南色梅早咲

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柳川重信畫
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2026-08-17T19:23:18.082Z
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柳川重信畫
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ナンショクウメノハヤザキ
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東北大学
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ひやくせうそじらう 百姓曽次郎 妹於由伎 浦波の近臣。 犬飼伊丹之助 後に 侠客丹助 或人の許へまねかれたるに日 囲まで盃をいださゞりければ 五月つゝじのさかりなるを見て 二番目にか文字 いれたきさつきかけ 貞徳 花房千弥 後に 袖崎千弥 右は貞恕が著したる 樋打の追加に 見えたり OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOCOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO ○○ゆ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 末常燈明 鹿目判十郎 後にかたるやはんしち 後に刀屋半七 御門内 阿花 引鶴林寺の悪僧 泥田坊後に是 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 南色 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 浦波多満之助市杵島弁才天を 信心なし給ひけるがある夜の夢に 明晃々たる劍を一の白蛇咥へ 来ると見て夢覚給ふ不思議 や枕上に一振の劍あり則白蛇 丸と号秘蔵し給ひけりと なん 浦波 多浦之助 南色梅早咲 第一巻 □ 柳亭種彦作 衆道の言上二人の情 昔浦波多満の助といふ御体名阿波の国にまし〳〵文武を車の 両輪とし賞罰あきらかに御座ありし忠臣の士には鹿目 郷左衛門同判十郎の兄弟又犬飼伊丹の助などいひて 天然豁達なる者も多かりし同家中に花房千弥といふ 少人生質さへ人にすぐれ心ずゐぶん人なれければ人〴〵 これに心をかけ文は千束におよびけり此千弥父はとくに 亡て母のみ一人ありけるが春の頃より風のこゝちと打臥水無 月の初になき人の数にいりければ千弥がなげきいはんかた なく則君のぼだい所鶴林寺へ葬り五十日のみんいとまを ねがひくわくりん寺にたうりうして母の墓にうちむかひ 念仏よりほか他事なかりけるとぞ かくてあるときかの目半十郎いぬかひいたみの助 なにかねがひのすぢありとて両人ひとしく とのゝおんまへにまかり出左右よりねがひ書を さし出しければたまのすけひらき見給ふに 花ぶさせんやがみなし子となりたるを あはれみ弟になしたきといふ両人とも おなしねがひなりたまの助のだまふは 〽もつともなるねがひなれど。なんぢらは 両人なり弟となすべきせんやは一人なり おなじときにおなじねがひこときうには かいつけがたゝ十半十郎にむらはせ給ひ いひつけがたく下半十郎にむらはせ給ひ なんぢもかねてしるとをりはくじや丸の ほうけんはとしに一どほだいしよ くわくりんじにぢさんなし火はんにや どくじゆなすが吉れいなりなんぢ そのやくをつとむべしせんやが事は われそのうちにとくとしあんを さだめたがひにゐこんなきやうに はからふべしとてはくじやまるの ほうけんを半十郎にわたし給へば 両人はつとおんうけなしおんまへを しりぞきけり○又此ころやしや丸と いふかいぞくありてくわんれいの ふなぎつてをうばひ四て九しうを はいくわいなすよしきこえ ければかのかいぞくをめしとり いだすべしとかまぐらの ぶしやうよりたまのすけに おほせつけられ心きゝたる けらいにいひつけやしや丸が ゆくへをたづね給ひけり ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ 鹿子雁兵衛実は 海賊の首領 夜叉丸 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 こゝにお花といふむすめあり宮はゆゑある ごうしなりけるがせんねんみまかり 母とともに り 寺の ほとりに すみ 又世に ありし とき より 求士 かの半 十郎と お花は ことなれば いひなづけの中 なれどいかなる事 か一年のび二年のび まだこんれいのさたもなくむすめ ざかりをいたいらに母のもとにぞ くらしけるしかるに此ごろ半十良 くわくりん事にきたれるよしを おかきひそかにつたへきゝしのび行て こんれいののびくになるをうらみんと 心のうちによろこびぬ又おかきが ともだちに出雲とてきりやうよき なびく けしきは見へ ざり けり むすめあり百しやうながらうとくなる くらしにて父も母もなく其次郎といふ 花ぶさせんやがわかしゆすがたに思ひそみ人をたのみて心のたけを しらせけれどせんやはものがたきうまれにてことに舟のもにともりぬる 兄のみ一人りあり此おゆきくわくりん守にとうりりりなしたる ○ひらき みみせんを いき おゆきは こきうを すりて さながら あね いもとの かたらひ 前 半十郎はかねてより花ぶさ千弥とけうだいのけいやくなし わりなき中にてありければいひなづけのお花さへなにかと いひてよびもむかへず千弥は此ほどもにこもりくわゝりん寺に ありけるにぞ半十郎は心によろこびはくじや丸のつるぎを たづさへかめてらにおもむきてその夜千弥に しのびあひこゑをひそめていひけるは 〽ふしぎなえんにていつぞやより兄よ 弟といひかはせしそなたの母はわがぬ どうぜんをりもあらばよびむかへ おひらくに世をおくらせんと思ひの ほかにはかなきさいごせめてそなたをわが 第におもてむきよりもらひうけんととのさまへ ねがひしところ 一二 ときも たがへず いたみの助 卅一 さしだす ぐわんしにも □□□□□□□ われとおなしく おんみを家に むかへんねがひ とのにもいづれと わけかね給い おんこたへは 〆 あらざりし 一トかたれば千弥も ちかくより 〽おんはらたちも あらんかと今までは▼ ▼つゝみしがそのいたみの助は いつぞやよりそれがしに 心をかけいろ〳〵に くどけども 南白 〇半十郎くわくりん寺に とまり千弥と しのびあふ 〽ばんほどは 又しのんで まいり ませう つゞきよらずさはらずいらへして ざきやうにとりなしすごせしがの あなたのぢやうもん さくらに 一の字わたくしが つけしを見てさま〴〵の ねすりごともしそれを ゐこんに思ひとのさまへ ねがひしならんなみ風 たゝす事おさまる しあんをして給はれと いとしめやかにかたらひて あかつきごろにわかれけり ○おゆきは千弥にこひこがれ ふみをおくれどへんじも せずあふてうらみを うちつけにいはんと思ふ 心よりはづかしさも うちわすれ 夕ぐれちかく みてらのにはさき しのふあとからとうじゆくの どろだばうとてなうその あくそうとくりかたまに ちどりあし〽コレへ お雪さんあねさん といはれてびつくり とびのらを 〽どつこいまかた じかたびらの すそをおさゆる ひざがしら▼ ▼〽フレおれぢやとてやくびやうがみ ではあるまいしさうつれなかはいはぬもの こちのぢぶつにあんちしたおぢざう さまをちかひにかけうそで ないとのせいごんたてけがき よりなほこまかいふみをせめねん ぶつのせめかけて百まんべんほど おくつても一チどのへんじもないれいほう ちかうはよせぬとうよくしん又 〽かいちやうはかなはぬ上しゆびちよつと 御えんをむすばれませう此みての いとのやわらかさどうもいへぬト よりそへばお露はこらへずつきためし 〽御しゆつけのあるまじいてんがうもほどがある あだしつこいしゆかんとするそでをとらへて うごかせず〽しるまいと思ふてか千弥とやういふわかしゆに うつぽんたつたひとりでてらまいりかう〳〵でござり ますとそ次良どのにつけるぞや 〽アヽそれ兄さんにいはれては いろよい へんじ 〽それがいやなら どう ぢや つけまは され もてめ ましたる その ところへ なに ごゝろ なく きかゝる 千弥 おこやが なんぎを 見かねてや はづみを うつて どろたばう からこへどうと かしこへどうと なげのけたり 〽あいた〳〵ト おきあがり かほ見てびつくり 上ゝわかしゆめ なんでおれを なげたのぢや イヤなげたのぢや ないおれがでに いひこゝへこけた のぢやト はじめの 手なみに 上本おくれし ほう にげて かへり けり つぎへつゞく 南色 〽つゞきしあとにふたりはいきほなく〽そなたはお雲どのとやら たそがんといひたゞひとりなにようあつてきたられし とはれておゝるはかほうちあかめ なにようとはおなさけない 日ごとにおくるわたしがふみ よんでさへ見て下さんせぬ そのつれない御心をしつて 思ひきられぬ 此みのゐんぐわ ゐながらどうあつても いろよいおへんじ なされねばからご きはめてをります トいはれて千弥も はづかしげに〽それ ほどまでに思ふて くれるこゝろざしは うれしけれど 今はへんじも なしがたし まへがみとつて それがしも男の かずにいるならば かならずそなた をよび をよび むかへんとすゑ むかへんとすゑ たのみある千弥が ことばお雪も やうやくあんど してその夜は むなしくわかれけり ○さるほどに半十郎は くわくりんじにとうりう なしはくじや九の ほうけんを しよゐんの ちうわうに かざり せんれいの とをり 大ばんにやてんど おはりてのち 半十言ふたゝびぼうけんをうけとり その夜もくわくりんじにありて千弥とし しのびあひければどろたぼうは うかゞひよりふたりひそ〳〵吹へいゞく ○とろた すりかゆる ところ いゞきものうたるこゑもとだえしをりを見すまし にくらもとなるほうそんのはこをなんなく しいだしぬすみきたりしほうなうのたちと 手ばやくすりかえてもとのところへおし なはしなげつけらねたゐしゆがへしふたりを つみにおとすにはこれくつきやうと ひとりえみかゝるをりからづきんにて つらをつゝみししのびのさぶらひ すりかえたりとはしらきの はこ小わきにかゝへて ゆかんとすであひ がしらにばつたりと どろたばうにゆき あたりたがひに おどろきとびしさる おとにめざます半十郎 ともしびきえて あやめもしれす 本弥もともにおきあがれど ○お花はこよひ 半十郎に うらみの たけを かきくどかんと 一をどりのむれを ぬけいでゝ しのび よつたる にはさきに 人おと するは えずとやみはあやなし ひつくりしりゐにたをれふす。 しのびのさぶらひお花をふみこえ どかたばうをむんずと とらふ。なむさんぼうと▼ 公身をあせれば そではちぎれて さぶらひの手に のこりしにはきも つかず どろた にげ だす きゝ とがめ ことがめ 〽くせもの まてト よばはるこゑ それをしるべに しのびの さぶらひ 〽ヱイに うつたる しゆはけんとんで 半丁良が もすそを えんに めひとめたり ぬきとかひまに くだんのしのびいちめし くだんのしのびいちめし いだしてはせいだせば としろにしゞうを さぐりよる手さきに さはるいがぐり あたま たづぬれどもほうけんのはこ うかゞふ千弥のがしは やらじとこれも又あと かつかけてはせゆきけり○半十郎は あかりをてらしざしきのくま〴〵 なかりしかば 大に おどろき かけいだす むかふへ おはなは ちふさがり 〽けふは七月 なれど ほん をとり のび ぢやそ 図 むかへて いふて此てゝの もんぜんにをどりの あるをさいはひに しのんできたも くださんす 日ごろからつもる あんまりつれない かみがいひたさゆゑ お心しよりそへば とりてつきゆけ〽そのからみ いひなづけといふなばかりて きくまはない〽レたいせつなるつるぎが うせた〽ヱヽそんなら今のさうどうは〽ヲヽくせものが しのびいりおいへのちようほうはくじや丸のつるぎをうばひたちのいた さしぞへさらくとぬきはなしせつぶくなさんとなしければおほろ〳〵 さしぞへさらしとぬきはなしせつぶくなたが あはてすがりとめとこしがいぞトとがいぞトとがいぞトとはれてやう〳〵 かほふりあげ〽今さらいふもめんぼくなけれど〽かざへつらくし 花ぶさ千弥といふものとけうだいのけいやくなし おやと〳〵がいひなづけのそなたの事もよそにな をりもあらうにもつたいない此みてらにて しのびあひしそのてんばつはたちまちに たからをやみ〳〵ばひとられなにめんぼくに 〇くせものがうつたるしゆりけん 半十郎がかたひらのすそにとする ながらへん そなたは これより やしきへ たちこえ それがしが 兄ごう太夫に かやう〳〵と つたへてたべ 又とりなほす その手をはなさず 〽おまへがいまはら きつてもその つるぎがでるではなし しぬるいのちを ながらへてどうぞ たからのせんぎして とのさまへさしあぐるが かへつてちうぎて ござんせうお心せくは おどうりながら こゝのところを きゝわけて まわりからがい手に とりあげてとつくと見 〽なんばんてづに りやうのざうがん くせものがうつたる しゆりけん まつてたべ わるつまとことばをいくして いさめけり半十郎はうち うなづき〽みつ子にならひて あさせとやらそこに こゝろのつかざりしはあく われながらおろかなりもう しなぬじがいはしひとゞまつさ 千弥にあふもめんぼくなし いづことあてはなけれども これよりすゞに たびだゝんと いひつゝ くだん のゆ ○どろた ばうの かたそで くせ ものゝ 手に に のごる せんぎの 手がゝり かたじけ なしとくわいちう なしてたちあがれば つぎへつゞく 南色 〇おはな ぼんをどりの なかをしのび こゝにきたる おしとめ〽今さら 女をどうだう 女をどうだう なさばいよ〳〵 いろにおぼれしと 世のじんこうに かりやせん かりやせん たとへ わたしもいつしよといふを からきおくきもまかゝしくおびひきしめ 年つき へだゝ る と こゝろは かはらぬそのしようこと さしぞへとつてさしいだせば お花はぜひともいひかねて かうづゝみをとりいだし 〽これはわたしがとゝさんの御ぞんじやうの そのをりにおかきなされたさくらぢらしの かうづゝみ又あふまでのかたみとも ごらうじてくださりませし 半十郎手にわたし なごりの なみだに かき くれて しば ときをぞ うつしける 〽いつあはふもしれぬほどに さんではないだつたい わづらはぬやうに してたもれ 〽せつないものは うきよの ぎり ひよん なり 五十一 さても花ぶさ せんねはくせものを 見うしなひむねん ○せんやおゆきと なんやおはせ かたみをとりかはす かたみをとりかは なからも すご〳〵と くわくりんじに みいへかへれば おゆきもをどりの 〽いつあはるもしれぬ ほどにわづらはぬ やうにして たもれ みるより こしもとの こしもとの 中にありてかくと こはぎ 前の 縮れ はしり 卅 きたり ものあんじなる かほばせはいかなる ことゝとひければ 千弥はあたりに きをくばり〽これ おゆきどの此ごろ よりのしんせつを つれなくばかり われにいひかはしたる あにぶんありとのさまの おほせをうけ此てらに あいさつせしはまことは きたられしをさいはひしのひあひたる そのひまにたうぞくがしのびいりゆ 南色 ゆたいせつなるかたなをうばひ立のいたり あには此やゝせつふくなすかたから せんぎにたびだつかふたつのみちは のがれまじさすればわか身のなり ゆきもはかりがたしなにもせよこれが しばしのわかれぞときいておゆきも なみだにくれ思ひがけないございなん そのやうにことをわけておづしやるをむかに おとめもまうされず又もあふぎの心の おとめもまうされす又そあふきのんの いはひあなたのそばにそふ心せめてもの おもひでに此あふぎをあさゆふもつてくだ さりませとさしいだせば手にとりあげ あふぎにゑがくはもみぢをながすたつた川 たとへ水のそこまでもたからのせんぎ しいだしてふたゝびやしきへかへりなば さつそくによびむかへんトどうじゆくに たつそくによびむかとりきたらせ いひつけわがはをりをとりきたらせ かたみにせよとお雫にあたへさま〴〵に いひなぐざめ心づよくもわかれけり ○かくて半十郎はお花をいろ〳〵 おしなだめたちわかるゝそのをりから 干孫もすごく立もどり〽兄うへ むねんながらくせものはいづこともなく にげらせたりいかゞなさんといひければ 〽ヲゝかつてはしらずみちはくらし 見うしなひしももつともなりわれは ひとまづ此ばをたちのきたからの せんぎしいださんとたつをおさへて 〽みたからをうしなひしはふゞさゆゑ おこることなればわれもおなじ つみ人なりいづくまでもおともせんと 立あがるをしばしとおしとめ一つぎへつゞく 同断 どろた ばう おゝややと 思ひて 小はぎをころし くびを川へきり おとす つゞき〽いまいふごとくふぎゆゑ ことをしそんじて又その人を つれのかばなほくつみをかさぬる だうりいまゝではかたらざりしか われにぎりある女ありともにと われにぎりあたをどう〴〵 ひしつをのこしおきそなたをどう〴〵 なすときは女が思はんてまへもはづかしト ことをわけてなだめければ千弦もとくと しあんなし〽さあらばわれはみちを 引かへたからせんぎにたびだるべし 人のいりこむところなれば まづかまくらに 立こえて かのちで 二女みをてらせる はくじやの ふしきはて こゝろえぬ ○おゆき下女の こそぎにわが ふりそでを きせかへる ◑さすがは ぶしとて なんだも おどさず ふたりはわかれ たちいでけり 〇こゝにお雪が下女の こはぎは千ほとのはなしを こはきは千弥とのはなしを きゝうちしほれてゐたりしが おもひきつてお雪にむかひ 〽おはづかしいことなれど此ごろ おてらにきてござるおさむらひ ふつと見そめてみもよも あられずをりをみて心の たけをいはふ〳〵とさのしん をりましたに千弥さまの あにうへとはかのおかたに ちがひはないさすれば こよひかきりに おかほを見る こともなる これはおじやうさん はゞかりてごさり ます 〽コゝこれで しこしこことをもいて 七□のい□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 七まのいゝてにむからいにふ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ いさう江中わしとまいて ばしをふけよ □□を□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ せむしいやらせしいい □□せ□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ いたいさいせをせしゆくき □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□し□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ましいましいましいて 五十五日そいそいそいまて申上申 戌七月廿四日八月八十四日 を□さたかやくな入いる □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ のすやしくをたかい一て見かろく女を申し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ いこと思ふても よしをいたしたま い□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 元□を□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ せいといたをひて □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 〽廿九日 上銀壱匁五分壱人 いひし □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 此上を にいたゝゆはせとい ○くみやむを □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ みやさくの ひせいごく □□□□□□□ い□い□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ くた口を □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 無之 ませ □□□□□□□□ 之 □□□□□□□□ 二月七一 一にやいひこゝ十五軒 て耳を 五拾五文に由 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 六月廿九日 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ことも申やい □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 南車 五十二月 つゞき おいとまいたゞきせめては思ふはんじんをまうしたう おいとまいたゞきせめては思ふはんしんをまらしたみ こざりますときいて少雪ほけうさめがほそのかほで あつかましいと心のうちては思ひながらほうかいりんぎと おもはれんもはつらしく〽とくにもそれときいたなら しやうもおうもあらうのにおたちのきなされぬ うちにちつともはやうゆきやいのときいて こはぎは大によろとびよりいふこととしつたなら よそゆきのかたびらをきかへてこねかくやしいと いへばお雪は心つき〽そんならこれときかへて いきやとあぶがかをすふすいせんくわかたちに にやはぬふりのそでこはぎはおゆきが かたびらをきかへていそぎゆきにけり ○さてもどろたばうはなんなくつるぎを うばひとりこかけにしばらくかくれゐて 人おとしづまり立いでしがこはぎが あゆむこしろすがたほしのひかりに すかしみて心おぼへのおやゆがかたびら こびのかなはぬゐしゆばらしつるぎの きれ此しためもにはこれくつきやうと うしろよりことでもかけず すつぱと切るさすが名にあふ たからのつるき水もたまらず くびうちおとしまへなる川へ おちにけりときにふしきや ふすいきにわかにたちのぼり やみをてらせるはくじやの かたちをりからきかゝる 半十郎此ありさまを きつと見やり上へつゞく 〽おゝき半十郎があとをしたひ来る つゞき手にもちし此かうづゝみが こゝにおちてあるからしてはおくるを うつたは半十郎どのゞきりある 女といはれしもやつぱり といはれしもやつぱり お雪がことであつたる つゝそれよたから手にいる それまではたいせつの わがからだもしや 人に見とがめられ 人ごろしなんどとて とらへられては身の たいじとこれも 此ばを立さり } 〇いぬかひいたみの助は花ふさ 千やがなくしよくにまよひ とのにねがひてもらひうけんと 思ふにたがひて半十郎もいちじに ねがひをさしいだしそのこともかなはぬ うへにかねて半十郎とはふかき中なる よしをいぶさにきゝそのむねんわすれがたく 半十郎をうちはたさんとくわくりんじに しのびしがはやおちかせてゆくゑしれず やう〳〵みやざきのやかたばしにて千弥におひつき 〽われはやくいひよりしをつらくもてなし半十郎にしたがいしゐくんはむねにおほへあらんとぬく手も見せすかつてかゝめを 千やもこゝろえいきあはせしがほどははたらいしがいたみの助がたりこむたちに千弥がかたさべて ひければあしへへふみどもさだすらず水のあわしやたち酒の風にはもかき老ふさはまへなる川へさてふとにもくく ゆくゑはしれともりけり○お花も夫にすねにいひのこしたることありとかちことしまやかけきたりやかたはにさしかゝればつちいくも 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 一つゝさちがたなさげたるあやしきくせものはつとばかもに とびのきがそばにおちたるかたそではおぼへある さくらに一の字 なに思ひけんたちかへりいたみの助がかほうちまもり 〽おさむらひと見うけまして ちとおねがひがござりますへ 「上よりのゝき一はせゆきしがおろはしばらくしあんして ◑ほかの しいはれてかたなをさやに おさめ〽たのむとあれば 身どもゝぶしみにかなひし ことならば〽それはまア〳〵 ことでま ことでも ござんせぬが アノわたしや あなたに おうれ ほれました しいね 女ぼに もつて くだし さんせと これはと おどろきとりあぐれば うちよりおつるは半十郎に よひにおくりしかうづゝみ 〽なふ此人はいづらに ゐきしぞをしへ給へと はわさもわすれ いたみの助に 〽ヱヽその 人は今 とひければ 山だちに たりまかれ すでに 〽たしかおぼへの かうづゝみ やふから ぼうの ぬれじかけ ふりのそでにて かほかくし よりそへは ぎよつとして 〽やうすありげな そなたのことば おゝ。といふまい ものでもないが ちとそれがしは しさいあつて これより あやうきその をりからそれがしこゝに きかゝりていづくの人か しらねどもきうなんを わけるにしのびずすけだちして 山だちをばのこりなく川へ いもらと きりこみその人はつゝかなくアレあのこみち よりおとしたかといふにうれしく下へつら ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇お雪千弥にわかれきやうきと ころしてのいて くださんせトくび さしのべてかくごの ていいたみの助も もてあまし〽すかや それがしさへとくしん すればいつしよに たびだつ心ぢやまでゆ それ ぢやに よつて 今は らぬ あれば わたしや こゝで じがいして しにまする ○ 〽をつとに つれそふ女ぼの やくたがた ゆ心いつはい しんくして 世をやすく おくらせます 〽そんならしんじつ いのちにかけて □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 〽さアをなごの くちからはづかしい 此やうなこと いひ びとりの 母さんさへ つれてのいて くださるなら 天ぢくの はてまでも 〽おもしろい これより そなたの やどに おもむき 扨もろともに かまくらの これがせめても おますにしんぢうむりな ことぢや事きゝいれてし手をあはすれば 〇しるべのかたへおもむかんト立あがる そでをひかへ〽なね〳〵しいことながら そでをひかへ〽なせ〳〵しいことながら 又此うへに一つのひたのみはだかしながら あのわたしはいふにいはれぬみの大ぐわん そのねがひがかなふまではとのごに はだをふるまいと神にちかひをわけおき たれば女ぼといふはなばかりでよるの ふしともべる〳〵にとうぞねゝしてくださり ませたとへば十平廿年ごらうにん なされてもわたしがいめちのあるうちはまあたりを見すはせばなみにやられて川さらへ次へつ なされてもわたしがいのちのあるうちはゆ うちわらひにいつたんとくしんするからは さゝなめことでへんせぬがふしのたましゐ かたりしかけてそひねばせぬあんどしやと おときをともなひいたみの助かくれがにこそ いたりけれ○夜にけてのちお雪はこばぎが かへらざるをあんじやうすをきゝに出たるが 十六也なるにわかしゆかたさきに手をおひて此 川をながれしとうはさをきゝ心ならずもその あたりを見まはせばなみにゆくれて川ぎしへ吹へつて どう いき すせう 此うへの おなさけには には ▼ 次へつゝ 酉二 見ればなかばちし所にそめなしたりさてはうてさにちがひなく 人年にかゝりてしゝ給ふか此あふぎにゑがいたる立田川にもみぢしを みてたとへ水のそこまでもたからのせんぎしいださんと の給ひしもこうならうはしごとかはつとばかりにうちにして思はし なみだにくれゐたるがそのまゝわがやにはしりかへの千弥がおくりし はとりをとるだしありあふこきうにうちきせてでくまはしの はをりをともだしありあふこきうにうちきせてでくまはしの まねをなしやみだれてにこくわらひ〽さァはしまりぢや〳〵 うた〽ちりくる〳〵さくくの花がみねの嵐にさそはれて 〽ヱヽ此にんぎやらはなせにものはいやらぬで かた〽思ひをうたにいはせたる糸はされねど恋人と ねもせてわれにもの思ふとうたひつまひつくるひ いづれば兄そ次らはぎやうてんなし かゞきしながれよりしはゆふへ千弥におくりたるあふきにてとりあげ 〽わくおゆき なにかやうすは しらねども いかうのぼせた そなたのがんしよくまア 一トねいりねてきをおちつか しやといへどもさらに がてんせず〽なんのねられう うた〽まくら一ツでぬる夜半は よしのゝめをばさゝしなの夕月見る よでことたらぬ〽あなたこなたと はしりめぐりさらにしやうき あらざれはそ次らももてあまし ことをつくしてなだめけり 柳川画電 種彦作 こゝのゑのわけ こうへんにあり アクノバー 後 かくていたみの助はかまくらにたちこえ 宮も丹洲とあらためお花もおつとの 手だすけと母もろともにかひ〴〵しく ちんしごとしてくらせしがおもふまゝには ちんしごとしてくらせしがおもふしやみせんを はかとらずをさなきときよりしやみせんを ならひおきしをさいはひにいまはげいこと なりふりもむかしにかはるはですがた かたぎをよそになげしまだ いとならなくに あほやぎと いふてふ わたりに すまひを 編輯 井上編後 社上編後 うつし ほそき けふりと いのちげと 冊 つなき とめたる こまげたや さくらの もんはつけれども ほかへちらさぬ花ごゝろ 心はあまとかながきのほぐぞめをのみあり きたりければそのきしやうをほむるもあり 心にくゝおもふもありてたれいふと思ひのほかに ちぐそめのお花〳〵と世にいでゝ思ひのほかに 世をやすくすぐるほどにぞときめきける 世をやすくすぐるほどにぞ ○丹助は国もとよりいひかはせしことなれば 度日のふしどもべつ〳〵にかりにもみだりなる ふるまひなくこれぞとさだめて世わたりにや なすべきことはしらざれど さすがむかしのかたぎのこり ところのものゝけんくわこうろん りひをたゞしてとりすまし ければ人みな たんすけが ●男ぎをしたひかしら〳〵と うやまひていつとなく 男だてのよりおやとこそ なりたりけれ 南色 〽とうで いまでは ねへ 丹助小道具 屋をよびて 不用の道具を うりはらふ 〽みなでは よほどの しろもので ござり ます 十七 ●●湯のみゆる 一同廿一日 〇 此ころおなじかまくらに雁兵衛といふらうにんありいかなる ゆゑあらふくゆうにてつねにそのこしぼりのにそで 羽をりをきたりければかのこがんべい とぞゐみやうをよびけるさてかの どろたばらは どうたばうは がんすへさんといつしにに □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ げんぞく 印紙 是期 八日 あら より がんべいに したがい これも かまくらに ありけるがある日 がん兵へもろとも えがらの天じんに まうでちや屋の しやうぎに やすらひ ぜご八かのおちきを 見かけ〽あの女はわがどうこくのもふ なるがいかにしてか此ところへは きたりけんじいひけるにぞ がんべいにつことうちゑみ 〽まづそれはみよりなり あれ こそは ほぐ その お花とて此 ごろ名うての げいこなり われあの 〽わるいものを もつてきた ゑにかいた かへるは のでも だい きらいだ きらいだ をきに心をかけさま〴〵に くどけども今になびく けしきは見えずよき 手がくりはあるましやい なほもひそ〳〵ものかた をりしもこへ丁 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 三十一丁 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 万人桜 ▼せご八がともだち 大きなるかへるを ゑがきし 見せものゝ かんばんを つぎへつゞく 十八 十七七 十一 ********************************** 米 善兵衛 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ * ヲ北 長 * 米 米 米米米米麦米米米麦 米 米米 米 米米 つゞきもちきたりければがんべいたちまちがんしよく かはりそでうちかざして身をふるはし〽われ をさなきときよりかはづをおそるくくせあり ゑにかき たるを 見てさへ こゝちし あらし そのから ばんを もち さるべし らひければ せごはわらひ おにとも くまん おかしらが わづかな おそ るゝは これに の ふしぎ なり され かへるを しりそくる には 此うへも なき まもりを もてり ねだん ○坐敷狂言 今若 ゑはう まゐり たるくは かり まう さんが なにを いふにも こゝは こゝは くれん そのし □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ものは見せ ものは見せ がたしこなたへ かたしこなたへ たり給へとて きたり給へとて ほんしやのかたへぞ いざなひける とゝのゑとき かくてそのよもがんべいは ぜご八もろとも もんぜんの茶やに ありてかの おゝきとそでざき せんやといふ いろこをよび 二人にいまわる ゑはうまいりと いふきやうげんを させて夜なる までしゆ水を もよほしをりを 見ておわきに つぎへつゞく だしきにまねかれしそでざき千ねはすなはち ○おはなが となりの あき家を つゞきさま〴〵とたはむれけれどもとより心たゞしきおかきさらに なびくけしきは見えざりけり○此夜お花もろともがんべいが かれしそでざき千ねはすなはち 花ぶさ千弥なりすぎつるとし あはのくにしていたみのすけに きりたてられはしげたを もとめ ふみはづし 千弥引こし □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ きたるみちに ぜご八まちぶせ そのまゝ 川へおち いりてかきつ しつみろ十丁 ばかり ながれいで すでに あやうく見え たるところへりやうし 一 ふびんに おもひ その まゝ なしおどり どうぐを 幾位といふもの ふねへ かせとして千弥を うちとらんと なす たすけ のせ さま〴〵 袖崎千弥 此ていを 見て かい はう なし ける にぞ 千弥は やう〳〵 いき ふき 一かべし 義 四日は のべ 三味綿 しなん とし 十一 ト ① 十一 もの がたるに 此ぎさくへ いつたいじひ ふかき うまれにて 千ねが とよりなき 身のうつを きのみう おもひ いかに しても わかき ゆ身にて ひとり かまくらに くだるは 次へつゞく 〽つゞき心もとなしそでふりあふもえんとやらわんもともに かのちにゆくべしとてひとり身は心やすく千弥どともに たびだちしがぎさくはとちうよりこゝちあしてかまくら おちつきてよりはまくらもあがらすうちふしければ おちにきいろ〳〵ひをつくせどしだい〳〵にひんくに 千弥もいろ〳〵心をつくせどしだい〳〵にひんくは せまりいのちのおんあるぎさくがびやうき あにさんもう なんどきは ござんせう ○こゝに又おゆきは千余に わかれてよらきやうさと なりしをそすらくだつに おどろい さまだに りやう いまは見つがんてだてなく いろ子となりてきやくに まねかれときうのゆみは 手にとれどおどり だうぐのそのほかは たちもかたなもすて はてゝさむらひのみの あるまじきよわたりとは 思へどもおんぎの ためにはかへられじと まことある千弥が心を神もあはれと 見給ひけん思ひのほかに名よりとなり 夜ごと日ごとざしきにまねかれ 今はうきよもわたりやすくほぐじめ のお花がとなりににやはしきあきいへの ありければいたみの助がこゝにありとは ゆめにもしらずかのいへをかびとりて やうつりなすそのをりからところの わるもの大ぜいあつまり此ごろ名だいの おわかしゆにしんたくのしうぎ せんともたせ来りしおどりだかぐを おつとりて右ひだりよりとつてかゝるを はつしとかわしてうでねぢあげ〽ヤァおのれは たしかにどうたばうがん兵へどのくざしきにてたしかにそれと 見ておいた〽コヽおぼえのいしすでつちめこひのかなはぬいしゆばらし なけのけけすそ小うでににやはぬ千余がはたらきかなはぬゆかせといひすてゝみ たんでしまへ〽かつてんだと大ぜいいちどにうつてかゝるをあなたこなたに ほん しんには たちもどんど あさなゆふなし なきあかし 〽おくるはついに めしいとなり そのうへりやう せのものいりに かひ つくし 共にもろ ともに そでこひと なりこれも 此ころ かまくらに くだりけり みなちり〴〵にぞにげうせける 敷けのけければにうでにおいはぬ土崎がはならきかなはぬやかせといひまてゝみなちり〴〵にぞにげらせける PTTE □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 〽おぼへのある此 かうがい はてな丁 ◎土弓 後 かのめ 半十郎もかまくらに かたなやとすがたをかへ名も半七 あらためびわこうじといふ所に あらたはひわこうじといふ 一年ばかりすみけるが名にあふ 一年ばかりすみけるが名にあふ はんくわのとちなればお花 千やにもめぐりあはずあるとき 八まんの茶見せにてなかまの 小どうぐやよりふち かしらめぬきなど くだりはくじや丸せんぎのため はひけるうちに かひけるうちに わりかうがいの かたわれあり なんばんてつに おぼへあるりようの ざうがんなりければ 大きにおどろき 夜くせものがしゆりけんに うつたるをとりいだし いつぞやめいけんふんじつの 南色 あはせ見るに そのかうがいの かたわれにまがひ なければさてはかの くせものとうちに あるにうたがひなしと こゝろのうちに よろこびけり 小どうぐやいふ その その かうがいの かりぬしは ゆきの下に かくれない お花と いふ げいこの ていしゆ たんすけと いふ人で ます あるときたん助お花にむかひ〽今さらいふにおよばねども ふしぎなゑんにてそなたおや子をどう〳〵なし此かま くらへくだりしがほかによわたるわざもなくなれもせぬ げいこのつとめこゝろをつけてあさゆふにせわして くれるはくれしけれど夫婦といふは名ばかりによるの ふしどもべつ〳〵にへだて心がとけかぬるもし いひかはした男のゆくゑたづぬるなどゝ ゆふやうなねがひもあらば ゑんりよなくいふて きかしやとやわらかに とはれてお花は うちわらひ うちわ 〽つね〴〵 わたしが いふ とをり 男に はだは ふる まい 覚 源 がけ したは みとせがあいだ まアそれまではいもうとを もつたと思ふてせわながら ねむるお花がふところよりおちたる千やがかたそでを ふびんをかけてくださんせとこたつに よつてびぢまくらゆふべのゑひのさめかねて 丹助は手にとりあげ〽やかたばしよりひとかたなに 切ておとしてあたら身をそこのみくずとなしたる かたそではだみはなさすもちたるはもしやかれめが ゆかりかときくよりおかきはおきあがり しやみせんばこにかくしおきしわきざし ぼつこみつめよせて〽おまくにはじめて あひしときそはにおちたる此かたそで さくらの花に一のじはまがふかたなき わかをつと半十郎がいへのもん たもとにありしは此おきがかたみに おくりし香づゝみおまへのかたなに したゝるのりさてはをつとは此人が うちはたせしと思ふよりわざと れんぼのていに見せねがひある身と まくらはかはさずあづまのはてまで つきそひしもそのことばかきゝたさゆゑ やかたばしにてひとたちにうつたといひしも のがれぬてんめいさァじんじやうにせうふしやと ひらりとぬいてうちかくるさてはおゝきは 半十郎がいひながけの女にて半十郎が 定紋を千やがつけしまちがひにてわれをかたきと いふならんとたん助は心づき〽まア〳〵まつたとこたるを こだてにぬけつくゞりつむたうのはたらき女ながら はげしきたちすぢあしらひかねしおもてには いそがはしげにかたなや半七〽たん助どのはこゝもとか たのみませうとおとなふこゑうちにはおかきがきを いらちうちこむしらはをかもゐにきりこみ こたつやぐらにひはらをうちうんとばかりに もんぜつなすたん助ふとんをおきにうちきせ しやうじひきあけかほ見あはせつぎへつゞし 南色 〽すがたかわれど いたみの助これで あらましやうすが しれたと ふろしき づゝみの 口いふにおゝきも心づき〽たん助どのに うたれしと思ふおまへも御ぶしにて ようまァたづねてござんした〽これは したりとたがいにあきれしばしことばに なかりけりたん助おきにうちむかひ 〽さてはわがすいりやうのごとく 半十郎がいひながけの女にて 〽なんぢはかのふはかのめにつき〽たんぢくづき〽たん助どのにのに ありけるかおんみくはしきことは しるまじわれは半十郎がはうばい いぬかひいたみの助といふもの われはなぶさせんやといふ 少人にれんぼなしさま〴〵に くどけどもかねて半十郎とふかき なかなればかつてこゝろに したがはぞ そのゐこん わすれがたく やかたばしに まちうけて みなそこへ きりこみ しは その はな ぶさ うちよりもわきざし 手ばやくとりいだし半十郎 ずつとつめより〽せん年 くわくわんじのけいだいにて はくじや丸をうばひとりあとを くらましたちのくくせもの やらじととむるくらまぎれ くせものがうつたるしゆりけん チヤ なり うれ 半十郎と 兄弟の やくを ④2 ぬきとり 見れば かうがい なり これを せう こに ▼ ▼ ほうけんの ほうけんの ありしよをさがし もとめんどかたなやと すがたをかへ此かまくらに くだりしがきのふはからずかひとりし かうがいのかたわれとあわせて見れば すんぶんちがはぬなんばんてつにりようの ざうごんそのうりぬしのたん助をたづねて 見れば国もとにてわれにゐしゆあるいたみの助 たからのどうぞく女ばうのかたきもおもれで ありしよなとうつてかゝればいたみの助おきがわきさし とりあげてはつしとうけとめこゑはげまし〽はくじや丸の とうぞくとうたがふはことわりながら女房のかたきとはそれがし さらにおぼへなし〽ヤアおぼへないとはひきやうのいちどんその わきざしは女ばうへかたみにおくりしわがさしりやうそれを しよぢなすなんぢこそお花がかたきにうたがひなしとふみこむ あしにけるへす哥とんおときもやう〳〵心づきおきあがるかほ打まも 〽ヤアいたみの助にうたれしと思ふしきはそくさいにて此やにゐるは心えずとね ゆこれ此ごとく さくらに一の字 半十郎がもん所を つけしゆへ をつとの かたきと 思ひたがへしも もつとも なりとぞ かたり ける 〽たからのとうぞく 女房のかたきも はくじやう しやれ 半十郎いわく 〽さては千やは なんぢが 手にかけ ころせし よな 女房の かたきと 思ひたる なんぢは かへつて 弟のあだ いづれの みちにも 見のがしがたし たからのゆくへも はくじやうしてせうぶ なせとぞつめかけたり なせとぞつめかけたり ときにとなりにこゑありて 〽まづまち給へあにじや人花ぶさ せんやこれにありとありあふかさの ゑをもつてしきりのかべをつきやぶり 立出るを見て又びつくりやうす あらんどひかへゐるさて千や いひけるは〽半十郎どの いたみの助どの両人ふわと なり給ひしももとそれがしより おとりしこといつたん死したる此せんや 代のちふつつこと思ひきりむかしのごとく おしたりとも中よくなして宝剣のせんぎを なすが忠のみちそれがしせんねんやかたばし にてそのかたそでをきりおとさ かたさきにうす手をおひ まつさかさまに川へおちいり すでに死せんとなしたるが かやう〳〵のわけありてりやうし ぎさくといふものに たすけられ此かまくらへ きたりそでざきと めうじをかへまひやおどりを 世わたりとなしてさま〴〵に 心をつくすもみなたから せんぎのためいたみの助どの 此やにありとはゆめ〳〵しらず このごろとなりへやどがへしてとなり どうしとなりしもふしぎ兄うへこれ まへがみはいつのまにかば。そりおとし男なりして ごろうじてくださりませとぼうしをとれば ゐたり をつとゝ けり〽さては 兄弟の 南色 ◑半十郎はよこ手を うち〽そなたの いろかにまよひしゆへ 弟のかたきと ちなみを むすびし その人は ふだん ざしきで おちあひし 思ひこみたいせつ なるほうけんの つぎへつゞく おまへのこと かとお花が おとろきは かゞきせんぎをなすべきいたみの助をうたんと なせしはわがあやまりのぞみのごとく兄弟の なせらはわがあやまりのぞみのことうちゑみ ゑんきつたしきいて千やはにつことうちゑみ 〽兄弟のゑんきるからはひととをりいふことあり せん年くわくりんじにとうりうのみぎり 百しやうそ次郎のいもとおゆきといひし むすめそれがしにれんぼなしさま〴〵に いひよれどそのもとのぎりを思ひ つれなくのみもてなせしがかの はくじや九ふんじつあらす くわくりんじを立のきて 人ばなれなる松かげに あけにそみたる女の しがい立より見れは くびはなくきりさいなみし むくろ也いづくの人かと よく見ればおぼへある そめゆかたおびの もやうにいたる迄 おゆきがしかいに まざれなし そばにおちたる 此かうづみ もしやかたきの 手がゝりにも ならんかと もちかへりて つく〴〵見るに われくせものを 見うしなひ □□□□ 給ひたるかうべくみにまぎれなしさてはおゆきを ころせしは半十郎どのなりけるかとかうづゝみは そのまゝにわがたもとにいれおきしがその かたそでをきりおとされめぐり〳〵て 此家にはきたりしならんそのとき ぎりある女ありといひ給ひしは いりわりにておゆきにれんぼ し給ひてこひのかなはぬ いしゆがへしか又かの おゆきはいんふにて きでんにかねて ひとたび立かへりしそのときにきでんが手にもち ちぎりをこめ ほかへこゝろを うつせしゆへにかくは 一はからひ給ひしか此 ふたつのほかにはいでじ 女房さへもつまじと此千やに ちかひをたてかくさもしき ふるまひありしはなにごとぞ それゆへにこそえんきつたれ それゆへにこそえ へんとうあれとつめよせたり 半十良いひけるは〽今いたみの助を おほがかたきといひたるも その死がいありしゆへなり われもそのよくわくりんじを たちのきかの松かげを とをりしときアツとさいぶは 女のこゑちようちんの 女のこゑちようちんの 火かげに見ればぼうかふりせし 南色 くせものが女をひざに ひつしきてとゞめを さしたるやうすなり そのちしほほとりの 清水にながるゝと ひとしくやみを てらせるはくじやの かたちさてこそ とうぞくごさんなれと はせよるひまに くせものは 女のくびを うちおとし ゆくゑも しらず にげうせ たり 死がいを見れば おぼえある お花が ゆかた 半 つぎへつゞく 九五 つゞきあたりにおちしは此ふくさトくわいちうより とりいだしこれこそはくじや丸をつゝみおきたる こきんらんさすれば女房おかきがかたきと宝の みたちのとうぞくは同人なりと心にうなづき あしばやにたちのきしがそのときわれも かうづゝみをとりおとせしものなるべしおこきが ぶじにてゐるを見ればおゆきとやらんが 死がいにてありけるかといふに千やもしめんを めぐらし〽さてはそれがしそのあとへゆきかゝり そのろうづゝみをひろいとりきでんのしわざと 思ひしならん日ごろよりおこなびたゞしき 兄かへにかくいふことのあるべきことども おもはれずとうたがひとければおかきも あんどし〽お雪さんと此花がついに そめたるおどりゆかたそれゆへにこそ此 花が死がいとあやまり給ひしならめ をとゝゐよりも中よくしてへんしもはなれぬ おゆきさんなにものゝしわざぞやかたきを とりて給はれとこゑのかぎりなげきけり 半十良いたみの助にむかひ〽きでんの手に 死したりと思ひしお花千やもともに つゝがなきはさいわひなりたゞふんめう ならぬはたからのとうぞくさいぜんも いふとをりうたがひかゝりしいだみの助 いひわけありやとにらまへたり〽ヲゝその いひわけありやとにらまへたり一その いひわけはまつ此とをりとわきざし とりあげいたみの助せつぷくなさんと なすところへ義さくはあわてかけきたり 三郎手にすがりおしとゞめ〽わたくしはおまへの図 ▼おやご左衛門さまにほうこうせし義助と 申すげすやつこおいとまをいたゞきしは 御ようせうのときなれば御見しり ないは御もつともせんねん千やさまを ふねにひきあげやうすをとへば おなじからなみの御家中手を おはせたあいては古主それゆへなを たいせつにしておきましたも おまへを人ごろしにせまいため死なで かなわぬことならば此おやぢがしにやする おまへがいまはらきつたとてたからが もどるといふでもあるまいまア一とをり わけをいふてくださりませとなみだを ながしとゞめけりいたみの助めんぼく なげにかほをあげ〽半十郎がすいりやうの ごとく千やがことをゐこんに思ひ二人りを つみにおとさんとそれがしくわくりん寺に しのびこみはくじや丸をうばひとり 立のかんとなしけるとき又一人のくせもの ありであひがしらのくらまぎれおもはず かれがかた其でをひきちぎりその かうがいをしゆりけんにうちつけやう〳〵に そのばをのがれみたちのはこをひらき 見ればにてもにつかぬなまくらがたな さてはさいぜんのくせものがすりかへおきし ものならんとかのかたそでをよく見れば ねづみもめんのむもんにてしやうこと なるへきものにあらすと又せつぶくと なるべきものにあらすと又せつぶくと 見へければ義さくもろとも六の巻へつゞく 後 編 冊下編後 冊 まことの大じにそれよりははやせんひをあらためわれ〳〵 もろとも心をつくしつるきのありしにをたるぬるこそ かへつてちうきといふへけれトことはをつくしいさむれは 千弥はそのときひざすりふせ〽それにておもひ あたりしことありくわくりん寺のどうしゆくに どろたはうといふあくそうありかのお雪に もんばなしさま〳〵にたはむるしをそれかし 見るにたえかねてかれを手ひとくなけ のげしがそのことをゐこんに思ひつるきを すりかえお雪をころしたちのきし ものならんかれ今はけんぞくなしせこ八と 名をあらためかのこがんべいといふもの 名をあらためかのこがんべいといふもの したかひたうちにあるを見こゞめ しかきには おきぬ此せご八をひつとらへ せんぎをとげんといひければ 人〴〵も大きによろこび いたみの助もやう〳〵に 五の巻のつゞきし半十郎もおしとゞめ〽此らうじんのいふことく今死めは ○此日お花かはゝは せ戸明神へ さんけいなし せつふくをとゞまりけり ことはてゝのち たちかへりありし ありし ことどもくはしく きゝてかつおどろき かつよろこひさて お花かいたみの助と うちつれたち此かま にてはあらざることを半十郎に こま〴〵とかたりけり くらにきたりしはかたきを うたんてだてにてまことのふうふ 南布 つぎのゑとき おはなは いもとゝ 思ひたる おゆきが ひごうのさいごを きく心ばかりの たむけぐさふつだんにみあかし てらしそくみやうはおゆきさん とんしやうぼたいトゑかうのこゑつきへつゞく 廿六 つき 千弥もともにぶつ間にむかひ 〽かすならぬわかみをしたひ 心をつくすとしりながら はゝのもうちう兄の手まへ みらいはふうふぞやなむあみだぶるみだぶつし うつやしやうごのそれにはあらでこきうのねいろ すみわたりかどにたゝすむそでこひのかくこそ それかれ思ひてなさけらしいことばも かけぬそのうちにはかなきさいごととけよのせめて うたひいだしけれ あゆふべあしたのかねのこゑしやくめつゐらくとひゞけども きいておとろく人もなし野べよりあなたのともとては けちみやく一トウにじゆず一れんそれかめいどのともとなる ○お花はふつと心づきほんにあれはお雪さんとわたしが つねぐうたふたうたたゝさへあはれなあひの山 思ひたじてなほかなしい手のうちやつて いなさうとなに心なくたちいづる▼ ▼かとにしよんぼり目なし鳥をはうちから せし立すがたはまがふかたなきおゆさなり どうしてこゝへといはんとせしか此世をさりし その人のふたゝひきたらんやうはなし心の まよひと目をふさきとうぞうかんで くださんせとまうすねぶつもくちのうち 十弥もそれとは見たれともあまりの ことにことでもかけすやうすあらんと ためとひゐるをりからふりくるむらさめに おゆきはこきうをぬらさじとそて うちおほふてたゝずめるのきはを たるぬるありざまなれば千弥はありあふ からかさをおしひらきてさしかくれは のきはと思ひてしたにやすらひ 〽たえてほどへし千弥さまいよ〳〵 おはてなされたならわたしもはやく 死にたいねがひもしながらへてゐたまはじ まいちとあはせてくださりませと かみやほとけにくわんがけしてかいなき いのちはながらへしがとこにどうして こざんすやらひよつといまにも めぐりあひかういふすがたを見給はゞ なほ〳〵あいそがつきようかと そればつかりがわしやかなしいあゝ なんとなる身のはてぞと目かいの 見えぬあはれさはおつとのかさのした ともしらずなみだのかきりなきさけぶ さてはお香にうたかひなしとおはなは はせよりすもりつき〽ふしきにおいのち たすかりて千弥さまも御そくさいで これこゝにこさんするおゝきか こゑをわすれてかといはれて か雪はうちおとろき〽さういはしやんすは お花さん 〽ヲゝ花ぶさ せん抔も 〽そんなる こゝにあり あなたも おたつ しやで しやで ゆめでは ないか 一 一八 とまり ねぐらを をとりすがりなみだよりほかことでなし〽まじ〳〵こちへトうちにいざなひ 〽さてさつそくにきくべきはかくいふ千弥がさいつころくわくりんしを置のゝ をりくびうちおとせし女の死かい立より見ればかたびらのもやうはさら也 おびのあやそなたにすこしもたかはねば人でにかゝりて御きへつゞく 南色 〽そのしがいはこはがさとてわたしがそば つかひし女くちへこそはいださねど 半十郎さまをこひしたひ 半十二ほさるときゝ おたちのきなさるときゝ よそながらおかほが 見たいとお花さんと いつついにそめた わたしがをどりかたびら あれはなにものととはれてお雪はなみだをはらひ 一一一一 〽とき死せりと思ひ今も今とてたむけのからはなして〳〵 たりしが人手に かゝりてひがうの 死あなたも おはてなさ れしと思ふて わたしも きやうきして かりきしてゆき くはしい ことは ことは しらねども あとにて ようきて きけばどろたばうも てらをかけおち日ごろ わたしへれんぼのやうすは あなたさまにもよく ごぞんじさすればそれを なにもつてくらまぎれにわた ねにもつてくらまぎれにわたしと 思ひころしたのでござりませうじ ことこまやかにかたりければいよ〳〵 みたちのとうぞくもどろたばうに うたがひなしと千ねはこゝろに よろこびぬつさてお雪が兄 長次郎も此ところへたづねさたり ひとぐもつどひよりたがひに ぶじを よろこび かつ半十郎は 小はぎが さいごの やうすを きゝふびんの ことにぞ 思ひける ○かのこ がんへいは おはなを くどき おとさんと 雪の下の ある茶やに まねき 手をかへ かへ しなを さま〴〵 にいひ よれ 柑酢はな 図 松 花は け なびく なく る 〽今までは はゝみしが わたしは おつとのある 身なる 女わたりなれば ぜいもなく さゝのあひては いとむれど みだらなこと いはしやんす 〽千弥さるを こひこがれ なきつぶしたる 目なしどり ふびんと 思ふて 下さんせ ざしきへも でぬほどに まアそう ま申そう おもふて くだ さんせと ずつ いはれて ぐつと せき あけ 〽そりや いはひ しれて ある われが あのたん助 おつとは 〽いゝやおかきが 男はへりに あるどれ ちかづきに なり ま せう しやうじ ひき あけ すづと おな うち 〽ゆ さ らい ゆゑ すぐ やきばの 半七と ゐみやうを とつた たなや かたなや しやうばい つぎへつゞく よんだがよいおれがげたをいたゞいてちつとわれも あやかれとありこうざうごんようしやもなく とろずねぐつとふみかくればたまりかねて わきざしをぬかんとせしががんべいは なに思ひけんにつことわらひ 〽ざうといふけだものはうさぎの かよふこみちにあそばずうしを さくかたなにてなんぞにはとりを ころさん。ふく。はは。はゝと たかわらひそらうそふいてぞ ゐたりけるかくとはしらず つゞきお花をさつはりおもひきりほかのげいこを ふろよりあがりゆかたの まゝにていでくるぜご八 をりから白さけめせ〳〵と すがたをやつしてきかゝる 千弥それと見るより ぐつとつめよせ一いかに ぜご八いぜんの 名はどうたばう 花ぶさ千弥を ふろよりあがりゆかたの 半 廿八 見わすれしや なんぢにあはする ものありと 目くばせ すればお花は こゝろえ一ト間の うちにはしり入 おゆきが手を とりいざなひけり ぜご八は大きに おどろき〽ヤァ しか わりやたしか おゆきだな くわくりんじの なはてにて まつ ふたつと 思ひの ほか これは だと あき れる ぜご八 千弥は なほも 身がまへ なし 〽さては すいりやうの はくじや九の とうぞくもおのれ にてありけるよな いつぞやあれなる がんべいがえがら てんじんの茶みせ にてかわづの ゑを見て おそるゝありさま そのときなんぢ かわがをよくるに よきまじなひ ありといひたるは はくじや丸の ことなるべし われものかげにて そのことを つぶさにきゝ つぎへつゞく 大あたり 双鶴 山川白酒 南通 ぬきはなさぬ一トこしは かのつるきにうたがひなし これでもおのれ ぬくまいかと 白ざけおけを うちかへせば なかより 〽つゞき半十郎どのといひあはせ さま〴〵ちじよくをあたゆれども □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 十弥がんべいが かわづをきらふ ことをしり白酒 おけへかわづを いれおきはく じや丸を見いだす いづる あ の かへる せいしが かわづをおそるゝ がんべいわれをわすれて めきはなすみたちの ひかりのそのうちにはくじや こつぜんとあらはれいで かわづをめがけとびかゝれば かわづはおそれてみをちゞめ きつとうち見やり〽はゝしやのかたち もとのおもへぞかくれけるおゆきは 〽そんならおまへのがんぴやうは〽たちまち なほるもつるぎのゐとくみたちの ひかり目のうちをつらぬくやうに おぼえしかむかしにかはらず すゞやかにありのはふさへ 見ゆるもふしぎとうれしさ いはんかたもなしこかけに ひかへしいたみのすけ いたみのすけ じつていうちふり おどりいでがんべいを くみとめんとしばし あらそふそのうちに あらはせしはうたがひもなきたからの つるぎといふこゑきいておときはおどろき ▼ べいが ふど とりおとし ころより ふなきつて 半十郎は手にゆ ゆとりあげこれを しよぢなすなんぢこそ かねてしゆくんにげん めいくたりたつね 丸にて ある べき なれ と 大きに よろこび ぜご八 もろとゆ もろとゆ からめとり いさみ すらんで ほんごくへそ かへりける 六 冊 かくておの〳〵本ごくに立かへりしゆじん玉の助へ かくとうつたへければかねてくわんれいより たづね給ひしかはそくのちやうぼんやしや丸を からめきたりしはばつくんの手がらなりとて 一トたびほうけんをうしなひくにをたち のきたるつみをゆるし給ひもとのごとく ちぎやうを給はりければ半ま良おはな ちぎやうを給はりければ半十郎おはな 千弥お宮のこんねいしゆびよくとゝのひ いたみの助もしかるべきところより つまをむかへいづれもふうふのなか むつましく男女あまたの 子をまうけどみ さかへけるとなん ○義さくそ次郎 お花が母へは人〴〵 よりふちして世を やすくおくらせ 屋 大 〽あくにんほろび ぜんにんさかへ かはらず めでたし〳〵 ○おちががんびやう たちまちになほりしははくじや 丸のゐとくなりとて主へる いとまをねがひ千弥もろとも いつくしまへさんけいなしけるが をりから本社ざうえい ありければはしらだての 一神事をつとめけり これも又めでたし くも 柳亭種彦作 柳川里信画 六 10530