慶賀集
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- 佩香園蘭丸編
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- 佩香園蘭丸編
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- 日本語
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- 佩香園
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- ケイガシュウ
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- 東北大学
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〆月月一日
一同十八才
戌十一日
}
弐〆
狂歌
百題
□□□□□□□
福
慶賀集
イン
十一月二十一日
御帰着之噂達
全部二巻
佩香薗大人撰
為狂歌
慶賀集
百題
仏香社中蔵版
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●
第四號ヲ
以テ購入セル首関博士
それ狂歌てふことはいにしへの
御代水無瀬殿に栗のもとを
をかれしよりさかねにもてはや
しぬるその名まち〳〵にわかるゝ
東いへと母狂意をのふのことは
ひとつにしてこゝに菊丸世の
人〳〵生れしりもの嘉た
祝てよろこひぬること東裳
の名を題になしくをのかよめる
も人のことの葉をもかきませ
て一巻になして慶賀集と
いふみる処春の宴の山に
たなひき穂の千穂の花
野を分行ことあかすして
みの人能心をもなくさむ
るものにこそ
水無瀬家桜井三位供秀卿
松亭主人鳥
来成
四十二
す
惣目録
人日
年礼
初春物始年礼鏡開人日
初午上巳
棚卸左義長養父入初午上已
神祭瑞午氷室雨祝訪署
御稜七夕晒井中元八朔
豊作重陽玄猪蛭子講火焼
冬至新嘗祭貢納事始煤拂
年忘訪寒餅搗節分歳暮
帯祝安産七夜宮参喰初
初節句髪置袴着被初疱瘡
半え服
入学健物寺鉄漿附半え服元服
浩納婚礼袖詰琴入養子
家督買得普請建倉徒移
分家出店求家徳奉公別宅
貯金銀求別荘隠居剃髪饗應
初老尼祝五十賀六十賀本卦
七十賀八十賀八十八賀九十賀尚甚會
達藝開傳仕宦任官俸禄
入院三日礼甲子庚申有卦
本復吉夢満講首速参宮
一門栄勤所後頂褒美御能拜見祝
惣目次終
□□□□
世の人のおよそ慶ふ無きことを百の題に
わかちて人々の歌をあつめ猶洩れたるを
おのれよみくはへ補ひて一巻とそなしぬる故は
うゐまなひの便をむねとしつれはつらねさまの
上をはし飛てえらはす唯題から奇から奇から奇から奇から奇から奇からず
つき〳〵をなしつるも此道のおほやけにした
かひてさらにわたくしなきわさになむ
弘化元辰歳暮
撰者
伊香園蘭丸
初春
門雲は縄からみても不老つ日月遅きはるは来にけり
日向炭伊勢鍛飾間門松に入かはり来し玉の初美絹丸
西龍ても皇国の春の春鏡むかふて顔をしかめやはすり松丸
同ルカ
鶯も声の玉をは朝してをなき春は毬打と鳴く労馬丸
車升のかたき氷の轄さへかさはゆるみて汲める若水富児
かと松の煙や今朝は昇けんみとりにかすむ春の初空松丸
おけら火をもて雑煮煮々元朝に又も鰹のけつかかけしつ繁丸
佐保姫やとつて初日のはつ霞赤き糸ひゝむと山の春杉丸
卯杖ほとある真木をもてたしくら也小豆粥煮る鍋の尻をも定丸
けさいはふ屠蘓の酒にや酔くらん初ものかほの赤くてかしは鹿丸
の
寺
物始
表をはたつる連歌の兵はしめ裏白を春の式物にして蘭丸
老人も若やく春は白髪夢のしつけをよりて着そ娘しつ島丸
神の代もかくや試む筆はしめ硯のうみをさくる遅鉾今
三味線の端歌ははるの鏡もちひきそめをするあれ鼠にも亀丸
一売初の宿をせん広にも小便せすとある方を見て央
鷹の羽のそれ矢尋ねん弓はしめ読を居し射物の男も松丸
結初の琴に春風通ふらし音静なる青柳の曲軸丸
堀川の百首もあらん詠草は太郎月なる初春の哥繁丸
年礼
元日の礼には常のふ沙汰から敷居高くも思ふくゝり戸絹丸
おころもち夜わかくりたる従者にけきなま子鈴をは着する年札筆丸
上下の小紋の染も兼法のうら白いはふはばのはつ礼繁丸
初はるのあさ上下の年礼は紋も行義な小笠原ひし鹿丸
物に出しきのふは踏めと初礼のけふはかこにてふます七章貴之丸
かと松のさかりし枝のみつの将鳩の杖つく老の初礼料丸
掛みのき給ふの鬼もゑかほしくみつ指をつく元日の礼杉丸
鏡開
下戸は餅上戸は四日に酒たるのかゝみひらきや先いはふゝん嶋丸
ものゝふ御鏡をつにて小手の上に霰たはしる篠原の餅和田九
未た塔のたゝぬ水菜の雑煮しつ伽耆えめく鏡写て蘭丸
十重ねもひらく鏡に桑刀のはかためもするまな板の上和田丸
○
三井のかねならねとひゝきわれたは開く鏡に執心はなし同丸
ひゝわれこゝ亀の甲めて鏡もちひらきていはふ万代の春絹丸
人白
したり枝の叩し野辺の菜を持て又けさはやす柳まな板女筋児
七くさのかひはを喰らふ白馬はけふの節言の御相伴るも絹丸
誰か早くはやすをさけは前津鳥着菜をつゝく支那板の哥菊丸
初鶴のわたらめ先に七草のこたゝきをするもないたの音善丸
夜をこめて旅のわたらぬ先有てはたもきをするけさの七軒定丸
一乳のみ子の目をし覚書は母親は叩く片手にはやす七草
万歳を嘉例によへは七州の粥持はしくもけふはかそへん希柏
かの鳥のわたらぬ先とはやしつゝ摺餅のやうに叩く其艸杉丸
棚瓦
呉服屋の棚おろしには代る物の尺とりひしの延る勘定静丸
年ことにかねの子を産む勘定は合すつはめのたなおろしも和田丸
錦々の小紋の名さへ大納言しやとをたして見る棚おろし絹丸
慶のまゆを作らむ身台の太る蚕のたなおろし見て全
勘定もよき暑すれはまきす筆さへ延るたなおろし帳繁丸
月代の延ひ勘定をめてたしと頓此なてゝ見る棚飛帳全
年毎にのひつる藤の棚おろし房数おほき帳に記さん蘭丸
左義長
注速飾けさほこらせは左義長の壇や元の縄となるらむ和田丸
一逆さまに白扇をつりた義長の煙のたつは東海の菊
七
左義長に釣し扇は初夢に見し富士の根のけふるさま也月丸
て伊姫や笑ひ初らむ左義長に燈火度ほと煙たつれは杉丸
錦縄わかねし文字の書物も似たもにほくらすかさの左義長絹丸
松竹の飾をけさはほこらして緑の烟たつる左義長初丸
養父入
藪入に御しきせ布子着て行けるは子にしつけして帰す二親絹丸
やふいりの一日はあつき恵みそと異見の灸もすゑる親さと和田丸
養父入をまち針打て小袖ぬふりもいせたくや思ふこしえ貴こ丸
また恋をしらみの下女は明のかね嬉しく聞んやふ入の朝静丸
身にあまる嬉しさをさへ風ろ敷につゝみてそ行は下女の藪人恵美丸
咲く花の父母なつかしみはる雨のふる里さしていそくやふいり
初午
枝高み足継にしていなり山杉樽の手も折りし初午軸丸
はつ午のいなり詣は道つれの毛むし除けんと買ふ土の終
いなり山御社のみか初牛は人をもこさにすゑる水草屋絹丸
初午にふくを祈て後皮師はいなりの杉の皮もむゝらん松丸
はつにのつとに求し蓮根ほと狐の穴を見るいなり山国丸
雨はれて日和となれは空足もいなり参をすなる初午善丸
狐のため鹿追ふものも初午は休て人の山や見るらん和田丸
はつ午にこけたしるしは杉織の翁よとしてもとる生酔蘭丸
初牛のはれ着になして尾を見せつ狐小紋は黒に化ても亀丸
はつうゆの土の狐はこちうからつまみ銭にてつとに求めつ静丸
十一一
上巳
草餅の中に弥生の三日原久楽の部のひなまつりけり杉丸
客おほみ弥生の三日は礼帳の硯のらみも干潟みそにる蘭丸
けふ巳にかみのわの日の潮干潟たる貝の身は皆はなれたり和田丸
王義之のなかれをくめる唐様に許のもしやまく由水の妻初丸
安産をねきて紙難まつるけふ母子艸もて餅をこそいけ絹丸
出水のなりす鶏卵のさかつき小夜のまねする詩の詞かな葉丸
出水の辺とるに手の長き人もぬすみ句する詩歌はなし秀丸
神祭
外に応ふ人のありてかみまつりに鍋のすみさへつゝま女の袖月丸
鎧ふたる法風のなりは尊語空中の日いつる山わまつり蘭丸
祇園と云に花も龍を敷つめて盛七日の山を見るかな松丸
軒にうつ大名改の貸幕は祭の前のひにくはる也静丸
脊中やく灸よりりつき太夫をこらへて山をみつる祇園会善丸
雷の加茂の祭の御車に耳をやふさく公家の老掛葉丸
祇園言の浄明山にこみあへは人のあたまの上もこえたし繁茂
中の日の山わ祭見にゆかは黍円粉もて御供申さん善丸
端午
薬日に鉢巻すれは忽に頭痛の根たへ切るあやめ竹
二階からふきし小屋根の菖蒲草春〳〵として眼にも薬日定丸
石にたつ例引てか張雲の虎と弓矢をかさるせくの日杉丸
一飾弓矢文のやうにむすひのしつけて祝に送る節句の日安
p
寺
水色を端午の礼に着て出るはけさ切立の菖蒲帷子初丸
そにへたる計に軍人影のうゝいきなき代のせくそめてたき秀丸
際の日の合戦しなから陳取てせらはをさまる軍人形禁丸
氷室
一水無月はわれも祝はん看板の富士よりいつる氷室みつから菊丸
みなつきの氷の煎して都路の時やしるらんふしの宝守杉丸
都路のわたをしらす布子着て氷の貢にそ登る室守鹿丸
大内に貢けは衛士も手伝ふて消えめ。やうと守るひの物同丸
水無月の貢済むまていねるにも帯水面解さはならぬ宝寺
けふ貢く不二の氷の薄やうは駿河半紙を漉あけたこと鹿丸
一丈も雪堀分て厚紙の空田の氷をたてまつるなり枝丸
雨祝
聞へは雨乞に出し田舎女も小町紅をやつけて始らむ雪丸
作るにもみのかたありと雨いよふ酒の肴にもとむ大ふり和田丸
うら雪をかけてうるほふ雨いはひよきふりをみて降るゐなか女歌語丸
村中の悦ふのみか水増は雨にてをとるため池の魚枝丸
夕たちのふる祝ひには大精なあめの子をさへほむる酒もり静丸
降あまる雨に祝ひの酒くみぬ肴に魚のあめを乞へとも杉丸
雨ふれは人のうまねを悦ひて蚊も餅をつて村長か軒絹丸
降る南をいはふからには水論に預けし下駄も川へ流しつ労駒丸
訪暑
中とにりつて訪るゝ水菓子に咽の乾くはきやまんの鉢兼丸
か
守
こしきにてむすほといづく烏羽のもしの羽織も土用見舞は嶌丸
これたからくさを訪へは涼風にうらへして呉れし葛餅歓悟丸
奈良僧の児手かしはの帷子はうらなき中の岩気見舞也静丸
瓢なりの器物もて訪らふも昼ほのさく日とかりの瀬駒丸
挨拶に常の無沙汰を詫ひかねて一倍汗をか手心を見舞亀丸
御祓
御祓する日に雨降れは形代の日和坊もや川へ流さて絹丸
月の出ぬ三十日は富く御祓川堂かゝやく神はけらへと葷丸
精朝男は三十日の器に御祓して同し川瀬に飛を流さん静丸
ゆかつみの根をはたゝまし御福川流せる麻の葉さへからして絹丸
御手洗のかはのつたみの御祓には団粉のことくいくしさす也和田丸
水無月のかふ御残してあすか川瀬に秋かそや立初からん静丸
御補してくゝる人をや釣狐茅薗のわなをかけし稲荷は寉丸
水鳥の鴨の御腹のあすよりは日あしみよき秋やたつらん歌語丸
御祓川なかれにつふ願代は輪をなす渕の水をくゝりつ雀丸
七夕
そふてやは生は逢ふらむ七夕に寺にの顔の白くなる日を蘭丸
白露の水かね星に手向はや明吉く鶏の声をとめよと和田丸
一とせのちふせをまつら作用姫の石にならんと星や契らん嶋丸
星宮の空はれし夜に雨となり雲となるとは契らさるへし絹丸
七夕の今宵あふせの仲うちにはしかけをする鶏の羽根亀丸
今頃はさそと暗気の角もしも書て手向ん七夕のうた定丸
上七
○
越前大野
一悪草の其荷負はして産星や牛曳わたる天の川はし
大空のはれかましくやなれひぬらん今宵と人に星をさゝれて峯丸
たむけはや星のあふみの唐崎に松かその声明の琵琶駒丸
晒井
一車木をきゝいしく井戸をかへぬれは歯のうとやくな法小酒上絹丸
さら井戸の水をかへなん風にさへ金気のましる初秋のけふ松丸
酒くまては輪たちに十五日心地さん水かへ出すま井の鮒油丸
わく水も清くなる門のうつ巻に縄をたくりて汲る井戸かへ嶋丸
水くみて底ほし合の七夕に井戸かへするも年に一たひ和田丸
つほして水のすめるをまつら鳴ひれふる鰌の上る井戸かへ歓談丸
人足の背の彫物の雲龍や水まき上るとおもふ井戸替杉丸
中元
夏籠の日数みつれは久々に顔出しをする中元の礼絹丸
水色の盆かたひらを礼にきてもとへかへらぬ汗に濡しの繁丸
礼使するも一腰さし鯖の大小はなき武家の中けん鳴丸
肴板を屋敷女中もかりて着つ男のふかに躍る中けん駒丸
一とせの節とや竹の春もまた藪入をする中元の礼和田丸
武家の飯くへは一六しさすかにも身軽々出立中元の供雪丸
八朔
越大野
一さかりはれせし盆の花かさも帰り咲してをとる八朔琴彦
白無垢の雪の中にも吉原の八朔梅は匂ふ伽羅の書松丸
八朔のうめ置よりやかをからん官女か送る早稲も焼菜雪丸
廿一
上ル七
けふの節句足れは松の絵行器にからみとやつく殿の花餅軸丸
うしといふ人も及はし八朔に馬なれはこそ叡覧はあれ
豊作
水うみもせまくなるほと植出して穂にさし浪をよする秋風駒丸
豊年の稲のみのりは寺田守る僧都の行の急ぬにや繁丸
更科の田母もいねの穂にみちて月をかゝしの笠に仕みれ
むかりても落穂に觜のひまなくて諸鳥も餌にあきの豊作和田丸
九千歳生のふるとも是程のほうさくあらし小田の出来秋繁丸
最上川稲舟をつむかり時はかふりふゝ間もあらぬ出来秋歌語丸
称むしろ敷みちぬれは隣まて干物かりにも困る出来秋底丸
大船にのるし心地は十分にほの上りしを湊田の稲亀丸
越大野
とつ国の人に見せはや八束穂に天の出来たる豊の秋津洲
はる夏に手を尽したる切見えてなそおくても豊子基盤田貴之丸
重陽
なにはつの高きにのほる筋ゆの日は弟の南も花の大君杉丸
わか国の菊の節句には万代の君かほらそをためしにそ引て磐丸
何をかも舞てかなてんをとめ菊い花も五節のけふの終に定丸
ぎら植て屋根をふく身もせしの日は低きに下りて酒を壮くめ蘭丸
茱萸袋かけたる臂を枕としたのしむは酒くむ事にあり軸丸
南のせく済めは後宴に片付る雛の顔にもきせ給をしつ歌語丸
后の雛顔をつゝみし綿とりて節句一日は菊にきせなん嶋丸
仙薬のけふのをしへは長房の春のうちなる菊の酒かも和田丸
←
七
根分けから蟻も高きに登りけんせくのけふ咲菊をしたふて絹丸
一長月のかふ村の本栗の本祝ふかせくの発し方の道
節ゆのけふ千とせの坂をこす〳〵に受て十次らん菊の酒盛玉丸
玄猪
巨燵するいの子のあれに窓破て足さし入るゝ月の寒けた鳴丸
実の子とて明しこたつは牡丹餅か過てふたかる気の不性箱
御。其猪の臼とりやせし宮姫の手さへもあるゝけふの北風蘭丸
餅つきて月の兎も祝ふにやいの子望さへたちさわく見ゆ軸丸
いのしの日をはねらひし鉄炮のこたつの火ふた切衣あたれり扉丸
冬枯のさみからむといの子には帰り咲するお萩牡丹もち杉丸
亥の日には愛宕かめの足つよき餅をは搗て試のさる静丸
蛭子講
釣針やあると蛭子を祭る日にあかめの腹をひたく料理物絹丸
神たなの蛭子も立て踊るへしかふ呼ふ前のさやくひゝきに亀丸
今宮のえひす講にも肴屋かまゐりて叩く真な板の鱧静丸
はんへいをさし込む藤の青空に昔の月をみる蛭子講竹丸
十月の廿日は鯛の塩焼を出すかは敷に折るえひす紙盤丸
甲子に毎度呼れし大器にけふ返礼をする蛭子講同丸
火焼
御神楽の鈴鹿の庭大くすほりてはくろに成し真榊の色蘭丸
おく霜に夜やくさしとて住吉の庭てたさつゝあたる神霧月九
武士の家の真焼は神楽うた重たふも弓の本末のなり磐九
で
一煙だつ高津の宮の大焼には酒立の童にきはひにけり柳丸
仇儀をむすふの神の共たき哉絶たるもなき湯立女の袖滄美丸
庄中のあすはの宮の火焼にはたきつけにもや小米にす也袖丸
きもふかふあすはの言の御神楽は産貴たくも小柴さす也和田丸
帰ります神の火緒にかくしめは出雲お国のわたをもち舞ふ定丸
一竹蔵の宮の庄天にむかふては東夷もぬかつきやせん杉丸
焼たつる庭共に白きはふかこの袖も真黒にくすほりやせん恵姜丸
饅頭のかつ敷にせし杉木葉や橋迄て火焼の火やうゆるらん柳丸
大焼には神も富けん宮柱太きけふりをたてゝ賑はふ葉九
とふり子は烏帽子の上に左火たゝかとりもかふる冬の夜神楽静丸
はふりこは火説のほとりかふれともはらひ清むる御神楽の庭絹丸
冬至
花筒にいけるくすしの業見せつ神震まつる冬至様にも月丸
いと孫のいと程のふる冬至より日あしうかゝふ興薬のかみ定丸
せんまいの糸ほと悲む指南まの南へめくる日は冬至より雀丸
日のかけの片よるまゝに花も又南の枝に咲て冬至梅
内の代の正月ときゝ冬至にも雑煮の粟は喰ふ兄弟蘭丸
卯玉より日かけのめくる方なれは南天の実やあから成らん貴之丸
冬至より畳の酉の目ひとつつゝ見る気も長く成るしもの陰光丸
もてなしをくすしの家に誉るのも冬至は周の正月ことは絹丸
一小車のめくる陽気に冬ひより糸筋ほとはのふる日のかけ竹丸
新甞祭
む
新輩の夜半の筋にあら海の障子てらすは海士のいたり火聖丸
かねのなかすとて鯨もつかさらん程の都も新幸の夜は折丸
夜廻りに呑喰ひまれは先腹の脾の用心もする新掌言絹丸
一夜もすら主水役の明からに水も寝る間のなき新嘗言蘭丸
坂まくら菰の床敷く新峯の祭の夜にもぬる人はなし軸丸
新掌と云僧尼とむる触書に坊主となりし筆はつかはす蓋丸
くり治人も新幸の夜は宿にゐて細代大鉢のひをや守らん静丸
妻なかき夜は寒さにも実の入候十内給つ物をや供ふ新掌和田丸
一今宵みな目を赤くして守るらん兎の日なる新掌言とて雪丸
貢納
一貢米をさまる御代は礼ありくりふ馬にも是を講れり忠美丸
国恩の重荷はこへは冬の日も牛に汗する煮米かな繁丸
美さかなは蛇さたをかみきたひて貢納にうたふ催馬か等絹丸
はかりなきめくみもしるし大君の民をなてんに横む煎米同丸
孔明やはかり出せし貢米木平流馬引高事運はん繁九
年貢米牛て運ふも一反に壱石六斗弐升八合杉丸
貢米をさむる日には膝すりて高木の袴もなし村庄屋松丸
木幅より首をはこふ馬はあれと駄賃はたしのかち荷持とん島丸
事始
谷川の杉の丸木のはし紙に脇目のふれぬ事はしめ頃蘭丸
老人も着やとはりのことはしめ飾縄なふよりは戻れと軸丸
紙屋よりくれの祝儀の間に合を障子にはるの事始せん静丸
も
ことはしめ箸紙のはしを立田川白紅にくゝる水引仝
破摩号を六張ならへてねをはなすこと様こそ際の売前月丸
煤掃
あた声も破れ畳を叩く夜は獏もやれん煤掃の音亀九
親の顔よらす息子の異見程盈をたゝく夜半のすとき鳥丸
恋をすりよねの歌もや覚すらん夜の衣をかへすすゝはき母衣丸
一失物のしれたりのみか着人の隠し芸さへいつ分焼婦東美丸
唐紙や障子のみかは煤払に隣の夜の壁も破らん絹丸
煤はきの酒の肴に畳より先へたゝかん鶴の胴から雪丸
これも夜の明るわひしきかつらきのかみ袋着し煤掃のなり亀九
煤掃に相すまはして神仏けりと給ふも和光同芸心丸
高屋のけふり出しまて煤をはく民の墓はにきはひより材木
年忘
絞るとしのふるから小野に汲かはす酒こそ老を忘れ水なれ
煤しきをのかれし老もうさ払ふ年忘にはとる玉はゝき蘭丸
とし忘れける夜の舞に花かさをかさすは老を隠し芸かも定丸
忘れては齢も跡へもとらむと車居て初む年のさかもり和田丸
車座の酒のゆたんに老の坂跡へもとらん年わすれと云東美丸
とし忘れわすれ過しと覚えねとお互さふる酒のあやまり月九
訪寒
雪ふとて寒気見舞の名前帳よくして帰る鳥の足跡定丸
一似城の縁なるへし四角なり玉王院もて寒気見申ひは蘭丸
〇
上十二
ゆき風に寒気見舞ひの手札帯ちか鋪台を白くなしけり八十九
真こゝろの赤き腹をはあしはして寒気見舞にけるもみ対絹丸
身ふるひをするほと寒き持からの見前に送り水鳥の鴨軸丸
ツルカ
寒気見舞器あらふに袖ひちて水引むすふ氷砂糖歟
肴籠寒気見舞にもてゆけは手も切るゝかと思ふ太刀魚静丸
餅搗
青類に盆は乗りたる立臼も杵の拍子にをとる餅つき三千丸
三午の坂のほりて餅をつくはねのこのもかのもに賊事試蘭丸
山とりの年の尾さきに来る春のすかたうつしてつくかゝみ餅定丸
浦ちかみ明石もちつて杵音のひゝきの灘にうする年治軸丸
越大野
一更科の田母の米かさむしろにつきならへたる餅の数し甘雪守
ツルカ
鉢園をしめつゝ耳をたて結ひもちをはつきの霞めきけり
鉢巻をしめつゝ耳をたて結ひもちをはつきの亀めきけりアルカ男丸
耳のある壁隣にて正月のもちつく杵の音きくそよき恵美丸
節分
福は内鬼は外へと追ひやるも片手うちなる年越の篁雀丸
いそかしく豆から焼て古森は是や七歩の志はす節分月丸
鄙人はえやみ落せと節分の豆いたしきて震ふ大内
ひとりねをせぬ節分は横つちをやうもめ烏もかはうとや鳴
ツルカ
同ルカ馬丸
節分の夜半のあられは豆よりも打音はけし倉の鬼板
豆喰ふて福は内へと欲よりし心の鬼も遣ふ節分
節分にこほれし豆を巣に引て鼠も同し年やとるゝん
亀丸
越大野
舌巻て鬼や逃らん塩辛き鰯をさしく節分の門
琴彦
も
歳暮
行としのはつかに筆の寿毛は日をもてかそふ程たりもなし繁丸
千金の春は隣のたからにてかそふ日もなき年のくれかな絹丸
行としの中場にさら梅かゝは隣の春へわけて送らん軸丸
夜を更し際風引て鼻ひれと行てふ年はとめんよしまき蘭丸
角鹿
とし浪の流れて行も早瀬川末はかすみの海に入るかし
歌語丸
越大野
遠方の飛脚には年のうみ山を春へまたける暮の詩ひ文千本
早春の小くち張せし青紙の柳まないた売としの市貴之丸
冬と春わうさきるきにせきあへて道ざりあへぬ年の市人雨行
小車の廻りてくるゝ年の坂ゆたんをしても諸へもとらす琴彦
挑灯の弓押張しかけ乞にうしろみするはひけう千万光カ琴調
帯祝
三韓をなひけし神の帯うけて身にいはふ日も日本の犬蘭丸
岩田帯むすひ題にもはらみ句は案するよりも安く産れん月丸
つわりから野みて祈るうめの宮の砂をうけつゝいはふ腹帯枝丸
かねの緒を帯にしめしかはらみ女は子安の大悲たゝ頼めかし水交園
御注連縄むまふ二見の岩田帯うみ出る日をまつはかかなり。弟駒丸
おもふことつゝみて人にいはた帯むすふよりなほ腹そふくるゝ流霞園
六尺のはら帯むまふ五月目むつきはのこる木綿つかはん国丸
けふむまふ帯のいはひの呑くひにあるしの腹も大きうそなる久丸
安産
うふ聲の高さに遠き一家より近き他人か先へしかにき流霞園
も
安く子をうみて身かるになかひきこかしきとて捨られはせす
売の巣のことかこふ産家にてまうけたりしはよき子安貝枝丸
安産をいはふ絵の膳すゑてとり上覧に酢を嗅すのみ松丸
りん月の延ひ勘定に貸すかねも安く子をうむ宿の和座初丸
七夜
剃刀を青砥にかけて六日剃残のまはりにのこす産髪水交閣
元日にうまれたる子は七草の宵によきなやうてはやすらむ
産髪をそりてめの子のくはかぬる餅のかゝみも大小二面軸丸
一堀川の百首もいはふ六日剃太郎次郎のうふ名唱て一瓢菴
はしら石ほとのかたみを配るなり家立ん子の六日剃には亀丸
一万代の末をそいはふ六日剃おく産髪は亀の緑毛杉丸
宮参
形代の麻亭をいはふ宮まありつとは御祓のこかたらじ団粉蘭丸
雷の神在す賀茂の宮参子の姉の緒はよきに納て繁九
蜜かふやうにそたてゝいとし子の手物をも作る宮かありかな女笛児
宮まゐり祇園守の金襴はいたゝく親の七光りかな
宮参産着の紋の編摺に瓦さる親のせひより添ふ杉丸
みやまゐり児の顔に大の宇を書く紅筆も長き郎毛一瓢菴
懐の子は巣籠の宮参つる羽色なるうふ着かさねて雀丸
宮まゐりすゑの齢の長かれと輪にして紐に結ふ玉の節久丸
うふ衣にそめたるまつのみとりにの類の紐や丹頂の竃国丸
宮参いはふて貰ふ真苧鹿草うみたる親の調法子也善丸
喰初
子の膳にすゑし五音のかなしら父字葉や恵む喰初一瓢菴
子を思ふ鶴のまき絵の親椀を先いたゝかすけふのくひ初葉丸
牡丹煮の鯛もいはふて居ぬへし喰物するも百廿日艸雪丸
喰初は子ははし紙の蝶むすひつまみて遊ふ百廿日くて水交図
花塗のうるしも匂ふくひ初に子のたはふく蝶あしの膳松丸
焼ものになるへきまなやかなかしらいはふて送るくひそめの文広丸
初節句になりし女の子の聞物は蓮の青きいく〳〵もそふ蘭丸
なまかれの喰初わんの漆にもうまれなからにまけぬ丈夫さ富児
親の家たつる男の子の喰初は膳にも青き石十ゑをせり
いはほとそなる迄祝へむす谷の青石居し喰そめの膳
初節句
をさな子の乳かあらぬか初節句の毛氈ぬくふ雛の白酒雪丸
初節句の錦かふとの面頬は眼のなき親の子にみする顔流霞園
三日の海蛤よふてけ鍋も干潟にしつる初節句の客水交園
初幟乳をつけるにも惣領のうはの扇身は広木綿巾蘭丸
ときめくや頼政の絵のはつ幟たるれは軒の妻のあやめも水交園
はつ節句に三階裳の草の餅送る使も小笠原流今
曲水のゑん側まてもゐならひて盃廻す初節句の客亀丸
東帯の雛人形の丈見んと尺を糺して求む初せく国丸
初顕の内裏は裸人形も百友名をやつけて飾らん
都から求て帰る初雛のにしきもかさる古郷の情杉丸
懐の子もよろこんて初節ゆさつる幟の乳さへかきりて
髪置
なつるとも尽ぬためしに髪香の衣装の締や岩に羽衣亀丸
難時たみつの女の子は芦の袖の綿もまひとへかつく髪置蘭丸
かみ置の衣装このみも山降のみつの女の女の子に甘き親く紫丸
本筆の坊真花よと愛る子のみつを祝ふて参る髪置水交図
老てのちかゝらふとてかうは玉の髪置めてゝ撫るたらち様一瓢菴
生さきを祝ふ絵の大根たへ鼻にはやす和子のかみ置静我
一仁和寺のかなへのみつの髪置につ師も来つる酒盛の鹿国丸
八十の齢たりてとしらする綿きせて三つ子を祝ふ髪置月丸
袴着
初袴ひたのにや着せしなのかたちは父の十分一の図蘭丸
児のとし五の常のたち居さへ行義鮫なる着初上下団丸
客まねく床花生の水仙と倶に袴をいはふおのこ子久丸
馬事のすきにおの子は曲馬めき茶盤無にしてつける袴着房丸
初はかま着し孫の手をひく老はこしいたつとも思はさるへし
袴着のおの子と倶に上下も行義のよきは親のしつけ声雪丸
祖父の女々のまこの袴着いはひつゝ皺をのはしてたゝむ上下松丸
袴着に乗する碁盤の目出たしな石たゝみなる紐をほときて竹丸
被初
被召すすかたの池の深重木は岸の真菰や眉墨にひく蘭丸
母の恩ふかき恵みのうみにいる女の子はあまのかつき初めも善丸
□□
ひめ小松千代を契りて住のえの岸たん染の彼着初つ国丸
手しほにてもり育たる妹か子のきぬかつきをは祝ひ初けり五留子
疱瘡
南都
山あけの峰越すには赤紙のぬさを手向む疱瘡の神雪種
うつくしくもかさをし賀の桜色遊ひなからの山上をして藺丸
疱瘡のうみ山越して荷を飛す湯かけは左郷十二日ふり一瓢篭
祇園会の鉾の長刀いたゝかせよい山あけをさせる亀瘡
先達の股をくゝりて大みねの山たをせし児の疱瘡竹丸
けふかくる湯尾峰を安々と越路へ帰る疱瘡の神国丸
紅のさる縞絆さしをさな子もかくことはせて遊ふ疱瘡
疱瘡もいと軽けれは杉著に石臼させといふむりもなし
入学
黒かみの筋あきゝかに思ふんとくしのをしへの門に入にき繁丸
眠る事を朝とく起す寺入は師に脇を明て貫はんか為流霞園
なには津を書習はせる寺入の御香ろきなから匂ふ梅かゝ歌語丸
師の祝ふのしをいたゝくふり見ても手の上る子としらき寺入松丸
烏羽の文字もならへとをさな子にむし飯添てとなる寺入亀丸
御石かさりてみ参るむすめは帯をさへ文庫に結ふ寺入の晩雪丸
入門の日よりかくことをしへつゝ申の刻にて上る守子屋仝
歌語丸
寺入をしてもはしめは鹿の毛の気を取つたへらふとなく軸丸
寺入は藤を手本に文字のみか朝起をさへしならひけり
大学の宗読をせんと案内乞ふ師か屋は徳に入門構松丸
0世の
縫物寺
よしあしのあれは難波のうら表いせの所を師に習はなん竹丸
直衣しらぬをとめもしかられてぬひかけし袖ぬらす時の前松丸
針さしの山の中にて縫ものゝ修行は男詰界の寺蘭丸
ゆひぬきの千とりぬふにも寺屋迄友呼つれて通ふ小娘団丸
針とめの尻わらひする縫物に申過る迄寺を上らす仝
縫ものゝ師におるはすは蜑の女もゑりめいさりをいかてしみき松丸
ぬひ物に下地かある歟師に問はと小手をはけふ壁はよつの衣雪丸
渡辺の紋のつきたる鬼なりぬひ習ふのは伯母の手かとき杉丸
鉄将有附
臥子の粉の川端陸奥の隣国したしくいよふ出羽のはくろめ雪丸
かねつけのいはひもらひし男にも白い歯みせぬ妹かたしなみ流露寒
山里にそたつ娘も柴栗のかねをはつけてゑむはしほらし雪丸
五番町草屋のむすめもかねつけは七軒からや責ひ参し仝
歯黒めのつかひ勝手をかね筆に鰹のふしもつけて祝はん松丸松
歯くろめはかうする物と筆をもてくゝめるやうにをしゆ母親草丸
はくろめのいはひの酒のみさかれはかねをつけたる雨のいをかも繁丸
半元服
一年のうちに天窓をはるのすみ入て子供とやいはんおとなとやいはん一瓢菴
箱火鉢壱人前か出来るとてよきひにすみを入るゝ前髪静丸
扇子箱すゑて出さん打掛のすみをいれたるけふの祝ひに雪丸
はる風の声もかはらむ難波江の類にたつる江戸の角髪同丸
〇
上廿
元服
元服の類にふしの跡見えて月代青き水うみの色流客園
紫のはつもとゆひは牡羊冠に置し薬平のさま蘭丸
剃笠のあたまの皿は青碗色壱人前にかそふけんふく
元ふくをすれはあたまをはるの野の蕨もこふし上て祝ん
首脇せし若菜の色の青二才とし男とそもてはやしける国丸
元服をしつれは猶も出世魚ひれのつきたる男一疋竹丸
うち退きてみれは天晴とうたふのも首様に似合ふ烏帽子折哉雪丸
青かるは若草山に舅鹿の角髪おとす同代の色哥語丸
かたつふり角髪を剃る元服に残りし親の光りをそしる繁丸
元禄に傍輩中のいはひ物あたまはりとはいたみ入る也亀丸
21337
洛西御金
秀楽堂
町蔵
第一図
一銭六十一〆七十一日
同十一日
{
〆〆〆〆〆〆
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
〆銭〆〆〆〆〆
〆七十七〆七十一
十一月廿一日
狩
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
一戌十一日
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
狂歌
□□□□□□□□
寿
慶賀参
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
結納
以テ購入セル首関博士
猶野亭吉氏書職書
いは国のはしかけすなる人をもて錦の帯地を送る結納葉丸
細布のむね合すとも結納にうけ常地の錦木一本蘭丸
結納の綸子のひかる稲妻にはたのみを入るゝしるしをか
冬妹子か来へきしるしにさよにのいと錦をは送る結銅雪丸
媒口いひならへぬる詞にも尾ひれをかさる結納の詞流露墨
結納に来し塩鯛は知年方のはら打明ししるしとそみる雪丸
結納のしるしの杉の扇子箱みわけてつかふ弐本もの入松丸
いもとせの直組の出来し結納の手附にわたす金襴の帯繁丸
も
二神をならふとつきは酌とりのうましをとめも右へ廻りつ蘭丸
○
よろこひを告る烏の黒小袖きて夜を明す婚礼の客国丸
一袖馬台のしそくの中をさしかふのくもおはらけの通ふ婚礼雪丸
わた帽子まふかに着たる花よめよゝ雪の中なる早咲のうめ葉丸
婚礼のいよひの酒の菰しよし穴亀もあり嶌彦もあり雪丸
千代にてとたのみて鶴のはしかけし中立売をわたる嫁入松丸
一つかひ蝶花かたの酌人も粟の花よめのはたに立舞ふ清泉園
千代まてといはふ今宵の花よめはきせ給をきし一本の菊杉丸
婚礼の式ひまとりて夜をふかみ錫に付たる蝶も眠らん雪丸
門前に目をし配れは嫁入の後晩に石をうつ人もあり亀丸
婚礼の墨の戸守る犬張子盗人上戸もあらぬいはひに竹丸
袖詰
振先の模様の梅の枝切れと雪はとめ袖に残る薫物繁丸
若草の縁にそめし振袖をつめるをとめの手薬やさしも雪丸
若草のつまさためせしかことにやねみしかゝつめるふり袖目丸
振合しえにしありてや袖とめのをと女に買ふ嘉足饅頭蘭丸
くゝりめに小角豆をつけしふり袖をつめるむすめの年も十六雪丸
まんらうの穴の月見に雲のそてとめてめてたき十六夜の空亀丸
十六夜の月にかゝりし村寒の袖止をしてあふくをとめ子同丸
知耳入
水いはひしられし知りはかねてより直男とのぬれゑや着ん蘭丸
うちいはふ水かけ聟の初入に鋤鍬のある鯛やつかはん雪丸
待請て皆戸口まて出迎へはゆたにありこむむこのうら船母富児
て
舅から帆かけ丹波の一こしを引出にいはふむこの浦ふね紫丸
舅からさし料の身も長船を引出にいはふむこのから浪杉丸
養子
よきたねと売ふ小枝もおいふてこかなしのみの往木にそせん同丸
久かたのかつら男の養子して家の風をもふかせてしかな国丸
油箪なき男箪笥は裸てもすゑる養子は百女と目持広丸
餅屋から酒屋へ養子もらひしは宗間ちかひも綱てこそあれ
三合の小糠を入れて養子には堪忍袋持してそやる駒丸
養子とそなれる男のたましいは家次の身をもちさし科英丸
一売ふから家の要となす養子ふた親骨の気にあふき哉初三
そのはらもたねもかはりし養ひる孝行つくせ父とはゝきに歌語丸
家督
父の恩うへ山よりも高しとは家国を子にゆつりはり嶽月丸
譲り状家の継目に押す刻も肉のつきたる親と子の中蘭丸
親の跡本末かけてたつかみゆへる家名の切れ歩あらせん磐丸
老の坂のほれる親はかたらくに家の重荷を子にゆつりけり月丸
ほき酒をくみ年寄も猩々の尽せぬ宿の家督振舞団丸
身台も太りて猶そ栄ふらんかねのなる樹の家つましより軸丸
かねてよき身台なれは親の跡残く巻紙の太くこそなれ富士丸
買得
いにしへの治泰のまゝの隆橋の継たしをしてわたす帳切流霞園
千万代迄と求て座亀の御判いたゝく治券一通雀丸
で
家普請の絵図より先に町内へ二十部一を出す買得流霞園
積善の家買得れは思ふより必余慶かねの入るもの繁丸
普請
夏をむねと家建るには痩しとや太きむなきを遣ふ木工磐丸
建直す木屋町うらの貸座敷床の柱も川つきにして雀丸
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禁の外そ棟木をはつるには鹿子打する奈良の家造水交園
普請場のいろは附にも角文字はうしになる木や引てしるさん磐丸
時たする北山丸太けふとて煮土に木々を染る家普請雪丸
一字たにしらぬ日雇も家普請にかく足代は縄を結ひつ松丸
朝出してくらかりからも普請場へ株木の牛をひくはさわかし枝丸
建倉
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白土の雪に満みるゝ倉ふしん犬走りにてさるゝた官は軸丸
土はこふ足場の上は葵棚これも火除の倉建なり駒丸
新倉を乾かすなそと火を焚も四方白壁中は寺かろ〳〵雪丸
日雇みな土を運ふはつはくらのすやねをかけし倉の足代仝
足も火をふせく瓦とや革薙のけん棹を打倉の地積り善丸
一念建にこねる手なつち足なつちつほ数を見て牛るすさのを流霞園
壁塗の手間も千程かゝるへし観音ひらきの倉をたつれは仝
絵図をひく絵のことよりも念の壁白きは後にすなる上塗松丸
柱石根として建し倉の壁みれはさなから白雲の如枝九
丁
よきことの上ぬりをする倉普請高ひところへ出をもちつゝ松丸
瓦師も屋根の流の早きには利の足代や掛る質倉国丸
信仰の大黒柱建しから鼡壁にぞ塗らんかね倉鹿丸
徒移
家うつりの日柄も万よしの山よきに勝手の神棚も有繁丸
露かねの玉川にさらす調布のさら〳〵と煮る家稲の粥仝
縁板を撫てみる手に色附けのうつるもうれし新建の家国丸
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よき方にたなかりすれは燕もともに竈を運ふ家移り松丸
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分家
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出店
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求家徳
郭公鳴くたに価千金の耳をそろへて求む夏山蘭丸
光らして子に求置く箔の株親はのはせしかねの位を囲丸
御車の株をもとめてかね倉をひらけはきしる音もひゝけり流家寒
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求れと始は猫に紙袋きし田高さに跡しさりし一松丸
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十一
奉公
にわらはの初奉公は逃てたにいぬきのいつる雀色時流霞園
賤の女も菊のせくから宮仕せんと高きにのほる大内国丸
思ひ出す在所の松にいなかめの初の時雨や通ふ奉公駒丸
人の股くゝる程なる小童も出世をせんと願ふ奉公軸丸
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三万円の器の如く家風ありそれにしたかふ水仕奉公歌語丸
山出しの下女は奉公辛らしともせさるは昆布の心津ふみそかし国丸
眼のあかぬ主人なりともとく起つつとめて仕ふ水仕奉公繁丸
○
大切な主の子ゆゑには奥蚊にもちを吸はれぬる乳母の奉公鹿丸
此日の気に入間産れか主の無理をひとしてゐる奉公人松丸
別宅
鶯の宿はいりして貰ふたるのれんは匂ふ梅や渋染雪丸
こかひから長し勤し糸問や別家をしても棚をはなわす歌語丸
主人にもかふたからるゝ番頭は煙を別に立て勤ん蘭丸
主の家の隣に別家する人の徳は必孤ならずな物軸丸
軽からぬ役をもちつゝ別家しておもやを荷ふ肩入つとめ国丸
限りある菊のねんを明島よろこひ去る宿はいり時磐丸
振舞の相談さへも傍輩と一つむねにて住む別家中仝
貯金銀
白かねの雪に黄金を囲ひつゝ氷室のことく守る穴倉国丸
一塗籠に積て黄金の嶺なすは弥勒の代まて貯んとや流霞園
穴倉に巣や作りけん月らに子を産む金は鼠算用月丸
一屋をさへ潤す富ははる雨の黄金に咲す花のかそいろ水交園
金銀を富士の山ほと貯つ仁田とわらふてはいるあな倉国丸
貯へし衣裳の外に子や孫へ譲るこかねも桐の定紋流霞園
倉のうち金銀をもて詰持気さしかゝめたる戸のあかぬ程善丸
十露盤の塵やつもりていつとなく山をなしけむ倉の金箱松丸
求別荘
遠くとも火事のためと求めしば是にも一里ある下屋舗一瓢菴
○
○
求めじは川水前にしも屋敷月にほとる地の理よけれは蘭丸
養かせのことによけれは嵯峨の実われも尋て買ふ下やしき静丸
隠逸の身は菊谷の下屋しき求て庭に声もすゑさる月丸
川水を庭に引たる下屋敷かふは命の後理場かも流霞園
大名にかね貸て買ふ下屋しき祝は移る日にくはるなり一瓢菴
もとやしは十畳敷の座舗にて源氏窓ある宇治の刻花定丸
求むとてかねのつゝみを積み上つ河水を引く別荘の庭繁丸
隠居
釜の下の灰まて譲る其中の猫一疋は隠居つきなり蘭丸
乗隠居する所細工の手あふりを極る紙にや天の羽衣一瓢菴
独楽の茶には隠屋も釜かけづ鍋尻を如く世話はのかれて同丸
よしあしのこせ話もなにはのらら住居隠居しつれはみな忠貝
仰よしと思ふはかりそ世の世話を忘草まふ隠居所の庭一瓢菴
隠居してつさくる珠数の錦緬玉うき世の墨をいよく明べき国丸
一緒ゆつか子宝あまた打出して隠居は着るも大黒頭巾軸丸
なくさみに陶物を焼て其外は手をつくねたる楽隠居哉松丸
震の風起すをかけに悦ひてたり扇をつかふ隠居所奇語丸
子にゆつり世のこときかぬ隠居みて耳にかくるは珠数計也繁丸
交るゝにはなれ屋敷の隠居所にくるものとては珠数はかり也静丸
剃髪
の里を得て到る黒かみは彼の岸へわたせる舟の毛綱ともな杉れ杉力
法の師のかみそりうけて剃る身にも手合をして御名を唱へつ雪丸
○
丈
黒髪を剃れはつふりも心をも涼しき墨の衣かへせむ
三越路の雪をいたゝく白髪をはそりものりの身とは成まり軸丸
かひめまつの緑の緑の髪をそり橋の刺により袖を染るすみよく国丸
住よしといふから髪をそりはしの渡り初するましも世を経也松丸
養恋
配膳も鬢のそしけを撫つけてもてなしか出す鯉のあつ物紫丸
火母のかろに恩を思へはもてなしも寒海との珍味もとめむ漁霞園
客人に生間の料理もてなすも行義な鯉の活つたり哉八十丸
気色よき三本木してもてなせは客に酒飯の山川も有静丸
青畳備後表に宮人のとものあたりも同しもたるし一瓢菴
庖丁のきん味を見て太刀応の身は鞘の間へ出すともてなし蘭丸
初老
愛宕山高き齢々のおるへき四十ちは老のこゝろみの坂流霞園
老鳥の交り初なる四十雀百朝のとしも経ぬへし繁丸
渡金の神のおかけて初老に四十未社も寄る賀振舞流霞園
明てけふ四十の尻をむすひ呂布其塩ほとな老の初霜一瓢菴
達者にて四十の尻をかゝけつそろ〳〵あゆむ千代の雀径久丸
未た若き四十の老に三十九の花をかさして何かくすらかん国丸
老のなみおもてに見えす四文銭十とかそふる年の若さに定丸
色かへぬ春のみよりの髪にしも交る白髪や老の初霜繁喜
万代の齢はるけき亀山を見んとのほれよ初老の坂月丸
千とせふる雀の頂く丹波路にむかふて登る初老の坂雀丸
丁
尼祝
片兵衛のよりくる人に酒くまんたゝりのあらぬ尼の祝ひに一瓢菴
芹川のせりをくはさる厄としを越してたとらむ千代の古道蘭丸
年寄をもつ町役も身の厄も三年無事て越そめて度広丸
厄ぬけのいはひに酌めは味にさへ少しの難もなき三年酒定丸
さすしへの思ひに末をまつかせの三とせの尼もすまのうらゝき亀丸
祈りたる出雲の神のめくみにてやくもたちまち幸と成へし月丸
八幡なる神に詣てゝ身の尼の三年鯉を川へ流せり鹿丸
気もやすくなるとの鯛をつかふなり厄年の瀬戸こしく祝に杉丸
五十賀
老のなみとする顔はいそろとり千代〳〵とそ鳴わたるなれ繋丸
こゆるきのいその砂道はたし哉跡もかりして若くみゆるは蘭丸
寿のいはひにわれもこよろきのいそきてこかな求にそ行く一瓢菴
ゑんめいの入口ならむすとせつゝ五つの折植し門辺は松丸
こよろきのいそへに生る初着菜幾舂つまん千代の齢も国丸
穂を喰ひし雀の千代経ん寿はいそへの宮の神の守りに今
若のからいそちのあゆみ巻にて芦辺の田鶴の子とせをやへん哥語丸
六十賀
いくたひもむかしの春にくりかへせ今年齢の六十孔図を月丸
六十の手習気の腰強く達者にかゝん庭訓往来廣丸
客おほみ六十のかろに酒もりの延破りて踊るめてたた流霞園
十とせつゝ六ツの了張る今年よりめてたきことの始とそなる繁丸
なし
丁
白髪たにはへまて羅紗の熊みゝの耳に順ふ老の丈夫き枝丸
本哉賀
この本のけしきを見てまる詞にもつくし潟なる千代の松原蘭丸
そとし着る産衣は六十ち一つ身の背に達気をすゑる亀綾
ことしよりむかしの春に戻り駕安くそ越さん千代の坂道国丸
今まてはかろか六十一里塚そろ〳〵たとれ千代の長旅流霞園
千代ふへき老のすかたを看板に本卦からすれ不死の仙来繁丸
本の卦にもとり橋からいと重き鬼風呂を脊におひの丈夫さ静丸
千代経へき鶴羽色にも染て着る心は若き本のけころも同丸
ちよの友むれ遊ひつゝ六十余りひとつにかへるわかの浦つる杉丸
出々とわたる六十一のはしこれから不考ふし見街道軸丸
七十賀
紫のこきのいはひの笠原の湯かはめせよしつ瀬の帛紗小袖も月丸
そめ色のこきを説つ千代紙に包て送る雀の羽二重軸丸
山人につりを取へき齢ひなり百文銭て七十か老一瓢菴
翁さひ雀羽鼠の狩衣人なとかめそ伊達古稀の春蘭丸
斧の物の折し七世の十かつらを経とも齢の尽る跡はなし一瓢菴
一国に杖つくをゆるしの色なれはこき紫の頭巾いはゝん流霞園
七十ちのあり越すとも肌人やおほくてのほる蓬莱の山松丸
八十賀
寿は八十嶌々の真砂にて大つかみにも万代や経ん蘭丸
ほらゑみて風のおひての友ふねも八十の漆に入らそめてたし流霞園
申
号
せ
宇治川の八十瀬の浪のしく玉は亀石による万代のかす善丸
ことふきはゝ八十島まつに巣を組し鶴の孫子の千代を續迄静丸
末遠くあゆむ駅路のすゝか川八十瀬をわたる千代の長禄流霞園
雲井にて杖ゆるたれん寿は八十件の男の跡につくとも軸丸
八十のよろこひ酒にみつ子ほと吉の廻らぬ酔しれもよし月丸
八十八賀
寿は桝掻筋の手な裏に千代の鈴やしかと握りし月丸
櫛かきの餅はかりかはのしをさへ白紅にいはふ水引繁丸
一ふしに千代をこめ屋の升りさゝなる迄杖をつきたとゝん蘭丸
御室山としも八十八ヶ所を一日にめくる足の達者さ静九
米の賀に切たる竹の千代経しつるかけ升にすゑを計しは一瓢菴
千代こめしつるかけ升も米の賀の人の齢は計しれす鹿丸
米の賀の末をはからは節なしに掛かき竹の千代もへぬへし
九十賀
豆のかす九十粒つゝ方朔のもしたひとりて九千歳経ん繁丸
やりて成る百の額をまつ嶌や九十九嶌の吉のぬけし人静丸
百の口六文如し長生に褒美いたゝく老のかしこさ蘭丸
銭百にやかてなるへき老ひとの年に爰はなくてめてたし流霞園
頂しけは十つゝ九重の御階の花をかさしくと見ん松丸
寿の高さはからは達者にて富士の九合を十かへりの人寉丸
指をりてかそふ齢は若はへのまた五つゝ十八乃公目九
蓬莱の嶋田の宿にとめられて九千川から長く遊はん亀丸
守
尚歯会
老て夜をあかしかぬれと詩如奇をふすとねるとによる尚歯と云流霞園
五月まり花たちはなの茶を入てむかしの人の人のよる尚歯傘
みな芸をたしなむ老の喉小そて鼓を巡しによる尚歯会流霞園
老人のつとひにかへた忘れしは長屋のうらに遊ふむし鶴蘭丸
寄る人はいつれも百になりひさみ古きを賞美する曲画言哥語丸
資葉のみな真白には雪つらし老重の杜とみる尚茲言紫丸
千代ふへき齢くらへに杖つきつ綿をかふかて寄る翁きく軸丸
尚歯会年寄来いに鳩け杖つきて集る礼の正しさ静丸
老人の出歯言する遥には搗きし餅さへ皺のはしむ松丸
老人の足も達者な尚幽言転はす遊ふ圓丸の庭雪丸
達芸
舞盤の法は習へと師の恩の山の高さは量られもせす松丸
修練にて飛越へぬへし七尺の屏風は物か鎗ふすまても蘭丸
早業に七尺去つてかまへしは師の跡をふむ鎗の達人流霞園
一余の弟子とはるの手なみはよしつねにいたう倍も越さん体術繁丸
人に手をひかる目しゐも執行から手をひくもの妙はえにけり尾左丸
開伝
心事あらみ深き伝へはみなかみの粟田の流れ尋ねこそ汲む杉丸
道成寺ゆるしをうけてひらくには問に合したきかねの入るやう定丸
能の弟子正尊の伝ひらくにはそらことならぬ起語をや書松丸
石橋の舞台ひらきに牡丹花の廿日はかりも饗応をしつ囲丸
申
守
先せきへ通れとこそは師もいはめ安宅をひらく非発の日は流霞園
くさ〳〵のひを奇麗にいけの坊うけてそひらく水上の伝一瓢菴
ありひえて早く秘曲の舞扇こゝを毎と胸にたゝみつ善丸
ひめことのゆるしの色の鞠はかまうけて其身も其井にそ入る静丸
家元のゆるしをうけて囲む碁は段々うちし切やたちけん目丸
仕官
祐筆に召出されて仕ふるはみつからのかき手筋あれはや仝
立よらは大樹のかけと仕ふなりひとかゝへある松平家に開丸
御時服をいたゝくのこゝか仕へよの仰は君のおめし羽二重静丸
仕ふれは喰料あまた給はりの君のかめしにお辞茂りまて一瓢菴
忠と義をつは忘れす仕ふへし君のおほえの殊によけれは善丸
御加増のふちを源るもかゝこみぬ鎗一本の如しとなにも定九
御目見上に君の目かねのかゝる身はなほも性根の玉を応かん流霞園
鍋嶋処へ捨られしは拝領の御紋のめらかに叶ふ仕合目九
任官
き給ふ着し素袍の飛騨は解すてけふ狩衣を縫殿介哉蘭丸
飛鳥川き給ふのふちもけふは背に御紋をつけて着る知行取一瓢菴
官よりするにはかねをつき出たし撞木杖にてならず拾様流霞園
御幸書に墨つきそへて給たりし実領を見れは越前のかみ紫丸
雨雲のはれし心地そ山のはの二字帯刀をゆるされし身は松丸
功を経て雲井にのほる身となれば家をも名をもたつの天上国丸
宮人の官位に進むうれしさは長袖にもやつゝみかぬらん静九
○
俸録
仕ふるもあかき心の薄きこき御朱印十ゑて米絵たん蘭丸
筑波根の峰より高しみなの川ふちを給はる君の恵みは雀丸
もらひてし俵の米は壱ぬなりめくみの海のたつの宮にて一瓢菴
をさまりし御代かも殿の御師範は鎗の先にてたる知行米静丸
軽き身も引かれて登る淀舟の三十石も給ふ切米金
子孫にて身をは養ふ薬喰ひ鍋島家かゝろくを童ふは松丸
将つのかけひなたなき勤から七人扶持も貰ふ米かみ国丸
知行所も賢宇神のめくみ哉海山そへて頂しとは軸九
いかなれは重き役目をもつ人にかくらといいて米給ふらん唐丸
軍学の家は榊もてはかりことみつ〳〵物の米給ふかも善丸
入院
よき寺に入定せしは弥勒より出世の早き密宗の僧善丸
経かたしと世を捨て人はよき寺に美しくもすめる月頼藻丸
忽に手なくてせわく清僧に酒をすゝむる入院ふる舞静丸
揚ものを出すも寺格相応の衣やうけん入院振舞和田丸
部屋に々の坊主畳もおのつから酒くさくなる入のふるまひ仝
三日礼
朔日の朝の礼者に神拝の拍手聞て返事する下女嶋丸
紙の墨八はた荒神参詣と両部をかくる同毎の禮蘭丸
外の日に顔出さぬも月々のもちにはかけす礼をつとめん定丸
望の日のれのすかたは両の手をつきの蛙のさまといふへし絹丸
天年高過二疏伝
人数多於四皓図
○
来成四図
建ふる荒神松の葉の針に座て手をつく朔日の礼嶋丸
当日の御祝儀申てを月々のついたちなから申合ひける貴之丸
甲子
きのえ子のねすみのつ羅紗の紙入に大黒かねも入て麦ひつ蒲丸
越大野
初はるの甲子の日は松よりもふた股大根野辺に引まし
升おとし甲ねすみはのかれつゝわか身のまめの飯や脱ん新也
一黒銀まつ蒲団をきのえねまくりに返し爰や二般大根貴之丸
かね倉のあかしは甲子とうしんかゝけて祭る大黒はしら繁丸
一甲子の大黒まゐりは壱疋の鼠小紋や対にして着らん杉丸
庚申
風あらみ外へ出さしと噺する息子は親にかうしんの雪口丸
盗人の児になふ女縄にも男縄はよらし庚申の夜は和田九
中わろき犬張子あるゆゑやらん庚申の夜に婚礼はせす島丸
弥生の広中まちのはなしにて犬さくらさへさかりとそしる
庚申の七歩のしかの豆腐とは茶めしの豆も同様一体亀丸
初春の庚申の夜に登りてや雪をたに盗む梅の下かせ文丸
有卦
あとしととふの夢菰三ふさりて七助の品を有卦に祝はん蘭丸
福のふを七の社にさつからん御札をうけに入るそとしより油丸
祝ひものうけ振舞にこちらからふの字をつけて馳走申さん絹丸
盃につゝけてうけの三年酒ふの字七種の肴もらふて竹丸
さつかりしこ玉を手にもうけに入る人はうち出のつち性にこそ
は
本腹
わらは病床はらひには塵埃ふるひおとしてたゝむ小衾島丸
湯治にて肌の肥しか帯のたけ二廻りめにしゝる短さ国丸
補ひの薬とゝもに廻かつゝ御子度をする本腹の礼貴文丸
唐人の方の薬やとくきしつうしかつきて種も置しは和田丸
帆はしらの寝るより医者にかゝり船風か直れはおき出る也松丸
腰ぬけのいさりまも眼前の廻るうちにそたちしめとき蓮丸
舌出して見すれは一色者もあされけり病は急て吹つきしと
活死もそは忘れて囲ふ意のいしの切さへ見ゆる事服貴之丸
すゑの為病の根さへきり艾灸のひと日のうちに愈けり
越
良薬のにかき顔せし医師か先ゑみをは含む本服のけふ文丸
吉夢
小松ひて夢は覚れと寝のひして目をする手にそ終は残れる静丸
見し夏はめてたき春の初茄子歯に合ぬとて鰹もくらはし蘭丸
手枕のこふしはなれてそれにけん夢路の鷹を見失ひしは繁丸
高鼾かきてうま寝をせし時に見つらん夢の富士の鳴沢伊達丸
三女夫も揃ふさとしかじき夢の浮橋を夜廻渡り初せり琴彦
掛ものゝ富士の夢をは売る人に手附なくとも三日はなさし
青畳を江表のうへに見し夢は一夜にわきし富士の根杉丸
かへ物は茄子の夢のしるしかも小便とりの声にさませと亀丸
満講
頼母子のこうなりとけて世話方もけふはめてたく身延くなり善丸
天
子からすのかはも悦へ頼母子の親に反哺のこうのみつれは蘭丸
一講みちてつみし黄金の山吹は花も実も有ともに渡さん軸丸
すめらきの御代たのもしの講もけふみちのゝ山に黄金出さく繁丸
子母銭をかけはせはねともたのもしのみつれは戻か利もふしき也口丸
四つ橋のかけ銀かけし頼母子はしほうの通わたすま講絹丸
われ見ても久しくなりてすみよしのまつにみちたる月掛の講賞之丸
首途
伯楽もしらぬ能有千里膏首途に祝ふ馬の餞別別蘭九
玉味噌のなれぬ伊勢路の旅たちに豆をあんして碇うつ也恵美丸
越大野
突杖や柱こよみをたのみにて門出よしをえらふ旅たち雨竹
踏出さは千里もかけむ身拵いたみて送る馬の銭別月丸
首途を妹はみつから祝ふてや結ふ縁の小柳の帯軸丸
ふみなれぬ旅たちの日は足の豆喰がひ物とせん駅路の尊文丸
よきつれにあふ坂山をふみ初て心のこまもいさむ旅たち
糸宮
宝曳のつなかる縁の伊勢講にあたりて参る玉の太之嶋丸
旅衣装ふ周防赤そめや伊勢参りする女一むれ和田丸
あふら気のぬけ参もぬるつきて付髪おとすいせの旅僧蘭丸
されはこそいせの山田の宮雀守る僧都をくみ嫌ふらめ絹丸
袖入と山田にさわく宮すめ鳴子参りの引つゝくから和田丸
角文字のいせろも旅はうしと見て馬にのりかふ三方荒神恵美丸
花見にもかへし弥生の伊勢参つらなる雁の一もんし笠光九
○
松坂を越へて参るは伊勢音頭声もかすりの梅沼衣に静丸
一門案
長久のはかりことそと子や孫の竈ふやせは時めきにけり繁丸
芋の子の子に子か出来て賑はふを他人も随喜すなる秋々絹丸
とし母に枝葉さかえて笛の孫彦も見る宿そめて夏静丸
開きたるみおやをあふけ末庵に親骨子ほねなへて栄る文丸
お。もや株太るまに〳〵栄えけり連なる枝や子えた孫枝蘭丸
勤所役
村長をもつは地頭の目かねても勤を鼻に懸り物かは和田丸
庄屋もつ披露の酒に村中は二日酔かもあたまくらす嶌丸
一触状に細字あれはや先役のめかねをもつてすゑる年寄絹丸
若くとも年寄役を持ぬれは顔に皺をよする用あり蘭丸
村庄屋もつに障りはなし壺の五人組にて撰ふ人から静丸
組番の組年寄の札入て町役もつは時のめいほく磐丸
むら役をもてる門田におら露の小玉は藁の袴料かも軸丸
あら役を継木にもつは桃栗の三年目にてかはる年寄和田丸
頂褒美
一給はりし其白かねの鋳肌には孝行臼の石目もやある蘭丸
白かねを褒美に君は給ふ哉仕ふにも目をかけて貫て口丸
五匁行の褒美にたまふ白かねは黄金の釜に増す光あり蘭丸
百年をたもつ褒美の白かねは露をいたゝて翁菊なり軸丸
操をはみかく褒美に給はりしかねは女の鏡とそなる島丸
す
父の恩おもへはひくき孝にたに給ふ褒美は白ねの山柚丸
君に忠つくし丹後の袴地をうらなく仕ふ切にたまひし文丸
御能拝見
民の身に御能舞台のかゝみ板松の大樹を仰かしこさ菊丸
よく見えて御能に民は悦ひぬ手の舞足の踏所まて絹丸
あめうした恵みの御能拝見に傘給ふたに洩し給はす袖に丸
ことゝはむけふの御能は隅白川拝見場所の有りやなしやを袖丸
拝見も十番切の夜うち曽我着し上下も五郎丸にて和田丸
拝見も押合願の江戸小紋ふみしたきぬる御能上下杉丸
仰見て殿の御能を同音に思はすほむれ国の地方も善丸
見付にて安宅の御能拝見に通れとこそは役人もいへ静丸
祝
也
松かえの雀の玉子の千とせをは十つゝとをも君は重ねむ恵美丸
中将棋さする聖の代にいてゝ遊ふ船さへ形鱗風堅絹丸
山人も君か齢にはつかしみすかた隠して千世や経ぬらん繁丸
鴨に乗り亀にまたかる山人も君か頭のうへはこされし蘭丸
一道しある御代は尽せぬ万年酢聖もなめて巻さめやは仝
君か代の太平楽のく召奏に吹く簫の音や鳳凰の声軸丸
もつこしの山のあなたに善むはこゝに飯たく煙なりけり和田丸
一趣高の馬鹿や始皇の河房宮かゝる賢き皇国になし国九
越大野
米の飯うましみ国の御をしへは暑もてくゝめ給ふやう也
わら国には子等も知恵の輪ちゑの様平ひぬる御代の資き軸丸
丁
太刀の鞘白木の弓も袋着せ御代の野地に安くこそぬれ
雛鶴も松を吹として君か代の千とせをよはふ声や習はん八十丸
まつりこと正しき御代は神山に車を横のあらそひもなし静丸
口に酢を溜て万歳唱ふとも猶あまりある若か御代かな寉丸
万代の亀たに君か齢には恥て首をや出しかぬらん文丸
千代経へき君か齢にくらへてはなかくや縫はん鶴の毛衣善丸
千代経ても破れぬ鶴の色衣にそのはつゝる敷嶋の図松丸
君臣の礼を乱さぬ御代なれや船と水にてかもす酒にも杉丸
月と日けめくる奉のしかけにて狂はぬ御代や万年時計定丸
君か代の太平櫃の安かるは箱屋の山の徳にや有らん目丸
いにしへの軍絵双紙反右にて太平植を御代は張るへし亀丸
四部板の戸に安くなる御代なれや国の守のすき間なけれは貴之丸
年ことに人の数増すゝ宗旨帳をさまる御代の証拠也けり雪丸
若か代にて持てくふて寝て起て扨其次にあそふゆたけさ絹丸
きみか世に入らぬものとやたてさらん仙薬を煉るこまより娘も禁丸
あめかした暑よりなき代は太平のにしを朝夕あふく国民竹丸
君か代は万年紙に万の字をいくら書とも反紅にならさる鹿丸
撰集を再板しても君か代の子よろつとある文字はかはらし富児
から人のうらやむいきは桜よりわかり国にさく黄金はな枝丸
行く人も道を譲れり君か代は礼義もありの熊野参に
君か代にあしかるわさをなす人は絶てなにはの浦安の国雀丸
国民のひたり扇の要石うこかぬ御代はなえふりもせし三千丸
寺
はる風の静な御代は春柳の乱れもやらす枝も鳴さす玉丸
かす取に千代をこめたる羽子のこをつくともなし君かれは蝦丸
南部
一古手荷のくさり帷子鎧しま太平櫃にをさまりし御代佐保丸
さんすいに酉おとろかぬ御代なれや叩てさわくは太鼓樽のみ杉丸
生しとら九年の春思ひ起してめてたき
ことともを数々題にして歌をつとへけるに今年
辰のはる百の数にみてりけれは
ことの題継木ならねと早も木になり草物と同し三年め繭丸
慶ひを集て御代をたのしふも哥の筵を敷し方の国
嘉永元年申七月刻成
洛西御室考察堂所蔵
佩香園中蔵板
製本所浪花秋田屋太右衛門
皇都伊勢屋正三郎
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〆
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スポ
〆一
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二月一日
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