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[1952]
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こと又まねふなといはせよかゝるすちに御身をもゝてそこなひ人にかるく心つ
きなき物に思はれぬへきなめりといみしうおほいたりそのゝちひめ宮の御かた
より二の宮に御せうそこありけり御てなとのいみしうゝつくしけなるをみるに
もいとうれしくかくてこそとくみるへかりけれとおほすあまたおかしきゑとも
おほく大宮もたてまつらせ給へり大将殿うちまさりておかしきともあつめてま
いらせ給せりかはの大将のとを君の女一の宮思かけたる秋のゆふ暮に思わひて
[1973]
いてゝいきたるかたおかしうかきたるをいとよく思よせらるかしかはかりおほ
しなひく人のあらましかはと思ふ身そくちおしき
荻の葉に露ふきむすふ秋風もゆふへそわきて身にはしみけるとかきてもそ
へまほしくおほせとさやうなる露はかりのけしきにてももりたらはいとわつら
はしけなるよなれはゝかなきこともえほのめかしいつましかくよろつになにや
かやとものを思のはてはむかしの人のものし給はましかはいかにも〱ほかさ
まに心わけましやときのみかとの御むすめを給ともえたてまつらさらましまた
さ思人ありときこしめしなからはかゝることもなからましをなを心うくわか心
みたり給けるはしひめかなと思ひあまりては又みやのうへにとりかゝりてこひ
しうもつらくもわりなきことそおこかましきまてくやしきこれに思わひてさ
しつきにはあさましくてうせにし人のいと心をさなくとゝこほるところなかり
けるかろ〱しさをはおもひなからさすかにいみしとものをおもひいりけんほ
とわかけしきれいならすと心のおにゝなけきしつみてゐたりけんありさまをき
ゝ給しもおもひいてられつゝをもりかなるかたならてたゝ心やすくらうたきか
[1974]
たらひ人にてあらせむと思ひしにはいとらうたかりし人をおもひもていけは宮
をもおもひきこえし女をもうしとおもはしたゝわかありさまのよつかぬをこた
りそなとなかめいり給とき〱おほかり心のとかにさまよくおはする人たにか
ゝるすちには身もくるしき事をのつからましるを宮はましてなくさめかねつ
ゝかのかたみにあかぬかなしさをもの給いつへき人さへなきをたいの御かたは
かりこそはあはれなとの給へとふかくもみなれ給はさりけるうちつけのむつひ
なれはいとふかくしもいかてかはあらむまたおほすまゝにこひしやいみしやな
との給はんにはかたはらいたけれはかしこにありししゝうをそれいのむかへさ
せ給けるみな人ともはいきちりてめのとゝこの人ふたりなんとりわきておほし
たりしもわすれかたくてしゝうはよそ人なれとなをかたらひてありふるによつ
かぬかはのをともうれしきせもやあるとたのみしほとこそなくさめけれ心うく
いみしくものおそろしくのみおほえて京になんあやしきところにこのころきて
ゐたりけるたつね給ひてかくてさふらへとの給へは御心はさるものにて人〻
のいはむこともさるすちの事ましりぬるあたりはきゝにくきこともあらむと
[1975]
おもへはうけひきゝこえすきさいの宮にまいらむとなんおもむけたれはいとよ
かなりさて人しれすおほしつかはんとの給はせけり心ほそくよるへなきもなく
さむやとてしるたよりもとめまいりぬきたなけなくてよろしきけらうなりと
ゆるして人もそしらす大将とのもつねにまいり給をみるたひことにものゝみ
あはれなりいとやむことなきものゝひめ君のみまいりつとひたるみやと人も
いふをやう〱めとゝめてみれとみたてまつりし人にゝたるはなかりけりと
思ありくこのはるうせ給ぬるしきふきやうの宮の御むすめをまゝはゝのきた
のかたことにあひおもはてせうとのむまのかみにて人からもことなることな
き心かけたるをいとおしうなとも思たらてさるへきさまになんちきるときこし
めすたよりありていとおしうちゝ宮のいみしくかしつき給ける女君をいたつら
なるやうにもてなさんことなとの給はせけれはいと心ほそくのみおもひなけき
給ありさまにてなつかしうかくたつねの給はするをなと御せうとのしゝうもい
ひてこのころむかへとらせ給てけりひめ宮の御くにていとこよなからぬ御ほと
の人なれはやむ事なく心ことにてさふらひ給かきりあれは宮の君なとうちいひ
[1976]
てもはかりひきかけ給そいとあはれなりける兵部卿宮この君はかりやこひしき
人に思よそへつへきさましたらむちゝみこははらからそかしなとれいの御心は
人をこひ給につけても人ゆかしき御くせやまていつしかと御心かけ給てけり大
将もとかしきまてもあるわさかなきのふけふといふはかり春宮にやなとおほし
我にもけしきはませ給きかしかくはかなきよのおとろへをみるには水のそこに
身をしつめてももとかしからぬわさにこそなとおもひつゝ人よりは心よせきこ
え給へりこの院におはしますをはうちよりもひろくおもしろくすみよきものに
してつねにしもさふらはぬともゝみなうちとけすみつゝはる〱とおほかるた
いともらうわたとのにみちたり左大臣とのむかしの御けはひにもおとらすすへ
てかきりもなくいとなみつかうまつり給いかめしうなりたる御そうなれはなか
〱いにしへよりもいまめかしきことはまさりてさへなむありけるこの宮れい
の御こゝろならは月ころのほとにいかなるすきことゝもをしいて給はましこよ
なくしつまり給て人めにすこしおいなをり給かなとみゆるをこのころそ又宮の
君に本上あらはれてかゝつらひありき給けるすゝしくなりぬとて宮うちにまい
[1977]
らせ給なんとすれはあきのさかり紅葉のころをみさらんこそなとわかき人〻は
くちおしかりてみなまいりつとひたるころなり水になれ月をめてゝ御あそひた
えすつねよりもいまめかしけれはこの宮そかゝるすちはいとこよなくもてはや
し給あさゆふめなれてもなをいまみむはつ花のさまし給へるに大将の君はいと
さしもいりたちなとし給はぬほとにてはつかしう心ゆるひなきものにみな思た
りれいのふたところまいり給ておまへにおはするほとにかのしゝうはものより
のそきたてまつるにいつかたにも〱よりてめてたき御すくせみえたるさまに
てよにそおはせましかしあさましくはかなく心うかりける御心かなゝと人には
そのわたりの事かけてしりかほにもいはぬことなれは心ひとつにあかすむねい
たく思宮はうちの御物かたりなとこまやかにきこえさせ給へはいまひとゝころ
はたちいて給みつけられたてまつらししはし御はてをもすくさす心あさしとみ
えたてまつらしとおもへはかくれぬひんかしのわたとのにあきあひたるとくち
に人〻あまたゐてものかたりなとする所におはしてなにかしをそ女はうはむつ
ましとおほすへき女たにかく心やすくはよもあらしかしさすかにさるへからん
[1978]
ことをしへきこえぬへくもありやう〱みしり給へかめれはいとなんうれしき
との給へはいといらへにくゝのみおもふなかに弁のをもとゝてなれたるおとな
そもむつましく思きこゆへきゆへなき人のはちきこえ侍らぬにやものはさこそ
はなか〱侍めれかならすそのゆへたつねてうちとけ御らんせらるゝにしも侍
らねとかはかりおもなくつくりそめてけるみにおはささらんもかたはらいたく
てなむときこゆれははつへきゆへあらしと思さため給てけるこそくちおしけれ
なとの給つゝみれはからきぬはぬきすへしをしやりうちとけて手習しけるなる
へしすゝりのふたにすへて心もとなきはなのすゑたおりてもてあそひけりとみ
ゆかたへはき丁のあるにすへりかくれあるはうちそむきおしあけたるとのかた
にまきらはしつゝゐたるかしらつきともゝおかしとみわたし給てすゝりひきよ
せて
女郎花みたるゝ野辺にましるとも露のあたなをわれにかけめや心やすくは
おほさてとたゝこのさうしにうしろしたる人にみせ給へはうちみしろきなとも
せすのとやかにいとゝく
[1979]
花といへはなこそあたなれをみなへしなへての露にみたれやはするとかき
たるてたゝかたそはなれとよしつきておほかためやすけれはたれならむとみ給
いままうのほりけるみちにふたけられてとゝこほりいたるなるへしとみゆ弁の
をもとはいとけさやかなるおきなことにくゝ侍りとて
旅ねして猶心みよをみなへしさかりの色にうつりうつらすさてのちさため
きこえさせんといへは
宿かさはひとよはねなん大方の花にうつらぬこゝろなりともとあれはなに
かはつかしめさせ給おほかたののへのさかしらをこそきこえさすれといふはか
なきことをたゝすこしのたまふも人はのこりきかまほしくのみ思きこえたり心
なしみちあけはへりなんよわきてもかの御ものはちのゆへかならすありぬへき
おりにそあめるとてたちいて給へはをしなへてかくのこりなからむと思ひやり
給こそ心うけれとおもへる人もありひんかしのかうらむにおしかゝりてゆふか
けになるまゝに花のひもとくおまへのくさむらをみわたし給ものゝみあはれな
るになかについてはらわたたゆるは秋の天といふ事をいとしのひやかにすんし
[1980]
つゝゐ給へりありつるきぬのをとなひしるきけはひしてもやの御さうしよりと
ほりてあなたにいるなり宮のあゆみをはしてこれよりあなたにまいりつるはた
そとゝひ給へはかの御かたの中将の君ときこゆなりなをあやしのわさやたれに
かとかりそめにもうち思ふ人にやかてかくゆかしけなくきこゆるなさしよとい
とおしくこの宮にはみなめなれてのみおほえたてまつるへかめるもくちおしお
りたちてあなかちなる御もてなしに女はさもこそまけたてまつらめわかさもく
ちおしうこの御ゆかりにはねたく心うくのみあるかないかてこのわたりにもめ
つらしからむ人のれいの心いれてさはき給はんをかたらひとりてわか思ひしや
うにやすからすとたにも思はせたてまつらんまことに心はせあらむ人はわかか
たにそよるへきやされとかたいものかな人の心はと思ふにつけてたいの御かた
のかの御ありさまをはふさはしからぬものに思きこえていとひんなきむつひに
なりゆくかおほかたのおほえをはくるしと思なから猶さしはなちかたきものに
おほししりたるそありかたくあはれなりけるさやうなる心はせある人こゝらの
中にあらむやいりたちてふかくみねはしらぬそかしねさめかちにつれつれなる
[1981]
をすこしはすきもならははやなと思ふにいまはなをつきなしれいのにしのわた
とのをありしにならひてわさとおはしたるもあやしひめ宮よるはあなたにわた
らせ給けれは人〻月みるとてこのわた殿にうちとけてものかたりするほとなり
けりさうのこといとなつかしうひきすさむつまをとおかしうきこゆおもひかけ
ぬによりおはしてなとかくねたましかほにかきならし給との給にみなおとろか
るへけれとすこしあけたるすたれうちおろしなともせすおきあかりてにるへき
このかみやは侍へきといらふるこゑ中将のおもとゝかいひつるなりけりまろこ
そ御はゝかたのおちなれとはかなきことをの給てれいのあなたにおはしますへ
かめりななにわさをかこの御さとすみの程にせさせ給なとあちきなくとひ給い
つくにてもなにことをかはたゝかやうにてこそはすくさせ給めれといふにおか
しの御身の程やと思ふにすゝろなるなけきのうちわすれてしつるもあやしと思
よる人もこそとまきらはしにさしいてたるわこんをたゝさなからかきならし給
りちのしらへはあやしくおりにあふときくこゑなれはきゝにくゝもあらねとひ
きはて給はぬをなか〱なりと心いれたる人はきえかへり思ふわかはゝ宮もお
[1982]
とり給へき人かはきさいはらときこゆはかりのへたてこそあれみかと〱のお
ほしかしつきたるさまこと〱ならさりけるを猶この御あたりはいとことなり
けるこそあやしけれあかしのうらは心にくかりける所かななとおもひつゝくる
事ともにわかすくせはいとやむことなしかしましてならへてもちたてまつらは
と思ふそいとかたきや宮の君はこの西のたいにそ御かたしたりけるわかき人〻
のけはひあまたして月めてあへりいてあはれこれもまたおなし人そかしと思い
てきこえてみこのむかし心よせたまひしものをといひなしてそなたへおはしぬ
わらはのおかしきとのゐすかたにて二三人いてゝありきなとしけりみつけてい
るさまともかゝやかしこれそよのつねと思みなみおもてのすみのまによりてう
ちこわつくり給へはすこしをとなひたる人いてきたり人しれぬ心よせなときこ
えさせ侍れは中〱みな人きこえさせふるしつらむことをうひ〱しきさまに
てまねふやうになり侍りまめやかになむことよりほかをもとめられ侍との給へ
は君にもいひつたへすさかしたちていとおもほしかけさりし御ありさまにつけ
てもこ宮の思きこえさせ給へりしことなと思給へいてられてなむかくのみおり
[1983]
〱きこえさせ給なり御しりうことをもよろこひきこえ給めるといふなみ〱
の人めきて心ちなのさまやとものうけれはもとよりおほしすつましきすちより
もいまはましてさるへきことにつけてもおもほしたつねんなんうれしかるへき
うとうとしう人つてなとにてもてなさせ給はゝえこそとの給にけにと思さはき
て君をひきゆるかすめれはまつもむかしのとのみなかめらるゝにももとよりな
との給すちはまめやかにたのもしうこそいと人つてともなくいひなし給へるこ
ゑいとわかやかにあい行つきやさしき所そひたりたゝなへてのかゝるすみかの
人とおもはゝいとおかしかるへきをたゝいまはいかてかはかりも人にこゑきか
すへきものとならひ給けんとなまうしろめたしかたちもいとなまめかしからむ
かしとみまほしきけはひのしたるをこの人そまたれいのかの御心みたるへきつ
まなめるとおかしうもありかたのよやと思ひゐ給へりこれこそはかきりなき人
のかしつきおほしたて給へるひめ君又かはかりそおほくはあるへきあやしかり
けることはさるひしりの御あたりに山のふところよりいてきたる人〻のかたほ
なるはなかりけるこそこのはかなしやかろ〱しやなと思なす人もかやうのう
[1984]
ちみるけしきはいみしうこそおかしかりしかとなにことにつけてもたゝかのひ
とつゆかりをそ思ひいて給けるあやしうつらかりけるちきりともをつく〱と
思つゝけなかめ給ゆふくれかけろふのものはかなけにとひちかふを
ありとみて手にはとられすみれは又ゆくゑもしらすきえしかけろふあるか
なきかのとれいのひとりこち給とかや