円タク難(二)
- AI要約 (β)
- この文章は、ある人物が恐ろしい呪いの車に乗ってしまった体験を描いています。運転手にスピードを出すように頼むと、車は非常に速く走り出し、乗客は驚きと恐怖を感じます。途中で運転手に対して不安や不満を述べながらも、最終的には車が土手にぶつかって止まり、見知らぬ場所(宮城県仙台)に到着します。
- pid
- 1329553
- date
- 1928-04
- note
- 商品番号 : J-10293, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 新落語
- year
- 1928
- genre
- 落語
- creators
- 柳家 小三治
- duration
- 190
- persName
- 柳家 小三治
- publisher
- ビクター
恐ろしい呪い車に乗っかっちゃった。驚いたね、どうも。
おや、あそこにいる自動車、綺麗だし、運転手君も、何やギリギリっとしてんね。
おい、運転手君、君の車、スピードが出るかい?
こう。
だんな。
お、脅かせない。
スピードが出るか出ないか、乗ってみてくんね。
足がこう、ハンドルを握って、あっと構えるでしょ。
わあ、素敵だ。
おい、早すぎるよ、まだ乗らないよ、俺は。
まだ乗っからないんだよ。
あ、そうか、どれで軽いと思った。
乗車困らないな、お客の懸念で。
走り出す自動車ってのは初めてだよ。
しっかりやっつくれよ。
よろしくダンス。
とにかくだんな、乗っかったら、ほんと捕まってってくださいよ。
飛び出したいけないから。
危ねえ車だね、どうも。
万世橋渡ったら、機体どんどんやっつくれ。
よろしくダンス。
よろしくダンス。
よかんすか、出ますよ。
なるほど早いね、こら。
早すぎたな、おい、こら。
体がたまらないね、こら。
嫌に薄ぶれんね、こら。
運転手君、向こうまで行くうちに、僕の首をこっち前にしないかい。
冗談しちゃいけません、だんな。
自動車に乗っかって首を落としたなんて試しはねえでございますからね。
あんまり口を聞かないでくださいよ。
こないだ舌噛んで死んだ人があるから、危ねえな、どうも。
しっかりやってくれよ。
なんだか知らないけど、少しお腹が空いてきたようだよ。
だんな、自動車に乗っかんのに弁当を持たないんですか。
自動車に乗んのに弁当なんて持てるかい。
しっかりやってくれよ。
しっかりやってくれ、立って。
私はこう、胸ん中に汗が入ってね、先がわかりませんからね。
すいません、自動車が来たら、よけてくださいよ。
川があったら、教えてくださいよ。
飛び込むといけないから。
これ、いやだねえ、どうも。
大変な車に乗っかっちゃったね、これ。
川へなんて飛び込むことあんのかい。
大抵、一日に一度はどうしても飛び込むんです。
しょうがないな。
今日はどうしたい、今日は。
たぶん、だんなと一緒だろうと思うんですが。
これ、いやだねえ、どうも。
だんな、泳ぎは知ってますか。
泳ぎなんて知らないよ。
これから自動車に乗っかるときには、泳ぎ習ってからにしてくださいよ。
泳ぎが知らなきゃ仕方がありません。
これも前世の因縁と諦めて、
自動車を念仏を唱えて覚悟をして、
これ、いやだよ、おい。
どうにかして止めてくれよ、止めて。
止めてくれよ。
冗談しちゃいけません。
こう、馬力がかかった日には、
行くとこまで行かなくちゃ止まらないんでございますからね、これ。
しょうがないな、おい。
どうにかして止めて。
おい、止めておくれよ。
助けてくれ。
だんな、止まりました。
止まったかい。
ああ、驚いた。
よく止まったな。
よく止まるったって。
止まるはずだ。
うまいのは土手だ。
ああ、土手使いじゃ止まったのか。
危ねえねえ、どうも。
土手がなきゃ、どこまで行くかわからねえんだね。
一体どこだよ、ここは。
さあ、どこだかあんまり見慣れないとこなんですがね、これは。
見慣れないとこへ連れてきたら困んねえ。
どこだかしっかり見つけろよ。
よろしくございます。
ああ、そこに書いてある。
ああ、宮城県仙台。