工夫癡會話
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- 玉虹樓一泉
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- 場所: 東都
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- CC0
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- 玉虹樓一泉
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- 日本語
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- 丁子屋藤助等
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- 10010000031048
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- クフウチカイワ
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- 東北大学
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- 10010000031048
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狩
一一二一一一一一一一一二
工夫庭会話ト
秘事
未解
全本
二冊
工夫凝会話
玉蛟楼一泉戯作
渓斎真泉画
青林堂梓
秘事
工夫痴会話序
未解
偶言といふも智恵の名工夫といふも智恵の事そも仏説の
摩訶瑕若。唐に翻して大智恵なり。大智は愚なるが如く
にて。偽痴をまねるさへ其愚は及べからずと。智者の譬の
孔明楠。これらの智恵も智恵とせず。生馬の眼をぬく
昼鳶あれば。人立多き抜裏にて。附馬をまく熊鷹
あり。それは昔の智恵にして。今甘くちな智恵ではゆかず
鳥の羽の文字を読は。芝居の名題をよむよりは手がかく。
秘事
未解
全本
工夫疫会話
二冊
玉蛟楼一泉戯作
渓斎英泉画
青林堂梓
抽事
未解
工夫痴会話序
偶言といふも智恵の名。工夫といふも智恵の事。そも佛説の
摩訶瑕若。唐に翻して大智恵なり。大智は愚なるが如く
にて。偽痴をまねるさへ。其愚は及べからずと。智者の譬の
孔明楠。これらの智恵も智恵とせず。生馬の眼をぬく
昼鳶あれば。人立多き抜裏にて。附馬をまく熊摩
あり。それは昔の智恵にして。今甘くちな智恵ではゆかず
鳥の羽の文字を読は。芝居の名題をよむよりは手かるく。
七幡の玉に糸を通さば。緒締ともなすべし。智煮まどはず
暗の夜も戸惑せぬ。智者の妻の葉かきどりに。おつな所に
工夫を凝し。智恵もない子に智恵付て。智恵の輪のぬき
書しつ。平たく並べし智恵の板。十ひと計りの伝受の小冊
号て秘事話走解といふ。頃日玉虹楼の主人一泉子。推道へ
来て予に見せしむ。藜終て大に感じ。かゝる口訣をとく知る
ならば。智恵の海も深しとせず。おそれ韓信弘法大師。司馬
温公も及ばぬ才智。三人よれば紋日の智恵。ちわるを以て貴と
する。傾城の手筒の智恵。枕をくだく思案もなく。目より
入て鼻へぬけるも珍しからず耳より入て耳へぬけ。たちまち
三又ほどな智恵を増して。ちよつくり序文を考へてと。筆
を採て案ずれば。智恵を貸そふか智恵かそか。推察て
おだてられ。彼九太夫がまけおしみ。イヽヤ智恵は假ない〳〵
花笠文京戯識
十三
二十人山士
我十郎
不用
魚に乗じて
智恵を
かそふといふ
古きたわむれ
盛
身を守る
かくれ所は
爰こそと
智恵をふる井に
蛙なくなり
東作
英泉画
巻中目録
一枯木に花を咲せる傳
一挑燈なしにくら闇をあかるく見る傳
一炭槙いらずに酒をわかす傳
海川へおちても着物をぬらさぬ伝
一京大坂をちよいと見て来る傳
銭を取て毎日芝居を見る傳
一招かずして人をよぶ伝
一両中傘なしにてあるく伝
一無筆にて手紙を書伝
高名に成て人にしらるゝ傳
通計十條
目次終
秘事
末解
工夫痴會話
狩野博士集書
東都玉虹楼一泉著述
㊀枯木に花を咲せる伝
枯木に花をさかせるは。観音さつたの御利益がむかし
咄の虚ぢゝいより外はなし。至てむづかしき伝覚なり。
冬のうちは客をよぶにも。花がなければ庭が淋し
ければ。山茶花か水仙を植ても。陰気な花にて面白
からず。まづ梅柳桜いづれ木にても。枯たる時はなをさる
せんと思はゞ。ひめ糊を枝ごとにぬり付おき。赤き紙としら
帋を三角にきりて。かざかみよりまくべし。右の紙枝の
のりにつきて。さながら花の咲たるごとく見ゆるなり。
雨のふる日は花がたもちがたし。晴天の時なすべし。
是則ち芝居にて用る。ちる花のしかたなり
二挑燈なしにくらやみをあかるく見る伝
くらやみにて眼の見へるものは。犬猫尻または水鳥の類
なり。あかるき所に王法あり。くらき所に神霊有といふ
譬はあれども。昔よりくらやみをあかるく見たるためしを
きかず。すべて朽たる木に湿気あれば。暗にて光りを
放つことあり。かわく時はひかりもきへるものなり。されば
提灯といふ物出来て。くらやみの重宝となれり。しながら
ちよつとした二三夜泊の旅かけにも提灯が荷になる物
なり。友達の所へゆきても。はやく帰るつもりなれど。例の
長ばなしにて日をくらし。提灯をかりてもかへすがせはなり。
此伝を見てたくわへおくべし。何のざうさもなき事なり
その仕方は。いきたる鼠を捕へ雄ならは左り雌ならば右の
方の中にて。一ばんながき髭を一すじぬいて放しやるべし。
散しては用にたゝず。ひげをぬいたる鼠をころさぬが伝
なり。鼠一疋にて髭一すじつためなき。ひげ千本溜り
たらば。それを二つにわけて両方の頬にあてゝくらやみ
をあるくべし。いかなる如法暗夜にても。二三尺さきは
あきらかに見ゆる事妙なり
予も此伝を試んと。年来鼠をとらへて。一筋づゝ
髭をぬいてたくわへおけども。未ようやく四五百すじ
にはすぎず。はやく千すじにして。くらやみを見んと
たのしみゐるなり。八九十年の内には溜ることもあるべし
一三炭持いらずに湯をわかす傅
炭を売翁は肌うすくても。年のさむきをよろこび。
釜元をあづかるおさんは。損海にかまわず。よくもへる枝を
悦ぶとりや。一本の槙をかなじむ始も。炭をやく三太郎も。
愚者の一得はあるものなり。まきすみを用ひずして湯を
敏達香の
御時高麗より
鳥の羽に表を
かきて奉り
ければ読へ
さらに
なかりしに
に辰示といふ者
其羽をむして
絹にうつして是を
見るといふ頓智
世の中に
君なかり
せは
からす羽に
かける
言のは
猶きえ
なまし
わかすには。夏の炎天照つづ〳〵じぶん。赤がね瓦あがゞね
どひの掛りし家根へ水をくみあげて。十分にまくべし。
日にてらされ火のやうにやけたる所を。流れておちるゆへ
水はたちまち沸かへり。手もつけられぬほどのつくなる
なり。それを下にて大だらいか四斗樽にうけて遣ふべし。
誠に手がるき事なり。
海川へおちても着物をぬらさぬ伝
紅毛にては。ポイヤンといふ糸にて織たる布は。水中に入り
てもぬれぬといふ事なり。日本にてポチヤンといへば。水の
中へ石ころを投こむのかと思ふも尤なり。およそ海川へ
おちて。きものせぬらさぬやうにするには。生蝋を沢
山に買土鍋やうな器に入れ。遠火にて煮かへし。別毛
にて小袖へも帯へも羽をりにも。おしげなく裏表へ
ひくべし。生麗なればたちまちかわきて。嶋も小役も
くつきりと艶がでるなり。第一にわか雨にあいても
金とも合羽もいらず。平気にてあるかれるなり。もし
誤つてどぶ堀などへはまりても。一振ひふるへば泥土
きれいにおちる事妙也。まして海川へおちても。一向
さわぜずに。はやくあがるべし。右のごとくしたる衣類
は。何ともならず。すこしもぬれことふしぎなり。しかし
ながらちつとばかりは。おこぎをわきまへて。水心を
しらざれば。命のところはうけ合がたし
㊄東大阪をちよいと見て来る伝
春三月じぶん。伊勢の大みにあたりて。まづ路銀はかけ
銭にて苦労なし。ついでに大和めぐり。嶋原しん町
の女郎も買て見ねば。帰て後の吐にならず。又と
いつては出られまひ。讃岐の金毘羅へもさん諸
したし。それからそれへできたいにも。旅は第道速
がよくなければ。中途にて仲間われができて。面白
からず。王城の地を踏ねば。今度の世に大名には
生れられない来年は〳〵と。見合すうちことしは
惣領の祝ひで物入があつた。今年は発の年番て地
面持の分は。何ぞ一番附まつりを出さねばならぬと。
上方登りも延引して。金があつても隙がなく。まつざつ
と小百日のひまづいへだと。つい竹はくるものなり夫
をちよつと見てくる伝あり。親類縁者はもとより。近
所となりへも。よい連がござりますから。一寸大和周り
をいたゝますと。いとまごひをして大師河原へでし
行べし。たとへ送りてがあつてもかまわず。大木戸
あたりでわかれ。ゆる〳〵大師へでも参詣して。夜に
入て宿へかへり。直に蔵の二階へとぢこもり。貸出屋から
東海道名所図譲をかりて。末の方から読はじめ。
段々情出して一覧し。都右所図絵大和名所図絵
津の国名所づめ木をとくと熟読して。しまいに木曽
街道名前国絵をよんで。昨夜かへりましたと云べし。
十日か十五日で。よもやかへらうとは思わぬゆへ迎に出る
者もなければ。みな怕りするなり。其時東大坂の名所
古跡の咄をすべし。名所閣絵の中のことをくわしく
いへば見て来たよりも大丈夫なり
ひそかに曰土産ものにはちとさしつかへる事もあれ
ば。跡より大まわしにてくるはづなれば。つき次
第にあげませうといひなきて。扨三四十日過て。
みやけの荷物が遠州灘にてなんせんいたし
まし。たヤレ〳〵惜しい事だといへば。やらず共すむ
なり。是等は尋なり秘すべし〳〵
六銭を取て毎日芝居を見る伝
大江戸のうちに。毎日千両づゝおちる所三ヶ所あり。新坊
小田原町の肴市場。新吉原のひとくらわ。次は三芝の
なり。そのうちいづれの芝ゐにても。手萸よきしば
ゐへ。金主をせんと立込とき。大立ものといふたんとひゐ
きのある役者を四五人かゝへ。立おやき娘形はいふに
およばす。相中の役者も。ばり〳〵するものばかりより
取りて。道外師敵役おやじがた花草方何狂言をして
も。役者にさしつかへぬやうな座組にて。当時にて
むかし人の智を
はからんとて同じ
さまにけづれる白き
木の上下にしるし
付よとておくれる
ものありその木を
ながれ河にうかめて
もとすへをしれりと
いふれま
言ば。鶴屋商北のやうな上手な作者に狂言をかゝせ
て。芝ゐをはじめる時は。大当りするはしれた事なり。
さればとて手代まかせにしておれば。金主だとおもく
してはならず。めりのたつ事もあれば。金主が自
身に其場に出て。金をたりあぐべし。一ヶ年休日を
のけて。正味興行日二百日と見て。一日百両づゝにて
二万両なり。毎日銭を取て芝居を見るとは。此うへも
なきなぐさみはあるべからず。
七招がずして人をよぶ伝
いづな魔法は天下一統の御法度正法にふしぎなし
とて。種のないことは放下師もなすことあたわず。
あるへ前髪のある比から傾我も賢あき。世の中の道
楽といふほどの事は。しらぬといふことなく。色と酒とに
身をゆだね。書画文人のつきあい。狂哥誹諧音助
香活花。菊の湯。盛芸の道も皆それ〳〵の通りもの
高名な人達のおさな名までもよく知つて雅名を
よばず地名を称して。大人とも先生ともよはれるには
長生でなければ名はなさぬと。中年から酒をやめて
から下戸となり。舟橋屋は通でとり。客まへに三ツ割の
樽をおし入の隅にたくわへ。二男に家督をゆつりて。一ヶ
月何ほど分まへとりの若隠居としやれ。向ふじまは
水がこわし。木場亀戸は蚊が多し。根岸は廓ちかくて
うるさいと。別荘の土地を見立て。目黒庇の新寺近
所に。庭の広ひ水のいひ。下やしきを買もしこりて。住人
あり余りかた遠所にて。訪人もなく淋しくくらし
ければ。今までつきあいし人をよびたく思へども。来ら
ざれば。右の伝をゆるすこと左のごとし。
伝に云我より目北の人はさらなり。目上の人にも
一金銀はもとより。莨入銀きせる紙入又入入入入入入
おび小袖の類。時々の品何にても手あたり次
弟に。是は持ふるして失礼だが延喜のいゝ物だから
一貴公にやらうと。おしげなく切放れよく。人にやる
べし。いかなる男舎片遠所へ。居ても。毎日人か尋
て来ること受合なり。招がずして人を余とは
此伝なり。
八両中傘なしにてあるゝ伝
此伝をおぼへてゐれば。甚重宝なり。何のいけざう
さもない事なり。雨障子一枚にて。たゝみ八畳位の
大きさにこしらへ。四陽に執を打て長き竹にゆひつけ。
柱のやうにして人足四人に持せて。そのまん申をあるく
なり。いかなる大雨にてもぬれるといふことろし。傘を
さすせわもなく。大手を振てどこまでも行れになり。
但し新道やせまき小路は。すこしこまる事あり。
まわり道をしても大道をあるくべし
但し兵大尉にはにうりざかやかあわゆきの障子をかりるも可也
㊈無筆にて手紙をかく伝
子は親のしつけにあれば。手習に情を出せといわれ
ても。人形の首ばかりかいてゐて。兄弟子にしかられ
七幡に
まがれる
玉の緒を
ぬきや
蟻通らをば
しらずや
あけけ
草紙に水を打てならひきりましたと。師匠の目を
かすめたる揆があたつて。あきめくらとなり。人に代筆も
たのまれず。内用にこまることあらば。此伝を用ゆべし。たとへ
ば此ものまへは。せめて五面もなければ。立きなないと
いふ時。無心の手紙も人だいみでは。できることも出来兼る
物なれば。楊枝さしの絵をかきて。その下へおのれがおじ
ぎをしてゐるかたちをかき。小判五両かくべし。金に向
てあやまつてゐる姿なれば。大かた五両かして。くれろと
いふことであらうと。どんなぼんくらでもおもふなり。しかし
此揚枝さしにはようじをさゝぬが。はゝア内用事と云こと
にちがいはあるまい。こいつはいゝおもひつきだ。はやく貸
てやれと。ぢきにかす事受合なり。物はためしなれば
かすかかさぬか。ためして見るべし
但し此伝は山中にて用ゆる。めくら暦の伝也
みだりにかたるべからず
一拾高名に成て人にしらるゝ伝
虎は死て皮をどゝめ。人は死て名をとゞむ。さればとて
死でからねで名がたかく成たとて。草ばの蔭のかた
だよりにて。そのかひなかるべし。狂哥発句をして一年に
一度ぐらひ。春興歳旦の摺物を何百枚くばつても。其道
のすき人より外はしりても少し。よい事をして名を掛る
は。くるしんで学び。つとめておのれが家業を出精する
より外に手段はなしと思へ発達する方もなく学ぶ
こんもなく。なまものじりにて。日本国へ名を弘めるには
絵草紙の戯作をするにしくものはなしと。まづ是をやつし
かれをとりて。漸々敵討を一ばんつゞり。画工なにかしに便て
入銀をして。さる地本問屋へはめてもらひ。売出しを楽み
子供が正月を待やうにまだるく。しかしどういふまわり
あわせか仕合に。これは新まへ作者にしては。なか〳〵面
白いと。思ひの外に本がへもきいて。作料はたゞ。匁早く
かいてもらわうと。二三軒の問屋から註文され。ぐつと名へ
人きどりになりて。近松出雲は昔の作者。自笑其碩も
何の事だ。此じやうるりをかき直そうと。一二ばんはこぢ
付ても。毎年〳〵の事なれば。たのむ問屋も勘定づく。
校合見せねど小言もいわず。すなをで物がいひよいと。
手広く成ても肝甚の。作の仕込が腫ぎれにて。三年
まではたもちがたし。かゝる虚名をなさんより。もつと
手がるき秘伝あり。口麸は後編ゆづる
工夫凝会話前編終
同作
七
秘事
未解
後編
工夫癰會話後
同画穴
亥
同画
人の心をとらかす傳
高名になる傳口訣追加
虚空を飛行する伝まづき物を旨く喰伝
一時に十里廿里ゆかれる伝いくらも色の出来る傳
下戸にて大酒をのむ伝山の芋をうなぎにする伝
忽大金をまうける傳運づよく成事請合の傳
物の本売
の
一十六〇
一此本何方様へ参り候共御読被存候ハヽ
もち主へ御帰シ可被下
いやし
本郷弐軒
狩
30297
狩
工夫庭會話
□□□□□□
御かほの
妙薬
美艶仙女香
此御くすりは享保十一年二十一番の船主伊孚九といへる清朝人長崎
鴨居の時丸山中の近江屋の遊女菊野に授たる顔の巣の奇方なり侍て
いふ清朝からにて宮中の婦人常に此薬を用て執をかたるとぞ否の傳方
故あつて。予が家に伝へたるを此度世に弘るもの也。今世上に顔のくすりと称する
ものあまたありて。色はいづれも初霜のおきまどはせる菊なれども家方の妙薬は
別種の奇剤なれば世上の顔の薬と一列に下看給ふ事なかれ
一包四十八銅一
功能
御用ひやう水にてときつくべし
常に用ていろを白くしきめをこまかにすはたけそばかすよしできものゝあと思はやく治す
いもかほに用くげんといもを治すにさびかほのできものに妙也はだをうるほすくすり
ゆゑ常に用れば年たけても顔にしはのよる事なし惣身一切のできものによしひゞたむしうるしかふれ
あせも。妙也我のすれに付てよしかみそりけぬきかぶれによし蚊のみ喰跡に付てよし枯すれ枕すれによし
口上
口上
江京ばし南てんま町三丁目
戸いなり新道いなりの末こなり
調合売弘所
坂本氏
右の御くすり十包以上御もとの参候はゝ当時三里居立者去役女形正めい自筆の御扇子
けいぶつとして差上候四間十把以上御もとめ候様候節は御このみの役者名前御しも堅し被下候其品焼失
よこ山丁二丁め
はくろ丁二丁め西かど
おやちばし金丁めややる
中田氏彦山本平吾はつる屋金助は西村与八ツ岩台郡三郎
いけのはた仲丁駒かる
丸屋文右衛門い和泉屋市兵衛一大黒屋平吉三崎屋文次郎は伊勢原利兼
同岩屋喜三郎
せともの丁
次
取
大和茂兵衛は村山源兵衛一柏尾平兵衛
一月十一年の事な
松本新次郎ハ榊原武三郎ハ松本新六ハ八辻弥八郎
神田仲
福田屋惣兵衛
芝口二丁め西かり
一高津
本丁三丁め
すきやはし御門外
い三河屋善左衛は浮ばし伊三郎はたにや大助は亀の尾五兵衛
の御門外し通
あたらしはし西かわ
両こくやけんほり
こふき新兵衛門源八ツ
ことふき新兵衛は
小日向水道丁
芝大木戸西かわ
さいはひはし御門外
藤左衛門笠屋伊右衛門中村屋宇八歳丹波屋千蔵
十八ヶ丁流新さなし御長門打かわし丁上二郎出火く川町大坂町大根田中坂小小小小小小小小小小小小小小小小小五郎
武蔵武兵衛
遠州合文七軒や本行国方此方は同武屋甚三郎小屋甚五郎弥兵衛
神田なべ丁東かわ
宮城久兵衛佐賀村五郎伊勢左衛門慈和泉茂左衛門慈和泉屋重半蔵
一定寄切久兵衛
浅くさ馬道
介
桑村半代様御代地の尾口之事
新右衛門細物なるど思事は
江戸はし四日市
包すゞき
浅くさ第六矢うらつ前浅草三けん丁
にこく折はし
十大のし富八
すきやかし
春玉
屋
両国やけんほり
同すゝめやかきや平兵衛
すしべ
秘事
工夫痴会話後編
未解
巻中目録
高名になる傳口訣
虚空を飛行する伝
一日喰ずしてひだるくならぬ伝
いくらも色の出来る伝
一一壱里余の水の上をあるく伝
人の心をとらかす伝
まづき物を旨く喰伝
いやな人を早く帰す伝
一時に十里も廿里も行れる傳
海の中に落たる物を知る伝
藝を手づらまへにする傳
弱くても角力に勝伝
忽ち大金を儲ける伝
通計十三ヶ条目次終
湖津
妙博
末餅
工夫痴会話後編
東都玉社楼主人戯編
狩野博士集書
玉虹楼主入戯編
㊀高名になる伝口訣
一伝に云およそ世の中に名の高きもの。役者に
まさる者なし。それも中役者になりては一年や
二年にては人にしられず。立者になれば一乗り
勤ても名を発するなり。まづちよつと表出れば
定役を染たる手拭は。商人の見世にひるがえり。
我顔は豊国や国貞が。筆先にて貞を写して
かけならべ。新板の絵草紙に。似がほのあらざる
卒もなく。ひゐきといへば。くしかんざしの蒔絵
にも片便の比翼紋。御錠口にも評判つよく。
見ぬ恋にめこがれて。欠こんだいたづら娘も年
の内には度々なり。女はもとより噂をされる毎に
くさめをしやうものならば。年中風は引どうし
かと。思ふも尤なり。されば直につつかけ。立者の
役者になるがよし。壱年も桧舞台をつとむ
れば。日本国中津々浦々残る所もなく。名の弘
まる事受合なり
㊁虚空を飛行する伝
角あるものは牙なく。きばあるものは角なし。是天地
自然の道理なり。人は活物の長にて。角なしといへども。
堅きをつんざき。牙なしといへども。利害をかみわけず
といふことなし。深き水を渡り高き山に登る事は。易に
なれてさのみ奇妙とも思はず。風に乗て飛行せしは。
もろこしの列子といふ人より外は聞もおよばず。むかし
幾仙人は。雲にまたがりて虚空をあるきしが。女の脛
の白きを見て忽ち通をうしなひ。恥を千歳に残して。
はては日底にまで出しといふ。重欲の念をさらねば。
仙術すら叶ひがたし。此伝を学ばんと思はゞ。まづ十
年が間慎で腹の立事ありとも恐べからず。ことさら
女の側へも寄ずして。喜怒哀楽愛悪欲の。七情を
動かす事なく。風を呑霞を喰ふなり。やはり酒をのみ
飯を喰うの理方なり。さて段々からだがなれたる時
五月幟の一番といふ大きい。吹ながしの鯉を丈夫に
拵へ。油をひき。親類縁者にいとまごひをして。高き所
より右の鯉に乗て飛べし。風に順がひどこへゆかうも
しれぬなり。何のぞうさもない事ながら。十年のしん
ぼうが出来かぬる也
㊂一日くわずしてひだるくならぬ伝
ぐつとむかしは一日に二度づゝの食事なりしが。職人
などはからだを遣ふものゆへ。三度喰しとぞ。されば朝
食夕食の名はあれど。置げといふことはなし。いつの比
よりか士農工匠をしなへて。三度の食事と定まりて。日
短の時分も。二度にては事たらぬやうに成たり。それを
一日くわずしてゐる伝あり。上戸ならばあしたは喰まいと
おもふまへ日に。朝から酒盛をはじめてゐるなり。来る
人も〳〵相手かわれど主かわらず。思わず我漁量を
すぐして飲なり。さすれば次の日はさけがもちこして。
少も飯がくゑ内事妙なり。百位くわずしてひだるく
なき事受合。又いわく下戸ならば。雑煮でも拵へて
恐入してやるも可なり。酒食同じ道理なり。
一四いくらも色の出来る伝
男女のおもて美醜によらず。只気立によるといへども。
まづきりやうの能方が。拾人は拾人ながら望みなり。
美人にも阿房あれども。めつかち鼻くたのかしてき
よりは遥に勝れり。色の白きは七難かくすといへば。色へ
がしろくて美人ならば。鬼に鉄棒なるべし。さればとて
色の黒き生れは。梳れじを三年歴くといふ譬もあれ
ば。詮方なかるべし。それを手がるく直に伝あり。ためし
見給ふべし
傳に云京橋南傳馬町三丁目いなり新道
一坂本氏にて売弘める御顔の薬美艶仙女香を
いふ薬を付べし。いかなる色の黒きものも。しろく
なる事。受合なり。其外種々のきゝめは。能公にゆづり
て爰にしるさず。顔かたちうるわしくなれば。いくら
も色のできる事相違なし。
一五一里余の水の上をあるく伝
達摩天師は。芦の禁を染めて海を渡り。奇妙ふしぎ
を専にする仙術でも。水はこせぬと見えて。剣に乗て
波をわたりし仙人もあり。それをたゞすあしにてもある
く伝あり。信州諏訪の湖は。厳寒の時濤の立たるまゝ
一面に氷るゆへ。其上をあるけば。水の上を渡るも同じ
ことなり。まして牛馬をさへ引けば。足駄にて力足を踏
ても大丈夫なり。
四人の心をとらかす伝
風をうつし俗を更るは。楽より宜はなしと。後世中から
下の楽は三味線なり。てんつゝをひけば気が野広くなり。
忍三重をひけば。闇のやうに思われるも鳴物の妙なり。此
人の心をとらかして見んと思はゞ。酒を強ておも入のませ
美くしい芸者を四五人呼て。側でちやほやさせみ。染
せんをひかせてさわがせれば。いかなる石部金吉と云うたい
人ども。忽ち心がとろける事妙なり。しかしながら若き
者は。あまりとろけすぎれば。箸にもぼうにも
かゝらぬやうになる事あり。能時分にほどを見て。
又明ばんを入てよし
㊆まづき物を首く喰伝
奢る平家久しからずと。物毎におごるは衰微の基ひ
なり。さればとて吝嗇にはすべからず。倹約は為べし
飽まで喰ゆへに。是はまづし彼はくへぬと。安くすること
あり。火事場では用水桶の水を飲陣中にては何某の
大名も。死人の枕飯を食し給ふといえり。魚るいは更也
古味淋に松魚筋を多く入れて。豆腐ならば山屋油物
は竹門。生姜の味噌漬や種抜の日光蕃椒。香の物も三
色四色。膳の上は蓋物器を並て。錐を立べきすきまもなく。
ふ所になれて口香は。菜のやうには思われず。今日はしけと
見へて買付の肴屋も来ず菜の粟麦がなひ。和田か
きく屋ですじにしようと。うなぎも毎日は鼻に付て
い心なり。かゝる美食も咽三寸を通る内なれば。腹をら
して麦飯を食ふは。三汁五菜の料理よりも旨し。
ひだるき時の栄漬にはあぢなき物も。甘露の風味より
旨へ喰へる事受合なり。
〽ゆいやな人を早くかへす伝
早春の内は客来にひまなく。くる人も〳〵たば粉
四五ふくづゝでも。八九人来ればつい一日の隙をつぶす也。
中にも風流家は話説がながく。それからそれへ口つがい
よく。半日かけての夜ばなしにも。きせるを仕舞かと
思へば。又出してかくすること五六度。たばこ入をしまう
ても。帰るまでは又一時もかゝる物なり。心あふたる友人
には。雑俗混じた永物語も退屈せず。かゝる所へいやな
客来りて人の噂ばなし。よいかげんにあいさつすれば
世の中のふけい気といふ事から。朱の相場をきく人を
はやく帰すに口伝ありおのれがふさいふはたらきにて。
銭を儲ける事をしらずして。世の中のせいにするは大な
たわけなり。そふいふおもしろくなき人を返すには。其人
の方に向てあくびを三十計りもすべし。いかなる気の
きかぬものにても。大かたはかへるものなり
一又法あり因に云。来ると長座する客ありて
一直にしゆろ帚をたてろと。下女にいひつけると
てうど供の待てゐる側に。しゆろ帚がかけて
あれば。ぜひなく台所のみごばうきをたくると
一倍〽モシ女中衆身共が家来をかへして下さい」是
一木のまぢないはとるに足らず
㊈一時に十里も廿里も行れる伝
一時三里犬ばしり。一里八十文は町飛脚の賃銭にて。
ぜにをおあしといふ故に。銭入に早道の名のあるも。
あらそわれぬものなり。韋駄天の皮ばをり着て。
蛮盧の股引をはき。片足は駒谷三郎兵衛。かたあしは
寺岡平右衛門両人に腰を押させて。虎に乗て馳て
あるくべし。一時に十里二十里はまだな事。どこまで行ふ
もしれず。よくふんどしをしめて懸るべし
又云粉骨砕身といふは。身を粉なにしてかせぐ
事なり。さすればからざを細末にして。風のふく
時まきちらすも可なり。唐天竺へも行れる也
㊉海の中に落たる物を知る伝
世の中の宝は。海と山と等分にして。山よりは材木木の
実を生じて人を富し。海よりは鱗くず海草を産
して。万物をうるをす事かぎりなし。雲をしのぐ高
山も。人の眼の及ばざる所なければ。登る時あり。海斗は。
千尋の底に。何があるやら見る事はならねど。夫をたや
すく見る伝あり。誠に手がるき伝なり。金魚を入る
硝子の徳利を大きく誂へて。其中へはいり口をかたく
ふさぎ。縄を付て舟より海へおろしてもらふなり。海の
底には世界から誤ておとせし。金銭はいふに及ばず
昔軍の時に沈みたる。太刀鎧鏡などは汐水でさびて。
益にはたゝねどざく〳〵するほどあるべし。其外珊瑚砕
礫の類は更なり。間がよければ龍宮の乙姫様も。見て
こられるなり。
又云井戸の中へかんざしなどおとせし時も。右
のごとくすれば。知れる事神の如し
一土鷲を手づらまへにする傳
わしは四十八鷹の内でも。人間を捜ほどな天鳥なれば
うかつにはととへがたし。それを手づらまへにする伝有一
猿の面をかぶり猿の毛掌を着て。高山に登て寝て
ゐるべし。鷲は猿が好物ゆへ。一捻にせんと羽をのしておりる
なり。其ときぐつとはねおきて。鷲の胸のあたりをにぎり
こぶしにて。したゝかくらわすべし。さすがのわしも急所を
うたれて。直によわる所を縄にてしばるなり。若さう
うまくゆかぬ時には命がけなり。是は猿智恵の所有也
十二弱くても角力に勝伝
角力といふものは。いろ〳〵伝ありていくら力が有ても
無手では勝ぬものなり。とかく腰のすわりが肝要なれ
ば。まして非力の人にはできぬ業なり。それもちからが
なくてまけぬ伝あり。我より力強き人と角力を
とらんと思はゞ。その相手に酒を思入しいて。千ぶんに
酔せ大道めぐり二三十遍させて。扨その上にて角力
をとらべし。いかなる強力な人でも。足のひよろ〳〵する
事妙なり。所を付入てまかすべし。
十一応大金を借ら伝
利口な人に貧乏多く。阿房に金持あり。禍福は
あざなへる縄のごとしといへども。つとめて採ざれば。金持
にはなられがたし。即座に金をまうけるには。素手では
ゆかず。とかく女の事なり。伝に云くとこぞ田舎の狐の
多くゐる所へいたり。通力のある野狐を二三十疋捕へ
て来り。いづれも美しく化させて。女郎屋を出すべし。
小便や馬糞はくはせずとも。大がいな物を旨くくわせる
のが通力なり。狐壱疋につき五六人の。まわし客を
とらせるなり。もとより本の女郎に詫されたも。狐に
化されたやうなものなれば。どこよら尻のくる声遣ひは
なし。思のまゝに金の儲かる事大丈夫なり。金が夫へ
出来たらば。能じぶんに其株を人に売れば。又是も
金になるなり。
加豆
筆工道友
被工夫痴会話後編取筆工道友
末編
工夫痴会話後叙
天の晃々たる照して蔵上事なく。地の広大なる歳て
漏す事なし。隠話に能事少なく。耳りこすりは。
他国をはゞかる内證のやりくり。世間かまわぬ大音一
も。俄に響く馬士の雑談。聾の声の高きにひとく。
かいやりすてたる。恋会の話の一編は。一夜燈火を一
費したる例の戯墨なり。書肆青林堂ひそかに
計りて梓にのぼす。予悔めども及ばず。彼の川柳
風の匂調のごとく。惣身に智恵がまわりかねたる事
とりて。其縁故を後にしるす。
正月の二つある時
玉虹楼一泉辺
秘事
未解
工夫凝会話
二編
嗣出
一泉作
英泉画
合褄雪古千屋
中本三冊出来
世話
うらみくずのは
恨葛葉
仕組
玉虹楼一泉稿本
南杣笑楚満人校合
柳川重信画図
磯
一娼妓衣すたで滑商いおこり古つけひおく
れて愚智本流行正に戯作の意を失ひ
春めり笑語の絶無と為しむ亦此一書の世に
出てふたび戯の字の作意を示台実にこれ
三国一本とやいふべし
歌海亭主介しらす
文政六年未春正月吉辰梓行
丁子屋平兵衛
つる屋金助
加賀屋利助
東都書賈
小嶋屋藤七
遠州屋治助
丁子屋藤助
157047476
15204
同組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組合
同断10185
52047
口上
一以本何方様参り候様
御読被成候ハヽ持主え御帰シ
狩
郷分にて
本門蔵等町弐丁目
八軒所