手[ガラ]批判
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- 不明
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- 2026-08-17T19:23:21.505Z
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
□□□□
手柄批判
手柄批判全
○士大将
狩野博士集書
一侍大将是軽卒に不可准士の司として一手を下知
す其大将の覚語に依て其合戦の勝負を決す然る
故に一番鎗二番鑓鑓胴場中の高名なとを心懸諸
卒の如く一身の働をなさんと思は士卒に不構
下知を不為故に士卒軍法を不守我勝にして遂引
の制禁なし然は其軍屓になる也亦士卒は幾人討死
しても全体の勝負に無害侍大将魚気の勇を好
一貴賤を心掛討死する時は一其軍負に成也大将へ
忠心なく建夫の働は勇にも不有難才愚蒙之
義にして知もなく将にも不有組の侍被官迄尊敬し
思付様にして兼ては仕間鋪もの合戦にても大将の
下知なく共其時に当り慥に勝利也見届亡仕所
ならは大将の下知を不待後軍を二重三重に勘へて
組の人数を進て敵を見切魔を取て下知して其
組下の面々に金高名をさせ諸卒の誉上中下に依て
ひいきなく明に沙汰して賞美し下知を背て軍
法を不守非義の士を罪して其戦に勝は士大将正
寛語に有然者其組其下諸卒の誉を去将
壱人の誉に取也是大成誉也敗軍の時の通し際
或は味方崩懸て敵承に向又は負軍にて其備の士
卒敗軍の時は討死に極て自身可働也又堺目の
御預歓来て責家によく持こたへて不渡明不退も
大成誉也大将の下知有者各別の儀也
○者頭物奉行
一者頭物奉行は其役を守て勤るか誉也敵を不追
崩以前に其役を差置一人働是又忠なく信なく
勇なし主軽大将は二身の働を止其軍の全体之勝利
をして組の足軽を不敬進て能弓鉄砲を射させ鎗初ル
刻は一所にまとひ集て玉薬をつかせ火縄を不消弓
に箭をはげ両陣の制に備て時分を見切横を敵
を討或は敵の後をゐ討或は足軽に下知して敵の将元頭を
へり討にする。是大成誉也是仕様に依て其軍の勝を
取然は士大将の功と同前也侍さへ散乱すまして足軽
疋夫なれ是足軽大将自身の働を心かけ組を捨て
にて其組一人も不可有然は足軽大将の甲斐なし二騎
者と同前也一人さへ難仕誉なるに其組中之者に
誉を取らする事縦は廿人之組頭は三十人かけの誉也歟
を切崩て主後者自身の働め何様こも可仕也如斯する
事を嫌ひ自身のかせきを心にかけんとならは兼て
始より此役を可辞退延左なくして日比者其家にて
一奉行肴頭とて戯勢をなし崇敬せられ戦場に
一族て自に之恩を忘れ其役義を捨て二騎者の
働をなす事不忍至極なり殊更武者奉行旗奉行
自身の働歌有之者也
○実捨使
一實検使は二大事之役也二備々へ旗本よりの検使也
近習の者頭足軽大将の役也其備の諸士の手柄に覚に
克見届敵を見切士大将に心を付て異見を加へ愚寄所
を云先々へ使に行ても高名をし先手ゑ実検使或は
十一日
警固に行て自身の高名も可仕也士大将不慮に討死
あらは代而魔を取て其備を下知し静めて可し執行
引取時も加様之刻は能下知して可引取也実検使は
近習の者也其手の警固也城責にも宿城破にも焼
働にも又敵の押へ備にも堺目の城にも此実検使を士
大将に差潟類也其士大将の権也其侍大将若主人一
不忠非儀の色有之其場に合戦の災出来らんとする
時にて其侍大将を討て代尾を可取也此役は敵の為
より第一味方の侍大将の検使者此心を以此役を勤る
を忠節とする也
○使武者
一使武者は好物見を仕味方の手柄善悪を依古贔屓なく
披落し物見に行或は使に行て如何様に毛勝負を
仕高名可仕士大将看顕物奉行に存寄事あらは
進て事をなさすへし実検使の意得と同前也但又
使に行て其返事を大将へ不申しては其合戦の勝負
危事有之にに家高名を心懸其場より不帰は
不忠也高名に非す侘国之陣へ主人より使に行其陳
風有時尚以一手柄可仕也主人之為也
○一番鑓
↓
一一番鎗と云は天合戦或は弐百三百の小迫命にも弓鉄炮
軍終て弓も不被射鉄炮も不被放ほと近付寄は其備
一の形一剱先に成也其時一人進出鑓を合る士を号して
一番鎗の高名と云也勝負は必時の運次第なれば其
にも不採此侍のこゝろはせをかんして諸人に勝たる
所を誉也縦は勝軍に人を不討共此を第一之高名と可云
然共軍法を背峻懸して大将の下知を不聞是を
も当代二番乗一番鑓なとゝ云て誉といひ高名と云人
有大成誤也子細は勇士の本意とする所は智と忠
と勇也法を背て抜愍をし将の下知に背て独働
を好者は無忠知なく勇なし。因茲高名に不有と
言也故いかんとなれは軍に泣なに定る事は其備の
約束を定二二の首尾を合衆義一味させ始終作法
を不乱して全勝を取らん為也士卒法を不用衆儀一
ござれは其謀不成一度は勝事なれ共始終の勝利
危し然るに如斯の理を不知己か一人の功を可立事
を本意とし。主の下知に不随は不忠第一の侍迄
故に忠なしと云軍法有事を不知大将の法を破
独働を好邪義の強みを専とするは兵法の正理
不知故也故に無智と云也諸人法を守て大将の下知
なけれそ不進争者なきに独法を背乱なく進そ
邪儀の強みなれは何そ抜出の勇といわん先登に進
命を軽し死を不恐所は勇者に似たりと云へとも
利に背たる強みは一勝負の用に不立者也夏の虫
の火に入狂人の自[ヲ]吾身を害するかことし爰の火に入
狂人の命を軽するを見て誰か是を手柄也誉成と筵
人間そ不及云香類虫類も何の分もなく死する事
者有物也是を手桶とは不言也其大将は不用共我の身
の誉として他一行而是を以知行三重録を得むために
するか侍是日比恩を受て居る所の恩を報せんの為に
義に依て命を捨るの常之法也主仁公軍に負共且我か
欲の為に命を捨非義之勇をするは縦は盗人の命に
替て物を取と同前なり加様之者の願所の欲をさへ叶
ゑはへ如何様之逆心もせん事疑なし古語子路曰君
子尚勇乎子曰君子者以義為上君子有勇而無義則爲
一乱小人有勇而無義則為盗是のみならすゝ損多して
一德募し進て敵を殺所そすこし利有に似たりと
いへ去壱人二人の邪勇を以て大敵を破事は難成ければ
其徳とする所はすくなし法を背独進は胴勢不続
に依て大略其者討死する討死すれは敵には徳を付て
競七味方には損をさせ気をうしなふ。是大成損也縦其者は
仕合よく不被討と云苦背法者一人あれは諸卒掟を乱るこ
軍法を背者多然時は備みたる勝利あやうし此故に
軍法を背き抜懸をし。大将の下知に非して独をて
働をは高名とはせす又前に云ふ江の二番鑓を第一の
高名とする事は敵味方共に勝負を始めんと備を
進め大将の下知を重して二命を不備先登にをて
敵を誅也可正を知て止可進を知て進之軍法を
不肖者有知故也一諸人先を争といへ共敵味方前
後を見合進兼る所をは諸人の先に進勝れて出る
は万人に抜出たる勇也此三の者謂たる故に
是を第一之高名と云也
○二番鑓
一二番鑓と云す右の一番やりに讀て鑓を合るを二番鑓
と云なり是又おとらぬ高名也三番鑓と云事はなし
如何となれは二二の譴おわれははや何方にそ崩れ
色付て無懸なる物なり高名手柄の批判何れも
一済切に是を穿鑿す他の備へ行佗の芝居へ行て
の働は法を背ぬる抜懸の独高名に同し不覚
の働と定るなり約束を乱にするは道理にあ
らさる働成故也
○鑓下鑓州崩際之事
一被下やり脇崩際と云事は一二之鑓合類人に指続て刀に
或弓鉄砲にて進出るを刀鎗脇或は弓やりわき鉄砲
鑓肱と云也然に敵味方兵に刀にて鑓洲を語る人鎗
脇の一番なり殊更證を合る前後に押込鑓下にて敵を
討取を鑓下の高名と号て能誉とする也更に少連を
崩際の高名と云也此等の人若鑓を持たるはめつ
程強みの鑓をも可仕故に鑓側の上とし二番鑓
よりは少増ならんの次にそやりわき次に鉄炮鑓脇
也右手柄の次第は鑓にて進むを一番と云力にて其脇
を詰るを方鑓脇其鎗を合る前後に押篭て敵を討
是を鑓下の高名なとゝ云て二番やりよりは次の高名
とする也子細は一番鑓を合るながて諸人の先にを
是一つ亦やりを以を出敵を押へ刀持たる人に堅固に
人を討する是二つ之道理に依て一番鑓を第一とす
類刀にて其側を詰るは一番やりに出さへこれて敵も進
兼るを其利に乗てうては也あなかちに一番やうの力をかる
にあらすといへ共一番やりけりは仕能送理有に依如斯也
但又其場の様子によつて鑓より強みの太刀打も有へ
けれとも天法を不定は手柄のせんさく難成に依て
古来よりめ此此次に弓は遠にて勝負をする物なれは
刀やりわきよりは次之誉也鉄炮は猶又遠し場中の
勝負高名と云は敵之かた共に一二町へたて鉄砲を
放し懸進来て敵合女間計も有は箭単始り扨
両陳備の中より兵進出弓を射に鉄砲を放は其間
拾五六間ならてはなきに其中に手負死人有を二刀
も切付たるを場中の勝負と云其顔を討たるを場中
の高名といふ也如此戌刻は白歯者を打たり共手柄なりに
或は場中にて味方の侍手負て引取兼るを引懸て
一退敵に不ゆ討も同意の働也二に二番やり二に三番
一鑓三に場中高石四に鑓下の高名五に崩際の高名六に
弓鑓脇匙に鉄砲やりわき也次第如此なれとも此者
共は何も鑓を持は一二のやりをつくへし一所に立なら
ひての事なれは也
○組討
一一組討と云は物見なとに出たる時敵も味方も馬上に
て世り合有之刻馬上より組て落に其敵を討取事
無類之高名なり天物見之刻馬足軽とて敵味方馬
上と馬上と迫り合鑓を合る事も大成誉也物見に不
限敵と組て討を皆組討とも云へし
○印
一印と云は追崩してより後に討取をは印と云也我等も
〽おくれす走廻かたるとの印の首なれは印と云なり
然に其印の中に上中下有之本其うたれたる敵
一を能敵と見は其刀脇指歟歟指物如何にても取
来へし其首の名を可知か為也衰之名字鼎と云
所に其主の名を書也故に製にて其首名を智也と
是を高名と云ても不苦当代皆高名と云習したり
○将討
一将討とは先其敵の大将を討取事は大概追討な
れとも是一人か万人にも当る高名なれは冥加の武士
と号誉の第一なれは兎角の不及沙汰義也追計の
一中に上の誉有と云是也其上貴万人の侍手柄をし
て勝も其大将壱人の勝と云亦負るも其大将一人
の負也敵も味方も取合る責戦事は大将一人の覚語
にての事なれは大将を討取は唯の首五百千討取よ
り大成誉也玄君へ木忠功也次采幣を湿取来頭亦
追首なりとも上々誉也子細は。尾所持の士は侍大
将歟又足軽大将歟或ハ組頭物頭物奉行の首なるへし
然は何と敗軍の時も義を智忍を為に命を頼す
る同心被官付従て討にくき物也殊更味方は敵を追散
て後の勝負なれば勝たる方には馬を引寄打無に
敵を追詰討取んと馬を走かし乗つくる間彼官も
同心も顕も大概右の通にて一人働成へし此所を穿
鑿して是を上の誉とす文合戦勝利之刻追首成共
顔廿とも此ともかたまり備を不乱引取所へ味方を
まとめ懸て敵をつき散しか我も討人にも討す
るは是又よき誉也
○後殿
一後殿と云そ敵地へ深く働入士卒を多かたせおくれ口に
して引取将亦敵地に不限一何方にても退口にて味方の
一跡に引さかり静に退を云也是大成誉也殊味方手
負て退兼る武士を引懸て退或敵幕に鑓を合る
士のて一番鎗同意の高名也強みは猶増成へし子細そ
進将は人の心勇て味方一同に進て遂跡つゝきて味方
をあとに引付る也掛る時は血気の勇盛に依て進へし
敗軍の時をは仁義の勇に非は不可叶引時は人の心
おくるゝ事常の義也壱人跡止て返時は大敵の競悪
に声に引離て此者其場にて勝負あれは小返の
勝負敵を討は小返之高名と云に返之刻勝負を仕
人を討。鑓を合類を小庭際の鑓或は小返際の高名或は
小返之勝負と云是に続てかへすをもり返しと云
又敗軍の刻敵幕を度々返し合すれは敵幕事
一難成是をもに返しと云又敗軍して合戦勝利を
不得苦右之如に返しにて鑓を合敵を押へ味方を
堅固に引取するも一番鑓同前也是を小返の場中と
云強み是一番やりより猶増成へし此者に返して敵
を支壱人弐人守返し是を見て諸軍皆かへすを
一大色と云此うへに味方勝利を得は敵敗軍あらけ右一人
の小返の忠功不可勝計抜群也後れ口の刻は味方の能士
なと討死して有者。其被官に下知して其首を揚
敵へとらせぬ様にすへし死人の被官不居は頭をあ
けて帰て被官に渡へし是又神妙也能働可成
後口の時差物道具なとを落て取に帰も能武のす
る事なり
○将付
一一将に附と云は敗軍して引取事難儀成時能主に付
一士是養也忠功の侍に仁義の勇者と云へし殊主君馬
離給ふに我下馬して奉乗事大成忠節也歌急に
追来ら遂防而主君を無事に引とらせ可申旬論主
人敵と勝負有則は。其顔を討。主人をすこふをほ
まれとする也
○抜出
一抜出と云是押向刻は敵見崩よして鑓を不合と云とも
味方の中にてこそ人進出たる侍強也故に是を抜出
の誉と云也敵向はく鑓をも可合如此の義を以也左
横の刻崩際にてゝ人を討たらは場中の勝負にもし
おとゝぬ高名なれ共弱敵なれは其所を穿鑿して
其次の高名と定類也
○城責
一一番に城へ乗入たるを二番乗と云城は四方なる故四
一方より同時に乗入時は二二の儀難知其甲乙の穿
鑿を争有時に門際又は城の要害不堅固なる所
より乗込たるを一の誉とす子細は城の虎口にそ尺
一数多有て防もの也亦要害の堅固の江をは其堅固を
頼て防者寡し、不堅固なる所をそ用心して人数
を置て防者有故門父不堅固なる所は乗にくき物也
加様の所を乗込たるを一の誉と云也其城乗不遂苦
一屏下城際堀際門際へ責寄に城際へ近を手柄
とす尤敵城を巻ほくして引退刻後殿をして人
より跡にさかり静に退たるも大成誉也味方の侍
手負て退兼類を不捨して引懸て退たるは
敵の武者を討たる同前也亦味方の奴士を敵に
討れて死居乳を敵城の際にてせわしき所ならそ
頭を揚て刀臍指に湿て持て帰も大成巻也其
討れたる士の被官つゝかはそれに下知して如此に
さすへし被官つゝかには右のことくして被官に可渡
尤敵出て其首を取らんと勢は鑓を合る事大なる
誉とする也
○鼻
一鼻と云は頭を取鼻を欠事有也場中の高名の時其
にかゝせわしき場也又はすはた武者白歯者の首をは
後詰の衆に断鼻を欠て胸板の間へ入持事有其
高名敵みかた場中にての事なれは紛れなし其上
侍にてもすはた者にても不苦大成誉の高名なる
一放重而頭に穿鑿なし首を持ては荷になりて
先の加勢き不成故に尚可働為也故に首を捨て
鼻斗欠也重而の働を心かくる故也不然して
鼻を欠と云事はなし、大に嫌之場中の外の鼻は
一雑人の頭歟坊主女の首の或は味方の名の頭かゞ其分不知
に依て也
○実衆覆者
一実聚覆者と云は敵も味方も弓矢監にして穿
鑿強き家々にて宿城へ取懸られ備を出程ては
一二度の迫合にて崩るゝ事はなき物なり然は押出
押込出し返勝負にてなくして。迫合二度も三度も四
度も有之刻能武功の侍大将備のよき謀有て味方
競ひ敵わたおくれて勝負始るに道脇へ北散敵は
大概白歯はへ是をこほれものと云也歟士は退にも
かたまりて追放国討にくし是を実衆と云也縦そ人を
不討とも実衆へ付を手柄とし覆者に付を不参也
又後れたる方の侍も幾度も返合或は能詞をつかひ
静に引取は剛なる働なるへし
右之外能誉弄心は勢数多難可有之委難
頭其品々右之道理を以遂吟味依其品其品其性宜
穿鑿して可決勝負は也
不覚之働
○病頭
一病頭と云は大合戦に人を討はくれは首帳演る後証人
もなき頭を持来を痛首と云也子細は敵も堅固なる
者戦散て後まて跡に残居て人にうたるへき横なし
若病者父深手負たる者の何とそ子細の有て行
歩も不叶者にあらすはみかたに後れあとに止り闇々と
可致討乎と云道理にて病首と号也故に不覚の働と
云也但又能武士も事により子細有てかくれ居る事
も可有若左やう成ものをたはかりて生捕又討取
なとする事もあるへし是は又此類には不可有也
○女頭
一女頭と云めて始右大合戦なとの判追首に証人なくして
鼻欠来者有を女首と云也子細は首の善悪不
艘見分坊主歟或は女の首かとうたかひ有故如斯云
て不覚の働とする者也
○拾首
一一拾首と云は大合戦にても小迫合にても敵味方の間に
手負て死たる者多有之を味方の侍敵の実衆へ
かゝり右之手負死人には目をも不懸捨て先へ進
其跡にて君之手負の首を取を取を捨首取たると云母
但是も又武巧の士に続て小者中間なとの取は不覚
にそ不有と云共能侍の心はせには不有其心根の
しきに依る不覚の働と定類也
○杓鑓
一一狗鑓と云は垣或は築地屏なとき溝柵を隔て
鑓を合するは誠との鑓とは不云狗鑓と云也但不
覚の働臆病の義にあらす然れとも是を本の
鑓を合たる様に云は不穿鑿の事也亦は馬上に
て突合追崩て後散々に成て退敵と突合なと仕た
類是をも本の鑓とけへは是又臆病には不有
但物越の鑓抔は堀溝を越亦屏柵築地なとを出て
鑓を合らるゝ湯を不逞して物越に構て突合は縁
病の義なり
○弱条之批判
一見崩と云は敵の懸来を見て勝負なくして
崩るゝを云なり
一裏前と云は胴勢或は二の手後備の衆なと敵あひも
不見へに崩るゝ事有之是を裏崩と云也
一一閉崩是は敵むかふと問て敵に不合して退を云なり
亦夜中なとに鳥の羽音其外夥鋪物音を歌おと
なりと思て崩るゝ事も有之也但見崩は引かく類敵伏
かまりを置時其大将の盤にて熊と用事も可
有けれは各別の事也
一友崩と云は味方の来を敵そとおもひ崩るゝ事有之を
とも崩と云也
右四个條は軍法不正論には常に有事也
○恐心
一かたき討の事ねらふ人は昼夜共に心懸時分を不嫌相
逢を限りに可打果時刻を移事なきを以上とす子
細是時節を伺月日を送る間に人間の不定生死籠
計若死せは本意を不遂して止計ならす家歟
一疵人の嘲を受へし故に如此古人も云り討得たには
本意を遂運尽なは身を捨て報すと也亦ねらすると
人は常に寝屋をかへ寝食を宴せす昼夜用つを
堅固にして行路に敵を見は道をかへ不被討を手
柄とすへし縦道にて行逢とも此方より拂へから
す彼方より詞をかけは尋常に渡しあふへし血気
の勇者は是をそしる共哥聞入邪義也諺曰用心
一臆病にして心を図に持へしと云り
一一合戦迫合なとの刻一親兄弟を顔にうたせわほくの後
仇成とて遺恨に持者有之一是辟事也子細そ敵も
味方も主の恩を以身命をつなき妻子を扶持し其_
一報謝の為に戦場に出て走廻とて運つきて討れたるか
何の恨め有む其に依て能武士を討取ては其死害を
送り亡魂を弔事情有勇士の作。法也合戦和談の
後達に出合其報謝有武士の習成に結句恨みをむすひ
あたを報わんとするは能作法ならす故に辟事
也と云也合戦の其場にて眼前にて親を討せ子を
為討兄弟は知音をうたせて其儘居るは不覚也
則時に乗込懸入ても敵を可討也併敵退の吾深手
負たらは無了簡又其場に有不逢して後に関又
不知是又無了簡也故に右之親類は一所に居る事尤
かれ親を思子をおもひ恩愛心にひかされて我様おくれ不思
不覚も可有唯親子は一所に不居して面々に可持と
なり
一科人家なとに取篭居刻其所へ則時に不入科人は
如何程有そ何道具を持て何方に有と聞定あふな
けもなくして押入討取は能武士の作法也然を則時に
押込討ぬとてそし類は是砕事也
○放討
一放討の者家内にても広庭にても切て出たるに最
前に懸り而切れたる者手柄也如斯成刻湯からも
後からも列人遠より寄て此秤人を切伏たり共一の手
柄は初の者成へし子細は二人勝負を争所へ脇より
寄ては切よかるへし但又いかに初に懸て切結たり共
其者を不打止後人に譲て立退は不覚と定る也
放討の刻科人不勝負して足早に逃を討留すて
逃したるとてそしる人有之無理也足早に逃て
追付事ならすはいかゝして是を討留ん也又下人なと
切とて手負たるをそしるも砕事也小者中間なれはと
て何そ剛臆のかわりあらんや刀をさし腰指を羨しな
者ならは心剛にして抜合勝負をせは其時の仕合にて
イ
手負事なとかなからんや然に其場所の様子をも不洩
して無理にそしるは砕事也
○仕者
一仕者は主人申付ての義なれはめ何様にもたはかりて
切付刻主人御意之由詞を懸て子細なく討すます
か手柄なり。若又科人気とりて覚悟したる気色有共
随分なためてたはかり討へし其上にてもたそから
れすは無了簡可討也に加様わたはかりて討事臆病
に不有は兎角に無事に討済か忠節也
右之條々古今之良将被定置所也此趣可相守也