傾城貞操龜鑑
- creator
- 菊川英山畫
- created_at
- 2026-08-17T19:23:18.081Z
- updated_at
- 2026-08-17T19:23:18.081Z
- field_rights
- CC0
- field_creator
- 菊川英山畫
- field_language
- 日本語
- field_has_image
- true
- field_identifier
- 10010000014464
- field_ocr_status
- completed
- field_title_yomi
- ケイセイミサオカガミ
- field_attribution
- 東北大学
- field_oai_datestamp
- 2025-12-02T15:05:28Z
- field_oai_identifier
- 10010000014464
- field_ocr_updated_at
- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
徳
瓶
2740
田
永
昌
福
寿
文七
物
語
清川
西
板
図
一
福
長命
貴
}
清川文七物語
傾城貞
操亀鑑
全六冊合本二冊
永寿堂梓図
近江
或
甲賀
家
重宝
天国
剣之
図
自序
此勝失は竹田出雲様がつくりたる男作五鳳金といふ院本に振りて
前にあらはし故人並木五瓶が述意に做て后の趣向となし古老の語り
つたへたる物語をかきくはへて一部の小説とて蝙蝠ばおりのみじかき才もて長羽織の
なか〳〵しきを荅つゞれば児女教訓にそなへんこと最おこかまし唯春雨のつれ〳〵ぐさ
由なきたはふれことく主顧の君子見ゆるしたまひね
EUNTECODODONODODENODEEEDEDENEDEDEDETETELENONOENEDEDERITEDEDERITETEEENTETEUETELENTETELONTENONOEUECO
文化六年巳巳夏草稿女七年庚午春正月発兌
橋本
徳瓶
作
菊川
英山
画
西村
永寿
堂梓
前盂
南調
清川文七物語
傾城貞
操亀鑑
全六冊合本二冊
永寿堂梓運
近江
国
甲賀
家
重宝
天国
剣之
図
児童婦人
自序
神釈亭吉氏巻□書
一此勝失は竹田氏雲様がつくりたる男作五鳳金といふ院本に振りて曰
前にあらはし故人並木五瓶が述意に做て后の趣向となし古老の語り
つたへたる物語をかきくはへて一部の小説とす蝋燭ばおりのみじかき才もて長羽織の一
なら〳〵しきを登られば児共教訓にそなへんこと最おこかまし唯春雨のつれ〳〵ぐさ
一由なきたはふれことく主顧の君子見ゆるしたまひね
IのOOOOODOOONONODODODODODODODODODODODODOOODODDDDDODODODDDDDDDDDDDODODODDDODOODODDDDDDDDDNDDDDDDDDDO
文化六年巳巳夏草稿女七年庚午春正月發兌
作
徳瓶
徳徳
橋本
菊川
英山
画
西村
永寿
堂梓
形論
南調
吹笛秋山風月潜誰家巧作断腸敷風飄律呂相和切月傍劇山
畿処朝胡騎中宵堪止走武陵一曲想南征故国楊杆今橋落何一
得愁中却冬生
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
潮台門松山弥図画
Noneranderanterenterenterenterenterentingerenterentingententerentingentingentingentingenterentingent
○近江国甲賀家の
小姓
花岡文七
五元集
文七に
ふまるな
庭のかた
つふり
これにコレーューローレーレーレーレョンスはーロービ・・ロービョトスはリセーセ・・ローン・フィー・フィー・・ローン・ション・ロービー・ション・
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○甲賀家の
如古琴
後に泉州堺
乳守の遊君
清川
似城の
そなるは
秋柳かな晋子
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
鹿嶋の
ことふれ
於石
芸子
小俊妹
一重
札
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
しくのやめ
玉森平太太夫
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
升
同十一丁
丑十一月
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
男作
白藤源蔵
○芸子小俊
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
金玉玉子玉子
上上吉
甲甲賀三郎
上上吉
あやめの方
上上吉たんぜん男
文化図文七
上上吉若女がた
けいせい清川
上上吉若女がた
重小しゆん妹やへ相
上上吉かたきやく
軍荒川軍作
荒川軍作
一上上商はんどうが
新浅間新五兵衛
浅岡喜内
上上吉ろうぼ
町喜内妻敷たへ
上上上やじつごと
兩僕とき平
上上上土戸かたきやく
なるたき
天上吉たちやく
藤白藤源蔵
大上吉若女がた
春芸子小俊
文七
五十一
亭主
同十一
僕とき平
東山のじだい
文明のころ
あふみのくにを
りやうし給ふ
甲賀三郎
かねくにと
きこへしは
よろづの
びれいを
このみ
たまひ
そばちかき
きんしの
ものにも
びじんを
えらひ
侍馬
侍る
あまた
あるが
なかに
はなおり
文七と
いへるは
いまだ
つのがみ
にてさいち
すぐれ諸けいに
たつしことさら
たゞひなき
ひじんなりけるにぞ
〽みづからが
めしつかひに
そのやうな
みだらがあつては
おいへの
おきてが
たちませに
よいみしてかならたきが
てにわたりけるにぞ
なる
なるたき大にいきどほりかゝることの
あるゆへにわがいひし事をうけひかず
此ふみをしやうことなし二人のものを
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
しゆじんかねくに
しゆじてかねくに
ちやうあいかぎりなく
おほくの女中こしもとら
思ひをかけざるはなかりけり
扨かねくにのおくがたを
あやめのかたとてならびなき
けんぢうなりけるがあやめの
かたのめしつかひなるたきといふ女
花おか文七にふかく思ひをこが
たび〳〵心のたけをかき
くどきけれともかねてなるたき
心だてあしきものとしりつれば
文七さらにこれをうけひかず
いとつれなくいらへて
うちすぎけるこゝに又
こしもとこきんと
いふもの
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
文七之
たがひにふかく
思ひそめけるが
おきてのきびしきに
おそれ人目ばんりを
へだゝりて
たゞ
ふみ
にて
心の
たけ
かたりあふ
のみにて
うち
すぎ
ぬ
さて
あるとき
こきん
文七が
もとへおくら
ばやと
ひそかに
ふみをしたゝめ
くわいせうせしが
あやまちて
とりおとし▼
琴
いしゆばらしせばやと
おくがたのまへにいで
かのふみをたからかに
よみくだしければ
あやめのかた
日ごろ心あしき
なるたきが
そにんとは
いひながら
かねて
きひしき
いへの
おきて
あれば
せん
せん
すべ
なく
二人の
二人の
ものを
きび
おし
こめ
文七
さるほどに
あやめのかた
しばらく
ありて
なるたきを
めしいだし
大にいかりて
のたまひ
けるは
さきの日
そちが
そにんに
よつて
文七
こきん
両人がつみのがれがたし
それにつききびしく
せんきをとげたるに
さきだつてそのほうも
文七にふぎをいひかけしよし
文七にふぎをいびかけしよし
さすればそのほうとても
ゆるしがたしたそある
しもべどもにめいじてきやつを
此まゝおつはらへと下知のした
てんでにわりだけひつさげきたり
なるたきをとつておさへおびぐる〳〵と
ひつほどきはだりになるが身のあるはぢ
いつほどきはたりになるか身のあるはち
わりだけにてたゝきたておひ立られて
なるたきはいまさらなにと
せんかたなくいと見ぐるしく
たちさりけり
〽たち
おろう
〽たち
ませい
〽日ごろ
おいらを
むごく
こきつかつた
ばちが
あたつて
よい
きみ
〽はてやかましい
火のようじん
さつしやうましやうをみるように
わりだけでたゝかずともじんじやうに
でゝいきやすヱゝけちいま〳〵しい
之
二
巻
そのちあやめのかたひそかに文七と
ごきんをめしいたしてのたまひけるは
かねてふきせしものおもきつみに
おこなふべきおいへのおきてなれども
さきの日なるたきがひろひし身を
見るにひとふでのつうろのみにて
まつたくふぎをおかせしともおぼへず
ことさら文七はかくべつとのゝ
おんきにかなひ御ちやうあいの
ものなればみつからが
心ひとつにておんびんに
すませつかはすべし
さりながらもしや此事
のち〳〵にあらはれて
みいからがおきてをゆるかせに
せしとわかきみのおん
とかめにあづかりてはいかゝなれば
ふびんながらこきんにはことへ
ゆゑなくいとまつかはずなりと
ありければ文七はあつとたゝみに
かしらをつけこはありかたき
かしらをつけこはありかたき
おんはからひわれ〳〵かゝる
みそか事のあらはるゝからは
おんてうちとかくごせしに
そのまゝにさしおかるゝとは
しやう〴〵せゝのごかうおんと
なみだながらにふしおかめば
こきんもともにひれ
ふしておくがたの
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
なさけのほどをかんじけりあやめのかたのたまひけるはなんぢゝ
たがひに思ひあふたるなるいまいとまつりはすこきんなればくるしからず
しばしのあひだつもる思ひをかたりあひわかれとせよこゆふけとき
はいぜんのまに入給ふ
文七こきんはおくがたの
すいとな
さけの
はつらひに
あたりの
小びやうぶ
ひき
まは
つもる
かさ
をや
かた
らん
〽たとへ
いま
わか
るゝ
とも
せぬやう
にして
七
ほどなくつぐる
六つのとけいあや
めのかたたちいで
たまひ小きんが
てをとりとびいし
づたひににはの
きり戸をそつと
あけこへをひそ
あけこつをひそ
めてのたまふは
おさなきときより
みつからが心に
かなひそばちかく
めしつかひわがこの
ごとくおもふ
そちにいま
いとまつかはす
かなしさを
すいりやうせよ
このすへはずいぶん
ものことたし
なみてわづら
はぬやうに
はぬやうに
せよとしめり
がちなる
おんことばに
こきんは
〽ずいぶんまめでわつらはぬ
一〇〇、、・〇〇〇〇〇〇
この
やうに
おじひ
ぶかい
ごしゆ
じんか
さまにおみや
づかへもならぬ
やうになり
ゆきしは
つぎへ
一生わすれは
〽なん
よい
ざま
あり
みな
もの
□□□□□□□
みなわたくしが心からおゆるしなされてくたされませと
ぜんごふかくになきしづみしがかくてははせじと思ひきり
あやめのかたのなさけにひかれ文七になごりをおしみ
心のこして出てゆく○小きんはおさなきときじつの
ふたおやにいきわかれしほかへやうしにゆき此やかたに
みやつかへせしがおんいとまいでゝよりのちそのいへにいたり
しばらく月日をおくりけり○こゝにまた甲賀さへもん
かねくにのかしんにあら川ぐん作といふものありけり
ふちうふぎにしてべんぜづをもつて人をあざむき
いろをむさぼりさけをこのみあくいおほき
いろをむさなし
ものなりけるがおくむきにいでいるを
さいはひとして
おくがたにつきて
かねくにの
めし
つかふ
そばめ
などの
事を
あしさまに
いひなししつとの
こゝろをおこさばやと
はかりけれどももとより
あやめのかたはたぐひなき
けんぢよなればすこしも
これをまことゝせずかへつて
此事をかたりたまへば
此事をかたりたまへば
かねくに大にいかり給ひ
かゝるあくいある
ものをそのまゝに
すておきかたし
かれがあくしんをにくみかねくにく
ごにちのみせしめ
大ぜいの
人なかにて
つぎん
はづかしめをあたふ
へしとておくがたを
はじめおほくの
女中こしもとちを
はしがゝりのらんかんに
たちならばせおきやがて
ぐん作をよびいだしなんぢ
かやう〳〵のあくいをおかせし
やこたづねたまへば
ぐん作今はちんずべき
ことばなくせきめんして
ゐたりけりかねくに
くわつといかりをあらはし
ぐん作が大小をもぎとらせ
ひろにはにひきおろさしめ
文七をかへりみてなんぢ
こぶしをもつてぐん作が
おもてをうちはづかしめを
あたへよとめいじ給ふ
文七はかしらをさげ
おんいかりはうべなれども
うちはづかしむる事はおんゆるし
ねがひたてまつるといはせも
はてずいな〳〵なにの
ゆうめんあらんなんぢもし
うたずんばいれ手をおろし
うつべしとおゝせにぜひなく
ぐん佐がそばに立より
いかにごんさくどの
くんめいなればぜひに
およばすかならすわれを
ぶしのなさけに候へはなにとぞ
うらみ給ふなとみゝ
ちかくいひきかせ
あふぎをもつて
ちやう〳〵と打ければ
ぐん作がもとどり
ふつときれてかみのけ
みだれいと見ぐるしく
みへければかねくに
から〳〵と打わらひ
みな〳〵かれをは
見よこゝちよき
みものならすやと
いひつゝぐん作にむがひ
かくはづかしめたる也
うへはもはや
用なしとく〳〵
そこを立されと
にくさげにのたまひ
けるにぞむねんを
おもてにあらはして
しほ〳〵と立ざりけり
○かくてぐん作いへに
かへりむねんやるかたなく
かく人なふにてちじよく
をうけたればとても人に
まじはりがたしとつく〴〵と
しあんをめぐらしかねて
とうけとなかあしきりんごく
仁木まさうじのかしんに
しる人あればこれをたのみて
仁木へかうさんしてこの
むねんをはらすべしつぎへつゞく
軍
さりながら
かうさんの
てみやげに
なにかなと
思ひつき
甲賀のいへに
すだいつたはる
あまくにの
うはひ
たち
さらんと
したる所に
ほうそうを
あづかに
あさおか
喜内と
喜内と
いふもの
目ばやく
これを
みつけ
すは
くせものよと
よばうつゝ
おひいで
にはさき
にて
やう〳〵
おひ
つき
とつるぎ
をうぐひし
くせもの
□□□□□□□□
のかさしこと
ひしめく
ところを
ぐんさく
喜内を
たゞひと
たちに
きり
たふしいづく
ともなく
にけうせけり
「文七
かならず
ぬかる
まは
あさ
おか
喜内
さい
かい
みを
公
のぶ
三
巻
之
〽まへのごきおひ〳〵かけくるとのいのもの弁内が
しがいを見てさてはくせものをこりにがせしかと
しがいを見てさてはくせものをとりにがせしかと
八ほうにてわけしておひゆきけれどもはや
いづくへかゆきがたしれず此よしかねくにゝきこへ
あけければかねくに大にいかり給ひまさしく
ぐん作けふの事をいこんに思ひたからをうぢひ
かけおちせしとおぼへたりにつくきしわざたこへ
いづくにかくれすむともたづねいだしておもき
つみにおこなふべしとてきびしくせんぎ
をぞせられける〇こゝに又あさむか喜内か
つまをしきた人といひ二人のむすめありて
あねを小しゆんといひいもとをやへぎりと
いひけるが喜内がわうしの事をさゝて
きちがひのごとくなげきかなしみやう〳〵
人〴〵のいさめにて喜内うしがいをひはせり
なく〳〵ほうむりけるがしゆくんかね国よりの
めいとしておやおつとをかたれふびんには
思へどもとうぞくをとりにがしあづかる所の
たからをうしなひしは喜内があやまり
ことにあとをつくべきなん子もなければ
ふびんながらいとまをつかはすこゝろ
しづかにかざいをとりはらひいづくへ
なりとたちのくべしとありければ
なげきのうへのなげきながらせんかた
なくかざいをとりおさめせんしう
さかいにしるべのものあるをたより
かのちへおもむきやう〳〵といぶせき
あきやをかりてすまゐけり
○さてかねくに大せいのものにめいじてぐん佐が
ゆくへをさかせどもついにゆくへしれざれば
ひそかに文七をめしよびぎへゞく
なんぢふかくみをしのびてゑんごくまでもさがしもどめ
ぐんざくがありかをたづねいだすべしとありけるにぞ
文七はきうにたびのよういしてまづせつしう
なにはのかたへおもむきぬ
○かくてあさおか
喜内が
さいしは
なげき
つゝ
しばらく
せんしう
さかいに
すみ
けるが
日〳〵
ついへ
〽き介とん
かの事を
一
かゆべき
なりはひも
なければ
しやう〳〵の
たくはへも
しだいに
とぼしく
なり
たのむ
ぞへ
いと心ぼそく
思ひけるが
あるときあねむすめ
小しゆんはゝしきたへに
いひけるはわれ〳〵きやうだい
〽おつと
百も
しやう
ちさ
ちさ
おとこの
身にあらば
ちゝうへの
かたき
ぐん
さく
たとへ
いづくに
かくれすむ
たづね
とも
いだして
うらみの
らみの
やいばに
かくべき
に
いひ
がひも
なき
おなご
のみ
かた
きは
みす〳〵
ながら
むなし
すぐる
くちをしさ
つきへつゞく
まへのつゞきことさらいとなむわざも
なくかくていつまでもあるならばついには
そでごひともなりはてぬべし
それにつきふと思ひつきし事あり
それにつきふと思ひつきし事あり
さいはひわたくしもいもうとも
さいはひしたく
おさなきとき
よりことしやみ
せんのわざを
□□□□□□□□
おぼへその道に
くはしければ
とうしよの
くるわちもりの
さとのげいこに
いでとうじの
まづしさを
しりぎ一つには
しのぎ一つには
あまたの人を
ためしみて
たのもしく
ちからとも
なるべき人
あらばいれ〳〵が
みのうへをあかし
すけだちを
たのみあたを
むくゆるたね
にもせばやと
思ひはべり
はゝびとは
いかにおぼし
給ふぞと
とひければ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
しきたへは
これをきゝ
よくもいふて
たもりしぞ
そちが思ふ
ところいち〳〵
だうりの
はからひにて
はらひにて
いづれの
みちにも
たよりよし
さりながら
三のごろまで
あまたの人に
かしづかれうやま
はれたるそちら
ふたり心も
しらぬさとに出
あまたの人を
もてなしつゝ
きげんきづまを
とるみとなり
かなしい事も
かなしい事も
うれしげに
わらひに
まぎらす
そのつらさ
どのやうに
あろうぞ
思へばそれが
かなし
うて
〽ちんぎよらくがんのかたち
あゝウ見事〳〵
さも
なりがたしと
子をかばふ
おやのこゝろぞ
だうりなる
いもとやへぎり
ことばをはけまし
げいはみをたすくるといふ
たとへありきがねを
するもわづかのあいだ
いづれにもあねうへの
心にまかせ給ふべしと
きやうだいふたりが
から〳〵の
心もそろふ
いぢらしさ
はゝしき
たへは
かなし
しのび
やう〳〵
とゝしん
して
人を
たのみ
二人の
むすめ
を
ちもり
さとの
けい
それはさておき
さきのとし甲賀の
やかたるいとまいでし
こしもとこきんは
しばらくやうし
おやのもとに
ありけるがこの
やうしおやひ
ゆがみたるものにて
あるときこきんに
いひけるは
おさなきときゟ
そちをもらひ
やしなひそだて
みやづかへに
いだしたるは
なにのためぞ
われ〳〵としおひて
あんらくに
くらすべき
ためなるに
ふぎみつつう
よりいとま出
此うへもなき
みのふつゝか
此すへいづかたへ
つかはすとも
おぼつかなし
又もたる事に
又もかゝる事の
あらんよりは
あそびめに
こりてその金
文七
にていまず
そだてし
入まいをとり
もとすべしと
いひけるにぞ
こきんは
こきんは
ひたすら
なげきわび
けれどもきゝ
いれずさかいの
くるわちもり
のさとの
なにかしの
くつわやへ
身をうきくさ
とぞなしたりける
○さてこきんは
ちもりのさとの
ゆふくんとなり
なを清川と
あらためけるが
もとがうつくしき
もとよりうつくしき
かんばせなるに
久しくやかたに
つかへたるうへ
なればひときは
目だちてならぶ
かたなきぜんせいの
身となりけるが
たゞやかたに
のこせし
文七が事のみ思ひこがれて
ひたすら心なやましけり
こゝに又大さか何がし殿の
くらやしきをあづかる
ぶしあさま新五兵へと
いふものありけるが
はからず清川に
なれそめ
あまたの
きん
けるが
もと
より
にくていなる
おとこ
なれば
清川は
もてなし
あまき
さへ
けり
○扨
花
ありかせんぎの
ためにたびだち
つのがみにては
めだちてあくしとて
げんぶくしてなを
ふかくみをしのぶため
こもそうにすがたを
つゞく
文七
せつしうなにはに
あしをとゞめて
あしをとゞめて
こゝかしこをたづね
もとめけるがあるひ
せんしうさかいにいたり
かねてはんくわの
ちときゝたるちもりの
きとにいりてはからず
きよ川にめぐりあひ
けるがきよ川はこし月
こがれしその人に
あふうれしさは
かぎりなけれど
はづかしきすがたを
見するおもてぶせと
はぢらひいなには
ともあれあげやに
いたりてゆる〳〵
いたりてゆる〳〵
つもるものがたりと
文七をともなひて
あげやへぞ入にける
○さて清川は文七を
いざなひひとまに
いりてたてきるふすま
たがひにうれしき
むねのうち清川は
おもはゆげにあから
かたりそめぎぬの
かはりはてたる身の
いひわけとこれのふ
文七さまおまへに
わかれしそのゝちは
やうしおやのどうよく
にてしづめられたる
ながれのみ思ふ人には
そひもせで思はぬ
きしへさきにゆく
うきくさのみと
なりはてしすがたを
見するはづかしやと
おろ〳〵なみだに
くれにけり文七は
こゑをひそめわがみも
そなたにわかれしより
いかなるところに
ところ
すむやらんと
かたときもわすれ
ざりしが思はずも
めぐりあひしはつきぬ
ゑんわれかくすがたを
やつしこの所へ
いたりしもいろ〳〵
ふかいわけのある事
ゆるりとはなして
きかせましよ
〽さあわたしもつもり
〽さあわたしもつもる
うきくらうかなしさ
つらざすいりやう
あれとおもてにおほふ
ひがのこのたもとに
つゆをおくざしき
人のこゝろは
しりもせで
しん
〽もつと
げ〳〵
同一
御休石
みこせや
うきにうかれしたいこまつしやうたひつれたる
さはぎかたはやしたつればやぼ大じんこれやい
しやみせんおもしろないやかましはやめろ〳〵
三日このかたあげづめにしておく清川め
よいからざしきへかほもださずどこへいて
うせおるぞ身どもはもふかへる〳〵
〽これはだんなごたんきな〽イヤとめるな
かへる〳〵と立いづる〽きよ川はこれをきゝ
これ文七さんありや新五兵へとてずんど
にくていなわしがきやくでござんすはいな
ちよつといてくるほどにかならずまつてゐて
くださんせとたつてろうかをうはぞうり
でやいがしらに新五兵へ〽こりや清川か
どうじやいのとにはかにつくるわらひがほ
〽きよ川ぐつとのみこんでこれ新五べさん
さあかへるならかへちんせとふつつり
つめれば〽あゝこりや〳〵〳〵〳〵かへるといふたは
みなうそじやお身がをらねば心ぼそい
さあこちきめされとてをとりておのが
ざしきへ入にけり○これよりいろ〳〵
しうちあれどもあまりかき入がながく
なるゆへこゝにはぶくたいがいすいりやう
をもつてしるべし
○さてもそのゝち文七は清川にいさいを
かたりかたなのせんぎぐんさくが
ゆくへをたづぬることをかたりければ
清川いひけるは此さとはしよこくの
人のいりこむところなればわがみも
ずいぶんゆだんなく心がくべし
いづれにも此ちかきあたりにあしを
とゞめ給へといひけるにぞ文七も此ことば
にしたがひ大さかにあしをとゞめて
しば〳〵清川がもとへかよひけり
さて新五兵衛は清川がつれなきを
うらみ手をまはしてきゝけるに
かれには文七といふふかくいひかはせし
きやくありてそれゆへほかのきやく
にははだみをけがさぬときゝ
にははだみをけがさぬときゝ
新五兵へます〳〵のぼりつめ
いつその事きやつをひきぬいて
かの文七とやらんにはなあかせんとは
思へどもさすがに大金の事なれば
そのくめんもできがたくいろ〳〵と
心をいためつゝある日いつものごとく
ちもりのくるはへいたらんとて
あみがさぢや屋のしやうぎに
こしうちかけて夕ぐれをぞまちゐたる
かゝるをりからむかふのかたより
いなりそめきのやせおやぢ
わらじはゞきにつゑつきの
のみちとぼ〳〵あゆみきて
新五兵へがやすみしまへに
たぢとまり〽わぎへつゞく
〽もしだなさまちとおたづね申たい事がござります
あれに見へまするのがちもりのくるわじやげなが此さとに
名高いけんせんに徳川と申のがござりますかいの
徳瓶作
四でなるほどあるはあるがして又何ゆへたづぬるのしや
〽さればでござりますなにをかつゝみかくしましよその
清川といふはわしがじつのむすめでござりますがずんど
英山画
ようしやうのじぶんほかへやうしにやりましてそれからは
いんしんふつう此ごろきけばやうしおやのてまへから此さとへかり清川といふよいけんせんになりまし
たときあまりふびんさにはる〴〵たづねてあひにきましたのじやてやさだめてあちらにも
おさないときにわかれたゆへわしがかほもゑおぼへますまいがじつのおやときゝましたらさぞ
よろこぶでござりましよこれだなさまそのけんせんやしらしやつてならどうぞおしへてくだされい
じひでござるなさけじやぞやと□〽し〽しゞうをきいて新五兵へなにかいちもつむなだくみなる程
清川といふけいせい身どもようしつてをる〽がいやなにわぬしは津川がじつのおやかはなし
きいたらさぞうれしかろあの浜川は此ごろゑらいしやはぜでふくとくやの三ゑもんとて
大きかてんまにかくれのない大がねもちにねびきされゑようゑいぐわにくらすとのこと
〽コウそりやまことの事でござるかいの〳〵■〽じやによつてそこへはやくたづねておゆきなれ
わなしはよいしやはせものと〽きいてよろこぶ正じきおやぢあざむかれしとつゆしらで
うれしさあまりにをどりししからばかしこへおもむかんと新五兵へにいちれいをのべ
みつわくみたるおひの身のこしのいたさゆうちわすれこゝろいそ〳〵はしりゆく国〽あと
見おくりてしん五兵ヘムウ〳〵とひとりうなづくむねのうちこんとついたるとをでうの
かねあかすむやいりあひどき〽なに思ひけん新五兵へずんとたつて見ごしらへ此日は
くるいへいたらずしてあしをはやめて立かへる〽かくとはいざやしらいとのたゞひとすぢに
いぜんのおやぢはやうむそめにあいたやとこゝろはさきにあしもとは来のぬつまづく
山さる道つへをちからに小ぢやうちんみすぼうしけにあゆむさまおぼつかなくぞみへにける
あとをつけきし新五兵衛へ〽こりやおやぢちとまちおつふ〽アさきのだなさまか
〽こりややいそちにちとむしんがある〽といふたらおさだまりの六だん目手のむしんど
しはふがもちとだいじのものがほらいヱヽこりやなにいはしやるのじや
巻
巻之図
「まへのつゞき」〽ほかでもないわれが命がもらいたい清川が身うけ
されしといひしはみなうそのかは今につとめをしてけづかつてひごろ
おれをむごいめにばかりあはしおるそのいしやばらしにわれをころして
こつちにうまいしことがあるさあきり〳〵ねんぶつでも申しやアがれ
といひつゝだんびらぬいてさしつくれば〽おやぢはぐわた〳〵ふるへいく
コレまつてくだされとしよろたわしなれば命おしうはござらねと
むすめにひとめあふまではしにとむない命がおしいどうぞゆるして
くだされいそのかはりにはこれこゝに二十両これはしんしやううつたかね
むすめにやろとてもてきたれどこなさんにしんぜますほどに命を
たをけてくだされいコレ手をあはしておがみますとなげき
わぶるぞふびんなる〽かゝるをりからあぜづたひかするに見ゆる
ちやうちんのほかげはたしかにゆきかふ人見とがめられては
かなはじとむなもととつてひきよすれば〽そんならどうでも
〽コヽころすのじやとわきばらぐつとひとゑぐりこくうを
つかむだんまつま又ひと原ぐり此よのゑんきれてはかなく
なりにけり新五三人おやぢがくわいちうのさいふひきだし
思ひもよらぬ此二十両これも此ばのほねをりしろとみれば
なにやらあやしき木ふださいふのひもにゆひつけありなに
やらんと月かげにてらし見ればあふみのくにしがのこほり
江戸さきの百しやう十郎兵衛とかきしるしありけるにぞ
新五兵人ます〳〵よろこびこりやよいものがてにいつた
これさへあればこつちのしごとはうまい〳〵しかし此おやぢめ
いきだほれになつたときこもかけられまいとてくにところを
しるしておいたものであろとつぶやきつゝたちさりしは
むざんにも又あはれなり
○こゝに又文七はある曰清川がもとにいたりおくざしきに入て
たがひにみのうへのことをかたりあひてゐたりけるに
たがひにみのうへのことをかたりあびてゐたりけるに
なりゐの女いそがはしくかけきたりもし〳〵清川さん
おまへのじつのてゝごじやといふてござんしたがどふせふぞいの
こちにおぼへはござんすかへときいて清川とびたつとひ
はしりいでんとしたりしがいやまてしばしいなかたぎの
おやぢさまさだめて見ぐるしいなりであろ〽かざへつゞく
ほうばいしゆの
てまへもあれば
はてどうがなと
しあんして
なかゐにむかひ
〽ヲヽなるほど
こちにおぼへも
ござんずる
いかふせはには
あろけれど
おくにはづたいに
こゝへつれまして
くださんせ
〽ニヽがてんじや
わいなと
なかゐは
おもてへ
いでゝやく
文七も清川が
じつのおやと
きひとしほ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ゆかしく
じふうち
なかゐが
あないに
いりくる
おやぢ
清川は
ゆめ
かと
ばかり
ばかり
よろこひ
つゝさては
同
一二七
じつのときまか
ようたづねてきて
くださんしたと
さきだつものは
なみだ也次へ
文七
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おやぢは
申
清川を見そなはし
おひたちやつたかほ見りやいまさら
〽ヤアそちが娘り
十五寸
〽おりやわがみが
十一一
〽おりやわがみが
おやの江どさきの十郎兵へ
じやぞやてもおゝきうなりやつたうつくしう
しおひたちやつだかほ見りやいまさら
ましかなしいと大こゑあげてなげきける
文七はこれをみてさてはおん身は清川が
じつのおや人かそれがしも清川とは
ますものとまづしますものとまづしよけんの
〽れいをのふれば
きよ川もとも〴〵
文七をひきあはせ
これまでの
かたりつゝ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ときを
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
○こゝの
ゑのわけ
つぎに
しるす
さておやぢいひけるは
これむすめおれがけふこゝへきたはわがみにちとむしんが
あつてじやどうぞきゝわけてもらいたい〽これば〳〵
とゝさまのおことば身にかなふ事ならばきゝわけいでなんと
しましやうとしよらしやつたおまへひとりはごくんでなと
おきまするして又たのみとはどのやうな事ごごぎんす
おきまするして又たのみとはどのやうな事でござんす
〽ほかでもないおやの身でもいひにくいことながらこれむすめ
二百両のかねくめんしてもらいたいかにいにたらいつも
二百両のかねくめんしてもらいたいかふいふたらいつも
くさぞうしにあるやうな事なれどむらぢうのねんどの金
二百両此おやぢが正しきなを見こみにあづけられしが
身のいんぐわそのかねを山だちめにしてやられ
でんぢでんはたうりはたいてもたかのしれた
水のみ百しやうそのかねをつくのはねば
さだめのごとく水ろうへ入られ此おやぢが命はない〳〵
おやこのよしみじや二百両くめんしてくれヨおやが
てをあはしておがむ〳〵といひかけられ清川は
うちおどろきなにとことばもなかりしが
やゝありていひけるは思ひがけないとゝさまの
おみのなんぎはかなしけれど二百両といふ大まいの分
けいせいのみでどうまあくめんができましやう思へは〳〵
わがみほどいんぐわなものはよにあらじたま〳〵あひし
とゝさまのぶじなかほみてうれしやとよろこぶまも
なふ此なんぎこはそもいかになるべきとみをうち
ふしてなきゐたるおやぢはこへをあららげてその
よまいごときゝとむない今ならびなきぜんせいのみで
二百両のかねできぬといふは此おやを見ごろしに
する心かこゝなふかうものめゑいは此うへはわれが
ねんきを五十ねんも百ねんもふちこんで二百両の
かねかりてもとるとたゝんとするを文七見かねて
ひきとゞめ〽コンおやぢどのまたつしやれそのかね
わしがかしてやりましよと〽ぎへつゞく
〽なに
事も
よきに
たのみ
入ます
十八
くわいちうよりとりいだしたる二百両さいふの
まゝにさしいだせばおやぢはにはかにわらひがほ
こりやきついおさばきさすがきよ川めが
いひかはせし男ほどある正きんにちがひも
あるまいもはや夕ぐれいそぐ道そんなら
かりてゆきますぞやとさいふのまゝに
くわいちうし己だんなどのおかたじけ
へゝむすめまめでゐよといひつくとつかは
はしりゆくよめでゐよといひつくとつかは
はしりゆく○さるほどに新五兵へはせんこく
より此所へきたりやうすをうかゞひゐたりしが
をりよしとや思ひけん〽さあこれからは清川が
みうけのそうだんさいはいこゝにありあはせたる
二十両とうざのしうぎにわたしておかう
なにはともあれあるじにあり
なにはともあれあるじにあふてくはしくはなし
みのしろきんはのぞみしだいどりや
ないしよへと立てゆく清川はこれをきゝ
新五兵へに身うけされてはとてもいきては
ゐられぬとたつたりゐたりきをもみ
あせるを文七はおちつきがほ〽はてぎやうさんな
さはぐまいなにもかも此文七がむねにあると
たばこくやらしゐたりしはやうすありとぞしられける
○さて新五兵へはさきの日清川がおやふ定を
ころして廿両のかねをうばひかねてふくしんの
わるものやくわんの仁兵へといふものにいひふらめに
清川がおや十郎兵衛といつはらせ文七が
しよぢのかね二百両をたばかりとらせその
かねをもつて清川がみうけするたくみなれば
十郎兵へをころせし二十両はくつわやへわたし
おきいすをころせし二十両はくつわやへわたし
おきいそぎたちかへりてやくわんのに兵へが
かたへいたりみるにはやいづくへかおちうせて
かげだにもみへさればさてはきやつめこの
新五そ人をだしにつかび二百両をわがものに
なさんとでにげうせしにうたがひなしと
きちがひのごとくいかりつゝこゝかしこをたづね
めぐりけるにさかいはな水ばしのつゝみにて
はたとゆきあひとらへんとしたるを仁兵へ
目ばやくみつけてかたへにつなぎたる
小ぶねにうちのりこぎいださんとせしに
しん五兵へつゞいてとびのり給りともいへず
しん五兵へつゞいてとびのりものをもいはず
かの二百両をうばひ久し仁兵へをば水中へ
うちこみそのまゝわがやへたちかへりこれさへ
てにいれば清川はこつちのものとよろこびつゝ
かねをいだしてあらため見ればこはいかに
まことのかねにはあらずしてゑんぎのかねの
むかで小ばん新五兵へはぎやうてんし
あきれはてたるはかりなり〽此かねのわけ
六きつ目にしるす
○それはさておきこゝに又さきの月あまくにの
かたなをうばひて甲賀のやかたを立のきたる
あら川ぐんさくはさつそくにつきのいへにかうさん
せばやと思ひけるが甲賀けのせんぎきびしきを
おそれて東ごくにくだりしばらくこゝかしこに
みをしのびしが此せつ大さかにのぼりあさま
新五兵へとはかねてしたしきなかといひ
ことにかれはにつきのかしんにて大さかのくら
やしきをあづかるものなればかれをたのみて
につきのいへにとりいらんと思ひつゝある日
ぐんざく新五兵人がかたにきたりみの二人の
ことをくはしくかたりおんみの主人につきとの
かねてあまくにのつるぎをのぞみ給ふよし
これをてみやげにかうさんしたきのそみなれば
よきにはからひ給はるべしとたのみければ
新五兵へ清川がことにつき心おだやかならざる
ときなれども思ふむねやあり兎心やすくかけがいけり
文七
□□□□□□□□
きても
そのゝち
新五兵人
あるよちもりのくるわへ
いたりけるにはからず
文七にいであひひごろ
にくしと思ふ心から
人なかにてはぢをあたへ
ふたゝびくるわへかほだしも
ならぬやうにしてくれんと
いはれもなきけんくわをしかけ
さま〴〵あつかうなしけれども
文七はしゆうめいをうけし
たいせつの身なればあやまち
あたりにすむ白ふぢ源蔵といふ
ありてはふちうなりとむねんをこらへゐたりしに
新五兵人はよわみをつけこみすでにろうぜきに
およばんとす此とき此くる月のちかき
十九
「ツぎ」○かくて新五兵へつら〳〵思ひけるはわれ
清川が事につきさま〴〵心をつくすと一
いへどもみな水のあはとなりゆきこと
かへす〴〵もむねんなり此うへは
かへす〴〵もむねんなり此うへは
ほかにせんすべなければぐんねが
もちきたりしあまくにのつるぎを
主人へさしあげしといつはりて
とりしろなしそのかねにて清川が
身うけをせばやと思ひ
ひそかにおのれが
かたなのみと入かへて
こしを
はなたず
たいし
ゐたり
文
〽月にじやうじて
ひかりを
はなつあの
かたなこそ
はてあや
しん
新五兵衛がゑりくびつかんて
だいぢへどうとなげ
つけたり
たてしゆこれをみてこらへがね
〽わりや
なにゆへ
文七
新五兵人やう〳〵におきあがりおのれは
なにゆへ文七がかたをもつもふ
百ねん目手はみせぬといひつゝ
かたなぬきかくればあらふしきや
月にじやうしてひかりをはなち
めいくわう〳〵たるありさま也
文七はこれを見てきいの思ひを
なしけるがさゆふより
あまたのおここども
かけきたりそうほうを
なだめけるにぞ文七は
もよりことをこのまざる
しんていなれば白ふぢに
あつくれいをのべそのまゝに
たちかへりけり○此白ふぢ
源蔵といふはりきりやう人に
すぐれ心正じきにていさゝかも
ゆがみたることをきらひもとより
すまふをこのみつねにせきとりのごとく
いてたちこときおやきやうどりのごとく
いてたちことにおやきやうだいもなく
いつほんだちのおとこなれば人のためには
身をおしまずならぶかたなきたてしゆとぞ
よばれける此日かのげいこ小しやんゆへぎりら
此所へとほりあはせ白ふじがたのもしき
ていをみておとこといひちからといひ
いさましい心ざしはてとうぞあの人をと
しきもにゆかしく思ひいゝ小しゆんは
しらふぢがまへにたちよりゑしやくして
いひけるはたゞ今あれにて見うけますれば
さて〳〵たのもしいお心さしそのお心を
見ぬきまして
ちとおりいつておたのみ
申たい事がござります
とうぞわれ〳〵がすみかまで
おいでなされて下さるまいかと
やうすありげなことはのはし
白ふぢはうちうなづき
あだめきたることもなく
しんびやうなたのみやう
やうすによつたら
たのまれて
やりましやうと
きいて二人は
よろこひかく
〔春
五
巻
之
あけどふぞはれ〳〵にちからをそへかたきをうたせてくだされかしとこと
○此所とほねに
きこゆる
めりやすあり
〽がてんの
やかぬ
このぶんてい
すりやあのおつと
しらふぢどのは
やつぱり
まはしもの
まはしもので
あつたかいの
わがみにおゝきなるちしよくをうけもはやきよ川がもとへもかゝはれず又へつく
にしゆんやんぎりらは白ふぢをともなひていへにかへりはゝしきたへにかやう〳〵とかたり
きかせてひきあはせさけさかなをいだしてもてなしみのうへのことをくへしくうち
ばをつくしてたのみけるにしらふぢはしばししあんのていなりしが
もとよりよわきをたすけつよきをくじく白ふぢなれば
ふかくこれをあはれみおとことみこまれたがふしやうなる
ほどちからになつてしんぜませふととくじんのていに
三人はとびたつごとくよろこびけりしきたへ又いひけるは
さあらばこのうへにまだおねがひありよすがもなき
おまへさまにすけだちをたのむべきいはれなければさが
ふしやうにはあれけれどとてものことに此あね
むすめ小しゆんがむこになつてくだされとたのみける
にぞ白ふぢもその心になりければむこひきでなり
とて一こしをいだしてあたへ此かたなにてわれ〳〵に
ほんもふとげさせたまはるべしといひつゝ吉日を
えらひて小しゆんとふうふのゑんをむすびしばらく
月日をおくりけり
○こゝに又花おか文七はさきの日くるはにてなんぎにあひ
しを白ふじにすくはれけるがそのとき新五兵へがぬき
かけしかたなのありさまこゝろへがたくあまくにの
かたなに月かけをうつせばおのづからすいきをおびみづの
なかるゝごとくなりときゝつたふよにまれなる如いけん也
かれがたいせしもまつそのごとくもしやたづぬるその中には
あらざるやとうたかはしく新五兵へをひいとらへいざひと
〽せんぎと思ひけるがイヤ〳〵ことをあらだてゝもしその品に
あらざるときはかへつてせんぎのてだてをうしのふどふりし
なればとかくおんびんにことをはかるべしとおもひざだめいたりける
○かくてあさま新五兵へはすぎつる日文七にはぢをあたへんとしてかへつて
泉州堺
乳守
の
曲中
燈
燈篭
篭
おどり
の
局
まへの
むねん
やるかた
なく文七が
かたを
もちし
しらふぢを
ふかく
いごんに思ひ
いたりしが
このごのしち
ふぢげいこ
小しゆんが
むことなり
しときゝ
こゝろにおもひ
けるはきやつ
たとへいかほど
ていせつの女なり
ともさすがばいや
しきわざに
よをおくるもの
なればおほくく
かねをあたへて心を
まよはし白ふぢ
てにいれんとさま〴〵心を
めをおいいださせ
わが女ぼうにして
いこんをはらさんと
思ひおり〳〵くるはの
あげやにいたり小しゆんを
よびてあまたのきん〴〵を
ひまきちらしこしゆんを
つくしけり○さてそのころは
ちもりのさとのとうろおどり
にてひとしほにぎはひけるが
にしゆんはいつものごとくくちが
かゝりてくるはへゆくとちうにて
ひとりのしもべかけきたりもし
お女中さまちとおたづね
まへのつきもふしたいは此くるはのちかきあたりに白ふじのけんぞうどのと
いふおかたはごさりよせぬかもしごぞんじならとふぞおしへて
下されといふに小しゆん〽なるほどござんすしてまた
なにのごようぞととひければ〽イヤさるおかたより
此ふみばことゞけてくれとたのまれました〽そんなら
わたしがとゞけてあげましよがどなたよりのおふみで
ごさんすさきのおかたのいはしやるにはちとだいじの
こといふてやるほどにぢき〳〵にあふて手わたし
してくれかならずほかへわたすまいと
くれ〳〵もたのまれました
〽いやのふそのしらふぢと
いふはわしかおつとでござん
〽なんと
白ふじ
くやしいか
はらが
たつか
しん
すがけふはよぎないよう
むきでやどにをらず
たこへいかほどだいじの
ふみでもにようぼのわたしが
うけとらばくるしうはごさん
すまい〽ユヽなるほどそふ
たしかなことならばおまへに
おわたしもふしま
しよおへんじは
そちら
よりと
いひ
〽おまへのやうなみかけ
だふしにうか〳〵と
してゐては
みのつまりに
なるはいの
すて
すた
ゆく
にしゆんは
ほどなくあげやに
いたりこちの人
しらふぢどのへだいじのようとは
きづかはしなにはともあれひらき
きづかはしなにはともあれひらき
みんとろうかをてらすあかりの
もとふみばこをおしあくれば一つうの
てがみにてうはがきに白ふじげんぞうどのへ
あら川ぐんさくとしるしあり小しゆんは
これをひとめみてびつくりし〽ヤア〳〵
此ぐん作といふはかねてたづぬるかたきの
なまへがてんゆかずとなうおしきり〽なに〳〵
そのもとへそうだんいたしをきたる
ごとくかのあまくにのかたなをさし
あげちか〴〵によきかたへありつき候
つもりそれにつきかね〳〵そのもとへ
たのみをき候とふり小しゆんやへぎりら
両人それがしをつけねろふよし女ながら
こゝろざはりいちにちもはやくとほき所へ
うりわたしおひぼれめがいきのねをとめ
われらかたへおん引うつりのほどまち入候と
あつたるかチヱヽくちをしやあさましやとむねんのなみだ
てばやくかの一つうをおしかくしなにかこゝろにひとじあんざしきへこそはいでにけれ
白ふじはかゝることありとはゆめにもしらすはからずとちうにてさきの日なんぎを「此へつくく
よみもおはらずむねとゞろき〽すりやだいしを
あかせし白ふしどのはやつはりかたきのまはしもので
ばら〳〵はをくひしめてなげきけりをりからなかいかけきたり
〽もふし〳〵小しゆんさんおまへはそこになにしてござんすいつもかはらぬ新五兵へさん
さつきにうらおまちかねはやうざしきへござんせとてをとつてひきたつれば小しゆんは
〽ぜく
しやうの
やうな
やつと
まへのつきすくひたる
文七にいであひけるが
ぶん七はさきの日のれいを
あつくのべさて又その
もとのごしんていを
みかけおり入てたのみ
かやうとみゝにくちしばし
さゝやきわかるゝおりからむかふ
よりくるまはしのおとこ〽これは
どふじや白ふじさまよい所で
たきいちぎありしさいは
お目にかゝりましたいま
おやどへまいるところおうち
かたにしやんさまより
四
やうすはなにかきうな
うむきぢよつとあげやへ
その
やうに
おんいでときいてしら
ふじ心ならずそん
おちつい
でござく
すはは
あいそが
あいそづ
おもふて
しんじつそこ
うらあいそが
つきたおもふ
てもみやしやん
みの一大じをあかし
たのんだかひも
なくうふくと
つき日をおくる
あほうもの
ならいつしよにくるはへこ
でござんうちつれだぢていそび
うちつれだぢていそぎ
ゆく○それはさでをき
すはは
あげやにはうつゝをぬかす
しん五兵へ小しゆんをひざに
ひきよせて〽いつにないけふのでき
すりやしんじつ此しん五兵へが
〽にようぼになるきでごさんす
わいの〽ようこりやゑらいそれが
ちやうならそちかおつとしら
ふじめをこくへよんで目の
まへでゑんきるか〽さあわたしも
そふ思ふゆへよびにやつておき
ましたといふまほどなく入くる
白なじしん五兵へをみてびつくり
せしかしさいぞあらんと
わたしばかり
じやござん
せぬかゝさん
いもうとと
そうだんの
うへこよひ
のしぎ
ワしや
次へつゝ
ひかへいるさて小しゆん
白ふじにむかひおまへを
こよひこゝへよんだはほか
こよひこゝへよんだはほか
ならずくどういふも
もどかしいおまへにあいそが
つきたゆへゑんきつて
此しん五兵へさんの女房に
なるつもりどふぞ
こゝでゑん切て
くださんせとやぶ
白ふじ大きにおころき
が日ころ
からぼうのきれことば
〽そりや
〽此かたな
かへします
たてぬく小しゆん
こよひにかぎる此
しだらさだめてふかき
わけあらんとさのみ
いかれるいろも
なくしあんのていに
みへけるを
小しゆんは
なをも
にくていに
〽これのふ
白ふじとの
みをまかせねがひを
かなへてもらふはひ
なとあいそづかしの
かづ〳〵をそばにきゝ
いるしん五兵へこりや
白ふじなんとくや
しいかさきの日文七が
かたもちしいしゆ
ばらしこよひは
こくにいつしゆくして
しつほりこしゆんを
だいてねてあすからは
おれがおくさまそふ
思ふておくりやれとかさふ
ぞうごんに白ふじくわつと
せきのぼもふりゆふじくわつと
せきのぼしもふかんにんが
ならぬぞととひかくらんと
したり一がいやまてしば
したりしがいやまてしばし
こよひ文七とのにたの
まれたるわけも
まれたるわけも
ありとしゞうを
ばら一しいし
ありとしゞうを
むねにたゝみこみ
にんぐわいのちくせうどもに
ことばかわすもけがらはしと
らばしるまなこにらみつ
ちばしるまなこにらみつめ
いとあらけなくたちいでけり
○さるほどに白ふじはむねんを
しのびてあげやをたちいでわがやに
かへり此日こしにたいしいたる
一むこひきでとてもらいうけし
ひとこしをはゝしきたへがまへに
さしをきてをのれがさじりやうの
一わきざしをさしかへものをも
いはずたちいづるしきた人は大に
あやしみつゝひきとゞめいつにない
こよひのやうすけんそうのかはり
こよびのやうすけんそうのかはり
しはがてんゆかずさだめて
これからしん五兵へさんに
わけのあることならんとすがり
つくをとつてつきのけとぶが
ことくにかけりゆく○さてしん五兵衛
白ふじかへりしあさはなをもひと
きはうきたちてすはいかたむく
みしかよのはやひけ四ツのひやう
しきにしん五兵へ小しゆんに
むかひ〽白ふじとゑんきる
むかひ〽白ふじとゑんきる
うへははゝやいもともひきとりて
ゑようゑいぐわは心のまゝ
てよひかたむるにいまへら
さあおぢやねよふとてを
とりてひとまのうちにぞ
入にけるはやしん〳〵とふくる
よのはつかいなりのつきしろ
にしへかたふきほのくらくも
かすかにきこゆるゑんじの
かねよあらしのまどうつおとに
なきませていとものすこき
みちのべのくさばにすだく
むしのこゑつまのこくろを
しらふじはよびのちじよ
くをしのひあしごらへかね
たるおとこぎをみこんで
たのみし文七が刀のことも
こよひのうちと心はひとつ
ふたみちかけうかゞひ入たる
あげやの内よばんのものも
ねぐらのとりはげしと
ほゆるぼんのふのいぬ
いのすみのだんばしご
のぼりつめたるむねを
すへかつておぼへしねやの
うちしん五兵へはゑひ
ふしてぜんてもしらず
だかいびきにしゆんは
わきにしよんぼりと
みすぼらしげに次へつゝく
こと
回
巻
之
十
文十
まへのつゝき
ものおもひしらふじはかくとよりよりせうじけはなしかけいるひやうしに
ともしびきへてしんのやみ此ものおとにしん五兵へよぎをくゝつてあとへぬけ
にげいでんとする所をにしゆんと思ひうしろげさまろびかゝりし
からかみとともにばつたりろうかの
あかりこりやせんぎあら
しん五兵へといふこへ
しるべにわたしは
こゝにとかくごの
小しゆん
おのれにん
ちくかくごせよ
くびちうにうち
おとしそばにありあふ
しん五兵へがひとこしを
こしにたばさみ思へば
にくき女めとにしゆん
くびをとりあげて
みればあやしき
いつつうをくちに
くわへていたり
けるを
いぶかしむおりこそ
あれものおとにおどろきて
おひ〳〵かけくるかないのもの
のかさじやらしととりまく
のかさじやらしととりまく
にぞ白ふじはいそかはしく小しゆんが
くびをたづさへてのがれいでたるやね
くびをたづさへてのがれいでたるやね
つたひあやうくしておちのびけり
〽あやしき
いつつら
をくちに
くはへしは
は二つぬ
〇白ふじはやう〳〵くるはをおちのび一いきつきつきてかたへを見やれば
あきくさおひなげりたるうちにたままつりのとうろうを
入つるしてありけるにぞこれさいはひとたちよりて小しゆんが
くちにくはへたるものをもぎとり見れば一つらのふみにぞ
とありけるいそがはしくひらき見ればこれすなはちかきをきの
ふみなりそのぶんにいはくわらはせんこくくるはへまゐる
とちうにておまへざまへいづかたよりかくわきうのてがみ
心もとなくひらき見ればわれ〳〵が父のあだ人ぐんさくより
おんみへおくるみつじのてがみさすればおまへはかたきのよるい
とはしらずしていちたいじをうちあかしたるのみならず
ふうふとなりし身のいんぐわしらぬ事とはいひながらみちを
そむきふかうものとてもいきてはゐられぬとかくごをきはめ
よひのほどは心にあらぬに〳〵てぐちもおまへにいかりをおこ
させてころさるゝ身のかくどつゆはどもしびんとおほうをは
させてころさるゝ身のかくごつゆほどもふびんとおぼすこゝろ
ばあらばたとへかたきのよるいなりともあらたに心をひるかへして
いもとやへぎりをのちのつまとしはみ人にちからを立
ほんまうとげさせくださらばわらはが身にとりめいそうの
くやうよりはるかにまさりてありがたくおぼへ候かきのこし
ひたきことおほけれどもしそんぜまじとむねとゞろきふでも
たゝずなみだにすみもちりはべればかづ〳〵申のこし候と
こまやかにしるしつけておくのかたにぐんさくよりおくり
たるぶんつうをなうじこみたり白ふじは十ぶんにおごろき
つゝそのてがみをひらきみればおのれと小しゆんがなかを
さかんとはかるものゝしわざにうたかひなければこはそも
いかにとぎやうてんし思はずはたとたふれふしむねんの
なみだいかりのはぎしみはやまりしわがそこつさよと身を
かきむしりてくやみしがやゝありて小しゆんがくびをとり
あげてつら〳〵見ればみとりのかみをきりたちてゑぬるが
こときかんばせなりしらふじらくゑして順へつく
おもへらくむかしけさごぜんもとゞりをきりてゑんとう
むしやもりとをがてにかゝりしははゝとおつとの命を
すくはんためなり此小しゆんはわれをかたきのよるいと
思ひ心をひるがへしてかたきをうつてもらひたさに
つかてにかゝりしふびんさよと小しゆんが
くびをひし〳〵とかきいたきわれはまつたく
かたきにくみするものにあらずまさしくはれに
いこんをふくむものゝたばかりてせしことなるを
まことゝおもひいのちをすてゝみさほを
まもるこゝろざしたぐひまれ
なるていぢよぞやさり
ながらたのみの事もとげ
よく〳〵
せまる
わか
かんかい
まこ
させずあやまつててに
かけしとはゝやいもとに
なにめんぼくに
いわれふぞ
との
刀の
てに
いらぬ
いきて
はちを
さら
さん
うへ
からは
しん
五兵衛
よめ
をてに
かけ
人
つみのがるゝに
道なしこと
さら文七
どのに
たの
まやし
こうをも
たてず
かへつて
てづるを
うしなひ
たれば
これ
とても
いひわけ
なし
かれと
五百
ともに
しなめと思ひ
しがいやまてしばし
うばひかへせし此一こし
文七どのへていたしした
そのうへでともかくも
なりはつべしとくと見
とゞけおきしとあるからは
あまくにゝうたがひあるべからず
さりながらあらためみんと
一こしをぬきはなてばにても
ぎやうてんせしがかくするほどの
につかぬさび刀これはいかにとます〳〵
ませてもとても
こといすかのはしとなりゆくは
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
これと
いひとてもいきては
ゐられぬとすてに
かくごのそのをり
からすへつゝく
文七
夫の
はゝしきた人はいそがはしくかけ
きたりこれを見ておどろきつゝ
とりすがりこはなにゆへの
じがいぞやさきにそなたの
もどりしときがてんの
ゆかぬていなりしと
あんじている内
むなさわぎこれは
かうしていら
れぬといま
れぬといま
くるはへゆく
ところはら
きろふとさつ
しやるにはさだ
めてふかいわけがあろ
まあまつてくだされ
わけをきかせて〳〵と
たがいにあらそふそのところへ
小しゆんがいもとやへぎり此よは
それよりすぐにくちかゝりざしき
つとめていたりしが白ふじにしゆんと
しん五兵人をてにかけてにけさりしと
きゝそのことをはゝにしら
せんとおどりのいしやうを
そのまゝにかけきたり
此ていを見てともに
おしこゞめひたすら
あせれどこなたはきゝいれず
くるはのとうろおどりにやこはれて
そのわけをとひける
てん
でん
ぼうを
おつ
とり
て
此所へ
かけ
つ
たり
から
め
と
らん
と
四ほう
より
とり
かこ
すでに
てきた
はんと
はんと
したる所に
花おか文七
しもべ時平と
にぞ白ふじ今はぜひなく
小しゆんがよひのしまつより
われあやまつて小しゆんを
ころせしことをくはしく
かたり小しゆんがかきをき
のふみをいだしてみせ
ければしきたへやへ
きりらはゆめうつく
ともわきまへなく
たへいるばかりに
なげきけりはゝしき
こへやありてかほをありてかほをありてかほをある
だへやゝありてかほをあけ
小しゆんひめいにしゝたる
ことそのかなしさはかぎり
なけれどこれさだまるやく
そくごとゝ今思ひあたりしこと
ありさくやわらはがみしゆめにから〳〵
たるいけのおもかたへにさきしは花あやめまたかたへにば
かきつばたいまをさかりとさきみちしをながめつゝ
たゞすみしにいちぢんのうぜふききたりあやめの
かたをこと〴〵くふきちらしあとかたもなくなり
つるゆへこはふしぎとこなたをみればうきつばたは
つゝがなくさかりのいろをましけるとおぼへてゆめさめ
たりもとよりあやめかきつばたはきやうだいにたとへし
にてあやめはあねによそへたるをふきちらせしは小しゆんが
みのうへかくなるへきぜんひやうなるべしおんみししたりとて
小しゆんいきてかへるべきどうりもなし此うへはじがいをとゞまり
かれがかきおきにのこせしごとくわれ〳〵にちからをそへて給はるべし
とゞむるをりからくるわのものども大ぜいちやうちんをてらしつれ
いふものに
ひか
せて
まる
さくや
白玉中
てに
かけ
たる
あさ
に
新五兵衛と
いふものは
つぎへつゞく
まへのつゞきすぎつるころわが
あひかたの女郎清川が父をころし
此なはつきやくわんの仁兵へといふ
わるものをかたらひ清川が父と
いつはらせて二百両のかねを
かたりとらんとはかりしくせもの
なることこいつめがはくじやうにて
くはしくわかれば新五兵へは
まさしき清川がかたきにて
ことさらおもきつみんどなれば
白ふじは人ごろしのつみを
うくべきにあらずそのうへ
こよひ小しゆんをわがものに
せんとはかりて白ふじが
てにかけさせたること
みなかれがしわざなりと
われゆへあつてきゝしりぬ
ぢう〳〵のつみんどなれば
ちう〳〵のつみんどなれば
われ此事をあがたぬしへ
きこへあげすこしも
なんぢらがなんぎには
かくまじければ
とく〳〵こゝを立さる
べしといふにぞ
くるわのものども
やう〳〵とゝしんして
しりぞきぬ
此ときよはほの〴〵と
あけわたりけるが
文七はなはつきの
仁べいにむかひ
なんぢ清川がかたき
□□□□□□□□
たづ
いづる
ひと
こしは
うたがひ
もなき
あま
の
めいけんなり
文七はおどり上りて
よろこびつゝ
此一しなさ人
てにいればわれちが
ほんもう此うへなし
ほんもう此うへなじ
新五兵人
われ〳〵が
此かたなに
目をつくる
事を
さつし
新五兵へにくみして清川が
おやといつはりきたりしとき
われそのばにゐあはせて
うたがはしく思ひしゆへ
うたがはしく思ひし
わざとゑんぎの
むかで小ばんを
あたへてかへしぬ
なんぢも
かたきの
くれ
なれ
清
に
なり
かはり
その
あたを
ゆる
ぞと
いひつ
くび
ちうに
うち
おとし
しがい
ざんぶり
川の
なる
ちしほの
けかれに
たちのぼる
すいきは
まさしく
此所にたからを
かくすに
みたがひなし
とき平
さがせと
ことばのした
まへのつゞきすぎつるころわが
あひかたの女郎清川が父をころし
此なはつきやくわんの仁兵へといふ
わるものをかたらひ清川が父と
いつはらせで二百両のかねを
かたりとらんとはかりしくせもの
なることこいつめがはくじやうにて
くはしくわかれば新五兵衛は
まさしき清川がかたきにて
ことさらおもきつみんどなれば
白ふじは人ごろしのつみを
うくべきにあらずそのうへ
こよひ小しゆんをわがものに
せんとはかりて白ふじが
てにかけさせたること
みなかれがしわざなりと
われゆへあつてきゝしりぬ
ぢう〳〵のつみんどなれば
われ此事をあがたぬしへ
きこへあげすこしも
なんぢらがなんぎには
かくまじければ
とく〳〵こゝを立さる
べしといふにぞ
ぐるわのものども
やう〳〵とゝしんして
しりぞきぬ
此ときよはほの〴〵と
あけわたりけるが
文七はなはつきの
仁べいにむかひ
なんぢ清川がかたき
□□□□□□□□
いづる
ひと
こしは
うたがひ
もなき
あま
くにの
めいけんなり
文七はおどり上りて
よろこびつゝ
此一しなさへ
てにいればわれちが
ほんもう此うへなし
新五兵衛
われ〳〵が
此かたなに
一目をつくる
事を
新五兵へにくわして清川が
おやといつはりきたりしとき
われそのばにゐあはせて
うたがはしく思ひしゆへ
わざとゑんぎの
むかで小ばんを
あたへてかへしぬ
なんぢも
かたきの
くれ
なれ
清
に
なり
かはり
その
あたを
いひつ
くび
ちうに
うち
おとし
しがい
ざんぶり
川の
なか
ちしほの
けかれに
たちのぼり
すいきは
まさしく
此所にたからを
かくすに
うたがひなし
とき平
さがせと
ことばのした
文七
まへのつゞき此所へかくしおきし
ものならめことよろこぶ
をりからあら川ぐん作は
新五兵へくるわにて
ころされしときゝ
あはたゞしくかけきたる
でやいがしらはてんの
たまものこれはと
おとろく軍作を
そうほうより
とりかこみ
やへぎかは
やへきりは
おともろ
ともに
なのり
かくれば
白ふじ
しゆうとの
かたきと
つめよせつゝ
くぶ
さい
文七ぶし
〽さればなにはに名も
たかき恋のわけしり
花ならば桜と人に
よひのくぢ詞に
いろをはなぐもり
〽介といみやうを
かりがねの
なび〳〵青柳
うぞじや
ごん
ぬ
世
てんの
あだがたき
しゆびよくうつて
ほんごくへきさんも
かなふやへぎりおやこ
紋所
かよふ
ちだねを
さいどのむこの
ゆふじと
まくら
りぶる
いぜん
くやう
にしゆんは
しでの
に
山づたひ
めい
おくど
ぶつ
くわを
えたる
はゝがていはつ
かへり花さく花おか文七
これまでつくすかんなん
しんくむかしがたりと
あすか川ながれをくみし
塩川もうけいだしたる
めうとなかます〳〵まもる
みさほかゞみくもらぬ
ためしぞ
めてたし〳〵
むすぶしこなし
いばふ〳〵と
〽申ふみさん
いつぞはわしが
思ふで居たが
〽よばいものをば
よげたが
よい
つよ
い
やづ
をば
なげ
たが、
よい
わしや
ぞふ思ふてゐるわいな
そふだんべへ〳〵
廿九
版元永寿堂口上
○たかうはござりますれど
ごけんぶつさまがたへ
ちよつと御ひろう
申しあげます此本の
橋本徳瓶作●本
菊川英山画爾
作者画工両人とも
いまだ若年ものゝ義にござりますれば
甚みじゆくがちには候へどもお江戸根おひの
ものどもにござりますればいく〳〵は上手の
かづにも入候やう御ひいきのほどねがひ上ます
ことにきく川ゑい山義当年初ぶたいの
画工にござりますれば別して御取たてのほど
ひとへにこひねがひあげたてまはります
とゝべいゑいざんはんえゑいじゆ堂ごの
申しあげまするとほりゑいじゆ堂おつとよし〳〵
いはすともみなさまはごせうち〳〵それよりは
まだ口上がある
○おとしばなしの作者
上まき丁三しやうてい可楽無
しんせい七小町かきもち
御茶口とりこほりむめ
右のほか御口とりぐわししな〳〵
御ひやうばんよろしく御もとめ可被下候
豊国画
10379
文
化
繪入
讀本
来午年秋
同全部山東京傳作
無相違売
夕霧物語
出し申候
同六冊歌川豊国画
年庚七化文
歳
梅川
山東京傳作
二人こそつ十冊
忠兵衛
歌川豊国画
上に記目録之通不残
売出シ申候御評ばん
白椎八七
氏井源蔵
あのや椀久
すゑの松山
山東京山作
杜若紫後咲六冊
歌川豊国画
山東京山作
時代世話二調鼓八冊
歌川国貞画
宜敷御求御覧可被下候
○右之外新板しな〴〵
御座候別目録いだし
おき申候
⑦
妹二十一代集人
八十
一妹廿巻万葉集
山東京傳作
赤櫻本朝文粹十二丹
鳥居清峯画
新
関取鬼王
山東京山作
化粧坂懐中亀鑑八冊
鳥居清峯画
頃城月小夜
板
山東京山作
繪
金屋郡鹿子額縁五冊
蘭亭北嵩画
草
石山源吾雄
粟津右内ノ橋
関亭伝笑作
善近江八景六冊
蘭亭北嵩画
彫
小泉新八
鈴木栄治
工萩原浪治
上村長治
江戸馬喰町
二丁目角
氏
□□
同
録
清川
文七
六冊がけ
徳用向
橋本徳瓶作
傾城貞操亀鑑六冊
菊川英山画
関亭伝笑作
河州大森塚三冊
歌川国満画
永寿堂
西村屋與八板
二城久店
嘉兵衛