせ給御壺絵合の巻に申ヤツ〳〵云出せる御堂は
一楼霞寺に思はへ侍り故に大覚寺の南ニアタリテ
ト下にみヱタリ楼霞舘は左大臣融公ノ山庄也後に寺に
成て楼霞寺と云今の清涼寺の東にあるまみ夕当し
一ナリ清涼寺ト名ハ昔ヨリ有三也貞観七年ノ国史ニ
ミヱタリ清涼寺ト云ハモトヨリ有ケル中に有然別に
一堂ヲ立テ三伝ノ尺処ヲ安置シ奉ルニや
一加郷御なかならひにて□□やケニ私ナト云心みや
一民部大輔君に申給はりて民部大輔伊勢守
事ヲコソへタリ一つなしにくき強顔ト云リ
コレ二二
ソレナシヲ略シタルシ一はちふきいへいハラタツ躰也
撥撫共一券なとは券三ルシー約契也一その
こともいまくはしく法者ニ券ナトモアタフルカ何共此度
サタメンジ一滝殿大覚寺ニントラヌト也
貞観十八年二月廿五日以嵯峨院為大覚寺
楼霞寺にモ龍殿アリ
一おなし庵にもすます入道にもすさす
一みなれそなれてみなれ木のみなれ
一露のかゝらぬたくひ御役露ならぬ心を花にをきなめて
一あり。はてぬ気を
ありはてぬいのちまつまの
一よるひかりけむ玉の史記曰尚有但寸之珠照車前
又印和
玉片
後各十二乗楚王王臣隋侯蛇の病を愈たりしに七寸〳〵
車前後
各十二
玉ヲ含テ夜半テ息ヲ報シケリ隋侯此玉ヲ得テ登
乗ら悲
思王ニ献ス夜中ニ常ニ有光明故名二夜光玉一ト
一もろともに都はいてきし野中のみちに
花イナ野十ト云へトモ只旅中ノサマ也暉タリナキ心也
一いきて又は上ノ身ヲイへリかきりもしらぬは入道ノ命をるへ
一をくりかたにと入道を送りニモトサソヒシナルヘシ
一うしろめたきけしき太ミテモ消又へキ体也
一にくしをかくし哢ヨルノ錦ノ心ニテ云リ一世をてらし
ふるみちに我やまとはんつれたこし野中の草は茂りあひにけり
竹へき入道瑞夢ヲ思テ云へり
一天にむまるゝ人のあやしきみつのみちにかへらむ
一生レ天先堕三途ニ天ニ生ルヽ者アシクシテ三途ニシツル事有
其ニ又其縁ニヒカレテツヰニ一時ニ天ニ生ルヽ事有
一正法念経云天上欲退時心生大菩悩地獄諸吉毒
十六ハ不レ及一又経云果報若尽ニ還テ還テ堕テ堕クフニ一別末
ノ悲深キ事ヲ手本ニ此経文ヲ云習ハせリ呼天人ノタトヘヲ
一云一り一さらぬ別に一かたへつゝわけんも舟路ト車ト
世中にさらぬ別の
一むかしの人もあはれといひける浦の朝きり
ほのくと
一うき木にのりて張博望もし張騫二浮木ニ乗テ天
師説たゝ舟也
河の水上を見極よと云漢武帝使也うき木母の也
一さへつることを琴ンモサヘツルト云リ哢明石上三リ也
明石上タトイ意ニテ生給共二三歳ニハスクヘカラス見シ世ノ
御祝フルサトハ明石ノコトト
友トハ故郷ナレハヨメルト誰トナク共入道ナトノ事ニテモ有ヘキト
一かつらにみるへき事あるを呼嵯峨堂タテ竹ヲ大やウニ
カツラトノ給ニや又桂ノ院ナト修理ノ事モ有シトミ
一ルニや一桂の院といふ所にはにつゝろはせ給と
きくは哢此詞モ紫上ノ大やウニテ大井ト桂トフ
一同様ニ心エテノ給ニヤ桂院ハ桂宮院ヲ思へルニや
太秦寺辺雨也とて桂院は桂寒事也
一をのゝえさへあらため晋ノ王質山へ新フナリニ行ニ童
子碁をうつ所に行に桑の実のやうなる物を与る食を含め碁
をのゝえはおしなは又もすけぬへしうき世中にかへらすもかな
ヲミルホトニ其間柯欄也
一れ井のくらへくるしき御いゝ呼源ノ心ト紫ノ心トノソナシ
カラ又ヤウニクルシキ也一説人ノ事ヲ云出レハ服立給テクラヘクルト
世中はくえへくるしくなりにけりなかくみしかく思ふすきなし
一いにしへのありさまなこりなしと源太キ心モイニシヘノやウニハ
十シト人モ云物被下也一かりの御そに左遷ニテは無位
ノ衣装也一山くちはしるかりけれ山口は山入人ハシメ
ヲ云ヒ伊勢造三五ノアラントテ十月ニ山口祭アリ其モ
杣入ノハシメヲ云ヘリ又鷹狩ニモ有之
人よりもおもひのほれる君なれはむへ山口はしるくそ有は
一桂の院へ桂の院へ参タル人々ノ大井へ尋参名也
一たつ時ものうく源須摩十トにて遣水十トに心トメ行事
明石ノ家居ナトノ事ナルヘシ
一つみかろくおふしたて三メヨキハツミセロヲ也
一あらをかけにし二葉の松も
真又
撰
同
みさこみさこゐてなみに袖ぬれてたかためひろふいけ給ひ給ひつ
千代へんといはひそめてし姫松のねさし給めてし宿はわすれは
一むかし物かたりにみこのすみ給ける呼中務宮の跡なれは
其事ヲ物語シ行出シタリ尼公ノアサキ子サシ故やナト早
下ノ詞ヲナクサメン心ニテ彼親王ノ事ヲノ給也妙也〳〵
一水の音なひかことかましく
此外式部三ツ
影みれはうきわか涙おちそひてかむとかましき瀧の音かな
此哥ノいたるヘシ涙ニカコツケ申マシク瀧ノ音可サルト云心也ツクロ
ハレタルニカコツケセマ三キ水音ト也一いさらゐいはやくのことも
忘しを小井日本記ニ小ライサラトヨム
一み寺にわたり給て一十四五日晦日の日をこないるへき
ふけんかうあみたさかの十四日普賢十五日阿弥陀
一晦日天通念仏常行三昧也末ニ月ニ二度ハアリノ契ト
アリ此タヨリと一めくゝしおほせ候る河い辺文人ニ仰
ラル迄一ありし夜の事明石にテ思辺へカヨヒ給シ
斗迄一おりすくさす源ノ心ノ内ヲシリタルヤウ也
一またしらへもかいらす啼今ノやウニ覚行也此音申ハラス程
二ト有之也一ひきかへしそのおりいまの昔ヲレミ引
明石上言
カヘシタル様也
カヘシタル様也一音をそへし哉我ナク音音音フ也
一いとりとをしや
元真集河
里遠みいかに世よとかかくのみはしはしもみぬは恋しかるらんは
一御はかしたりによりきたり賀茂ノニツヤキツフミシ我人也御鉦
一そひやさせイノホソ高キヲ云一やへたつ山は
身をうしと人しれす世を尋こし雲の八重たつ山にやあらぬ
一呼山里ノサヒシサハ明石ノ嶋カケレナトニモントラス松もむかしのとは
誰らかもしる人にせンの心也友もなきに昔忘又人の詞をたく
モシト女ノコタヘ也引歌あし一こらなしや我も思なきに
しもあらさりしを哢ココナシヤトハスかレタル事也
我もおもひなきにしもトは須磨明石ニテノ浮沈ノ思ハ
我モアリト云心ニヤ女房ノ嶋カクレニモヲトラス思アル由ラ
云タルニアハせテ我思ヲ云モ出ハヤノ心ニや浅門尉江伊守
詞也花馬紀伊守せ弟良清やとゝ藤良清は播磨守殿
一子也良清力明石の上に思ふキニシモアラサリシニト云ニ似
タリトテ良清申ト云義アリ不問也
是はエケイノ
尉力語也
一御車のしりに頭中将兵衛督誰共十三
一こ鳥しるしはかり小鳥付枝事数九ツ羽の下ヲ
萩薄菊ノ枝ニモ付也私鵜飼トモスシ歟ト云ニツヽケケテ書リ
萩薄菊の枝ニモ付也
ハサミテ山菅モシハホソキカツフニテ付也荻ニカヰラス
私転伺トモメシタルト云ニツケテ書リ
シルシハアリトハ彼将ハネンコロニモセケト
云類十九へシ
一けふは六日の御ものいみ長神物忌也長神方違五
一日六日連続スルナリ一おほみあそひ御遊也源語頼聚言
大共御遊也一月のすむ川のをちなる哢カツテノ
カケツ桂ノ里ニヨいへテヨメリノトケカルランハ長閑ニ月モス
ミテウモシロカルヘシトホメタル心也
一熊名薨云月中有河令水上有桂樹高五百丈
一きぬひつふたかけにてあるを松風ノ宿ヨリメシヨレタ
ルマウケノ物色々ナレ共衣アへス女ノサウソクンカツケタル
由こうツホ桂ノ巻ニ女ノ装束カツケクタルヱンニテ書リ
見分る程の上は有へけれ共女の装束書へ申了簡也
一朝夕きりも晴ぬトは行奉アラは光申ルへシト也
一行幸まちきこえ給いはへなるへし久堅の光卜は君の
光ヲ待思ノ心見也
一中におひたると君の御光を夕ノす心也
久野の中におひたる里なれは光をのみそこのむへらなる
一ところからかもあはちにてあはとはるかにみし月のちかきこひは
一めくりきて手にとくいり御門ジ月ト夕トフ持浦ニテ
恋シクソホシヽいたへシ面ハキコヱタり一うき雲に
しはしまかひしすみはつか世そのとけかるへき三はシマ
カイシハ左遷ノ事也ノトケカルヘキト読ルハ帝位ニモ付給
はノ心古一シ一右大弁すこしをとなひて
一源元眼ノ時又ヱウトニアヒ行時ノ人古へシ雲の上
のすみかをしかけくしけむ花鳥坂院の御手ツ
ヨメリ昔ノ人ナレハサモ有又ヘシ
草ふかき霜の谷にかけかくし
一近衛つかさの名たまき物のふし
一輔二物節一テ事定初節等一中少将相共ニ於二陣座一定輔ス
近衛つかさの名たかき物のふし北山大将儀云
先戌二府奏一ニ付殿上少将
一奏門役一令之蔵人給上郷迄
下兵部近例若無帯蔵人少将
付我人迄
次中将執事定書番長巳下一令給将曹依次召立
祢唯進立再拝
大臣之大将式
お里第定にて
レ乗物節ト云は近衛ノ
舎人の中に東遊に達シタル物節と補す其中に番長
府掌なとも可する也是によりて春日祭賀を祭く使の
一羽林東遊ノ近衛十人メシクスルコ物ノ節ノ近浅求子
駿河舞十ト云事をつと云るなり陪経には府生の中
才ある物を用るか陪従も皆近衛の官人也陪経は和
琴笛ナト吹物ヲ云シノリ弓スマウノ大将ノカヘリアルシ
ノ時モ皆東遊有物ノ節ノ役ナリ其外神楽ノ人長
一呂人ナトモ近衛トなりノ役也其中ニ番長ト云ハ近来
ノ中ニ供奉シテ役ヲツトムル也其外ハ長上トテ三百六十
日番ヲスルヲ云シトネリト云ハ官人ニイマタナラ又近遠
トネリハ諸用ニアルも也
神楽
一その駒なと
其駒
ソノ駒や我ニ草申ノ草八トリ申へ水ハウ
一我はわれとヲモイアヤリ給へト也なすらひならぬほとを
おほしくもふるト云御心ヨリ云へり一これやりかくし給へ
ヤアリカクシ給へと一ひるのこかよはひ明石姫君三才也
次生蛭児稚巳三歳而脚不立畢本記
かそいろはいかにあはれと
つみなきさま端正ツミカロキ迄一しもつかたもまきら
はさん花鳥着袴ノ事ニて着袴ノ腰ユイ俗ニハ云
ヱホシ親也一思はすにのみとりなし給紫上詞也
ヤハトテコソ少ヱンシモスレト也暉
源思はすなる事をの程に我もあへり見しらヌやうにアラン
一年のわたりにはたちまさり
一みほたえぬ物からあら玉の年のわたりのたゝ一夜のみ
薄雲名正可源卅歳冬より廿一歳ノ秋マテイ事アリ
一うはの空なかいち明石は別窓にはスマ又ソ云へり
一つらき所おほく心みはてむも
心ヤハリニケル男ノコヽニテハヤウヒンナキ所ナレハ心サシハ名チ
ヲ立ヨラストイへリケレハ所ヲカヘテ待ケルニミヱサリケレハ
女宿かへて待にも見えす成ぬれはつらき所のおほくも有哉
おれ
一いかにいひてかなとき恨ての後さへ人のつらこらはいかにいひてかねをも
一かくて今のみはひんなき事也思いあれは中宮にといふ心より
なくへき
一はかまきの事一切大略三歳時在之但五才以上例又勿論也
愚案此勘思思宜慎候由此ハ申可申候
一花山院は九歳着袴之呼照案此砌五拾疋此分マヲ
事は明石姫君のまし女人の
勘例有へ申事也
一前斉寒のおとなひものし給
廿四才秋好廿三才以
此上
一麻雪は賢木に十四也紫毛同
程ナルヘシ此女ノウシロミ給ヒハラトナシヲシ一母かたからこそ
みかとの御こも朱雀院は延喜弟十一村上天皇は弟
十四皇子ニテラハシマせ共此両皇御母中宮温子昭宣公
女タリシニヨリテ即位アリケル也西宮左大臣高明親王ナ
トハ第一皇子ニテ賢才有シカトモ更衣服ナリシ故ニ人歟ト
ト成給シ心也此等例ヲや云ラン
一故大納言のいまひときさみし文衣はらと大統云
一三條院の御時に后にたテマツラントンホシケル内よりは大納言
の女の后に立例十かりけれは御父大納言を贈大政大臣になして
マソは后ニタテさせ給シ申下一猶さしむかひたるをとりの所
ントリノ腹ハ人モ思ヲトスヘシトニシ
一心のうえともにかく恋ん物とは我も思ひにきとは引哥に度
心のうらそまさしかりける
一雪になきよしのゝ山を呼雪ふかき吉野ノ山ナリ廿名子
カヨハントシモロコシノ吉野ノ山ニコモル共ノ哥ナトノ類也
一此春よりおふす御くしもみなき事にや呼あまそき
サケ道のゆみホトゝ也一おひそめしねもふかけれは
一タケクマノ松は二木也夕霧ト冷泉ヲ心ニアテヽ源
読給也一御はかしあまかつ御剱也女房の御ハカシラ
具せラルヽ事ハ陽明門院ヨリノ斗也ヱヽ忠ハ尼児也
ハウコト云物也三歳マテハモタルヽ也
一にしおもてを二條院ニテ西ヲモテナルヘシ一まいりた
まへるのうとゝも明石姫君ニ付テ泰夕ル女共ノ心ナリ
人々ノ出入ヒマナキヲミル也一姫君のたすき引ゆひ
十五斤也一説には玉手袍とて玉をかさりてやかんなり
女は申ケ帯トにて古語拾遺に以雑葛為手謡呼
和秘抄にみヱタリ花鳥別に注卜云へ一勘云今世無存
知人頗秘す也一年もかへりぬ源卅一歳也
一七日のさよろこひ人日ニハアラスル着袴ニアタルト
一時年始ノ礼ノ事也或ハ七日十トニ夜給人モ有ヘシ
一東の院のたいの御かた花敷里也一桜の御なをし
一常の直衣ノウラコキ蘇芳なき桜色と云一つ
一まかり申イトママイ也一あすかへりこんと催馬楽公撰人
サクラヒトソノフネチヽメシマツタヲトマチツクレルミテ
カヘリコシヤソコヤサスカヘリコシヤソヨヤコトヲコソアストモ
イハメ二段下略一舟とむる桜人に其舟と
メトコリ上ノ詞ヲウケテヨメリ源ヲ明石上トメント也
一ゆきてみてあすもさねこんアスモサネコント云モ桜人
一詞ニアリ明石上ハ中〳〵心ツク共暑ゆへリコント也花寺
中〳〵は玉帯ニ
アスハハヤクアヘリコン也連来
テ中〳〵也
一たゝよのつねのおほえに明石とノコノツ子ニモアラハ
是程いかルシクモ思マシ入道ノ思ハン所ハカリソコソ思ハヌ
明石上ノ人ノ程ナトハサシモ思一シキ事ナルヲ人カラノ
御心ニ入タル故ニ立帰行モかル三クナケカレ給フト也呼
一夢のわたりのうきはしかと
世中は
一ありはへ給へるワサトワタリ給事也甲の一おほきお
とゝこせ給太政大臣奏を父一連井にたへる月日
星の光みえ雲
一令口陰陽寮頭一人掌天文暦数風重気色
謂天文者日月五星廿八宿也暦数者計日月と
一度数而造暦授時也気色者風雲之気色也言
以五雲之色視其吉凶候十二風気知其緩祥
応和二年七月廿日黒雲気広三尺許起坤豆
艮康和二年正月五日白雲広三尺許経天豆
東西一ことしはかならすのちましき手と
薄雲卅七歳ハ女ノツヽシム年也
一命のかきりしりかほにしくとくの事なとも
此心ツ申上臈シク感アリ嘩一かうしなとをたに
本草云柑子元毒にて病す可食匕呼只八申ナキ
物ヲモト見ルヘシ一かうけにことよせてケンモンナトノ
心也豪家ト書
千人ニ越タル
一ヲ台
一え給へきつきからふり
一ことしいかりはと深草の野への桜し心あらは
一人きかぬ所なれは此哥ンモシロキラ人ヲカ又来ウ書リ
一古入道の寒御安后の御代より薄雲の御母の事先帝
后也一法師はひしりといへとも呼一効何事下は
一サタメ難シ如寛算供奉計ル事ノ多ノタメシヲオホシ
ケルニや又大カタニテモサモ有事也
一仏天のつけあるによりてワサト申う奏シタル也
一天へんなとしきりにさとしとは天カシナリニサトラシムル迄
一その日式部卿ゝみこうせ給桃園言の事也
一もろこしにも侍ける聖代にも不思義なと有事
一仏のいさめまもり給ふしむこん真言秘密
一秦始皇の母太后嫁毒と只不韋と云二人の臣下に密通也
不可勝計也
不可勝斗也一よろこしにはあくはれても忍ひ
ても秦始皇は楚荘裏王の子として即位す実には臣
山東蚕食六国不知六国未滅而
一下ニ通シテ所生ニ候
秦先滅矣何也始皇の呂不幸之
子則是羸氏為呂氏一所滅也
司馬氏欺人孤寡而奪之位不知魏威未哉而吾浦何也元帝の
午金之子則司馬氏為牛氏所滅也春秋書草人滅郡義正如此胡致
一堂欲用春秋法於始皇紀使明書呂氏元帝紀使書牛以従其
実小町姉
一日のもとにはさらに御見しうる所なかりけり
一御母二条后也業平中将彼后に近つき忝事伊勢鈴
一ニ三五タリ其モタシカニシルシ伝タル文ナトハナキ也薄雲ノ
御事是レニ去ラヘテ思フシ
一一世の源氏又納言大臣になりて後にさらにみこになり
一世源氏任官以得即位例光仁天皇元大納言桓武天皇
元従五位上大学頭中務一光孝天皇元一品弐部ツヽ宇多天皇
宇多天皇
貞観古年賜仁和三年為
源氏姓任任侍従親王即帝位
式部郷是忠親王
元慶八年
四月十三日
賜源氏姓寛平十二年廿九日立親王
一太政大臣になり給へき定あれと爰にては未任給也
一元中納言従三位
一御くらゐそひて牛車御位ソヒテハ一品ノ斗ん聴牛
一車也寛弘八年八月左大臣藤原朔治乗牛車入
待賢門上東門等ニて呼徒一位十候へまん
一権中納候大納言ニナリテ楚兄也一命婦は御くしけ
との王命成也一やかて御しやうしん下ノ心ハ薄雲図也
一言もかくれいとにや
いに一人のむかしのことをいとうしくかくれは袖そ露けかりて
小町姉
一とし煙のむすほれ給けん
百筆の花のひもとく秋の野にまひたいれん人なそこそに
むすほゝれもえし煙をいかゝせん君たにかけとなかき契りを
ムスホレ行ケントハ御息所ノ思ノ事也哥ノ詞フカル也哢
一おほろ重に思忍たる法こしろみとは斎くは二源氏の詞也
一ヲホロケナラスノ心也思忍たるハ源ノ下ノ思フノ給へり得
一いまひとつはの給ひさしつゝ薄雲の事にや一門ひろけ
させ給ひて中宮ナトノ行啓ニハ風輦若は糸毛の車
一ナとメス事ナレハ助馬高益ニナスクフル也河干公高門事
一瞬心は秋好ノサイハイニテ源氏ノ一門モ繁昌せン時ト也
一年のうちゆきかはる時々の花紅葉六条院いかけへま心
サシ也一もろこしには春の花の錦にしく物なしと
石山薬トテ氏也
晋石季倫居二金谷一春花満林朝作五十里錦障ヲ
逢春不遊楽恐是無心人楽天
一やまとことの葉には秋の花を万葉第一云天皇詔内大臣
藤原朝臣競輯春山万花之艶秋山千葉之彩時
額以歌判之哥秋山の木葉を見ては紅葉をは
とりてそ恩葉をはをきてそなけくそこのうらみし秋
山そわれ此上春山には略之
一時えにつけて大かたの春に心をよせしかときしる時はいつれともなし
春はたゝ花のひとへにさくはかりものゝ哀は秋そまされる
春秋に思るみたれてわきねつ時に一けつゝ三か心は。花寺の色をもいゝつゝに
一あやしときゝし夕こそいつとても恋しても恋しからすはあにねとも
一呼此詞殊勝巳イツレ共コタヘ申タキ事ナルヲ母太大所手ニ
コセテノ給へル哀ニウモシロシ〳〵
一まことも心なかき人はかくにあらさなれ中宮引入給
一を恨て真実いかやき人は人千力にてつれなきとし花源氏
君我心アサキヲ自称シ給也
一やはらつくいトツヽ也
つゝかえ人のためにはつらくしてつゝきはつゝき物ととせん
柳か雲本モアリカ様ニ
一柳のえたに梅かゝを桜の花に御
引申へテ書事所〻に了
花柳ク枝ニトハ源ノ万事ニ申ケタル所モヲハシマサ又フ
一これはいとにけなき事なりおそろしうつみふかきかたは
一哢源の心に秋好を思給コトへ薄雲にかこと給事とを思くら
給ニ薄雲ノ事ハ猶ツヒフ申事也サレトモ其イニシへは哥
若キ程ニ思やりナキニユルサルヽ方モ有ヘシト思サマシ給也
一猶このみちはうしろやすく源ノ年タケヌレハ好色ノ太
若時ノヤウニハナクトヤヤニ思惟も深キ心マサリテウ
シロやスシト也一君の春の明ほのに心しめ給へる紫上ノ
春ヲ哀み給事此詞より三五勺引
一かゝるすまゐに明石ニテノ事也一いさりせし影わす
られぬ此のの也甲明石にての物思も大井にての
一心ツクシモソナシキニ又鵜丹ノセリノ海ヤノイサリニ一カ
フヲヨせテウキ事ノハナレ五ト也八月頃カ只蛍ニマウ心ナル
人ヲニや一たれうき物と
打返し思へはかなし世中を誰よき物としらせそめけん
〽別当共東院ニテノ事也一部愚本ニハ此祠無所見一家用共ト呼
アリ其事也、
○種名哥詞源卅一歳九月より冬ノ末マテ
一斎院はさふくにて父式部卿宮前ノ巻にうせ給此巻
桂前斎院桃園式品々女五郎
一五分穢スル人五人也
三宮致仕北方薄雲女院
一言わつらはしかりし前にモ斎院へ十一メキ様也一長月に
なりて啼斎院ソリヲ給テ先別所ニ居住シテ今桃園
宮ニウツリ給トミヱタリ桃園言ハ今ノ仏心寺其跡也
大和物語云桃園兵部卿は御せ給て御はて長月晦日に
シ侍ルニトシコ彼北方ニ奉りケリ
おほかたの秋のはてたかかなしきにけふはいかたか君くらすと
一拾遺集に桃園に住侍ける前斎猶屏風に
一白州のいもか衣に桜花色をも香をもわさねぬる黄
一こち〳〵しくおほえ給へるもさるかた也古大殿ノ寒シウトニマシ
コト〳〵シキ也五音通す
一ゝせハヨクンホスト也一いつかたにつけても桐臺帝崩御
一以下源氏須磨にたり給へ十トの事共し一なか〳〵と
一このうせ給ぬるも式部卿宮権を源へトシホシヽト也
一すこし耳とまり給女五五の物語聞にかき事も有三に
一斉院ノもクハへ給時耳ト一リ給也一にひ色のみす
一服者の所御簾のへりもつやふには二ヒ色の布を用る黒
几帳トハ木丁ノ手ク口ヌリニシテマキ絵テテンヤ惟ハマレモ
二ヒ色也一神さひにける年月のらう源ノ久シキ忘慕
ノ身ヲ云神閑又神宿今案神サヒタルトハ閑ノ字
叶ヒタトへハケタカク閑ナル由也サヒシキ心也宿ノ字モ
フルメ申シキ心相叶候
写共ニ
ホときかけつ衣の玉はすみのゝの神さひにける松のこゑに
俊成卿六百番読合判詞ニサヒテコソイツレ褒美人也
嘉応住吉哥合ノ判詞云シリテサヒテコソミヱ侍レトアリ
神祇十一又事ニモ云へまと一有し世はみな夢にみな
して此詞斎たり鐙人伝にて也一こゝらつれなき
一瞬源ミツヤラツレナク世ニフル心ヲヨミ行也
一いまは何のいさめにかこきせソリ井給へはイサヌモアラシン
カコタせ申コツケサせ也一世にわつらはしきこと
須磨へ給わかたはしをたに人ツテ十二テチマヘハや心也
一さるはいといたうすくし給へと御くらゐのほとにはあはさ
めり若年ノ人ノ位高まハアハヌ也源ハスクシ給へ
一ト年ヨリ若キ御位ニア父ト也一なへた世のし
十ヘテ世ノ事ヲ問ヲモ猶神やイサメント斎陀ノコミ
源詞也
給へる也一あなやう源詞也
乾方
一しなとの風中臣抜の科戸風
吹風也
一天ノ八重雲
ヲ吹払申如シ因神事ニ用此語一久なきを神は
源詞人を忘るゝはつみ深しなトイサメ給問也
中に恋せしのみなきを神はうけすとか人を忘るゝつみふくして
一いま了とたに此段源ノ恨給へル詞也
住吉物語
君か門いまそ過行出てみよ恋する人のなれるすかたを
一けさやかなるさもてなしにアサやカ同心上タトへは楊焉
一ナル心より等等奉ラルヽハ九月廿日也以下文詞也
一みしおりの露し花のさかりは過やしぬと
一開源ノ逢事ヲ忘給ヘシ式部卿ノ姫言ニ権奉シト
有シもとト河海ニミヱタリ私云哥ノ心モ前ニ対面有テ
ヨニ申ハシ行力斎院は式部卿宮一女ニテマシマセハ源ト
年齢モ相違及へ申ラサルゟ又花のさりは玉やしぬと
トハ只大力夕ニ我モ人モ年渾テ何事も昔ニ成タリト
云心ニや末ノ詞ニおとなひたる御ふみの心はへにトアリ
一につかはしき御よそへに送り給種モ三等名へシサカリ過
やト見ヽフニツヤハシトナルヘシ
一さらかへりて昔の事更に申一り名也一おなしすち
一献上式部卿息女也桂斎院又宮の御子ナル由也
一人のことは人の言也ことは夏のゝしけく共十トの類也帰
一神わさなととまり薄雲カラレ給桃園ふは十トノ義に
ヨテ也一心よいからん人は呼権宮貞心ヲコヘタリ
一しほやき衣の
伊行尺
すまのあまの塩焼衣なれゆけはうとくのみこそやまさりされ
一なれゆくこそ此所詞一うずらき寒き体也
一こほ〴〵と一昨日くふとおほすほとにみとせのあなた
源廿七歳帰意コトシサ一五ケ年ナレハ三年ノアナタト
云へり呼源卅一歳心可然と又そとせり本
みとせヲ用へシ一みかともり閩人
論語
又和名
一いひきとか
啼源イヒキナト聞ナラヒ給ハ又見一猶はおとゝ
祖母ニアラサレ共老人ヲハウハンホチト世俗ニ云也
一おやなしに呼源仁ノ心深クテイヤナル事をモ捨玉父ニヨリ
アヘシライ給也
しなてるやかた世山にいひにうへてふせる旅人あはれおやなし
一いひこし程に哢一勘年ノヨリタルヲ欲ク同也
伊行尺
身をしといひこしほとに今は又人のうへにも歎くへき哉
此哥シサテ心カナハス人ノ上ト思シ老ノ身ノ上ニ成スルナト
云へキ所也源内若年ニミシ人モ弟ノ上ニ立老ノ来程ニ
一ミナス事ヲ云ゟ一物顔なる哀ミ給ヲ猶昔ノコノ
白氏
み心有十ルへシ一ひたすゝ太疋
永日本記
文集
一年あれとこの契子ニいへテ親トヨスル也ソハントヽトノ給シ事
おやの親と思はましかはとひてましわか子の子にはあらぬなもり
一世に手のほとし人のいきとまりて命ツヽ一リタル
モノハ堪忍せイナクテソモナキ物ナルカ此内侍此内侍ハチ
カマシキ人ニテ長命也ト云へり一身をかへてのちは
待みと松風に身ヲカ一ト云ハサマヲカへタル也又進退
ノ申ハリタルヲモ云ヘシ是ハカマカル事ナルヘシ忘又シルシハ
後世ソトイテシラレント也アタリテコミ給也
一一よからぬものゝ枕草子にスサマシ申事に老女ノケ三ヤウト
かへり
一人つてならていまはたゝ思ひたえなんとはりを人つてなえていふよしもな
一さたすきサアリ過夕ん心也一心つからのと呼引哥不叶
次へかけていへは涙の川の瀬をはやみ心つからや又もなかれん
一あえためて何かそ思えん人ノ上ニカ死ト半夕ニかんシ事ニ
何カハ下シ貞心也一ゆめ〳〵いさら川イサや川共哥両家也
いぬかみのとこの山なるいさらつ又玉さかに行あふみなる
一をしたきてなとは源人ノ心ヲやアリ給事は有一シト女共辺
一志川みける罪斎境にテ潰事シ給ハ又程ノ事也道ニ成
給はン人心はへ也一ツはゝからのきんたちコトリ服ナトニテム
以上給ハ又ナルヘシ系図ニミヱ子共此物語ニ此類多シ
恋しきもいつからのわさなれはをき所なくもてそわつらふ
一ひとついとみゆ同心ニ人々ノ心ヲ源ニヨスル也一まけてやま
なん源人みせ也一むかしよりあまたへまさり
源世へ給テ事ノサマ〳〵心ヱマサリ給也味一あたけ
一かくなんあるとしめほうれへ程ノツレナキヲ此前ヘウレラへキ事
一花もみちのさかりよりよりも冬の夜
〽いさかくておきあかしてん冬の月春の花もをとゝさりけり
一すさましきためしに哢清少納言枕草子にしはすの月夜と
事ナシ異本十十トニ云ルカ藤小野篁カ記ニ有ト云ノ義アリ
私勘枕草子スサマシキ物ノ内ニ無也一又すまきあけさせ給
香分峯雪撥レ廉着笑一さま〳〵のあこめしたれき
一勘童ハ汗衫ヲキ侍レトソレヲハ又キテ粕ハカリキタルニや
一一おひしとけなきとの井すかた舁同帯は袴ノ帯ノ事ニ
や一部トノサスカタ宿直スカタ也一わらハ望て
一フサナキ鉢也今ノ字酒一勘也童気テト云へ也長法
一ふくつけいれと大キや申コト也呼カラ入名様ゟ
遊仙屋
貧生
一貪生遊僧一ひとゝせ中寒のおまへに雪の山つ
他本字也
くられたりし世にふりたる枕草子はしはすの十日あま
りのほとに雪いみしか参りたるを御使に式部忠隆まいり
たれはしとねいたして物なといふに雪の山つくらせ給はぬ
所こうなけれ御前のつほにもつくらせ給へり中宮に意
こき殿の御前につくられたり京極殿にもつくらせ
計一りといへは
斗一り色迄
こゝにのみめつらしとみる雪の山所〳〵にふりにける哉
此哥畢書ル也源氏ニは雪山作事ナシ哢薄雲ツクラレタル事
有シト也な一しるし給しかや一をひれたる
小ヲサナヒレタル也一君こそはさいへと此少ノ物ヱンシ深ヲラ
云へりわつゝはしきけ内一さかし源詞一さもおもふに
源詞朧月夜事一人よりことなるよきモ宮夕午には
ナラフヘクモアラネハミケツト也一かんさしおもやう
哢一勘合点ヘカンサシハ髪ノサマニや一恵きこゆる人
薄雲事一わくる御心もとりかさね一祝とりかへしつへし
紫ヲモトヨリ思ニ又カサネテ御心シメ給シ呼一雪もよに
雪の夜也雨もよに雨の夜也一説雪もことは雪もころ
シト云詞也藝草も木もふりまかへたる雪もよには催ス心
ニ叶へルニや一内にも御心の松に源ノ薄雲へ密通
一おなしはちすにとこそは
法眼禅師
一各留半座乗華台侍我閻浮同行人
命ハ心ニ可申スル共ト也
一なき人をしたふしかけみぬみつの三瀬川にわせてわみ給
一うかりけるとや例の記者詞也
乙女名哥詞源卅二歳ノ三月ヨリ卅四ノ十月一ヲ
雲井尋年十四ヨリ也
一年かはりて宮の御はても薄雲諒図事三月マテ也
一世中色あらたまちて衣かへのほと天下涼闇ノ眼ヲ黒
一夕ルニ更衣ノ比一入イてメカシト也一かつらの下風
祭ノ具ニ桂入ニヨテ思出也一かけきやいし君か
みそきの藤のやつれを申ケキやはトは思かまやはト也
一おとゝの御はさら也被下ノ御作句ヲは也
賀茂ノ御禊ニテハナクテ除眼ノミツキセントハト也
故渕ニソへタリ一むらさきのかみ藤ニ付ル故也
藤は又藤衣に思わせタル也一すぐより一藤ころも
きしはしはかなくといに哢斎院ノ哥ノ心は申十
事ウ詞ニアラハサス文ニハカナクト有殊ニメテタシ
一こなたにもたいめし女五三斎院の御方にテ源ノ
事ヲノ給也一故寒もすちことに斉に居給事也
式部卿宮也一さゝかへり斎わり居給フ又源ノ
一ツハシ給事也更ニ申へリテ也一ツたい一こしろめたく
斎御心何タル事セシ出ント也一御元服夕旁十二歳也
かの殿にて一右大将二條楠改息也一四位になし
てんと親王の子は元服の後従四位下に叙す源氏の
君はよのつその源氏の同例にあらす故に親王の子に准め
一四位ニ叙シ給ハント思召ヨリタレ共猶斟酌アルコシ
一きひは雑一あさきにて殿上にかへり給一世の源氏の
子ハ其庁従五位下ナレハアケノ袍ヲ着シテ昇進スヘキニ
冠者君のあさを着スル事二ノ心アリ五位広クコト
イへ共了マタ叙爵せさる時は無位也延喜縫殿察式に
一無位ハ浅黄トミヱタリ故ニアサキニテ殿上ニ申へルト云り
無絃ハ黄ナル鮑ト云一説アリ桐壷巻ニ注シ侍ヌ
一云六位ノミトリノ袍ヲアサキト云ヘリ深緑ノ色ハ藍
ト苅女トニテソスタリアサキノ色ニカヨイタル故迄是ニ
よりテ三條の上ノ乳母の詞に六位宿世トイヒタ霧
ノ哥ハ浅ミトリトヤイヒシホルヘヲトアレハ六位ニテ昇
進せりト云へ申ニや一かへり給候甲童殿上ノ人加冠メ
又殿上スル事也一をいつかすましう哢昇進ニ人ノ逐
付申たま心也一大かくのみちに西三条大臣良相公は
一閑院左大臣藤原冬嗣公の子也大臣の息大学の息大学の
習此等の例也一夜ひる御前に一文さえ文才
本文のさえイ一はかなきおやに呼愚親に賢
子ノ一サラ又ト也況愚子乎一はなましろき
本めましろきイ心か同也ソロメヤシナトス也甲一さえ
一やまと玉しゐ我国ノメアヤシニナル心也
一せまりたる大かくのしう窮者也除目可品籍に
一内竪ノ窮者ト云事アリタトヘハ大学ノ良ニテ年
久有テ昇進ナトせ又○也呼爰ハ早下詞也窮途
日本記
忽日本之一此大将なとも此時権大納言にて右近大将
ヲ兼ス此巻ニ内大臣タリ致仕大臣也左衛門督トアル
第也一あさなつくること学生ノ入学ノ時文章ノ堂
監か書くたす名簿ににさなう書也聖廟御字は菅三
三善の清行かまさなは三耀ト云り夕帝のあけなも源
十二ト有へき一家より外にもとめたる借衣也
一へいしなととらせ給へる酌ラ衣也銚子ニテ取は近代ノ
もも今モ節金ノ時ハ瓶ニテ起一右大将民部卿
民部郷見系図末一おほな〳〵哢なンコロナル事也
一おろす啼ヲトロカシイサムル也一をしかいもとあるし
嘲哢乙早下ノ詞也垣下ヲンタチト云事アリ大饗ナトニモ
人数ノ外ノ人ノ交リタルヲヱヤノキンタチト云アルシハ
非常
主也爰ニテモ大学ノ良ナラ又公卿ヒサウナリト云也〽程ニ
ツキ給へトモ垣下トハ辺人数ノ外ヲ思るト云故也一ひさう
にはへりたうふ非常給一かくはかりのしなしとある
し呼大学ノ宗ノ詞也一義云カル大学ノ宗ニ大将
民部卿ナトノンシカイモトノアルシニテカハラケ取給事
アルマシキト云ワシシラスメトハ大学ノ程ヲモシラスアルシ
シ給事ト也一義云しるしとあるし大将等ノ公卿
ヲシラテハウホヤケニツヤウマツルヘヲ大学ノ宗ナランヤハトシ
一はなはたをこ也河鳴呼ラコカマシキト云門也我ホラ
カヤウニモテナサせ給ハ中〳〵ソコウマシクヲホヱタリト云
弐千
心迄一なりたかし河海ニ風俗ノ鳴高キ
ノ詞ヲ
大宮
ヒケリ不叶候
問云飛鳥高鳴何ノ文ソヤ一答河海抄には不見
鳴高ト云事アリ
一けちえんなるほかけ掲焉火影さるかうかまし
一呼猿楽ハフルクモアリキトカヤ心ニ思入ヌ事ヲモフルマイ
云物也大学ノ宗源ノ仰ニ随テコトニキヒ敷フコナフニ喩タル也
一あされかたくなゝる中にたけさうさうしませはされん
アサレハシトケナキ也望さうと云本モアリ仮粧也
望うまんト云本モアリ軽慢也ケラサウハ軽粧ト
アマリ人ヲホムルモ申ロンスル也一はかせさいしん博士才人也
秀才を立り一けうある題のもしえりてもむさうはかせ
たてまつ而翰林ノ人出題スル也韻ノ字ハ切詞トテ何字
ヲモツテ詞トスルト云時モアリ又題中ニ取韻ト云テ題ノ
五文字ノ中平声ノ字ヲ取テ韻トスル事モアリ又何論ニ
テモ作者ノ心マナせニ取時モアリ一ミしかき比夜なれハ
卯月以以上ニ祭ノ比トアリ一左中弁無先祖一にうかく
といふこと初テ大学寮ニ入也今曰凡学生ハ在学各以上
長幼為序初入ニハ学皆行東修之礼於其師各布
一端延喜式云凡遊学之徒情に願入学不限年多少
一総如二簡試ヲ有二通一位一位一聴預二学生但諸王及諸五位
以上ノ子孫は不レ煩二簡試フ一一この院のうちに御状うし
ソンサウシ一禅文章院中有東西曹司模此上
一つゞこもり集日本記一たゝ四五月のうちにコツキ
イツヽキトヨムヘキと呼一史記
馬遷作
書八巻
一れうしうけ
させんとてまづ御前にて心みさせ給是は寮試ウケサ
セントテ先習礼シ給フ事ヲ立リ学生ハ大学寮ニ
テ試ルヲ察武ト云試ニハ史記ヲヨマシムル也ヨク読ヱタルハ
一人を擬文章の生に補す擬進士共也凡儒者をい上る
人ノ次第道ヲフルニハ先補大学生燈濁料ヲ給テ九
年ノ間邑雪ノツトメヲナシテ功ヲツミテ後大学寮ニテ
心ミラル史記ヲヨマシメテ難義ヲトフ五条ノ中ニ三条ニ
通するを及弟トス則文章得葉生ニ補ス更ニ又橄
樟七年トテクスノ木ハ七年ヲフレハ用ニ立ニタトヘテ
七年ノ間学問シテ其役式部省ニテ課試ヲトク先待
賊を作る次に策の文をかかく昔これに秀才進士の二科
アリ秀才ヲハ才略ト云才略ハ無端ノ大事ト云心也
一献策ノ時問題ニコタヘテカク事ヲハ発大事也進士ヲ
は時務策と云今今と云書にみヱタリ今の世には文生得業
生二人アリ秀才ノタヌニハシメヨリ給料ヲ給ハリテ学問
シタル人也モハ方略ノ宣旨ヲクタサレテ式部者ニテ課
試せラルゝ也又入学ノ衆ノ中ニ器アル時博士是ヲ挙スレ
ハ大学寮ニテ試テ又史記ヲヨマシム及弟ノ人ヲ擬文
一章生補ス数廿人アリ是ヲ式部省ニテ試テ詩若
賊ヲツクラシム及弟ノ人ヲ文章生ニ補ス是ヲ進セル
云へり或は御前にて勅題をたたたさして試らるゝ事有文章
一生ニ補シテ後更ニ方略ノ宣旨ヲ課試ラクル事
モアリ進士ハ時務策タリトイヘ共方略ノ宣旨ヲ蒙
レハ方形ノ式也文章生ノ方略ヲアラフリテ献策スル
事ハ当職ノ時ト又外国ノ縁ニナリタル時ト散位
一時とにからふる也意官に仕候後は不献策なラン也或は
一文章生更ニ得業生ニ転シテ課試ノ例モアリ或ハ文章
生ニト一リテ方略ノ式ニ及ハサル事モアリ源氏夕霧
君ハ今此例也朱雀院ノ行幸ノ次ニ仕前試ニ待フツ
クリテ及弟シ給テ進士ニナリテヤカテ侍従官ニ任シ侍リ
一師大学寮ニテハシメヨリ学問シタル人ヲ試ニ及弟せル
ラハ文章得業生ト云也又昔ハ諸国ヨリ才人ヲ年貢
ニ奉ル事アリソレヲハ貢士共近士共云是ヲ大学寮ニ
テ試ニ及弟せルヲハ擬文章生ト云同事ノカハリタル也
一平式部省ニテ課試ヲトク先詩賦ヲ作ル次ニ策ノ文
一ツ書策の文とハイヤやうなる事に申策ノ文トハ儒業ノ
一大事也タトヘハ問者ノ儒士有テ題ヲ出シテ其是ノ
を対句に書て不審を立るを献策の人一々に又対句に書
テ証文ヲ引テコタフル事也策ノ文ハ本朝文粹者
第三巻ニ有ソゝソレヲ披見アルヘシ一時秀才進士ノ二科有
秀才ヲハ方略ト云方略ハ無端ノ大事ト云心シ方略ト
事猶以不審為薄孝秀才ト云ハサキノ文生得業生ニナリ
名人ヲ問も也方略ノ二字ハ無端ノ大事ト及せル也
カナリモナキ大事ト云心也進士ト云ハ擬文章生ニ成タ
ル人ノまシ一呼献策ノ時問題ニコタヘテヤクコト
ヲハメタル大斗也献策問題ノやうな其問題サタマラ
ス文料ニ出セル事ハ或ハ神仙或神祠鳥獣言語
一運命山水松竹カヤウノ題ニツキテソノ古事ヲ不審
スル事也題ハ時シタカイテ昼期ナキも也
一哢進士ヲハ時務策ト云此義荷昔ハ時務策ト云テ
一当時ノ政道ナトノ事ヲイカニシテヤヨカルヘキト問ルヽ事フ
一おとゝの御ば万水一露に
文ニ云テ答ル也或ハ又方略ノ宣旨ヲカウフリテ献果ノ
文ニ云計モス也一瞬方略ノ宣旨ヲクタサレテ式部
省にて課試せらるゝ也方略宣旨為進士ノ人方略フヤウ
フル事也一進士ハ時務兼タリトイへ共方略ノ宣旨ヲ
カラフレハ方略ノ試也此意荷上ニ云カ如シ
一文章生ノ方略ヲ蒙テ献栄スル事当職ノ時ト又外
一囚の縁になりたる時と散位の時とにからる也京官に任め
後ハ不献策ナラヒ也一当職トハイツレノ職ソヤ京官ノ
一人不献策トハ尚当職トハ文章生ノ当職也其後
一諸国の掾に文章生なる事あり国の掾になりては一任四
ケ年トテ五年メニハ前官ニナルソレヲハ散位トモ此
間ニ献策ヲハスル也何ニテモ京官ニ任メハ献策ノ事
ハナヲシソレヲハ非成業ノ人ト云也夕霧ノ大将ハ此ソラノ
人也一或ハ文章生サラニ得業生ニ転シテ課識ノ例モ
アリ文章生ト得業生トノ差別荷サキニ擬文章
一ト云人文章生にナリテ或は又文章生得薬生にナル事
アリ是ハ一レナル事也一左大弁し三人不見前祖
一つにしるしのこえす不審人北ニ飢シルシヲ付シヨク
ヨミトキシニヨテノコラスト也一説角筆ノも也
一おやのたちかはりしれ行是ノ字万葉ニシレト訓セリ
一行さきはならふ人なきおほえ御師大内記此御トクニ
身ヲカヘタレハ猶ヨク指南申サント也草子ノ詞也
一大かくにまいり終日寮試ノ日これうもん大学寮門也
一座の春をからし察試ノ日ハ長幼ヲモテ序ヲ十メ
人の種姓ハイラヌ也故に冠者の君も学生もの末座に
一列シ汁也一もんにんきさう文人擬生一説云
為儒者也伝一古今ツ者為二通人一ト也上書奏スルヲも
為二文人ト也能ク精レ思著レ思著レ文連二フ篇章一為二鴻儒一ト也
一そ案文人は文章生擬生は擬文章とて文章に
擬スル也或ハ擬進士ト云也一源氏ノうちつゝき后に
藤壷の中宮の後斎寒の女御中令源氏の姓を給は
ラサレ共帝王親王の御女をは皆源氏ニスル也心器氏ノ
中絶える也一兵部卿ときこゝしは今は式部卿にて
一呼一勤八者卿ノ中弐部卿は親王十フテハナラス兵部卿
ニハ誰モナル官也式部ハイサカマサルニや桃園ノ宮ノ
闕になり給迄一王女御にて朱雀院皇女思子内親
主冷泉院女御世以称王女御て東子女王文徳女御は
喜子女王清和此外猶多略シ凡王女御ニカヰラス姓ヲ
モ昔ハヨヒ付也季部王記ニ故女御ナトヨリ一御はゝかた
一御さいはいの母御息所々引決ト也
一にて薄雲ト式部卿ノ女御トシタシキ心也
一大将内大臣になり給て世中の事もまへりこち給へく
建義公
内大臣執政例堀川開白し
天禄三十月廿七日内
急通
急通
覧同十一月廿七日大臣中開白道隆公永祚元二月
廿三内大臣二年五月開日師内大臣伊周公
一おと太政大臣に内大臣博大政大臣例忠義公爵
一天延二年二月任太政大臣元内大臣但開白也是より
一後は連綿を一女御といき一所弘微と雲井郡也
役には玉申つて近江の君なとクは三リ
一母君あせちの大納言の北中に呼誰共ナシ雲井郡ノ母
ノ計禁は五節奉る人共へシ一所々のたいきやう
太政大臣内大臣新任饗計と一夜の上風も
秋は猶はもくれこそたゝならね萩の上風萩の下露
一ひはこそ女のしたるにウツホノ物語ニヒハナンワルハ女ノセンニウ
タテニクケナル姿シタル物也一物の上手の役明石入道
一延喜御時三代ト云シ事也一ちうさすこと呼左の手に
テウス事也一后年明石ノ姫君后器量ト也
一又おひすいひ梅壷ニヲツスヤイテノ后ニモヤト也
一とりゆの手つき筝取由也工ノ音也一わちのしら
へは秋十レは折に早也一風のちからけたしすくなし
しきんのかんならねと花薙門周は琴ヲ弾ス今ノ
大臣は和琴を引給へり故ニキンカンナラ子ト云一リ
御前のこのほろ〳〵とのこらぬと云て風の力益シ寡ノ心ヲ
一思わせテ書タル詞タクミニ面白シ文医落葉俟二微風一ヲ
以隕而風力益寡シ
一秋風楽に盤渉調也律也一市への音にもふることは
一向子期恩旧賊序曰隣人有吹笛者発声声変シテ
追二果衣昔遊燕之好一文造
一萩か花すり更衣催馬衣中へセンやサまし夕チワカ
ヲ又ハ野ハラシノハラ萩ノ花スリヤサキンタチヤ
花鳥今葉冠者の君のあきの色をあらた給はし
事ヲ思ませテ大宮ノ御前ニテコトサラ文衣ノ哥ヲ
ウタイ給フ一子をしるといふは明君ハ知レ臣明父知レ臣明公ノ意
一あたけこそ一わくらはに邂逅也一おきたる事
折タルハスクニモナキ心ナリ河一おゝしうあさやいたる
一雄移日本記鯰コサやクヲトコ〳〵シキナリ哢カトアリテナク
ラカナラヌ也一まほならすマウトヨム説アリ先ハ舟ノ一楽カタ
ホナトニヨセタル詞シマウトヨム。ホノ字ヲヤハラチヨムン呼同
一きはたけく書は〳〵三キ也
一きはまたくまは〳〵三キ也一むなしき事ナキ事十十五十六
人ノ云ニテ也一しりういことウンセコト也一御門の御いつき
むすめもをのつからあやまつ康子内親王延喜村上帝御時
皇女
弘徽殿ニソハシケルニ九條右丞相忍テマイラせ給ケるカ後には
一顕て参り行ける閑院太政大臣公季母也左道久富
通前斎は世継言一大納言殿にきゝ行はん雲井の雁母
按察大納言ノ北方ニテワタリ様ニ聞給ハント侘ル也
一中さうつを小侍従やさふらふ
御めのとこなり
雲井郡ノメノトヒ
一風の音の
一竹に風生竹夜窓間臥月照松の時台上行詞
一雲井の雁もわかことや
霧ふかき雲井のかりもわかことや晴さすものゝかなしかな
一さ夜中に友よひし雲井ノ病モ吟シ給ツ友ヨヒカスト
ヨメリウタテ吹ソフルヲトヽノイサメナルヘシ一身にしみける哉
吹よれは身にもしみける一中上そのよそほひこと
にて頭中将北ノ方へ雲井ノ事ヲ察メヨヒトランノ調
法ニカク女御ヲ一カテサせ様也一うへにつとさふらはせ
給てよるひ家おはしますめれはウへ序に内ノ常に
マシ〳〵テ女御モサラス伺作アル由也啼同一さくしり
をよすけたる瞬サカシクサシ過タル也一心にあかす
おもひ給へらるゝことはしかなんアウスは不足也心に不足な
事ハサヤウニ思給ルトハアリ申シト也一此比はしけう
一月ニ三日ハアリ大宮へ参リ給へト有シ詞ニ合テシケ
キ也一左衛門督権中納言致仕横政ノ息也
一いまのほとにうちに雲井尋用意候間に也
一言の御文にて大宮雲井扇へ也一いつちなら
宮つゆへにや誰にやト也一わか君やいめ努メノト小宰相
詞我君也一さハれサワレ長サハレトヨム
一そゝやなと一六位すくせ三条と乳母冠者の君を
不受詞也六位ヲ冠者トも一おほとのにはことし
五節たてまつり給源ノマイラせラルヽ五節に惟光カ
ムスメ参ル也呼問云源氏君ハ公卿ノ分ニや一勘
可然ムスメナト持タル人ニカケ仰ラル公卿義又受領
ぐは国司タる人也是ヲウチノ五節トナツケ侍り
一すきにし年五節なと薄雲女院崩御依障闇
一被停止し五節十一月中丑舞妓参入弐暁参
一則帳台出御寅日御前試卯日童女御覧辰
日節金舞妓進舞本朝月令口五節者浄
御原天皇之所制也相伝曰天皇御吉野宮日暮
弾琴有興俄余之間前岫之下雲気忽起疑如何
高唐神女髪髴応曲而舞捨入天写他人不見
一奉袖五変故謂之五節其哥曰
一乎度綿度茂長度綿左備須毛可良多
万年多茂度迩麻岐底平度綿左備頃を
五節は恒の年は公卿二人殿上人受領二人四処也
代始には公卿二人殿上人受領三人五処迄其を受領分は
殿上人ニテマイラスレハ上ノ五節トモ
一按察大納言は先祖不見雲井尋母今は此北方也左衛門督は
一致仕弟殿上人のマイラスルを云事候にて一え左中井の
講師同に一うへの五節ハ甲間殿上人ノ参ラスルヲウヘ
ノ五節ト云ト河海ニアリ其ノ義ニや一部殿上人ノ参ラ
スルハ大内ヨリノ心也一みなとゝめさせ給言つかへすへく
開問五節トヽメ給事例ノ事ニや一切五節ヲ忘仕ニメシヲ
さるゝ事善相公力意見にみ五夕り一とのゝ歟姫
惟光の朝臣つのかみにて左京大夫かけたる女
一呼問惟女源氏ノシトヽノ参セラルヽ分ヒ又受領分迄
一勘己八受領分也但源氏君取立うる候由也
一かしつきなと舞姫の後見こ一あめにますとも思ふ
一天照大神にててシ一美宮人もとことめるは天人也
舞姫ヲ云
みてくらはわかにはあらす天にます豊岡姫の寒のみてくら
一みつかきのとの給そうちつけなりける
をとめこか袖ふる山のみつかきのひさしき世より思ひめてき
一けさうしそふカシツキナトノ舞姫をカシツク事也
一なをしなと色ゆるされた殿上六位献直衣也蒙禁也
一雑袍之宣旨上或説云加職もと六位職も着禁尼
故被西宮抄云指貫は王者已下衆所用也古時有制
臣下不用近代五位已上昇殿六位皆用之とい
一明六位禁色上にゝ色ゆるさレテハ詞ノカサリ也只ナラシ
ユルサル也とい一神御祝
一こゝしうあい所キヤカナル心也広韻云巨大也□□モノ〳〵
一三キシ一むかしさめとまり給し候女のあツクシノ五節と
乙女は少きを云じ万葉未通女ナト色と去り未嫁又女
ノ事とニて天乙女は天女穏名也一辰の日の暮つかた
つかす十一月丑日より始若丑二日は下ノ丑也但上ノ丑に
モ有例ス此日参ノ日ト云辰日ハ五節ノ終ノ節会ノ
日也辰ノ日ノ暮ツカタト有事此説不審也五節ハ十一月
中丑ナリ豊明節舎ハ同中ノ辰日也若五節ノ折ハ
打一キレテ豊明ハテヽ遣サルヽ心一をとめこも神さひ
ぬらて源ツクシノ五節ノ許へ遣サルヽ三ツシ返哥
袖にとけしも源五節に逢給事ヲ思へル也日かけの霜
以蘿葛島手餅古語捨き諸社ノ祭にモヒヤケ草ヲ
髪ニスル也苔の類也一あをすりの紙ようとりあへて
舞姫の装束丑日は赤色唐衣寅日は青色唐衣
辰日は青摺唐衣赤丑日陰髪を青摺は小忌め
計也源氏の君文やり給モ辰日ノ事ナレハ青摺紙ニ
テ五節ノ君ノ御返走ヲ書タル也青スリノ紙ハ蝋スリ
の唐紙ゟ一重ゝしうは鳥ケサやカナル上潔斎と
一あふみのはからさきのはらへ河五節前後ノ斎皆祓を
する也辛崎難波七瀬の随一也近江摂津国司にて参る
舞姫此所禊尤有便宜乎上古は辛崎難波一テ
モ下向シケルハ近代ハ内野ニテ陰陽察ニテマウケテ
惣仕也拾遺十二の抜するけにからさきにをくあみい神の
うけひくしるしなりけり同集云伊勢歌詞難波のはらへし
に侍てまかりかへりける暁に枕の侍けるに郭公鳴ける
をきゝて時守ねくらなからの顔えきけは草の枕そ露けかり
けり花守前斎今帰意の時は於難波有祓有祓前斎悦
退出の時は於辛崎修祓是皆神事ヲトクル解除也
五郎は難波辛崎のハラへ是に思なスラへ侍り哢五節は
内野ニテヤ申テハラヘスルヲ国ノ守ニヨせテカク云ル也妙也
斉院十下彼所にて祓三給事はアリ一その人ならぬを
一開宇多御門御製あり一ましるニヨル方河古人尺九巻ニて
汝日本記今ノ字ヲイマシトヨメリ其ヲ略メマシト云ヒ
一みとりのうすやう六位ノ人ノ文ニヨセ有ミや
一きんちゝは汝等し一かの人は文をたにと雲井郡の方へ
一はまゆふはりのへたて夜人丸みくまのゝまのゝるのはま
ゆふも人なる心はおもへとたゝにあはぬかも浜五ツはウスキ
物ナレハ木丁ノ帷ヲ云也栄花物語第廿三袖口ま五のやサ
ナリタルホト浦ノハマユフニヤアウンイクヘトシリカタシトミヽ
是モカサナリノ多キ事ヲタトヘタル也
一大宮のかたちことにおはしませは諸山君か頼もやそひたると
みれはかたちはことにそ有ける高光日記コトナル形は出家〳〵
故也此哥の心はセハルへシ一殿のいまにさやかなる御かたちもいへ
と花敷ノ形一等ニモヲハシマサ又ヲ返メ云詞也一ついたち
にも大との御ありきしなけれは嘘一勘源太政大臣ニテ
節金ナトノ出仕有ヘキ事ニモアラサル故也
忠仁公
一よしふさのおとゝあを馬光仁天皇宝亀六年正月
一七日天皇御楊梅院安設宴於五位以上既而内厩
一宴進青御馬兵部省進五位已上装馬そ馬
ナリ
首馬姓
忠仁公覧白馬事旧記所見未詳にて但雲治開白
一以後例覧之然間勿論と白馬は引諸院宮々故也
忠仁公依蒙淮三后宣旨被覧之上宇治聞白間之仍源
氏太政大臣同就准三后覧之者也准后計太皇大后
宮皇太后宮皇后五は此三になすうへて唯三后トニて執政准
三后例忠仁公昭宣公貞信公忠義公一せちゑのよし
うちのきしきをうつして内ノキシキヲウツスハアラ馬ラ引ニ
左馬寮ノ頭以下供奉スル儀式ヲウツシタルニヤ昔ノタメシニ
モ交ソヘタルハヨシフサノラトヽノ時ノ例ニモ猶もソヘイツクシ
キ有様ヲ云也一きさゝき廿よ日のほと朱雀院ニ
行業あり非父子之時行幸上皇宮例天長十一年正
月二日仁明天皇幸朱雀院但母后御同宿謁二大后
于柏殿見李部王記一御忌月可用上哢
一みなあを色の桜かさねをき給みかとはあかせおとゝも
啼
めし有てまいり給ふ河桜下襲計面は普通也裏は
一桜也哉又晴の行幸なとにも春は公卿着桜或は萌
黄下襲染装束也晴儀也諸臣着麹塵袍賜一日
之当色也其時主只今暑赤色御袍給又第一人同
一着之ク口セント云ハ地赤テ黒袍なり呼一郡青色は麹
塵共号ス今モ極臈ノキタル袍シ赤色ハアカネニテ
染也青色より夕かき色じませ色ノ御ソトハ上ノ事又オ也
一勧同一わさと文人もめさすたゝそのさえかしこしと
きこえたる学生十人をめす唯一勅文人は儒者也学生
は今日及弟スヘキ人ヲ云其心カハレル也一式部のつかさの
心みの趣をなすらへて河延長四年七月九日御記口去
月廿三日式部者奏者試判文其判及弟者二人
此下略之御前試ニ勅走ヲ給フハ延長応和廉保等ノ例也
一おくかき臆病甚者也
一つなかぬ舟にのりて放島の義には詩十ト人に商量スル
斗モヤ十八文シサテイトスヘナケ也ト云ヘリ河放嶋識
事ヒウツホノ物語云すゑふさの試の題給てひとり
舟にのせられて出たるすまはち面白文作進士になされた
方略の宣旨くたりぬ一御かいらけまいり給シヤクスル也
一鴬のさへつかこゑい舞は相似れ共古院をはし一文事
ヲムツレシ尤トヨミ給一いましへを吹つたへたる代ニ祝シ
給心也一尊のむかしを恋て御製我御代ノ昔ニ
及ハヌ心ハせヲアソハシケル也
一御わたくしさまに御門院十ト内々ノ御計也ニて
一又かきおとしけるにや其席にあまたの人にさにらひ
しに言をかゝさる故ニ申う云也作者詞
一あなたうとあそひてつきに桜人安名尊供るも
桜人同一御たうはりのつかさかうふり御給年官孝爵也
催馬に
一大学の君其日進士になり給ぬ進士注曰可進受
爵禄者也至武天皇神亀年始進士試帝王系国
進士及第例此下詞略々哢一初秀才タル外ハイツレモ
進士ト云也必シモ井中ヨリノホラ子共云付侍ルと一弐間心三太
あけん年五十にし御賃ノ斗一切賀を先
一規不同也此事には薬師経寿命経等供養の事有
一秋のつかきめしにかうふりはて延喜二年九月文章生
代明親王
七年九月廿日侍従源保光
天暦四年十二月
男
一廿日奉文章生試同五ノ年迄反第十年正月一日侍従
一六條京極わたりに中くその御古宮のほとり四町ソツ等に云
一紀伊国ムロノ郡ニ神ナヒノタネ松ト云長者吹上ノ浜ノ
ワタリニ四百八町ノ内ニ紫檀蘇芳クロセイヤラ桃ナト云
木共ヲ材木トシテ金銀瑠璃車渠瑪瑙ノツホ殿ヲ作
カサネテ東陣ノトニハ春山南ノ陣ノトニハ夏ノカケ西
陣ノ下にハ秋林北には松の林四面をたたかり栽る木草
タウスカタセス此事ヲ撰スルヒタチ松源氏ノ宮ノ宮ノ
ために造て四面八町の内に四季をの分テスマヰケルト云く
相似タリ一さとしみの年忌也一説トシミハ十ニミツルヲ
云也何十モ同御年満ト書リ
一八月にそ六條院つくりはいて此六条院は河原院を横
スルと御記ニミヱタリ一世ノ源氏ツクラレタルモ其例相
似たり一くたに苦丹也牡丹共云夏の類に書り
一こまけうコマカナルシツライン一わらはのこきあこめし
をんのをり物かさねてあかくち葉のうす物のかさみ
カサスハ上ニ着ルアコヌハ手丈ニ必スカサナル也此国花色ハ十又ノ事也
一部あかく千葉はこのつ子の朽葉の赤方によりタル也
一心から春まつその心カラ春ニ心ラシメ給共紅葉ノヲモシロ
アウモさランせコト也哢一もみちはかるし紅葉は花ヨリ
カロキ也岩子ノ松ノ春ノウモキコソマサレトヨメリ呼
良房のおとゝの例にてあを馬ヲ引事後代ニ其例ヲ
モチヰタルも有
良房公ノ時ノ事ハ所見タシ申ニナク共ハや有シ候義ニトリ
被キ侍る也一勧
あを馬ヲ白馬ト云事アンキマテシセキト云テアマリニ
白き物は青ミユル故也七日節会をは青馬の節会共云
礼記ノ文モ青馬迄一部
一かへ殿にわたらせ給栢殿は漢武帝柏梁殿ニカタトル
ニや東二之御所也
□□□□□□□
五月ハ午ノ月ナレハ夏ノ方ニ
一むまはのおとゝ馬場殿将
馬場スルナリ
一ひかんの頃彼岸は二八月幸会時修二到彼岸斎令一ニて
特別
置字
1040
養源抄三
茸源抄
一凡俗夕人日本記
一レ通女風の地てけうしすくなし孟掌君遷雇門而泣琴之感
以末季善注引二桓子新論雇門周琴事一ヲ一ヲ以テ
琴弾ス今也大臣は和琴を引玉へり故に琴の感なラテトイ
ヘリオマヘノ梢ホロ〳〵トノコラヌト上ニイヒテ風ノチカラケタシスク
ナシト豪士ノ賊ノ心ヲ思召せテ侍ル心詞タミニ面白聞エタリて
きんのかんなくてと感也詩ノ詞琴ノ咸今川玉は和琴すは
琴ノ感ナラテトヽイヘリ
同乙女ニ
一老もておはするまゝに誠ニ知ル老去テ風情少シ見レ見四ツ争無一句詩に示す
番
○尺布記と云はつ淮南王は漢の文帝ノ弟テアルソ文帝ノ殺
サレタソ其時民セ歌タソ一斗粟舂一ノ食一尺ノ布ハ縫
テ一レ衣兄弟二人不相客ニて又鶴鈎在弟急難
ト云モ此古豆也脊令ノコトハ毛詩棠棣篇ナリ
一芝蘭玉樹の下謝言伝玄与に玄与謝安所為因父子経口に
子弟譬如とへ蘭玉樹欲使其生於階庭計氏族都句
詩学大成
埋雅曰
一釈鳥之胸鴒雖渠益雀之属飛則鳴行則揺大如為一
一長脚尾腹下白頭下里如連銭故杜陽人謂之連紙
詩口背人之在原兄弟急難令水鳥首尾相応和之
至也今反在原則失其所矣故以取況兄弟急難其
首尾相応如此義訓曰鵙鴒銭母其頸如銭文詩曰題
一彼春令載追載鳴説者以為春令不能自君子有取
一節又用其鳴自呼或曰首尾相応且鳴者故謂之
雖渠々之言勤也物類相成志曰俗呼雪姑其色
蒼白似雪鳴則天当大雪極為験矣
玉鬘名哥
此巻は乙女の巻に次第をたては六条院卅五歳の三月より
十二月マテノ事ヲ云ヘル也玉鬘ノ君四才ノ年メノト具メ
下を肥前国にサ年ハ申過シ侍り六条院へムカヘラレシハ玉カツウ〳〵
君廿二歳ノ年ニアタルヘシタテ魚ノ上マタ世ニ侍テハ卅七歳ニヤナリ給
ヘキ紫上サ七八ト此巻ニミヱタシト誠ハ廿八ナルヘシ
一年月へたゝりぬれとあかさりし夕かほの此詞末橋巻に同末
摘巻は若紫次ナレ共横並十るカ故に夕魚の巻につゝけん為
ナリ此巻又春ツラノ事云へヲ為ニ先クシテ魚ヲ思出テ書リ六条
院首尾大人ニウツロハシ給フニヨツテ夕貌思出ト也一あらまし公ハ
世中にあらましかはとおもふ人なきかおほくもちにける哉
空清
モトヨリノ宮ツカヘノナミニ也一おとしあふ
一ふる人のかす
長馬
さす孝経曰満而不満ハウレサせス也一わかなもらすな
いぬかみの床の山なるいさやついさとこたへと我名もらすな
一御めのとのおとこ小貮になちて夕魚上ノ乳母
一かへる波も流山しくいとこと一うれかなとも舟人の
うたふ詞也別ニ子細なし呼一市たりさしむかひてたけ
一小貮カ夫婦ヲ二人サシムカヒテナクトハ河海抄ニ小弐女二人
ト尺せラルイヤヽトソホへ侍り兵部君ハイマタアテキト云テ
ヲサナキ時ノ事ナリ三ウナントヨマシ事ヲホウナシおはせましかい我ら
はくたゝさささるましと乳母のやしかく打捨テハイヤニ男は下ル
共下リヱマシキ心ニイへリ一母人も誰をこふにかし出しかた意
行衛も関此両首少弐千両人三か也阿海花鳥説少弐夫残三里
女子イマタ十歳ハカリ也ソノヨムヘキ事不審ニて諸書不同此儀
昔ノ人ヲサナクヨリトヨメリトニヽ哥ノ前ノ詞共ニテ知ヘシムス
又共ノ詞トミユ我らハくたゝさらまし花鳥少貮ハクタル共
妻ハクタラシトヒ三ツ以下ノ詞ムスメノニハウトナ過タルカ故
開説を恋とか我思心より舟人云ト云へり一ひなの別
をまひきや一箱のみさきを過て
ちはやふるかねのみさきを過れとも我はわすますしかのすへ神
哢大へ申みは皇神と云り一勘同一夢なとにむさるに見え給
時もおなしさまなる女夢に夕貌上み立給時同やウノ女アヒソヒ
テミユルヲサラハ霊ナトニテ死給申ト思也一小貮任はてゝ
一仁徳天皇四年始置諸国史仁明天皇承和元七月勅諸
国守介云四年一・為限但陸奥出羽太宰是云官国始白
一筑前等避在千里以五ヶ年可為任限にて一すかくしう
空富
シカ〳〵ナト云詞也
一せうそこかつ文十トツ火シタカル也
長清
一ねんさうなとし給年三正五九月一大夫の望む河
一太宰府一員ニ帥権大弐小貮大監仁小監二人大典小典
大小令史等アリ小貮叙爵之時小卿ト云監叙爵ノ
時大夫監ト号ス大区ハ正六位下小監経六位花大監ハ
正三位下相当官ナレト従五位下ニ叙シヌレハ大夫ノ監ト称
一師太宰監ナルモノヽ叙爵三名也
スル也一中のこのかミントイノ中ノ兄ト云ナリ
空湯
一ぞうひろく
ソンヒロキ也一こと葉そたみたり孝経序
長清
一吾嫌二其説迂一あつまにてやしなはれたる
一さまかはりたるいつとても怠しからすは
一をはおとゝ玉セツラシ孫ト云ヨリ一いかうに一向ニ也一天下に
一仏神ハ是モ土戸ニヨムヘシ一この月ハきのはてなり三月春季
一ノ終也四季終月世俗説憚々にて一君にもしやたかはゝ松
浦なるかみの神肥前国松浦郡鏡明神は太宰小貮藤原
広継カ霊也又鏡山は神功皇后ノ御鑄化シテ石トナレルヲ
一鏡山ト云へり是ヲモ鋸ノ神ト云へキニや下ノ詞ニ松浦箱崎同
社也卜云へるに付ては石清水八幡ト同躰のよし閉王侍り然は琉
ノ神に二の義有へキニコソ一あれにあらねい我ニモアラ又也
四チマトヒ也一としをへて哥ノ心面ハ玉セツラノヲ悪テイミ
シキトモサイハイニトネシシソルニ彼監ニトウレナハ神ヲツラント思ハシ迄
監カシモハシ所ヲモ忘テヨメレハ打思ケルマヽニト詞ニモ書リ申
年をへての哥ヲ我通三リニテ八ナシト監カイヤル也ムスメ共道理
ヲアラヌ様ニ云キカスル也さまことにトハアタハト也引たかへトハ監
ニ引タ申ヘル也カタハヲ祈心ノ哥ト云ノ申ルヽ也一うき嶋を如き
はなれて河海兵部君哥トアリ甲同老空玉セツラノ哥ト也
ウキ嶋爰ニテハ非名所ウキ所ト云心也一行すゑも見えぬ
是ハタシカニ玉カツラノト関タリ一はや母といひて万葉ニアシハや
小舟トヨメリ
一同同備前也
朝綱朝臣
松ほ嶋に水をはこひしはや舟のはやくも人にあひみてしかな
一ひきのなたもなたらかに備前也
イソナハイルカノ一名也
万
昨日にそ舟出はせしか磯菜とるひゝきのなたを集みつる哉
あふ時はますみの緒はなかれいひゝきのなたの浪もとゝろに
一うきことにむねのみ玉髪哥にて一勘兵部君たな
一かはしり摂津国にアリ一からとまつより川しりをすほとく
右
”唐とまり此浦波のたゝぬ日はあれとも家に忘ぬ日はなし
扶衣
〽︎かへりこしかひこそなけれ唐とまりいつゝなにこし人のゆくゑは
清行か意見に載名如くナウハ唐泊より河尻へは三日に引道
唐泊は備前国也一胡地のせいしをいむなしくすて〳〵つ一本
一胡の地梁源郷井不得見胡地妻児虚弁損失兼而河
従漢攻胡之時漢人止胡国不得帰漢軍敗之故也後又漢
○胡之時止胡之人欲飯漢也此時卒胡妻子而漢不入彼人
剰囲之号敵国住人也以両国元便之意叶二物致シテ喩一ニて
私文集縛戒人詞也空胡ノ地ノモンナシ一水鳥のくかにまとへる
十五ケ一やはたの言と申はまつらはこさきおなし社なり
箱崎八八幡同躰也松浦事在河海君其儀も不分明にて塀
一松浦の宮部一夕の詮説有之風土記に神功皇后御覧石と成て
一銘山ニマシマスト立タリ仍一体ト云え箱崎松浦有其故昔
我国土を鎮護し始時我定恵筥を彼松原地ニ所置也仍
其石をは筥の崎ト号也にて笠崎新宮可向新羅国方
一ごしとて八幡宮五師五人有にも一切五師は夕ゝ此師の
一カサシ五人事不慥八幡言にかからす諸寺に五師は有上千曲き
五郎は八幡供僧ノ官也八幡筥崎に遷座延寿廿一年三月
廿一日充宜御説クヒナト云類也一はつせなん日のもとしもろこしも
一縁起口長谷神河浦北豊山崎徳導聖人建之十一面
十一面
観音菩薩之利生道場也長谷寺観音社二
文武天皇御
徳道仙人山
宇徳道寸聖人造立之
是ナリ
二丈六尺
神亀元年公家被建立堂
文孫玄成
帝后馬頭夫人
宗太子女
一宇同四年三月廿日供養講師行基菩薩大唐徳宗皇
形の見にクキ事を歎行ける仙人
ノソシヘニヨリ東ニ向テ日本国長谷寺観音ニ祈請シ行ケル
ニ夢中ニ一人ノ貴僧崇雲ニ乗テ東方ヨリ来テ手計人
て瓶水を面に隣と見て忽に容貌端正に成ケり
一かちよりとさためたり衆等の左大将アテ宮を思かけて其祈に
一長谷にてうつんモカ千なりとみ立たり一つは市椿市大和国名所也
紫ははひさす物そつく市の
一清少納言枕草子ニモアリ小石記正暦元年九月八日長谷寺
午時刻椿市令交易御明灯心器等参御堂諷誦布
一女端御明三万灯トにて一つほさそくして市女笠に申二
彳芫物と枕草子にモ有拾遺集詞にも春ものへまかりけるに
一ほさうそくして侍ける女ともの野へに侍けるをみたと有
一ひすましめく一側ナトサハやケル者ヲヒス一三ト云也一いとをし
けれとトハ法師カシラセキムツカルヲ云一リ一せしやう軽障ト
書幕のやうなる物に松なと云也白絹等也高松軟障ト云
一兵藤大永にいひし寛平御記候臣下有兵者にて今案昔〳〵
兵藤太ハ昭宣公ノムシソ申ハレシ人ノ名也一かいねりにきぬなと
せて河橋練ハ紅ノウスキ色也セイ五リノモニキ又着テト
云へキヲ略シタリ花掻練ハウスキ紅ノキ又ノ子リハリタルウム井
一人にしらせて
中ヒ名トハ小袖ヲ云ニや絹ナトナテハウ一モ薄キヌヲハ着タルヘシ
一またゝき瞬也イキラ目ヲハタラセス心也一う月のひとへめく
一人にしらせて御説ての字清
ウラモ十キ也一この国の守大和守也当国為神領事近代
も也屏一大ひさには大悲者観音ノ事也一かへり申賽にて
一土水の御寺観音寺在筑前国沙弥満橋造築田観
世音寺別当見万葉シ水ハ所ノ名也一その人此頃わサ
トヲホメカシ云也一又おひ出給ふ明石姫君ノ事
一いたゝきをはなれたる光やは是只高山ノ心也一ほと〳〵殆也
一二もとの杉のたちとをはつせあふる川のへに二本ある枯年を
へて又もあひみん二本ある杉一これしきせにも
いのりつゝたのみそわたるはつせ河うれしきせにもなかれあふやと
一はやくのことは古キ事は知り給は又下玉十ツラノ給也身さへなろし
一涙ニ身モナアルヽ計ト也花
○ツトノ哥の心也一こち〳〵しく無骨也一かゝる下草たのもしく
柏木の杜の下草おいか世にかゝる思はあらしとそ思
一みかと引いるゝよりひろ〳〵と二條院ノメウツシニテ云也博
一こまかへる若反万葉朝露のけやすき我身おいぬとも又こま
一こまかへる若反万葉
かへり君をしまたん
一御あしまいりに足ヲサスル事も一としへぬるとち右近ニ源ノ
カタライ給也上ノムツヤリ給ハンヤト也一この君紫上也
一しらすとも玉カツウハシリ給ハス共ト也詞より哥ニツゝケテミルへ
シミクリハ三稜山スケシ
あふみにかありといふなるこくりおふる人くるしめのつくまえの神
つくうににおふるみくりの水はやみまたねさぬに人の恋しき
一みくしけ殿なとにまうけの物天子ヨリ庶人ニイタルマテ装
束調スル人を御達殿ト云也一たゝかことはちもスコシノ事
一うきにしもかくウキは泥也一望そうに見証頭証
ハレ〳〵シ申心也一市心の文献也文書いか所也一をうなに
なるまく姫也一中将をきこゝつけたる夕霧中将の由爰に
三五タリ一御几帳のほころひより玉髪ノ女房共源ノ見奉ん也
一この戸くちいるへき人はいひとにより大方ノ人は声にせシく
心也甲ハシメタル所ニアヘシライシ一あしたゝすしつみ侍ける蝉ノ子は
父母ニ捨ラレシもウ玉カツウ我身ノ上ニヨソヘテ云へり三ツ迄モナキハ
一哀ともいまい誰かは我コソン下源給也一うちあらぬ人トは玉申
ツテニ似まハヌ人ナトモ云ヨラン心ラミント也一恋わたる身ハ瞬
身とは源の白也イカナル筋トは玉ふかメイヤに尋給ラんト也
実父ニハサシソアルランノヤスラインいつくとて尋きつらんむかつら
我はむかしのわれならなくに一花とやかて夕魚くも河に花出
やなしノ哥引前一こなたにまうて五カツテノ方へ夕霧ワタリ
給シ一けんかいきさし本イキ一シイ本一人をしたるへは得介
孝心ノシルシ也一うちとの装束ウツ所也一みそひつころもこ
一それもかゝみにたはいかゝ銘みて形見ルやウニハイヤこと也
貞観政要唐太宗甞謂侍臣口夫以レ銅為鏡一ツレ筵一ヲ衣冠
以古為鏡可以テ知二奥替ヲ一ヲ以レ人為レ鏡可二以テ明二得失一ノ朕常ニ保此
三鏡ヲ一以ソ防二己 ̄フ一今魏徴但逝遂亡一統一統一ス今案人ヲモテ
銘とするは魏徴よりをこれり又正衣冠トイへは衣裳の方にも
其夕より有之や人ノカタチノヨシアシキモ銘ニテ見ルやウニハ
イカテカラシハカルヘキト紫上ノ給也一こよはいのいといたくもん
うきたるにゑひそめの御こうちきいまやう色のいとすくれたる
とはこの御れうヱヒ染ハ面スワウ裏花田ナルヲ云一リイマ
やツ色トハ紅梅ノコキ方ニヨレル色末摘ノ巻にミヱタリ紅
一梅ノモンウキタルハウハキイマやラ色ハカサネノキヌノ事也此御
レウは紫上也一桜のほそなかにつやゝかするかいねりそへて
は姫君の御れう也桜は面白裏ヱに染也カイなりはウス
キ紅ノアヤノハリタル也ソやヽ申ナルハウツクシキ也明石ノ姫君也
一哢等ソナカハ貴女ノ着よい一部は
キ又ハ有ヘキナリ
一わさを上臈の上にまる物也下にわなく
一あさ花田のかいけのをり物をりさまなさめきたれと匂ひ
やかならぬにいとこきかいねりくして夏の御かた花友里也
海賊は大波にみる貝ありたル也アサ花田ナレハ匂ヒやかふ也
コキカイネリハ紅ノセイ子リン一くもりなくあるきに山吹の
ほそなかはかのにしのたいに玉鬘ア申キはま又も也山吹
は面く千葉裏紅梅なるを云さて花やかにくもりなき色と
云へり一此かたきのよそへは甲源此子上の人の程を見給し
心ヲマキラハサントテノ給詞也一春つむの御れう哢ヤサト
ニアハメメテタキラ送給也柳のをり物柳ハ面白ク裏アラシ
夏は卯花とも一梅のおり枝てふ鳥とひ地かひかためき
たるしろきうきもんにこきかつゝかれる白うキモンノフリ
物ニコきウチキヲ重タル也コキトハコ此也今ノ世ニフシカ子ニ
テ染ルハマネヒ物也コキ紫ノウチタルハ光色アリテウツ
クシキ也其ヲ白ニ重タレハケタカクミユヘヲ也一あをにひ
色のをり物のいといはせあるをみつけ給て御れうにあるく
ちなしの御そゆるしく五なるそへて青ニこは尼ノまル色也か
チナシ染ノキ又モ尼君ノタメシカルヘキニヨリテソヘラレタリ又
ユルシ色ハ紅ノウスキ也出家ノ人モ重子ノ事ニ用ル也例
に河海ニ黄ナルユルシ色トノセラレタル必シモ黄カチナルヘウウ
哢花に
ユルシ色クチナシノ
ス只ユルシ色ハウス紅ト一リ心得也学者ニユルシ色クチナシノ
古同
事也紅葉ノユルシ色ニテハナシ浅黄軽紅非制限此心ニ
テ書シ也一山吹のうちきの袖くちいたくすゝけるをうつほ
にてスヽケタルトハ古ヒタルヲ云カサネノキヌモナヲシウツコト云一リ
一あふよりにたり奥ノ字也ヲクハアナタ也アナタハ過ニ
シ方也昔やウノ手跡也一さかとにもてわつらひぬへう呼
末橋ノ返事ノヨカラヌラサカシラアリトノ給へり一説アシ
ラハウヘツテナト云心トニ候一こたいの哥よミは末橋ヲ云へり
一いまめきたる詞にゆるき給はぬこそねたきことは又あれ呼
例のも也人の中なることをおりふしおまへなとのわさとある
哥よみのなかにていまとゐはなれぬみもしそかし呼三文字し
大方ノ人ノ斗ソノ給詞ソリフシ人の御前ナトニテワサト申マ
シキ時三ツ君人ノマトサナト云三文字ヲやヽモスレハハナタスヨム
也ヤヲ前ナトニサシアソマリタル時ハ聞マトサせル夜ハタマク
才シキ類ノ哥也一あた人といふ五もしをやすめ所にをせて
あた人もなきにはあらすありなから我身にいまた聞もならはぬ
此哥一首に申まるへカラス拵メテ艶書哥ニアタ人ト云詞ヲ好詠
由メルやスメ所三ツノ弟三勺ンヲ云ヘシ或ハ第一ノ句シモ云ヘキニや塀
中ノ五文字也一よくあないじり古キキヲ三リ釘ト也
一わかのすいなういと所せくやまひさるへき有五家髄脳又
浜成式には挙七病喜撰式には出四病孫姫滝船有八病
是等也一めなれてこそう目ナレタルトワウイ給也
一かへしやりてんと柳ノ色モナケレハ也但三日ハシウヌカ等ニ彼窓
シキ時ハノ本哥ヲ取テヨメリ夢ニモトンホス理ト云心也
一をしかへし給はさらんハ開文ノの事ニ三のアルニはをしひし
返哥有ヘキ常ノ事也カヘシヤリテント有シニコダヘテ也
一心やすけなりトはヱせ三りノ返歌は心やスキ也
哢
打あはぬ人の物トラキヤラナル心也
とのもすくれたりと此出上に
うへの御かたちは猶たれか夕末の上ゟも言
哥枕一勘三の枕とは名所の三のをあつめめたる一草子也
五代集三丁枕能周撰也
新撰髄脳ハ公任公ノ撰也
髄脳一動広主石見女髄脳と云昔の和上か抄也
初子
一名三郎詞源卅六正月の事玉号の次年十レハ竪置ナルへ
シ玉カツラノ並ハ皆竪也
一年たちかへるあら玉の年立かへる朝よりまたるゝ物はくひすのから
一春のおとゝ紫方御方也殿日本記亭一いける仏の御国とお
ほ内生仏国は格楽浄土ヲ云一さすかに打こけて開前の詞ニイ
カメシヲ書クルニ対〆云へり一はかためのいはひしてもちいかゝみ
をさへ歯図元三ノ日ノ事也歯ハヨハイ也則ヨハイサヨメリ歯ノ
固ハヨハイヲカタムル心也高ツキ六本ニ折数ヲスヘ一ノタイニ餅大根
橘ヲモル也此餅ハ近江ノ火ヨリノ餅ヲモハラ用ヘシ是ニヨリテ
やかて其国の鏡山の哥をわかむる也栄花物語云うへわか宮に
もちいかゝみみをたてまつらせ給一千年のかけに万代を松
にそ君をいはひにし千年のかけにすまんとおもへは
日本記
一ことふきせん寿同日本社言吹寿文医一かねたちみゆる
あふみのやかゝみの山をたてたれはかねてそしゆる君かちとせは
世俗説云覧餅鏡之時誦此哥に候一うす氷と遣ぬる池の
柳似舞腰池如鏡文集一くにはねひ日なりくり十節記
口正月子日登号遥望四方得陰陽静気除憂悩之術也
又云引小松延命にて行末も子の日の松のたとしには君か千年をひかんかん
一下つかへはしはシタ物なり品クタレル女也一五えうの松にうつる鴬も
〽おもふ心あらんかし松松の上に鳴蝶の声をこそ初ねの日とはいふへかり
一伊行尺
今ふたにもはつねきかせと尊の鶯の音せぬ里はすむかひもなし
一年月をまつにひかれて拾遺集云大后常に宮内といふ人の
わらいなりける時たいこのみかとの御前に候ける程に御前なる五葉に営
の鳴けるをかれよめと仰こと有けれはつけうまつる諸人不知
松の上にフル人終人古人両説也古人トは卑下也経人トとみて
コロシキ中呼一はつ音おしみ給ふへきシサナキ人ノハシメテ文書
一三のソ君事ヲ云へり一くたくしくそある屏凡三ツクタ〳〵シキハヨロシ
カラヌ事ヲシラせン為ニ云ル詞也一花たはけに絹クハーニ浅花
田ノヤイフノヲリ物夏ノ御方ト共ゝ一やさしきかたにはあらねと
花寺カミノホソウスクナキヲヤワシキト迎えひかつらして日本記ニ云
一伊弉諾提里髪此即化成蒲萄此故ニアツララウヱヒヤツト云ヘル也
一心かろき人のつゝにて出ていなは心かろしと一さいゝかに
ハウ〳〵ナル心えウスキ也一猶おもふにへたゝりおほく源玉ヤツウニむ〳〵
シケレ共ムスメト被仰ニへタリウホキ也一さもあることそかし
地也玉申ツラノアハツケキ人ナキ所ト云ニ同聞也
一からのとうきやうきのこと〳〵しきはしさしたるしとねニ唐東京
錦筒藤の四文の白綾方一尺八寸縁白錦四方二寸計裏
一蘇芳平絹無縁也尤今桑白地錦を東京錦ト云へル也
一よしある火をけにしゝうを一説薫ノ火トリノ事トニ只只
通火桶もえひかうのまかへる衣被香射香半分沈香二分
白檀三分一スコシ十一・せンシナル甘葛ニテ合ニて此外梹榔子ヲ
少粉ニ〆入ニて冷キ匂ノ増也とヽ十分一入へシばけ衣被香トカ
ケルハ衣裳ヲ匂ハス心シ或抄云衣被香トハ見る方同ヒンラウ上
皮ヲコワケテ少入トアリ当時三種是也一てならひとものし
すちかくりトハツ子ノ人ノ乱タルニモカハリテ故アルトホメタル也呼
一説手跡当時ノニ申ハリテスクレタル也一めつゝしや花のねくらに
勇威
人しれす待しもしるく鴬の声めつえしき今にも有哉
惟成べし
鶯のなく音のとかに野内也花のねくらもうこかさゝなん
一こゑまび出たる引歌未動一さける母辺に
梅花さけるをるへに家しあれはともしくもなし鴬の声
一なさ三里にや遣し好物文集尤者同ケやケシトハ善悪ニツケテ
スサマシクソソキヤラナル心迄スクレナカラニホ〳〵トシタル姿ニハアラヌ也
一大鎮云古今集撰せうレケルヲリ貫之メシ出〆和哥ツヤヲマツ
ラシメ竹一りひと夏はいかゝ鳴けん郭公これよりあやしき美し
是ラタニケやケキ事ト思給ヘシトアリ一けふハりんしきやくの
事にリシ客ノ事は河海ノ説アヤマシリ大饗は毎年正月
三公ろ〳〵是を行フ其時請客の使なと有て客人をことさて
招請めて藤氏の一の大臣は氏の長者たるによりて朱器台盤を
氏院ヨリワタクシテ用シヲ用シ也自余ノ大臣ハ赤木里挿ノツクヱ
膳器を用る也長者あり鷹飼なとわたる義也臨時客ト云は
一正月二日三日の間開白大臣の第一客人のフと来レるさて臨
時客とは名付なり其時は台盤なとは用を折数多かつきらすユる也
催馬楽朗詠カタヌキナト也楽器ヲメサス笏拍子ニテウタフ物也
源氏君大政大臣タルニヨリテ臨時客ノ事執柄ノ臣ノ如シ
客ヲやクト云ヘシ并横政開白家ニテノ名目也但六條院ハ大臣
ナヤラ執政ノ職ヲモ兼タル程ナレハナスラヘテ云ヘル也一勘
一かろしかし地也源ノヱう人ラナシ給事ヲ云へり一とりはなちて
はいうそくおほくイウソクラ有職共カナリイウソクハカタナリ
ハシメ芸能ニイクルマテノ事ヲ云へリ一あれはたきとき
夕ソ半時也一このとの打いつるむへもとみけり華草に説ニア
るカ後漢書には朱草福草なと云り延喜式にモ福草又
材種と云り風土記紫草曽祢繁集になき草を若菜に
ツミテトヨメリシカレハ春ノハシメニ萌生スル草ム三葉四家トアル
に付て木共云へり此草春初聞三葉四葉に萌にて又桧木共去り
日本記ニ少彦名命於木ノ種ヲ蒔テ家ヲツクラストアレハ也又
一三枝祭共云へりソレハ三枝の花を折て酒樽をかさると今の文に
モアレハ各別ル但サキ草ノ三ハ四ハトツヽケンタメニ今ノ三枝字
モ心カコフと一はちすの中のせかいにまたひゝけさる心ちす
於蓮華中経十二大劫観経又十楽ノ中ニ蓮華未聞楽人也
一平枝蓮の中に劫を経る間三の不足あるのみ也仏を見す説法を
き力ス仏を伝養せスにて東院なとにある人々の芯に似たり
けなる
おちたきつ瀧のみなかみとし一もり
〽おいにけらしなしろきすちなし
一世のうさおもに人にほたしなりけれ一滝のよとみもはつかし
一くろきかいねりのさひ〳〵しく
カイネリハウスキヌノハリタル也ハリヤス入ハ黒クナル也サイ〳〵シクハ
サや〳〵トハリタル也一さるをり物のうちき此ヲリ物ノウチキモ末椅
ノ方に用意せラレタリ何色共見ヱスクホツヤナシメル一かさねのうち
きなとはいかにしなしたる此御手中ニカササ子ノナキヲモ一ル例ノ
ウ閑にて給へる心にや大方源氏ノウクリ給へる柳はこうチキ古へシ
次に黒きヤイ子り一かさ子は色き又の乏しさる物のウチキトは上を
ナトノ淮シカサネノナキハ一重ヲカサラレ又フ云ヘルニや呼ウチキハ
打タルキ又也ヒトヘト云物ハキヌノ下ニ必着ル也カサネハ五十五ナト
アマタカサヌル事也一ふくミなへたるタゝ内ニノスカタハキタル物ノ
サヤメカヌカヨキト也一ぎすくのへにルスかやカ也又インキンヲモ云
風流ニナキ也一あへなん花アリナント云詞也甲一同私不審ニ
アハント云詞ゟ一七重にもなとか
七重にはぬひかさねゝと人しれすおもふ心は千重にも有ける
一をれ〳〵しくホレ〳〵シキ呼愚なる也前ニ折ルハスクニモナキト云フ
類字源語
一匁ゆき三事也惣子源ヲ一きほひとも雲風ノヲホツモマシハ
リアラソフ心也一むかひの権二條院ノクラ也東院ヨリノムカイ
ト云一り一よのつねならぬ花をみら哉鼻ノ心也一あをわひの木
丁出家の人の几帳のかたこう青竜を用る也一松かうら島を
はるかに
音にきく松かたら島給ふそみるむへいあるあまはすみに
一おり〳〵かさねていまとはしし仏にかしこまり空蝉源ニツレ十十
ムクヰニ河内守十一メキシヲ思詫テ居ニナル也ソレヲ仏ニカシコマ
ルト云へりすなほにしもあらぬ源ニツレナケレ共河内守十一五クト也
一たゝかきりあるみちの別のみこそ一いのちそしらぬ
かきりある別のみこそかなしけれ誰も我を空にしらねは
一おとこだうか踏哥濫觴前巻有持銃天皇七年正月丁漢人
上なからへは顔そしさぬわか
あれしと思ふ心はつきそいりて
酉
祝上
踏哥をタテマツル是新年ノ説詞也哥頭以下折引テ月花
門より入て右近陣の前庭別立天皇出御清涼殿の深庇に
御椅子ヲ立テ御座共内蔵寮禄ノ綿ヲツミタル机ヲカキテ
一殿前庭にたつめしによりて東の簀子に着座と御厨子所酒
看ヲ供ス踏哥ノ人漸スヽミテ南殿ノ西ホトヨリ網子ノ奏ハ
〆仙花門より入テ東庭に別立周旋三度ノ後言吹御前ニスミ
て祝詞ヲ奏シテ歌曲ヲ奏ス舞人等東面ノ階ヨリノホル内
侍二人相分て綿を取テ踏哥の人ニセツク其後所々踏言
一暁に及て帰参歌頭舞人等座を庭中に儲られて各禄を
給テ退出スル為男踏哥ハ十四日ニアリ殿上地下ノ四位已下ノ
一輩シカルへキ所々メクリテ催馬楽ヲツタヒ舞カナツル事
有是は昔正月十四五日京中の遊子月に乗めてまたこなた
ヲメクリテウタイ舞シヨリ事シコレリ末世ニ千秋万歳ト
云テ逸興ヲモコホス事アルハ是ラノ余風也円融院ノ天元
六年正月男路三つ有シ其後は記録なとにて所見十シ儀式
西宮抄にあり一水むまやにてことそかせ九條右丞相記
承平四年正月十一日踏哥飯駅水駅被定之中宮は
飯北方は水今宮は飯許左大臣の宿所は飯右大臣宿所
は水左右大将宿所飯にて今案水ムマやトは踏哥ニ云ツタへ
タル事也踏哥ノ人ヲ饗応スルニツナテ酒或湯ツケナトラ
用ルヲハ水ムマヤト云事ツキ簡略シタル心也又飯駅共製駅
廿云ハ引ワクロイテ饗応スル義也踏上リノ人所々ヲメタルヲ
駅路ニタトヘタリ其駅ニハ馬ヲハセラトヲレハ水ハ申リラ人モ
ノミ馬ニモ申フニヨリ水駅ト云又人ハ飯ヲ食シ馬ニハワラ
ナトシカへハ飯駅□共云カ如ク酒肴ハナリヲ用ルラ水ムや
ト云卿食膳ヲスルヲハ飯駅ト名付侍る也
一あを色のなへはめるにしらかさねの色あひ李部王記踏歌
一人装束纓冠麺塵聞腋泡白下襲着深沓持白杖
一西宮装束抄云青色麹塵袍白下襲半臂白石帯深覆
綿花白材今葉此青色ツハ哥頭以下コト〳〵シケ是ラナル熨
計と袋持此二人は位袍を着スル由見ヱタリ白杖は舞人てて
是ヲ持ヒ舞童ハ糸鋳ヲハクト云ヘリ
降青色ハ麹塵廿云開腋わき写シ
白カサ子下カ草ナリ
一殿の中将君夕務也内のおほ殿致仕大臣と一竹河うたひて
催寺原竹江タケ河ノハシノツメナルやハシノツヌナルや老ソノニニ花ソノニ
ワレヲハハナテ我ヲハヽナテヤメサシタクヘテ一かよれる舞ノ袖カヘ
ス躰也一かうこしの世はなれたるい鳥今葉高巾子冠はコシテ
高クシタルカフリ白キ絹ニテ是ヲハル蔵人所ヨリ是ヲクタシ給
一フ六位舞人ノウチ是ヲ着スカウコシキル物は綿ノシモテヲ
一カフヽル由ミヱタリ常ニミナレヌ姿ナルニヨリテ世ハナレタルトハ云ヘリナケレ
一ことふきにみたりかはしき踏歌立御前奏寿詞一わたかつき
一わたりて内蔵寮より恐レヲ奉ルヲ内侍蔵人等東階ノ上ニ医ニ
綿ヲ入テ持ム申へは哥頭以下舞童以上双々ニ舞スヽミテ階ラノ
ホリテ彼綿ヲ給ヒ琴ヒキ以下ノカツラ綿ハ六位蔵人簾中
より取ツタヘテ庭中ニテ是ヲカツクル也是ヨリ芋ニ又机ニ綿ヲ
ツミテ置タルヲ袋持スヽミヨリテ一十千万ト綿ヲセスヘテ袋
ニ入テニナヒラキ又カモト云哥ヲウタイテマウル由ミヱタリ絶テ久
事なれは慥にしれる人なし六条院には内蔵寮あゝるへゆらす
一あされはみたる矮損シタルンサレタルいも見上一まんすらくさ
くちすさみに西宮抄云踏哥ノ日舞人起レ座唱万春楽ヲ我皇
一延祚億仙齢万春楽元正慶序年光麗
催馬楽也淡海三船撰之
多シ少伝
一今葉春楽ハ都テ八句詩也ソレヲ漢音ニウタイテ句コトノアハ
ヒ三方春楽ト唱ル也踏哥ノ舞ノ人ノ立サマニ云事故ヲ源氏ノ君ノ
御クチスサミニノ給也二勺書付侍り河海踏哥ノ哥ニ我家此殿
万春楽十八ソリ此四四品也一わたくしの御えん踏哥の後宴了絃
一也延喜七年二月廿二日は記曰踏哥掌所奉仕踏三ツ役宴にて
御射場中務卿親王左大臣已下侍吏呂殿上公卿等頭召君
書列如例御賭物臣下賭左衛門
負見事也西宮抄ニ云ヱタリ其ハ内裏ニテ人ま也私ノ後宴六條
沈にて御方〳〵ツトヒ給フ次ニ女楽有へき用意有サレ共有増は
ヤリニテ其事アリ共ミヱス一市くろともして管絃ノ器皆
袋に納本義也一ひめをかせ和秘置也オラフヱト云時ハい生
篳篥モハ由ノ中也コトヽイヘハ十三絃ニカキラス和琴琵琶等ノ
一とき物は皆ことの中に入し筝の袋わるはしきは錦二はたはりにてら
ラツケテ琴ヲツヽミテ四所クミニテユヒタリ筝ヨリアリタル程ハ
一尺ハ申琴ヲ入ル也ノ手モトノ方ヲ先ニ入ルト云ヘリ琵琶ノ袋ハ
ヲモテ錦ウラハ唐フヤナトニテ双六ノ調度袋ノやうシリノ方ヲ
一・口ニシテフセクミハウスヒラト云クミヲ又イメハアリニラスト云ヘリ或ハ赤
色ノフセンレウヲモテ花田唐アヤノウウツケタリコウノ方ヲクヒノホ
トコリナカウハアリヲ切テ其リメノホトニ渚ヲ付テユウ神州也ト
云へり和琴ノ袋ハ筝ニ同或説ニ和琴ノ袋ハ唐錦ヲ用へセウ
ス我国ヨリ出来タル故ト也笙袋笛袋モ有ヘまシ衣笠
一前内府ノ雑抄ニミヱタリ
歌頭
一延喜踏哥図頂上
以上
以上
申上候以上
□□
東階喜献上
生産業
に出勤
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
七斗判
申上候
歌頭
歌頭
歌掌
舞童ハ舞人ノ別ニアリ
舞人
琴引已下ノ十二人云
和琴踏掌
別人トモ云也此内九人ハ
琵琶楽人
楽人也
百文ニ
筆之
位袍
熨斗
袋持
同
○胡蝶名詞二ツ竪並迄同源卅六歳三四月ノ事也
胡蝶
一ほかの里にはまたふりぬにやは此所ノタクタクヒナク面白新ナルヨリ
思心也屏イマタラシナヘタラスル室外里ノフリタルヲミシ人只今爰ノ
サカリヲミテ外ノ里モフリ又心チせシ也外にいさたる桜もと
云へる詞にて外里の義心得へシ一いそきざうぞかせ舟の装束也
一屋形のヲホイ幡の優ナト也一うたつかさ雅楽寮人也
一東のつり殿に亭十ト也一こなたのわかき人々紫上方也
一龍頭鶴首竜ハ水ヲ心ニ任せ鶴ハ風ヲ心ニ任スル也故此形ヲ上
一ほかにはさかり過たる呼外ノチリナシノ哥ノ心下ニアリ一羅うをめく
白氏文集
れる焼廊紫蘇ノ祭交砌紅薬欄白氏文年
一一波のあやにもんを柳無気力枝先動池有波文氷昼開朔
水のおもにあやをりみたる春風や池の氷をけさはとくらん
一まことにをのゝえも一日敷はをのゝくたす山なれや入にし人の音信
薪こることは昨日につきにしをいさをのゝえはこゝにくたさん
引哥ナクテハ誠ニト云字不当ト也一ツ爰ノ哥共ハ中宮ノ御方ノ
人々也一風ふけは浪の花さへ一説山吹ノ崎近江国にて
或云非名所と宇治ニ山吹ノ瀬アリ若同所と蜻蛉日記云
石山に参テ帰とテイヤツキ山吹ノ崎ナト云所ヲミやりテアシノ
中よりこき行十ト一わめの上の山も天気不見蓬莱不敢飯
童男童女舟中老一ゆたかたもかつらん里も劉農院肇
天台山へ薬ヲ取ニ行テ桃ヲ取テ食シ一里ハアリ行テ仙女ニ
一逢半年史帰ト成テ旧里ニ帰レハ七世孫ニ逢トニて剰農
一院概二人也刻県ノ事レ入天台山採薬迷失道路ケン迄
一わう上といふかく皇寧平調一花をみきませたるにしきに
見わたせい柳桜を又錦上鋪花ト云説かり一あなたうと
催馬楽呂
桑名高催馬楽品一春のしらへ浪の音のけさからことに
きこゆるは春のしらへやあえたまると一かへりこゑに古春楽
喜春楽呂也反音は呂より律ニウツルを也喜春末は
黄鐘調の楽也平調にもわたして用るにや可尋但意修綱
モ律也哢カへリユヱ律ノ品ニナルニや只律次第一青柳おり
いへし催馬侯青柳ヲわタ糸ニアリテヤソケヤ湾ノソケヤ尊ノ又フテフ
アサハフケヤ梅ノ花カサヤ
一中二マハ物へたてゝ春の御方ヲなフウホシケル也一いつも言
の光をこめ得衆人悲々如登春台悲和し一門をつくる
さゝれ石の中に思る
よすか此上子十斗も也一えしも打出ぬ
はありなから打いつること
のかたくも有哉
一ざうときはやりセハイラレ也早速ト云
一むらはきのゆへとは玉カツラ源ノツムスメトンふちに身なけ
渕也藤にいへタリ一おなしかさしを兵部卿は連枝ニウハ
スレハ同カサシトノ給也タテマツレ給トハ盃ヲナシ給事也花寺
一中二ツヽの御読経六条院ニテアリトミ二有例也一ひの御よそ
十五ケ
一ひに諸抄ニ誤レリ別ニシ笑十五ケ一ひるはりなとも有り屋形也
経給也幄布也
一あくら握等
胡床
一ひらはりなとも申屋形也
日本記ニアクラトコメリ
呼
楽人ノ座ヲ云へり
胡床ナトニ腰カケタルナルヘシよ」一注
一行香の人々
一花におれつゝ情ヲ折名廻一器のうらゝかに鳥の末に
アへり一鳥のかくむやかに鳥は一越調楽し鳥の末に感めて花に
鳴鴬其池の水鳥も特るかト也蝶は宇多院御時被造之
松郡主記ニ見花鳥尤瓶に山吹ヲ指タレハ蝶ノ童ハ山吹一世
ノモトヘ舞入ナト云ヘシ一ハ蝶ノ舞ニ感シテ浅ノ蝶モ山吹ノ
マせへ舞入共ミヱタリ鳥ノ楽ニ池ノ水鳥共ノ転ト云ニ対シテミ
一蝶寺わらハ八人花ノ弓ニ舞出ルトアリ花瓶モテスル童ノ刻舞人共カ一切童刈鳥蝶ノ舞人モ
是ハレノ世ニモスニも也哢
ヘシ一てうはまして呼舞入ニゝマコトノ蝶モ鶏ノモトニ
舞心ナルヘシ鳥ノ末ハ遥ノコヱヲアハセシカコトコトコトコトヲ
一禅蝶は夕・童の舞たルスカタナルへシ用此義一ものゝ師とも
はしろき一かさねこしさしなと可白細長と前に桜の
細長トアリ其ツヽキナレハ細長ト云詞略シ名も腰差疋絹也
腰にさしはサム物也哢し口き一かけ子とは申又事のや一勘合点
一藤のほそなかうへた女のさうそく女ノサウソタハモカラに又十
迄其に中宮の我細長を又きてかつけ給也一昨日はね
になきぬへく
我宿の梅のほつえに鴬の音になきぬへき恋もする哉
心アリテへたてスハト也
一こてふにもは名にし猶又は八重款冬そよりけるへたてゝをける君にて
一すくれたる御羅うともにかやうのこといたへぬにや有無おもふやう
にこそみえぬ御くちつきともなめれ春秋ノムケツヤウ〳哥は読サタ
キ物アト也地シ空私同也呼上臈夕千ノ哥ニハサシモナキト也
一むかしと云詞マテ作者の詞也味一ふかき御いよち井やあさく
もいかにも花心深キハカヘリテ浅クモイカニモナルワサト云ヘリトラウ
ひの御こそひに只下ノイスカタウアラタステヒルノヨソイニ成タルヲ云ヒ
有ハラウ〳〵シキヲ云也呼深トハ心ノ奥ヲハ不知也空口諺イカニ
モ深キ御心ノ又もニ触テアサ〳〵トシタルカ本ノヨキ心也玉心也
一さるへきほとゝ兄弟アツセイ也又源十一五十心有之
一君にひかれて夕霧ニヒカレテ也一そのかたの哀玉岩
モルヲヱンナル方ナラテ兄弟ノ心下ニカヨフ也一わひことも
一窓の山にはくしのたうれたち今祭孔子ノタウレト云事は
昔ヨリ世ノコトワサニ云ツタヘタリ孔子ホトノ聖人ナレ共時ト
メタウムタリノ有如クト也本文タツヌルニ及サルヘシ諸抄ノ
説皆まや一レリ河海ノ説相遣ナキ也空孔子ノ事ヲモヒケ共
只世俗に云たる詞じりウのソマツとなと類也呼盗路と孔子
タハフレ
トノ事ナルヘシ一そほれハ
一あされかましきサレカマ
サレタル也
一シキナルへシ処と心申候一重にやけう尤字イチシル十心也空
一匁よりことはし心心つ一なてしこのほそなかにこの比の
花の色なかさうちきナテシコハンモテ紅梅ウラ香也此頃ノ
尤は卯花カサネヲ云ニや一みるこ童女ノ色一をのつから
おもひあはする世も玉髪ノ兄弟トシルヘキト也先云マキ
ラハサントノ給へり一屋ゝましきを疑心モアリ心やマシキハ
爰ニは叶見一世の人のあめるかたにシカルへキ人ノ室ニ
モ成給テ下也一めしうとか思人十ト云名也
一大将はとしへたる人のじいとひそらに大将本多
シスサメテ玉カツラニ思ウカケタルモワツラハシト也ヘカテラニト
云ニテ心ミルヘシ空一おいらかなれハソイラカハ真実ト云也
老人はコトウルハシケレハ云上一世のたとひの後のをそれと
後ノ父ヲ父トセヨト云事アリ一をの無之にやシノセ代々ニ
ナリニケレハナトアリ我ハワレト縁ナトニソタ一ル心也
一升さり出て少礼義アルシ玉ノ返哥ハ銭ノヲヤノ事ニ取
テヨメル也一むかし物語を見給にも住吉物語ナトニモヲやニモ
ウトク成シ事有一わして又きよし四月天気和旦清録
一槐陰合〆沙堤平ナリ白氏文集一なこやか柔
一風の竹になる風生竹夜窓間臥月照松時台上行朔
かきりなく名におふ故のか斗なれは
一かきりなくそこゐしらぬ
そこみもしくぬ色のふかさる
一打世なれたる人の呼大方ノ世人ノ古ウヰヲモ玉ウツラ上タ
知給父也一うちとけてねもみぬ物をこらわかみねよけに見ゆる
一色に出給て後はおほ田の松の思はせたることなく
摂津国也
大田の松の哥は六帖にモ又朝継集にも重之集にも有致しか〳〵
心ハ色ニやイテマシト有有増もニイヘルソ物語ニハハヤ追ニ出
給へレハ大田ノ松ノ思ハせタル事ナキト云へリ面白書タル物
哉花鳥恋わひぬ猶ほ田の松のおほかたは色に出てやあんといは
○同軍
一名詞哥源介六歳五月の事竪置也
一人さまのわてかにニコヤ申ナル心也和字也一さみたれに煎
うれへを盛明親王集九條右大臣の御四君に申立給ケル
わひつゝもこのむ月日はある物ほさみたれにさへ成にける哉
神代よりいむといふなる五月雨のこなたに人をみるよしもな
もる
一この君たち空キミタチトコミ給一かたいらふし給へり三十五匁
一蛍をうすきかたにウツ等ニモ蛍ツゝ事有河内方ニハウスキ有
ナトヨム只ヒ夕ナトノ間ノウスキ所ヨリモリタル也呼禅閤御説
木丁ハヽツヽミテヲキカタシ只ナラシノ袖ニ包テサトハナチ
給古へシ一えならぬうすものゝ木丁ノ帷衣ハウス物也
一そひやかにふし一あのことアンノ如也一なくこゑもさす
ぬ蛍ノヲモヒタニ人ノ云シケツニハキヱスト也一ぬれ〳〵夜
ふかく出給ぬ作者詞也郭公なと
四五月丈雲外語二三更後雨中都
一五日にハ馬場のおとくに東ノ御方ノ西対ニ玉住行へハ馬場ニ近シ
一うち〳〵はしらて源ノ父は又ヲシラ又也一匁めしにも引出つ
へきねに長根ニムスヒ付タルトハ根ニ音フナク事ニ去ラへ
一色もかへぬあやめも文目也菖蒲ニヨせテ云一リ
テタヱス涙ノホトヲ見せタル也一わか〳〵しう色ヲワか〳〵シウ上ル
一くす玉なと昔武徳殿ニテ五日ノ節会行シテ騎射ノ
事アリ其時之内有典薬官人アヤメラ献ス又内侍薬
玉ヲ大子已下ニ給時クス玉ヲ右ノ肩ニ打カケテ左ノ脇へ
タレテ二ノ緒ヲ分テ腰ニユヒテ各拝舞スル也続命縷ト云也
只命を延ルイハイコトにスル也内裏には糸所より薬玉を契
一中将のけふのつかさの手つかひの五月四日を荒手番五
一日を真手番にいたる手詰は左近の真手詰迄五月五日に
アタレリ夕霧中将左近ナル故ニソノコ共引ツレテマイランスル
由申給也啼手ツカイハ馬ユミノ時二人ツヽツヽツヤテ射ルコト
一左のつきにいとよしある官人御官人は随身也殿上人
ニヲトルマシキ容義もしん教専官人ハ将監将曹府生ヲ
云ナリ一いまめきたるすそこの御木丁末津は御木丁ノカタ
ヒラ上ハ白クテスソヲ紫或ハ紺ニ染タル也一さうふかさねの
あこめふたあゐのうす物のかさみ草重面は青ク裏白
色也裏紅梅也花鳥二藍一四人一あふちのすそこ
のもなてしこの若葉の色したるからきぬ樗は面薄色
裏青也スソコハスソヲ紫ニ染タルヲ云ヘシナテシコハ面積
芳裏はゝ一説面紅梅裏青也是は花にかたとる色也若葉
ノ色ハナテシコノ葉ニカタトレル唐衣也シカラハ薄萌黄ト
河海に云へる相遣なし呼問裳にも中又のことく色にあるへき
答サノミ多キ又ナトノやウニハ十斗也スソコトハ勿論也からきぬ
問ツ子ノキ又ト差前藤谷裳ヲキル時ニ着スルヲ唐衣ト云
今ノ世ニモ髪上ノ内侍ナトは態也一郎なてしこの君葉の色
裏萌茎一こなたのはむさひとへに花両里也濃らラ
ヲ重タル衣也一望にみたち源ヲホシヽ如シ一手つかひ
次将
とも大やけことにさまかはりてすけたち吹将かきつれま
や
いりてさまことにいさめかしうあそひくみし給ツサの手
一結には官人共馬に乗テ的ライル大やケ事にせマカハル
トハ大やけは人々申タンニヨリテ少々マイラ又モ有ウ此時
ハコト〳〵ク参リアヽツルヲサマカルト云ヘシ又ノト結ニハ官人
ハアリイルヲ今日ハ上臈ノスケタチモイルヲサマカハリタル共
云ヘシ甲左右ノ騎射ハ至斗也中少将ハ不射シ六条院ニ
テハ羽林トモノ討ルヲ云也一勘一とねりともさへえんなる
さうすくトなりは近衛を云也一身をなけたるてまをはし
身ヲステ勝負スルシテマトハシトハ干シクム義也恐レい競馬
ノ事ヲ云ナリ馬場ノ手結ハ騎射トテ馬ニ乗テ的ヲ射
ル事ハヤリ有テ競馬ノ事ハ十キウ五月五日ノ節参或
武徳殿ニテ行ハルゝニハ騎射ノ計果テ競馬モ有シ又武
徳殿ニテ十列ノ競馬アリ其後馬弓ノ事アリ五日ニハ
五位巳上ノ人ノ奉レハ馬ニ乗り六日ハ察ノ御馬ニ乗テ
競馬の事あり今案騎射ト競馬ト近衛の装束
不同競馬ニハ打懸ト云モノヲ着ス陵王ノ装束ノ如シ
騎射には只褐衣をは着ス二やらゝ装束をたり舎人
トモヱンナル装束サウヲツクシテトハ競馬ノ装束ノコト
一たぎうらくそんなと
十ソリト
云本モアリ
あそひてかちまけのらんさう
打毬楽納勇利六日武徳殿騎射ハテヽ打毬ノ斗アリ
唐人の装束ニテ馬ニ乗テ毬子ヲハシムルヲ打毬ト云
其時奏する楽を打毬王トハ迄納模利モ六日ノ競馬
ノ日雅楽察是ヲ奏ス勝負ノ乱声ハ必競馬ニ有れ
一なをもあれ十ラ〳〵三キはカサラ又体也同計と
一そちのみに源御弟也蛍宮モ本は師也おほ君くしき
ソウやウニノサナル也源語抄呼孫わめく也一猶あるをはよし
ともあしともかけ給はす今日の物見に御子夕千丑夕一シ
可せ共兵部卿師六千トの外は花敷の詞にかけけ給父也呼に
源ノ批判ナキト也一おましなともこと〳〵にて各別也
花ナルト源一その駒も
色をとめてかる人あるをあやめ筆あやあやしく駒のすさめされは
菖蒲をは馬食せス花敷里の我身にタトフ今日ノ御遊に
スサムト也一にほ鳥にかけをならふる鳩鳥は枕詞也
玉ひ
カケウナラフル鳥也
わかこまと今にあひくるあやめ草おひをくるゝやまくるぬる
若コモトアやメト申ケヲナラフル也花敷と源と引わサルマシトタハし
一あいだちなき無二夢達草子ヨリ一リ両首ノ詞ノ批判也
一ゆかをいゆへり床クハ源ニ五ツリ給は一にしのたいにいまして
めつらしくアカシノ上ナトハ絵合ツキヽナレ給也一すみよし
の姫君のさしあたりその折をいさる物にて住吉物語に
一中納言ノ始三人あり中ニ一ハ言腹ニテスクレタルヤ
一ツゆヘせサせントテ出シタテケルマヽ母我腹ノムス又ニ思マシ
給へル事ヲやスヤラス思テ六角堂ノ別当此非君ニ忍テ
カコフ由ソラコトヲ云付テアやシキ法師ヲカタラヒテ姫君ノ
公対ヨリ出テ行ヨシセサセテ中納言ニミスルニアサ一三ト思テ
宮御中一ノ事ト一リ又其後内大臣ノ子ニテ宰相右兵
浅盛なる人にあはセントスルニ一々母又カソへの頭トテ七十八カ
リナル翁ノ目ノタシンソロシケナルニ又スマセントタハ申ル主計頭
ヨロコヒテ何比ト定テケリ是ヲ姫君閉テニケテ住吉ニ
忍住けり故ニ住吉姫君トイへりはる今案住吉ノ姫
君の其世にもてなさしたるはさる物にて玉かつての今のこむ
ハナらサリサマニ侍ケルニモ主計頭カウウソロシサハ監カ思ウテ
タルニヨソヘテ侍ルト也哢サシアタリケントハ其時ヲ思やルハ勿
論可然姫君ノサマトミヱタリ今世ニ思フモト也
なけきこる人入山のをのゝえのほと〳〵
一ほと〳〵しシトロ〳〵シキ心也
しくもなりにける哉宮つくるひたのたくみの
てをのをとほと〳〵しかる
めをもみる哉
右後撰十七銅ニ云人のもとよりひさしう
心ちいへらひてほと〳〵しくなん有つるといひて侍けれはとて
一さみたれのかみのみたるゝも
郭公をちかへりなけうなひこかうちたれかみのさみたれの比
一いたつらにやうとき古今序に絵ニ申ケル女ノ事を可思也
一細ニ申タ心トハサやウナル心ツクナシト也
一かたいつくかし心ツクル呼説な一いつはりなれたる人や玉ノ語也
一神代より暉メノ給シ一日本記なとい双巻始神代至二
持統天皇御宇二品舎人税王安麿等撰之一よきも
あしきも呼又ナクサメテノ給也一人にしたかはんとては
慶式部作意ヲ心ニコメテ寫言ヲ述ル也甲一人のミ
北
「愚案
かとのさえ才也トニも哢さへにて詞たるへき也
祇同
一これにこそ総メノ物語ヲイへリ別ハ此物語ヲ抜物抜け
一仏のうるはしきいにてときをき給へる御法もはうへんと事
一有之花専シハラク天台宗ノ義ニヨラハ法華ヲ真実トサ
タムルニ付テ候所前ノ諸教フハ方便トイヘリ方等経ハ五時
ノ中第三時ニアタル大乗教初門也浄名思益等ノ経シ
小乗ヲ弾仕シテ大乗褒美スルユヘニ三分等都ヲハ弾呵
褒美ノ教ト云二乗ニ対シテトキ給故也ラヨソ仏ノ方便は
イカニモ衆生ノ機ヲカヽミテ説給ヘル故ニ十キ事ヲモ有ト云
又有事ヲモナシトノ給フ爰ニイヘル事カシコニハ又セハルイツレ」
ヲ議ト決定シカタシ所詮ハ衆生ノ万材ヲ補ヲ調テ二執ヲ放
レテ終ニ一貫道ニ帰セシメテ一胸ニラサムル也三界唯一心聞
無別法ノ道理也ニ煩悩ト菩提トハタトヘハ水ト水トノ如シニ
水氷ハ只一性也云こへは菩提の水水となるサトレハ煩悩ノ
空有
水水トナルカ如シ一ヽタク各別ノ物ニアラス善悪不二邪正
一如ノ理ナレハシハラクヨキアシキハナリノヤハリメジヨクイヘハ何
煩悩則善捷ノ心ヲ〽思トク心ヒトツニナリスレハ氷モ水モヘタテサリナリ
此段ニチワマル也
紅色ヲ面ニ
事モムナシカラストカヽル絵物語カナ草子ナトモツヘレニヨリテ
紅色ヲ面ジヤク
或者必哀
益ヲホトコせハ則方便ノ諸教ト更ニ申ハル所ナアルヘシト仏ノ
一会定誰
ノ理ラ
御法ソヒヲカケテ理ラノヘ給フ也甲方便ノ教ニ空ラヱシ弟
サトレハ
一つ胸に
アタル也
子共方等部ニテ迷惑セシ事在也然而方等経テハ諸教ニ
通シテ大乗ニ入初門タリトホメタリ別注シ別臣ノ外ニシテ
本意ハ凡聖一如善悪不二ノ理ヲ説テ衆生ノマヨイヲ
速ニヒルカヘサントンホシメス心アレハ大悲ノキハマリ是ニ過タル事
有マシキ故ニウルハシキトイヘルト此故ニ国モ実報花王ノ土ツ
現シテ仏モ報身ノスカタ・説法モ三界唯心ノ法ナレハ仏ノ
心モ法モウルハシキスカタナルヘシ是花厳経分シ方便といふ
事有之最初ニ大乗ノ法ヲトキ給フ事ハ仏ノ本意也
サレ共時イタラサル衆生ニ不相応ノ法ヲ説給へは梯教相違
一スル故ニ三七日思惟ノ内証ヨリ実大乗ヲやハラケテ権
一教ヲ説給へりニ者中ニ阿含経一向小乗也仏モ芳応方
所化髪ヲソリ衣を墨に染る事よりハシマシリ銭はサモ有へ
キ事ナラ子共申マリニ衆生ノ物毎ニ執心深ヲ故ニ立シテ
ヤフラントテモヤウノ方便ヲマウケ給也花厳三七日ニ阿合
一十二年般若廿九年法華八年涅槃一日一夜方等無説時
一さとりなき物はこゝかしこにうたかひをゝきつつくなん方の寺の
都におほれと呼阿合経ノ四諦ノ法門ハ一ツタク如来
ノ本意ナラヌヲ前化ノ柿根イヤシクテマコトソト修行メ
法界空ノ理ヲハ不レ知シテ只心アレハコソヽ身アレハコソト思テ但空
偏真の理ニ落ハ干タル故ニ仏又手ヲカへテ衆生ヲ引導シ給
フ故ニ方等経ノ中ニ四教ヲナラヘテノ色シニ説マシマス恐レハ
調法
一浄名経等ニテ侍リ此時昔ノサトリニモツカス今ノサトリ
ツモヱス所化ノ衆生只ハウセントシタル曰ヒ一会ノ衆有空
錯乱シテ逃棄泣テミチニフルイ善吉忙然トシテ一鉢ヲナ
グ是ニヨリフヤク恥小幕大ノ梯ハ直ニ囚ニ越ヘ或ハ別ニ
モスヽミ或ハ通ニカナヒ又ハ三蔵ニトヽマルサレハ四穀並討ノ
教トモイヒ又弾呵ノ教共云シ一いひもてゆけいひとつ
むねにあたりて般君調汰ノ心ル彼阿合ニシテ砕空砕破
ノ空理ニシツミ方等ニシテ有空借乱セシク今ハ畢竟皆空
ト説テヽ技土ノ柿ヲユリソロヘテ有空二念ノサトリヲ与ヘ行フ
是レヲイヒモテユケハヒトソ胸トイヘル也又般若ニカラス万
法一如ノ心上とも一ほたいとほんなうとのへたゝりなん煩悩
一則菩提生死即涅撃ガ示ス案々此物語一部ノ大意
作者已証ノ起是ニ立タリ方便トハ此花已前ノ諸教也
方等経トハ方等部ノ大乗ヲ指定余前ノ諸数雖区至
法華調柿於一縁悟一実円融之旨又煩悩即菩提等是
ナリサトレハ菩提トナリ二ヨヘハ煩悩ト成也此等心也啼
法花経ノ内証アラハレテミレハ塵々法ニ一色一香シナカツヽ
純一実相にして更に別ノ法ナシ天際日ノホリ月クタリ
蓮花は丸ク松葉ハ細メ立レ誰カナセル理ソや只天狗ノイハス
メヲノツカラ四時ノヲコナハレタル道ハアリシ如此スカタラハヽアル事
モナク説故ニヨクイヘハト云ナルヘシ真実ト云ワモ四十余年ハ
一真実ナラストミ上タルニ菩提ト煩悩トノヘタリナキ事ハ
一龍女無垢世界ノ威道ニテキコヱタリ毒龍ノ角ヲステ鱗
ヲアヘタルニモアラス只其マノ成道也彼意未開会ノ時ハ
シハシ煩悩菩提ヲ二所ニ立テ生死涅槃ヲ二路ニ
ヘタテ或ハ方便真実ヲ相封シ尓前余後ヲ申タクワカチ
一今法花開金ノ前ニハ此処彼助義無殊ニメ全ク余前ト
一タテサル也三毒三身無自性ナレハ三悪卿趣則盟身土
煩悩菩提本不生ナレハ生死涅槃又空花ノ開落也是シ
ハシ法花得益ノ一柿ノ始終也ツラ〳〵其実事ヲラミ
ミレハ五十余年ノ労功モ是ニアラス非ニアラス又イツレカ
虚イツレカヌ何ノ方便ヲ廃シテ始テ真実ニト一ラン凡一代
ノ御法色々様ニナルハ只根柿ノ問ラルト問得サルトニヨ
ルヘシ啼一しほうなる実法也一かくしていかなかへき
御有さまならん玉カツラノ用ノ行衛ヲ物語ノ作者イヘリサ
一こまのゝ物かたり枕草子ニモ物語ノ名ニ出せり一重にたくひ
細此見集也四月
おほからぬことゝもいこのみあつめ好ミアツメ也源ノ上ヲ地也
一こよなしとたいのさかたきゝ給はゝ玉ノ事ヲ草子詞ヨリイ
へりカやきに仰らるゝを聞給はゝ猶々心を給ひと給ひ下也
〇一うつほの藤はらの君のむすめこといとをもりかに御笑の物語
一に藤原の君とて一世の源氏にて右大将可けよりと云人あり
北方ヲフタリモチ給へりケル一人ハ大政大臣ノ娘一人ハ時ノ御
門ノ御イモト后腹ノ女一ノ御子也此后腹の九二アタリ汁
アテ宮トアメルミメ心スラレ給へリケレハ春宮ヲハシメタテマツリ
時ノイウソク問ツタヘ心ヲツクスニ終ニコト人々ニハ心ツコト
ケテ春宮へ参行スレハ公レヲアヤマチナシトハイヘリ学藤氏
ナラス一世源氏ノ人ノ如シ果若シ一うつゝの人も現存ノ人ヲ
一よきほとにかまへぬやよしなからぬおやのし哢申一へ又
ヤト云ノコシテヨシナカラヌヲ下ノ詞ニ付テミルヘキ上
一はらきたなき心ノ悪ヲ云也一中将の君夕霧を此なへチ
カツケ給ハ又也一両いはん所六条院ノ女房ノサフライ也
執政家ニモ台盤所アリ一たふるゝかたにかシノタワモ
同事也倒也ラレタルい也一人にもこといらせて道理ト
思はせテ一さかしらにわか子といひて内大臣路にサシ過ナト男
ラ又体也哢一物うんし怪シウラミタル也
名詞三可源廿六歳六月也竪並也
常夏
一にし河桂川と一ちかき川賀茂川也一石ふし
一亭千院御集云石フシヤウノ物ヲ前ニテ銅メマイス
一ひみつ日本記に夏氷を水酒に漬シテ用トノ一リ氷水そ
故也水室同事也甲ヒやヽ申ナル歟也和し一すいはん
湯ツケ等也源淡淡抄干飯ナトノ類有ケ啼一さうとき
モテサハク也一むとく無徳シ一むらい無礼一をしひて
とかねナウシヒモトカ又トヨム人アルん空ソシヒモイレヒモト云アリ
一さうとき
一此春の比をひ夢かたりし夏の事蛍ニアリ爰ニは
言ひトイへト春比見給シト心得へ申ニや哢一ふれはひ
一触シ縁シタル心シ一げん家損家ノ手大ナトノ心也
一おほるつゝにはなれてをくるゝ尋を雁は父母次に兄弟
一次第ニ飛列ヲミタラス飛物也是ヲ応行ノ礼ト云也
一ふくつけきヨクカマシキ也源語抄
一そこきよくすまぬ水
哢才トリ腹ニテズヽシ女子ニテヨロシヤラヌト也
一中将君しまめたゝす并内大臣息ノ中近江君ノもヨク
シリタル事ナレハ物語ヲ閉テマメタヽ又ナルヘシテ此中将夕霧ニて
一然上へ忍度猶不審一あそんやさやうのおち葉をたに
源夕霧ニノ給也ラチハ落胤服一おなしかさしにてなくさむ
源の役名はけかる共内大臣近江君を尋シ類に〆ナクサメント哢シ
給シ一さすかにひまありける心ヨカラヌ事ノマシレルミや
一少将侍従柏木ノ弟達也一中将のいとこほうの甲柏木ノ
一中那実法ニテ一物対へ御送リニモマイラス第ノナレタチハ下リ
参給ひ也又も夕霧ノシホウニテサソヒコメト也然ハ此時ハ左
中将は不成トミユ右中将ハマシテシツマリテミユニて及増事三や
一心のまゝにもおりとらす呼常夏ノ事ヲ玉品ラニヨソヘテノ絶
一中将の君はかくよき中右申有也夕方事一大君たつすちへし
ノサナルヲ云一きまさいと右中将語也催馬楽吾家ノ詞ニ
ムコニセンノ心也一みさかなもてはやされん今更モテハやサレンヨ
リンサ十いニ一かせテ見給いゝト也一さはかゝる玉忠ラノ内ニテ
聞行也一心もとけす
岩代の野中にたてるむすひ松心もとけすむかしおわへは
一りちにいとよくしらへられて玉カツク銅フキケルウ源とキ給也
一律ハ女ノ銅子也一いとかしこきやまとことくやミコト和琴ノ
名勿論也サレト爰ニテハ只和国ノコトヽイヘルニや君又いヘコト
十ルと荷又和琴名
スヽカチメ花ソノ
アツマ絃六スチアリ
一すてき和琴にに
左の手にてつやつをはらんと云右の手にて八千にてからは菅か
キト云一いがてとおほすこと玉カツラ父ヲ床シク思給也
一あつさとこそ名もたちくたり田舎亡タルやらん一御前ひ御
あそひにもまつふむのつかさをめすは人の国はしらすこゝには
是をあやとしたるにこそ和琴ハイサナキイサナミノ二神ノ
御代ヨリ出キタルウツハ物トハイへ共日本記ナトニハミヱ侍
ラス又天ノ岩戸ニ天照太神ノコモリ給フ神宴ヨリ出
来共云ヘリ最初ハ弓六張ヲナラヘテツルヲナラシヽヨリ和琴
ト云物ヲハツタリ出シタル共云ヘリ今ノ世ニ巫ノ口ヨスルトテマウ
一図書寮裏書累代御物被置所也
ノツルヲ打ハカシ事ヨリシコルニヤフンノツセサハ男官ヲ図書察
ト云女官ヲハ書司ト云和琴ヲ書司ノ女房アツアリ申也
名をはたなラシト云又朽女或ハ宇多法師ナト和琴ノ名物也
我国ヨリ出来ル器ナルニヨリテイツレノ楽器ヨリモ上ニシ
一カルヽ事トナレリサルニヨリ是ヲ物ノオヤトスル共云一リ
一おやとしつへき御手より内大臣スクレタル和琴ノ上手トアリ
一ことつひいとになく空手ツキナト云類也コトソキナルヘシメル
一狛氏十巻抄云ことつきこトつゝことさイ三説アリコトツキは
人ノカホツキナトシコトツヒハモス申タカホツホミタル物カラモ〳〵
シクケタカクコマヤカニアヒタル心ヒコトツヒノコトノ字ハ事ノ字也
和琴ノ字ニアラス一ぬき川のせゝのやはゝたなと又キ川ノ
一漸々ノヤハラタマクラヤハラウニユル夜ハナクテンヤサクルソマヽ
呼問やハラタ為ウタフニハヤハラタマクラトアルカ答タ文字タマ
下略
催馬末
クラクタヒウタフ時ニタモシニコヱカウツル程ナルカ又枕ヲ略メ
タトハアリ云ん一声才やサクルト云ウ源玉カツラノソムキ給フ
よせテ恨給也一さうぶれん想夫悪夫ヲ思ト云曲ナレハ也
一みゝかたからぬ人のためには身にしむ風も屏源の我御まし
玉セツラノ耳カタヲ心ツミテノ給也一いかておとゝにも此花
そのみせたてまつらん玉ノ事ヲフかム一なてしてのしもとの
かきね玉カツフヲ内大ミ給はゝ夕虫ヲ尋給ハンワツラハシヤウン迄
一まゆこもりも玉カツラノコモリ居テ親ニシラレ給父も也
たえちねのおやのかうこのまゆこもりいふせくもあるかたまには
あはすて
一山かつのかきほに玉早下也一こさゝましかは引なし可動
一をのつからせき守つよくとも闇寺トハ子ニ其人ヲ守護まて
云ふ人しれぬわかかよひちの開守は一おもひ入なは
つくは山はやましけ山
一これにそおほえある形アシヤラント内大臣ヲ案也
一ちりもつかすこの世にすき給へる一うたゝねはいさめ
たくちねのおやのいさめのうたゝねは物思ふ時のわさにそ有て
一一こと〳〵しきゆへもつけし過不及ナキフ中庸道トスル也
一たてゝなひくかたいかたと心ノヒク方ニは聞其方ニ十こか也
一心みことにねんころかり人のねきこと人ノ心ラミントテ思ハ
又事ヲ然ニ云事也試毎試計用と
ねきことをさのみきゝけんやしろこそはてはなけきのもりとなるらめ
一あはつけき淡キ也一梅花のひらけさしたるしほゝゑみ
にほはれとほゝゑむ梅の花
一中将のさいへと嫡子ニアフトナ〳〵シキニサイへト心若キト云詞也呼
一せうさい〳〵と小賽和名
一二のめのみにはあらす五六三四三ありけるすくろくのさい
一御かへしや〳〵大目ラコフ五節也一中におもひは
さゝれ石の中におもひはありなから打出ることのかたくも有哉
一ひちゝかに一説泥土千サナル也一つみかろけなる心部中い
ツミカロキトシ一ひたいのちかきヒクま也一てみたねいち人ヲ
ヨフニハ手ヲウ打也嚊ヨキ手ヲ双六ニウタヌいたシ一おほニおほつほ
一尿壺河私云シトツホ持物ヲホツホモチノシヤウト云ヘリト云ヘリト云フ
一けうぜんの孝せン一妙法寺江州ニアリ神哥郡高屋卿
内妙法寺村にて一あへ物部や申り物ト也一をしことくち
とそ大ぞうそしりし大乗二巻若得為人龍盲瘡痘謗
斯経故癢罪如是一たき木ひろひ法花経をわか
ヱンコトハ水ヲクミト云ヨリノ詞也末ニ法ノ師ト云モ便有也
一をとゝとコ文字濁り
一よろしき松やのヨキホトノ親ト云心也内大臣近江君ニ過
分ト云心也一そほれたる一おとゝの君天下にテレカニ
世ニタクイナクヲホス共也一御おほえのほとかろゝかなりや
替羽内大臣は女御ヨリ申口キウホヱト也一あしかきのまち
かきほとには是より近江君文也
人しれぬおもひやなそとあしかきのまちけれ共逢よしをなみ
立よらはかけ書むはりちかけれと誰かなこその関をすへつる
あひみてはおもてふせにや思ふらしなこその関におひよはたきゝ
しらねともむさし野といへはかこたれぬとしやさこそはむらさきのゆへ
にくさのみますたの池のねぬないのいとふにはゆる物にそ有ける
あしきてを猶よきさまにみなせ川底のみたつの数ならすとも
一草わかみひたちの海のいかゝさきいかたあひむたこのうらなみ
草ノミトハ近江君我身ニヨソヘタルヒタチノ海ノイヤシテタコノ
浦浪ニ立イテント云ヘル也一おほ川水の
みよしのゝおほ川のへの藤波のなみにおもて我こひめやは
一ひすましわらはゝ宿も一口力フル女也シモト云は近江君をか千たる
詞也一ひたちなるするかの滝百嘲呼の由也彼夕千出口也
無心所着也一ほしつゝみていたしつゝ立文タル也
一まつとの給へる近江君タチ出コトヨメルヲハミシウテマツトアル
所ヲイヘリ此人源氏ノ物語ノ狂言也一あまへたるたき物
北野七歳御哥也
アマツラノ過タル也一へにといふ物あからかにつけて
いたいけやへにも似たる梅の花あごかかほにもつけたくそある
●笠母火
名詞三州源廿六歳秋ノ始也又竪前也
一せこか衣もうらさひしきいちし給呼枕詞んモ字な
はつ風のすしくふけはわかせこか衣のすそのうらそさひしき
一そひぶしソイフシ也一やり水のほとりに篝火は必水の上にて
一焼也火ヲヤカテ消メ涼シクカマ定タル也一うち松松炬書之
チイサキタイ松シアリニ打入〳〵トモス故シ一夏の月なき
ほとは秋ナレトアツキ比ナレハ夏ノ月ト云ニや又立秋節以前
土用ノ内ナレハ夏ト云ニや花鳥今案此義笄ノ意趣タルヘシ
一常夏にモ秋の事云り常夏は六月ま也
一ふすふるならても
夏なれは宿に市すふるかやり火のいつまたわか身下もえに
一ゆくゑなきあ共にけちてと篝火は焼せはやかテ消ル故に夕
ラハト云詞也祇公此外ハ皆今案上
クフ煙トナラハト也一くいやとて空ハやか也長人ニ物ナト撒出ス
ル声ナリ一わさとも多きなるホメタル也一三人まいか給へり
此中に弁少将も有へし一次中将柏木也一風の而秋に
なはねと秋風楽人也平銅と次銅盤活トアリ
一さこと引出て和琴也一弁少将ひやうし打出た
一頭中将ヲハキフ弟ノ少将ウタ一也
一さことは中将に柏木也一ゑいなきのつゐて玉カツウノリク
咒弟タチニ語やイテレ心ナルヘシサレハ姫君モ哀ト聞様ト也
風音秋ニナルト云ヒ今ハ哥ウウふ引
名詞源卅六歳八月まし又竪並也
野白
一色草をつくしてよしあるくろ木ある味法木ラツツ黒木
皮ラケツルヲ赤木トも一春秋のあらそひに春はたゝ花の
ひとへり一なたゝる名に立也一引かへしたつろふくしき
春秋に思ひたれてわきねつ時につけつたつるいは
一野ぐれいの年よりも哢此巻に野分吹夕ルヨシラ書夕ル心
ハ有シ紅葉ノさ返事ヲ過シ春雨ノ御方ヨリイセメシクサセ給
シニ人々心ウヨせシ也又秋ニ成テ中宮ヨリ御返シナトアウマホシ
キニアマリニもカサナリテ五部モナキ事ヲ思テヤク云ナシメ
ルナルヘシ聖ノ心ニヨリテ此秋ハ万興ナキ心殊ニテモシロヲカマト
一おほふはかりの袖は大空におほふ花の袖もる
一もとあらの小萩土磯野のもとあらの北荻露をゝもみ
一こさうしのかみより上也一かは桜にあさんとり野への家はいつ
引不用カは桜トは花ノ色ウス紅ニテコト文艶ナル尤也古今ニ
カニハ桜トアル是迄一風こうけにいはほを吹あけつへき
河海ニ三ケ条ヲ云空夕風ヲヒタヽシクイハン為ハ申シ
一御先せられ給はぬ日なしと云野介数日ノやウン道スヤウ
イリモミスル風ナレ共常ニサへ毎日夕ツ子給ホトニト云心也
末ニマシテ今月カルト云ニテ見へシ一夜ちちうして
一たてしとみやリ戸也一すいかい一よへはヨンヘト少人テコム
一うるさなかららんハシ事也瞬同一おこりあひ侍て野分ニ
風病発也一しをんなてしこの時にあひたる十テシコモ秋
ニ感アリ七クサニモヨメリ一四五人一をひ風はしをに
弐本
諸本同シテ花ノ花トン
シラニノ花ノ事ハ
しらに
弐本
紫蘭
しゝう
侍従黒方也
一ふれはい
爰ニテハフルマイ給也甲一これはたさいへと夕霧ノ心に南ノ
ントヽニ思フトシ給シニサイヘトケタカキト也一あらき風をも
ふせいせ
長清
長津
空濁
一むねつけ〳〵となる
長嶋
空成
一心のやみ
人のおやの一小うちきひきおとししいといたしカケ条フ
引ヲトシテ着ルシイタシハホメクル也一おほかたに萩のは野分〳〵
事ヲイハスメ大方ニ云へり野下下ノ心ニ有へシ一さりともと
まるかた囁玉カツラノ心上ル方有ヘキトタハフレシ一わらゝか
ニコ〳〵トシタル躰也一はゝから日本記同胞同服ナト云り一腹ノ
心ヒ但アナカチニ一腹ナラ子共只兄弟ヲモイへルニや爰ノ詞モ
サヤウニキコユ一やへ山吹のさきえたれたるさかり女ヲやマ
フキニタトフル也余瞭花ヲ白楽天吾妻春寂寞花開
以汝當婦人一いかゝあらんまめたちた源何トは不知ケシキ
マメタチテ玉ノ方ヨリ出給フト夕霧見給也一下露になひか
ましかは空柳の枝に雪ラレハ十レの心也一なさ竹を見給へかし
ナヒクニヨリラレ又心也靡竹ト云一うちよけわさ空御本打つ
ケワサト有一ほそひつめくもの昔ハヌリヲケナシ箱ノフタナト
ニカケテツム也ホソヒツ清少納言枕草子ニ云ヱタリ
一御前のつほせんさいのえん有増ナリシ中将の下カサネヤト也
一重もんれうを此ころつみいたしたる花して花文綾は有発
謝霊運む
ノ綾也謝恵連詩云客従遠方一来遣我鶴文俵一ト云同
一心也或説頭文俵也ケンムシヤナト云カ如シ是ハ夏ノ直衣ラ
云当時ハ穀ノ堅文ナルヲモチイル也大略同斗ヒ此頃ノ花ト
ハ鴨頭草ノ花ヲ云夏ノ直衣花園ニ染ル故也一姫君の
御かたに夕霧明石姫君へマイリ様一またあまたに
姫君此家の御方におハス也一ほと〳〵しくこそうをソ口三斗也
一御つほねのすゝりとこひ給へはみつしによりたかみひとまき御
すゝりのふたに取おろしてたてまつれはいなこれはかたはら
いたしとの給へと北のおとゝのおほえを思ふにすこしなのめ
なか心ちしてかき給此紙は過分ナリト思へ共北ノウトヽナ
一
御鏡弐説ケツコラナル紙
はなと斟酌シ給ニ姫君のは母かたを思へはサノミシンサクモ
イセト也一にくきくちつき哥口の事也
アヒタル枝ニ付タルウタ帝ノ心ニ必シモシカルヘ申ラス
一かたのゝ少将物語に好色也一さいりの色も思わかさりや
何ニテモソノ時ニシタカイタル花ニツクヘキト思給へルニヤ
夕霧早下の詞也一いづくのいかなる野へのほとりのひみなと
イツクノ野一ノホトリニ有シヤランヤヽル色シタル尤ハ有シト云ホ
一メキ答給ヘル也啼イツクノイヤナル尤ニ付ヘキ事ソナトタハ
かレ給か也一かやうの人々にも女房共夕霧ニ詞を申ケテミシ也
一又もかい給て一通は雲井鴈一通は五節方か一わたゝせ
給とて明石姫君の紫上の方よりわか申さ方へわたり給
一うす色紫ノウス色也一むすめといふ名はして被トノ
ムスメト云テトシ一きこえ給とや巻終いつれノ巻ニモカク
人ニユツリテ紫式アカ自作ナラヌヨシヲ云リ尤深シ〳〵呼
一さうしのかみより問言なく巻に夕霧此家上ツミタル所ニ有
コシやウシトハイヤヤウナルソや紙ヨリ也上ヨリヒ荷一答ツネ
一ニ衣ナトヲヘタテヽ障子ヲ立ル也上ラハサマニスルニヨリテモ
ヨリノソク事ヲスル也シカラハ上ノ字ナルヘシ
私
清少納言枕草子上
まつり地かくなちたあをくちはふたあゐなとの物ともを
をしまきつゝほそひつのふたにいれかみなとにくしき
はちつゝみて行ちかひもてありくこそおかしけれ
御幸
名哥大原野行幸は源卅六才ノ十二月ノ斗也アクル年
卅七才二月マテノ斗此巻ニアリ又竪並也
しの時
一かくおほしいたらぬことなく玉アツラウ源ノウホス也一この音な
いかにしていかによかみ小野山のうへよりおつめをとなしの滝
とにかくに人めつゝみをせきかねて下になるゝをとなしの時
一さておもひくさなく気さやかなる思クマハラモフカイ也内大臣
密々にはイヤヽト思給テ聟ナトニアツヤイ給いゝ源兵シカラント也
一大原野の行幸延長例と同仁和二年十二月行河行奉
例に一するかより西朱雀也一たけたち同せイナト
一梅タル義也一左右大臣一あを色のうへのきぬえひそ
めの下かさねを殿上の五位六位まてきたり李部王ひ
延長六年大原野行奉其装束御赤色袍親王公卿
殿とノ侍臣六位已上着二勅唐袍一今案主上は赤色ノ御祝
ヲ着シ給フ其外親王公卿以下皆青色ノ闕腋袍ヲ
ナル下ヤヤサネハヱヒ染レハ鷹ヲツヤハヌ人々ノ出立ヲ云シ
一承保三年大井河行幸ニモ如此有シナリ
一みこたち上達部なとも鷹にかゝつらひ給へるはめつゝしき
かりの御よそひともをまうけ給一り孝部王記応伺親
王公卿着二地摺布衣及袴一
弐紫木蘭
一色綾袴
小禎子餅袋
今桑是ハ玉郷ノ鷹伺ノ装束也布アリま又ノ摺ノ
文あルヲきル袴モ同或ハ紫木蘭地ノキヌノサシヌキヲ
モヲル由ミヱタリ襖子ハ下ニセサネタルキヌノ事也ヱ袋ヲ
ツクヘシ冠巻纓ノ冠ヲヲルヘシ仁和ノ芹河ノ行幸ニ
行平中納言大鷹伺ノセリ衣ニ鶴ヲ文ニ又リタルモ王卿ノ
鷹伺ル事也呼白布ノヤリキヌニ青クスリタル也サン又キノ
上ニムヤハキコシアラナトスル也河アリノ御ヨソヒトハ狩衣も
一近衛の鷹伺六衛ノスケ以下ヲ云ヘシ装束
何き泣也
一令口主鷹司正一人掌調習鷹犬も鷹は仁徳天皇
ノ御宇ニ高麗ヨリワタル初ハタチト云シト也一すり衣を
みたれきて春日野のわかむらさきのすか衣
一きほひ出アラソヒ出ル也一わをゝしひしかれ足ヨハ
車トハ輪ノコハキヲ云一うき橋のもと行幸ニ道ナトツクル
トテワタシタル橋也一みかとの赤色延長昌泰行寺例シ
一諸臣ハ必青色ノ袍ナリ第一ノ云卿ハ主上ト同キ事モ
アリ江延長四年十月九日大井行幸上眼赤色祀
黄柿染御記文竹鳳晴俄に諸候青色の袍を着する
時は主上赤色御袍を着せしめ給第一座の人又着シ
是諸臣ニ一コトシ乍内宴以下野行幸時定も也参略候
一右大将しやなくゐなとおひて大将は納言以下カ弓
筈ヲ負事也大臣大将ハ清府ヲハツクラ又ナラインヒケ黒大
なは大納言ナルニヨリテヤナクヰヲ負侍ル也一いかくかつくろひ
たてたる鬚黒大将
大納言ヨシメク共若年ノ
卅余縦粧ニハ似ヤメカラントナリ
ケサウシタルカホチ
トニクラヘテ思給ワリナント也一かんたちめのひらはりに平張
一覧うそくあらため給候花鳥十トに先例共色々引て一蔵人
の左衛門督先例色々アリ一大政大臣のかゝる野の行幸に
つかりまへり給ためし御哥ニフルキ跡ヲモ今日は夕ツ子ヨト侍共い
一仁和三年ノ昭宣公ノ例ヲオホシメシタル也源此時大政大臣ノ故也
一打きらし打霧也クモルい也行幸ニ雪ラソへタリ一こゝなから
一のおほえ玉カツウヲ源ノ御子ノ分ニテ内侍ノヤミニ一イラセンハ中
宮ノ御心便ナシト也写一あかねさすひにはあのはゝあね
さしいつるひかりにはいつれのぬさかさえのこるへき一よたけく
人トもナル心也呼一人のむすめとてこもりしなをしきゝはこそ
うちあらたむる玉カツラ云ツヤヘノ有増カナヒナハ氏神ナトへモ
御マイリ有ヘキニ源ノ御スメト云テ春日ノ神へ参り給ハン事
タカウウイアヽセント案シワツライ仏ヘシ源心也下サマノ者コソ氏
アフタムル事モアレトも一この御こしゆひモツキせテ腰引ユフ
計ヒ呼詞云男女サタマラヌ斗ニや玉セツラノ腰ユイニハ内府
トアリ明石姫君のは秋好宮トミユな又裳着は年齢不定に
一や答本は袴着裳着は三歳也其以後は不定也一都
一宮うせ給はゝ玉ウツラノウハ也五月ノ服アルヘシ一おれ〳〵き
クロ申ナル也一物うきモノサヤ一おほやけことのしけき実児
一くちおしきにこりのすゑにまちたりふかくすむへき水に
世人皆濁我独清衆人皆酔我独醒
一こらうのすけ古老ノスケシ典侍也二人アリサラヌ人モ内侍
ノカミヲ望人アリトシ延喜式云内侍同一百十人尚侍二人曲待
二人。掌侍四人女嬬一百人参略之一家のいとなみたてたゝぬ
一人なん哢家ハ高クテサルカラ我家ノイトナミヲ心ニタテヽ
一宮ツカへの方を思ひ又人は内侍務ニハ任シカタキニや家高クテ
宮ツウ一ノ事ヲ心ニイレン人ヲハ古ヨリ定ラルヽト也一定つかへハ
さるへきす地にて上も下も夕カキモクタレルモ宮ツ中へ八ヤリは
思部さる事もアリ内侍務ナト役アル事は八カ〳〵シカラス一ツリ
コトラシタヽメン事ラノ遊一おほやけさまにてさる所のこと
をつかさとる寒いゆへニハワタクシヨリ思ヨリテ出タツコト高キ事ニ
テアレ其ツカサ事闕ルニ付テ大やケサマノ定メニテメシ出サルヽ
ハカル〳〵シキヤウナレト但其モ人カクニヨルヘキト云心也
一なとか又さしもサレト位タ申キ人ノ子モナル事也ト也一此としむろ
うけたまはとてなりぬるにやウケ給ハリテ可然上但可レ見証本一
大宮ノ詞也源ノ憐愍アル心ヲ玉カツラナトモ年頃聞及テカやウ
ニ実父ノ方ヲサシヲキテ源ノ御方へ参リケル事ニヤ成スルト当座
〆取合に大言のゝ給へるみにて源を父とうけた一はり違タルト云義と
一中将は御ともにこそ御供ナレハコナタ方ノ人ニハアラスト云心也
一さるへきまうちきみたち大夫ト云公卿ノ事也呼諸臣也
一あゆまい歩体也
一人の御こと人の御言也一いとしうとくに宿徳也一えひそめ
のさしぬき桜の下かさねいとなかくしり引て直衣布袴也
一桜ノ下カサネハ表白ク裏ヱヒ深シシリヒホテハ裾也俗ニトミノ
ヲト云よ一六条殿ハ桜のからのきの御なをしにいまやう色の
御そひきかさねてしらけなき大君すかた是は布袴トはみヱス
今やウ色ノ御ソハ常ノキ又也下カサ子トハミヱ侍ラス大君不申タハ
先に注シ侍又一光こそまさり給へ内大臣ノ光コト〳〵シキモ
源ノ引ツクロイ給ニハナスライテモミヱストシ光ノマサリ給ヘルコトコソ
アラ又容儀ナトモ無双トニヤ源ヲ内府ニ見合心也又マサリ竹へニテ
勺ヲキリテ内府ノ事ニモ一然共ニて哢一散大納言者宮大夫
内大臣の御弟タチ也一御かうじやうじタウニ一又いかなる御田
つり開口ヲ源ノ内大臣ニエツリ給シテ何事申トシ一ふたかたに
いひもてゆ遣ハ玉三条今ノ緒也源ノ子ニテモ葵上ノマヽ子也
ハナレヌト也一三十一字の中にこともしはすくなくそへたることの
かたきなり堅固過タルトニヤ世ノ人ニ哥ノサマラシメシタル也呼
一あをにひのほそなか暇者ナラテモ用事有例一おちくりとかや
コキ紅ノ黒ニ入ホトニ染タルヲ云合袴ハ中重ナキ袴シウツホ
ノ物語ニモアマタアリ此なのしらせちみゆるあられちの御こはき
紫ノシラミ黄ハミタル色也一しゝかミえりふかうシヤモハ千ミ衆也
ヱリフカフハイクヒマル体也類要ニシヽカミハフルイチミタルンヱリフヤ
フはヱリ入たるやうにやかスカタ文字ツコナル也一から衣又から衣から
いくたひかよるかへすえんから衣かへす〳〵もうらみ給へす
一よしなしこといとおほかりやま衣ト云文字の多也一あふなけに
奥フ申ニラ又体也一しほたれ給候ヱマノ心コトイヘルニコセタリ
一ゆくりなく不意也俄ナル心也一内侍のかみのあかいなにしこよろ
近江君ノフトヽサノヲンタチフコソ勝ラノソマメトアサアリ給併同
一少将はかゝるかたにてもたくひなき此詞は少将近江君ラナクサ
メタル也一かたきいはほもあは雪になし給へき日本記第一云
天照太神踏二堅庭一而陥レ股若二沫雪一ノ以襲散今桑日年
一岩ハ庭ト有ヘキ事也ソサノノミコトノ悪行ヲ天照太神ノイヤリ
給へル時マスラオノワサヲシ給テイチウイラナシ給時ノ事也堅庭ツモ
雪ノ如クケチラ三給心也天照太神トソサノソノミコトハ御世ウト也
今又近江君ト弁少将共ソトヽイナレハ近江君ノハラタチタルヲコト
ツテイヘル也一たゝ御前の一いとかやすくいそしくイソシクカル
ラカナル心也一おといと気さやかにイウヘタル声也ヨロシヤラス
サマシ一夢にとみしたる邯鄲ノ夢ナトノ心也一むねに
呼をゝきたるヲトロキタル心一ひゝしら常ニ云詞也義ニて呼
一和ニネンコロナト云ハ一ながうたなと長哥古今ニは短哥
ト云ヲコト書ニハ皆十三のト云り一カ葉ニハ是ヲ長哥トスル也
一説三十一字三つは五七五ツ一勺トシ七々を一勺とせり仍長三也
短上クハ五七ヲ一勺トス何ミシカキ哥也ニて長哥短哥ノ説
家々の口伝にも様々に書り何も有増見俊成郷古来風躰格に
も雖両説得心猶引長哥と俊成可云長三つヲモ同事ヲイ年
かせルヲ構長哥ヤウ〳〵ニヨスルヲハ短称短三ツヽヽニレ難決事
所詮長哥短哥共ニ十カ哥の名也崇徳院久安百首ニモ廻リ
イタサるゝを人皆長哥と詠也案之長哥とはイ一のつゝかわめ
タル哥ノ事也短哥トハ長哥ノ奥ニ又反哥ヲ云也仍長三郎共
一短哥共云と一うへはそのうちにみ申下の御計也
一つさゑのやうにたタトへハ我イヒタキ事ヲ人ヲやトイテ時ニ
ソノハシヲ云ヲツマコヱト云也呼本人ノ申給事ニ言フソヘテイハント也
一はちかてゝはしたなめアサケル様ニ〆ラシヘ也
府ニ蘭ニ
与善人一居加入芝蘭一之室二久而不レ関其香一即与二即与レ之化失
府ニ南ニ与善人皆加入芝前之薬之室一久而不レ戌其而不レ戌二即与之他
与二不善一居如レ如レ入レ鮑魚肆一久而不レ問二其ノ香二亦与レ之化矣
蘭
東名詞三ケ源廿七ノ八九月ノ事アリ又竪ノ並也
一内侍ノカミノ御宮つかへの事河海ニ色々不審ス昔ノ事ヲ慥ニ
一記にとりては不審なき物上一我身はかはかなき田舎なとにて
才ヒタチシ斗也一うけひ給人々呪咀ノ心ナリ空爰ニテは
只ワ口廿マニ云人々多之弐ケ引ト云本モアリ一けさやき
長酒
一かげ〳〵しき
一にひ色の御そ三条大言ノ十やみ給ト打
空清
巻にみヱタリ両巻の間にウせ給なるへシ三月廿日ト藤ノ裏葉に
ミヱタリ一宰相の中将オナシノ色ノマスコシコシヲヤカナルナラシス
セタニテヱイマキ給へルニシテ霧ノ宰相中朝ニナリ給へル事爰ニ
ハシメテミア一タリミユキヨリ爰ノ間中絶スルニヨリ事トモ多
一然レリ眼ハ心サシ深キニ随テ色コカルヘキヒ外祖母ノ眼ヲ
一キ給へり軽眼ヲ申給へり軽眼直衣鈍色平絹或薄鼠
色ヲモ用也眼者ノ巻纓スルハ申フリノ除ク心也一いまあら
さりくりとて・前は兄弟ハイトニシタ帝玉アツラ二殿の御
せうそこにて源ノ御消息ニテ内ヨリメシ有ケシキ心得候給也空
又説夕霧御使也一野々のあさほ玉カツラヲ夕霧ノミ給
し事一御ふくも此月にはぬかせ給へきを此月は八月也祖母
眼は五ケ月十レは天寒のウせ給計は卯月ノもナルへシ
一十三日には河原へ河原に出て解除スル事也一中将も
もらさしとつゝませ給えんこそ心うけれ三條ノ亭御暇を玉安ツゝ
ラクワシキ様ヲ人ニアマネクシラセシトヲモムケタルヲ宰相中将
形見ナレハ又キスナンタニモ物浮ヲ忍給心ウシト云義也
一さてもあやしかにもてはなれぬことの又心元かたきにこそ内大臣
は女ナラハ源ハ何トテ又モテハナレ又やウニハシ給ソト心得カタク
思様也夕貌ノ昔ヲハマシタ旁ハシリ給父故ナルヘシ一このは
あたはし衣の色なへは服者にて内大臣ノ御女ノ事ア六ルヽ
トシ一たとえれ侍れねと夕トルトハ物ノ心ヲ思ワ申ントスル心也
マコフト云詞ニハカハルヘシ迷フハ一向ニマコフ心計シ一羅にの
花の八千文字ヲニト書事物ノ名ナトニハ一シテニト書人斗
事也定家心ヽ百首ニハンビヲヨミ給ニ役ニハコビトナラシ給也
蘭ハ蘭葱兄弟ト云テントヽイノ事ニイヘリト春蘭一夏甚
ト云シ呼同ラントヨムヘキヤ一巻物ノ名ノ時ハラニトコトス共常ニハ
ウント云ヘキ也但書本ニヨルヘキル一これもさらんすへきゆへは
兄弟ノ心也一つたへにおもひよりて御ツタヘトハヤァナト云い也
春蘭夏薫秋春冬藤
打ツケ同心也空一向ニヒトヘニナト云心ナリ一松なし野の露に
同野の露にやつるゝとは夕霧と玉やつて祖母の眼にやつれたる
一心也時爰にては藤衣の心計とにユ一かことはかり少斗也
一みちのはてなる
あつまちの道のはてなるひたち帯の
面ハ撰ニコセテ下ハスコシモアハントヨメル哥也アハント云心ニ夕旁ノ絶シ
一尋ぬるにはるけき野への今は遥ナルユナリニ成給事也カコト
は申ヤウ也河海に薄此心やはかことなうマシト有・ササハ有マシト也空
一あさきもふかきも玉ノ心ニトマル事は有ラント也
一今はたおなし侘ぬれいいまはたおなし難波
一かん君内侍勝になり給事爰に初てみ工両巻の間に十ルへし
一身にしみておほえし野くの朝此出上み情事
一御前所ニヨリコせントモヨム座一ツヽなとのれんし給
兵部卿好色にテウレンシ給フ也一さて人さまは寒つかへに
叶へまと為ニト床シサニ夕旁ノ源へ問給ナリ一さるすちの
御容つかへにも女御ナトニモアウストナリ一かたしや難儀也
トノ給心一らう〳〵しき亮々良々十ツカシキン私云ウホト
カニやハラキナツヤシキ姿上臈シキ方ニヨレリ源銀抄一はいさし
をひかさまにケサウタツスチニ人申ト也夕霧の給一女はみつに
したかふ三従父兄夫子物ニコソアナレトツヰテウタカヘテ前ニ
玉やつらをはかゝみ給ヒかけマに人心得タルト云に源打わわライ
テノ給サレ事也源ヲ玉ノ夫ニサタメテ次夕カフ間先父内大臣
ニ可申せントシ一うちにもやむことなき六条院ノ内ニモ思人
タチ多ト也或本ウチ〳〵ニモト有同心也一おほその今
つかへのすちに羅うろうせんと宰籠は牢ニコメ与フハ籠ニ
コムルナリ爰ノ心モラシコメタル心也又人ノ自由ナラヌ事ヲ
一モ寧龍ト云其心ニハアラ又シ呼云下ノ心ツヽシコメタル義也
一爰にては此義相叶へり弐本ろうせん是又可然也
一いとかしこくかとある事なりとよろこひ申され呼真実は
悦喜にアラス弐本よろこひの字ナシ一然も一まかくしき
曲い也非正也一思くま思カイナキ也一むくつけき才い口
三キナリ一十月一よし野の滝をせん
手をさへて吉野の瀧はせきつとも人のいはあらしとそ思
一かつらのかけに夏なまと夏ともしらてすてすへる哉月のかへらの
かけにかくれた今案此カツラノカケハ庭前ノ桂ナリ
一宰相の君して玉カツラノ方ニ有シ女一たえぬたとひ
イモせトハ兄弟神代ニ嫁シタルコリ云ナリ
一いかにそやこたいのことなれとメツラシヤラス古キ事ト
云ナリ一いつかたにつけても頭中将詞兄弟人トモトケ
サウシツル心ト二カタシ一北面たつた北面内ノ方也南面
ヲ晴ノ方トスル故也一かくなんときこゆ末にイハン事を見
書也一いもせ山ふかき道をはたとらすてをたえの橋
イモせ山ハ兄弟ノ事ヲタヱノハシハ文ヲカヨハシマトフ事也
一諸断橋奥州ナリ哥ヨリ祠ニツ三ケ詞ヨリ哥ニツヽクル物
語ノ作法ナリ
同橋太太
おほなんちゝすくなみ神のつくりたるいもせの山をみるそうれしき
みのくのをたえの橋やこれなとんふみゝけますみ心まとはす
河案同時の哥也一まとひける道をいしらて
〽玉カツラノ返事フミ一ヨフトハ不知ヲホツヤナク思ナウタウ
ミシトヨミ給へり一何事もわりなきまた女房ノ玉ノ
心ヲ取合テ云也一なかゐし侍らんも
住吉卜若又月影はあかすみるともの三かと可有
一大将はこの中将はおなし右のすけ鬚黒右大将申シは
木頭右中将也一こゝろえ給へるすち源玉を言つ虫
にスゝみ給は我十一メヲ心有申ト内大推重也
一春二郎の女御春寒母女御也一おほい君嫡女ナリ
一一をうなとつけて女はカロシムル心ニイヘリ姫ヲナむ女也
一弁のおもと玉申ツラノ女房也一かすならはいとひやせ
まし九月ヲハ世俗ニ憚らん十月ニハ内マイリトサタメラレ
タレハ九月八カリニ命ヲカルト云リ
一朔日さす光を天子を朝日と也言仕に参給共我を忘
給十ト也一かしけたる悴一御使さへそ打あひたる
御使モ好色に似相タルト也一心もて日かけにむかふ葵は日
に向て葉をかたムケテ其根を申クス物也文集
其傾心向日葵迄自心向日モ日モ霜ヲハソノレハケタヌナリ
玉ノ身ヲ我トハヽカライセタキト也一本にすへきと
玉ツ女ノ本ト定給トニて紫上は又最上也中〳〵キニラコハ
サルヘシ此心所〻ニアリ
真木柱
一名三ツ源卅七歳十月ヨリ廿八ノ秋マテ竪並也
一うちにきこしめさむこともかしむし大将玉フヱ給事も
源心一えつゝみもあへす大な〳ン一石山の仏此事を
祈給也弁ノヲモト媒シ一えましらいて弁ノヲモト申ニ候
花一心あさき人のためそ正直なるを仏神のケ給也
寺現又験シ一女御かへておはすコキテンソヽキテ
は玉かつらをはかゝみか夕まシイツレモ内大臣は女十レはナリ
一心さしは有なから内大臣玉ヲ念比ニヲモヘトモト也
一三日の夜の源イハヒナトイヤメシウセラレタルナリ我心有之
人ヲセクシ給源ノせイシ一志も月になりぬ神わさとも
一日神官始テ供御贖物賀茂王遥拝ヨソヨリ拝タテマ
ツル事也此月中神事諸社略々哢神事ニヨテ内侍ノ
ヤミノ一ツヘスケ以下来テ事ヲ云合スル也務ハ必シモ内ニモ
サフラハス一ほ一内侍所にことおほかる比にて女官とも内
侍とも内侍司の中に尚侍典侍掌侍女孺此四等ノ官
有霜月には女官共内侍のかみのとものもとへ参ツトフもアリ
一心もてあらぬさま右大将ニ十ヒク事心カラニテハ事迄
一河海ニ蓬葉ノ哥ラ引荷一いまさらに人のいくせ紫上柳ヱシ
シノ事一けゝしき世俗ノ如シ一おりたちてくみはみね
ともわたり川三途川也御手ノサキ計ト云所ニテ此哥
ヲコユ一ミつせ川わたらぬミツトハ水ノアサミフヤミノ場也
一かの瀬はよき道なかなるをさき斗はさ斗ハコキ道濁ヲ
用最初ニ嫁合ノ男聞此川ヲ引コストニて源玉ト本
きヲトケタルムクミハミネ共ハ密通ノ由ヒ一玉袋尚伝
内大臣
通右大将定国是等例也
通大将事尚侍満子は
高藤子
一まめやかにはおほししることもあらん前ラサレ事ニ云十シテ
真実ニハ心サシノ程ヲ思知給ハンヤト也よになきしれ〳〵しさ
子ト云ナカラタハフレ給事又うしろやすさも実義ナアリシ也
此世にたくひなき程をさり共となんたのしき心はかシ共
ソホウンシ知ヘケレハタノモシヲトシ一思そめきこえしことは
たかふ内へマイラセンノ心也一二条のおとゝ内大也
一人きゝやさしかるへしハツヤシま也
一かのうたかひをきてし玉フ源トノコト也人ノをしいりしことをさへ心きよく玉イン
一昨日祭の大将北方への給詞也一御めしう心へちて世俗に目
カケナト云如也一ほけたりホレタルナト云詞
一かみいとうるはしう一本ケツラニテ一きすくなる健也
淳朴の体也まつツクン空一むかひ火つくりて人の服立に
我モ服立事也総別ハ日本記ニヤマトタケノ尊東夷ラコリ
シ時野ニ火ヲ付タルニアナタヨリモ火ヲ付ル事也
一袖の少もとけなんに
思ひつゝねなくにあくる冬の夜は袖の氷のとけすも有哉
一おしき被上〳〵敷也一おほきなるひとり袖に引入名
ニハ非スヒトリサヱツル火気ニヨス花一雪もよに色々説
空清
了只青夜也哢非二夜字一語助也一づしやかに哥
啼馬
一常ニ云ツシトナト云義也一めやすくもしなし給はす
大将の北方常に物のケにナやみ給により御ソナトモウモハシ
カラ又ナリ一ふすへられけるほと爰ニテ引テヨシト也
常ハ籠下ナリケルト云迄ニ引
たき物のこのしたくふりふすふとも我ひとりをはしなすへしやは
一ひとりゐてこかるゝむねの此哥ハヒトリノ心モアリヌヘシ前ノ
哥ハ只糖トイヘルヘシトソ一いたし心ニクキナリ一いなる
心にてかやうの人に物をいひ給へなと玉ラミテヨリ木工
〽ナトニフレシ事ヲクイ給十ルへシ一ちうけんになりぬへき
イツ方ニモツカヌ心也二仏ノ中間ナリ一くつおれ頽クル
はこひイたへ
一はらひやり空御本にハコヒト有一むかし物かたり住吉の
一物語〳事彼嫡女ヲハ父ハ懇ニ思シ申ト継母ノイヒシニヨリ
テラロカニ成事也一かたのやうにて父子ト云形斗ト也
一いさなんともきこえ様父ニイトマコヒナトモせテトシ一ひいた色
のかみ柱ノ色ニアフ也一あさくれとしかけはなるへき欲ラ
一ひきゞり後のき文字酒
影ニわせタルナリ一かくるゝまてそ君かすむやとのかや定
哥の時は清一母北のかた紫の継母一わたり給をきゝて玉の
方ニテ聞給也一おゝしく男〳〵シき一柳の下かさね哢
問シハスニ着ストミユ下襲ノ色ハ時節ニモヨラ又コトニヤ
一答下襲の色時節につるなり桜梅は十一月より着用スル
ナリ柳ハ春冬ハ柳ト号ス一夏は卯花ト云同物也
一あをよひのさしぬき瞬問カラノキノサシ又中ニや綺ハ此国
ニモ織と問キ又ノサシ又キハイカヤウナル時用一キ迄一切
一風流ノ時用る指貫也一匁いめし給へくもあらす
大将の北方の也一いさめ申給こといりと北方の父母の諫也
一あこをこそ恋しき御かたみア子君ノ形見ト也一かたき
し也難義廿一年かへりてまいらせたてまつり給
源卅八迄内侍ノセシメヨロマヒ事ヱイ殿ノ陣マテ参テ
内侍一人出アヒテ其由ヲ奏聞シヌレハ則女房ノ装束ヲ
給ハリテ退出スルノミ也此物語ノ玉カツラノ君ハやカテ内
スミシ給フヘキニテ承香殿ノ東ヲモテヲ仕ツホ子ニシタル
由立タリ一承香殿の東おもてに紫宸殿ノウシロニ
一仁寿殿ソノウシロニ承香殿アリ内侍ヨロコヒ申ニ乗ル
時縫殿の陣マテ忝テ只侍参の由を奏メ主上は御
ランせラレス衣裳ナト下サルヽ事アリ
スヘキノ心也え一宮の女御式部卿宮御ムスメ也一右のおほ
殿の女御ニヒケ黒ノ父モ右大臣とヒケ黒イモウト春宮ノ
ノ女さニモイモウトナリ一男たうかありけれ呼問玉カラノ
方ニテモワタカツキタルヨシミユ内侍替ノ方ヲモ経ルト云
前の詞に六条院には此度は所せしとはフキ給トアリ斟酌
一随主タルと一勅答男踏哥は推参事其所サタマラス
カヤウノ物語ハコト〳〵ク先例ヲマモラスミ所アルヤウニ書ナ
せり尚侍ノ方へモ其よせ有テ推参スヘキ事有何事
一むかひいら当腹ナリ本台ノ心ニや哢一御うしろみも女房
たちもさうしみも女房しそほ一用迄一かきりあるの
あかし玉セツクノ方ニテハ水驛ナルへキニや一心にかなはぬ
芹ツミシ昔ノヲ引一大将はつかさの御さうし左右近津府
一曹司直房ニや哢一み山木にみ山木天子の御斗也空
一さゝつる意も百千鳥さゝくる春は述懐の心也歌に鳥と見
ヨリ此三日ヲイヘリ深山木ノ三ノ河海ニ義大将ヲ云ミ山木トイヘリ
一呼それよりとて兵部卿卿の文を大将方よりトテツカ
ハス大将ノ実法ナル体ヲ深山木トヨメリ
一よろこひなとも玉カツク従三位シ給事一御くせなりけり
一本すくせ呼以前モ玉ガツラノツレナク又今モ御イラヘナトモ
申芝ヲ恨給一なとてかく灰あひかたきこくなり
はつましきにや主上の御詞
此子ははいさす物そ
一いかなみ色ともしいまよりなん思給へしるへさと前〳〵
御門の御詞に思シリ給ハント有ハ内侍前に嫁三タリトノ給ハ
心也ソレヲ爰ニ今ヨリト云ハ前ニ嫁ノ心ナシトニヤ
いかならん色とも三位ノ事ヲヨメリ一むかしのなにかしか
ためしにも後撰云大納言国経朝臣ノ家に侍ケル女ニ平ノ
定文イト忍テカタライ侍テ行末マテ契り侍りケル比此
女俄ニ贈太政大臣ニムサヘラレテワタリ侍ニケレハ文タニモヨハ
シカタク成ニケレハ此女ノ子ノ五ツハ申ナルカ本院ノ西ノ多イ
ニアソヒアリキケルヲヨヒヨセテ母ニミセタテマツレトテヤイナニ
書付侍ケル平定文
むかしせしわかねことのかなしきはいかに契しなこりなるゝへ
返し
也。うつゝにて誰契けんさためなき夢路にまとふ我はわれかは
一我はわれとおもふ物をとおほす上の返哥の心うねこ
一御てくる申よせて玉忠ラ尚侍退出ノ輦之呼
一いときひしきちかきまもり近衛大将ナレカク仰ラレクルイト
奥にあ一野をなつかしみ春の野にすみれつみにとむし我そ
一野をなかしみ一夜ねにける一みたり風のなやましき乱心チ
同計と何一女も右ほやく煙の思は又方下云心也
すまのあまのしほやく煙風をいたみ一いとうれしく心おちゐぬ
一かの雪にも式黒意也一かきたれてしいかに忍ふや源ヲ
一恩やトナリ一なかめするしうたかた人をウタカタハ只シハラク
ナトノ義也色々説アリ空僻案抄義挙之
放磯也
はなれそにたてかむろの木みたかたも久しき年を過にける哉
鶯のきなく山吹うたかたも是も暫時也一ほところは
君すまてほとのふるやのひさしにはあふことなしの草そおひける
一いや〳〵しく哥モ詞モ雨ノ計ラ云ウイヤヤカキノ心ニ云ゟ
一玉水のなかるゝやうに雨やさぬ行の玉水かすとす恋しき事
のまさる頃下一さしあたりたることなれはにや茶口月夜の事
は昔事也玉品ラノ斗は今サシアタリタル物思ナル心也
一あつまのしらへをすくきて玉もはなかりそと啼和琴
五拍子には不申事三拍子には申夕かきなと云事有之
愚案此義不可然玉モノ哥此時ヱンアルカ玉カツラヲ恋ル
時也ウシタカヘカモサヘキサルハラノ池ノ玉モハ一ネアリソ
ワイモスカネや一・子ナリソフや風俗上野が一あかもたれひき
いにし立て思ひゐてもそ思ふ紅のあかもたれひきいにしすたんと
諸人不知
一色にころもを三ツ形見ナル色ニ衣ハ成又レト花ノ中ハ世ニツチナウト
ナクニ
読六人与
啼声ともふともこふともいはしやまふきの色に衣をそめてこそきめ
一思ハスニ井手ノ中道ヘタツトモ
一松和原式部
ヤマフキラヤトニウヘテハミル毎ニ思ハやマス恋こそまされ
あぢきなく思ひようやれつれつれつれつれ〳〵と柚や升にの山ふ寺の花
人丸集
一かほにみえつゝ夕されは野へになくてふかほ鳥のかほに見え
大方玉カツラノホコリカナルヤタチ山吹ノ花ニ思ヨツヘラルヽ
由所々ニミヱタリキ又クハリニモクモリナク赤キ山吹ノ
ホソナカンノ此ホレウニト有野分巻ニモ三ヱタウ只ヒモ源
春ノウ前ヲホノ捨テコナタニワタリ此花ヲモテアソヒテ思
出給ニや余摩花ノ斗前ニイヘリ
あしねはふうきぬにすたくかもの子は
一かものこの鴨子西宮記
おやにまさるときくもたのまし
一瞬問云鴨ノ子ノ事ニヽカモウヤリトモ藤又かるのこめる也
共あり鴨の子をかるのなといふ心たま一切かるかりは五万通
せり無子細とカモノコウヤノコ共カルノコトモイヘルナリ
愚案かるの子の事
勺府に後漢ノ杜待伝陛下起兵十有三年将師和睦メ
一士卒鳬藻ナリ言歓悦如鳬戯水藻
一おなしすにかへりしかいも申へリシ巣ニ又ミヱヌ事ヲヨメリ
一すかくれてかすにもあらぬかりのこを啼手ニ二ヰルトヨメ
ルニコタヘテモトヨリカクレテコソアレトヨメリ大将ノ玉アツラニ
セハリテ返シヨミタル心ハ源ノ心中ヲ推シナラ只大方ノ
事ニナシテ細々ニモ源ノ方へも参らせ奉ラ又ナトやツニヨミ
給へり一よろしからぬ源ニ申シコマリタル心也
すき〳〵しやサレ事も一ほけしれて三レウナル也時
一こらやましう哢真木柱ノ君ノ心也一わさとかしつき給
君たちにも玉アツラヲ内府ノ女達ニシトリ給ハスト一まいり
給もそやかてかくてやみぬへかしける瞬内侍ノカミハセナウス
寒中ニサライ給は五斗モアレハナリ一宰相の中将も
シホウナル人ナレハ申ク云一あふなき無臭浅事也
一たなゝし小舟こきかへり
ほりにこくたなゝし小舟こきかへり
一此御かたにはかうよういなき此女清ノ御方にテハセる人は思
ヨラスト也一よろへなみし夕霧返し也舟人は近江君ラ
云ニや呼問主上内侍務ノ序ニ出御ノ由真木柱ノ巻ニ申
リ恐タル義ニや又例アル也一巻糸ノさカ又〳〵ヘモ行幸
一ナル内之義也公郷取上人女房十分も御トモスル計也今ノ
一世ニモズケ内侍ノツホネへ御ナリアルナリ
文名詞源卅九歳正月ノ事梅トエウタイ物弁少将
梅枝
ウタフ
一御ときのこと明石姫君十二歳ウツホニ藤原ノアテ宮十二歳ヲ
モキノ事ミヱタリ一春寒もおなし二月に御かうふり
冷泉院応和三二廿八御元服ノ例一大貮のたてまつ
れる樹下集云大弐入道薫合テ奉候時金ノタチ花ノ
一中に道雅朔臣于時大弐
末の世になれはなりけり梅のむかしのかにはわかへくもあらす
哢大宰大貮任五年也サレハ須摩ノ巻ニイヘル大弐ニハ有へ申
ラス又其時大貮ノ奉レルト云義もアリ
一こまうとのたてまつれりけるあやひ。えき高麗人
一光源氏相シタル人ナリ綾緋金錦金ヲ織付名主領ノ
全爛類ナリ
一そう王の御いましめのふたつのほう弐本そんわうまやこかし
一承和ナリ仁明天皇侍従
夏方
ナリ
御秘蔵の間不伝男子ト
云制アリ
侍従
里方
二方一うへは東のはなちへいてに
出広ト云也若菜青ゝみなみのおとゝの西のはなちいてに
おましよそふ所〻云皆放出ハ南ヲモテノ母屋トミヱタリ
西ノハナチ出ト云ハ西ノ対ノ放出ト云心ナリ東ノ中ノハナナ
イテトハ東ノ封ノ母屋シ中ト云ハ母屋ト東西ノ廟トノ
アヒタニ障子ヲ立テヘタテタレハ御帳ヲ立タル所ヲ中ノハナ
千おとはイへル也源は西対の放出にて合給なり六條院には
封羅二有ト云ヱタリ甲加減ノアラソソヒナリ一八条ノ如
御方本康親王
一品弐部一号八条宮仁明天皇第七御子
母従四位下糺種子矢席女高名薫合ナリ
源氏紫上イツレモ侍続里方也八条弐部マトハ紫ノ父弐太
ニナスラヘ云也両種ノ方ハ不伝男ト承和ノホイマシメノ方ニ
載シ一カウコノ御ハマ花守色々注アリ香壷菖蒲菖井コノ字ニ
コリテヨムヒ一合点一御イソキ御裳着ノ事ナリ
一前斉柱一チリスキタル一心ハ哢打枝シ弐糸
ナトシテモ也一コンルリニハ里方ニ縁ナル色ナリ松ニ付タルハ
一松は寒に堪たる木也黒方も寒中ナト霜雪に御され
一又勺ニタト一タリ哢一御メトヽメ兵部卿言ノ
一こツハイヤサネノカラノホソナカソヘタル女ノサウソク紅梅ノ
一唐織物ノホソナアシ女ノサウソクハモカラヲヌ五キ又ナト也
一花ノヱニイトヽ心ヲ
梅花タチヨルハナリ有シヨリ人ノト申ムルカニソシミユル
むめの花かを吹かくる春風と心をそめは人やとかめむ
一トや有ツラン兵部卿ニ申クシ給故也地也一誰ニ申ミせン
君ならて
一右近ノチレノミカハ水ノ辺ニ承和ノ御時右近陣ノ御海ノ
辺に地ニウツマル後代相伝〆其所ヲタカヘストニて総メハ
梅花は梅下菊花は菊辺ニウツムヘシト也
一惟光の宰相任由コヽニ初テミユ一斎院ノ御クロホウ
サハイ一ト花ノカハチリニシト云哥ニ引合イヘルナリシツヤア
ナルニホヒ三種アル中ニハヤヲト云其ウラナルヘシ右ニ注ス
一侍従ハ才トヽノ御ハイツレモ侍従ヲ令給中ニ御ハ也併
一みたさある中に梅花はゝやまある三種は侍経里方梅花
一寛教僧都記云春は丁子加増あルへキトミヱタレハ其や
ヲハヤキト云ム寛教儒部記云春丁子夏秋ノ沈冬ノ
薫陸随レ季三朱計可加之呼写上一種加テ合給春ノ
ウトヽニヨソヘテ梅花ヲスクレ斧トス一時之ニヨレルニホヒノ
さたマレルニ春梅花紫上夏荷葉花敷里秋菊花又侍従
冬荷葉又里方一朱雀院古今集に朱雀院と見は
亭子院ナリ仍此サキノ朱雀院モ寛平ノ御事タルへ斗ル
然共此物語ノ朱雀院ヨリサキト云心上承平御代合番
ヲシメ給キハ古方等ニミヱタリ一クノヱウノホウノスクレタルハ
サキノ朱雀院ノウツサレテ公忠朝臣ノコトニヱラヒツカラ
マツレリ百フノホウナト此段ノ詞アマタノ心アリ一ニハ前来
一荏承平ノ御門の御事也公忠朝臣も其世につかへて合
一香に達シタル人なり故に朱雀院の薫衣香と云は則
公忠朝臣ノタテマツレル方ト同事也百歩ノ方ト云ハヲ書
ソ香気の遠くヲコユルをもて百歩香とは云へシ一方に定
ヘヤクナルナリ一ニハ朱雀院ノ薫衣香ト正朝臣ノ百歩
香ト二種ヲ明石ノ上ノ合給フト云ヘシ百歩香ハ四條
大納言の家より出たる由みたしと承平の百歩馬と名
付侍るは昔より有方ナレハ慈朝臣のタテマツラン事モ
一疑へ斗ニアラス公忠
一号二滋野井弁一
光孝天皇御緒
高名薫物合ぬれにて
光孝天皇御緒一同
河海百フノ方ナトオモヒヱテトハレノ薫衣香百歩方ナト
モカヨヒテヲモイヨソへラルヽト云也薫衣香方沈三反四
沈三両甲両二ト
一分二朱
一両
青木二ト且二分丁子一匁一分二朱射笠大薫衣香一勺
射竺大薫衣香一名
黒方百和青字侍従一才トヽノ殿ノアタリ也
一蔵人トコ口蔵人所殿上にあり六条位のに一あすの
さあそひ裳着に御遊有へヲナリ一仕コトヽモノサウ
ソクコトノ装束トハ絃カケ柱ツケナトスルコトハコトハ
一絃の惣名なり一梅中ヱイタシタル是によりて出への名ト
す惣て歌により詞に付歌詞に付歌詞に付を以て号す此四
義也一宮モウトヽモサシイラヘコト加へ行ナリ一鶯ノ声
ニヤ鶯ノ声トハ郢曲ノ事也心シメツルハ薫ノ斗也
又玉ヤツラニモトアクヤレシ心モ有ヘシ一千代もへ又ヘシ
祝ノ折此詞夕ヨリ有
いつまてか野へに心のあくかれんひしちらすい
一色もかもうつ而はかりに千世モへヌヘシト云ニ付テ色香ノウ
ツソフマテ此春ハヲハシマセト也一雷のねくるの枝も枯木の
花の色をあかすみるとも鶯のねくらの枝に手なくふれ
笛竹とは落梅の曲の事也末の哥に十サ丁かと有て有にて
一心ありて風のよくめる風夕ニ心アルニ綿ニテ吹千二尺へキ申迄
是モ落梅ノ曲ノ心也一家たに月と花寺ホコロフルトハ
朔トクハシメテ鳴心也歌ハ月花ヲ露ヘタテスハアケ又ト
多モナクヘシト也又花導弁少将梅カ枝ヲウタフニ付テ
子クラノ馬モホコロヒナマシトヨメリチ鳥云馬ノホマロフルハ
一発ノ字也呼鳥の朝心ヨケになくことに明方に
ナリテ此祠鳥ノ明テ鳴ヲ云ニ叶へり一花のかをえならぬ
此ヱナラ又ハ縁ナラ又也コセモナキ心ナリ呼艶ナラヌ袖早
下よシなキ袖ト云い禅問一義云ヱナラ又夕へナラヌナリ源ノ
ヲクレル装束ノ心ナリ何トナク優ナル心ナリ一如何と
ふるさと人も源ト宮ノ御中ナレハ早下モナクヨミ給へり
又ナキコトヽ才ホサルラン兵部卿言上シ又ナキ人ト思ハレタル
ト源ワラハレタル心ニや
秋好中寒の坤の歌也一言のおはします秋好く
ヲハシマス也一さくしあけの内侍一切云内侍ナル人ノ其
役ソツトムルナリ一この故のおほしききす思崩思ひ
ル事ヲ草木ノハシメテ朝ニヨソヘタルナリコノ才トヽイ本
一左大臣の三の君まいり給梅カヱノ左府とて系図は別也
一真木柱に左大臣女法にて同別上春宮へ参給以前の
冷泉へ也嘩一ヤンナノミナンイマノ世ハキハナク仮名手本何
時始趣テ又何人所作哉答云弘法大師御作て
クタンノナシ
件無所見又云イロハトハ母ノ名計也然ハ梵字ノ宴
の義也にて往古の和語は万葉書日本記ノ三の様に
書タル也一トヨリテコソアフヨリテハ奥也昔ニヨリタル心
也トヨリハ外也スヱニナリテン一クやシヲ事ニオモヒシツミ
給へリシカトサシモアラサリケリ古名ノ立ヲ後悔アリシカ
トモ立タル名はカイナキト也一宮の御手秋好ま也
一よはき所ありてにほひそすくなかりしツヨキ手には必
勺ある物迄手に申まラス音曲舞楽ニイタルマテソヨキ所
アレハ餘情ハソノツヤウソフ醤也ハシメウツクシヒレテヨハ
〳〵トアレハミトヲシカナキ也一すたれ給そ慢シ給ハト也
一まんなのすゝみたるほとにかないしとけなきもたうましろ
めれ花鳥一シナノスヽミタルトハ事スクシテ草ニ書タルヲ
云ソレハ猶モミ所アリカナク其やウニ書スクサハシトケ
ナキ文字スカタニ十ルへヲ心也一かんなのしとけなき
イヨ〳〵筆ニナルヲ云一またかゝぬさうしとも巻物シモ
一草子ト云也サウシニ書内外典ノ書ニモ巻第一第二十ト云
一外題アリ出ニ物カ先本ニテアル也一兵部卿之命
左衛門勢系国一みつから一よろひ一双草子帖也
一こまのかみのはたこまかになこう紙はダウツクシクナゴや
カナルナリ一れゐのしん殿に薫合シ給所ナレハ例ト
イヘリ一アシテウタヱアシテノ色葉ハ芦ノ葉ノナリニ
文字を書也水石馬ナトのも夕にも書なるなり中峰和尚
一ノサヽノ葉申ヲナト云文字ノ体ハサヽノ葉ニ似タルカリシ
たゝみくたりはちに哥一首ヲ三行八中に書と書と云る只
又草子の申ス毎に三行ツゝ書給へるとイツレモ相違十カル
ヘシ呼哥ト云義アリ但タヽ双帋ノ詞文字スクナル也
一おもなくてくたす筆のほとさりともとなんセル中ニフテ〳〵
敷書下也但被下りは申マシトタハフレ也河海ニ下筆ヲク
但クタスハ書事也
タスト云也
タスト云也但クタスハ書事也一こまのかみのはたこまかになこう
紙ハタウツクシクナマヤ申ナル也一水くきになかれそふいち
して獲麟一句渡与レ筆俱文集
なき人のかきとゝめける水くきをみるに涙のなかれける下
一もしやういしなと文字やウ石也一つきかみのモトアリ有シ
手本共也一御このしゝう兵部卿言の御嫡子なり
一嵯峨のみかとの古万葉集ヲヱラヒ申せ給へる四巻
万葉の廿巻二至武御代撰也或説万葉抄五壱貫之
一撰也是以後ノ撰也掌中歴々高名能書嵯峨天皇
弘法大師敏行少将美材大内玄前中書王兼明
道風木工頭佐理大貮後中書主俱平行成侍徒大調書
問云イニシヘノ万葉ト云義と一点一からのあさくれたの
かみをつきて唐浅繰紙一だんのからかみ段々文て
一けてのすちをかへて昔能書は様ゝしに体を申へて書
一王義筆ニモ種々ノ体アリ行感候八十二様ヲ云りナト
云へり一おとなふら見しかくキリトウタイ也灯台ヒキヤ
一くちぬへきをツタヘン姫言ナトナントシ宮御方此頃はイマタムマ
レ給はサルと一上中下一此御は二明石中三ツの御夕め
一かのすまのすまのす申シノ二巻斗取出〆余ウハ残シ
タルウイヘリ一たいふれにくきアリヌヤト心ミヤテフ
一姫君の御ありさま雲井
一右のおとゝ中務言十ト右大臣は若鬚黒大将父ん
一かの人の御そしき夕
其比ノ大臣也中務三郎先祖未見一かやうの事はかしこき
源古院ノ御ヲシヘニタニシタカハサレハイケンモイヤヽナレトヽ也ニ
一しりいに□ユカスト云いたト河洛只ハシメイヲンヰテ末トフラ
又計レ一女のことにてむかしも花寛平遺誡ニ左大将
先年於女事有所失ト有一くさはいなき時一人に思
トヽ一ル所モナキ也何世継天暦事一うへはつれなく
あしねはふうきはうへよりつれなけれしたにかよひて恋しき物を
一たかまことをか
いつはりとおもふ物から今さらにたかまことをか我はたのまむ
一よなれたる人こそ夕霧の文ヲモ雲井蒔ヒタスラタノミ
給なり一おとゝ引かへし致仕大臣サキニは夕旁を嫌いは
又シタイ給故ニ引申ヘシトシ一つれなさはし雲井存候事
ワスレヌ人タ三カミツカラ〳〵しきはちもかすめ
中務言の事を夕霧キかせ給い又トナリ一かきりとて
一忘カタキヲ夕霧モ世ノ人ノナラヒニヤト云心也併
放出事私噺
一応徳三年十二月十六日御即位叙位執筆通俊可記云
東対代南四間為放出母屋并廂東西行横切悪翠
簾副西障子立四尺屏風南北行対座敷高麗陽
帖
一大臣座継席五尺
中
許西方敷し
為公卿座横切御簾前南面敷同座
一枚為横政其前六尺許敷円座一枚為執筆人衆駕
一同日時紀記御直席
東対
代
放出四ケ間十三日放出三ヶ間
代
而今夜依座席寝所加入一間之西面御簾下御整副立写
一尺御屏風五帖北御簾前去六寸斗少寄東敷落田座
一枚為御座当御座南去六尺計敷同同座為執宅同座
藤裏葉
一名詞源卅九歳三月ヨリ十月マテノ斗此巻
源ノサアリノ世也是以後ハ次第ニ末ニナル
一御イツキノ程も姫君御参ノ事也一関守の打もねぬ
へき人しまぬ一女君も才トヽノウスメ給シ雲井朝夕立刀ノ
中務言への事一沽もろ恋なり爰ノ引哥ナク共ゟ
みこもりの神しまさしき物ならはわかた恋をもろこひになせ
一かの穴にも中務や三日一三月廿日大谷の御忌日
南巻ニ
四月ト
ミヱタり哢委
一一極楽寺深草在也昭宣公御建立也
林逸ニ経ヨくも也ト
一御す経御トフライシ一けに〳〵の御法の者にも大言の心に入給
シ計ナレハ也甲一よともに世分共と一一日の花のかけ
深草極等にテ一わか宿の藤の色こき
工カリノ心也春ノナコリトハ大太ノ事ナルヘシ一中〳〵におりや
まとはん中〳〵ヨソ〳〵ナルヨリ落テタト〳〵シクハト也
君かたにとはれてふれは藤のひたけれ時もしらすそあり給る
一おとゝの御まへに源の御一へと一すゝみ給し給はたそし
うらみもとげめトクニノ給ハゝコソ恨モトケント也芥リテウケ様ニ
は無曲也一なをしこそあまりかろひためれ非泰釼ノ等ト何ト
ナキワカ人コソフタアイハヨケレ直衣ノ色夏ハツ申キ時二盛
次事花田次青花田也非参議は二位三位中将ナトヲ云
夕霧は時々宰相中将非参議ニアラス二藍はヱウニワか〳〵シ
ケレハコキ花田ヨヤルヘシトノ給也一心やましきほとに待処
タルホトニナリ一かうさくホメタル詞一こといりそかしトハツホや
ケサマノ臣下ナトニアサレタルハ道理也御子ニテンコリナライ給問也
一一春の花内大臣銅一夏にさきかに
夏にこそさきかゝりけれ
一文籍ニモ家礼トイフ事アルヘクヤナニカシノヲシヘヨクオホシヽ
ルランヤ内大臣ノ我ハオヤヤタミテアルヲ夕帝ノ家礼ノヨシ
ミモマシマサヌト恨給詞也家礼ト云ハ子ノ父ヲウやマウ計也
他人ナレ共子ニ准シテ礼ヲイクスヲハ今ノ世ニモ家礼ト云キタ
レリサテナニカシノヲシヘト云ハ太宗ノ家令ヲ太公ニトヲシ事
ヲイフト云説アレ共ソレハアマリナル計也ふんせきにもかれい
呼内大臣をらやマフへヲ心シ官位ニヨテ人々ヨラスト也問文籍
ニモ家礼トイフコトランセキトヨム也ヘカレイトモヨムニや一助答
又モンミヤクケライ共コムヘキヒ読やウ一決セル事ナシ
なにかしのをしへ儒道ノラシヘヲ云花ワカラシヘノ心て
一いかたかむかしを夕霧銅身ヲ捨テモ致仕大臣へツアフヘシト也
御力はり共大宮故致仕摂政等事一さときよくさうときて
一時宜ヨキ也サウトヲハインヤハシキ心シ人シモテナストテトリやシ
タル心ナリ一藤のうら葉の
春日さす藤のうらはのうる程とけて君しお日を我さのまん
一むえさきにかことはかけん藤の花松よりすきてうれたけれとも
上カリナレハ聟ニト也松待ノ字魚タリ松ニ咲コスヲ過テト也
カコトセコソ心姫君数ナラヌ故ニ申コツヘシト也一いくかへり寄
けき春を能宣家集三十へて消息ツヤハス人ノムツマシウハ
侍ラ又ニ春ノ末ツヤ夕ニツカハスいくかへりさきゆる花を過しつゝ
物まひくらす春にあふみ一たをやめの雲井尋に思わソフ
一あしかきをうたふおとゝいとけやけうもつかうまつるかなとうぢ
みたれ給て手へにけるこの家ひと申三申三串の三ツは男のみ
ソヤニ女ヲ友ナヒテ家ノカキヲ越テイヌルヲ女ノシヤニツクル人
ノコリケルヲ才トヨメソツケツラントウタカヘル心シ弁少将今此
事シ思わせテウタヘルヲオトヽキヽ給テケヤケウモツカフマツ
レル物哉トノ給へりケヤケキハ尤ノ字也以前モ此詞有シ也
爰にはゝかる所もなくわたへルト云心ニイへり其に年へにケル
一此家ノトントヽノ助音シ給ヘルナリサレト芦垣ノ哥ニハ年ヘ
ニケルト云詞ハナシトコロケル此家ノト書ヘキラ例ノ展転シテ
書ホトニ二斗ヘニケルト有本ヲハシサヘテトコロケルトヨムヘキ也
所ケルトハ家ノヲチヤフレタルヲ云ヒ呼夕霧ノ方ヨリ女ノ事
フオヤニアタルヤウニ取ナシテウタフシソレヲ内府ノケヤケウモ
ト給也年へにけるところけるを書誤とも花此物語古句
ヲ引力へテ時ニ随テカケル事多之是モ只引中ヘタル十九人三
けやけう尤字ハシタナキナト一まかてん空もほと〳〵しく
被下〳〵敷心上夜更行被云也一松にちきれるは
ときはなる松に地される故なれとをのかころとそ花は咲ける
一世のためしにも成ぬへかりし
恋するにしぬる物とはさかねとも世のためしにも成れへきかな
一中将は心のうちに頭中将ヒ夕務の方ヨリシタハサリシ
事は思一あしかきのおもむきはみゝとゝめ給つやいたき
ぬしかな花鳥カタハライタキ人哉ト云心也噪イタ〳〵三重
主力十ハ少将のも此哥にきやニ申ト云詞アレハ当座ノ取
一合に夕霧の致仕大臣に申給シ事の様ニウタイタル其ヲ夕
云力ノ心ニイヤニいや思テイタヲ主哉トノ給へり一河口のと
こそさしいらへにほしかりつれ弁少将ノアシカキシウタヒ三時
夕霧我ハ河口ノ哥ヲ包答ニウタヒタクアリシト女ニカタリ
給ヲ聞クルシト思タルハ関ノアラウキハ堅マモリシカ共忍ヒ〳〵
ニハ心ヲヤヨハシタリシヲオヤタチハ知給ハテ今ハシメタルヤウニ
思給へルト云心ナレハ女ハキヽクルシト思へル也一あさき名を
いひなかしける河口はアシヤ斗ノ哥ニヲヤニモヨコシ申テト云
ウタイヲ弁少なウタハレタレハタ帝ハ我ハヲヤミヤハ申サヌ物ヲ
一ケ給ヘレハコソト云心也ソレヲオヤノアサキ名ヲ云ナカシケルハ
イヤヽサヤウニハモラシケルト女ノヨメル三ツ也
一もりにけるくき田の関を川口の弘仁式云太政大臣符応給
考陸奥国外散位三千十三人も擬郡司廿八人
一白河菊多刻守六十人自余略々右直国府外散位等如
一件省宜承知依件給考延暦十八年十二月十日
今葉ノ好哥いカ多ク守ルトモ奥州ノクキ田ノ開モヲノツカラ
人一ハ有ナレハ河口ノ関ニノミアサキト云名ヲオホせサルへヲト云
へル也◯呼云説者云少将ウタヒシ心ハソメ哥ノ女ノ親ニ侘申
シ由ヲ取合テウタヒシヲタ旁ノ開ノアラカキトノ給シヲ女君ノ
アサキ名シモラシケルト恨テ又ヨメル也夕霧又堅ク守ル所モ
カヨフ理アリ浅キ計ニ取十三給ナト答給フ也一あくるもしら
すかほなり玉すたれあくるもしらてねし物を
一ねくたれの御あさかほ夕霧の姿
ねくたれのあさほの花朝露におもくしつゝ見えぬ君かな
一なか〳〵けふは雲井尋けるはツカシクシ給ラ笑也一つきせ
さりつる此心ノトケ又也一又きえぬへきにも以前ノ心ツクン
ニクハル也一右近のそう呼夕音ノ左中将也左近将監タルへ
まん〽右にても愚今案右近可然一おゝしからす女〳〵
シキ也一おとゝうすき御なをしのウスキ御直衣ハウ花田
白さいハカササネノ申又也一宰相殿ハスコシ色フヤキ御ナラシニ
丁子染ノスコシ色フヤキハコキ花田也河西令左大臣六月
の頃丁子染帷ヲ着シ給へりケル由旧説に見一くはん仏
国史云承和七年四月八日清メ律師一ヲ一ヲ一ヲ傳灯大法師位
静安於二清涼殿一始行一潅仏事一推古天皇十四年始毎寺
四月八日設斉会日本記一ふせなと大やけさまに
親王大臣以下布施ヲ内裏ニヤハラス給也潅仏ノ布施ニハ
昔は銭を用名を申頃より紙に十サレタリ舟つゝみと名付侍
ルナリ一水もんやは
なとてかくあふこ一わさゝならねと夕方ニ心ラセケシ人
ナト也一女さの御有様女御の御サイハイハヨロシカラサル也
一北の力夕女治の御女内大北方一タイノウへミアレニ紫上酉の
一日ノ暁ニマウテ給ナリホアレハ玉依姫ノ別雷神ヲウミの
シ所ヲ云ニヤサナ御生トモ云則カタチラアラハシ給ヘル故ニ
御形共云リ神館ハタヽスト仕才やトノ間ヲ申ミチト云所ニ
アリトイへリ河海賀茂祭ノ前日於垂跡石上有神事
号御形御阿礼御生也見土説拾遺目本記云神聖生
其中者或御禊ミアレ祭ノ前ノ一日ヲ御禊日ト云也
御生所は神館ニアリトニて祭時御旅所ナリ
一そのほとはの給けちて源カタリサシ給ヒ実ス所ノアシキヲ
中宮ハヽ申給也一上達部なともさしきにし
そなたに出給ぬ紫上ノサシキヨリ源ノサシヤへ出給ん
一近衛つかサの使は頭中将なりケり賀茂祭春日祭の
一使近徳□ヲ用ラルヽハ東遊ヲタテマツラルヽ故也舞人
一陪従ハ近衛ツカサノ被官名ニ依テ也使ノ出立又申一リ
夕午ニサマ〳〵義式有事ナリ晴チカ頃マテモ近衛使は
一郷い子息中将為代カサリ車ナトにしめりて東遊ヲ具スル
事迄一ツの才等殿ニテ出タツ所ヨリ人々ハマイリ給ケル
上達部ナトモ仕サ三斗ニ参ルトアル人々ハ頭中将御役出タ
千見舞テソレヨリ源氏の御見物の所へ参ラレタルナリ
一とうないしのすけ惟光宰相女一なにとかやけにのかましら
惟光女ニウト〳〵敷テアフヒト云名モ忘ルヽト也
一かさしてもかつたとくるゝ草の名はかつらをおりし
一桂林一枝崑山片玉今以之課試及第〳〵に作来る
葉風カツラノ葉ノ風也博士ニいへタルナリ
一さめのとたちもみをよふことの心いたるかきりのあるを見及事
ハアリソコソ心ノイタルカキリノ言ツヤヘツモシ侍ラメ目ニミヱヱ五事
マテモ思やリテセンコトハ有マシキト云事不足ノ登也
一その夜はうへそひてしてくるまにもたちくたり姫君輦に
此子上同車也此子上輦ユリ給事末ノ詞ニアリ立クタリハ
明石上也我かくなかふる尼君也一た地かはりて参情
明ほと也一かくをとなひ給けちめになんトは姫君フトナヒ
給フニ紫ノ年月ノ御心入モシルケレハ明石上モ御心ハヨモヘタ
テ給はシト也紫ノ御心也一これもうちとけぬる蝉コレモな
姫君ヲ母ノミタテマツル折ニアハせテ是モトイヘルカトミユ
一さてくるまなとゆるされ給て女御ノ御有様ニ被下ラヌ此子上ノ事
女御トハ招メノ事シイツレノ女御トハサヽス一ひとつ物にそ
いてさりける川うれしきもうきも心はひとつにて
一よそちになり給へけれは御賀のこと執政人四十賀例
昭宣公貞観七
一古堀川ノウホイマウチキミ四十賀九条ノ家ニテ
一桜ひちりかひくもれ葉平一その秋太上天皇に十スラ
フ御位給ハリテミフクハリツカサカウフリナトミナクハヽリ
給長岡天皇已下ハ皆謚号也位ツキ給ヘル帝ノ位ヲ
サリ給テヱ給へルハマサシヲ太上天皇尊号也位ニツキ給
はさる人の院号有しは敦明太子を小一条院と号せし外
八其例十キ事アリ但太上天皇ト号せ又ハアリニテ院
司年官年爵封戸十トは太上天皇も一事替る所なし
是ニよりテ此物語ニ薄雲女院并六条院御事ニは太上
天皇ニナスラフト云詞ヲソヘタリ是ハ釼ノ脱覆ノ御門ノ尊号
ニアラサルカ故也御封ノ事ハ小一条権ノ院号ノ時ハ御封以下
成元宣にせらる大ゝ上天皇御封は法令二未定也東今の食
封は二千戸の由延喜式にのせられたれは小一条院は春宮の
時の御封を其一ゝゝろかれたる由なり今源氏君は太政大臣よ
リ浣号ヲカフゝり給へり太政大臣ノ食封ハ録令ニ三千
戸ノ由ミヱタリ小一条悦ノ例ヲモツテ三千戸モトノ如タル
ヘヲ由心得ヘキニヤ但クハルト云詞ハ三千戸ノ上ニ加ルヘキニコ
ソ法成寺開白ハ度々ニ及テ食封ヲクハヘ給ハリシ事ナレハ
トモハ別シタル殊息ナルヘシ六条院ノ御封ノ事此等ヲ
以テ了簡スヘナル河海ニ太政大臣封戸二千五百五十戸
ト申シタルハ誤也法令等ハ三千戸分明也
一むかしの例をあらためて院司ナトモナリアラタメテノ詞ニ
一改不改ノ二ノ心アリ源氏ハ此間太政大臣ナレハ其ニ改テ
浣司ナト補ラレタル心シ又誠ノ大上天皇ノ昔ノ例ヲアラ
タメスシシテテトナタメラレタル心モアルナリ
一内大臣あかり給て開問致仕のふとの事なり末の詞に
一太政大臣トミヱ内府ヨリ直ニ任せラル事勿論也易
一平清盛等モ内府ヨリ仕二相国せルナリ一あさみとり
わか葉の浅縁は六位飽なし紫は四位已上也袍也
後撰庶明卿参議ヨリ中納言に任スル時九條右大臣記
ヲつ申ハシケル哥ニ思キや君カ衣ヲ又キカヘテコキ紫ノ色ヲ
ヰントハ此事ヲ思テ今モ中納言ノ事ヲコキ紫ト云ナリ
一桃色は衣服令一位深紫二三位浅紫四位深緋五位
一浅緋六位深緑七位浅緑八位浅繰初位浅繰也深紫
は紫卅斤にてソめに浅紫は五斤にて染之深緋は苗に加へ
一紫浅緋は苗ハアリン浅緑は藍ト刈安にテ染也浅緑は
藍ト黄蘗にて染也繰は藍は申にて染し今世四位祝
三位已上ト差異ナキハ一條院正暦ノ比ヨリ如此ミタリニ
ナレリ小野宮右大臣ノ記ニミヱタリ又紫ヲフシ金ニナせルハ
女絵所ノやスキ定ニシタルヨリヲコレリ此哥ニアサ縁ト読ルハ
一七位衣色也六位十郎は深緑十八也又二位三位は浅紫左
ヲコキ紫トヨメルハ一位ノ袍ノ色シカやウノ哥ナトニハ大概ヲ云
一常ノ事也其上庶明密議ノ中納言ニナル時九条右大臣祚ヲ
ツカ父トテコキ紫トヨミ給へり京極中納言モ参議ニ従三位ノ
時紫ノ色コキマテハシラサリキモ代ノハシメノヱノハ衣トヨ
メリ後撰ノ哥ニモトツキテイヘルナリ一二葉ヨリ名タヽル
アサキ色ワクハ浅黄六位袍ニソヘタルナリ一三条故ニわた
り給ぬ故大宮家へ也二条の家の外に大太の御所有之
ケル十けへシ一一むらすゝきも心に
君かうへし一むらすき
一なれこそいしやとのまし水真清水也能周哥枕一シミ
一ツトハ出ルシ水ヲ云トアリ一・サルシ水ト云門上
わかやとのいさらを川のまし水のましてそ思君ひとりをい
一なき人のかけたにみえすつれなくて心をやれるいさゝゐの水
一八雲抄云出ル水ヲ云々小井也イサテ小川ト云モ遣水ナト
ノ浅テナカルヽヲ云ヒイツレモスクナキラ云也一此水のいたつね
一まほしけれとおほなはこといみして手習共ウミ給テ其心ヲモ
尋ヘケレ共翁ナレハ夕方ト雲井ノ中ニテ斟酌ノ由也
一そのかみのむ木は啼前の詞に翁ハコトイミシテト有然る
一大二太ノ事雲井ノヲナシキ人ニ成給タル心下ニ有ヘキ候
いにしへのふるき翁のいかひつゝうへし小松は苔むしにけり
一いつれをもかけとそこのむ二葉より
押
うきはへてかけとしたのむ峯の松色とる秋の風にもみつな
一神な月の廿日あまりのほとに六條院に行幸あり
一康保二年十月廿三日御記云此日行幸朱雀院此下詞
此物語に申ケり種々略也村上行幸朱雀院之例花寺
一まつむまえとのに御覧ノ文メヒ此馬六條院用意上甲
一ひつしくたるほとに御記口乗輿移柏殿自埓東辺行は
到時未一剋下与暫入内
一みちのほとそりはしわた殿にはにしきをしき姫道くらへ
ノ布ニ箪ニ錦ヲシヤレタルヲ云シ一みつし所のうかひの
おさ院のうかひをめしならへて御厨子所別当一人預膳
部滝口廿人謂鵜飼に人細代等々類ナリ唯六条院は
ニテノ事也御厨子所ノ鵜飼ノヲサトハ内裏ニアル物ニや一切
御厨子所は主上の御膳をつかさとる所也ソレニよせられたる鵜伺
ナルヘシ一みかと猶かきりあるいや〳〵しさをつくして朝覲の
一行幸には帛袷ヲシキテ上皇ヲ拝シ給フ事有之
一池のいをゝ左の少将とり蔵人所のたかゝひ
一天徳四年五月十二日申刻釣散召候者丹波春助下細
捕魚捕得三喉鯉鯛即放入之鷹飼事康候
年七月廿一日蔵人頭延光朝臣以左馬助満仲右近府
生多田公高右近番長播磨貞任等監為御鷹伺御
一鷹飼蔵人所被官也一馬一つかひを右のすけさう
けてしん殿の東よりおまへに出て呼問此作法サタ一シル
義ル又転ハ左トアリ鷹ヨリアウルへキニや一呑是ハサタ
マレル法ナシ奏者ハ公卿ナトニテモス事アリ鵜飼鷹ノ勝
一劣モ時ニヨルナリ魚ハ御前ノ池ニテ取ニヨリテ此時ハ鵜ク
賞せラルヽニや又前後と遅速ニモコルヘキ事也
一おもの御日本記一十はかりなるせちにおもしろうまふ
みかと御そぬきて給おほきおとゝおりてふたうし給
子息預勅禄之時父舞踏之義也一むらさきの雲に
慶雲寿星心と呼問云哥ノ心荷仙境ノ事也茲一切
此国雲トハ弘海ニイヘル如ク堯ノ時ノ知瑞也寿星ハ佳星ト
モ云皆聖代明時ノ知瑞也仙境ノ事ニハアラス以上紫ノ
雲とは菊の紫に尋あり又菊は星に似たレハニコラヌ世の
星トヨメリ又紫ノ雲下禁中ノ事ニヨメリシタリ
一時こそありけれ
秋をゝきて時こそ有けれ
一あをきあかきしらつるはみすわうゑひそめ白様に二色有
アラキハ青色アウキハ赤色ナリトモニツルハミハイラサルニ此
名ヲヱタルイト心得候又事也爰ニは舞童ノ装束ウイ一リ
左は赤色にスワウの下かさ子右は青色にヱヒ染の下やさな也
一野行幸にも左鷹飼赤色右は青色をきるは幸の巻に
-
シルシヲハリ又河海ニツルハミハ凶服ノ事内宴ナトノ例ヲノ
ラレタル爰ニハカケシロハ又事也様トツケルリヂヌ一れいの
みつらにひたいはかりのくしきをみせて呼問舞童も也
ヒタイハアリノケシキ為一野ヒタイハ天冠ナトアナタル心也
又只浴角ノ額トイヘルと一うへの御あそひはしまりて見
のつかさのことも図書寮ノ事也旧記に以書司女官召
楽具之由ミヱタリ累代ノ楽器納ラル所也一うたの
法師のこゑかはらぬ宇多法師和琴若物也以桧作に
一先一条院御時内裏焼亡之時焼失を一被のめし
気にそおほしたるや朱雀院我御代には申ル行幸十キ
ヲウラミ思召也一よのつねの紅葉とや朱雀院ノ紅葉は
ハタメシニ引シヨノツネナラスト浣ラナクサメ給也
一中納言のしめさましけれ冷ト源トノ似給へルニ又夕血方
モ同やウナレハホメタル心ニテヌサマシトイヘリ一さうかの殿上人
一新儀式ニミヱタリ
一柿染色部赤白様ハ糠ト
苗トニテ染テアクラサストヽ青白椽ハ刈女ト紫トニテ
染シまたヲサスよく只白様ト云色ハ別ニ不見赤色青色
ト云モ同計也天子内宴時モ今着赤色様其外雲客
なとも依時着用上文等は只今無所見内宴着御の
赤色御祝は唐生綾にたはる御幸并故裏葉に被注上
以上一段前開口包状永正元後三サ五
白桜之名称な何紙不審計若赤色青色ニシラケタル色ノ有
計哉白藍十ト云モ其義は荷
何筋に白様と尋は皆赤色青色通用之構と
之上候別不見染取候凡名臘不及了簡也
一以下官一条前開日問題事也今注入也
若菜上
名詞哥源卅九歳ヨリ四十一
此物終ニ上下此巻ハアリシ抑上ヲサスニタテ下ヲサイハス
〆柏木ヲ廿一トタテタルハ漢書高祖記上ヲ第一ニシテ下ヲ第二
トイハス呂后記ヲ第二ニタテタル今ノ例ニ相叶一リ曲礼上下ハ
記者分之故一巻の内に上下あり檀弓上下は後人記をつ
クルニツキテ簡策繁多ナルカ故ニ二巻ニ分テ上下ヲタテタリ
河海旧説誤ナリ若栄ノ上ノ巻ニハ古大将ノ北方若菜
一イリ給トアリ三かニモ則若菜トヨミ給へり下ノ巻ニハ女三
言朱雀院ゟ五十賀に若菜多テ一ツかせ給へき由云ヱタリ然共
一紫上ノ病脳ニヨリテ若菜ノ事ハナクシテシハスニ御賀ノ儀
式計有上下ノ巻に同詞弐哥若菜トアルニヨツテ巻ノ名
トハせルナルヘシ
一和語例紙御楽の物桜の上巻又第五吹上の上吹上の下十二
クニユツリノ上同十三同巻下十四サクラノ上十五同下
暉源卅九冬女三裳着アリ四十賀候事明石中寒懐妊
も四十一三月十日明石中寒御産事
一朱雀院のみと有しみゆきの後藤ノ裏葉に六條院へ
冷泉院朱雀行幸有シ事ナリ朱雀ノ仕事ヤクトテ
如此イへり一きさいの言おはしましつる朱雀御祠此巻
一悪居らせ給卜み工一もよほすにや御發体の事也
一一壱疋今上の御計也一女夫四所と云つゝケテ藤壷ト六は
一女三郎御計書へキタメニ先イ一リ藤童は先帝源氏宮
式部卿宮御イモウト紫上ヲハ君也薄雲ノハイモウト也
一たかき位にも后にモシ一西山なる御寺つくり
新国史云仁和四年八月十七日於新造西山御願寺行
老帝同忌御斎舎今案西山なる御寺卜は仁和寺を
云也光孝天皇ノ御願寺トシテ仁和年中ニツクラレタルニヨリ
仁和寺とは号せり又承平御門は天暦六年三月に御出
一家有て四月に仁和寺に遷御より此物語候朱雀院は
一承平御門ニ准テ申侍レハカレコレヲ取合テ六ル詞也
一母女御毛承香殿迄鬚黒ノイモウ下一はうしろみ共
おいぬれは
一このみちのやみ
女御達也一さらぬ別
世中に
人のおやの一としまかり入て年タケタル也一この秋の
目付呼春秋ト云ニ夏ハ春ニ属シ冬ハ秋ニ属ス此義ニ
又拾遺都くに雑の春に夏を属す此義より行奉は十月也
然ヲ秋ト云リ尤詞優也一大小の事一みゆいこんのでも
一介にも夕六万十九才源卅九才也一さすかにねたく
女三を思召よせみ事タカフ也一介かうちは納言にもならす
六條権院紅葉賀豊任参越廿英巻黒大将廿一貞信公
一昌泰三年三月任参銭廿一空御本にははたちとあり
一あやまちてもおよすけまさり父ニマサルヲアやマリテト云へり
一きやうざく啼一猶いかゝとはゝかゝるゝ事有てなむおほゆる
一弁詞也サマ〳〵云テ又猶シリカタキト思案シタル也百日説也呼
一さるはこの世の源ノ心也本タイナトノナキ事も一いまの世のやう
朗
ホヤラヤ
アナラカナル也
とたはみなほかゝかにあるへかしくて哢コロワニ調達シタル也
一みこたちのよつきたる有様はうたてあは〳〵しき
やうにも有啼御子タチノワタクシノ男マウケ給ハホメ又斗也
次ノ詞ニ又高書ニハトイへ共ト云ヘルモ同女ノ男ニミユルニ付テ
一大事ナル事ウナラヘテイヘル也一むかしは人の心たいゝかなし
て平正利一いひもてゆけはおなし事也高下同事也啼
一兵部卿卿容蛍なよひ一又大納言朝臣の家ふかさのそむ
一院勅別当共へシ家いやサは女三の家司フの公をイへり
アツアリ奉ラント也呼朱雀院別当也奥には故大納言は
年比院ノヘタウニテシタシクツヤウマツリテートアリ同
人迄両人両様をめ給也一右衛門督柏木也内侍替めて近
一藤大納言前大納々に同一権中納言夕帝と一にはかに
物をやかねてうちつらさを君る一御いたゝせ一院の世の
源廿九院四十二三ノチヤウイ也いきまきイカリタル也
一御しつらひかへ取のおもてに朱雀院柏梁殿柏殿名皇
一后御在所也是九條右丞相祝呼柏梁殿朱雀院ニア
一もろこしの后のかさりをおほしやりて嵯峨天皇弘仁
八年男女衣服り唐法周礼二后六服禅衣諭秋闕秋
鞠衣禄衣トイへり一御こしゆひにはおほきおとく
一濃美物語ニ云フホイト〳〵御袴ノ腰工ヒ給シモイト所ノ言タチ
ヱナラストホヨソヒヲ紫檀ノ螺鈿ノ衣ハコ一ヨロイニ入テカライヤ
ヲ入カタヒラニ〆世ニタカキソヒ共宮〳〵ノツタへ給へルヲ奉り給へ
り一蔵人所おさめとのゝかゝ物ともたてよつらせ給女三人言
御モキノ時内春寒ノ御心もせのも也蔵人所モ物ヲゆる候所
ニや地下ノ者ノ作所之荷一勘番蔵人所は今ノ世ニモ蔵人
方トテ調進物ナト事ニヨリテアリ一尊者の大臣の
是ハ大饗ノ例ヲ以テ御裳着ノ腰ユイラ尊者トイ一リ
凡唐朝ニハ徳爵齢ノ三ノ中ニ一モアレハ尊者トイヘリ
開大饗の時尊者アリ其ニ准ス一中寒よりも御さう
そくくしのはこ心こともかのむかしのみくしあけの具哢
秋好中宮ヨリ来森女三へ参せらる也昔ノトハ斎寒二立
給時用ラレシ具ナルへシ一さしなからむかしを杜好歌はゝにテ
クタリ仰シ時ヱナラ又御コソイ共御クシノハコナト有シ事也
開姫云ノ御方ニ姫宮ノ御方へナカラ院ノ御方へ御消息
アリさしなからクシニヨ世タルナーサオラ也神さひに若久
シナシ早下ノ心アリ一あえ物アや申り物也一さしつきに
中宮に女三を次ニトイ一リ問書物にもかなの心にやも文字
清留藤一勘令点サシツキモ櫛ノヱン也一山の座主より
はしめて李都王記天暦六年三月十四日時太上天皇
朱雀院落飾入道延暦寺座主権大僧都此外
一たみはりの御ふなとこそみなおりゐのみかとゝひとしくさた
まり給へれとまことの太上天皇の儀式には六条院に号
からフラせ給テモ太上天皇ノ儀式ニカハル様如何一助封戸
年官年爵ナトハ太上天皇ニ申ル所ナケレトモト天子ニテ
一三〳〵シ御門ノ脱履ノ緩ノ儀式ニハ又カハルヘキ事ナリ
一首又勿論ノも也同御封封戸ノ戸トイヘルハイヤ程ノ事
いや一助戸ハ民戸千戸百戸ト云ハ民戸ヲ尋セラルヽ心也
ソレヲ封戸共云也一れ井のこと〳〵しからぬ御車に
供奉人装束
西宮抄云太上天皇御行
一明時不定
上皇乗車
一橋榔朱雀院初令出大内
今案唐庇十トハ緩々ニ出来セル
一時乗金餝候
物也呼コト〳〵シカラヌハ常ノ梹榔トも一ケニ而あす
我世をはけふかあすかと
啼雪山馬ノ斗十トヘリ
時御卓
世の人のおいをはてにしせましかは今かあすかもなけかさらに
一このいさし御出家の御心サシ也一世をたもつさかりのみこに
嵯峨天皇御コウ忠仁公給シ事一せんかうのかけちは
一沈にて作たる盤也浅香也御鉢一前の斎院哢
大刀タはせン斎悦也一世の人のくちといふ物たかいひ出る
一人なかを人そさくなるゆめよさい人の中こときゝたつな君
一ほゝゆかみ方市み也一正月廿三日ねの日なるに若菜
七種荷薬姜芹蕪青御形酒々代仏座
一哢正月の賀は多分用子日也廿三日子日十ルに御賀事より
一にしのはなちいて放出河海痛の名也にて甲母屋也
一かへしろ壁代又防壁一御ちしき四十枚地鋪は
唐筵ニ大文高麗へリツケタル物也哉龍鬢地舗に
一鱈ノタイシ一羅てんのみつし螺鈿一夏冬の御さうそく
四季ヲモ一かうい長酒ゆつかつきヒンタライノ類
かゝけのはニウチミタリト同也浦器有量并蓋カケノ
ハコハ打乱草也河海湯汁抔柿頭台唐櫛一連
一さかさし御たいにはちんしたむしおなしきかねをも
挿頂机一櫛有録山水金銀花樹等造花を台
ニツク老ヲカクス心也排頭ノ花ナリ一かんの君に御たい
めんあり内々ノ対面也一おさなき君も玉ウラノ子達也
一ふり候ひかみ三四八カリナルヘシ一人よりひとて第一ニ賀シ
一ト花鳥ニアルと為
給ト也槙柱同胞の男子二人十二十一歳也
此者夕千モ参り
は参り給シ一せめておとなひシヰテノ心也
小松ヲ引ツレテト云フ源ニハチヤラシヰテナリ
一さまはかり幽玄也一小松はら末のよいひにひかれてや
末遠齢ニヒカレテ源モ年ヲツムヘシトナリ
一式部卿言紫上父也一御むまこの君たちいいつかたにつ
けてもおりたはた雑役式部卿ノ孫紫上ノヲイン源ノ御
為モ孫也一こもの籠物献物両義也
よそ枝四十枝おりひつ物折櫃物一かく人なとは
めす延喜十三年尚侍賀御記云命侍臣人々奏絃歌
自弾和琴中務卿親王源琵琶克明親王弾琴た
不召楽人斗此例と一御劣之なと管ノ物総名也
一かたくいなふるを固辞一上手のつきといひなから継嗣
一和琴日本琴又嵯峨天皇剛尽此曲伝に尚侍広并
女にて後頗中絶一すかゝき和琴にかまる一ちゝおとは
琶このをもいとゆるにはりていたうくたしてイタウクダシテトは
下ノ声ニテヒク也ノホリ子トハ上音ニテタタヤヲナリ上音
一同調子ナルヘシ一わらかに和シ是ハトハ柏木ナリ
一この御ことはぎやうてんの御物宜湯殿西言抄え納殿
一累代御物在二宜陽殿一故院のすゑつかた一品はケ相益
御門御ムスメ御母弘微殿一みこもゑひなき重言へなき事
○やう紺
一かへりこゑ呂の律に十ル也一青柳あそひ給ふ青柳鷹楽
一長の楽序青柳をかたゑによりた鶯の此詞によりなから
ノ尊ト云り一とし月のゆくゑもしらすかほ
年月のゆくゑもしらぬ山かつは瀧の音にや春をしると
一わたくしことのさまにしなし給てねると哢同わたくしことな
きやうさくめぬ此御賀はモトヨリ私ノ礼儀也きやうさくは
還徳ト云タトヘハスケレタル心ナルヘシ私事ハ卑下シタル義也
一世にすみはて給ふ玉セツラノ身ノ定レル也一君菜まいりし
西の寝殿也一うち入まいか給人のさほうをまねひて源氏院
号以後ナレハ入内ニ准せえ候也上入上之同事ナリ
一御車よせたる所に院わたり給て臣下ノ礼ハ妻ヲ迎時ハミ
ツカウ車シ寄礼也ニて壇中ノ義ニハ此義有へ申上ス然而
一六條院只人ノ如ク振舞テ卑下シ給セし
一むこのおほゝえと吾家の曲ノ乱を一もろ心に紫上源ト
一同一ツケの事共シ給也一御そともたきしめ柴上ノサマナリ
一なとて万の事ナトテヨリ源詞一めにちかく此女上三か也
一命こそたゆともたえめ命は夕ユル共契は夕工一シキト也世ノ
ツ子の契には非す別たる契なれはし一中務中将君もとは源
方ニ有スマノホウツヒイノ頃ヨリ紫上ニアリ一かの御夢に
源の夢に紫上み王給也一やみはあやなし春の夜の
一猶のこれる宮子城隠殿猶残雪御鼓声前未有鹿
子城は北方の城亡楽天詩と一さは思つかし源ノ心一友まつ出せ
ふりそめて友まつ雪は
一袖こうにほへおりつれは袖こそにほへ梅花一桜にくしては
一梅かゝを桜の花に一花を引くして尊ヲ猶ナセンノ為也
一花のさかりにならへてみツやヱタノ花ニ心ノウツ口ハ又程梅ニ
心ノトマルニや桜ト一度ミハやト也紫上ノ心トリニ花ノ松判ヲ
シ給也人ニ花ヲタトヘイヘル也義ニ非ス一こと人のうへならは
源心一けふはそのさかたにひるわたり給いわみたてまつる三夜後
ヒルミタテ一ツル也一院のみかとおゝしく雷也
一なとてかくおいらかにおふしたて毎人老フカニト心得タルカサニハ
一非ス先ノ詞ニモ女三ノ宮ヲハ児ノヲモキライセヌ心チメナト有
ウサナ〳〵シキ物ハカナシトキコヱタリウイラカ大様也
一むかしの心わ申クテ善悪ヲヱラフ時十ラハト也
一月のうちに二月中迄一そむきにし此世に
世のうきめみえぬ一やみをえはかけて人のおやの
一心のと見にたになき名そと人には一きとれりて
我身にアやマチナク也精進ヲモ云一たちにしわかいまさらに
むる鳥のたちにし一しのたのもりを和泉守に也一あしろの
むかしおほえて須磨へノ折節やツレタル車ナト有シも也
一玉もにあそふ春の池の玉もにあそふ
一平仲かまねならねと前ニ有シも也穴ナ事ナリ
一涙のみせきとめかたきし水にてゆきあふみち近江にいへタリ
もる人のありとはきけと相坂のさもせきかたくおつかなみたか
一花はみなちりすきて敷過也一つしやかなる一この故と
一滝川夜ニヨソヘテノ給一こ寒コキ殿ノ大后也一しつみしも
わすれぬ物をこりすまに身もなけつへき宿の藤波
こりすまに又もなき名藤ヲ淵ニよせタル例貫之
さほさせとふかさもしらぬ淵なれと色をい人にしらしとそ思
一身をなけしふちはまことの啼源ノ身ラ十クヘキトヨンヲ
〽コトハル哥ノ心ハ身ヲナクヘヲ渕ナウハ浪ノセルモイトフ一シキ
ニ有二三申事ナレハ彼モカケシトヨメリ一関ものかたからぬ
長清呼酒
人しれぬ一ありしよりけに
忘るらんと思
一むかしをとる
しつや〳〵
一桐つほの御かた明石姫君十三才一めつゝしきさまの御懐妊也
一我より上の紫上モ寒の御子也一月にきて秋やきぬらんみる
まゝにあをはの山もうつろひにけり
原ノ三日
水鳥のあを羽は色もかはらぬを萩か下葉そけきことなる
白露はうつしなりけり水鳥の青羽の山の色つくしれは
青葉山童菅抄卜云物ニハ入二若狭国名所一清輔抄ニハ奥
州又尾張国ト注セリ夏フヤクシケリタルヲ云也一水鳥の
青羽は哢壮鳥は池十トヨミユル故ニヨメル也又青羽トイハシタメ
斗ル紫上ノ三カヲウケテ壱ヽ羽ヲヨメリ源ノ心ハ申ハラヌラ紫ノ
ケシキコトシトヨメリ一おなしかさしを女三三三太女氏は
光帝紫上ノ姨ナレハ也一いとかたしけなかりし朱雀よりは
皇女
一消息也一さかのゝみたう二條院ニテハ内々ノ事共ヲさせ給へ
御契ヲ二条院ニテウコナイ給ニや一禅閤点
前ニエタケキサヰラウト云トヲハタ文字公也
一ぢず帳簀一ゆたけき寛工夕中ニヒロキナリ
一さとしみの日河海御賀試楽日トシミトニて一統御年ノ一サ
一ルヲ拝見スル心ト御年満ト云十二タリタルナリチテ
一螺鈿のべし貝スリタルイス也一院司六条院ノ院司也
一椅子ヲ立ルハ主上上皇ノ外ハ不審一こしろの御屏
一風四帖ハ四季ノ絵ナルヘシ古今事云ニモミヱタリ
一ざんごき鈍食ツヽミ飯シ一権中納言夕方未つ督およつ督おして
入あやをイリアや舞ノハツル程也舞ニ有二取綾手一蚊口入
一俵并入一北の政所の別当紫上ノ家司也女房ヲは
北方又北政所ナト人によりて云かへ多り哢北方のタタイ也
此女上ナルヘシ問ス別当ニハイヤやウノ人ナルニや一切別当家
司の中輔也又問き北政所本台を号スルと一呑執柄家
一掃政ニ任シテ後正宝ヲ北政所ト云始ノ儀式アル也
一千年をかねてあそふ席田ムシ口田ノ〳〵イツヱキ川ニやスム
一鶴〳〵スムツルノ〳〵千年ヲカネテソアソヒアヘル〳〵
一取入道宗廿七ニテカクレ給一ならの京の七大寺に御す行
ぬの四十たん李都王記云延長四年十二月十九日内裏
東修六条院御六十賀誦経平城七大寺合布六十
端を以て延長二年天子四十八寄布四十端十三寺に調誦
をせらん七大寺東大興福元興大安薬師西大法隆
一四十寺有例閣ちかき都の四十寺寺ノ在所定迄
ルニや一劫大略ノコル寺有之へ申ラサルと定タル一ツハナシ
一中宮まかてさせ給てことしののこり御いのり冷泉院
より源ノ御賀中三郎ヲアルシトメセサせ給也前坊宮ス所
ノ御心サシツモ中ニテ御沙汰也ナキ人々ナレ共源へ中寒御
一息ヲ報シ汁ハンノ御心サンナルヘシ一四十の賀といふことは
さき〳〵をきゝ給にものこりのよはひ久しきためしなん
すくなかりける仁明天皇四十賀四十一崩天暦四十二
崩東三條院四十崩一役にたゝんことを五十巻
一寒のおはしますまちの六条院ヒツシサルノ町也
一上達部のろくたいきやうにならへて六条院ノ御賀ヲ
一中一ツノせサせ給也大饗卜ハ中言ノ饗ニ春久免ル
一正月二月中二分二宮の大饗十トノ事也明治二云
一中宮春宮二郎大饗はイヤ様の時をかはるゝ事第一巻
一中宮春宮の大饗は二宮の大饗と云て毎年正月二日に大内
ノ北ノ玄輝門ノ東ノ腋ニテ東宮ノ饗アリ同門ノ西ニテ
中宮ノ饗アリ其事ヲ河海ニヒカレタル也一まうちきミたち
一大夫ヲ一ラチ君共樞メ殿上人ヲ包一こしさしなと疋絹也
一名たるき帯高名録云韓狩落花形鵝形雲形
一鶴魚天鵞通天一むかし物語にも物えさせたるを
明君之改設利以致之
河海孝経ヲ引孝ヰ何事ヲ引テカケルニや一切
花鳥に大概注せり一中納言にそつけさせ呼源辞シ給ひに
ヨテ夕方ニ仰ツケラレケル也行幸十トナキ計也
一右大将や一三三シテジヽ給河海に先例引夕霧右大将に任す
一源御契ノ儀式御門ヨリ調させ給ヲ辞シ給ニコテ中納言ノ
任ノコロコヒニナサレシ也一所々ノヲやウナトモ蔵ツヤサマウ
さら院大裏よりをコナハルヽ其実ニは必蔵寮穀倉院なり
ヨリ饗也食ノ事ハサタイタス也則蔵人頭宣旨ヲ書下
ス定タルも也一左右のおとゝサウノトヲム所ニヨリヒタリミキモ
一殿上人はれ井の内春空に随る殿上人は禁中に申かす院
ノ殿上人春宮ノ殿只人ナトニテ其所ニユルサレテ昇進スル事
アリソノツカラ其中ニ懸タル事モ有ヘシ院ニテ昇進シタリ
共内にテイ一ツ夕昇進せスは殿上役にはシタカフ事申十八又也
一けふはおほせこと勅也一しうどく宿徳十し
一御屏風四帖にうちの御手にたかゝせ給へるからのあやの
うすたんに絹屏風ヲ唐アやニテハリタル也ウスタンハウスタミト
一四尺の屏風二コロイ御手ウへのセせタテ一ツクセ給フ囁
追々聞書哥と絵上
一主上ノ宸筆ノ御絵也
私未動不審
一つくりゑ
サイシキ絵シ一六衛府の官人六ヱフトヨム六衛府
左右近衛府左右兵衛府
一御をくり物にスクレタルワコンヒトツコノ
左右衛門府
永平四年十二月
ミ給コラヱ太后日記
九日御賀
才トヽトクマカテ将
又さわたリ物沈ノハコ一ヨロイイレタルセンタイノホテノ
万葉集イマヒトツニは本五マヲやマトコト一ニ候
一さむまにもむかへとりて右ノツヤサトモコマノヤクシラ
一延長式正月廿五日御賀御記御馬引出候後主殿挙
一炬此下略し夕霧右大将なれは右馬寮の御監なり哢同
トモ馬ヲムカヘトルトハ禄ニ給ハルニや右ノツカカサ高麗ノ楽メ
トハ右ノ米人ノ事と一勘弁へ取トハ内ヨリヒカレタルは
馬ヲウケ取計也一一杭朱雀様也一かの母北のかた
一秋好中今ヽ夕霧ホサイハイアリ彼母達ノイトミノ行ゑナシ
トシ呼同一御サウソクトモコナタノウへ花両里シ一こなたに
はよその事に花敷〳〵一年くりぬ源四十一也
一おとの君ゆしき事を奏上ノ計ヲ思出テ也
一かのあかしのさまちの北ノタインに一見しかき御木丁
一ソサ十キ人ノ御丁也程ニシタウナリ一風なとさはかしく
をのつから御丁を吹やル風ニヒマナトニミ給へシト也
一くすしなとやうに医者ナトは大家簾中ナトウモハヽカ
一ラ又物也サアリスキハ感シコヽリサカツテ恐モナヲ也
一よしめきそしてソツシテハイヒソツシナトノ類凡千鳥云
存テ也一かはゝるにサはや申一世を捨てあかしの
明セナル心ニヨメリ一こなたはかくれ明石上ノ御方ニ当座
ホウフヤカマヘ給也ヲシキナキヤウナレハムラサキノ古方ノモトフ
ハシヽ方へト也尼君は爰ニテ近ツヲヨクシ給へシ一しろき
御さゝれて御産当日上下着二白装束一九夜改日装
束俵尋常也九条右丞相記云女房等各着二白裳唐衣一
冷泉院降誕一春寒のせんしなる内侍のすけ
一啼問云内侍ノスケル人の宣旨ト号スル人共一切
宣旨ハ宣旨殿トテレヽモ女屋ノ名ニモ候也是ハ内侍ノスケ
ヲ懸タル也一御むかへ湯におり延長四年六月一日皇后
産男児
村上
奉仕御湯大君前湯江御供には対湯部セ
天皇
シノ上ムアへ湯也一うち〳〵の事もほのしりたるに内侍明者
上ノ事ヲ思也一七日の夜内よりの御うふやしなひ
延長元七月廿日朱雀院御誕生七日の御ウフやシナイ
内裏ヨリせうる同年六月一日村上院御誕生七日ノ御ら
フヤシナヒモ内ヨリセラル此ホ例ナリ御前ノ物ハ榎木ノ小
一台盤六前に緑の御司馬頭盤やらの物をす衆也うチヲ
并中又わた布碁手銭五十貫弐百貫等色々あり
参入の人へニは女ノサウソク以下人々ヨリテコレヲ給フ
其ニさウフヲヌ一カサ子ムツキ一カサ子十トいへテ給事也
一朱雀院のよく世をステオハシ一・す御かはり春宮は冷泉院
ノ御ツ中ナラないホウフやシナイナト朱雀ニハウハルヘシトミユ
御隠遁のアイタ父王のき式にせらるゝ也申宮わりも常には
カハリテは兄弟サマニセラルヽ也屏内ヨリ朱雀院ノホカハ
リニさせ給シナリ問云蔵人所ヨリ茲一勅頭弁ノ宣旨ヲ
わけ給候は蔵人方へ仰スル事勿論ナリ禄は何人に
給禄哉一いまゝてにせぬ昔ノ大やラナル心ナリ
一うつくしみ愛一あまかつ天児ハウコシ一あしこカシコ也
一このとしひは入ろゝ文一我ヲモトムマレ給ハントセシ其年
一内典外典ニ夢ヲトケル事多シトイヘ共今ノ物語ニイヘル
所は善恵仙人五種の奇夢をとけるに少もたかフ所ナシ
花鳥居云過現因果経ノ説依多略之明石入ろの哀は
明石上ノム一レントスル夜ノ夢ヲイヘリシハシ是ヲアハセテ
イハヽ須弥ノ山ハ山ニウヰテハ上ナキ山也右手ニサヽケルト
云ハ女ヲハ右ニ留サトレハ明石ノ上ヲ云ナルヘシ山ノ左右ヨリ月
日ノサシ出タル月ハ中宮日ハ春宮ニタトフレハ明石ノ上ノ
は女中寒に立て緒に春宮を生給フへ事端也みつからは
山ノ下ニヤクレテ其光ニアタラスト云ハ明石入卿世ヲ遁テ
栄花ヲムサフル心ナケレハ彼御徳ヲハミサルヲ光ニアタラスト
イヘリ山ヲハ広キ海ニウカヘヲクトハ春宮ツヰニ御位ニ付給
テ四海ヲ掌マヽヨリ給ヘキ心ナリ我身ハチイサキ母ニ乗
て西を指て行は入道般君の舟にさま等さし生死の海をワ
たりて西方極楽の岸に到ルへヲにタトフ親当二世ノ形
望成就シテ日出瑞夢也善悪上人ノ夢ニ頃弥日月ヲ
み給へる事は普光仙天に首を申はせ給へり瀬其心相遣せり
トイへ共各其子アヒモトムル所ヲ成就スル事ハ世間利益
コトナリトイヘ共ナソラヘテ是ヲ思ヘ斗ヒ又玄奘三蔵ハ渡
天の前に頃弥の海中にあるを夢にみ給と応恩伝に有又
夏に月日を呑とみるは必貴子を生共イへり夢は無明旧
習ノナス所トイヘトモ仏ノ多夢ヲ以テタトヘテ法ヲ祝給へ
り日月夢中推古天皇六月十五夜の夢想迄頂上
宝冠を着シ給へル無心ノ俗形ヲシマス大寶蓮花ノ
上に安座シ様テ左右の手に日月輪を差上て光明を
八十千斤を黄金白銀ノ七宝ノ城廓有是皇子所住
城トノ給フ則告給テ汝等共ニ三宝を興隆シ天照太神
崇祭タテマツルヘシトニヽ御夢サメテ後則夜半ニ上宮大子
をく申一奉于此由語申様大手大に驚畏て月淡明神
之昔祭所ヲ尋テ七ケ国ノ内七千部ヲ就定シテ御厨ニ
奉寄せ三メ給一はゝまれ給しコ十夕ソクノセタの文ヲみ
侍シニモ又内教記栗松王父十夢あり法花経ニ一常有
一是好夢ナトアリ凡経論ニ多ヲ信スル事不可然事
漢書後漢書明帝爰略々一かへりまうし賽の字祈
計叶タルニ悦申心也一わしのかた十一刀従是西方過十方
億仏土有世界名為極楽あ弥陀経一水くさ清き
嵯峨御代に玄賓を僧都になされし時官牒樹にさしはサミ
テ哥ヲ詠メ深山ニ入其哥云
土津
とつ国は水草きよしことしけき都の内はすさにまなれり
一光いてん春二郎世を夕モ千給へ事也又は入ろに関より明にて
モム候ヘキ心トモイ一リ
大徳
前のを見いてしあふるのかけをみてしよりくねへにけりうれしけり
一一月日かきたる女ノ方一ノ文ホラ命日ヲシルヘシトナリ一我身
はヘンケノ物ト変化四生中化生心上一サ八ノ外ノナシニイ
タリテトクアヒミン善導大師ノ讃ニ誓到弥陀安養
一界還来穢国度人天ノ心也一十四日ニなん
一一かひなき身はくまおほかみ薩埵王子飢虎に身を施し給ひ
心とおれ身を捨て山に入にし我なわはくまのくゝはんしもます
一匁入たる峯に妙高山は絶峰也一仏のみてしのさかし
きひしりたるも常在霊鷲山ノ心也仏侶ニ滅度三給へ
共常住此不滅也ト説タル也不減ヲシリナカラ弟子夕チ
歎シ如ト尽公ノ心ニタトフ一さかたは明石上也
一おほろけならては亀ケ十文事ナラテハノ心ニや如此詞ヲ
ツヤフ事多シシホロケノ命ナカサナメリナト有ウホロケナウヌ
心也甲モ同一昨日もおとゝの中一マニ付奉テ明石上候シ
ヲ一かへりわたり給ぬ姫君の御方へ明石上帰参給迄
一ゆとしきかねこと尼君ナウへ給へ給一ト也一さま〳〵ためしなき
悲ノ中のコロコヒ一宮す所呼女仕よりハタリタル也
又不然義共不申下云候問云王子出させ給テ後は御息所
ト号スル事ニや一答東宮ノ御時后カ子ヲハ御息所ト
申也古今集第一巻二条院を東宮の御やす所と申
ニ門も御子ノ有ヘナシニヨラス一匁いのうへなとのわたり給
紫上わ申御方へ帰わたり給つ也一あついゑ一みつからは
いた明石上也一おもひくまなき思申候心也三井テイ
ハゝ愁ナルヲ思父心也一いまめかしくなりかへらせ女三十
トノ御事ヲ心ニ思上一いのちなくてこゝらの年比の
つとむるつみも源我身の計ら給也甲諾州す
荷一鳥の音きこえぬ山はとふ鳥のかうもきこえぬ
一か心せん召のおとゝはいとうこくありかたき心さしをつくして
おほやけにつかうまつり給けるほとにいさゝかたかひを有て
忠文民部卿将門征伐ノ大将軍タリケルニ勲賞ノ定
有ケル時清慎公賞ノウタアハシキヲハフコナハビト申サレ
一タリケルヲ弟右丞相刑ノ疑シキヲ行サレ賞ノ疑シキ
ソハ行へトコソアレト申サレタレ共ツサニサタナヤリケリ翌
一朝に民部卿右丞相に忝シテ畏申テ富家ノ券契ヲ
奉リケリ家ニ帰テ手ヲニキリテ立タリケルカ十指ノ
爪ノ手ノコウマテ生出テ血ハ紅ヲシホリタルヤウミテ思死
ニケリやカテ悪霊ト成テ其故ニや清慎公ノ子孫ハ末
一ナク成テ小野宮モ他家へ伝タリトニレ見二旧記一
一この夢のわたり
世中は夢のわたりの浮橋かうちわたりつゝ物をこそ思へ
一時み此哥に当只夢の義也わたりは優たる詞の夕より也
一是父くしてたてまつるへき明石入ろゝ願書に源氏ミツカウカウウウウウウウウウム
シモ具〆タテ一ツフント也一いにしへの世のたとへに継母ナトノ
中ノナライウヘハ懇ニテソコノ心イカニトタトルカシコキ様ナレト
只面ノ如クタノマハ引カヘシツミヱウマシクテ真実点ナルヘシ
中モ同一おほろけのむかしの世大方世ノ人々ノ中ノ
計ウ云実ナル人ノタヤフ節アル時モカタ〳〵トカナキ四ツ
アキラムレハソノツヤラクルシカラスヨクモテナス計也
一ヒトリ〳〵啼我モ人モ罪ナヲ一ツヤラハルレハ不レ答ト也各マツヽ
ナタラムルヲヨシトシ一ゆへよし故ハ本性由ハ心タテシサマ〳〵ニ
此段二巻二
用捨アルト也
叶へり
一かたへの人は紫上外は得失トリ〳〵也
一そこにとは明石と一数ならぬもの数ならねとも人に長干
タレヌナリ一なをし所此前上明石上手ツケ所モナクヨシト也
一よくこそひけしにけれ前御為ニは何ノ心サシカハアント源
一ノ様ナト思合テヨクソ早下せシト也一しりうこちきすえ様ニ
明石上シリウマチテ又我上ヲ思へり一ふくぢのそのに
やシユタラカ福地ノ周ニ種マキテアハンカナラスアリソノ都ニ
奥入ニ此哥ヲ不用とゝ哥躰凡俗ナリトニ只福分ノ程
アリト心得テ見ヘシトて一何事ものとやかなる三ツミタ
ルモウキヤヤナルニソヘハ引口テナタラヤニナル也アマリシツミタルヨ
キ程ニナル義シ畢竟ハ心シツメ物思ハシキ人サヘ心上ヲケン
トヽコホリナキニヒカレテヨキ程ニナルニイツレモ〳〵イハケタルアソ
ヒタハレノミナレハタノモシケナク目ニツカ又ト也只レ密通ノ事
有ヘキ序也一小侍従女三の定ノメノト柏木ノ乳母ノス也
一おとゝの君もとよりほい有御出家ナトノ事アウハン
一こゆみいさせて問小弓ノやう荷一切雀小弓ノ事也
一さるはいときやう〳〵なりや屏一勘花寺にほスにて鞠の遊
ノ躰みたりカハシキサ一・ナル事也シツヤアラヌ事ニやサルトハ
一前ノ詞ニ鞠ニ心ノ引やウニイヒシニ対ス一モヱキノカケニ
一萌黄あさ緑なる木也一おとゝも宮も
一朝候日高冠額抜夜行沙厚沓都忙前開
一只鞠ニクツロキタルナルヘシ一さくらのなをし表白裏蘇芳
一シホレタル枝スコシ資雅卿ハ悪ノ枝ヲ腰ニサシテケタル
一由にヱタり資雅いへは宇多源氏蹴鞠の家也有進候〳〵
子也有雅は後馬羽様御時の鞠足なり一みはしの中
の中階一桜はよきて吹風も心しあらは此音は桜をよき
て地えさみなん一春をたむけの又廿袋はスキ袋也三月
ノ末ナレハ春ノ暮行手向ト也又サハ旅行ノ人ニ袋ニ入テ
送物也道祖神手向為也一ツヨ〳〵ト一はしよちにしの
一二ノ間爰ノ次第未案得由呼花ニアリ一つはいもちは
一桧ノ葉ニ入タル餅也ニゝ一から物はかりして芋十三
一ふるく侍る家の風久かたの月のかくらもお日はり家の風をも
ふかせてしかな一たい〳〵き事追々一いかなれは花に
こつたふ源女三ノ方ニトマリ給ハヌトヨメリ枕草子ニ鶯ハ
一花に子ニろシ一いてあなあちき夕霧心也一み山木に
ねくらはさな〳〵花鳥ニクワシハコ鳥ハミ山木ニ住サラ
花ヲモ忘シト也
み山木によるはきてぬるはこ鳥のあけはかへらすをそ思へ
一一なとか思計髪はさゝて柏木くる夕十ラテハヱシト思事也
一ふかき宿のうちに養在深窓一人未滅長口
長恨
一こしゝうかり小侍経申モトへ也一みかきかはらを
たちかへり又やくましおわけをみかきか原の忌かたさに
名所ナラテモ院中ノ御垣ニヨソへ云也河海ヲ引云
千代まても咲そはしむる梅花みゆきか原ニほりうへしより
一応徳二年三月十六日中殿御会に京極大殿大裏仙洞
ヲミヤキカ原トナリ一あやなくかやはみすもあらすともあ
一よそにみておらぬなけきはしけれとも花の木は茂しはやう
事物也去に恋敷也一心くるしけなるありささも
柏木物思部一ルソミテ我ナヒリ心モヤト侍従サレテ意
一みもせぬといふ所をサテハミシ申トン一アバメセンカツ也
一ツレナシカホウナシ
侘ぬれはつれなしかほをつくれとも袂にかゝる雨のわひしさ
一いまさらに色にないてそ小侍従
白雲とみゆる桜もある物をよはぬ枝と思はさらなむ
南のおとくの西のはなちいてに玉ヤツラノ若菜参り
給シ所也花鳥に西対ノ母屋ナルヘシトニて東ノ放出ト
アルハ東対ノ母屋ニ
朱雀院姫君六條院へわたり給ひし若菜まいりし
西のはまち出に御丁たてゝそなたのたいつゝ殿かけて女
屋のつほね〳〵し
一女三宮は寝殿ニ才ハシ一ストミ工藤
8668
置写
特別
十一日
養源抄四
米耳源抄
蛍兵ノ北ノ方アシ后ノサシツキ也
若菜下
或此巻モロカツラトイヘリ落葉ヲ何テ故也不用也
又上巻ヲハコ馬ト云ナトモヨリイツレモ古注ナリ
源四十一歳二月ノ事一ニテハ上巻ニアリ同年ノ三月ヨリ
当春ニ至侍り四十二ヨリ四十五マテノ事ハ物語ニ無所見
一四十六七歳ノ事ハ又載侍リ中間四ケ年ノ事ハ五ケ名ハ
此巻ノ詞云ハカナクテ年月モカサナリテ内ノミカト御位ニツカ
せ給て十八年にならせ給又と云り冷泉院は源氏四十歳の
時御位ヲスヘラせ給へり是ニテ了簡有へ事物也
一ことはりとはおもへと上巻末小伝経申返事ノ計也
一つこもりの日は三月昼也一殿上ノヽリ弓二月ト有シ
一殿上ノゝリ弓三月ノ例モアレト敬童ノ后ノト忌月ニヨリテ
一停止セラレタルトイヘリ御忌月呼さキツギ
一此院に六條院
一此院に六條院一まとゐ圓居居金合ノ心ナリ
的ヲ申子タルト
一左右の大将左ヒケクは右タ旁一さなからひ中也玉ヤツツ
の義ニヨリ二すけたち次将中少将也一一切ことの給しか
歩射的十郎類也一まへしりへの心こまとりに左右
同分たる一勘左右合手ヲコマトリトを一花のかけ
いとたつこと金のこと春をおもはぬ
一柳の葉をもゝたひ史記口楚有二養虫一基者者者者也
去二柳葉一百歩而射レ之百幾而中レ之左右観者数千人
皆口善射一とねりとものうけはりていとか左右の近衛
官人也一こゝしき手つき巨ニ也用捨申ル人ヲコツト
一前ニシンナリト云心ナヲ也大横ニ射ルコシトヒ百夕ヒハ無心也
一人にてんつるへき古人詩冊ニ松点ナト云ハイサヽカ褒美
シタル心ナリサレハテンツナルマシキトハ人ニホヌソシ衆マシキナリ
一女御の御かたにまいりてコキテン柏木同胞一おほろ
けにしめたるヲホロケナラスヲ略メイ一リ二春宮にまいり
女三トは兄弟也一ろなう論ナク也勿論也一さいりの
春宮ナレハシ一うちの御子コ寛平御記云映閑時述狛
一消息口駅猫一候太宰大弐源精秩満来朝所献
於先帝愛其毛色に不類余猫にて一いつゝこのみし
人猫フイ一リ一うたてもすゝ無哉子ウ〳〵トナクラスイ
タル方ニ云也一なく音なるらん呼ナク音ヲ猫ニヨセテヨメルト云
不用只猫ノ鳴音トヨメリ一これもむかしのコレモ又
唐武宗時宮妃後身為猫事あり一左大将殿ノ北の
かたい玉申ツラ也大とのゝ君たちよりも玉のうの兄弟の事
一大けいさの明石中宮ナリ一ミこの御おほえ式部卿
一紫上父二大将もさる世の二ケ名ナリ春上そノソチナレ也
一もてけちトハ真木柱上ヲ母君ノモチサケラルヽ心也
一マヽ母ノアタリウハ玉カツラヲ真木柱ノ上
蛍ノ本
一北方は
〽一兵部卿言猶ひと所のゝおはしてモトノ北方アシ后ノサシ
アシ后ノ
ツキ也ウせ給セミユ一大谷武部卿ノ宮ノ宮ノも也ト御読み
女子アマタモノシ給テサマ〳〵大将ノ北方又女御も中宮にて
ソサレ給也一せうとの君たち真木ノ舎弟達之セル御ケシキモ
トハ宮ノ真木ニソハ〳〵敷モキヤヌ様ニテ懇ニ通セラルヽニ付
テ真木ヲモ捨ヤタヲ也一ふるさと只今真木へスミ付給へは
前ノ宮ヲ都マト也一うちのみかと御位につき給て
冷泉院は源氏廿八歳時受禅有其部かる年を在位
ノハシメニ取テ源氏十六歳マテハ十八年ニアスル也十八年
一在位は清和天皇ノ例也ミヲツクシヨリ十八年也冷泉譲
一位今上即位十月ニ住吉詣又年カ一リ四十七二月二
女試楽十二月朱雀院御賀ノ事マテアリ一世中ハク
なう冷泉院御心一おふ人々にもたいめむし
冷泉源を只様ニうやマイ給事不叶ニヨテ已平同
一をもくなやませ陽成院依御悩脱履ノオアリキ
又依御薬俄脱履摸延喜御例上孝
幸部記
一おほきおとゝちしのへう冷泉院御代に大政大臣開白シ
卿御位大へリ給ニヨテ又蔵ヲ辞シテ致仕セント也
一年ふかき身のかゝふり後漢書逢崩字子鹿北海人
一拂冠避レ世年ヲ申キハ年タケタル也一左大将右大臣
致仕冠をかかけんト為一勘今ヨリハ出仕ヲやメテ
二十リ鬢黒也宰問
隠居スルヲ云其時ハ冠モイルマシキナリ
一女臣の君はかゝる世をも承香故ヒケクロノイモウト今上ノ
一母女御一かきりある御位をえ給へし物ノウシ口ノ心千シテ
今上ノ母女御贈后ノもウ云也一六条の女さの明石中
寒暖の御子也一右大将大納言になり給た夕霧也
末に左大将トアリ一松なしすちなれと明石や御ノ
御次ヲハシ一云同事ナレト同ハ冷泉ニト也
一思なやましき御事なくて無事ニ御在位有シニ密通ノ
トアモヤクルヽ也サテ本意ナラヌニヨテ末ハツキ給ハ又ラ源口
一惜思召也一春節女御明石女御爰より恭宮女御卜書
一源氏のうちつゝき后に栄花物語源氏の打つゝき后に
廿給事は春日の神のさとかめ有とミヱタリ様子中云〳〵
時ノ事也一冷泉院の后は秋好の心に深め申かせ給ヒ
タル御心ヲ有カタクラスナリ一読のみかとおほしめしく
冷泉院六条院へ御幸なと有シ也一冷泉院ノ引世次
物語になりさのみかと冷泉院にテオハシ一云ナレハ冷泉院ト
キコヱサス一姫六その御事は女三言一みかと御心とゝめて
今と一をこなひをもと紫上の源へ申給一住吉の御願
于時
かつ〳〵長保五年九月十九日御堂開口一
左衛門
随身室
家前石清水并住吉給東遊神楽等有之今桑源氏君
一相具豊参詣住吉可准之一年ひとの春秋の神に
明石入郷願に毎年せシ神楽ナルへシ一さえ〳〵しく才々寄る
一このたひはこの御心をは明石入道願トはナクテ一うテ給也
一舞人はゑふのすけ舞人十人石清水賀を臨時祭の
如シ六束府ノスケ共也陪従ソハ哥人ト云十二人四位五位各
四人也是モ道々ノスクレタルヲヌス由ミヱタリ又クハヽリ
たる二人は加陪従は皆近衛ノ官人等也臨時祭試楽を
は近衛陣にて是を行故二陪経は多は兵衛御尋ナリ呼問云
東遊ノ舞人ノもも加陪経ハイヤヤヤウノ時クハヽル事ニや
一即今世ニモ八幡臨時祭の時陪経の外ニ加陪経トテ
諸家諸大久ナトメシクいへラルヽ事アリ昔ハ皆道ノ物ノ
所役たル也一ヘイシウハイハシ水カモノリンシノ祭加陪経
陪続ハ御門ヨリ奉レル神楽也ツヽミラウタ又ナリ
二人近衛司例可勤
神人はつヽミフウツナリ
一呼問公陪従ソ哥人ト云々ウタ人トヨムヘ斗ん一呑陪徒ハ
一臨時の祭の時三の人にては侍しと二字をう夕人トはヨムへやの介
ルニや一御かくらのかたはいとおほく御神楽モ皆近衛ノ官
人也二二ソヒしことねりわらは呼関イヤヤク三十
ナルヘヲソヤ一答当時中間フンザイノ品也又馬副ニハサフライ
ノスル時モアリ一女御のさめのといしりにて此乳母此
時ノ心シリトミヱタリ万案内者ナトノ心テヤ一あかしの御あ
かれのみ一明石の上へ配分ノ心也立つアルヽ十ト云詞には非ス
一一おもふやうならん世中を女御居十トに定りテトノ心と
一神のいかきにはふちはやふる神のいかきにはふ
一音にのみ秋ラヲヤ又申等ナリ
もみちせぬときはの山はふく風のをとにや秋を聞わたると
一ことに打あはせたる拍子もコトハ和琴也大鼓ナトラウタ又
フイ一り神等は打物十トにて拍子を不調故也
一山あゐに奉れる竹のふし賀を臨時祭舞人竹又
青摺袍蒲萄染下襲地摺袴合袴陪従椶櫚文はゝ摺
一袍柳色下襲白表袴合大口赤紀半臂緒引帯
等各開付にて啼詞のつゝキ東遊の装束ニや
一かさしの花の色々は臨時祭挿頭使藤舞人桜
一陪経山吹但住吉詣事は使む舞人陪従ハ花ノ上
一ヲ右ニテサス也諸社行奉ノ時東遊ニハ使モアルナリ
一イロフモトメコ神楽二名也呼問イ口フ藤六里ノ誤ニや
一動イロフハ色メク心ヒ一モトメコハツルスヱニワカやウナル上
達申かたぬきており給匂ひもなくくろきうへのきぬに
すわうかさねのゑひ染の袖をにはかに引ほころはしたるに
東遊譜云先一ツ二ツ歌駿河舞次求子次加太拾品
之銅子高麗双銅也長保五年住吉絹於社頭左府
以下上進部其外殿上人合十人舞神主立舞相府
脱衣彼々にて花今楽首は片舞ト云まと神社の
行幸申やうの物詣の時は求子果て後公郷以下十人
カタ又キテ舞事有ヤタンロシト云則是也スワウウサネハ
公卿下襲ノ色ヱヒ染は殿上人ノ下襲ヲ云也紅ノ
アコメ献シクルヽトハ紅葉ノ色ニ取ナシテイヘル詞也呼
かたぬき東遊也問ほころはしたる其様荷一切
一セシメ又ク事ヲウイヘリ錠ハスニアラス肩五キタル躰也
一いとしろくかれたる荻ヲタカヤヤニ夜ヲカサス事ハ人
一長の作法トイへり人長は神楽に有東遊の申夕舞〳〵
事ニイヘルヲホツヤナシ啼河海ニ人長トカケリ不用也
人長は神楽に舞こゝては東遊也如此楽の末に云卿
一殿上人等モ舞事は先例にて陪従にては有可三斗也
上進部ナトナルヘシ問河海ニ清暑堂御神楽ノ試等執
物家にておこなるゝ時萩の枝を持しにて荻を申す事
此時に限り此巻には東遊の末の舞に荻を申さしたる
ト云ルニヤ一助此事未一決シ問東遊ノ事神事ノ
時ハアリソコナフ也一勘合点一イリ給テ二ノ車ニ二ノ
車トヨムヘシ明石上斗也哢一番ノ車ノ次ナル一シ桟敷
ナトヨリ内々ノ方へ入給テナルヘシ一世をそむき給し
明石入道迄二すみのヱライケル明石尼色シも海世モ
思ラントヒ即道ノ心ナリ一むかしこそまつ忌明石上
一みゝふりめなれ耳触也一住吉の杜に遣ふかく紫上三日
一たかむとの朝臣のひらの山清輔朔日袋草子文時卿歌
ひけろ木は神の心にうけつへしひらの山さへゆふかへらせり
レヽ案此文時哥ヒウノ高嶺ニユウカツフセリト云ハ雪ラ
誦スル三ツトコソヲホヱ侍レサラスメ比良ノ山ノユウ
カツラセシ事ウホツヤナシ又文時ヲ篁ト書タルハ名タ申へ
トソ覚侍る其故は関吹コユルス一ノ浦風の哥は重
忠見景ニ侍ルヲ行平中納言ノ哥ノ由此物語ニ載タリ
ソレヲ続古今ニ源氏ニモトツキテ則行平ノ哥ダルタシカ
ニ忠見申三かニ侍ル也カヤウノ事モ侍レハ篁ト載タルモノモノ
一思チヤヘタル事レイヤナルカシコキ人ノ上ニモ漢家来朝
タメシアルもし又清輔袋草子は源氏物語ヨリ後ニ
一書タる物ナレハ篁哥ナルヲ文時ト誤テモや云侍り
ツランイヤニモ源氏ノ説ラ本トメ関吹コヱルスマノ浦風
ノ例ヲ成ヘシ甲野桐公ノ哥トシ得テクルシヤラストニ
一文時聖廟仕緒也右弁高視二男
一禅閤工フ申つラ雪ラヨメルト
一神久の社人古へし一はふりこしいちしるき中務君
紫上の二カに有女房一もとすゑもたと〳〵しきまて
一本哥未哥神楽にアリ神楽有千歳早三ツ庭歌本哥
せンサイ〳〵〳〵ヤチトせノセンサイヤホンのマンサイ〳〵〳〵やヨロツ
ヨノ一ンサイヤ一かくらのおもて神楽面は神楽スル人白シ
私云カホヲサシアハせテヰタルヲモ世俗ニカクララフモラト色
一千夜をひと夜に秋の夜の
一あをにひ入まて哢紙テ覆タル也一本をして俄ナラ
一めてあさみ一入道のみかと朱雀一春秋の行寺
朝覲ノ行幸也礼記口春見云朝秋見云親主ノ親ヲ
み給も也一此証をはおほかたの六条院一二所にうち
給て御ふなと禄舎一品親王封六百戸位田八十
町二品封百五十戸位田二品六十町三品五十
町内親王封減半位田減三分之一ニて女三宮
二品也一内のみかとさへ女三ウ源イヨ〳〵御愁也
ヤウ〳〵ヒトシキ源ノ御心ワシ女三ト紫上同也
一春寒のさしつきの明石中くは腹の女一言也紫色
カシツキ給ヒ一夏の御かた花敷里夕霧ノ大将ノ
御子ンセシツキ給也一右のおほとのゝ畢黒一むけに
世ちかくウハリチカキいたり一匁いめんいま女三百くき事
一此たひたり給はン朱雀院来年五十賀被下源思給也
源は四十六歳也一七よりかみは七歳より年行夕候は也
一言はもとよちきんの御ひとをなん女三言はゝ一おもしろき
大こくとものしらへにつけてはかるへきひゝき児のさむき
ぬるさをとゝのへ琴の大曲也春は角夏は微秋は商
一文々は羽土用は宮也律は寒也只は温也分清酒語
一十戸調五戸
五音法曲也尚書言都之依詠律和歌
宮商角徴羽也
一ゆしあんする由はユルナリアンスルハ按スル美也押
一御子二御ころおはするを又も明石御御腹也又モトハ匂
一言懐妊見也一五月八ヤリミメナリ給へは神わさ
なと言女懐妊者散斎之前退出有月計を祭日前
一冬の月は人にたかひてけ清少納言ニタ申付テ云詞也
一院の御賀朱雀院御賀之内よりのさせ給に中シ合によし
リテ源ノヲハスコシ給シ甲一女かく心ミさせん御記口
一天徳三年十月十九日即内教坊妓女十人令表糸行
一呼女試楽ト云義アリ又ハ女楽ト心うへシ用也女三言
ノタメニハ試楽也朱雀院ニテノ試楽ニアル余ノ人々ハ
たゝ女楽ナルへシ一うちゑみて女三二ツ一二はり
源へワタリ給テ八年に成又其時十四トイへり一月たゝは
二月御賀一しん殿に女三御方へ紫上いたり給
一こなたにとをきは管絃ノ方に被ま也一わらいへはかたち
すくれたる四人紫上童女也赤色ハウハキ紅ノウチ
タルハヒトヘウ云ニや一女供ノ御かたにもアソ宮ハらハま也
一あこめはやまふきなるから入きを一勘唐崎之山吹追
に染夕共也一あかしのさかたはこと〳〵しからてあをし
のかきり紅梅表着也アフレハカサミヲ云ヘシアラシニヘ云
五位装束也青衫也ニて案之禊子也襖烏老中
襖
袍襖也
一踏哥御記口蔵人所人等賜襖子にて
一言の御方にも女三くは御方也アラニハウハま也青丹は
一濃青ニ黄ヲサシタル也万葉ニアウニヨシナフトイヘリ昔
一役所の土青く赤かりけるにて土器をつくりソメケル
ヨリ云ソメタルナリ一右のおほいらのゝ三郎鬚墨男男
一子四人也先腹二人迄大殿の為に三郎玉髪に嫡子と
女楽ニわテ若年ノ人ヲ出給也一右大将の太郎卿
古一然と一言にはかく一宮にはかくこと〳〵しき
雲井郡段也
ことセンノコトシ二さうの御ことはゆるふとなけれと猶かく
物にあはするおりのしらへにつけてことちのたちとみたるゝ
物也二大将こなたへ夕霧也
一言のことの音はみなかきあはする物句を見たるゝ所もやと
哢問云もキアハスル荷弐本にはさる物とことのねはみなかき
あはすると有一切春ノ字書申ヤマリ名ヒサル物ハ一サル
も義未決一御前のこと〳〵しく御門人御前也大裏にテ
ヨリモト也一花ハこそのふる雪梅さへシ一鶯さそふつたに
花のかを風のたよりに
一おとゝのあたり殿中ノ事一すこしさし出て筝ヲ
源ノ出シ給也一いちこちてうのこゑにぱぢのをゝたてゝ
河海発絃筝調子結也双詞以上為レ発盤御調査
為レ発也花導発ノ緒ハ初結ヲ云トトトニて調子ノ声
ソ云ナラハ一越詞ハ一ノ絃ヲ発ト云へキニや猶可尋
一猶かきあくせはかりは夕霧に引給へと二御まこのきみ
たちのいとうつくしきとの井すた丘衣也二琵琶明石上
和琴紫上筝明石女御琴葉一物のひわ〳〵楽共
二一〳〵も一ひやうしとちて夕霧也一ふつゝる爰はいるま心也
一言の御かたばのそき夕霧也二尊のはなにもみたまぬ
へく文集柳緑糸枝弱不勝鴬
鶯のはほとなひく青柳のみたりて物を思ふ比御
具平親王
紫記小少将の君はそこはかとなくあてになわめかしく二
月はかりのしたり柳のさましたり一夏にかゝりて
夏にこそさきかゝりけれ一桜にたとへても猶桜より
まさる花なき春なれはあたし草木は物ならなくに
一花たちかけなもみもみもくして
梅はみさへ花さへその葉さへ枝に霜をけましてとき木
一たいの上の見しおり野くのこし夕一院はたひ〳〵朱雀
一この御かた紫と一ふしまちの月二月十九日一音のお
一ほろ月よく源詞春宵一刻直千金花有二清香一月右レ陰辛亥
一おほろなる月影しつかに吹あはすく哢秋はスミノホラ
スト申大将又当座をホメタル詞思へシ一女は春をあはれむ
女ハ感二陽気一ヲ一春思レ男々感二陽気ヲ一秋思女モ侍
一いなこのさためも源詞一いにしへより自心ニラシヘヒ
一律をはつきの物に本は律呂ト云律ハ陽正也呂は陰
一助なり然共潅馬楽には只律ト云テ律之次ニスル也啼
問云モノヽシラヘコクノ物共ハシモ律ヲハ次ノ物ニシタルハ銅曲
ヲモ催馬等ノモチイノ如ク呂律ト律ヲ次ニト云ルニヤ一声
一催馬等には呂津とあつけ侍り本朝ノ伶倫の相伝も只律
を陽陰ト用来トて催馬楽も此分共るにや一切唐には律
呂ト云ハ陽ヲサキニスル心也一そのこのかミと人ヨリマサルフ
コノカミトイヘリ上手モ一子ヒ包コト推シト也
一和琴はかのおとく東門替の父ノ大臣一めてきこえ給へ
紫上ウ一こと〳〵しきゝはには源の答も一ひわはしも
明石上ハ源ノ弟子ナラ子ト恋ニテハ又マサリ給ト也
一よろつの事世ノ斗ウヽ三へ給
一天地をなひかし楽書云琴動二天地一感二鬼神一又礼示ハ通二鬼神ニ一
肉菜
二きんなん猶わつゝはしくてふれにくさ白虎通口琴者禁也
琴書曰
禁心於邪気以正人心也文医曰曠三奏而神物下
師嬢は
晋之
降何琴徳之深哉馬融琴賊一よろつの物の音うちに
楽官也
したかひて諸器ひとノ音ニシタカフニや事ニ三タアイテ銅
見心とやにて啼一かなしみふるき物もし琴の徳也ら閑の
物語十下にモアリ一この国にひきつた書はしめつかた
一波羅門僧正始渡二本朝一ニて但允恭天皇文武三皇
三琴ヲ引給トニてウ楽ノトシカケ故事畢
一おほくの年をしらぬ国に御閑ノトシカケ唐使ノ時波斯国
にも一むかしの人は天ちをなひかし鬼神のいけ
段前終日礼記曰楽者天地之和又日移風易俗天下皆
寧漢書礼楽志曰象天地而制礼楽一時以通神立人
倫うつ等物語トシかけけキンヲツヤフマツルニ殿ノ上ノカハラクタケ
テ花の如くにチル今一ツヤフマツルニ六月中の十日ノホトニ書
衾ノ如クコリテフル御門ヲホキニフトロキテノ給ケニ此シラヘハ
メツウシキ手也ケリ是ハヱイラタト云事也此国ニハイマタヱ
一ヌ事ヲコやシクメツラシキ人ノサへ哉ニて一松に神のみゝとゝ
めかたふき莫地悲弥一ヲ一写ト雖怨一ト離怨一ク夜深篇外鬼神愁シ
聴琴永吹一これを引人よからすとはいふ琴大事ナルニヨテ
カク云計ナトアリト也此段大申タ世ノヲシヘシ理ノスクレタル
物ナレはサル事ニや一こゝにつたいりたるふといふ物のおきり
廿三部
日本見日録藤原佐世撰楽家廿一日本見
二きんのねをはな
二百七巻
れた何ことをかは物をとゝのへしく衆器之中琴徳最優
一のち〳〵は師とすへき人もなく仏智ニモ無師智トテ有
一祖師にも無師独ラ悟人人有何事モイタリヌレハ自得
スルもも一二二は七よりくしき有て此御暇手後に
式部卿三郎は匂兵部卿也一かへるきあそひ給催馬等
葛城呂カツラキノ寺ノ前ナルヤトヨラノ寺ノ西ナルヤ二段ヱノ
ハヰニシラ玉シツクヤマシラ玉シツクヤラシトヽ〳〵三段シカヘシテハ
国リンセツ也一かへりこゑに又なしらへかりてりちのかきあせ
とも将律調琴琵琶ニアリ只ヨリ律ニナル時弾也一五かの
しらへ琴五ケ銅掻手片垂水宇瓶蒼海波雁鳴
銅一説胡紙也白氏六帖第十八曰知者胡人巻戸葉
吹之以作楽也胡口箱播為琴曲
一五六のはらをいとおもしろくすまして万歳楽五六帖十カは
ヨリ破ニカヘルカ故ニ五六ノ破等トミカ五六ノ破六帖ノ
破ト云心也今案御遊盤御調有先聢と可勘無此義
一は万秋楽祝猶不審五ヶ銅中名五六之破之名平
一春秋よろつの物におよへるしゝへにたかしわたしつゝ時に
一シタカイ事ニフレテ調カハル心ツヤイアリトウツホニモアリ
一このきんたちの七八才ノ人々也一さうのふえふく君に
玉カソラ腹シ一よこ笛の君夕帝ノ御子也一御なえを
たてまつる女三ヨリ源ニ花せ給一はしめつかた紫銅
一さかしサアリト也一うるさくいつゝはしくて爰に干は
一帝ノウルサ斗也一むかしよつかぬ紫上幼少之時事
一ことしは廿七にそなり給源二十年ウトリトミヱタリハシ
一メハ若紫ニ七ハカリノイモトヽミユ今ハ又カク書リ心ナルヘシ
卅七は女ノ重危ナリ哢一々僧都のものし給はす
横川僧都薄雲御母方ノフチ女院ノ御クシンフロシ給人
一関北山ノ僧都也一一ふしの別大マへノ事一この言の
女三言事二さいみつからのサレハトシ一さはみつからのい
のりなりけり候て源ノ紫ヲ物思モナクテ過シ給は行
末モミシ申ルヘケレハツヽシミ給へトアルニ物思モシケヽレハサラハ
身ノイノリナルヘシト也一ことしもいとしらするほにて
卅七女ノ大危也一それハしも源鈴也出家る事
一さかしとや賢ナル也女ノ為ハヨロシカラス二さるへき御契とは
秋好ト冷泉ノ御契はサルへヲ計ナレトも一うちの御かたの
御うゝろみ明石を一けしきこうものし給へと世上リンノ
方ハアリトヒくまなきトハカレタル一ツナク心トヲ人〳〵也
一むかしけりともにもあたなる男色このみたる哢大方ナル
物語十分に有事一つゐによるせ
よるかたもありといふなるありそ海のたつ口波もおなし所に
此三ツツモヒケ共大ぬさと見によそたてれ候哥見へ斗ん
一さ身もぬるみて
人しれぬ我思ふ人にあはぬ夜は身さへぬるみておゆる事
一さかゆなとこなたにまいらせたれと御かくしもいます源御ラン
シ入ヌ也末ノクタ物ウタニハ紫上ノリ也一そこわになく
イツクト指タル事モナキ也一をもしとみれと啼
此御病ハウモカクテ又タユミナキ也一かの院朱雀
一わか雪のいとうつくしく女一言也一ツキテヒロキウツハ物は
一小取レ焉小将レ福大得レ福大ニ取レヲ大得レ福ク孝経至徳至徳至徳至徳至徳至徳至遍希ニ
一きうなる人は久しくつねならす孝子経言
舌柔歯対
柔之勝対
天下莫不知
知柔敬者久長対張者
歯光舌せ
折傷也
一時の人なり時に聞人也二御あねの二郎女三人早子と
落葉一なくさめたきをはすてにて
わかいたなくさめかねつさえしなやをは捨山にてか月をみて
一宮の侍談女三言の御乳母侍結君の女也二此むろそす
こしものくしくさその色もなり給へれ柏木衛門中納言に
任す中納言は三位の相当也三位袍色浅紫ウ云也
一はちふく八千ハライナト云類也一女御店もあるやう有た
五条二条凡葉密通こと出きて得元良のみに
侘ぬれはいまはた一世中はいとつねなき物を
恋しないたか名はたゝし世中のつねなきにのみいひはなすとも
一なれすかた是クミヨノよか引藤一よろこひなからにコこ〳〵
行シツヽト云詞卜同呼二卯月十日あまりみそきあすとて
四月中午日斎内親王襖計年中行事中年
其ハレナレハ明日女房ヲ参ラセラルヘシ奏天之御禊ハ吉日ヲ撰ス
初て斎院に御はり給時にも毎年は中午り
一上臈にはあらぬ物五イナトスルに叶へり一あせちの君
女三ニ御身チヤクアル女房也
一さまても有へきこともやは是ホトノ事一テモ思ヨラサリシ也
一ゆかのしもに寝所高キナルへシ一せきかねて心ニ制シカな
名也一つみをもき事も実事十分実事十分有
一この手なはしゝねこのいとらうたけにうちなきて
手ナラシヽ猫ヲ寒ニタテマツラントスルトミヱシハ今ハ形見
ニテモナキ心也サリナウマアリ彼又形見ニセント思フ心ニ
何シニタテ一ツラント夢ノ内ニ思へル心也一ね々のつなひき
一人の御涙をさへのひふ袖は遊仙窟下官の将衣袖ツ寺に
娘子掛レ渡一身をいたつらにやは
此哥といふ引と
夏むしの身をいたつらに此哥とは上引も一こよひにかきり
命也一哀なる夢かたりし猫ノミヱシ夢ノ契シラレシ事モ
申タキ也一おほしあはする事も猫の夏懐妊十郎
事にやトイ一り一秋のりうちもいつくしなり
木のさよりもりくる月の
一おきて行ともしらまぬ明くれにいつくの前のかゝる袖なり
此哥ハ干ニハウイタハル三ク也イツクノ四字心ヲやリテミルヘ
書也イツクノ三字ヲソコラノナト云詞ニ取申ヘテミレハテニ
は無子細也
おきてゆくかたもしくれすまとふ哉涙も袖もめにきりつゝ
哢此哥の干には古哥に多し後撰恋み同可
涙川なかすねさめもある物をはらふはちの露やなに也
思ひいてゝをふれしけん山ひこのちたへぬこりぬ心なか也
一玉しみはまことは
あかさりし袖の中にや入にけむ
一女宮の御もとへも一條言也女二二みつる夢のさたにあん
こともかたきをさへおもふ猫ヲ女三ヘ参ラスルトミシ夢ハ種ラ
ト云ルノ心也一しかいちしるきつみには女御十分部やすに
タルヤウニハナク共也一まつりの日は酉日也二女令二三郎
一くやしくそつみをかしけるあふひ草摘ヲ罪ニ兼タリ
一もろかへら猶ち葉んへ祭ノ頃十レハ舌カツラト也落葉はラウ
イン飯ノい也名ハムツマシキハアフヒシ其モロヤツラハ葵桂ノ
セツラ也一いとなめけなる二言を思フトシケルウム
一かきりある御家にて大般若経曰定業外能転正報
昼者能延六月経不動義気不動尊の御本のちかひ
善無畏三蔵云師欲レ成レ戌二弟子ト一為ニ受二潅頂一善無畏
行此法悉受二灌頂一ヲ其後猶延年之事在之
一きつねなとのたふれ誑タチㇾ匁ふらかす也一我身こそあらぬ
一さまなれ物ノ望ノ哥也ソレナウトハ源ハシリ給へ事ト也
一物はちしたる葵巻ニモ物ノケハチタル事アリ
一中言の御ことにても秋好也一みちことになりぬれは
一生前死後に心申はんとやト也一このうへまても子
一心よからす紫上下語の也一はふきかくし首中へりこる也
一まもりつよく源紫に入魂の事霊云シ也一斉言におくし
ましゝほとのつみかろむへからん斎言寮忌語内七言
已上見延喜事
一仙中子経塔寺香姫僧尼斎已上見延喜事
一なにをさくらに哢ちれはこそを引め
まてといふに地えてしとまは物ならはなかを桜に思るまさまし
一なにかうき世に久しかるへきとちれはこそいとゝし
一かゝるおりの座うろかならすは啼爰ニテハントロク心也花寺
一禅閤又云紫上の大事源人中の悲等牢籠ト常に云に
アタレリ又云自由ナラヌ心ニやマイラテハノ時也柏木心
一はらきたなかりけるヤシアル心也二うつし人にてたに
六條六ス所イキ霊ニテウソロシカリシ事一いひもてゆ遣
は女の身はおなしつみにかき所有三千界男子諸煩悩合集
為一人女人之業障女人地獄使能断仏種子一五六
はり要法文言五弐者是優優優盛男優婆夷女
一院をいみしくをちきこえ給へる御心に哀なる御すくぜにそ
有之候而ト云ニツヽケテ見へシ
一みちたと〳〵しからぬ夕やみは
一夕露に袖ぬらせとやひくうのなくをきく〳〵おきて行とん
かゝ衣たつ日はきかし日露のおきてしゆけいけぬへき物を
一よへのかいほり今ノ世にモ御扇也一御あふきをきけて
是は檜扇也一御しとねのすこしまよびたる乱夕也
万葉の哥乱を一つこと名トヨメリ二猶み給ふ文にこそ
源ノ御ランスへヲ文ト思へり二すこしあはれ別
一かうまて思給し御事かハ女三宮ノシトケナクテ鞠ノ庭
ヨリモミヱ給シミテワヰテセス給シト也一むかしかやうに
源ノ上ニアリハシテ魚ノ返哥ヲ申ラヌサマニ書申ヘテトイヘリ
須摩の巻に朧月夜の方へあふせ十キと云給へり辺給シヲモ
セク書給へり落チルヤノ用意也呼
一恋の山路はえもとくましき
いかはゝり恋の山路のしけれは入といりぬる人まよふ迄
一けにあなかちにおもふ人のためにはいつらはしきよすかなれと
よろつにたよりふかきことゝやかくやとおほよそ人の思はん
心さへ源紫へ女三の事等ノメナシ給詞也あなかちに
おもふ人トハ柏木ヲシテタトリフカキハ柏ワツウシアランノ口
ソウメカシ給也一空にめつきたるやうに天眼と
四智ノ事ナルヘシ天人地我也
一朝夕すゝみもなき頃なれと
一身のいたつらに顔にもいふへき人はおもほえて
一よきやうとてもあまり源の心也一女けのあまり明石幸
一源思様〇二あたの世をよそにきかめや朧月夜の道に
一夏の日も朝夕すゝみある物をなとわか恋のひさなかると
一ナリ給ヲモ源ノ心ヨソニキヤン事カハ須广へノ事モ誰故ソト
コミ給フ二とくおほしたちにし源ニサマタケラレ給フト也
一あま母にいかたは源も明石上取にス一・へ行給三に我言何か二郎也
給トノ様ニントヨメリ我故ノ由ニハナサ又心也哢一ゑかうには
あまねきかたにて廻向文顕以此功徳普及於一切我
等と衆生皆共成仏道一ヱ子をpとかとゝは普門示現ノ心候
ヒロクヱネヲ廻向ノ心也一女君にも今は幟月夜ノ文ヲ
紫にみせ給フ也タヱヌルトハ出家シ給也一はつかしめられ
ヲクレケント源ノ出家ニラケレ又トヨミ給シ事ヲ返事ニヨラ給
三月也一斉悦はたいみしうつめて尼白爰に立
一かの人の命院シ一いかならんとて妙也呼寄もシラス
一定ナキ世ナトヲ思給詞古へシ二またたちなれ程は
一朧月夜の女房共も一夕戸装束ならはた千ナレ又ト也
一つくも所作物所装束トリ一方ナフ処也哢金銀細工ノ
一所左ヘシ調度ノ為也二八月ハ大将ノ御忌月葵上ノ也
一なか月八弘徽殿后御忌月也一姫言いたくなやみ女三
一かんの君も柏木朱雀へ参り給一節も打はへて女み
一院はいことしと六條院一ことしはまきれおほく
一紫上病かた〳〵也一御山にも朱雀二うちわたりなとの
みやひをかはすへきなからひなとにも朱雀御心禁中ナト
ノ事ヲモ世ノ人ノ云出ルトシ只常ノミヤヒヲモ云タツル也
は風姿日本龍一いたりすくなくたゝ人の女三ノ御心テ
源の給也はツヤシメ給銅と二さたすき人源我計ラク遊
一市浦人のさからよ源我ト也一二言落葉也
一霜月はみつからの忌月なり女三御母のトアリ御字本な
一桐壺帝と一ひか〳〵しきやうに既にも朱雀院也
一みたりかくひやう脚気一名脚病ウ巣ノ物語ニミタリ病トより
ミタリハ病ノ惣名也ミタリ心チ也
一かうふけをかけ車をおします捨し身にて
一古文孝経口七十老致仕懸其所仕々車置諸廟永使
子孫監而則会立身之終其要然也一つく所なし
致仕大臣着座せン一ツ十三ト也又不似桐也一をもき病を
あひたすけて今日正閑天工暖可能扶病暫来由
文集一文二言の御かたさまにはいひなさぬ致仕の用意
に云十大也院の御聟楽ニイ八又也一かの院朱雀
一をこなひくはへ柏木ノフコナイか給也一かの御賀の日は
あかきしらつるはみえひ染の下かさね承平七年陽成
一院七十賀舞童五人眼前白様袍蒲萄染下襲
一給ふはあを色にすわうかさね呼果人舞人の義也
一春のとなりちかく
冬なから春のとなりの地かけれは
一梅のくしきみるかひ有てほゝゑみたり
かほねと
一そんわかの君五世一手は孫王と云二衛門督いといた
一柏木也いさしはしならんや申テオイント也一さかゆかね
さかさまにねもゆかなんとりもあへす過るよいひやともりかへると
一一よろ〳〵にて一条くは落葉より柏木ヲ致仕大臣ノ方渡シ
給也一母言す所女三郎母二ことはりや柏木たるも
一一かうしなとたに栄花物語帖語話輯書ニタチチム
モヲコシメシテハ活身ニトヽヌストアリ一堂ゆくをろかなる
堕夕方此記一連升の五十寺の五十賀ニ己リ
一おはします御寺にも彼ヲハシマス寺ハ仁和寺ノ因堂
一本尊金剛界大日也此巻ノ結終奇特也可申ヒルサ
ナノ御修法有ト云ヘキヲセク書タリ摩訶町屋遮那
一河海公侍御寺五十メ極一也古今ウツリモヱク申人の心を引也
一名詞哥源四十八春より秋マテ当年申ホル従
柏木
一年もかへりぬ源氏四十八歳薫誕生
一一ひとつとつのふしことに一は女三宮の御ウシロミ二位ナトアサキ
程にテメシヨせラレサリシ事一なへての世中するましう
おほかたの我もひとつのうきからになへての世をも恨つる哉
一野山にもあくかれむいつくにか此哥今不引は
一たれも千年の松ならぬ一ひとつまひにもぬる
うくも世に心に物の習はぬか誰も千年の松ならなくに
夏雲の身をいたつらになす事もひとつ思ひとつ思ひとつぬ
一せめてなからへはシ井テナラへハ也一枕もうきぬはかり
涙川まくらなかるゝうきほとは夢もさたかに見えすそ
有ける
一いまはとてくん煙も
むすほゝれもえんけふりもいかゝせんたはたりこめもなき契りて
爰ノ間人やりコリスマノ引哥詞ノ祭りハヤリニ引申ト也
一侍経にも柏木ノメノ下ノメイン一けふるあすかの
世の人のおいをはてにしせましかいけふかあすかもなけかさら
一つしやかなるにはあらねとおモ〳〵シヤラヌ心也
一まふしつへたましく一ラシハ目也ツヘタマシクハツへ〳〵シキナトヤウ
ナルとヲソロシキ眼サシナルヘシ一たらにのこゑのたかきは
いとおそろしくていよ〳〵しねへく世継物語時平公三男
一敦忠中納言心チワツテイケル時薬師経ヲ呈セ侍ルニ十二神
ノ内クヒラ大将ト云ヲ聞テ我ヤクヒヲクシト云ト聞テ其一ヽ
死給スラク病ノ人ニ云ツタヘタリ敦忠天慶六年二月七日薨卅八日
号比巴中納言
一おとなひ給へれと云ト〳〵君ノ事也一さる患うの身に
そひ御執経云諸仏院雑我執トイへり菩薩一手ハイマ
タ執ラハナレサルナリ女三此事ヲノミカナシク空ラソロシク思給等
一トニ恋シ床シトハソホ草ト占サキト云物ニ出タル事也
一人の御名をもたて身を加へりみぬたくひむかしの世にも
伊勢物語ニ御門まマシメシツケテ一むしゐの身にもかへらす
恋侘てよる〳〵まとふ我玉は中〳〵身にもかへらさりけり
一むすひとゝめさせ給へ歎わひ出にし玉の
一からのやうなる
うつせはからをみつゝも
一なかき世のほたし女三言ノホタレニト也一見し夢を猫奉ル
夢也一いくるしくきゝなからいかてかいたゝをしけり残て
哥ニカケナミルヘシ聞ノミニテラシハカリ残ラン立ソヒテキヱント也アリ
啼クシハアラヌ事ハナシト也一鳥のあと蒼頡觀二鳥跡一作
一文史も一夕はわきて啼引哥有はみヱストと
一大方煙トナラン時節ニ叶へり一れゐい。三期也
一みつからもない様柏木也一げんぞう番僧也一むまれ
ぬ薫誕生也一心やすきかたにものし給にそいとやすき
よし心かルシキウタカイスマテ紫ヒナトニ生レ給ツヽイヤセン
サシモンホサヌ御中ナレハせメテトシ地シ哢花別部
一五日の夜秋ふ中はとヨリ也一ちやうのめしつき官庁也
一寒つかき大弐人はつかさの大七人ト云本モアリ宮司中二五
中宮大出人也一かゝる人はつみもをもか也産役十下に死夕
ルハト也一かきりとみゆる人も紫上取ナラシ給フタメシチ
申きトイへり一夜にかくれ一このろゝのやみになん
人のおやの一をくれさきたつ末の露
一何かは人わらへに世を恨たるしきならくさもあらさえ
何カハト云詞サモアラサウント云ニツヽケテミルヘシ病ノ次ナレハ
世ヲ恨たルやウニ人モ思ハント也一なといく世しも
いくせしもあはし我目を
一世中のけふかあすかにおほえ侍しを又しる人なくて
此偈末にけにあすとしもやはト云所に引ん爰には世中の
おいをはてにしせましかいくふかあすかもなけくさらまして引と
一今日不知死明日不知死何故造作ノ極ヲ一安穏無常身一
雪山馬湯一とりかへしつと紫上気ナラシ給事二言ス所
ノ霊も一いさ一たひ柏木女太の御方へ一たへぬ契
不堪契也一右大弁の君にそ一本左柏木弟紅梅
第五男也
第四百四十匁一大将君夕方
式左大将ニ候
一さゝほひ焼
荘子火交切
焼箭也
一をくれさきたつ
春の露との
一君につかふまつる事もなかいのほとにて礼記云五十指仕候
イへリ十カハヽ柏木権大納言今年廿五六ノ程也
一これかれあまた物すれとさま〳〵なる事にて
兄弟ナトニモヽラシカタヲ事ト也
一ざうげん讒言也一やむくすりならねは
我こそはみぬ人ひふるやまひすれあふより外にやむ薬なし
一たゝあはのきえ入やうに世皆不牢固如水沫泡焔法花経
幻世春来夢浮生水生泥文集一年比したの心こと
柏木ト女二の事一たゝかく見しかゝりける女二へ杣木
シタシヤウサリシモカク短命ナルヘキ故物ノ心ニシマサリシト
思給也一いかのほと五十日ノホトシ一物かたりなとし給
嬰児ノ打ヱミタルアマヘコヱ也一れいのさまにて
女三尺ニナリ給ハスハシ一すき〳〵過々也今様色は紅也
一聴色廿二・やう色共云也紅ニ十ラへてはユルシ色ト云紅に擬
スル時バ今様進ト云レ擬ナスラフルトヨムヲ又ノヤサナリ也
一いまやウ色前ニ注ス紅梅ヨリハコク又深紅ヨリハウスシ
一近出来タル色十レハ也一すみ皮こそ猶いとめもくれゝ
色ニヒ色ヲ墨染共云ん目モクラキ色ト也
一とりかへす物にもかなや
とりかへす物にもかなや世中を
一のこりすくなき世におひ出へき源ノ齢ノコリスクナキニ
若君ハタクイナキ形ニライ出又ヘクミユルヲオラヘテミソタ
テ度心シ一ゑかちワライカム也一おほえたり柏木によく
一似給シ一まなこい眼晴居也一十マノ定タル様也千尋
一しつかに思てなけくにたへたりと打すく給五十八をとを
詩
とり捨たるしなんちかちゝに白楽天自期五十八翁
方有后静思堪レ喜ニ亦テ堪レル持レル持レ盃ヲ祝メ願元二他語一慎ヲ
勿レ頑愚似二汝カ爺一楽天ハ子ナリメ老ニノソム人也五十八ニメ
ハシメテ男子ヲ生スラソキニアリテ生涯ト若ク其ニ向テ作タル
一詩也源四十八にて薫を生しなし千か千ゝに廿とは柏木に似十ト
云心也一このことの心しれる柏木の媒也一わかはとかある
事はあへなんふたついはんには女の御ためこそいとおしけれ
一柏木密通〳〵知たる女房十とは源を才こなりとみるうんと
ヤスカラネ共我御為ハクルシヤウストシアヘナンハヨカラン也女ノ
御為コソイトラシケレト也一たか世にかたねはまきしと
梓弓いそへの小松たる世にかよろつかけて種をまきけん
一すいやか速也一左大弁をさせ給是は紅梅大臣申下云
一説あり前に柏木一條の言の事云うき給は第五の第也
役ノワサナト兄タチシサ三ウキテ取モチ給ハン事イヤン上
但系国巻に任官の所ニテミユ第十ト猶子ニスル事有サ
ヤウノ戈を一はかなく過る月かすをも
物おもふとすくる月日もしらぬまに鴈たりなきて秋とつれゝれ
今は此哥ふ引見一このみ給ふたかむさなと大総云相撲
のせちのとまえんことはくちおしと仰られけれと九月にうせ
せ給て九日の節はそれよりとゝまちにける也其日左衛門
陣の前にて御鷹ともはなたれける也一よのつねになり侍け
恋しさはうき世のつねなり引を心は猶そ物思るける
一それいかやうにしも柏木ノ早世ナトノ事ハソモイヨラサリ
一三ト也一さいかの御ちきり有けるにていとおもふやうにし君
みえさりし御心はへなれといまはとてこれかれとつけをき
給ける御ゆいこんの夕霧二條ノ二ヲ度々トイ給ヲ言ス所
サテハ柏木ノタ帝ニ契ラキ給シカト也フヤクハミヱ給父御心
サシナレトコレカレニユイコダシヲキ給コト也一うきにもうれしき
せいうれしきもうきも心はひとつにて一ことしはりは
ふかくさの野へのさくらし
一あひみんことはと春ことに花のさかりは
一時しあれはかはらぬ色に片枝杜ニシは杣木の事也
一此春は柳のめにそあさみとりいとよりかけて日寄を出るもぬける春の柳か
一此春は柳のめにそ
よりあせた鳴なる恋を糸にしてわか涙をは玉はぬかなん
一御いてゐ常の殿也一此御たゝうかみに御息所の哥に書
いへ給也一二てをあふきてなかめ給へる夕暮の雲のけき
夕暮の雲のくしきをみからになかめしと思ふ心こそつけ
一木のしたのしつくにぬれてさかささに露の衣墨の衣をいへ
タリ呼問キ子ノ眼衣ヲ親ノ着スル事定タル法ニや一器
親の子の眼を差事勿論也レモ其外也
一弁の着呼紅梅御トシ一殿ハ心ことて雲井尋ニ対〆
夕霧ヲ殿ト云リ一ひとつ色なる
緑なるひとつ草とそ
一物思ふ宿は鳴わたる尋の涙や
一かくれのかたかたはらのかけ也一ひとむと薄も
君かうへし一むらすき
一いよすか計わたして伊の簾也啼眼者ノ所ノサマシ一器
葬家ニカウノ如斗也問いよすかけわたし柏木巻ニ落葉
言ニテノ事也眼者ノ家ノ故ニや如何一答一かさみのつま
汗衫一けふはものこに夕霧内に入給又荷自然の義よ
一枝さしかはしたる連理ノ心夕霧一条言ヲ心申ケタル也
すゑあへるたのもしる同心也一ツとならはなくしの枝にならさ
なん葉守の神のゆるしありやとコトナラハトハセウノ如ク也
枝カハシタラウケテイヘリナラシノ枝トハ古柴ノ事レ共ヽ枝ニ
ナレント之葉守ノ神遠寵にタトフ一かしは木に葉守の神
大まさすとも人ならすへき宿のしつえ右衛門路は一貫共
人ソハナラスマシト也シツヱハ卑下ノ心也此哥宮五所ノ言ナル也ト呼
左大臣
よりとしか家に柏木の有
本哥は大和物語枇杷殿
仲平
仲平
けるをおらせてかき付てたてまつりける
我宿をいつならひてかならのはのなみしかほにはおりにをこする
左大臣返しナラノ乗柏トイへはナラモ柏モ同木十候へシ
柏木に葉守の神のましけるをしらてそおりしたゝりなさすな
一うち一気なるさこと葉になん少将君詞也女二言ノイトマン
一みるめにより人をも思あき
〽いせのあさの朝ゝな夕念にかつくてふみるめに人をあくよしもとな
一かのおとゝ源事一これはおしう笠刀男々番也
一ゆうしやうくんかつかに草はしめてあをしと
一天輿善人吾不信右将軍華草初秋紅荘品八条
右将軍保忠事ヲ作レル詩也左大臣時平息仍近代ト云也
此韻字本詩ハ秋トアルラレヽアラタメテ青ト誦セラレタリ
其心優美なる物と卯月ノ比十レハ秋の字にては季節相
遠ス青ノ字ニテ時分モカナヒ本詩ノ心モタカハス眼前ノ
一景気モウカヘリ詞ニ庭ハやウ〳〵青み出る若草ミヱタリ
こヽカシコノスナコノウス申物ノアクレノ方ハ蓬モ所ヱウホ也ト
アリ右衛門督ヲモ唐名ニ金吾将軍トイへは右将軍ト云モ
相違事也大将唐名羽林太し幕下し大樹し共云
此一枚哢花
私勘大納言正三位陸奥出羽按察度
兼行右近大将藤原朝臣泰平六年七月
それもいとちかき世のもなれは
一日葬四十七号八条大将時平公一男
本朝鳳筮元始
一保忠事此物語ノ時代ニ近シヅレハサテフキテ掠メ遠タ
一近クハカナキ事共ヲミル世中ニトリシテ此人ヲシムトイヘリ
うへには今上御事柏木は今上御琴の師也
此巻末詞此君ははひゐさりなと此君はハイヰサリナト
シ給サマノ云ヨシモナカリヲウシケナレハ人ノメノミモアラスマコトニ
イヤヽカナシト思キコヱ給テ常ニイタキモテアソヒキス思給
耕と
一弁雲本如此毎事如此青表紙ノ本真実作者ノ本意
天文二九十記也
トミヱタル哉
後拾遺雑二
一入道措政よかれかちになり侍ける頃くれにいひをみせて
侍けれはいひつかはしけり此花院
大納言道綱母かしは木の杜の下草暮ことて猶たのめとや書
入道前大政大臣兵衛佐にて侍ける時一条院左大臣の家に
まかりそめたかくなんなりとしてかやといひにをこせ侍ける
かへり事によめる馬内侍
春雨のふるめかしくもつくる哉はやかしは木の色に物を
八雲抄
一左右兵衛かしは木とのへもりと云惣て衛士
抄に内書落
一まことにさるはしうのとまるならはいとはしき身に引かへやむ
ことなくこそなるへけれ女三此事ウノミカナシクヤウソロ
シク思給程ニ応シ床シトハヲホサネト占サキト云物ニ出タル
事も一心くるしきうたかひましりたるにてはいやすき
かたにものし給こそトは女三トカラハシマせはアツヤイモ心やスキ
トシ子ノ事ハ前ニ果タリ
横笛
名三ツ源四十九歳ノ事柏木巻末ニ秋マテゟより此
巻ハ次ノ年ノ春ノ事也此巻ニ薫ハ二歳ヒ今三十三歳十ルへシ
一いかにそや申三き事に使詞と一御はて一周忌也
一こかね百両をなん別に薫ノ手向ニいテゝ源大経三給也
一入道のくけ女三郎也一御をこなひのほとにもおなしみちを
より女三三は御行にモ来世ニ父院ト同蓮花ヲ常イ
給申ト也一御寺のかたはらちかき林にぬき出たるたかうな
尋レ泉上二山遠一ヲ一看レ筝出ツ林庭一文集拾遺十六日
賀朝法妙春野を行時ソホサウソウノ女トモ野へニ有
ケルヲ何ワサスルソト問ケレハトコロホルト云フ聞テ
春の野にはころもとむといふなるはふたりぬはりみてうりや君
返しよみ人とす
春の野にほる〳〵みれとなちけり世に所せき人のためには
賀郡は延寿の御導所也一たてまつれ行とて
花山院御製
世中にふるかひしなき竹の子はわかつむ年をたてまつかす
一世を別入なん朱雀御製一いとかたきわさになん
地蔵本願経曰父子至親岐路各別経下略也
一らいし曇子撰子同高ツキノスカタニテ上ハヌヿ
一桶ノアタヲアフノケタルヤウナル物也内ハ朱五リ外ハ黒又リ
一螺□螺□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
一こき世にはあらぬ所もの入道宮
けふかともあすか共しらぬ日菊のしらすいく世をふへき我
一世中にあらぬ所もえてし哉年ふりにたるかたちかくさむ
一あらぬ所もとめ六條院を離給は事を恨む也哢
一つみえぬつく女三太君に成給を源我とかたるへシト也
一柳をけつりて柳ヲ白色ニタトへ鴨頭草ヲ色ニタトフ
一まみのひらかに展眉栗和の姿一女はものし給めるあ
たりに今上ノ姫言ナルヘシタハフレも也一花のさちは
春ことに花のさかりはありなめと
柏木巻ニハメ霧の此哥を吟せシいかハレリ爰ハ命タミなシ
ト思給心ニテクチスサヒ給ヒヲサナキ御子タチ威ハ有ヘケレトヽ
給心也一うきふしもわすれすなから
いまさらに何おひいつらん竹の子の
ゐてはなきてモツテハナツ也四ツマスノ心ヒ
一すきにしつみ柏女三の罪也一秋の夕の物類なるに
春はたゝ花のひと一に此哥ふ引共よ
一わか御とのゝ夕霧ノ三條二郎也
一すたきあはて給集
スタクト
ヨメリ
ヨメリ
アツマリアハテン
一むしの音しけき
君かうへし
一かやうなるあたりウツノ物語ニ此類あり一この御ことにもこ
とりて杣木の上手にて有三カ女二言の御手にて残り侍
ラント也一ことのをたえにし従より女二詞也
同様
なき人はをとつれもせす琴のをたちし月日そめりきに
一昔伯牙鍾子期二人琴の好き一さわらはあそひの
思ふとはつみしらせてき耳な草わらはあそひの手たいふれ
一世のうきつさに
あさ地ふの小篠か原にをく露そ世のうきつまと思るみたるゝ
哢爰ニテハ琴ナトヒカンモ猶柏木ノコトヲ思ナトシテ物思ツマニ
ナレハ琴ナトモ物ウクシ汁ト也一かきりたにあると
恋しさのかきりたにある世なりせはつらきもしゐて歎かさらし
恋シテカナリトハ逢事也女二ヘアイマイラセハ柏木ノ事
サノミハ歎カシト也一こゑにつたる事もやと申猶は宮ス
所々夕霧に引給へト也以条伝情事アリ夕霧ト柏木知
音十レ八也一みゝをたに
比巴引
如レ軸二仙楽耳暫明に一しかつたいか中のをいか中のをは和琴
第二絃也契の中トイハン為也柏木より夕霧ニツタハル
ト言ス所ノ給ニ取ツヰテ心ヲホノヌヤス也それをこうトハツ
タハルト云詞フコソトシ面ハ琴底ハ好進二道ニキコヱルヤウニ
書タル詞也能々分別スヘシト空
一とみにしもうけひき行へきことならねは此詞モフモテは琴
一下の心は好色也一はねうちかはし雁不乱行人たり
しら雲にさねうちかはしとふ鶴の門田のおもの友したふなる
一つゝをはなれぬ一きゝ給らんかしは女二言の事
秋風につらをはなれぬ雁かねは春はくるともかへらさらなん
一さうのことを和琴をしめ給らサウクコトラ引給
一おもひをよひかほ相夫恋〳〵也早下也一ことゝはせ給
へくや柏木の事ヲ思テ想夫恋ニクワへ給一ト也トハせツト
一ことにいていはぬもいふに想久恋ク引給父心と想夫恋
ヲ女二引給ハヌ心アヤマリタルトミテタノマヌ曰モ言ウ琴ニ
いへタリ一市かき夜の大カタノ時節ホノ事ハ感シナカ
カ也啼一ことより外に言ニイハテハイヤヽアウンイハ又ラマ
サルト云心ニテナシト也一ふるき人の杣木也
一むかしのとかめや柏木事一こよひの御すきには
御息所の詞禅閤夕霧の詞とにて今夜のうもし口さには夕
霧ノサマモ人ユルスヘシトシ只人々ノ思由可然ニて嘩一義
地也人ユルシキコヱトハ女二言ノホコトモ手ツクシ給へカリシ
事ヲ云シノコリ多ナト云マテハタ帝ノ詞也トテ御返り物ニ
笛トアリ是ハ大将へ女二柏木ノ形見ニ参ラルモツヽキイセン
一但トテト云捨テ御ヲクリ物ニ別ニミルヘシソコハカヨリ
夕霧鈴也一玉のをにせん心ちも
かた糸をこなたかなたに
一これになんまこともふるきこともつたるへくきゝをき侍り
向秀過山陽旧旧居思愁康聞隣人吹笛作思旧賦
一御さきにきほいんこゑなん河海今ノ笛ノ音ノ大将隠し
声ニアウソフヘキト云シキホフハアウソフ也和大将吹給ハン
笛ノ音サナヲ一声ニナホハント云柏木ノ心チメイフカシ
カラント云ヲ柏木ノ御随身ニハニツヤハシヤラヌトシ云ス所
ミサキノ声トノ給コリ随身トイヘリ一むかしを思ふ也
これはまはゆくなん柏木ヲ忍にこせて和琴川事は立ルサレ
侍ヘシ笛ハ柏木ノ音ニ思クラヘラレンハマハユシト也又和琴い
柏木ニモ類セントニや一落しけき云云所ノ哥
一よこ笛のしむなしく柏木には及申タシト也
一いもあれと催馬ホイモトワレト入サノ山ノ山中ウヽキテナ
トリフレソヤカホマサルカニヤドクマサルカニや一かゝる夜の月
に心やすく夢みる
かくはりおしと思ふ夜を
一いかなれはこ君柏木女二ヘアヘシライヲイヘリ
一おほかたの世に万まかやウニハナシト也一巻竹に吹よる
風のことならば柏木夢中ニコメリ呼風トハイキニテ
吹故也皆風也コトナラハ音律ハ皆承う也調ニ付テ吹伝
ル計レ其如クナラハワカツタヘント思薫ニツタヘコト也
一つたミなと唄吐ト書フサナキ物ノコヽチカヘス事也
一耳はさみ申シヲ耳ニハサで一御ちはいとかいらか定に
空清
長雨
乳汁ノ不出也一うちまき散米也一むつかりアイ二ク
ナトシ給也一かのとちめの一念のうらめしきももしは哀にも
一臨終一念生処是定証文一をたき一又ツのやら
せの寺致仕大臣カタメノ寺ナルヘシ柳楽寺ナトニ准ス
一藤ノ裏葉ニアリ哢一女さの御かたに明石女御
一こなたにそ又とりわきて三宮勺紫上ノ女一二ケウモヽ
三言ヲモ猶子ニシ給也夕霧紫ノ方へ参清
一大将にそ宣いたきてあなたへおはせ大将フ言ノヨヒ給テ
我ト我ライタキテトノ給也明石女清の御方ニ源ラハスソ
ナタヘト也一みすのまへをハ紫上ンハシマススミスノ前ウハシ
一いときやう〳〵うらせキナラント也一こなたにも二宇のわかい
一君と二言は今上ノ空薫トアソヒ給也一おほやけ
一のまもり近清大将の随身モ近衛被官ナレハ私ノ
随身ト云
一公卿のみさなり源夕霧ラノ給一わたり給はんとするに
源常ノ御方へ也一ふたあゐのなをしのかきりをきて
哢同薫二歳ニテノ事シ茲一呑フサナキ時ノナラシハサシ又
キヒトヘナトヲハキスメチイサキ頭氏ノ入タル物ヲ小袖ノヤウニ
ヲスル也カナリト云ハ色ノカハレトモナウシフハナレヌ心也
一なまめとまつ夕霧柏木ノ斗ウ思テヒ一いていかた
夕霧打廻シ思也一匁いへ源ノ紫とノ方へも一ほゝゑみて
夕霧一条二ツノ事語給フ源思情也一むかしのこと
古キ計ナトハ源イラへ給也一かのさうふれん哢源語也
イニシヘノタスシニモトハ想久恵ノいニや哀ナルヘキ折ヤウナ
カラト也想夫恋ノ由来ニヤイニシヘノ事ヲ思へり
一すきにしかたの心さし源夕霧ニラシヘ也柏木へノ心サシニ一
一条くツヽなレコロナラハ心ナヨリテト也一心ミしかく却チ母ノ
人ノやウアリトヤ思ハントシ一けんきウタカハレカホト也
一葉ノ程一いとさしすきて夕霧ノスヽメ給シニヨテ引給シ
ト也一かれはやうせい境の御なえなりそれをなけるゝ言
のつたへて南宮式部卿貞保親王は笛の達者也清和御子
一汝殿后陽成院御弟也ソレヲ紫ノ上ノ父武部卿言ニ
スラヘテ爰ニミルヘキユヘ有トノ給ヘシ河キ桃園式部卿
とて一萩のえん哢桃園言にてト心得へシ一加の一反は
思あはせてなんきこゆへきよるかたらすとか清少納言
枕草子による申夕云ストシ孫真人云夜夢不須説
一おほしけるとそ紫式部が作トセシト也
詢府に呼に引出于頤訝争曲有相夫憐名不雅客曰南朝
相府蓮制曲号相府蓮語誂介于頓字允元明刻
一刺史憲宗時拝司空平章
鈴虫
干ノ事也夕霧卅歳薫三歳
名詞三ツ此去日堅直シ横笛次ノ年也源五十歳秋可
一やかてしつらはせ給今度供養に源より奉り給フ具共
シヤ申テ念誦堂ノ後マテノ具ニ用給也
一花つくゑのおほひなとのおかしきめ染も花札覆
謙文紗目染也千鳥ムラサキノ目ユリナルヘシ
一よるの御丁のかたひらをよおもてなからあけて啼イマタ
一持仏室ハタテラレス女三宮ノチヤウタイフ持仏堂ニシツ
ライタル也関夜御帳ノやら谷ヨルノ御帳常ノ帳台也
夜するによりて夜の御帳と云也四方にき又のかたヒララ
タレタル也一花の色を蓮花ナルヘシ一からの百歩の
昔は唐方ヲ用一あみた仏けうしのほさち
弥陀脇士菩薩観音勢至哢是は日本ノ方トて
一白たんして木色ナルへシ一かえうのほうをあはせたる
蜂ノ気ヲ除シ
名かうみづをかくしほしろけて荷業に蜜かふ入等口〳〵
トシテ株香ノ如クタサルヽ也蜜生類ナレハ也一かんやの
人をめして今ノ紙屋川ノアタリニテ首紙ラスキ花也
一これをたに一一の世の女郎ト原此世の契ウスクナリタルニ
ヨテシ囁一けかけかかねホツ金ナルヘシ卦也一はしを
み給ウ〳〵ミルヨリ也一作のおなしちやうたいのうへに
かさられ給へり御帳台の上に仏ト同シク経ノ机を置しタル
ヘシ河海自余ノ説ハ皆誤也下ノ詞ニヲマシヲエツリ給ヘル
仏ノホシツライト有チヤウタイニ仏経ヲ安置正セラレタル由
分明也一きやうからの人々行香事見賢愚経にて
聞口朝座夕座中間結願朝暮両座被行也御八講十一
トノ時公卿達僧ニ抹香ヲスクヒテ引テ廻シ
の講説也一れいの物ふからぬ女三宮方ノ人々ノ
廿一ヲ云也一ひれふし汁一り物ナトニセリタル也
一おましをゆへり女三の御座を仏に工つり給也一宮にも物
のいしり給へき下かた源女三へ説法ヲ閲シリ給ハントカタ
出シへ給也一よし後の世かたにかの花の中にやとりに
少女三ヘアタリテノ給詞也五余頭一々池中花尽満花抔
一是往生人名留半座乗華台待我閻浮同行人
一はちす葉を源兵五金鑚心也一かう染の尽言の扇
一君か心やすましと源末世ニシミ給ハレハ運台ニモス一三ト也
一七僧の講師読師呪頭三礼唄散花寿
一語之七僧一ゆだけきさきらを寛也上夕申に口四事也
一舌弁舌〳〵一院にまうけ巻給計る六条院にて
一ありはてぬ世いくはく
ありはてぬる
一かのこそ三條六合也女三百五ウツリ給ハン二ツ也
一御市のものとも今堵の国輿田部長倉日本頭
一わか御あつかひ源も一にしのわたとのゝ女三太郎の御琴
一給方の西のわた殿也一ふるい人一れいの御い女言い
一十五夜の月の八月十五夜ニカキウツシタリ
一ならすあかへきの音一あみたの大ず念仏也
一中宮のはかけき秋母の事也一はなたせ給へるしかく野十ト
ヨリハナタせ給シルシニイチシルク嶋へ事ニサモアラスト也
一いとへたていた松虫ノ人ケウトヲや一おほかたの秋をい
一女三郎一おもひの外なる女三尺の事一心もて源六郎
君ニナリ給へト猶ステカタシト也一こなたに女三御方
一月のえんあるへり今日延喜ノ月宴ノ事江海ニ引
一月みるよひのいつとて物哀ならぬ三五夜中新月辰
一花鳥の色にも花鳥の色をも音をもいたつらに
一うるさりし麗き一みすの内にも又ゝとゝめてきゝ給とん
とかたつかたの女三は柏木の事閉給やトシ申タツカカタハヤタ
心一内なとにも主上モ一左大弁式部大輔
一左大弁は松井与式部は鈴虫に参名由系図にアリ
一きこしめしてなりけり此詞冷泉院よりの御せウソロ人有シ
注こ一雲の上をし物わすれせぬ月モ忘又いまに
一おなしくはと
あたゝ夜の月とむとを
一月影はおなし雲ゐに
花山松
一心みに外の月をもみてし哉我宿からのあはれなるかと
一左衛門督故宰相此二人紅梅の弟達也
一笛なとふかせ給車ノ内にて一うるはしかるへき源を去ル也
一ねひとゝのひ冷泉介三歳一中言の御かた秋好
一なにゝもつかぬ源卑下の詞也
あつき地の名こその開のよふ子鳥何につくへき我身なるらん
呼一きこえつけし中二太へ申給シと一こゝいへの中くは御仕事
一おほつかなさのまさる
なかめやは山邊はいとゝかすみつゝ
一おもひの外に冷泉なり井せ給て還て中六ツモ御仁一に
キいも一みな人のそむきゆく世の
みな人のそむきはてぬる世中にふるの社の身をいかれん
一加のゝ給けんモノ三ケノ詞ナトキカマホシキ也
一その心の内を中心に何事モ源ラタノミ給ナカラ出家ノ御本
きツ末ヲコヱスト也一いやすゝろへきホタシアルマシキト思
身サヘホタシアル事モスヽテクルシト也一さるしるし物ケ
ナラテモ罪ハファレルヘヲント也一物のあなたアノ世也
一みつからたに出家ヲモ也一あさ露の涅槃経曰
外如朝露勢不久停一もくれむか仏にちかさひしりの
身にてたちまちにすくひけむためしを母地獄に堕せ
シヲスクヒテ次第ニ餓鬼高生道ヨリ天上ニ生せシ也
一呼羅漢は仏にとをしとイへ共授記にあつゆり三事なら有
一やう〳〵出家ハナクテヤウ〳〵レ呼一しかおもひ給ふる源モ
一出家の望は也一春寒の女御明石女御夕霧モイも五年
を源氏見那にも冷泉院く殊に薬シメシケル也
一悦も冷泉
夕霧
名哥源五十歳鈴虫は八月十五夜の事にト云ル此巻は
廿日ヨリ冬マテノ事ミ五タリ
一みつからなと女二郎中置給事は十三分迄一津町山も
りして里に出しと河海恵心山籠ノ事ニ准ス宰准せ
サルモヨシ一ちかきゆかり柏木兄弟也一弁の君はた
おふ事なきにしもあらす紅梅ノ大臣弁ノ時古へシ
レ葉アリ一この君は夕霧一宮そ御ひきこそ御
女二宮書給也御息所ニカハリテ也一北かたけしきとり給
一雲井尋也推重シ給事也一八月中の十日いりなれは
一横星鈴虫同都之具入禅閤御説廿日の事ナルへシ
一いとかたしけなく御息所御息に一猿の御しつらひ小野
一山庄ノ事一まゐの少将小少将御息所ノライノ大和寺
カイモウトヒ落葉ノイトコナルヘシ一ノ年ころと三年ニ成
又柏木の潟一すく〳〵しうおれて年ふる人はたくひ
あらしと不折メ年ふる人は言の御事を云みや花鳥
私ニおれてスミテヨウルヘキカけにいとあなつりにくき
なるト云詞にてミルへシ一みつからきこえさせぬ女二言
御息所のカハリニ申マ二人キトシ一いとおそろしき御息所ノ
物ケヲミテ最モナヤミ給ト也此詞人〆女言メ給出ス也甲
一升なをりた夕霧井十フリテ女二の御消息を聞様モ深ク
思ひ一身にかふはかりちる花をもにかふはかりおしめとも
宮ス所ノ御ナやミヲアマリ敵モ何ノ故ソトカタシケ事事ナレ共
トシ御験気モミ給マテハ無事ニスクサセ申サントテ大方ノ
御トフライニミヱ申ト也あなたさまに柏木同前ニウホシメ
サ又ハ無曲也啼夕霧の志く女二言は仕息所の方へのみなし
給卜恨給也一ひくし鳴しきりてかきほにおふるなて
しこひくゝしのなきつるなへに日は暮ぬ日くらしの声もいとなく
我のみやあはれと思はむひくらしのなく夕かけのやりなてしこ
此一首ヲ引テヨキ上又あな恋しいさもみてしか両首相盛ん
一まりてんかたも見らす夕霧鈴一山里の哀をそふる此言
巻の名大将の名に云り一山かつのまかきを心えなる夕霧ノ
有二三申心罪ヲイヘリトサヤウノ人ハトスシト也道ノ心空ナルト云ハ
申ハルヘシ一まことにかへるさ忘はてぬ曹公ト三人雲夢澤
ニ行テ大務ニアイテ次ヲ迷失スト云
一霧のまかきは
山里に霧のまかきの
一やらはせ給候追やうく
しねとてやとりもあへすはやらはかゝいといきかたき心はこすれ
一御つかきのそうよりかうふりえたる右近大夫将監也無大将家人
一此りしにわかり也一くるすのゝさうちかゝらんみまくざなととり
かせてソノ駒ワレニ草コフイサトリカハン水ハトリヤン誰高ホ
其駒
花球義也一義云賀茂人の文書に賀茂近ク名大野ト云所
アリトミて大方ハ心得難シ東ノクルス野ニテハ不候ヘ申ラス一説
夕霧ノ在所ノ遠近ヲモシリ給ハテ小野ト云ニ付テ御座ナレハ
給与にて一みちいとたと〳〵し夕霧語也一あさ申しうてかみ
くりたるに御御息ツタヘシ人は唯一水のやうにわなゝき
ヨコクハヽキ
汗の事也一さすかね申ケ金也
一なきぬいに
ラ金ニテシタルナルヘシ
女二言一貫一千えにくたけ侍る
君こふる心はちゝにくたくれと一もうせぬ物にそありける
一いひとぬ云ヘキ方ナキン一さはいへと世ノキコヱヨカラヌアリハン
一打とけ給へるまゝのうち〳〵の姿也一よつかぬ姫に十五也
一かやすほと夕霧鈴一うきみつからの女は鈴也一けにあしう
きすつかし夕霧ノ前ノ詞ニ世中ヲムケニウホシヽウ又ニシ
モアラシト云ヲ聞ト申メ給テ我のみやうき世をしれるトヨミ
給し一こ君の柏木也一御心のうちにも女言の柏の
事を思一やらひきこえ給逐ヤフ日本記追共
一そのきいゝ心もえおさめあふましうケシヤウヌ心モト女君ヲ
ソトシ給詞也一わかさみつからも夕霧の自心一ぬれさねは
猶えほさせ
六帖
〽ヤ夕霧に衣はぬれて草枕様ねするもあはぬ君ゆへ花にて
もろ共に君もほさなんぬれ衣かゝるこき名は我のこそたつ
一心のといんにたに
同様
なき名そと人にはいひて
一あはめ一いはせ人に心操ンダキスル也夕旁女二へ髪
ニテハナクテ柏ノ心サシナトニ罷タルカホ也一ましてかしこ
にはいかに小野吾フカキ所也一かしこに御ふみ小野也
一たゝならぬふしにてもケシキニテモ物思トミヱント也
一むかし物たりにもサノ女橋十トノ月三日ノ夜ノ餅ハクハ
実方詠等此タタイン一むしひをつれなき袖に
あかさりし袖の中にや
一ほかなる物はと
身をすてゝいにやしにけむ
一あさりひとりとゝまちて河海津津津河法阿闍梨ナトも
千鳥
一イカナル僧正ナトヲモ真言ノ導師ヲハ阿闍梨ト云也
一心をいたして心ヲイタラシメテ也一あなかたい法師ノ詞筵
一この事いとせちにもあらぬ大切なう五シサシモナキ事也
一こ大二夕三刀ノウハシ一ほんさい本妻雲井尋也
一そうまひ緒類也一みこの君女二宮一人の御いかり
物ヱン三十口へシ一もいら専一はふきすて省申一リミルい
又省略一さそのほころひ夕霧ノ引下メ給時ホコ口
ヒタル也一あしの重のゝほり只気ノアアリタル也
一此ことのみにもあらす柏木ノ事ニテモシ只人ノ契ヲ実
所に申ナシ一せ給事一人のことによりていかなる名をくたさ
ましなとすこしおほしなくさむ云大所ノ人ノ詞ニヨツテイフ
ウイナク名ヲハクタサシト心モテナクサムシ一中のぬりこめ
見花御此巻寝形ナトノヤタハラニ壁ユリ一ツシテ妻戸ヲタ
テヽ銅度ナトヲク所也帳是ナトナラス恐タル左ノ心ニ
一二三日フツカミア一又めくり又生合共タアイニシルヘ申ラスト也
一おほしよはり宮ス所ノ心一猶きこえ給へ御返事已ト
一あまへたるさまなるへし御セリナクは中〳〵一あさましヨリ
夕帝ノ文ノ詞一せくからに夕音ヲイトヒ給也一おもひ
の給はん宮ス所ノ御心大故に聞給ハント也
一めをしほりシラリトヨム也一鳥の跡のやうに御息所書情
一こふらひにわたり女二の御息ノ二刀へいたり給折ト夕音の
方へ書給也一をみなへししほるゝ野へを
秋の野にかりう暮ぬをみなへし一夜はりの宿もかさなん
一一言をは猶わたり給ね物の気にいて容ら帰り給へト也
一ことしよ有かほに先夜実事事心云う一に
一ちへに物思ひかねて
一心には千へにおもへと人にいはぬ我衆つさをみむよしもな
一馬のせうやうの鷹ノわし小は雄大は帷也雌馬大者雄
一馬病トイへり女はをこり男は一ケタルトタトへタリ
一おきなのなにかしまかりけん竹取ノ翁ゆクや姫ラマモリ色
一おれまとひ
雲井尋廿二
一おこへりとゝむ誘
ラコツル
日本記
一ふりぬる人我卜也
夕雪廿七日不審
一かねてよりならはし給いくと
かねてこちつらさを我にならはさてにはかに物を思はする哉
一にはかにと夕霧語一人の御ためにも女二ノ御為ニモト也
一大輔のめのと雲井雁ノ髪シ一あさりとらて求ヱサリ
一むねはしりて
人のあはんつきのなきには思ひせきてむねはしり火にいやけて
一ひと夜のミ山風に大将ナやマシウト有ウ三條ノ上アサマリテ
一条寒ニヨリヱテみ山風トイ一リ一と人に夕霧ヲ世ノ好
一色にナラスへ給卜也一いくるしきことなん女郎毛の言
一あたえかくしてアタニカクシテシ一心やすくたいめむもあゝ
花不可出行
さえ物から女二ノ人もかくの給ふ言ス所一かん日にも
坎日悪日也一あしらんよからむ此言不引共卜
あしからしよからむとてそ哢小野山ノ言ヨシト也
一秋の野の草の実事なしと也一ひたやこもり無意趣也
一よへのつみは啼先夜わたり給はぬヲヒタや玉モリニツミヱ又
ヘシトシ無意趣ニ罪フカケル計也一あしとき御馬にうつし
をきて移の鞍は随身ノ乗馬ニフか也大将は随身ヲ
ヌシツカフ故也一ひと夜の大夫をそ御ヤサノせラト云シ人也
一役のきこえをも御息所ヨリスシノ給シナトノキコヱンモ也
一さうしみは女二は実事ナリシニウトロ申サル也
一かくいみしう定ス所ノ御心ヲ女二ハツカシウウホス也
一いまさらに御息所ノ言へノ詞一おもひの外に
一柏木一ノ事一おほえをかこち也
身のうきを世のうきとのみなかむれはいかに大皇くるしかると
一よその御名をは御息所語也夕霧女二へ申よと給はゝ
コソノ名ノタシハコノツネ也愁ナラハトシ一をしこめて
実義アリシ様ニヲシテノ給也一さるへきかきりかたへこそ
籠居の僧はトヽマルへシ一つねにさこそは息所遺言に
久レク残三ツヤス才サメヨト有シ也一よろしこをこたり情
大将少将にの給詞一おほしたりしさま御息所へ
一わたらせ給へるよしは女二へ夕霧わたり給由をは申上
一いのちさへ心にかなはす
何かわかれのかなしからまし
一家多に心にかなふ物ならはしにはやすくそ有へはける
一事のすち犬の筋一大寒のうを夕霧毒事
ウホシ出也一にけなのなきかよそへや女二ト云ス所は
二ケ十十ト也一ことなしひに一いつれとか清かへるは女二也
一おほかたにこそ賀しけれ清ニシ露モヲヱカヘルモ草乗ニ
ヲキハツマシケレハ只大カタニカナシキト也一猶かくへたて給へる
ことく露の哀をはさしをきて女二のへタテ給へる事心に
カヽリテ露の顔ヲハ大方ニト也一たゝよつきてヒタスラ
契事思情也
一みねの葛葉も
風はやみ峯のくす葉のともすれはあやかりやすき人の心か
一うれへかほし物思にタヨリ有一色こきいね穀穂黄冬
一なをちかくてをらはやスメ字也なはなち給そなはちに
一霧もいとなしや少将夕霧にはチタレハ也一やまとのかみの
いもと御息所ノメイ也少将事一つるはみのもきぬひとかさね
掾つルハミ黒色也是ニテ黒姫ヲ澄又四位以上袍ヲモ是
ニテ染ル故ニツルハミノ衣トて国々ヨリ打擲ヲタテマツル格ニ
みへタリ真注々一かくつきせぬ夕霧釣
一その夜のさせさへ少将詞一すきにし御ことにもほと〳〵
一柏木死タル時ノ事也ホト〳〵は殆也一このさなけきをいおまへ
にいたゝ我かの□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
夢にたにあかも見えすみゆれとも我にまよふ恋のしけきに
一そよやそも夕霧の詞也一われをとらめやとて
秋なれい山とよむまてなく斉に我をとらめや独ぬる夜
一里とをみをのかしのはら小野ノ篠原トは三ケキ心也
一藤ころも少将言也一いまはかうあさましき女二宮御返し
一をくらの山もたとつましう啼引ミ不用小倉山モクラウラシトシ
伊勢
秋の夜の月の光しつくれは小倉の山も名をやにて
一見し人のかけすみはてぬ侍らすなりける人の家によちて
なき人の乳さへ見えぬやり水のそこに涙をなかしてそむし
一うへは寒井郡のい一六條院の人々方々ア一夕十夕ラア
ナルヲトタ霧ノ常ニノ給シ一あいたちなき無愛達
一はい給はす奪一うそふき給一いつとかはおとなす
へきし夢さめてとか前ニ寒ノ御せウソコニあさましき
夢の世をすこしもおもひさますおりあらむはなんトアリ
其夢ハイツサマシ給ハント也一うへよりおつるとや
一小野山ノモノ心ヲや文ニ書給トラシハ申ル也双紙ノ地也イヤニ
ヨカラント夕霧吟シ給ニヨキ也呼一御返事をたに
雲井石思一見つゝけ給へはやかりたル文十ルへし
一あさ夕になくねを夕霧ノ文ニイヤニシテノ言ノ心アルと
いかにしていによかゝむ小野山の上よりおつる音なしの滝
一いつかたにもいくるしき事雲井郡致仕大臣二宮
一女のためのみこそいつかたにもいとほしけれ女二の御名イト
ワシクフトス次ニ女三ノ御事御心ニウカヒタル詞也
一女はり身をもてなす此女の心大申夕事而思給
一なくさむへきそハ極メハソト云時ハ濁下ニ字ヲいへテハ何いハ
ナトスム已爰は濁也一無言太子とか無言大手波羅大王
之大子若休略容端正生而十二年不言此下略之
或経云ウヘタル烏蛤ヲクハヘテ食せントスルニ不破量子足レヲミ
テ云石ニウトシカケテ破ヘシトニヽ堕悪道ニ後大手ト生
ス無言太子是也
一かなしき事に法師十トノ行ニスル無言ノかルシキ也
一みとせよりあなた柏木三年也一夕の露のかゝるほとの
むさほりよ朝露貧名利夕陽愛子孫
一いかてこのかみそいた源語一まことはおしたなき
夕霧の答一四十九日ナヽ十二ヤトヨム一かのみに落葉
一御心はいかゝ落葉の寒事源へ夕霧申給也
一いとつれなし源夕霧ヲ一われさかしに一女かたのい
あさきやうに夕暮は実人ナレは女二のは心浅きみやト也
一やうの物とおナシヤウノ物ト也一うむし給へるといはれ給へ
はん事を女二寒御出家の事夕霧ノ十一ヽメヲヲ
ウルサクテ世ヲソムキ給ト世人云ヘシト朱雀ヲホスル
一はづかしとおほさむもいとをしきを何かは我きゝあつ
かはん女二トシメ霧ノ間ヲ朱蔭キコシメシテ女方ナヒキ
給ニ夕霧ヨソ〳〵ナルヤウニキコシメシヒアメタル也。此心ヲ
以テ前詞トモソシハカルへシ一君たちのきこえしらせ
ヤマトノ守詞女房達ニ云也さあるましき事をも父ハ
一消息ナトツタヘ初テセンヨウノイケレハせラレヌコト也
一左近少将を女二ノ女房二人也一のほりに峯の煙に
すまのあまのし思はぬかたにたにきにけりヲ引
史タル也一かくもてさいかさらんにてたに落葉の言う人々
色々ニモテサハヲ守リ奉ル心ウシカクモテナサスサラシヤ
ラ又身にてあれは若々敷身をあつサイハチライナトモスへき
ナラスト也ソレヲヒヲ忍ハント云リ哢一人まてもうたて
おほすましかへきわさをと又本おすまし義明也ラホス
マシト云時ハ朱雀ノ御心ニシテ了簡アリソスマシト云
一本にてよくキ立落葉卑下ノ心ニ今ハ忍災共居ニ
ナリ給ハンモ理ト也一ほいの事もサレハ出家ナトヲ思ハ
イツキ給ハヌ心也身ヲト申クモテアツウモ人カマシキト
思給なるへし一めもきりて涙霧より発ル花マモリカタ
十也一はかしにそへて博士」
太刀
□□□□□□□□
女モ身ニいへテ車ナトニ
入ル也一くろきもまたしあへさせ給はて眼者の手箱
ナトハ黒漆ニシテ
マキヱラテンナトハナキ故也一うら嶋のさかいちなん
箱ヲ形見ニシタル也丹後国
十八日
葉言帰様ニミシニモアラヌ事ニ憑タリ
風土記此詞
略之
又一条寒へ落
此説荷末ノ故郷ト
ヲホサレスト云ニテ首
尾大雨一寒のさためこそいとをしけれ女二ノウケこき給
は又卜世人いフモハ又也一さまうけなとさまかはりて眼力
亡は嫁娶の義式にはやう申はり名也
一山鳥の心ちそ
ひるはきてよるはわかるゝ山鳥のかけみる時そ音はなかれける
一ひたおもてなるへけれは直ニ対面シタル様ノ心也
一之見侘し関のいはかと関ノ岩申トは天の岩戸同事也
一八雲抄云岩戸関トヨムハウヤノ事也一大殿わたりに
致仕大臣也花敷里ノ詞一こなたわなたきゝにくゝも
女言出家〳〵女三ナトモ申レハト也一けんきはなれても
嫌疑也女二出家アリテ世ノウタヤイハナレテモモモ息所ノユイ
コンハタカヘシ然アルヘシト也花敷里ヘハホノメヤシ給也
一かしこけれと御有さま人は心ナタ申ナル契モトタルト也
カシコケレトハカタシケナキタトヘナウト也一あきたしや
不足也アクハま足也一みなみのおとゝ岩上この御かた
花敷里一かう〳〵しき気を神々敷也爰ハラソ口三申心
一おいらかにマコトニト云也一契ふかゝなるトモニシナントアルウ
夕霧取十シ給ヒ一よみちのいなき泉門日本記
一けふものかへりたりなきよと夕方ヨリ女二へ文アリシト立
一ほのつからなこみつゝ和也万千磐破人手和為跡不奉慰
一ものいさゝかまいり女二也一むかしより御ために爰に
雲井鴈へ夕霧の詞也一なるゝ身をうらみんよりは
松嶋やをしまか崎にいさりせしあまの袖たりかくはぬれしを
ナルヽ身トハ雲井尋我身ノ用也衣ノナルハフリタル也其
いへテ給ヘリヱヽニナラント也一松嶋のあまのぬれねぬなれぬ
とて夕霧返哥也衣ノナルヽトハシホレテ身ニマトハルヽの
ヲイヘリサレハトテ今更又又キカフヘキ名ヲハイセテカタテ
給フヘキト也
諸抄ヲ以テ書リ然ハヒユノ詞ハ処ニ
一相遣スヘシ心ハタフヘカラストニて
一心つきなう三の
めしかりける古二はス所モ夕霧ノ事ヲ歎キ給シ事ト
ウラメシキユカリニ思給也一つらき物にきこえ給トキコヱ
少将申伝也一こゝの人めもサクラフ人々モハツ申シト也
一うち〳〵の心つかひは心ヲやフル事ハアラシトシ夕三方哉
一此人を少将ラこ一とりかへす物ならぬ中に
とりかへす物にもかなや
一なにのたけき御石哢村鳥の哥人に一身をなくる
ためし身をすてゝふかき剛にも入ぬへしそこの心の
心のしらさほしさにいにやしに先思ふより外なる物は心なり
けり一いは木よりけに人非二木石皆有レ情不哉不レ哉不遂二
白氏文
頒城底一白氏文一つてうつさかゆ例ノヲマシハ女言ノ帝ノ御
方也一ひんかしおもては眼ノ具ライミテヘタテシツラフ也
一女ところにたしとけなく女ノヨロツハヤラフラ女所ト云
一この人ひとり大和守也一世を心みはつる実人の心かきは
一筋ナリト人ノ云シラ試果ル也一れいのわたり給かた雲井
烏ノワタリ給方ハ也一女さの里に致仕女ノ女御也
一しん故になんおはするとてコキテン一あやしき人々
若君タチ也一たか名かおしき
いひたてはたか石かおしきしなのなる木曽路の橋のかけし
一する〳〵しき御心にて雲井尋ノ子共ヲ女二の方へやり
テ行給公ト也一少将の君蔵人少将柏木弟也
一ちきりあれや君を心に致仕大臣哥也柏木の方りに哀下
一思又夕霧ないララメシトキクハ兎角ニ契有事申ト也
花うらめしときくは雲井尋に物はせ給下也
よそに我人をこと〳〵をきしかは哀ともきくあなう共思ふ
一猶えおほしはなたし杣木ノ方リラ一故人最大所
一涙水くきに獲麟一句渡与筆俱白氏文孔子左伝
同時也
一内外なともゆるされ十イケトヨムウチトヽヨム所モアリ
一なうしからやけし尤也テキメンナル心也一人の世のうきを
雲井尋返哥也人ノ上ノウキ計ハ哀トミレト力ニカヱン
トハ思ハ又ヲ此内侍ノ哥ハ方ニカヘテ人ノ為トヲメルヿウ
丸哥にヨメリ一いひやるかたなくこそ成申候語也巻に武
御法名三ツ源五十一歳春より秋マて紫上此秋花薫四歳
一御ほたしたに紫上子十斗事も一あつい給へはアツシキ也
一あさへたる浅々て啼さ清ん一つみかろかるましきにやと
一くはしきことゝもゝ深不知也女は無子ヲ報フモシト也啼
一内春宮后宮たり啼夕千トは明石氏御中宮等也后ヱタ
トハミヱス一いそのかみの代々へたる古申願ニやト也
一しん殿のにしのぬりこめなりけり道場ん
スリコメトハ寝殿ノヒサシニウヘラヌリマハシ妻戸ナトヲシテ寝殿ノ
調度ナトヲク所也甲又リコメニ紫上ヲハシマスヒ北ノ衣花敷里
明石ノ為也二條院にハシント西ノ対東ノ院ナトアリ
一薪こるさんたん讃漢薪ノ句トテ行尽スル事は花ノサン
タンニアリ
法花種をわかえし
一拾遺集為雅朝臣善門寺にて経供養し侍て又の
日もろともに帰侍ける次にをのにまりて侍音に老の
おもしくかりけれ共春二郎の御所へ
道縄母
入血余程堅
薪こることは昨日につきにしをいさをのゝえいこゝにくたさむ
如薪盡火滅方便品仏化ノ縁ツキテ涅槃ニ入給テ
一タトヘタリ其ヨリ人ノ茶甌ニモ云付タル也一三色白言五才
一おしからぬこのみなから菓ニ星タリ一たきゝこるおもひは
一千歳給仕ノ心也提婆品採菓汲水拾薪設食乃至
一奉事経拾千歳此身を菓ニいへタル也心ホソキスチハ後ノ
キコヱモ心ヲクレニト斟酌シテ千歳給仕ノ如クニ此身ナウ
久子ヤフヘシト也薪ツキナント云哥を同経文にて祝の心に取な
ナレタル尤詞タクミナルと一春に心とまりぬへく紫心
跡一ツテモ春ニトマルヘシト也一もゝ千鳥のさへつるも云ふ
一れうわうの陵王一名羅陵王一夏冬の源思人タ
チノ心アり一たえぬへきみのりなから願我真見諸
仏世今恒聞深妙典恒修不退菩薩行呼一二句身と
ウケタル斗ヒ世々ニト云フハ花敷里ト紫上御中ヨリ
シン此ニ値退ノ心モアヒ一むすひをく契はたえし
一啼花散里ハ明石上にカハリテ思ふクラサス只アリニヨキ人也
御返歌モ其心にヱタり一中言この院にまにてさせ
一花二条院二行啓十リ
明石ノ中山言也爰ニハシメテ中宮トミヱタリ今案前ニ后言
一タチト云ヨリ中宮ゟ然ハ秋好中寒トナルヘシ
一東の対におはしますへけれハ哢二条権ノ東封ニ中無
御休所ナルへシ紫上ノ寝殿に約給問也
紫上は西
対也
又紫上西
対へて可然と共に可叶紫上の方は二條随る不対也
一なたにはたまきこし花此女ノ御方ニ也二条院ノ東対ヲ中
宮の御休所にせる也寝殿に十うへて東につクレリ中門南階ナト
アリコナタトハ寝取也一名多いめんをきゝ給にも名謁は
行啓の時あり行啓は先寝殿へなるによりて紫上もな
タイメンニ供奉ノ公卿ナトノ名ノリス未ラヲヽ給ヘル也
一久しき御たいめむとたえを明石中今ト紫上ト寝以ニテ
先封向也一すはなれたる源中その御前ニワタリテ又
我御方へわたり給也一かた〳〵におはしましては両方に也
紫上釣也中山は紫ノ御方へワタリ給ジモカタシケナシ紫上
一は煩ニわりナシト也一ゆかしけになとは啼爰ニテハコト〳〵シキヤ
一みと経なとによりてはれいのわか御方に中宮季御読経
寝殿にテアり一うちの上よりも言よりも母をこそ上は
御門方は中言也母とは紫上也一仙にもたてまつ給へ
仏トは紫上ワ申事ソノ様也若人散乱心乃至以一法花
供養於昼像漸見無数作仕候様一ひめ出候女一宮
一さるは身に無はかりおほさるへき秋風
秋吹はいかなる風の色なれは白にしむはう人のこしき
一かことかまし物ウトカメテ再発スルヒヤコツケカマシナ也
秋ニ心ウシメ給ハ又斗也一をくとみるほとそ詞ニ而け給ト
有一重にそおれくり折節庭前ノ風景也一屋にもせは
ヤニモスレハ也源童すゑの露もとのしつく
やともせいきてそしぬへきとにかくに思えたるゝかるかやの露
一秋風にしはしとまらぬ中上は御歌
暁の露は枕にをきけるを筆葉の上と何思るけむ
一なめけに侍りやとて終焉マテ人ヘツカイ有ヤタシト也呼
一あけくれの夢に明闇一一日一夜にてもいむことのしなしこそ
一往生礼讃云中輩中行中根人一日斉戒処金蓮
一有しはかりもみたてまつみたくの朝の跡の
一ひきあけてみ給へはマテは夕霧のほの〳〵と明行
ヨリ源ノ心也一しゐてしほりあけてシホル心也シホルトヨム
ヘシ一御くしの打やられたるト云ヨリわりなきことなりやト云マテ
一つや〳〵と双紙の詞也光字一からをみつゝもえすくし
空蝉はからをみつとも一空をあゆむ心地して
栄花物語に院の女御の御葬送の夜御車のしりに院
あゆみつゝかせ給へり一十四日にうせ給ことこれは十五日の
暁なりけり十四日に終焉十五日暁葬送也或抄云
十四日は昔葵上十五日は紫上ト有僻事也
一屋へましきを心やマシキシ一身を心にまかせぬ
いなせともいひはなたれす
一をくれさきたつほとなきすゑの露もとのしつくや
一いかしくの秋さへいまの致仕三日葵上ノ事也
一露けさむかしいましおほかた愁傷ノ返哥ナトりは致仕
ハ難フツケ給ハントヲホメ大方秋ノトヨミ給ト也
一うすみとの給しよりは今第九言主君父母之服一年
葵上らせテ後六条院我サキタヽマシ申ハフカク染給は可シ
トテ哥ニ申キリアレハウス衣トアリ
一杜はつる野辺をうしとや春ニ心ウトメシ也
霜がきの野へをうしとし思へはやかきほの草と人のかるらん
一けふやとのみ
わひつゝも昨日はかりは過してきくふやわか世のかきりなるとん
一はかなくてつもりにけるは年ノ暮又ル心也次ノ巻ノ春に
ウツルヘシ
羅陵王
古坐有舞中曲舞次第先小乱声次乱声
次鴨三度略時一度又二度用之
一の序吹音取次蒸席次入破頭安摩急此時舞入
応安三年三月八日左近将監豊原英秋
件自筆譜永正元端午於御前写之今私写之也
一味尤具々有之
□□□□□□□□
名哥源五十二歳薫五歳此巻には正月より十二月マテ月を
と
申ス次第ニ載タリ源悲歎日ニ月ニ忌モやラス些ヲシタイ清心
一春のひかりをみ給に今は言ふ引と
フアラハせり
いつくにも春のひかりはわかなくにまたみよしの山は雪ふる
一とには人々外也或は本殿には一我宿は我もてはやす
人もなし
なかゝ菊色まかへしにほふとひもてはやす君もこなくに
紫上ヲハせヌ事も一おましのあたりひきさけて
○呼ニユリヲ付荷
遠放振離一中比ものこらめしう女三言口夕三拾ひ
もと一うき世にはゆきゝえなむと行字にいフ
古今に木葉にツモル雪やけ夕ナン雪にいヱル也
うき世には行かくれなてかきくもりけるは心の外にそもろ
一よろしか思召事にてたに大声と也一袖のしからみせきあへぬ
あすか川心のうちになかりは袖のしからみいつかよとまむ
一うなひ松におほえたる文選ニ馬鬣松ト云テウナヒ松ト
ヨミ侍リ馬鬣ハ馬ノ夕テカミノ如クサキラスルトニツキタル
ツヤヲ云其塚ニ生タル松ヲウナヒ松トイヘリタトヘハツヤノ松ヲ
ナキ人ノ形見トミル如ク中将ヲ紫上ノ形見トミルい也
ハレラノウナイマツ
馬鬣松青蘇
セイソクトアウヤア也
一涙の雨のみふりまされい
すみまの君かたもとは雲なれやたえす涙の雨とのみふる
一御かたみのこうはいに
みるからに袖そひちぬるなき人のかたみに見よとうへしむかは
一うつてみしむのあるしもなき宿に三宮
こちふかいにほひをこせよ
一この世の外のやうに源心鳥ノ音モキコヱサラントハ又紙ノ山ン思やり給へ
とふ鳥のこゑもきこえぬおく山のふかき心を人はしらなん
一木のめくりに丁をたて其愁日照芳雄レ駐一仍張二惟
牡丹芳
幕垂陰涼
一未府
おほえにおほふはちの袖もな
一おほふはちの袖もとめけん
一母のゝ給しことをまか〳〵しうの給とて三宮の詞也紫上モ刀
ヤウニ被仰ヒトソイマ〳〵シクソフホス心也一れいの色徐姫人
一みつからの御なをしも色はよのつれなれとことさらにやつ
してむもん或人云妻眼は一部中に一度着之にて
六條院葵上ノ時既に着眼の義あり河重而一可被着
候哉て案之着眼ノ浅深は志ノ厚薄ニヨルヘシサレハ
主君ノ眼ヲ一生着スル人有也異朝ノ趙武ハ程嬰力
服ヲハ三年マテ着シケリ宦仕ノ義ニアラス悲歎切ナルニ
アリテ重テ着シ給共何事有哉驚紫上ハ七月ニカク
レ給へり源氏君本妻ノ暇ヲ更ニ着シ給廿三ケ月廿ヘシ
然ニアクル年ノ春マテモ猶無文ノ直衣ラキ給へルハ余
哀忘申タヲニヨリテコノツネノ桜色ナレ共アやラハキ給ハテ
平絹ヲキ給シ昔式部卿重明親王は延喜御門ノ御タメ
申ナリアル一碁ノ眼シノソキテ猶三年ノ間ハ私ノ衣裳ニ
綾羅美色を着せス食器ニモ朱漆ヲ用侍ラ又由後
記ニミヱタリ私ノ心サシハ法ノ外ノ事也
一入道のその御かたに爰の間に二条院より六條院へいへ
タリ給ナルヘシ二条ヨリ直ニ入道ノ寒心ハ心明へ申ラ
一若宮も三二五疋一かくあさら給へる浅ま心也啼サモシ
濁セトニて一たいの前のやまふきこそ六條院紫上ノ御
方也東村一うへし人なき春とも
色も香もむかしのこきにゝほへともうへ無人のなききなしな
一匁にゝは春もとことしもこそあれ心うくもと
光なきたにゝは春も
此哥人の身一カル時ノ三ツ也十サケナキロイラヘシ一そのことの
さゝても并此上ノ事ヲ思出候へ申テ一テ十ク共ト思事
ニモタカフ事ナクテヤミ給シト也一夕暮の如きと〳〵し
きほとて人々忍給故也一又かうさまには柴上事を
一思出給明石にモ又マサリ給シ也一身のいたつらに
スマヘノ事一顔をもみつからすてつへく野山の末にもなふらさん
身はすてつ心をたるもはふらさしつゐにはいかになるとしかへて
一ひとつすちのかなしさのみには紫ヒトリノ事ニハ給ハ又
明石上一一ノ用捨也一にふきやうに鈍ノ字也ウハナレ
一うこきなかるへき啼明石中二ツヽ暖ノ宮夕千位ニモツキ給
○書包一故后の宮薄雲也三月葬一門あらはと
ふかくさの野へのさくらし
一なく〳〵もかへりにしかなかりの世はカリノ世雁ニソへタリ折
三月十リ源ノ言也
おきもせぬわかとこ世こそかなしけれ春帰にし侍になく也
一雁かゐし苗代水のたしよ下花にもめてぬ心まり明石上昼
尋申の字定事也万鳥か鳴黒可
いつかたの雲路としくは尋ましつゝはなれなん尋かゆくゑを
一市りかたくよしあるかきさまも明石上文六十トノアシアルウハ
シメハ紫上メサマシク思召タルカ後ハ思申ハシタシヲ源思出ル也
一夏衣たちかへてけるけふはかりふるき思るもすゝんやはけれ
花敷宜哥し衣力へするニ付テ今日は一入つるき思色モタチ
カへり給ハ又事ハ有一シキト云心ウススミやハせ五トハヨメル也
一昨今日分リトハ今日程ノ心ニや今日ハ殊ニ古中思モスヽミ
又ヘシトシ一紅のきはみたるそひたるはかま火さう色のひ
とへいとこきにひ世にくろきなとうるはしからすかさなちて
一紅ノ袴ノ黄ケソヒタル也蓋草色ハ眼者ノ用ル色也
一中なく君の眼を名也主君の眼は一朞の問まる也
一さもこうはよるへの水みくさゐめぐふのかさしら名さへわするゝ
中将着三包ヨル一ノ水ハ神社ニアリナキ計ソイタル者呑ト也
一清輔ノ説ヨルヘノ水ハ社頭ニ神水トテ瓶ニ入タル水ヲ云トニハ
一定家説ハヨルへは縁也タヨリノ水神水ニアラス古今哥に
ルヘナミカラコソ此コルヘニ同由僻桑抄ニ載ラレリ但源氏
言賀茂ノ祭ノ日ナレハ神社ノカタヘモカヨ侍ルヘキニヤ
一此式部ノ心イヤニトンホツヤナシ中都ノ君ノ言ノ心ハヨル一ノ
水は二条の上にタトへ侍り水筆ヰルは剰クヱタル心也
かむ
さもこそはよるへの水に影たえめ給ふのあふひを忘るへしやは
コル一ノ水ノ事先達色〳〵申メリ或ハ賀茂一社ニカキルト
て或ハ又余社ニモアリトて八雲ノ御抄ニモ社頭ニ即水ト
て乗応住吉社三の合に社頭月を清輔朝臣
月影はさえにけらしな神かきやとるへの水につてゐはち
判者仮成郷云ヨル一ノ水ト云事ハ源氏物語ニコソ賀茂祭
一日ノ言ニサモコソヨルヘノ水ニトアリト見侍シサウテハ古キ云ニ
モ見及侍ラス此水を口〳〵一年ニタトヘハイツレノ社ニモ侍ラヌ
共当社御前ノ月ニハ海ノ面凍シミヤキ浜ノ砂玉ヲシケ
ルヲヽキテヨルヘノ水ハカリニムナイテ月ヲサヘニケリト思ハン事
イアヽトニ候此下略し古哥云
神さひひふかえにたまるあま水のみ草ゐるまていもをみぬ哉
雨ナトノフリ入テタマル水ノま也天水の心と奥義抄云
一神社ニ瓶ヲヽキテソレナル水ヲナキ事ライタル物ハ神水トテ
是ヲノム也タ云ノ社ナトニモ今モ有ト云レ呼二ノ心アリ昔
一人ノ心ヲ忘ヘカラスモシ忘レハ神社ノ前ノ水ニ水草モサ
ヌヘシトチカイシヲ其人ノ心程ナクカハリテ又カノ水ニモミ草ノ
サタリシ事ヲ思ヘリ一義ヨルヘハタヨリシ中将ハ蕊上ヲ便ニテ
過シニカクレ給シヲ水草井ストヨソヘタリサレハ葵ノカサシナトモ
一宗タリト也此義コロシタける神社瓶水瓶水説未宜便宜
一奏ニ無縁と一あふひは猶やつみをかすへき摘下罪トノ
いかり自面は摘置ル罪ヲ申ス面ニや唯一千代をならせる
色かへぬ花たちけなにほときす千世をならせるからきこゆ也
一一まとをうつこゑ形に残燈消レ壁影嵩々暗雨打レ忘却て集一
一いもかかきねに
ひとりしてきくはかなしき時尊いもかかきねに音なかせはや
夕方ノ心紫上にキかせマイラせハやト也一くた物なとまいらせら
大将へマイラせヨシ一さはてもちかう八月紫周忌也
一かのわさしをかれたるこたなくのまんたら極楽曼陀羅女人ノ
一為には故和漢先蹤有と仍此子上モ心サシヲ見ケル也
一なにかしそうつ横川僧都ラス雲ノンチン
一そこにこそは門はひろけさせ給はめ于公高門ノ心と夕霧
子息多ケレハ也一いかにしりてかと先ノ詞ニイタウモノ給出
又ニヨリテイカニシリテカト云哥ラヒケリ妙也呼
いにし一のことかたらへは郭公いかにしりてかけるならのなく
一いかにおほかるなとまつおほし
一かなしさそまさりにまさる人の身にいかにおほかる涙なるも
哢蓮ノ上ノ歌ヲミ給テイヤニウホカルトヲホシ出タルヘシ妙々
五禽墳長恨移事去楽レ尽悲来毎レ至レ至二春之日冬
一夜一池蓮夏開宮槐秋落一ひくしのこゑむやかなるに
おまへのなてしこの夕はへを猿のみ
我のみや哀と思はんひくらしのなく夕かけの山となてしこ
ヒトリノミモ此哥ニ参りアリ一つれ〳〵としかことかましき
むしのこゑ日クラシウ只虫トヨメリカコツケカマシキ也ソナタニモ
十キ給トテ鳴様也一夕殿にほたるとんてと
一夕殿蛍飛悄然一ほしあひえる人もなし
金谷園記云七月七日ノ夜洒掃於庭一施一寸薬酒
一前載の露いとしけく
一哺急散二香粉於庭一を以請二河鼓一織女言此二星歓喜夜
也俗人候レ之或見二天漢一中見二更ニ白気
をく露をわかれし君とみからに朝な〳〵そ恋しに朝な〳〵そ
咸石切
美容也
一風のをとさへたゝならす
秋はなを夕まくれわたゝならねおきのみ風はきの下露
一正日には周忌の日也前には心十九日をも正日と云り
一君こふる風は
わか身にはかなしきことのつきせねはけふをはてとも思いさりけり
一九日わたおほいたる菊
一もろともにおきゐし菊のうは露も
ね
ももろともにおきゐしきくの落とにかゝらん物と思かけきや
一賞しかとく
神な月いつも時雨はふりしかと
一おほえをかよふまほろし唐使ヲ方士ニ比スル也爰ニテマロホシハ
我玉三井ヲ云也一をみにてあをすりのすかた十一月中ノ
一卯日新嘗会辰日豊明節金には山藍にて摺る小忌ウ
着スル也一代二度ノ大嘗舎ニモ如此一いにしべあやし下
し日影のおりレ女巻ニ昔御目トマリシ乙女ノスト有シ
の上鮎紫五良第十トン一さすかにおほしけるへし
一此詞にて前等シ捨タル御心立一言人はし日かけれて
一日蔭ノカツラニヨせテ日月ノ□モクレタルト也日蔭ハカツラニ
ニせテ糸ヲ結テ付ル也一やれはおしと
やれはおしやたねは人に見えぬへしたゝなく〳〵もかへすまされり
一千とせのかたみに
かひなしとまひな侘それくきの跡そ千とせのかたみなりける
一すきにし人の跡とみるは枕草子に昔恋シキ物ニセケリ
一しての山こえにし人をしたふとて
しての山すえてやきつる時鳥恋しき人のうへかたらなむ
一めゝしくイヤメナル也呼女〳〵三十也一御仏所もことしいに
よりい宝亀五始之又天長七年十二月始之行末十申キ事
一ヲ祈也一さくちやうのこゑ〳〵仏名弟三夜錫杖初後夜にて
一行末なかきことを本師ノ源行末か下祈ラ聞給
一たうしのまかつるをおまへにめしてさかつきなとつねのさほうより
もさしわかせ給てことにろくなと給はす禁中仙名ノ
第二夜柏梨ノ勧盃ト云事アリ昔左近中将梨子某
以摂津国柏梨庄寄左近府官人の酒科にあて多し
是ニよりて仏名の夜左近府にて勧盃計アル也禄ノ事
延喜十九年仏名導師雲晴律師賜御阿古女天暦四
一年仏名導師浄蔵に三礼之間自簾中将御衣
一かしらいやう〳〵色かはりて白頭礼仏名経
一右宮ハ明石中宮御暇ノ中松
一其日そ出井給へる源内ヨリ外様へ也一若穴なやらんに
音たかゝろへき事東坡ノ爆竹驚二隣鬼一駆儺取一概略一
一栄花物語同融院ウヘワラハニヲハシ一せハソコモリノツイナニアリ
ツヽミメマイラせタレハフリケウシ汁一物思ふとすくる月日も
年もわか世もけふやつきぬるほ
しらぬさに
にみしも参にはてぬとうきくせむ一ついたちの事つね
よりもことなるへく六條院拝礼事也今年世ヲサリ給へキ
御名残に殊勝結構せラレケル也或少云源氏実に死給事
不知其故宇治宿木ノ巻ニ故増うせ給テ後二三年ハアリ
末ニ世フソムキ給シ凝謝院ニモサシノワリ人ノ心ヲサメン方
ナク侍りケリトイへり如此ナル間遁世メ嵯峨ニラハシマシケル也
ニ候然ハ此巻ノ末ニ其日ソ出給ヘルト云詞ハ世ヲハナレ給テ
嵯峨ニウツロイ給候以上
一雲隠人の逝去スル事皆定隠トイ一リ万葉ナ
トニモアリ名有テ巻ナシ名ハナリ有テゝ詞ヲミヌ事ハ天台ノ
四教ノ法門ヲ例トス
三蔵教通教
円教別散
又毛詩ニ小雅ノ中ニ
六篇名有テ詩ノ詞ナシ源氏ノ君逝去ラアラハサヌト甚陳
ナル物上河海之句兵部卿巻にと申りさかレ給にシトイへり其
心を一雲隠下名付事此巻いモトアリナシ只名ヲモテ其
心ヲアラハスレ此名題ニテ六条院光セかレ給心シラルヽ也此
詞代集にもヱかたこれ共方葉集ミ人ノ逝去スルモ皆雲隠ト
イ一リ万二弓削皇子薨時並始東人歌
大君か神にしませいあま雲のいほへのしたにかくれ給ぬ
一大伴皇子被薨時作歌
もゝつての岩根の池に鳴鴨を参の立てや雲隠る所
此外猶アり略之
一名ハ申リヲ聞テ巻ラミ又事
天台所立四教
三蔵教遍々
万々
同二万ト
四門
有門空門非有非空門
亦有亦空門也
有門の得道は取曇空門得道は成実をあかせり非有非
空門ハ逃旃経之説○弁有亦空門ハ毘勒論ニあかせりトモニ
此経論天竺にとなりて漢土に将来せス三わを大師有門
空門ノ義ニ取テイマタ経論ラミサル円別ノ二教ヲ判シ
給フ不思義是也今ノ雲隠ノ巻ニモ作者ノ胸中ニト
マリテ世ニツタハラスヤナリニケン所詮六条権ノ崩御フヤラ
公ニイハスメ此巻ノ名ニトメタル猶甚深義タルニや凡上古ノ
名賢ノ中ニモヲハリノやウラ人シラサル事モ例多略々
句兵部卿共一名薫中将若詞
句言
此巻ヨリ薫年ヲ以テ
年記ヲタヽス此巻ニハ薫十四歳元服シテ侍経ニ任シ十九ニテ
宰相中将ト云マテ六ケ年ノ事アリ幼巻源五十一歳ノ薫四
一歳之然は雲隠に千年の事は難名也申花爰にや隠候事
一天台四ノ事譬え有河前
ラ云リ
一雲隠名も万葉三ツニアリ空仮中も有源氏物語中
此物語作物語ナルは空道也又比延寿者仮諦也雲隠中道也
尺尊五時教同此物語示人之意也又五十四帖にて外有亦定之
一意也又源氏雲隠之役逓峨院に住給共イ一リ有之又外有
亦宜也此物語先書好色太終示仏道之意可見水段之
一譬有之又は雲隠候事此物語中貴人若色等無之
体哀憐多之に自相益云士此国上既事尽之故光源氏終
一焉不言之書之者言語道断也又無珠気仍雲隠巻之
「ツクスト
中譲之て
一ひにかくれれにし得六条院前後也深草ノ御門ノ
御国点に文屋康秀草ふかきかすみの谷に
呼幻巻と此巻之間九年十ル是薫ノ年幻巻ニテ五歳ニ
一六歳ヨリ十四一テ九年也一おり井のみを冷泉院
かたしけなし密通ノ御末十レハ也一まはつきゝはには
ヨキ上ノスクレタルマテハナシト也一おほえからなん人の薬工申
ラニモイツクヲヒ一言なれハ匂言也春宮ハ中〳〵也
一右のおほい殿夕童一つきの坊ね后ニ十ルへき人ヲ
后カ子ト云申如シ春宮ノ下カタ也一さま〳〵つとひ給出案院シ
人々一東の権二条ノウツセミ末ツキト住シ所也
一今后は明石中言一たゝひとりのすゑ明石上申夕の
人はり残給也社好に十ラへテ今トイへり
一春の花のさりはけになからぬ
のこりなくちるそめてたき桜花
一院のきすつけ六條院也一后宮秋好
一御元帳なとも院にて冷泉一十四ゟ二月に元眼刻
侍従一秋右近中将に哢中松ト云テ又両三年
いへテ後ノ巻ニ侍紋ト有不審未決事也一義中将被成
タルヲモ云ツケタルマヽニ侍従トハ云ヒ別ニ注アリ花三年
後にゝ竹河侍従に付ての義也
一御たうはりのかゝい四位冷泉院御給也一おはします
おとゝちかき冷泉院ノヲシマス近計対也
一う一にも言にも冷泉秋好一こちしのおほいとのゝ女は
ときこえしコキテン毎御也冷泉院へ参テ女一言マヲ生給也
一后の言の御おほへのしなとかさしもとみるまく
弘政殿の御腹ノ女一二ケウ冷泉申シツキ給にフトラス秋好
薫ヲモテナシ給事ヲナトカサシモト此御腹ニミコノヲハシマサ
又卜也一身をわけてしかな
おもへとも身をし
一ぜんだうたいしの我身にかひけむ当流下め此如くい大にて
罹喉
一瞿夷大子善巧同名也那修多羅之因位瞿夷也惟皆
罪ノ女也
か座候程は仏出家の数六年に生給シ故に人多申上る
トニハ耶修多羅ヲハ然灯仏ノ出世ノ時瞿夷女ト云
なシク井太子ハ物ニアリラコラヲゼンゲラトモし諸様ニ不見
トヽラコラハ母ノ胎内ニ六年有テ誕生也枝淫行ノ時ハ
一嵐の穴ヲ六時フサ給シムクサ也父ヲ夕トル事ニ譬ナリ
わか身にとひけん哢花寺為長子と説給時羅雅覚卿夕
る心とにて我身に問猶以不審也一わか身につゝかある
心ちする恙ノ字ラツヽヤトヨム人ノ心ヲクフ虫ヲイヘリヤマ
イノ心也一はちすの露もあきらかにはちす葉の此音を
一いつゝのなにしも五姓一われこの御心ちをたすけて
我不審ノ事故母言ノ後世心モトナケレハウヤ一度心也
一そき様にけんも柏木ノ事薫大方は半給古へシ
一むかし光君と幻巻源ノ末ニ薫五歳也七十四才也
十年八アリ先ナレトナキ人ナレハ昔と云り一そねみ給人
アシ大臣アシ后一世のみたれ左遷し帰京ノね
恨ヲムクインノ心モナクナタラヤン一をくらかし給はす
後ノ世ノ事モ世事ノ頃ニモシ給父也一かうの音ともゝ
薫香ヲモテソコシ給シ今モ人ニアリテ少ハモテケチテ
ウエスル一春雨の雫にも匂ふかの君おもほゆる
花なれはおつる雫にわか袖そぬれぬる
一秋の野にぬしなき藤はかまも
ぬしはぬはこそ
一おりなしからなん薫の折給へは香ウマス也
一人のとかむるかにしみぬる
梅花たちよるいにありしより
一うつしをしめ給ふ薫うち一をみなへし
荻女郎花は勺事花とて哢一さをしかのつまに
すめる荻の露
秋はきをしからみふせて明鹿のめにはみえすて音のさやけき
一御心うつし給はす句は又故也一おいをわするゝ菊
見な人のおいをわするといふ菊も百年をやか花にそ有ける
一源中将此三太に薫句宮へ参り給て一連真院の一宮
致仕女ノ弘波殿膳ノ二マ也一十九になり給とし薫ノ十四
ヨリ十九マテノ事此巻ニアリ一ひとつ院の内に
薫冷泉院に作三也一わかかく人にめてられん薫の
事也但自然ニ人々メテラルヽ也タル風流ニハアラス
一いさなはれつゝ薫ニハラヨスル也まいりあつまる薫ニ宮
一御中へナ下スル也一さもあるましきはの近便ナリ人又党に似
申は又人と一宮のおはしまさむ女三郎薫の心
一ゆかしきなき夕霧第ヲ聞には
一やむことなきよりも本台ヨリモト也
落葉
一一条寒の落葉夕霧ノ六君ヲ養子也一いといつくしくは
一ヲモ〳〵シキ荘厳ハナク物コノミナトシ人ノ心ヲヨスルヤト也
わさとなくて此人々ニトイへり人の心つけんたよりおほくつくり
なし給マテハ夕霧ノ御ムスメツ落葉ノ宮へ渡シ奉りテ玉
カツラナト源ノアツカイ給やウニ人々ニ心ツケササせント也
一のり弓のかへりあるしのまうけ正月賭弓はテヽカケ方ノ
一大将里亭ニシテ還饗ト云事行給也此時夕霧右大臣
大将にて六條院にてここなイ様一ケ方の人は必早出する
例シ薫右ノ一ケ方也一四のみこひたちの云此二人更衣
腹也一れゐの左あなかちにかちぬ此物語左の忠事
アマタアリサテアナカチニト云上一大将まかて給名方
右大臣の左大将也一右衛門督権中納候右大弁夕方
御宮に一寝殿の南のひさしにつねのことみなみむきに
中少将つきたり北むきにむかへてえむかのみこ庇の座
一中少将ハ奥ノ方ニツキ親王公卿ハ端ニツクそウハ垣下
ノ座ト云中少将ラ饗応スル請伴ノ心也并垣下忠達
一必カキノモトニ御居ナルヘシ中少将ヲ本トメ其外ノ言タチ
は相伴人也禅国し一もとめこ舞ておよれる
非神事舞事カヨレル袖返シフルマラシ一ツ本ンとりのうち
かへす羽風トアリ還饗の時求子将監已下舞也
ヤウトメハワカヤヲトメタツヤコヲトメタツヤラトメ一やミハあやなく
春の夜の
一かにこそけに
ふる雹に色はまかひぬ梅花
一右のすけも薫じ一まゝうとたゝしや客人メヲタル也
一神のますなと求子二段ナリ神ノマス此やシロニ此事
法は若菜結句に同
万十
萩女郎句ト云哥モアリ
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秋の田のかり秋のやとの匂ふ
〽十年秋田かりほのやとりにほふまてさける秋群みれとあかぬるも
女郎花吹すきてくる秋風は夢にも見らねと雪こそしるけれ
紅梅
一名同前の巻薫宰相ノ中将トミヱタリ十九歳ノ正月ノ事ニシル
せり此巻ニハ源中納言トイヘリ同十九才ノ秋シ故竪並ナルヘシ
又いこち姫君にいゝはし侍る事此巻末にて五タリ権本の巻
ト同時ノ事ナルヘシ紅梅竹河橋姫椎本総角前後
混乱タリ此巻別ニ按察大納候伝也仍升河ト並ノ一二ヲ
定もたし薫中将竹河には始四位侍終中央ニ宰相終に
中納言也此巻には始より源中納言とあり三色は升河の巻
一次かとこるに又竹河の末に按察大納言右大臣になる所詮此
巻ハ竹河ノ中央タルヘシ
一その比按察大納なときこゆるは後号紅梅右大臣此巻
末に任右大臣同時夕霧伝左薫中納々ニナル也是は竹河
末にも椎本末にも同時迄一りやう〳〵しう亮二上ウウシ
申心也ソトナ〳〵敷共所ニコル一のちのおほきおとゝ
河野路大政大臣領黒大臣一名也或説役の薬キオ
トヽ也今上御代ノ比太政大臣二人也致仕大政大臣殿
故裏葉に
仕テ若菜
《題黒大臣
紅梅太政
大つ任
是也仍役ト云上総而此物語中
一太政大臣五人や引入大臣二条大政大臣六条院致仕大臣
韻器也其中にも役すり古今集に忠仁公ををサきのンホキンホ
イマウチ君ト云ルハ前官ノ義ニアラス延喜ノ頃大政大臣只
二人已前後ノ由書ル也呼役ノ義用花右大臣清応夏野
公小倉王ノ弟五男也号並世大臣又号野路大臣並岡は
仁和寺ニアリ嵯峨野ノ路ナルニよりて野路ト云ニや難黒
ソ是ニナソラフル也一故兵部卿言言蛍言也ウせ給由
爰に立一御子は紅梅大臣内室の腹に女二人当腹
一槙柱男一人此腹に蛍二郎女一人一重はいあらまほしう
文言ノケハイシ一十七八のほとにて紅梅ノ嫡女也
一うちすかひて云イスヤイ次第〳〵也一春日の神の御ことは
も我世にやもし出きて源氏打シキリ立后ノ事ハ乙女ノ
巻若菜の下巻に注終又私共の后には藤氏立給フ三代
源氏ノ立給ヲ致仕大臣ノ女コキテンノ女御ヲ后ト思召
たるか無曲を大納言の女后に立給はゝ故をとゝもなきゆけ
ニモナクサミ給ハンカト也時君臣ノ約神代ヨリノ事秋好
ノ中言ニ立給シ時モ致仕大臣ナトモノ給シ心有之也又伊勢
言アイ殿トテ同今ノ中ニアリて一西のさかたい
西ノ御方南ノ御方トロトツニナラヒシシ一こなたを師のやうに
宮ノ君に中君ナトノナラヒケル也一母君にもきこし給けれと
母君ハ女ニ付テ内へ参リシ也爰ニテハ其ヨリサキノ詞ヲヤケリ
又後の詞に内に井給心み工一さすくせにませて夫婦
く契には申出又詞也一いつれもわかす父大納言人
一きゝしるはその
羽とのねをきゝしる人のある
一手つかひすこしなよひたるはちをとなとおとゝにはをよひ給はす
ナヨヒタルハツヨカラ又ナルヘシ次ノ詞ニナマメナシウ聞ヱタルナン
女のさことにて中〳〵床三申りけんとあり心得へしけ
一被下・六条院一ちうさすほと比世くウヲ押ハナチスル事啼
一わさとうるはしきみつゝよりもいとおゝしく殿上童は東帯〳〵
一時総角ス是ヲミツヲト云取井ス申タハ直衣ヲ云其時ハ
ミツラニハエハス只トキカクル也一れいけん故に紅梅ノ嫡
一女春宮へ参りシ人迄一はことつけ北方へ麗景殿の
はもらゝ様也一つまひきに比巴とツマヒキな啼
一かはふえ皮畠哥笛嘯シウフフクシウソ畠紅梅ノ調子
ヲ合給也一このひんかしのつまに行ちかき紅梅文集
春風北戸千茎竹暁日東簷一樹花
一しる人そしるとて法用舟着ならて誰一はしかはし端の端
一心のなしにやフモイナシウトと一おほろけの故なかさならし
かしとヲホロケナラヌヲ略メモ使所アリ是ハ只大カタラヌ
命十アサニハアラシト云也一あなむかひにはなちけんを二
たひ出給つるかと大論云尺迦仏入涅槃之後阿難登
一高座結業諸経時其形如仏阿衆金疑仏再出給
一まつ鶯の約卜先と両義意は同定家卿百首
まつ里かすむ此類は
一この君のふところかみに若君ノフトコロ紙に同入給也若君
モ兵部卿宮に十レ給度思召せはイツ事忝様也
一中こそのうへの御つほねより兵部卿の中宮の御局ヨリ出
縫一うちなえて心やすき所にも心やスキ所ニモ二條院ノ事
一まかてむりなと匂二ツの御取中所より一春寒にいいとま
すこしゆかされためりし時とられて紅梅の息ラ春ムその
マツハシ給シカア子女御参り給アリ時ヲトラレテイトマアリや
ト也一たまへにいしもトハ匂言ニハツヤウマツリヨシト云い
一我をは人望なしと大納言ノ句宮ヲハ思ハ十タルヽト恨給也
一ふるめかしきおなしす比にて蛍ノ言此即女十レハ匂トイ。
トマヒ一うらみて後なからましかは
恨ての後さへ人のつゝからはいかにいひてかねをもなかまし
一色にとられたるむ
くれなゐの色にとられた梅の花えそこと〳〵にゝほはさく
一この花のあるしは寒君の事一しらす心しえん人に
河戸川
花に
あたら夜の月とひとを
色も雪もまつ我宿の梅をこそいしれは人はみにこめ
一大納言の御いはへは中君ヲ匂ひト思へ共句は言の御方下ケ所返
一中〳〵ことかたの姫君は中〳〵いわらをいちニト云ニいゝケテ
みにへし、
ツヽケテモ斗コ工
一かひあるさま匂へ申はせ申度心也
一此宮をたに匂フ縁ニト思也一これハ昨日の御返なれは
〽みせたてまつる小君東の御方へト思へト昨日の御返事ナレは
大納言にみ大口下也一左のおとゝわれらかみたてまつなに上に
匂フわマり好色スキタルト常ニソメ霧大納ニヨツテ実ヲ
立ラルヽト也一个にもまいらせ給に又小君ラ今日モ参せ
給に文を又参せうるゝ也一もとつか本香也匂言なれは也
一人はなをと大方下人は思ひ一言のいとおもほしよりて
春くつゝ御推量アル也一むへ我をいすさめ黒ノ字人也
春寒の御事北方語也こゝに御せうそこや有しさたて
さかし爰一テ北方詞也一梅はおひ出けんねより
匂薫ノ奇特ナルヲ思心ヨリ花の種姓ヲ私判スル也
一寒はさふさいのかたに我思スチナル耳ヨリ也縁ナルヤウノ事
ウ云ニや祥字フサイ心叶ヒ一大納言のふかく心かけ実子ニ也
一おもほしやむへくも匂言の一おひさきとをく
北方思一八郎の姫言にも光君ノ御第ウハソウノ言椎
一カ本ニさん事前ニ云ハゝ五冊之間混乱也
一かたしけなき匂熱に仰かるゝか也一さかしらかる北方の
返むなし給し候
按察大納言
麗景殿女御
後紅梅右大臣
母槙柱上此巻に童にて
御子は男は大夫
兵部卿言イモトノ尋給シ
母右北方
此巻に春宮へ参給也中君
母槙柱上
母右北方宮御方
孟玄ノ御如也
大納言ノモトニ住様へ匂意尋給シ人也
一父言らせ給テ後母君に具〆
名哥詞横並也末山竪タり
竹河
薫大将ヲ四位ノ侍経十四五八アリトイヘリ薫ハ十四ノ年
二月に任せる由匂宮にミヱタレハソレヨリ役ノ事ヲ此巻ニ候へり
サテ又此末ニ薫中納共ニ成侍ルもウシルセリ中納言ニハ十九
ノ年任せル由権カ本ノ巻ニ立タリシカラハ十四ヨリ十九マテ
六年ノ事ヲ此巻ニシルセリ句巻ニモ十四ノ年侍経ト云シヤ
リ十九ノ年宰相中納言トイ一ルマテノ事ウヤケリ是モ
六年ノ事ヲ載侍リ是ヲ以テイヘハ此巻ハ兵部可巻ニハ
横の並なるへし但此巻には十九の年の秋や申て又中納言に
ナレル事ヲシルセリ句巻ニ中納言事ハミ三サレハ十九之年ノ
秋よりは竪ノ並にアタレリト云ヘシ此巻ノ末ニ紅梅ノ巻トハ
薫を中納言とイへは竹河の末は紅梅の春と同時なりと云て
一これは源氏の御そうにもはなれ給へりしのちの大殿
凡此物語ヲ此義式郡而作共ミせス其意也巻ノ始ニ申ク
書事始也源シノホソウニモハナレトハヒケ黒ク源ニ放名
孫と云にはあらス玉髪のまと其故ハヒケ黒ノ室ナレハヒ
ケ黒ノアタリト書リ此類多シ玉アツラハ源氏ノ猶子
実にあう又由也ヒケ黒太政大臣事将のオホイ故也
致仕大臣に次テ也野路不用之甲一紫のゆかりにも
にさめれと紫上は源ノ猶子ナリシカ共イサカアやマチ
有シカツヰニコト人ノ室ナル也一女とものいひけるは
隔句也紫ノ上カリニハト女共ノ云ケル也啼
一源氏の御すゑ〳〵にひかことゝものましりてきこゆる
一此僻事下云は薄雲源の御中冷泉院生給も玉忠六
一致仕大臣は女ナレハ源ノ御女トも薫は女三郎生給へは源
の御子トイへ共柏木種ヲ一キシも然共タシカニ人不知事
一ナレハ人ノ俸ヲホヱニヤト云也一我より年のかすへも
女共ノミケル詞に一ひかおほえにやなとあやしかりける
紫ノ始ヨリ此詞ニイタルマテイタウ何ノ故トキニヱス
若此物語ノ時代ノ准拠ナト其人共ミユレ共一篇ニ其
行跡ヲ守ラサル事ヲホキ故ニ其罪ラノ申レン為ニ如此事也
一相査帝誰延喜帝光源氏比西は太政大臣未以
一ほけたる老一いつれるまことならん此式部か決三タん
語也古きことゝみヱタリ紫式部力作せさる心也弐統爰
の詞マて草子の地也一内侍のかみの御はらに玉せつうら
ヲヤシタメノ事共也ヒケ黒ノ御子玉カツラノ服ニ大黒香
左大弁頭中将女御尚侍一あえなくうせヒケ黒らせて
後関口は誰共不見一故殿のなさけすこしをくれ
ヒケ黒アマリ実人ナリシ也一むら〳〵しさ見人ニハヨク又
サモアラヌ也一中二そのいよ〳〵明石中宮一けるかに
文集
めをそはめられ已に被楊妃遥側目文集一いつかたに
夕露
つけても蔵人少将監方国ヤツラノウイ也夕方ト玉モ
ゑ
やシナイ兄弟也一たゝのさまにも夕人にはせシト也
一四位の侍経薫十四五歳の間ノ事と句言の巻始に
当レリ紅梅ヨリ前也一々の殿は三条寒候此故い
玉中ツラノ方三条宮ハ女三言御在所也一御重はひ
ちかうと源に近と思ひ大故也一む月の一日頃玉セツラ
ノ方へ衣シ給也一御はゝからの大納言各サマウタイシハ
注也以前事被正月一日皆々参シ給也故中納言舞一万
右のおとゝ夕方御子とも六人露二人は内侍逢以上
男八人を一すきにし御事源ノ事一院より
冷泉より姫君〳〵一うちにおほせらるゝ事
夕霧の鈴一柳女一郎の女御はゆるし畢数女一三ヶ
御母玉ヤツラノフトヽイン後御ユルシアリカタキ事ナレハ柳ト
イへり一これかれこゝに玉申ツテノ方ニて一三條の言に
女三郎一ふるき心朱雀へより夕衆人迄
一この殿の左近中将右中弁侍従ヒケ黒ノ御子タチ三
一人ナラ玉髪ノ服也一夕つけて四位侍従薫玉申
ツラノ殿へわたル也大納之故中納候ナトノ役ニ此君わたり
情一姫君ときこゆともソサナク共ト云心也
一かんの殿玉のう一東のはし念誦堂ノ階也
一よそにてはもき木なりとや野は哥合判詞云
千種ににほふ花のあたりにはもき木のやうにてましり
にくゝ侍れとかけり順一まことは色よりも
色よりも其花に
一めてくつかへる感スル也一あるしの侍経昇殿もせ又人
を以前三條はへは送りに忝シ也一せんかうのおしき
浅香一おとゝは夕霧この君薫一散侍経アルシノ
侍談と前に申引玉の御子也四位侍経に可申候間故を付て
一おなしなをし薫卜蔵人少将也一いさしるへし給へ
薫の銘一女のことにて呂のうたは梅か枝は只女は
律ヒサテ属セヌ由也一いたしと心ニクキ事也啼ニ
只ホメタル事トアリ大やら書ルナルヘシ一はかなしこと
薫一かたみにゆへりて重卜藤侍経ト一こちしのおとゝ
玉は子ノ侍経メ故致仕ノニ似タリト人云ウ床シトなメ
給也一尊にもさそはれ給へ
鶯声誘引来花下草色拘留座水処
一むつひさりじ親玉カツラ致仕ノ被下ゝに一この君は
故大納言柏ノ事玉忠ウノ詞也一さき草うたふ
此故ハムヘモ一ことふきをたに祝言ヲステウタハセタル也
一竹河をおなしむらに花同声トハ以前ノ梅申枝此殿ト同
呂ノ哥ウ云ニや一うけひかす薫ナトノ酒ヲ辞シタル也
一かつけ物薫に一なにそもそ何事つき十三ト云い上
十二ソモソトハ高砂ノ哥ニ
書又ヲ辞スル詞ナルヘシ
ナニシカモナト有ウ引直シ書上
一みつむまや
にて甲竹河は踏哥ノ時ウタフウタナレハ此夜竹の
ウウタヒシニコせテイヘリ水ムマヤノ官ト云ハ労メカ
四十ま事ウイへり爰ニテは其心也
追聞ニツムマヤ
水駅トハ駅路ニ飯駅水駅トテアル事也ハレヲ本説
ニテ踏三ツニモ水駅ト云事アリ此夜竹何ヲウタヒシ申ハ
踏哥によせテ水駅にテトイへリいヘハ労メ曲モナキ由也水駅
トハ疎ナル事ナレハ也我思ノシルシモナキヲヨソヘテセク
イへル也一人はみなむに少なよメリ花ニ心ラトハ薫ニ
心ウヨセント也一おりからや女房ノ中ヨリヨメリ折カウ
ニヨテコソ心ヲモマトハせ実ニハ心ウツサシト也カハソト
斗己香にヨス一よへはいとや位侍経文也玉毛み給ト
カナカチ也一竹河のうちうちいてし橋ラ端ニいへタリ河ヨリ
フヤキナト云メ候
竹河の橋のつめなるや花園に我をいはなてめさしくいへて
又サシクワヘテト云いヲウタイシニ心ハシルヤト也一重にいと
わかく藤侍経手跡ノヨウラヌト也一よへは水むまやを
侍経返事也人々ノトカメシトシ一竹河に夜を薫ノ
ハやク帰給シヲトセメナヤラ又何事ニ心トヽマラント卑下也
一此ふしをはしめにて薫藤侍経ノ曹子ニウハスル也
一さく桜あれは
桜さくさくらの山の
一はしちかなるつみも人ケマレナル所ナレは姫君夕チノ道理迄
但其由断ニテ少将ニ三五拾シ也一十八九ハ千タトヨム
姫君兄弟也必十八ト十九には有へからす一いまひとゝころ
中君一侍談の君けんそし給碁の助言也一あに君たち
さしのなき侍従ノ兄玉髪ノ服也一中将宮つかへのい
そかしう隙ナケテ母君妃ナトヘウト〳〵敷義ナリ弁官はま
いて弁官は事シケキ官也然は私の常いゆへいつたり又共
ヲホシやはステント也一うちわたりなとまかりありき中将也
玉セツラノ一男廿七八タルへシ一桜をおらせて姫君達ノ
一ンラせテウキタルヲ兄タチ昔アラソヒシ事ヲ云也
一うへはわか君イモウトノ君一この桜のおい木になりに全く
童雅悉成人園林半喬木一あまたの人に
父ヒケ黒等也中将語一人のむこになりて左楽都
誰カ聟トハ見エユ一この君たちそ玉カツラノ子共
兄弟の鈴也院へは時にあはすと也春言はいかゝマて中将の
一銘十リ一いさやはしめ被下やむことなき人のかたいらもなきやう
一春宮は女御夕旁の一女麗景殿女御紅梅大臣女申夕はら
モナキトハカタハラニ人モナキやウニテ也一れいの少将蔵人少将
アルシノ約語ノ方ヘワタリシニ侍従ハ兄弟ツレテ皆出シ折也
一ちりなん後のかたみに
桜色に衣はふかくまてきん
一右かたせ給ぬ妹ノカチ給也一こまのらんさう競馬の時
一右ノ勝炙ニハコマノ乱声ヲスル也其類也タハムレ云也凡勝負
ノ後乱声ハカチ時十下ノ類也一右に心よせたてまつりて
西の御前トは妹ノ方ニかレソト云心ニテイヘリ時一説右ニ心ヲ
せテハ右方ノ人ノ事西ノヲ前ト云ヨリ語也此頃ハアネ君ノ
木のやうに皆人云により汁アラソヒ心モアリト也一桜ゆへ
風に心のさいく哉哉ひるくまなき我老にはアラ子共第シムは思ゆイ
一事春迄一宰相の君ア子君の方の女房
一枝なから木ナカラ我方ニナルト也一かきつめたみる
カキアツメテミル也一左のなれき女童ノ名也一おほふ
はかりの袖はありやはアラシトン大空におほふはかりの
前の哥に大児ト云ヨリ此哥に引テコメに一女御うと〳〵しう
玉ノイモト女御ヨリ一母北のかた雲井ノ雁ヲ少将ハせムル也
一いとかたはらいたき雲井尋玉のうへ文の詞一いかなる
ことゝ玉返事ノ詞一思ひうつるへくも玉は中君少将に
ト思へトウウツルヘクモアラヌ也一侍従のさうしに少将キタ
迄一れいかたらふ姫君の女房蔵人少将心シリ
一此返事せんとて薫ノ文ヲ玉ノ方へ持テ行ヲ少将ハラ
名也一ひとへに物そおほえける
うしとのみひとへに物は
一このまへ申御前にテ物執申也中将ノフモト也
一つゝきも顔と
同四月
こといりを思ひつゝけてなかむれはつらきも人の花とそ思ふ
うれしくはわすることもありなまし
一夕くれのけんそう顔鐙アラハナル心也一きこしめさせ
たらは中将詞ヲトス心也く申し火人ノ物云に我モ渡立ツ云
一いてやさはれ少将詞サハレハサラハサテアレ也一おいゝかに
一コトニト云心常ニハラトナ〳〵敷ト云詞也
一わりなしやつよきによらむかちまけを囲碁の好も淫弱
ニヨリテスヽヘキ勝負ナレハ目クハシセンニヨルヘカラスト也
一哀とて手をゆるせかし少将又君姫君ヲユルせカシト也
一はらから少将兄弟一おと夕旁一おほな〳〵
コンコロナリ一くやしく夕霧正月朔日ノ対面ニ玉ウク
ニキコヱヌクやシト也一花をみて又少将三合一中将の
おもといきしにをといひし詞ハナリニハアラス実ニ思死様
心ト云也一此御ふみとり入て花をみての文一余そ
此哥花の記別也
しろ玉ノ空ヲヲレシタル色斗也一あないとをし哢
此詞をみルに此返シを玉人に申せ給夕ルをウ又ソハノ人ミキアナ
イトヲシトイヘモ書替サル也玉カツラノ書名ニテハ取ナス哉
イヘソノ詞申タラス一九日にそまいり給玉嫡女院ノ女御ニ
一衣服一藤中納言はしも髯黒嫡子中将弁ボツノ服
真木柱ヨリ音信又ツ井テシモトイ一リ一表てふつねな
らぬヲ声キタル二ツ也一ゆゝしきかたにても家モナト書
シヲミテ也一おりをおほしとむる院へ参り給ト千五也
少将心一たか名いたゝし
恋しなはたか石はたゝし
一いける世の一言モヲヤテヤ三ナント也一つかのうへにも
一史記曰季札之初使二小斉一請二君早解一瞬間剣英掛一
一秋風暮樹寒漢主ノ子中吹不レ雖徐君塚上仰猶隠居
一之てもいらへを又少将の文罪を姫君ノミテ也
一かきかへてやりつと書替てヤランスルウト也
一たゝ人たちた院ノ御事也一く地おしう院ノ御心
一このさかたにもヒケ黒ノ姫君ノ女御へモ薫シタシキ也
一かの御かた今女御一手にかくる松より奉り奉竹薫の
すくりに薫
薫ノ
まさるに
意今女仕ノ事ヲヨメリ又松山ノ波ノ心ニモヨせヨメリ
一わかいにあらね藤侍経の心に薫にあはせはやと思ひ事
ヲコメリ一故おとてヒケ黒中将を免して左近中将ニ
仰事也ヒケ里ノ三男一かんの君を申給中将申
一うしろみや何やと院女御ヲウシロミノやウニラホス共サシモ
アラ三也一女清はいさゝかたかひめさゝて后ニトラホシヽ
を梅つ等にセンせうレのゝ事也一ふた所して中将と弁也
一ことはりそかし呼嫉妬人々〳〵て幾ケサウ人ノ
斗ん草子の地より云夕ん上私一侍経も重ちから薫
一梅かえにあはせたりし中将のおもと
一書詞ニ人々哀ト聞モアリト也
一蔵人少将事ヲイヘリ此中将君十トニや
一正月廿日梅ク枝ウタイシ時和琴
引シ女房ナルヘシ蔵人少将ノ媒トミ立
一梅カえらウタイシ時五カツラノ姫君
ノ方ニアツマヲ引シ女房也忰一右の三の頭なり踏上ツノ哥
出大人と一十四日の月御前部内やうる也一女御も
一ヽの言す所コキナレモヒケ黒ノ女法モ爰ヨリ最ス所トイへり
一冷泉院の物見様方々也一右の大殿夕旁致仕の大臣
一すきに夜の
末々ノ人ニ一わた花もサシノ花ヲワタニテ作シ一すきに夜の
蔵人少将正月廿日ノ夜ノ遊ノ事一さか門もさして
一踏方に飯駅水降アリ水駅は酒肴斗也物思有テ
イタマシウスルトミユ一時一夜ひとら所々かきありきて
物を舁にはあらす只こなかかなたへ参由也関男踏哥殿上
人ハアリノウタイメクルニや一部合点一哥頭は年スキタル
人コソト也薫哥頭也一万春楽を踏哥にウタフ踏三ツには
我家此故万春楽
万秋楽ト踏哥ノ人ノ云事万春楽共
一壱升此四ニ之
云にや一器万春楽正説也哢一一夜の月かけは
一踏哥の夜の役也一かへらのかけに侍るにはあらすや有けむ
雲上比かくてさしも大えさりき夕霧ノ三男蔵人少将申夕
チヨキ男にて前に彼女さを心やけ三也其事を侍従の十一
子タクテイシタル詞也桂ノカケトハ桂男ニハソヨフマシキト也
禁中ナトニテハサシモ見ヱサリシトシ又説雲ノ上チクトハ院迚
一やみはあやなきを月にはへ内ノ女房共同也薫香ノ事ニ
ヤミハアやナシト也一すかしてトハ少将ヲ薫イヒケタルヽラ女房
達等先也竹河のその夜の事は前に心位侍従役女は
御方へ竹河ノ哥ヨミカハシ給事也思ふはりのは卑下也
一なかれての薫哥一打出すくすこともこそ薫イこそ
レナトセントテ立也一こなたにと冷泉へ一たうかの朝に
初音の巻に役宴に女楽せんとて楽器なと取出し給ひててに
テ十ヤリシウ今有ヽトウホヌキ書タリ一宮す所のけことのね
御尋候ウ薫ノ窓テ聞シヨリハマサル也一うたこくの物言
ツケ物十九ヘシコクは曲シ一卯月に女言ゝむませ給ふ七月
ヨリ懐妊有シシ物のはへもなき里ニテ生給也女ニテンハス
レは物のはヘナキ也一かの中将の君左近中将一かくいひ〳〵
てのはて世中をかくいひ〳〵のはて〳〵は一うへの御いはへ
一次郎一おほやさまにて内侍ノ替ヲ五ツリテトン云役ラ
にへり一いとかたらし給事也内侍ノ申ミ重計也
一なおとゝの御いをおほして髯黒ノ奉公ノ忠君ヲホシメス也
一久しうなかにけるむかしの例なと開父ノ城ヲネニ二ツルヲ
例スヘシ内侍替ニ申キルヘカラス問云内侍替ヲムスメニ与奪ス
一九事イツレノ例はや一呑其例更に覚悟せす今の世にも女官な
ト女ニ其職ヲヌキ云ル事ハ連綿ノ事也
一この君の御すくせにた中姫君ノ内侍ノセミニ成給へき
スクせ有テや年比母ノ辞シ事ハトヽコホリツラント也呼
一弁の君して玉カツラノ息也又諸人の望事ト一説
一うちの御けしきは夕霧返事一おほやけことにつけても
宮つ久し給はぬは玉髪は里居にて内侍タり大やケフト
ツトメ給ニ二ケツカへノ内侍ニテナキハヨカラスト也
一おとくおはせましかいヒケ黒ヲハセハトシ一さろいみにより
一冷泉ノ御心イニシへ残リ又ト姫君ニハアラハシ難キ也
一おほうへは玉かつら也一宰相の中都句宮巻に薫十九歳
ニテ宰相同時ノ事ナルヘシ一大臣の薫ヲ聟ニト宮
大臣望給也一いひおはさうす玉のウノ一左大臣の
御むすめ竹河左大臣誰共みゑす一みちのはてなるひた
ちおひのとあつまきの一うちの君は今の内侍也内
の君を一左大臣かせ給て右は左に竹沼の左大臣うせ給
于夕霧左に伝す一藤大納言紅梅の大納言左大将の右大臣
一ニナル一三位の君夕方息蔵人少将宰相になる
一御まへの庭ニテ拝したてまつり給ふ啼闇薫ノ玉カツウ〳〵
一家ニ問テ中納言昇進ノ拝進シ給トミヱタリ家礼ナラ又
ニモ存スル事有かや又女方へモ拝スル事有迄如何如如何一
薫玉カツラノ家へ参リテフヤカタナレハ礼ヲイタサレタルニヤ
女ニモ拝スル事子細ナシカホトノ申候其心サシニシタカイラ
サタマレル法ナキ也一ふりかたくも玉ラ薫ノ心ニ
一をろかなるつみもうちかへさせ表裏アル仰ト也
一けふはさたすきにたる今日ヨロコヒニラハシ一・せハ身ノウレハ
申へキ折ナラ子共也一たいめんなくて人ツチナトニ申へ
キナラ子はシ一あはの御ことはりやアハラ用は〳〵三れ
一おほ上いちからも玉アツラは薫フ台ニテ見ハト也一大臣との
いたゝ此殿の東紅梅大臣也一たいきやうのゑかの
大饗垣下一兵部卿言左の大臣ののり弓のかへり
たちすまひのあるし句寒夕霧〳ヽリ弓ノ付へり夕チ
帰立ノ饗シ十トに出給三也一けふのひかりとさうし
一紅梅大臣シやウシ給也一姫君たち紅梅の女タチ也
一となりのかく玉アツラノ隣紅梅ノ家也一むかしのこと
思出ヒケ黒ノ大饗十トノ事ヲ一二三そうせ給て
蛍宮らせ給て紅梅の室として思給一みくるしの君
たちの玉ノ君タチウミテノ様いますからふやサマシマス
ヤト云シ一こ殿ヒケ黒ノこゝなる人我子タチモ好色ニ心ラ
やミタラント也一右衛門督左大弁にてみな非参を髯黒
の子左中将は兵衛督になり右中弁は右大弁になるイマタ
非泰儀ニテハ座ニタニナラス是ラウレヘナケク也右兵衛督ト
右大弁トニテト云詞也呼問候右兵衛督右大弁を非参
致とみへる為一答非参議に任せ又サキハ非参銭ト云也
一としよいひの程ハ玉鬘ノ子共タチ年一水ケレハ官ノ浅キ
一ヲ母ナトノ心ハ事タラス也一侍従ときこゆありしそ
頭中将両三人ヒケ黒ノ息玉ノ服也一さいさうはかくつき
つきしく蔵人少ないツま〳〵シク官位ナトモアセルト也哢ニ
ツキ〳〵シク玉ノ姫君ノ事ヲ云カルト也ソフ
雲隠巻
名は万葉集上かとゝ思えぬ故にしあれは敷物の家より出て雲
かくれにき
是をもて号するかゝ名ヲ用て巻ヲミ又しの天台四門にアり
此内亦有亦空ノ有空ノ二理ウハナレタル心此巻ニミヱタリ
源其雲隠ノ後嵯峨院に住給ヨシやトリ木ノ巻ニ三三タリ州
又亦有亦空理也
此巻ニ名ノミアリテ詞ナシ故為トナレハ一部ノ中ニ貴人数言ニ
無常悲歎不可洩計桐益更衣より紫上ニイタルマテ種々
様をこらはせり故に源氏君終焉不記之言語道断也仍此巻の
一中に含之〳〵幻巻ト句宮の巻トの間八ケ年也
S668
特別
図字{
一米源抄五升
峰源抄
100冊引ビル
宇治巻
或抄云此物語はしめ桐壷よりおはり夢のうき橋まて
五十四帖なへては式部に書たるよしを思へり或人の申侍
右衛門佐藤原宣孝女賢子
るは宇治十帖は娘ノ大弐三位
後一条院御乳母叙三位也
其證拠あきらか也と云いまことにても侍らい斑戯の史記
かけり
を書さしたる。斑固力書次たるに相似たるへし
一哢花云大貮三位所作義御司と橋姫一
司馬所ベラ
一一禅ヒ〆清にて問云橋
修ヒノ字濁テヨムル
一注スへ申候
一名優婆塞
橋姫
名哥薫十六歳ヨリ十八歳一ツテノ斗リ勺宮紅梅
竹治等ノ巻同時ノ事也呼童十九歳ヨリ廿一歳冬マきん
一その比世にかすまへられ給はぬ古宮おはしけり
宇治宮桐益帝ノ弟八宮号二優婆塞宮一母左大臣女其頃ハ
今上御位時也此時分紅梅巻始詞同由也董中将昇進
以下ニテ思合へシ此宮ヲ悪后取持テ春宮ニト思食シ也
只今は悪后の方ヲトロフル世也
一すちことなるへき春宮に立給へき由有之也
一世中にはしたなめられ壱宮ナトノ有増ニ依テ也
一かきりある身にて上臈也限ナキト云ハ又其上ノ事也甲
一ほとにつけたるこゝろあさゝ下臈ニアイタル心アサヽ也
一おもしろき三その池山八宮の宮一二君のうせ給し
こなたはれいの人さまなり北方ニシククレ給テ後は女方十ト
心ニカケ給は又ナリ一世人になすらする又北方ヲモマウケ
給へカシナト云一こうちへんつき字ノヘンソクリウタイニ書テ
杜晴飛蛍自照に水宿相呼愛州の中たラ口サイメ
字ニナルヲ興スル遊也
一打捨てつかひさりにし水鳥のかりのこの世に花をくれけむ
一鴨の子をやりのこと云姫君達をよいフ仮世ト兼タリ
一一すゝりにはかきつけさなり硯は文殊の御眼也此故眼者
ト云此声ヲ傾テ見石トハ書也ニ候仍此面ニ物ヲ申サル也
カンチ
菅家御日記
みる石のまてに物はかゝさりきふしのやうしはつかいさらめや
一うき水鳥の姫君哥ウキ身トウケタリ
一なく〳〵も羽うちきする君なくは中君言
大和物語
一故中務定候ノ北方ウせ給テ後チイサキ君タチラヒキ具シテ
一三條右大臣殿ニ住給ケリ此イミナトスクシテハツヰニハ下
リハ過シ紛マシアリケレハヤノ北方御才トウト取君ヲヤカテ
ヱ給ハントナレヲホシケルヲヽ何ヤハサモト親ハラカラモオホシケルニ
イヤヽ有ケン左兵衛督ノ君侍従ニモノシ給ケル此其御文モ
テクトナンキヽ給ケルサテ心ツキナントやヲホシケンモトノ宮ニ
一
宮の御せし
ナンワタリ汁ニケル其時ニミやス所ノ御モトヨリ
なき人のすもりにたにもなるへきをすはとかへる葉のかなしさ
すもりにとおもふにはとゝむれとかひあるへくもなしとこときけ
馬の子はまたひなゝからたちていぬ給ひのみゆるはすみりなるへし
一ちゝみかとにも女御にも父御門桐産帝母女御大臣御女
一おほちおとく八宮母女つの御父大臣也一うたつかさ
雅楽寮ノ楽人共ラメスナリ一あなたさまの御なからひには
源の方へは中よかラヌ也一山里も給へりて宇治に八宮の
山庄アり一いとゝ山かさなれる
月よみの光にきませあし引の山かさなりて遠さかるとも
一峯のあさ霧はるゝおりなくて
雁のくる峯のあさ太刀はれすのみ思ひつきせぬ世中のうさ
一年ころまなひしり八言モトヨリ才学有シ此文フトク也
一冷泉院にも哢内裏ノ公請ナトにいシタカ八文聖也院十ト
へ内えは参りち也一いまたかたちはかへ給はすや
一冷泉御詞一俗ひしりとかウハソクナリ浄名居女云
身は在家心は出家是優婆塞也
一宰相の中将も紅梅は薫中納言也此巻い以前も也
一中〳〵みこのまひすまし出家よりは中〳〵ト也
一八重たつ雲を君やへたつる人ツテナフテモトンホせ共八重
一名雲の奥ナレハナリ一あとたえてし世を宇治山に
大和物語
アリ
入新古
我いほは都のたつみ一残りけるといといとおと御見す
一世ニ述懐アルやウニ次泉申コシメシケルナリ八郎下ノ御
返事殊勝也少将高光横川三テ天暦ノ御返事此い
一さうし計をへたてゝそ姫君夕千ノ方は
一持仏の方ニ障子ハカリ隔名也
一いむことたもつはかりの受持禁戒人也戒行卜恵翁
トハ各別也一きすく健字ヲハキ心也一こといたミて
道ノ字也一よき人は物の心をえ給かたの
一天道に無親唯と善人仏教にモ善姓人悪姓人なり
又孟子ニモ善姓悪姓ト云リ河呼高貴ノ人ノヨ
一十ルヘシ過去ノ戒行ニヨルヘシ河海ノ善人不相叶
一かんとせはかり薫宰相にて三年八ゆり宇治へ音信アリ
一秋の末つかた四季に七日ツヽの念仏也一しけき木の中
一シケ木の中を用野中不用一あやなくもろきアチキナ
十四と一ぬししらぬ香と主シテ又香ヱいふ
一さうのこと影に妹の君引給一件のすいかい透垣
一あふきなえてこれしても月は月隠重山一号驚レ病有之
止観
あふ事はかたわれ月の雲かくれおほろけにやは人の恋しき
秋の夜の月かも君は雲かくれしはしもみねはこゝとやしき
後嵯峨院御時此物語の御談義有ケルニ以レ扇招レ月来諸
道ニ尋ラレケルニイツレモ無所見渡日基良卿ス漢書ニ以
扇月ヲ一ナフト云事アリツ与フ五音通スル故也然ニ一チフ
ト可い得ハ杜詩ヲ月生初学扇雲細め不成衣桑之
マネクトアルヲ押テ一ネフト心ヱン事モスコシ理不尽ニや
一扇をは古来月に喩たる事勿論なりサレハ扇コソ
一月によせあれ共撥モ月ニハ十ルゝ物なら子は扇ならてもと
女ノ心ニ何トナクイヘルニヤ次ノ詞ニモ入日ヲ返ス撥ト
有ケレト只マネク心也是モ月ニハナルヽ物カハトハ琵琶ノ
一撥隠月に才むる故に月に八十ルゝ物せ八ト云り一銭篭に
一半月アリ一箭一列作二琵琶一自辟規心覚照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照月貞照
一とすこしをちかに中立也一いる日をかへすはちころ
有けれ史記云魯陽以才廻落日又還城楽陵王ヲ
アやフメントス日ノ暮ルニ撥メ日ヲ去ルニカキセスト云リ
一をよはすとも又部子君の語一むかし物かたりなとに薫ゟ
うツホニトシカケカ女ノ事ヒトリサテコトヒキシヲ今若君
ト云人トキヽテタヱ〳〵ナリシ事ナトアリキ子ナトモ出キタリ
一山のかけ路世にふれはうさこうまされ一何事も思ひ
しらぬ姫君の詞に一かつしりなからうきをしらすかほ
なるも世のさかと思給へしるをひと所しもあまりシリテ不知
一カホハ大方世上ノナライト知ラ此御事ニカキリクチラシト也
一匁としへなくさし過して弁也一はるかなるせかいより
一ツクシヘナルヘシ西ノ海ノ果トアリ一々侍従女三宮ノ御乳母
ノ女シ弁ハ柏ノ乳母ノ女也一衛門務にてかくれ給にしい
一権大納言ニテウ世又弁遥ナルせカイヱト已ハ其時ノ事
不可知一さるはかく世の人めいても事なし給へは思は
すに物おほしわかさりけりト薫詞也世間の人ノアタ
クソラニ思行ヘルウラメシトシ我ハ此カタノ心ハ思離タレ共
なれとひをもよらぬにや鄭和名少魚
宇治川のひをのよらねはねをもなく細代もるてふ人のへら
一我はうかはす水上ニウカハ子共ヲモへは同計トシ薫
一玉のうてな楼台日本記一橋姫の心をくみて
さむしろに衣かたしきこよひもや我を
思心ノナケサリナラヌト云心ナルヘシ一あしろい人さはかし遣
橋姫ト云古物語アリ橋は孝徳天皇大化二年沙門
一道冬始造み一いらゝきたる馬は夕ノ体也鶏皮トヨム
一身さへうきて
けス棹のしつ〳〵にぬるゝ袖の露にひさへうきてそほゆる
一うちつけなる是ヨリ文也一うつしきて身をいたえかへぬ
身にシミ名ナり一何かそのひをむしにあらそふ心にて
蜂魅
三常喩ニ
下ケリ
西田法師はや申テ氷魚トカケリ常ニ
もやうニ心得タル無念ノ事也蜂蛙ハ朝ニ生テタヲ一タス無
常ノ喩ノ虫ノシカモヒラノ名ニカヨヒタルヲ云タレハコソ有レ興
事ナレ只氷魚ハカリニテハ何ノ興ア有ヘキ大方此物語
ソシヨミニテハ理アラハレカタ申事多カルヘシ一あしろ
車ヒヲムシノ類ニヨソヘテ書リ昔ハ女ナトノ乗車也ニテ
一かとりのなをし昔は公卿モ直衣ニ平納ヲ用名ヘシ
哢問云云卿モ着スト花鳥にあつハサレ候大方イカやウ
なる人イカ様なる時着スルソや橋姫の巻にては紫中
将着ストアリ十月ノ事也一答カトリハ平絹ヲも
一殿上人着用也又公卿は老者夏冬更衣の時着之
又眼者ナト着也一きむの音の哀なる啼八宮ノナン
の上手也故に先其事を薫の給出スナリ
一しるへする物の音につきてなん薫の笛にもも笛は
楽器ノハシメニ吹シ一こるへするヲ笛ノ事トアリイシ
一とりてしらへ給薫の咽一ほのかにきゝ侍し姫君夕に
ノ銅ヲ聞シ事也其ハ別而スクレタリキト也一つことのひゝ
きから引給人ニヨルヤト也薫早下也一かたへ峯の
松風の松風入夜野
羽との音に峯の松風かよふらしいつれのをよりしらへそめけぬも
一此わたりに八ツヽノ鈴姫君達ノ調ノ計ウノ様ヨシトセ給ハ
折モ有ト也一ろなう物のように無論也用に立八申り
ニハアラスト也一そのついてにも八宮ノ心ニ姫君達ノカク
テンハシマスヲヨツセス思ヘシトシ一いくるしう薫ノ
一かの御かけに柏木に一たゝふたりの中になん弁ト小
侍従ト也一この世のことにも前世の宿因ニやト也
一母に侍し弁も母也柏の乳女也一藤ころもたちかさね
かなしき事を俵衣喪衣和名
ひとへたにきるはかなしき藤衣かさなる秋を思るやらなむ
一年比よからぬ人の弁ヲ妻トセシ人太宰大貮小貮
十分トし一次泉院の女御殿致仕大臣女也一み山かくれ
の材木に
かたちこそみ山かくれの
一おまへにてうしなはせ給へ薫に焼ふシ十イ給へト竹刀迄
一我なをいくつくもあらす柏木修終ノ時ナリ
一かゝのぶぜんれう唐綾シ線イトスチ浮線綾
花鳥に
和の御名の柏木ノ封名ナリ一かの御手にてやまひは
をもく柏木文銅此み女三へノ心サシニテ書テタチマツラ
ヌナリ一工申シウ思事は薫生給事一めのまへに
この世を杣木哥一命あらは又柏木一しみといふ
虫の蝉白魚衣魚紙魚一宮のおまへに金
文集十マ紅銭白紙両三束半是書経年
一不レ展縁二身病一今日開看生二蠧魚一
あとはきえせす今かきたる
かきつくる跡は千とせも有ぬへしわすまひ忍ふ人やなからむ
人ヲハ申リコチテ誰ハナル
こともに問夜のに也用タルモアリや一勘世にも夜にモ用へヲ也
椎本
一名三つ薫十九歳春より夏秋中納言に十ル竹河に同
一三百めしといふ人もありける里の名のの海海只世ウウチ山ノ
哥ノ義迄
〽わすらるゝ身を宇治橋の中たえて人もかよはぬ年そ一にける
一六条院よりつたはりて右のおほい故しり給所は川より
をちに河原左大臣融公ノ別業宇治卿により陽成
天皇シハラク此所ニウハシマシケリ宇治院ト云也宇多天皇
一朱雀院と申も領シ給へる所也承平御門爰にて御遊猟
有ケル事李部王記ニミユタツト其後左大臣雅信公ノ
所領たリシヲ長徳四年十月ノ比御堂開日此院ヲ買
取テ同五年人々宇治ノ家ニ向テ乗船ノ遊ナト有キ
宇治開日ノ代ニ成テ永承七年ニ寺ニナサレテ法花三昧
を修せられ平等院卜名付侍り治暦三年に行奉有キ
今は藤氏の長者しる所也六条左大臣より御堂開白につた
ハリタルヲ六條院ヨリツタハリテトハ書ナシ侍ル也
ウトヽモカヘサノ御ムカヘニタ
一河よりをち
弾碁芸藝経注弾碁両人対局白黒各十八枚先列碁
一河よりをち川ノアナタト云心也一五すくろくだぎのはん
将碁の局の如く石にて作る馬をは
相当更弾碁局以石為也
碁ト云馬数十八枚里白石ハシキテ
勝負スルナリ
一ムナシノも
勝負スルナリ一ムセシノ事八郎人一笛をいとおかしう
薫ノ吹也一致仕のおとゝの御そうの薫ノ笛致仕ノ音
似名トシ柏木に通ン一山常ところ一さしも思ひよる
ましかめり薫法文十トニ付テチカツキ給ニ姫君の事
ナトイヤントシ一ちる桜あれハチル桜アレハ咲桜アリ
一河そひ柳のおきふしなひく
イナ筵川ソヒ柳水上ケハオチフシミレトソノヲ泥せス
一山風に吹とく笛を吹にいへたり返哥も同一かんすいらく
一酣酔楽は右楽也舟楽に其例見候や村上御記応和
元年閏三月十一日藤宴舟楽奏酣酔楽舞人四人
ニて又河水末ト云説アリ
一こゝは又さまことに八言の宮の事一あしろ屏風
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
テトチツケタル也一一こつてうの心に桜人あそひ給
一桜人は呂哥も呂は双調律は平調レ双調ノ末には
ヲホクハ一越調ヲワタシテ吹故也一越銅モ列又呂也
カホル中将ヲ桜人ニタトフル也一なまそんわうめくいやし
からぬあまたおほ君四位のふるめきたるなと生孫王
ン等君四位ヲホ君王ノ字也王氏ノ四位ト云ヘシ
一心かく人も有へし一山桜にほふあたりに姫君ノアタリ
ヲ床シク思テ此カサシラ折ト也おなしかさしとは八今モ匂
寒モ王子ナル故シ一野をなつかしみ菫ノ哥にカリヲシタフ心也
春の野にすみれつみにと
一かさしおかむのたよりに八郎一野をわきてしも
かまに引
わきてしもなにゝほふえん秋の野にいつれともなくなひくお花に
哢此引三の不当分也一藤大納言系図に只大納言下あり哢
一紅梅右大臣大納言の時トアリ一なか〳〵ときめきにも
ケサウタチテアヘシラヘハ又我心トキ又キノヤウトソ
一さるへきにや薫昇進ヲ云リイヤメシキ宿因ニやトン
一宰相中将その秋中納言になり給ぬ此宰相中将竹河
一巻に中納言トミヱタリ又此秋中納言トアリ仍同時分明也
一うちにまかてゝ宇治也一青羽の山ちかく宇治にも近事也
一はふき侍る身にて首ゆへりミル心爰には殊叶へり
一さるかたにても薫出家トケタリ共ト也一此比の世は
一八六ツ世ヲ思やりテ也一くちうなとにて九重こシリ
詞に似合タリ禁中也甲私言中と一うはへのなさけ
上には情めか也一女はかきりありて我あり位十ト数ならぬ
方ニアリツカンニモ猶グルシキ物ハ女也トニヤ
一いかゝさおほさゝらんし御門の内なり草子の詞也
一すへてまことも茎ノ詞管絃ノ方ハ思捨テ無才学也
一人の聞は心トマルト也一ひしりたつかせうにも
河海ニ
香山ノ桂緊那羅於二仏前ニ一弾瑠璃琴奏二八万四千
一音楽近葉尊者モ忌感儀而起舞出たり
一こと〳〵しからぬはしめにもとや薫ニ姫君ヲエルシ給へキハシメニ
やト也一さうのこと姫君引給古へシ
一ならしそめ耳ナラシ給テハ姫君ニ任給ト也
一よこもれるとち窓ノ内事也薫ヲモ窓ノ内云ツへシ
啼ヨコモレルトチ姫君兄弟ト也一すまひなとおほ
やけことも神亀三年今諸国始進相撲人七月十
一七日間相撲召仰也廿六日内取小月廿五日廿八日召合
小月廿七日廿九日抜出テ小月廿八日也諸国ノ供御人之
メシアツステ御ランスル也呂合役ニスクリテ御覧スルヲ抜出トモ
一秋少かくなり行まゝに寒はいみしう物心ほそく悲哉秋に
為気蕃瑟文医一なかきよのやみにさへ寿命八千不
願出冥々之長夜泣生死十住心論親々ト絶二知門ヲ一能泣ク長夜
一台ニ同一すき行にしけおもてふせ母君のまゝ
一ひとり〳〵なからましかは
おもふとちひとり〳〵か
一かのをみなひ給三昧けふすきぬらんと我於仏法中知一行
三昧所謂念仏三昧也華教経一在明の月花やかに
さし出て水のおもて宇治に二所に此詞に面白や思ひ
ケン一いとゝかゝる事は涙もいつちか
史記曰恵帝崩太后哭泣不下歎ノ切なる時渡
ノクタラストイヘリ一昨日くにと思いさりけるを
つゐにゆく道とはかねて
一あけぬ夜の心ちなから
つゝぬ夜の心なからにやみにをあくそといひしけらは聞きや
一をしかなくこ萩か露京ニテ夜寄ノアハレナルタニ宇治ラ
思やル也一たゝいまのヨリ頃になん一テ匂宮の文詞也
一くろきかみによるの墨つきも黒紙眼者の料紙也君
紙ニヨルノ墨ツキ詞ノツヽキ比類ナキ物也
一雨もよにいとおそろし
みかさ山さしはなれぬと見えしと雨もよにとは思ひし物を
一むがしけなるさゝのくまを篠コハタ山ノ篠共へシ
さゝのくまひのくにつに
一いそきおきて匂言より又宇治へツヤハシタル也早君の
手ニテ返し有シニヨリ又返事ヲツ申ハシソルシ啼
一けうとけにはあらす印〳〵シヤウ又也
一くたりたるかたに眼者の体本屋に井給父なり
一ことゝいへはアや二クナル心薫ノ詞一月日の影は御心もて
はれ〳〵しうもて出させ給はんこうはつみも侍らめ前詞は空
ノ光モ侍ランモツヽマシウトアレハ御心ニテウ共ヲハレ〳〵シウミ給
ハンコフ有ヘケレ思ツモル我いラモ聞給ハンハ何ツミニモナルヘキ
ト云心也
一むかしさまにても八言現存ノ時より薫ノタヒ〳〵トフラ
イ給イ三事也一色かはる袖眼者ノ袖ナリ
一はつるゝ糸は
一藤衣はつるゝ糸は侘人の涙の玉のをとやなるらむ
一ありかたく浅ましき柏木の物思ウミタル人ナリ
一こ院にをくれ源ニ薫ノヲクレ給事幻ニ五才
一ほたしなと薫ノ姫二そたちヲホタシナトヽ思ハカケ〳〵敷也
一かの御ことあやまたす故八宮ノ御詞ヲ
一おほゝれ井さり溺居一母君もうせ給て後は寒く北方也
一水原抄に弁申云申やマレリ
一いとはつかしけなめる御いともにはきゝをき給へもかしとをし
はからるゝかねたくもいとをしくも猶ほゆるにそ又もてはなれ
てはやましとなひよえるゝつまにもなりぬへき
薫柏ノ子タルまち姫君を問すランカ子タク又柏ノ為
イトヲシクソホスニ進退ノ事ナト能シキコシメシタレハ契ヲモ
カハサハ密シ給ハント思カ云ヨランハシニモナルト也
一これやかきりの八宮か給三十リ一秋やはかはれる同秋中三
トも一かゝるさまの人かけ法師共にも一あき帝の
はれぬ雲井にはレ又は熊也
雁のくる峯の朝霧はれすのみ
一今はさりとも八安き八宮ナクナリ給テハ匂容ニ十ヒキ給公
トシ一昨日今とは思はてつゐにゆへ
一心をけたすいふも有本姓ラウシナハ又
一君なくて岩のかけみち世にふれは呼かケ道ケノ字情
一湯両説也兄弟タライテヨメル也言ノウせ給シヨリ阿闍
梨ノ山へモ人カヨ父もモ稀ナル也何トセハミルトハ阿
闍梨ノ何トミルラント思やり給也又モ何ト申ハミル姫君ノ
心にても一おく山の松葉につる雪とたに君幸
ウハ清モカヘラントも一よろしき人たに大方ノ人夕ニ也
一すみ涙ならぬ御ひを置眼者の物は黒ユリナレはサナ
ラヌラ薫ノ前ニ出シタル也一いかゝはせんとて物コシナルヘシ
一猶上りぬへき薫我カ心ヲ一里のしるへいとことならも
哢同哥一、テモナシト也
あまのすむ里のしるへに
常ニウトケ物ナト云類也
一何事もあるにしたかひて心をたつる方もなくをと覚悟
一大方の人ノ大トケホケタルコヤラ又人ノ事ヲ先ノ様也心
ナカクヨキヤウニミユレトツヰニハサモアラヌト也
一くつれそめてはたつた川の前の詞にとる事モ申ル事
一モイヤヽハせンサルヘキニコソハト思ナセハ◯ナヤキタシモアレト
又クツレソメテハ心アサキ名ヲモタツナラ井ヲ引テノ給ヘル也
神なひのみ置の岸や
一人のみたてまつらぬことを薫句言の御心ヲ能〻み知給迄
一人は我等トシラシト也一御中みちのほとこたりあしこそ
いたからめ此中たちニ足やイタヤラント也姫君ノワレナカラン
トノ心也一和気くし重にコト〳〵シキヤウナル心上ト河海ニ
イへり所ニ見へシ一御みつからきむしめしおふへき
匂は妹君の心ト也それは雪ふみくく〳〵まいりきたる
いさしいかりを姫君ニワレ〳〵カ心サシヲ御覧せヨト也
一宿ふかき山のかけはし君なくてホノヤニノ給サマモト薫ノ
給に付テ君ナウテトシ一御物あらがひこそ中〳〵又フミ
カヨフアトヲミヌト云へルヲ一つゝゝとち駒ふみしたくし
しるへしかてら薫ノ姫君ニモヨウントヨメリワタルトハ人ニ
逢事ヲイへり一かけさへみゆるしなしも早く思は
又シルシモトシ
アサヤ山カケサヘミユル山ノ井ノ
一雪いと空もとちぬへう凍雲合ナト雪の詩ニ多作レリ
一たゝ山里ノやうに薫姫君ヲシツヤナル所ニウツシ申サントシ
一中の言はいとみくるしう女ハラノ井タル方ニ升給へは中ノ
最八申聞給也ア子言ノ事ヲ聞テ思ひ一かつらひ
重とか鬘髯ヲモツラヒケナト云也
一いかなる木のもとをか
わひ人のわきてたち
一をこなひ給けりと姫君夕千ノ行給三也一たちよらん
かけとたのみし
我宿の君こし椎の中たえてつみのむくひやあひみさるとん
一おい人にまきらはし弁ナトニ物イヒ給ハンタメニナシ給へり
一汀の氷とけわたるを有かたくもとなか成せる所ノサマ有申
タシト也哢説イリホヤナルと一何のおかしきならんト
哥ニつゝケテミ候へシ一君かおか峯のわらひと姫君言
雪ふかき汀の中君哥おやなしに
しなてるや
一太かさしをおほし出て
一金五三
山桜にほふあたりに尋きておなしかさしを折てけるも
一つてに見し宿の桜を匂宮より姫君ノ方一ノ意
一いつくとかたつねておえすみ渡に客コスタル花は尋力
タキ心也眼者ノ上ヲハイヤヽ折テント云也中君三ツ也
一入ろノ宮
一さいゝにかなふあたりを句言也一あなたにとをえんと
姫君連アナタニ入給ハントスルラミ給ナリ
一まつひとり中君也一おひはかなけに上帯人
一物端十トニ女ノ申クル帯と呼問云中君眼中ノ事也
何ノ帯ニ申ヽケ帯ノももも荷一器帯ト云ハ唐キ又ノ
一引コシヲ帯トイヘルニや眼者ノ色ハイツレモニフ宮ナルヘシ
問云ヒキ腰イカやウナル物哉イヤナル時用ル哉一答唐事也
ニソヒタル物也小コシロキヱシトテ有ナリ
一女一宮もかうさまにそ冷泉院の哢今上の宮トナリ
一又いさり出てア子君也一かみさはらかなるほとに髪ノ穴
キ様也一色なるとかいふめめるひすいたちて脂翠鳥
ウツクシキ物ナレハタトフ又云髪ヲ色申ミトテサノミ黒
申フ又ウ云事号
一たちたりつる君中君也
一総角名予詞薫廿歳ノ秋より冬マテノまウ書ル也
アケ一手ニ二アリ童シモ云髪シカラワニアケケル心ナリ
又車十トニ糸ニテシタルヲ云一御はての事八宮
一四事一いさはとぬき捨給ほとの眼ナラシナリ
一名香のいと名香ツヽミタル紙ヲ五色ノ糸ニテ結色ナリ
一又云名香袋ニ糸ラサクル事アリ
一かくてもへぬる
身をうしと思ふにきえぬ物なれはかくてもへける世にあられ
一むすひあけたるたゝりの糸ヲセクル物也線桂礬式
若線ノ書誤ト
乙女子かうみをのたゝりうちをかけうむ時なしに恋わたる哉
一塀桂ト書り問云夕ゝり糸ヲセケル物也タヽノ字スミテ
一線桂源語に書リ
ヨムと一答合点一わか涙をい
よりあいてなくなるこゑを糸にしてわか涙をは玉にぬかな
役ノワサノクミソシハテヽ今ハ音ウノミヨリアハせテ鳴ト云ウ
ヨリアハせテナクナル顔ウウトヨメリシモ人ノ哥ナリトアリ
伊勢集ニアリ然はイせ哥ナルへシ
一伊勢のごも御字也女房ヲカシツク詞也イせノコモ薫ナ
一トノやウニコソンヤシクアリツウ又トナリ
一物とはなしにと
物ナうナクニ
いとによつ
物トハナシニ
古今貫之三句
一寄集四匁
こと
別路の心ほそくもおもおもほゆる哉
家集
一あけまきになかき契を
一あけまきになわき契を名香糸ニアケマ申結夕ル也
一雑馬品品ケマキヤヒルハアリヤサヤリテネタレトモニロヒ
アイニケリカヨイアヒニケリヒロ斗トハ八尺八ナリ也サカリ
定家三日
テハ糸ノサアリタルウヽ人ノサヤリテ子タルニソヘタル也
なかへしもむすはさりける契ゆへなにあけまきのよりあひに
一あはすは何をと
かたいとをこなた心なたによりかけて
一御けしき見たてまつて薫ノ匂ノ心ヲヨクミタルト也
一たかへしの心にてこそ姫君父太ノ云フキ給へルウ
一重にかゝるすまゐなとは前に薫ノ世のさまなとおほ
しわくましくいみたてまつらねをトアルヲウケテケニトン
カルヲシツカナルスマイニテハ何ノ分別モトヽクヘケレト何
事ニモ心ヲクレテ分別ナキ也了めけるは昔ヨリ心ラ
かレ名ナリ此の給トハ万分別ハケレ共此事ハ父容
ノトナリソホ世ヲカ又ハ只ヒトリスミニテアレトノ民ト推量
せシト也一いあえ人は思のこす事せん閑なる大マヰ
ニハ万ヲ思シルヘキト也一さるはいとよこもりたるかたにて
妹ノ君也若ケレハ行末ニ世ノ残名ナリ
一源山かくれには
かたちこそみ山かくれのくち木なれすかたは花になさは成なん
一心の内には弁中心一もとしるかく姫君か云詞也
一松のはすきて菱荷為衣松葉為喰沙門塗行也
一いつかたにも見えたてア子君モ中君モ同事ナレトシ薫ノ詞
一ことのこいたる言残名也一后の言はた明石中言兄弟
ナレト薫トシタシカラヌ也一ミあかしの火気さやかに
姫君ノ薫ノナマヌヲ心ヲウルサクテ也一かたハらふし
ソヒフシタルを一内には人々ちかく姫君ヌレヲ経テ
内にモ人々近居コト也一あはめ一世にたかひたる
しれ物シレ物トハ常ニタアフラ云
一袖の色を引かけさせ今はふ引よ
おく山のくれぬ時雨は侘人の袖の色をいいとゝましける
一さいかりのいみをくへく眼ノ程ヲ過メナトノ様へカラスト
給へり一よにうしろめたき事はあえし世には誠三下也
世にあふさかの哥詞一水の音になかれそふいちしけ
一遍風吹断秋心緒瀧水流夜流行
後江相公
一馬ともなとのいはゆる音も旅の屋とり
晨鶏再鳴残月役征馬連噺行人出文楽
一暁のわかれやまたしらぬ
またしらぬ。暁おきの別には道さへまとふ物にけけ
一山里の類したるゝ村鳥の羽風十ト書ルヨリ次第ニ明紙
一ニ鶏ナト云シニヨリニノ声〳〵ニ取アツメタリトヨメリ
一鳥の音もきこえぬ山と飛鳥のこゑもきすぬ
一この人の薫ヲ姫君一御そひきゝせア子君ニ
中君の一あけまきをたはふれにアケマキノ哥ヲ
薫ト姫君ヨミカハシ給シヲ打モトケツルトや妹君ノフ
ホサントシ姫君ノ心もひろはかりトハ八尺ハアリト催馬等
抄ニ書リスコシハヤリケチヤクナト云心也一心はなとコロ
葉ハ金ニテヱリテ花ノ中夕出スルシアケマキノ心葉ハ糸
ニテムスフやウニミヱタリ禅国御説同一月ころくろニなら
し給へる御すかたうすにひ重服ヲ又キテモシハラク軽眼
ツ着也一かの人は薫一なか月もしつ心なくて
男女会合正五九月忌也一御市ミにて茎や申テ宇
治ニテ文ニテ思心ヲノ給也一人めになつけ給に打と
けて弁ヲ薫ノナツケ様ニ姫君用心アルナリ
一むかし物かたりにもいもてやは未勘哢昔モ我心ト打候
ける事はナシト也一身をいともせぬ世なれは
いなせともいひ
一とうせられ
一一れいの色の御そとも安二常ノ色ノサソフヲ葺
ラント也眼者ヲ又カせ奉ル也一山なしの花そのかれんかた
世中をうしといひてもいつくにか
一けせうに頭証一さいへとほかゝらも
不入ト也一たゝこの御ゆかりに所せく中君こへにと
如此ノ心ニ云ル所多シ一えしも世に不ゝかたき事さし
つとひ給はし薫句ナトノやウニ世ニアリセタキ人々ノサシ
合テカシツキ給事ハアラシトナリ一この殿の申
一雲かすみをやいなと雲是淮王宅ナト云仙人ノ事也
一なよしかなようかに同心と和字の一御そうへにひきゝせ
ア子君の中ノ君へ引きせ給一猶なし所に兄弟
一御けはひをもたと〳〵しからす薫兄弟子緒ヲヨクロラレシ
ワケント弁思也一さるやしけるにやと人々ノ申一ヘテ姫
君ソ独寝サせケルニヤト思給一打つけにあさかりけり
ともおほえたてまつらしヨソノ物トハヱ思ハ十ツマシト云ハ
前ノ詞ニ付テミル也乱句シ一此一ふしい中君ニ一夜
逢又共也一神そつきたてまつりたらむ
一能因哥枕に云人の中さかる神をハアウミサキ又アラ
ミカケト云荒神事と皇御孫尊此国ニクタラントシ給
シニ諸荒神此国ヲ傾シテ蛍火ノ申やクカ如シ五月ノ
一蠅ノサハクカ如クツトヒトヨミケリ又草木岩木マテモ
皆物云此著神ヲハ大己貴神
才尋尊領シ
給ひ也御子
万花サキテ此哥恋ノ三ツ也
一焼蜂居壁
玉カツラミナラ又木ニハ千早振神ソツクテフナラヌ木母ニ
哢云女ノ嫁スヘキ時分スキヌレハ鬼魅ナトノ領シテ計ラ
サマタケルも有也一あふ人からにもあらぬ御子細有之
薫ノ心ハ姉君ナレハナリ妹ヲモタヽハ思ハヌ故トク明スルト也
なかしとも思ひそはてねむかしよりあふ人からの秋の夜なれは
一昨日の給しことを妹ノ心一かへの中のきり〳〵す
月令
一蟋蟀居壁レ壁无レ壁暗茎无レ限思忘レ巣寒鴬未レ能レ能レ能レ能レ能レ能レ能レ能レ帰
呼啓ノつうニ申クレ給シ申出給ヲ養フニタトフ壁ニアル物ナ
一白楽天
レハナリ
レハナリ一身もなけつへき
病尋くる人しとはすはよさの海に身もなけつへき心ちすれは
一捨かたくおとしをき八今ノ姫君夕チヲ落シ置茎ニノ
給置シ事也忘れゝましくなん八郎さませすけても薫の
ナクサリナラハ恨給ハントナリ一心たかくと思ふかたそ
同は高キ方へトナヒキ給ラント薫思也云なとのはつかしけ
なくトハイツレモ二ケ達ニテ心安カルヘシトナリ一猶なし枝を
わきて染ける匂ト薫ハツチヲイナルヲ同枝トシイツレ深
ク思ハント中宮ニトツヽヤシソコハヤトナクモテナシテト云姫君ノ
心ニテミヱ
おなしえをくて木のはのうつろふは西こそ秋のはしめなりけれ
一山姫のそむかいは姫君ノ心はイツレ共ワカ子共薫ノ中君ニ
逢ソメ給へは其ソ深キナルラント也
六申シ事十リ
此哥は哢説モ同前の三つ以外
一ことなしひに無事に也一おなしあたりにかへす〳〵
こきめくらむ姉君妹君コナタヤナタ云ヨラン事ヲ欲
一ほりにこくたなゝし小舟こきかへりおなし人にや恋わたりなん
一兵都郷意の御方に垂中君ヲ先方ニ定テエツリ所ナク
シテ姉君ノ事ヲ達せントナリ一三条宮やけにし後
匂ハ内ニモサウシアリ又二條院モ里也六条院ニモサウシアリ
トミユ一おもひしもしるく申も有明ノ比句宮八十十八十五文
ラント思ニ合タルナリ一はしをのほりもはてす階ノ中等ト
ナトに居給には非す一さもおはせなむと思るなるやうの
あれハ匂フ中君ニ引合テ姫君ヲ我ニトナリ
一猶わつらはしがれい
一女郎老さける大野をアタノ大野也只大野ト云名所筑
此者ニモアリ越中ニモアリ一心をよせて念頃ニ思わる
人ナフテハアヒミカタシトヨメリ薫ねたましトハ我
念比に云ヤ夕へ十ヒキ給ト子夕一・せ奉るナリ
一あなかしかまし
秋の野に
一一れゐのかあらかなる御心に物思はせんこそ匂〳〵ト
シタル御心ニテやカテ思捨給ハゝ言ニ物思ハせント親ス
キテ薫ノ情ナリ一よしミ精句ノ心多やウニ薫ノ給
ウヨシミ給へ心ノトマラヌ程コソトナリ一おはしますへき
やう道スカラナトノ事一廿八日ひかんのはて時正
ナレハヨキ目トイへリ一ふなわたりなとも所せけれい
宇治ノ二ツヽ川ヨリコナタナレト匂フアタナル所ニハヤト難シ
サレト所せケレハ川ヨリコナタノ可然所ヲ尋テヤトシ
給也一意たちなまわつらはしくきゝ給へト宮達へ薫
キコヱ給也うつろふかたことにゝほはしをきてしかはおく
哥にたつろふかたやふかきなるらむと姫君よみ給は中
宮へ御心ウツリ給へトノ心也然ハ我ハ沢アキタル心也中
君は思かたことなめりしかはさりともと寝に忍入給三時薫
人心ア子宮ニ引タルトナリ一おほしはなつさまみたて
まつりしに前ニ閨ニ忍入給時中三ツレナキ御ケシキナ
ルヲ薫やムマシトノ給テ姫君ヲタユメ給也ひたやこち
無意趣ニテハヤムマシトナリいつかたにもおなしことに
弁申心也されはと思ひうつりにけりとうれしく姫君心也
かの入給へき道にはあらぬ中君ノ方へ入給へまた十文
方にて姫君の薫に対面なり一かなりも出給へるは下は
アリ出給より一さうしの中より障子ノハサマナトミや呼
一こしらへていてしてんナクサメテ中寒ノ方ヘイレントナリ
一こと人と思わき汁まし中君を只我ニ同ト姫君申ス
文験なり一さき〳〵もなれにけるみちのしるへ薫ヲモ
カやラニ道ヒクヤト匂二マウサシクヲホスナリ一めもあやに
一坪目モヲヨハ又ナトノ心也ホムルカタニモ云詞シウトロキ歟也
一やんことなきかたに姫君匂ニナヒキ給へ共句は中者トナリ
宿世コトナルニヤト薫ノ様一こしらへんト薫ラタハヤリ
十タメントナリ一しらぬ涙のみ歌と申ふたかる心地して
〽行すゑをしらぬなみたのかなしきは
源済言
一山鳥の心ちして山鳥はヒトリ〳〵ヌル也足引歌て河
海に引藤ひかはきての哥可相当也一いきたなくて
子コイも也匂シトロキ給ハ又ヲ薫明ヌル由ニコハツクリ給
也中君ノ閨モ程ナキ所トミユ一かた〳〵に暮す心姫君
哥也中君の事我歎カタ〳〵ト也一よへのかたより匂出
つこ一夜をやへたてむと
一わか草の小井手枕をまきそめて夜をやかされんにくからなに
一らうに御車よせて六条院也一をろかならぬはつかへ
薫ノ句ニ申給也一しる人のをこかましき薫き寒気寒気
ヒキ給十ヤウ我ハくナシキナリ一みへかさねのはかまくして
一呼問云イカやウナル袴いや一呑ウランモテ有テ中へ
入タルヲ云也一おい人のしわさ匂宮忍給事ナレは童ラ
御使なるに禄なとラサシ過タリトンホスナリ一これそ重に
人のいふめる一さるは君しもそ妹君ウ〳〵敷也
一をひつきかき給て文ノ上ヒトシク書タルヲ云□チラシ
ナトモせスヒトシク書タル也呼一みそひつあまたかけこ
啼早く夕申ケ一女の御かたに女三郎ニアリシニシニ任テ也
一きぬあやなとしたには前ニカケコニ入テトアリ
一御れうとおほしきふたくたり二クタリハ姫君兄弟ノ
為ナルヘシ是ヲカケコニハ入タルトミユ
一さ夜ころもしかこといには姉宮ニカコトハカケントナリ
コタイノ事トハ末橋ヲ思フシ此物語ノ内ヲ引事多シ
一おとしきこえ是非ニカコチ申サントナリ
一こなたかなたゆかしけなき兄弟ヲ申ケ給トナリ
一いとゝなを〳〵しきを妹ノ哥ヨクモナキラ別シ心サハヲ
故にやと閉給也一言候は其日うちに三日の夜也句言中
宮へ一中宮も猶かく明石中言也一物このましう
たてたる中へ今ノ匂フ其事トナクシへ給詞也
一おなしけさいかれにこそは一夜モ二夜モ同御せツヤレタルへシ
より一木幡の山に馬はいかゝ侍へき夜モ更ヌレハ
只御馬ニテ出サせ給へト申給也車ナトハカクレアルマシト也
万
山城のこはたの里に
一大道は明石中寒一こさらにみえしらかふ人も有
一中上その方の女房の中に薫に心をかケてマミユルモ有なり
一跡のしら波
世中を何わたとへん
一かきりなくいつきすへたる姫言も明中は腹人品宮の
一おもひなしの我かたさまのいつくしきそかし匂のまいに
中ノ君ヲホメ情也我方サマトハ女一宮ノ御事
一されたる御心かな匂言ニ中君ノ御心ソミタルヲ地ヨリ云
一御歩みはあくる日ことに毎日十月一まいり給へり薫句へ
一ふるの山里いかならむ
石上ふるの山里いかならんなへて時雨の袖ぬらす比
初時雨ふるの山里いかならんすむ人さへや袖のぬわん
一むすめともめいたつ人
一書の御有さまなともとひきゝ給へは姫君の薫に問給
一かすめつゝ薫匂ノ好色ノ事ヲホノカニコタへ給ヒ
一されはよとおほしての給へは姫君心と一わかおも影に
夢にたにみゆとは見えし朝な〳〵我奉影にはつく身なれい
一れ井のとを山鳥にて明ぬ例下云詞前の哥夕候へきも
雲井にて遠山鳥のはつかにもありとたにきかは恋つゝもあらん
一みかと后のおほしをきつる句云ゝウ春こそニトラホス也
一衣かへ冬ノ文衣ナルへシ御丁のかたひらかへしろ冬カタ
ヒラト云○壁代也一紅葉御えんすへく
十六日宇治山の紅葉をみすは長月の過行日をもしらすそあら
一かしこにはろなう中やとり煮宇治へツケ給也口十郎
勿論也一かつはゆかしけなけれと匂中絶のもら姫君
思ユるストナリ一さうしみの御有様句言を云
一御舟さしよせて宇治院にナり一あふみの海のこゝちして
一をちかた人の恨
いかなれはあふみの海そかゝりてふ人をみるめのたえてやまねは
一七夕のあまのとわたるけふさへやをきかた人のつれなるゝん
一宰相のあにの衛門督こと〳〵しき随身ひきつれて
一呼問云右衛門督ナル人随身をつるゝ事随身をいひ官にや
一答左右近衛左右衛門左右兵衛出仕に必随身を具す
ルに一あしろのひをも心よせたてまくりて下人一テ
匂ニ心ヲヨセテ水魚ナトモテアソヒ心ユク御遊ト也
人にしたかひつゝ心ゆく千々ニナクサムナリ一いつそやも
夕霧三男源宰相中将三ツ也一桜こそすれ薫
一飛花落葉ノ理ヲ桜ノシラスルトナリ
一東門勢いつこより夕方一男一見し人も申二郎太夫
一古寒の跡に草木ツレナウ残いゝ昔をしりたる人亡は
一月草の色なる
いて人はことのみそよき
一さうしみは中君也一衛門督のもし夕霧一男
一とりかへす物
とりかへす物にもかなや
一す比とに句世ノ事春日ノ心一応する男何物語トモ
み五ス一かしこへたてまつゝん宇治へ也絵ヲ
一いもうとにきむをしへたる此事大和物語にかりあ
一哢私勘愚本には大和物語に此事ナシ茲
一人のむすはんとうわかみねよけに一ことはりにて女一言
ノコトハリト也一うらなく物をといひたるにくゝ句い
はつ草のなとめつえしき
一その御いもゆかて薫の語也匂此今へをせテ心モヱカ又迄
一こゝにはともかくもかく君は何共の給は又ト也
一いとはしきことを卜は姫君生タル事イトハシキニ御修法へいたに
ア八文トナリ一廻るくまなくし哀也姫君イキタうは
ナケレ共薫思申イナクラホサント我ンナカラヘヨト思へルナリ
一昨日はかりにて昨日ノやウニテコヱント也薫一さより
いひつれなと又女房ノツタへ鐙三也一にさゝ給にアなは
きゝのこ一物思ふ時のわさと
たらのねのおやのいさめのうたゝねは
一ひるねの君中君一さかほは子ラキタルカホウ
一古宮の夢に中君の夢に一人の国にありけん音の煙そ
一九花帳深夜悄々反観音反季丈人魂一夫人之魂在何
一許一香ニ引到焚香処文楽夫人ヲセテ後漢武帝甘
一皇殿ノ裏ニ皮顔ヲ図メ方士ヲシテ霊薬ヲ合セシメテ
一金炉焚シヤハ香ノ畑ノ中ニ夫人ノ姿ミヱシ事ナリ
一猶いうつくしう姉君の教訓ナリ
一あるましきいつかふ人はえあらし匂言の申こヒ給はゝコト
人ノ心カラルアラシト也一たかためおしき
岩くゝる山井の水を結ひあけてたかためおしき家とかしろ
一かく袖ひつる
神な月いつも時雨は
一たゝあえしことゝ一本あらましこと夕フンヨリハノ詞トナリ
一六ツはしつ心なく匂寒宇治を思てん一さはりおほみなる
ほとに
みなと入のあしく小母さはりおほにわか思人にあはぬ比かな
一五節なととく出きたる年にて霜月辰日也一二三日頃
一辰ゟ中ノ丑日ゟ豊明節舎ハ中ノ酉日也年中行事是
一御心をしり給はねは宇治ニ匂ノフヤクランホスヲ不知ナリ
一いから薫ノ中夕チ故ナレハナリ一取升人にてさふゝふへし
日比みあつやり給に打もやす可せ給へと中君へ薫の給也
一かたつかた人句ニ薫ヲ思からへ給シ一ふたむ経の
一いとくうつき切入名ナリ一なにかしの念仏申三夕人念
仏ヒ千鳥説引声ノ阿弥陀経也一思給えたる事侍
て常不軽をなんつかせツクは礼拝也又セツクノ類也
我深敬汝等不敢軽慢所以者何汝等皆行菩薩
道当得作仏七巻不軽品ナンチラアヘテチヤラマンセサ
レユヘイヤントナレハ汝ラミナホサツトウラ行せハマサニ佛トナランコ
トラヱン
一尺尊因位ニ不軽菩薩トシテ此サ四字ノ偈ヲ唱テ曰衆
礼拝シ給ナリ是ハ一切良生ノ仏性アル故ニフカミ情シ
り一加のさたまり給はさえんさきに三有ト云は本有
中有生有を云一多サタマリ給父トハ中有の間ヲ云也
一升なをり薫一霜さゆる汀の千鳥不軽ノ声ラ
千鳥にヨソへタり一つれなき人の匂言ニ似給ト也
一物思ふ人中君我身ヲ人トヨメリ一につかはしからぬ御か
はり弁姫君の哥を申つたする事一夢の夢に
薫ノ心一おはしましゝ御寺八言籠給シ寺ニテ誦
経シ給一この君のかく薫ノ姫君近ツキテ病躰ナ
トミ給テミツトリセント也一粉もふ計してんカタチヲカへン
トナリ一匁のもし人にも阿闍梨也一とよのあり
は今そかしと豊明節会日本記ニハ宴ノ字ラトヨノ
アセリトヨメリサレハ何ノ宴ヲモトヨノコトリト云ヘシ但是ハ
五節豊明節会也一如きくもり日影も新嘗言
豊明節言ニ小忌ヲホル人日蔭ノカツラト云物ヲ冠ニ
カクルナリ日陰蘿草ヲハサヤリコケ共云糸ニテ結ヒテ
カクル八日カケ草ニカタトルナリ日カケヲ以テカツラトスト
日本記ノ第一ニアリ是ニ事ヲマルナリ
一かの御ことをかけ給へは中君の事ヲ云ナリ一あしすりも
しつへく伊勢物語ノ心也一むしのからあやうにたも
うつ蝉はからを
一かきりあれは御その色の姫君と熏一度モ契十十故に
一眼衣ヲ給は又ナリ一ゆかし色のこほりとけぬかと
紅のま又は氷のやうにみユルナリ河海に涙の氷と云なし侍る
シカルヘヤラサルニヤ又ラシツヘタルハヽシメテ涙ノ事ヲイヘリ
沙トケ又申トミユルハ打衣ノ色ツやヲ云ト心得へシ花
一この御かたには中君に薫ノナリ
一右はすの月夜前ニモアリ枕草子哢ウツホノ物語ニ
アリトニて一むかひの寺の鐘枕をそはたてゝ
遺愛寺鐘詩枕聴香爐峯雪ノ撥レ廉看示天
一けにも暮ぬと
山寺の入あひのかねの声ことはけふも暮ぬと聞そわひしき
今日モ暮又ハ只哥ノ詞ヲ云ヘリ入相ニハ非ス
一よもの山のかゝみとみゆる此詞両所にあり
一恋侘てしぬかし雪の山にや両首哀半なる偈
諸行無常是生滅法雪山童子求法有千丈夜叉
理ク半偈先説復同以求半偈曰飢未能説曰食何
花鳥に
新血肉童子為法の捨全身仏因中也夜叉帝尺化也
阿含経一たゝ此三ツゝの句言ノ御事ヲ一かの御かたにい
一妹君ニハナリ一人の御上を妹君ノ御事ヲ姉ノ
一わか心から薫ノ心也一日かすのこり四十九日ニタラヌシ
一おほし欲つるさまのはつかし姫君匂ノ中君ニウトヲ
ヲ歎テ死給也我故下ハツヤシカリシナリ一いまより彼の
さいあらたまらむは姫君死給テ後句ノ御いたら夕マ
リテモヤイナキナリ一物おほゆるまた侍らは生テ侍ラ
八十リ一かうかへ勘当の心一千々のやしろを
ちかひつることのあまたに成ぬれは千々の社もこゝなれぬれ
一さしかたを中君哥一ゆく春を句歌行末ラミシウ行ホラム
思給はゝ先只今クソムキ給ソトナリ一この今にこそは
句言にこいなり一なまうしろめたかりけれは匂寒心に
中君に薫の一かくつれなき物から呼ツレナク宇治ニ井
給テ内わタリヲモハヽアリ給ハ子共トナリ
一つれなきはくるしき物と
いかて我つれなき人に身をかへてくるしき物と思るしらせん
一忍ひてきこえ給けれは明石中宮内々に匂への給也
一女一宮の御かたにことよせて中君ヲ女一言ニサフラハせント
テノ給セトナリの給なりけり匂寒此由宇治へ仰留は
スナリ一わたいたてまつらん姫君ヲ薫は三條言へト思シ
ナリ一寒のおほすめりしすちは姫君は中君を薫に
トノ給シモ筋ハナクテ大方ニツヤヲマツラン也囁言トハ匂
寒ノ薫ウ疑給シ事也
いつくにかおもひさむるとみか人の心ひとつそうき所ある
一名哥詞カ廿一歳ノ春の事哢艾四歳トあり
早蕨
一やふしわかねは春のひかりを
日の光やふし
一もとすゑをとりて神楽譜本末の拍子アリ三ツ十ト図に上
句下句ヲ云ウハ大事也一言のおはしまさす八六也
一引はなきて文字ヲモツヽケス書クタルナリ
一君にとて聖哥ノサマ也一むかし人子君
一かの御あたりの薫ノ事一あたゝしき此物語ノ哥ヲ
モ前ノラハウケテ書事アリ
あたゝしきねともいはすける物は
一反いえんなと正月ニアリ作文十トアリ一おか人の心に
からふ匂ふ奇薫の長い実にて下は好色ナルウノ行字
くらし
治ノ事ナト少ハウタ申ハシクヲホスミや一みる人にかこと
カコツケン是モ宇治ノ事フククメリ一なきみわらひみとか
蓬生はニ云シ事も一かひ〳〵しくそあひしらひきす
始めるカイ〳〵シクモアイシライ給ハヌ也コシテ云詞所ニアリ
一やみはあやなき
春の夜の
一いてさりともア子君ト実事ナキ由薫ノ申給フウタウイ
ナカラ心メアヘシウイ給ヒ一みつからのあやまちに中ノ君ノ
計ら薫ノアやマチトアネ君思給シトナリ
一いはせの杜のよふこ鳥めいたる人ツテナクテト云也
一薫ノ逢給シ事ヲハノ給ハストナリ
恋しくはきてもみよかし人つてにいはせの杜のよふこ鳥も
一いまはとてこのふしみを
すかはらやふしみの里のあれしよりかよひし人の跡は絶にき
アラシハテヽトイハン為ニフシミトイヘル也此本哥ハ大和国ニスカ
原伏見ト云所アリ申シコノ仙人ノヨメルナリ此哥アリト云
一虎ヲ伏見共云見柴屋并フシミトハ只故郷ライ一リ
呼我世をへすめて恙なン事を思へりサレハ伏見フトイへり
いさこゝにわか世はへなんすかいらや伏見の里のあれまへもおし
此哥ヲトレリ里ノ名ニハカヽハラス一峯のかすみのたつ
をみすてん事も
春かすみたつをみすてゝ行雁は
一をのかとこ世姫君達は京にて誕生なれ共本ノ宮焼て
アラヌ所へカへり給フイへり一御ふくもかきりある事なれは
かきりあれはくふぬき捨つ友衣
一みなきもあさきこゝちそする除眼ノも也河原ニ出テ
解除スル也アワキハ兄弟ノ眼三月カキリアル事ナレハ
ヌキ捨給へ共心ニハ母ノ眼ノ如イニ着ハやト思へルマヽアヽア
サキ心チト也一はかぜなと大力也除眼ノ稜ノ為也
一はかなしや露のころも霜の衣は墨の衣トヨいへタり
花ノヒモトクハ除眼ノ事也一説薫三包眼衣ヲ又キア
へスさワタリノアルへキ由也此義一・用一はかたりのほとの
かつけ物意にて人々にタツへ中物共也一ふる人ともは
実ナル方ニヨレリ一わかき人々好色ニ心ヲヨス
一みつからはわたり情はん薫宇治へ二月六日にウタリ給七日に
中君意へわタリ給一もよほさるゝ涙の川にあすのわたり
も川ニヨせテ京へヤタリノ事ヲ書リ
一はしたなしとおもはれ中の君詞一おもかけさえぬ人
申子二そノ事ヲ思出テ薫ヲ花ト云様一わたらせ給へき
所ちかく二條院ト三条六ヶカヽルへシ此頃作果給へシ
一つき〳〵しき人世俗ニ夜中暁トイハス奉公申ナト
云事サシタル人は云ハヌ詞也一宿をいかれしと中君
一銅弐本里をいかれし今そしるくるしき物と此旨不合
里クハカレシトハ中君ノ宇治ノ言ニナカリ多キ心ナルヘシ
一春やむかしのと
月やあらぬ
一たちむならねと
さ月まつ花たちけなの
一つさなりはし也端一つれ〳〵のまきゝはしにも姉君の
一みる人も中君ノ哥姉君ノ昔ミシ花也
一袖けれししねこやうつろふ根なりて烹へウツロうれバン
事ナリ薫ノ哥袖フレシトハ薫ノ一夜ノ心モアルニやト
〽かきこしに敷くるおをみるよりは根こめに風の吹もこさなん
サコメトハ花ナト根アウホリウツツス事也一いとふにはへて
にくさのみますたの池のねぬむのいとふにはゆる物にそ有ける
人のイトへは猶惑シキヤウノ心一なへての世
おほかたのわか身
一ひたいのほとサケ居シシカ髪ヲオロシタルヘシ一されかたに
みやひか也キレイナル心也窈寵文医閑白氏文集
一なとかゝるさまに薫姫君ヲ石ニモナシ奉リタラハ命
一延ル事モアランソトナリ一さきにたつ涙の川に弁哥也
一かのきしにいたる事は彼岸ニイタル事ナトカアル一三キ共
一サタメン波羅密ノ梵語ヲ精メ到二彼岸ト云
一身をなげんムナシクトノ給テモ猶只心ハ切ニテ忘ヱヌト)
一すゝろに旅ね匂言ノウタカイヤアラントナリ
一しほたるゝ中君哥也ことなれや弁も袖に同キト也
うきたる匂言の方へ行モウキ名ト也
にからうきたる舟に
一かく人よりふかく弁姉言の事を歎事一わらいへの
恋てワラハノ母ヲ恋ルやうニナリ一ありふれはられしき
瀬にも
一御みつからもいみしうつき
いのりつゝたのみそわたる油瀬川うれしきせにもなかきあふやと
一いまひとり又車ニノルへキ女房也一いつれも年へたる
一人〳〵此女房共ハ皆姉言ニ心ませシ人ナレ共今事
イミメ時ニヨルヲ薫思給ナリ一さまかはりて我ハ山里
ヲ出ルト也一年頃何事をか匂ニアイミサリシ時ハ思フモ
ナアリシトナリ一みつはよつはの中にひきいれて車ヲ
この殿は
一いかはりの事に候句言何タルカさいゝニツキテ定マリ給ハン
一世に思ひにかゝるを聞てうと口くなり一此院二條院なり
一とりかへす物にも
取かへすものにもかなや
一一しなてるやにほの水うみこく舟のまほならねともあひみし物を
しなてるや
にもいもに
一此哥の心は人丸妻に依羅狼子と云物より所狼子死て
一役人丸歎テ読タル三か也三十テルや水ウミトハ海ノ惣名也
タトヘハ久方ノ空足引ノ山ナト同事也如此物ヲサケ物ト
大略同物也然而先達証云イヤヽ万葉ノ万葉ノ哥スク
悲は
ス非欲ニヽ中古マテモ法性寺ノ開白クニツミ神ノ浦サヒ
てと詠し徳大寺左大臣十カラノ橋をもてみれは十トヨマシタ
り白氏文楽に湖光ト云り此事と万葉にシ十テ候やかた
岡山ニトヨメリカタシナモロシナナト云事不ミヤラシテルハ
塩海なり又拾遺和三ク有三曲第一シナテル世ノ事第二ツ
シテル塩海コト也第三ニホテル湖海事也暉シナテル片
岡山ハシナイテ恐ルナリ夕日ナトノカタフキテル心
一いひくたさまほしき薫中君ヲ匂ノ物ニシテ後悔心ニ少モ
ツトシ給ナリ一二條院の桜を薫み給也一ぬしなき宿
浅茅原ぬしなき宿の桜花いやすくや風にきるえん春も
宇治ノ寒ノ事を思やり給テ也舜一定の御もとへ
句言へナリ一多いの御かたへ中君も薫忝衆一かすみ
へたてゝ薫ノ心ニ我ラヘタテ給ト云心アリ啼一おはせ
ましかは中君ノ心ニア子寒ヲ思出也一ひとかたならすわつら
しけれと匂言中君ヲ薫ニアマリ物意ニアヘシライ給ト云テ
又ヱマリケ近クハイヤヽトノ給ヲワツラハシト也わか御心にも
薫ノ恋志ハウホシメシヽルナリいましもをろかなるへきならね
は人毎ノ思へキ心也ヨキ方ニアリツキ給テモトノ心サシヲ
忘テハトナリかの人のゝろめるやうに姉寒ノさ申ハリニナヒ
申給へトノ給シし事也いにしへの御くりに姉宮ニカハリテ薫
ヘ心サシソモ報シ度ト也さすかにとやかく匂寒の御心ムツ
セシトナリくるしうおほされけり中君ノ下ノ心は不知メ
薫ノクルシクンホストナリ
寄木
名哥カ廿一歳の夏より廿二歳ノ春マテノ事
アリ二月ニナラシ柿ニ任大納言憲大将由ミヱタリ
一呼女三歳ヨリ廿五歳マテトアリ
一そのころ藤つほときこゆりは蚊左大臣とのゝ女御になん
一竹川巻にたた方左大臣に転スル由ミヱタリ此ントヽヨリ先
ニ被せ給へル左大臣ヲイヘリ其人誰共ニヱス系図ニハ故
一壷の女御大蔵卿修理大土八十分の父とに立たり河海を
梅か枝には麗景殿ト有相遣ををこつかなし呼麗景殿
一橘カヱノ巻に明石中くマトアラソヒシ人々ノ内ナルヘシタ
一菊うつろひはてゞさかりなるころ一気はウツロフラ感トス
一そのついてのまゝに朱雀六条院兄第ニテ二ツリマシ
一ス如くに今上卜女三兄弟にて薫を聟に取給ツイ
テンマヽナリ一たゝ今殿上に誰〳〵かとゝはせ給に中務
の御子上つけのみこ中納言源朝臣なと東にふとそうす
一上野御子は東国ニシヱス中務親王は今上ノ御子也中略
は前にて人を五ス時は其人の官姓かは子ヲ奏スル事也
中納言薫也一あそひなとすさましきかたにて
一蘇壺ニテノ事也一いたつらに日をゝくるし五はん
めしいつて送レ春唯在レ酒銷レ日ヲ不レ過レ碁ヲ
一よきのり物そ有へけれと碁ノカケ物ニ馬車はサウサ
ト也女二宮ノキヲ才ホシテノ給へり一まつけふは此花
一えたゆるす薫ニ寒ク立ルシ給ハントノ詞也一霜にあへ
詞也一霜にあへ
す杜にし女二二ウノ母ニラクレ給も申也一后はらにおは
せい女一宮十ラ八十リ一水のましう
なとてかく
つゝみをはとよらの雫につきそめて世にはへぬれと水は日もさす
一なを〳〵しき契はフヤク共勺薫ノ外ハトも一そしとはし
けに今上ラシメ霧ノ御つタニトシ一思おきてきこゆる
一春六ウニモトシ一とりこめられた夕霧にて夕ラレン事ヲ
一かのあせちの大納言のこうはいのさかたをも按察す言は
此時右大臣也然共ませ千ノ大納言トイハレシ時ヨリ兵部卿
に中君を思申け給へるによりて本の官をかけるは物語の作
者の詞也一その年いかはりぬ早蕨巻の春に同
一さもきこえいてはと薫ノ望アラハトナリ一はしたなきやう
には何か御ユルシアラテ八ト也一左大臣殿には夕霧匂つて
一聟ニナリ一つしやか重々シナシ一かならすさるさま
にてそおはせまし姉寒ノ在世マシマサハサやラニ申一ニ成テ
をはせ一シト也一言はづねよりも顔にコト方の事出クへヲ
一ニヨリ取分愁ナルナリ一れいならぬ中君懐妊
一八月になりぬれは夕霧六君事
一八月になりぬれは夕霧六君事一かねてよりなく大い
かねてよりつらさを君かならはさて
一あなかちにめゝしう河海五サマシキ心ナルヘシ千鳥目夕シク也
目ニタツト云心也一井てありき中君ニ匂ラアハせ給ハント
薫ノセシ事一女のためのみにも薫ノ心ニ朋友ノ夫ニ
モ実ナクタノミ難キト也一みかとの御むすめ女二宮
一この君を中君也一かの君たち宇治ノ姫君達也
一尋とりつゝ女三の御方に諸主メイタル人々モ有ナリ
一わかいなから宇治姫君の後は一入女に心とめしなと思入事
子チケタリト也一あくるま咲て
あさかほはつねなき花の色なれやあくるま咲てうつろひにほ
一北の院に二條院也一けさのまの色にやいてん哢
ミシカキ世ヲメテントヨミ給へりカル花トミル〳〵猶メテツへ
キト云心ニや一をみなへしをいみすきたそ
古
たる
をみなへしうしとみつゝそ
一今葉種ノハカナキ色ソハ故姫ぞニ思ヨいヘテ殊ニモテ
アソヒ給ツミナシハ色々三キ花ノ名ナレハ一ヽメナルいヽミスヲ
給へル十口へシ一あさまたき来にけり引三ツマテモナシ
一さらはいかゝは女房の詞一北おもてなとのかくれそかし
女房ナト居タル方也長説サヤウノ所ヲヤラント云心也
ふる人なと薫ノ卑下ノ詞也それも又御いなれはうれ
へきこゆへきにもあらす長説但の心ニヨリテイツクニ
テ一己侍ラント云心也一あしこかシコシ一つねよりもし
めり六君の事莫大也一人々しく申ノ詞一やう〳〵あか
み行権ハシホルレハ赤也一よそへてそみるへかりける
面ハ露ニヨソヘテミルヘキハカナキ花トナリ底ハ姉言ニ
ヨク似給ト也一ことさらひてしも薫ノ用意ヲノツカラ
優ナルナリ一つぬまに枯ぬる姉君ニウクルヽ露は
中君我身ノ事ヲヨシ也一何にかゝれる藤波ノ哥ハ
不当河海ニモ桂ノ三かアルヘシト也一庭もまかきもまことに
一里はあれて人はふりにし宿なれや庭もまかきも秋の野の野の野の
一古院のうせ給六条院也嵯峨院ノ事幻巻迄注之
一帯の権源氏遁世メサカノ院ト云ニ籠給申ト弐拾五哢
宇治宮荒夕るわみ給に付て六条院の後に彼院の荒花
一ゴトハ三リニ申上フテミル
を語給也一真草おふして後生也六條院志テ後夕
霧モアラタメ住給ナルヘシ毛詩云北堂栽萱草能忘レ
レ憂北堂ノ儒者居所也此故ニ益草ヲ忘草ト云住吉
岸ノ忘草モ此草也今ニ神供ヲ此草にテ裹テ
供よく一世のうきよりは
山里はものゝさひしき
一この廿日あまりのほとは八ツ第三年の心也宇治へ
行テソコ十ハゝやト也以此詞為第三回若年忌ヒ末詞ニ
カクテ三年八アリヲハシマストアリ匂ノカヨヒソメ給フトニて着
又例の中の御き日の仏経にて是は九月也姉君忌忌日にて此
一詞ニテ此英々ノ始ハ椎本総角時〱ヨリノ事ト見タヿ啼
一忍ひてわたさせ給てんや中君の詞也一あらさしと
宇治言ノ事薫返事一かしこは猶たうときかた
宇治六ツ寺なとへ寄進ニやトナリ一このうへも中君の
事一いつこにも宇治十トニテモ也一いま又かやうにても又
如此ナリ共衣ラント也一ならひの別当なる右京のかみ
サフラアノ別当ハ政所ノ別当也右意ノカミハ大夫ナリ
弾殿上ノ別当也匂宮にては右京大夫なり家司なるへし
禁中にての殿上の別当は左大臣輔々万を執行なり
問云匂宮ニテサフライトアルハイカナル所ヲイヘルソヤサ事ニシ
ルせル殿上ノ□□是ニヨリテ殿上人ヲハ御サフライト云也
一よへまかてさせ給ぬと勿言内ヨリ出給又ト閉テ参ト也用心也
一いくせしも
いく世しもあらしわか身をなそもかくあさのかるもに思ひしたるく
一大空の月たにやとる
元良親王
おほ空の月たにやとゝ入物を雲のよそにも過る見中
一一さかへりやいかゝ有け無句内裏ヨリ中二マノ方へ文有シニ
一中君の御返事故又二条院へヲシタルナリ
一世中を思ひとゝめたり八言事中君心也
一ひたすら世になく哢中君の心也父宮姉宮十トの事は
カナシケレトセン方ナシ匂ハ夜カレアリ共又モ約ミント思へ共
サシアタリタルハカナシト也一をは捨山の月のミナクサメ
カヌルハイツクニミルモヲハ捨山ノ月ト也わかいなくさめ
一椎の葉の音には河海に家にては量にもるいひを引只
一宇治ニ推ナト有ツルナルヘシ一月みかはいみ侍る物を撰に
月をうつくしみ哀といふはいむなりと申人有けれは読人不知
一鴨ねのわひしきまらにおきゐつゝ月を衣といみそねつる
一ゆゝしう思出しるゝ母君の中君を生給とてらせ給也
一さいへともとの中君はモトヨリ一シ一せは六君ニハラサレ三ト云
アへり一いかならんもの〳〵しく兼テ匂の推シ給へリシト也
一天下にあまねき中君ニ匂ノ御心ヱネク廿トナリ
一おもかくしにやハツヤシサマキラハントテ也一な有しの
一僧都其人ナトも誰共ナシ一かゝるかたにことよき
実ナル方ヲヨクノ給ヲツレナレトナリ一いとよくこうさいやか
なれ匂宮詞サハヤアニ中君ノ給へト下ノ心ハ思事アラン
トタハフレナリ一ひまつにも
ありくてぬいのちまつきのほと公にうき事しけく思はすもかな
一こりすまに又もたのまれ
こりするに又もなき名はせぬへし人にくからぬ世にすまへは
一身をこゝろともせぬ
いなせともいひはなたれすうき物は身をいともせぬ世なるなり
一いのちのみこそ啼に引
えそしらぬ今心みよるあらは
一あまのかるめつらしけなきは
時ノ三リ十ト例アリ
哢玉モノ事後枇ニ大伴黒主カ唐崎ニテノハウヘノ
何にこの磯のみるめを思ふらんおきつ玉もをかつくもにして
一さしくみは打つけの心
一まゝ母の今の御手落葉実也内侍腹ノ六君得宮やシナ
イ給ナし一せんしかきにてもうしろめたのわさや宣旨書は其
一人の詞ヲコソケさかし候はかたいたさにそくのたし侍れと
いとなやましけにてなむトハ落葉寒ノ詞也哥ハ六ノ君ノト云
ナス也一心やすくて先はしは又思人ナクテアラマシ物ラトナリ
一心くるしきかた懐妊ノ事一ひくしの鳴こゑにも山の
陰のみ宇治か思やり給こ
ひくじしのなきつる
一おほかたにさかまし物を山里ニテキヤハトヒ一あまも釣
するはかり
恋をしてねをの爰けは敷妙の枕のしたにあさそ釣すか
一いとつみふかう懐妊ニテ死スレハ罪深シト也
一その日は后くはなやましく明中旬宮六君にう給テ
三日ノ事一この君もいはつかし薫フモ聟ニ思給シ
カサモアラスナリタルヲハツヤシトナリ
一御たいやつヒトリノ前ニ四せンツヽ也死時ノ体也
一もちいまいらせ三ケ夜ノ餅ハ銀器ニモルナリ
一いとあされてとみにも出給はす難シシタル也爰にテ思
煩心也六君ノ方ニ匂ヲハシテ酒宴ノ座へ逃出給也
一北方のさはらから雲井郡ノ兄弟也一あまの頭中将
御さか月さゝけて薫中将ニ一キレシトテアルシト云リ盃ヲ
持テ出タルヘシ一見しらぬ様にて薫ノミシラヌ体三給
フナリ一東のたいに出給て薫出す也
一みへかさねのからさぬものこしもみなけちめ有へし花鳥
今桑女装束は尋常の裳唐衣等也細長は貴女君
物也故ニ別ニ是ラソユルナリ三重カサネノヤウ衣ハ中倍ア
ルヲ云ニヤ腰ハ小腰引腰也或ハ白地摺或ハ村濃等
有着異也呼問云人々ニ給フ禄ノ事裳ノ裳ノ腰ノケ
チメイカヤウナルヘキニカ一谷唐キ又ノ色モ裳モ色々ニアリ
一又織物はタトク平絹は次也故ニケチヌアリトイへり
一めしつきとねりなとの中に悪公抄院宮雑事中御
随分勤夜行召継奏時て今案親王家又有召
継式部卿重明親王嫁娶シ給時召継已下銭二万ヲ
一禄ニ給セ上ノ記ニミヱタリ勺宮ノ事モ之レニナラフルナルヘ
シ又知足浣禅問院ノ猶子トメ召継ヲ具セシ事モ有
シナリトネリハ御厩舎人ナトナリ
一されとくはしうはえそかすへたてさりけるにや私の詞に
似タレ共トヤト云ニテ草子ノ地也一かへりて打歎た
カヘツテホノナケク也人ハ祝言ナルニ却而モ涼シサハ秋也
カヘリテ十トノ類也爰ヨリ以下ハ薫三条へ帰テノ事ナリ
然共コせンハ薫帰れハヽサタニ不及事也サレハカヘリテト書
る帰の字にあるへからさると一あせちの君とて薫の思人也
一打わたし世にゆるしなき関川開川桐坂ノ関川
一寛平菊合ニアリ打ノワタシハソシナヘ大カタナト云心ナリ
イツキ才ヲ給テ世ヲハヽサル様ニトヨメン又なれそめけむ
ミナレタルヲ水馴ニヨス一あなかちに世をそむき給へは
女三ノ御方ニタヨリメ参ル女ハラアリ一物の給六君
かと〳〵し気也一カトス也アシキニハ非ス一このみそし
給へる好殺シ一三条殿はら雲胡腹也
一南のまちに六條院ノ内也モトヨリ兵部卿言スみ給方十ル
ヘシ一一日の御事ハ文ノ詞也宇治ニテ八宮三回忌薫ノ
執行有三事也なこりなからましかは薫姉君へノ名残也
さりねへくはみつからもサウンナクハ中君モ宇治へ薫同
心にわたり給ハン物被下也一うけ給はりぬ薫せ事
一ひしりたちたるさまにてひとさらに忍ひ侍しよさ思る給ふる
一法事ニ宇治へ忍テワタリシハ中君宇治ヘワタリ給ハント折〳〵
ノ給ニ付テナリなこりとの様姉君ノ名残ニ此事執行
ト年ハ浅クナルト也中君ノ御心サシニ執行ト也
一丁子そめあふきカハホリ扇ナルへシ一けふはみすの内に
一庇にスへタテマツリケルナルへシ一わさとめしとい侍らさりしと
中君ノ文ニサリ又ヘクハミツヤフモトアルヲカコチテメシト也
一世やはうき
せやはみき人やはつゝきあまのかるもにすむ雪の我からき
う
一ものにかなやと
とりかへす
一あらすや忍ひては中君ノ宇治へ忍テヨカルヘシトノ給シ
ヲ薫ノトリナシ給テ忍テ云詞ニタトリヨリ給也呼ハ
一ことはりしくぬ
身をしれいうらみぬ物をなそもかくことはりしらぬつらさなるとん
一呼引哥マテモナシ一きえせぬほとはあるにまかせ
うきなからつせぬ物は身なりけりうら山しきは水のあはせ
一かくのみことよき男は只誰モ詞ヲツクス物ト也
一この御行さきのたのめ薫ヨリハ勺ラタノミキコヱント也
一おもひきこゆるさまことなる春宮ナトニ成情はゝ〳〵也
一我こそさきに人かれは我こそさきに忘れなめつれなきをし
もなにたのみけむば此哥ノやウニ我コソ忘レメナト思キ
ハヽ殊ニコソアレカヽル御中ナトニハサやラニカル〳〵シキ事ハ見
へ申ラストナリ
一みなれぬるなかの衣としかはり雪ニわいへタリ
一たゝん月のほうしのれう来月ト云也一みつからの御
れう中君ノ料也一こしのひとつあるをヒキコミ匁也
一むすひける一御心しらい心シリシ薫ノ心也
一けちえんならぬそ掲焉イチシルカラヌヤヨキトナリ
一誰かいなる事をも中者ヲ薫ナフテハト也一花の露
をもてあそひ匂言事祇公説えんにそゝろさむく
より薫の事也一いてやなと匂は上臈の御心は申
ニテ内々ノいニシライハサノミシリ給ハヌラ女ナト御心モイラヌ
トソシリ云也一いませ又や申テソ又ナト云心以前ハアルニシ
タカフ物共ナレハ又取タテヽ遣也一あやのれう綾ナト
織料一この君しもそ薫ノ事也此詞ニテミレハ花ノ
露ヲ十ト云ヘル薫ノ事也一いとをしの人ならはしやとそ
一地シ故宮ニナラハレ給テ人ノタヱ〳〵シキ事ヲモシリ給シ
一わかやかなるはみなあたゝしき新参ナトニは中君心ヲ
一給也一したやすからぬ中君ノ心トミヱタリ
水鳥のしたやすからぬ思るには
一はつかしくて中君懐妊ヲ恥タルナリ一たれも千年の
うくも世に心にものゝかないぬか誰も千年の松ならなくに
一いといくなしう薫の思也一つゝまれすつゝ可ス十カラ
中君ハかリ心ヱ給やウニ也一ほかさまには
六帖
外さまにしほやく参りなひかぬや四斗のかたより風はふけとも
一いとかたきことに折節の御音信ヲセタシテナクラホスコト也
一この御山里出たちいそき宇治ノ古宮をは後世の為に多ウ
トキ人ニユツリ給へキト云心也薫我身爰ニシコナイコモリ
シル
フえ
フト
井侍ラント思由ホノメヤシ給ソレヲ御ランシシ知方有テコソ
ハ下セケルナリ一山のかた庭ノ山也一かきりたにあるなと
恋しさのかきりたにある世なりせいつゝきをしゐて欲かさゝし
一音なしの里も宇治ノ山里ナト思ヨいへテ
恋侘て音をたになかむ顔ててていつくなるらむ青なしのきと
一むかしおほゆる人かたをもつくりゑにもかきとめて
武帝以董仲君李夫人貌作以温石温石温石やはらかなる
石也呀只昔ノ人ノカハリニト云心也一みたし川ちかき
こゝちする人かた
窓せしと
姫君ウ人形ニツクリ給ハン事イトラシト也人形ハ川ニナカ
巻一こかねもとむるゑしもこそなとうしろめたく杜詩云
一毛鋭子ト云人ノ王昭君ノ形ヲ昼ニ云シ事シ金ヲヱテ
形シワロク后ノ顔ハメテタク書昭君ノウツクシキカホ
シハワロク書タリシ也仍アネ君ノ形ヲモ金ヲヱサせスハア
シクやカント也一ちかき世にむふらせたる多くみも水原
ヒタノタラミハ母ノカナシウシケル女ヲウシナイラカタチシツヽ
クリタリケレハアリシニモカハラスヨルニナレハ物ナトホノカニ云ハ
ケルト云ヘリ或説ヒタノタクミハヤリ事ニ花ヲフラセタリ
トて一此ちかき人の少将也一思ひよるましき事を
呼薫ニ申タルヘカラサル事ヲ思出タルト也一尋いてたりし
中君の方へ尋来シナリ一かたみなと中君ラ姉君ノ
形見ト薫ノ給へト似又由ヲ人々云トナリ
一さしもあるましき別腹ナレハ似マシキ人ノ似タルトナリ
一忍ふ草つみをき
むすひをくかたみの
一世をうみ中にも
しるへする月の舟たになりせは世をうみ中に誰からん
玉のありか尋にも楊貴妃ノ事也一いにしへの御ゆる
し八言ノ御子共ユルシ給ハサリシト也一母なる人浮舟ノ
母中将の君と云シ中君ノイトマ也一おりたちれんしの
いならねは薫は好色ニタンレンナキトナリ
一猶そなたさまには姫君の工せりノ方は床シキナリ
一さうしくちに障子なるへし一かしこけれとヒンナキト也
サシ出又ハ人五キタリトナリ一人のうへにてあひなく
姉君の中君の上にて物思給し比のふんと也一いつと
侍らぬあきの風は
一秋風はいかなる風の音なれは身にしむなり恋しからん
一けにかのなけかせ姫君ノ匂ノカレ〳〵ナリシ事ヲ欲給シ也
弁カ詞一おほしこみけむ姉君の思ひつみ給シ申君〳〵
事一此ころの御有さま中君へ匂言此程は少被下〳〵
一同忌也
敷やう也一かの御き日姉君の弟三回一同志私唱
一むかしの人のゆへあるさすまゐにしめつくり給けむ所を
ひきこほたむもなさけなきやうなれと比屋斎人何処
居憶昨平陽宅初置呑併手人弟多家他仙仙仙
白氏文集
去双之作梵宮漸恐人家無為寺西朱閣
一かの言の御りやう匂言ノ御領ナルヘシト也
一しん故をうしなひて寝殿を寺ニワクリテ又爰は別に
判仏寺
寝多也
寝殿ヲツクリ給ハント也呼一むかし別をかなしひて
かはねをつゝみてあまたのねくひにかけて侍ける人も
観音勢至因位ノ昔人ノ子ニテヲハシマシケルニ継母ノ為
ニコロサレケレハ其才ヤカハネウクヒヨカケテツヰニ仏道ニ入給ハ
ケル也経文ニアリ一定ヨリモ中〻老人ニハスク〳〵シクアへ
也一シヤノ御方ハ中君ハ一心ヱルサヽランヲトキ
シライ給へヲ心ナルニト也一こめかしうことすくなゝろ物から
花専コメカシクハ人ノ心ムケノミマヤカナルラ云又ハカナクラサ
ナカマシキ心ニモ申十ヘリ一弁も浮母ノ母中将君ハ
弁カイトコヌイナリ一京より大輔ゟもとよち中君!
女房也一をくれもてまいれる薫ニンクレテ忝ルナリ
竹治切斑身
一一たになと木蛔ハ木ニ付名虫ノ名也咽竹治刀班多
小毛也玉篇
一南の言より三条言ヨリ二条院へ
一いとゝ峯のあさ霧に
雁のくる峯の朝霧
一けにさや有つとん草子の詞也一山里の御ありきの
中君ノ文一いはほの中コトナル岩ノ中ヨリ宇治言ト
ハウホス也
いかならんいはほの中に
一お花の物よりことにコト草ヨリコトニナリ手ニタトフ
一右のすゝき両説ナリ稙ニ出又薄也トニて又云忍フ薄也
一穂ニ出ヘキヤイマタ出スヲ云トナリ中ノ君下ニ物思給ワ
ヱンシ竹哥ナリ薫ユペノも也一ちいさき御木丁のつま
より重うそくに中君ノ懐妊ノ時哉也
一秋はつる中君は句宮の心ノカハル頃ニ取十シ給也
一我行ひとつの
おほかたのわか身ひとつのうきからに
一うつろひはてツ籬ノ内ナトハヲソクウツロフト也爰ノ詞モ
ヨクウツロイタルカ威トミユ然は前ニイへルうつろひはては
テ文字つへシ一花の中にひとへに不是花中偏敷
菊此花開後更無花順一なにかしのみこの
西宮左大臣庭前霊物降居樹上記前遊小児詠
此詩教作者之本意尽字兼請琵琶授秘手曲覚
一囲
一廉承武之霊也授上元
西宮左府事宮十ラ子共御
石上流水泉曲ラ
子ナレハみこと云ナリ一いにしへの天人の神覚ノ物語ニ
アリ応せウフ古事也一御ひとさしをきれ琵琶也絃ノ物一
名トイへり一心こそあさくも中君の詞一むかしよりまねふ
姉君の事一その中納言も薫じ一ゆるひたりけれいはんし
きてうにあはせ給比巴黄鍾調ノ申キ合ト上ニアリ
一伊勢のうみうたひ給イセノ海ハ律ノ包盤浅洞モ律シ
一平調ニカサルヘカラサルニや郢曲ノ家ニ可尋
一三四日
ミカヨヤト
ヨムへ斗とて
一この院を二條院也一くしいたかりける
中君の女房共一年も暮ぬ呼二年此巻にて暮る也
薫廿五歳ゟ正月トアリ早蕨壱ノ年過テ次ノ年ニナル
ナリ江海此巻サ一二歳トアリ二年暮ルレハ廿三才タルヘキ
一なやみ給去年五月ヨリノ懐妊ナレハ二月ニアタレリ
一かくてみとせ中君にふそのカヨイ初給テ也一女二亡ゝの御
一意き並テ沙汰有シ眼ニ延引ナリ一つく候所物ノ
カサリスル一ツ也呼一まいりそめ薫二宮へ也一なをし物
とかいふ事に直物貯呂或意官除目已後執筆所物を
申行也武除目已後両三月経て不迄先度除目前着
の事等をならす故に直物と云也其頃に書入らるゝ事也
一右の大臣左にておはしけるかしゝ給所此頃紅梅右大臣
ノ左大将ナリ一僧なとみたりかいしき折つシトハ礼也
一多うのはいば拝賀ナトニ来ル人ニハ主人南階ニヤリクタ
リテ谷拝楫譲ノ作法アル薫新大納言拝賀ニ二条
院へキタリ給束帯古へシ然に勺兵部卿は直衣下襲
ニテ谷拝アリメツラシキ事ナルへシ一つきのろく給○
一味大将ノ御力サトモニ禄様所へ白宮ヲヨヒ給シ也
花鳥大饗にはあらす河海説不可然大将には大饗若
へカラス薫へ匂宮給ト一説一あるしの所にとさうし
薫官ヒラヲナルヘシ一左大臣取のし行くまゝに夕霧
の大饗の例にて薫の大将のつかさの禄を六条院にてし
給シナリ唱一えんかの見こたちかんたちめ垣下ノ王卿
ト云ハタトヘハ請伴スルヲ垣下トハ云也カイモト云事也
公卿は大将より上首の公卿はかはさる也親王はかフ其時
大将のつきたる所かはる事あり勺言も垣下の座に請シ申
サルヽ也河海ニ親王尊者ノ例一尋之由シルサル誤レル事也
垣下トハ云ヘシ尊者ト云へカラスヲ
ハシメハ辞退シ給カ渡給ナリ一をとるへうも封ノ御
方は六君ニソトリ給ハシナリ一宮の御わたくし匂宮の
碁ハ仙
家ノ歌
一こての世に碁のガケモ〳〵銭也囲碁ノ銭筝
御誕生に碁をうつウフやシナイニソフ物也一言の御
一命長遣ヲ
表スト之
ま一にも白言の一さかつきともにてふすく
粉熟染の様なる物也一切祝の時出る物なり
河海ニ今ノウンサウノやウナル物也一藤つほの寒女二宮迄
故台ノ女沽ノ言也一古院たに源氏一我はまいて人も
夕霧落葉山マをヱシ事一言は重にと落葉言は
一三日の夜は大蔵卿よりはしめて仲信薫家司大内預
道定カシウトヲハシメテ薫カタノ人々ニ也一おはします
しん故を女三ノヲハシマス方ヲ一ツリ給ハント也一母宮の
女三言に一言のわか君のいかに五十日供餅ナリ
一あいたちなく無愛達一いとあさましき中君詞
一うらやみなく身をうらむへかに姉君ナカラへ給テ薫トソヒ
給トモ女二言の御事ニ中君同前ニ物を思給ハント也
一さらなる事なれは若君ヲ乳母ノ出シタルナリタクイナキ
事ナレハニクチナラント也一物かたりなとワラハノ物云也
一すへなき君の御いなれかくめゝしう女〳〵三ま也
をしはから云へきト云一チ双紙の詞也私には非ス一おりつれは
一おりつれは袖こそにほへ
一卯月一いたちせちふむとか季春中古へシ
一藤の花のえんせさせ給延寿二年三月廿日御記書此日
一左大臣飛香金藤花下有献物事一あるしのくを
右ト云本アリ末ニモ
女二宮一左のおとゝ夕霧
紅梅大臣トミユ
一按祭大納言
一紅梅に似タリ組別人々も□一然通案一故中納言左
一兵衛督蟹黒ノ息也一三のこそ匂ひたちの宮御第也
一宮のさかた女二言にて一坂六條院の御給からかき給く
一入道の言にたてまつらせ給しきむの事二巻河今条天暦
三年ノ藤壷ノ女御安子は九条右丞相の御女也延喜御門ノ
は女勒子内親王は則九條取の室になり給へり是によりて
延喜の御門の勤子内親王に給はせ給へる筝の譜を奉り給
シ事ヲ今ノ物語ニ六条院ノ女三宮ニ奉リ給シ琴ノ語
に書なせるなり哢薫の花かせ給を夕霧取つき行也此例
花にアリ巫相の息業子中くるゝ藤塵よりつたへて村上天皇
へ奉り給シ事ヲ思へり一しろねのやうぎ楊器或
薬器親行一おとゝしきりては夕霧の毎度天盃を
給リ給フヲ辞シタル心ナリ宮達ハ御子ナレハ薫ニユツリ
給にやい一大将にゆへりきこえ給をはゝかり申給へは御けし
きもいかに有けむ御さかつきさゝけておしとの給へる
一賜二天盃一例天暦七年十月廿八日菊合式部卿親王重明
賜二天盃一ノ寛弘四年四月廿七日密宴中務卿具平釈王
賜二天盃一以上賜二釈王一ニ例永延二年三月廿五日摂政六十ノ
賀摂政御堂殿賜二天盃一花専ラシト云事阿海説は皆レヽ
案シ一問ニシラヌ事也但永延二年三月廿五日ニ右記云
一摂政六十賀也左大臣起座御盃右大臣取銚子主上給
武者云
御盃於摂政此間被仰寄書
万歳千秋云
摂政又有答奏にて
可尋地摂政下庭中拝舞ニヽカやウノ例モアレハケント云
は祝言ニツキタル事ニテモヤアルラン一さし返し給たおりて
ふたくし仰天盃ヲ給時ハ土器ヲメシテ御盃ノ酒フウツシ
入テ呑物ナリ其カハラケヲサシカヘシトハ云呑ヲハリテハカタ
ハテ階ヨリクタリテ御前ニ向テ舞踏シテ座ニツク首サタマ
レルサホウナリ味問云天盃ヲハ直ニノマス盃ニウツシノムト云
事有テや一初コト土器ニ御援濁ヲラツシテ呑ソレヲサシカヘ
と云也問云天盃を給はる時定たる礼にや一勘晴の時定礼
一あせちの大納言ハ紅梅大臣也竹河に右大臣ナレト又爰に大
納言ト云り呼誰共ナシ紅梅には有へからす一此宮の母女御
藤壺女御女二宮ニ按察心ヲカケシ事大臣ノ家ニテハ
セシ時ナルヘシ呼一れいのいかにト云ヨリけるとかマテ私也
一うけはりたるそにくきや双帋詞也一よろつ世を御製也
飛香舎故宴
一延喜御三の
かくてこそみまくほしけれ万代をかけてにほへる故なみの花
故に万歳の号あり一君かへめ誰共なし左大臣の力
一よのつねの此哥以下の詞あなりしマて私詞十ヘシ是より
次モおもしろしめてたしナト又シアリケン双身ノ地ナルヘキルニて
一あせちもむかしすくれ給へりし紅梅フヱコキ人なり
一ひさしの御車にて女二六ノ御車古ヘシ糸ケ
一檳榔毛金造納代一さむかへのいたし車薫ヨリノ
御迎也一本所の人々一葉薫の方ノ人也
一くち木のもと造給寺ヲミテ又宇治宮へ也一ツや〴〵と
一おいや吟二十ト云いと一れいの御事こなたは升詞也
一車いたかくおるゝ所はくたり女の車にわりのる時は打板
一ト云物ヲシテ車ノ前板トヱントニウタスナリ爰ニウチ板ナ
キニヤ一やゝみて久しくおり吹井さりいる申一三事ニ
色々心アリ爰ニヤヽミテト云ハウタカフ心ナルヘシテ文字只
清ん一わかなへ色のウスアウノスコシスキ名色ナリ衣ノ
半又ノ色ナリ一いつみ川の舟わたり人々ノ云詞もコツ川ノ
わたり也一かからかサハヤカン一むこに無期
一言の御かたにも中の君にモナリ一たゝ今もはひよりた世中
におはしける物をといひなくさめまほしうらせ給ひ姫君に
ヨク似タレハサシヨリテサテモ世中ニラハシ一スコト云テ我心ヲ
ナクサメタキトナリ一ほうのいまて尋てかんさしのかきり
取金釵銅合各折其半授使者曰々我謝太上王謹龍
是物尋旧好也長根一そのころほひは女二言の御
事おもひなく思給へつゝミンモイヤリモナキやウニトツム
トナリ一心鳥のこゑもきゝしに
夕されい野へになくなるかほ鳥のかほにみえつゝ忘られなくに
春の野になくとりの顔たてゝいたくはなかし人しりぬへみ
かほ鳥のまなくしはなく春の野の草のねしけき恋をする廿
毛詩云流離少而貌好老甚醜此故ニ梟鳥ノ一名
一貌鳥ト云也或説云杜若ヲカホ花ト云彼花サク比此鳥鳴
故也又八雲御抄云力等鳥は春日山によし申多く恋する物
トイへリヨルヒルタヱス恋ストイヘリ一・ナクシハナクト云ナリ
東屋
一名三日銅薫廿二歳秋シ甲廿五秋八月頃より九月マテノ
一つくは山をヒタチノ守ライへり浮舟ノ心也
つくは山は山しけ山しけれと
一まめやかに御いとまかるへき母君心也一かこの子ともは守子共
ナリ是ハ常陸介シ守ハ親王諸主任之太守ト云何今守代
トシテ国務ヲ才コナフ故ニ介ヲ守ト云ヒ又凡人仕時止大字
守と任スル例モ有也常陸上野両国外親王不任諸王は
宮達御事也一上達申のすちにてなからひも常陸事
さライは母方のしんが一とくいかめしう徳一またくすきに
なき全クユタンナキ也一かうじんをし庚申守ル夜い三のナト
ヨムトシ庚申経云人腹中有二三尸一為人大害常常庚申之
一夜上告帝尺記人品過絶人生籍庚申之夜不寝則
不得上天許渾詩年長毎労推申子寒初共守度
申一左近少将とて大将ナリシ人ノ堯先祖不レ見
一このさかたにとりつきて浮舟に取次也一ないけうはう
一内教坊ハ大トノサノカタハラニ有所ナリ楽人舞姫ナトノ
見候所也呼今の世に大なき小十キナト云は内教をやく云なし
たるなり一はやりかなくこくの物万歳楽は内教坊説と云
事あり然はゝやり申なる曲の物とは五六帖の事と
孝行説十三学
得琵琶
ム申へ
成名属教坊第一部琵琶川内教坊より此世ノ師ヲ迎
タリ和漢ノ古事アリ其心と一うつ無いり禄ノ多ナリ
一そこはかとなき物共是は常陸我ムスメノ為ニ也一あこをい
一常陸ホンノムスメナリ一なミ〳〵の人にも呼古近少将ヲ
サル人の子ナレハヤクイヤリ私は女事も一おもふ人くしたるは
父ノアルハト也一女とものしるたより此中多千ノ妹手習ノ君ノ
方ニアルタヨリ也一源少納言されきのかミイツモ常陰祥也
一にしの御かたにある手習ノ方ニアル妹也一もとの御いさし
のまゝにハシメヨリ常陸女ト少将は思也一ほとりはみたる
一遍はみ也其辺ヲヘツライタル心也一あてひても実ナルト也
一またころの御とく孤露ミナンコノタノム方ナキ心花見和秘抄
ひとりの心よイ本此頃の御とく一二晦みの頭は此度の蔵人
頭はナリ一御くちつから出てコツ也一あたら人の御むこ
ヨキ御聟ト也一あへすして命ミシカクテ也一さいはいと
あるへき事にやともしらすフタリノ幸トナリ其ヲアマリ云
トテ不知ト也今ノ田舎十トニ云詞ナリ一いもうとにも媒力
イモウトシ一ぞくらうを談労ワイロノ心也哢そくトスミテ
ヨメリ中本ハ濁ヲ付テ下ニ如此一かの姫君をはいとやむ
ことなく是モ今ノ北方ハラナレハソロヤニハ思ハストナリ
一たゝなかのこのかみ今の北方腹ノウチノア子トナリ手羽の事
一又じちをたつね浮舟の事を実を八郎の子トシル人モカスマヽ
へ給は又ト思はヽイヤヽト母の思メクラスナリ一めてたからん御
むす手習ノ君ヲアサケリテ常陸ヤ云也一ようせさせ給
君たちあゝし用イサせ給は三ナリ一をのれはおなしこと
ンナシ如クナリ一此君のゆかりと手習の男ナラハナリ
一あひ〳〵にたるアイニアイタル也一御さいはいまてたかふことも
しらす縁のタカフモ又浮母ノ幸ニやトナリ一いたくちおしく
少将ヲ云ヲトスナリ一左のおほ故六君あせちの大納言
蜻蛉宮御女
式部卿宮
式部卿宮時始宮御門の御門の御かしつきむすめ今上ノ女二宮
女治
│││[│[
宮君
一にしのかた浮舟ニ聟下ラント用意ノ方也一さからかに哢
アハラナル心也さゝ私サハヤカナリ共一御かたは北おもてに浮舟君レ
一そのことゝ侍らては常陸北方中君への文ナリ一かたみに
ちりほはんイツレモ物ヲモハシキ世ニやチリホハント也
一さかたもかのげあたり手習ノ君モ中君ヲハ恋シク思シ
一このはかたさまにウキ舟の君ヲ中君方ニトリモツ人もなキラ
あなつるト思テムツヒラルヽナリ一まいる時ははち給はす浮舟の
一母中君へ参ルナリ一故北の方には八三その北方ウキ舟の
母の夕メニウハナリ一つかうまつると北方ト云ツアへノ中ハリ斗也
一こゝにはは物いこと浮舟の物イミト云ナリ一こたみはや
のとかにこの御有様中君ヲ心閑ニミルナリ一まゝ子の常陸
カ子先服なるへし六位蔵人式申遣を申けけるなり
一こ宮のさひて八くそ也一ゆたけき寛也豊心
一なをしきてたちはきたる武官常〳〵も北山橋外衛
佐等任意不帯レ至二近衛次将帯釼上殿三レ妨仍宿一
得候時副於宿物持上自余不能持上一かれそこの
ひたちの女房共トリ〳〵云タル詞也一かしけたるめのわらは
イマタ生長せサルナリ女婿一あそいして君君ノシタイ
給ヲ匂言アソハシメナクサメテ出給也一こうへの中君ノ
母君也一かけともに中君父母也一猶この事は
姉君也一大将とのはさかり常陸北方詞一この事せ
かれしも姉君ヲハシマス共女二宮ノ御事せカレシトナリ
一かの過にし常陸北方詞一ひともとゆへに
むらさきの
一重にいくるしき申君詞一むけにそのかたに中君ヲハ宇
治ニタヘヨモリ給へキやラニ父宮ヲホシヽモヤクナリ又ルトナリ
一うき嶋の哀
へたてける人のいたをうきしまのあやうきまてにふみゝへる中
シ夕ノ浮嶋常陸也呼常陸ノハシタノウキ嶋是ハ陸奥ノ
一塩カマノ前ニウキタルトヨメル浮島也奥州守ナリシ時ノ物ハ
語ナリ一わか身ひとつのと呼両首イツレニテモ
おほかたのわかもひとつのうきからに
一世中はむかしよりやはうにけむわか身ひとつひためになれると
一つくは山の有様も常陸守ナリシ時ノ物語ナリ
一かゝるほとの有さまに常陸北方セクイヤシキ人ニ具シタル事ヲ
色一むかひておはせしさま中君詞宮ウアシ共ニ早
一下にテの給也一されとおまへには女屋共の中君はられ給
ハヌトホムルナリ一いかはかりの人か又言ヲホムルナリ
一おかしけにみえすなから実十八人も一御あやまきに句亭
一遅ク参給シヲ中君の御アやマチトタハフレナリ
一かゝる御心をやむるみそきせさせ
恋せしとみたえし川に
一つたへはてさせ給へかし浮舟の母ニツタへ給へトナリ
一見し人のかたしろならはしなて物にせん人形祭礼具
一拾一唖なて物は衣装太刀なと身にフレタル物也軍人形を
一ナテ物ト云也我身ニソヘテ万ノ災ヲウツシテナヤスナリ恋シキ
せ候は姉君の事也一声きつせゝにいたさむ
なかす物なれは身にいへ給はしとをめり浮舟の事を中君らし
口ミテ也一ひくて五またに
おほぬさの
一つゐによるせは色今ノい一いとうれたきや茎の身を観シ
給一かきなかさるゝ中君薫ヲステントノ恨ナリ
一いとうゐ〳〵しう薫ノ恋路ニナレヌ由也一めのとのゆく
りかにカネテハ乳母ノ打ツケニ薫ヘナト云シヲ思ヨラス有シカ
トミタテマツリメテタルナリ一あまの川をわたりても
ひこほしに恋はまさりぬ
一より井給へりつる真木はしら
一時にみたてまつるコト〳〵也三ケクミル心也
一経なとし香のかうはしき若有人聞是薬王菩薩本
わきも子かきていよりそふ真木柱そもむつましやゆかりと思へは
事品能随喜讃善者是人現世口中常出青蓮
一華香身毛孔中常出牛頭栴檀之香法華薬王所
一たゝいまの内親王ヲヱ給一鳥のねきこえ
とふ鳥のこゑも
一かすならぬ身に物思るのたねをや
今いとてわするゝ草の種を
一いさやきしかたの心ふかさに薫ノキシ方ハ心フヤク立給フ
タノミテ行末ノ事マテハ定申タシトナリ
一いはほの中にともいかにとも世ヲソセセン共又誰ニ忝クセン共
思ヒメクラスヘシ一御車なとも例ならて啼案内ノ時ハ毛
車にてアルヘシ例ナラテハトハ忍テ出給心ナルヘシ細代車
ナルヘシ又女車八葉十一との一とのこそあさやかなれ宮の部
給に取ト答ルヲ笑た七ナリ一車そひなとこそ升中ヒアウ〳〵
トノ給十リ一なき名はたてゝ
思はむとたのめしことも有物をなき石はたてゝたゝにわすれね
一あくるもしらす
玉すたれあくるも
一夕つかた宮こなたに二条院寝殿ヨリ女君ノ方へ也
一づゆするカミアラフナリ一ノふ過は日もなしカミアラフ通
一五うちゐんふたき二條院ナリ
一九十月は九月は忌月也十月神ナシ月にテ髪アラフニ
はゝ申る月十ルへシ一おほとなふらはとうろにていまわたらせ給
中君ノユスルノ方ヨリ常ノ方へワタリ給也匂言浮舟ノ
方に入居給時也一こなたははなれたる方句宮の浮の方へ
トラリ給道ノ事共ナリ一右近とてたいふかむすめ
中宮の方女房ナルへシ一はやりかにをなきソソロシキ人也
一み給へこうしてミルコトノ至格シタルナリ一右近いいはか
我と云也一おすましかりてれウソ一三共形遠文医
ウトクヲソロシキ心也一少将とふたりて中君女房
一大宮一の夕暮明石中三合一心なきおりの啼匂宮
ウキ舟の方ニ入ヲハシタル折節中宮ノ御ナやミクツケタハ匂
一今ノ為ニいナキ折ヒトサレテ右近カ云ナシタル也末ノ詞ニ
今スコシアハタヽシキニトイヘリ真実云ニアラス
一平重経明石中二マサフライナリ一中務のみに
一今上ノ御子ナリ一大夫ハたゝいま大夫モ忝ツルト云也
一がまのさう降魔糊ヲソロシナサマチリ一なを人の
ヲシナヘタル人ノ様也ト可へリ一かの殿には常陸ノ方也
一まゝうとのおはするほとの桜井少将ヲマラフト也中君ノ
御方に北方居たるを猿とイ一り一なにかかくおほす
メノト詞一内ちかきかたにや内裏へノ道近申方浮舟
ノ井タル酒門ノ方也一うつし馬とも鞍置馬ナリ
一かたいらいたくそおほすんと中君ノカタハライタクや
一思給ラント女房共ノ云ヲ中君ノ聞テナニトナクイトラシト
思給ナリ呼一みたりかはしく匂の事中君の様
一この君はいはてはうしと薫人心は也
心には下行水のわきかへりいはて思ふそいふにまされる
一おもふことそひぬる浮舟故ニ中君思事ソフトナリ
一にくき心薫□□□□□□のさうし中君ノ方也
一重に似たる人は父宮ニ似たルハコトシトノ給早下ナリ我ハ
母に似タリトシ一いみしうおほすと共句宮の浮舟ト契様
シハ取カヘサレシトナリ中君ヲホス共カイアラシト云也
一宮もあひてもあはぬ
方すほともなくて明ぬる夏の夜はあひてもあはぬいちとれ
一うそふき匂内へ参給トテスシ給フ閉シナリ
一いさやことさらにもや宮ノアイテアハ又由ラ人キニスンシ給ヒ
やと一ことありかほにはみえ給はさりしコトアリカホは事十
キナリ事ナシトハミヱ給ハ又ト也一物にくみはあて人も
物ヱンシハ上臈ニヨラストナリ一いたちの侍ん鞭は初フ
ウツカラ物也サテマカケラサスナリ一さまかけに
ウタウフヲ云一気もからすたちて匂言ノ好色タチ給ふ
一ゆるしなかりし八二郎御事はし一そのかたならても浮舟の
母と申くそノ母君ヲハメイナル也一あさましうかたはなる
匂は浮舟の所へ入給事一この御ゆかりはいうし
我上ハトモカクモアレウキ舟ヲヨキヤウニト也一さるかたいゝ
いたき少将事一心ちなくなとは常陸北方事
一この人により少将工へ浮舟をもて十つかつと
一かの宮のさまへにて二條院ニテ少将ツミ三事
一いつくかいをとるムスメニハソト交也一ことたにおしき
うつ大はん事たにおしき秋冠をおれる計にをける口落
一しめゆひしこ萩か上も常陸北方三ツウキ舟ニト云シ事
は可申は又ソコト女ニウツルト也一宮木のゝこ秋八宮の御女
トシラハト也一いたはれ褒タル也囁イタマシキ心也
一よろつにつけて思出薫ヲモヒ出レハ大カタノ若キ人イカニ思
シト也一わか物にせんとにくき人を少なラ世ケン人人人只
カケレミクルシカラントナリ薫ニ対メイヘリ一やんことなき
女二言ソ薫アイ給事北方心一はれ〳〵しからて心の
晴又ナリ一母君たつやと日数也いかにつれ〳〵と女の
文詞一ひたふるに浮舟哥
一世中にあらぬ所もえてしかな年ふりにたるかたちかくさん
一うき世にはあらぬ所を母丸三ツ也我ハイカやウニテモトナリ
一なを〳〵しきことゝも母の心一ヽニヨメルナリ一さまかへてける
宮作申へタルナリ一あたこのひしりたに柿本紀僧正
一真済ア各山高尾ノ峯ニ入テ十二年山ヲ不出其後
一嵯峨の帝其紋を閲給て内供奉十禅師ニ補える
一其事ヲ云ニや河海空也上人ノ事也多年山龍役折
落中念仏ノ行フ弘通せシナリ
一人わたすことも
人わたすことたになきを何しかもなからの橋と身の成ぬと
衆生無辺揺硬度問頭撰預之随一也一ちかき程に
より薫ノ三条六郎ヨリアツマ屋ノ宿ニ近ケんは十リ
一いいたうめ伊賀刀女中妹也又云伊賀天刀女尺云女女
カ女ハ狐也私云クヾツトテカンナキヤラナル女ノ事也
哢狐ヲタウメトイへは狐の人ヲタフラヤス如ク中タチウン
人ヲハカル事ニタトヘタリ伊賀伊勢ノコトワサト云トニて
一又平野末社ニタウメノ社ト申ハ狐ナリトテ
一宮にさらんせさせ女二宮也一つかへにそへて
一瞬女二宮ヲ方々ヨリシモクシ給へキ由ナレハワツラハシ事心
ヲ言第へトイヘリ一の給しまたつとめてアサテ計ト有
シナリ一つけよと付コト也一さにやあらん薫申と
一かの殿にこそ常陸北方ニト也一なとてかさい弁詞
一やかのたつみ家ノタツミナリ一さのゝわたりに家もあらなくに
くるしくもふりくる雨かみわか崎
一里ひたる里ナレタル心也爰ハフルヒ名心ニイヘルミや花里ケナル
アツマヤ
一さしとむる葎
ナリ一さしとむる薄や薫久一多せ奉ルヲヨミ給へ
十七
ワキ
順和名
催馬楽
今新猿楽記
一催馬楽
四町今新猿楽記阿部
一催馬楽庶人之
阿屋
四阿
四屋東屋
庶人之
問屋東屋催馬楽庶人
云宮殿皆四阿
四阿都東夜同人之云
可弁色成云
一庶人門舎不遇一門
丙下夜夜
取井人ミ申トサシテ十
ト云フオヤシクテヨミのとあまりほとふるは御対句遅々スル
事也一ひたゝくみも爰ハ戸ナトタクミノスル事
一一よもきのまづねに只蓬ノ宿ニユタルハアリヲ用車ノ事
不用一人ひとめや誰にてモ独御供二ト也一此君に
そひたる侍従弁尼トフタリ也一かいらすきほうしの
わたり法性寺ハ貞信公建立シ給へル尊意座主は貞信公
ノ師檀タル故に法性坊の名を取て法性寺とイへるなり
一うすものゝほそなかを車のなかに引へたて車中に引物
ヲメ貴賤同車スルコト也呼浮舟ト薫トハ同方也
関男女同車ノ時サタマレル作のヒ此よつシホソナカラヘタ
テニシ給へル迄一呑男女同車ノ時或物見ナトノ時前ノ簾ヲ
アクルニヨテ車ノ中ニ几帳ノ申タヒラヲカクルナリ時トメハホソ
ナカナトモカクへキニや一君もみる人はにくからねと薫其浮興
ニクカラ子ト古姫君ヲ思出也一御なをしの花の
夏ノ直衣ノ花ノウツルナリ一おとしかけのたかけのたき所に車路
ニ云ナラハせルナリ道ノ高クヒキヽ事也車ノやスカラ又道ナリ
一かたみそといへるに薫姉君ノ形見ト也一心にもあらす
姉君の事一むなしき児にも
コトイミモ忌テ也一さしかくして扇也一いとこめき大やウ也
わか恋はむなしき空にみちぬらし思ひやれとも行かたもなし
一わさと思ふへきすまゐにもあらぬ弁道コト方ニシリテ廊ニ
一車よせナトスルヲくしモヤリソメニスへ給へき所ナルヲ始終ノ所ノ
やうなる心シウイト也一女の御たいは恩給故なり一打とけ
たる御有様薫ノアリサマヲ浮舟み給也一宮の御くし中君也
哢女二郎ト也為二おほそう大総也一寒の御きんのね
八言一わかつまといふことはアツマコトウアツマイもニわせテ
イへり吾妻ト書ニヨテナリ一そのやまとことはたに琴にいへ
タリ浮舟の詞ナリ一そわうの台の上の斑女閨中稽古
色物王台上夜琴琴頂一さるは扇の色も斑女の
一故事イミ侍へき事也浮舟二役別ルへキ事ヲカクイヘリ
夕虫ノ巻ノ類一里の名もむかしなからに薫ノ哥ナルヘシミ
シ人は弁君事也但姉君にはウキ母ケをトりたるにや浮
舟の巻にもさるは枝対のさ方にはつとり也とあり
○も廿三歳啼アツマヤ廿五歳九月マテナリ薫廿六歳
浮舟
此巻初つか夕に正月の事より三月末迄あり
一一かゝるす地の物にくみ匂宮の中君を恨給也
一やんことなきさまには薫ノスへヲ給事一いつかたさまにも
匂寒は何方ヨリモ尋ヨリ給へキナリ一神のいさむる
一ことさまにつき〳〵しくハ中君ノ心優也恨ヲハヱイヒ玉ハ又〻
よりも
わたすへき所おほしまうけて三条近申所也
恋しくはきくもみよか
一年月もあまり昔をへたてゆくうち〳〵の御門をふから
しらぬ人は薫ノ中君へエン頃ナル事宇治ヨリコノ方
ステニ勺宮ノ北方ニ成給マテヲ昔ヘタテト也内々ヲ不知メ疑
モアルナリ一中〳〵かうかきりある此詞ヨリ中君ノ
む月のついたちすきたるひ、始テワタリ玉イエルトミヱ一年あらたまりて右辺カ大輔ト本一ノ冬ノ河也
心一へんことなきものに君君ヲ言宮ナトニモト有増中
君の心一つゝみ文のおほきやかなる汝海にタ干文の
一つゝましくおそろしき物に匂宮入夕玉シ丁也
事ナリトニハ花今葉タテ文ハ別ナリツヽミ文ハタキ物ナトノ
やうニ文ヲウスやウニテツム事也嫁娶ノ後朝ノ艶書ナトハ雑
皆ツゝみ文ナリ一大五人のおとゝ夕ヱツ殿一ト云也殿ノ
字ラトヽトヨムヘシ一この花かねをつくりて薫ノ詞
一金ニテヒケ籠ヲ作テ緑青ニテ色トリタルヘシ
一文は大夫かりやれ大土人もモトへトナリ一おほつかなん
年も暮ウキ母ノ文也一むゝにいとめてたき底には
フサハシカラヌ心ヲ年ノハシメナレハカク書リ一つゝましくお
そろしき勺宮ノ入居給三事一うつち卯槌卯杖
ト同にて卯槌持統天皇三年正月天皇朝万国前殿
レ卯大学寮献二杖八十枚一おほきおまへ句宮を
云一またふりに山たち花つくりて木の枝に山夕チ花
一ヲ造花ニシテ卯ケツ枝ニツラ又ケルナリ板椏奇砂鶏
サマタノ木也禁中ニ正月ニアリイツクニモアヘシ
一またけぬ物にはあれと君かためふかきこゝろにまつと
しらなんマタフリ又ハフレヌナリ籾極ニソヘタリ約トシテ
ナン松ニソヘタリ呼カヤウノ物ハ干ニモフレヌ物ナレ共君ラ
フカク思故ニタテマツルナリ行末トウク待ト也句宮御位ニ
堀川百て一泉
モマシマサハ君君春宮ニモトイハフ心上サラシ井ノ木ノ
下カケニユキフレハ衣手サムシ憚ハナケトモ行觸心ナリ
一女君少将なとして中宮少将十ト
一いかくうとかゝぬにか
一大内記弐部少輔仲信申知井之道定ナリ一との升にさしあ
かくことうねにニあらん浮舟ノコヲ思ヌカナシ玉フニ中土ノ方ヘシタシナシタルハイヤタルハイ川ユニ
てられ番ナトニツモル事也一のり弓ないえん賭弓正月
一縁ナルランウトクモミヱ又人ト思疑五ツ也二月吉日に
十八日内宴同廿一日ノリセトハ天皇号庭殿ニテ号ヲ御
ランスルナリ中春ニ弓ラミル事ハ礼記ナトニモアリ内宴
一ハ内々ノ節金ナリ仁寿殿ニテヲコナハルヽ也祝ノ詩ヲ
一作ナリ一つかさめしなといひて除目ヲスヘテツカサメシト云
一いりて御心にいと宮ノ御心ニイラレトテ妹巳下ニ不可然也人ノ子ニ見コトシ四ツハシヤ
へ上春は女叙位アセタメシ直物ナト有ヲ総名ヲ云ル
ソウミヤウ
一屋へましは疑心哢心やマシキナリ一まいりて言
立給所へ一いよすはさら〳〵と申リナル義ナリ
一右近なとなのりしわかき人もあり浮舟の女房也アツマや二
一勺ノ事ツケシ人ナリ一あでやか呼勝字也上臈シク
スクレタル心ナリ一物おるとて折也一是にし意
元帰浮舟ヲ母ノ具〆石山一マウテントせシ夜ノ事也
一このおとゝのいときうにメノトヲモ也石山マウテラ悪クナリ
一ヽヽトハ今モ乳母中トヲ云ん哢此乳母ヲトヽスシメ忘ノ母
ノ方ヘ出タルニヨテサシラメソカヤウノ物マウテナトライツク
ラント云シ一重ににくき物二條院ニテウキ母ノ方
へ匂入給シ時事一かゝるさから人中君には乳母
ナトサカシラスルナクテヨシトナリ一なにいかりのしそく
親族じ中君ト也一あてなるしはふき上臈三斗也
一仲信薫ノ家司内記カシウ下一みちにていとわり
なくおそろしき又ス人ニアイタルト云心ナリ一れいのこゝ
にはしらね薫ノ御供ノ人ヲモ爰ノ人へハイマタ知又
にや一いけるかきりのためこそ
恋しなむ後はなにせんいける日の
一時方口出雲権守大工人也一いとあさましく右通心也
一あやしかりしおり句宮にてみ給三事一かうかへさせ給
なんめけなり中〳〵サハクトモカヒナイ物エヘニモ乱ナルヘシト
サマ〳〵ニカコチシヤハニケント也一心にへき人を薫ノ事
一さなんとつたふ右近申時方トモ人ヲ尋ルヲソハナル人ノラシヘタル也
一時のまもみさら句宮一しらぬを返え勺詞一この
人々にも女房共ニモ云アハせ又十リ一よへよりけかれさせ
一文也月水ニト云し一こゝろをいなけかさらまし命はやり
一定十斗世ニテ心ハサタメアラハ歎申サラマシトナリ
一よさり忘へつこしつる昨夕也大夫出雲権守一重そう
の人さへ見受ノ人也アタリノ人ヲサヘト也一ひしりの
名をさへ右近詞一まことていとあやしき大夫言
一かたしけなけれハカネテシラセ給ハヽヨキ様ニタハナリ申サンウ
ト也一まいりてさなんと右近大工人申申計ヲ
一世のたとひにいふ世ノナライニ我ヤトウハ忘テ人ヲハ恨ル
事也薫ノ我等閑ヲハイハテ浮母ヲ恨ンヲサへ思給也
一袖の中にそ
あかさりし袖の中にや
一をのかきぬ〳〵
しのゝめのほから〳〵と
一五位二人時方一人は蔵人よりからふり上たんとある人と
一昔ノアナイシレル二三人トアリ此人ハ若キ人トンの御
一乳母ノ子トミユ一人のほいはかならす句我ナクハ薫中君
へかタライヨリ給ハントナリ浮舟を得給事をホのメカシ給ナリ
一もりきゝ給はゝ薫の半給はゝ中君の何ト申匂へ云ツルト
一思給ハント也一ありやなしやを人ノ空言ノ実不ラナリ
心ありてとふにはあらす世中に有やなしやのきかまほしさは
一言にもいと申上候一右近かふるくしれりける人の故の
御ともにて料管也、右近く知人薫ノ御供ニテ来ルト
一契ト也一月もたちぬ正月過ルナリ一夕つかたこゝには
浮舟の方へは也一我は年比勺ノ給三事也一いかにまゝて
おほさむ又薫ノ渡ル事ヲ匂イヤニト也一恋しかなしと
おりたゝねと薫の体有レ成一えんなるかたはさる物にて
薫ノ艶ナル方ハ匂ニハ及父子共也一けちかき水に花も
宇治宮河辺ナレ共京の宿は山水なと面白かるへしと也
一昨日もの給へりし匂二そノ心安キ所ニテもタラハント有之也
一ついたちころの夕月夜十五ケ也一さむきすさきにたてるか
さゝきもコヽニテハ只鷺ヲ書リ啼アやマリニハアラス打
キヽノヤサシキニテ書ルナルヘシ画玄ノ説ニヤ
蒼花霧雨霖初寒河鷺立一都なれ行廿十カ
ヒタル事ノウスラクナリ一おほし出ること有しにまさり
京帰テ浮舟の事公ホシ出ルナリ一大将人に物の給句
宮ノ御殿井所にテ
一やみはあやなし
春のこの
一衣かたしき
さむしろに
一かはゝりなるもとつ人本人と一つとめて雪のいとたかう
つもりたるに文たてまつらん先夜影ヲ給ハリテ明朔待ヲ
奉り給ん一いまびたつみつまさる此義心得カタキれ
句言は若菜に云マレ給薫次ノ年柏木に生給也わかク
立給事は哢荘子十ト引一かの人の御ぐしきにも
薫ノ宇治ノ事深思ゲシキニ匂フトロキ給ヒ一しるへの内題
は式部大輔を大内記は詔書宣命位記なとを書へ十つ
かさ也武部少輔は策有試なといかさトる職也イツレモコト〳〵
シキ職也一たちはなの小嶋と申
今もかも咲にほふらん梅の
文千八十三丁
万葉には梅嶋又小嶋又嶋のかてはなとよめり此所は皇子
尊の在所也三ヶ枕には河内国とあり藤但七瀬の祓の
所には大嶋板小嶋山城の国ニアリト注せり一されたる
一わか名もらすなよとくちかため
いぬかみのとこの山なる
一かの耳とゝめ給し一こと衣申タシキノ哥スンシ給ヒ事也
一わかすむかた
はるゝ夜のほし
一こはたの里に馬はあれと
山しろの
一このなか空をとかめ給句宮キかヒ給也一こきゝぬ
にこうはいのをり物濃打ノキヌナリ一侍従もあやしき
シヒラハウハモ也褶ノ字也其モヲ取給テト云ハやカテ上モ
ノ事也一そのもをとりてきせ給浮舟ヲタニマツヤへ人ノ
やウニ爰ニテタハヤリ給也一姫宮にこれをたてまつり
浮舟ヲ宮つアへ人ニシナメノ給也一恨たもなきても
よろつの情
恨たもなきてもいはむかたそなきかゝみにみゆる影なくすして
一むすめの子うむ所に乳母の女己一心やすくもえみす
文ノ事也一おやのかうこはしかたしけなしミヤトヲヤク句
ノフホスナリハヽヤリ給テアリキナト心安ヤラヌナリ
たゝちねのおやのかうこの
一あやしかりし夕暮の土類へ二条境にて匂言浮母に夕
トリヨリ給事いつとても恋しからすは
一猶ことおほにつるを句言う文をみる也一右近うろめた
新捨雕彫しらす
の侍従申心ヲ一里の名をわか身にしれは里ノ名
トは宇治ト云一なからへてあるましきことく末トケテハ也
一是も浮舟の哥也匂へ二首ナリ
一あまさに雨雲下み工天雲んイツレにても
一ましりなは呼両首
ゆく舟の跡なき波にましりない誰かは水のあはとたにみん
しら雲の
一つれ〳〵と浮舟哥薫へ一姫君に女二女也一いかなる
事にいたく物共尤上臈シク殊勝心也一内記かしる
一人男シライ事也一此月のつゝもりかた三月ニ家
アルシ受領ナトニ下ルナリ一定治にもこゝにもめのと
爰ニタトへは富士ノ山ノ類也一さそふ水あらいと
侘ぬれは身を
一八重たつ山にこもるとも
口雲のやへたつ山にこもとも思たちないたつねさらめや
一石山もとまりにきかしと浮舟のナやミヲ懐妊ニやト母ノ
思シ申共又月計ノ有シト也
一ふしめ也うき舟一おほろ
けならしときひえをき侍にし弁尼力集せシ事は否
ケナラシト思ニヨテナリ一うきたる事にやと弁ヤ思シやう
ナリウヰタル事ナラズト也一さるす地の事にて
中君にはゝ申る心一あしくもよくも薫モ女二宮を持
給へト他人ハイツヽはせントナリ一哀とおほしぬへき
薫の浮舟をかる所にスへ置テ花とウホサントシタリヤホニ
云也一さいつころわたし守かまこのわらいさほさしはつ
しておち入侍る
日本記曰大山守皇子堕宇治川而没哥云
ちはや人宇治のわたりにさほとりにいやけん人しわひきに
一みたゝし川には腹せまほし重恋家ニ煩ト人ハシラテモ
テサハクナリ
惑せしとみたえし川に
一しはしもまいりこまほしく浮舟詞也母の方へユヤント也
一たけふのこうにうつろひ給とも
物ニハアリ
ヲヤニマラシタヤトウタイ
みちのくちたけ市のこうに我ありと親にいつけらいあひの風
ウタイ物ノ時ハ文字ヲソヘテウタフ道口律
一風のなひかむかたも
浦風になひきにけりな里のあまのたくもの参り心といさは
哢には用と
すまのあまのしほやくけふり
一一かのせうか家にて式部少輔力家にて内記ナリ
一まことは此かうの君の文呼出雲権守申文トイへル也にて
一時方シセンニ爰ニカヨハスト云ニや一左衛門のたいふの家に
やいると左衛門ノ大夫則時方也出雲権守兼タリ
一さまてたつねん物とも匂御方ヨリノ使ハ心トウラテタトラ
サリケルト也長説一寒れいならす中宮ノ御事
私云コトシケキ官也
一内記は上官なれは私云予しけき穴也をくれてそまいろ
上官は政官也太政官と神官ナル工へナり上官トハ宛字
一ニ書来ルナリ上官ナレハ御伴ニモインヤ又ナリ
一おともたちて夕帝也一此君ハさうしより薫也河海に
一曹司トヽ障子ゟにて一あなたにわたり夕霧の方へ也
一むらさきのうすやうに桜につけたる弁桜もサ子は薄紫十
レハウスやウノ色モタヨリ有ニや一有かたき物は人の心コ
十人のアリセタキ也一のくこゝち遠サカル也
一やんことなくホンタイナトニセン人ナウハ小ノキスヲモイハント也
一一品寒の御かたに二三人匂寒のケサウ人を一品定にサ
フラハせテ二ツヽツヤイ給其類ニや浮舟ヲモシ給ハントナリ
一みちさたの朝臣は猶なかのふか家にや仲信は薫ノ家司也
一波こゆる
君をゝきて
一は文はなとて返し文ヲミスメセハイム事也ニて一みち
にてあけてみつる右近薫ヨリノ文ヲミシナリ一よからすの
右近か双帋の詞也一右近かあれのひたちにて
右迄常陸ニ付テ下時〳〵につけては上モ下
モ申る事は有ト也一いまひとり侍従也一みなこのうと
ねりといふものゝゆかり内舎人帯剣具兵杖武勇者也
黒板束桜也哢サフライノ品也一たゝ夢のやうにあき
れて匂言ノ体ヲ云一匁のミきす薫の事
一さのこときひしやうの事僻事也又非常と
一ふくろうのなかむされ右近力女心ニ梟ラ才ソロシキ物ニ思
ヨリイ一リ一こけのみたるゝ松蘿の契と云事アリ
夫婦ノタトヘナリ
君にあはんその日はいつそ松の木の吉のみたれて物をう思へ
一一むかしはけさうする人の有様のいつれとなきに
一大和物語生田の女の事也詞略之
一すみわひぬわか身なけてんつのくにの生田の海土名に有けれ
一呼枕草子ノ耳ナシノ池ニ身ヲシツメン事ナト也万葉ニ有
一こめきおほとか臣也大やら左也一をすかるへきことを
ヲソロシキ事也田舎ナトニ生夕チ給故也一おやをゝきて
我ト身ヲウシナフ不孝ノ一也一かの家あるし句御乳母
ノコトコ受領ニ下事也一行かたしらすむなしきり
我恋はむなしきえにみちぬえ
一匁いふおはしますみちの大久也出雲権亭一里ひたるこゑ
したる犬守レ家一犬迎人吠放野群牛引積休前
ふに
一あをりといふ物アフリムヤハキトアル本モアリ一いよいき人は
侍経一あたをおにゝあたおにゝと云本なり若敵鬼神
一ナリ共トイへり一ちるましきさまに人ニキセス一シキト云心也
一右近はいひもちつるよし侍従力宮の御方に参り夕ル程に
宮の御事申は十ツト語所に侍従帰て有様語なり
一おひなして一説帯うちかけなとし用み申ケ帯古へシ
一ひつしのあゆみ
けふも又午の貝こそふきにけれひつしのあゆみちかつきにけり
一人のいむといふ事解夢書口夢見二病人必死
一ねぬる夜の夢により浮母の母のみ也一役に又鐘の音
の二首十カラ浮舟哥也一にてきたるに書つけて
一哢誦経シテ奉ル巻数ニ書給シニヤニヽ
一あやしくこゝろはしりのする哉
人にあはんへきのなきには思ひりてむねかしり火に心やけり
一さかしかるめのといとみにくゝ浮舟ノ乳母思アツカフサマヲミテ
一我ナクハトむタルヲ哀ニ思給に一物思人の玉しゐは
思ひあまり出に玉のあるならむ
名詞三か薫廿三歳ノ春ヨリ秋マテノ事啼此巻浮舟巻ノ
蜻蛉
の翌日事なり五月ニウツリテ秋に成也薫廿六歳
嘲哢カケ口フノ事蜂迦崎蛤湯焔等ノ義アリ蛸槌ノやウ
ナルモ有ニや爰ニテハ蜂蛭ナトノ飛タルヲミ給へルニや又草ケ
一わケ口フト云事モアリニヽ本筆ニ蜻蜒蜻蛉ノ一名問云〻
蜻蜒ヲイヘルナリ一谷精蛉ト云虫シ蛭ハトンハラ也又カケ口フ
ノモユルハ春ノ陽気ヲ云ナリ以上呼説ハ
一かしこには人々おはせぬを宇治に浮舟の身十ケシ跡ノ事
一物かたりの姫君のは一松の物語にアル事也一京より有し
一使の母君の方より使也一ものへわたらせ給は事は
薫ノ宮ニワタン奉り給ハントノ事也近日ノ事ナルヘケレト
浮舟窓へノ返事也一いかさまにせん〳〵
わすれんと思ふも物のかなしきはいかさまにしていかさまにせむ
一ことつくることなくてもこつかん事也一雨すらし降やみた
心モトナクテ先母ノ方へ弁ヘントシ一よへのさかへりをも
れと呼浮舟ノ身ナケシ秋ノアラル日ノ雨也此雨ノ日露院
ニテ僧都ノ浮舟ヲミツケ給シ事同日ナルヘシ手習ノ巻ニ
一ミユ一いつしかイツヤ也一帝尺もかへし給也梵天帝尺は人
問ヲいヤサトル天ナリ帝尺ハ切利天ノ主也或抄云宇治大納言
物語に浄蔵貴所カ父善相公ノウせタルヲイノリイカシタル
コトノ有ヲヒケリ一人のみかとにも楊貴妃帰唐帝思
一養子七人人吉漢皇情朗一ひか〳〵しくいひつゝけらるゝ
乳母ノイヒ欲事也一おにやくひけん江銭に小松帝御時
仁和三年八月武徳殿ノ松原有レ鬼食人是則大恠也
一同廿六日帝崩御一むかし物語上ノ詞計也
一さてはかのおそろしと女二言のはアタリ一やさしきほとなら
一ぬはツウシカラヌナリ一行夜もしらぬおほ海のはらに
日本記ニ溟厳ヲ大ウミトヨメリ一めのといの大とこ
一乳母の子ナルへシ一法師のかきりしてやかす台人嶋〳〵
一煙の古事人もなきヲ葬シタル例シ一いとあやしくれいひ
さほうなと入棺拾骨ナトやウたへおはする人はする人は
申タウヤに一言の御かたにも女二言也一けることのすちに
つけて薫太心女ノ事ニヨリ乱テ又同スチニテ道心フカク
オラント也一かくれいの人ヒシリ心かせテ也一言のけとふ
らひに句言煩様一其比式部卿言こときこゆるもうせ
給申ケ口ソの式部一也一言ふし三つみてのみは真実の遠
例ナラ子ハナリ一たゝめゝしくイヤメナルやウヒ女〳〵シかナリ
一空とふ鳥の
一可憐病鵜夜半驚人薄媚狂鶏三文唱レ慨無人
一まきはしくは顔也只形見ト云心チリわきもこかきていより
一こよなくもをろかなる哉匂ノ心ニ薫歎給は又ヲ不審ナリ
一むかしより心にしはしも薫の詞匂言トノ中ノ事一いまは
中〳〵上臈に薫ノサレ事也一やんことなくもの〳〵しき
浮舟ノ心タノモシケナキモ思定給ハ又人ナレハ只ララタシトミテ
過シトシ一をのつからもや浮舟ヲ宮モ御覧シケント子タミ給
詞也一言にもまいりかよふ中ノ君へシ一さすにたき人の
すくせ浮舟のもかくしの思様也一人木石にあらされはみな
なさけあり人非二木石一皆有レ情不レ成不レ逢二傾城庭一
はゝからあるはなと兄弟ナト有人ヲハ葬送モコト〳〵シク
文楽
白氏
せ又十ト云テシイム心也一月たちてけふそ卯月之
一日も夕暮いと物哀に
土
〽から衣日も夕暮になる時はかへす〳〵そ人はこひしき
一北六郎こゝにわたり給は二條院へわたり給分
一一梅のかほのあたりは薫の哥に匂ラかつたル心アリサレハ心シテ
コソトシアムモ心有テナケカクトカメ給人アリト也一わつらハし
くと此詞ニテ哥ノ心立一さま〳〵につけて八宮姉宮等の事
一心ふかき中に姉君浮母ナト心フやク世を思トリテハヤク
御せ給ト也一こと人よりは哀也匂ノ御心中君ヲ
一れいの人めして時方一あやにくにかきりのたひしも右近
一侍読カ心ノ内ナリ一さるましき事を匂ヨリ御使時方忠
一君たちをも何かハ大夫詞也女房達ヲ終ニハシタシカルヘキヲ思テ
イソキテモキフヱヌト也一わたくしの御心さしも中〳〵
一浮母ナク成給テハ中〳〵心サシモフカク思ヲコヱント也浮舟ヲハ
せシ時ハ終ニハトタノミテ由断也一さるへきにてともかくも
自然トハカナクハトニ一は文をやうし給ひ給しなとになとて
めをたて此詞ニテ侍経クハシク語シトキコユ
一たゝこの人におほせたる浮母ノ為ニサマン〳〵ノ用意共アレトモ
此人ニ似アヒタル程ト也一ことに出てはの給はねと
ことにいてゝいをやさしみ山川の
一かのつくは山も母の事一まきれつる御心も句言文
子タミ思給シ心モ一をろに見なし汁けむこそ浮世の心う
ワクルカタアリテヤ薫ヲヒタスラニタノマサリケントナリヰ
一ふかき谷をも世中のうきたひ身をなけはふかき谷こそ
一かル川チ申キ所ナラスハ身ヲナケンニモ便アラシト也
一わかゆかりに我工へニナト云心也一重からいといふ事は先婦
ナレハ一こけをおましにて
一みよしのゝあをねか峯の苔むしろ誰かをりけんたてぬきなしに
かま
私云従フオマシト云事常陸国鹿嶋神社内ニ御建石
トテアリ此石ヲ御マシト云
明神御詠
尋ても今こそみつれちはやふる大山下のおく石のおましを
此哥を一日に三返詠せし所へは一日一度神行十候へキ由申伝
たリ一年及シリ基重此録を朝毎ニ詠せシ故ニやフ三キニ常
一陸に私領する所出来にケり一つみふかゝんなるわさと
一如キ溺水シ人急須偏ニ救フ岸上之人何ト用ク済為
一いつれのそこのうつせにましりけんウツせ貝也万葉石川の
観経
玄義分第一
貝ニ一シリテ一れいの家にもえいかすケセタルト常
陸カ家ニモユカ又也一あさましき事い薫文詞一かの大蔵
大輔仲信也一いみしき事に常陸北方文ノ詞
一かの君にたてまつらんと帯ヲ浮キタテマツラント思シトナリ所一ニ
薫ニ奉へヲニアラサルナリ哢一よきはんさいの帯斑犀
帯四位五位ノ人常ニ用ヒ公卿眼者ハ烏犀帯命
闇ニハ斑犀ヲ菜ルナリは一かしこにはひたちのかみ
一旅居の所へ也一よき人かしこくして常陸守申事
人ヲモ一カト執スル心也一人のそしりねん比にたへねし
一常陸北方ナトヘク介ナトコン〳〵トアル事人ノシランモ我カムナ
シクナシ給人ナレヲホサヌ由也一とてもかくても浮舟若世ニ
アランシリ給ハ子共トニモカクニモアシカラヌ事ト也
一六十僧のふせなと大般若転読ノタメ也七僧モ六十僧
ノ中ニアルへシ一常陸守きて宇治へ来也一もろこし
しらき新羅一言にかしこまり女二言を
一御思のさかりにかきたえてはいみしけれと申キ冬テハノハ
文字心ヲ付へシ一后二その御きやうふく明石中言御才
チカケ口フノ式部卿宮かせ給し事也一二言なん式部卿に
明石中空に腹二言也カケ口ソノ宮の闕也一この寒さう〳〵〳〵し
勺言也一小宰相の君一品の宮の女房一いひやふり
宰相ニ薫ノ事匂言イヒやフリ給一めつえし重なくは
浮舟の事ヲシリタルナルへシ一人よりことなりと是モ浮舟ヲモテ
思給也一かく物おほしたるも薫ノも也小宰相ミシリクル也
一哀しろ心は人に哀ハシレ共身ヲカヘリミテ問申サ又ト也
荒
一かへたらいトハ我ヲ浮舟ニ申へタラハト也
草枕もみちむしろにかへたらい心をくたく猿ならましを
一つねなしとし人のしるまて人ノ知マテハ十ケカ又ニヨクミ
一給ト也一このよろこひ哀なりしおりからも宰相哀三ル
ヨロコヒ前ノ哀ナリシミサンモイトゝ也一もの〳〵しく薫ノ事
一人かともやむことなく小宰相事一見し人よりも
浮舟ヨリモト也一なとてかくいてたち十分二五ツ中へに出タツ迄
一さる物にて薫ノスヘモソかへキ物ヲトナリ一人しまぬすち
一糞女一定心セケ給事ハ小宰相ニカクシ給ナリ
一御入講明石中之執行シ給一五巻の日中日也
一にのわた殿に姫二は一品宮事六條院ノ内西也寝殿
一八ツソフロ十ハルヽニや一てにひをもちなから一品こそ也
一御前なる人はまこともつちの心ちうする顧古右前後粉
一色如土長恨方伝一うす色なるも心サ三給小宰相左へ三
一さまあしくする亥の体四重に書タリ人の品々申ラハル也
一左のおほ殿の君たち薫モウトヤラヌ人ナレ共常に乱給
ハ又人ニテ人モ辱キマヱシニコテナリ一つとめたおき給
へる女二宮一あなたにまいりて大貮に女三言の女房
ナルヘシアナタハ女三ノ御方也一はうそく傍側シモノ〳〵シウヌ
姿云一ひめして人々にわらせ昨日女一言ノ氷ヲモテ
アソヒ給其頃ノ日也一ゑにかきて恋しき人漢皇李
一出入十トノ事ナルへシ一一品寒に御文はたてまつり給や
一品二その御文カキヲ床シク思給也一おとろかしきすぬ
一コナタヨリハ文ツマイラセヌトヲモラルヽト申サントナリ
一れいの巻句寒一丁子にふかくまたるうすものゝひとへ
をこまやかなるなをしに丁子染ノヒトヘカタヒラ夏キル事
一河海にみ立夕りこゝやもなる直衣とは夏の直衣こき花田に染夕
ル心ニヤコトシ匂宮ハ廿五歳ハヤリニ成給へルナリ
一おほえ給へりと勺宮女一言に似給也一ゑをいとおほく
匂寒の中二はへモタせテ花精也一女屋してあなたに
女一宮へ也一なにかしかおろして薫モテワタリナトは曲有
一シ一品六ツヽヨリ参ラセラレヨウシト也一あやしくなとては
中寒御返事也一かれよりはいかた薫詞一もとよりかす
まへ給いさえんをもモトヨリウトキ人ナリ共薫ノ室ナレハタ
一子給ハンコソト也一わしさまにおはする女一言の御方へ也
一こなたのけさんに入事のかたく薫物コシニモ女一宮トキ
立給父と一おいのみたち夕霧の御子達也一姫言は
あなたに中宮の御カ夕へナリ一大二之中言也一人より
心よせ給て大納之詞と一言を了いと情なく匂言の部マ
リニ花心ニヲハシマストテ小宰相ナトモイラヘ申サヌト也
一宮もわらはせ中意也一宮もいとあさましと中宮の
御心一かしこに侍下わらはの常陸もモトノ也
一宰相かもとにきた小宰相トサルタヨリ有之や
一おそきやう也ソソロシキ也一ゑともおほく大寒も
女一ヨリ女二へ絵共忝せうるゝに中二言よりも忝せらる
一せり川の大将のとを君の女一言思かけたる秋の暮
一古物語と水源抄云遠君迄にて或又十君にて此一帖
行成卿自筆本ヲミ侍シヤハせり川ノ中将トアリ恵心僧
一都の勧女往生文ト云物にイマメキ中将長井の侍給伏見
扇ナト云古物鈴アリトイヘリサヤウノ類也此絵薫ヨリ一品言
へ示テせ給也哥ノ末ニ云テモソヘマホシクト云ニテミヨ
一寒のうへに中の君也一侍経はよそ人なれと乳母右近十
ヨリハウトヲ人ナリシ也一うれしき瀬もや
心みにいさおりたゝん涙川うれしきせにもなかれあふやと
〇一猶みたてまつりし人に浮母に似たる人十シト侍絃思也
一せうとの右馬頭蜻蛉式部マノ北方ノセウト也一せうとの
侍経晴頓宮の御子也宮の君の部に別腹也一もはに
ひきかけ給つ申一人の様にて俄に意を着給と呼はアリの
詞心得カタシキヌナト不具ノ体と可尋一春宮よやなと
おほし我にも宮君ノヤク言ツ申へニ出給事候
一水のそこに身をしつめても宮の君春宮又薫十トに御ケシ
申あゝし申一品卿へ出給を聞て浮舟の方をなけしモ尤下也
一此院におはしますをは中宮女一言も六條院に住給に住給下前の
巻にみ工一この寒例の御心ならは匂宮一宮内に
東西の
中言一此君そかゝるすちは匂宮一寒い宇治の御物語
宇治の侍経にカタリ給也一さはてをも浮舟の一周忌一テモ
ナクテ立サルヲ薫へはツル也一なにかしをそ女房はむりく
薫実ナレハ女房モ心ツイ有マシトシトシ一さすかにさるへからむ
ことをしへきすねへくもあり好色ニモソシヘラレハナルヘキト也
心の底ニタハフレシ一やう〳〵しり給へかめれは我心中ヲ
ミシリ給ハンウレシキト也タハフレ也一弁のおもと女一そ御方
女房中ニウトナヒタル也一そもむつましく薫ノやう〳〵ミシリア
給ヘカメレハト云詞ノ返答也薫ヲムツマシク思ハン故ナキ人ハ恥
申へま也物はさころは中〳〵トは恥申へきは本義十レ共人の
心ヲモカケ給マシクソモナキカタチニテ物ハチナトハ似合ハス
然ハ其故アリテ打ツト申ニハ非スト也一はつへきゆへあら
しと薫詞ハソヘキ故モムツマシク思へヲ故モナク好色ニテ
アラシトヰタメラルヽクチオシト也皆サレ事也一手ならひし
ける女房共の体也一進みなへし大たから野一に
女郎花おほる野へにやちせは
一心やすくはおほさて薫ノ詞女房ニ交共申夕名はタテシト也
一さうしにうしろしたる中将君上一花といへは名こそあたなれ
一毛ト云名はアタナレトナヘテハナヒカシト也一かたそいなれと
取アへス書タルナリ一望さやかなるおきなひと翁言也花ト
イヘソ三ツ艶ナラスアマリ実ヲタテヽニクシト也一なにかはつ
かしめ給薫ノ哥ニ宿ウサ八トヨミ給へハ八ツカシメ給トイヘリ
一野へのさから只大サタニそ一ノウハサウ申ト也一御物はち
のゆへ爰ノ女房ハチタル気色ナレハハツヘキ故有折ニやト也
一かくのこりなからんと弁ヤイラヘヲ女房共ノ恥タルナリ誰モカク
トヲホサントシ一なかについてはゝわたをたゆるは是秋の天
一大底四時心総苦就中腸断是秋天調一有つか
きぬのサキニ薫云申ハシ給人也一寒のあゆみおはして匂言
一何の御かたの女一二そノナリ一猶あやしのわさや匂の問給に
やかて女房の名ヲ答たるを薫床シケナシト思給也一この言
には女房共の句宮には十レ〳〵敷也一わかさもくちおしくこ
の御ゆりには薫ノ心匂宮の好色にはマケ給へるト也
一まことにいはせあらん人はわか方にそ
我かたによるとなくなる
匂ハ心ヲホリ我ハ実ナレハ心カラン女ハ我方ニヨラントシ一されとか
たい物かな人のいこと論語曰誰乎哉有恒矣一匁いの
さかたの中ノ君也一あしのわた殿を女一宮ノフはせシ方也
一姫宮はよるはあなたに中言の御方也一なとかくねたましかほに
遊仙窟ニ女ノコト引フ閉テイヘリ故々将二繊手一ツ時ニ契二
一小絃二耳問猶気絶眼見若干為憐
女一宮の御事ヲ心ニコメテノ給へり一わかへきこのかみや侍るへき
是モ遊仙屋ノ詞ナリ容貌似舅潘安仁之外甥
一気調如レ兄季桂之小妹気調ノイキサシハ兄ノコ
トシト云詞ニテイラヘタリ心ハ匂言ノ事ヲ思へり女一言ニ
似給ヘル句寒ノ兄ニテイラせ給ラミ給へト云心也呼一品宮は
女二二宮ノ御コノヤミ也ウス物ノヒトヘキセタテ一ツリテミ給シナトハ
カタチノ似給へル心ナルへシ一まろこそいは母かたのをちなれ
同匂の内ニテ谷薫ハ女一宮ノ御ヲチナレハン一れいのあなたに
中宮の御方になり一りちのしらへ秋は律也女律也一心いれ
たる物音に一わか母宮も女三也一さかと〳〵朱雀院今上
一ことよち外をもとめられ侍ると
おふてふことよりほかに又もかな君はりをは又もしのはむ
花鳥則古哥ノ詞ヲ取テ思テフト云心シ又心ノ内ニハ詞ニモイハ又
故ニコトヨリ外ヲモトムルトイへルニや呼心ニフカク思事ハ詞ニハ
アラハレ難キ故ニ言ヨリ外ヲモトメシリ給へト也一なシ〳〵の
人めきて薫ニアヘシライナシ〳〵ノ人ノ様ニ人伝ハアリ也ト
たれをかもしる人にせむ
一なへてのかゝるすみかの宮の君ノイラへ給事カロ〳〵シトナリ大方
ノ人ナラハヲヤシサミヱヌヘキヲ宮ノ君ニテントナシカラ又ホトニハナ
下こや一ありかたの世や十く十九人は十キト也
一是ことはかきりなき人のかしつきおほしたて給へる姫君
又かはりそおほくあるへき或品寒の御女也此夕に人を
ホウウント云い也一このはかなしやかろ〳〵しや浮舟〳〵
一ありとみて手にはとられひ一あるかなきかのと
たとへてもはかなき物はかけろふのあるかなきかの世にこそけれ
手にとれはかつはとられぬかけろふのうつろひやすき君か心か
夏の月光をまして臨時はなかるゝ水にかけろふうたつ
かけろふのそれかあらぬ候春雨のふる日となれは袖そぬ迄ぬる
かけろふのさやにこそみめむは玉のよのまの人は恋し自下
やケ口フ色々ノ説前に実トハウノ赤色ナルヲ云
手習
名詞か廿三歳春より廿四の春マて呼薫廿六七歳かけ
ロウノ巻ノハシメト同時皇浮母ノウせテ後ノ翌年ノも也
其年暮テ次ノ年ノ春ノ事マテ
一そのころ横川になにかし儒都十二カシ僧都トハ直心
一院ノ源信僧都ニ思ヒナスラヘテイヘリ此僧都ハ慈恵僧正
ノ弟子ニテ横川ニ住給テ顕密ノ教ヲヒロメ侍リ五十ヱリ
ノ妹ト云ハ安養ノ尼ト云シ人ニ譬タリ
一ふかき顔ありてはつせにまとてけり僧都ノ母君ノハツヽ
一世ニ詣タルナリ恵心ヲハ其母ノ泊瀬ノ観音ニ祈請シテマウ
ケタル人也ヨリテ古願アリテマウテタルトイヘルニヤ
一宇治院いひし所平等院也以前ハ六條院ノ御ツタヘト云リ
朱雀院の御領トイへルモサやツニナリタルニや哢一かしくのみ
あらは常とりぬへき心ちすヲクニ小野ニテ平鷺メホソリ名ト
一アリ水気ナトニ腫気アルヤト也アラハノハ文字ヲハ髪ハアリ
やナレや遠日不見分○也一むかし有けむかし有けむかし
りけむめ松にゝやあらんと文殊楼目無鬼事ん心説に
目鬼ト号ス一いかきさま憤猛共一雨いたくおはねへし
浮舟身ナケシ翌日ノ雨也一人々おはれ人に被及逢
或彼悪人逐十ト経文ニモアリ一をのか寺にて見し夢
ありき妹の尼の詞也はツせての夏也一有様みぬ人は
一婦人トミ定タル後ニミタル人ハソソロシクモ思ハ又ナルヘシ
一人の心まとはさむとて出きたるかりの物にやとみたかふ
一修色迷レ人猶若レ是真色迷レ人応レ過レ此文楽一よへ
ミやられし火は葬送ノ火ノ事也キ又ナトヲ焼ケルナルヘシ
一大将殿は宮の御むすめ宇治姉君ノ事一かたはらにいさ
ひとり妹ノ尼ミ一重しやくこと邪気の祈祷ニ護壇に
焼芥子子一斗ス也一四五月も過ぬ卯月廿日ノ斗ヒ
一あか仏京に僧都ノコト
一おほな〳〵哢子ン比ナルナリ一くとくのむくひにこそかゝる
かたちにも法華経随善功徳品云面目悉端厳為人所二喜
見て又端正者忍辱中来大集経文一えんにしたひ
てこそしたねなきことは仏種従縁起とは
一我むざんの法師にて無慚法師或懴愧也無下ノハチ
一十一三キ法師卜云いと一いむことの中にやふるかいはおほかゝめら
一諸戒の中に麁強罪はらつから止とイへ共細漁罪はコト〳〵
クニトヽメヤタキ者也五戒八戒十戒等ハ麁強也二百五十
戒菩薩三聚戒十無昼戒一切威儀形等ハ細隠タルへ
ヲ止一いみしきことともをちかひ給行者の物を祈ル平生ノ
終習の行を此時の顔に申ケテ祈ルン一人にかりうつして
ヨリマシナトニウツシタル事也一むかしをこなひせし法師の
いさゝかなる世にうらみをとゝめてたゝよひありきしほとに
一或説云昔染殿后皇后御ナヤミノ時金峯山ヨリ久修律
行の行者参テ加持シ奉る平愈の後本山ニ帰テ年来
ノ行業ヲ廻向シテ撰テ鬼トナレリ紺青鬼ト云常ニ后ヲ
ワツヲハシ奉ケルヲ智証大師ネンコロニ教誡シ給ケレハ紺寿
鬼ハ千タル色アリテ其座ニアリナカラ灰ノやうニ成テキヱにて
り其後后本の如くに成給にけりにて善相公之記にも三五夕
り大師の御事はナキニヤ此滋賀只人朝勤上人等如此
例多シ呼真済僧正事ストサル事有シ例ナトニヤ
一よき女のあまたすみ給し所にすみ付て如有女人端数
巨冨君無強夫所掃護者為悪人之後辱大般若臣
一おほくの日かす六月時分共へシ一ひとゝせたらぬつくにも
老女多所ト也
もことせにひとゝせ
一男のよりきた霊ノ人ニ現〆ミヱケルヲ匂宮トミシ也
一竹とりのおきな申クや姫は八月十五夜に天ニノホリシ也
一このあなしも小野大尺もと一郎をなけし涙のつこ
菅家
なかれ引我はみくつと成ぬとも君しからんとなちたとゝめら
一こもきとて上東門院ノ上ワクハニイ又キト云者アリト栄花
物語ニ云ヱタリ此物語ノ中ニモイ又キナレキアテキナトヽアリ
源次
作者ニモ左コモキナト有
キハ公ノ心也又野宮崎合ニ
一
見順家集一むかしみし都鳥に都ノ人ニ似タルナシト也
名にしおはゝ
一世中にあらぬ所は
世中にあらぬ所もえてしかな
一中将こゝにおはしたりさき打をひて中少将モサキウオフナリ
近ヲ頃マテノ事レ呼中将モ小随身ヲメシクスルニヨリテ
前ノコヱヲ殺スル也は一忍ひやかにおはしせし手習ノ君ノ
に句言〳〵も一これもいと心ほそき宇治ニ思今ノ詞
一年廿七八六七ト云本モアリイツレニテモ一すみはなれかほ
なり戸君共ノ世ニトラク住ナシタレハヲノツカラ少中将ノキタ
ル事モウコタルトナリ一人々にすいはんヒヌト云飯ナリ又は
ホシイヒ共一はすのみやうの物サカツキナリ蓮子遊仙屋連
子盃ノ名也一とはすかたりも手習ノ君ノ事ヲ語モ出
いへ申也一はゝまもひはた色にならひたるにや検皮色はラ
一モテ蘇芳ニクロミアリウス花田ヲ云ナリヒハタ色ハ尼ノキ
ル袴也秦染ノクロハヒタルトチ為一いらゝきたるアウ〳〵シ
キ心ナルヘシ橋姫ニサムタイラヽキタルト云ハ身ノ毛ナト立
タル心也一羅うのつま入つるほと尼君の内へ入ツ時手習
ソミシナリ一なにゝほふらん
こゝにしも
一人の物いひを小野ノ人は中将ノハや人ノ物イヒヲ思給ト
一気ナシテイラフル也一藤中納言の御あたり中将の所也
一海髯黒ノ息ノ恩ノ事トイヘリ誰共ナキ一然上
一世を捨たれと小野ノ尼共ラホヌタリ一せんしの君知りの
中将ノフトウトナリ一むかし物かたりのこゝちもする哉住吉ノ
物語に似たる事アリ一あたしのゝ風に承歴予令に草野
野ソ過テアタシ野マテ行ケンモアチキナシトイヘリ是名所ゟ
又野宮崎合判云アタシ野はハ名タカヽウ子ハやアランアリ所知
れる人スクナシトニて清輔朝臣抔云名所ケニミヱタレト只ア
タナル事ニヨセテイヘルとアタシ心ナト云躰也一まつちの山の
となむみ給ふると
誰をかもまつちの山の女郎花秋と契し人そあるらし
哢一ノ心ハ秋トチキレル人ソ有シト云心はハ中将ニや契而ラン
ト思ハせテ云心ナルヘシ又ハ手習ノ心ツレナケレハ又不知秋ト契
ル人モや有ラント云心モアリ
一こたゝあるまて
花とみておらんとすれは女郎本かたゝあるさまの先にこそろれ
ウタヽアルハウタテアルナリ一世をこめたる末ノ遠キ也
一秋をちきれるはすかし給にこその山君一ツチノ山トナンミ給
ナト云シ哥ノ心也中将ニ秋ト契ルト云心ニ取ナシテ也
一秋の野のし宿にここつなセコツクル十也尼君三里
一かゝるこたいの郷ごもにはフルメキタル左ニ似アハスイマメクト
十り一鹿のなくねになと
一山里は秋こそことにさひしけれ鹿。なくねに花をさまして
一過にしかたの思出らるゝにも中将先妻の事思也
一一見えぬ山路にも手習ノ十ヒキ給いゝコソホタシニモナルヘケレ迄
六
世のうきめみえぬ
一あたゝ夜を御覧しあたら夜の月と
一何かをちなる里も引哥未見也
一一ふかきよの月を表とくス又ノ戸の哥也手習人下云十六ナリ
一きむのことひき給へ大道ムスメノ石ト云シ詞一いつらくそ
たち人ヲヨフトテ誰コソカコソナト云也古今作者ニモアリ
一それなめにせん大居ト中将聞也一さためなき世そ八旬
左は残り若ヲムスコノナク成名□ヲ思ヒ一いまやうは
おさ〳〵ムスメノ尼ノコトヒクヲ聞テ琴ノコトハ今ノ世ニハ引
人モ稀ナル物ナレい中〳〵メツラシト中将ノ聞也今やウトハ
当世不好事ナリ只当時と云心也一をうない姫字迄む女
心なり大声詞一念仏より外のわさなせう
万事家生皆捨離専レ門発レ願向二西方一一とのもの
くそ主殿ノクソヒ女ノ名モ官ヲヨフ事常ノ事也
啼問云トノモリノトモノ宮ツコトモノ六ツコノアソフトノモリハ
主殿寮也ソノ被官ノ下部ナトナリイツレノ官ニモトモノ
宮ツコハアリ伴部トモ書なり一たゝ今の笛の音も
たりたんな一本
たつねす調子ヲモワキ一へヌシ一つけり〳〵たけ
たななと笛ノ唱歌を和琴ニウツシテ大戸君ノヒキタル
ナリ拾遺哥ニ
笛のねの春おもろく聞ゆるは花ちりたりとふけはなりけりけり
一ことはとも詞卜は嘔哥〳〵も一いさの世にきこえぬ詞より同上
一わすらせぬむかしのこと声女ノ事ヲ中将ノ思出ルナリ
一おほししるはに手習君ヲイヒナヒカシ給へト也
一ふえの音にむかしのことも忍はれてテ文字公ヘシ一族のはに
をとらぬほと〳〵に引哥一尋一かへり申たちて賽悦申也
一いとゝ侘たるは尼君一命たに心にかなはす身をナケントせシモ
心ニカ十八ス一はかなくて世にふる川のし二本の杉手習哥
はつせ川ふる河のへに
一又もあひきすんと一ふる川の杉のもとより左君君云
一かの御五そつよりし尼君也若又ウせニシムスメカ
一ぎせい大徳に碁勢大徳肥前掾披良利法寛蓮子囲碁
一心には秋の夕を早下也秋ノ夕ノ哀ヲモ不知ト也
好手也
一しみつかんことのやみ引哥に不及也
さゝのはにをくはつ霜の花を寒み土見は一くとも色に出めや
一山里の秋の夜ふかき手習君物フモフ人オラ哀モ不知也
一うき物と骨もしえて思ハシレト卑下也手習言又亡却て
咒一ひとつ橋あやうかりて狼梁橋開諸注に不見
師説トテ云身ヲナケント思取テ行人ノ道ニ一橋ノ有シヲ
渡るとてあやうかりて帰りしと云事あり何の書にみヱタルトハ
ナシ但此心尤叶へリ手習ノ君モステニ身ヲナケントテ出シ人
ノ不意ニ命有テ又老尼ニやクハレントソチタル心ニタトヘタリ此外
は心得申タシ一こもき手習ノトモニツレシ童也一いたちより
いふ物か鼬ノ一ニケサストキ事ナリ一戸すきなかとも
薫の計一人よりまさりぬへし薫の実類は匂ふせ過
タルニハマサルナリ一有し御さま匂言也一かゝれとてしもと
ひとりこちたら比ねはかゝれとてしも一東の御かた
ムスメノ戸也一ふいにて不意ヲモハストヨム也一思るたち
て心をゝこし給ほとは箒木の巻にモイへり一粉の気もさこそ
以前祈シ時〳事一うつし人にて世におはせんも女房の
カタチニテ世ニヘ給ハンヨロシカラシト也一ワかうへのきぬけさ
なと僧都ノ衣製製也にて一るてん三かい中なといふにも
たちいてし物をと流轉三界中恩愛不能断弁具
一入無為真実報恩者
ワンアイハタツコトアタハスト云ヲ聞テ我ハタチハテシト手習ノ君也
一いける仏ハカネテ仏ヲタノミシハカイナカリシ身ヲ思給テナリ
一かきりそと啼此両首同心ヲヨメリ今ハト限ノ哀タヘヌ
折ナルヘシサレハ詞ニモおなしす地のことフト云リ尤哀也〳〵
一ツきしとをくこきはならん此世の岸人を一れいならすとり
てみ給道ニ成給へレハ中将ノ文ヲモハシメテミ給フナルへシ
一あまのみき木を母も一重うのこと希有し也
一いまいしられぬえん彼君誰と名のカトナリ一しらすさもや
一僧都返答也一りうの中より仏むまれ給はすはこそ
一龍女成仏事也一このおまへなる人小宰相なり
一一あね君のつたへ小宰相部子宇治ニ有已前ニモ薫ノ斗中君へ
カタル宇治ヨリ小宰相申夕への伝と有右近侍談申談申問ナルへシ
一言はそれにもこそあれ中宮の御心一はかなき物におほしとり
たる手習君ツネナキ世ヲ思トリ給ト云ニ尼君ハツヤシク思ふ也
一あやうす物きぬ僧都の手習君ニマイラスルナリ
一葉のうすきかことし陵園妾にて顔色如レ花命如葉薄
将奈何文集陵図妄ニイヘルハ命ハ葉ノウスキカ如シトハ君
恩ノウスキヲイヘリ爰ハ命ノアタナルニヨソヘタルニヤ取ウヘテイヘル也
一楽府陵園妾
一松門に暁いたちて月徘徊す事顔色如花命如葉薄
将二奈何一松門暁到月ニ徘徊柏城畫日風簫瑟
ハイクワイハ月ノメタル心也陵園ハ宮女ナリシヤ君息ニモアツヤウ
す後に陵園の女と成てつまへたる人この御習君の小野に住給に
一似たり一ひねもすに吹風陵園妾ノ詞フウケテイ一リ
一はるかなる新はより山路ノ躰也軒ヨリミワタシタルナリト
一木からしの吹にし尼君一くわさうなとすみたる萱草色〳〵
一袴事也紅ノキハミタルナリ出家モシハ服者悪也スミタルハ
光モナ斗也一かミい五重のあふきミシカキ髪ニタトヘタリ
一檜扇に有三重五重にて桜ノ三重カサネナトアリ
一この尼君もはなれぬ此尼君の哀に思様ヲミテ此女にはナレ又
一人ナルヘシト云心也一おほかたのしいとふによせて手習く君は
一大カノ世ヲ思捨テ居ニナリシク我身ヲイトフニナシテツラキト
一ナリ一思ひ出る時もおほかり匂言母十トの事一雪ふかきし
君かためにて手習君ノ哥尽君ヲ母トタノム心ナルヘシ
一春やむかしのと月やあらぬ一あかさりし匂ひの句言に手習
君ノ心残リタルナリ
あきりし君か匂ひの恋しさに梅花をそけさは折つる
一ほま〳〵しき大石ホレ〳〵シケレハムスメノ方へヲテ物語ス
一ひたちの北方紀伊守も妹浮母の一こ父に申て一えまちつ
一け給まし常陸北方ヲ一その御はて同忌ノ事
一はしめのいたいみしかりき〽姉君の事一ほと〳〵出家も
薫婦君に別シ時事一世中の一のとすろをも
花大臣一上ツ一の所と云或又一ノ人共云也只イツクにても随一の
スクレタル所也呼開日家ノ事一あま衣かはれるにや手習
の君の哥心は尼に成たる身十レはやんさウソケラミテ昔をやゑ
ント也下ノ心ハ此サウソクハ我為ノ法事ノ料也サレハ昔ヲ
一思出也一猶いつこにかあらん誠にナキ人葬へ猶思十に
一かうふりしたるは元服ノ事爵ニハアラス一所のさかにや否
ト云所ノサカニテ心ウキ事共有申ト也一物のたより手習君
周忌ニ一猶うちつゝきたるを姉君の役手習君らせシフキ
コシメスカト思給也中言は姉言ノ事ヲノ給ナリ一君そこ
と〴〵小宰相ヲ君トノ給コト〳〵は悉シ一さま〳〵なることも
こそ匂薫サマ〳〵ノ事ノハカリ有トノ縫一言のとせ給
一中その問給なり一うつゝの人の中に現存の人の事恩タニ
セクレナシトナリ一心の宮も匂也一さなの給ひそなと
勺二ツヽ中宮へ口申夕メ給ヒやカル事ヲコシメシヤラノ給
出サリシト也一言もかゝつらひ給にては匂言の手習の君ニカ
ヨヒ給ツヽ薫ハ銘ニナキ人ト思テ有ヘシト也一ろし人におゐ
てマコトノ人ニ成テ後ノ世ノ縁ヲタノマシトシ一もてはなるゝ
事は手習ノ心ヲ一宮の御事をいとはつかしけに句言の御計ら
一宮はいかてかきゝ給はん匂言は半給はシト中宮の給きこえん
かたなにける御心のほとかなときけは句宮ノ好色ウ中宮モ
ハチ薬シメスナリ一月ことのい日ハかならすへうときわさ
一毎月八日は六斎日の始也其上薬師の縁日十レはなり
一ちうたうに時えまいかる根本中堂延喜七年伝教大師
建立之本尊薬師如来者大師造立被其以後梵天
帝尺四大天王忠仁公日光月光菩薩宇治開口十二神将
一御堂開白被造副し一うちみむ夢のこゝりも哀を
もくいへんとにや打シン夏は手習ノ君ノ事見参〆詞
ノタヨリニモ小君フト也
河海
薫サ四歳
夢浮橋
此物語ノ巻に相壷より手習ニ至マテ或ハ銅ノ字ヲ取テ
名付或ハ哥ノ心ヲ以テ名トセリ爰ニ此巻ヲ夢浮橋ト題
スル事詞も不見三つにもなし古来不審也凡夏ノウキ橋ト
つゝケタル事是よりハシマレリ夢ノワタリノウキ橋トアル三ツニ
付テイへると或説云手習の君薫中将の文をみる一ゝてもなく
返し名によりて文見又カ故にウキ橋ト云上此巻に夢と云事
五ケ所にあり又大将哥に思は又山にフミマトフ哉トアルモマト
フハタトル義ナリサタヤナラ又心ニヨセテ夏トイヘルカトニテ此義
浅香也枝文ヲヒウキミテ有シナカラノ御手ニテヤミノ香ナト例
ノヨツヤ又マテシミタリトイヘリ火カタ此物語ノコリマタク色ニ
フケリ言ヲカサルニアラス只無常迅速ノコトハリフアラハシ
感者必裏ノ趣ヲシラシメンカ為也今ノ題目ヲ案スルニ先夏
ト云ハムナシキ心也有無ノ説法イツレモ夢ニアラスト云事ナシ
一涅槃経には生死無常猶夢ノ如シトヽキ大円覚経云
始知衆生本来成仏生死涅槃猶如昨夏善男子如
昨夏故当知生死及興涅槃無起無滅無来無去又
唯識論二モ未得真覚常処爰中故仏説為生死長
一夜とあり内外の経書に此夢に付て様之義ありしる大に
イトマアラス此下銅略之一ノ名法ノ師法のしとたつぬる
道を此哥より哢薫廿七歳は
手習ノ巻ノ末ハ春也
此巻は夏以トミユト
私夏ニ至ルトミルヘシ
巻名手習君ノ一生夢ノ如シ其故トて
一京にはかくしき柄も侍らぬうちにはか〳〵事栖モナシ又山は
近クスマセントノ詞也一ちかきころほひまて夕方ノ屋持シ
一小野の辺と工一むかし物語に玉とのにも語に
ウツホノ物語也ト云ヽ可勘タマトノトハ殯殿也見葬礼記
或もよりや天稚彦夢逝の後下照姫天に喪屋を作て
一一殯スト云り又読日本記云大宝二年
辛
酉
一酉
大上天皇
日浜西殿
持統崩
なトアリ或又魂殿共云々礼記には殯言と云り聖徳太子
令入定給所を夢殿トイ一ルモ同計候此事若呂后
高祖
右
事をイへルと彼后山陵を数百年ノ後赤眉ノ
党室をとムル為に握をこすに死人形美麗ニシテ如存仍赤
後漢書に
眉の党是にメテヽ千人犯之て
ミヱタリ
唐土には死人の口に
玉ヲ合シメテウツミ又レハ年ヲフレ共形予不爛壊セシ
我朝には上古は帝崩給時玉を含せ奉なり玉トの
宗督死人ヲ死人ヲ前ニ置棺所ナルヘシ又云昔宇治宮薨シ
一給シ時シハラクサウソウナクテヲキ奉シニ棺ヨリ出テ人ニ
逢給シ事モ有三ナリ呼河海説不相叶ニや入棺シタル人ノ
蘓生シタル事也宇治ノミコノ越波ノ御子仁徳天皇ニアヒ奉り
テ物ヲノ給事相叶へ申上花専ニアリ
大将
一てんくこたま天狗史記天宮状如奔星黄帝伐二
蚩尤一之時以正月十五日伐斬之其首者上為天狗其
身伏而成ル二地霊一
本朝
月令
一三月はちは三ツキ八十リ也
一さてこそあなれ一位なといふ事も官位をモく成て発心
サマタケウルヽト也一すゝろなるやうにい手習君を僧都
ノアネ道君やシナイ給故也一あをはの山非名所夏山也
名所には若狭近江等ニアリ一谷の軒は非名所谷ノ端
軒端同事也但軒ハヨリミワタシタル谷ト例ノトアリ前ニ云ハ
此義也一かゝる山路くおはせし薫言治へヲハシマス事
手習の心一いもうとのかほは手習ノ君の弟也女ナレハイモ
トイヘリ一をことあらゝかに涙ノ一キラハシナリ
一けさこゝに僧都ノ文詞一そゝやあなうつくしフトロキタル
詞也一有しなからの御手にた奥入取かへす物にもなや
河海にもつらと申ス共也一我なからもとかしきになん
我なからさももとかしきい哉思はぬ人はなとか恋しき
一つの柳とたつぬる道を僧都ヲ此道ノシルヘト云いと
一みたてまつる人もつみさり所なかるへし心かやき人をはつ立
カマシキトモ也サレハツミサルトハ心浅キ由也一雲のはるかに
へたゝらぬ
あふ事は雲井はるかになる神の音に聞つゝ恋わたるかな
一おとしをき給へかし薫ノカクシヲキ給シヤウニヤ今人ノコキ
五斗テ世人思へケレハ本ニト申ケル也
タルラント云ホスナリ一本に侍める作者ノ詞ナルヘシ作事
女房装束抄哢花奥にあり
裳のこしラル長サ一丈
おほこしひきこしウチラリ物モンチイサキヤラレニクワン
ここしヲモイ〳〵ノフリ物火やウハヤウキウ袖ヨリイタシタル物ヲ
スルナリイツレニモイトニテフキ物アリ
追ゆるしたる人りうもんのきぬをきる時もおほこしひきこし
はうきをり物うらはひとへもんのたゝあやもんちいさかるへし
夏はすゝしうきをり物うらはそれもひとへもんのうす物
冬はおほこしひきこしのうらはやこしはり
ひきこしのなかさ六尺五寸
おほこしのなかさ二尺五寸
一こし四尺三寸
ナカヘハコハ〳〵トハルヘシ冬ハイツレモヲメラカスヘシ夏ハ
ヒネリカサ又ヘシ
ひとへ裳は大こしのひろさ四寸五分
ここしのひろさ二寸五分
イツレモウハサシノヒウクミアリ
ひきぼし類字抄に引干也海藻ナトにて調之様アリト云リ
一常寧殿とは紫虎殿と御次殿との間にありソレ多引中宮と云なら常
一雲ハ中宮ノマシマス所也
一摂政大臣の罪様を止ると云納言より下ノ孔ヲ卒ト云
一位三位卜云は上三位十ト殿上にシタカカフト云い也
一監と云治にアリ尉に当し引
一極政トハ御門若クヲハシマス時何事モ御代ヲ申テ従シリソキテ闇
ト云也
一ヒキホシクイ物ノルイト也
一屋とり木ふいとけの車檳榔毛金造納代車よし有一可増病粥半衣驚
アナニクヤヽモメカラスアケモヤウスル人ヲントロカス
人薄媚狂鶏三魚唱暁。遊仙屈