講談:暗闇の瓦松(二)
- AI要約 (β)
- 野政十郎が古藩の家に遊びに来て、古藩を自分の妻にしたいと提案します。しかし、古藩には牛松という弟子と松太郎という子供がいることが明かされます。野政十郎は牛松を殺す計画を立て、古藩の母親もそれに同意します。運悪く、病気の松太郎が帰宅し、野政十郎は彼を殺してしまいます。古藩が帰宅し、母親と野政十郎の会話を聞いて真相を知り、怒りに駆られて二人に立ち向かいます。
- pid
- 1326070
- date
- 1933-05
- note
- 商品番号 : 65914, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 講談
- year
- 1933
- genre
- 講談
- creators
- 神田 伯龍
- duration
- 196
- persName
- 神田 伯龍
- publisher
- リーガル
ちょいちょい野政十郎、古藩の家へ遊びに来ておりました。ある日…。
どうだ、おふくろ。古藩をわしの女房にくれないか。
そうすれば、おまえをしきとって、三百国のおはたもとの楽園居にしてやろう。
ごぜん、それがほんとうなら、わたくしも楽園居になりたいから、ほんとうの話をしますけど、
古藩にはね、牛松という弟子があり、松太郎という子供まであるんですよ。
え、じゃあ今まで、せっしゃんをだましていたんだな。
いや、だから怒っちゃいけませんよ。あたしの話をみんな聞いてくださいます。怒らないでね。
それですからね、ごぜんが牛松をころしておしまいなさりゃ、古藩がなんといったって、親の意向できっと古藩に承知をさせますよ。
どこ?子供はどうする?
そりゃあ、ごぜん家の忠義立てに、わたしが手にかけころしてしまいますわね。
悪い相談をしているところへ運悪く、子守におぶわれて帰ってまいりました。このごろ病気の松太郎。
おばさん、まーちゃんが泣いてしようがないの。
え、うるせえガキだね。その板の前ひころがしといてくれ。
子守が出て行った野間佐住郎の見ている前で、松太郎をしめころしてしまいます。
ごぜん、もうこれで邪魔はありませんよ。
お話変わって古藩は、
みなさん、さびしくしてすみませんけど、松坊が病気ですからごめんなさいね。
いけませんね。お大事になさいますよ。
畑の店、さびしくするのを気兼ねをしながら松太郎のことも気になるし、店をしまって急いで帰ってまいりました古藩。
土間をみると、みなれたのは佐住郎の履物。
おや、佐住郎が来ているのに、なぜわたしをむかいにこないんだろう。
またなんかお母さんが、わるい相談でもしているのではあるまいか。
虫が知らせるか。
だいどころのこっしょうじ、そーっとのぞいてみると、
くをつかんで、いろがかわってたおれている松太郎。
はっとおもって、みみをひったってきいて、
ねえ、ごぜん、このとおりわたしがまごまでころしてしまったんですから、
おはたもとのらくいんきはまちがいありますまいね。
これでわしが、牛松をころしてしまえば、古藩は大丈夫だろう。
そりゃもう、きっとほうふにしてしんぜますよ。
これをきいた古藩、おんなのこといえ、わけもかんがえず、
かーっとなったんだろう、がらりとあけ。
お母さん、のまのごぜん、おぼいておいて。
あ、いけねえ、きかれたよ、ごぜん、つかまいなきゃだめだ。
おい、お、おーい、古藩、またがこれ、古藩。
おっとりがたなでおいかげる、すもあらわにかげだす古藩。
ごきげんよう、またがれ!