円タク難(一)

AI要約 (β)
この文章は、ある人物が自動車に乗って上野の電車場まで行こうとするが、その過程で運転手とのやり取りが続く様子を描いています。運転手は料金を85円と提示しますが、乗客は高すぎると交渉し、最終的に1円20セングラムに値下げされます。しかし、車は汚く、運転手は途中で豆やたくあんを買いに行くなど、乗客を待たせる行動を繰り返します。さらに車はパンクし、ガソリンが不足しているため、乗客に後押しを頼む始末。最終的に乗客は車を降りることを決意します。
pid
1329552
date
1928-04
note
商品番号 : J-10293, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 新落語
year
1928
genre
落語
creators
柳家 小三治
duration
183
persName
柳家 小三治
publisher
ビクター
その自動車、円卓の札がかかってないけれど、上野の電車場までいくらで行くんです? はい、いくらでもよろしくございます。 夫人の運転手君だね、だま。 値段を振ってみたまえ。 どうせいいねじゃ、乗らないでございますよ。 円卓かけちゃ困んね。いくらだか言ってみたまえよ。 85円ください。 しっかりしてくれよ、君。85円はあんまり高すぎるよ。 ですからいいねじゃ、乗らないでしょと、そう申し上げたんでございます。 申し上げたって高すぎられ。 どうだ、1円20セングラムに負からないかい。 はい、負けます。 変日で上光ってるように負け方が早いね。 汚い車だね。 あの、3日ばかり前まで豚を配達しておりましたトラックでございましたが、 宿が患ったんで私が代わりに出て、それで人も乗っけんでございます。 大変な車に乗っかっちゃったね。 で、しっかり頼むよ。よろしくございます。 はい、よろしくございますか。 動くでございますよ。 当たり目だな。動かない自動車ってのはないよ。 しっかりやってくれよ。よろしくございます。 何だね、これ。 汚いね、この車。 もっと早く動かないですか。 はい、あの、何でございます。 あの、ちょいとお待ちなしてくださいまし。 何だい。 あそこに豆屋がございまして、宿が、おたふく豆が大変好きなんでございますが、 ちょっと買ってまいりますから。 おい、君、困るよ。 途中で豆なんて買いに行かれちゃ困るよ。 お待ちどうさまでございます。 は、よろしくございますか。 何だか、のろのろしてんね。 おい、左の方にかしいちゃったよ。 は、ちょっとパンクをしまして。 パンク、すぐ治るかい。 は、もうパンクは満成になっておりますから、 ちょいと傷口んところへ番速行を張ります。 赤切れだね、まるで。 しっかりやってくれよ。よろしくございます。 治りました。 は、はい。 あの、ちょいとお待ちなして。 また待つのかい。 はい、あそこにあのおいしそうなたくあんがございますから、 あれをちょっと買って。 困るね、どうも君。 お待ちどうさまでございます。 よろしくございますか。 何だか知らねえけど、どうもぐでぐでしてんね。 後から来た車がみんな先行っちまうんじゃないか。 は、ああいう方にたくさん花をもたせます。 そんなに花をもたしてどうするんだい。 花の多い方がお供らいは立派です。 供らいじゃないよ、俺は。 止まっちゃったじゃないか。 は、あのガソリンが足りませんで、 半分水道の水が入っておりますから、 気管の具合が悪いんです。 橋の上りに来てちゃきっと止まりまして、 あなたお願いがございますが、 きっと降りてどうか、後から押してください。 冗談ちゃいけない。 自動車の後押しなんてできないよ。 降りるよ。降ろしてくれ。