數珠の親玉
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- 市川白猿
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- 2026-08-17T19:23:18.243Z
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- 場所: 江戸
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- 市川白猿
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- 日本語
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- 石渡利助
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- スウジュノオヤダマ
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- 東北大学
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第4
1335c
市川白猿
数珠の親正完
念仏百首
古好ニ片源本一丁
市川
白猿
追善数珠親玉序
市川五代目団十郎は。幼名松本幸蔵。十四歳にて
初舞台。夫より幸四郎。のちに団十郎と改名し
俳名を三升とよぶ。はた蝦蔵白猿と更て
座頭をつとむる事二十八年。五十六歳にして
一世一代の名銭をつとめ
おしまるゝ時ちりてこそ世の中の
花もはなゝれ鼻もはなゝれ
孫新之助にえび蔵の名を譲り。七左衛門と改
功成名遂てかつしかの。五百崎に草庵を結び
月雪を友とし光陰ををくりぬ。されど中村座
顔見世役者不連なれば。弟岩井半四郎頼に
より忰団十郎当場の口上を述くれよとあるに
いなみかたく。出て日毎に狂歌一首づゝ詠。座附
口上極月中旬まで大入繁昌す。然るに団十郎
廿二才にて世を得ければ。先祖の百年忌を
幸に。孫えび蔵十才に成けるに団十郎の名を
あたへける。芝居の座本贔屓の友どちのいふ
いまた幼年なれば。市川一流の俳優孫に伝へ
給ふも又。先祖への追幅ともならんと。勧るに
順ひ。市むら河原峠の両塵へ二度の貌見世。
此大入世以て知る所也。夫より又閑居に
引鬱。ふたゝび高金を積といへども。是に目
をたにやらず。戯場の者頼来れば留主
答させ。戸を閉て人を通さず。壁に狂歌一首
をはる
芝居事のかれても又かしましや
松が琴ひく竹が笛ふく
梁父の吟にあらねど臥竜の志をもちひ。
不奢不貪。珍器珍味を得るといへども。是を
人に与へ。一椀の飯一杯の酒。陋巷に住で
臂を枕と楽む事数年。ことし秋の比より
こゝ地例ならずといへる事を玉木屋いつみや
の二人りの娘頓て我がもとにいざなひ。醫
料を尽しかいほうをこたらざりける。常に
すける道なれば。ともに狂歌俳諧など
いひかはして慰ものす。白猿病のひまあり。
ける時みづから筆とり念仏百首といへる
狂歌かいつけて。友とちへおくる。爰に悠々館
待人これを得て。此まゝひきこめおかんはほゐなし
桜木にものして念仏者に是を恵まんと
おもへど。もし忌々数やおもひ給はんと。陰言
しけるを白猿聞て悦び。ねがはくは然るべし。
生ては祈祷死しては菩提の種ともなる
べくとて其需に応ず。時に十月廿九日の朝
白猿。夙に雨もつ雲の行。未代と吟じて
物にかきつける。此旬に辞世の心ありしも
ふしぎ。其夜宵より殊にこゝ地よげに
いさや例の俳諧せんとて人々を集めぬ。
此顔見世孫団十郎。上総の七郎景清の役
にて赤くぬりたて荒事の出立を賀して
顔見勢や三升樽の江戸の艶
とほつ句して。夫より表月の座まですえ
いろ〳〵に月をうつして大一座
此跡つけよといひて。しばしねむれるやうに
見えしが。いらへなきゆへ立寄見れば。はや
たえ入にけり。鳴呼終の道誰もかく有
たき事にぞありける。人念念定慧にあり。
臨終安乱れんとの教むべなるか南。
曽子死するに及で簀を易子路闘死するに
及て纓をむすびける類是皆平日講得て
死生を見ること昼夜のごとく思ふが故なるべし
誠や波斯国の人常に山水を愛し死して
其心石のごとく開は中に山水を見る所の躰
あり又一人の僧禅観法を行ふ死するに
及て火葬す心の内観音の像を包といふ
是皆愛する所に寄るか我国にも佐国が
蝶と化したるごときのためし数ありされば白猿
追幅のため狂歌俳諧の好士一草を
をくり給へばとみに桜木にゑりてかの念仏
百首をまへに出し数珠の親玉と題して
一ツの巻となし是を霊前に備るになん
東都清稽作者
立川談洲楼馬馬述
風に雨もつそらはぬ李顔の
あけをうはふや薯の雲
おなしくいたみて
ゆて人は鶴の林に鷲の峯
また大鳥を見る事もなし
市川寺白猿和尚述
念佛百首
自筆独吟
くらき
より
くらき道にも
あかん堂
はるかに寺の念仏の
声
右市川白猿辞世
豊国画
}
ことし兼て中の頃ゟ水痘の病に
打ふしてこゝ地死ぬべうおいとまごひかと
おもふにつけあみだ如来へ軽薄申て長丈
はらいを助からんため病中のぬられぬまゝ
一ト夜ふたよに尚是をひとり詠じて
枕上て興じ侍りける
市川寺五祖
向様和尚述
こらき
より
くらき道にも
あかん寺
るかに寺の念仏の
右市川白猿辞世
一
ことし暮て半の比ゟ水痘の病に
打ふしてこゝ地死ぬべうおいとまごひかと
おもふにつけあみだ如来へ軽薄申て長丈
みらいを助からんため病中の収られぬまゝ
一卜夜ふたよに百是をひとり詠じて
枕上て興じ侍りける
市川寺五祖
白様和尚述
阿字十方三世仏
弥字一切諸菩薩
院じ八まいしよしやう役
昏是あみだふつ
反古庵白様
是ゟゐた
独詠始り
}
いく度も心の塵を掃捨る
法りは奥如の玉ば香臥
朝夕にあみだ仏を頼む身は
何に付てもたのもしき哉
我死なは百万遍を絶すなよ
地獄え落て便りならねは
明暮に念仏唱えて死ぬる身
終りおもふぞ心つよけれ
一念仏を唱へ地獄え落るなら
法然様ゟ見てはござらぬ
一貧くは貧きまゝに長らへよ
いつまで爰に住みやはつべ
一念仏で助かるまいとおもふのは
まだ念仏のしみこまぬなり
う丈一とのかさなる度に唱ふれは
心はみだの六字とぞなる
一念仏は米の飯也くる珠数は
著也さいは座禅豆なり
世中のかれを見これを聞につけ
南無あみだぶつ〳〵
弥陀仏と唱へる人はいきほとけ
となえぬ人はいき凡夫也
物の気にかゝる時はなむ
あみだ
南無阿弥陀佛
朝な夕な愚智にかえつて念仏を
唱ふる人の実も賢き
なむあみと唱へなかるに一寝入り
さめてだぶつとざんまいになれ
なれ
よきもすてあしきも捨て唱ふれは
罪も報もなむあみたぶつ
一亡念の石より重き咎も
ねぶつの舟に積は不沈
十万の旅に赴くろ金には
ねぶつを申みためてをくべし
よきも夢あしきも夢の世中は
只寝言にもなむあみだふつ
ゆくさきをいかゞならんとまよふなら
只念仏の中え飛込め
色欲と名利の毒のどゝだては
常に大医の戒にし
一明暮に念仏の糖にてすりみがけ
油断をすると溜る欲垢
一此側鼻で打出張小槌もたんより
念仏申せ後生安楽
念仏は訳をきいてもはてしなし
只一筋に唱るそよき
一達磨どの九年かゝつて悟られた
さとりも入らぬ南無阿弥陀仏
聖人も知らぬといゝし後の世を
なむあみだぶでうかむ尊ふとさ
のちの世のあるかないかを知りもせず
啼見が馬鹿と成ル也
所王人の真似はすれ共儒者たちの
死んだ先をはしる人もなし
くやしくはどんな所といふてみよ
天に帰つてそしてどふなる
見ても来ず一死年は消るとあきめる
当推量の心あざとき
てんちの理をせばわかるといふやり
われはどこからきたかしまい
親に孝主に忠義の其名には
うき世に何も南無阿弥陀仏
聖人の知らぬとありし先の世を
無いと見るのはあぶなもの也
有る無いの知れぬ未来をあるには
念仏申頃が人ははつ明
悟とは何を岩間の苔ころも
只念仏にしくものはなし
さとらずと念仏申せはたす
かると
法然様のきつとうけ合
一念仏は罪をたちきる釼也
よく研済せ無我の財着で
見性の街の外カのちか道に
花も咲ます月も照り升
無一物かたての声をきかんより
なむあみだぶといふがちかみち
銭金も親の御恩も子の愛も
死ㇾては何も南無あみたふつ
亡念がどんなだんかうしかけても
きゝすてにしてなむあみたふつ
欺される気で念仏を唱ふれは
居なから直に九品蓮臺
念仏はうき世のやみのともしなり
よくかきたてよ書心よの営み
身の穢心のけかれ不浄をも
厭はず梅ひ給ふ弥陀佛
弥陀仏と唱ふる人は助かると
天照神の御うたもあり
一遍の念仏は日も壱里ツヽ
終にはいたる十万の旅
疑ふて念仏申さぬ魂が
生々世々もまよふたね也
一念仏を申せは犬も人になる
人も犬にはなりかねもせす
念仏を他の宗つて驚るとも
服をたゝぬが仏成けり
寝てもよし厠でもよし魚くふた
口でもよいそねぶつ唱えよ
代宗からいかわねぶつをそしとも
只迷ふなとみだの折氏願
一神道も儒道も禅も老荘も
なむあみたふに暫こもりけり
一念仏でうかまぬといふ買僧めは
天魔外道のへんさ成
一念仏は愚智下根なる我〳〵に
早くがてんのゆくぞ尊き
一弥陀仏と唱込たる魂は
火にさえ不焼水に溺ず
寝ざめにも又ねしなにも念仏
唱へてゐれは安楽を得る
悟り得し聖りも愚智の道も
南無あみだぶの声は替らじ
歩行てもねても起てもすそつても
わすれまじきは南無阿魔仏
念仏はたんと申スがよけれとも
すくないとても修せぬにはまし
一へんで忽浮む念仏を
唱へすゐれは又しづむ也
一念仏は日に何ㇾ通と定むへし
心ませて申すもよし
}
一念仏は人にもすゝめ我も修せ
皆一蓮の後の世なれは
一念仏に勝る宝もなかりけり
人をも助け我も助かる
一念仏は唱てゐれは我知らす
いつか一度は極楽えゆく
一筋に念仏と唱へて行先を
知らぬか直にほとけ成けり
}
一鍼灸薬よりも念仏は
悪事の病ひ直す妙薬
寝ても弥陀さめてもみたと念
ずべし
はてしもあらぬ夢の世中
一退屈の念がねぶつの邪厂をせば
一欠の中へ究てとなへよ
色欲の垢を清めるばんずい湯
首丈入つて南無あみたふつ
}
一念仏は多少によらず一心に
申ス心が極楽のたね
一ト寝入りねぶつとなへて極楽の
たねを枕の夢の世中
ちはやふる神の御国へ産れきて
ついにはいたる西のうちかな
鳴戸より生死の海のあらくも
法後にゝなうかむ瀬もあり
}
一疑ひの類見に念仏せよ
度かさぬれは安心を得る
一念仏をうたがひなら唱ふれは
うたがひなから極楽え行
念仏は命をのへて災難を
除て後生を助かるそかし
飛鳥河渕は瀬となる世中
かわらぬ物は弥陀の誓願
うたがひのふかき心にねぶつせよ
おのびしとわかるのりの道筋
みたぶつととなへて給れは先の
此は
何になつてもくるしみはなし
一念仏をうたがふ念は邪魔外道
みだの利剣てずた〳〵にせよ
仏ぼさつあまたの経を一くちに
なむあみだぶと唱ふうれしさ
}
念仏にまさる宝もなきものを
ねた間えるな夢の世中
ありかたいとはかり思ひ念仏せよ
わけきく仏世におはさねは
はてしなく長きみらいを助るも
此かりの世の念仏のうげ
かりの世にゐんくわのたねをまく
時は
長きみらいの罪や茂らん
倉作は六万遍も一へんも
申すくりきにかはる事なし
一へんですみはすめども念仏を
たんと申せははやく助かる
法然も他河も恵心も空海も
おつる所はなむあみたふつ
わか心まよひの度に唱ふれて
つみも浄古へいたりこそすれ
たまされる心でねぶつ唱水は
安楽心を得ぬ事はなし
しやうねつもつるきの山も血の池
念仏て通のくるしみはなし
先の世をないとをしことするやつも
みてきた事はなむあみたふつ
有か無かしれぬ後世をねかふのは
もしもあつたる時の用心
時は天に雨具をもつも念仏も
ころはぬ先の杖と知れかし
妻も子も智恵も宝も身に添は
念仏のみぞ死出の道連[リ]
念仏てお頼もふすといふならば
すくに通れと撰楽の門
愚智なりと笑ふやつらにかまわす
一念仏申して先を助かれ
花になく鴬水にすむかはづ
つまる所は南無あみたふつ
くらきよりく良き道にも
あかん堂
はるかに寺の念仏のこへ
口伝
念仏とむしのしらべとなしみも
外には何もおもふへかゝす
南無所弥陀なむあみたふつ
十六部三勺
南無阿三たふつ〳〵
あみた心は不浄穢の病人かよこに
ねてゐて左のんても極楽也けあん
ないなさるま事に有かたいのうへ
なし仏菩薩の観玉心也
人々しん〴〵なし給へ
四日
市川寺五祖
白様和尚
文化三丙寅年葬二ル芝増上寺中常照院一
還譽淨本臺遊法子
行年六十六才
百首
狂詠
十月晦日俗名市川白猿行年六十六歳
市川白猪をいたみて
市川の泡ときはしか
こはいかに
親とよばれし玉のひかりも
わひしらにましらなゝきそ
つみものゝ
山のかひある顔見せの前
鳥居清長筆
極楽い江戸を
さる
事
□□□
十万諸土
あゝつがもない
無名山人書
我をうめるものは父母
われをしれるものいとむつひ
かはしつる花音のなくなりけれは
六樹園
琴ひとつ身にもたゝねはかゝる時
たゝはらわたをたつはかりなり
四夷八荒天地のあひにある人の
うやまつて申す君か戒名
病床に見舞て又逢ふまでは
さらばといひけるが名残とぞなりける牛声楼
牛多楼
恒成
嗚呼つがもなくより外の事ぞなき
かは中のものや
南無阿弥陀仏
一念仏百首の功徳には三尊来迎の
雲そびえ九品蓮台の往生もありかたく
おほえて
塩屋
不浅
紫の雲が西からたな引て
迎に来たる花の江戸子
なげきてもこふても埒があかん堂の
土と成田の五代のをや玉
千年
笹丸
西方へ登り役者かにしき画の
逢坂
かたみのすがた見ても目をする
関守
一
西方の顔見世芝居あなたしいと
紫摩黄金の千両やくしや
麓
雪竹
世の中を秋狂言も過ぬとて
弥陀の御国へ、君か顔見せ
芦の屋
月守
浮世をはまつ今日と舞出さめ
すぐに浄土の蓮の座頭
谷松
年久
一連の珠数となりにし親玉を
したふこと葉もくりかへしつゝ
連松亭
知か住
君か着し八反がけの素袍より
わがぬらしつる袖そをもたき
七葉亭
梶麿
幕にして死出の山越す人はまだ
遠くはゆかし引かへさなむ
茗荷
為成
花道と二河白道と違へゆく
人をとゞめよしばらて〳〵
鶏鳴舎
関守
羅漢臺蓮の花道西の下
けふ極楽のがくや入して
板屋
守道
くやみても名残はつきじ座頭の
まつ今日はこれぎりのとき
筆の屋
油成
極楽へ雪の花道つもりぬる
としさへことし六十六部
秣
仲成
浦内
しばらくととめる道具の大太刀の
乗吉
みにも此世の別とそなる
一乗吉
てんべんのうゐらふ売やつとむらん
歌舞の菩薩の仲間入して
奈部
純成
大大刀の長きわかれはしばらくも
とめどたになき我なみたか南
山田
早苗
しばらくは鯰坊主も引たてな
柿の素袍の死出のわかれを
有鞍亭
内成
かくばかり無常の風の手づよにて
あゝつがもないはなぞちりける
素絹堂
滝津
上品の弟いち川と声かけん
しま黄金の肌をぬぐきみ
○
極楽の座かしらとなる白猿を
こそりてをしむ大和魂
東西
南北
便々堂
仲澄
しはらくを勤し人は土の下
鯰坊主もむかひにや出ん
一寸
法師
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
川越楼
なき人に手向の水やうす事
同
風や涙ながらの葉抹香同通女
同
よそながら聞も哀也寒言仏照女
文亭
さし出しは風の前なる灯と
きえぬ
しばらく
貌も見ぬをかぎりに
うらめしや今しばらくととめたりし
我一声を反古庵にして
福洲
あゝつがもない面影もしばらくは
生うつし画にみますばかりか
千雀菴
繁見
面影や火桶に残る灰の跡
如月庵
馬丈
○
千数庵
おもかけは画に見る計海老蔵の
目をしばたゝて晋の追善
矢藤
誰南堂
君がなきたま来ますやと寝覚にも
黄なる泉をおもふ冬の夜
眉住
○
しばらくと声をうけてもつがもねへ
こゝ教てはすの花みち
金井堂
丹盛
○
旦那寺人をなれとの悪たいも
今はまことゝなり田屋の果
眼蝶舎
夜鹿
○
江戸の花帰り咲さへ散てなし
此隠士たはれ哥を好る予も手向くさ
にとおもへど此道にうとければ只うかへる心を
周の代の時ならてふど小卅日
一命の懸を拂こそすれ
○
親玉か今そさいごのくわん念に
誰かしばらくと出しの升べい
鎧渡西樹街
四時楼
夜格
犬丸太夫
ことし十月市川白猿白日のもとを辞して黄泉
におもむく柳芝居は一壺の戯場にして実事を論する
むしろにあらすといへとも四夷は荒よく英名をしるといへる
大言あたれるかな白猿いまた団十郎候たりし頃蛮人既に
日本の力士と称すと行状賢者に近く美談あまた
人口に膾炙す五友竪川談師楼写馬か為に
ふかくいたむ所なり松類に
酒月未人
白さるをしらさるものゝ世にあらんや
さるからをしむき出の別路
十月はかり市川白猿身にかりぬと閉て
よみける
檜舞亭
恵門造
しはらくもとまらぬ事か西方の
蓮の舞台にのりの花道
八尺ノ長刀柿ノ素袍御家ノ出立鼻尤高シ
休レヲ言ヲ極楽贔屓少シト諸佛ノ亦閉ク親玉ノ號
上辺亭賢連
得胱の身となりたやをせり出しの
はちすの台あゝつがもない
吾に打撫彦
西山に雨もつ雲をはくゑんはにらみかへさんよすがたになし
大河辺千船
たのしみも今はつき日の鼠木戸白猿なしと聞かちりては
甘草亭甘露
浄玻璃に柿の素袍のうつる時渋い顔せん閻魔十王
川上亭
大鵬のとまりし海老の髭なでに閻魔の庁やおとろかすらん
杉折人
心なき人も涙の目はち〳〵白椀主の気きわかれに
新糸丸
世中のまはり納となりたやは大東妙典六十六部
机本司軽
をしまるゝ内ちりてこそ白猿かはなも其名も高う聞ゆれ
望月亭秋節
祐経の親玉うせて春芝居曽我の後日とならん侘しさ
養老人滝成
薄藍の一枚すりと成たやの親玉香相あかぬかひなし
都亭辰巳
市川の五世に六字の百首の千歳くちぬかたみとそみる
市川白猿六十六歳にて身まかりしを悼て団十良
か許へ申おくる夷曲亭
問屋酒船
其年も六十六部しての様
長く無言の幕そかなしぎ
顔みせの頃市川白猿世をさりしと聞くよみ
てつかはしける
百花園
大船問丸
まち受の顕舞のほさつも白精を
今や蓮花の座頭にせん
白様なき数に入て世人いひつき語りつき
黒風亭
いたみきこえし頃
河辺夏住
アヽつがもなき其人の手向には
みな人の目をしばたゝく也
周正祝ふかさり海老もたい〳〵くちぬ名をとゝめて冥途
の顔みせと成内屋をいたみて千畳亭
錦絵の十遍すりも念仏の
紀広住
一遍に帰す数珠の親王
しも月はかりうるまの人来りて江戸絵をめつる
よしきゝて白猿をいたむ十八亭
錦絵を江戸のかたみにもらひ泣
梅戸
琉球人もみな目はち〳〵
市川白猿祖上より五世その名をくたさす黄泉の
鬼となる事をいた玉
人日亭
親玉のかぶのぼさつの座頭は
若菜田平児
目さましかりける次第也けり
白猿をいたむ貴類
すぐろくの市川流のあら事は根の国底の
固まても思ひこそやれ浄玻璃をすがたみにして
大芝居閻魔王宮しばらくは天王立にやし
さわぐらん十王たちのやつかい若衆大釜牛頭馬頭
あほうの鏡赤鬼変してのろまの玉子色青さめたる
幽霊ても今より後は大船にのりのちからと
思しめせかし
反類
反郡年々斎稲葉
年々斎稲葉
大太刀を抜ときにこそいたいめを見る目かぐ鼻なき心地すれ
○
八千代までをきたき江戸の花と見し
おや玉つばきちるぞはかなき
木の
景吉
称名をとなふ六部の死出の旅
みますや蓮のはなの白猿
入手
信成
十露盤の玉の涙はこぼれても
目はち〳〵して我も香ん
手下
商人
夢の世をたつや六十六年の
めぐらじまいとけふはなりけり
うくひすの経よむ中の蛙哉
たゞなく我も手向なるへし
棚引亭
嘉住
武士
始り太夫
芝屋の三升の紋を見るにつけ
よそぎがもとにきゆるかなしさ
有賀亭
琴成
つがもなく遠以御国へゆかれては
会津楼
みます事さへならぬおや玉
持吉
なく渡玉はなせどもその中に
たゞおや玉のなきぞかひなき
○
白猿は浄土宗なれ隠居して
はや十ね人に極楽へゆく
古柳亭
枝成
水遊亭
舟主
白猪の身うちぞなて玉さえて
おもむくたびも黄なる泉や
正梅亭
芳輔
市川と世に名も高きはながたみ
めにしぶ人のなきしさかれを
玉川
六国
白猿はなき跡までも水晶の
光りをのこす珠数の親玉
舎楽翁
友也
親玉の玉の国の国の国の国の
くりこといふてなげて斗そ
青月亭
喜輔
見物のこみあひしことを知ながら
など白猿はごく楽に居る
奇妙亭
北々礼安
手向るよめぬあはれの中川に
うかぶるものは泪なりけり
桜
枝炭
三升は孫にゆつりて市川の
しせうの家はこせうまでよし
蜀江亭
綾丸
猿といひ海老ともよびてなきはらず
いくへは色のあかん堂にて
豊
事成
○
偏祖右肩は落間にならひ紅蓮の
花毛氈は桟敷にかゝり羅漢台より
弘誓の引ふねに至るまで白猪の来
奇南楼
迎を拝まんとて極楽浄土は大入ならめ
香保留
蓮の花の座頭役は白粉の
かはりにぬれる
金の白猿
○
しばらくはうはさのみしてかいなしや
無常の風の引立て行
桃花亭
路蝶
しばらくやこれ切りの世に成田屋も
まづ今日は珠数のおや玉
三味
一七
ゑび蔵は西の芝居へ引にけり
にしの桟敷へ我もゆかぢや
萩屋
裏住
瞬におもかけしのふ時雨哉
隈とりも霜に負たりからす風雨羽
暫くととめても風の落葉かび夫成
○
笑草
やつかれさりし比
をきなのいゝとつきを
とふらひ侍りしに
扇にものかきて
興号れし
俤のわすれ
かたくて
扇面の哥も
古筆となり田やの
あけて見ますも
涙なりけり
彫工
悠々館侍人
夫市川白猿は妓藝の教主ともいふへし微妙の
音声舞台の獅子の高座より鼠木戸に
ひゞき敬白のせり女は諷誦の三宝衆僧に
叶ふされど汝羅双樹の時来りて此世をあの
世へかえ紋の鶴の林に入ルされは我が先生
馬馬市川一流の狂言によせて追幅の者
よめと人々にいふをのれも桟敷のかしろより
覗きらかん臺の呑太郎油むしの轉法輪
知つたり振の等極楽東門忠臣講訳の
蜂の巣にもろ手をくむ所をおもひ出して
わざをきの
由良にもありし此世より
枕亭
柿人
すはるはちすやにみ置けん
八丈島は男立の衣裳に着き
臍の下の灸とおぼへ五人ばりに十五そく
あたらぬ事はなかりし団十郎をいたみて
進善の為朝なれやあづさ弓
千里亭
藪風
ひいきはわれも同しことの葉
○
しばらくの本地は芝のあかん堂
なまだ坊主は弥陀のひつたて
里洲
○
助六のからかさは弥陀の御光と
かわり尺八ぼんのうの夢さめて
奈良部
紫のそのはちまきは
数有
にしの雲
かあいのものやな〳〵
六十四歳
春好左筆
四日
自得庵
花咲翁
もゝだちを
とつてはだぬぐ
世話世界
をしや錆のねても
をきても
AT
下総国猿島にちかき
成田や七左衛門木名
将門と呼べど
こたえず白猿は
楠生亭
英洲
六十六でだんまりの幕
一出達者をみます艾と思ひしが
きうな事にて泣もなかれず
談志楼
金馬
鷺ののろしも雲はるかに
立川
鶴の林にいりならんと
談笑
市川の親玉哥舞の菩薩哉
西へ入りたる日向景清
白猿悼砂邑亭
光陰は
文好
矢の根五郎の
をはりかや
ひまゆく駒に
かゝる時宗
かみしものりつはに揃ふ野辺送り
是は市川五代三郎
○
しばらくととむる涙の目はち〳〵
蓮のうてなに鼻の顔見せ
○
親方をひつたてべいはみんなうそ
何さ。おまへとつれるごくらく
下総
銚子
天久
水魚菴
魯石
治呂庵
亀徳
箱根山にあらぬ常照院に惣役者
みへよくならんでかの葬礼の
鳥亭
帳千鳥此世の対面なごりをしくも
陽馬
うつとしい生死流轉の雲晴て
二重舞臺にすはる蓮葉
牛島のいほうを見てもおもひ出す
あら名残をし工藤も〳〵
御足袋所の女
うす柿式部
俊寛一人かの地へ出もむくとは
西へふく風も弘誓の船よのふ
我かともつなどよべどかひなし
鳥亭
要賀
梅は咲桜もめくむ世の中に
何とて松王ついのみちとは
藤二楼
鳴神のをとに涙の大雨は
歌川
此世の注連のきれてゆく雲
豊国
○
大江戸を立て十万億土なる
極楽へゆく拙者親方
二代
花道のつらね
市川新車
○
白猿蓮の花道に座して曰冬至今晩
二ツ七日即席俳諧臨終まで狂歌門院の
別荘成田屋七左衛門といふ我侭隠居当
年つもつて六十六才なんと弥陀様まだ
はやいじや厶り升ぬか
貢菴
巻上則次
閻王も牛頭冥官も
一トにらみ
極楽世かい
ゆきの顔見勢
○唯我連
つがもない牛頭馬頭阿房羅刹北
みなこい〳〵とごくらくの道
桑弓館
真星
初雪も涙の雨となり田中の
きえても跡をふむ人そなし
栄菊園
三千歳
おもひきや九十九射の御ほとけも
けふ白猿に逢ぬべしとは
松尾亭
守門
かくれ住世をうし島と死出の旅
ごく楽人と今はなり田屋
峯亭
小松
今そこへ行ぞ仏となり田やの
たちのかはりにふり上る数珠
二州亭
百乗
去りたまふあとにも年の市川の
みますがごとくのこる組つれ
並松庵
音成
玉の緒をみに結はねば山吹の
黄なる泉に袖ならすなり
有竹窓
屋烏
○ゑんまの帳元十王の仕切場も
そゝりたてば上品上生の仏は
かたはだをぬいで
白猿はどの極らくへすみくちと
こたへに倦る見る目かて鼻
唯我堂
川面
○いにしへ一切経を取得たるは三蔵法師
今台庭法子と戒名もいとたふとし
かつしか
念仏の百首をよみて西遊記
孫悟空にもまさる白猿
北斎
○
反古庵の主白猿世をしばらくのやとりと
なじ無常の風にひつたてらん姿婆と
冥途の入替りしつゝ弥陀の御国の座頭と
はなりなさきにわざをき此をさめしける時
我もまたこしをれ哥を送らはや海老の
翁か一世一代といひやりしも今はたむかし
かたりにこそなりたれ
鸚鵡齋貢
世の人のをしむも
しらで御仏に
などなり田屋と浄土へはゆく
幾たびもくりこといふてをしむなり
百万遍の数珠の親玉
○
白猿ををしまぬ人はなかりける
東夷南蛮北狄西戎
○
かね箱とほめられしは黄金のはだへ
はすのうてなに世界定めとは
いつの間に誰が相談をきめたやら
顔見世まへに行し極楽
月池
風来山人
楊柳亭
○
辛崎屋
名をのこす人も
辛崎
なうらの橋ばしら
くちてはかなく
なりにけるか角
菱川
宗野勇知
夷川
一と刷毛に
八百八町
時雨哉
○
文之牡丹名高き花は
ちりにける木子
顔見世のうけは
五陵
地蔵が鯰髭
大太刀も娑婆さむ
云かれたるかげや
しとて耳の穴
八ツ千の花かたみ
萌蘆
貫太
はつ雪也
写してもうつりて
春好
かなし氷面鏡
菱川
一はつ雪や
宗理
きゆるものとは知ながら
眼にのこる
新場連
外良うりの頭巾哉
川旭
おやし玉や
百万遍の霜の霜の泉舎
かほ見せを
夢の六十六部か南済川
はち〳〵の
眼をねふにけり雪仏
隈どりの
はかぢやややおもうぢやうや
其おもかげやや冬牡丹百砂
其おもかげや冬牡丹
大鷹豊
西へおほひしく夕下
ちるときに
猶おしまるゝ冬牡丹
百亀
ぬしなくて
けふはつめたき火桶哉
○
菊明
しばらくと
百慶
留るものなきなごり哉
我みちの
清長
筆も涙のこほり了南
せめてなき
岐山
俤を見む氷面かゞみ
顔見世也
座組は歌翁の菩薩達
星川
○十月廿九日病床にありて
風寒う空もをだやかならねば
一風に雨もつ雲の白猿
行衛可用
かいつけ給ひける父のいたづきを
おもひて
サ
常にきく入相ながら
茶山
時雨かな
風に物もいはれぬ
父に別れをいたみて
風に物もいはれぬ三升母
いふべき
三升母
すみ
友千島なきながら
夜はあけにけり
茶升
四
うすらひも
涙にてもる
三升
鏡了雑
室にさく
梅見つけても涙か角
冬くさに
我とつ女の
あら共ハ半之助
霞よりもろきあられは
非とつ世の寺
千ぐわがうへの時雨を
笹啼の
鳥も直しき人やあるたつ
鳥も直しき人やある
をくしもの
ついにゝなる道ながら柏富
ついには消る道ながら柏富
冬ざれに残る松さへ時雨哉錦升
思やうにならぬは冬の日あし哉杜若
こはいかに折れつら根の冬牡丹高賀
埋火也ありと思へどきゆるとは新車
反古菴壁を見るめに時雨び薪水
凩中梢のかみもをろしけり錦車
松よりも力落しや香の竹徳弁
きえてまた名は残りけり不二の雪秀佳
錦画をつちに残すやちる紅葉路考
なきあとも哥に詠れし杜尾花路暁
○
行雲や又と見られぬ冬の月臣撰
極楽の其顔見世中銀世界曙山
○
にしきなる紙子の大打破れけり賀朝
景清き日も西山也枇杷の花三朝
○
浪華
をしやその室に散けり花のけん
ひとたびもまみえざる事を
引汐せ遠く干かたに鳴暮玳乎
水の恩おもへばうすき氷哉
音にのみきいておどろく雪をろし
六の道十方世界むつの花馬十
○
くる数珠のおや玉
顔見世やちり行
きれし寒念仏盧笑
顔見世やちり行公
ときも江戸の花松下
彼岸に行衛も
さぞな雪見少ね集道
○
をしまるゝひとも
初しもせかぶき
をしまるゝひとも工東
小春の名ごり哉江棟
初しもせかぶき工藝
出しも夢の跡江鵞
異国まで時雨ゆくらん西の雲萬器
霜よけもかりの舎りや水仙花機夕
○
夜の太鼓はよそにきくあくる
わびしきかつらきぬ髪と故人
栢筵の吟も聞侍れば
顔見世も明る日ごとの
わびしまや
○
野はかれて煙も余所の尾陽
ことならず
○
ことならず桂五
白猿死して冬木立とぞ
尾陽
なりにける士朗
十丈
追悼
尻焼猿人
なきあとも
庭にかたみの
田字草
いとゝ哀れに
成田屋の
庵
○
日本はおろか唐まてゆきとゞく
行年とつて
奥那板
橋彦
○
六十六部
武州深谷
御贔屓にわつといはせて
親玉の一世一度の
にごり
北野亭
千本
はかなき
大太刀の手なみも今はなき世とて
人にも腰をぬかさせにけり
仝
中山楼
美人
はかなしやすみ河原に俤を
残して今はありせなしやと
望月
志良夫
極楽の花道をゆく旅立を
まづしばらくと申のべたや
雁首
強喜
越中富山
もろ国へ名はかくれなき市川も
みのおわりとやしなるぞかなしき
豊
年雪
○
一生の名こりに花をふらせけり
親のゆづりのはなの親玉
山々
春風
珠数の親玉の株とはいつしかに
なりてはかなき世々のくりこと
紀
東
○
極楽へ入かはり行ばん附は
かぶの菩薩の座かしらの人
親玉のたまへ手向の哥よめば
うかむ涙にめはち〳〵せり
便々舎
炭方
便々亭
真景
極楽へ下り役者となるとても
やはり蓮の花の座かしら
郷時雨庵
空琴
しばらくも若め未来の貌見せや
ゑんまのうけもさそよからん
玉光舎
一占正
暫と声をうけてもとめたしな
便聞舎
またぞろみますことのならねば
物成
諸君子の前書に応して
今ははや世をたるほどに
便々館
湖鯉鮒
思ひ出しかたり出しては
おしや此人
○
人生七十に及はねとも古来稀者と
呼れし翁おもへば十年一むかし五十
六にて舞台を辞せられしさへ
名残をしみたるに
式亭
三馬
極樂へまた隠居とは情にや
六十六か
七左衛門どの
海老に猿はつれの色に縁ありて
あかん堂へとおくるみほとけ
日々庵
花満
身は芭蕉泡沫に似たり命は電光朝露の如し朝に歓伎と
なりてほろび夕に実事師と生て生界其楽を以て衆人
を仁道寸する事いくばくぞやけ功徳をもつて見物の
化力自得上品上生にせうぜん事あきらか也
一極楽の三がいにても鼻高し
南無何三升の唯我独尊
酒肴亭
始丸
極楽の地蔵もうけよしばらくの
をしき此世のなごりなりけり
大橋亭
直道
直道
くりことのかへらぬ旅となりぬれば
かずのなげきの数珠の親王
菊水堂
長人
極楽へきこへもあらん高き名は
世をさるものとなるにぞはかなき
甘露亭
道遠
大江戸の花とよばれし其身さへ
風にはかなくちりし哀れ哀れざ
福
繁問
白猿のえんてふ文字を読かへて
け世をはやくさるそかなしき
二橋亭
高記
なき魂へけふより花の立烏帽子
素袍のしめもかたみなりけり
干あへぬ袖の涙のかずとれば
百万遍よ数珠のおや玉
一粒亭
万盃
浅流庵
清志
海老蔵に手向のしきみ売切て
いよ〳〵はなの高くこそなれ
浅月堂
春人
あゝをしや功なり田屋も名を遂て
今年此世を身しりぞくとは
松桜菴
高人
○
浅草菴
蒼朮のかにせり出しも見しものを
うづめる墓にあはれ焼香
市人
立川連
○
三途川氷もとけんはくゑんを
ひいきの人のあつき涙に
松根亭
武将
十目の見る念仏の百首うらし
宗旨の指をさす所なり
烏亭
競馬
○
大悟の壁に向島の閑をたのしみては閻浮提
内の大立者大極上品のうてなに登りては極楽
世界の巻頭たるへし枯華微笑の鼻をひれりて
嗚呼つかもなき人のほまれを残す目八々八二六十
四海の名人の名人光常遷流の旱かはりををしまさらめや
山東京傳
かなしまさらめや
塵の目のあまりてもとれ白猿の
祖父のせりふの浄土双六
をしめどもあの世へ是を引ぬきの
衣装もとしも六十六字
桜川
慈悲成
有漏路よりいで物みせん是みかや
ならは手柄に鳥辺野々露
渡舟
はかなしやまて暫も聞いれず
無常の風のひつたて行
桜木
一半好
皆人のをしむ儀のつゆの玉
草葉のかけにさこそ見るらん
白猿の死ゝときいてこしおれの
いたみのうたはなき涙か角
打出
巨槌
会津
信友亭
与志美
○
大悟の壁に向島の閑をたのしみては閻浮提
内の大立者大極上品のうてなに登りては極楽
世界の巻頭たとへし枯華微笑の鼻をひれりて
嗚呼つかもなき人のほまれを残す目八々八二六十
四海の名人光常遷流の旱かはりををしまさらめや
かなしまさらめや
山東京傳
塵の目のあまりてもとれ白猿の
祖父のせりふの浄土双六
をしめどもあの世へ是を引ぬきの
衣装もとしも六十六字
桜川
慈悲成
有漏路よりいで物みせん是みかや
ならは手柄に鳥辺野々露
渡舟
はかなしやまて暫も聞いれず
無常の風のひつたて行
桜木
一半好
皆人のをしむ儀のつゆの玉
草葉のかけにさこそ見るらん
白猿の死ゝときいてこしおれの
いたみのうたはなき涙か角
打出
巨槌
今津
信友亭
与志美
極楽のはつ岸之屋には紫雲の機しき
弘誓の引ふね寂光浄の土間にも
仏石さつの山やなすらし
暫のうけは阿弥陀よ機しきの
らかんも声をかけるおや魂
玄朱亭
宍墨
白猿叟六十六を郡としてみまかりしけずは
われもことし七十六なる親にわかれき
さなきたにふたり前の泪袖干しあへす
一れたり川無事に六十六部との
十ます祖父を道つれにして
止多楼
間鷹
極楽にいなり町をはおしのけて
はや乗こめは蓮の坐かしら
松風亭
空寝
西山楼
角のなき人ならは舛を丸くして
みつ輪くむまてあらせ申しもの
下任
琴通合
錦絵をかたみに見ます泪さへ
いくやん摺のわかたもとか南
英賀
三番叟
しはらくといはれし時そなつかしき
まう興見せもせぬおもへは
早人
一景清のわさをきも
今さらになつかしくて
画語様
さる人のおもかけ請そめにつきぬ
うきくりことのせめ念仏には
内匠
文宝
定紋の升にもはかりしれよ人
なんとゝもなくこほすゑを
あかり
○熊井太郎のしはらくも
一今さらゆめのやうにお
〽おほえて
鳳凰といふへき役者世の中に
たえて相坐○昔をそおもふ
春江亭
世の中の名銭いかにととひし時
つゆとこたへてきゆる親王
長生館
春明
すちくまの紅葉は風にはら〳〵と
ちきれてまたもにしき成けり
蘭屋
あらき
先祖から今にならへて戒名の
にくみはおなし白猿か塚
長鯨斎
鷺洲
柿のらすも精進ものと成田やか孝
柿○素程にし
納豆烏帽子
寿喜成
くまられる紅白猿は植木や○百出巻
むろちに匂ふけの貌うせ
弓春
蓬生亭
いし文の此うへもなき評判記
直成
じろい所は見えぬ戎名
一野道の人迄鼻を高うして
江戸市川や興に見ゆらん
珍居寮
金満
世の中にしはらく然れは暫くと五岳亭
したてに来る西方○弥陀
豊籏
西方の旅の修行者名残とて
鉦うちならすまゝへら倉仏朱楽館
墓詣て見るも泪の寄銀也
こたまかなけきはかりしゝれす
浅治楼
見分
しはしくと声をかけてもゆくものは
とめてとまらぬ市川の水
松林亭
雅楽
死出の山親のましらか魂よはひ
こたまか呼も膓をたつ
不孤亭
大宅のかつらをぬいて大地の眼に
いかり氏からすれ終の道に内て人を
ほむる我しそのいさの寺大尉
ほむる亦しそひいきの待大将と言も
黄泉にうつれる月◯景清く
心にかゝる心助くまもなし
筑波根
峰頼
上下のいつれわさまもこめんなさい紀
まつもらひきをとり辺のゝ供
安丸
手向にとこしけれ一首はや江村
海老の隠居の追善のこした
魚人
少してもたかはすによく錦絵を里屋の
見れはにしへとはこむきの影
月洩
白猪ぬし身まにしと聞て
かなしみ○あまりに
われも又腰のぬけたるこゝにて
思ひ出さるゝゐさり景清
松風台
心助くまの来をうはふて紫の
雲にのか行人となつかし
五明亭
巳丸
其むかし大当せし面影の陽家
いまはかたみとなる神上人
湯家
浜道
よりにも聞へたる名の其人に
うししやわかるゝ此とらの年
青林堂
糸道
みほとけとならは此世之仕逢縁苞
ほんの不動のまへ立となれ
緑苞
未久
から人も泪に袖やぬらすらん千歳苞
隠居なしたる海老の別に
寿
聞てなき語りてはなきなき人を白雀台
したふ詞や袖のしらたま
一国
白猪のとみの別れに三さけひの
こゑなすかひもなきぬかすなり
綾丸
芝居ま遁れとは又極ら〳〵の文に合
韻舞◯おんかくきく人〳〵そこれ
蟹子丸
○此人戯場を辞していほ崎に
隠れ風流三昧に入て他事なし
隠逸の菊はかれても匂ひけり
橘歩菴器
買明
○草庵に訪ふたとひことにかいつま
玉ひける文を得し中に忠臣蔵
の事を見るにつけ
一今は世になき国由良の仮名手本
反古庵をもおもひ出しけり
烏亭
鉄馬
又小刀のゑも朽る斗りもはや満尾にし玉へと
一淡洲楼のうしにことはりて
桜木にゑる白猿のいたみ歌
数は三万三千の余も
○月陰に命をかふる猿よりもとありし哥の心も
かくやあらん山のかひなきくりことをまた三声鳴事
悠々舎
待人
白猿の遠行されしその時は
月も出ざるつごもりのばん
該洲楼
馬馬
同行年六十六箇国大立物
奴立
千縄王連
書のこす
紅尾佐丸
うたも一日その
念仏を
まうして見れは
有かたい人
白猿子いまはの床に臥なから念仏
百首をつらねのとかに終をとり
はへりきと焉馬大和尚の珠数の親玉
上りかへし法談せられけるをきくに
見ぬ極らくの堺町迄此人の評判記
さこそと思ひやられてかく
千縄庵
三陀羅法師
大きいそ蓮花のうへの
興見せに
歌舞のほさつも
嘸をと侍らん
千縄王連
白雲楼
たのもしや歌舞のほさつの上に立て白雲楼
何の世も蓮の座頭の株
真盛
名銭をし六部のさまに旅立て三五亭
ゆく極楽のかふの興みせ
さやか
此人の外には無類上ら吉の
極楽へゆくまをとゝめん
玉花園
桂男
暫のうけも答へもなき声に階雲舎
いとを引する蓮の堅かしら
十帰
手向うためてし秋葉のさくら木に
衣商軒
のほせて三たひ人やなくらん
康瓜
行ねも六十六部て白猿は
ほとけの国へまはる修行者
高根
常雪
死牛のたひけふ立役の初舞台此道
弥陀も百味の積ものやせん
宇時
くり云は百万へんも申なり
南無阿弥陀仏珠数の親玉
本草舎
盛芳
阿傳陀羅みますの紋の素袍きし
芦中舎
みは極らくの堅かしことなれ
文鼎
大江戸のはなをもかれてはよりな
しふんたかいふとのさひしを
最中
万丸
助六の下駄のこつはみなかたやを其
おもへははかないよの中しやナア
仲頼
をしつゝみ泪は袖にふる天のね五
御老ねとはまうしなからも
五福亭
染丸
つとめたる役は九品の浄土迄
今御仏の坐かしらならん
颯耳亭
柴道
あの国へ入かはりして行としの
あの国へ入かはりして行としの南呂堂
六十六部なこりきやう云
可貫
辰斎正
千種正連
松雨堂
小夜風
しはらくと
とめきの
伽羅の
比日
烟迄
くゆらける
ける
たねと
なりにき
年よりは着衆かつらや石脾よも
すみを入たる人となりけり
宇治
川浪
をしや今是切と云面かけを桃
また引返す幕のあれかし
種成
仏前のうちしきに文字入の縫したるは
進上の引幕とひまへり積ものゝ
蒸篭小ことかはりて虎やの五種香
六道の十一年黄金の千両役者
六道の辻評判にも上品上生うちはねて
一大極らく上に吉とやうさん
大結は此世をさるの
夕にめてゝ
ほさつの真似もち
さそ似あふらん
強々亭
和樽
千穂王連
勝々亭
金箔の付し
不とけと
家のかふきの
山人
なられけり
千両役者
北駕三
○白猿をとふらふ賊青藍窩
菴は五百崎の本とりにありて
月雪花の三つを友とす
心は世の蒸のおもひをたちて
浅曲俳諧の二をたしむ
狂歌は卜養か体をまなび
俳諧は晋子かふりをし給ふ
毎常の風にちるに江戸の算
八百はまちの人袖しほりぬ力
ことし成田の御仏の
世に拝まれ玉ひし
事もおもひ合
されて
銭屋
金埒
後の世は
ゆめ〳〵
うたがふ
事なかれと
君を
むかひに
出開帳ぞ也
□□□
向鳥隠居之像
葛飾北斎冩之
光陰は石にたつ矢ぞけふははや
四十九日にあたり振舞
森羅亭
万象
時雨つゝぬらせし袖に替紋の
鶴のはやしの雫さへそふ
扇鶴亭
百人
それならて泪に霞む春の夜は
分をしも月のしのはれそする
彌生菴
雛丸
徒然も見し世の人のかたみそと
反古撰みせんともし火のもと
秋長堂
物築
琵琶法師語るにつけて世盛の
平家をおもふ日向景清
与風亭
内記
娑婆下りさみやく三菩提の件達
我たてものに贔屓あらせ玉へ
三度くふめしとよまれし顕見ても
むせて泪をのみこみぞする
閼伽桶に面影のこすあかん堂
紅葉ちりうて水の筋隈
清冷亭
笑丸
四
愚連堂
七珍舎
万宝
なき跡を透頂香も手向はや
青竹茶筌て御茶ちやとたてゝ
鼓腹亭
実副
守信亭
其座かしらも浄本台遊
於是
白髭となかまても世になからへで
をし。中冥途に向ふ島とは
清風亭
伊佐子
紫のゆかりの水を手向にて
あはず喪に入るに替紋の鯉
世の人のをしめはなれも人まねに
秋葉のさるや三声なくらん
五安台
有恒
大倉菴
金光
一招魂の法修する時なくといへば
友を呼子の笛そゆかしき
橘香亭
笑顔
みがゝれし矢の根五郎に今は名を
たてるは石のしるしなりけり。
招留亭
二字守
おもひきや豊居にあらて魂の
とんだ噂をきかんものとは
還錦舎
安人
つかもない鼻しやなけれとかなしさに
紙の幾重を我もぬらせり
斟酌亭
跡人
檜垣亭
御仏の御厨子にかけし海老鎖も
贔屓の人の奇進かとはつ、
沖乗
うき洞袖も一河のなかれにて
狂言綺語の死出の山姥
弄月亭
金花
尊さの猶まさりせり南無阿弥陀
念仏百首見るにつけても
桜亭
八重丸
きゝ□り也よい往生て厶リ口
世上の人か皆をしみ口
松月舎
垂蘿
せめて今ひとめぞみたきわざをきに
おさと呼れし人のすかたを。
鐘声亭
明行
岡方へ行し六部の名残かと
念仏坂に上りてぞ見る
埴生菴
侘住
わだをきの大明神も極楽の
哥舞の菩薩となりにける哉
竹葉亭
諸躬
風にちる露の親玉この世では
二度三升ことならぬはかならぬはかなら
友垣亭
増成
千両の黄金仏のくらゐ附
今も大極浄土往じやう
八算舎
兼一
吟語楼
小田原の外郎よりもはるか先
おは戸を立て十万億土
久住
景情をせし親玉のあとを
せめて念仏て尋とふべし
天
宮笥
三界をくるしといふもことはり也
生死流水の早かわりしてといへる
ことのはも今文のやうに思はれて
定なき生死流転の芝居事
早取りして
なかす親玉
黄金
多丸
手向歌かきの素袍のおもかけを
三升は紋にのこるばかりそ
海漁亭
長広
笈佛の繍陀の浄土へ行としも
六十六部むつのはな道
膝伴
団江
江戸中の泪の玉を数珠にして
百万へんも念仏申さん
少々
足兼
ゐますなら今一度は対面の
くどうも名残をしき別路
鳥姿楼
音好
花道のつらね舞台の敵役
くどう尋しむかし恋しき
茂林庵
白狸
市川の水上下の出立に
ひつそりとする法の花道
紅の花おしろい草もかれはてゝ
月の鏡ぞのこる菴崎
月花を見るにつけてもしれじな
冥途へ行し台遊法子
滝本
鯉丸
唐織
綾丸
最中
月丸
黄金の舞台に居ても此世から
あまたひいきの蓮華座頭
親玉の死たと聞し其日より
目はち〳〵して泪ぬぐへり
徳井
富恵升
雲鳥
綾人
来りのあしたの桜と。めてしもちり秋の夕の
月となかめしも今はそのかけをたにとゝめも
やらず世をうし島に病ひして仲の冬廿九日
といふゆふべの霜ときえぬかをおもへはありし
ことのは今もかそへおられてあかずをしめかあまりに
三度くふめしの時より思ひ出す
燃節堂
花を見る日も月に寝ぬ夜も
松俊
親玉遣申と名残大声には
にしをおもつて浅べえ出る
五味
荘二
蓮葉へ給ふ乗込の手打連
千手観音文珠しりもち
前川
玉成
四十一
つゐにゆく道とはうねて白猿の
きのふけふるをよまれたりしに
本材連
王垂
織人
光陰の矢の根五郎もとゝまらぬ
浮世の夢とひとねむりなる
砂楽
あらた仏といふ事を句のかみに置て
あさ夕にみます素袍の立姿
武道荒事つかもなきあど
百餘齋
志解留
江戸中にぬくふ泪のはなかみを
きりて浄土の花とふらさん
追加
浪花迄遠くきこえし評判は
世になかたやの名義狂言
唐杖唐
師子丸
浪花
青々園
喜坊
秀雀が身まかりし比の句をおもひいで今又念仏百首
よまれて極楽の舞台に目座せらるゝ御仏にゑかう申て
仲蔵がましじやとおもふ暑哉と
いひしましらも南無阿弥陀仏
尚左堂
俊満
極楽の新狂言と一りうを
売外廓のひかる白猿
黄芩亭
軸丸
しばらくととめれど弥陀の初ぶたい
あたらせたまへ七左衛門殿
田舎
妹輔
舞台では神ともいふてほめられし
人も仏に今はなり田やし
玉鉾
三千丸
とも〴〵に皆しばらくと止しを
ひき立給ふ南無阿弥陀仏
東々
色好
○
かたき役する鬼ともをおひのけて
はや極楽へ通る花みち
愚案齋
百八の数珠に寄らねど親玉も
今は念仏のくりことになる
机
秋人
安ぢきなや香のけふりになりたやの
あはれきく人泪しばらく
友
仲好
若松
蓮枯し頃にしあれど極楽へ
行しくおや玉は花の由かしら
仲人
つこもりのやみもあかなく渡からん
弘誓の舟に法のともし火
入船
風好
○
先だちし弟子達のさぞ取まる也
百万遍の教珠のおや玉
籠
一鳥萱
虚空よりふる花道を極楽の
西の桟敷に弥陀のけんぶつ
不破
関人
年も猶つもるみのりの雪なれば
みづからやとくみだの経文
三国
雪成
安の世まで金箔つきの通り者
弥陀の浄土の仏となりて
角部
獅々丸
しばらくと声かけまくもなき魂や
今は仏となり田屋も夢
深江
菅道
をしめど母無常の風に不破との
そらさためなき雲にいなづま
新石丁
しがらき
そのまゝの姿をかりの世をはなれ
けふは免いどせたびの修行者
水車亭
水彦
青陽舎
牛嶋や夢の庵にやどりこし
あり明月のかけもきえに丈
白馬
極楽に此顔見世の初舞台
けふなき玉となりし親玉
袖笠にもらひ泣する時雨ば
松柳舎
垣蔭
越後高田
壷仙
○
こたび反古菴之まよりぬとす諸君にの
手向玉ふことの葉をえなさくらぎの一樹の
蔭硯にくける一河のながれもふかき空にしにこそ
あらめと待入なしのもとめにちなみて
つたなき筆にてかいつゝ直に侍りぬる
わすられぬその名も
しろきさるものゝ
日々にうとしと
執筆
貫横島
松の
いふはそらこと
贈スルニ遊法子ニ
白猿高二ノ評判一万客惜ス二親魂魂一ヲ
可レ憐冥途ノ使ニ百首為レ誰カ言フル
松彦一名満幕王穎
数珠親玉集跋
浮名居士が病気見舞に八万四千の夜食を
もてにし文範先生か上下講中に三万
余人の強飯を盛出せしは飛とへに権者の
泣により或は将軍の光りも添ひけむ不可
思議なるは此翁家は権上が隣にあれど
もとより権者の沙汰もなく文箱地蔵の
申子ながら勝軍地蔵のおふれもなくて同夜の
客踵を続て六十日成田の開帳のごとく込合
葬式の供被をつらねて三十町龍宮の
行列よりも夥しされば字留まことその
親方高麗屋橋屋をはじめとして位牌を
かしづき香燈をさしげてねり出れば生居
詞の里の子伝法呑太郎の類ひまで編笠を
のぞき杉戸をひらきて押入る寺門に成敗棒
なければ小せでによしなし唯ふうきいちやん
きいの四句の喝楽のひゞきにひるがへり紫雲
かさのごとて輿の上におほふを見る上野の
俳優すべて手向を読短尺焼香のあいだ
親王〳〵とほめ引道方の時東西〳〵と制す
まづこんぱんは日近ぎりの願以北の功徳念仏百言
一から百まて残りなり仕合者とも名物とも
こんな役者が唐にもあろか東東南蛮西
戎北狄天地乾坤のあはだを出て此度浄土
の本舞台へ還り新参の花をふらせ誠に
権化のわざなりとはじめて名のる本名は還巻
淨本臺遊法子眠りの夢はさめにけり追善の
次第多くは万八を売見物のひゐき米三升
に帰す逝者はかくのごとし息子の勢ひ泉の
わくががとく又環のはし名にひとし五十年
忌百年のめぐりてたえぬ一百万遍数珠の
親玉の音頭とり該師楼の責念仏に例の
せり立られて四方類垣真顔しるす
江戸中がをしむ涙ぞ玉木屋と
わきいづみやの家内ばかりか
菴崎にとひ来る人の
ことの葉はこの仕舞こそ
うらやましけれ
一追加○如夢幻泡の世の中とは聞侍れと
青虹亭
風にをしや松枝のほつき折れ九町
○
目に残る三升も冬の破れ扇吟洲
○
○
くら側や矢の根を見ても思ひ出す文東
○諸君の贈り給へる玉詠のありかたき市川七代目
三舛
事を思び侍りて
ぢいの脊にとゞくまてとて御ひいきを
孫の手わざにかくはかりなり
文化四年丁卯孟春
東都書林
江戸橋四日市
石渡利助版
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7020
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