昭和八年三月、東京帝国大学で行われた「総長による演述」に関する資料。演述の標題・年月・場所が記されている。
昭和八年四月庶務課による序文。大学記念日と卒業証書授与での小野塚総長演述二編を、新入学生の道しるべとして刊行すると述べる。
「目次」と題し、「東京帝國大學記念日に際して」1頁、「卒業証書授与に際して」13頁の二項目を示している。
「東京帝国大学記念日に際して」の式辞冒頭。過去一年の大学の出来事を振り返り、財政難下の建築工事の進捗を述べている。
大学施設の増改築や五十年史刊行、学生約二百名の授業料免除を報告し、極左活動や事件関係学生への対応と反省を述べる演説資料。
学生に向けた訓示で、教育勅語・大学令第一条に触れつつ、「独創的思索」と「寛容の精神」の重要性を説く。
大学での講演の一節。今上陛下の「模擬を戒め、創造を勧め」に触れ、独創的思索と理性的行動、寛容の精神の必要を説く。
寛容の精神の道徳的意義と立憲代議制・社会存立への必要性を論じ、ソヴヰエツト露西亜とフアツシヨ伊太利の独裁的制度を批判している。
非常時の日本で、学生に寛容と独創的思索を説く演説。国際・階級対立や満洲の戦事に触れ、学業と修養の重要性を強調している。
卒業証書授与に際しての訓示。学生に勉学と修養、憲法・国法の尊重を求め、新学士の就職問題について所見を述べている。
学士の就職難について、世界大戦後の欧州諸国における学士過剰生産と経済不況、未就職学士の不満や左右両極化の情勢を論じている。
欧米の大学卒業生の就職難を論じ、中央ヨーロッパ、ドイツ、フランスでの知識階級の失業や弁護士制限問題を述べている。
フランス・米国・英国における学士の就職難を述べ、不況による俸給低下、自由職業の収入激減、大学卒業者の困窮を説明している。
学士の就職難を世界的不況と各国事情に結び付け、危険思想との関係や、経済再建・協調主義・就職先開拓による解決策を論じる。
学士の供給過多への消極策として大学収容人員制限を論じ、機会均等維持や大学の本質を社会に理解させる必要を述べる資料。
大学の性質と本質を論じ、職業教育・専門研究・人格陶冶など大学に求められる多様な任務とその困難さを述べている。
大学改革論と卒業生への訓示の一部で、少数精鋭・個別指導の必要性や、卒業後に迎える相互依存的な現代世界の状況を述べている。
国際協調の欠如、各国の鎖国思想や左右両極運動の台頭、経済万能主義や過激思想を憂え、保守と進歩の協調による社会進化を説く文章。
反動と急進の両極化を憂い、今後十年間の国際協調、議会主義、社会政策、経済統制、露西亞の動向を予想する論説。
日本の将来に対する条件付き楽観論を述べ、民族性や外来文化の受容、国際連盟脱退後の時局における国民の職分遂行を説く。
大学で学んだ専門知識を基礎に、生涯学習と人格修養を続け、各分野の指導者となることを望む告別の辞。
「以印刷代謄寫」と記されたページで、謄写に代えて印刷を用いる旨を示す短い本文のみが書かれている。