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わかせたまふましくなむ心しらぬ人めをかさりて猶よのつねのさほうにときこ
え給けにさらにきこえさせやるへき方はへらすなむ御かはらけまいるほとにか
きりなきかしこまりをはよにためしなきことゝきこえさせなからいまゝてかく
[906]
しのひこめさせ給けるうらみもいかゝそへはへらさらむときこえたまふ
  うらめしや興津玉もをかつくまて磯かくれけるあまの心よとて猶つゝみも
あへすしほたれたまふひめ君はいとはつかしき御さまとものさしつとひつゝま
しさにえきこえたまはねは殿
  よるへなみかゝるなきさにうちよせてあまもたつねぬもくつとそみしいと
わりなき御うちつけことになんときこえたまへはいとことはりになんときこえ
やる方なくていてたまひぬみこたちつき〱人〱のこるなくつとひたまへり
御けさう人もあまたましりたまへれはこのおとゝかくいりおはしてほとふるを
いかなることにかとうたかひたまへりかのとのゝきむたち中将弁のきみはかり
そほのしり給へりける人しれすおもひしことをからうもうれしうもおもひなり
たまふ弁はよくそうちいてさりけるとさゝめきてさまことなるおとゝの御この
みともなめり中宮の御たくひにしたてたまはむとやおほすらむなとをのをのい
ふよしをきゝたまへと猶しはしは御心つかひしたまうてよにそしりなきさまに
もてなさせたまへなにことも心やすきほとの人こそみたりかはしうともかくも
[907]
はへへかめれこなたをもそなたをもさま〱人のきこえなやまさむたゝならむ
よりはあちきなきをなたらかにやう〱人めをもならすなむよきことにははへ
るへきと申たまへはたゝ御もてなしになんしたかひ侍へきかうまてこらむせら
れありかたき御はくゝみにかくろへ侍けるもさきの世のちきりをろかならしと
申たまふ御をくり物なとさらにもいはすゝへてひきいて物ろくともしな〱に
つけてれいあることかきりあれと又ことくはへになくせさせたまへりおほ宮の
御なやみにことつけたまうしなこりもあれはこと〱しき御あそひなとはなし
兵部卿の宮いまはことつけやり給へきとゝこほりもなきをとをりたちきこえ給
へとうちより御けしきあることかへさひそうし又またおほせことにしたかひて
なむことさまのことはともかくも思さたむへきとそきこえさせ給けるちゝおと
ゝはほのかなりしさまをいかてさやかに又みむなまかたほなることみえたまは
ゝかうまてこと〱しうもてなしおほさしなと中〱心もとなうこひしう思き
こえたまふいまそかの御ゆめもまことにおほしあはせける女御はかりにはさた
かなることのさまをきこえ給ふけり世の人きゝにしはしこのこといたさしとせ
[908]
ちにこめたまへとくちさかなきものはよの人なりけりしねんにいひもらしつゝ
やう〱きこえいてくるをかのさかな物のきみきゝて女御のおまへに中将少将
さふらひたまふにいてきて殿は御むすめまうけたまふへかなりあなめてたやい
かなる人二かたにもてなさるらむきけはかれもをとりはらなりとあふなけにの
たまへは女御かたはらいたしとおほしてものものたまはす中将しかゝしつかる
へきゆへこそ物したまふらめさてもたかいひしことをかくゆくりなくうちいて
給ふそ物いひたゝならぬ女房なとこそみゝとゝむれとのたまへはあなかまみな
きゝてはへりないしのかみになるへかなり宮つかへにといそきいてたち侍しこ
とはさやうの御返みもやとてこそなへての女房たちたにつかふまつらぬことま
ておりたちつかうまつれおまへのつらくおはします也と恨みかくれはみなほほ
ゑみてないしのかみあかはなにかしこそのそまんとおもふをひたうにもおほし
かけけるかななとのたまふにはらたちてめてたき御中にかすならぬ人はましる
ましかりけり中将の君そつらくおはするさかしらにむかへたまひてかろめあさ
けり給ふせうせうの人はえたてるましきとのゝうちかなあなかしこ〱としり
[909]
ゑさまにゐさりしそきてみおこせたまふにくけもなけれといとはらあしけにま
しりひきあけたり中将はかくいふにつけてもけにしあやまちたることゝおもへ
はまめやかにてものしたまふ少将はかゝるかたにてもたくひなき御ありさまを
をろかにはよもおほさし御心しつめたまふてこそかたきいはほもあはゆきにな
したまふつへきおほむけしきなれはいとようおもひかなひたまふときもありな
むとほほゑみていひゐ給へり中将もあまのいはとさしこもりたまひなんやめや
すくとてたちぬれはほろ〱となきてこのきみたちさへみなすけなくしたまふ
にたゝ御前の御心のあはれにおはしませはさふらふなりとていとかやすくいそ
しく下らうわらはへなとのつかうまつりたらぬさうやくをもたちはしりやすく
まとひありきつゝ心さしをつくしてみやつかへしありきてないしのかみにをれ
を申なしたまへとせめきこゆれはあさましういかにおもひていふことならむと
おほすに物もいはれ給はすおとゝこのゝそみをきゝたまひていとはなやかにう
ちわらひたまひて女御の御かたにまいりたまへるつゐてにいつらこのあふみの
君こなたにとめせはをといとけさやかにきこえていてきたりいとつかへたる御
[910]
けわひおほやけ人にてけにいかにあひたらむないしのかみのことはなとかをの
れにとくはものせさりしといとまめやかにてのたまへはいとうれしとおもひて
さも御けしきたまはらまほしう侍しかとこの女御とのなとをのつからつたへき
こえさせ給てむとたのみふくれてなむさふらひつるをなるへき人ものしたまふ
やうにききたまふれはゆめにとみしたる心ちしはへりてなむむねにてををきた
るやうに侍と申たまふしたふりいと物さはやかなりえみ給ぬへきをねむしてい
とあやしうおほつかなき御くせなりやさもおほしのたまはましかはまつ人のさ
きにそうしてましおほきおとゝの御むすめやむことなくともこゝにせちに申さ
むことはきこしめさぬやうあらさらましいまにても申ふみをとりつくりてひゝ
しうかきいたされよなかうたなとの心はへあらむをこらんせむにはすてさせ給
はしうへはそのうちになさけすてすおはしませはなといとようすかしたまふ人
のおやけなくかたはなりや山とうたはあし〱もつゝけ侍なむむね〱しき方
のことはたとのより申させたまはゝつまこえのやうにて御とくをもかうふりは
へらむとててをゝしすりてきこえゐたりみき丁のうしろなとにてきく女房しぬ
[911]
へくおほゆ物わらひにたへぬはすへりいてゝなむなくさめける女御も御おもて
あかみてわりなうみくるしとおほしたりとのもゝのむつかしきおりはあふみの
君みるこそよろつまきるれとてたゝわらひくさにつくり給へとよ人はゝちかて
らはしたなめたまふなとさま〱いひけり