源平(一)
- AI要約 (β)
- 熊坂長藩という大泥棒が牛若丸に討たれた話から始まり、人間は相手を選ぶことが重要だという教訓が述べられています。例えば、結婚相手を選ぶ際には相性を考慮し、自動車事故に遭う場合でも相手が財産家であれば賠償金が多くなるといった具体例が挙げられています。また、牛若丸の母である時賀御前が経営する時賀会館の女中たちのサービスについても触れられ、彼女たちが客に対して巧妙なサービスを行い、チップを稼ぐ様子が描かれています。全体を通じて、相手を選ぶことの重要性と、巧妙なサービスの価値が強調されています。
- pid
- 1322686
- date
- 1935-06
- note
- 商品番号 : 53460, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
- year
- 1935
- genre
- 落語
- creators
- 林家 正蔵(七代目)
- duration
- 199
- persName
- 林家 正蔵(七代目)
- publisher
- ビクター
熊坂長藩という大泥棒が現家の御相子牛若丸の刃にかかって命を落としたようでございます。
加害者がよかったからしたがって被害者の方も名が上がったわけでございまして、人間すべからく相手を選ぶことが肝心でございます。
奥様をもらうんでも、迷信だ、なんだ、あかんだとおっしゃっても、小読みや何か出していろいろ相性を見ます。
虎と蛇ではどうも具合が悪いとか、犬と猿では家庭の不安が絶えないとか、牛と馬では滑劣になる、なかなか癒しませんが、いろいろ相手を見ます。
仮には自動車に敷かれるとしても、なことは願うわけじゃないんですが、不幸にしてパチャンとぶつかっても円卓やトラックじゃ詰まりません。
私の仲間にも一人ございました。貨物自動車に跳ね飛ばされて3週間以上の重傷です。
けれども運転手君がお金がなくて金5円の領事代で泣き寝入りになったようで、5円ぐらいもらったってしょうがありませんですが、これチャチなトラックだからいけなかったんです。
彼にうんと財産家の五齢女かなんか乗ってるトラックに、五齢女トラックになんの乗らせませんが、
34年型の高級車かなんかにぐーっと敷き倒される腕を一本ぐらい折っぺしょったって相手は財産家です。
ちっとも驚かない。あら、ちょいとどうしたの?話しか知りたの?悪いもん知りたわねえわ。どうして話しか腕を折ったの?
あらま、かわいそうに。領事代として3千万円やろ。あんなにくれませんから。何しても相手が肝心です。
この牛若のお母さん、時賀御前という方が実にあっぱれなるとてしゃんでございまして、
夫、様の神吉友が出世をしている留守に遊んでいてはもったいないというので、
京都の市場通り河原町のほとり、文化閣へ時賀会館というのを開いて、自らマダムでございます。
大勢女中さんを使って、あらまた女中さんがいい商売でございます。教育なんていらないんですから、ちょいと顔が良きゃもう月に二、三百円ぐらいの収入はいい頼ものなんだそうで。
またその代わりサービスの方も美に入り才を穿っているようで、ちょいとたーさーなんてなこと言ってか、
鼻を揺らしながらテーブルの下でぎゅーっとお客様の足を踏んづける。踏まれた方がいい心持ちになって、
うー痛い、あんなにぎっつく踏むんだから定めしっぽくに恋を感じているんだろう。
チップをどっさりやろう、バカな奴があるもんだ。本来中で足踏まれりゃ喧嘩なんですけれど、
あそこで足踏まれとお金を出そうと言うんですから、ずいぶん違いのあるもんだございます。
そうかと思うとまた片っぽ目つぶって、ちーっとこう首曲げる。あれウインクって言うんだそうです。
シューハンの最高極致、まず流し目のファインプレートが言いつくべきもので、片っぽ目つぶって、
うーっとこうシューハンなんなら山本かんすけらのたんげたべんなぞ、のべつシューハンを送っているようでございます。